JP2004094108A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性に優れ、画像ムラのない高画質な電子写真感光体を製造することである。
【解決手段】感光材料を含有する塗料をオーバーフローさせて導電性支持体表面に感光層を浸漬塗布により形成する電子写真感光体の製造方法において、塗布槽が開口蓋を有し、開口蓋と塗料のオーバーフローする液面との距離を30mm以下で行う。
【選択図】 図1
【解決手段】感光材料を含有する塗料をオーバーフローさせて導電性支持体表面に感光層を浸漬塗布により形成する電子写真感光体の製造方法において、塗布槽が開口蓋を有し、開口蓋と塗料のオーバーフローする液面との距離を30mm以下で行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体の製造方法に関し、詳しくは生産性に優れ、画像ムラのない高画質な電子写真感光体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置に利用される感光ドラムはアルミニウム等からなる円筒形状基体の表面上に感光体層を形成することにより製造される。
【0003】
基体表面上での感光体層の形成方法としては、蒸着法や塗布法があるが、簡便さの点では塗布法が有利である。
【0004】
塗布法としては、吹付塗布法、フローコート法、浸漬塗布法、ロールコート法等がある。これらのうちで、浸漬塗布法は塗料の粘度、固形分、塗布速度(引き上げ速度)等の調整により容易に所望の膜厚を得ることができ、且つ塗布装置の構成が簡単であり、更に1つの装置で複数の基体に対し同時に塗布が可能であるといった利点がある。
【0005】
図2は浸漬塗布法による従来の塗布装置の一例を示す概略図である。
【0006】
図2において、2は塗布槽、9は塗料タンクであり、12は該塗料タンクから該塗布槽2の下部内へと塗料を供給するための配管であり、該配管の途中にはポンプ10及び流量制御バルブ11が取付けられている。一方、6はオーバーフロー受けであり、13は該オーバーフロー受けから塗料タンク9へとオーバーフロー塗料を回収するための配管である。1は円筒形状の基体であり、14は該基体を所定の姿勢に保持するための保持部であり、該保持部は不図示の昇降手段により上下方向に移動することができる。
【0007】
塗布時には、バルブ11を開きポンプ10により塗料タンク9内の塗料を塗布槽2内に供給する。塗布槽内では塗料は次第に上昇してオーバーフローする。そして、オーバーフロー塗料は配管13を通って塗料タンク9に回収される。この状態で、基体保持部14が下方へと移動せしめられ、基体1は塗布槽2内の塗料中に浸漬され、次いで基体保持部14の上方への移動により所定の速度で引き上げられる。
【0008】
以上の様な従来装置によれば、塗布槽中で単に塗料が貯留されているのではなく、塗料循環手段が付されているので、塗料の溶剤揮発に基づく塗布槽上下での粘度差の発生、分散系の塗料を使用した場合の顔料の沈降、経時的なレオロジー特性の変化等の塗膜厚不均一化要因の発生を極力抑制できる。
【0009】
しかしながら、オーバーフローさせながら塗布した場合、揮発溶剤による乱流により塗布ムラが発生してしまう。この問題を改善するため、基体を浸漬させる時のみオーバーフローさせ、塗布時はオーバーフローを止める方法が考えられている(特開平9−258461)。
【0010】
しかし、オーバーフローを止めると塗布槽上下での粘度差の発生や分散系の塗料を使用した場合の顔料の沈降が発生してしまうため、次いで塗布する際、一定時間循環させる必要があるため、すぐに塗布ができず、生産効率の低下が問題となっていた。
【0011】
また、オーバーフローを止めると、高耐久を図るため感光層を厚膜にした場合、上下の膜厚差が生じてしまうため、低速塗布を余儀なくされていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、これらの問題点を解決し、生産性に優れ、画像ムラのない高画質な電子写真感光体の製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は感光材料を含有する塗料をオーバーフローさせて導電性支持体表面に感光層を浸漬塗布により形成する電子写真感光体の製造方法において、塗布槽が開口蓋を有し、前記開口蓋と前記塗料のオーバーフローする液面との距離が30mm以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法により達成される。
【0014】
また、本発明の塗料用溶剤の少なくとも1種類の沸点が100℃以下であると一層好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明について説明する。
【0016】
図1は本発明に用いる浸漬塗布法による塗布装置の一例を示す概略図である。図1において、1は基体、2は塗布槽、3は塗布液、4はオーバーフロー液面、5は開口蓋、6はオーバーフロー受け、7は塗布液供給口、8は塗布液回収口である。
【0017】
図1に示したような塗布装置で、常にオーバーフローさせながら感光層を浸漬塗布する。この時、開口蓋5とオーバーフロー液面4との距離は30mm以下であり、さらに好ましくは5〜20mmである。
【0018】
開口蓋を設けない場合は、揮発溶剤による乱流によりブラッシングなどの塗布ムラが発生してしまい、逆に開口蓋とオーバーフロー液面との距離を30mmより長くした場合は、下端部の膜厚が他の部分と比べ薄くなってしまう。
【0019】
また、厚膜にした場合でも上下差のない均一な膜厚を高速塗布で達成するためには、塗料用溶剤の少なくとも1種類の沸点を100℃以下にすることが有効である。
【0020】
本発明における電子写真感光体は、感光層が電荷輸送材料と電荷発生材料を同一の層に含有する単層型であっても、電荷輸送層と電荷発生層に分離した積層型でもよいが、電子写真特性的には積層型が好ましい。
【0021】
使用する円筒の導電性基体は導電性を有するものであればよく、アルミニウム、ステンレスなどの金属、あるいは導電層を設けた金属、紙、プラスチックなどが挙げられる。
【0022】
レーザービームプリンターなど画像入力がレーザー光の場合は散乱による干渉縞防止、または基盤の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これはカーボンブラック、金属粒子などの導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μm、好ましくは10〜30μmが適当である。
【0023】
そのうえに接着機能を有する中間層を設ける。中間層の材料としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタンなどが挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μm、好ましくは0.3〜1μmが適当である。
【0024】
中間層の上には電荷発生層が形成される。本発明に用いられる電荷発生物質としてはセレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン、アントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン、非対称キノシアニン系の各顔料が挙げられる。機能分離型の場合、電荷発生層は前記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂および溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルおよび液衝突型高速分散機などの方法でよく分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下、好ましくは0.1〜2μmが適当である。
【0025】
電荷輸送層は主として電荷輸送材料とバインダー樹脂とを溶剤中に溶解させた塗料を塗布、乾燥して形成する。用いられる電荷輸送材料としてはトリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、トリアリルメタン化合物、チアゾール化合物などが挙げられる。
【0026】
用いられる樹脂としてはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリメタアクリレート樹脂などが挙げられる。
【0027】
電荷輸送材料は0.5〜2倍量のバインダー樹脂と組み合わされ塗工後、乾燥して電荷輸送層を形成する。電荷輸送層の膜厚は5〜40μm、好ましくは15〜30μmが適当である。
【0028】
以下実施例に従って説明する。
【0029】
(実施例1)
24φ246mmのAlシリンダーを支持体として、それに以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸積法で塗布し140℃、30分熱硬化して15μmの導電層を形成した。
【0030】
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール0.2/0.8 20部
次にこの上にNメトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部をメタノール65部、nブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸積法で塗布し0.5μmの中間層を形成した。
【0031】
次にCuKαのX線回折スペクトルにおける回折角2θ±0.2°が9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン4部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2部およびシクロヘキサノン60部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、エチルアセテート100部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを本発明の塗布装置で、常にオーバーフローさせながら浸漬塗布し0.3μmの電荷発生層を形成した。この時、開口蓋とオーバーフロー液面との距離は10mmとし、引き上げ塗工速度は200mm/minであった。
【0032】
次に下記構造式のアミン化合物9部
【外1】
【0033】
下記構造式のアミン化合物1部
【外2】
【0034】
とポリカーボネートZ10部をモノクロロベンゼン50部ジクロロメタン30部の混合溶媒に溶解した。この塗料を本発明の塗布装置で、常にオーバーフローさせながら浸漬塗布し120℃1時間乾燥し24μmの電荷輸送層を形成した。この時、開口蓋とオーバーフロー液面との距離は10mmとし、引き上げ塗工速度は300mm/minであった。
【0035】
次に、このようにして得られた電子写真感光体の初期画像評価を行った。
【0036】
評価機はヒューレットパッカード社製LBP「レーザージェット5L」を用いた。この機械を用い、23℃/50%RHの環境下で、画像を出力し画像ムラが発生しているかを確認した結果、画像ムラのない非常に良好な画像が得られた。
【0037】
(実施例2)
電荷発生層および電荷輸送層を浸漬塗布する際の開口蓋とオーバーフロー液面との距離を30mmにした以外は、実施例1と同様の電子写真感光体を作製した。
【0038】
このようにして得られた電子写真感光体について、実施例1と同様の画像評価を行った結果、画像ムラのない非常に良好な画像が得られた。
【0039】
(実施例3)
電荷輸送層について、塗工速度を380mm/minで30μmの電荷輸送層を形成した以外は、実施例1と同様の電子写真感光体を作製した。
【0040】
このようにして得られた電子写真感光体について、実施例1と同様の画像評価を行った結果、画像ムラのない非常に良好な画像が得られた。
【0041】
(比較例1)
電荷発生層および電荷輸送層を浸漬塗布する際の開口蓋を取り除いた以外は、実施例1と同様の電子写真感光体を作製した。
【0042】
このようにして得られた電子写真感光体について、実施例1と同様の画像評価を行った結果、ブラッシング不良による画像ムラが発生した。
【0043】
(比較例2)
電荷輸送層を浸漬塗布する際の開口蓋とオーバーフロー液面との距離を50mmにした以外は、実施例1と同様の電子写真感光体を作製した。
【0044】
このようにして得られた電子写真感光体について、実施例1と同様の画像評価を行った結果、膜厚の上下差による画像ムラが発生した。
【0045】
(比較例3)
電荷輸送層用の塗料をモノクロロベンゼン80部のみで溶解し、塗工速度を380mm/minで30μmの電荷輸送層を形成した以外は、実施例1と同様の電子写真感光体を作製した。
【0046】
このようにして得られた電子写真感光体について、実施例1と同様の画像評価を行った結果、膜厚の上下差によるわずかな画像ムラが発生した。
【0047】
上記実施例および、比較例の結果を表1にまとめた。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、感光材料を含有する塗料をオーバーフローさせて導電性支持体表面に感光層を浸漬塗布により形成する電子写真感光体の製造方法において、塗布槽が開口蓋を有し、開口蓋と塗料のオーバーフローする液面との距離を30mm以下にすることにより、生産性に優れ、画像ムラのない高画質な電子写真感光体を製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる塗布装置の一例を示す概略図。
【図2】従来の塗布装置の一例を示す概略図。
【符号の説明】
1 基体
2 塗布槽
3 塗布液
4 オーバーフロー液面
5 開口蓋
6 オーバーフロー受け
7 塗布液供給口
8 塗布液回収口
9 塗料タンク
10 ポンプ
11 バルブ
12 供給配管
13 回収配管
14 基体保持部
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体の製造方法に関し、詳しくは生産性に優れ、画像ムラのない高画質な電子写真感光体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置に利用される感光ドラムはアルミニウム等からなる円筒形状基体の表面上に感光体層を形成することにより製造される。
【0003】
基体表面上での感光体層の形成方法としては、蒸着法や塗布法があるが、簡便さの点では塗布法が有利である。
【0004】
塗布法としては、吹付塗布法、フローコート法、浸漬塗布法、ロールコート法等がある。これらのうちで、浸漬塗布法は塗料の粘度、固形分、塗布速度(引き上げ速度)等の調整により容易に所望の膜厚を得ることができ、且つ塗布装置の構成が簡単であり、更に1つの装置で複数の基体に対し同時に塗布が可能であるといった利点がある。
【0005】
図2は浸漬塗布法による従来の塗布装置の一例を示す概略図である。
【0006】
図2において、2は塗布槽、9は塗料タンクであり、12は該塗料タンクから該塗布槽2の下部内へと塗料を供給するための配管であり、該配管の途中にはポンプ10及び流量制御バルブ11が取付けられている。一方、6はオーバーフロー受けであり、13は該オーバーフロー受けから塗料タンク9へとオーバーフロー塗料を回収するための配管である。1は円筒形状の基体であり、14は該基体を所定の姿勢に保持するための保持部であり、該保持部は不図示の昇降手段により上下方向に移動することができる。
【0007】
塗布時には、バルブ11を開きポンプ10により塗料タンク9内の塗料を塗布槽2内に供給する。塗布槽内では塗料は次第に上昇してオーバーフローする。そして、オーバーフロー塗料は配管13を通って塗料タンク9に回収される。この状態で、基体保持部14が下方へと移動せしめられ、基体1は塗布槽2内の塗料中に浸漬され、次いで基体保持部14の上方への移動により所定の速度で引き上げられる。
【0008】
以上の様な従来装置によれば、塗布槽中で単に塗料が貯留されているのではなく、塗料循環手段が付されているので、塗料の溶剤揮発に基づく塗布槽上下での粘度差の発生、分散系の塗料を使用した場合の顔料の沈降、経時的なレオロジー特性の変化等の塗膜厚不均一化要因の発生を極力抑制できる。
【0009】
しかしながら、オーバーフローさせながら塗布した場合、揮発溶剤による乱流により塗布ムラが発生してしまう。この問題を改善するため、基体を浸漬させる時のみオーバーフローさせ、塗布時はオーバーフローを止める方法が考えられている(特開平9−258461)。
【0010】
しかし、オーバーフローを止めると塗布槽上下での粘度差の発生や分散系の塗料を使用した場合の顔料の沈降が発生してしまうため、次いで塗布する際、一定時間循環させる必要があるため、すぐに塗布ができず、生産効率の低下が問題となっていた。
【0011】
また、オーバーフローを止めると、高耐久を図るため感光層を厚膜にした場合、上下の膜厚差が生じてしまうため、低速塗布を余儀なくされていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、これらの問題点を解決し、生産性に優れ、画像ムラのない高画質な電子写真感光体の製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は感光材料を含有する塗料をオーバーフローさせて導電性支持体表面に感光層を浸漬塗布により形成する電子写真感光体の製造方法において、塗布槽が開口蓋を有し、前記開口蓋と前記塗料のオーバーフローする液面との距離が30mm以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法により達成される。
【0014】
また、本発明の塗料用溶剤の少なくとも1種類の沸点が100℃以下であると一層好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明について説明する。
【0016】
図1は本発明に用いる浸漬塗布法による塗布装置の一例を示す概略図である。図1において、1は基体、2は塗布槽、3は塗布液、4はオーバーフロー液面、5は開口蓋、6はオーバーフロー受け、7は塗布液供給口、8は塗布液回収口である。
【0017】
図1に示したような塗布装置で、常にオーバーフローさせながら感光層を浸漬塗布する。この時、開口蓋5とオーバーフロー液面4との距離は30mm以下であり、さらに好ましくは5〜20mmである。
【0018】
開口蓋を設けない場合は、揮発溶剤による乱流によりブラッシングなどの塗布ムラが発生してしまい、逆に開口蓋とオーバーフロー液面との距離を30mmより長くした場合は、下端部の膜厚が他の部分と比べ薄くなってしまう。
【0019】
また、厚膜にした場合でも上下差のない均一な膜厚を高速塗布で達成するためには、塗料用溶剤の少なくとも1種類の沸点を100℃以下にすることが有効である。
【0020】
本発明における電子写真感光体は、感光層が電荷輸送材料と電荷発生材料を同一の層に含有する単層型であっても、電荷輸送層と電荷発生層に分離した積層型でもよいが、電子写真特性的には積層型が好ましい。
【0021】
使用する円筒の導電性基体は導電性を有するものであればよく、アルミニウム、ステンレスなどの金属、あるいは導電層を設けた金属、紙、プラスチックなどが挙げられる。
【0022】
レーザービームプリンターなど画像入力がレーザー光の場合は散乱による干渉縞防止、または基盤の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これはカーボンブラック、金属粒子などの導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μm、好ましくは10〜30μmが適当である。
【0023】
そのうえに接着機能を有する中間層を設ける。中間層の材料としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタンなどが挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μm、好ましくは0.3〜1μmが適当である。
【0024】
中間層の上には電荷発生層が形成される。本発明に用いられる電荷発生物質としてはセレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン、アントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン、非対称キノシアニン系の各顔料が挙げられる。機能分離型の場合、電荷発生層は前記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂および溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルおよび液衝突型高速分散機などの方法でよく分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下、好ましくは0.1〜2μmが適当である。
【0025】
電荷輸送層は主として電荷輸送材料とバインダー樹脂とを溶剤中に溶解させた塗料を塗布、乾燥して形成する。用いられる電荷輸送材料としてはトリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、トリアリルメタン化合物、チアゾール化合物などが挙げられる。
【0026】
用いられる樹脂としてはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリメタアクリレート樹脂などが挙げられる。
【0027】
電荷輸送材料は0.5〜2倍量のバインダー樹脂と組み合わされ塗工後、乾燥して電荷輸送層を形成する。電荷輸送層の膜厚は5〜40μm、好ましくは15〜30μmが適当である。
【0028】
以下実施例に従って説明する。
【0029】
(実施例1)
24φ246mmのAlシリンダーを支持体として、それに以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸積法で塗布し140℃、30分熱硬化して15μmの導電層を形成した。
【0030】
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール0.2/0.8 20部
次にこの上にNメトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部をメタノール65部、nブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸積法で塗布し0.5μmの中間層を形成した。
【0031】
次にCuKαのX線回折スペクトルにおける回折角2θ±0.2°が9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン4部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2部およびシクロヘキサノン60部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、エチルアセテート100部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを本発明の塗布装置で、常にオーバーフローさせながら浸漬塗布し0.3μmの電荷発生層を形成した。この時、開口蓋とオーバーフロー液面との距離は10mmとし、引き上げ塗工速度は200mm/minであった。
【0032】
次に下記構造式のアミン化合物9部
【外1】
【0033】
下記構造式のアミン化合物1部
【外2】
【0034】
とポリカーボネートZ10部をモノクロロベンゼン50部ジクロロメタン30部の混合溶媒に溶解した。この塗料を本発明の塗布装置で、常にオーバーフローさせながら浸漬塗布し120℃1時間乾燥し24μmの電荷輸送層を形成した。この時、開口蓋とオーバーフロー液面との距離は10mmとし、引き上げ塗工速度は300mm/minであった。
【0035】
次に、このようにして得られた電子写真感光体の初期画像評価を行った。
【0036】
評価機はヒューレットパッカード社製LBP「レーザージェット5L」を用いた。この機械を用い、23℃/50%RHの環境下で、画像を出力し画像ムラが発生しているかを確認した結果、画像ムラのない非常に良好な画像が得られた。
【0037】
(実施例2)
電荷発生層および電荷輸送層を浸漬塗布する際の開口蓋とオーバーフロー液面との距離を30mmにした以外は、実施例1と同様の電子写真感光体を作製した。
【0038】
このようにして得られた電子写真感光体について、実施例1と同様の画像評価を行った結果、画像ムラのない非常に良好な画像が得られた。
【0039】
(実施例3)
電荷輸送層について、塗工速度を380mm/minで30μmの電荷輸送層を形成した以外は、実施例1と同様の電子写真感光体を作製した。
【0040】
このようにして得られた電子写真感光体について、実施例1と同様の画像評価を行った結果、画像ムラのない非常に良好な画像が得られた。
【0041】
(比較例1)
電荷発生層および電荷輸送層を浸漬塗布する際の開口蓋を取り除いた以外は、実施例1と同様の電子写真感光体を作製した。
【0042】
このようにして得られた電子写真感光体について、実施例1と同様の画像評価を行った結果、ブラッシング不良による画像ムラが発生した。
【0043】
(比較例2)
電荷輸送層を浸漬塗布する際の開口蓋とオーバーフロー液面との距離を50mmにした以外は、実施例1と同様の電子写真感光体を作製した。
【0044】
このようにして得られた電子写真感光体について、実施例1と同様の画像評価を行った結果、膜厚の上下差による画像ムラが発生した。
【0045】
(比較例3)
電荷輸送層用の塗料をモノクロロベンゼン80部のみで溶解し、塗工速度を380mm/minで30μmの電荷輸送層を形成した以外は、実施例1と同様の電子写真感光体を作製した。
【0046】
このようにして得られた電子写真感光体について、実施例1と同様の画像評価を行った結果、膜厚の上下差によるわずかな画像ムラが発生した。
【0047】
上記実施例および、比較例の結果を表1にまとめた。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、感光材料を含有する塗料をオーバーフローさせて導電性支持体表面に感光層を浸漬塗布により形成する電子写真感光体の製造方法において、塗布槽が開口蓋を有し、開口蓋と塗料のオーバーフローする液面との距離を30mm以下にすることにより、生産性に優れ、画像ムラのない高画質な電子写真感光体を製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる塗布装置の一例を示す概略図。
【図2】従来の塗布装置の一例を示す概略図。
【符号の説明】
1 基体
2 塗布槽
3 塗布液
4 オーバーフロー液面
5 開口蓋
6 オーバーフロー受け
7 塗布液供給口
8 塗布液回収口
9 塗料タンク
10 ポンプ
11 バルブ
12 供給配管
13 回収配管
14 基体保持部
Claims (3)
- 感光材料を含有する塗料をオーバーフローさせて導電性支持体表面に感光層を浸漬塗布により形成する電子写真感光体の製造方法において、塗布槽が開口蓋を有し、前記開口蓋と前記塗料のオーバーフローする液面との距離が30mm以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 前記塗料用溶剤の少なくとも1種類の沸点が100℃以下であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記感光層の浸漬塗布時の引き上げ塗工速度が100mm/min以上であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2002257834A JP2004094108A (ja) | 2002-09-03 | 2002-09-03 | 電子写真感光体の製造方法 |
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JP2002257834A JP2004094108A (ja) | 2002-09-03 | 2002-09-03 | 電子写真感光体の製造方法 |
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WO2011087143A1 (en) | 2010-01-13 | 2011-07-21 | Canon Kabushiki Kaisha | Drum supporting mechanism, process cartridge, and electrophotographic image forming apparatus |
-
2002
- 2002-09-03 JP JP2002257834A patent/JP2004094108A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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WO2011087143A1 (en) | 2010-01-13 | 2011-07-21 | Canon Kabushiki Kaisha | Drum supporting mechanism, process cartridge, and electrophotographic image forming apparatus |
US9134679B2 (en) | 2010-01-13 | 2015-09-15 | Canon Kabushiki Kaisha | Drum supporting mechanism, process cartridge, and electrophotographic image forming apparatus |
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