JP2007000537A - 真空検体採取器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 血液を血球と血漿または血清とに分離することができ、分離された血漿または血清を容易にかつ安全に取り出すことができる真空検体採取器具を提供する。
【解決手段】 開口2a,3aを有する有底の第1,第2の管状容器2,3と、第1,第2の管状容器2,3の減圧を維持している第1,第2の栓体4,5とを備え、第1の管状容器2が血液が採取される第1の内部空間A1と、血液から分離された血漿または血清が収容される第2の内部空間A2と、血液を血球と血漿または血清とに分離する血液分離材6とを有し、第2の管状容器3が内部空間Bを有し、第2の管状容器3の開口3aから分離された血漿または血清を取り出し得るように、第1,第2の管状容器2,3が第2の内部空間A2と内部空間Bとを接続している流路8aが設けられている流路形成部材8を有する、真空検体採取器具1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、血液を血球と血漿または血清とに分離し、血漿または血清中の成分を検査するのに用いられる真空検体採取器具に関し、より詳細には、分離された血漿または血清を容易にかつ安全に取り出すことができる真空検体採取器具に関する。
従来、血液から血球成分を除去し、臨床検査に必要な血漿または血清を得るために、遠心分離法が用いられてきた。しかし、遠心分離法では、凝固過程や分離後に上澄みの血漿または血清を移しかえる過程などの作業が煩雑であった。また、検査結果を得るまでに時間を要し、さらに大型で高価な遠心分離機が必要であった。
この問題を解決するために、遠心分離機を用いることなく、血液から血球成分を除去し、臨床検査に必要な血漿または血清を得ることを可能とする様々な器具が提案されている。
下記の特許文献1には、採取された血液から血漿もしくは血清を分離し、分離された血漿または血清を取出すことを可能とする血液検査用容器の一例が示されている。図5を参照して、特許文献1に示されている血液検査用容器を説明する。
図5に縦断面図で示すように、血液検査用容器101は、外管102と、筒状部材103と、栓体104とを有する気密容器であり、内部が減圧されている。外管102内に、筒状部材103が挿入されている。外管102は、有底の管状容器で構成されており、外管102は上端に開口102aを有する。
他方、筒状部材103は、上端に開口103aを有する。また、筒状部材103の下方部分には、フィルタ105が収納されている。フィルタ105は、フィルタ部材106と、フィルタ部材106の下方に配置された血球停止膜107とを有する。フィルタ部材106は、血球成分よりも血漿または血清を早く移動させるフィルタ材料により構成されている。血球停止膜107は、血球を捕捉し、分離された血漿または血清への血球の混入を防止するために設けられている。
筒状部材103の下端には、下方に突出された突出部103bが形成されている。突出部103bには血漿または血清流路108が設けられている。血漿または血清流路108は、血球停止膜107の下面に対向しており、かつ突出部103b内を下方に延びるように設けられている。フィルタ部材106により分離された血漿または血清は、血漿または血清流路108から下方の血漿または血清収納部109に流下される。なお、フィルタ部材105の上方の空間は、血液収容部110を構成している。
栓体104は、把持部104aと、大径部104bと、小径部104cとを有する。大径部104bは、小径部104cよりも大きな径を有する。小径部104cが筒状部材103の開口103aに圧入されており、大径部104bが外管102の開口102aに圧入されている。
上記血液検査用容器101の使用に際しては、栓体104に採血針を刺通することにより、内外の圧力差により血液を血液収容部110に採取する。採取された血液は、フィルタ105によって濾過される。上記のように、フィルタ部材106では、血漿または血清が血球成分よりも速やかに下方に移動する。そして、血漿または血清は、血球停止膜107を通過し、血漿または血清流路108に達する。しかる後、血漿または血清は、血漿または血清収納部109に流下する。他方、血球は血球停止膜107により捕捉される。血球により血球停止膜107が閉塞されると、濾過が停止する。
血漿または血清が分離された後には、外管102の開口102aに圧入されている栓体104を筒状部材103ごと抜去する。このようにして、分離された血漿または血清を取出すことができる。
特開2004−325412号公報
特許文献1に記載の血液検査用容器101では、分離された血漿または血清を取出す際には、外管102から筒状部材103ごと栓体104を抜去しなければならなかった。外管102から栓体104を筒状部材103ごと抜去する際には、筒状部材103に振動が加わりがちであった。そのため、血球停止膜107に捕捉されている赤血球が破壊されて赤血球内成分が漏洩し、血漿または血清に赤血球内成分が混入しがちであった。加えて、筒状部材103に振動が加わると、血漿または血清流路108に貯留されている赤血球内成分が、血漿または血清収納部109に流下するおそれがあった。
また、血液収容部110に血液が残っている場合には、筒状部材103を抜去すると、その際の振動等により濾過が再開されて、抜去された筒状部材103から血漿や血清が流下することがあった。
さらに、外管102から栓体104を抜去するには、検査技師などが手作業で抜去する必要があった。外管102から栓体104を手作業により抜去する場合には、検査技師の手や腕に血漿または血清が流下し、検査技師が血液中の病原体に感染するおそれがあった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、血液を血球と血漿または血清とに分離することができ、分離された血漿または血清を容易にかつ安全に取り出すことができる真空検体採取器具を提供することにある。
第1の発明は、血液を血球と血漿または血清とに分離し、該血漿または血清中の成分を検査するのに用いられる真空検体採取器具であって、一端に開口を有し、他端に底部を有し、開口側が互いに同方向となるように配置された第1,第2の管状容器と、第1,第2の管状容器の開口に圧入されおり、第1,第2の管状容器内の減圧を維持している第1,第2の栓体とを備え、第1の管状容器が、開口側に位置しており、血液が採取される第1の内部空間A1と、底部側に位置しており、血液から分離された血漿または血清が収容される第2の内部空間A2と、第1,第2の内部空間A1,A2の間に位置しており、血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材とを有し、第2の管状容器が内部空間Bを有し、第2の管状容器の開口から分離された血漿または血清を取り出し得るように、第1,第2の管状容器が、第2の内部空間A2と内部空間Bとを接続しており、かつ分離された血漿または血清が移動可能な流路が設けられている流路形成部材を有することを特徴とする。
第1の発明に係る真空検体採取器具のある特定の局面では、第1,第2の栓体は一体的に構成されている。
第1の発明に係る真空検体採取器具の他の特定の局面では、一端に開口を有する有底の第3の管状容器をさらに備え、第3の管状容器内に、第1,第2の管状容器が底部側から収容されており、第3の管状容器の開口に、一体的に構成された第1,第2の栓体が取り付けられている。
第2の発明は、血液を血球と血漿または血清とに分離し、該血漿または血清中の成分を検査するのに用いられる真空検体採取器具であって、一端に第1,第2の開口を有し、他端に底部を有する管状容器と、管状容器の第1,第2の開口に圧入されおり、管状容器内の減圧を維持している栓体とを備え、管状容器の一端と他端とを結ぶ方向に管状容器が内部に仕切り壁を有し、仕切り壁により仕切られた一方側に第1の開口が位置しており、仕切り壁により仕切られた他方側に第2の開口が位置しており、仕切り壁により仕切られた一方側において、管状容器が、第1の開口側に位置しており、血液が採取される第1の内部空間C1と、底部側に位置しており、血液から分離された血漿または血清が収容される第2の内部空間C2と、第1,第2の内部空間C1,C2の間に位置しており、血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材とを有し、仕切り壁により仕切られた他方側において、管状容器が第3の内部空間C3を有し、第2の開口から分離された血漿または血清を取り出し得るように、仕切り壁が、第2の内部空間C2と第3の内部空間C3とを接続しており、かつ分離された血漿または血清が移動可能な流路を構成する壁穴または切欠部を有することを特徴とする。
第3の発明は、血液を血球と血漿または血清とに分離し、該血漿または血清中の成分を検査するのに用いられる真空検体採取器具であって、一端に第1の開口を有し、他端に第2の開口を有し、かつ血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材を内部に有する筒状部材と、一端に開口を有し、他端に底部を有し、かつ血液から分離された血漿または血清が筒状部材の第2の開口から底部に収容されるように、筒状部材を内部に収容し、かつ筒状部材を固定している管状容器と、筒状部材の第1の開口および管状容器の開口に圧入されており、管状容器内の減圧を維持している栓体とを備え、筒状部材の外側において管状容器の開口から、分離された血漿または血清を取り出し得るように、筒状部材の外周側面と管状容器の内周側面との間隔が隔てられた領域を有することを特徴とする。
第1の発明の真空検体採取器具は、一端に開口を有し、他端に底部を有し、開口側が互いに同方向となるように配置された第1,第2の管状容器と、第1,第2の管状容器の開口に圧入されおり、第1,第2の管状容器内の減圧を維持している第1,第2の栓体とを備えている。
第1の管状容器は、開口側に位置しており、血液が採取される第1の内部空間A1と、底部側に位置しており、血液から分離された血漿または血清が収容される第2の内部空間A2と、第1,第2の内部空間A1,A2の間に位置しており、血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材とを有している。第2の管状容器は、内部空間Bを有している。
第1の発明では、第2の管状容器の開口から分離された血漿または血清を取り出し得るように、第1,第2の管状容器が、第2の内部空間A2と内部空間Bとを接続しており、かつ分離された血漿または血清が移動可能な流路が設けられている流路形成部材を有するため、第2の管状容器の開口から分離された血漿または血清を容易に取り出すことができる。また、第2の栓体に採血針を刺通させたり、第2の栓体を取り外すだけで血漿または血清を取出し得るため操作が簡便であり、また検査技師の手や腕に血漿または血清が付着し、検査技師が血液中の病原体に感染するおそれがない。さらに、第2の管状容器の開口、および第2の栓体には血液が付着し難いため、例えば第2の栓体を取り外しても検査技師の手や腕に血漿または血清が付着することがない。
第1,第2の栓体が一体的に構成されている場合には、第1,第2の管状容器の配置が栓体によっても位置決めされるため、例えば第1,第2の管状容器を接続する流路部分で真空検体採取器具の破損が生じ難い。また、真空検体採取器具を構成する部材の数を減らすことができる。
一端に開口を有する有底の第3の管状容器をさらに備え、第3の管状容器内に、第1,第2の管状容器が底部側から収容されており、第3の管状容器の開口に、一体的に構成された第1,第2の栓体が取り付けられている場合には、第3の管状容器を手指で容易に把持することができる。よって、例えば栓体に採血針などを刺通させる際などにより一層容易に操作することができる。また、第1,第2の管状容器が第3の管状容器に収容されているため、第1,第2の管状容器を接続する流路部分で真空検体採取器具の破損が生じ難い。
第2の発明の真空検体採取器具は、一端に第1,第2の開口を有し、他端に底部を有する管状容器と、管状容器の第1,第2の開口に圧入されおり、管状容器内の減圧を維持している栓体とを備えている。そして、管状容器の一端と他端とを結ぶ方向に管状容器が内部に仕切り壁を有し、仕切り壁により仕切られた一方側に第1の開口が位置しており、仕切り壁により仕切られた他方側に第2の開口が位置している。
仕切り壁により仕切られた一方側において、管状容器は、第1の開口側に位置しており、血液が採取される第1の内部空間C1と、底部側に位置しており、血液から分離された血漿または血清が収容される第2の内部空間C2と、第1,第2の内部空間C1,C2の間に位置しており、血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材とを有している。仕切り壁により仕切られた他方側において、管状容器は、第3の内部空間C3を有している。
第2の発明では、第2の開口から分離された血漿または血清を取り出し得るように、仕切り壁が、第2の内部空間C2と第3の内部空間C3とを接続しており、かつ分離された血漿または血清が移動可能な流路を構成する壁穴または切欠部を有するため、第2の開口から分離された血漿または血清を容易に取り出すことができる。また、例えば栓体に採血針を刺通させるだけで血漿または血清を取出し得るため操作が簡便であり、検査技師の手や腕に血漿または血清が付着し、検査技師が血液中の病原体に感染するおそれがない。
第3の発明の真空検体採取器具は、一端に第1の開口を有し、他端に第2の開口を有し、かつ血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材を内部に有する筒状部材と、一端に開口を有し、他端に底部を有し、かつ血液から分離された血漿または血清が筒状部材の第2の開口から底部に収容されるように、筒状部材を内部に収容し、かつ筒状部材を固定している管状容器と、筒状部材の第1の開口および管状容器の開口に圧入されており、管状容器内の減圧を維持している栓体とを備えている。
第3の発明では、筒状部材の外側において管状容器の開口から、分離された血漿または血清を取り出し得るように、筒状部材の外周側面と管状容器の内周側面との間隔が隔てられた領域を有するため、筒状部材の外側において管状容器の開口から分離された血漿または血清を容易に取り出すことができる。また、例えば筒状部材の外側の管状容器の開口に対応する部分において、栓体に採血針を刺通させるだけで血漿または血清を取出し得るため操作が簡便である。さらに、筒状部材を取り外す必要がないため、検査技師の手や腕に血漿または血清が付着し、検査技師が血液中の病原体に感染するおそれがない。
以下、本発明の具体的な実施形態を図面を参照しつつ説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a),(b)を用いて、第1の発明の一実施形態に係る真空検体採取器具を説明する。図(a),(b)は、第1の実施形態に係る真空検体採取器具を示す斜視図および正面断面図である。
図1(a),(b)に示すように、真空検体採取器具1は、円形の第1,第2の管状容器2,3を有する。第1,第2の管状容器2,3は一端に開口2a,3aを有し、一端とは反対側の他端に底部2b,3bを有する。第1,第2の管状容器2,3は、円形の形状に限られず、例えば角形の形状などであってもよい。
管状容器の材質としては、特に限定されず、例えば射出成形が可能な合成樹脂等からなる。管状容器の材質としては、例えば、ガラスや、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、またはアクリル等からなる樹脂が挙げられる。
第1,第2の管状容器2,3の開口2a,3aには、内部を気密封止するように第1,第2の栓体4,5がそれぞれ圧入されている。第1,第2の栓体4,5は、中空針若しくはシリンジ等により刺通可能な材料により構成されている。第1,第2の栓体4,5は、大径部4a,5aと、大径部4a,5aよりも径が小さな径を小径部4b,5bとを有する。小径部4b,5bが開口2a,3aに圧入されており、第1,第2の栓体4,5により開口2a,3aが気密封止されている。使用前は、真空検体採取器具1内は減圧されている。真空検体採取器具1内が減圧されているのは、後述するように、血液を真空吸引し、かつ濾過するためである。
真空検体採取器具内の減圧度は、特に限定されないが、2〜90kPaの範囲が好ましく、20〜60kPaの範囲がより好ましい。減圧度が低すぎると、血液が速やかに分離しないことがあり、減圧度が高すぎると、赤血球に圧力が加わり溶血を引き起こすおそれがある。
栓体は気密性を有する材料により構成されていれば、特に限定されない。栓体は、例えばゴム弾性材料により構成される。このようなゴム弾性材料としては、天然ゴム、ブチルゴム、熱可塑性エラストマー等を挙げられる。栓体は、中空針若しくはシリンジ等により刺通可能な材料により構成されていることが好ましい。
真空検体採取器具1では、上述した第1,第2の管状容器2,3が開口2a,3a側が互いに同方向となるように配置されている。より具体的には、真空検体採取器具1では、開口2a,3aと底部2b,3bとが同じ高さ位置で隣り合うように、第1,第2の管状容器2,3が配置されている。よって、第1,第2の栓体4,5が隣り合うように、第1,第2の管状容器2,3が配置されている。なお、第1,第2の管状容器2,3は、開口2a,3aの高さ位置が異ならされていてもよい。
第1の管状容器2は、開口2a側に血液が採取される第1の内部空間A1と、底部2b側に血液から分離された血漿または血清が収容される第2の内部空間A2とを有する。第2の管状容器3は、内部空間Bを有する。
第1の管状容器2は、第1,第2の内部空間A1,A2の間に位置しており、血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材6を有する。血液分離材6の外周側面は、第1の管状容器2の内周側面と当接されている。
血液分離材6は、血球よりも血漿または血清を速く移動させる性質を有する。
血液分離材としては、例えば、極細繊維の集積体、連続した気泡を有する発泡体または焼結体、中空糸膜、多孔質膜、多孔性粒子、複数溝および/または孔を有するフィルムなどがあげられるが、実質的に血液を血球と血漿または血清に分離できるものであれば、上記の例示に限定されるものではではない。また、血球成分をフィルタの内部で捕捉することで分離しても良いし、血球成分と血漿または血清成分の移動速度差によって分離してもよい。
また血液分離材は非対称フィルタと対称フィルタに分けることができる。非対称フィルタとはここでは血液の流入側から流出側にかけて孔径が小さくなるような構造を有するフィルタを総称する。それ以外の血液分離材を対称フィルタと総称する。
これらの血液分離材のうち対称フィルタとしては、平均孔径は1μm以上、10μm以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは2μm以上、8μm以下の範囲である。平均孔径が1μmより小さいと赤血球が溶血することがあり、10μmより大きくなると血球と血漿もしくは血清との分離が著しく悪くなってしまうからである。
また、血液分離材のうち非対称フィルタとしては平均孔径が0.01μm以上、10μm以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは0.1μm以上、6μm以下である。平均孔径が0.01μmより小さいと血球成分が目詰まりを起こし分離できなくなる、または溶血することがあり、平均孔径が10μmより大きくなると血球と血漿もしくは血清との分離が著しく悪くなってしまうからである。
血液分離材が極細繊維の集積体からなる場合には平均繊維径が0.5〜3.0μmの範囲にある繊維体が集積されて形成されていることが好ましい。平均繊維径が0.5μmより小さいと、血液を分離する際に溶血を起こし易くなる。平均繊維径が3.0μmより大きいと、血球と血漿または血清とを分離するために、血液分離材を高密度に形成する必要があり、また使用する繊維の量も多くなりコストが高くなる。血液の分離効果をより一層高めるためには、平均繊維径は、0.5〜2.5μmの範囲にあることがより好ましい。
容器本体内に設置されたときの血液分離材の平均密度は、0.1〜0.5g/cm3の範囲であることが好ましい。平均密度が0.1g/cm3より低い場合には、血液の分離が効果的に行えないことがあり、得られる血漿若しくは血清の量が少なくなることがある。平均密度が、0.5g/cm3より高い場合には、赤血球への負荷が大きくなり、溶血を起こし易くなる。血液をより一層効率的に分離するためには、平均密度は0.15〜0.40g/cm3の範囲にあることが好ましい。
なお血液分離材として前記対称フィルタ、非対称フィルタを組み合わせて使用することも可能である。
血液分離材を構成する材料としては、特に限定されず、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ウレタン、アクリル、レーヨン、ガラス等が挙げられる。
血液分離材は、血液中の成分を吸着する性質を有していてもよい。この場合には、血液中の成分の吸着を抑制または制御するために血液分離材に表面処理が施されていてもよい。表面処理剤としては、特に限定されないが、ポリエーテル系、シリコン系等の潤滑剤、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドン等の親水性高分子類、さらには天然の親水性高分子類、高分子界面活性剤等が挙げられる。また、血液分離材の表面は、酸化剤による化学処理、プラズマ処理などにより親水化処理が施されていてもよい。
第1の管状容器2は、血液分離材6と第2の内部空間A2との間に、分離された血球の通過を防止する血球停止膜7を有する。血球停止膜7の上面は、血液分離材6の下面と当接されている。血球停止膜7は、血球は通過しないが、血漿または血清は通過し得るように多数の孔7aが形成された膜からなる。もっとも血球停止膜は膜以外のフィルタ部材であってもよい。
血球停止膜7に形成された孔7aとしては、血漿または血清の通過が可能であり、かつ赤血球の通過を防止できる範囲の孔径を有するものであれば、特に限定されない。赤血球の通過を防止するためには、孔径は1μm以下であることが好ましい。孔径が小さいと、血液中のタンパク成分などにより目詰まりを起こす可能性があるため、孔径は0.01μm以上であることが好ましい。赤血球の通過を効果的に防止するためには、孔径は0.05〜1.0μmの範囲にあることがより好ましい。
血球停止膜を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、ポリビニリデンジフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ガラスファイバー、ボロシリケート、塩化ビニルまたは銀等を挙げることができる。
濾過の流速を高めるために、血球停止膜の表面は親水処理されていてもよい。親水処理の方法としては、プラズマ処理、親水性高分子によるコーティング等が挙げられるが、これらの方法に限定されず、他の方法を用いてもよい。
上記のように、第1,第2の管状容器2,3は、開口2a,3a側が互いに同方向となるように、第1,第2の栓体4,5が隣り合うように配置されている。本実施形態の特徴は、第1,第2の管状容器2,3が第2の内部空間A2と内部空間Bとを接続しており、かつ分離された血漿または血清が移動可能な流路8aが設けられた流路形成部材8を有することにある。
流路形成部材8は円筒状の形状を有し、底部2b,3bよりもわずかに上方に位置している。もっとも、流路形成部材8は底部に位置していても良い。本実施形態では、流路形成部材8は第1,第2の管状容器2,3と一体的に構成されているが、異なる部材を用いて構成されていてもよい。第2の内部空間A2と内部空間Bとを接続しており、かつ分離された血漿または血清が移動可能な流路が形成されれば、流路形成部材の形状は特に限定されず、例えば角筒状であってもよい。
本実施形態では、第1,第2の管状容器2,3は流路形成部材8により接続されている。流路形成部材8部分が破損するのを防止するために、流路形成部材8の上方において、第1の管状容器2の外周側面と第2の管状容器3の外周側面とが板状の補強部材9により接続されている。
上述した真空検体採取器具1の使用方法を、図1(a),(b)を参照して説明する。
例えば、中空針の一端を血管に挿入し、これと同時に他端を栓体4に刺通し、血液を第1の管状容器2の第1の内部空間A1に流入させる。真空検体採取器具1内は減圧されているため、中空針から血液が第1の内部空間A1に速やかに流入する。なお、血液が予め採取された採血針若しくはシリンジを用いて、第1の内部空間A1に血液が流入されてもよい。
第1の内部空間A1に流入された血液は、血液分離材6の上面に達する。血液分離材6では、血液が通過するときに血球よりも血漿または血清が速く移動する。相対的に速く移動した血漿または血清は血球停止膜7の孔7aを通過し、第2の内部空間A2に流下する。血漿または血清よりも低速で移動した血球は、血球停止膜7に達しても、血球停止膜7を通過しない。従って、第2の内部空間A2に収容された血漿または血清に血球は混入しない。従って、得られた血漿または血清を検査すると、信頼性の高い検査結果を得ることができる。
第2の内部空間A2に収容された血漿または血清は、流路8aを経由して、第2の管状容器の内部空間Bに移動可能である。よって、例えば栓体5に中空針若しくはシリンジ等を刺通させて、内部空間Bに移動した血漿または血清を、第2の管状容器3の開口3aから取り出すことができる。すなわち、第1の管状容器2の第1の内部空間A1に血液が流入された後に真空検体採取器具1を静置し、さらに、血液の分離が終了した後に血漿または血清を容易に取り出すことができる。なお、栓体5を取り外してスポイト等を用いて血漿または血清を取り出すこともできる。
本実施形態では、上述した図5に示す血液検査用容器101のように、外管102から筒状部材103ごと栓体104を抜去するような手間を要しない。さらに、外管102から栓体104を手作業により抜去することがないため、検査技師の手や腕に血漿または血清が流下し、検査技師が血液中の病原体に感染するおそれがない。また、第2の管状容器3の開口3a、および栓体5には血液が付着し難いため、例えば栓体5を取り外しても検査技師の手や腕に血漿または血清が付着することがない。
図2(a),(b)に、第1の発明の他の実施形態に係る真空検体採取器具を斜視図および正面断面図で示す。
図2(a),(b)に示すように、真空検体採取器具21は、円形の第1,第2の管状容器22,23を有する。第1,第2の管状容器22,23は一端に開口22a,23aを有し、他端に丸底22b,23bを有する。開口22a,23a側が互いに同方向となるように、開口22a,23aと底部22b,23bとが同じ高さ位置で隣り合うように、第1,第2の管状容器22,23が配置されている。
第1の管状容器22は、開口22a側に血液が採取される第1の内部空間A1と、底部22b側に血液から分離された血漿または血清が収容される第2の内部空間A2とを有する。第2の管状容器23は、内部空間Bを有する。
第1の管状容器22は、第1,第2の内部空間A1,A2の間に位置しており、血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材24を有する。血液分離材24の外周側面は、第1の管状容器22の内周側面と当接されている。
第1の管状容器22は、血液分離材24と第2の内部空間A2との間に、円形の平面形状の流路閉塞部材25を有する。流路閉塞部材25の上面は、血液分離材24の下面と当接されている。流路閉塞部材25は複数の孔25aを有する。流路閉塞部材25は、水分等の液状成分に接触すると膨潤する材料で構成されている。
流路閉塞部材25は、血漿または血清に接触されることにより、次第に膨潤し、収容されるべき血漿または血清が通過した後に流路を閉塞する。より具体的には、血液分離材24において相対的に速く移動した血漿または血清が、流路閉塞部材25が配置されている流路部分を通過した後、流路閉塞部材25が膨潤する。すなわち、流路閉塞部材25の孔25aが塞がるように膨張し、流路が閉塞される。
真空検体採取器具21では、第2の内部空間A2に血漿または血清収容された後、長時間放置された場合でも、流路が閉塞されるため、溶血により生じた赤血球内成分は下方に滴下しない。また、流路が閉塞されると、流路閉塞部材25の下方において、圧力差を駆動力とした血液成分の移動も停止される。よって赤血球内成分は、血漿または血清に混入しない。従って、得られた血漿または血清を検査すると、信頼性の高い検査結果を得ることができる。
流路閉塞部材を構成する材料としては、例えば、分子骨格に親水性の官能基を有し、自重に対し同量以上の水を吸収できる性質を有する樹脂が挙げられる。流路閉塞部材を構成する材料の具体例としては、ポリアクリル酸アルカリ金属塩系樹脂またはその共重合体およびそれらの架橋体、ポリアクリルアミド系樹脂またはその共重合体およびそれらの架橋体、ポリN−ビニルアセトアミド系樹脂またはその共重合体およびそれらの架橋体、シリコン系樹脂またはその共重合体およびそれらの架橋体、ポリビニルエーテル系樹脂およびその共重合体およびそれら架橋体、ポリアルキレンオキサイド系樹脂またはその共重合体およびそれらの架橋体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはその共重合体およびそれらの架橋体等が挙げられる。
流路閉塞部材としては、粉末状、粒状としたものを用いてもよく、フィルムやシート状に成形したものを用いてもよく、ペースト状、スラリー状または溶液等にして添加し乾燥させるなどしてもよい。
流路閉塞部材は、血漿または血清に接触されることでそれ自身が膨潤し、流路を閉塞させる。そのため、流路閉塞部材の必要量は、閉塞させる流路体積、流路閉塞部材の膨潤率及び膨潤速度によって異なる。よって、閉塞させる流路体積、流路閉塞部材の膨潤率及び膨潤速度から、流路閉塞部材の最適な量が計算される。
閉塞させる流路体積は、血液中の水分が吸収されかつ検体の回収量が低下しない範囲で設定される。流路体積が大きくなると、閉塞させるための流路閉塞部材の量も多くなるため、検体の回収量が低下するおそれがある。
従って、閉塞させる流路体積は、0.005〜1.0cm3の範囲にあることが好ましい。また、流路閉塞部材の体積は閉塞させる流路体積に対し、5〜95%の範囲にあることが好ましい。流路閉塞部材の体積が閉塞させる流路体積に対し5%より小さいと、流路を閉塞するまでの時間が長くなるため、溶血により赤血球から漏洩してきた成分が、分離した血漿もしくは血清に混入するおそれがある。流路閉塞部材の体積が閉塞させる流路体積に対し95%より大きいと、血漿または血清がすべて回収される前に流路が閉塞されてしまうことがあり、血漿または血清の回収効率が低下するおそれがある。
第1の管状容器22は、血液分離材24と第2の内部空間A2との間に、かつ流路閉塞部材25の下流に血球停止膜26を有する。血球停止膜26の上面は、流路閉塞部材26の下面と当接されている。血球停止膜26は、血球は通過しないが、血漿または血清は通過し得るように多数の孔26aが形成された膜からなる。血球停止膜26は、血液分離材24と、流路閉塞部材25との間に配置されていてもよい。
第1,第2の管状容器22,23は、丸底22b,23bよりもわずかに上方において、第1,第2の管状容器22,23が第2の内部空間A2と内部空間Bとを接続しており、かつ分離された血漿または血清が移動可能な流路27aが設けられた流路形成部材27を有する。
本実施形態では、真空検体採取器具21は、一端に開口28aを有し、一端とは反対側の他端に丸底28bを有する第3の管状容器を備えている。第3の管状容器28は、流路形成部材27により接続された第1,第2の管状容器22,23を収容し得る径を有する。
図2(a),(b)に示すように、真空検体採取器具21では、第3の管状容器28内に、第1,第2の管状容器22,23が底部22b,23b側から収容されている。そして、第1,第2の管状容器22,23の開口22a,23aおよび第3の管状容器28の開口28aに栓体29が圧入されている。使用前は、第1,第2の管状容器22,23内は減圧されている。
栓体29は、大径部29aと、大径部29aよりも径が小さな径を小径部29bとを有する。栓体29では、開口22a,23aに対応する位置において、開口22a,23aの内周径とほぼ等しい外周径を有する円柱形状の凸部29c,29dが、小径部29bの下面から突出している。
真空検体採取器具21では、凸部29c,29dが開口22a,23aにそれぞれ圧入されており、小径部29bが開口28aに圧入されている。このように、第1,第2の管状容器22,23の開口22a,23aに圧入される栓体は、一体的に構成されていてもよい。
第1,第2の管状容器22,23の開口22a,23aに対応する領域を除いて、栓体29の上表面29eが、中空針若しくはシリンジ等により刺通し得ないカバー30により覆われている。すなわち、栓体29の凸部29c,29dおよび凸部29c,29dの上方部分が、中空針若しくはシリンジ等により刺通可能とされている。
栓体29の上表面29eがカバー30により覆われているのは、第1,第2の管状容器22,23の外部に誤って針が刺通されて、第3の管状容器28の底部28bに血液が流入されることを防ぐためである。なお、栓体29が、中空針若しくはシリンジ等により刺通可能な材料により構成された部分と、刺通し得ない材料により構成された部分とを有していてもよい。すなわち、栓体29の凸部29c,29dおよび凸部29c,29dの上方部分のみが、中空針若しくはシリンジ等により刺通可能な材料により構成されていてもよい。
本実施形態では、第2の内部空間A2に収容された血漿または血清は、流路27aを経由して、第2の管状容器の内部空間Bに移動可能である。よって、例えば栓体28に中空針若しくはシリンジ等を刺通させて、第2の管状容器23の開口23aから血漿または血清を取り出すことができる。また、第1,第2の管状容器22,23は、第3の管状容器28内に収容されているため、例えば真空検体採取器具21が流路形成部材27部分で破損することがなく、さらに真空検体採取器具21を手指で容易に把持することもできる。
図3(a),(b)に、第2の発明の一実施形態に係る真空検体採取器具を斜視図および正面断面図で示す。
図3(a),(b)に示すように、真空検体採取器具41は、一端に第1,第2の開口42a,42bを有し、一端とは反対側の他端に丸底42cを有する円形の管状容器42を有する。管状容器42は、開口42a,42b側と丸底42c側とを結ぶ方向に、管状容器42の内部空間が仕切り壁43により仕切られている。すなわち、第1,第2の開口42a,42bの間に、管状容器42は仕切り壁43を有する。
管状容器2,3の第1,第2の開口42a,42bには、内部を気密封止するように栓体44が圧入されている。栓体44は、中空針若しくはシリンジ等により刺通可能な材料により構成されている。栓体44は円錐台形状の本体部44aを有する。第1,第2の開口42a,42bに対応する位置において、第1,第2の開口42a,42aとほぼ同じ半円形状を有する凸部44b,44cが、本体部44aの下面から突出している。そして、真空検体採取器具41では、凸部44b,44cが第1,第2の開口42a,42bにそれぞれ圧入されている。
第1の開口42aに対応する位置を除いて、栓体44の上表面44cが、中空針若しくはシリンジ等により刺通し得ないカバー45により覆われている。カバー45は、栓体44の上表面44cに脱着可能に取り付けられている。採血針若しくはシリンジ等を第1の開口42a側に刺通させるために、カバー45が設けられている。血漿または血清が分離された後、血漿または血清を第2の開口42b側から取り出す際には、カバー45を取り外すことで、第2の開口42b側に採血針若しくはシリンジ等を刺通させることができる。
仕切り壁43により仕切られた一方側において、管状容器42は、第1の開口42a側に位置しており、血液が採取される第1の内部空間C1と、丸底42c側に位置しており、血液から分離された血漿または血清が収容される第2の内部空間C2とを有する。仕切り壁43により仕切られた他方側に、管状容器は第3の内部空間C3を有する。
管状容器42は、第1,第2の内部空間C1,C2の間に位置しており、血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材46を有する。血液分離材46の外周側面は、仕切り壁43により仕切られた一方側の管状容器42の内周側面と当接されている。血液分離材46は、上述した血液分離材6と形状が異なること以外は同様に構成されている。
管状容器42は、血液分離材46と第2の内部空間C2との間に、複数の孔47aが形成された円形の平面形状の流路閉塞部材47を有する。流路閉塞部材47の上面は、血液分離材46の下面と当接されている。流路閉塞部材47は、上述した流路閉塞部材25と形状が異なること以外は同様に構成されている。
管状容器42は、血液分離材46と第2の内部空間C2との間に、かつ流路閉塞部材47の下流に多数の孔48aが形成された血球停止膜48を有する。血球停止膜48の上面は、流路閉塞部材47の下面と当接されている。血球停止膜48は、上述した血球停止膜7と形状が異なること以外は同様に構成されている。血球停止膜48は、血液分離膜46と流路閉塞部材47との間に配置されていてもよい。
管状容器42では、丸底42cよりもわずかに上方において、仕切り壁43に円形の壁穴49が空けられて流路49aが形成されている。そして、管状容器の仕切り壁43により仕切られた一方側と他方側とが、流路49aにより接続されている。より具体的には、壁穴49は、第2の内部空間C2と第3の内部空間C3とを接続しており、血液分離材46により分離された血漿または血清が移動可能な流路49aを構成している。
仕切り壁の壁穴の形状は、第2の内部空間C2と前記第3の内部空間C3とを接続しており、かつ分離された血漿または血清が移動可能な流路を構成できれば特に限定されない。また、仕切り壁は、壁穴に替えて、第2の内部空間C2と前記第3の内部空間C3とを接続しており、かつ分離された血漿または血清が移動可能な流路を構成する切欠部を有していてもよい。例えば、仕切り壁43の下端49aは管状容器42の底部42cに至っているが、仕切り壁の下端が底部42cに至らないように、仕切り壁の下端に切欠部が形成されていてもよい。
本実施形態では、第2の内部空間C2に収容された血漿または血清は、流路49aを経由して、第2の開口42b側に位置する内部空間C3に移動可能である。よって、例えば栓体44に中空針若しくはシリンジ等を刺通させて、管状容器42の第2の開口42aから血漿または血清を取り出すことができる。また、真空検体採取器具41では、上述した真空検体採取器具1のように流路8a部分で破損することがなく、さらに真空検体採取器具41を手指で容易に把持することもできる。
図4(a),(b)に、第3の発明の一実施形態に係る真空検体採取器具を斜視図および正面断面図で示す。
図4(a),(b)に示すように、真空検体採取器具61は、一端に開口62aを有し、一端とは反対側の他端に丸底62bを有する円形の管状容器62を有する。
管状容器62内には、円形の筒状部材63が収容されている。筒状部材63は、両端に第1,第2の開口63a,63bを有する。真空検体採取器具61では、筒状部材63が管状容器62内に収容され、かつ筒状部材63が管状容器62内に固定されている。本実施形態では、筒状部材63と管状容器62とが一体的に構成されている。なお、筒状部材が管状容器と別部材により構成されて、筒状部材の外周面が管状容器の内周面に接合されていてもよい。すなわち、本発明では、筒状部材が管状容器に着脱不可能に取付けられていればよく、筒状部材と管状容器とが別部材により構成されていてもよい。
血液から分離された血漿または血清が筒状部材63の第2の開口62bから底部62bに収容されるように、第2の開口63bが底部62bと一定間隔を隔てられている。
管状容器62の開口62aと、筒状部材63の第1の開口63aには、内部を気密封止するように栓体64が圧入されている。栓体64は、中空針若しくはシリンジ等により刺通可能な材料により構成されている。
栓体64は、大径部64aと、大径部64aよりも径が小さな径を小径部64bとを有する。栓体64では、筒状部材63の第1の開口63aに対応する位置において、第1の開口63aの内周径とほぼ等しい外周径を有する円柱形状の凸部64cが、小径部64bの下面から突出している。第1の開口63aに対応する位置、すなわち凸部64cの上方部分において、栓体64は上表面に凹部64dを有する。凹部64dは、採血針若しくはシリンジ等を栓体64に刺通させるのを容易にするために設けられている。
真空検体採取器具61では、凸部64cが筒状部材63の第1の開口63aに圧入されており、小径部64bが管状容器62の開口62aに圧入されている。
栓体64の凹部64dを除いて、栓体64の上表面が、中空針若しくはシリンジ等により刺通し得ないカバー65により覆われている。カバー65は、栓体64の上表面に脱着可能に取り付けられている。採血針若しくはシリンジ等を筒状部材63の第1の開口63aに刺通させるために、カバー65が設けられている。血漿または血清が分離された後、筒状部材63の外側において、管状容器62の開口62aから底部62bに収容された血漿または血清を取り出す際には、カバー65を取り外すことで、筒状部材63の外側の管状容器62の開口62aに採血針若しくはシリンジ等を刺通させることができる。
筒状部材63は、血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材66を内部に有する。血液分離材66の外周側面は、筒状部材63の内周側面と当接されている。血液分離材66は、上述した血液分離材6と形状が異なること以外は同様に構成されている。
筒状部材63は、血液分離材66の下流に、複数の孔67aが形成された円形の平面形状の流路閉塞部材67を有する。流路閉塞部材67の上面は、血液分離材66の下面と当接されている。流路閉塞部材67は、上述した流路閉塞部材25と形状が異なること以外は同様に構成されている。
筒状部材63は、流路閉塞部材67の下流に多数の孔68aが形成された血球停止膜68を有する。血球停止膜68の上面は、流路閉塞部材67の下面と当接されている。血球停止膜68は、上述した血球停止膜7と形状が異なること以外は同様に構成されている。血球停止膜68は、血液分離材66と流路閉塞部材67との間に配置されていてもよい。
本実施形態では、上記のように、筒状部材63の第2の開口63bが底部52bと一定間隔を隔てられている。そして、真空検体採取器具61は、筒状部材63の外周側面と、管状容器62の内周側面との間隔が隔てられた領域を有する。よって、筒状部材63の外側において、管状容器62の開口62aから底部62bに収容された血漿または血清を取り出すことができる。
すなわち、管状容器62の開口62aおよび筒状部材63の第1の開口63aから、栓体64を取外した後、筒状部材63の外側において、管状容器62の開口62aから底部62bに収容された血漿または血清を取り出すことができる。また、筒状部材63の外側の管状容器62の開口62aに対応する位置において、例えば栓体64に中空針若しくはシリンジ等を刺通させて、分離された血漿または血清を取り出すことができる。また、上述した真空検体採取器具1と比較し、真空検体採取器具61は手指で容易に把持することもできる。
(a),(b)は、第1の発明の一実施形態に係る真空検体採取器具を示す斜視図および正面断面図。 (a),(b)は、第1の発明の他の実施形態に係る真空検体採取器具を示す斜視図および正面断面図。 (a),(b)は、第2の発明の一実施形態に係る真空検体採取器具を示す斜視図および正面断面図。 (a),(b)は、第3の発明の一実施形態に係る真空検体採取器具を示す斜視図および正面断面図。 従来の血液検査用容器を模式的に示す正面断面図。
符号の説明
1…真空検体採取器具
2,3…第1,第2の管状容器
2a,3a…開口
2b,3b…底部
4,5…第1,第2の栓体
4a,5a…大径部
4b,5b…小径部
6…血液分離材
7…血球停止膜
7a…孔
8…流路形成部材
8a…流路
9…補強部材
21…真空検体採取器具
22,23…第1,第2の管状容器
22a,23a…開口
22b,23b…丸底
24…血液分離材
25…流路閉塞部材
25a…孔
26…血球停止膜
26a…孔
27…流路形成部材
27a…流路
28…第3の管状容器
28a…開口
28b…丸底
29…栓体
29a…大径部
29b…小径部
29c,29d…凸部
29e…上表面
30…カバー
41…真空検体採取器具
42…管状容器
43…仕切り壁
44…栓体
44a…本体部
44b,44c…凸部
45…カバー
46…血液分離材
47…流路閉塞部材
47a…孔
48…血球停止膜
48a…孔
49…壁穴
49a…流路
61…真空検体採取器具
62…管状容器
62a…開口
62b…丸底
63…筒状部材
63a,63b…第1,第2の開口
64…栓体
64a…大径部
64b…小径部
64c…凸部
64d…凹部
65…カバー
66…血液分離材
67…流路閉塞部材
67a…孔
68…血球停止膜
68a…孔
A1,A2…第1,第2の内部空間
B…内部空間
C1〜C3…第1〜第3の内部空間

Claims (5)

  1. 血液を血球と血漿または血清とに分離し、該血漿または血清中の成分を検査するのに用いられる真空検体採取器具であって、
    一端に開口を有し、他端に底部を有し、開口側が互いに同方向となるように配置された第1,第2の管状容器と、前記第1,第2の管状容器の開口に圧入されおり、前記第1,第2の管状容器内の減圧を維持している第1,第2の栓体とを備え、
    前記第1の管状容器が、前記開口側に位置しており、血液が採取される第1の内部空間A1と、前記底部側に位置しており、血液から分離された血漿または血清が収容される第2の内部空間A2と、前記第1,第2の内部空間A1,A2の間に位置しており、血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材とを有し、前記第2の管状容器が内部空間Bを有し、
    前記第2の管状容器の開口から分離された血漿または血清を取り出し得るように、前記第1,第2の管状容器が、前記第2の内部空間A2と前記内部空間Bとを接続しており、かつ分離された血漿または血清が移動可能な流路が設けられている流路形成部材を有することを特徴とする、真空検体採取器具。
  2. 前記第1,第2の栓体が一体的に構成されている、請求項1に記載の真空検体採取器具。
  3. 一端に開口を有する有底の第3の管状容器をさらに備え、
    前記第3の管状容器内に、前記第1,第2の管状容器が底部側から収容されており、前記第3の管状容器の開口に、一体的に構成された前記第1,第2の栓体が取り付けられている、請求項2に記載の真空検体採取器具。
  4. 血液を血球と血漿または血清とに分離し、該血漿または血清中の成分を検査するのに用いられる真空検体採取器具であって、
    一端に第1,第2の開口を有し、他端に底部を有する管状容器と、前記管状容器の第1,第2の開口に圧入されおり、前記管状容器内の減圧を維持している栓体とを備え、
    前記管状容器の一端と他端とを結ぶ方向に前記管状容器が内部に仕切り壁を有し、前記仕切り壁により仕切られた一方側に第1の開口が位置しており、前記仕切り壁により仕切られた他方側に第2の開口が位置しており、
    前記仕切り壁により仕切られた一方側において、前記管状容器が、前記第1の開口側に位置しており、血液が採取される第1の内部空間C1と、前記底部側に位置しており、血液から分離された血漿または血清が収容される第2の内部空間C2と、前記第1,第2の内部空間C1,C2の間に位置しており、血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材とを有し、前記仕切り壁により仕切られた他方側において、前記管状容器が第3の内部空間C3を有し、
    前記第2の開口から分離された血漿または血清を取り出し得るように、前記仕切り壁が、前記第2の内部空間C2と前記第3の内部空間C3とを接続しており、かつ分離された血漿または血清が移動可能な流路を構成する壁穴または切欠部を有することを特徴とする、真空検体採取器具。
  5. 血液を血球と血漿または血清とに分離し、該血漿または血清中の成分を検査するのに用いられる真空検体採取器具であって、
    一端に第1の開口を有し、他端に第2の開口を有し、かつ血液を血球と血漿または血清とに分離するための血液分離材を内部に有する筒状部材と、一端に開口を有し、他端に底部を有し、かつ血液から分離された血漿または血清が前記筒状部材の第2の開口から前記底部に収容されるように、前記筒状部材を内部に収容し、かつ固定している管状容器と、前記筒状部材の第1の開口および前記管状容器の開口に圧入されており、前記管状容器内の減圧を維持している栓体とを備え、
    前記筒状部材の外側において前記管状容器の開口から、分離された血漿または血清を取り出し得るように、前記筒状部材の外周側面と前記管状容器の内周側面との間隔が隔てられた領域を有することを特徴とする、真空検体採取器具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20210018917A (ko) * 2018-06-07 2021-02-18 벡톤 디킨슨 앤드 컴퍼니 생물학적 유체 분리 장치

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