JP2006516411A - ネットワーク - Google Patents
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Abstract
リボン、微小繊維、または繊維のそれぞれがβシートテープ様サブ構造中、ペプチドの反平行配列を有することを特徴とする、リボン、微小繊維、または繊維を含む材料が記載される。
Description
本発明は、合理的に設計されたペプチドのβシート自己集合で作られる新規超分子凝集体、重合体、およびネットワークに、ならびに、例えば、反応性工業用流動体(石油探査)として、パーソナルケア製品として、組織再構築デバイスとして、または制御された薬物送達系としてのそれらの使用に関する。
国際公開WO96/31528号パンフレット(Boden, et al)は、新規の合理的に設計されたペプチドを記載しており、これは一次元で自己集合してβシートテープ様重合体を形成する。臨界ペプチド濃度(一般的に0.3%v/vペプチドより上)を超えたテープは、物理的に絡み合ってそれらの有機溶媒または水の溶液をゲル化させる(図1)。ペプチドゲルは、外部の化学的または物理的引き金に応じてゲル状態から流動性またはより硬いゲル状態にスイッチするようにプログラム可能であるという特別な性質を有する。
その両面が化学的に識別できるテープは、ペプチド濃度の増加に応じて、他の自己集合した超分子構造、すなわちリボン(2枚の積み重なったテープ)、微小繊維(互いに積み重なった多数のリボン)、および繊維(絡み合った微小繊維)の階層を生み出し得ることが、最近発見された[1−3](図2)。これらのβシート重合体は全て、ペプチドのキラリティーのためねじれて見える。1組のエネルギーパラメーターεjを用いて、βシートがペプチドを形成するこの自己集合プロセスを合理的に説明する理論モデルが開発されてきた(図1)。εjの大きさにより、それを超えると各型の重合体が安定になるペプチド濃度範囲が定義される。
本発明者らは、適切なペプチド設計により、pH、溶液のイオン強度、または温度の変化により制御可能なテープ、リボン、微小繊維または繊維が生成され得ることを示してきた。詳細には、ある一定の濃度および特定のpH範囲で自己集合して1種または他のこれらの重合体を形成するが、異なるpH範囲では、ペプチドのアミノ酸配列の記述(specification)に従って、別の重合体構造に変換されるか、または単量体性不規則コイル状態へと分離するペプチドが、設計され得る。
本発明者らは、重合体のこの階層が、1つの型のペプチド(ホモペプチド重合体)によってのみでなく、最も重要なことに、相補的ペプチドを一緒に混ぜる(交互共重合体)ことによってもまた形成され得ることを、最近発見した。例えば、本発明者らは、ペプチドP11−3(DN1−2Eとしても既知である)(表1)が、水中pH>7で、単量体性不規則コイル構造の形をとり、流動性等方性溶液を形成することを示している。この挙動は、ペプチドの3つのグルタミン酸基に由来する。それらの有効pKaよりも高いpHでは、グルタミン酸側鎖はイオン化されて、これらの負電荷を帯びた基により生じる分子内静電反発がβシート自己集合を防ぐ。同様に、ペプチドP11−4は、水中pH<7.5で、単量体性不規則コイル構造の形をとり、流動性溶液を形成する。この挙動は、正電荷を帯びたオルニチン基(1つのペプチドあたり4つのオルニチン)間に生じる静電反発に由来する。しかしながら、ある一定の臨界ペプチド濃度(一般的にマイクロモルの領域)を超えて、P11−3(負に帯電)の溶液をP11−4(正に帯電)の溶液と混合した場合、ペプチド濃度に従って、即時βシート自己集合してリボン、微小繊維、または繊維になり、そしてこれらは相補的ペプチド:P11−3およびP11−4などの交互配列により形成される(図3)。
本発明によれば、リボン、微小繊維、または繊維のそれぞれはβシートテープ様構造で反平行に配列したペプチドを有することを特徴とする、リボン、微小繊維、または繊維を含む材料が提供される。
材料が実質的に微小繊維で構成される場合、微小繊維は繊維様接合で相互接続している微小繊維のネットワークに含まれ得る。
材料は自己集合性ペプチド(SAP)を含み、SAPは水性媒体中でテープを形成し、かつ3またはそれより多い極性/中性アミノ酸と複数の帯電アミノ酸とから成る、材料も提供される。
極性/中性アミノ酸は、同じでも異なっていてもよく、かつグルタミン、セリン、アスパラギン、グルタミン酸、オルニチン(orthinine)、システイン、リシン、ヒスチジン、およびスレオニンを含む群から選択される。
アミノ酸は正電荷を帯びていて、かつ中性pH以下のpHでゲルを形成することを特徴とする、材料がさらに提供される。代替的に、アミノ酸は負電荷を帯びていて、かつ中性pH以上のpHでゲルを形成する、材料が提供される。
本発明の本態様の材料では、SAPはP11−1である。
アミノ酸の鎖は生理活性ペプチド配列を含むように延長されるか、または治療的に活性な分子に結合している、材料がさらに提供される。
材料は、水溶液中でリボンおよび/または微小繊維を形成するSAPを含んでもよく、かつSAPは、アミノ酸の少なくとも50%が極性および無極性アミノ酸の交互構造を構成する一次構造を有する。
極性アミノ酸は11アミノ酸あたり1〜3の正味電荷を帯びたアミノ酸を含む。好ましくは、SAPはP11−2、P11−3、P11−4、およびP11−5の群(DN1−2Oとしても知られる)から選択される。
材料は特に、組織工学、細胞培養培地および/または歯科治療における使用に適し得る。
材料は自己集合性ペプチド(SAP)を含み、SAPは水性媒体中でテープを形成し、かつ3またはそれより多い極性/中性アミノ酸と複数の帯電アミノ酸とから成る、材料も提供される。
極性/中性アミノ酸は、同じでも異なっていてもよく、かつグルタミン、セリン、アスパラギン、オルニチン(orthinine)、システイン、リシン、ヒスチジン、グルタミン酸、およびスレオニンを含む群から選択されてもよい。
無極性アミノ酸は、同じでも異なっていてもよく、かつフェニルアラニン、トリプトファン、バリン、ロイシン、イソロイシン、およびメチオニンを含む群から選択される。
アミノ酸の鎖は生理活性ペプチド配列を含むように延長されるか、または治療的に活性な分子に結合していることを特徴とする、材料がさらに提供される。
好ましくは、本発明の態様において、SAPはP11−3である。
SAPは高イオン性媒体に可溶性である、材料も提供される。本発明の本態様において、SAPは1:11〜4:11の正味電荷を帯びたアミノ酸対全アミノ酸比を含んでもよい。
材料は特に、組織工学、細胞培養培地および/または歯科治療における使用に適し得る。
相補的ペプチドテープは3個またはそれより多い極性アミノ酸から成り、そのいくつかは帯電アミノ酸であり、ここで帯電アミノ酸対全アミノ酸の比は3:11またはそれより大きいことを特徴とする、材料がさらに提供される。
したがって、SAPはP11−6およびP10−7の群から選択され得る。
アミノ酸の鎖は生理活性ペプチド配列を含むように延長されるか、または治療的に活性な分子に結合していることを特徴とする、材料がさらに提供される。
材料は特に、組織工学、細胞培養培地および/または歯科治療における使用に適し得る。
したがって、本発明のさらなる特徴によれば、1つより多い相補的ペプチドの自己集合により作られる交互共重合体βシート重合体のテープ、リボン、微小繊維、および繊維が提供される。ペプチドの相補性は、それらの電荷(例えば、1つのペプチド上の正味正電荷ともう1つのペプチド上の正味負電荷)に由来し得る。
テープ、リボン、微小繊維、および繊維は、段々と(increasingly)硬い構造となる[1]。例えば、本発明者らは、11残基のペプチドであるP11−1により水中で形成される単独のテープの持続長lは、約0.3μmであるが、水中で変異体のP11−2ペプチドにより形成されるリボンおよび微小繊維の持続長は、それぞれ1μmおよび20〜70μmであることを見いだした(表1)。
本発明者らはまた、ある一定のペプチド濃度cI/N(等方性からネマチックへの転移イオン濃度)を超えると、半剛直リボン、微小繊維、および繊維は整列し、したがってそれらの初期等方性溶液はネマチック液晶溶液へ変換され得ることを示した。溶液のネマチック液晶状態への転移は、重合体が硬いほど、低い濃度で起こる。例えば、P11−1ペプチドのリボンの溶液についてネマチック転移は約13mMのcI/Nで起こるが、P11−2ペプチドのさらにより硬い微小繊維の溶液についてネマチック転移は約0.9mMのcI/Nで起こる。
本発明者らはまた、さらになおペプチド濃度を上げると、流動性ネマチック液晶溶液から、微小繊維の絡み合いにより形成される自己支持性ネマチックゲルへの第二の転移が起こることも示している(図4)。
本発明者らは、ペプチド溶液の剪断またはペプチド溶液への外部磁場の印加により、これら重合体(テープ、リボン、微小繊維、および繊維)の整列が顕著に改善され得ることを発見した。続くゲル化は、整列した重合体を所定位置に固定して、重合体溶液が磁場から出された後でさえ、または剪断の終了後でさえ、長期間(一般的に数週間)、それらの整列を保持する。剪断または外部磁場(磁場強度7Tの超伝導磁石)は、交差偏波を用いて溶液の複屈折をモニタリングすることにより示されるとおり、実際、P11−2ペプチドの水溶液で微小繊維の整列を改善することが見いだされている。溶液中の改善された重合体整列は、剪断または磁場印加の終了後数週間保持された。
したがって、本発明により、ペプチド溶液を剪断することによる、またはペプチド溶液に電場および磁場などの他の外力をかけることによる、改善された重合体整列、したがって改善された光学的性質(すなわち液晶性および複屈折の増加)を有する、ホモペプチドまたは交互コペプチドβシートのテープ、リボン、微小繊維、または繊維のネマチック液晶溶液およびゲルの生成法が提供される。
これらのペプチド液晶溶液およびゲルは、ペプチド設計により、有機溶媒中または水中で形成され得る。ペプチド一次構造の設計は、ペプチド重合体の界面の性質と溶媒の界面の性質との間で適合性を達成するのに必要である。例えば、中度の極性溶媒中でネマチック溶液およびゲルを形成させるのに、優勢的に疎水性のアミノ酸側鎖を有する、自己集合性βシート形成性ペプチドが必要であるが、水中でネマチック溶液およびゲルを形成させるのには、少なくとも片面が極性であるテープを形成するペプチドが必要である。
微小繊維および繊維は整列可能であり、それゆえネマチックゲルを形成し得る。したがって、微小繊維および繊維を紡績して、例えば、高引張強度繊維(Kevlar(登録商標)を参照)を作ることが可能である。また、それらを用いて、組織工学用の高度に順序だった足場または無機マトリクスの成長用テンプレートを作ることが可能であり、あるいは、例えばNMR分光法における、生体分子の整列用マトリクスとすることが可能である。
最近まで、これらの重合体の形成は、比較的単純な溶液(例えば、純粋な溶媒または低イオン強度の溶液)に限られてきた。本発明者らは、ここで、より複雑な生体関連流動体(例えば細胞培地)で、可溶性の重合体(すなわち、テープ、リボン、微小繊維、および繊維)を形成するであろうペプチドを合理的に設計することが可能であることを発見した。それらは細胞の増殖および維持に用いられる複雑な混合物となる。なぜなら、それらはin vivoの細胞の自然環境を模倣するからである(代表的な細胞培地の組成については、図5を参照)。重合体のこれらの培地への溶解度の問題は、実用上重要なものである。その理由は、生体流動体および細胞培地は比較的高いイオン強度(約145mMのNaClに等しい)により特徴付けられ、これは重合体の沈澱を引き起こす傾向があるからである。本発明者らは、これらの溶液に可溶性のペプチド重合体を生成するためには、重合体間に適切な程度の反発を築いてそれらが溶液中で離れているようにすることが必要であることを発見した。安定な三次元のゲル足場は、このようにして細胞培地中生成されることができ、これは溶液から沈澱する。
細胞培地中、可溶性のβシート重合体足場およびゲル足場を形成させるためのペプチド設計の段階は、
1)単独テープ生成のため、国際特許出願第PCT/GB96/00743号の基準に従ってペプチドを設計する。細胞培地中安定な単独テープを生成するため、テープの両面は、優勢的に極性基で保護(covered)されなければならない。
2)リボン、微小繊維、および繊維生成のため、例えば一方は優勢的に極性でもう一方は優勢的に無極性といったように、テープの一面は他方の面と異なっていなければならない。極性面はまた、例えば、グルタミンまたはアスパラギン側鎖により提供される水素結合部位を通して、互いに弱く相互作用することが可能でなければならない。
3)これら重合体が全て細胞培地に可溶性であることを確実にするために、重合体間にある程度の反発が作り出されなければならない。これは、重合体の同じ電荷間の静電反発であり得る。あるいは、これは、ペプチド重合体を修飾する柔軟な親溶媒性(solvophilic)鎖(水が好適な溶媒の場合はポリエチレングリコール鎖など)により作り出される立体反発であり得る。これらPEG部分は、アミノ酸側鎖に、またはペプチド末端に結合され得る。
1)単独テープ生成のため、国際特許出願第PCT/GB96/00743号の基準に従ってペプチドを設計する。細胞培地中安定な単独テープを生成するため、テープの両面は、優勢的に極性基で保護(covered)されなければならない。
2)リボン、微小繊維、および繊維生成のため、例えば一方は優勢的に極性でもう一方は優勢的に無極性といったように、テープの一面は他方の面と異なっていなければならない。極性面はまた、例えば、グルタミンまたはアスパラギン側鎖により提供される水素結合部位を通して、互いに弱く相互作用することが可能でなければならない。
3)これら重合体が全て細胞培地に可溶性であることを確実にするために、重合体間にある程度の反発が作り出されなければならない。これは、重合体の同じ電荷間の静電反発であり得る。あるいは、これは、ペプチド重合体を修飾する柔軟な親溶媒性(solvophilic)鎖(水が好適な溶媒の場合はポリエチレングリコール鎖など)により作り出される立体反発であり得る。これらPEG部分は、アミノ酸側鎖に、またはペプチド末端に結合され得る。
例示として、以下の実施例が含まれる。
細胞培地中の可溶性重合体およびゲル形成について、本発明者らの研究室で、多数(何十もの)の体系的に改変したペプチド(代表的には7残基〜30残基長)を研究した。これらのペプチドは全て、ある一定の低イオン強度の培地では自己集合してβシート重合体を形成することができるが、細胞培地では、これらのほとんどが溶液から沈澱してしまうことが見いだされた。本発明者らは、生理的pH=7.5で1ペプチドあたり約+2または−2の正味電荷を有するペプチドのみが、細胞培地中で可溶性の重合体およびゲルを形成することができると結論を出した(ペプチドがその重合体を細胞培地中で可溶性に保つのに必要な正味電荷の量は、それが形成するペプチドテープの全体的な表面の性質および溶解度に応じて変化する)。本発明者らが研究したペプチドの中で、1分子あたり+3または−3の正味電荷を有するペプチドは、10mg/mlより高いペプチド濃度では細胞培地中限られた自己集合能力しか示さず、かつどのペプチド濃度でもゲルマトリクスを生成しなかった。1分子あたり+4または−4の正味電荷を有するペプチドは細胞培地中で自己集合しなかった。これらのペプチドは、優勢的に単量体状態を維持し、そしてそれらの細胞培地溶液は40mg/ml程度のペプチド濃度まで流動性であった。
細胞培地中の可溶性重合体およびゲル形成について、本発明者らの研究室で、多数(何十もの)の体系的に改変したペプチド(代表的には7残基〜30残基長)を研究した。これらのペプチドは全て、ある一定の低イオン強度の培地では自己集合してβシート重合体を形成することができるが、細胞培地では、これらのほとんどが溶液から沈澱してしまうことが見いだされた。本発明者らは、生理的pH=7.5で1ペプチドあたり約+2または−2の正味電荷を有するペプチドのみが、細胞培地中で可溶性の重合体およびゲルを形成することができると結論を出した(ペプチドがその重合体を細胞培地中で可溶性に保つのに必要な正味電荷の量は、それが形成するペプチドテープの全体的な表面の性質および溶解度に応じて変化する)。本発明者らが研究したペプチドの中で、1分子あたり+3または−3の正味電荷を有するペプチドは、10mg/mlより高いペプチド濃度では細胞培地中限られた自己集合能力しか示さず、かつどのペプチド濃度でもゲルマトリクスを生成しなかった。1分子あたり+4または−4の正味電荷を有するペプチドは細胞培地中で自己集合しなかった。これらのペプチドは、優勢的に単量体状態を維持し、そしてそれらの細胞培地溶液は40mg/ml程度のペプチド濃度まで流動性であった。
例えば、本発明者らは、合理的に設計されたペプチドP11−3は、低イオン強度培地中pH=7.5で自己集合しなかったことを見いだした(上限10mg/mlのペプチド濃度)。しかしながら、145mMのNaClを溶液に加えた場合、またはペプチドを細胞培地に溶解させた場合、これは、4〜5nmの狭幅、12〜15nmの広幅、200〜300nmのフルピッチ、かつ数マイクロメーター長を有するねじれたβシート微小繊維を形成する(図6)。
微小繊維は、15mg/mlより高いペプチド濃度で、絡み合って三次元のネットワークを形成し、そしてその細胞培地溶液を均一な自己支持性ゲルに変える(図7)。ゲルは、室温で少なくとも数週間安定なままである。
ゲルは、機械的振盪により破壊され得る。再形成に要する時間は、ペプチド濃度に依存し、35mg/mlのペプチドゲルで数秒から、15mg/mlのペプチドゲルで数時間の範囲に渡る。
同様な挙動が、細胞培地中の合理的に設計されたペプチドP11−5(表1)に見いだされた。P11−3の微小繊維とP11−5の微小繊維との間の主な違いは、P11−3で形成されたものがpH=7.5で1ペプチドあたり−2の正味負電荷を有するのに対し、P11−5で形成されたものはpH=7.5で1ペプチドあたり+2の正味電荷を有することである。
したがって、様々な化学的性質を有するペプチド微小繊維およびゲルがペプチド設計によりもたらされ得ることが明かである。例えば、重合体の電荷の種類(+または−)は重合体マトリクス−細胞相互作用に決定的であり得る。中性の極性側鎖の性質もまた、良好な重合体−細胞相互作用、およびin vivoの重合体安定性を微調整および最大化するために変更され得る。
細胞培地中のP11−3およびP11−5の微小繊維およびゲルは、オートクレーブを用いた滅菌後、再形成されることが見いだされた。したがって、オートクレーブは、これらのペプチドゲルを滅菌する実行可能な方法であると思われる。これは非常に意義深いことである。なぜなら、滅菌は、これらの材料をin vitroまたはin vivoで細胞とともに用いるための必要条件だからである。同じく用いることが可能な他の代替的滅菌法は、初期単量体性ペプチド溶液の濾過またはガンマ照射である。実際、本発明者らは、ガンマ照射滅菌の使用が好ましいことを見いだした。なぜなら、ガンマ照射は清潔、直接的、かつ再現性のある滅菌法を提供するからである。したがって、本発明のこの好適な態様において、ペプチドは乾燥して粉末になることができ、そして乾燥ペプチド粉末がガンマ照射にかけられる。
上記に記載されるペプチド設計手順が細胞培地中のテープまたはより高次の凝集体(すなわち、リボン、微小繊維、および繊維)のいずれかを設計するのに用いられ得るものの、本発明者らは、より硬い微小繊維および繊維が、組織工学用ペプチド足場の生成により有用である可能性があると考える。その理由は、例えばテープよりもはるかに強い構造単位である微小繊維は長期間、重大な損傷もなく三次元に細胞を支持し得るからである。また、微小繊維の高凝縮性は、ペプチドを酵素分解から保護し、かつin vivoでの足場の寿命を顕著に増加させ得る。
ペプチドゲルは、ゲル中0.01の体積分率のペプチドと0.99の体積分率の溶媒に相当する非常に低いペプチド濃度(一般的に15mg/mlより上)で形成され、このことは、ゲルが主に溶媒を含んでいることを意味する。したがって、これらのゲルに封入された細胞は、増殖するのに、互いに伝達するのに利用可能な部屋を多数有し、そして栄養、酸素、および様々な代謝産物がゲルネットワークの中および外にほとんど自由に拡散し得る。
マウスの細胞培地へのP11−3ペプチド溶液およびP11−5ペプチド溶液の注射は、ペプチド注射の2週間および8週間後に組織像で判断されるとおり、注射部位を取り囲む組織にペプチドの存在が影響しなかったことを示した。
これらの新規生体材料がin vitroおよびin vivoで組織工学に提供される機会は膨大である。多数の様々な細胞がこれらの重合体足場に封入され得る。
ペプチドは、自己集合性ドメインとそれに続く少なくとも1つの生理活性ドメインを有するように設計され得る。したがって、足場と特定の型の細胞との相互作用を制御し、かつ封入された細胞の成長分化状態および機能に影響を及ぼすであろう特定の生理活性配列(例えばRGD配列)で修飾された、重合体ゲル足場が、細胞培地に形成され得る。
ペプチド重合体(特により硬い微小繊維および繊維)は剪断または磁場印加により優先的に整列し得る。したがって、そこに細胞が播かれた場合、細胞型、細胞−細胞相互作用、および増殖組織の形状の制御に特に重要となり得る異方性重合体足場が得られ得る。
細胞は、様々な異なる方法で、重合体マトリクスに封入(encapsulate)され得る。例えば、
1)機械的振盪によるゲル破壊、細胞との混合、およびゲルマトリクスが細胞周りに再形成されることによる細胞の封入化。
2)細胞を初期流動性単量体ペプチドの細胞培地溶液と混合、続いてゲル形成の引き金を引く。引き金は、イオン強度変化、わずかなpHの変化、またはCa+2などの対イオンの添加であってよい。
3)ペプチド足場に細胞を封入するおそらく最も効果的な方法は、交互コペプチドの使用である。本発明者らは、実際、以下を発見した。細胞培地中、ペプチドP11−6およびP11−7(表1)は自力では、自己集合して長いβシート重合体を形成せず、そしてこの理由のため、それらの細胞培地溶液はゲル様ではなく流動体様である。それらが自己集合を欠くことは、それらのペプチドPあたりの高い正味正電荷および負電荷に起因する(P11−6で−4、およびP11−7で+4)。これら2種のペプチドの細胞培地溶液(10mg/mlより高いペプチド濃度)が一緒に混合された場合、それらの相補的に相互作用するペプチドによるヘテロペプチドβシート重合体の形成のおかげで、それらは自発的に自己支持性ゲルに変換する。
1)機械的振盪によるゲル破壊、細胞との混合、およびゲルマトリクスが細胞周りに再形成されることによる細胞の封入化。
2)細胞を初期流動性単量体ペプチドの細胞培地溶液と混合、続いてゲル形成の引き金を引く。引き金は、イオン強度変化、わずかなpHの変化、またはCa+2などの対イオンの添加であってよい。
3)ペプチド足場に細胞を封入するおそらく最も効果的な方法は、交互コペプチドの使用である。本発明者らは、実際、以下を発見した。細胞培地中、ペプチドP11−6およびP11−7(表1)は自力では、自己集合して長いβシート重合体を形成せず、そしてこの理由のため、それらの細胞培地溶液はゲル様ではなく流動体様である。それらが自己集合を欠くことは、それらのペプチドPあたりの高い正味正電荷および負電荷に起因する(P11−6で−4、およびP11−7で+4)。これら2種のペプチドの細胞培地溶液(10mg/mlより高いペプチド濃度)が一緒に混合された場合、それらの相補的に相互作用するペプチドによるヘテロペプチドβシート重合体の形成のおかげで、それらは自発的に自己支持性ゲルに変換する。
したがって、細胞溶液のpH、イオン強度、および対イオン濃度を変化させることを必要とせずに、ペプチド足場に細胞を封入する独特の方法を交互コペプチド系が提供することがわかる。これは、細胞を初期単量体ペプチド溶液の1つと混合し、続いて相補的ペプチド溶液を加えることにより行われ得る。
ヘテロペプチド重合体足場はまた、同じ重合体上に異なる機能を組み合わせること、およびホモペプチド重合体の化学的および周期的特性を伸ばすことの利点を提供する。例えば、重合体の1つのペプチド構成成分は、それに結合した生理活性ペプチドを有してもよく、一方重合体の他のペプチド化合物はそれに結合した薬物分子を有してもよい。
本発明のリボン、微小繊維、および/または繊維は、特に微小繊維または繊維の長軸方向において、どれだけ多くのテープが、リボン、微小繊維、または繊維を作っているかにより特に制御される、顕著な引張強度を示す。そのような強度は、従来の共有結合の強度と同程度であると見積もられてきた。そのうえさらに、微小繊維および/または繊維がそれらのペプチド含むために生分解性であるので、それらは、生分解性足場へと構築され得るのに特に有利である。そのような足場は、本発明の微小繊維または繊維の織物、編み物、または編みひも(plait)を含み得る。
足場はまた、ペプチド重合体と他の市販の重合体(綿および毛繊維など)との組み合わせを用いて構築されて、機械的、化学的、および生化学的性質、ならびに低い製造費用の望ましい組み合わせを有する材料を与え得る。
微視的微小繊維の整列とそれに続く微小繊維の側方会合は、微視的に配向した繊維マットの形成をもたらし得る。
ペプチド微小繊維および/または繊維は、合成重合体繊維の化学的性質および生理活性を制御するために操作され得る。本方法論は、望ましい機械的性質を有する低費用の十分制御された繊維構造の製造に関する既存の専門知識を、それらの生理活性、生体適合性、および他の化学的性質を設計する機会と結びつけ(harnessing)かつ組み合わせる利点を有する。そのような新規材料は、組織工学、創傷治癒、および組織接着などの生体医用分野に有望な用途を有し得る。
生成物および用途
産業上の用途
制御された方法での、表面の物理的および化学的性質、例えば湿潤性の修飾;例えば、抗着氷への用途。
同じく油/水の粘土表面との相互作用を制御するため、および粘土自体を安定化させるための、例えば油ウェル(oil wells)の裂け目を取り扱う場合の重要な問題。ペプチド重合体の安定性は、ペプチド設計により制御され得る。したがって、1ペプチドあたりのアミノ酸残基数およびまたアミノ酸側鎖間の好ましい分子内相互作用の数を増加させることにより、安定性と強度が増加したペプチド重合体が得られ得る。また、リボン、微小繊維、および繊維は、単独テープと比較していっそうより安定な重合体になり得る。したがって、高温の油ウェル中安定なゲルを形成するようなペプチド設計により適切な重合体が生成され得る。これらのゲルは、例えば、油ウェルの特定部位で重要な機械的支持を提供し得る。
産業上の用途
制御された方法での、表面の物理的および化学的性質、例えば湿潤性の修飾;例えば、抗着氷への用途。
同じく油/水の粘土表面との相互作用を制御するため、および粘土自体を安定化させるための、例えば油ウェル(oil wells)の裂け目を取り扱う場合の重要な問題。ペプチド重合体の安定性は、ペプチド設計により制御され得る。したがって、1ペプチドあたりのアミノ酸残基数およびまたアミノ酸側鎖間の好ましい分子内相互作用の数を増加させることにより、安定性と強度が増加したペプチド重合体が得られ得る。また、リボン、微小繊維、および繊維は、単独テープと比較していっそうより安定な重合体になり得る。したがって、高温の油ウェル中安定なゲルを形成するようなペプチド設計により適切な重合体が生成され得る。これらのゲルは、例えば、油ウェルの特定部位で重要な機械的支持を提供し得る。
受容体または受容体結合部位は、ペプチド設計によりリボン、微小繊維、およびまたは繊維内へ操作されることができ、生物工学用途において、センサーとして、または生体触媒として、または分離培地として用いる材料を提供する。
ペプチドテープ、リボン、微小繊維、および繊維は、キラル小孔を有するナノ構造の無機材料の生成用テンプレートとして用いられ得る。小孔の寸法、ピッチ、およびキラリティーは、重合体の凝集体の性質を制御するようなペプチド設計により、制御され得る。小孔の配向もまた、ネマチック状態の重合体の整列により制御され得る。これらのナノ構造の材料は、キラル分離培地として重要な用途を有する。
本発明の繊維は、とりわけそれらが他の既知のペプチド繊維、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミドから生成される長分子鎖からなるKEVLAR(登録商標)と同様な性質を保持しているため、有利である。したがって本発明の繊維は、以下の特性を示す。低重量での高引張強度、高弾性、高化学耐性、高堅牢性、高切断耐性、低破断伸度、小さい熱収縮性、高寸法安定性、難燃性、および自己消火性。
それゆえ、本発明の繊維は、様々な形態、例えば、連続フィラメント糸、短繊維、フロック、コード、および布地に加工され得る。
加工された繊維は、以下の特徴を有し得る。連続フィラメント糸について、高引張強度、従来の織機、糸撚り機、コード形成装置、リード編み装置、および巻き装置で加工可能、短繊維について、非常に高い切断耐性、従来の綿または梳毛紡績装置で紡がれる、精密に切断された短い繊維、フェルト化装置およびスパンレース装置で加工可能、ウェットおよびドライパルプ、フロックについて、精密に切断された短い繊維、高表面積、混合複合材料への混和性、優れた摩擦および磨耗耐性、コードについて、低い比重量での高引張強度および弾性、極高温および極低温での物性維持、非常に小さい熱収縮性、非常に小さいクリープ、良好な疲労耐性。布地について、低重量での優れた弾道性能、ならびに、快適な衣類と組み合わせての切断および突起に対する優れた耐性および他の材料に対する優れた摩擦および磨耗性能。
本発明のペプチド微小繊維、および繊維は、例えば、接着剤および封止剤(例えばチキソトロープ)に、弾道および防御(例えば対地雷ブーツ、警察および軍隊の切断耐性グローブ、複合ヘルメット、ならびに弾丸および破片を防ぐベスト)に、ベルトおよびホース(例えば自動車加熱/冷却系、自動車用および工業用ホース、ならびに自動車用および工業用の歯付きベルトおよび動力伝達ベルト)に、複合材料(例えば、航空機構造体部品および機室パネル、ボート、ならびにスポーツ用品)に、光ファイバーおよび電子機械ケーブル(例えば、通信ケーブルおよびデータ伝達ケーブル、点火コード、ならびに潜水艦、気球、およびロボットのつなぎ綱)に、摩擦製品およびガスケット(例えば、アスベスト代用品、高圧および高温環境用の自動車用および工業用ガスケット、ブレーキパッド、ならびにクラッチライニング)に、保護衣料(例えば、ブーツ、チェーンソーチャップス、耐切断工業グローブ、消防士および消費者(自転車)用ヘルメット、ならびに耐熱耐切断エプロンおよび袖など)に、タイヤ(例えば、航空機、自動車、オフロード車、レース用車、およびトラック)に、ならびに、ロープおよびケーブル(例えば、アンテナ張り網線、釣糸、工業用および海洋ユーティリティロープ、吊り具、係船索および緊急用牽引ロープ、網および力布、ならびに引きテープ)になど、様々な用途を有し得る。
生体医用用途および生体材料用途
生体適合性表面:医療移植材料での内皮細胞の接着、伝播、増殖を、促進または阻止するための生体応答性および生体適合性表面。生物系中に導入される、ステント、弁、および他の構造などのデバイス用の生体適合性表面コーティング。
生体適合性表面:医療移植材料での内皮細胞の接着、伝播、増殖を、促進または阻止するための生体応答性および生体適合性表面。生物系中に導入される、ステント、弁、および他の構造などのデバイス用の生体適合性表面コーティング。
組織工学:
しかしながら、本発明者らは、本発明のペプチド微小繊維および/または繊維の最も有利な利用はおそらく、in vivoおよびin vitroで細胞を結合させて様々な組織を産生させるのに使用する生分解性三次元足場の構築にあることを見いだした。
しかしながら、本発明者らは、本発明のペプチド微小繊維および/または繊維の最も有利な利用はおそらく、in vivoおよびin vitroで細胞を結合させて様々な組織を産生させるのに使用する生分解性三次元足場の構築にあることを見いだした。
したがって、本発明のさらなる特徴によれば、細胞培地中に本発明の繊維または微小繊維を含む三次元足場が提供される。上記に記載されるとおり、そのようなペプチド微小繊維および/または繊維の足場は、組織の増殖および/または修復で細胞を支持するのにそれらが用いられ得るという点で有利である。そのような細胞の性質は、目的の組織の性質に応じて変化し得る。例えば、細胞は、新たな靭帯を成長させる靭帯細胞、新たな腱を成長させる腱細胞であってもよい。あるいは、細胞は、軟骨細胞および/または軟骨細胞前駆細胞などの他の間質細胞であってもよい。
それゆえ、本発明のなおさらなる特徴によれば、本明細書中上記に記載されるとおりの繊維または微小繊維を含む三次元足場が提供され、この足場には細胞が播かれる。
本発明の方法は、それゆえ、in vivoでの新たな靭帯、腱、軟骨、骨、皮膚、などの効率的産生をもたらす。
本発明の方法は、それゆえ、in vivoでの新たな靭帯、腱、軟骨、骨、皮膚、などの効率的産生をもたらす。
細胞は、それ自体が、in vitroまたはin vivoでマトリクス中で培養されてもよい。細胞は、移植足場の移植前、最中、または後に足場に導入されてもよい。新たに成長した組織は、移植部位で足場を所定位置に固定するのに用いられることができ、そしてin vivoで足場に接着する細胞源を提供してもよい。
遊離末端が自己集合するのを可能にする、重合体の分解能力は、例えば、足場がin situで形成されること、および成長組織に応答すること(分解および再形成により)を可能にする。同じく単量体性ペプチドも選択部位に注射され、そして化学的に引き金を引かれて、in situで例えば、ゲルを作り出し得る。
したがって、本発明のさらなる特徴によれば、本明細書中上記に記載されるとおりの三次元の繊維マトリクスに適切な細胞を播くことを含む、組織の修復法が提供される。
腱または靭帯が、構築され、首尾よく移植され、そして機能するために、マトリクスは、細胞増殖および分化が移植に続いて起こり得るように、十分な表面積を有し、かつ栄養素に曝されなければならない。組織(tissue)の組織化(organisation)は、マトリクスの微小構造により調節され得る。宿主からの増殖における血管結合組織(fibrovascular tissue)のパターンおよび程度、ならびに移植細胞の組織化を制御するために、特定の小孔サイズおよび構造が利用され得る。移植細胞または宿主細胞の接着、組織化、および機能を制御するために、足場マトリクスの表面幾何学性および化学性が調節され得る。
好適な実施形態において、足場マトリクスは、新しい組織の血管新生および移植が生じるまで、栄養および気体がマトリクス表面に付着した細胞へ自由に拡散することを可能にするのに十分な間質間隔を有する繊維構造を有するペプチドで出来ている。間質間隔は一般的に、50nm〜300ミクロンの範囲にある。本明細書中使用される場合、「繊維性」は、織布または不織布メッシュ、およびスポンジ状デバイス中、それ自体が複数の繊維に絡み合っている1つまたは複数の繊維を含む。
神経組織工学:微小繊維および/または繊維は、分子または細胞の増殖または動きの方向を制御および指示するための経路/トラックを提供するのに用いられ得る。これは神経組織修復に、ならびに骨組織の増殖および形成に、大いに有用となり得る(組織工学)。
骨組織工学:無機材料の核形成および成長のためのテンプレートとしてペプチドリボン、微小繊維および/または繊維を用いる生体内鉱質形成は、骨組織工学および歯科用途などで重要である。以下の実施例で示されるとおり、自己集合したペプチド構造は、ヒドロキシアパタイト結晶化用テンプレートとして有効であることが示されている。
自己集合性ペプチドは、de novoでヒドロキシアパタイトの核形成をするそれらの能力を用いて、および/または鉱質表面の安定化を介して鉱質溶解を減少させることにより、鉱質獲得を増加させ得る。それゆえ、自己集合体ペプチドは、カリエス治療および予防の両方で、ならびに骨粗鬆症で経験されるような骨劣化の治療または予防で用いる候補材料である。
骨のin situでの組織工学における足場としてのペプチド(例えば、自己集合性ペプチド(SAP))の使用は、それ自体が新規である。
したがって、本発明のさらなる態様によれば、足場としてのSAPの使用を含む、組織工学(例えば組織修復)の方法(骨修復法など)が提供される。
人工皮膚:ペプチドリボン、微小繊維、繊維から形成されたネットワーク構造は、人工皮膚を生成するのに、またはin vivoでの皮膚再生を促進するのに用いられ得る。
薬物送達:pHおよびイオン応答性の、リボン、微小繊維、繊維、ゲル、または液晶は、薬物封入および放出に有用な可能性があり、そして適切なネットワークを設計することによりプログラム可能な放出速度が達成され得る。
パーソナルケア製品
歯科用途:ペプチドリボン、微小繊維および/または繊維は、歯の修復を促進するための活性物質を送達するキャリアとして、歯の小孔部位(porosities)(例えば、カリエス病変、象牙質)内でのヒドロキシアパタイトのin situ核形成用テンプレート/足場として、カリエス(エナメル質/象牙質、および修復周囲の辺縁カリエス)の治療および/または予防用薬剤として、歯の過敏性の治療および予防用薬剤として、ならびに歯に活性物質を送達するキャリアとして、歯の保護に利用される。また、ペプチド構造は、象牙質/歯の着色、過敏性、および歯肉退縮で経験される他の症状の治療に応用されるものである。カリエス治療における自己集合したペプチド構造の利用は、以下の実施例で例示される。
歯科用途:ペプチドリボン、微小繊維および/または繊維は、歯の修復を促進するための活性物質を送達するキャリアとして、歯の小孔部位(porosities)(例えば、カリエス病変、象牙質)内でのヒドロキシアパタイトのin situ核形成用テンプレート/足場として、カリエス(エナメル質/象牙質、および修復周囲の辺縁カリエス)の治療および/または予防用薬剤として、歯の過敏性の治療および予防用薬剤として、ならびに歯に活性物質を送達するキャリアとして、歯の保護に利用される。また、ペプチド構造は、象牙質/歯の着色、過敏性、および歯肉退縮で経験される他の症状の治療に応用されるものである。カリエス治療における自己集合したペプチド構造の利用は、以下の実施例で例示される。
従来技術は、骨コラーゲン中の結晶配向を模倣する鉱質の秩序堆積用足場としての両親媒性ペプチドの使用を記載している[4]。この両親媒性ペプチドは、集合して、共有結合修飾により安定化された微小繊維を形成する構造を与える。このペプチドの集合は、別々のペプチド鎖の対になる基の間の非常に特別な引力によってではなく、両親媒性の力により集合が駆動される点で、本明細書で記載される自己集合ペプチドと異なっている。記載される両親媒性ペプチドは、集合が低いpH(pH<4)で起こらざるを得ず、かつ共有結合修飾が生きた組織に都合の悪い条件下で起こるので、in vivoでの治療に適していない。本出願で記載される自己集合ペプチドのリボン、微小繊維、および繊維は、口腔への応用に適したpHおよびイオン強度で集合の引き金が引かれ、かつ不都合な条件下での続いて起こる反応を必要としないように設計することができる点で、異なっている。
従来技術はまた、歯科用途におけるカゼインホスホペプチドの使用を記載している[5]。これらの化学種(species)は、本出願で記載されるような自己集合性ペプチドではない。実施例に示されるとおり、本出願で記載される自己集合したペプチドは、カゼインホスホペプチドと比較して、模擬口腔条件下、エナメル質のカリエス様病変の石灰化の性能が改善されていることを示す。
詳細には、本明細書中上記で記載される通りの方法が提供され、この方法は虫歯の予防、治療、および/または軽減を含む。したがって、この方法は、歯空洞の石灰化または再石灰化あるいは現存する修復物周りでの漏出の抑制を含み得る。あるいは、この方法は、脱石灰化の抑制を含み得る。
詳細には、本明細書中上記で記載される通りの方法が提供され、この方法は歯の過敏性の予防、治療、および/または軽減を含む。したがって、この方法は歯空洞、白班病変、または露出した象牙質の再石灰化を含み得る。あるいは、この方法は、脱石灰化の抑制、したがって歯の過敏性の進行を予防することを含み得る。
様々なペプチドが用いられ得るものの、言及してもよいそのようなペプチドの1つはP11−3ペプチドである。言及してもよいペプチドの好適な群は、P11−1、P11−2、P11−3、P11−4、P11−5、P11−6、およびP10−7から選択されるものである。
皮膚治療:ペプチドリボン、微小繊維および/または繊維の制御された形成は、化粧用および医療用の両方で、スキンケアおよび皮膚科的用途に有効であり得る。利点として、皮膚保護、皮膚感触の改善、皮膚強度の改善、柔軟性の向上、活性物質または有益物質の送達、水分補給、外観の改善、および抗老化作用が挙げられ得る。
ヘアケア製品:ペプチドリボン、微小繊維および/または繊維は、髪の状態、強度、感触、柔軟性、外観、および水分補給を改善するためのヘアケアに有効であり得る。応用時にそのような構造を形成するペプチドは、ヘアシャンプー、コンディショナー、ヘアダイ、ゲル、ムースおよび他の整髪料の有益な成分であり得る。
本発明の別の態様において、反応性ネットワークは、香料、ビタミンおよび/または他の有益な薬剤を皮膚および/または髪に送達するのに用いられ得る。詳細には、pH反応性は、送達のプロセスの制御を提供し得る。
本発明を、例示としてのみ、添付の図面を参照して以下に記載する。
(実施例1)
ペプチドの合成および精製
ペプチドを、A. Aggeli et al, J. Mat. Chem., 1997に記載されるような、標準9−フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)化学反応プロトコルを用いて合成した。0.1%トリフルオロ酢酸の存在下、水−アセトニトリル勾配を用いる逆相HPLCにより、P11−2、P11−3およびP11−5を精製した。質量分析は、予想される分子量を示した(P11−2:m/z1594、P11−3:m/z1593、P11−5:m/z1523)。P11−4は、緩衝液Aとして0.1%アンモニア水、および緩衝液Bとしてアセトニトリル中10%の緩衝液Aを用いて逆相HPLCにより精製した。質量分析は、予想される分子量を示した(m/z1596)。
ペプチドの合成および精製
ペプチドを、A. Aggeli et al, J. Mat. Chem., 1997に記載されるような、標準9−フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)化学反応プロトコルを用いて合成した。0.1%トリフルオロ酢酸の存在下、水−アセトニトリル勾配を用いる逆相HPLCにより、P11−2、P11−3およびP11−5を精製した。質量分析は、予想される分子量を示した(P11−2:m/z1594、P11−3:m/z1593、P11−5:m/z1523)。P11−4は、緩衝液Aとして0.1%アンモニア水、および緩衝液Bとしてアセトニトリル中10%の緩衝液Aを用いて逆相HPLCにより精製した。質量分析は、予想される分子量を示した(m/z1596)。
電子顕微鏡観察
80〜100kVの加速電圧でPhillips CM10 TEMを用いて、試料を調査した。ゲルを20μMのペプチド濃度に希釈してすぐに、グロー放電カーボンコーティング銅格子に塗布し、続いて酢酸ウラニル溶液(水中4%w/v)でコーティングした。
80〜100kVの加速電圧でPhillips CM10 TEMを用いて、試料を調査した。ゲルを20μMのペプチド濃度に希釈してすぐに、グロー放電カーボンコーティング銅格子に塗布し、続いて酢酸ウラニル溶液(水中4%w/v)でコーティングした。
(実施例2)
細胞培養培地中、負電荷を帯びた微小繊維の相互接続による固体様ゲルネットワークを形成する、合理的に設計された自己集合性ペプチドP11−3
合理的に設計されたペプチドP11−3(表1)を、145mMのNaClの、pH約7.5の水溶液(すなわち、溶液のイオン強度およびpH値は細胞培養培地に存在するものと同様であった)に溶解させるか、またはそれを直接細胞培養培地に加えた。両方の溶液で、P11−3が自己集合して、典型的には4〜5nmの狭幅、12〜15nmの広幅、200〜300nmのフルピッチ、かつ数マイクロメーター長を有するねじれたβシート微小繊維になったことが見いだされた(図6)。
細胞培養培地中、負電荷を帯びた微小繊維の相互接続による固体様ゲルネットワークを形成する、合理的に設計された自己集合性ペプチドP11−3
合理的に設計されたペプチドP11−3(表1)を、145mMのNaClの、pH約7.5の水溶液(すなわち、溶液のイオン強度およびpH値は細胞培養培地に存在するものと同様であった)に溶解させるか、またはそれを直接細胞培養培地に加えた。両方の溶液で、P11−3が自己集合して、典型的には4〜5nmの狭幅、12〜15nmの広幅、200〜300nmのフルピッチ、かつ数マイクロメーター長を有するねじれたβシート微小繊維になったことが見いだされた(図6)。
微小繊維は一部分が互いに絡み合って三次元のネットワークを形成し(図4)、そして15mg/mlより高いペプチド濃度で、細胞培地中のペプチド溶液を均一な自己支持性ゲルに変えた(図7)。ゲルは、室温で少なくとも数週間安定なままであった。
ゲルは機械的振盪により一時的に破壊され得た。ゲルの再形成に要する時間は、ペプチド濃度に依存し、35mg/mlのペプチドゲルで数秒から、15mg/mlのペプチドゲルで数時間の範囲に渡った。
(実施例3)
細胞培養培地中、正電荷を帯びた微小繊維の相互接続による固体様ゲルネットワークを形成する、合理的に設計された自己集合性ペプチドP11−4
合理的に設計されたペプチドP11−5(表1)を、145mMのNaClの、pH約7.5の水溶液(すなわち、溶液のイオン強度およびpH値は細胞培養培地に存在するものと同様であった)に溶解させるか、またはそれを直接細胞培養培地に加えた。両方の溶液で、P11−5が自己集合して、典型的には4〜5nmの狭幅、12〜15nmの広幅、200〜300nmのフルピッチ、かつ数マイクロメーター長を有するねじれたβシート微小繊維になったことが見いだされた。
細胞培養培地中、正電荷を帯びた微小繊維の相互接続による固体様ゲルネットワークを形成する、合理的に設計された自己集合性ペプチドP11−4
合理的に設計されたペプチドP11−5(表1)を、145mMのNaClの、pH約7.5の水溶液(すなわち、溶液のイオン強度およびpH値は細胞培養培地に存在するものと同様であった)に溶解させるか、またはそれを直接細胞培養培地に加えた。両方の溶液で、P11−5が自己集合して、典型的には4〜5nmの狭幅、12〜15nmの広幅、200〜300nmのフルピッチ、かつ数マイクロメーター長を有するねじれたβシート微小繊維になったことが見いだされた。
P11−3(実施例1)の微小繊維とP11−5(実施例2)の微小繊維との間の主な違いは、P11−3で形成されたものがpH=7.5で1ペプチドあたり正味負電荷(−1または−2)を有するのに対し、P11−5で形成されたものはpH=7.5で1ペプチドあたり正味正電荷(+1または+2)を有することである。
P11−5の微小繊維は一部分が互いに絡み合って三次元のネットワークを形成し、そして15mg/mlより高いペプチド濃度で、細胞培地中のペプチド溶液を均一な自己支持性ゲルに変えた。ゲルは、室温で少なくとも数週間安定なままであった。
ゲルは機械的振盪により一時的に破壊され得た。ゲルの再形成に要する時間は、ペプチド濃度に依存し、35mg/mlのペプチドゲルで数秒から、15mg/mlのペプチドゲルで数時間の範囲に渡った。
(実施例4)
細胞培養培地に羊毛状に析出する(flocculate out)不溶性重合体を形成する、2種の合理的に設計された自己集合性ペプチドP11−1およびP11−2
合理的に設計されたペプチドP11−1およびP11−2(表1)を、互いに独立して、145mMのNaClの、pH約7.5の水溶液(すなわち、溶液のイオン強度およびpH値は細胞培養培地に存在するものと同様であった)に溶解させるか、またはそれを直接細胞培養培地に加えた。両方の溶液で、両方のペプチドが自己集合して、長いβシート重合体になったが、しかしこれらの重合体は細胞培養培地の溶液条件で不溶性であったので、すぐに溶液に羊毛状に析出して溶液が混濁流動体になったことが見いだされた。したがって、これらのペプチド重合体は、細胞培養培地で自己支持性ゲルを生じさせなかった。
細胞培養培地に羊毛状に析出する(flocculate out)不溶性重合体を形成する、2種の合理的に設計された自己集合性ペプチドP11−1およびP11−2
合理的に設計されたペプチドP11−1およびP11−2(表1)を、互いに独立して、145mMのNaClの、pH約7.5の水溶液(すなわち、溶液のイオン強度およびpH値は細胞培養培地に存在するものと同様であった)に溶解させるか、またはそれを直接細胞培養培地に加えた。両方の溶液で、両方のペプチドが自己集合して、長いβシート重合体になったが、しかしこれらの重合体は細胞培養培地の溶液条件で不溶性であったので、すぐに溶液に羊毛状に析出して溶液が混濁流動体になったことが見いだされた。したがって、これらのペプチド重合体は、細胞培養培地で自己支持性ゲルを生じさせなかった。
P11−3(実施例1)またはP11−5(実施例2)のいずれかで形成された重合体とP11−1またはP11−2のいずれかで形成されたものとの間の主な違いは、細胞培養培地中、前者が大きな正味電荷を有したのに対して、後者は実質的に中性であったことである。P11−3重合体またはP11−5重合体が正味電荷を保有することにより、それらは互いに反発し、したがって可溶性を保って細胞培養をゲル化させた。P11−1またはP11−2に正味電荷がないことにより、それらは不溶性になり、したがって細胞培養培地条件でゲルを形成しなかった。
(実施例5)
混合に際して細胞培養培地で固体様ゲルを形成する、2種の合理的に設計された相補的自己集合性ペプチドP11−5およびP11−6
細胞培地中、ペプチドP11−6およびP11−7(表1)は自力では、自己集合して長いβシート重合体を形成せず、そしてこの理由のため、それらの細胞培地溶液はゲルではなく流動体のままである。それらが自己集合を欠くことは、それらのペプチドあたりの高い(P11−3またはP11−5と比較して)正味正電荷および負電荷に起因する(P11−6で−4、およびP11−7で+4)。これら2種のペプチドの細胞培地溶液(10mg/mlより高いペプチド濃度)が一緒に混合された場合、それらの相補的ペプチドによるヘテロペプチドβシート重合体の形成のおかげで、この混合溶液は自発的に自己支持性ゲルに変換する(図3)。
混合に際して細胞培養培地で固体様ゲルを形成する、2種の合理的に設計された相補的自己集合性ペプチドP11−5およびP11−6
細胞培地中、ペプチドP11−6およびP11−7(表1)は自力では、自己集合して長いβシート重合体を形成せず、そしてこの理由のため、それらの細胞培地溶液はゲルではなく流動体のままである。それらが自己集合を欠くことは、それらのペプチドあたりの高い(P11−3またはP11−5と比較して)正味正電荷および負電荷に起因する(P11−6で−4、およびP11−7で+4)。これら2種のペプチドの細胞培地溶液(10mg/mlより高いペプチド濃度)が一緒に混合された場合、それらの相補的ペプチドによるヘテロペプチドβシート重合体の形成のおかげで、この混合溶液は自発的に自己支持性ゲルに変換する(図3)。
上記実施例の概評:これらの実施例に記載される上記ペプチドは全て、本特許に記載される分子設計原理に従って、合理的に設計されていた。それらについて観測された挙動は、ペプチド設計によりその分子に与えられる特徴に基づいて予期される挙動と完全に一致していた。これらの結果は、細胞培養培地中の自己集合性ペプチド足場、ゲル、およびネマチック流動体の生成に対して特許要求されるペプチド設計原理の有効性を実証する。
(実施例6)
P11−3自己集合性ペプチド(表1に与えられる構造)を、pH7.4でヒドロキシアパタイトについて過飽和の溶液と混合することにより、そのゲル形態に集合させた。P11−3ゲルを37℃で7日間インキュベートした。次いで、ゲルを洗い、TEM、EDX、および電子回折分析用に調製した。TEMは、電子密集結晶様材料の堆積を示した。電子回折およびEDXは、電子密集材料がアパタイト性(apatitic)であったことを示した(Ca:P=1.66)。
P11−3自己集合性ペプチド(表1に与えられる構造)を、pH7.4でヒドロキシアパタイトについて過飽和の溶液と混合することにより、そのゲル形態に集合させた。P11−3ゲルを37℃で7日間インキュベートした。次いで、ゲルを洗い、TEM、EDX、および電子回折分析用に調製した。TEMは、電子密集結晶様材料の堆積を示した。電子回折およびEDXは、電子密集材料がアパタイト性(apatitic)であったことを示した(Ca:P=1.66)。
この実施例は、SAPゲルがde novoでヒドロキシアパタイト結晶形成の核形成を行うことができ、したがって骨工学用途および骨治療に用いられ得ることを実証する。
(実施例7)
ゼラチンを、pH7.4でヒドロキシアパタイトについて過飽和の溶液と混合した。得られるゲルは、上記実施例に記載されるP11−3ゲルと同様な粘度および有機濃度を有した。ゼラチンゲルを37℃で7日間インキュベートした。次いで、ゲルを洗い、TEM、EDX、および電子回折分析用に調製した。TEMは、ゲルに結晶性堆積がないことを示した。
ゼラチンを、pH7.4でヒドロキシアパタイトについて過飽和の溶液と混合した。得られるゲルは、上記実施例に記載されるP11−3ゲルと同様な粘度および有機濃度を有した。ゼラチンゲルを37℃で7日間インキュベートした。次いで、ゲルを洗い、TEM、EDX、および電子回折分析用に調製した。TEMは、ゲルに結晶性堆積がないことを示した。
この実施例は、SAPゲルと同様な構成のタンパク質性ゲルが、SAPゲルが行うのと同じ方法でヒドロキシアパタイト結晶形成の核形成を行わないことを実証する。
(実施例8)
酸性ゼラチンゲルに6週間浸漬することにより、全摘出したヒト永久歯の健全なエナメル質領域にカリエス様病変を作成した。単量体SAP(P11−3)溶液(10μLの1%ペプチド溶液、pH8)を病変の表面に直接塗布し、次いで、口腔内条件を再現するために、Leeds周期変動pHモデル(Robinson et al. Caries Res. 26: 14-17(1992))中、これに1日あたり3×20分の酸負荷(challenges)を5日間繰り返した。対照病変には.SAP塗布なしで繰り返した。さらなる対照には、SAPの代わりにポリ−GLUペプチド(Mr=750D)を用いた。鉱質損失または獲得を、上清溶液中のP濃度を決定することにより計算した。繰り返し処理された(cycled)歯の表面を、SEMによっても調査した。
酸性ゼラチンゲルに6週間浸漬することにより、全摘出したヒト永久歯の健全なエナメル質領域にカリエス様病変を作成した。単量体SAP(P11−3)溶液(10μLの1%ペプチド溶液、pH8)を病変の表面に直接塗布し、次いで、口腔内条件を再現するために、Leeds周期変動pHモデル(Robinson et al. Caries Res. 26: 14-17(1992))中、これに1日あたり3×20分の酸負荷(challenges)を5日間繰り返した。対照病変には.SAP塗布なしで繰り返した。さらなる対照には、SAPの代わりにポリ−GLUペプチド(Mr=750D)を用いた。鉱質損失または獲得を、上清溶液中のP濃度を決定することにより計算した。繰り返し処理された(cycled)歯の表面を、SEMによっても調査した。
結果は、繰り返し処理(cycling)後の病変による正味鉱質獲得が、一回のSAP塗布後に顕著に増加したことを示した(対照の5±4μgP/mm2と比較して35±2μgP/mm2エナメル質、n=7、p<0.001)。このことは、明らかに、脱石灰化の顕著な減少(対照の20±10μgP/mm2と比較して8±5μgP/mm2、p<0.01)および再石灰化の増加(対照の25±10μgP/mm2と比較して43±5μgP/mm2、p=0.06)によるものであった。SAP塗布後の病変による正味鉱質獲得の増加は、繰り返し処理の5日間それぞれで明白であった。SAP処理され繰り返し処理された歯の表面のSEMは表面堆積を示唆するものを示さず、このことは鉱質堆積が病変体内で生じたことを示唆している。ポリ−GLUで処理された病変は、未処理の対照と同様に挙動し、このことはこの系におけるSAPの特異的効果を示している。
この実施例は、口腔条件下でリボン、微小繊維、および繊維を形成するように設計された自己集合性ペプチドは、ポリ−GLUなどの他の有効ではないペプチドと対照的に、歯組織の再石灰化を促進するのに有効であることを実証する。
(実施例9)
酸性ゼラチンゲルに6週間浸漬することにより、全摘出したヒト永久歯の健全なエナメル質領域にカリエス様病変を作成した。口腔内条件を再現するために、Leeds周期変動pHモデル(Robinson et al. Caries Res. 26: 14-17(1992))中、病変に、カゼインホスホペプチド溶液への2×10分間浸漬を織り交ぜながら、1日あたり3×20分の酸負荷を5日間繰り返した。対照病変にはカゼインホスホペプチド塗布なしで繰り返した。鉱質損失または獲得を、上清溶液中のP濃度を決定することにより計算した。
酸性ゼラチンゲルに6週間浸漬することにより、全摘出したヒト永久歯の健全なエナメル質領域にカリエス様病変を作成した。口腔内条件を再現するために、Leeds周期変動pHモデル(Robinson et al. Caries Res. 26: 14-17(1992))中、病変に、カゼインホスホペプチド溶液への2×10分間浸漬を織り交ぜながら、1日あたり3×20分の酸負荷を5日間繰り返した。対照病変にはカゼインホスホペプチド塗布なしで繰り返した。鉱質損失または獲得を、上清溶液中のP濃度を決定することにより計算した。
結果は、繰り返し処理後の病変による正味鉱質獲得が、カゼインホスホペプチドによる繰り返し処理対対照で有意に違わなかったことを示した。
この実施例は、カゼインホスホペプチドなどの、歯の再石灰化に効果的であると主張されてきた他のペプチドが、口腔条件下でリボン、微小繊維、および繊維を形成するように設計された自己集合性ペプチドほど効果的ではないことを実証する。カゼインホスホペプチド溶液への繰り返し浸漬により提供される、より大きな度合いの暴露をもってしても、この処理は、上記で示される通り、目的に応じて設計された自己集合ペプチドの一回の塗布ほど効果的ではなかった。
(実施例10)
ペプチドゲルの生体適合性
組織工学用途において足場となる可能性がある2種のペプチドゲルを、in vitroでのそれらの生体適合性について調査した。乾燥形態でペプチドにガンマ照射し、次いでDMEM(20mg/ml)中でゲルを形成させた。ペプチドゲルを新たに播種されたL929線維芽細胞の芝(lawn)に置き、そして培養物を、標準条件下で2日間インキュベートした。次いで、培養培地を取り除き、細胞をクリスタルバイオレットで染色した。画像をデジタルで取り込んだ。
ペプチドゲルの生体適合性
組織工学用途において足場となる可能性がある2種のペプチドゲルを、in vitroでのそれらの生体適合性について調査した。乾燥形態でペプチドにガンマ照射し、次いでDMEM(20mg/ml)中でゲルを形成させた。ペプチドゲルを新たに播種されたL929線維芽細胞の芝(lawn)に置き、そして培養物を、標準条件下で2日間インキュベートした。次いで、培養培地を取り除き、細胞をクリスタルバイオレットで染色した。画像をデジタルで取り込んだ。
線維芽細胞は、DN1−2EおよびDN1−2Oから形成されたゲルの中および上まで(grew up to and on)増殖し(図8、図9)、このことはペプチドゲル足場の生体適合性を実証する。
表の説明
表1:本明細書中、例として用いられる合理的に設計されたペプチドの一次構造である。一文字アミノ酸コードを用いる。ペプチドのN末端およびC末端は、それぞれ、CH3CO−およびNH2−で常にブロックされている。Oは、オルニチンアミノ酸側鎖を象徴する。
表1:本明細書中、例として用いられる合理的に設計されたペプチドの一次構造である。一文字アミノ酸コードを用いる。ペプチドのN末端およびC末端は、それぞれ、CH3CO−およびNH2−で常にブロックされている。Oは、オルニチンアミノ酸側鎖を象徴する。
参照文献
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2.Nyrkova, IA, Semenov, AN, Agglei, A & Boden, N, Fibril stability in solution of twist beta-sheet peptide: a new kind of micellisation in chiral system, Eur Phys J B, 17, 481-497, 2000.
3.Nyrkova, IA, Semenov, AN, Agglei, A, Bell, M., Boden, N & McLeish, TCB, Self-assembly and structure transformations in living polymers forming fibrils, Eur Phys J B, 17, 499-513, 2000.
4.Hartgerink JD, Beniash E, Stupp SI Self assembly and mineralisation of peptide-amphiphile naofibers SCIENCE 294 (5547):1684-1688 NOV 23 2001.
5.Advances in enamel remineralisation: Casein phosphopeptide-amorphous calcium Phosphate Reynolds EC, Black CL, Cai F, Cross KJ, Eakins D, Huq NL, Morgan MV, Nowichi A, Perich JW, Riley PF, Shen P, Talbo G, Webber F JOURNAL OF CLINICAL DENTISTRY 10(2):86-88 1999
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Claims (99)
- リボン、微小繊維、または繊維を含む材料であって、前記リボン、微小繊維、または繊維のそれぞれはβシートテープ様構造で反平行に配列したペプチドを有することを特徴とする、前記材料。
- 前記ペプチドは、P11−1、P11−2、P11−3、P11−4、P11−5、P11−6、およびP10−7の群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 自己集合性ペプチド(SAP)を含み、該SAPは水性媒体中でテープを形成し、かつ3またはそれより多い極性/中性アミノ酸と複数の帯電アミノ酸とから成ることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記極性/中性アミノ酸対前記帯電アミノ酸の比は11:1〜11:3であることを特徴とする、請求項3に記載のリボン、微小繊維、または繊維を含む材料。
- 前記極性/中性アミノ酸は、同じでも異なっていてもよく、かつグルタミン、セリン、アスパラギン、グルタミン酸、オルニチン(orthinine)、システイン、リシン、ヒスチジン、およびスレオニンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の材料。
- 前記アミノ酸は正電荷を帯びていて、かつ中性pH以下のpHでゲルを形成することを特徴とする、請求項3に記載の材料。
- 前記アミノ酸は負電荷を帯びていて、かつ中性pH以上のpHでゲルを形成することを特徴とする、請求項3に記載の材料。
- 前記SAPはP11−1であることを特徴とする、請求項3に記載の材料。
- 前記アミノ酸の鎖は生理活性ペプチド配列を含むように延長されることを特徴とする、請求項3に記載のリボン、微小繊維、または繊維を含む材料。
- 前記アミノ酸の鎖は治療的に活性な分子に結合していることを特徴とする、請求項3に記載の材料。
- 水溶液中でリボンおよび/または微小繊維を形成するSAPを含み、かつ該SAPは、前記アミノ酸の少なくとも50%が極性および無極性アミノ酸の交互構造を含む一次構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記極性アミノ酸は11アミノ酸あたり1〜3の正味電荷を帯びたアミノ酸を含むことを特徴とする、請求項11に記載の材料。
- 前記SAPはP11−2、P11−3、P11−4、およびP11−5の群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の材料。
- 組織工学における治療に適していることを特徴とする、請求項11に記載の材料。
- 細胞培養培地に使用するのに適していることを特徴とする、請求項11に記載の材料。
- 歯科治療に使用するのに適していることを特徴とする、請求項11に記載の材料。
- 自己集合性ペプチド(SAP)を含み、該SAPは水性媒体中でテープを形成し、かつ3またはそれより多い極性/中性アミノ酸と複数の帯電アミノ酸とから成ることを特徴とする、請求項11に記載の材料。
- 前記極性/中性アミノ酸は、同じでも異なっていてもよく、かつグルタミン、セリン、アスパラギン、オルニチン(orthinine)、システイン、リシン、ヒスチジン、グルタミン酸、およびスレオニンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の材料。
- 前記無極性アミノ酸は、同じでも異なっていてもよく、かつフェニルアラニン、トリプトファン、バリン、ロイシン、イソロイシン、およびメチオニンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の材料。
- 前記アミノ酸の鎖は生理活性ペプチド配列を含むように延長されることを特徴とする、請求項17に記載の材料。
- 前記アミノ酸の鎖は治療的に活性な分子に結合していることを特徴とする、請求項18に記載の材料。
- 前記SAPはP11−3であることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記SAPは高イオン性媒体に可溶性であることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記SAPは1:11〜4:11の正味電荷を帯びたアミノ酸対全アミノ酸比を含むことを特徴とする、請求項23に記載の材料。
- 組織工学における治療に適していることを特徴とする、請求項23に記載の材料。
- 細胞培養培地に使用するのに適していることを特徴とする、請求項23に記載の材料。
- 歯科治療に使用するのに適していることを特徴とする、請求項23に記載の材料。
- 前記テープは交互ペプチドまたは相補的ペプチドのテープであることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記相補的ペプチドのテープは3個またはそれより多い極性アミノ酸から成り、該極性アミノ酸のいくつかは帯電アミノ酸であり、ここで帯電アミノ酸対全アミノ酸の比は3:11またはそれより大きいことを特徴とする、請求項28に記載の材料。
- 前記SAPはP11−6およびP10−7の群から選択されることを特徴とする、請求項29に記載の材料。
- 前記アミノ酸の鎖は生理活性ペプチド配列を含むように延長されることを特徴とする、請求項28に記載の材料。
- 前記アミノ酸の鎖は治療的に活性な分子に結合していることを特徴とする、請求項28に記載の材料。
- 組織工学における治療に適していることを特徴とする、請求項28に記載の材料。
- 細胞培養培地に使用するのに適していることを特徴とする、請求項28に記載の材料。
- 歯科治療に使用するのに適していることを特徴とする、請求項28に記載のリボン、微小繊維、または繊維を含む材料。
- 前記リボン、微小繊維、または繊維の持続長が20nm〜70μmであることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記ペプチドはP11−3変異体であることを特徴とする、請求項36に記載の材料。
- 実質的にリボンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 実質的に微小繊維を含むことを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 実質的に繊維を含むことを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記微小繊維は繊維様接合で相互接続している微小繊維のネットワークに含まれることを特徴とする、請求項39に記載の材料。
- 該材料の溶液はCI/N=0.9mMでネマチック転移を起こすことを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記微小繊維または繊維はネマチック流動体の形態にあることを特徴とする、請求項39または40に記載の材料。
- 前記ネマチック流動体はエラストマーゲルであることを特徴とする、請求項43に記載の材料。
- 前記材料は組織工学用足場(scaffold)の形態にあることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記足場は細胞を播かれることを特徴とする、請求項45に記載の材料。
- 前記細胞は、新たな靭帯を成長させる靭帯細胞、新たな腱を成長させる腱細胞(tenocytes)、軟骨用の軟骨細胞、骨用の骨芽細胞、心臓組織工学用の心臓細胞、組織パッチ用の間質細胞、皮膚用の線維芽細胞およびケラチン生成細胞、ならびにこれらの用途のいずれかのための間葉幹細胞であり得ることを特徴とする、請求項47に記載の材料。
- 低重量での高引張強度、高弾性、高化学耐性、高堅牢性、高切断耐性、低破断伸度、小さい熱収縮性、高寸法安定性、ならびに難燃性および自己消火性から選択される特性を1つまたは複数有することを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記加工された繊維は、以下、連続フィラメント糸について、高引張強度、従来の織機、糸撚り機、コード形成装置、リード編み装置、および巻き(serving)装置で加工可能、短繊維(staple)について、非常に高い切断耐性、従来の綿または梳毛紡績装置で紡がれる、精密に切断された短い繊維、フェルト化装置およびスパンレース装置で加工可能、ウェットおよびドライパルプ、フロック(floc)について、精密に切断された短い繊維、高表面積、混合複合材料への混和性、耐熱性、優れた摩擦および磨耗耐性、コードについて、低い比重量での高引張強度および弾性、極高温および極低温での物性維持、非常に小さい熱収縮性、非常に小さいクリープ(creep)、良好な疲労耐性、布地について、低重量での優れた弾道性能、ならびに、快適な衣類と組み合わせての切断および突起に対する優れた耐性および他の材料に対する優れた摩擦および磨耗性能、から選択される特徴を有することを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 皮膚治療を含むことを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記皮膚治療は、化粧および/または医学的治療用のスキンケアおよび皮膚科的用途を含むことを特徴とする、請求項50に記載の材料。
- 前記皮膚治療は、皮膚保護、皮膚感触の改善、皮膚強度の改善、柔軟性の向上、活性物質または有益物質の送達、水分補給、外観の改善、および/または抗老化作用の1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項50に記載の材料。
- 前記材料は、ヘアケア製品を含むことを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記ヘアケア製品は、髪の状態、強度、感触、柔軟性、外観、および/または水分補給を改善するためのヘアケアを含むことを特徴とする、請求項53に記載の材料。
- 前記ヘアケア製品は、ヘアシャンプー、コンディショナー、ヘアダイ、ゲル、ムースおよび/または他の整髪料を含むことを特徴とする、請求項54に記載の材料。
- 香料、ビタミンおよび/または他の有益な薬剤の前記皮膚および/または髪への送達に適合したネットワークを含むことを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- pH反応性が、前記送達のプロセスを制御するのに用いられることを特徴とする、請求項56に記載の材料。
- 滅菌されていることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- ガンマ照射により滅菌されることを特徴とする、請求項58に記載の材料。
- 乾燥粉末として滅菌されることを特徴とする、請求項59に記載の材料。
- 足場としてのSAPの使用を含む、組織工学の方法。
- 適切な細胞を請求項45に記載の足場に播くことを含む、請求項61に記載の組織工学の方法。
- 骨修復を含む、請求項61に記載の組織工学の方法。
- 虫歯の予防、治療、および/または軽減を含む、請求項61に記載の組織工学の方法。
- 歯空洞(dental cavity)の石灰化または再石灰化を含む、請求項64に記載の組織工学の方法。
- 脱石灰化(demineralisation)の抑制を含む、請求項64に記載の組織工学の方法。
- 前記SAPは歯表面用の保護コーティングとして用いられる、請求項64に記載の組織工学の方法。
- 前記SAPは、前記P11−3ペプチドである、請求項65〜67に記載の組織工学の方法。
- 請求項1に記載のリボン、微小繊維、または繊維を含む材料の滅菌法であって、前記材料の乾燥粉末のガンマ照射を含む、前記滅菌法。
- 組織修復足場の製造における、請求項45に記載の材料の使用。
- 油/水の粘土表面との相互作用を制御するため、粘土自体を安定化するため、または油ウェル中破裂に対処するための、材料の湿潤性または抗着氷(anti-icing)性の修飾における、請求項1に記載の材料の使用。
- 生物工学用途において、センサーとして、生体触媒として、または分離培地として用いる材料の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 医療移植材料において内皮細胞の接着、伝播、および増殖により生成される生体応答性かつ生体適合性表面の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 人工皮膚の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 分子または細胞の増殖または動きの方向を制御および指示するための経路/トラックを提供するのに適合した系の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 無機材料の核形成および成長用テンプレートとしての、請求項1に記載の材料の使用。
- 組織工学、創傷治癒、および組織接着などの生体医用分野での用途を有する材料の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 歯の保護および/またはヒドロキシアパタイトの核形成に適合した系の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 皮膚治療製品の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 低重量での高引張強度、高弾性、高化学耐性、高堅牢性、高切断耐性、低破断伸度、低い導電率、小さい熱収縮性、高寸法安定性、難燃性、および自己消火性の1つまたは複数から選択される特性を有する材料の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 以下の形態、連続フィラメント糸、短繊維、フロック、コード、および布地の1つまたは複数から選択される材料の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 高引張強度、ならびに従来の織機、糸撚り機、コード形成装置、リード編み装置、および巻き装置で加工可能であることから選択される性質を有する連続フィラメント糸の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 非常に高い切断耐性、従来の綿または梳毛紡績装置で紡ぐことが可能であること、精密に切断された短い繊維、フェルト化装置およびスパンレース装置で加工可能であることから選択される性質を有する短繊維の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 精密に切断された短い繊維、高表面積、混合複合材料への混和性、耐熱性、摩擦耐性、および磨耗耐性から選択される性質を有するウェットまたはドライパルプまたはフロックの製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 低い比重量での高引張強度および弾性、極高温および極低温での物性維持、非常に小さい熱収縮性、非常に小さいクリープ、良好な疲労耐性、および低重量での優れた弾道性能から選択される性質を有するコードの製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 他の材料に対する優れた摩擦および磨耗性能、ならびに快適な衣類と組み合わせての切断および突起に対する優れた耐性から選択される性質を有する布地の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 接着剤および封止剤(例えばチキソトロープ)、弾道および防御(例えば対地雷ブーツ、警察および軍隊の切断耐性グローブ、複合ヘルメット、ならびに弾丸および破片を防ぐベスト)、ベルトおよびホース(例えば自動車加熱/冷却系、自動車用および工業用ホース、ならびに自動車用および工業用の歯付きベルトおよび動力伝達ベルト)、複合材料(例えば、航空機構造体部品および機室パネル、ボート、ならびにスポーツ用品)、光ファイバーおよび電子機械ケーブル(例えば、通信ケーブルおよびデータ伝達ケーブル、点火コード、ならびに潜水艦、気球、およびロボットのつなぎ綱)、摩擦製品およびガスケット(例えば、アスベスト代用品、高圧および高温環境用の自動車用および工業用ガスケット、ブレーキパッド、ならびにクラッチライニング)、保護衣料(例えば、ブーツ、チェーンソーチャップス、耐切断工業グローブ、消防士および消費者(自転車)用ヘルメット、ならびに耐熱耐切断エプロンおよび袖など)、タイヤ(例えば、航空機、自動車、オフロード車、レース用車、およびトラック)、ならびに、ロープおよびケーブル(例えば、アンテナ張り網線、釣糸、工業用および海洋ユーティリティロープ、吊り具、係船索および緊急用牽引ロープ(emergency tow lines)、網および力布(webbing)、ならびに引きテープ)から選択される用途を有する材料の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 前記材料は皮膚治療を含むことを特徴とする、材料の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 前記皮膚治療は、化粧および/または医学的治療用のスキンケアおよび皮膚科的用途を含むことを特徴とする、材料の製造における、請求項88に記載の材料の使用。
- 前記皮膚治療は、皮膚保護、皮膚感触の改善、皮膚強度の改善、柔軟性の向上、活性物質または有益物質の送達、水分補給、外観の改善、および/または抗老化作用の1つまたは複数を含むことを特徴とする、材料の製造における、請求項88に記載の材料の使用。
- 前記材料は、ヘアケア製品を含むことを特徴とする、材料の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- 前記ヘアケア製品は、髪の状態、強度、感触、柔軟性、外観、および/または水分補給を改善するためのヘアケアを含むことを特徴とする、材料の製造における、請求項91に記載の材料の使用。
- 前記ヘアケア製品は、ヘアシャンプー、コンディショナー、ヘアダイ、ゲル、ムースおよび/または他の整髪料を含むことを特徴とする、材料の製造における、請求項92に記載の材料の使用。
- 前記材料は、香料、ビタミンおよび/または他の有益な薬剤の前記皮膚および/または髪への送達に適合したネットワークを含むことを特徴とする、材料の製造における、請求項1に記載の材料の使用。
- pH反応性が、前記送達のプロセスを制御するのに用いられることを特徴とする、材料の製造における、請求項94に記載の材料の使用。
- 請求項1に記載の材料および他の既存の市販および/または天然の重合体の組み合わせを用いて構築された足場。
- 組織工学で使用する、請求項96に記載の足場。
- 創傷治癒で使用する、請求項96に記載の足場。
- 実質的に添付の実施例を参照して記載されるとおりである、ペプチドネットワーク。
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