JP2006516730A - シングルパルスアンチストークスラマン散乱顕微鏡法および分光法 - Google Patents

シングルパルスアンチストークスラマン散乱顕微鏡法および分光法 Download PDF

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Abstract

媒質の出力コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)信号を生成するための方法とシステムとを提供する。この方法は、ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するユニタリー光励起パルスを生成するプロセスと、少なくともひとつのこのようなユニタリー光励起パルスによって媒質を励起することにより、媒質内でCARSプロセスを誘起するプロセスと、を有している。シングルパルスCARSにおける重大な問題である、強いコヒーレント非共鳴バックグランドは、位相のみのパルス整形を使用して大幅に減衰するか、あるいは位相偏光整形パルスを使用することによって完全に抑止される。

Description

本発明は、ラマン分光法および顕微鏡法に関し、特にコヒーレントアンチストークスラマン分光法および顕微鏡法に関する。
コヒーレント非線形分光法では、サンプルと相互作用する光子間におけるエネルギー交換プロセスを測定することによって、サンプルをプローブする。最も一般的な非線形分光法のひとつに、プローブされる媒質内でコヒーレント振動を生じさせるコヒーレント四波混合プロセスである、コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)がある。CARSでは、ポンプ光子(ω)、プローブ光子(ωpr)およびストークス光子(ω)の3種類のレーザー光子が、被検媒質(medium under investigation)内で重なり合う。分子に対する非線形相互作用により、アンチストークス周波数がωAS=ω−ω+ωprである第四のコヒーレント光子(ωAS)が生成される。
前記CARSプロセスは、図1に示されている分子エネルギー準位図において視覚化することができる。ここで、|i>と|g>とは分子の回転振動状態を表し、|α>と|β>とは仮想準位を表す。周波数差Ω=ω−ωが媒質の振動準位と一致したときに、CARSプロセスにおける共鳴の増強が生じる。
コヒーレント散乱プロセスとしての前記CARSプロセスは、関与する光子の運動量保存則に一致する、位相整合条件を満たしていなくてはならない。ポンプ光子(Κ)、プローブ光子(Κpr)およびストークス光子(Κ)の波ベクトルは、KAS=Kpr+(K−K)またはK+Kpr=KAS+Kによって求めることができる。
概して、例えば、米国特許第4,077,719号明細書、第4,084,100号明細書、第4,405,237号明細書および第4,512,660号明細書、さらには国際公開第02/48660号パンフレットに開示されているように、CARSスペクトルを測定するための多ビーム励起法を利用した2種類の従来技術が存在している。
前記第一の技術、いわゆる走査CARSによれば、ωとωとにおける(ラマン準位の代表的線幅のオーダー、すなわち1cm−1オーダーのスペクトル幅を有する)2本の狭帯域幅レーザーが、2ω−ω(この場合、ωpr=ω)における信号を生成するためにプローブする種のラマン共鳴で調節される。この技術のスペクトル分解能は、主として、供与するレーザー源の帯域幅によって決まる。
前記第二の技術、すなわち広帯域CARSまたは多重CARSによれば、広帯域ストークスビーム(スペクトル幅の代表値100〜1000cm−1)を使用して、複数の被検ラマン遷移(Raman transition under investigation)を同時に励起することができる。狭帯域プローブと広帯域ストークスビームを使用することにより、ラマンスペクトルの全帯域を同時に測定することができる(例えば、1995年、B.Schrader,VCH,Weinheimら編集の“Infrared Raman Spectroscopy”を参照)。この技術のスペクトル分解能は、通常、モノクロメータとマルチチャネル検出システムとを使用することによって実現する。したがって、全CARSスペクトルの測定には、シングルレーザー照射を使用する。
多重CARSスペクトルを取得できるもうひとつの方法では、時間分解CARS分光法を使用する。この技術では、比較的広帯域の2個の励起パルスを用いて、複数のラマン準位を同時にポピュレートする。スペクトルデータは、第三の遅延広帯域プローブパルスからのCARS信号の干渉パターンを測定することによって得られる(例えば、Chem.Phys.Lett.,1987,V.133,P.373で公開された、Leonhardtらの論文などを参照)。
コヒーレントラマンプロセスは、フェムト秒時間分解分光法において、さらには燃焼研究および凝縮状態分光法において、過去数十年の間に貴重なツールとなった。例えば、Leonhardtらは、Chem.Phys.Lett.,1987,V.133,P.373で、フェトム秒パルスを用いたCARS信号の量子ビートをフーリエ分解(Fourier-decomposing)することによって2つ(またはそれ以上)のラマン準位のエネルギー差と寿命の測定法について記載している。この方法は、近年、錯体分子のエネルギー準位図解析に使用されてきた。
CARSは、最近になって、非線形深度分解顕微鏡法にとって好適な技術となってきている(例えば、米国特許6,108,081号、国際公開第02/06778号パンフレットおよびZumbuschら著(Phys.Rev.Lett.,1999,V.82,P.4142)ならびにHashimotoら著(Opt.Lett.,2000,V.25,P.1768)およびVolkmerら著(Applied Phys.Lett.,2002,V.80,P.1505)の各科学論文などを参照)。CARS顕微鏡法は、例えば、分子構造に関する3次元情報を収集するいっぽうで、生体標本に対する試験を行えるという潜在的能力を備えている。その反面、これらの顕微鏡法では、すべてが正確に同期化され、さらにラマンエネルギー範囲内で波長が可変でなくてはならないような、2つないしは3つの狭帯域信号源が必要となる。
(非線形プロセスの結果として)高強度パルスが短いと、CARSの信号が強くなるという点を十分に理解すべきである。ただし、フェトム秒CARS技術には、2つの大きな問題がある。ひとつは、通常、サンプルとその周囲の媒質(すなわち、溶剤)の両方からの三次感受性に対する電子的影響によって、強いバックグランド信号がさらに増強されるという問題である。もうひとつは、パルス幅が広いことにより、隣接したエネルギー準位間での選択性の欠落に起因する問題である。
これらの問題は、コヒーレント量子制御法によって解決可能である。量子系のコヒーレント量子を制御するという概念は、望ましい結果に導く複数の量子経路間では建設的な干渉を、一方、望ましくない結果に導く経路に対してでは破壊的な干渉を、実現するという考えに基づいている。各コヒーレント制御法では、連続波による励起が必要であるが、超短光パルスを必要とする利用可能な技術のほとんどが知られている。超高速光学における近年の進歩により、現在では、所望のスペクトル形状をもつ超短信号を整形することができる(例えば、本出願の代理人に譲渡された米国特許第6,327,068号明細書を参照)。
本発明の発明者らは、最近、ポンプビームと、ストークスビームと、プローブビームとにそれぞれ関連付けられる3種類のフェムト秒パルスを採用した、CARS分光法を改良することを目的としてコヒーレント制御技術を活用する方法を示した。CARSプロセスを制御するための2つの技法について記述されている。第一の技法(Phys.Rev.Lett.2002,V.65,P.43408で公開されている、Oronら著の“Quantum Control of Coherent anti−Stokes Raman Processes”)によれば、広帯域パルスによって誘起されるポピュレーションを制御するのに、周期位相変調が使用されている。スペクトル位相関数が適切なポンプパルスとストークスパルスの両方を整形することによって、非共鳴バックグランドが大幅に縮小されている。この技法では、たとえ多数の振動準位のすべてが励起パルスのスペクトル帯域幅の範囲内にあったとしても、それら準位のうちのひとつだけを励起することも可能である。第二の技法(Phys.Rev.Lett.,2002,V.88,P.63004で公開されている、Oronら著の”Narrow−Band Coherent anti−Stokes Raman Signals from Broad−Band Pulses”)では、プローブパルスだけが整形されるので、実測CARSスペクトルの分解能のエンハンスメントが可能となる。実現したスペクトルの分解能は、読み出しパルスの帯域幅よりはるかに好適である。特に、100フェトム秒のプローブパルスの位相を整えることによって、狭帯域CARS分光法共鳴信号は、(周波数成分の位相がすべて同じ)未整形のトランスフォームリミテッドパルスからのCARS信号より1桁狭い、15cm−1未満の帯域幅を獲得している。
媒質内でコヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)プロセスを誘起するために励起信号を生成する新規な方法とシステムとを提供することによって、CARS分光法および顕微鏡法を促進するための技術が必要とされている。
本発明の主たる思想は、ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するシングルパルスで媒質を励起することによって、媒質内でCARSプロセスを誘起する(すなわち、前記媒質のCARSスペクトルを提供する)という点にある。要するに、本発明の技術は、同じひとつの励起パルスを用いて、3種類の相互作用光子(ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子)を提供する。したがって、トランスフォームリミテッドフェムト秒パルスを発生させるシングルレーザー発生源によるシステムの操作が可能になる。
ただし、本願で使用されている「トランスフォームリミテッドパルス」という用語は、実際には、圧縮可能位相コヒーレントパルスのモードを整相した結果得られるパルスを表しているので、「スペクトル位相コヒーレント」パルスもしくは「トランスフォームリミテッドパルスに圧縮可能な」パルスとも表現されている。
本発明は、他の任意の光信号から、このパルスによって誘起されたCARS信号の同定を可能にする、ユニタリー光励起パルスを生成するための、(ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送する)スペクトル位相コヒーレント(トランスフォームリミテッド)広帯域パルスを整形する各種コヒーレント制御技術を提供する。
本発明は、前述の2つの問題を伴わないシングルパルスCARS分光法および顕微鏡法を設計し、高スペクトル分解能を実現し、さらには非共鳴バックグランドの有害な影響を減衰させるのを可能にする。
コヒーレントに制御されるシングルパルスで物質との非線形光相互作用を行うための本発明の概念は、現在使用されている従来技術による多ビーム非線形システムに代わる将来性が見込まれる代替技術を提供する。
本発明のひとつの態様によれば、媒質の出力コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)信号を生成するための方法であって、(I)ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するユニタリー光励起パルスを生成するステップと、(II)少なくともひとつのユニタリー光励起パルスを用いて媒質を励起することにより、媒質内でCARSプロセスを誘起するステップとを含む方法が提供される。
ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するスペクトル位相コヒーレント光パルスを発生させ、さらに前記スペクトル位相コヒーレント光パルスに所定の整形を施すことによって、ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するユニタリー光励起パルスを生成する。
スペクトル位相コヒーレント光パルスの整形には、前記パルスにおける所定の波長より短い波長の遮断が含まれていてもよい。この所定の波長は、出力CARS信号の発生し得るスペクトル帯域幅によって規定される。
スペクトル位相コヒーレント(トランスフォームリミテッド)光パルスの整形には、前記トランスフォームリミテッド光パルスの各波長成分に所望の位相を割り当てるステップが含まれていてもよい。前記所望の位相の割り当ては、所定の波長より短い波長の遮断ステップに加えて、実施することが好ましい。前記所望の位相割り当てステップには、所望のスペクトル位相関数を使用することによって、前記トランスフォームリミテッド光パルスのスペクトル位相を変調するステップが含まれていることが好ましい。前記所望のスペクトル位相関数は、周期関数であってもよいし、生成されるユニタリー励起パルスの帯域幅より実質的に狭い帯域幅を有する少なくともひとつの位相ゲートによって構成してもよい。位相ゲートは、例えば、π位相ゲート、例えば帯域幅が約0.5nm〜3nmの範囲である位相ゲートとすることができる。前記π位相ゲートは、スペクトルに関しては、生成する励起パルスの短波長端の近傍に位置していることが好ましい。
上記整形は、スペクトル位相コヒーレントパルスを、空間光変調器(SLM)を通過させることによって実施することができる。
位相変調の代わりに、あるいは位相変調に加えて、前記パルスの所定波長を90度偏光回転するステップを伴う、前記スペクトル位相コヒーレントパルスに対する偏光制御処理を適用するプロセスが前記整形処理に含まれていてもよい。したがって、入力スペクトル位相コヒーレントパルスが、実質的に直交の偏光を有する広帯域ポンプ成分と狭帯域プローブ成分に分割される。
本発明のもうひとつの態様によれば、コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)分光法または顕微鏡法に使用するためのパルスを生成する方法であって、ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するスペクトル位相コヒーレント光パルスを生成するよう動作可能なシングルレーザーを使用するステップと、前記スペクトル位相コヒーレント光パルスに所定の整形処理を適用して、ユニタリー光励起パルスを生成するステップとを含むことを特徴とする方法が提供される。
本発明のさらにもうひとつの態様によれば、出力CARS信号を生成することができる分子からなる媒質のコヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)分光法のための方法であって、
(A)ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送する少なくともひとつのユニタリー光励起パルスを生成するステップと、
(B)前記少なくともひとつのユニタリー光励起パルスを前記媒質に集束(focus)することにより、前記媒質を励起して前記媒質の出力CARS信号を生成するステップと、
(C)前記出力CARS信号を測定するステップと、
を含むことを特徴とする方法が提供される。
さらに本発明のさらに他の態様によれば、出力CARS信号を生成する分子からなるターゲット物質のコヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARD)顕微鏡法のための方法であって、ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送する少なくともひとつの光励起パルスを生成するステップと、前記少なくともひとつのユニタリー光励起パルスを前記媒質に集束することにより、前記媒質を励起して前記分子の出力CARS信号を生成するステップと、前記媒質と前記励起ビームとを相対的に変位させて、前記ユニタリー励起パルスビームによって前記媒質の走査を可能にするステップと、を含むことを特徴とする方法が提供される。
さらにもうひとつの態様によれば、本発明は、媒質の出力コヒーレントアンチストークスラマン散乱光(CARS)信号の測定に使用するシステムであって、ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送する少なくともひとつのスペクトル位相コヒーレント光パルスを生成するよう動作可能なシングルレーザーを備えている。
今まで、以降に記載する本発明のより重要な特徴に関する詳細な説明の内容がより適正に理解されるように、それらの特徴について、どちらかといえば簡単に略述してきた。本発明のさらなる詳細と利点については、詳細な説明の項に記載するが、前記説明から部分的理解を得るか、または本発明を実践することによって認識してもよい。
本発明を理解し実際に実施する方法を理解できるように、添付の図面を参照しながら、以下に好適な実施例について、制限を与えない例だけを用いて説明する。
本発明は、CARSプロセスに必要な3種類の光子(ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子)を供給するシングル(ユニタリー)超短光励起パルスを生成することによって、全CARSプロセスの誘起するプロセスに基づいた分光法および顕微鏡法などの方法と、この方法を実施するためのCARSシステムとを提供する。
本発明によるCARS分光法と顕微鏡法の原理と動作は、図面と添付の説明を参照するとより適正に理解することができるが、説明の中でのこれらの図面と例とは、解説することだけを目的としており、制限することを意味してはいないことが理解されよう。本発明のこの説明全体を通じて、図面に示されているCARS分光器システムとCARS顕微鏡法システムとに共通しているこれらの成分を識別する目的で、同じ参照番号を用いる。
シングル励起パルスによる全CARSプロセスの誘起は、パルス持続期間が被検媒質の分子の振動周期より短いときに実現可能となるという点に留意すべきである。例えば、この励起パルスのフェムト秒の範囲内とすることができる。この場合、CARS信号は、パルス内四波混合プロセスによって生成される。CARS信号の各種成分のそれぞれが、非線形偏光プロセスに影響を与える量子経路すべての干渉の結果生じる。
シングル励起パルスを用いたCARSプロセスの誘起には、いくつかの固有の問題が関係してくる。第一に、励起パルスのスペクトルとCARS信号の両帯域間で一部スペクトルが重なり合うことから、前記パルス信号より強度が弱くなりうるという技術的問題が生じる。
本発明のひとつの実施例によれば、期待CARS信号の範囲内の励起パルススペクトルの一部遮断と実測CARS信号の適切なスペクトル濾波とによって、この問題に対処することができる。
さらに、シングルスペクトル位相コヒーレントパルスまたはトランスフォームリミテッドパルス(すなわち、すべての周波数成分の位相が同じパルス)によって媒質を励起する場合には、CARSプロセスが、下記の問題に直面する。
問題のひとつは、すべての振動準位のエネルギーがトランスフォームリミテッドパルスの帯域幅の範囲内にあるという点から生じる。したがって、CARS信号のスペクトル分解能は、励起パルスの帯域幅によって制限される結果となる。
フェムト秒パルスを採用したすべてのCARS技術に共通であり、当然、本発明のシングルパルスCARS分光器およびその使用方法にも関連するもうひとつの既知の問題が、非共鳴バックグランド信号から生じる。励起パルスの帯域幅が拡大するに伴い(要するに、ピーク強度が高くなるほど励起パルスが短くなる励起パルスを使用するので)、バックグランド信号の強度が、共鳴CARS信号よりもはるかに急速に増大する。したがって、非共鳴バックグランド信号は、分光法によって共鳴遷移をスペクトル的に分解する能力に悪影響を与えうる。
本発明は、トランスフォームリミテッド(スペクトル位相コヒーレント)光パルスに量子コヒーレント制御技術を適用することによって、上記の問題を排除するのを可能にする。本発明によれば、量子コヒーレント制御は、トランスフォームリミテッドパルスの所定の整形により、他の光信号からこのパルスによって誘起されたCARS信号の同定を可能にするユニタリー光励起パルスを生成することによって達成される。
図2Aを参照すると、被検媒質を含有するサンプルホルダー29に関連する本発明のひとつの実施例によるCARS測定システム(分光器)20の概念が図示されている。CARS分光器システム20には、それぞれが媒質を励起しそこでCARSプロセスを誘起するのに必要なポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送する光トランスフォームリミテッド駆動パルス210を生成するよう適合されたシングルレーザー21と、ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するユニタリー光励起パルスを生成するために入力スペクトル位相コヒーレント駆動パルスを整形するよう動作可能なプログラマブルパルス整形器22と、媒質から到来するCARS信号を収集しそれらを示すデータを生成するための検出器ユニット26と、入力パルスを媒質に案内(direct)しCARS信号を検出器へ案内するための光案内光学素子(light directing optics)とが備わっている。
レーザー21は、フェムト秒(FS)時間範囲内でスペクトルコヒーレントパルスを生成することができるレーザーであればどのようなレーザーでもよい。例えば、スペクトル位相コヒーレントパルスは、約5fs〜100fsの時間範囲、好適には10fs〜20fsの時間範囲内とすることができる。例えば、本発明に関しては、中心が815nm(約75nm、すなわち1100cm−1のエネルギー範囲に対応する)にある、80MHzにおける20fsの半値全幅(FWHM:full-width at half maximum)スペクトル位相コヒーレントパルスを発生させることのできるチタンサファイアレーザー発振器を採用可能である。プログラマブルパルス整形器22は、好適には所定波長範囲内においてのみ、すなわちCARS信号が発生する可能性が最も高い外側の範囲において、スペクトル位相コヒーレント光パルスの各波長成分に所望の位相を割り当てることにより、入力スペクトル位相コヒーレント駆動パルスを整形するよう構成されている。このようなパルス整形器を用いることによって、CARSプロセスをコヒーレントに制御することが可能となる。
レーザー21によって生成された入力スペクトルコヒーレントパルス210のサンプルは、ミラー23aによってパルス整形器アセンブリ22に案内され、整形器アセンブリ22によって生成された整形パルス(shaped pulse)220は、もうひとつのミラー23bによってホルダー29に案内される。光案内光学素子のこれらのシングルミラー素子はそれぞれ、ひとつまたは2つのビームスプリッターおよび/または一組のミラー、もしくは他の既知の偏光手段のどれかと置き換えてもよいことは明らかである。
図2Aに示されている本例では、前記プログラマブルパルス整形器22は、入力分散アセンブリ221、出力分散アセンブリ222、入力フォーカシングアセンブリ223、出力フォーカシングアセンブリ224および前記フォーカシング素子223と224とによって形成されたフーリエ平面に配置されたプログラマブル空間光変調器(SLM)を備えた4−f整形器である。本例では、パルス整形器22には、遮断素子225も備わっている。
例えば、前記分光アセンブリ221および222は、1200本/mmの細かい反射グレーティングの形態とすることができ、前記フォーカシング素子223および224は、(例えば、焦点距離が100mmの)色消しレンズとすることができる。上記実施例では、パルスの各種周波数成分を空間で分散させてから再度合成するため、前記パルス整形器の入力および出力に反射グレーティングを用いているにもかかわらず、他のどれかの好適な分光素子、例えば光透過グレーティング、プリズムまたはそれらの組み合わせを使用することができる。さらに、前記SLM226が配置されているシステムフーリエ面(フォーカス面)を形成する際に、前記フォーカシング素子223および224の機能は、正のフォーカシングパワーを有する他の素子、例えば凹面ミラーによっても遂行可能である。
遮断素子225は、例えば、出力CARS信号211をスペルトル的に重ね合わせることができるので、CARS信号の範囲内の所定の波長(例えば、780nmなど)より短いフーリエ面波長で遮断するよう配置された平面である。図2Aに示されている本例では、遮断素子225は、前記SLM226と前記出力フォーカシング素子224との間に配置されている。ただし、当業者によって理解されるように、遮断素子225は、前記SLM226の上流または下流のどちらにも配置することができる。さらに、遮断素子225の機能は、シャープエッジロングパスフィルター、例えば誘電フィルターなどによって遂行することができる。
前記プログラマブルSLM226は、Rev.Sci.Inst.,2000,V.71,P1929に掲載の論文でA.M.Weinerによって記述されている種類の液晶を利用したSLMであってもよい。このSLMには、そのフーリエ面に128ピクセルを有するSLMピクセルアレーが備わっている。フーリエ面におけるスポットサイズによって決定されるスペクトル分解能は、0.5nm(約8cm−1に等しい)より良好とすることができる。
前記4−fパルス整形器22の動作原理は、下記のとおりである。前記入力分散素子221が、入力位相コヒーレントパルスの周波数成分を空間で分離するよう動作する。前記入力フォーカシング素子223は、これらの周波数成分の各焦点を、前記SLM226が配置されているフォーカス面のそれぞれ特定の位置に合わせる。遮断素子225は、所定の波長より短いフーリエ面波長で遮断する。前記SLM226は、入力パルスをスペクトル操作する更新可能なフィルターとして動作することができ、128ピクセル中を通過する光成分のそれぞれの位相と振幅の個別制御を可能にするので、所望のパルス特性に従って、パルスの形状と経時的プロファイルを修正する。例えば、各ピクセルの幅は、97μm、ピクセル間ギャップは3μmで、フォーカス面におけるスポットサイズは、約80μmである。前記出力フォーカシング素子224および出力分散素子222は、分離している各周波数成分を再度合成して、整形パルス220を生成する。
このように、図2Aに示されているプログラマブルパルス整形器22は、入力パルスの各種周波数成分間を分離し、所定の周波数(CARS信号との重ね合わせが可能な高周波)を遮断し、さらに所望のスペクトル位相関数を用いて、入力パルスの残りの部分(遮断されていない部分)の各周波数成分に所望の成分を割り当てる、好適な制御ユニット27によって動作することができる。
前記CARS分光器システム20は、適用スペクトル位相関数が各実験のつど理論的に導出される開ループ制御機構を利用してもよいし、閉フィードバックループを利用して適用スペクトル位相関数を決定してもよい。
パルス整形器22によって生成される整形パルス220は、(媒質の励起およびそこでのCARSプロセスの誘起に必要な)ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するので、「ユニタリー光励起パルス」とも呼ばれている。
前記ミラー23bから反射される前記ユニタリー光パルス220は、被検媒質を励起し、CARSプロセスを誘起させるため、フォーカシングアセンブリ24aによって、前記被検媒質に集束(focus)される。本例では、前記フォーカシングアセンブリ24aには、開口数(NA)が0.2の対物レンズ配列が備わっている。
前記光案内光学素子には、さらに、媒質の出力CARS信号を収集するため収納されているレンズアセンブリ24bがある。このレンズアセンブリ24bは、レンズ24aの開口数と同じかまたはそれより大きい開口数を備えていることが好ましい。前記フォーカシングアセンブリ24aは、後方散乱モードでは集光素子としての役割も果たす点に留意すべきである。
CARS分光器システム20には、さらに、媒質から取得されるCARS信号を濾波するよう動作可能なフィルタリングアセンブリ25が備わっている。本例では、前記フィルタリングアセンブリ25には、スペクトルフィルター251(例えば、バンドパスフィルターまたはショートパスフィルターなど)が備わっており、さらにコンピュータ制御のモノクロメータ252または分光器(図示せず)が備わっていると好ましい。前記フィルター251の例には、750nmに中心がある40nmのFWHMバンドパスフィルターなどがあげられ、前記コンピュータ制御モノクロメータ252の例には、スペクトル分解能が0.5nm(750nmでは約8cm−1に等しい)のコンピュータ制御モノクロメータなどがあげられるが、これに限定されない。
前記フィルタリングアセンブリ25の濾波出力は、検出器ユニット26によって収集される。検出器ユニット26は、光信号を受信し、それを示す電気出力を生成するような種類の検出器261を備えているが、制御ユニット(コンピュータ)27によって動作可能となるロックイン増幅器も備えていてもよい。
前記フィルター251、モノクロメータ252、検出器261およびロックイン増幅器262、さらには光案内光学素子は、それら自体既知であるため、ここで具体的に説明する必要がないことを理解すべきである。
前記システム20の測定可能ラマンエネルギー範囲は、例えば、炭素ハロゲン結合延伸を代表する、約300cm−1〜900cm−1の範囲とすることができるという点に留意すべきである。測定可能エネルギー範囲の下限は、励起パルスの濾波に対する必要性によって決定され、上限は、励起パルスの帯域幅によって決定される。前記技術では駆動入力電界での電子的共鳴が必要ないため、広帯域光学源21を用いて実現化可能である。前記システム20の測定可能ラマンエネルギー範囲は、最新技術を駆使した市販のレーザーで利用可能な10fs〜20fsの幅のパルスを使用すると、指紋領域(900cm−1〜1500cm−1)にまで拡張可能である。
図2Bを参照すると、本発明のもう一つの実施例によるCARS分光器システム200の略図が概説されている。前記CARS分光器システム200は、位相変調器に加えて、あるいはその代替機構として、その整形器アセンブリが偏光制御アセンブリを有している点で、図2Aに示されているCARSシステム20とは異なっている。後者は、グレーティング221などの周波数選択性フィルターと、前記フィルターを通過してくる周波数成分の光経路内に収納されている、入力スペクトル位相コヒーレントレーザーパルスの所定周波数範囲に対して90度偏光回転を適用するよう動作可能な90度偏光回転子とを備えており、媒質から検出器に伝播する信号の光経路内に交差偏光CARS信号の抽出のために収納されている交差偏光ユニットPを有している。
図2Bに示されている本例では、偏光回転子は、SLM配列226で構成されているが、ほかの好適な手段のどれか(例えば、1/2波長アセンブリなど)も使用可能であることを理解すべきである。図2Bの例では、偏光制御アセンブリは、整形器アセンブリ方向に伝播されるスペクトル位相コヒーレントレーザーパルスの光経路内に収納されている偏光子Pも備えている。ただし、この入力偏光子Pの取り込みは任意であり、線形偏光を生じるレーザー照射源を使用することによって排除可能であることを理解すべきである。図2Bの例では、SLMユニットは、スペクトル位相コヒーレントパルスの周波数成分の位相整形および偏光回転をともに実施するよう動作することが可能である。一般に、位相アセンブリは、既知の好適な型式の偏光回転子のみを有することができる。本発明のシステムで使用するのに適したSLMアセンブリは、例えば、Opt.Lett.,2001,V.26,P.557およびAppl.Phys.,2002,V.B74,P.S133に掲載されている論文でT.Brixnerらによって記述されている型式のものとしてもよい。このようなプログラマブル液晶SLM226は、選択軸が相互に直交し、入力レーザーパルスの偏光軸(X方向として表されている)を基準として±45°回転している、2つのSLM液晶ピクセルアレー(デュアルセルSLM)を備えている。前記2つのアレー間には適用遅延特性の差が存在する場合には、入力パルス偏光が修正される。この技術では、SLMが被制御スペクトル位相マスクおよび被制御波長板の両方としての役割を果たすことができる。
したがって、この具体例では、プログラマブルパルス整形器が、駆動レーサーパルスの各周波数成分に対する所望の位相の割り当ておよびパルスの偏光制御の両方が行われるよう動作する。特に、偏光制御機能を用いると、超短入力パルス210を、直交偏光を有する広帯域ポンプ光子と狭帯域プローブ光子とに分解することができる。
スペクトルがE(ω)である励起パルスの電界によって駆動されるCARS信号を生成する非線形偏光は、下式のように(詳細については、例えば、OronらによるPhys.Rev.Lett.,2002,V.88,P.63004を参照)、時間依存摂動理論を用いることによって非共鳴遷移に関して近似させることができる。
Figure 2006516730
ここで、
Figure 2006516730
は、エネルギー
Figure 2006516730
(以後、ポピュレーション振幅と称する)により振動準位をポピュレートする確率振幅であり、E(ω−Ω)は、プローブ電界を表す。
同様に、エネルギー
Figure 2006516730
および帯域幅Γにおける中間準位|i>を介したシングル共鳴ラマン遷移のための非線形偏光は、下式によって近似化することができる。
Figure 2006516730
CARSプロセスは、ポピュレーション振幅A(Ω)を制御することによって制御できる。A(Ω)の制御は、シングル広帯域励起パルスのスペクトル位相を制御することによって達成される。パルスのこのような位相のみパルス整形は、位相関数exp(iΦ(ω))によって電界E(ω)(ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を含む)を乗算することを意味するに過ぎない。
エネルギー
Figure 2006516730
における振動準位のポピュレーションは、下式に比例する。
Figure 2006516730
ここで、
Figure 2006516730
は、適用電界の複素スペクトル振幅である。
したがって、各エネルギー準位は、Ωだけ分離されたすべての周波数ペアによって励起される。準位Ωのポピュレーションに導く複数経路間の干渉は、各寄与の相対的位相Φ(ω)−Φ(ω−Ω)によって決まる。このように、建設的干渉は、励起パルスの周波数成分のすべてでΦ(ω)=Φ(ω−Ω)が成り立つときに達成される。したがって、励起パルスが、励起パルスがスペクトル位相コヒーレントパルスまたはトランスフォームリミテッドパルス(すべての周波数成分が同じ位相をもつ)である場合に、建設的干渉がすべてのΩ値で有効であるため、スペクトル分解機能が失われる。
Nature,V418,PP.512−514(August2002)に掲載の”Single−Pulse Coherently−Controlled Nonlinear Raman Spectroscopy and Microscopy”と題する論文で発明者らによってはじめて開示された、位相制御に関するひとつの例によれば、励起パルスのスペクトル位相は、周期Ωで周期的に変調される。このような場合、建設的干渉は、Ω=NΩ(ここで、Nは整数)が成り立つ場合に限り、すべてのエネルギー準位で誘起される。図3A〜3Cは、位相制御に関するこの例による、パルスの経時的整形とポピュレーション振幅に対する、変調スペクトル位相関数(modulated spectral phase function)の効果を説明している。
図3Aは、入力パルススペクトル強度31、トランスフォームリミテッドパルスのスペクトル位相32および整形パルス(ユニタリー励起パルス)の変調スペクトル位相(modulated spectral phase)33の例を示している。したがって、入力パルスとCARS信号との間のスペクトルの重なり合いを回避するため、入力パルスのパワースペクトルを730nmで遮断する。(CARS信号のスペクトル強度は、参照番号34によって識別されている。)
図3Bは、タイムドメインにおける、定位相(uniform phase)(図3Aの参照番号32)に対応するスペクトル位相コヒーレントパルス35と、変調位相(modulated phase)(図3Aの参照番号33)に対応する変調位相整形パルス(modulated phase shaped pulse)36の経時的強度(temporal intensity)を示している。図3Bから理解可能なように、周期的スペクトル位相は、それぞれがτ=2π/Ωだけ遅延した複数の等間隔のパルスに、タイムドメイン内のパルスを分割した結果に等しい。このパルストレインは、周期T=τ/Nの振動のみ共鳴励起(resonantly exciting)できる。
図3Cは、スペクトル位相コヒーレントパルス37と変調位相を有するパルス38とに関して算出した、ポピュレーション振幅A(Ω)を示している。図3Cから理解されるように、スペクトル位相コヒーレントパルスの場合、ポピュレーション振幅が、振動エネルギーに対して単調に減衰する。一方、変調位相関数の場合、結果的に各発振(oscillation)のピークがスペクトル位相コヒーレント(トランスフォームリミテッド)になる発振が出現する。
上記の共鳴プロセスと非共鳴プロセスでは、共鳴準位によって決定される式(2)と式(3)とにおけるポピュレ−ション振幅を乗算する各種荷重値から生じるスペクトル応答が異なる。
式(2)によれば、共鳴CARSプロセスは、下式のように表現できる。
Figure 2006516730
ここで、
Figure 2006516730
は、コーシーの収束条件値である。式(4)における第一項は、「共鳴(on−resonant)」成分の寄与に相当し、第二項は、「非共鳴(off−resonant)」スペクトル成分の寄与の積分計算に相当する。このように、共鳴信号のΩ=Ω付近の応答幅は狭い。
第二項の被積分関数の加重関数は、共鳴付近でその符号を反転するので、積分の全寄与は、Ω=Ω付近のE(ω−Ω)A(Ω)の対称性に依存する。スペクトル位相コヒーレント(トランスフォームリミテッド)パルスの場合、A(Ω)とE(ω−Ω)の両方が、Ωの全値でほぼ対称性をもつ。したがって、非共鳴の項は、無視可能である。この場合には、ポピュレーションスペクトルは、下式によって近似化可能である。
Figure 2006516730
これは、Ωだけ偏移したパルススペクトルの複製である。スペクトル位相操作は、各種値Ωに関するE(ω−Ω)A(Ω)の対称性を変えるので、偏光スペクトルの変化を誘発する。
しかし、変調周波数が、2π/Δω(ここでは、Δωはパルススペクトル帯域幅である)を大幅に超えると、全信号強度が平均化して、|A(Ω)|に比例する。
同様に、実測非共鳴強度も平均化して、
Figure 2006516730
に比例する。全実測信号は、2つ異なるプロセスによって発生した信号の干渉に相当する。非共鳴バックグランドが、共鳴信号よりかなり大きいような一般的な事例では、共鳴信号は、これを用いて、ヘテロダイン検出によって測定して、下式を得る。
Figure 2006516730
共鳴成分と非共鳴成分の異なるスペクトル応答を利用することにより、共鳴信号を保持しつつ非共鳴バックグランドを大幅に縮小させることができる。上記偏移の後には、位相関数の周期性、ポピュレーション、したがって共鳴CARS信号の適正な選択機能が、スペクトル位相コヒーレントパルスによって達成される値に近い値に再構成されることは、当技術分野に詳しい当業者にとって明らかであろう。
このように、振動準位ポピュレーション振幅A(Ω)の操作を介したCARSプロセスのコヒーレント制御が、励起パルスのスペクトル位相の周期的変調を生じさせる周期的スペクトラル位相関数(例えば、シヌソイド関数)を適用することによって達成可能であることを、上の説明で示した。
図4A〜4Cを参照すると、ラマンスペクトルの実測値が、例示されている。ラマンスペクトルは、位相関数の周期性を変化させる一方で、全CARS信号をモニターすることによって取得されている。これらの例によれば、単純周期スペクトル位相関数Φ(ω)=1.25cos(Cω)(この場合、Cは定数)が、その整形のため、入力スペクトル位相コヒーレントパルスに提供されている。図4A〜4Cには、空間光変調器(SLM)を通過する正弦波位相の周期数に対するCARS信号の強度が表されている。折り込みには、対応する実測強度信号のフーリエ変換によって導出されたラマンスペクトルが示されている。
より具体的には、図4Aは、液相におけるメタノール分子のシングルパルスCARS分光法が図解されている。実測周波数範囲にラマン共鳴準位のないメタノールの場合に理解されるように、発振周期数が増加する際には、非共鳴信号の単調な減衰だけが観察されるにすぎない。
図4Bは、液相におけるCHBR分子のシングルパルスCARS分光法を図解している。図から理解されるように、Ω=577cm−1における単一の共鳴を有するCHBRの場合、ラマン信号は、変調周期がΩの整数の分数(integer fraction)であるときには必ず、周期的に発振する。フーリ変換動作では、変調周期数に逆比例する分解能をもつ、シングルラマン共鳴準位が検索される。
図4Cは、液相における(CHCl)分子のシングルパルスCARS分光法を図解している。図から理解されるように、例えば、(CHCl)などのような2つの共鳴準位をもつ物質の場合、ラマンスペクトルに2つの共鳴ピーク(652cm−1と750cm−1)が観察される。
フーリエ変換動作のスペクトル分解能は、パルス帯域幅に比べ40の係数分(すなわち、約30cm−1)良好である。これは、空間光変調器(SLM)上のピクセル数によって決まる、SLM上の最大位相変調周期数によって制限される。
このように、スペクトル分解能は、単純正弦波位相関数を採用することによって最適化することができる。上例で使用されているトレインより長く、もっと多くの数のパルスを含んでいるトレインにシングルパルスを分割すると、パルスピーク強度に直接依存する、非共鳴バックグランドをさらに縮小することができる。これは、応用位相関数に対してさらに高い高調波次数を追加することによって達成される。この位相関数は、Anが異なる高調波次数係数である、
Figure 2006516730
のように異なる高調波次数の合計として表すことができる。
図5Aおよび5Bを参照すると、追加高調波とともに周期的スペクトル関数を使用することによって行われた、非共鳴バックグランド抑止の実証例が、メタノール(非共鳴成分のみ)およびCHI(523cm−1におけるシングル共鳴)のそれぞれに関して図解されている。相対強度のCARS信号が、正弦波位相関数Φ(ω)=1.25cos(Cω)(曲線51)および追加高調波成分(曲線52)を含む位相関数Φ(ω)=1.4cos(Cω)−1.4cos(2Cω)の両方に関して空間光変調器を横切る位相発振周期数に対して示されている。CARS信号は、スペクトル位相コヒーレント(トランスフォームリミテッド)パルス(0位相関数発振)によって取得された信号を基準としてプロットされている)。非共鳴の十分な抑止を達成するためには、パルススペクトルにわたる位相関数の少なくともいくつかの発振周期が必要であることに留意すべきである。
図5Aは、追加高調波をひとつだけ含む位相関数の使用により如何にして非共鳴バックグランドを2桁近くまで減衰できるかを示している。
図5Bは、2成分を含む位相関数を使用すると、非共鳴バックグランドが大幅に減衰されるが、共鳴成分はほぼ完全に回復することを示している。したがって、共鳴信号と非共鳴バックグランドとの間に達成されるコントラストが、大幅に改善する。
位相制御のもうひとつの例によれば、励起パルスのスペクトル位相は、短波長(高エネルギー端)付近の狭帯域位相ゲートを励起パルスに適用することによって制御可能である。要するに、狭帯域の特徴が、式(1)と式(2)とにおける係数E(ω−Ω)の位相における急峻な変化を誘発させるため、パルスに適用される。位相ゲートスペクトル関数の位相は、ω−Ωでπ分だけ偏移可能であることが好ましいが、必ずしもそれに限らない。以後、このようなスペクトル位相関数を位相ゲートと称する。例えば、π位相ゲートの帯域幅は、約0.5nm〜3nm(すなわち、5〜30cm−l)の範囲内とすることができる。π位相ゲートは、励起パルスの短波長端近傍にスペクトル的に位置することが好ましい。
この技法では、励起パルス内の狭スペクトル帯域が位相偏移し、効果的プローブとしての役割を果たし、ラマンスペクトルが、非共鳴バックグランドのある共鳴信号の干渉パターンから抽出される。
図6A〜6Cを参照すると、位相制御のこの具体例による、パルスの経時的形状と、ポピュレーション振幅とに対するπ位相ゲートの効果が図解されている。
図6Aは、励起パルススペクトル強度61、トランスフォームリミテッド(未整形)パルスのスペクトル位相62および整形パルスのπ位相ゲート63の例を示している。この例では、位相ゲート63は、中心が790nmにある約1.5nmの帯域幅を備えている。さらに、CARS信号を実測可能な代表的スペクトル領域も示されている。したがって、入力パルスとCARS信号間におけるスペクトルの重なり合いを回避するためには、入力パルスのパワースペクトルを約780nmで遮断する。ただし、CARS信号のスペクトル強度は、参照番号64によって識別されている。
図6Bは、スペクトル位相コヒーレントパルス65の経時的強度(経時的包絡線)とπ位相ゲート整形パルス66の経時的強度をタイムドメイン内で示している。図から理解されるように、狭位相πゲートは、パルスの形状にはほとんど影響を与えず、約15%分ピーク強度を減衰させるにすぎない。
図6C、はスペクトル位相コヒーレントパルス67と変調位相68を有するパルスに関して算出されたポピュレーション振幅A(Ω)を示している。図6Cから理解されるように、スペクトル位相コヒーレントパルスの場合、ポピュレーション振幅が振動エネルギーに対して単調に減衰していく。位相ゲートによるこれらの変化は、ポピュレーション振幅A(Ω)をわずかに変更する。この変更は、位相ゲートの幅によって異なる。このように、狭スペクトル帯域部分におけるエネルギー量が、全パルスエネルギーに比べてごくわずかであるため、ポピュレーション振幅A(Ω)は、狭ゲートの場合ほとんど変らない。
任意の所与の周波数ωにおける準位Ωからの共鳴信号の中心は、どちらかといえば狭帯域のプローブにより、ω−Ωに位置する。それに比べ、非共鳴バックグランド信号は、パルス帯域幅の大部分が寄与するコヒーレントの和に相当する。このように、狭スペクトル帯域にわたる位相変化は、共鳴信号の位相に劇的な影響を与えるが、非共鳴信号の位相をほとんど変えることはない。したがって、非共鳴バックグランド信号と共鳴信号との間の相対的位相は、迅速に変化し、位相ゲート端で建設的干渉または破壊的干渉を誘発することになる。全CARSスペクトル時には、共鳴信号と非共鳴信号との間の干渉パターンを解明して、振動エネルギー準位図を明らかにすることができる。
狭帯域位相ゲートとともに励起位相を使用した場合の位相制御の影響が、図7A〜7Dに示されている数値シミュレーションの結果で例証されている。
図7Aは、(523cm−1で共鳴する)ヨードメタンを照射するスペクトル位相コヒーレントパルスに関する、共鳴寄与71と非共鳴寄与72との間における相対的位相73と両寄与の周波数(スペクトル)の関数として算出したCARS電界を示している。図7Bは、スペクトル位相コヒーレントパルスでヨードメタンを照射した場合に算出された結果であるCARSスペクトル74を示している。
図から理解されるように、非共鳴バックグランドスペクトル72は、さらに高いエネルギー(短波長)方向に向かって単調に減衰していくいっぽう、共鳴信号71は、ラマン準位エネルギー分だけ偏移した励起パルススペクトルと類似している。これら2種類の信号間における相対的位相73は、約π/2でほぼ一定であり、749nm未満では約πまで上昇していく。
図7Cは、π位相ゲート整形パルスによってヨードメタンを照射した場合の、共鳴寄与75と非共鳴寄与76との間の相対的位相77と、両寄与の算出CARSスペクトルを示している。図7Dは、ヨードメタンを照射するスペクトル位相コヒーレントパルスに関する、算出結果のCARSスペクトル78を示している。これらの効果は、図7Cで理解することができる。第一に、非共鳴バックグランド成分が多少減少する。第二に、共鳴成分と非共鳴バックグランド成分との間の相対的位相が、ゲートの高エネルギー(短波長)側における0(建設的干渉)と低エネルギー(長波長)側におけるπ(破壊的干渉)との間で変化する。第三に、位相ゲートの両端で、共鳴スペクトル75に2つの新しいピークが現れる。ピーク79は、従来の多ビームCARSで、以前Oronらによって実証され、Phys.Rev.Lett.,2002,V.88,P.63004に記載されている、一過性エンハンスメント効果によるものである。
図7Dから理解されるように、最終結果は、急峻なピークと、全CARS信号78における後に続く大きな傾斜720である。このピーク傾斜という特性は、位相ゲート幅の確度で振動準位のエネルギーを決定するという点に留意すべきである。例えば、位相ゲートは、励起パルス幅より約40倍良好な約25cm−lに一致する、SLM上の3つのピクセルによって形成されうる。
図8Aおよび8Bを参照すると、それぞれスペクトル位相コヒーレントパルス(曲線81aと81b)の事例および、位相ゲート整形パルス(曲線82aと82b)の事例に関して、メタノール(非共鳴成分のみ有する)とヨードメタン(523cm−lにおける共鳴成分を有する)の実測正規化CARSスペクトルが示されている。523cm−1における共鳴成分寄与によるピーク傾斜特性は、ヨードメタンスペクトル(図8B)で理解することができ、そのいっぽうで、正規化されたメタノールスペクトル(図8A)は、ほぼ一定の状態を維持する。
ラマン準位構造は、例えば、下式のようにCARS信号の正規化スペクトル強度変化を考察することによって、実測スペクトルから容易に抽出可能である。
Figure 2006516730
ここで、ωは、位相ゲートの中心周波数であり、Δは、ゲート幅である。さらに高いエネルギー方向に向けての非共鳴バックグランドにおける減衰に対して補償するのに、正規化が必要であることを理解すべきである。
図9A〜9Dを参照すると、数種の物質に関する、コンピュータシミュレーションで得られたシミュレーション予測値(曲線95、96、97および98)と、実測CARSスペクトル(曲線91、92、93および94)から導出された正規化スペクトル強度f(Ω)のプロットが掲載されている。
図9Aから理解されるように、この範囲にはラマン準位がないメタノールに関するほぼ平坦な線が観察される。四塩化炭素の459cm−1準位は、図9Bで容易に観察される。515cm−1と575cm−1にラマン準位のあるメシチレン(図9C)の場合には、2つの完全に分離されたピークが認められる。高エネルギー端では、二硫化炭素の652cm−1準位が図9Dに示されている。これらの図で観察されるスペクトル分解能は、約30cm−1のオーダー(すなわち、励起パルス帯域幅より大体40倍良好)にあるということに留意すべきである。分解能は、位相ゲートの幅(25cm−1)とモノクロメータの分解能(約8cm−1)の両方によって決まる。最小位相ゲート幅は、SLMのピクセル化およびSLM上への入射ビームの焦点サイズの両方によって決まる。上記の例すべてで、位相ゲートはSLM上の3つのピクセルで構成されている。
所与のラマン準位を検出するため、位相ゲートのスペクトル位置を変化させることによって、共鳴成分と非共鳴成分との間の相対的強度比を制御することが可能であるということを理解すべきである。これは、さらに高いエネルギー準位方向に向けて非共鳴バックグランドが減衰するという事実による。さらに、位相ゲート幅を変化させることによって、さらなる制御が可能となる。このように、プローブの幅を広げると、(スペクトル分解能を下げるいっぽうで)共鳴−非共鳴強度比を改良できる。この場合、弱いラマン準位であっても、この方式を使用すれば観察することができる。
広帯域励起の利点は、実測エネルギー範囲内に複数の振動帯域をもつ物質を検出しようとするときには、完全に活用可能である。この場合、適切な位置に複数の位相ゲートを有するスペクトル位相マスクを使用すると、各種準位からの共鳴寄与の建設的干渉によって、CARSスペクトル内に大きなコヒーレントスペクトルの特性を生み出すことができる。
本発明のもうひとつの実施例によれば、CARSプロセスは、励起パルスの偏光を制御することによって制御されている。整形、すなわち入力パルスの分光の補正と駆動パルスの各周波数成分への所望の位相の割り当てに加え、偏光制御を実施可能であることを理解すべきである。
特に、偏光制御を使用すると、超短入力パルスが広帯域ポンプ光子と狭帯域プローブ光子へ直交偏光によって分解される。
スペクトルがE(ω)である電界によって駆動されるCARS信号を生成する非線形偏光は、下式のように、非共鳴遷移に関して、近似化することができる。
Figure 2006516730
ここで、
Figure 2006516730
は、ポピュレーション振幅であり、
Figure 2006516730
は、三次感受性テンソルである。
さらに、
Figure 2006516730
のエネルギーと帯域幅Γにおける中間準位|i>を介したシングル共鳴ラマン遷移に関しては、下式が得られる。
Figure 2006516730
共鳴成分と非共鳴成分との間の2つの主要な差異は、次に述べるとおりである。第一に、共鳴成分には、Ω=Ωに中心が置かれた狭スペクトル応答があり、そのいっぽうで、非共鳴成分のスペクトル応答は広スペクトル応答である。第二に、共鳴成分の応答は、ほぼΩ=Ωで符号を反転するいっぽうで、非共鳴応答の位相は一定である。以下に、共鳴成分をエンハンスしつつ非共鳴成分を減衰させるのにこれらの差異をどのように使用すべきかについて説明する。
シングルパルス偏光制御CARSに対するひとつのアプローチでは、高エネルギー端で狭帯域における励起パルスの偏光を、x平面からy平面へπ/2だけ回転させ、y平面におけるCARS信号をモニターする。その結果、モニターされた信号は、Axx(偏光の電界として)とE(プローブとして)だけに効果的に依存する。これは、共鳴項と非共鳴項のどちらにも該当する。
位相ゲートによってコヒーレント制御を行う事例に関して上述したように、バックグランドの非共鳴信号に対する共鳴信号の比と、さらにスペクトル分解能は、プローブパルスが長大化したときに改良されうる。本発明のこの実施例によれば、プローブパルスの持続期間は、偏光偏移帯域のスペクトル幅によって決まる。
図10A〜10Dを参照すると、各種偏光プローブスペクトル帯域幅に関する、偏光のみ整形で取得されたヨードメタンのCARSスペクトルの例がプロットされている。偏光プローブの全帯域幅は、4.5nm(図10Aに示されている例の場合)、2.3nm(図10Bに示されている例の場合)、1.2nm(図10Cに示されている例の場合)および0.6nm(図10Dに示されている例の場合)のように縮小する。プローブ帯域幅が、4.5nm(400fsに等しい)から0.6nm(3psに等しい)に縮小するにともない、狭スペクトル応答によって共鳴成分がさらに縮小するが、その強度は保持される。それに対して、広スペクトル応答を有する非共鳴バックグランド成分は、さらに弱くなるが、そのスペクトル形状は保持される。両者ともにコヒーレントであるため、プローブパルスの低エネルギー端で建設的に干渉し、高エネルギー端で破壊的に干渉する干渉パターンを生成する。この干渉パターンは、解釈を困難にするので、非共鳴バックグランドをさらに減衰させる必要がある。
非共鳴バックグランドのさらなる減衰は、偏光制御と位相制御の両方を使用することによって達成される。以下に、位相制御と偏光制御の両方を組み合わせた場合に、非共鳴成分を抑止できるので、高分解能の、バックグランドのないシングルパルス多重CARSスペクトルが得られる点について説明する。
図11には、位相偏光整形励起パルス(phase and polarization shaped excitation pulse)のスペクトル強度が例示されている。この例によれば、π位相ゲート110が、y偏光位相帯域111で導入され、プローブとしての役割を果たしている。このように、プローブは、逆位相を有する2つのスペクトル的に異なるさらに長いプローブパルスに分割される。広い非共鳴スペクトル応答により、これら2つのプローブパルスから生じる非共鳴バックグランドが、破壊的に干渉する。振幅のAxx(Ω)成分は、極めて円滑な関数であるため、これら2つのプローブパルスの大きさは、ほとんど等しい。したがって、CARS信号の非共鳴バックグランド成分は、大幅に減衰される。
この減衰は、タイムドメイン内で代わりに観察することができる。図12は、位相と偏光の両方が整形されたパルスに関する、x偏光(曲線121)およびy偏光(曲線122)の両方における、時間に対する電界の包絡線の概略図を表している。分かりやすいように、x偏光電界は、約2桁まで縮小されている。図から理解されるように、x位相ゲートは、y偏光プローブの経時的形状を変更するので、電界の包絡線がx偏光駆動電界のピークで0ポイントを通過する。
瞬間非共鳴応答により、非共鳴バックグランドが、ほとんど完全に抑止される。共鳴信号応答は、異なる。π位相ゲートが式(9)における分母の符号の反転を補償し、π位相ゲート位置から、ラマン準位エネルギーによって偏移した狭スペクトル帯域にわたる共鳴信号を増大させる。
図13A〜13Cを参照すると、各種プローブスペクトル帯域幅に関する、偏光位相ゲート整形により取得したヨードメタンのCARSスペクトルの例がプロットされている。これらの例によると、全プローブ帯域幅は、4.5nm(図13Aに示されている例の場合)から2.4nm(図13Bに示されている例の場合)まで、そしてさらに1.2nm(図13Cに示されている例の場合)まで変化する。(図13A〜13Cに示されている)偏光位相整形プローブパルス(polarization and phase shaped probe pulse)を使用して取得した実測スペクトルを、(図10A〜10Dに示されている)偏光のみ整形スペクトル位相コヒーレントパルス(polarization-only shaped spectral phase coherent pulse)を使用して取得した実測スペクトルと比較すると、非共鳴バックグランドにおける劇的減衰が認められる。位相整形プロ−ブ(phase-shaped probe)を使用することでさらに観察される小さな非共鳴バックグランドは、実際には、鏡検対物レンズと集光光学素子の複屈折が小さいため、偏光子を介して「漏洩」するxxxxx成分のごく一部(約0.05%)に相当することに留意すべきである。しかし、このバックグランド成分は、適用位相偏光(applied phase and polarization)には依存していないので、容易に排除可能である。
図14A〜14Cを参照すると、位相偏光整形パルス(phase and polarization shaped pulse)を使用して得た複数の単純な分子のラマンスペクトルの例が、図解されている。全プローブ帯域幅は、帯域幅の中心における位相ゲートを含め、約1.2nmである。「未加工の」実測CARSスペクトルは、図の左の部分に示されている。位相整形プロ−ブを使用することでさらに観察される小さな非共鳴バックグランドは、実際には、鏡検対物レンズと集光光学素子の複屈折が小さいため、偏光子を介して「漏洩」するxxxxx成分のごく一部(約0.05%)に相当することに留意すべきである。しかし、このバックグランド成分は、適用位相偏光には依存していないので、容易に排除可能である。複屈折によりバックグランドが排除されている抽出されたラマンスペクトルが、図の右側にプロットされている。
図14Aは、ヨードメタンの523cm−lラマン準位に対応するピーク141を示している。このピークの半値全幅は、約15cm−1である。
1,2ジクロロエタンの実測ラマンスペクトルが、図14Bに示されている。98cm−1だけ分離されている652cm―lと750cm−1における準位は、2つの完璧に分離されたピーク142および143として認めることができる。このスペクトルは、検出可能な領域の下限に位置する298cm−1における準位に対応する、ピーク144も有している。
830cm−1における準位に対応するピーク145を有するp−キシレンのラマンスペクトルが、図14Cに示されている。この例は、本発明の技術が、検出可能領域の高エネルギー端を観察できる能力を実証している。実測エネルギー範囲が、さらに短いパルスを使用することにより、より高い周波数(1000〜15000cm−1)まで拡張可能であることに留意すべきである。
シングルパルスCARSは、非線形顕微鏡法に特に好適である。図15は、本発明によるシングルパルスCARS顕微鏡150を例示している。概して、CARS顕微鏡150は、ターゲット物質の分子におけるCARSプロセスを誘起し、前記物質によって分散されたCARS信号を検出するのに必要な、シングルパルス分光器(図2Aでは20、図2Bでは200)の全素子を備えている。さらに具体的には、CARS顕微鏡150は、ユニタリー光励起パルスから成るビームを生成してこのビームをサンプルホルダー29に配置されたターゲット物質内を通過するよう案内するための手段を備えている。本発明の技術によれば、各パルスは、ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するユニタリーパルスである。したがって、CARS顕微鏡は、すくなくともひとつのスペクトル位相コヒーレント(トランスフォームリミテッド)光パルスを生成するよう適合されたレーザー21と、前記レーザー21から取得したトランスフォームリミテッド光励起パルスを整形するよう動作可能な(CARSプロセスをコヒーレントに制御するための制御手段を構成する)プログラマブルパルス整形器22と、検出器ユニット26と、光案内光学素子を備えている。整形は、上記のように、パルスの分散を補正し、さらに所望の位相(および任意選択により偏光も)前記パルスに適用することによって実施する。
CARS顕微鏡150の光案内光学素子は、ビームによって形成される焦点152がターゲット物質上に集束するように配置された集束フォーカシングアセンブリ(例えば、顕微鏡対物レンズ)24aと、ターゲット物質からの出力CARS信号を収集するよう配置されたレンズアセンブリ24bと、検出器ユニット26の方向に伝播する収集されたCARS信号を濾波するよう動作可能なフィルタリングアセンブリ25とを備えている。これらのコンポーネントはすべて、CARS分光器システム(図2Aでは20、図2Bでは200)に関して上述したコンポーネントと同様である。
CARS顕微鏡150は、動作可能なように駆動されるステージ151でサンプルホルダーを支持すること、および/または前記サンプルホルダーに関して動作可能なように光学素子の少なくとも一部を取り付け、それによって入射ビームを適切に偏光させることで実現できる、少なくとも、焦点152有するターゲット物質の部分の走査を利用する。顕微鏡対物レンズ24aは、例えば、ZEISSから購入可能な対物レンズであってもよい。ターゲットドライバーには、圧電変換器、例えば、Physik Instrumente(PI)GmbHから購入可能なP−282 XYZ Nanoポジショナーが備わっていてもよい。
シングルパルスをスペクトル的に分解する顕微鏡法の例を以下にあげる。選択したターゲット物質は、(577cm−1における共鳴パルスを有する)CHBrが充填された10−μmの孔のあるガラス製毛管板であった。サンプルは、コンピュータ制御圧電ドライバーを使用した集束レーザーを中心にラスター走査した。
図16Aに示されている画像は、共鳴寄与を最大化するパルス形状を用いて撮影されたもので、図16Bに示されている画像は、この強度を最小化するパルス形状を用いて撮影されたものである。
図16Aに示されている孔からの大部分の共鳴信号は、図16Bの信号に比べ4の係数分だけ大きく、前記ガラスから得られる信号は、ほとんど同じである。
図16Cは、図16Aと16Bに示されている画像間の差異を表している画像で、CHBrの577cm−1の振動準位からの信号を描いている。この画像は、非共鳴信号が大きいガラスが明るく見えるような、スペクトル位相コヒーレントパルス(図16Dに示されている)を使用すると取得される画像に対して反転して表示されている。図16Cに示されている画像は、顕微鏡が単一振動準位のラマン共鳴寄与をスペクトル的に分解する能力を実証している。実用システムでは、高周波数で、図16Aと16Bに示されている画像の位相マスクを交互に切り替えるロックイン検出によって直接測定することができる。
複数の振動準位を有する物質の場合、整形パルスをこれら準位の建設的量子干渉を誘起するよう適合させて検出の選択性を改良することができる。
したがって、本発明が属する技術分野の当業者は、本発明が好適な実施例に関して説明されているいっぽうで、この開示の根底を成す概念は、本発明のいくつかの目的を実現するため、他の構造、システムおよびプロセスを設計する際の基盤としてすぐに利用できるということを理解できるであろう。
本発明のCARS分光器技術の利用例は、CARS顕微鏡法に関するものであるが、本発明のコヒーレント制御を使用するスペクトル測定は、同じ顕微鏡システムを用いた、多光子蛍光法や第三高調波生成法など、他の非線形顕微鏡法と容易に組み合わせることができる。
さらに、本明細書で採用した表現法や専門用語は、記述することを目的としており、制限事項として見なすべきではないことを理解すべきである。
したがって、本発明の適用範囲は、本明細書に掲載されている図例を用いた実施例によって制限するように構成されているわけではない。添付の請求項およびそれらと同等の記述内で定義されている本発明の適用範囲内での他の変更は可能である。
代表的CARSプロセスのエネルギー準位図である。 本発明のひとつの実施例による、シングルパルスCARS分光器システムの概念図を表す。 本発明のもうひとつの実施例による、シングルパルスCARS分光器システムの概念図を表す。 パルスの経時的形状やポピュレーションの振幅に対する、変調スペクトル位相関数の影響を図解する。 位相関数の周期性を変えることによって取得した、ラマンスペクトルの測定値を図解する。 高調波を追加して周期スペクトル関数を使用することによって実現した、非共鳴バックグランドの抑止を図解する。 パルスの経時的形状およびポピュレーションの振幅に対する、π位相ゲート位相関数の効果を図解する。 狭帯域位相ゲートと励起位相を使用した、位相制御の効果を図解した数値シミュレーションの例である。 それぞれ、メタノールとヨードメタントランスフォームリミテッドパルス、すなわち位相ゲート整形パルスを用いることによって、実測した正規化CARSスペクトルを図解する。 複数の物質に関するコンピュータシミュレーションによって取得したCARSスペクトルとともに、実測CARSスペクトルから導出した正規化スペクトル強度を図解する。 偏光のみ整形により取得し、各種プローブ帯域幅ごとにプロットした、ヨードメタンのCARSスペクトルを図解する。 位相偏光整形励起パルスに関する、時間に対する電界の包絡線の概念図である。 位相偏光整形パルスに関する、時間に対する電界の包絡線の概念図である。 偏光位相ゲート整形(polarization and phase gate shaping)で取得し、各種プローブ帯域幅ごとにプロットした、ヨードメタンのCARSスペクトルを図解する。 位相偏光整形パルスで取得した数種類の単純な分子のラマンスペクトルの例を図解する。 本発明のひとつの実施例による、シングルパルスCARS顕微鏡法システムの概念図を表す。 深部分解シングルパルスCARS画像の例を図解する。

Claims (48)

  1. 媒質の出力コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)信号を生成するための方法であって、
    (i)ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するユニタリー光励起パルスを生成するステップと、
    (ii)少なくとも一つのユニタリー光励起パルスによって前記媒質を励起することによって前記媒質におけるCARSプロセスを誘起するステップと、
    を備えることを特徴とする方法。
  2. ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するユニタリー光励起パルスを生成するステップが、
    (a)ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するスペクトル位相コヒーレント光パルスを生成するステップと、
    (b)スペクトル位相コヒーレント光パルスに所定の整形を適用することによってユニタリー光励起パルスを生成するステップと、
    を有していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. スペクトル位相コヒーレント光パルスの整形が、
    該パルスにおける所定波長より短い波長を遮断するステップを有していることを特徴とする、
    請求項2に記載の方法。
  4. 該所定波長が、
    出力CARS信号が発生する可能性が高いスペクトル帯域幅によって規定されることを特徴とする、
    請求項3に記載の方法。
  5. 前記スペクトル位相コヒーレント光パルスの整形が、
    前記スペクトル位相コヒーレント光パルスの各波長成分に所望の位相を割り当てるステップを有していることを特徴とする、
    請求項2に記載の方法。
  6. 前記スペクトル位相コヒーレント光パルスの整形が、
    前記スペクトル位相コヒーレント光パルスの各波長成分に所望の位相を割り当てるステップを有していることを特徴とする、
    請求項3に記載の方法。
  7. 前記所望の位相を割り当てるステップが、
    所望のスペクトル位相関数を使用することによって前記位相コヒーレント光パルスのスペクトル位相を変調するステップを備えていることを特徴とする、
    請求項5に記載の方法。
  8. 該所望のスペクトル位相関数が、周期関数であることを特徴とする、
    請求項7に記載の方法。
  9. 該所望のスペクトル位相関数が、
    生成されるユニタリー励起パルスの帯域幅より実質的に狭い帯域幅を持つ少なくとも一つの位相ゲートによって形成されることを特徴とする、
    請求項7に記載の方法。
  10. 前記位相ゲートがπ位相ゲートであることを特徴とする、
    請求項9に記載の方法。
  11. 前記π位相ゲートの帯域幅が、約0.5nm〜3nmの範囲内にあることを特徴とする、
    請求項10に記載の方法。
  12. 該π位相ゲートが、生成される励起パルスの短波長端の近傍にスペクトル的に配置されていることを特徴とする、
    請求項10に記載の方法。
  13. 該整形が、
    空間光変調器(SLM)を介して前記スペクトル位相コヒーレントパルスを通過させるステップを有していることを特徴とする、
    請求項2に記載の方法。
  14. 前記スペクトル位相コヒーレント光パルスの整形が、
    実質的に直交する偏光を有する広帯域ポンプ成分と狭帯域プローブ成分とに該パルスを分割するステップを有していることを特徴とする、
    請求項2に記載の方法。
  15. 前記広帯域ポンプ成分と狭帯域プローブ成分とが、
    位相制御されることを特徴とする、
    請求項14に記載の方法。
  16. 前記スペクトル位相コヒーレント光パルスの整形が、
    実質的に直交する偏光を有する、広帯域ポンプ成分と狭帯域プローブ成分とに該パルスを分割するステップを有していることを特徴とする、
    請求項6に記載の方法。
  17. 該広帯域ポンプ成分と狭帯域プローブ成分とが、
    位相制御されることを特徴とする、
    請求項16に記載の方法。
  18. 該スペクトル位相コヒーレント光励起パルスが、
    約5〜100フェムト秒の範囲内にあることを特徴とする、
    請求項2に記載の方法。
  19. ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送する前記スペクトル位相コヒーレント光パルスが、
    シングルレーザーによって生成されることを特徴とする、
    請求項2に記載の方法。
  20. コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)分光法または顕微鏡法で使用するためのパルス生成方法であって、
    ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するスペクトル位相コヒーレント光パルスを生成するよう動作可能なシングルレーザーを利用するステップと、
    前記スペクトル位相コヒーレント光パルスに所定の整形を適用してユニタリー光励起パルスを生成するステップと、
    を備えることを特徴とする方法。
  21. 出力CARS信号を生成することのできる分子からなる媒質のコヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)分光法のための方法であって、
    (a)ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送する少なくとも一つのユニタリー光励起パルスを生成するステップと、
    (b)該少なくとも一つのユニタリー光励起パルスを前記媒質上で集束し、それによって、前記媒質を励起して前記分子の前記出力CARS信号を生成するステップと、
    (c)該出力CARS信号を測定するステップと、
    を備えていることを特徴とする方法。
  22. 該出力CARS信号を測定するステップが、
    前記媒質によって散乱されたCARS信号を収集するステップと、
    検出器の方向に伝播する収集された信号にスペクトルフィルタリングを適用するステップと、
    を有することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  23. 出力CARS信号を生成する分子からなるターゲット物質のコヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)顕微鏡法のための方法であって、
    ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送する少なくとも一つのユニタリー光励起パルスを生成するステップと、
    前記媒質に該少なくとも一つのユニタリー光励起パルスを集束し、それによって前記媒質を励起して前記分子の前記出力CARS信号を生成するステップと、
    前記媒質と前記励起ビームとの間に相対的変位を提供し、それによって前記ユニタリー励起パルスビームによる前記媒質の走査を可能にするステップと、
    を備えていることを特徴とする方法。
  24. 媒質の出力コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)信号の測定に使用するシステムであって、
    ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送する少なくとも一つのスペクトル位相コヒーレント光パルスを生成するよう動作可能なシングルレーザーと、
    前記スペクトル位相コヒーレント光パルスを受信し、これを整形してユニタリー光励起パルスを生成するためのプログラマブルパルス整形器と、
    を有することを特徴とするシステム。
  25. 被検媒質の出力コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)信号を測定するためのシステムであって、
    ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送する少なくとも一つのスペクトル位相コヒーレント光パルスを生成するよう動作可能なシングルレーザーと、
    前記スペクトル位相コヒーレント光パルスを受信して、それらから、ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送するユニタリー光励起パルスを生成するよう動作可能なプログラマブル整形アセンブリと、
    該ユニタリー光励起パルスによって励起された前記媒質によって生成された前記出力CARS信号を受信し、それらを表すデータを生成する検出器ユニットと、
    前記媒質に前記ユニタリー光励起信号を案内し、前記検出器ユニットに前記出力CARS信号を案内する光案内光学素子と、
    を有していることを特徴とするシステム。
  26. 該プログラマブルパルス整形器が、
    前記スペクトル位相コヒーレントパルスの周波数成分を空間的に分離するための入力分散装置と、
    該分離された周波数成分の光経路内に収納され、該周波数成分を変調して該分離された周波数成分のそれぞれに所望の位相を少なくとも割り当てるように動作可能なプログラマブル空間光変調器(SLM)と、
    該変調された周波数成分の光経路内に収納され、ポンプ光子、ストークス光子およびプローブ光子を搬送する前記ユニタリー光励起パルスに、これらを再度合成するよう動作する出力分散装置と、
    を有することを特徴とする請求項25に記載のシステム。
  27. 該プログラマブルパルス整形器が、
    前記伝播スペクトル位相コヒーレントパルスにおいて所定波長より短い波長を遮断するための遮断素子を有していることを特徴とする、
    請求項25に記載のシステム。
  28. 該プログラマブルパルス整形器が、
    前記伝播スペクトル位相コヒーレントパルスにおいて所定波長より短い波長を遮断するための遮断素子を有していることを特徴とする、
    請求項26に記載のシステム。
  29. 該プログラマブルパルス整形器が、
    前記スペクトル位相コヒーレントパルスの前記所定波長成分に偏光回転を適用し、それによって、実質的に直交する偏光を有する広帯域ポンプ成分と狭帯域プローブ成分とを生成し、さらに、前記媒質から前記検出器に伝播する信号に対して、交差偏光CARS信号の抽出のために交差偏光フィルタリングを適用するよう動作可能な偏光制御アセンブリを有していることを特徴とする、
    請求項25に記載のシステム。
  30. 該偏光制御アセンブリが、
    前記スペクトル位相コヒーレントパルスの光経路内に収納されている入力偏光フィルタリングユニットを有していることを特徴とする、
    請求項29に記載のシステム。
  31. 前記偏光回転子が、
    空間光変調器(SLM)構成を有していることを特徴とする、
    請求項25に記載のシステム。
  32. 該SLMが、
    前記スペクトル位相コヒーレント光パルスの各波長成分に所望の位相を割り当てるよう動作可能であることを特徴とする、
    請求項31に記載のシステム。
  33. 該プログラマブルパルス整形器が、
    前記スペクトル位相コヒーレントパルスの前記所定波長成分に偏光回転を適用し、それによって、実質的に直交する偏光を有する広帯域ポンプ成分と狭帯域プローブ成分とを生成し、さらに、前記媒質から前記検出器に伝播する信号に対して、交差偏光CARS信号の抽出のために交差偏光フィルタリングを適用するよう動作可能な偏光制御アセンブリを有していることを特徴とする、
    請求項26に記載のシステム。
  34. 前記偏光制御アセンブリが、
    前記スペクトル位相コヒーレントパルスの光経路内に収納されている入力偏光フィルタリングユニットを有していることを特徴とする、
    請求項33に記載のシステム。
  35. 前記媒質から前記検出ユニット方向へ伝播する出力CARS信号の光経路内に収納され、該出力CARS信号に周波数フィルタリングを適用するよう動作可能なフィルタリングアセンブリを備えていることを特徴とする、
    請求項25に記載のシステム。
  36. 該レーザーが、チタンサファイアレーザーであることを特徴とする、
    請求項25に記載のシステム。
  37. 該フィルタリングアセンブリが、
    バンドパスフィルタ、ショートパスフィルタ、スペクトログラフおよびモノクロメータの少なくとも一つを備えていることを特徴とする、
    請求項35に記載のシステム。
  38. 該検出器ユニットが、ロックイン増幅器を備えていることを特徴とする、
    請求項25に記載のシステム。
  39. 前記光スペクトル位相コヒーレントパルスが、
    約5〜100フェムト秒の範囲内にあることを特徴とする、
    請求項25に記載のシステム。
  40. 該プログラマブルパルス整形器が、
    前記パルスの各周波数成分に所望の位相を割り当てることによって、前記光スペクトル位相コヒーレントパルスを整形するよう動作可能であることを特徴とする、
    請求項25に記載のシステム。
  41. 前記所望の位相を割り当てるステップが、
    所望のスペクトル位相関数を用いることによって前記パルスの前記スペクトル位相を変調するステップを備えていることを特徴とする、
    請求項40に記載のシステム。
  42. 該所望のスペクトル位相関数が、周期関数であることを特徴とする、
    請求項41に記載のシステム。
  43. 該所望のスペクトル位相関数が、前記ユニタリー励起パルスより実質的に狭い帯域幅を有している少なくとも一つの位相ゲートであることを特徴とする、
    請求項41に記載のシステム。
  44. 前記位相ゲートが、π位相ゲートであることを特徴とする、
    請求項43に記載のシステム。
  45. 該π位相ゲートの帯域幅が、約0.5nm〜3nmの範囲内にあることを特徴とする、
    請求項44に記載のシステム。
  46. 該π位相ゲートが、前記励起パルスの短波長端の近傍にスペクトル的に配置されていることを特徴とする、
    請求項44に記載のシステム。
  47. CARS分光器として動作可能である請求項25に記載のシステム。
  48. CARS顕微鏡として動作可能である請求項25に記載のシステム。
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