JP2007001293A - 静電防止性多層フィルム - Google Patents

静電防止性多層フィルム Download PDF

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Abstract


【課題】
静電防止性および離型性に優れており、積層セラミックコンデンサーなどのコンデンサー、離型フィルムなどの種々の用途に用いることができる多層フィルム。
【解決手段】
ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)の片面に、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂から選ばれるバインダー樹脂と酸化錫の微粒子を含む静電防止層(B)およびシリコーン樹脂層(C)がこの順に積層されてなる多層フィルムであって、静電防止層(B)は、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂から選ばれるバインダー樹脂の微粒子と酸化錫の微粒子を含むコーティング剤を用いて塗布する。
【選択図】
なし

Description

本発明は離型性および静電防止性に優れた多層フィルムに関する。
シリコーン樹脂層が積層されたポリエステルフィルムは、離型フィルムとして粘着フィルム、樹脂シート成形用の工程フィルムなどの用途に用いられている。最近では、積層セラミックコンデンサー製造用の工程フィルムとしても使用されている。
また、積層セラミックコンデンサーは、また近年の電子機器の小型化、高性能化が進み、その製造の際に用いられる工程フィルムには離型性能および静電防止性の優れたフィルムが求められている。
ポリエステルフィルムの静電防止性と離型性を改良するため、既に提案されている。例えば、特開平3−106645には、プラスチックフィルムの表面にイソシアネートシラン化合物の薄膜を設け、その上に硬化性シリコーンの薄膜を設けたフィルムが開示されている。
また、特開平4−592072には、窒素、リン、イオウのいずれをも含まない化合物よりなる静電防止剤を塗布したプラスチックフィルムの上に、オニウム塩である光開始剤を添加して塗工された紫外線照射により硬化させたエポキシ官能性シリコーン皮膜から成る離型フィルムが開示されている。ここで開示されている静電防止剤は、エステル類、アルコール類、またはオルガノシリケート部分加水分解物である。
さらに、特開平6−344514には、アンチモンドープ酸化スズを含む導電層を設けた導電性ポリエステルフィルムの他方の面に、硬化シリコーン樹脂塗膜を設けた離型フィルムが開示されている。この導電層に用いられる有機高分子バインダーとしてはポリウレタン樹脂、アクリル樹脂が好ましいとあり、実施例では、導電層とシリコーン樹脂塗膜はフィルムの反対側に設けている。
また、特開2002−192661には、ポリエステルフィルムにバインダー樹脂と静電防止剤とからなる静電防止層、さらにその上に硬化性シリコーン樹脂から主としてなる離型層を有する離型フィルムが開示されている。
ここで、静電防止剤にはアニオン系静電防止剤、ノニオン系静電防止剤、両性静電防止剤、導電性静電防止剤が開示されている。
特開平3−106645(請求項1) 特開平4−59207 (請求項1) 特開平6−344514(請求項1) 特開2002−192661(請求項1)
本発明は、工程フィルムとして使用される離型性に優れ、かつ静電防止性に優れた多層フィルムを提供することを目的とするものである。本発明はまた、静電防止層の上に形成されるシリコーンが、静電防止層に含まれる化合物によって硬化を阻害されることなく効率良く硬化する、静電防止性および離型性の優れたフィルムを提供するものである。
本発明はポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)の片面に、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂から選ばれるバインダー樹脂と酸化錫系微粒子を含む静電防止層(B)さらにシリコーン樹脂層(C)がこの順に積層されてなる多層フィ
ルムに関する。
本発明によれば、ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルムの静電防止性能を向上させると共に、その上に積層されたシリコーン樹脂層の硬化を阻害せずに、優れた離型性能を持つシリコーン樹脂層(C)を効率良く形成することができる。
さらに、得られた積層フィルムのシリコーン樹脂(C)の硬化性は優れており、他の面への移行が見られないという優れた効果が得られる。
ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルムに窒素、リン、硫黄などのシリコーン樹脂の硬化に悪影響を与える微量成分が含まれている場合であっても、シリコーン樹脂層(C)が直接ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)に接することなく、間に静電防止層(B)が介在するので、シリコーン樹脂層(C)の硬化の効率が優れている。
本発明は、ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)に特定の静電防止層(B)さらにシリコーン樹脂層(C)を積層することにより得られる。
ポリエステルフィルム
本発明に用いられるポリエステルフィルムは、公知のポリエステルフィルムであり、未延伸、一軸延伸あるいは二軸延伸フィルムの何れでもよいが、機械的強度、耐熱性等の点で二軸延伸フィルムが好ましい。
本発明に用いられるポリエステルフィルムの厚さ、表面粗さは用途により種々選択することができる。通常は、厚さが3〜100ミクロンメータ(μm)、好ましくは5〜50ミクロンメータ(μm)である。
これらのポリエステルフィルムは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、二軸延伸フィルムである場合は、原料となるポリエステルを溶融し冷却ドラムの上にキャストして未延伸フィルムとし、次いでその未延伸フィルムを当該ポリエステルの二次転移点(Tg)−10℃以上の温度で縦方向に通常2から7倍に延伸して、まず一軸延伸フィルムとし、この一軸延伸フィルムをさらに80〜140℃で横方向に通常2〜9倍延伸して二軸延伸フィルムとすることができる。その際、更に130〜250℃で熱処理することにより耐熱収縮性に優れたフィルムが得られる。また、二軸延伸フィルムは熱処理する前に必要に応じて更に縦方向及び/又は横方向に再延伸されていてもよい。
本発明に係わるポリエステルフィルムの原料となるポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分(ジヒドロキシ化合物成分)からなる。
ポリエステルの成分の一つであるジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸などが例示され、中でもテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸がポリエステルフィルムの機械的特性、熱的特性等に優れるため好ましい。また、かかるジカルボン酸成分は一種または二種以上であってもよい。
ポリエステルの他の成分であるグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールなどが例示され、中でもエチレングリコールがポリエステルフィルムの機械的特性、熱的特性等に優れるため好ましい。また、かかるグリコール成分は一種または二種以上であってもよい。
これらのポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレン―2,6―ナフタレートを例示することができる。かかるポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレン―2,6―ナフタレートは、上記ジカルボン酸成分あるいはグリコール成分などを共重合したポリエステルであってもよく、三官能以上のポリカルボン酸成分あるいはポリオール成分をポリエステルが実質的に線状となる範囲、例えば5モル%以下で少量共重合したポリエステルであってもよい。
これらポリエステルは従来から知られている方法により製造することができ、平均分子量は10,000以上であることがフィルムの機械的特性が良好となるため好ましい。 これらのポリエステルには、フィルムの滑り性を良好なものとするため有機や無機の微粒子を滑剤として、例えば0.001〜5重量%の配合割合で含有させることができる。
このような微粒子として、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、グラファイト、カオリン、シリカ、アルミナ、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子などが好適な例として挙げることができる。
また、その他の配合剤として、静電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、着色剤、顔料、蛍光増白剤、可塑剤、架橋剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、他の樹脂などを必要に応じて添加することができる。
ポリエステルフィルムは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、二軸延伸フィルムは、上記のポリエステルを溶融し冷却ドラムの上にキャストして未延伸フィルムとし、次いでその未延伸フィルムを当該ポリエステルの二次転移点(Tg)−10℃以上の温度で縦方向に2から7倍に延伸して、まず一軸延伸フィルムとし、この一軸延伸フィルムをさらに80〜140℃で横方向に2〜9倍延伸した二軸延伸してフィルムとすることができる。
その際、更に130〜250℃で熱処理することも行われる。また、二軸延伸フィルムは熱処理する前に必要に応じて更に縦方向及び/又は横方向に再延伸することも行われる。
二軸延伸フィルムの面積延伸倍率は8倍以上、さらには9倍以上とするのが望ましく、面積延伸倍率の上限は、フィルムの用途にもよるが、35倍迄、特に30倍迄とするのが好ましい。延伸後に熱処理して配向結晶化を完結させることもできる。二軸積層延伸フィルムの厚さは通常 1〜300μmである。
ポリオレフィン樹脂のフィルム
用いられるポリオレフィン樹脂には、高密度ポリエチレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン樹脂(三井化学株式会社製 TPX)、ポリブテン等が例示さるが、中でもポリプロピレンである。
ポリプロピレンを二軸延伸して得られるフィルム、いわゆるOPPは、その強度、平滑性に優れており好適である。
ポリプロピレンフィルムの原料となるポリプロピレンは、一般にポリプロピレンの名称で製造・販売されているプロピレンを主体とする重合体であり、通常、密度が0.890〜0.930g/cm3、MFR(ASTM D1238 荷重2160g、温度230℃)が0.5〜60g/10分、好ましくは0.5〜10g/10分、更に好ましくは1〜5g/10分のプロピレンの単独重合体若しくはプロピレンと他の少量例えば、1重量%以下のα−オレフィン、例えばエチレン、ブテン、ヘキセン−1等との共重合体、あるいは単独重合体と共重合体との組成物である。
これらの中でも、プロピレンの単独重合体、若しくは1重量%以下のランダム共重合体でアイソタクテシティの高い重合体もしくはそれらの組成物が、得られる二軸延伸ポリプロピレンフィルムの弾性率、耐熱性が優れるので好ましい。 本発明に係わるポリプロピレンは、チーグラー・ナッタ系触媒に限らず、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を始め種々公知の触媒を用いて重合されたものを用い得る。また、ポリプロピレンには、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料、無機または有機の充填剤等の通常、ポリオレフィンに用いる各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加しておいてもよい。
また、ポリプロピレンのフィルムは逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸などにより二軸延伸フィルムとされる。
静電防止層(B)
本発明における静電防止層(B)は、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂から選ばれるバインダー樹脂と酸化錫系の微粒子を含む層である。
静電防止層(B)を構成する静電防止剤には、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂から得ばれるバインダー樹脂の微粒子と共に酸化錫系の微粒子を含むコーティング液が用いられる。
コーティング剤は、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂から選ばれるバインダー樹脂の微粒子と酸化錫系微粒子を分散させた分散液、なかでも水分散液であることが均一な静電防止層(B)の塗膜を簡便な操作で形成することができるので好適である。
このコーティング液は、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂から選ばれるバインダー樹脂の微粒子100質量部に対し、酸化錫系の微粒子が通常50〜1000質量部の割合で含有するものである。
酸化錫系の微粒子の割合が少ない場合は静電防止層(B)の被膜の静電防止性が不十分になることがある。また、多い場合は静電防止層(B)とポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)との密着性が低下することがある。
コーティング剤が分散液の場合の媒体としては、水が好適である。また、水が主成分であれば、さらに他の有機溶媒を併用してもよい。そのような有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコール誘導体、さらには3−メトキシ−3−メチルブタノール、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチルなどがある。これらは1種類、あるいは2種類以上
を併用してもよい。
併用される有機溶媒の沸点としては、沸点200℃以下で水と共沸可能であるものが好ましい。また、水と併用される有機溶媒の割合は、エマルジョン中の全媒体の25質量%以下であれば、コーティング剤の貯蔵安定性が良好である。
バインダー樹脂がポリエステル樹脂の場合、上記のポリエステルフィルムの原料として用いられるポリエステルとして例示したポリマーを使用することができる。
なお、本発明におけるコーティング剤に配合するポリエステル樹脂には、必要な物性を発現させるために3官能以上の多塩基酸及び/または多価アルコールを共重合することも必要に応じて行われる。
3官能以上の多塩基酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などが挙げられる。
また、3官能以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。ただし、3官能以上の多塩基酸及び多価アルコールを共重合する場合には、全酸成分及び全アルコール成分に対しそれぞれ10モル%以下、5モル%以下とすることが通常である。10モル%を越えると膜が硬くなりすぎて加工性が悪くなる傾向がある。
コーティング剤に配合されるポリエステル樹脂の酸価は、通常10〜40mgKOH/g程度である。
ポリエステル樹脂は、一般に水分散性が付与された微粒子として水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンの形態で使用される。水分散性ポリエステル樹脂の微粒子は、通常数平均粒子径が0.001〜0.1μm(動的光散乱法)である。
ポリエステル樹脂の微粒子からなるエマルジョンは、例えば、塩基性化合物を添加した水及び有機溶媒中にポリエステル樹脂の粉末もしくは粒状物を40℃以下の室温付近の温度で混合、撹拌した後、撹拌しながら所定温度まで加熱し、ポリエステル樹脂のガラス転移温度以上であって90℃以下の温度で撹拌してポリエステル樹脂を微粒子化し、冷却することによって製造する方法がある。
ポリエステル樹脂の微粒子は一般に数平均粒子径が通常0.001〜0.1μm程度であり、溶媒中に安定的に分散したエマルジョンの状態で用いられる。
水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンを製造する際には、ポリエステル樹脂のカルボキシル基を中和するために有機アミンを添加することが望ましい。
有機アミンとしては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどが例示され、中でもカルボキシル基に対して、0.2〜1.5倍当量が好ましく、さらには、0.4〜1.3倍当量がより好ましい。
0.2倍当量未満と少なくなると中和が不完全で分散安定性が良好なエマルジョンが得られない場合があり、1.5倍当量を越えるとエマルジョンが増粘になり取り扱いが困難となる場合がある。
また、これら有機アミンは、静電防止層(B)の形成時の乾燥工程において揮発するものを選ぶことが望ましく、沸点が200℃以下の有機アミンが好適である。これにより、その上に形成されるシリコーン樹脂層(C)の硬化に悪影響を与えることのない静電防止層(B)とすることができる。
水分散性ポリエステル樹脂エマルジョン中におけるポリエステル樹脂の濃度は特に限定されないが、適度の粘性を保ちつつ、良好な貯蔵安定性を示すためには10〜50質量%が好ましい。
バインダー樹脂がポリオレフィン樹脂の場合、ポリオレフィン樹脂は、酸化錫系微粒子、あるいはさらに塩基性化合物と共に、水性媒体中に分散された水性分散体であることが望ましい。
水性分散体中におけるこれらのポリオレフィン樹脂、酸化錫系微粒子の割合は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して酸化錫系微粒子が30〜1500重量部の範囲であり、かつ、不揮発性水性化助剤を含有しないことが望ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、不飽和カルボン酸単位(z1)、エチレン系炭化水素(z2)、およびアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(z3)とから構成される共重合体であって、(z1)成分の割合が(z1)、(z2)および(z3)の合計に対して、0.01ないし5重量、中でも0.1ないし5重量%、その中でも0.5ないし5重量%とすることが望ましく、(z2)と(z3)の比率が55/45ないし95/5とすることが望ましい。
(z1)成分である不飽和カルボン酸単位は、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物であり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、無水マイレン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。これらの中では、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。また不飽和カルボン酸は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
エチレン系炭化水素(z2)とアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(z3)成分は、成分(z2)と(z3)成分との質量部(A2)/(A3)は、55/45ないし95/5、中でも65/35ないし87/13、その中でも70/30ないし85/15であることが望ましい。
エチレン系炭化水素(z2)成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
また、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(z3)成分としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル等と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、この中でもアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが望ましい。
ポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレン−アクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体、またはエチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体が好ましい。
なお、無水マレイン酸単位等の不飽和カルボン酸無水物単位は、樹脂の乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造を形成しているが、特に塩基性化合物を含有する水性媒体中では、その一部または全部が開環してカルボン酸あるいはその塩の構造を取りやすくなる。
また、本発明に用いられるポリオレフィン樹脂には、その他のモノマーが、この樹脂全体の20質量%以下で共重合されていてもよい。例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどの炭素数3〜30のアルキルビニルエーテル類等が挙げられる。
また、ポリオレフィン樹脂は、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.01〜500g/10分程度のものが通常である。
水性分散体には、塩基性化合物が添加されており、この塩基性化合物がポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基を中和し、水性分散体中でのポリオレフィン樹脂粒子間の凝集が防止され、水性分散体が安定となる。
塩基性化合物の量は、酸化スズ系超微粒子の種類、ポリオレフィン樹脂と酸化スズ系超微粒子との比率、水性分散体の固形分濃度によっても異なるが、水性分散体のpHが8.0〜12.0になる量が好ましい。
このような塩基性化合物として、具体的には、アンモニア又は有機アミン化合物が好ましい。有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン等があり、2種以上を混合して使用しても良い。
コーティング剤中の酸化錫系の微粒子は、一般にその数平均粒子径が通常50ナノメータ(nm)以下であり、中でも数平均粒子径が50ナノメータ(nm)以下でかつ体積平均粒子径が200ナノメータ(nm)以下が好ましい。
この酸化錫系の微粒子は、上記の数平均粒子径を保ったままで分散されたものが好ましい。
分散液中で酸化錫の微粒子が凝集し、体積平均粒子径(動的光散乱法)が200nmを越えると、被膜の透明性が低下する傾向がある。
酸化錫系の微粒子としては、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化錫、タングステンドープ酸化錫、酸化チタン−酸化セリウム−酸化錫の複合体、酸化チタン−酸化錫の複合体などが挙げられ、なかでも導電性などの性能に優れかつそれとコストとがバランスのとれた酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫が好ましい。
本発明におけるコーティング剤は、例えば、上記水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンと上記酸化錫系の微粒子の水分散液と混合することによって調製される。その際に、水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンに酸化錫系の微粒子分散液を加えて混合してもよく、逆に酸化錫系の微粒子分散液に上記エマルジョンを加えて混合してもよく、混合順序は任意である。
なお、両者を混合する際、水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンの分散安定性を維持するために、必要に応じて、混合液のpHが8〜12になるようにpH調整を行うことが行われる。
上記コーティング剤は、水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンと酸化錫系の微粒子分散液とを混合することにより調製することができる。
このようにして得られたコーティング剤中には、上記水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンに由来する有機溶媒が含まれており、また、塗布性能を向上させるために例えばイソプロパノールなどの低沸点アルコールのような有機溶媒を加えることも行われる。この場合、有機溶媒の含有量は溶媒全体の50質量%以下とし、50質量%以上は水であることが好ましい。
本発明のコーティング剤中では、水分散性ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂から選ばれるバインダー樹脂の微粒子と共に、酸化錫系の微粒子が酸化錫系の微粒子分散液中と同等の良好な分散性を保って溶媒中に分散しているものが好適である。すなわち、酸化錫系の微粒子が数平均粒子径50nm以下、体積平均粒子径200nm以下の一次粒子の状態で存在してものが好適である。
また、本発明のコーティング剤における固形分濃度すなわち水分散性ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂から選ばれるバインダー樹脂と酸化錫系の微粒子の総濃度は一般に1〜40質量%であり、固形分濃度が1質量%より低いと、基材ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)に均一な厚みの塗布する際に十分な厚さの被膜を形成しにくくなる傾向があり、一方40質量%を越えると、酸化錫系の微粒子の分散性が不十分になることがある。
また、本発明のコーティング剤には、架橋剤は必要としない。架橋剤を混合せずに、加熱にのみによってコーティング剤から静電防止層(B)を形成させることにより、その上に形成するシリコーン樹脂層(C)との密着性を良くすることができる。しかし、必要に応じて、水分散性ポリエステル樹脂が有する官能基、例えばカルボキシル基や水酸基と反応性を有する架橋剤を混合して被膜の硬度を上げることも行われる。
さらに、本発明のコーティング剤には、その特性が損なわれない範囲で、酸化防止剤、滑剤、着色剤などを添加することができる。
ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂フィルム(A)の表面にコーティング剤を塗布する方法としては、例えば、エアーナイフコーター、ダイレクトグラビアコーター、グラビアオフセット、アークグラビアコーター、グラビアリバースおよびジェットノズル方式などのグラビアコーター、トップフィードリバースコーター、ボトムフィードリバースコーターおよびノズルフィードリバースコーターなどのリバースロールコーター、5本ロールコーター、リップコーター、バーコーター、バーリバースコーター、ダイコーターなどの種々の公知の塗工機を用いることができる。
塗布されたコーティング剤の乾燥方法としては、通常、熱風循環型のオーブン、赤外線ヒーターなどにより、60℃〜230℃で例えば2秒間〜50秒間乾燥する方法があり、ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)上に静電防止層(B)が形成される。
静電防止層(B)の厚さとしては、強度および傷が付きにくい均一な厚さの被膜が得られる0.01から100ミクロンメータ(μm)が通常である。
また、ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)への静電防止層(B)の密着性を高めるために、ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)の表面にシランカップリング剤などの接着層を設けて、接着層の上に静電防止層(B)を設けてもよいが、通常はその必要はない。
シリコーン樹脂層(C)
静電防止層(B)の上には、引き続きシリコーン樹脂層(C)が積層される。
使用されるシリコーン樹脂は、種々の用途に応じて選ばれる。例えば、離型フィルム基材への密着性、離型工程の際の剥離強度の安定性、シリコーン樹脂成分の非移行性を勘案して、熱、紫外線、電子線等による硬化反応にて得られるシリコーン樹脂であることが望ましい。また、1分子中に珪素原子に直結するアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと、1分子中に珪素原子に直結する水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジエンポリシロキサンとの付加反応にて得られるシリコーン樹脂であることが望ましい。
具体的なオルガノポリシロキサンの例としては、ジメチルアルケニルシロキシ基末端封鎖ジメチルポリシロキサン、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルアルケニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、シラノール基末端封鎖メチルアルケニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、ジメチルアルケニルシロキシ基末端封鎖メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、ジメチルアルケニルシロキシ基末端封鎖ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、等が挙げられる。
また、具体的なオルガノハイドロジエンポリシロキサンの例としては、ジメチルハイドロジエンシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、ジメチルフェニルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルハイドロジエンポリシロキサン、環状メチルハイドロジエンポリシロキサン 等が挙げられる。
尚、シリコーン樹脂層(C)を形成するに当たって、本成分の使用量は、前記のオルガノポリシロキサン成分100重量部に対して、前記のオルガノハイドロジエンポリシロキサン成分は通常 0.2〜40重量部であり、これらを熱による付加反応を促進させるためには白金系触媒等を共存させ、また、紫外線による付加反応を促進させるためには光重合開始剤等を共存させることにより、比較的速やかに硬化反応を達成でき、目的とするシリコーン樹脂層を形成することができる。
このシリコーン樹脂には、本発明の範囲内で、必要に応じて公知の反応制御剤、シリカ等の無機充填剤、または、顔料を更に配合することもできる。
シリコーン樹脂層(C)の厚さは通常0.01〜5ミクロンメータ(μm)であり、好ましくは0.05〜1ミクロンメータ(μm)である。
例えば、この範囲内にあれば、離型フィルム基材への密着性、離型工程の際の剥離強度の安定性、シリコーン樹脂成分の非移行性の点で性能の調整が可能であり、これにより目的とする優れた離型フィルムを得ることができる。
シリコーン樹脂層(C)はコーティング法により設けることができるが、その場合、形態的には、溶剤型、エマルジョン型、無溶剤型のいずれかの方法をとり得ることができる。ただし、シリコーン樹脂の薄膜を均一に形成させるためには、溶剤型またはエマルジョン型が望ましく、硬化型シリコーン樹脂成分のポットライフの点からも、溶剤型またはエマルジョン型が望ましい。
シリコーン樹脂を静電防止層(B)の上へコーティングする方法は、溶剤型、エマルジョン型、無溶剤のいずれの形態をとるかによっても異なるが、例えば、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、バーコート法、スプレーコート法等何れの方法も採用することができ、中でも、ロールコーティング法は高速度で均一被膜を成形する方法として適している。
溶剤型およびエマルジョン型の形態を有する熱硬化型のシリコーン樹脂をコーティングする場合、コーティングされたシリコーン樹脂の溶液または水分散液は乾燥工程へと移されるが、その際の乾燥温度は 50〜120℃の範囲であればよく、60〜110℃の範囲が好ましい。乾燥温度が50℃未満であると、熱硬化時間が長くなり生産性が低下するので好ましくない。一方、120℃を越えると、フィルムにしわが生じるため好ましくない。
一方、溶剤型およびエマルジョン型の形態を有する紫外線または電子線硬化型のシリコーン樹脂をコーティングする場合には、乾燥工程の後に紫外線または電子線の照射工程を有しているため、その乾燥は、溶剤または水の乾燥除去に必要な最低温度にて実施しても差し支えない。
シリコーン樹脂の静電防止層(B)への密着性を高めるために、シリコーン樹脂のコーティング前に、静電防止層(B)の表面にコロナ放電処理、フレーム処理、オゾン処理等の表面活性化処理、あるいはアンカー処理剤を用いたアンカーコーティング処理を施してもよい。
本発明の静電防止性多層フィルムは、ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)の片面に静電防止層(B)およびシリコーン樹脂層(C)を設けたもの、ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)の両面に静電防止層(B)およびシリコーン樹脂層(C)を設けたものが例示される。
さらに、他の好ましい態様として、ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)の片面に静電防止層(B)およびシリコーン樹脂層(C)を設け、他の面にはシリコーン樹脂層(C)を設けた多層フィルムがある。
この態様によれば、多層フィルムをロール状に巻き取っても、多層フィルムの表面を汚染することを防止することができる。
本発明の多層フィルムは、表面固有抵抗は1010Ω/□以下と、優れた静電防止性を有する。
さらに、本発明のコーティング剤を塗布して得られるフィルムは、通常濁度が10%以下と低く非常に高い透明度を示す。
また、本発明の多層フィルムの調製に用いられるコーティング剤は、有機溶媒の含有量を非常に少なくすることが可能であるため、環境問題の解消、作業環境の改善にも寄与する
ことができる。
(実施例1および比較例1、2)
サンプルの調製
下記のコーティング剤を、幅210mm×長さ290mm(A4サイズ)でフィルム厚みが38μmのPETフィルムの片面に、メーヤーバーNo.3を用いて塗工し、100℃のオーブンで20秒乾燥させ、静電防止層(B)を形成したポリエステルフィルム(A)を得た。
コーティング剤の内容
・ポリエステルの微粒子と酸化錫の微粒子を含有する水性コーティング剤
・製品名・・・・・・・・・・・・・SAS−U8135−20 ユニチカ株式会社製
・固形分濃度・・・・・・・・・・・10〜11質量%
・イソプロピルアルコール濃度・・・20質量%
・溶媒・・・・・・・・・・・・・・水、イソプロピルアルコール
次に、下記のシリコーンと触媒のトルエン/メチルエチルケトン(70/30容量比)混合溶媒の溶液を調製し、上記の静電防止層(B)を形成したポリエステルフィルム(A)の静電防止層(B)側に、メーヤーバーNo.4を用いてシリコーン(:KS−847(信越化学(株)製)および触媒(PL−50T(信越化学(株)製)の混合液を塗工し、100℃のオーブンで20秒乾燥させ、 0.1g/m2の塗工膜を形成させ、ポリエステルフィルム(A)/静電防止層(B)/シリコーン樹脂層(C)の多層フィルムを作成した。
得られた多層フィルムの静電防止特性
また、上記の実施例において、静電防止層(B)を省略した多層フィルム(比較例1)を調製した。さらに、上記の実施例において、静電防止層(B)の替わりに静電防止剤「ボンディップPA−200」(コニシ製)をコーティングした後、実施例と同様にシリコーン樹脂層(C)を設けて多層フィルム(比較例2)を調製した。
(1)静電防止特性
JIS−K6911に基づいて、アドバンテスト社製デジタル超高抵抗/微少電流計、R8340を用いて、多層フィルムのシリコーン樹脂層(C)の表面固有抵抗値を(条件 標準状態(温度23℃、相対湿度50%))で求めた。
(2)背面移行性
サンプルの多層フィルムを10センチメータ(cm)角に裁断して、試験片10枚を作成し、離型層面と他の試験片のポリエステルフィルム面とが密着するように重ね合わせる。温度25℃、相対湿度65%の条件下で、10分間、300kgfの荷重を与えて保持した後、各試験片を分離し、ポリエステルフィルム面に油性マジックインキを用いて筆記を行い、下の基準に基づいてハジキの有無を目視で評価した。
○:まったくハジキがなく筆記が良好
×:部分的に1mm以上のハジキがある、もしくは全体的にハジキがある

(3)シリコーン樹脂の硬化性
サンプルの多層フィルムを40℃の環境下に30日間保管した後、もしくは同一条件で6ヶ月間保管した後のシリコーン樹脂層(C)の表面に油性マジックインキを用いて筆記を行い、シリコーン樹脂層(C)の硬化性を目視にて評価した。
以上の評価結果から、実施例1の多層フィルムは、「静電防止特性」である表面固有抵抗値が10から10Ω/□(30日後、6ヶ月後)であり、「背面移行性」の指標は○(30日、6ヶ月後)であった。また、シリコーン塗布面のマジックインキのハジキが良く「シリコーン樹脂の硬化性」は良好であった。
比較例1の多層フィルムは、「静電防止特性」表面固有抵抗値が1016Ω/□と静電防止の性能が不十分であり、「背面移行性」の指標は30日後は○であったが、6ヶ月後には×であった。
また、シリコーン塗布面はマジックインキで描いた線が多数の点に分散し「シリコーン樹脂の硬化性」(30日後、6ヶ月後)は良くなかった。
比較例2の多層フィルムのシリコーン塗布面は、シリコーン塗布層の形成直後からマジックインキで描いた線が非常に細かい多数の点となったハジキが見られるか、または全くハジキがみられない状態であり、「シリコーン樹脂の硬化性」は良くなかった。
(実施例2)
実施例1において、静電防止層に用いるコーティング剤を下記のコーティング剤とする以外は、実施例1と同様に行った。

ポリプロピレンの微粒子と酸化錫の微粒子を含有する水性コーティング剤

・製品名・・・・・・・・・・・・SAS−U121TB−20 ユニチカ株式会社製
・固形分濃度・・・・・・・・・・9〜10質量%
・イソプロピルアルコール濃度・・20質量%
・溶媒・・・・・・・・・・・・・水、イソプロピルアルコール

実施例1と同様の方法で評価を行った。
その結果、実施例2の多層フィルムは、「静電防止特性」である表面固有抵抗値が10から10Ω/□であり、「背面移行性」の指標は○であった。また、シリコーン塗布面のマジックインキのハジキが良く「シリコーン樹脂の硬化性」は良好であった。
(実施例3)
実施例1において、ポリエステルフィルムを二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ(株)製M−1 #30とする以外は、実施例1と同様に行った。

実施例1と同様の方法で評価を行った。
その結果、実施例2の多層フィルムは、「静電防止特性」である表面固有抵抗値が10から10Ω/□であり、「背面移行性」の指標は○であった。また、シリコーン塗布面のマジックインキのハジキが良く「シリコーン樹脂の硬化性」は良好であった。

本発明の多層フィルムは、静電防止性および離型性に優れており、積層セラミックコンデンサー用の離型フィルムなどの多種の用途に用いられる。

Claims (2)

  1. ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)の片面に、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂から選ばれるバインダー樹脂と酸化錫系微粒子を含む静電防止層(B)さらにシリコーン樹脂層(C)がこの順に積層されてなる多層フィルム。
  2. ポリエステルまたはポリオレフィン樹脂のフィルム(A)が、ポリエチレンテレフタレートまたはポリオレフィン樹脂の二軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルム。
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