JP2006520187A - コンジュゲート用の脱グリコシル化された酵素 - Google Patents

コンジュゲート用の脱グリコシル化された酵素 Download PDF

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Abstract

真核生物から誘導された酵素が、コンジュゲートの形成の前、すなわち、標的分子に結合可能な分子に対する酵素の結合の前に脱グリコシル化されると、標的分子の存在を検出するかまたはその量を測定するための、コンジュゲートが標識された成分として使用されるアッセイの感度が高くなる。本発明は、コンジュゲート、これを提供するための方法、かかるコンジュゲートの使用および該コンジュゲートを含んでなるキットを提供する。

Description

本発明は、酵素を含むコンジュゲートに関する。より具体的には、本発明は、グリコシル化された酵素を含むコンジュゲートに関し、ここで、グリコシル化された酵素は、真核生物の微生物宿主中で組み換え手段によって産生されたものである。
糖タンパク質はグリコシル化されたポリペプチドである。ポリペプチドのグリコシル化は、通常、N結合またはO結合のいずれかである。N結合は、アスパラギン残基の側鎖に対する炭水化物部分の結合をいう。3ペプチドの配列であるアスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖に対する炭水化物部分の酵素による結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチド中にこれらの3ペプチドの配列のいずれかが存在することにより、グリコシル化部位が生じる可能性がある。O結合グリコシル化は、糖(例えば、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロース)のヒドロキシルアミノ酸(最も一般的には、セリンまたはスレオニン)への結合をいうが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンもまた使用され得る。N結合オリゴ糖は、さらに、3つのサブグループに分けられ、これらは、高マンノース型、複合型、およびハイブリッド型である。N結合オリゴ糖は、高頻度で分岐しており、分岐は通常、マンノース残基またはN−アセチルグルコサミン残基のいずれかで生じる。これらの分岐した構造は、分岐が2つ存在する場合には、二分岐と呼ばれ、分岐が3つ存在する場合には三分岐と呼ばれる。
炭水化物構造を分析するための既存の方法は、複雑な多工程の手順に依存する。これらの手順には、質量スペクトル分析、NMR、高速原子衝撃、錯体クロマトグラフィー技術(高圧液体クロマトグラフィー、気相クロマトグラフィー、イオン交換および逆相クロマトグラフィー)、複雑に連続した化学反応(メチル化分析、過ヨウ素酸酸化、および種々の加水分解反応)のような技術が含まれ、これらの全てが、オリゴ糖の配列およびそれらのグリコシド結合の特徴を決定するために、種々の組み合わせで使用されている。それぞれの方法は、炭水化物構造についてある程度情報を提供することができるが、それぞれが欠点を有している。例えば、高速原子衝突(非特許文献1)は、大きさおよび配列のデータをいくらか提供することができるが、結合位置またはアノマー構造についての情報は提供しない。NMRは、炭水化物を分析するための最も効果的なツールである(非特許文献2)が、これは相対的に感度が低く、これには多量の検体が必要である。これらの方法は、非特許文献3、非特許文献4、および非特許文献5によって概説されている。
精製されたグリコシル化されたタンパク質からの炭水化物部分の除去は、化学的にまたは酵素的に行われ得る。例えば、ポリペプチドを、化合物トリフルオロメタンスルホン酸またはそれと同等の化合物に曝露することによる化学的な脱グリコシル化により、ポリペプチドを完全なまま残しながら、結合糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除く殆どまたは全ての糖の切断を生じることができる。化学的な脱グリコシル化は、非特許文献6によって、および非特許文献7によって記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素による切断は、非特許文献8によって記載されているような、種々のエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼの使用により行うことができる。
酵素活性を維持するために炭水化物部分が必要であるグリコシル化された酵素が存在することは、当該分野で公知である。それらについての例は、非特許文献9によって記載されている。酵母サッカロマイセス・セレビッシェ(Saccharomycescerevisiae)から精製された酸ホスファターゼは、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼHによって、またはHF処理によって脱グリコシル化された。90%脱グリコシル化された酵素は、三次元構造の崩壊を伴う酵素活性の顕著な喪失を示した。
非特許文献10には、血液循環における酵素の保持を改善するための、NaIO4およびNaBH4を用いたヒトβ−グルクロニダーゼの修飾が記載されている。修飾された酵素は、免疫コンジュゲートを調製するために使用された。
酵母中での異種タンパク質の発現は、しばしば、マンノース高含有の高度にグリコシル化されたタンパク質を生じる(非特許文献11)。その一例は、メチロトローフ酵母ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)中で異種タンパク質として産生された、植物Cyamopsistetragonoloba(グアー)由来のα−ガラクトシダーゼである(非特許文献12)。グアー中では、α−ガラクトシダーゼは糖タンパク質である。ハンゼヌラ・ポリモルファによって分泌されたα−ガラクトシダーゼもまたグリコシル化されており、これは、9.5%の糖含有量を有していた。ハンゼヌラ・ポリモルファによって産生されたα−ガラクトシダーゼの比活性は、天然グアーのα−ガラクトシダーゼについての100U/mgと比較して、38U/mgであった。注目すべきは、α−ガラクトシダーゼの脱グリコシル化により、比活性が完全に回復したことである。
コンジュゲートを形成するために使用されるタンパク質を天然哺乳動物宿主組織から精製することには、阻害因子または病原体のような望しくない化合物が同時に精製され得るリスクが伴う。例えば、ウシの組織から単離されるウシのアルカリホスファターゼには、ウシの病原性プリオンタンパク質が混入する可能性がある。この理由のために、酵母のような微生物宿主中での所望されるタンパク質の組み換え発現が好ましい。メチロトローフ酵母を微生物宿主とすることが非常に好ましい。酵母中での所望されるタンパク質の発現には、グリコシル化による所望されるタンパク質の修飾を含む分泌経路のような、細胞内輸送経路を利用することができる。
特許文献1には、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)中で異種タンパク質として発現された、活性の高い真核生物アルカリホスファターゼが開示されている。これもまた、分泌経路に対して標的化されると、酵母によってグリコシル化される。注目すべきは、酵母によって誘導された酵素の特性が、ウシの小腸から精製された天然のグリコシル化された酵素の特性と類似していることである。したがって、ピキア・パストリス中で異種タンパク質として発現されたアルカリホスファターゼの比活性が、7,000U/mgの比活性を有することが報告される。このように、酵母特異的炭水化物部分は、遊離の酵素の酵素活性を妨害することはない。
アルカリホスファターゼは、化学物質または生物学的物質の検出のための分析方法において標識として頻繁に使用される酵素の一例である。これらの方法の殆どは、「標的分子」または「検体」と呼ばれる検出される物質が、対応する「標的分子に結合可能な分子」または「受容体」と特異的かつ優先的に反応する、「特異的結合」反応として知られている方法に依存する。殆どの周知の特異的結合反応は、免疫反応体、例えば、抗体、および抗原またはハプテン間で生じる。「ハプテン」により、抗原として作用することができるが、それ自体は免疫応答を誘発することはできない任意の分子が意味される。適切な抗体応答を誘発するためには、ハプテンを、通常は、共有結合によって、免疫原性担体に結合させて、ハプテンに特異的な抗体を誘発することができる免疫原性コンジュゲートを作製することができる。
アビジンまたはストレプトアビジンのビオチンとの特異的結合反応、炭水化物のレクチンとの特異的結合反応、またはホルモンのホルモン受容体との特異的結合反応のような、他の特異的結合反応もまた知られている。さらに、特異的結合という用語には、ハイブリダイゼーション反応における相補的核酸またはその類似体の相互作用も含まれる。さらに、特異的結合という用語は、タンパク質と核酸または核酸類似体との間で生じることが知られている。核酸類似体の一例は、ホスホロチオエートまたはペプチド核酸(「PNA」)である。
分析される試料には、しばしば極少量の標的分子が含まれるので、免疫測定法に基づく方法がそれらの検出のために使用されることが好ましい。これらの方法により、標的分子は、極めて特異的かつ正確に決定され得る。これらの方法には多くの変形が存在する。種々の免疫学的決定方法は、均一系の方法と不均一系の方法に分類することができる。固相反応は、通常、検出される物質と標識された成分を含む複合体を固定し、これにより、結合していない標識された成分からそれらを分離するために、「不均一系の」方法の一部を常に形成する。「均一系の」方法の変形においては、結合した標識と結合していない標識の分離は行われず、その結果、結合した標識と結合していない標識は、他の方法によって識別される必要がある。
「標識」は、シグナルを生じるか、またはシグナルを生じるように誘導することができる任意の分子である。免疫測定法について知られている多くの種々の「標識された成分」が存在している。標識された成分の1つの部分である標識は、シグナルを生じるために1つまたはいくつかのさらなる成分を必要とする酵素であり、その結果、シグナル生成系には、測定可能なシグナルを生じるために必要な成分の全てが含まれる。このようにして、シグナルが、酵素の活性を検出することにより検出および/または測定される。さらなる成分としては、基質、補酵素、エンハンサー、別の酵素、酵素活性によって生成される産物と反応する物質、触媒、活性化因子、補因子、阻害因子、スカベンジャー、金属イオン、およびシグナルを生じる物質の結合に必要な特異的結合物質が挙げられ得る。適切なシグナル生成系についての詳細な議論は、特許文献2および特許文献3において見ることができる。酵素および基質の例としては、例えば以下:(a)西洋ワサビペルオキシダーゼと基質として過酸化水素、ここで、過酸化水素は色素前駆体、例えば、オルトフェニレンジアミンまたは3,3',5,5'−テトラメチルベンジジンヒドロクロライドを酸化する;(b)アルカリホスファターゼと色原体基質としてパラ−ニトロフェニルホスフェート;(c)β−D−ガラクトシダーゼと色原体基質、例えば、o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド、または蛍光発生基質である4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドが挙げられる。しかし、多数の他の酵素−基質の組み合わせが、当業者に公知である。
標識された成分の別の部分は、標的分子に結合可能な分子であり、抗体または抗体の機能的断片によって例示される。異なる種に由来する部分を含む、単鎖抗体、およびキメラ、ヒト化、または霊長類化(CDR移植)抗体、ならびにキメラまたはCDR移植単鎖抗体などもまた、本明細書中で使用される場合には、用語「抗体」に含まれる。これらの抗体の種々の部分は、従来技術によって互いに化学的に結合させることができ、また、遺伝子操作技術を使用して連続しているタンパク質として調製することもできる。さらに、キメラ、ヒト化、霊長類化、または単鎖抗体の断片を含む、抗体の機能的断片もまた作製することができる。上記の抗体の機能的断片は、それらが由来する全長の抗体の少なくとも1つの結合機能を保持している。好ましい機能的断片は、対応する全長の抗体の抗原結合機能を保持している。標識された成分中の標的分子に結合可能な分子についての他の例は、アビジン、ストレプトアビジン、レクチン、核酸、またはそれらの類似体である。
2つの部分、すなわち酵素と標的分子に結合可能な分子を含む標識された成分は、「コンジュゲート」を形成することにより、すなわち、2つの部分を結合させることによって得ることができる。コンジュゲートは、単一の構造を形成するように、任意に連結基を介して、互いに結合された2つ以上の分子から構成される分子である。結合は、分子間の直接的な結合によるか、または連結基によるかのいずれかで行われ得る。コンジュゲート、特に、酵素のコンジュゲートの形成についての概要は、非特許文献13に見ることができる。タンパク質に対して酵素を結合させるための技術は、非特許文献14に記載されている。
コンジュゲートにおいては、機能、すなわち、標識としてその中に含まれる酵素の活性は、いくつかの理由により低下している可能性がある。例えば、コンジュゲートにおいては、酵素は変化した次善の立体構造を有する場合がある。別の例は、酵素の、コンジュゲートを形成する分子(例えば、抗体)との相互作用である。このような場合には、例えば、酵素の触媒中心に対する基質の接近性を低下させる立体効果により、コンジュゲートにおける酵素活性の低下が生じ得る。結果として、標的分子の存在を検出するかまたはその量を測定するためのアッセイ、例えば、免疫測定法(検出アッセイ)は、標識された成分が活性が低下した酵素を含むコンジュゲートである場合には、低い感度を有する。逆に、免疫測定法のような検出アッセイの感度は、標識された成分としてアッセイにおいて使用されるコンジュゲート中の酵素の活性を損なうあらゆる障害を取り除くことによって、高めることができる。
欧州特許第EP 1 176 205号 米国特許第US 4,275,149号 米国特許第US 5,185,243号 Dell,A., Adv. Carbohydr. Chem. Biochem. 45(1987)19-72 Vliegenthartら, Adv. Carbohydr. Chem. 41(1983)209-375 Spellman,M.W., Anal. Chem. 62(1990)1714-1722 Lee, K.B.ら, Appl. Biochem. Biotechnol. 23(1990)53-80 Geisow,M.J., Bio/technology 10(1992)277-280 Sojar,H.T. およびBahl,O.P., Arch. Biochem. Biophys. 259(1987)52-57 Edge,A.S.B.,ら, Anal. Biochem. 188(1981)131-137 Thotakura,N.R. およびBahl,O.P., Meth. Enzymol. 138(1987)350-359 Barbaric,S.,ら, Arch. Biochem. Biophys. 234(1984)567-575 Houba,H.J.ら Bioconjugate Chem. 7(1996)606-611 Tanner,W. およびLehle, L., BiochimBiophys Acta 906(1987)81-99 Fellinger,A.J.,ら, Yeast 7(1991)463-473 Hermanson,G.T., Bioconjugate Techniques, Ch. 16, Academic Press, 1996, pp. 630-638 O'Sullivan,M.J.およびMarks,V., Methods Enzymol. 73(1981)147-166
したがって、本発明の目的は、標的分子の存在を検出するかまたはその量を測定するためのアッセイの感度を高める、標識された成分としてのコンジュゲートを調製するための酵素を提供することである。ここで、酵素は、真核生物から誘導される、すなわち、真核生物中で発現および/または真核生物から精製されたものである。本発明のさらなる目的は、免疫測定法の感度を高める標識された成分としてのコンジュゲートを調製するための酵素を提供することである。ここで、酵素は、酵母中で、より具体的には、メチロトローフ酵母中で組み換えによって産生される。
本発明者らは、驚くべきことに、真核生物から誘導された酵素が、コンジュゲートの形成の前、すなわち、標的分子に結合可能な分子に対する酵素の結合の前に脱グリコシル化されると、標的分子の存在を検出するかまたはその量を測定するための、コンジュゲートが標識された成分として使用されるアッセイの感度が高くなることを見出した。したがって、本発明の第1の態様は、標的分子に結合可能な分子と酵素のコンジュゲートを作製する方法である。この方法は、(a)グリコシル化された酵素を提供する工程、(b)工程(a)の酵素を脱グリコシル化する工程、(c)脱グリコシル化された酵素を単離する工程、(d)工程(c)の脱グリコシル化された酵素を、標的分子に結合可能な分子に結合させる工程を含む。本発明の別の態様は、本発明の方法によって得ることができる、標的分子に結合可能な分子と酵素のコンジュゲートである。本発明の別の態様は、標的分子の存在を検出するかまたはその量を測定するためのアッセイにおける、本発明のコンジュゲートの使用である。本発明のさらに別の態様は、固相に結合させた標的分子に結合可能な分子、本発明のコンジュゲート、インキュベーションバッファー、およびコンジュゲートの酵素部分によって変換され得る基質を含む、パーツのキットである。
コンジュゲートが機能する多数の用途が、生命科学には存在している。コンジュゲートは、酵素のようなタンパク質の、他の分子、例えば、第2のタンパク質または別のクラスの分子に対する結合によって生じる。第2のタンパク質の例は、抗体またはストレプトアビジンである。ビオチンは、別のクラスの分子の一例である。臨床診断、免疫学などの分野、およびインビボでの画像化において非常に重要な技術は、これらの結合されたタンパク質試薬の使用に依存する。例えば、ELISA型の免疫測定法での使用のための抗体と酵素を含むコンジュゲートは、当該分野で周知である。別の分子とのタンパク質のコンジュゲートを形成させることが考えられる場合には、機能的な化学反応に関して、いくつかの手法がとられ得る。コンジュゲートの、ならびに他の分子とタンパク質を結合させるための種々の化学的方法の適用についてのさらなる概要は、Aslam M.およびDent A.(1998)Bioconjugation. Grove's Dictionaries, Inc., New York, 特に、50〜101頁によって提供される。
一方、タンパク質を形成するアミノ酸の側鎖の官能基が、コンジュゲートを作製する際の結合反応に使用され得る。例えば、リジンのε−アミノ基は反応性が高く、−(CH24−鎖は、タンパク質分子から反応部位を隔てるための簡便なスペーサーとして作用する。末端アミン基の誘導体化は、アミン基を、アリール、スルホニル、またはハロゲン化トリアジン、活性なカルボキシル誘導体、アルデヒド、イソ(チオ)シアネート、イミデート、オキシラン、またはハロアセチル誘導体と反応させることによって行われ得る。別の例として、オキシラン、マレイミド、ジスルフィド、ハロアセチル化合物、水銀剤、ビニルスルホン、ハロゲン化アリール、ならびにアジリジンを使用するタンパク質のチオール基の誘導体化が、当該分野で周知である。当業者は、また、カルボン酸塩、カルボキシアミド、およびヒドロキシル官能基を有するもののようなタンパク質を形成するアミノ酸、さらには、チロシン、トリプトファン、アルギニン、およびメチオニン残基の多数の他の誘導体化方法も認識している。
一方、糖タンパク質は、さらに、カップリング反応における使用のための炭水化物残基を提供する。本明細書中では、用語「炭水化物残基」は、グリカンの単量体糖サブユニットを示す。炭水化物残基は、例えば、エポキシド、ベンゾキノン、または臭化シアンを使用して誘導体化され得る。さらに、広範囲の使用が過ヨウ素酸塩酸化によって行われる。過ヨウ素酸塩は強力な酸化剤であり、隣接している炭素原子上にヒドロキシル基(ビシナルジオール)を含む糖分子と合理的な特異的反応を受け、これにより炭水化物環が切断され、それぞれの場合において2つのアルデヒド基が生じる。アルデヒドはアミンとの脱水反応を受けてイミンを生じ、すなわち、これは、糖鎖にアミン含有分子を結合する手段である。より大きい安定性のために、この結合は、通常、置換されたアミン結合へと還元される。穏やかな酸化剤もまた当業者に公知であり、これには、ガラクトースオキシダーゼのような酵素の例が含まれる。酸化された物質のアミノ分解の代替法は、アルデヒドをヒドラジドと反応させることである。
その天然の形態においてはグリコシル化されている酵素の、酵母中での異種酵素としての発現は、しばしば、高度にグリコシル化された産物を生じる。すなわち、天然の形態の酵素と比較して、より多くの糖残基が、酵母中で産生される酵素を結合する。さらに、グリコシル化パターンが、天然の形態の酵素と比較して異なる場合もある。
酵母中で組み換えによって発現されたグリコシル化された酵素についてのこれらの相違を考慮すると、特定の条件下では、組み換えによって発現された酵素の炭水化物部分は、別のタンパク質に化学的に結合してコンジュゲートを形成する際、その能力にマイナスの影響を与える場合がある。したがって、本発明の第1局面は、(a)グリコシル化酵素を提供する工程、(b)工程(a)の酵素を脱グリコシル化する工程、(c)脱グリコシル化された酵素を単離する工程、(d)工程(c)の脱グリコシル化された酵素を、標的分子に結合可能な分子に結合させる工程を含む、標的分子に結合可能な分子と酵素とのコンジュゲートの作製方法である。
工程(a)の酵素は、形質転換された酵母中での発現によって得られ、該酵母から単離されることが好ましい。グリコシル化された酵素の炭水化物部分に複数のマンノースサブユニットが含まれることが、さらに好ましい。
本発明の好ましい態様では、酵素のアミノ酸配列にグリコシル化部位が含まれる。本発明の別の好ましい態様では、酵素は真核生物起源である。さらに別の好ましい態様では、酵素は、真核生物宿主中で、酵素をコードする遺伝子構築物を発現させることによって得られる。用語「発現」には、翻訳後修飾、具体的には、酵素のグリコシル化が含まれる。さらに別の好ましい態様では、酵素は、真核生物起源または原核生物起源であり、真核生物宿主中で酵素をコードする遺伝子構築物を発現させることによって得られる。さらに別の好ましい態様では、真核生物宿主は酵母株である。酵母中での所望される酵素の発現には、グリコシル化による所望される酵素の修飾を含む、分泌経路などの細胞内輸送経路が利用され得る。酵母中でのタンパク質の発現は、米国特許第5,618,676号、米国特許第5,854,018号、米国特許第5,856,123号、および米国特許第5,919,651号に記載されている。さらに別の好ましい態様では、真核生物宿主は、メチロトローフ酵母株である。さらに別の好ましい態様では、真核生物宿主は、ピキア属(Pichia)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、カンジダ属(Candida)、およびトルロプシス属(Torulopsis)からなる群より選択される属のメチロトローフ酵母株である。さらに別の好ましい態様では、真核生物宿主は、ピキア・パストリス種のメチロトローフ酵母株である。メチロトローフ酵母ピキア・パストリス中でのタンパク質の発現のための十分に確立された方法は、米国特許第4,683,293号、米国特許第4,808,537号、米国特許第4,812,405号、米国特許第4,818,700号、米国特許第4,837,148号、米国特許第4,855,231号、米国特許第4,857,467号、米国特許第4,879,231号、米国特許第4,882,279号、米国特許第4,885,242号、米国特許第4,895,800号、米国特許第4,929,555号、米国特許第5,002,876号、米国特許第5,004,688号、米国特許第5,032,516号、米国特許第5,122,465号、米国特許第5,135,868号、米国特許第5,166,329号、および国際公開第WO 00/56903に記載されている。所望されるタンパク質の宿主生物からの単離には、宿主生物のバイオマスからの単離、ならびに宿主生物が培養された培地からの単離が含まれる。
酵母中での異種タンパク質の発現により、しばしば、マンノース高含有の高度にグリコシル化されたタンパク質が生じる(Tanner,W. およびLehle, L., Biochim Biophys Acta 906(1987)81-99)。したがって、高度にグリコシル化されたタンパク質には、複数のマンノースサブユニットを含む炭水化物部分が含まれる。
糖タンパク質を脱グリコシル化するための方法がいくつか知られており、これらは、化学的方法および酵素的方法である。トリフルオロメタンスルホン酸(TFMS)を使用する化学的な脱グリコシル化手順は当業者に周知であり、さらに、メタノリシスまたはフッ化水素酸に基づく方法も当業者に周知である(Edge,A.S.B.,ら, Anal. Biochem. 188(1981)131-137;Sojar,H.T. およびBahl,O.P., Arch. Biochem. Biophys. 259(1987)52-57)。
N−グリコシダーゼFとしても知られているペプチドNグリコシダーゼF(EC 3.2.218;3.5.1.52)は、ペプチド結合中にアミノ基およびカルボキシル基が存在し、オリゴ糖がキトビオースコア単位の最小の長さを有する限りは、全てのタイプのアスパラギンに結合したN−グリカンを切断する(Tarentino,A.L.,ら, Biochemistry 24(1985)4665-4671;Chu,F.K., J. Biol. Chem. 261(1986)172-177)。反応産物は、アンモニア、アスパラギン酸(ペプチド鎖中)、および完全なオリゴ糖である。反応機構は、エンドグリコシダーゼD、H、およびFのものとは異なる。これらの酵素は、2つのN−アセチル−グルコサミン残基の間のグリコシド結合を切断する。これらはまた、N−グリコシダーゼFよりもさらに限られた基質特異性を示す(Haselbeck,A. およびHoesel,W., Topics in Biochemistry(1988)Nr. 8, Boehringer Mannheim GmbH)。したがって、N−グリコシダーゼFはグリコシダーゼではなく、むしろこれは、アスパラギンをアスパラギン酸に変換させるので、アミダーゼである。
ペプチド上の炭水化物部分の酵素による切断は、種々のエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼを使用して行われ得る。エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼHは、エンドグリコシダーゼHまたはendo H(EC 3.2.1.96)としても知られており、高マンノース型のN−グリカンを優先的に加水分解する(Kobata,A., Anal. Biochem. 100(1979)1-14;Trimble,R.B. およびMaley,F., Anal. Biochem. 141(1984)515-522)。エンドグリコシダーゼHは、オリゴ糖のジアセチルキトビオースコア中の2つのN−アセチルグルコサミン残基の間を切断し、それによりアスパラギン上に残っている1つのN−アセチルグルコサミン残基を含む短縮型の糖分子を生じる。対照的に、ペプチドN−グリコシダーゼFはオリゴ糖を完全なまま除去する。エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼFは、エンドグリコシダーゼFまたはendo Fとしても知られており、N結合オリゴ糖のジアセチルキトビオースコア内を切断し、それによりアスパラギンに結合しているN−アセチル−グリコサミン残基を残す。エンドグリコシダーゼFは、高マンノース型N−グリカンに対して優先的に作用する。
したがって、本発明のさらに別の好ましい態様では、本発明の方法の工程(b)において、酵素が、化学試薬、アミダーゼ、エキソグリコシダーゼ、またはエンドグリコシダーゼによって脱グリコシル化、または部分的に脱グリコシル化される。好ましい化学試薬は、無水トリフルオロメタンスルホン酸である。本発明のさらに別の好ましい態様では、本発明の方法の工程(b)において、酵素が、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼH、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼF、またはペプチド−N−グリコシダーゼF、あるいはそれらの組み合わせによって、脱グリコシル化、または部分的に脱グリコシル化される。したがって、酵素は、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼH、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼF、およびペプチド−N−グリコシダーゼFからなる群より選択される酵素によって、またはそれらの組み合わせによって脱グリコシル化される。
実施例1には、ピキア・パストリス中で組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼの、エンドグリコシダーゼHを使用する脱グリコシル化が記載される。しかしたとえ脱グリコシル化を徹底的に行なっても、エンドグリコシダーゼHはグリコシル化されたタンパク質から全てのグリカン残基を完全には除去することができず、ポリペプチド鎖のアスパラギン残基に結合したN−アセチルグルコサミン残基が1つ残る。残ったN−アセチルグルコサミン残基は、なおも、コンジュゲートを形成する際の結合反応の標的となり得る。同じことが、存在する場合にはO結合グリカンにも当てはまるため、O結合グリカンは、エンドグリコシダーゼHの好ましい基質ではない。
酵母中で組み換えによって産生される酵素は、通常、分子量に関して均質ではない。これは、ピキア・パストリス中で組み換えによって産生された配列番号:1のアミノ酸を有しているウシのアルカリホスファターゼによって説明される。図4には、MALDI−TOF−MS分析の最初の結果が示される。ここで、57,503.0および65,872.48の分子量を示している最大ピークは、グリコシル化の程度が異なるグリコシル化されたアルカリホスファターゼ単量体に相当する。図5には、MALDI−TOF−MS分析の第2の結果が示される。ここで、55,113.64の分子量を示す最大ピークは、脱グリコシル化されたアルカリホスファターゼ単量体に相当する。66,431.01の近隣のピークは、内部標準に対応する。第2の結果は、エンドグリコシダーゼHを使用した徹底的なまたはほぼ徹底的な消化を許容する条件下で得られた。したがって、これらの条件下では、約80%までのグリカン残基が切り離される。
したがって、本発明の別の好ましい態様は、(a)グリコシル化酵素を提供する工程、(b)工程(a)の酵素を部分的に脱グリコシル化する工程、(c)部分的に脱グリコシル化された酵素を単離する工程、(d)工程(c)の部分的に脱グリコシル化された酵素を、標的分子に結合可能な分子に結合させる工程を含む、標的分子に結合可能な分子と酵素とのコンジュゲートを作製するための方法である。
工程(a)の酵素は、形質転換された酵母中での発現によって得られ、それらから単離されることが好ましい。グリコシル化された酵素の炭水化物部分に複数のマンノースサブユニットが含まれることが、さらに好ましい。
工程(b)において、10%から99%の間の炭水化物残基がグリコシル化された酵素から切り離されることもまた、好ましい。20%から70%の間の炭水化物残基がグリコシル化された酵素から切り離されることが、さらに好ましい。約60%の炭水化物残基がグリコシル化された酵素から切り離されることが、なおさらに好ましい。ここで、「約」は、50%から70%の間の間隔を示す。部分的な脱グリコシル化により、酵素と標的分子に結合可能な分子のコンジュゲートを形成する際に、酵素の残存している炭水化物残基を標的化する化学反応を使用する可能性が提供される。
コンジュゲートを形成するために使用される酵素を天然の哺乳動物宿主の組織から精製することには、阻害因子または病原体のような望ましくない化合物が同時に精製され得るリスクが伴う。例えば、ウシの組織から単離されるアルカリホスファターゼには、ウシの病原性プリオンタンパク質が混入する可能性がある。この理由のために、酵母のような微生物宿主中での所望される酵素の組み換え発現が好ましい。メチロトローフ酵母を微生物宿主とすることが非常に好ましい。微生物宿主としての形質転換された酵母中で組み換えによって発現され、および/またはそれらによって分泌される所望される酵素は、哺乳動物のタンパク質を含まず、そして特に、哺乳動物の病原体を含まない。
したがって、本発明のさらに別の態様は、(a)哺乳動物性タンパク質を含まないグリコシル化酵素を提供する工程、(b)工程(a)の酵素を脱グリコシル化する工程、(c)脱グリコシル化された酵素を単離する工程、(d)工程(c)の脱グリコシル化された酵素を、標的分子に結合可能な分子に結合させる工程を含む、標的分子に結合可能な分子と酵素とのコンジュゲートの作製方法である。工程(b)は、工程(a)の酵素を部分的に脱グリコシル化することから構成されることが好ましい。工程(b)において、10%〜99%の炭水化物残基がグリコシル化酵素から切断除去されることがより好ましい。工程(b)において、20%〜70%の炭水化物残基がグリコシル化酵素から切断除去されることがさらにより好ましい。工程(b)において、約60%の炭水化物残基がグリコシル化酵素から切断除去されることさらにより好ましい。
本発明の別の好ましい態様では、該酵素がアルカリホスファターゼであり、ここで、該アルカリホスファターゼのアミノ酸配列が、該アルカリホスファターゼを発現する形質転換宿主生物において認識されるグリコシル化部位を含有する。
用語「アルカリホスファターゼ」は、アルカリホスファターゼのファミリーのメンバーを示す。アルカリホスファターゼは、二量体の亜鉛を含む非特異的ホスホモノエステラーゼであり、これは、例えば、大腸菌(E.coli)および哺乳動物のような、原核生物ならびに真核生物中に存在している(McCombら, Alkaline Phosphatases Plenum Press, New York, 1979)。アルカリホスファターゼのファミリーの種々のメンバーの一次構造の比較により、高い程度の相同性が示されている(大腸菌と哺乳動物のアルカリホスファターゼの間で25〜30%の相同性;Millan, J.L., Anticancer Res. 8(1988)995-1004;Harris, H., Clin. Chim. Acta 186(1990)133-150)。ヒトおよび高等動物においては、アルカリホスファターゼのファミリーには、4つのメンバーが含まれ、これらは異なる遺伝子坐に存在する(Millan, J.L., Anticancer Res. 8(1988)995-1004;Harris, H., Clin. Chim. Acta 186(1990)133-150)。ヒトと高等動物のアルカリホスファターゼのファミリーには、組織特異的アルカリホスファターゼ(胎盤アルカリホスファターゼ、生殖細胞アルカリホスファターゼ、および小腸アルカリホスファターゼ)と組織特異的ではないアルカリホスファターゼ(これは、主に、肝臓、腎臓、および骨に存在する)が含まれる。
本発明のさらに別の態様では、アルカリホスファターゼは真核生物起源のものである。本発明のさらに別の好ましい態様では、アルカリホスファターゼはヒトまたはウシ起源のものである。
用語「アルカリホスファターゼ」には、さらに、アルカリホスファターゼの変異体が含まれる。アルカリホスファターゼの変異体、すなわち、野生型アルカリホスファターゼの変異体は、アミノ酸の置換、アミノ酸の挿入、アミノ酸の欠失、または1つ以上のアミノ酸の末端付加によって生じる、野生型アルカリホスファターゼの対立遺伝子形態であるタンパク質を示す。アルカリホスファターゼの好ましい変異体においては、アルカリホスファターゼの変異体のアミノ酸配列のうち10%までのアミノ酸が、変異体が由来する野生型アルカリホスファターゼのアミノ酸配列と比較して異なる。
グリコシル化され得る変異体、すなわち、変異体がグリコシル化部位を含む、アルカリホスファターゼの変異体が、なおさらに好ましい。
真核生物宿主中での融合タンパク質の発現のための遺伝子操作方法も存在し、これは、所望されるタンパク質のアミノ酸配列に融合されたさらなるアミノ酸の配列が存在する点で特徴的である。さらなるアミノ酸の配列についての例は、ビオチニル化ペプチド(例えば、国際公開第WO95/04069)およびヒスチジンタグ(Janknecht,R.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88(1991)8972-8976)である。
アルカリホスファターゼのアミノ酸配列中の特異的な位置にある特定のアミノ酸が、酵素の活性に対して特異的な影響を有することもまた、当該分野で公知である。欧州特許第EP 0,955,369号には、活性の高いアルカリホスファターゼが記載されている。
本発明の別の態様は、(a)メチロトローフ酵母において、アルカリホスファターゼを発現させ(該アルカリホスファターゼのポリペプチドはグリコシル化部位を含む)、グリコシル化されたアルカリホスファターゼを単離する工程、(b)工程(a)のアルカリホスファターゼを部分的に脱グリコシル化する工程、(c)部分的に脱グリコシル化されたアルカリホスファターゼを単離する工程、(d)工程(c)の部分的に脱グリコシル化されたアルカリホスファターゼを、標的分子に結合可能な分子に結合させる工程を含む、標的分子に結合可能な分子とアルカリホスファターゼとのコンジュゲートを作製する方法である。アルカリホスファターゼは哺乳動物起源のものであることが好ましく、ウシ起源のものであることがより好ましい。したがって、本発明の非常に好ましい態様では、アルカリホスファターゼは、配列番号:1のアミノ酸配列を含有するアルカリホスファターゼである。本発明のさらに別の非常に好ましい態様では、アルカリホスファターゼは、各タンパク質のポリペプチド鎖が配列番号:1のアミノ酸配列を含有する2つのタンパク質のダイマーからなるアルカリホスファターゼである。本発明のさらに別の非常に好ましい態様では、アルカリホスファターゼは、各タンパク質のポリペプチド鎖が配列番号:1のアミノ酸配列からなる2つのタンパク質のダイマーからなるアルカリホスファターゼである。
本発明のさらに別の好ましい態様では、標的分子に結合可能な分子が、(a)抗体またはその機能的断片、(b)アビジン、またはアビジン分子のポリマー、またはビオチンに結合可能なアビジンの断片、またはビオチンに結合可能なアビジン断片のポリマー、(c)ストレプトアビジン、またはストレプトアビジン分子のポリマー、またはビオチンに結合可能なストレプトアビジンの断片、またはビオチンに結合可能なストレプトアビジン断片のポリマー、(d)レクチン、または炭水化物に結合可能なその断片、(e)ハプテン、(f)核酸またはそのアナログからなる群より選択される。
本発明のさらに別の好ましい態様では、標的分子に結合可能な分子が、連結基によって酵素に結合する。
本発明のさらなる局面は、(a)形質転換された酵母における発現により得られ、該酵母から単離されるグリコシル化酵素を提供する工程、ここで、該グリコシル化酵素の炭水化物部分は多数のマンノースサブユニットを含む、(b)工程(a)の酵素を部分的に脱グリコシル化する工程、(c)部分的に脱グリコシル化された酵素を単離する工程を含む方法によって得られ得る、哺乳動物性タンパク質を含まない、哺乳動物起源の単離および部分的に脱グリコシル化された酵素である。該酵素はアルカリホスファターゼであることが好ましい。該酵素は、ヒトまたはウシアルカリホスファターゼであることがより好ましい。アルカリホスファターゼは、配列番号:1のアミノ酸配列を含有することがさらにより好ましい。アルカリホスファターゼは、配列番号:1のアミノ酸配列を含有するサブユニットを含むことがさらにより好ましい。アルカリホスファターゼのサブユニットが配列番号:1のアミノ酸配列からなることがさらにより好ましい。配列番号:1のタンパク質は、ダイマーを形成する、すなわち2つのモノマーサブユニットが会合している。アルカリホスファターゼのサブユニットの分子量は、54kDa〜58kDaであることが好ましい。アルカリホスファターゼのサブユニットの分子量は、約55kDa、すなわち54.5kDa〜56kDaであることがさらにより好ましい。
本発明のさらなる局面は、コンジュゲートを形成するための、本発明の方法により得られ得る酵素の使用である。コンジュゲートを形成するための、本発明の方法により得られ得る部分的に脱グリコシル化された酵素の使用が好ましい。
本発明のさらなる局面は、標的分子に結合可能な分子と本発明の方法により得られ得る酵素とのコンジュゲートである。標的分子に結合可能な分子と本発明の方法により得られ得る部分的に脱グリコシル化された酵素とのコンジュゲートが好ましい。
本発明のさらなる局面は、標的分子の存在を検出するため、または標的分子の量を測定するためのアッセイにおける本発明のコンジュゲートの使用である。本発明の好ましい態様では、アッセイは酵素免疫測定法である。本発明の別の好ましい態様では、酵素免疫測定法は、不均一系または均一系酵素免疫測定法である。
本発明のさらなる局面は、固相に結合させた標的分子に結合可能な分子、本発明のコンジュゲート、インキュベーションバッファー、および該コンジュゲートの酵素部分により変換され得る基質を含有してなるパーツのキットである。
以下の実施例、参考文献、配列表および図面は、添付の特許請求の範囲に示された真の範囲である本発明の理解を補助するために提供する。記載した手順において、本発明の精神から逸脱することなく、変形を行ない得ることは理解されよう。
実施例1
組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼの脱グリコシル化
ピキア・パストリスから単離した10mgの組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ(図中では「recAP」ともいわれる)を、200ミリ単位のエンドグリコシダーゼH(「endoH」、Rocheカタログ番号1643053)と共に、1mMのMgCl2と1.5MのNaClを含む1mlの30mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中で2時間インキュベートした。この時間の後、溶液を、YM30膜を取り付けた濾過チャンバー中で、150mMのNaCl、1mMのMgCl2、および0.1mMのZnCl2を含むトリエタノールアミン/HCl緩衝液(pH7.6)を使用して徹底的に透析し、これによって1mlの最終容量を得た。図1は、endo Hでの処理の前および後の、組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼのTSK 3000カラム上での溶出時間を示す。処理前の6.88分での溶出ピークが完全に消滅しており、新しい溶出ピークが7.61分に現れたことを見ることができる。このことは、組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼがグリカン鎖を失い、その結果、変化していない分子と比較して、より分子量が小さくなり、溶出時間が遅くなったことを示している。
実施例2
AP酵素活性の測定
アルカリホスファターゼの酵素活性を、記載されている試験プロトコール(Z. Klin. Chem. Klin. Biochem. 8(1970)658-660;およびZ. Klin. Chem. Klin. Biochem. 10(1972)182)にしたがって基質として4−ニトロフェニルホスフェートを使用して決定した。組み換えによって産生されたピキア・パストリス由来アルカリホスファターゼは、約7,000U/mgの比活性を示し、これはエンドグリコシダーゼHでの処理によって変化しなかった。
実施例3
アルカリホスファターゼコンジュゲートの調製
APの活性化
0.5mlの30mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.1)中に溶解させたアルカリホスファターゼ調製物(組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ;組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ/endo Hで処理したもの)各5mgを、12μlのDMSO中に溶解させた0.059mgのN−スクシンイミジル−S−アセチルチオプロピオナート(SATP)と混合し、室温(RT)で1時間攪拌した。反応を、5μlの1Mリジン−HClの添加によって停止させ、室温(RT)でさらに30分間攪拌した。その後、反応混合物を、50mMのNaClを含む1.5lの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.1)に対して、4℃で一晩、徹底的に透析した。
抗ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)免疫グロブリンの活性化
1mlの30mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.1)中に溶解させた20mgのモノクローナル抗体である抗hCG−M−INN22−IgGを、21μlのDMSO中に溶解させた0.205mgのマレイミドヘキサノイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MHS)と混合し、RTで1時間攪拌した。反応を、5μlの1Mリジン−HClの添加によって停止させ、RTでさらに30分間攪拌した。その後、反応混合物を、50mMのNaClを含む5lの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.1)に対して、4℃で一晩、徹底的に透析した。
コンジュゲートの調製
50mMのNaClを含む324μlの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)中に溶解させた、SATPで活性化したAP調製物(組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ;組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ/endo Hで処理したもの)各3mgを、8μlの1Mヒドロキシルアミン溶液と混合し、RTで1時間攪拌した。この時間の後、50mMのNaClを含む262μlの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)中に溶解させた1.74mgのMHS活性化抗hCG−M−INN22−IgGを添加し、反応混合物をRTで2時間攪拌した。その後、7μlの0.2Mシステイン−HCl溶液(1Mのリン酸の添加によってpH6.7に調整した)を添加し、RTで30分間攪拌した。この後、7μlの0.5M N−メチルマレイミド水溶液を添加し、RTでさらに30分間攪拌した。次いで、反応混合物を、150mMのNaCl、1mMのMgCl2、および0.1mMのZnCl2を含む1.5lの50mMのトリエタノールアミン−HCl緩衝液(pH7.6)に対して、4℃で一晩、徹底的に透析した。透析後、溶液を3MのNaCl濃度とし、使用するまで+4℃で保存した。
図2は、組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ/抗hCG−IgG(パートA)および組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ(endoHで処理したもの)/抗hCG−IgG(パートB)についての、2時間後のコンジュゲートの結果を、TSK 4000カラム上での反応混合物の分離物の形態で示す。パートAにおいては、コンジュゲートピーク(8.08分の溶出時間で最大)はコンジュゲートしていない組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼのピーク(9.63分で溶出)から、コンジュゲートの塊(8.52分で最大の溶出)が、誘導体化されていない組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ/endo Hで処理したもの(10.13分で最大の溶出)からはるかに良好に分離されている場合であるパートBほど十分に分離されていないことを見ることができる。その結果、パートAのコンジュゲートと比較して、このコンジュゲートの収量ははるかに多い。コンジュゲートを図に示したようにプールし、さらなる分析に使用した。
実施例4
hCG ELISAによるコンジュゲートの比較
hCG ELISAを、ストレプトアビジンでコーティングしたマイクロタイタープレートを使用することによって、サンドイッチアッセイとして行った。ビオチニル化Mab抗hCG−M−1F79−Fab誘導体を、固定化した結合パートナーとして使用した(1ウェルあたり、インキュベーションバッファー中の5μg/ml溶液150μlをRTで30分間インキュベートした)。3回の洗浄後、それぞれ、インキュベーションバッファー中に溶解させた、0、14.84、254.8、2103、および7801mU/mlの濃度の120μlのhCG試料を、それぞれのウェルに添加し、RTで1時間インキュベートした。3回の洗浄後、100μlの上記アルカリホスファターゼ/Mab抗hCG−M−INN22−IgGコンジュゲートをそれぞれ添加し、RTで1時間インキュベートした。3回の洗浄後、1ウェルあたり100μlの100mM 4−ニトロフェニル−ホスフェート基質溶液を添加し、RTで20分間のインキュベーションの後、吸光度を、補正波長として490nmを使用して、405nmでELISAリーダーで測定した。
インキュベーションバッファー:リン酸カリウム50mM、塩化ナトリウム150mM、1%のウシ血清アルブミン、0.05%のTween 20(pH7.5)。
コンジュゲートの比較のために、2つの分析系を実施した。第1の系においては、コンジュゲートを100mU/mlの濃度でそれぞれ添加し、第2の系においては、42ng/mlのそれぞれのコンジュゲートを使用した。図3は、得られた結果を示す。標識として組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ(endo Hで処理したもの)を含むコンジュゲートが、N−グリカン鎖がなおも存在している、ピキア・パストリスから組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼと比較して、いずれの場合においても良好に機能することを見ることができる(パートAでは100mU/mlの各コンジュゲートを使用し、パートBでは42ng/mlを使用した)。
実施例5
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI−TOF−MS)によるendo Hで脱グリコシル化したrecAPの分子量の決定
ピキア・パストリス中で産生させたrecAPを、実施例1に記載したようにendo Hによって処理し、蒸留水に対して透析した。タンパク質溶液をシナピン酸マトリックス溶液と混合し、標的上で結晶化させた(chrystallized)。試料を、ディレイドエクストラクションを備えたVoyager Biospectrometryワークステーション上で、ポジティブモードで分析した。
脱グリコシル化前のrecAPの分子量に対応する最大ピークを、57,503Daおよび65,872.48Daと決定し、脱グリコシル化後のものについては、55,113.64Daと決定した(図4および5を参照のこと)。
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endo Hでの処理前(A)および処理後(B)の組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ(recAP)の、TSK 3000カラム上での溶出。実線は280nmでのタンパク質吸収を示す。 TSK 4000クロマトグラフィーカラム上で分離した、2時間の反応時間後の、組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ/抗hCG−IgG(パートA)コンジュゲート、および組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ(Endo Hで処理したもの)/抗hCG−IgG(パートB)コンジュゲートのプロファイル。実線は280nmでのタンパク質吸収を示す。 組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ/抗hCG−IgGコンジュゲート(四角)、および組み換えによって産生されたアルカリホスファターゼ(Endo Hで処理したもの)/抗hCG−IgG(三角)を用いたMTP ELISAにおけるhCGの測定。パートAでは100mU/ml、パートBでは42ng/mlのいずれかのコンジュゲートを使用した。 ピキア・パストリス中で組み換えによって産生された配列番号:1のウシアルカリホスファターゼの分子量の決定。MALDI-TOF-MSの結果(実施例5を参照のこと)。 endo H処理後の、ピキア・パストリス中で組み換えによって産生された配列番号:1のウシアルカリホスファターゼの分子量の決定。MALDI-TOF-MSの結果(実施例5を参照のこと)。
【配列表】
Figure 2006520187
Figure 2006520187
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Claims (24)

  1. (a)形質転換された酵母における発現により得、該酵母から単離したグリコシル化酵素を提供する工程、
    (b)工程(a)の酵素を脱グリコシル化する工程、
    (c)脱グリコシル化された酵素を単離する工程、
    (d)工程(c)の脱グリコシル化された酵素を、標的分子に結合可能な分子に結合させる工程
    を含む、標的分子に結合可能な分子と酵素とのコンジュゲートの作製方法。
  2. (a)形質転換された酵母における発現により得、該酵母から単離したグリコシル化酵素を提供する工程、
    (b)工程(a)の酵素を部分的に脱グリコシル化する工程、
    (c)部分的に脱グリコシル化された酵素を単離する工程、
    (d)工程(c)の部分的に脱グリコシル化された酵素を、標的分子に結合可能な分子に結合させる工程
    を含む、標的分子に結合可能な分子と酵素とのコンジュゲートの作製方法。
  3. 工程(b)において、10%〜99%の炭水化物残基がグリコシル化酵素から切断除去されることを特徴とする、請求項2記載の方法。
  4. 工程(b)において、20%〜70%の炭水化物残基がグリコシル化酵素から切断除去されることを特徴とする、請求項3記載の方法。
  5. 工程(b)において、約60%の炭水化物残基がグリコシル化酵素から切断除去されることを特徴とする、請求項4記載の方法。
  6. 工程(a)のグリコシル化酵素が哺乳動物性タンパク質を含まないことを特徴とする、請求項1〜5いずれか記載の方法。
  7. 工程(a)のグリコシル化酵素が哺乳動物性病原体を含まないことを特徴とする、請求項1〜6いずれか記載の方法。
  8. 該酵素がアルカリホスファターゼであり、ここで、該アルカリホスファターゼのアミノ酸配列が、該アルカリホスファターゼを発現する形質転換宿主生物において認識されるグリコシル化部位を含有することを特徴とする、請求項1〜7いずれか記載の方法。
  9. アルカリホスファターゼが真核生物起源のものであることを特徴とする、請求項8記載の方法。
  10. アルカリホスファターゼが、配列番号:1のアミノ酸配列を含有するアルカリホスファターゼであることを特徴とする、請求項9記載の方法。
  11. 工程(b)において、該酵素が、化学試薬、アミダーゼ、エキソグリコシダーゼまたはエンドグリコシダーゼにより脱グリコシル化または部分的に脱グリコシル化されることを特徴とする、請求項1〜10いずれか記載の方法。
  12. 工程(b)において、該酵素が、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼH、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼF、またはペプチド−N−グリコシダーゼF、またはその組み合わせにより脱グリコシル化または部分的に脱グリコシル化されることを特徴とする、請求項11記載の方法。
  13. 標的分子に結合可能な分子が、
    (a)抗体またはその機能性断片、
    (b)アビジン、またはアビジン分子のポリマー、またはビオチンに結合可能なアビジンの断片、またはビオチンに結合可能なアビジン断片のポリマー、
    (c)ストレプトアビジン、またはストレプトアビジン分子のポリマー、またはビオチンに結合可能なストレプトアビジンの断片、またはビオチンに結合可能なストレプトアビジン断片のポリマー、
    (d)レクチン、または炭水化物に結合可能なその断片、
    (e)ハプテン、
    (f)核酸またはそのアナログ
    からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜12いずれか記載の方法。
  14. 標的分子に結合可能な分子が、連結基によって酵素に結合することを特徴とする、請求項1〜13いずれか記載の方法。
  15. (a)形質転換された酵母における発現により得、該酵母から単離したグリコシル化酵素を提供する工程、ここで、該グリコシル化酵素の炭水化物部分は多数のマンノースサブユニットを含む、
    (b)工程(a)の酵素を部分的に脱グリコシル化する工程、
    (c)部分的に脱グリコシル化された酵素を単離する工程
    を含む方法によって得られ得る、哺乳動物性タンパク質を含まない、哺乳動物起源の単離および部分的に脱グリコシル化された酵素。
  16. 該酵素が、アルカリホスファターゼであることを特徴とする、請求項15記載の酵素。
  17. アルカリホスファターゼが、配列番号:1のアミノ酸配列を含有するサブユニットを含むことを特徴とする、請求項16記載の酵素。
  18. アルカリホスファターゼのサブユニットの分子量が54kDa〜58kDaであることを特徴とする、請求項17記載の酵素。
  19. コンジュゲートを形成するための請求項15〜18いずれか記載の酵素の使用。
  20. 請求項1〜14いずれか記載の方法により得られ得る、標的分子に結合可能な分子と酵素とのコンジュゲート。
  21. 標的分子の存在を検出するため、または標的分子の量を測定するためのアッセイにおける請求項20記載のコンジュゲートの使用。
  22. アッセイが酵素免疫測定法であることを特徴とする、請求項21記載の使用。
  23. 酵素免疫測定法が不均一系または均一系酵素免疫測定法であることを特徴とする、請求項22記載の使用。
  24. 固相に結合させた標的分子に結合可能な分子、請求項20記載のコンジュゲート、インキュベーションバッファー、および該コンジュゲートの酵素部分により変換され得る基質を含有してなる、パーツのキット。
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