組換え型GHによる治療の治験に登録された97人の特発性低身長(ISS)の子供において、GHRエキソン3の一般的な変種と、GHによる治療に対する成長速度の反応との関連を検査した。47人の患者にGHRd3アレルが存在し、そのうち、3人がGHRd3/d3ホモ接合体であり、44人がGHRd3/flヘテロ接合体であった。年齢、性別、およびrGHの用量に関して調節を行った後、GHRd3変種を保持する子供が、rGHで治療された際に優れた速度で成長したことが判明した。GHRd3/flまたはGHRd3/d3遺伝子型を有する子供の成長速度は、治療の最初の年が9.0+/−0.3cm/年であり、2年目が7.8+/−0.2cm/年であったが、これと比較して、GHRfl/fl遺伝子型を有する子供では、それぞれ、7.4+/−0.2および6.5+/−0.2cm/年であった(P<0.0001)。これらの遺伝子型グループは、他の医学上および治療上の特性と一致するものであった。したがって、GHR配列のゲノム変異は、rGH有効性の顕著な相違と関連している。
上記で論じたように、本発明は、薬理遺伝学および予測医学の分野に関し、この分野では、診断検査、予後検査、およびモニタリング臨床試験が、それによって個体を治療する予後の(予測的な)目的で用いられる。したがって、本発明の一態様は、それによって個体のGHR反応、特に外来性GH組成物による治療に対するGHR反応の本質を判定するために行う、生物試料(例えば、血液、血清、細胞、組織)のコンテクストにおけるGHRタンパク質発現および/または核酸発現を判定する診断検査に関する。これは、ある個体が、GHR反応または活性の低減に関連した疾患または障害に罹患しているかどうか、または障害を発症する危険にあるかどうか検出するのにも有用でありうる。GHR活性と関連した障害または状態には、低身長、肥満症、感染症、または糖尿病;乳腺刺激性、糖尿病誘発性、脂肪分解性、およびタンパク質同化性の影響に関連するかもしれない先端巨大症または巨人症状態;ナトリウム貯留および水貯留に関連した状態;代謝症候群;気分障害および睡眠障害、癌、心臓病、ならびに高血圧が含まれる。また、本発明は、ある個体が、GHRタンパク質活性に関連した障害を発症する危険にあるかどうか判定する予後(すなわち、予測的)検査も提供する。例えば、生物試料中のGHRd3およびGHRflアイソフォームを検査することができる。そのような検査は、GHR反応の低減に関連した障害、またはこれを特徴とする障害が発症する前に、それによって、例えば、対象がその遺伝的可能性と一致した最終身長に達するように、有効量のGHを投与することによって、個体を予防的に治療する予後または予測的な目的で使用できる。他の態様では、本発明は、GHRd3/GHRflヘテロ二量体活性を変調する薬剤を検出する方法を提供する。そのような薬剤は、GHR活性が関与する前述の状態または障害を治療するのに有用でありうる。
(定義)
本明細書において、「薬剤」という用語は、化学化合物、化学化合物の混合物、生体高分子、好ましくはペプチドもしくはタンパク質、または、細菌、植物、菌類、もしくは動物(特に哺乳類)の細胞もしくは組織など、生体物質から調製した抽出物を意味する。
本発明のコンテクストでは、薬物または薬剤に対する「陽性反応」または「陽性治療反応」とは、疾患または状態に関連した症候の軽減を含むものとして定義できる。例えば、陽性反応は、薬剤を投与した際の身長または成長速度の増大でありうる。本発明のコンテクストでは、薬物に対する「陰性反応」とは、その薬物に対する陽性反応の欠如、またはその薬物を投与した後で観測される副作用の誘導を含むものとして定義できる。
「ポリペプチド」という用語は、重合体の長さに関係なく、アミノ酸の重合体のことをいう。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質は、ポリペプチドの定義に含まれる。この用語は、ポリペプチドの発現後修飾に関しても、特定も、除外もせず、例えば、グリコシル基、アセチル基、リン酸基、脂質基、および同様のものの共有結合を含むポリペプチドは、ポリペプチドという用語に、明示的に包含される。また、この定義の中には、1つまたは複数のアミノ酸類似体(例えば、天然に存在しないアミノ酸、関連性のない生物学系でのみ天然に存在するアミノ酸、哺乳類システムなどに由来する改変されたアミノ酸が含まれる)を含有するポリペプチド、置換された結合を有するポリペプチド、ならびに、天然に存在するものと、存在しないものとの両方を含めた当技術分野で公知の他の改変を有するポリペプチドが含まれる。
「単離された」タンパク質もしくは「精製された」タンパク質、またはその生物学的活性部分は、このタンパク質が得られた細胞または組織に由来する細胞性物質または他の夾雑(contaminating)タンパク質を実質上含まず、また化学合成された場合には、化学前駆体または他の化学物質を実質上含まない。「細胞性物質を実質上含まない」という言葉には、GHタンパク質もしくはGHRタンパク質を単離した細胞、または組換え体として生成した細胞の細胞組成から、このタンパク質がその中に分離されているGHタンパク質もしくはGHRタンパク質の調製物が含まれる。一実施形態では、「細胞性物質を実質上含まない」という言葉には、約30%(乾燥重量で)未満の非GHタンパク質もしくは非GHRタンパク質(本明細書では「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)、より好ましくは約20%未満の非GHタンパク質もしくは非GHRタンパク質、さらにより好ましくは約10%未満の非GHタンパク質もしくは非GHRタンパク質、そして、最も好ましくは約5%未満の非GHタンパク質もしくは非GHRタンパク質を有するGHタンパク質もしくはGHRタンパク質の調製物が含まれる。GHタンパク質もしくはGHRタンパク質、またはその生物学的に活性な部分が、組換えによって生成された場合、これも培養液を実質上含まないこと、すなわち、培養液がタンパク質調製物の容積の約20%未満であることが好ましく、より好ましくは約10%未満であり、そして、最も好ましくは約5%未満である。
「化学前駆体または他の化学物質を実質上含まない」という言葉には、このタンパク質の合成に用いられた化学前駆体または他の化学物質から、このタンパク質がその中に分離されているGHタンパク質調製物またはGHRタンパク質調製物が含まれる。一実施形態では、「化学前駆体または他の化学物質を実質上含まない」という言葉は、約30%(乾燥重量で)未満の化学前駆体または非GH化学物質もしくは非GHR化学物質、より好ましくは約20%未満の化学前駆体または非GH化学物質もしくは非GHR化学物質、さらにより好ましくは約10%未満の化学前駆体または非GH化学物質もしくは非GHR化学物質、そして、最も好ましくは約5%未満の化学前駆体または非GH化学物質もしくは非GHR化学物質を有するGHタンパク質調製物もしくはGHRタンパク質調製物が含まれる。
本明細書において、「組換えポリペプチド」という用語は、それらの配列があった最初の自然環境では連続したポリペプチド配列として見いだされない少なくとも2つのポリペプチド配列を含む、人工的に設計されたポリペプチド、または、組換えポリヌクレオチドから発現されたポリペプチドをいう。
核酸が「作用可能に連結される」とは、その核酸が別の核酸配列と機能的関係をもつように配置された場合をいう。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、それがコード配列の転写に影響を与える場合、そのコード配列に作用可能に連結している。作用可能に連結しているとは、転写調節配列に関しては、それらのDNA配列が連続的に連結されていることを意味し、2つのタンパク質コード領域を連結する必要がある場合には、連続的かつインフレームに連結されていることを意味する。
「プライマー」という用語は、標的ヌクレオチド配列にハイブリッド形成させるのに使用される、標的ヌクレオチド配列に相補的な特異的オリゴヌクレオチド配列を意味する。プライマーは、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、または逆転写酵素によって触媒されるヌクレオチドポリメリゼーションの開始点として機能する。
「プローブ」という用語は、試料中に存在する特定のポリヌクレオチド配列を同定するのに使用できる特定の核酸セグメント(またはヌクレオチド類似体セグメント、例えば、本明細書に定義されるポリヌクレオチド)を意味し、上記核酸セグメントは、同定される特定のポリヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。
本明細書において、「試験試料」とは、注目している対象から取得した生物試料をいう。例えば、試験試料は、生物体液(例えば、血清)、細胞試料、または組織でありうる。
本明細書において、「形質」および「表現型」という用語は、互換性をもって使用され、例えば、疾患の症候、または罹病性など、生物が有する臨床的に識別可能、検出可能、または他の方法で測定可能な特性のいかなるものも指す。本明細書において、「形質」または「表現型」という用語は、通常、GHRに作用する薬剤に対する個体の反応をいうのに使用される。
本明細書において、「遺伝子型」という用語は、個体または試料中に存在するアレルのアイデンティティのことをいう。本発明のコンテクストにおいて、遺伝子型は、個体または試料中に存在するアレルに関する記述をいうのが好ましい。あるアレルに関して試料または個体を「遺伝子型決定する」という用語には、個体に保持されている特定のアレルを判定することが含まれる。
本明細書において、「アレル」という用語は、ヌクレオチド配列の変種をいうのに使用される。例えば、GHRヌクレオチド配列のアレルには、GHRd3およびGHRflが含まれる。
本明細書において、「アイソフォーム」および「GHRアイソフォーム」とは、GHR遺伝子の少なくとも1つのエキソンによってエンコードされるポリペプチドのことをいう。GHRアイソフォームの例には、GHRd3ポリペプチドおよびGHRflポリペプチドが含まれる。
本明細書において、「多型(polymorphism)」という用語は、異なったゲノムもしくは個体相互、またはそれらの間にある2つ以上の択一的なゲノム配列またはアレルの存在をいう。「多型」であるとは、特定のゲノム配列に2つ以上の変種が集団で見いだされうる状態をいう。「多型部位」とは、変異が存在する遺伝子座である。多型は、1つまたは複数のヌクレオチドの置換、欠失、または挿入を含みうる。一塩基多型は、単一塩基対の変化である。
本明細書において、「エキソン」は、成熟したRNA産物中にある、分断された遺伝子セグメントのいかなるものも指す。
本明細書において、「イントロン(intron)」は、成熟したRNA産物中にない分断された遺伝子セグメントを指す。イントロンは、初期核転写産物の一部であるが、mRNAを生成するためにスプライシングによって除去され、mRNAはその後、細胞質に輸送される。
本明細書において、「成長ホルモン」または「GH」とは、いかなる出所から得られたものであっても、天然か、合成か、組換え型かにかかわらず、天然の配列、または変種型の成長ホルモンをいう。例としては、限定されるものではないが、ヒト成長ホルモン(hGH)、すなわち、天然のGH、または天然のヒト配列を有する組換えGH(例えば、GENOTROPIN(商標)、ソマトトロピン、またはソマトロピン)と、組換え成長ホルモン(rGH)とが含まれ、ここで、組換え成長ホルモンは、ソマトレム、ソマトトロピン、ソマトロピン、およびペグビソマントを含めた、組換えDNA技術によって生成されたいかなるGHまたはGH変種も指す。GH分子は、GHRのアゴニストまたはアンタゴニストでありうる。
本明細書において、「成長ホルモン受容体」または「GHR」とは、いかなる出所から得られたものであっても、天然か、合成か、組換え型かにかかわらず、天然の配列、または変種型の成長ホルモン受容体をいう。「GHR」という用語は、GHRflアイソフォームと同様に、GHRd3アイソフォームも包含する。例には、ヒト成長ホルモン受容体(hGHR)、すなわち、天然のGHR、または天然のヒト配列を有する組換えGHRが含まれる。本明細書において、「GHRd3」は、GHRのエキソン3欠失アイソフォームを指す。「GHRfl」という用語は、エキソン3を含有するGHRアイソフォームを指す。GHRd3という用語には、参照により本明細書に組み込まれているUrbanek Mら、Mol.Endocrinol.、1992年2月、第6(2)巻、279〜87ページに記載されたポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。GHRflという用語には、参照により本明細書に組み込まれているLeungら、Nature、第330巻、537〜543ページ(1987年)に記載されたポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書において、「GHR遺伝子」という用語は、ゲノムDNAの非翻訳調節領域も含めた、GHRタンパク質をエンコードするゲノム配列、mRNA配列、およびcDNA配列のいかなるものも包含する。「GHR遺伝子」という用語は、GHRd3アレルおよびGHRflアレルなどの、GHR遺伝子のアレルも包含する。
(ヒトGHR遺伝子およびタンパク質)
ヒトGHR遺伝子は、90kbの5p13−12染色体領域にまたがる単一コピー遺伝子である。この遺伝子は、9つのコーディングエキソン(2から10まで付番されている)と、いくつかの翻訳されないエキソンとを含有し、エキソン2はシグナルペプチドをコードし、エキソン3から7は細胞外ドメインをエンコードし、エキソン8は膜貫通ドメインをエンコードし、エキソン9および10は細胞質ドメインをエンコードする。上記に論じたように、hGHRd3タンパク質は、この受容体の細胞外ドメインにある22アミノ酸の欠失によって、肝臓のhGHRと相違している(Godowskiら、1989年)。Genbankアクセッション番号AF155912は、GHR遺伝子(例えば、GHRflアレル)エキソン3周辺のゲノムDNA領域におけるヌクレオチド配列を提供するものであり、この配列の開示を参照により本明細書に組み込む。エキソン3と、イントロン2および3の一部とを含むこの6.8bpフラグメントは、2つの251bp反復エレメントも含む。これらの反復エレメントはエキソン3の両側にあり、5’反復エレメントおよび3’反復エレメントは、このエキソンの577bp上流と、1821bp下流とに位置する。このエレメントは、HERV−Pファミリー(Boeke,J.D.及びStoye,J.P.(1997年)に属するヒト内在性レトロウイルスに由来する171bpの長末端反復(LTR)フラグメントで構成されている(「Retroviruses」(Coffin,J.M.、Hughes,S.H.、及びVarmus,H.E.編集)、343〜435ページ、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY)。LTRの後には、中程度の反復頻度を有するMER4型配列に由来する80bpが続いている(Smit,A.F.(1996年)、Curr.Opin.Genet.Dev.、第6巻、743〜748ページ)。5’反復および3’反復と呼ばれる、長さ251bpの2つのコピーの配列は、99%同一であり、この反復の位置14、245、および246における3つのヌクレオチドが相違するのみである。詳細には、Pantelら(2000年)によって報告されたように、エキソン3の上流に位置するエレメントは、位置14にシトシンを、位置245および245にチミンを有し、一方、エキソン3の下流に位置するエレメントは、これらの位置にグアニン、シトシン、およびアデニンを有する。さらに、エキソン3周辺には、ウイルス由来の他の配列もある。
GHRd3アレルは、エキソン3と、周囲にあるイントロン2および3の部分との欠失を含む。GHRd3アレルは、GHRflアレルとは異なり、単一の251bp LTRを含有し、このLTRの配列は、GHRflアレルで同定された3’コピーのLTRエレメントと同一である。欠失したエキソン3の領域におけるGHRd3アレルのゲノムDNA配列は、Genbankアクセッション番号AF210633に示されており、この配列の開示を参照により本明細書に組み込む。GHRd3配列およびGHRfl配列に基づいて、ある個体がGHRd3アレルを保持するかどうかの判定を、GHR核酸またはポリペプチドを検出する公知の方法を用いて行うことができる。
エキソン3の欠失を有するGHRd3タンパク質は、この受容体の細胞外ドメインにある22アミノ酸の欠失によって、完全長hGHR(GHRfl)と相違している。したがって、GHRd3またはGHRflタンパク質の存在を検出するには、公知のいかなる方法を用いることもできる。GHRd3およびGHRflの検出は、それらの非切断型で行っても、「高親和性成長ホルモン結合タンパク質」、「高親和性GHBP」、または「GHBP」として、切断型で行ってもよいが、これらの切断型は、ヒトを含めた(Baumannら、J.Clin.Endocrinol.Metab.、第62巻、134〜141ページ(1986年);欧州特許第366710号;Heringtonら、J.Clin.Invest.、第77巻、1817〜1823ページ(1986年);Leungら、Nature、第330巻、537〜543ページ(1987年))、いくつかの種(Ymer及びHerington(1985年)、Mol.Cell.Endocrinol.、第41巻、153ページ;Smith及びTalamantes(1988年)、Endocrinology、第123巻、1489〜1494ページ;EmtnerおよびRoos、Acta Endocrinologica(Copenh)、第122巻、296〜302ページ(1990年))において血中で循環して、GHBPとしての機能するGHRの細胞外ドメインのことをいう。血清中の機能的GHBPを測定する様々な方法が利用可能であるが、米国特許第5210017号と、さらに本明細書とに記載されているリガンド媒介免疫機能アッセイ(ligand-mediated immunofunctional assay)(LIFA)が好ましい方法である。
(診断、治療、および薬理遺伝学におけるGHRd3)
好ましい実施形態では、本発明は、治療に対する反応の増大または低減に関連したGHRアレル、またはGHR活性の増大または低減に関連したGHRアレルを、対象が発現しているかどうか判定するものである。対象がGHRアレルを発現しているかどうかの判定は、GHRタンパク質または核酸を検出することで実行できる。
対象を治療、診断、または評価する方法は、対象がGHRd3および/またはGHRflアレルを発現しているかどうかの評価または判定、例えば、対象がGHRflアレルに関してホモ接合体(GHRfl/fl)であるか、GHRd3アレルに関してホモ接合体(GHRd3/d3)であるか、またはヘテロ接合体(GHRd3/fl)であるかの判定を含むことが好ましい。したがって本発明は、好ましくは、生物試料中にGHRd3が発現されているかどうかの判定であって、a)上記生物試料を、i)ストリンジェントな条件下でGHRd3核酸とハイブリッド形成するポリヌクレオチド、またはii)GHRd3ポリペプチドに選択的に結合する検出可能なポリペプチドと接触させること;ならびに、b)上記試料中における上記ポリヌクレオチドおよびRNA種の間のハイブリッド形成の存在もしくは不在、または、上記試料中のポリペプチドに対する上記検出可能なポリペプチドの結合の存在もしくは不在を検出することを含む判定を行うものである。上記ハイブリッド形成、または上記結合の検出は、上記GHRd3アレルまたはアイソフォームが上記試料中に発現されていることを示すものである。上記ポリヌクレオチドがプライマーであり、上記ハイブリッド形成が、上記プライマー配列を含む増幅産物の存在を検出することによって、検出されること、または、検出可能なポリペプチドが抗体であることが好ましい。
哺乳動物、好ましくはヒトで、GHRd3発現のレベルが上昇しているか、低下しているか判定する方法であって、a)上記哺乳動物に由来する生物試料を提供すること;および、b)上記生物試料中におけるGHRd3ポリペプチド、またはGHRd3ポリペプチドをエンコードするGHRd3RNA種の量を、対照試料で検出されるレベル、または対照試料から予想されるレベルと比較することを含む方法も想定されている。上記生物試料中における上記GHRd3ポリペプチドまたは上記GHRd3 RNA種が、上記対照試料で検出されるレベル、または上記対照試料から予想されるレベルと比較して、上昇している場合、これは上記哺乳動物におけるGHRd3発現のレベルが上昇していることを示し、上記生物試料中における上記GHRd3ポリペプチドまたは上記GHRd3 RNA種が、上記対照試料で検出されるレベル、または上記対照試料から予想されるレベルと比較して、低下している場合、これは上記哺乳動物におけるGHRd3発現のレベルが低下していることを示す。
生物試料中のGHRd3タンパク質または核酸の存在または不在を検出する例示的方法では、試験対象から生物試料を取得し、さらに、生物試料中におけるGHRd3タンパク質または核酸の存在が検出されるように、GHRd3タンパク質、またはGHRd3タンパク質をエンコードする核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出できる化合物または薬剤と、生物試料を接触させる。GHRd3 mRNAまたはゲノムDNAを検出する好ましい薬剤は、GHRd3 mRNAまたはゲノムDNAにハイブリッド形成できる標識された核酸プローブである。例えば、核酸プローブは、ヒト核酸、またはその部分でありうるが、これは、ストリンジェントな条件下でGHRd3 mRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリッド形成するのに十分な、長さが少なくとも15、30、50、100、250、もしくは500ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドなどである。本明細書に、本発明の診断検査で使用に供する他の適当なプローブを記載する。
GHRd3タンパク質を検出する好ましい薬剤は、GHRd3タンパク質に結合可能な抗体、好ましくは検出可能な標識を有する抗体である。抗体は、ポリクローナルでもよく、より好ましくはモノクローナルである。完全な抗体を用いることも、そのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’)2)を用いることもできる。プローブまたは抗体に関して、「標識された」という用語は、プローブまたは抗体に検出可能な物質を結合させる(すなわち、物理的に連結する)ことによる、プローブまたは抗体の直接標識と、直接標識された別の試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接標識とを包含するものである。間接標識の例には、蛍光標識された二次抗体を用いた一次抗体の検出、および、蛍光標識されたストレプトアビジンで検出できるようにビオチンで末端標識されたDNAプローブが含まれる。
「生物試料」という用語には、対象から単離された組織、細胞、および生物体液と、対象の内部に存在する組織、細胞、および流体とが含まれるものとする。すなわち、本発明の検出方法は、生物試料中の候補(candidate)mRNA、タンパク質、またはゲノムDNAを、in vitroで、また、同様にin vivoで検出するのに用いることができる。例えば、候補mRNAを検出するin vitro法には、ノーザンハイブリダイゼーションおよびin situハイブリダイゼーションが含まれる。候補タンパク質を検出するin vitro法には、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降反応、および免疫螢光法が含まれる。候補ゲノムDNAを検出するin vitro法には、サザンハイブリダイゼーションが含まれる。さらに、GHRd3タンパク質を検出するin vivo法には、標識された抗体を対象に導入することが含まれる。例えば、対象内部における、その存在および位置を標準的な映像化手法で検出することが可能な放射性マーカーで抗体を標識することができる。
一実施形態では、生物試料は、試験対象に由来するタンパク質分子を含有する。別法では、生物試料は、試験対象に由来するmRNA分子、または試験対象に由来するゲノムDNA分子を含有しうる。好ましい生物試料は、従来の方法で対象から単離された血清試料である。
別の実施形態では、この方法は、対照とする対象から対照生物試料を取得すること、GHRd3タンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの存在が生物試料で検出されるように、GHRd3タンパク質、mRNA、またはゲノムDNAを検出できる化合物または薬剤に対照試料を接触させること、そして、対照試料中におけるGHRd3タンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの存在を、試験試料中におけるGHRd3タンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの存在と比較することをさらに伴う。
本発明は、生物試料中におけるGHRd3タンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの存在を検出するキットも包含する。例えば、キットは、生物試料中のGHRd3タンパク質またはmRNAの検出が可能な、標識された化合物または薬剤;試料中のGHRd3タンパク質またはmRNAの量を測定する手段;および、試料中のGHRd3タンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの量を標準物質と比較する手段を含みうる。化合物または薬剤は、適当な容器に梱包できる。キットは、GHRd3タンパク質または核酸を検出するキットを使用するための説明書を含みうる。
前出の診断検査および以下のアッセイなど、本明細書に記載のアッセイは、GHR反応が低減しているか、またはそれを引き起こす危険がある対象を確認するのに利用できることが最も好ましい。詳細には、GHRflホモ接合体である対象は、GHR反応が低減しているか、またはそれを引き起こす危険がある対象として確認される。他の態様では、本明細書に記載の診断方法は、GHRレベル、発現、または活性の異常、または、より詳細には低減に関連した疾患、障害、または形質を有するか、あるいはそれを引き起こす危険がある対象を確認するのに利用されうる。例えば、前出の診断検査および以下のアッセイなど、本明細書に記載のアッセイは、GHRレベル、発現、または活性の低減に関連した形質を有するか、あるいはそれを引き起こす危険がある対象を確認するのに利用することができる。別の例では、本明細書に記載のアッセイは、GHRレベル、発現、または活性の低減に関連した形質を有するか、あるいはそれを引き起こす危険がある対象を確認するのに利用することができる。既に論じたように、GHRd3/flヘテロ接合体は、GHRfl/flホモ接合体と比較して、GHR反応またはGHR活性が増大していると予測される。
本明細書に記載の予後検査は、GHR経路を介して作用して疾患または障害を治療する薬剤を、対象に投与するかどうか、および/または、どの投与計画に従ってこれを行うかを決定するのに用いることができる。したがって、本発明は、GHR経路を介して作用する薬剤で、対象を効果的に治療できるか判定する方法であって、試験試料の取得と、GHRd3タンパク質発現、核酸発現、または活性の検出とを行う方法を提供する。既に論じたように、GHRd3タンパク質または核酸を表出する対象は、GHRd3タンパク質または核酸を表出しない対象に比べて、上記薬剤に対する陽性反応が増大していると予測される。
GHR活性の低減に対する個体の感受性を検出することは非常に重要であるが、これは主として、GHR介在経路を介して作用する薬剤の投与を、この薬剤に対する反応性が増大または低下している対象に適応させることが可能であるためである。上記薬剤は、必ずしも、GHRタンパク質に直接作用する必要はなく、GHRタンパク質の上流に作用してもよいのであって、例えば、最終的にはGHRタンパク質と相互作用する別の分子に作用してもよい。好ましい実施形態では、この薬剤は、GHRタンパク質に直接作用する薬剤である。この薬剤は、GHRタンパク質に結合して、さらにアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する薬剤であることが最も好ましい。この薬剤は、GHRタンパク質を活性化できるGHタンパク質であることが最も好ましい。他の実施形態では、この薬剤は、GHRタンパク質に結合できるが、これを活性化できないGHタンパク質である。
GHRに関連した疾患には、例えば、低身長、肥満症、感染症、または糖尿病;乳腺刺激性、糖尿病誘発性、脂肪分解性、およびタンパク質同化性の影響に関連するかもしれない先端巨大症または巨人症状態;ナトリウム貯留および水貯留に関連した状態;代謝症候群;気分障害および睡眠障害、癌、心臓病、ならびに高血圧が含まれる。したがって、本発明の方法は、これらの障害のいずれの1つに対する薬剤でも、それを用いた治療に対する対象の反応を予測するのに使用されうる。
既に論じたように、本発明は、低身長、肥満症、感染症、または糖尿病;乳腺刺激性、糖尿病誘発性、脂肪分解性、およびタンパク質同化性の影響に関連するかもしれない先端巨大症または巨人症状態;ナトリウム貯留および水貯留に関連した状態;代謝症候群;気分障害および睡眠障害、癌、心臓病、ならびに高血圧からなる群から選択された状態に罹患している対象を治療する方法であって、
(a)GHR遺伝子のアレルが対象に存在するか、存在しないかを判定すること;および
(b)前記対象に投与する前記薬剤の有効量を選択または決定すること
を含み、上記状態を改善できる薬剤に対する陽性反応が増大または低減している可能性と、上記アレルが相関している方法を開示する。
したがって、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトを治療する方法であって、
・任意選択で、個体のDNAがGHRd3タンパク質をエンコードするかどうか判定するステップと、
・そのDNAがGHRd3タンパク質をエンコードしていない個体を選択するステップと、
・GHR反応の低減に関連した症候の出現(そして、任意選択で発症)に関して上記個体の経過観察を行うステップと、
・GHR反応の低減、またはその症候に対して作用する、有効量の治療を適切な病期に、上記個体に施すステップと
を含む方法にも関する。
本発明の別の実施形態は、哺乳動物、好ましくはヒトを治療する方法であって、
・任意選択で、個体のDNAがGHRd3タンパク質をエンコードするかどうか判定するステップと、
・そのDNAがGHRd3タンパク質をエンコードしていない個体を選択するステップと、
・GHR反応の低減に対する予防的治療を上記個体に施すステップと
を含む方法を含む。
さらに別の実施形態では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトを治療する方法であって、
・任意選択で、個体のDNAがGHRd3タンパク質をエンコードするかどうか判定するステップと、
・そのDNAがGHRd3タンパク質をエンコードしていない個体を選択するステップと、
・GHR反応の低減に対する予防的治療を上記個体に施すステップと、
・GHR反応の低減に関連した症候の出現、および発症に関して上記個体の経過観察を行うステップと、
・GHR反応の低減、またはその症候に対して作用する治療を、適切な病期に、上記個体に施すステップと
を含む方法に関する。
個体の治療過程決定に使用するために、本発明は、
・GHR反応、活性、もしくは発現の低減、またはその症候に関連したタンパク質を、そのDNAがエンコードする個体を選択するステップと、
・GHR反応の低減またはその症候に対して有効な治療を、上記個体に施すステップと
を含む治療方法にも関する。好ましい実施形態では、上記GHR反応の低減またはその症候に関連したタンパク質は、GHRタンパク質であり、より好ましくは、GHRflタンパク質である。個体は、GHRfl/flアイソフォームに関してホモ接合体であることが最も好ましいだろう。
本発明の方法による個体は、低身長(例えば、好ましくはISS)、肥満症、感染症、または糖尿病;乳腺刺激性、糖尿病誘発性、脂肪分解性、およびタンパク質同化性の影響に関連するかもしれない先端巨大症または巨人症状態;ナトリウム貯留および水貯留に関連した状態;代謝症候群;気分障害および睡眠障害、癌、心臓病、ならびに高血圧からなる群から選択された状態に罹患しているか、またはそれに罹病性がある個体でありうる。
GHR反応の低減は、好ましくは、GHR経路を介して作用可能な薬剤、より好ましくは、GHRタンパク質に結合可能な薬剤による治療に対する反応の低減である。好ましい薬剤の例には、低身長、肥満症、感染症、または糖尿病;乳腺刺激性、糖尿病誘発性、脂肪分解性、およびタンパク質同化性の影響に関連するかもしれない先端巨大症または巨人症状態;ナトリウム貯留および水貯留に関連した状態;代謝症候群;気分障害および睡眠障害、癌、心臓病、ならびに高血圧の治療用薬剤が含まれる。
GHR反応の低減またはその症候に対して有効な治療は、いかなる適当な側面で、GHR反応が低減していない個体に施される治療と相違してもよい。一態様では、この治療は、投与される薬剤の量が相違する。別の態様では、この治療は、剤形が相違する。別の態様では、組成物を投与する方法または時間が相違する。さらに別の態様では、GHR反応の低減またはその症候に対して有効な治療に用いられる薬剤は、基礎となる状態(例えば、低身長、肥満症)を治療するのに用いられる薬剤と、構造が相違する。好ましい態様では、GHタンパク質、またはその変種もしくはフラグメントを含む組成物が、GHRflに関してホモ接合である個体に、そのDNAがGHRd3タンパク質をエンコードする個体に投与される量より多量に投与される。
上記薬剤は、好ましくは、GHポリペプチドまたはそのフラグメントであり、より好ましくは、組換えGHポリペプチドまたはそのフラグメントであるが、本明細書において、これらの例をさらに論じる。組換えGHポリペプチドは、GHRアゴニスト(例えば、成長を増進させるため、または肥満症を治療するために)でも、GHRアンタゴニスト(例えば、先端巨大症または巨人症状態を治療するために)でもよい。反応は、本明細書でさらに論じるように、身長または成長速度の変化、肥満症(例えば、ボディマスインデックス(BMI))、感染症、または糖尿病の症候の改善;先端巨大症または巨人症状態の症候の改善;または、ナトリウム貯留および水貯留に関連した状態、代謝症候群、気分障害および睡眠障害、癌、心臓病、ならびに高血圧の症候の改善でありうる。
一態様では、個体は、既に障害に罹患しているか、またはそれに罹病性があってもよく、かつ、既に治療されていても、治療の実行中でも、または、将来治療を受ける候補であってもよい。最も好ましくは、個体は、低身長、肥満症、感染症、または糖尿病;乳腺刺激性、糖尿病誘発性、脂肪分解性、およびタンパク質同化性の影響に関連するかもしれない先端巨大症または巨人症状態;ナトリウム貯留および水貯留に関連した状態;代謝症候群;気分障害および睡眠障害、癌、心臓病、ならびに高血圧からなる群から選択された状態に罹患しているか、それに罹病性があるだろう。したがって、好ましい態様では、本発明は前記障害の1つまたは複数を有する個体を治療する方法を提供する。したがって、本発明は、特定の治療方法に従って、上記に定義したような、GH反応が低減した対象の治療を標的とする(targeting for treatment)のを可能にする。
そのDNAがGHRd3タンパク質をエンコードするかどうか判定するために、DNA試料を、試験される個体から取得する。DNA試料を分析して、それがGHRd3配列を含むかどうか、または、個体がGHRflアイソフォームに関してホモ接合体であるかどうかの判定を行う。GHRd3タンパク質をエンコードするDNAの存在は、薬物による治療に対する、より大きな陽性反応に関連しているだろう。また、GHRd3アレルをエンコードするDNAの不在は、GHRd3の個体と比較して低減している陽性反応に関連しているだろう。
本発明の方法は、薬物の評価および臨床試験の実行にも有用であろう。この方法は、したがって、上記薬物に陽性反応を示す個体の第1の集団と、上記薬物に陰性反応を示す個体、すなわち上記薬物に対する陽性反応が、前記第1の集団の個体と比較して低減している個体の第2の集団とを特定することを含む。一実施形態では、この薬物は、この薬物による治療に対する陽性反応に関連した1つまたは複数のアレルを、DNA試料が含有しているかどうか、および/または、この薬物による治療に対する陰性反応、もしくは陽性反応の低減に関連した1つまたは複数のアレルがDNA試料で不在であるかどうかに関する臨床試験で対象に投与することができる。別の実施形態では、この薬物は、この薬物による治療に対する陰性反応、もしくは陽性反応の低減に関連した1つまたは複数のアレルを、DNA試料が含有しているかどうか、および/または、この薬物による治療に対する陽性反応、もしくは陽性反応の増大に関連した1つまたは複数のアレルがDNA試料で不在であるかどうかに関する臨床試験で対象に投与することができる。
したがって、本発明の方法を用いて、薬物治験対象相互のGHR反応の相違を考慮に入れることによって、薬効評価を行うことができる。必要に応じて、薬効評価の治験は、実質上、薬物に対して望ましい反応を示す可能性の高い個体からなる集団、または、実質上、薬物に対して別の集団より望ましくない反応を示す可能性の高い個体からなる集団で行われてもよい。例えば、GHタンパク質を含有する組成物を、GHRd3個体の集団、またはGHRfl/fl個体の集団で評価してもよい。別の態様では、GH反応の低減に苦しむ個体を治療するように設計された薬物の評価が、GHRfl/fl個体の集団で有利に行われる場合がある。
(GHRd3およびGHRflの検出)
特定の核酸におけるヌクレオチド変化を検出することによって、本発明に従って、GHR遺伝子における他の変異も同定されうると企図する(米国特許第4988617号、この開示を参照により本明細書に組み込む)。これに関連して、限定されるものではないが、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH;米国特許第5633365号、および米国特許第5665549号、これらの開示のそれぞれを参照により本明細書に組み込む)、直接DNAシーケンシング、PFGE分析、サザンまたはノーザンブロッティング、一本鎖高次構造分析(SSCA)、RNAseプロテクションアッセイ、アレル特異的オリゴヌクレオチド(ASO、例えば、米国特許第5639611号)、ドットブロット分析、変性勾配ゲル電気泳動(例えば、米国特許第5190856号、この開示を参照により本明細書に組み込む)、RFLP、(例えば、米国特許第5324631号、この開示を参照により本明細書に組み込む)、PCR−SSCP法を含めた様々な異なったアッセイが企図される。例えば生物体液中の遺伝子配列を検出および定量する方法は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5496699号に記載されている。
(プライマーおよびプローブ)
本明細書に定義するように、プライマーという用語は、テンプレート依存性の過程における、新生核酸の合成をプライミングできるいかなる核酸も包含するものである。プライマーは、通常、長さが10から20塩基対までのオリゴヌクレオチドであるが、より長い配列も利用することができる。プライマーは、一本鎖形態が好ましいが、二本鎖形態で提供しても、一本鎖形態で提供してもよい。プローブは、プライマーとしても機能しうるが、異なって定義されるものである。プローブは、おそらくプライミングを行うこともできるが、標的DNAまたはRNAに結合するように設計され、増幅プロセスで使用される必要がない。
図3および4は、それぞれ、GHR遺伝子におけるエキソン3周辺、またはエキソン3欠失部位周辺のゲノムDNA配列を提供する。GHRfl cDNA配列を配列番号1に示す。ヌクレオチド配列における、GHRd3アレルとGHRflアレルとの間のいかなる相違も、個体における特定のGHRアレルを検出して、識別するために、本発明の方法で使用されうる。GHRflゲノムDNAまたはcDNA分子を同定するために、エキソン3核酸にハイブリッド形成するプライマーを設計してもよい。GHRd3ゲノムDNAを同定するために、GHRd3アレルのゲノムDNA配列に見られるように、プライマーまたはプローブを、それがGHR遺伝子のイントロン2とイントロン3との接合部にまたがるように設計して、それによって、エキソン3を含有するGHRflアレルと、エキソン3を含有しないGHRd3アレルとを識別してもよい。別の実施例では、エキソン2とエキソン4との接合部にまたがるプライマーまたはプローブを設計して、それによって、エキソン3を含有するGHRfl cDNA分子と、エキソン3を含有しないGHRd3 cDNA分子とを識別することによって、GHRd3 cDNA分子を同定してもよい。GHRd3を検出するのに適したプライマーの他の例は、Pantelら(同上)、および下記実施例1に記載されている。
本発明は、本発明の方法においてプライマーおよびプローブとして使用に供するポリヌクレオチドも包含する。これらのポリヌクレオチドは、本明細書に提供する配列、およびそれに相補的な配列(「その相補鎖」)のいずれに由来する配列を有するヌクレオチドの連続的な領域からなるものでも、本質的にそのような領域からなるものでも、そのような領域を含むものでもよい。「連続的な領域」は、少なくとも25、35、40、50、70、80、100、250、500、または1000ヌクレオチドの長さでありうるが、その上限は、これら、連続的な領域の長さが、特定の配列番号の長さと一致する程度までである。本発明のポリヌクレオチドは、配列表に示す所定の標的配列を取り囲む正確な隣接配列を有するものに限定されないことに留意されたい。むしろ、多型を取り囲む隣接配列、またはマーカーからより遠方にある本発明のプローブもしくはプライマーのいかなるものも、それらの所期の使用に適合するいかなる程度にでも、伸長または短縮されうることが理解されよう。そして、本発明は、そのような配列を明確に企図するものである。本明細書に記載のポリヌクレオチドは、それらの所期の使用に適合するいかなる長さのものでもよいことが理解されよう。また、連続的な領域の外にある隣接領域は、実際にヒト対象に存在する天然の隣接配列に相同である必要はない。ヌクレオチドの所期の使用に適合するいかなるヌクレオチド配列の付加も、明確に企図するものである。好ましいポリヌクレオチドは、配列番号1、4、または6、およびそれに相補的な配列に由来する配列を有するヌクレオチドの連続的な領域からなるか、本質的にそのような領域からなるか、そのような領域を含むものでありうる。「連続的な領域」は、少なくとも8、10、12、15、50、70、80、100、250、500、または1000ヌクレオチドの長さでありうる。
本発明のプローブは、当技術分野で公知のいかなる方法のための、開示されている配列から設計してもよく、詳細には、本明細書に開示する特定の配列またはマーカーが存在するかどうか試験するのを可能にする方法のための配列から設計できる。好ましいプローブのセットは、当技術分野で公知である任意の方法による、本発明のハイブリダイゼーションアッセイで使用するために、それらが、多型における1つのアレルに選択的に結合し、他のアレルにはいかなる特定のセットのアッセイ条件下でも結合しないように設計してもよい。
必要に応じて、本発明のいずれのポリヌクレオチドも、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的な方法で検出可能な標識を組み込むことによって標識することができる。例えば、有用な標識には、放射性物質、蛍光色素、またはビオチンが含まれる。ポリヌクレオチドは、それらの3’末端および5’末端で標識することが好ましい。標識は、プライマー、または、増幅されたDNAなどのプライマー伸長産物が固形担体上に固定されるのを促進するように、プライマーを捕捉するのに用いることができる。捕捉標識は、プライマーまたはプローブに結合され、固相試薬の特異的結合部(例えば、ビオチン、およびストレプトアビジン)と結合ペアを形成する特異的結合部となりうる。したがって、それは、ポリヌクレオチドまたはプローブに保持される標識のタイプに応じて、標的DNAを捕捉するか、または検出するのに利用されうる。さらに、本発明が提供するポリヌクレオチド、プライマー、またはプローブは、それら自体が捕捉標識として機能しうることも理解されよう。例えば、固相試薬の結合部が核酸配列である場合には、それが、プライマーまたはプローブにおける相補的な部分に結合して、それによって固相にプライマーまたはプローブが固定されるように選択してもよい。ポリヌクレオチドプローブ自体が結合部として機能する場合には、そのプローブは、標的に相補的ではない配列または「テール(tail)」を含有するであろうと、当業者は認識するであろう。ポリヌクレオチドプライマー自体が捕捉標識として機能する場合には、プライマーの少なくとも一部は、固相上の核酸とハイブリッド形成するように遊離した状態にあるだろう。DNA標識の方法は、当業者に周知のものである。
本発明のポリヌクレオチド、プライマー、およびプローブはいずれも、好都合に固形担体上に固定することができる。固形担体は、当業者に公知であり、これには反応トレーにおけるウェルの壁、試験管、ポリスチレンビーズ、磁性ビーズ、ニトロセルロース細片、膜、ラテックス粒子などのマイクロ粒子、ヒツジ(または、他の動物)赤血球、ドュラサイト(duracyte)などが含まれる。固形担体はあまり重要ではなく、当業者ならば選択することができる。したがって、ラテックス粒子、マイクロ粒子、磁性または非磁性ビーズ、膜、プラスチック管、マイクロタイターウェルの壁、ガラスまたはシリコンチップ、ヒツジ(または、他の適切な動物の)赤血球、およびドュラサイトは、すべて適したものの例である。固相に核酸を固定する適切な方法には、イオン性、疎水性、共有結合性相互作用、および同様のものが含まれる。本明細書において、固形担体は、不溶性であるか、または後続の反応で不溶性にすることができるいかなる物質も指す。固形担体は、捕捉試薬を誘引して、固定する固有の性能によって選択できる。別法では、捕捉試薬を誘引して、固定する性能を有する追加の受容体を保持することができる。追加の受容体には、捕捉試薬自体、または、捕捉試薬に結合された荷電された物質に対して、反対の荷電を有する荷電物質が含まれうる。さらに別の別法では、受容体分子は、固形担体に固定され(結合し)、かつ、特異的な結合反応によって捕捉試薬を固定する性能を有するいかなる特異的結合部でもありうる。受容体分子は、アッセイの実施中、またはアッセイの実施前に、捕捉試薬が固形担体物質に間接的に結合するのを可能にする。したがって、固相は、試験管、マイクロタイターウェル、シート、ビーズ、マイクロ粒子、チップのプラスチック、変性プラスチック、磁性もしくは非磁性金属、ガラス、またはシリコン表面、ヒツジ(または、他の適当な動物)赤血球、ドュラサイト、および当業者に公知の他の構成でありうる。本発明のポリヌクレオチドは、1つの固形担体に個別に、または、少なくとも2、5、8、10、12、15、20、または25種類の本発明の異なったポリヌクレオチドのグループで、結合または固定されうる。さらに、本発明のポリヌクレオチドではないポリヌクレオチドが、本発明の1つまたは複数のポリヌクレオチドと同じ固形担体に結合してもよい。
本発明が提供するいかなるポリヌクレオチドも、固形担体上の重複した領域、または無作為な位置に結合しうる。別法では、本発明のポリヌクレオチドは、各ポリヌクレオチドが固形担体における、他のいずれのポリヌクレオチドの結合部位とも重ならない個別の領域に結合するように、規則的なアレイとして結合させてもよい。ポリヌクレオチドのそのような規則的なアレイは、個別の位置が、記録され、アッセイ手順の一部として利用できるように、「アドレス可能(addressable)」に設計されることが好ましい。通常、アドレス可能なポリヌクレオチドアレイは、既知である異なった位置で基質表面と結合する複数の異なったオリゴヌクレオチドプローブを含む。各ポリヌクレオチド位置の正確な位置を知ることによって、これらの「アドレス可能」なアレイがハイブリダイゼーションアッセイで特に有用なものとなる。本発明のポリヌクレオチドを用いて、当技術分野で公知のいかなるアドレス可能なアレイ技術を利用することもできる。これらポリヌクレオチドアレイの特定の一実施形態が、Genechips(登録商標)として知られているものであり、米国特許第5143854号;国際公開WO90/15070号およびWO92/10092号に概ね記載されている。これらのアレイは、通常、機械的合成法、または、光リソグラフィー法および固相オリゴヌクレオチド合成の組合せを取り入れた光誘導合成法(light directed synthesis method)(Fodorら、Science、第251巻、767〜777ページ、1991年)を用いて生成されうる。固形担体上でのオリゴヌクレオチドアレイの固定は、プローブが通常、チップの固形表面に高密度アレイとして固定される「非常に大きい規模の固定化されたポリマーの合成」(VLSIPS)として通常、特定される技術の開発によって可能となった。VLSIPS技術の例は、光誘導合成法などの技法によってオリゴヌクレオチドアレイを生成する方法を記載した、米国特許第5143854号、第5412087号、国際公開WO90/15070号、WO92/10092号、およびWO95/11995号に提供されている。固形担体に固定されたヌクレオチドアレイの提供を目的とするストラテジーを設計する際に、ハイブリダイゼーションパターンおよび配列情報を最大にする試みとして、チップ上のオリゴヌクレオチドアレイを整列させて、表示する、さらなるプレゼンテーションストラテジーが開発された。そのようなプレゼンテーションストラテジーの例は、国際公開WO94/12305号、WO94/11530号、WO97/29212号、およびWO97/31256号に開示されている。
(テンプレート依存性の増幅方法)
所与のテンプレート試料に存在するマーカー配列を増幅するのに、多くのテンプレート依存過程が利用可能である。最もよく知られている増幅方法の1つは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRと呼ばれる)であり、これは、参照によりそれぞれが全体として本明細書に組み込まれている米国特許第4683195号、第4683202号、および第4800159号、ならびにInnisら、PCR Protocols、Academic Press、San Diego Calif.、1990年に詳細に記載されている。
簡潔には、PCRでは、マーカー配列における対向した相補鎖上の領域に相補的な2つのプライマー配列を調製する。過剰量のデオキシヌクレオシド3リン酸を、DNAポリメラーゼ、例えばTaqポリメラーゼと共に反応混合液に添加する。マーカー配列が試料に存在する場合には、プライマーがマーカーに結合して、ポリメラーゼがヌクレオチドを付加することによって、マーカー配列に則したプライマーの伸長が引き起こされるだろう。反応混合物の温度を上昇させ、そして低下させることによって、伸長したプライマーがマーカーから解離して、反応生成物が形成され、過剰量のプライマーがマーカーおよび反応生成物に結合することによって、この過程が反復されることになる。
逆転写酵素PCR増幅法を行って、増幅されるmRNAの量を定量してもよい。RNAをcDNAに逆転写する方法は、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989年に詳細に記載されている。逆転写を行う別法では、熱安定性のRNA依存性DNAポリメラーゼを利用する。これらの方法は国際公開WO90/07641号に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応法は、当技術分野で周知のものである。
増幅を行う別の方法には、リガーゼ連鎖反応がある(「LCR」、米国特許第5494810号、第5484699号、欧州特許第320308号、これらの開示のそれぞれを参照により本明細書に組み込む)。LCRでは、2対の相補的なプローブ対が調製されて、標的配列の存在下で、各対が標的における対向した相補鎖に、それらが隣接するように結合することになる。リガーゼの存在下で、2対のプローブ対が連結され、単一ユニットを形成することになる。
PCRと同様に温度サイクルを実行することによって、結合している連結済みユニットが標的から解離して、過剰量のプローブ対が連結するための「標的配列」として機能する。米国特許第4883750号は、プローブ対を標的配列に結合させる、LCRと同様の方法を記載する。
本発明におけるさらに別の増幅方法として、RNA依存性RNAポリメラーゼであるQbeta Replicaseを用いることができる。この方法では、標的の配列に相補的な領域を有する複製RNA配列を、RNAポリメラーゼの存在下で試料に添加する。その後、ポリメラーゼは、検出可能な複製配列をコピーすることになる。RNA依存性RNAポリメラーゼが相補的一本鎖分子を生成するためのテンプレートとして機能しうる組換えRNA分子を用いた同様の方法も、米国特許第4786600号に記載されており、この開示を参照により本明細書に組み込む。このように形成された生成物分子も、元の組換えRNA分子のさらなるコピーを生成するためのテンプレートとして機能しうる。
制限部位における一方のストランドにヌクレオチド5’−[α−チオ]−三リン酸を含有する標的分子の増幅を実現するために、制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを用いる等温増幅法も、本発明における核酸の増幅に有用でありうる(Walkerら(1992年)、Proc Nat'l Acad Sci.USA、第89巻、392〜396ページ;米国特許第5270184号、これらの開示を参照により本明細書に組み込む)。米国特許第5747255号(参照により本明細書に組み込む)は、ポリヌクレオチドの検出に切断可能なオリゴヌクレオチドを用いる等温増幅を記載する。そこに記載された方法では、相互に相補的な配列を含有し、かつ少なくとも1つの切断可能な連結を含有するオリゴヌクレオチドの別々の集合が提供され、これらの連結は、それを含有する完全一致した二本鎖分子が形成されたときにはいつでも切断されるものである。標的ポリヌクレオチドが接触したときに、第1のオリゴヌクレオチド切断が起こり、第2のオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成しうる第1のフラグメントが生成される。このハイブリダイゼーションによって、第2のオリゴヌクレオチドが切断されて、次に、標的ポリヌクレオチドと同様にして、第1のオリゴヌクレオチドにハイブリッド形成しうる第2のフラグメントが放出される。
核酸の等温増幅を実行する別の方法には、複数回の鎖置換および鎖生成、すなわちニック翻訳を行う鎖置換増幅(SDA)がある(例えば、米国特許第5744311号;第5733752号;第5733733号;第5712124号)。
修復連鎖反応(Repair Chain Reaction)(RCR)と呼ばれる同様の方法は、増幅の標的にされた領域全体にわたっていくつかのプローブをアニーリングさせ、その後、4種類の塩基のうち2種類のみが存在する修復反応を行うものである。残り2種類の塩基は、容易な検出が行えるようにビオチン化された誘導体として添加することができる。同様のアプローチはSDAでも用いられる。標的に特異的な配列の検出は、循環プローブ反応(cyclic probe reaction)(CPR)を用いて行うこともできる。CPRでは、3’側および5’側に非特異的配列のDNAを有し、かつ中央に特異的配列のRNAを有するプローブを、試料中にあるDNAにハイブリッド形成させる。ハイブリダイゼーションの際に、反応物をRNアーゼHで処理し、消化後に放出される特有の産物として、プローブの産物を検出する。元のテンプレートが別の循環プローブ(cycling probe)にアニーリングして、反応が反復される。
それぞれが参照により全体として本明細書に組み込まれている英国出願第2202328号、およびPCT出願第US89/01025号に記載されているさらに別の増幅方法も、本発明に従って使用されうる。前者の出願では、PCR様のテンプレート依存性および酵素依存性合成に、「修飾」されたプライマーを用いる。これらのプライマーは、捕捉部分(例えば、ビオチン)および/または検出部分(例えば、酵素)で標識することによって修飾してもよい。後者の出願では、過剰量の標識プローブを試料に添加する。これらのプローブは、標的配列の存在下で結合し、触媒によって切断される。プローブの切断後、標的配列は完全な状態のままで放出され、過剰量のプローブがこれに結合する。標識プローブの切断は標的配列の存在を示すものである。
他の核酸増幅法には、核酸配列依存性増幅(nucleic acid sequence based amplification)(NASBA)および3SRを含めた転写依存性増幅システム(transcription-based amplification systems)(TAS)が含まれる(Kwokら、Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA(1989年)、第86巻、1173ページ;国際公開WO88/10315号、これらの開示を参照により全体として本明細書に組み込む)。NASBAでは、標準的なフェノール/クロロホルム抽出、臨床試料の加熱変性、溶解緩衝液での処理、ならびに、DNAおよびRNA単離用ミニスピンカラム、またはRNAの塩化グアニジニウム抽出で核酸を調製することができる。これらの増幅技法は、標的特異的な配列を有するプライマーをアニーリングさせるものである。ポリメリゼーションの後、DNA/RNAハイブリットは、RNアーゼHで消化され、一方、二本鎖DNA分子は、再度、熱変性される。いずれの場合でも、一本鎖DNAは、第2の標的特異的プライマーの添加と、それに続くポリメリゼーションとによって、完全な二本鎖となる。二本鎖DNA分子は、その後、T7またはSP6などのRNAポリメラーゼによって転写され、増幅される。等温環状反応(isothermal cyclic reaction)の1つでは、RNAが一本鎖DNAに逆転写され、次に、この一本鎖DNAが二本鎖DNAに変換され、さらに、T7またはSP6などのRNAポリメラーゼで、再度、転写される。この結果生成される、末端を欠如しているか、または完全長の産物によって、標的特異的な配列の存在が示される。
Daveyら、欧州特許第329822号(参照により全体として本明細書に組み込む)は、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)の循環的合成を行う核酸増幅過程を開示するものであるが、この過程も本発明に従って使用されうる。ssRNAは、第1のプライマーオリゴヌクレオチドのテンプレートであり、逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメラーゼ)によって伸長される。RNAは、この結果生成されるDNA:RNA二本鎖から、リボヌクレアーゼH(RNアーゼH、DNAまたはRNAとの二本鎖分子中にあるRNAに特異的なRNアーゼ)の作用で除去される。この結果生成されるssDNAは、第2のプライマーのテンプレートであり、RNAポリメラーゼプロモーター(T7RNAポリメラーゼを例とする)の配列も、テンプレートに相同性を有する部分の5’側に含有する。次に、このプライマーがDNAポリメラーゼ(大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIの「クレノウ(Klenow)」ラージフラグメントを例とする)によって伸長され、この結果、元のRNAにおけるプライマーの間の配列と同一の配列を有し、さらにこれに加えて末端の1つにプロモーター配列を有する二本鎖DNA(「dsDNA」)分子が生成する。このプロモーター配列は、適当なRNAポリメラーゼがこのDNAのRNAコピーを多数生成するのに使用できる。これらのコピーは、サイクルへの再入が可能であり、それによって、非常に迅速な増幅が行われる。酵素を適切に選択することで、酵素を各サイクルで添加しないでも、等温増幅を行うことができる。この過程は循環性を特徴とするので、開始配列は、DNAの形態、またはRNAの形態のいずれかに選択することができる。
PCT出願WO89/06700(参照により全体として本明細書に組み込む)は、標的一本鎖DNA(「ssDNA」)にプロモーター/プライマー配列をハイブリッド形成させ、それに続いて、その配列のRNAコピーを多数転写させることに基づく核酸配列増幅スキームを開示する。このスキームは、循環性ではなく、したがって、結果として生成されるRNA転写産物から新規のテンプレートが生成されることはない。他の増幅方法には、「RACE」および「片側PCR(one-sided PCR)」が含まれる(Frohman、PCR Protocols.A Guide To Methods And Applications、Academic Press、N.Y.、1990年;(O'haraら(1989年)、Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA、第86巻、5673〜5677ページ;これらの開示のそれぞれを参照により全体として本明細書に組み込む)。
結果として生成される「ジ−オリゴヌクレオチド(di-oligonucleotide)」の配列を有する核酸の存在下で、2つ(またはさらに多く)のオリゴヌクレオチドを連結して、それによってジ−オリゴヌクレオチドを増幅することに基づいた方法も、本発明の増幅ステップで使用されうる(Wuら(1989年)、Genomics、第4巻、560ページ、参照により本明細書に組み込む)。
(サザン/ノーザンブロッティング)
ブロッティングは、当業者に周知のものである。サザーンブロッティングは標的としてDNAを使用する。一方ノーザンブロッティングは標的としてRNAを使用する。それぞれ異なったタイプの情報を提供するものであるが、cDNAブロッティングは、多くの側面においてRNA種のブロッティングに類似性を有する。
簡潔には、プローブを用いて、適当なマトリクス、多くの場合ニトロセルロースフィルターに固定されたDNAまたはRNA種を標的とする。分析を容易にするために、異なった分子種のものは、空間的に分離するべきである。これは、フィルターで「ブロッティング」を行う前に、核酸種のゲル電気泳動を行うことによって実現する。
次に、変性およびリハイブリダイゼーションを促進する条件下で、ブロットされた標的をプローブ(通常、標識されている)とインキュベートする。プローブは標的と塩基対形成するように設計されるので、リハイブリダイゼーション条件下では、標的配列の一部にプローブが結合することになる。その後、結合しなかったプローブを除去し、上述の通りに検出が行われる。
(分離方法)
特異的な増幅が起きたかどうか判定するためには、通常、テンプレートと、過剰量のプライマーとを、いずれかの段階で増幅産物から分離することが望ましい。一実施形態では、標準法を用いて、アガロース、アガロースアクリルアミド、またはポリアクリルアミドゲル電気泳動を行うことによって、増幅産物を分離する。Sambrookら、1989年を参照のこと。
別法として、クロマトグラフィー法を用いて分離を行ってもよい。本発明で使用されうるクロマトグラフィーには、吸着、分配、イオン交換、および分子ふるいなど、多くの種類のものがあり、また、カラム、ペーパー、薄層、およびガスクロマトグラフィーを含めた、それらを用いるための多くの専門技術もある(Freifelder、Physical Biochemistry Applications to Biochemistry and Molecular Biology、第2版、Wm.Freeman and Co.、New York、N.Y.、1982年)。
(検出方法)
マーカー配列の増幅を確認するために、産物を可視化してもよい。可視化を行う典型的な方法の1つは、エチジウムブロマイドでゲルを染色し、UV光の下で可視化するものである。別法として、放射性標識または蛍光標識されたヌクレオチドによって、標識が増幅産物に組み込まれている場合には、分離の後、エックス線フィルムに増幅産物を曝露するか、または適切な励起スペクトルの下で可視化することができる。
一実施形態では、可視化は間接的に行われる。増幅産物を分離した後、標識された核酸プローブを、増幅されたマーカー配列と接触させる。プローブは、発色団に結合させるのが好ましいが、放射性標識してもよい。別の実施形態では、プローブは、抗体またはビオチンなどの結合パートナーに結合され、結合ペアのもう一方のメンバーが検出可能な部分を保持する。
一実施形態では、標識されたプローブによって検出を行う。これに関する方法は、当業者にとって周知のものであり、分子生物学プロトコールに関する多くの標準的な文献に見いだすことができる。Sambrookら、1989年を参照のこと。例えば、発色団または放射性標識されたプローブまたはプライマーは、増幅中または増幅後に標的を同定する。
上述のものの一例が、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5279721号に記載されており、これは、自動化された核酸の電気泳働およびトランスファーを行う装置および方法を開示する。この装置は、外部でのゲルの操作なしで、電気泳働およびブロッティングを可能にし、本発明による方法を実行するのに適した理想的なものである。
さらに、特定の種類の変異を同定するために、標準的な配列分析法を用いて、上述した増幅産物の配列分析を行ってもよい。ある種の方法では、最適なシーケンシングが行われるように設計されたプライマーセットを用いた配列分析によって、遺伝子の網羅的分析を行う(Pignonら、Hum.Mutat.、第3巻、126〜132ページ、1994年)。本発明は、それによって、これらのタイプの分析のいずれも、または全てが用いられうる方法を提供する。本明細書に開示した配列を用いて、GHR遺伝子全体にわたりその配列の増幅が可能となるように、オリゴヌクレオチドプライマーを設計することができ、増幅したGHR遺伝子は、その後、直接配列決定によって分析されうる。
GHR遺伝子の直接配列決定には、当技術分野で公知の様々なシーケンシング反応のいずれを用いることもでき、これは、対応する野生型(対照)配列と、試料の配列とを比較することによって行われる。シーケンシング反応の例には、Maxam及びGilbert((1977年)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第74巻、560ページ)、またはSanger((1977年)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第74巻、5463ページ)によって開発された技法に基づくものが含まれる。診断検査を行う際に、様々な自動シーケンシング法のいかなるものも使用できることも企図する。
(キットコンポーネント)
GHR、およびその変種を検出して、配列決定するのに必要なすべての必須物質および試薬を、1つのキットに併せて組み込んでもよい。通常、これは、予め選択されたプライマーおよびプローブを含むであろう。様々なポリメラーゼ(RT、Taq、Sequenase(商標)など)を含めた、核酸の増幅に適した酵素、デオキシヌクレオチド、および、必要な増幅用反応混合物を提供するための緩衝液も含まれうる。そのようなキットは、個々の試薬および酵素それぞれ、および各プライマーまたはプローブのための個別の容器を、通常、適切な方法で含むだろう。
(相対的定量的RT−PCR(商標)の設計および理論上の要件)
対象から単離された特定のmRNA種の相対濃度を測定するために、RNAのcDNAへの逆転写(RT)、および、それに続く相対的定量的PCR(RT−PCR)を用いることができる。特定のmRNA種の濃度が異なっていることを測定することで、特定のmRNA種をエンコードする遺伝子が異なって発現されていることが示される。例えば、定量的PCRは、GHR経路を介して作用する薬剤で治療されることになっている対象、GHR活性が低減している疑いがある対象、または、好ましくは低身長、肥満症、感染症、または糖尿病;乳腺刺激性、糖尿病誘発性、脂肪分解性、およびタンパク質同化性の影響に関連するかもしれない先端巨大症または巨人症状態;ナトリウム貯留および水貯留に関連した状態;代謝症候群;気分障害および睡眠障害、癌、心臓病、ならびに高血圧に罹患している対象におけるGHRd3およびGHRfl mRNAの相対的レベルを検査するのに有用でありうる。
PCRでは、なんらかの試薬が律速になるまで、増幅された標的DNA分子の数が、反応の各サイクルごとに2倍に近い倍率で増大する。その後、増幅速度は、ますます低減し、ついには、増幅された標的の数がサイクル間で増大しなくなる。サイクル数がx軸にあり、増幅された標的DNA濃度の対数がy軸にあるグラフをプロットすると、プロットされた点を接続することによって、独特の形の曲線が形成される。第1のサイクルに始まって、線の勾配は、正の一定値となる。これを、曲線の線形部分という。ある試薬が律速になった後では、線の勾配が低減し始めて、最終的にはゼロになる。この時点では、増幅された標的DNAの濃度が、ある一定値に漸近する。これを曲線のプラトー部分という。
PCR増幅の線形部分における標的DNAの濃度は、反応が始まる前における対象の開始濃度に正比例している。線形部分にあって、同じ数のサイクルを完了したPCR反応における標的DNAの増幅された産物の濃度を測定することによって、元のDNA混合物中にあった特定の標的配列の相対濃度を測定することが可能である。DNA混合物が異なった組織または細胞から単離されたRNAから合成されたcDNAである場合、それぞれの組織または細胞について、標的配列が由来する特定のmRNAの相対的量を測定することができる。PCR産物の濃度と、相対的なmRNA存在量との間にあるこの直接的比例性は、PCR反応の直線領域においてのみ成り立つ。
曲線のプラトー部分における標的DNAの最終濃度は、反応混合物中で利用可能な試薬の量によって決定され、標的DNAの元の濃度とは関係ない。したがって、一群のRNA集合におけるmRNA種の相対量が、RT−PCRで測定可能となる前に満たされなければならない第1の条件は、PCR反応が曲線の線形部分にあるときに、増幅されたPCR産物の濃度を抽出検査しなければならないということである。
特定のmRNA種の相対量を成功裡に測定するためにRT−PCR実験が満たさなければならない第2の条件は、増幅可能なcDNAの相対濃度を、なんらかの独立した標準物質に対して正規化しなければならないということである。RT−PCR実験の目標は、試料中にある全mRNA種の平均存在量と比較した特定のmRNA種の存在量を測定することである。以下に記載された実験では、GHRd3 mRNAの相対量を、それに対して比較する標準物質として、GHRflのmRNAを用いることができる。
競合的PCRのほとんどのプロトコールでは、標的とほぼ同程度の存在量である内部PCR標準物質を用いる。これらのストラテジーは、PCR増幅の産物が、それらの線形フェーズ中に抽出検査された場合には有効である。反応がプラトー期に接近しているときに、産物を抽出検査した場合、存在量がより少ない産物が、相対的に過大表示される。RNA試料の示差的発現を検査する場合など、多くの異なったRNA試料に関する相対量の比較では、RNAの相対量における相違が実際に存在する相違より小さく現れるような曲解が生じる。内部標準の存在量が標的よりはるかに多い場合には、これは大きな問題ではない。内部標準の存在量が標的より多い場合には、RNA試料間で直接的な線形比較を行うことができる。
上記の考察は、臨床的に由来する物質のRT−PCRアッセイに関する理論上の要件を説明したものである。臨床試料固有の問題は、それらの量が様々であること(正規化を難しくする)、および、それらの質も様々であること(好ましくは標的よりサイズが大きい信頼できる内部対照の同時増幅を必要とする)である。これらの問題は両方とも、RT−PCRを相対的定量的RT−PCRとして内部標準を用いて行い、内部標準が、標的cDNA断片より大きい増幅可能なcDNA断片であり、かつ、内部標準をエンコードするmRNAの存在量が、標的をエンコードするmRNAより約5〜100倍多い場合には克服される。このアッセイは、それぞれのmRNA種の絶対量ではなく、相対量を測定するものである。
他の研究は、外部標準プロトコールによる、より従来的な相対的定量的RT−PCRアッセイを用いて行われうる。これらのアッセイでは、その増幅曲線の線形部分でPCR産物を抽出検査する。抽出検査に最適のPCRサイクル数は、それぞれの標的cDNA断片について経験的に決定するべきである。さらに、様々な組織試料から単離された各RNA集団の逆転写酵素産物は、増幅可能なcDNAが等しい濃度となるように慎重に正規化するべきである。このアッセイは絶対mRNA存在量を測定するので、この要件は非常に重要である。絶対mRNA存在量は、正規化した試料においてのみ示差的遺伝子発現の尺度として用いることができる。増幅曲線における直線領域の経験的決定、およびcDNA試料の正規化は退屈で時間のかかる過程であるが、この結果行われるRT−PCR分析は、内部標準を用いた相対的定量的RT−PCRアッセイで得られたものより優れている場合がある。
この利点の1つの理由は、内部標準/競合物質がなければ、試薬のすべてを、増幅曲線の直線領域にある単一のPCR産物に変換でき、したがって、アッセイの感受性が増大されることにある。別の理由は、PCR産物が1つだけなら、電気泳動ゲルでの産物の提示、または別の提示方法がより単純になり、バックグランドが低下し、解釈しやすくなることである。
(チップ技術)
本発明者らは、Haciaら((1996年)、Nature Genetics、第14巻、441〜447ページ)、およびShoemakerら((1996年)Nature Genetics、14巻、450〜456ページ)によって記載されたものなどのチップベースのDNA技術を明確に企図する。簡潔には、これらの技術は、多数の遺伝子を迅速かつ正確に分析する定量方法を用いる。オリゴヌクレオチドで遺伝子にタグを付けることによって、または、固定されたプローブアレイを用いることによって、チップ技術を用いて、標的分子を高密度アレイとして分離し、ハイブリダイゼーションに基づいて、これらの分子をスクリーニングすることができる。Peaseら((1994年)Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA、第91巻、5022〜5026ページ);Fodorら((1991年)、Science、第251巻、767〜773ページ)も参照のこと。
(GHRd3またはGHRflタンパク質を検出する方法)
抗体は、健康組織または疾患組織におけるGHRd3および/またはGHRfl含量の特徴付けを行うのに、ELISAおよびウェスタンブロッティングなどの技法で用いることができる。GHRd3およびGHRflポリペプチドを取得する方法は、本明細書にさらに記載するものであり、公知の方法を用いて実行できる。同様に、GHRd3およびGHRflアイソフォームに選択的に結合可能な抗体を調製する方法も、本明細書にさらに記載するものである。
一例において、GHRd3とGHRflとを識別しないGHRd3抗体、GHRfl抗体、およびGHR抗体を含めたGHR抗体がELISAアッセイに使用されうることが企図される。例えば、抗GHR抗体は、選択された表面、好ましくは、ポリスチレンマイクロタイタープレートのウェルなど、タンパク質親和性を示す表面に固定する。洗浄によって、完全に吸着されていない物質を除去した後、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、または粉乳溶液など、試験抗血清に関して抗原として中立であることが判明している非特異的なタンパク質をアッセイプレートウェルに結合させるか、またはそれを用いてコーティングを行うことが望ましい。これは、固定する表面における非特異的な吸着部位のブロッキングを可能にし、したがって、抗原の表面への非特異的結合によって引き起こされるバックグランドを低下させる。
ウェルに抗体を結合させ、バックグランドを低下させるために非反応性物質でコーティングし、そして、結合しなかった物質を除去するために洗浄した後、試験試料を、免疫複合体(抗原/抗体)形成に寄与するような方法で固定する表面に接触させる。
試験試料と結合抗体と間の特異的免疫複合体を形成させ、それに続いて洗浄を行った後、第1の抗体とは異なったGHRに対する特異性を有する第2の抗体で同様の処理をすることによって、免疫複合体形成の存在および量さえも測定されうる。適切な条件には、好ましくは、BSA、ウシガンマグロブリン(BGG)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)/Tween(登録商標)などの希釈剤で試料を希釈することが含まれている。これらの添加される薬剤は、非特異的なバックグランドの低減にも役立つ傾向がある。その後、抗血清を上層し、好ましくは順番に温度約25℃で、そして約27℃で、約2から約4時間インキュベートする。インキュベーションの後、抗血清を接触させた表面を洗浄し、免疫複合体を形成しなかった物質を除去する。好ましい洗浄操作には、PBS/Tween(登録商標)またはホウ酸塩緩衝液などの溶液による洗浄が含まれる。
二次抗体は、好ましくは、適当な発色基質でインキュベートしたときに発色する随伴酵素を有し、それによって検出方法を提供する。したがって、例えば、二次抗体が結合した表面に、ウレアーゼまたはペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgGを接触させ、免疫複合体の形成に有利な条件で一定時間インキュベートすること(例えば、PBS/Tween(登録商標)などのPBS含有溶液中、室温で、2時間のインキュベーション)が望まれよう。
酵素でタグ付けされた二次抗体でインキュベートし、それに続いて洗浄して、結合しなかった物質を除去した後、酵素標識がペルオキシダーゼである場合には、尿素およびブロムクレゾールパープル、または2,2’−アジノ−ジ−(3−エチル−ベンズチアゾリン)−6−スルホン酸(ABTS)およびH2O2など発色基質とインキュベートすることによって標識の量を定量化する。その後、生じた色の度合いを、例えば、可視スペクトル分光光度計を用いて測定することによって定量を行う。
上記のフォーマットを改変して、最初に試料をアッセイプレートに結合させてもよい。その後、一次抗体をアッセイプレートとインキュベートし、それに続いて、結合した一次抗体の検出を、一次抗体に特異性を有する標識された二次抗体を用いて行う。
他の様々な有用な免疫検出方法におけるステップは、例えば、参照により本明細書に組み込まれているNakamuraら、Handbook of Experimental Immunology(第4版)、Weir.E.、Herzenberg、L.A.Blackwell、C.、Herzenberg、L.(編集)、第1巻、第27章、Blackwell Scientific Publ.、Oxford、1987年などの、科学的文献に記載されている。イムノアッセイは、その最も単純かつ直接的な意味において、結合アッセイである。特定の好ましいイムノアッセイは、様々なタイプのラジオイムノアッセイ(RIA)およびイムノビーズ捕捉アッセイである。組織切片を用いる免疫組織学的検出も特に有用である。しかし、検出法は、そのような技法に限定されないことが容易に理解されよう。ウェスタンブロッティング、ドットブロッティング、FACS分析、および同様のものも、本発明に関連して使用されうる。
好ましい例では、上記に記載の方法を用い、GHRd3特異的抗体を使用して、GHRd3レベルを検出することができる。他の方法では、GHRの総量がGHRd3とGHRflとの識別をせずに測定され、さらに、GHRflの量が測定される。無差別のGHR量と、GHRflの量との差が、存在するGHRd3の量を示す。
そのような方法は、循環しているGHBP(例えば、GHRd3またはGHRflの細胞外部分)を検出することが好ましい。操作法の好ましい例は、無差別のGHRの検出(例えば、GHRflと比較した無差別の総GHRからGHFd3を推定するため)、GHRd3の検出、および/またはGHRflの検出を可能にするものである。そのような操作法には、ELISAアッセイ、リガンド媒介免疫機能アッセイ(LIFA)、およびラジオイムノアッセイ(RIA)が含まれる。
無差別のGHR(例えば、GHRd3またはGHRfl)を検出するためのLIFAは、Pflaumら((1993年)、Exp.Clin.Endocrinol、第101(補1)巻、44ページ)及びKratzschら((2001年)、Clin.Endocrinol、第54巻、61〜68ページ)の方法に従って実行できる。簡潔には、一例において、マイクロタイタープレートをコーティングするのに、抗rGHBPモノクローナル抗体を用いて、無差別のGHRを検出する。血清試料またはグリコシル化されたrGHBP標準物質を、10ng/ウェルのhGH、およびhGHに対するモノクローナル抗体と共にインキュベートする。このモノクローナル抗体は、ビオチン化されたトレーサーとして機能する。シグナルは、ユウロピウム標識されたストレプトアビジンシステムによって増幅され、蛍光計を用いて測定される。別の例では、無差別のGHBPを検出するために、Kratschら((1995年)、Eur.J.Endocrinol、第132巻、306〜312ページ)の記載の通りに、抗rhGHBP抗体と、rhGHBP標準物質と、標識された抗原として125I−rhGHBPとを用いて競合的ラジオイムノアッセイ(RIA)を行う。
Kratzschら((2001年)、Clin.Endocrinol.、第54巻、61〜68ページ)に記載されている別の例では、hGH結合部位の外側でGHBPに結合するモノクローナル抗体10B8(Rowlinsonら(1999年))の50mmol/lリン酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.6)溶液100μlでマイクロタイタープレートをコーティングすることによって、無差別のGHBPを検出する。洗浄ステップの後、試料または標準物質25μlと、ビオチン標識された抗rhGHBP mAb 5C6(この抗体は、hGH結合部位の内部でGHBPに結合する(Rowlinsonら(1999年))50ngを含むアッセイ緩衝液(50mMトリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、150、mM NaCl、0.05% NaN3、0.01% Tween(登録商標)40、0.5% BSA、0.05%ウシガンマグロブリン、20μmol/lジエチレントリアミンペンタ酢酸)75μlを添加して、終夜インキュベートする。その後、エキソン3を含有するGHBPのfl形態に特異的な抗体を用いて、GHRflの量を測定する。簡潔には、無差別のGHBPの場合と同様にして、mAb 10B8をマイクロタイタープレートに固定する。洗浄ステップの後、試料または標準物質25μlと、Kratzschら(2001年)に記載されている、GHRd3ペプチドに対するウサギポリクロナール抗体(1:10000希釈)75μlとを添加して、終夜インキュベートする。20ngのビオチン化されたマウス抗ウサギIgGを各ウェルに添加して、2時間インキュベートした後、繰り返しリンスする。シグナルは、ユウロピウム標識されたストレプトアビジンシステムによって増幅され、蛍光計を用いて測定される。ヒツジ血清で希釈された組換え非グリコシル化hGHBPを標準物質として用いる。
本発明による使用に供する、GHRd3に特異的な抗体は、公知の方法を用いて取得できる。単離されたGHRd3タンパク質、またはその部分もしくはフラグメントを免疫原として使用して、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を調製する標準的な技法を用いて、GHRd3に結合する抗体を産生することができる。GHRd3タンパク質を使用することもできるが、その代替として、本発明は、免疫原として使用するために、GHRd3の抗原性ペプチド断片を提供する。
GHRd3ポリペプチドは、個体から得られた生物試料から精製することによって、また、より好ましくは組換えポリペプチドとして、公知の方法を用いて調製することができる。GHRflアミノ酸配列を配列番号2および3に示すが、GHRd3は、エキソン3によってエンコードされる22アミノ酸が欠失している点で、これとは相違している。GHRd3の抗原性ペプチドは、配列番号2および3に示すアミノ酸配列のうち、少なくとも8アミノ酸残基を含み、少なくとも1つのアミノ酸は、上記エキソン3にエンコードされているアミノ酸残基の外にあることが好ましい。上記抗原性ペプチドは、GHRd3のエピトープの1つを包含し、それによって、このペプチドに対して生成された抗体は、GHRd3と特異的な免疫複合体を形成する。抗体は、GHRd3に選択的または優先的に結合し、GHRflには実質上結合しないことが好ましい。抗原性ペプチドは、好ましくは少なくとも10アミノ酸残基、より好ましくは少なくとも15アミノ酸残基、さらにより好ましくは少なくとも20アミノ酸残基、そして最も好ましくは少なくとも30アミノ酸残基を含む。
抗原性ペプチドによって包含される好ましいエピトープは、このタンパク質の表面に位置するGHRd3の領域(例えば、親水性領域)である。
GHRd3免疫原は、通常、この免疫原で適当な対象(例えば、ウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物)を免疫処置することによって抗体を調製するのに用いられる。適当な免疫原性試料は、例えば、組換え発現されたGHRd3タンパク質、または化学的に合成されたGHRd3ポリペプチドを含有しうる。この試料は、フロイントの完全アジュバントもしくは不完全アジュバント、または同様の免疫活性化薬剤などのアジュバントをさらに含みうる。免疫原性GHRd3試料で適当な対象を免疫処置すると、ポリクローナル抗GHRd3抗体反応が誘導される。
したがって、本発明の別の態様は、抗GHRd3抗体に関する。本明細書において、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子と、免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、GHRd3などの抗原に特異的に結合(免疫反応)する抗原結合部位を含有する分子のことをいう。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例には、ペプシンなどの酵素で抗体を処理することによって生成されうるF(ab)フラグメントおよびF(ab’)2フラグメントが含まれる。本発明は、GHRd3に結合するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を提供する。本明細書において、「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、特定のGHRd3エピトープと免疫反応できる抗原結合部位の単一種のみを含有する抗体分子の集団を指す。したがって、モノクローナル抗体組成物は、通常、それが免疫反応する特定のGHRd3タンパク質に対する単一結合親和性を示す。
本発明は、配列番号2または3における、少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8から10アミノ酸、より好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50、または100アミノ酸の連続的な領域を含むエピトープ含有ポリペプチドに選択的に結合可能であるか、または選択的に結合するポリクローナルまたはモノクローナルの抗体組成物であって、好ましくは、上記連続的な領域が、GHR遺伝子のエキソン3にエンコードされる上記22アミノ酸の領域の外にある少なくとも1つのアミノ酸を含んでいる抗体組成物に関する。
ポリクローナル抗GHRd3抗体は、上述のように、GHRd3免疫原で適当な対象を免疫処置することによって、調製することができる。免疫処置された対象の抗GHRd3抗体価は、固定したGHRd3を用いた酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)などの標準的な技法によって、一定期間にわたってモニターすることができる。必要に応じて、GHRd3に対する抗体分子は、哺乳動物(例えば、血液)から単離して、IgG画分を得るためのプロテインAクロマトグラフィーなどの周知の技法によって、さらに精製することができる。免疫処置後の適当なとき、例えば、抗GHRd3抗体価が最も高いときに、対象から抗体産生細胞を得て、Kohler及びMilstein(1975年)、Nature、第256巻、495〜497ページによって最初に記載されたハイブリドーマ技法(Brownら(1981年)、J.Immunol.、第127巻、539〜46ページ;Brownら(1980年)、J.Biol.Chem.、第255巻、4980〜83ページ;Yehら(1976年)、PNAS、第76巻、2927〜31ページ;及び、Yehら(1982年)、Int.J.Cancer、第29巻、269〜75ページも参照のこと)、より最近のヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kozborら(1983年)、Immunol Today、第4巻、72ページ)、EBVハイブリドーマ技法(Coleら(1985年)、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss,Inc.、77〜96ページ)、またはトリオーマ技法などの標準的な技法によってモノクローナル抗体を調製するのに使用することができる。モノクローナル抗体ハイブリドーマを産生する技法は周知である(全般的には、R.H.Kenneth、Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses、Plenum Publishing Corp.、New York、N.Y.(1980年);E.A.Lerner(1981年)、Yale J.Biol.Med.、第54巻、387〜402ページ;およびM.L.Gefterら(1977年)、Somatic Cell Genet.、第3巻、231〜36ページを参照のこと)。簡潔には、上述の通りに、GHRd3免疫原によって免疫処置された哺乳動物から得たリンパ球(通常、脾細胞)に、不死化細胞系(通常、骨髄腫)を融合し、この結果得られたハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリーニングして、GHRd3に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを特定する。
リンパ球と不死化細胞系とを融合させるのに用いられる多数ある周知の方法のいずれもが、抗GHRd3モノクローナル抗体を産生するために適用されうる(例えば、G.Galfreら(1977年)、Nature、第266巻、550〜52ページ;Gefterら、Somatic Cell Genet、同上;Lerner、Yale J Biol.Med、同上;Kenneth、Monoclonal Antibodies、同上を参照)。さらに、そのような方法の変法には、有用であるだろうものも多数あることが、当業者には理解されよう。不死化細胞系(例えば、骨髄腫細胞系)は、通常、リンパ球と同じ哺乳動物種から得る。例えば、本発明の免疫原性試料によって免疫処置されたマウスから得たリンパ球を、不死化されたマウス細胞系と融合させることによって、マウスハイブリドーマを産生することができる。好ましい不死化細胞系は、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含有する培養液(「HAT培養液」)に感受性のマウス骨髄腫細胞系である。多数ある骨髄腫細胞系、例えば、P3−NS1/1−Ag4−1、P3−×63−Ag8.653、またはSp2/O−Ag14骨髄腫系のいずれもが、標準的な技法による融合パートナーとして使用されうる。これらの骨髄腫系はATCCから入手できる。通常は、ポリエチレングリコール(「PEG」)を用いて、HAT感受性マウス骨髄腫細胞をマウス脾細胞に融合させる。その後、融合によって生じたハイブリドーマ細胞を、HAT培養液を用いて選択する。HAT培養液は、融合しなかった骨髄腫細胞、および非生産的に融合した骨髄腫細胞を殺す(融合しなかった脾細胞は、形質転換していないので、数日後に死ぬ)。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例えば、標準的なELISAアッセイを用いて、GHRd3に結合する抗体に関してハイブリドーマの培養上清をスクリーニングすることによって検出される。
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを調製する代わりに、コンビナトリアル組換え免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)をGHRd3でスクリーニングして、それによって、GHRd3に結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離することによって、モノクローナル抗GHRd3抗体を同定し、単離することができる。ファージディスプレイライブラリーの生成およびスクリーニングを行うキットが市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System、カタログ番号27-9400-01;及びStratagene SurfZAP(商標)Phage Display Kit、カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリーの生成およびスクリーニングに使用するのに特に適した方法および試薬の例は、例えば、Ladnerら、米国特許第5223409号;Kangら、PCT国際公開WO92/18619;Dowerら、PCT国際公開WO91/17271;Winterら、PCT国際公開WO92/20791;Marklandら、PCT国際公開WO92/15679;Breitlingら、PCT国際公開WO93/01288;McCaffertyら、PCT国際公開WO92/01047;Garrardら、PCT国際公開WO92/09690;Ladnerら、PCT国際公開WO90/02809;Fuchsら(1991年)、Bio/Technology、第9巻、1370〜1372ページ;Hayら(1992年)、Hum.Antibod.Hybridomas、第3巻、81〜85ページ;Huseら(1989年)、Science、第246巻、1275〜1281ページ;Griffithsら(1993年)、EMBO J、第12巻、725〜734ページ;Hawkinsら(1992年)、J.Mot.Biol.、第226巻、889〜896ページ;Clarksonら(1991年)、Nature、第352巻、624〜628ページ;Gramら(1992年)、PNAS、第89巻、3576〜3580ページ;Garradら(1991年)、Bio/Technology、第9巻、1373〜1377ページ;Hoogenboomら(1991年)、Nuc.Acid Res.、第19巻、4133〜4137ページ;Barbasら(1991年)、PNAS、第88巻、7978〜7982ページ;およびMcCaffertyら(1990年)、Nature、第348巻、552〜554ページに見いだすことができる。
抗GHRd3抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、アフィニティークロマトグラフィーおよび免疫沈降反応などの標準的な技法によってGHRd3を単離するのに使用できる。抗GHRd3抗体は、天然のGHRd3と、宿主細胞中で発現された組換え生成されたGHRd3とを細胞から精製するのを容易にできる。さらに、抗GHRd3抗体は、GHRd3タンパク質の存在量および発現パターンを評価するために、GHRd3タンパク質(例えば、細胞溶解物または細胞上清中の)を検出するのに用いることができる。抗GHRd3抗体は、診断において、例えば、所与の治療計画の有効性を判定するための臨床試験手順の一部として、組織におけるタンパク質レベルをモニターするのに使用できる。検出可能な物質に抗体を結合する(すなわち、物理的に連結する)ことによって、検出を容易にすることができる。検出可能な物質の例には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射性物質が含まれる。適当な酵素の例には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれる;適当な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれる;適当な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、またはフィコエリトリンが含まれる;発光物質の例には、ルミノールが含まれる;生物発光性物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが含まれる;そして、適当な放射性物質の例には、125I、131I、35S、または3Hが含まれる。
好ましい実施例では、実質上純粋なGHRd3タンパク質またはポリペプチドを取得する。最終試料中のタンパク質濃度は、例えば、Amiconフィルター装置で濃縮することによって、1mlあたり数マイクログラムのレベルに調整する。その後、このタンパク質に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を、以下の通りに調製することができる。(ハイブリドーマ融合によるモノクローナル抗体産生)GHRd3またはその部分のエピトープに対するモノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein(Nature、第256巻、495ページ、1975年)の古典的方法、またはその派生法(HarlowおよびLane、Antibodies A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、53〜242ページ、1988年を参照)に従って、マウスハイブリドーマから調製することができる。
簡潔には、数週間にわたり、数マイクログラムのGHRd3またはその部分を、マウスに繰り返し接種する。その後、マウスを屠殺して、脾臓の抗体産生細胞を単離する。この脾細胞を、ポリエチレングリコールによって、マウス骨髄腫細胞と融合させ、アミノプテリンを含む選択培地(HAT培地)によるシステムで増殖させることによって、過剰の非融合細胞を破壊する。うまく融合した細胞を希釈し、希釈物のアリコートをマイクロタイタープレートのウェルに移し、そこで培養の増殖を継続させる。抗体を産生するクローンは、Engvall,E., Meth.Enzymol.、第70巻、419ページ(1980年)によって最初に記載されたELISAなどの免疫検定法によって、ウェルの上清流体中の抗体を検出することによって特定する。選択された陽性クローンを拡張することが可能であり、それらのモノクローナル抗体産物を、使用するために回収する。モノクローナル抗体を産生する詳細な手順は、Davis,L.ら、Basic Methods in Molecular Biology Elsevier, New York、第21−2節に記載されている。
本発明の抗体組成物は、免疫ブロットまたはウエスタンブロット分析において、極めて有用であろう。この抗体は、ニトロセルロース、ナイロン、またはこれらの組合せなどの固形担体マトリクスに固定されたタンパク質を同定するための高親和性一次試薬として使用されうる。抗原を検出する際、その抗原を検出するのに使用する二次試薬が不利なバックグランドを引き起こす場合、免疫沈降反応と組み合わせ、続いてゲル電気泳動を行うことによって、これらの抗体は、その抗原を検出するのに使用するシングルステップ試薬として使用されうる。ウェスタンブロッティングと組み合わせて使用する免疫学ベースの検出方法は、この点において、特に有用であると考えられ、酵素、放射性標識、または蛍光によってタグ付けをされた、毒素部分に対する二次抗体を含む。そのような標識の使用に関する米国特許には、米国特許第3817837号;第3850752号;第3939350号;第3996345号;第4277437号;第4275149号;および第4366241号が含まれ、これらの開示のそれぞれを参照により本明細書に組み込む。当然ながら、当技術分野で公知なように、二次抗体またはビオチン/アビジンリガンド結合法など、2次結合リガンドを使用することによって、追加の利点があることもある。
(GH組成物の投与)
本発明によって使用されるGHは、いかなる出所から得られたものであっても、天然か、合成か、組換え型かにかかわらず、天然の配列、または変種型のものでありうる。例には、ヒト成長ホルモン(hGH)、すなわち、天然のGH、または天然のヒト配列を有する組換えGH(GENOTROPIN(商標)、ソマトトロピン、またはソマトロピン)と、組換え成長ホルモン(rGH)とが含まれ、ここで、組換え成長ホルモンは、ソマトレム、ソマトトロピン、およびソマトロピンを含めた、組換えDNA技術によって生成されたいかなるGHまたはGH変種も指す。N末端にメチオニンを有するか、または有しない組換えヒト天然配列成熟GHが、本発明でヒトに使用するのに好ましいものである。組換えヒトGHポリペプチドであるGENOTROPIN(商標)(Pharmacia、米国)が最も好ましい。1988年7月5日出願の米国特許第4755465号、およびGoeddelら、Nature、第282巻、544ページ(1979年)に記載の方法によって、大腸菌(E.coli)で生成されたメチオニルヒト成長ホルモン(met−hGH)も好ましい。met−hGHは、PROTROPIN(商標)(Genentech,Inc.、米国)として販売され、N末端にメチオニン残基があることを除けば、天然のポリペプチドと同一である。別の例には、NUTROPIN(商標)(Genentech,Inc.、米国)として販売されている組換えhGHがある。この後者のhGHは、このメチオニン残基をもたず、天然ホルモンと同一のアミノ酸配列を有する。Grayら、Biotechnology、第2巻、161ページ(1984年)を参照のこと。別のGHの例は、米国特許第4670393号に記載されているように、純粋に体細胞起原で乳腺刺激性の活性をもたない胎盤型GHであるhGH変種である。例えば、国際公開WO90/04788号およびWO92/09690号に記載のものなどのGH変種も含まれる。他の例には、先端巨大症の治療に使用できるペグビソマント(SOMAVERT(商標)、Pharmacia、米国)など、GHRアンタゴニストとして作用するGH組成物が含まれる。
GHは、非経口投与、鼻腔内投与、肺内投与、経口投与、または皮膚を通した吸収を含めたいかなる適当な技法によってでも、対象に直接投与することができる。GHは、局所投与することも、全身投与することもできる。非経口投与の例には、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、および腹腔内投与が含まれる。GHは、皮下注入で毎日投与することが好ましい。
治療に使用されるGHの処方および投薬は、個々の対象の臨床症状(特にGHのみの治療による副作用)、GH組成物の送達部位、投与方法、投与計画、および開業医に公知の他の因子を考慮に入れて、正しい医療行為に一致した方法で行われるだろう。したがって、本明細書において、各構成成分の「有効量」は、そのような要件によって決定され、対象の成長速度を増大させる量である。
用いられるGHの用量は、好ましくは約0.2mg/kg/週超、より好ましくは約0.25mg/kg/週超、そして、さらにより好ましくは約0.3mg/kg/週超である。一実施形態では、GHの用量は、約0.3から1.0mg/kg/週の範囲にあり、別の実施形態では、0.35から1.0mg/kg/週の範囲にある。
GHは、1日に1回、皮下投与することが好ましい。好ましい態様では、GHの用量は約0.001から0.2mg/kg/日である。GHの用量は、約0.010mg/kg/日と、0.10mg/kg/日との間であることが、さらにより好ましい。
既に論じたように、GHRd3アレルに関してホモ接合またはヘテロ接合である対象は、GHRflアレルに関してホモ接合である対象より、GHによる治療に対する陽性反応が大きいと予測される。好ましい態様では、GHRflアレルに関してホモ接合である対象に投与される用量は、GHRd3アレルに関してホモ接合またはヘテロ接合である対象に投与される用量より多いだろう。
GHは、連続的に投与するのにも、非連続的に投与するのにも適しており、非連続的な投与は、特定の時間(例えば、1日に1回)に、特定の用量を注射するものなどであり、この場合、注射を行った時点で、血漿中GH濃度が上昇することになり、そしてその後、次の注射の時間まで血漿中GH濃度が低下することになる。別の非連続投与法は、PLGAミクロスフェアと、有効成分の非連続的な放出を提供するのに利用可能な多くのインプラント装置とを使用することで行われ、有効成分の初期バースト、そして、次に放出前のラグなどが提供される。例えば、米国特許第4767628号参照。
GHは、血中でGHが連続的に存在し、それがGHを投与する期間を通じて維持されるように投与することもできる。これは、例えば、浸透圧ミニポンプなどのミニポンプによる持続注入によって行われるのが最も好ましい。別法では、GHを頻繁に注射する(すなわち、1日1回より多く、例えば、1日に2回または3回)ことで、これが適切に達成される。
さらに別の実施形態では、血液からのGHのクリアランスを遅延させるか、例えば、注射部位からのGHの遅延放出を引き起こす長時間作用型のGH製剤を用いてGHを投与してもよい。GHの血漿クリアランスを延長する長時間作用型製剤は、1つまたは複数の結合タンパク質(国際公開WO92/08985号)、またはPEG、ポリプロピレングリコールホモポリマー、およびポリオキシエチレンポリオールからなる群から選択された水溶性高分子、すなわち室温で水に可溶性である高分子などの高分子にGHが複合体化または共有結合した(可逆的または不可逆的な結合形成による)形態のものでありうる。別法として、その循環半減期を延長するために、GHを重合体に複合体化または結合させてもよい。この目的に有用なポリエチレンポリオールおよびポリオキシエチレンポリオールの例には、ポリオキシエチレングリセロール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビトール、ポリオキシエチレングルコース、または同様のものが含まれる。ポリオキシエチレングリセロールのグリセロールバックボーンは、例えば、動物およびヒトに存在するモノ−、ジ−、およびトリグリセリドのバックボーンと同じである。
重合体は、特定の分子量である必要はないが、好ましくは、分子量が約3500と100000との間であり、より好ましくは5000と40000との間である。PEGホモポリマーは非置換型であることが好ましいが、一末端がアルキル基で置換されているものでもよい。好ましくは、アルキル基はC1〜C4アルキル基であり、最も好ましくはメチル基である。重合体は、PEGの非置換型ホモポリマー、PEGのモノメチル置換ホモポリマー(mPEG)、またはポリオキシエチレングリセロール(POG)であり、かつ分子量が約5000から40000であることが最も好ましい。
GHは、主として反応条件、重合体分子量などに応じて、GHのアミノ酸残基1つまたは複数を介して、重合体の一末端にある反応基に共有結合によって結合される。反応基を有する重合体は、本明細書において、活性重合体と呼ばれる。反応基は、GH上の遊離アミノ基、または他の反応基と選択的に反応する。しかし、最適の結果を得るために選択される反応基のタイプおよび量、ならびに利用される重合体のタイプは、反応基がGH上で特に活性な基と過多に反応するのを避けるために、利用される特定のGHに依存したものであろうことが理解されよう。これを完全に避けることは可能でありえないので、タンパク質濃度に応じて、タンパク質の1モルあたりの活性重合体を、概ね約0.1から1000モル、好ましくは2〜200モルにすることが推奨される。タンパク質の1モルあたりにおける活性重合体の最終量は、至適活性を維持し、かつ同時に、できればタンパク質の循環の半減期を最適化する均衡のとれている量である。
この残基は、1つまたは2つのシステインまたはN末端アミノ酸基など、このタンパク質上のいかなる反応性アミノ酸でもよいが、反応性アミノ酸はリジン、またはグルタミン酸もしくはアスパラギン酸であることが好ましく、リジンは、その遊離エプシロンアミノ基を介して活性重合体の反応基に連結され、グルタミン酸またはアスパラギン酸は、アミド結合を介して重合体に連結される。
共有結合修飾反応は、生物学的に活性な物質を、不活性な重合体と反応させる際に通常使用するいかなる適切な方法でも起こりうるが、GH上の反応基がリジン基である場合には、好ましくはpHが約5〜9であり、より好ましくは7〜9である。この方法では、通常、活性重合体(少なくとも1つの端末水酸基を有する)を調製し、この重合体から活性基質を調製し、その後、剤形に適したGHを生成するために活性基質とGHとを反応させる。上記の修飾反応は、いくつかの方法で行うことができ、それらは1つまたは複数のステップを行うものでありうる。ワンステップ反応で活性重合体を生成するのに使用できる変性剤の例には、塩化シアヌル酸(2,4,6−トリクロロ−S−トリアジン)、およびフッ化シアヌル酸が含まれる。
一実施形態では、修飾反応が2ステップで起こり、まず重合体を、無水コハク酸、無水グルタル酸などの酸無水物と反応させてカルボン酸を生成し、次に、そのカルボン酸を、カルボン酸と反応できる化合物と反応させて、GHと反応できる反応性エステル基を有する活性重合体を形成させる。そのような化合物の例には、N−ヒドロキシサクシンイミド、4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゼンスルホン酸、および同様のものが含まれ、好ましくは、N−ヒドロキシサクシンイミドまたは4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゼンスルホン酸が使用される。例えば、モノメチル置換されたPEGは、グルタル酸無水物と昇温下、好ましくは約100〜110℃で、4時間反応させてもよい。こうして生成されたモノメチルPEGグルタル酸を、次に、ジシクロヘキシルまたはイソプロピルカルボジイミドなどのカルボジイミド試薬の存在下で、N−ヒドロキシサクシンイミドと反応させて、次にGHと反応できる活性重合体、メトキシポリエチレングリコリル−N−サクシニミジルグルタル酸を生成する。この方法は、Abuchowskiら、Cancer Biochem.Biophys.、第7巻、175〜186ページ(1984年)に詳細に記載されている。別の例では、モノメチル置換されたPEGを無水グルタル酸と反応させ、それに続いて、ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で、4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゼンスルホン酸(HNSA)と反応させて、活性重合体を生成する。HNSAに関しては、Bhatnagarら、Peptides: Synthesis-Structure-Function,Proceedings of the Seventh American Peptide Symposium、Richら(編集)(Pierce Chemical Co., Rockford, Ill., 1981年)、97〜100ページ;及びNiteckiら、High-Technology Route to Virus Vaccines (American Society for Microbiology:1986年)、標題「Novel Agent for Coupling Synthetic Peptides to Carriers and Its Applications」に記載されている。
PEGに結合されたGHを生成する特定の方法には、PEG−GHに関する米国特許第4179337号と、GHに可逆的に、しかし共有結合によって連結されたPEGを開示する米国特許第4935465号とに記載されている方法が含まれる。
GHは、持続放出システムによっても適切に投与されうる。本発明に有用な持続放出組成物の例には、造形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態にある準透過性の重合体マトリックスが含まれる。持続放出マトリクスには、ポリラクチド(米国特許第3773919号、欧州特許第58481号)、L−グルタミン酸およびガンマ−エチル−L−グルタミン酸の共重合体、(Sidmanら、Biopolymers、第22巻、547〜556ページ(1983年)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリル酸)(Langerら、J.Biomed.Mater.Res.、第15巻、167〜277ページ(1981年);Langer、Chem.Tech、12巻、98〜105ページ(1982年)エチレン酢酸ビニル(Langerら、同上)、ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133988号)、またはPLGAミクロスフェアが含まれる。
持続放出GH組成物には、リポソームに捕捉されているGHも含まれる。GHを含有するリポソームは、それ自体公知の方法によって調製される:独国特許第3218121号;Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第82巻、3688〜3692ページ(1985年);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第77巻、4030〜4034ページ(1980年);欧州特許第52322号;欧州特許第36676号;欧州特許第88046号;欧州特許第143949号;欧州特許第142641号;日本特許出願83−118008号;米国特許第4485045号および第4544545号;および欧州特許第102324号。通常、このリポソームは、小さい(約200〜800オングストローム)単ラメラタイプのものであり、これは、脂質含量が約30モルパーセントコレステロールを越えるが、選択される比率は最適の治療のために調整される。さらに、米国特許第4857505号に記載されているように、生物学的に活性な持続放出製剤は、活性多糖に共有結合で結合したGHの付加物から調製することができる。さらに、米国特許第4837381号は、脂肪、ワックス、およびそれらの混合物によるミクロスフェア組成物と、遅延放出用のGHとを記載する。
別の実施形態では、上記に特定された対象が有効量のIGF−Iでも治療される。一般的に言って、非経口的に投与されるIGF−Iの薬学的に有効な量は、単位用量あたり合計で、対象の体重あたり50から240μg/kg/日の範囲、好ましくは100から200μg/kg/日の範囲にあるだろう。ただし、上述の通り、これは治療上の判断に大きく依存するするだろう。また、IGF−Iは1日1回または2回、皮下注射で投与することが好ましい。別の実施形態では、IGF−IおよびGHの両方が、それぞれ有効量で、または、それぞれ最適以下の量であるが、併用した際には有効である量で、対象に投与されうる。好ましくは約0.001から0.2mg/kg/日で、より好ましくは約0.01から0.1mg/kg/日でGHを投与する。IGF−IおよびGHを両方投与するには、注射によって、例えば、静脈内または皮下に行うのが好ましい。IGF−IおよびGH両方の投与は、より好ましくは皮下注射によって、最も好ましくは毎日の注射で行う。
IGF−IおよびGH両方の用量を考慮する開業医は、これらのホルモンによる治療における公知の副作用を考慮に入れるべきであることに注意されたい。GHの副作用には、ナトリウム貯留および細胞外容積の膨張(Ikkosら、Acta.Endocrinol.(Copenhagen)、第32巻、341〜361ページ(1959年);Biglieriら、J.Clin.Endocrinol.Metab.、第21巻、361〜370ページ(1961年))、ならびに高インシュリン血症および高血糖が含まれる。IGF−Iの主要な顕性副作用は低血糖である(Gulerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第86巻、2868〜2872ページ(1989年))。実際のところ、GHの分泌はIGF−Iによって抑制され、IGF−IおよびGHの併用は、両方の薬剤の好ましくない副作用(例えば、IGF−Iによる低血糖、およびGHによる高インシュリン血症)の軽減と、GHの血中濃度の回復とを導きうる。
非経口投与用には、GHは、一実施形態において、通常、所望の純度のGHを、注入可能な単位用量形態(溶液、懸濁液、またはエマルジョン)で、薬学的に許容される担体、すなわち、使用される用量および濃度において、受容者に非毒性であり、その製剤の他の成分と適合性がある担体と混合することによって処方される。例えば、製剤は、酸化剤、およびポリペプチドに有害であることが知られている他の化合物を含んでいないことが好ましい。通常、製剤は、GHを液体担体、細粉化された固形担体、またはその両方と接触させることによって調製される。その後、必要に応じて、この産物を所望の剤形に形成する。担体は、好ましくは非経口担体であり、より好ましくは受容者の血液と等張な溶液である。そのような担体賦形剤の例には、水、食塩水、リンゲル液、およびブドウ糖溶液が含まれる。また、不揮発性油およびオレイン酸エチルなどの非水性賦形剤も、リポソームと同様に本発明で有用である。
担体は、等張性および化学安定性を促進する物質など、小量の添加物を含有するのが適当である。そのような物質は、使用される用量および濃度において受容者に対して非毒性であり、これには、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、および他の有機酸またはその塩などの緩衝剤;アスコルビン酸などの酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、例えば、ポリアルギニンまたはトリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンなどのタンパク質;免疫グロブリン;ポリビニルピロリドンなどの親水性重合体;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニンなどのアミノ酸;セルロースもしくはその誘導体、グルコース、マンノース、またはデキストリンを含めた単糖、二糖、および他の炭化水素;EDTAなどのキレート剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの対イオン;および/またはポリソルベート、ポロキサマ、またはPEGなどの非イオン性界面活性剤が含まれる。
通常、GHは、そのような賦形剤に、pH約4.5から8、濃度約0.1mg/mLから100mg/mL、好ましくは約1〜10mg/mLで、個々に処方される。GHのpHは7.4〜7.8であることが好ましい。上記の賦形剤、担体、または安定化剤のあるものを使用することによってGH塩が形成されることが理解されよう。
GHは、いかなる適切な方法でも処方されうるが、GHの好ましい製剤は以下の通りである。好ましいhGH(GENOTROPIN(商標))では、0.2mg、0.4mg、0.6mg、0.8mg、1.0mg、1.2mg、1.4mg、1.6mg、1.8mg、または2.0mgの組換えソマトロピンを含有する1回投与シリンジ。上記GENOTROPIN(商標)シリンジは、全0.25mlに0.21mgグリシン、12.5mgマンニトール、0.045mgリン酸一ナトリウム、0.025mgリン酸二ナトリウム、および水も含有している。
met−GH(PROTROPIN(商標))では、2.0mg/mL met−GH、16.0mg/mLマンニトール、0.14mg/mLリン酸ナトリウム、および1.6mg/mLリン酸ナトリウム(一塩基一水和物)、pH7.8を含有する凍結乾燥前のバルク溶液。met−GHの5mgバイアルは、5mg met−GH、40mg マンニトール、および1.7mg全リン酸ナトリウム(乾燥重量)(2塩基無水)、pH7.8を含有する。10mgバイアルは、10mg met−GH、80mgマンニトール、および3.4mgの全リン酸ナトリウム(乾燥重量)(2塩基無水)、pH7.8を含有する。
metless−GH(NUTROPIN(商標))では、2.0mg/mL GH、18.0mg/mLマンニトール、0.68mg/mLグリシン、0.45mg/mLリン酸ナトリウム、および1.3mg/mLリン酸ナトリウム(一塩基一水和物)、pH7.4を含有する凍結乾燥前のバルク溶液。5mgバイアルは、5mg GH、45mgマンニトール、1.7mgグリシン、および1.7mg全リン酸ナトリウム(乾燥重量)(2塩基無水)、pH7.4を含有する。10mgバイアルは、10mg GH、90mgマンニトール、3.4mgグリシン、および3.4mg全リン酸ナトリウム(乾燥重量)(2塩基無水)を含有する。
別法として、NUTROPIN(商標)hGHの液体製剤、例えば、5.0+−0.5mg/mL rhGH;8.8+−0.9mg/mL塩化ナトリウム;2.0+−0.2mg/mLポリソルベート20;25+−0.3mg/mLフェノール;2.68+−0.3mg/mLクエン酸ナトリウム二水和物;および0.17+−0.02mg/mlクエン酸無水(全無水クエン酸ナトリウム/クエン酸は、2.5mg/mL、または10mMである);pH6.0+−0.3を用いることができる。この製剤は、10mgバイアルに入れるのが適切であり、この場合、3ccのガラスバイアル中に上記製剤2.0mLが入れられる。別法として、上記製剤を含有する10mg(2.0mL)カートリッジを、対象に液体GHを注射するための注射ペンに設置することもできる。
治療上の投薬に使用されるGH組成物は無菌であることが好ましい。無菌性は、無菌濾過膜(例えば、0.2ミクロン膜)を通す濾過によって容易に達成される。治療用GH組成物は、通常、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、静脈注射用の溶液バッグ、または皮下注射針で貫通可能な栓を有するバイアルに入れられる。
GHは、通常、水溶液として、または再構成用凍結乾燥製剤として、単位用量または複数用量容器、例えば、密封されたアンプルまたはバイアル中に保存されるだろう。凍結乾燥製剤の一例は、バイアルに無菌濾過した水性GH溶液を入れ、その結果得られた混合物を凍結乾燥したものである。輸液剤は、静菌性注射用蒸留水を用いて、凍結乾燥したGHを再構成することによって調製される。
(薬物スクリーニングアッセイ)
GHRflアレルに関してホモ接合である個体と比較して、GHRd3アレルを保持する個体は、GHR経路を介して作用する薬剤による治療に対する陽性反応が増大しているという発見は、GHR経路を介して作用する治療薬を評価するのに使用できるアッセイを提供した。例えば、GHRd3ベースのスクリーニングアッセイでは、GHR活性、または、GHRd3に対する結合が評価されるが、そのようなアッセイを用いて、GHRd3アレルを発現する個体を治療するのに最も有用であろう薬剤の同定を行うことができる。以下にさらに記載するように、試験される薬剤には、ソマトトロピンまたはソマトロピン、好ましくはGENOTROPIN(商標)、PROTROPIN(商標)、もしくはNUTROPIN(商標)、またはペグビソマント、好ましくはSOMAVERT(商標)を含めたGH組成物など、疾患を治療するのに有用であることが公知である薬剤、または、疾患の治療に有用であることがまだ知られていない薬剤が含まれる。
一態様において、本発明は細胞ベースのアッセイを提供するが、このアッセイでは、試験化合物を、GHRd3タンパク質またはその生物学的に活性な部分を発現する細胞と接触させ、この試験化合物がもつGHR活性を変調する能力を測定する。GHR活性を変調する(例えば、刺激または阻害する)、試験化合物の能力は、GHRポリペプチドの活性をモニターすることによって測定することができる。GHR活性の検出は、適当かつ検出可能ないかなる活性の評価も含みうるが、これには、以下でさらに論じるように、例えば、試験化合物によって誘発される細胞増殖、GHRの細胞内移行、および/またはシグナル伝達が含まれる。
好ましい実施形態では、本発明は、候補GHR変調因子(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)を同定する方法であって、a)GHRd3ポリペプチドを含む細胞を提供すること;b)上記細胞を試験化合物と接触させること;および、c)上記化合物がGHR活性を選択的に刺激または阻害するかどうか判定することを含む方法を提供する。一実施形態では、この方法は、a)ヒト細胞(好ましくは293細胞)を提供すること;b)GHRd3ポリペプチドをエンコードする核酸配列を含むベクターを、上記細胞に導入すること;c)上記細胞を試験化合物と接触させること;および、d)GHR活性を検出することを含む。上記化合物がGHR活性を阻害することを検出すれば、それは上記化合物が候補GHRd3阻害物質であることを示す。上記化合物がGHR活性を刺激することを検出すれば、それは上記化合物が候補GHRd3アゴニストであることを示す。別の実施例では、この方法は、a)アフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞を提供すること;b)GHRd3 cRNAを上記アフリカツメガエル卵母細胞に導入すること;c)上記アフリカツメガエル卵母細胞を試験化合物と接触させること;および、d)上記アフリカツメガエル卵母細胞でGHR活性を検出することを含む。ここでも、上記化合物がGHR活性を刺激することを検出すれば、それは上記化合物が候補GHRd3アゴニストであることを示す。上記化合物がGHR活性を阻害することを検出すれば、それは上記化合物が候補GHRd3アンタゴニストであることを示す。スクリーニングアッセイに関しては、GHRd3/flヘテロ二量体のコンテクストにおいて、下記でより詳細に説明する。
(GHRd3/GHRflヘテロ二量体)
(GHRd3/flヘテロ二量体活性を評価する方法)
既に論じたように、本発明は、GHRflポリペプチドとのヘテロ二量体としてGHRd3ポリペプチドが天然に存在しうることを提供する。したがって、本発明はGHRd3ポリペプチドの活性を評価する方法を提供する。好ましい態様では、本発明は、GHRd3ポリペプチドおよびGHRflポリペプチドを含むポリペプチド複合体の活性を検出することを含む。したがって、本発明は、GHRd3ポリペプチドを含むGHRポリペプチド複合体の活性を評価する方法を提供する。好ましくは、この複合体は、GHRd3ポリペプチド、GHRflポリペプチド、およびGHポリペプチドを含む複合体である。
本発明は、機能的な変種GHRd3ヌクレオチド配列を取得するか、またはその活性を試験する方法であって、変種または改変GHRd3核酸を提供し、さらに、ポリペプチドがエンコードされているかどうか評価して、それによって、GHR活性を提示する方法を提供する。したがって、GHRd3ポリペプチドの機能を評価する方法であって、(a)GHRd3ポリペプチドおよびGHRflポリペプチドを提供すること;および、(b)GHR活性を評価することを含む方法も包含される。無細胞(例えば、膜ベース)、細胞ベース、およびin vivoフォーマットを含めたいかなる適当なフォーマットを用いてもよい。例えば、上記アッセイは、宿主細胞中でGHRd3およびGHRfl核酸を発現すること、および、上記細胞でGHR活性を観測することを含みうる。別の例では、GHRd3およびGHRflポリペプチドを細胞に導入して、GHR活性を観測する。別の例では、GHRflポリペプチドを発現する細胞にGHRd3ポリペプチドを導入して、GHR活性を観測する。
好ましい実施形態では、GHR活性の検出は、GHRタンパク質が下流エフェクター(例えば、GHR媒介シグナル伝達経路のコンポーネント)の活性をさらに変調する能力の測定を含む。例えば、上記に記載したように、適当な標的上でのエフェクター分子の活性を測定することができ、さもなくば、適当な標的に対するエフェクターの結合を測定することができる。Jak−2/Stat−5シグナリングを評価することが好ましい。他の好ましい実施形態では、GHR活性の検出は、GHRリガンドによって誘発される細胞増殖、GHRリガンドに対するGHRの結合、GHRおよび/またはリガンドの細胞内移行を含めた、適当かつ検出可能ないかなる活性の評価を含んでもよい。上記GHRリガンドは、GHポリペプチドであることが最も好ましい。これらの方法は、GHRd3およびGHRflポリペプチドを含むGHRヘテロ二量体の活性の試験を可能にするものである。
GHRd3活性を評価する方法は、改変されたGHRd3ポリペプチドを特徴付けるのに有用でありうる。例えば、必須アミノ酸残基または必須ではないアミノ酸残基に変異を有するGHRd3ポリペプチドを特徴付けすることができる。「必須ではない」アミノ酸残基でアミノ酸置換を引き起こすヌクレオチド置換は、GHRd3配列中に導入することができる。「必須ではない」アミノ酸残基は、生物活性を変化させずに、GHRd3ポリペプチドの野生型配列から改変できる残基であり、一方、「必須な」アミノ酸残基は、生物活性に必要な残基である。例えば、本発明のGHRd3タンパク質の間で保存されているアミノ酸残基は、改変によって影響を受け難いことが予測される。さらに、追加保存されたアミノ酸残基は、本発明のGHRd3タンパク質の間で保存されているアミノ酸であるかもしれない。他の例として、GHRd3配列の集団内で天然に存在しうるアレル変種では、変異によって、GHRd3核酸のヌクレオチド配列が変化し、それによって、エンコードしているGHRd3タンパク質のアミノ酸配列が変化しており、その結果、GHRd3タンパク質の機能が変化していることも、変化していないこともある。
(薬物スクリーニング.アッセイ)
本発明は、GHR経路を介して作用するGHRアゴニストおよびアンタゴニスト、すなわち、候補または試験化合物または薬剤(例えば、ペプチド、ペプチドミメティック、小分子、または他の薬物、好ましくはポリペプチド)を同定および/または評価する方法を提供する。GHRアゴニストおよびアンタゴニストは、好ましくはGHRd3タンパク質およびGHRflタンパク質に結合する化合物であり、好ましくはそれによって、GHRd3ポリペプチド、GHRfIポリペプチド、および上記化合物を含む複合体を形成する。アッセイは、細胞ベースアッセイでも、非細胞ベースアッセイでもよい。好ましい非細胞ベースアッセイは、膜ベースアッセイである。本明細書において、アッセイは、「スクリーニングアッセイ」と呼ばれることもある。スクリーニングアッセイは、結合アッセイでも、他の機能アッセイでもよく、同様に、適当かつ公知のいかなるGHR活性アッセイに基づくものであってもよい。
一態様では、アッセイは、細胞ベースアッセイであり、このアッセイでは、GHRd3タンパク質およびGHRflタンパク質、またはこれらの生物学的に活性な部分を発現する細胞を、試験物質に接触させ、GHR活性を変調するテスト化合物の能力を測定する。GHR活性を変調する(例えば、刺激または阻害する)、試験化合物の能力は、GHRポリペプチド(例えば、GHRd3およびGHRflタンパク質を含むGHRポリペプチド複合体)の活性をモニターすることによって測定することができる。GHR活性の検出は、適当かつ検出可能ないかなる活性の評価も含みうるが、これには、例えば、試験化合物によって誘発される細胞増殖、GHRの細胞内移行、および/またはシグナル伝達が含まれる。
好ましい実施形態では、本発明は、候補GHR変調因子(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)を同定する方法であって、a)GHRd3およびGHRflポリペプチドを含む細胞を提供すること;b)上記細胞を試験化合物と接触させること;および、c)上記化合物がGHR活性を選択的に刺激または阻害するかどうか判定することを含む方法を提供する。一実施形態では、この方法は、a)ヒト細胞(好ましくは293細胞)を提供すること;b)GHRd3ポリペプチドをエンコードする核酸配列を含むベクターを、上記細胞に導入すること、および任意選択で、GHRflポリペプチドをエンコードする核酸配列を含むベクターを上記細胞に導入すること;c)上記細胞を試験化合物と接触させること;ならびに、d)GHR活性を検出することを含む。上記化合物がGHR活性を阻害することを検出すれば、それは上記化合物が候補GHRd3/GHRflヘテロ二量体阻害物質であることを示す。上記化合物がGHR活性を刺激することを検出すれば、それは上記化合物が候補GHRd3/GHRflヘテロ二量体アゴニストであることを示す。別の実施例では、この方法は、a)アフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞を提供すること;b)GHRd3 cRNA、および任意選択でGHRfl cRNAを上記アフリカツメガエル卵母細胞に導入すること;c)上記アフリカツメガエル卵母細胞を試験化合物と接触させること;および、d)上記アフリカツメガエル卵母細胞でGHR活性を検出することを含む。ここでも、上記化合物がGHR活性を刺激することを検出すれば、それは上記化合物が候補GHRd3/GHRflヘテロ二量体アゴニストであることを示す。上記化合物がGHR活性を阻害することを検出すれば、それは上記化合物が候補GHRd3/GHRflヘテロ二量体アンタゴニストであることを示す。
GHR活性の検出は、適当かつ検出可能ないかなる活性の評価も含みうるが、これには、細胞増殖、GHRリガンド(例えば、GHポリペプチド)に対するGHRの結合、GHRおよび/またはGHRリガンドの細胞内移行、ならびに/あるいはGHR媒介シグナル伝達が含まれる。
293細胞におけるGHR媒介Jak2−Stat5シグナル伝達のGHR機能アッセイの一例は、Maamraら(1999年)、J.Biol.Chem.、第274巻、14791〜14798ページに記載されており、この開示を参照により本明細書に組み込む。アフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞におけるGHR機能アッセイの一例は、Urbanekら(1993年)、J.Biol.Chem.、第268(25)巻、19025〜19032ページに記載されており、この開示を参照により本明細書に組み込む。cDNAテンプレートの生成、in vitro転写および翻訳、卵母細胞注入、注入されたmRNA安定性分析、GHRに対するGH結合の測定、ならびに受容体内部移行分析の方法は、本質的にはUrbanekら(1993年)に記載されている通りに実行することができる。
別の好ましい態様では、アッセイは、細胞ベースの結合アッセイであり、このアッセイでは、GHRd3タンパク質およびGHRflタンパク質、またはこれらの生物学的に活性な部分を発現する細胞を、試験化合物と接触させ、GHRポリペプチドに対する試験化合物の結合能を測定する。別の態様では、アッセイは、非細胞ベースの結合アッセイであり、GHRd3タンパク質およびGHRflタンパク質、またはこれらの生物学的に活性な部分を含む膜を、試験化合物と接触させ、GHRポリペプチドに対する試験化合物の結合能を測定する。GHR(例えば、GHRd3またはGHRfl)ポリペプチドに対する試験化合物の結合能は、公知の方法を用いて測定することができる。
結合アッセイは、例えば、a)GHRd3およびGHRflポリペプチドを含む細胞を提供すること;b)上記細胞を試験化合物と接触させること;およびc)上記化合物がGHRポリペプチドに選択的に結合するかどうか測定することを含みうる。一実施形態では、この方法は、a)ヒト細胞(好ましくは293細胞)を提供すること;b)GHRd3ポリペプチドをエンコードする核酸配列を含むベクターを、上記細胞に導入すること、および、任意選択で、GHRflポリペプチドをエンコードする核酸配列を含むベクターを、上記細胞に導入すること;c)上記細胞を試験化合物と接触させること;およびd)上記化合物がGHRポリペプチドに選択的に結合するかどうか検出することを含む。上記化合物がGHRポリペプチドに結合することを検出すれば、それは上記化合物が候補GHRd3/GHRflヘテロ二量体変調因子であることを示す。別の例では、この方法は、a)アフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞を提供すること;b)GHRd3 cRNA、および任意選択でGHRf1 cRNAを上記アフリカツメガエル卵母細胞に導入すること;c)上記アフリカツメガエル卵母細胞を試験化合物と接触させること;およびd)上記化合物がGHRポリペプチドに選択的に結合するかどうか検出することを含む。ここでも、上記化合物がGHRポリペプチドに結合することを検出すれば、それは上記化合物が候補GHRd3/GHRflヘテロ二量体変調因子であることを示す。
293細胞ベースのGHR結合アッセイの一例は、Rossら(2001年)、J.Clin.Endocrinol.Metabol.、第86(4)巻、1716〜1723ページに記載されており、この開示を参照により本明細書に組み込む。
上記アッセイで用いられる細胞は、GHRflポリペプチドを発現する293細胞であることが好ましい。GHRを発現する293細胞は、Maamraら(1999年)、J.Biol.Chem.、第274巻、14791〜14798ページに記載されており、この開示を参照により本明細書に組み込む。
そのようなアッセイは、GHポリペプチド、またはそのフラグメントもしくは変種を試験するのに特に有用でありうる。例えば、ポリエチレングリコール分子を連結することによって、血液循環時間が延長されるように改変されているGHポリペプチドが特に好ましい。他の実施形態では、GHポリペプチドは、GHRタンパク質に結合する(例えば、好ましくは、GHRd3およびGHRf1タンパク質を含む複合体を形成する)が、GHR活性を刺激しないGHポリペプチドなどのGHRアンタゴニストでありうる。
別の実施形態では、このアッセイは、GHRd3タンパク質およびGHRflタンパク質、またはこれらの生物学的に活性な部分を発現する細胞を、GHRリガンドと接触させて、アッセイ混合物を形成させること、アッセイ混合物を試験化合物と接触させること、およびGHR活性を検出することを含む。この方法は、GHRタンパク質(例えば、GHRd3およびGHRflタンパク質、またはこれらの生物学的に活性な部分を含むGHR二量体)の活性を刺激または阻害する試験化合物の能力を測定することを含み、GHRタンパク質の活性を阻害する、試験化合物の能力を測定することが、GHRd3とGHRflとを発現する細胞の生物活性を阻害する、試験化合物の能力を測定する(例えば、シグナル伝達またはタンパク質間相互作用を阻害する、試験化合物の能力を測定する)ことを含むものであることが好ましい。
GHRリガンドと結合または相互作用する、GHRタンパク質の能力は、直接結合を測定する上記の方法の1つによって測定することができる。他の実施形態では、GHRリガンド分子と結合または相互作用する、GHRd3タンパク質、またはGHRd3タンパク質を含む複合体の能力は、標的の細胞性セカンドメッセンジャー(すなわち、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3など)の誘導を検出することによって、または適切な基質に対する触媒活性/酵素活性を検出することによって、またはレポーター遺伝子(検出可能なマーカー、例えばルシフェラーゼをエンコードする核酸に作用可能に連結された反応性調節エレメントを含む)の誘導を検出することによって、またはGHR調節性の細胞反応、例えば、シグナル伝達またはタンパク質間相互作用を検出することによって測定することができる。
さらに別の実施形態では、本発明のアッセイは無細胞アッセイであり、このアッセイでは、GHRd3タンパク質およびGHRflタンパク質、またはこれらの生物学的に活性な部分を膜に提供し、GHRタンパク質または膜を試験化合物と接触させ、GHRタンパク質(例えば、GHRd3および/またはGHRflタンパク質)またはその生物学的に活性な部分に対する試験化合物の結合能を測定する。GHRd3タンパク質に対する試験化合物の結合は、上記の通り、直接的または間接的に測定することができる。好ましい実施形態では、このアッセイは、GHRタンパク質(例えば、GHRヘテロ二量体)またはその生物学的に活性な部分を、GHポリペプチドなど、GHRに結合する公知の化合物と接触させて、アッセイ混合物を形成し、このアッセイ混合物を試験化合物と接触させ、GHRタンパク質と相互作用する、試験化合物の能力を測定することを含み、GHRヘテロ二量体タンパク質と相互作用する、試験化合物の能力を測定することが、公知の化合物と比較して、GHRタンパク質またはその生物学的に活性な部分に選択的に結合する、試験化合物の能力を測定することを含むものである。
別の実施形態では、このアッセイは無細胞アッセイであり、このアッセイでは、GHRd3タンパク質およびGHRflタンパク質、またはこれらの生物学的に活性な部分を膜に提供し、このポリペプチドまたは膜を試験化合物と接触させ、GHRタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を変調する(例えば、刺激または阻害する)、試験化合物の能力を測定する。GHR活性を変調する、試験化合物の能力は、例えば、細胞増殖、GHRリガンド(例えば、GHポリペプチド)に対するGHRの結合、GHRおよび/またはGHRリガンドの細胞内移行、ならびに/あるいはGHR媒介シグナル伝達を含めた、適当かつ検出可能なGHR活性のいずれを評価することによっても測定できる。
GHR活性を阻害する、試験化合物の能力の測定は、例えば、GH分子タンパク質、またはその部分もしくは誘導体などの試験化合物を、放射性同位元素または酵素標識に結合させることによっても実施できる。これによって、GHRヘテロ二量体に対するGH分子の結合を、複合体中にある標識されたGHタンパク質またはその生物学的に活性な部分を検出することで測定できるようになる。例えば、化合物(例えば、GHタンパク質またはその生物学的に活性な部分)は、125I、35S、14C、または3Hで、直接的または間接的に標識することができ、放射性同位元素は、放射線の直接計数またはシンチレーション計測で検出できる。別法として、化合物は、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、またはルシフェラーゼを用いて酵素で標識することもでき、酵素標識は、適当な基質が産物に転換されるのを測定することによって検出できる。
GHRポリペプチド(例えば、GHRd3/GHRflヘテロ二量体)と相互作用する、化合物(例えば、GHタンパク質またはその部分もしくはフラグメント)の能力を、いかなる反応体も標識せずに測定することも、本発明に包含される。化合物と、それによって認識される標的分子との相互作用を、化合物も、受容体も標識せずに検出するには、例えば、マイクロフィジオメータを用いることができる。McConnell,H.M.ら(1992年)、Science、第257巻、1906〜1912ページ。細胞センサなどのマイクロフィジオメータは、細胞が環境を酸性化する速度を、光でアドレス可能な電位差測定センサ(LAPS)を用いて測定する分析装置である。この酸性化速度における変化を、化合物と受容体との相互作用の指標として用いることができる。
GHRリガンドまたは試験化合物に対する、GHRタンパク質の結合能は、リアルタイム生体分子間相互作用分析(BIA)などの技術を用いることによっても測定できる。Sjolander,S.及びUrbaniczky,C.(1991年)、Anal.Chem.、第63巻、2338〜2345ページ、及びSzaboら、(1995年)、Curr.Opin.Struct.Biol.、第5巻、699〜705ページ。本明細書において、「BIA」は、いかなる反応体も標識せずに、リアルタイムで生物特異性相互作用を研究する技術である(例えば、BIAcore)。表面プラズモン共鳴(SPR)における光学現象の変化は、生物分子間のリアルタイム反応の指標として用いることができる。
(試験化合物)
「候補」または「試験」化合物または「薬剤」(例えば、試験GHRアゴニストおよびアンタゴニスト)は、ポリペプチド、ペプチド、ペプチドミメティック、小分子、および他の薬物を含めた、いかなる適当な形態のものでもありうる。上記化合物または薬剤には、疾患の治療に有用であることが公知のものも、疾患の治療に有用であることがまだ知られていない薬剤も含まれる。
好ましい実施形態では、試験化合物はGHポリペプチドである。好ましいGHは、いかなる出所から得られたものであっても、天然か、合成か、組換え型かにかかわらず、天然の配列、または変種型のものでありうる。例には、ヒト成長ホルモン(hGH)、すなわち、天然のGH、または天然のヒト配列を有する組換えGHと、組換え成長ホルモン(rGH)とが含まれ、ここで、組換え成長ホルモンは、組換えDNA技術によって生成されたいかなるGHまたはGH変種も指す。一態様では、GHは、GHR受容体を刺激でき、例には、ソマトトロピンまたはソマトロピン、好ましくはGENOTROPIN(商標)、またはPROTROPIN(商標)、NUTROPIN(商標)が含まれる。
別の態様では、GHポリペプチドは、GHRアンタゴニストとして作用できるGH変種である。GHRアンタゴニストは、GHRポリペプチドに結合するが、GHRの機能を阻害することが意図されている薬物の種類である。GHRアンタゴニストの一例は、Rossら(2001年)、J.Clin.Endocrinol.Metabol、第86(4)巻、1716〜1723ページに記載されている。Rossらによって開示されたGHRアンタゴニストは、B2036−PEGと呼ばれ、部位1にGHR結合を促進する変異、そして、部位2に受容体二量体化を阻止する変異を有するペグ化GH変種ポリペプチドである。好ましいGHRアンタゴニストまたは阻害剤は、ペグビソマント、好ましくはSOMAVERT(商標)である。GHRアンタゴニストは、先端巨大症の治療に有用であるが、これは、通常、脳下垂体アデノーマからの過度のGH分泌によって引き起こされる状態である。
本発明の試験化合物は、生物ライブラリー;空間的にアドレス可能なパラレル固相ライブラリーまたは溶液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー方法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いた合成ライブラリー法を含めた、当技術分野で公知のコンビナトリアルライブラリー法における多数のアプローチのうちいずれを用いても得ることができる。生物ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーと共に用いられ、一方、他の4つのアプローチは、化合物のペプチド、非ペプチド性オリゴマー、または小分子ライブラリーに適している(Lam,K.S.(1997年)、Anticancer Drug Des.、第12巻、145ページ)。
分子ライブラリーを合成する方法の例は、当技術分野で、例えば、DeWittら(1993年)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、第90巻、6909ページ;Erbら(1994年)、Proc.Natl.Acad.Sci USA、第91巻、11422ページ;Zuckermannら(1994年)、J.Med.Chem.、第37巻、2678ページ;Choら(1993年)、Science、第261巻、1303ページ;Carrellら(1994年)、Angew.Chem.Int.Ed.Engl、第33巻、2059ページ;Carellら(1994年)、Angew.Chem.Int.Ed.Engl、第33巻、2061ページ;Gallopら(1994年)、J.Med.Chem.、第37巻、1233ページに見られる。
化合物ライブラリーは、溶液中(例えば、Houghten(1992年)、Biotechniques、第13巻、412〜421ページ)、またはビーズ上(Lam(1991年)、Nature、第354巻、82〜84ページ)、チップ(Fodor(1993年)、Nature、第364巻、555〜556ページ)、細菌(Ladner、米国特許第5223409号)、胞子(Ladner、米国特許第’409)、プラスミド(Cullら(1992年)、Proc Natl Acad Sci USA、第89巻、1865〜1869ページ)、またはファージ上(Scott及びSmith(1990年)、Science、第249巻、386〜390ページ);(Devin(1990年)、Science、第249巻、404〜406ページ);(Cwirlaら(1990年)、Proc.Natl.Acad.Sci、第87巻、6378〜6382ページ);(Felici(1991年)、J.Mol Biol、第222巻、301〜310ページ);(Ladner、同上)に提示されうる。
本発明は、さらに、上記のスクリーニングアッセイによって同定された新規の薬剤、およびこれらのアッセイを用いてそのような薬剤を生成する方法にも関する。したがって、一実施形態において、本発明は、上記スクリーニングアッセイ(例えば、細胞ベースアッセイまたは無細胞アッセイ)のいずれのステップを含む方法で入手可能な化合物または薬剤も含む。上記化合物または薬剤は、GHポリペプチド、またはその部分もしくは変種を含むものが好ましい。
したがって、本明細書に記載のように同定された薬剤の適切な動物モデルでの使用も、本発明に包含される。例えば、本明細書に記載のように同定された薬剤(例えば、GHポリペプチド、またはその部分もしくは変種、アンチセンスGHRd3核酸分子、GHRd3特異的抗体、GHRd3結合パートナーなどのGHR変調剤)は、そのような薬剤による治療の有効性、毒性、または副作用を測定するために、動物モデルで用いることができる。別法として、本明細書に記載のように同定された薬剤は、そのような薬剤の作用機序を決定するために、動物モデルで用いることができる。さらに、本発明は、本明細書に記載のように、上記のスクリーニングアッセイによって同定される新規薬剤の、治療用の使用にも関する。
本発明は、本明細書に記載のように、上記のスクリーニングアッセイによって同定される新規薬剤の、診断、予後、および治療用の使用にも関する。したがって、本明細書に記載のように、薬物の設計、製剤、合成、製造、および/または生産における、そのような薬剤の使用、または、診断、予後、もしくは治療における使用に供する医薬組成物も、本発明に包含される。例えば、一実施形態において、本発明は、上記のスクリーニングアッセイの1つで入手可能な化合物の構造および/または特性を参照して薬物または医薬組成物を合成または生成する方法も含む。例えば、GHRd3およびGHRflポリペプチドを発現する細胞を、試験化合物と接触させ、GHRポリペプチド(好ましくは、GHRd3およびGHRflポリペプチドを含む複合体)に結合するか、またはその活性を変調する、試験化合物の能力を測定することを含む方法で得られた化合物の構造および/または特性に基づいて薬物または医薬組成物を合成することができる。別の例示的実施形態では、本発明は、GHRd3タンパク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触させ、GHRタンパク質、好ましくはGHRd3およびGHRf1タンパク質を含むGHR二量体、またはその生物学的に活性な部分に結合するか、またはその活性を変調する(例えば、刺激または阻害する)、試験化合物の能力を測定することを含む方法で入手可能な化合物の構造および/または特性に基づいて薬物または医薬組成物を合成または生成する方法を含む。
(GHRd3核酸およびタンパク質)
本明細書で論じたように、本発明は、GHRd3核酸およびポリペプチドの使用に関する。
好ましい実施形態では、GHRd3タンパク質は、少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8から10のアミノ酸、より好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50、100、200、300、400、500、または600アミノ酸の連続的な領域を含む。他の好ましい実施形態では、このアミノ酸の連続的な領域は、GHRd3タンパク質配列におけるアミノ酸の欠失、付加、置換、または切断を含めた、変異部位または機能的変異部位を含む。したがって、本発明のコンテクストでは、GHRd3タンパク質のアミノ酸配列に十分に相同であるか、またはこれに由来するアミノ酸配列を含み、完全長GHRd3タンパク質より少ない数のアミノ酸を含み、かつGHRタンパク質の少なくとも1つの活性を示すペプチドを含めたGHRd3タンパク質の生物学的に活性な部分も有用である。他の実施形態では、GHRd3タンパク質は、実質上天然のGHRd3配列に相同であり、天然のGHRd3タンパク質の機能活性を保有するが、それでもなお、自然なアレル変異、または突然変異によってアミノ酸配列が相違している。したがって、別の実施形態では、GHRd3タンパク質は、(Urbanekら(1992年)に記載のアミノ酸配列に少なくとも約60%相同なアミノ酸配列を含み、さらに、それぞれGHRd3タンパク質の機能活性を保持するタンパク質である。このタンパク質は、Urbanekら(1992年)の配列に少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、または99.8%相同であることが好ましい。
2つのアミノ酸配列、または2つの核酸のパーセント相同性を決定するには、最適の比較が行われるように、それらの配列を整列させる(例えば、第2のアミノ酸または核酸配列との整列を最適にするために、第1のアミノ酸または核酸配列にギャップを導入し、比較のために相同でない配列を無視することができる)。好ましい実施形態では、比較のために整列させる参照配列の長さが、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、80%、90%、または95%である(例えば、GHRd3アミノ酸配列に第2の配列を整列させる際、少なくとも100アミノ酸残基、好ましくは少なくとも200アミノ酸残基が整列させられる)。その後、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列におけるある位置が、第2の配列における対応する位置に対して、同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められている場合、その分子は、その位置において相同である(すなわち、本明細書において、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と等価である)。2つの配列間のパーセント相同性は、それらの配列によって共有される、同一な位置の数の関数である(すなわち、%相同性は、100×同一な位置の数/合計位置数)。
配列の比較、および2つの配列間のパーセント相同性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて実行できる。配列の比較に用いられる数学的アルゴリズムの非限定的な好ましい例が、KarlinおよびAltschul(1990年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第87巻、2264〜68ページのアルゴリズムであり、その改良法がKarlinおよびAltschul(1993年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第90巻、5873〜77ページのアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschulら(1990年)、J.Mol.Biol.、第215巻、403〜10ページのNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、本発明のGHRd3核酸分子に相同なヌクレオチド配列を取得するために、NBLASTプログラムで、スコア(score)=100、語長(wordlength)=12として実行できる。BLASTタンパク質検索は、本発明のGHRd3タンパク質分子に相同なアミノ酸配列を取得するために、XBLASTプログラムで、スコア(score)=50、語長(wordlength)=3として実行できる。比較のためにギャップ付きの整列を取得するには、Altschulら(1997年)、Nucleic Acids Research、第25(17)巻、3389〜3402ページに記載のGapped BLASTを利用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを用いることができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの非限定な好ましい別の例が、MyersおよびMiller(1989年)のCABIOSアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するのにALIGNプログラムを用いる場合、PAM120ウエイトレジジューテーブル(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ12、ギャップペナルティ4を用いることができる。
(組換え発現ベクターおよび宿主細胞)
GHRd3タンパク質(またはその部分)をエンコードする核酸を含有するベクター、好ましくは発現ベクターは、いかなる適当な方法によっても調製できる。同様に、好ましい態様では、GHRflタンパク質(または、その部分)をエンコードする核酸を含む発現ベクターも調製することができる。任意選択で、発現ベクターは、GHRd3タンパク質をエンコードする核酸だけではなく、GHRflタンパク質をエンコードする核酸も含むだろう。本明細書において、「ベクター」という用語は、それに連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子のことをいう。ベクターの1つのタイプが「プラスミド」であり、これは、別のDNAセグメントを追加して連結できる環状の二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターにはウイルスベクターがあり、この場合、追加されるDNAセグメントは、ウイルスゲノムに連結されうる。特定のベクターには、それらが導入される宿主細胞内で自律的な複製を行うことができるものもある(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクター、および哺乳類エピソームベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞に導入された際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによって、宿主ゲノムと共に模写される。さらに、ある特定のベクターには、それらが作用可能に連結される遺伝子の発現を指示できるものがある。そのようなベクターは、本明細書において、「発現ベクター」と呼ばれる。一般的に、組換えDNA技法で有用な発現ベクターは、プラスミドの形態にあることが多い。プラスミドは、ベクターの最も一般的に使用される形態であるため、本明細書では、「プラスミド」と「ベクター」とは互換性をもって使用することができる。しかし、本発明では、ウイルスベクター(例えば、複製欠損性レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)など、他の形態の発現ベクターも含まれるものとし、それらも同等な機能を果たす。
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞内で核酸を発現するのに適した形態でGHRd3および/またはGHRfl核酸を含むが、これはすなわち、発現に用いられる宿主細胞に応じて選択され、発現される核酸配列に作用可能に連結された1つまたは複数の調節配列を、組換え発現ベクターが含有することを意味する。組換え発現ベクターの中で、「作用可能に連結される」とは、注目しているヌクレオチド配列が、そのヌクレオチド配列の発現が可能となる(例えば、in vitro転写/翻訳システムで、または、ベクターが宿主細胞に導入される場合には、宿主細胞内で)ように、調節配列に連結されることを意味するものとする。「調節配列」という用語には、プロモーター、エンハンサー、および他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれるものとする。そのような調節配列は、例えば、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology、第185巻、Academic Press, San Diego, Calif.(1990年)に記載されている。調節配列には、多くのタイプの宿主細胞で、ヌクレオチド配列の構成的発現を指示するもの、およびある特定の宿主細胞内のみでヌクレオチド配列の発現を指示するもの(例えば、組織特異的調節配列)が含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択や、所望のタンパク質発現レベルなどの因子に依存しうることが、当業者には理解されよう。宿主細胞に発現ベクターを導入して、それによってタンパク質またはペプチドを生成させることができる。
本発明の組換え発現ベクターは、原核細胞または真核細胞におけるGHRd3タンパク質の発現用に設計することができる。例えば、GHRd3タンパク質は、大腸菌(E.coli)などの細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを用いて)、酵母細胞、または哺乳類細胞で発現することができる。適当な宿主細胞に関しては、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology、第185巻、Academic Press、San Diego, Calif.(1990年)で、さらに論じられている。別法として、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いて、in vitroで転写および翻訳することができる。
原始核生物におけるタンパク質の発現は、ほとんどの場合、融合タンパク質または非融合タンパク質の発現を指示する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含有するベクターを用いて大腸菌(E.coli)で行われる。融合ベクターは、それにエンコードされたタンパク質、通常、組み換えタンパク質のアミノ末端に、いくつかのアミノ酸を付加する。そのような融合ベクターは、通常、次の3つの目的において有用である。すなわち、1)組み換えタンパク質の発現を増強する;2)組み換えタンパク質の溶解性を増強する;3)アフィニティー精製におけるリガンドとして機能して、組み換えタンパク質の精製を補助する。融合発現ベクターでは、多くの場合、融合部分と組み換えタンパク質との接合部にタンパク分解性の切断部位を導入し、融合タンパク質を精製した後に、融合部分から組み換えタンパク質を分離できるようにする。そのような酵素、およびそれによって認識される認識配列には、因子Xa、トロンビン、およびエンテロキナーゼが含まれる。典型的な融合発現ベクターには、pGEX(Pharmacia Biotech Inc; Smith,D.B.及びJohnson, K.S.(1988年)、Gene、第67巻、31〜40ページ)、pMAL(New England Biolabs, Beverly、Mass.)、およびpRIT5(Pharmacia, Piscataway, N.J.)が含まれ、これらはそれぞれ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを標的組換えタンパク質に融合させる。
適当な誘導性非融合大腸菌発現ベクターの例には、pTrc(Amannら(1988年)、Gene、第69巻、301〜315ページ)およびpET 11d(Studierら、Gene Expression Technology: Methods in Enzymology、第185巻、Academic Press、San Diego, Calif.(1990年)、60〜89ページ)が含まれる。pTrcベクターからの標的遺伝子発現は、trp−lacハイブリッド融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写に依存している。pET 11dベクターからの標的遺伝子発現は、同時発現されるウイルスRNAポリメラーゼ(T7 gn 1)によって媒介されるT7 gn 10−lac融合プロモーターからの転写に依存している。このウイルスポリメラーゼは、宿主株BL21(DE3)またはHMS174(DE3)によって、lacUV5プロモーターの転写調節下にT7 gn l遺伝子を有する常在のプロファージから提供される。
大腸菌における組換えタンパク質発現を最大にするストラテジーの1つは、組み換えタンパク質に対するタンパク質分解能が低下している宿主細菌でタンパク質を発現するものである(Gottesman,S., Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif.(1990年)、119〜128ページ)。別のストラテジーは、各アミノ酸のそれぞれのコドンが大腸菌で優先的に利用されるものとなるように発現ベクターに挿入される核酸の配列を変化させるものである(Wadaら(1992年)、Nucleic Acids Res.、第20巻、2111〜2118ページ)。本発明の核酸配列のそのような改変は、標準的なDNA合成技法によって実行できる。
別の実施形態では、GHRd3発現ベクターは酵母発現ベクターである。酵母(S.cerivisae)での発現用のベクターの例には、pYepSec I(Baldariら(1987年)、Embo J.、第6巻、229〜234ページ)、pMFa(KurjanおよびHerskowitz(1982年)、Cell、第30巻、933〜943ページ)、pJRY88(Schultzら(1987年)、Gene、第54巻、113〜123ページ)、pYES2(Invitrogen Corporation、San Diego、Calif.)、及びpicZ(InVitrogen Corp、San Diego、Calif.)が含まれる。
別法として、GHRd3タンパク質は、バキュロウイルス発現ベクターを用いて、昆虫細胞内で発現することもできる。培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)でタンパク質の発現に使用できるバキュロウイルスベクターには、pAcシリーズ(Smithら(1983年)、Mol.Cell.Biol.、第3巻、2156〜2165ページ)およびpVLシリーズ(Lucklow及びSummer(1989年)、Virology、第170巻、31〜39ページ)が含まれる。特に好ましい実施形態では、Karniskiら、Am.J.Physiol.(1998年)、第275巻、F79〜87ページに従って、GHRd3タンパク質を発現する。
さらに別の実施形態では、本発明の核酸は、哺乳類発現ベクターを用いて、哺乳類細胞内で発現される。哺乳類発現ベクターの例には、pCDM8(Seed,B.(1987年)、Nature、第329巻、840ページ)、およびpMT2PC(Kaufmanら(1987年)、EMBO J.、第6巻、187〜195ページ)が含まれる。哺乳類細胞で使用される場合、発現ベクターの調節機能は、ウイルス性の調節エレメントによって提供されることが多い。例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシミアンウイルス40に由来するものである。原核細胞および真核細胞に適した他の発現システムに関しては、Sambrook,J.、Fritsh,E.F.、及びManiatis,T.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、編、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989年の第16章および第17章を参照のこと。
本発明の別の態様は、本発明の組換体発現ベクターが導入された宿主細胞に関する。「宿主細胞」および「組換え型宿主細胞」という用語は、本明細書において、互換性をもって使用される。そのような用語は、特定の対象の細胞を指すだけではなく、そのような細胞の子孫または潜在的子孫も指すことが理解されよう。継代を続けると、変異または環境の影響によってある種の改変が生じうるので、そのような子孫は、親細胞と実際には同一でないかもしないが、それらも、なお、本明細書では、この用語に包含されるものとする。
宿主細胞はいかなる原核細胞または核細胞でもよい。例えば、GHRd3タンパク質は、大腸菌(E.coli)などの細菌細胞、昆虫細胞、酵母、または哺乳類細胞(好ましくは、ヒト293細胞)で発現することができる。他の適当な宿主細胞は当業者に公知であり、それにはアフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞も含まれる。
ベクターDNAは、従来の形質転換または形質移入の方法で、原核細胞または真核細胞に導入することができる。本明細書において、「形質転換」および「形質移入」という用語は、リン酸カルシウム法、塩化カルシウム共沈、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含めた、外来の核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入する様々な、当技術分野において承認されている方法のことをいうものとする。宿主細胞を形質転換または形質移入する適当な方法は、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、編、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989年)および他の実験室マニュアルに記載されている。
哺乳類細胞の安定な形質移入に関しては、使用した形質移入法および発現ベクターによって、ごくわずかな割合の細胞のみが外来DNAをそれらのゲノムに組み込むということが公知である。このように組み込んだものを同定および選択するために、通常、選択的マーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をエンコードする遺伝子を、注目している遺伝子と共に宿主細胞に導入する。好ましい選択的マーカーには、G418、ハイグロマイシン、メトトレキセートなどの薬物に対する耐性を付与するものが含まれる。選択的マーカーをエンコードする核酸は、GHRd3タンパク質をエンコードする同一のベクターで宿主細胞に導入することもできるか、別々のベクターで導入することもできる。導入された核酸で安定に形質移入された細胞は、薬剤による選択で特定することができる(例えば、選択的マーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生き残り、他の細胞は死ぬ)。
原核または真核の培養宿主細胞などの本発明の宿主細胞は、GHRd3タンパク質を生成(すなわち、発現)するのに使用できる。したがって、本発明は、本発明の宿主細胞を用いてGHRd3タンパク質を生成する方法をさらに提供する。一実施形態において、この方法は、本発明の宿主細胞(GHRd3タンパク質をエンコードする組換え発現ベクターをその中に導入する)を適当な培地中で、GHRd3タンパク質が生成されるように培養することを含む。
本発明の宿主細胞は、GHRd3アレルに関してホモ接合またはヘテロ接合である非ヒトトランスジェニック動物を産生するのに用いることもできる。例えば、一実施形態において、本発明の宿主細胞は、GHRd3コード配列がその中に導入された授精卵胞卵または胚幹細胞である。そのような宿主細胞を用いることで、次に、外来GHRd3配列がそれらのゲノムに導入されている非ヒトトランスジェニック動物、または内在性GHRfl配列が改変されている相同組換え型動物を産生することができる。そのような動物は、GHRd3の機能および/または活性を研究するのに、そして、GHRd3活性の変調因子を同定および/または評価するのに有用である。本明細書において、「トランスジェニック動物」とは、その動物の1つまたは複数の細胞が導入遺伝子を含む非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはラットまたはマウスなどの齧歯動物である。トランスジェニック動物の他の例には、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などが含まれる。導入遺伝子は、トランスジェニック動物がそれから発生する細胞のゲノムに組み込まれている外因性DNAであって、成熟した動物のゲノム中に残存し、それによって、トランスジェニック動物の1つまたは複数の細胞型または組織で、エンコードしている遺伝子産物の発現を誘導する外因性DNAである。本明細書において、「相同組換え型動物」とは、内因性遺伝子間の相同組換えによって内在性GHR遺伝子(例えば、GHRflアレル)が改変されており、かつその動物の細胞に外因性DNA分子が導入されている、例えば、その動物が発生する前に、その動物の胎児性細胞に導入されている非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスである。
本発明のトランスジェニック動物は、授精卵母細胞の雄性前核に、例えば、マイクロインジェクションまたはレトロウイルス感染によってGHRd3をエンコードする核酸を導入し、卵母細胞を偽妊娠の養母動物中で発生させることによって産生することができる。GHRd3cDNA配列は、導入遺伝子として非ヒト動物のゲノムに導入することができる。導入遺伝子の発現効率を増大させるために、導入遺伝子にイントロン配列およびポリアデニル化シグナルを含有させることができる。組織特異的な調節配列をGHRd3導入遺伝子に作用可能に連結させることによって、特定の細胞におけるGHRd3タンパク質の発現を指示することができる。胚操作およびマイクロインジェクション法によってトランスジェニック動物を産生する方法は、特にマウスなどの動物では、当技術分野における従来法となっており、例えば、Lederらによる米国特許第4736866号および第4870009号、Wagnerらによる米国特許第4873191号、ならびにHogan,B.、Manipulating the Mouse Embryo(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1986年)に記載されている。他のトランスジェニック動物の産生にも、同様の方法が用いられる。トランスジェニックファウンダー動物(transgenic founder animal)は、ゲノム中におけるGHRd3導入遺伝子の存在および/または動物組織中または細胞中のGHRd3 mRNAの発現に基づいて特定することができる。その後、このトランスジェニックファウンダー動物を用いて、導入遺伝子を保持するさらに多くの動物を繁殖させることができる。さらに、GHRd3タンパク質をエンコードする導入遺伝子を保持するトランスジェニック動物を、他の導入遺伝子を保持する他のトランスジェニック動物と交配させることもできる。
相同組換え型動物を産生するためには、GHRd3核酸の少なくとも一部を含有し、それによって内在性GHR(GHRfl)遺伝子を改変するベクターを調製する。GHRd3の遺伝子は、ヒト遺伝子でも、ヒトGHR遺伝子の非ヒト相同体(例えば、配列番号1、4または6に由来するヌクレオチド配列とのストリンジェントハイブリダイゼーションで単離されるcDNA)でもよい。この非ヒト相同体は、非ヒトGHR配列を改変して、エキソン3核酸を除去することによって生成することが好ましい。例えば、マウスでは、GHRd3アレルが観測されていないため、マウスGHRd3核酸は公知の方法を用いることによって調製してもよい。したがって、ある特定の態様では、マウスゲノム中の内在性GHR遺伝子を改変するのに適した相同組換ベクターに合成マウスGHRd3遺伝子を用いることができる。好ましい実施形態では、相同組換えによって内在性GHR遺伝子がGHRd3遺伝子で置換されるようにベクターを設計し、上記GHRd3遺伝子は機能的なGHRd3タンパク質をエンコードする(例えば上流調節領域を変化させ、それによって、内在性GHRd3タンパク質の発現を変化させることができる)。相同組換えベクターでは、GHRd3の遺伝子の5’末端および3’末端に、GHR遺伝子の別の核酸配列が追加されており、それによって、ベクターが保持する外来性GHRd3遺伝子と、胚幹細胞中の内在性GHR遺伝子との間の相同組換えが起こりうるようになっている。追加される隣接GHR核酸配列は、内因性遺伝子との相同組換えが成功裡に行われるように、十分な長さのものとなっている。通常、数キロベースの隣接DNA(5’および3’両端において)がベクターに含まれる(相同組換えベクターの記載に関しては、例えば、Thomas,K.R.およびCapecchi,M.R.(1987年)、Cell、第51巻、503ページを参照されたし)。ベクターを胚幹細胞系に導入(例えば、エレクトロポレーションによって)し、導入されたGHRd3遺伝子が内在性GHR遺伝子と相同組換えを行った細胞を選択する(例えば、Li,E.ら(1992年)、Cell、第69巻、915ページ参照)。その後、選択された細胞を動物(例えば、マウス)の胚盤胞に注入し、キメラ集合体を形成させる(例えば、Bradley,A.、Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells.A Practical Approach、E.J.Robertson,編集、(IRL、Oxford、1987年)、113〜152ページを参照)。その後、キメラ胚を適当な偽妊娠の養母動物に着床させ、出産まで胚をおく。生殖細胞に相同組換えDNAを保持する子孫を繁殖させることによって、導入遺伝子の生殖系列伝搬によって、体内の全ての細胞に相同組換えDNAを含有する動物を生み出すことができる。相同組換えベクターを構築する方法、および相同組換え型動物に関しては、Bradley,A.(1991年)、Current Opinion in Biotechnology、第2巻、823〜829ページ、ならびにLe MouellecらによるPCT国際公開WO90/11754号;SmithiesらによるWO91/01140号;ZijlstraらによるWO92/0968号;およびBernsらによるWO93/4169号にさらに記載されている。
別の実施形態では、導入遺伝子の調節発現を可能にする選択されたシステムを含有するトランスジェニック非ヒト動物を産生することができる。そのようなシステムの一例には、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼシステムがある。cre/loxPリコンビナーゼシステムの記載に関しては、例えば、Laksoら(1992年)、PNAS、第89巻、6232〜6236ページを参照されたし。リコンビナーゼシステムの別の例には、発芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のFLPリコンビナーゼシステムがある(O'Gormanら(1991年)、Science、第251巻、1351〜1355ページ)。導入遺伝子の発現を調節するために、cre/loxPリコンビナーゼシステムを使用する場合には、Creリコンビナーゼと、選択されたタンパク質をエンコードする導入遺伝子との両方を含有する動物が必要である。例えば、2頭のトランスジェニック動物を交配させて、一方が、選択されたタンパク質をエンコードする導入遺伝子を含有し、もう一方が、リコンビナーゼをエンコードする導入遺伝子を含有する「二重」トランスジェニック動物を構築することによって、そのような動物を提供することができる。
本発明は以下の実施例を参照することにより、より完全に理解されよう。しかし、それらは、本発明の範囲を限定するものとして理解するべきではない。すべての文献および特許の引用を参照により明確に本明細書に組み込む。