JP2006513297A - シリコーン改質ポリマーの製造方法 - Google Patents

シリコーン改質ポリマーの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15の炭素原子を有するアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンおよびビニルハロゲン化物を含む群からの1もしくは複数のモノマーを重合し、その際、重合の前、重合の間または重合の後に、a)1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステルの1もしくは複数のモノマー単位0〜60質量%、b)ビニルアルコール単位20〜99.5質量%、c)一般式R 3−aSiO(SiRO)SiR3−a (式中、Rは同一であるか、または異なっており、かつそのつど1〜18の炭素原子を有する1価の、場合により置換されたアルキル基またはアルコキシ基を表し、Rは重合性の基を表し、aは0または1であり、かつnは10〜1000である)を有する1もしくは複数のシリコーンのモノマー単位0.5〜70質量%ならびに場合によりその他の補助モノマーを含有する、シリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーを添加し、その際、少なくとも1のシリコーンは少なくとも1の基Rを有しており、かつその際、質量%での記載は合計して100質量%であることを特徴とする、エチレン性不飽和モノマーを水性媒体中でラジカル重合し、かつこうして得られたポリマー分散液を場合により乾燥させることにより、水性ポリマー分散液の形またはそのポリマー粉末の形でシリコーン改質ポリマーを製造する方法に関する。

Description

本発明は、水性のポリマー分散液の形での、またはそのポリマー粉末の形でのシリコーンにより改質されたポリマーの製造方法、ならびにその使用およびシリコーン単位を有する保護コロイドに関する。
有機ケイ素化合物、たとえばオルガノシロキサンポリマーはエチレン性不飽和モノマーのポリマーを疎水化するために使用される。このような疎水性に改質されたポリマーはそのポリマー粉末の形で、特に水中に再分散可能なポリマー粉末の形で、または水性のポリマー分散液として多くの分野で使用される。該化合物は被覆剤または接着剤中でのバインダーとして、特に建設分野およびテキスタイル分野で、ならびに化粧品および毛髪手入れ剤中のバインダーとして使用される。
WO−A95/20626から、共重合性でない有機ケイ素化合物の添加により、水中に再分散可能なポリマー粉末を改質することが公知である。EP−A0352339はコンクリート建築のための保護塗料を記載しており、これはジビニル−ポリジメチルシロキサンとアクリレートエステルもしくはメタクリレートエステルとの、およびビニル官能性もしくはアクリル官能性アルコキシシランとのコポリマーを有機溶剤中の溶液として含有している。EP−B771826にはビニルエステル、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルまたはビニル芳香族化合物のエマルションポリマーをベースとする被覆および接着剤のための水性バインダーが記載されており、これは架橋剤として不飽和基、たとえばビニル基、アクリルオキシ基もしくはメタクリルオキシ基を有するポリシロキサンを含有している。EP−A943634中には被覆剤として使用するための水性ラテックスが記載されており、これはエチレン性不飽和モノマーをシラノール基含有ケイ素樹脂の存在下に共重合することにより製造される。EP−A1095953はケイ素によりグラフトされたビニルコポリマーを記載しており、この場合、カルボシロキサン−デンドリマーがビニルポリマー上にグラフトされている。
DE−A19951877およびWO−A99/04750から、ポリアルキレンオキシド側鎖を有する線状ポリジアルキルシロキサンの存在下にエチレン系不飽和モノマーを重合することによりケイ素含有ポリマーが得られることが公知である。US−A5216070はカルボキシル官能性モノマーを逆乳化重合するための方法を記載しており、この場合、乳化剤としてポリアルキレンオキシド側鎖を有する線状ポリジアルキルシロキサンを使用する。DE−A4240108は、防汚被覆中で使用するための、ポリシロキサン含有バインダーを製造するための重合法を記載しており、この場合、モノマーをOH−、COOH−またはエポキシ官能性の、さらにポリエーテル基を有していてもよいポリジアルキルシロキサンの存在下に重合する。DE−A10041163から、毛髪化粧調製物のための製造方法が公知であり、この場合、ビニルエステルをポリエーテル含有化合物、たとえばポリエーテル含有ケイ素化合物の存在下に重合する。
従来技術に記載されているケイ素改質エマルションポリマーの欠点は強い加水分解傾向および制御できない架橋傾向であり、この傾向はたしかに多くの適用では所望され、かつ後から、シランおよび触媒を添加することによりさらに強化されるが、しかし塗料分散液の場合、または被覆剤として使用する場合には不所望のゲル体、「ムラ(Stippen)」および不溶性の成分を生じる。さらに従来公知のケイ素含有エマルションポリマーはしばしばアルカリ安定性ではない。というのも、ケイ素は公知のとおり、アルカリ中で安定していないからである。この理由から従来記載された系中で疎水性ひいてはこの疎水性と結びついた肯定的な特性は長い期間の後で著しく低下する。最後にエマルションポリマーの場合、大量のシランまたはシリコーンを導入することにより不十分な粒径分布が生じる、つまり粒子が大きくなりすぎ、かつポリマーは不均一となり、このことは上澄みの形成または相分離に現れうる。さらに凝集体の形成が現れる場合もある。
本発明の課題は、加水分解安定性であり、かつ疎水性で、このことにより耐候性で、撥水性であり、かつ汚れず、さらに良好な水蒸気透過性を有し、かつ高い湿潤摩擦抵抗を有するポリマーを開発することであった。もう1つの課題は、狭い粒径分布を有し、かつ凝集しない、疎水性に改質したポリマーが得られる方法を提供することであった。
本発明の対象は、1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15の炭素原子を有するアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンおよびビニルハロゲン化物を含む群からの1もしくは複数のモノマーを重合し、その際、重合の前、重合の間または重合の後に、
a)1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステルの1もしくは複数のモノマー単位0〜60質量%、
b)ビニルアルコール単位20〜99.5質量%、
c)一般式R 3−aSiO(SiRO)SiR3−a (式中、Rは同一であるか、または異なっており、かつそのつど1〜18の炭素原子を有する1価の、場合により置換されたアルキル基またはアルコキシ基を表し、Rは重合性の基を表し、aは0または1であり、かつnは10〜1000である)の1もしくは複数のシリコーンのモノマー単位0.5〜70質量%
ならびに場合によりその他の補助モノマー
を含有する、シリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーを添加し、その際、少なくとも1のシリコーンは少なくとも1の基Rを有しており、かつその際、質量%での記載は合計して100質量%であることを特徴とする、エチレン性不飽和モノマーを水性媒体中でラジカル重合し、かつこうして得られたポリマー分散液を場合により乾燥させることにより水性ポリマー分散液の形またはそのポリマー粉末の形でのシリコーン改質ポリマーの製造方法である。
適切なビニルエステルは、1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステルである。有利なビニルエステルはビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニル−2−エチルヘキサノエート、ビニルラウレート、1−メチルビニルアセテート、ビニルピバレートおよび5〜13の炭素原子を有するα−分枝鎖状モノカルボン酸のビニルエステル、たとえばVeoVa9(R)またはVeoVa10(R)(Shell社の商品名)である。特に有利であるのはビニルアセテート、最も有利であるのはビニルアセテートと、5〜11の炭素原子を有するα−分枝鎖状のモノカルボン酸との組合せ、たとえばVeoVa 10である。
アクリル酸またはメタクリル酸のエステルの群からの適切なモノマーは、1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルコールのエステルである。有利なメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−、イソ−およびt−ブチルアクリレート、n−、イソ−およびt−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノルボルニルアクリレートである。特に有利であるのはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−、イソ−およびt−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよびノルボルニルアクリレートである。
適切なジエンは1,3−ブタジエンおよびイソプレンである。共重合性オレフィンのための例はエテンおよびプロペンである。ビニル芳香族化合物としてスチレンおよびビニルトルエンを共重合することができる。ビニルハロゲン化物の群から通常は塩化ビニル、塩化ビニリデンまたはフッ化ビニル、有利には塩化ビニルを使用する。
場合によりさらに、エチレン性不飽和モノマーの全質量に対して0.05〜30質量%の補助モノマーを共重合することができる。補助モノマーのための例はエチレン性不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸またはこれらの塩、有利にはクロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸およびマレイン酸、エチレン性不飽和カルボン酸アミドおよび−ニトリル、有利にはアクリルアミドおよびアクリルニトリル;フマル酸およびマレイン酸のモノエステルおよびジエステル、たとえばジエチル−およびジイソプロピルエステルならびに無水マレイン酸、エチレン性不飽和スルホン酸もしくはその塩、有利にはビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸である。補助モノマーとしてカチオン性モノマー、たとえばジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド(MAPTAC)および2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリドも適切である。さらにビニルエーテル、ビニルケトン、その他のビニル芳香族化合物が適切であり、これらはヘテロ原子を有していてもよい。
適切な補助モノマーは重合性シランもしくはメルカプトシランである。有利であるのはγ−アクリル−もしくはγ−メタクリルオキシプロピルトリ(アルコキシ)シラン、α−メタクリルオキシメチルトリ(アルコキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジ(アルコキシ)シラン、ビニルアルキルジ(アルコキシ)シランおよびビニルトリ(アルコキシ)シランであり、その際、アルコキシ基としてたとえばメトキシ基、エトキシ基、メトキシエチレン、エトキシエチレン基、メトキシプロピレングリコールエーテル基もしくはエトキシプロピレングリコールエーテル基を使用することができる。このための例はビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス−(1−メトキシ)−イソ−プロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、トリスアセトキシビニルシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物シランである。3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシランおよび3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランも有利である。
その他の例は官能化された(メタ)アクリレート、特にエポキシ官能性、たとえばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシドエーテル、ビニルグリシドエーテル、またはヒドロキシアルキル官能性、たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、または置換されているか、もしくは非置換のアミノアルキル(メタ)アクリレート、または環式モノマー、たとえばN−ビニルピロリドンである。
さらに、少なくとも1つの不飽和基、たとえばC−〜C−アルキル基を有し、SiO(C2n+1単位を10〜1000、有利には50〜500の鎖長を有する線状もしくは分枝鎖状のポリジアルキルシロキサンを有する重合性シリコーンマクロマーもまた適切である。該単位は1もしくは2の末端、または1もしくは複数の鎖中の重合性の基(官能性の基)を有する。このための例は1もしくは2のビニル基、アクリルオキシアルキル基、メタクリルオキシアルキル基もしくはメルカプトアルキル基を有するポリジアルキルシロキサンであり、この場合、アルキル基は同一であるか、または異なっていてもよく、かつ1〜6の炭素原子を有する。有利であるのはα,ω−ジビニル−ポリジメチル−シロキサン、α,ω−ジ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノビニル−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、ならびに連鎖移動基を有するシリコーン、たとえばα−モノ−(3−メルカプトプロピル)−ポリジメチルシロキサンまたはα,ω−ジ−(3−メルカプトプロピル)−ポリジメチルシロキサンである。重合性シリコーンマクロマー、たとえばEP−A614924に記載されているものも適切である。
その他の例は前架橋性コモノマー、たとえば多価エチレン性不飽和コモノマー、たとえばジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、ジアリルマレエート、アリルメタクリレート、ブタンジオールジアクリレートまたはトリアリルシアヌレート、または後架橋性コモノマー、たとえばアクリルアミドグリコール酸(AGA)、メチルアクリルアミドグリコール酸メチルエステル(MAGME)、N−メチロールアクリルアミド(NMA)、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアリルカルバメート、アルキルエーテル、たとえばイソブトキシエーテルまたはN−メチロールアクリルアミドの、N−メチロールメタクリルアミドの、およびN−メチロールアリルカルバメートのエステルである。
この場合、エチレン性不飽和モノマーは有利には、塗膜形成助剤を添加しなくても<10℃、有利には<5℃、特に0℃〜2℃の最低塗膜形成温度MFTを有する水性コポリマー分散液およびコポリマー粉末の水性再分散液が得られるように選択する。当業者には、このためにどのモノマーまたはモノマー混合物を使用することができるかはガラス転移温度Tgに基づいて周知である。ポリマーのガラス転移温度Tgは公知の方法で示差走査熱分析(DSC)により測定することができる。Tgはフォックスの式により前もって近似値を算出することもできる。Fox T.G.、Bull. Am. Physics Soc.1、3、第123頁(1956)によれば次のとおりである:1/Tg=x1/Tg1+x2/Tg2+...+xn/Tgn、その際、xnはモノマーnの質量分率(質量%/100)を表し、かつTgnはモノマーnのホモポリマーのケルビンでのガラス転移温度である。ホモポリマーに関するTg値はPolymer Handbook 第2版、J.Wiley & Sons、New York(1975)に記載されている。
以下に記載するコポリマー組成物が有利である:
ビニルアセテートのポリマー;ビニルアセテートと別のビニルエステル、たとえばビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニル−2−エチルヘキサン酸エステル、α−分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステル、特にバーサチック酸ビニルエステル(VeoVa 9(R)、VeoVa 10(R))とのビニルエステルコポリマー;ビニルエステル−エチレン−コポリマー、たとえばビニルアセテート−エチレン−コポリマー、これは場合によりさらに別のビニルエステル、たとえばビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニル−2−エチルヘキサン酸エステル、α−分枝鎖状カルボン酸のビニルエステル、特にバーサチック酸ビニルエステル(VeoVa 9(R)、VeoVa 10(R))またはフマル酸−もしくはマレイン酸ジエステルを含有する;ビニルエステル−エチレン−コポリマー、たとえばビニルアセテート−エチレン−コポリマー、これは場合によりさらに別のビニルエステル、たとえばビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニル−2−エチルヘキサン酸エステル、α−分枝鎖状カルボン酸のビニルエステル、特にバーサチック酸ビニルエステル(VeoVa 9(R)、VeoVa 10(R))および重合性シリコーンマクロモノマーを含有する;ビニルエステル−エチレン−塩化ビニル−コポリマー、その際、ビニルエステルとして有利にはビニルアセテートおよび/またはビニルプロピオネートおよび/または1もしくは複数の共重合性ビニルエステル、たとえばビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニル−2−エチルヘキサン酸エステル、α−分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステル、特にバーサチック酸ビニルエステル(VeoVa 9(R)、VeoVa 10(R))が含有されている;ビニルアセテートおよび/またはビニルラウレートおよび/またはバーサチック酸−ビニルエステルおよびアクリル酸エステル、特にブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレートを有するビニルエステル−アクリル酸エステル−コポリマー、これは場合によりさらにエチレンを含有する;有利にn−ブチルアクリレートおよび/または2−エチルヘキシルアクリレートを有するアクリル酸エステル−コポリマー;有利にはブチルアクリレートおよび/または2−エチルヘキシルアクリレート、および/または1,3−ブタジエンを有するメチルメタクリレート−コポリマー;スチレン−1,3−ブタジエン−コポリマーおよびスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−コポリマー、たとえばスチレン−ブチルアクリレート、スチレン−メチルメタクリレート−ブチルアクリレートまたはスチレン−2−エチルヘキシルアクリレート、その際、ブチルアクリレートとしてn−、イソ−、t−ブリルアクリレートを使用することができる。
最も有利であるのはビニルエステル−エチレン−コポリマー、たとえばビニルアセテート−エチレン−コポリマー、ならびにビニルアセテートおよびエチレンおよび9または10の炭素原子を有するα−分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステル(VeoVa9(R)、VeoVa10(R))のコポリマー、および特に共重合性シリコーンマクロマーとのビニルアセテート、エチレン、9または10の炭素原子を有するα−分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステル(VeoVa9(R)、VeoVa10(R))とのコポリマー;有利には2〜30質量%のエチレン割合を有し、これらは場合によりさらに別の補助モノマー割合を記載の量で含有していてもよい。
シリコーン含有ポリマーは水性媒体中でラジカル重合により、有利には乳化重合により製造される。該ポリマーは通常、20℃〜100℃、特に45℃〜80℃の温度範囲で実施する。開始は慣用のラジカル開始剤により行い、該開始剤はモノマーの全質量に対して0.01〜3.0質量%の量で使用する。開始剤として無機過酸化物、たとえばアンモニウム−、ナトリウム−、カリウムペルオキソジスルフェートまたは過酸化水素を単独で、または還元剤、たとえば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートまたはアスコルビン酸と組み合わせて使用する。水溶性の有機過酸化物、たとえばt−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドもまた、通常は還元剤と組み合わせて、あるいはまた水溶性のアゾ化合物も使用することができる。気体状のモノマー、たとえばエチレンおよび塩化ビニルとの共重合の際に、加圧下で、一般に1〜100バール絶対で作業する。
シリコーン成分は、重合の前、重合の間または重合の後で、保護コロイドとして、
a)1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステルの1もしくは複数のモノマー単位0〜60質量%、
b)ビニルアルコール単位20〜99.5質量%、
c)一般式R 3−aSiO(SiRO)SiR3−a (式中、Rは同一であるか、または異なっており、かつそのつど1〜18の炭素原子を有する1価の、置換されていてもよいアルキル基またはアルコキシ基を表し、Rは重合性の基を表し、aは0または1であり、かつnは10〜1000である)を有する1もしくは複数のシリコーンのモノマー単位0.5〜70質量%
ならびに場合によりその他の補助モノマーを含有し、その際、少なくとも1のシリコーンは少なくとも1の基Rを有しており、かつその際、質量%での記載は合計して100質量%であるシリコーン含有ビニルアルコール−混合ポリマーを添加することにより導入される。
ビニルエステル割合は、有利には3〜35質量%である。ビニルアルコール割合に関しては40〜90質量%の範囲が有利である。シリコーン単位の割合は有利には5〜60質量%、特に9〜50質量%である。nは有利には20〜500、特に有利には40〜200である。
シリコーン含有ビニルアルコール−混合ポリマーを製造するために有利なビニルエステルa)はビニルアセテートである。
式R 3−aSiO(SiRO)SiR3−a 中で、
基Rのための例はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソ−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−ペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、たとえばn−ヘキシル基、ヘプチル基、たとえばn−ヘプチル基、オクチル基、たとえばn−オクチル基およびイソ−オクチル基、たとえば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、たとえばn−ノニル基、デシル基、たとえばn−デシル基、ドデシル基、たとえばn−ドデシル基、およびオクタデシル基、たとえばn−オクタデシル基、シクロアルキル基、たとえばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基である。有利には基Rは1〜6の炭素原子を有する1価の炭化水素基、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、アミル基およびヘキシル基であり、その際、メチル基が特に有利である。
有利なアルコキシ基Rは1〜6の炭素原子を有する基、たとえばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびn−ブトキシ基であり、これらは場合によりさらにオキシアルキレン基、たとえばオキシエチレン基またはオキシメチレン基により置換されていてもよい。特に有利であるのはメトキシ基およびエトキシ基である。前記のアルキル基およびアルコキシ基Rは場合によりたとえばハロゲン、メルカプト基、エポキシ官能性の基、カルボキシ基、ケト基、エナミン基、アミノ基、アミノエチルアミノ基、イソ−シアナト基、アリールオキシ基、アルコキシシリル基およびヒドロキシ基により置換されていてもよい。
適切な重合性の基Rは2〜8の炭素原子を有するアルケニル基である。このような重合性の基の例は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ならびにアクリルオキシアルキル基およびメタクリルオキシアルキル基であり、その際、アルキル基は1〜4の炭素原子を有する。ビニル基、3−メタクリルオキシプロピル基、アクリルオキシメチル基および3−アクリルオキシプロピル基が有利である。
α,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンが有利である。不飽和基により1置換されているのみのシリコーンの場合、α−モノビニル−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(アクリルオキシメチル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンが有利である。一官能価のポリジメチルシロキサンの場合、その他の鎖の末端にアルキル基またはアルコキシ基、たとえばメチル基またはブチル基が存在する。
線状もしくは分枝鎖状のモノビニル−ポリジメチルシロキサンおよび/または官能化されていないポリジメチルシロキサン(後者は重合性の基を有していない)と、線状もしくは分枝鎖状のジビニル−ポリジメチルシロキサンの混合物、ならびに官能化されていないポリジメチルシロキサンと、線状もしくは分枝鎖状のモノビニル−ポリジメチルシロキサンとの混合物もまた有利である。ビニル基は有利には鎖の末端に存在する。このような混合物のための例は、Wacker−Chemie社の溶剤不含のDehesive(R)−6−系列(分枝鎖状)またはDehesive(R)−9−系列(非分枝鎖状)のシリコーンである。二成分または三成分の混合物の場合、そのつどシリコーン成分の全質量に対して、官能化されていないポリジアルキルシロキサンの割合は15質量%まで、有利には5質量%までであり、一官能性のポリジアルキルシロキサンの割合は50質量%までであり、かつ二官能性のポリジアルキルシロキサンの割合は少なくとも50質量%、有利には少なくとも60質量%である。
シリコーン単位として最も有利であるのは、α,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサン、またはα,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサンとα−モノビニル−ポリジメチルシロキサンとの二成分混合物、またはα,ω−ジビニル−ポリジメチル−シロキサン、α−モノビニル−ポリジメチルシロキサンと官能化されていないポリジメチルシロキサンとの三成分混合物である。
これらのモノマー以外にさらにその他の補助モノマーをシリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマー中に共重合することができる。適切な補助モノマーは、エチレン性不飽和モノマーのポリマーに関してすでに記載した、前記に記載の量でのモノマーである。
ビニルアセテート単位、ビニルアルコール単位およびポリジメチルシロキサン単位を含有するシリコーン含有ビニルアルコール−混合ポリマーが最も有利である。一般にケイ素含有混合ポリマーを重合の前、重合の間またはその後で0.01〜40質量%、有利には0.1〜10質量%の量で使用する。
シリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーの製造はDE10215962に記載されている。その製造は前記のビニルエステルおよびシリコーン単位を非水性の有機溶剤中で重合し、かつ引き続きこれにより得られたコポリマーをビニルアルコール単位の導入のためにアルコール溶液中でけん化することにより行う。
上記のシリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーを重合の前または重合の間に保護コロイドとして使用する場合、ポリマーの安定化のためにシリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマー以外にさらにアニオン性および非イオン性の乳化剤ならびにその他の保護コロイドを使用することができる。有利には非イオン性もしくはアニオン性の乳化剤を使用し、好ましくは非イオン性およびアニオン性の乳化剤からなる混合物を使用する。非イオン性乳化剤として有利にはエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドと、8〜18の炭素原子を有する線状もしくは分枝鎖状のアルコール、8〜18の炭素原子を有するアルキルフェノールまたは線状もしくは分枝鎖状のカルボン酸との縮合生成物、ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーを使用する。適切なアニオン性乳化剤はたとえばアルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリール硫酸塩、ならびに線状もしくは分枝鎖状のアルキルアルコールおよび5〜25のEO単位を有するエチレンオキシド、アルキルフェノール、およびスルホコハク酸のモノエステルもしくはジエステルの縮合生成物のスルフェートまたはホスフェートである。乳化剤量は使用されるモノマーの全質量に対して0.01〜10質量%である。
場合によりシリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマー以外に、さらに別の保護コロイドを使用することができる。適切な保護コロイドのための例は、ビニルアルコール単位75〜95モル%、有利には84〜92モル%の含有率を有するポリビニルアルコール;ポリ−N−ビニルアミド、たとえばポリビニルピロリドン;多糖類、たとえばデンプン、ならびにセルロースおよびこれらのカルボキシメチル−、メチル−、ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピル−誘導体;合成ポリマー、たとえばポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミドである。特に有利であるのは前記のポリビニルアルコールの使用である。保護コロイドは一般に使用されるモノマーの全質量に対して0.01〜40質量%の量で使用する。
場合により分子量を制御するために、通常の調節剤、たとえばイソプロパノールのようなアルコール、アセトアルデヒドのようなアルデヒド、塩素含有化合物、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのようなメルカプタン、メルカプトプロピオン酸(エステル)を使用することができる。pH値の調節のためには、分散液の製造の際にpH調節化合物、たとえば酢酸ナトリウムまたはギ酸を使用することができる。
重合は重合法と無関係にシードラテックスを使用するか、または使用しないで、反応混合物の全ての成分または個々の成分を装入するか、または部分的に装入し、かつ反応混合物の個々の成分を後から供給するか、または装入物なしで供給法により実施することができる。コモノマーおよび場合により補助モノマーは分散液を製造するために全て装入することができる(回分式)か、またはモノマーの一部を装入し、かつ残りを供給する(半回分式)ことができる。
シリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーを分散液の製造のために装入するか、または計量供給することができ、あるいは一部を装入し、残りを供給してもよい。その際、表面活性物質を単独で、またはプリエマルションとしてコモノマーと共に供給することができる。
気体状のモノマーa)、たとえばエチレンの共重合の際に所望の量を一定の圧力の調整により導入する。気体状のモノマーを導入する圧力は最初に一定の値に調整し、かつ重合の間に低下させるか、または圧力を全ての重合の間に一定にすることができる。後者の実施態様が有利である。
重合の終了後に残留モノマーを除去するため、適用において公知の方法で、たとえばレドックス触媒により開始される後重合によって、後重合することができる。分散液の揮発性の残留モノマーおよびその他の揮発性の、非水性成分は蒸留により、有利には減圧下で、および場合により不活性のストリッピングガス、たとえば空気、窒素または水蒸気の通過または導通により、除去することができる。
本発明による方法により得られる水性の分散液は、30〜70質量%、有利には45〜65質量%の固体含有率を有する。ポリマー粉末、特に水中に再分散可能なポリマー粉末を製造するために、水性分散液を、場合により噴霧助剤としての保護コロイドを添加した後に、たとえば流動層乾燥、凍結乾燥または噴霧乾燥により乾燥させる。有利には分散液を噴霧乾燥する。この場合、噴霧乾燥は通常の噴霧乾燥装置中で行い、その際、噴霧は1流体、2流体もしくは多流体ノズルにより、または回転板を用いて行うことができる。出口温度は装置、樹脂のTgおよび所望の乾燥度に応じて一般に45℃〜120℃、有利には60℃〜90℃の範囲で選択される。
通常、噴霧助剤は分散液のポリマー成分に対して3〜30質量%の全量で使用される。適切な噴霧助剤はすでに記載した保護コロイドである。適切な噴霧助剤はすでに記載した保護コロイドである。噴霧助剤としてシリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーを使用することも特に有利である。
噴霧の際に、ベースポリマーに対して1.5質量%までの消泡剤の含有率が何倍も有利であることが判明した。ブロッキング安定性を改善するために、得られた粉末に、ポリマーの成分の全質量に対して有利には30質量%までの粘着防止剤(Antibackmittel)を添加することができる。粘着防止剤のための例は炭酸カルシウムもしくは炭酸マグネシウム、タルク、石膏、ケイ酸、カオリン、ケイ酸塩である。
疎水性で、耐候性で、撥水性で、極めて安定しており、かつ防汚性であり、かつさらに良好な水蒸気透過性を有するエマルションポリマーが得られる。
水性分散液の形およびポリマー粉末、特に水中に再分散可能なポリマー粉末の形のシリコーン含有ポリマーは、接着剤および被覆剤中での適用のために、繊維またはその他の粒子状の材料の固定のために、たとえばテキスタイル分野のために適切である。該ポリマーは変性剤として、および疎水化剤としても適切である。該ポリマーはさらに研磨の分野(研磨剤)でも、および化粧品中で、たとえば毛髪の手入れの分野で、有利に使用することができる。該ポリマーはさらに、接着剤および被覆剤中でのバインダーとして、またたとえば金属、フィルム、木材のための保護被覆として、またはたとえば紙の処理のための剥離被覆として適切である。該ポリマーは建設分野での、たとえばタイル用接着剤および完全断熱接着剤(Vollwaermeschutzklebemittel)中での塗料、接着剤および被覆剤のためのバインダーとして、および特に放出の少ないプラスチックカラーペースト(Kunststoffdispersionsfarben)およびプラスチック分散液プラスター(Kunststoffdispersionsputzen)中での適用のために、ならびに屋内領域および屋外領域のために特に適切である。カラーペーストおよび分散液プラスターのための処方は当業者に公知であり、かつ一般にシリコーン含有ポリマーを5〜50質量%、水を5〜35質量%、充填材を5〜80質量%、顔料を5〜30質量%ならびにその他の添加剤を0.1〜10質量%含有しており、その際、処方中での質量%の記載は合計して100質量%である。
使用することができる充填材のための例は炭酸塩、たとえばドロマイト、方解石および白亜の形の炭酸カルシウムである。その他の例はケイ酸塩、たとえばタルクの形のケイ酸マグネシウム、またはロームおよび粘土の形のケイ酸アルミニウム;石英粉、石英砂、高分散性シリカ、長石、重晶石および石膏である。繊維充填材もまた適切である。実地ではしばしば種々の充填材の混合物が使用される。たとえば種々の粒径の充填材の混合物または炭酸塩およびケイ酸塩の充填材の混合物。後者の場合、炭酸塩が富化された、もしくはケイ酸塩が富化された処方の全充填材割合において炭酸塩もしくはケイ酸塩50質量%以上、特に75質量%以上の割合が問題となる。プラスチックプラスターは一般にカラーペーストよりも粗粒の充填材を含有する。この場合、粒子はしばしば0.2〜5.0mmである。それ以外にプラスチックプラスターはカラーペーストと同じ添加剤を含有していてよい。
適切な顔料はたとえば無機顔料として二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、ならびに通常の有機顔料である。その他の添加剤のための例は、処方の全質量に対して一般に0.1〜0.5質量%の割合の湿潤剤である。このための例はポリリン酸ナトリウムおよびポリリン酸カリウム、ポリアクリル酸およびこれらの塩である。添加剤として増粘剤もまた挙げられ、これは処方の全質量に対して一般に0.01〜2.0質量%の量で使用される。通常の増粘剤はセルロースエーテル、デンプン、または無機増粘剤のための例としてベントナイトである。その他の添加剤は保存剤、消泡剤、凍結防止剤である。
接着剤および被覆剤を製造するためにポリマー分散液またはポリマー粉末を別の処方成分である充填材および別の添加剤と共に適切な混合機中で混合し、かつ均質化する。ポリマー粉末は場合により水性再分散液の形でも建設現場で添加することができる。多くの場合、乾燥混合物を製造し、かつ加工のために必要な水を直接加工の前に添加する。ペースト状の組成物を製造する際にしばしば、まず水の割合を装入し、分散液を添加し、かつ最終的に固体を撹拌導入する。
特に有利であるのは、放出の少ない屋内用塗料、特に高いPVK(高充てん塗料(hochgefuellte Farben))を有する被覆剤処方中でのバインダーとしての、またはプラスター用の疎水性作用のあるバインダーとしてのケイ素含有ポリマーである。
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するためのものであり、本発明を何らかの方法で制限するものではない。
シリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーの製造:
1.ビニルアセテート−ポリジメチルシロキサン−コポリマーの製造:
例a):
馬蹄型攪拌機、還流冷却器および供給装置を備えた120lの攪拌容器中にエチルアセテート54.65kg、PDMS混合物(=Dehesive(R)929)303.33g、イソプロパノール5.47kg、PPV(t−ブチルピバレート、脂肪族化合物中75%の溶液)44.71gおよびビニルアセテート2.73kgを装入した。引き続き該装入物を95rpmの攪拌機回転数で70℃に加熱した。内部温度が70℃に達したら、開始剤の供給(エチルアセテート4.10kgおよびPPV173.91g)を826g/hの速度で開始した。開始剤供給の開始の10分後にモノマー供給(PDMS混合物2.43kgおよびビニルアセテート21.86kg)を6.08kg/hの速度で開始した。開始剤の供給は310分間にわたって行い、モノマー供給は60分前に終了した。両方の供給が終了した後、70℃でさらに120分間、後重合させた。得られたポリマー溶液を引き続き加熱して蒸留し(溶剤の交換)、その際、蒸留液は常にメタノールと交換した。溶液がエチルアセテートおよびイソプロパノールを含有しなくなるまでこの工程を繰り返した。
分析:固体含有率(FG):45.6%(メタノール中)、GC分析:残留VAc含有率20ppm;残留エチルアセテート:1100ppm、酸価(SZ):3.36mgKOH/g、粘度(ヘプラー(Hoeppler)、エチルアセテート中10%の溶液)=1.34mPas;SEC M=13502g/モル、M=5075g/モル、多分散性=2.66;ガラス転移温度(Tg):Tg=30.1℃。H−NMRによる樹脂の組成(CDCl):PDMS 10.75質量%(12.28モル%)、PVAc 89.25質量%(87.72モル%)。
例b)
馬蹄型攪拌機、還流冷却器および供給装置を備えた120lの攪拌容器中にエチルアセテート51.57kg、PDMS混合物(Dehesive 929)481.63g、イソプロパノール8.09kg、PPV(t−ブチルピバレート、脂肪族化合物中75%の溶液)51.78gおよびビニルアセテート2.53kgを装入した。引き続き該装入物を95rpmの攪拌機回転数で70℃に加熱した。内部温度が70℃に達したら、開始剤の供給(エチルアセテート4.07kgおよびPPV201.33g)を827g/hの速度で開始した。開始剤供給の開始の10分後にモノマー供給(PDMS混合物3.86kgおよびビニルアセテート20.25kg)を6.03kg/hの速度で開始した。開始剤の供給は310分間にわたって行い、モノマー供給は60分前に終了した。両方の供給が終了した後、70℃でさらに120分間、後重合させた。得られたポリマー溶液を引き続き加熱して蒸留し(溶剤の交換)、その際、蒸留液は常にメタノールと交換した。溶液がエチルアセテートおよびイソプロパノールを含有しなくなるまでこの工程を繰り返した。
分析:FG:50.0%(メタノール中)、GC分析:残留VAc含有率420ppm;残留エチルアセテート:1.06%、酸価:2.80mgKOH/g、粘度(ヘプラー、エチルアセテート中10%の溶液)=1.39mPas;SEC M=13640g/モル、M=4497g/モル、多分散性=3.03;ガラス転移温度(Tg):Tg=28.6℃。H−NMRによる樹脂の組成(CDCl):PDMS 17.46質量%(19.75モル%)、PVAc 82.54質量%(80.25モル%)。
例c):
馬蹄型攪拌機、還流冷却器および供給装置を備えた120lの攪拌容器中にエチルアセテート49.97kg、PDMS混合物(Dehesive 929)651.01g、イソプロパノール9.38kg、PPV(t−ブチルピバレート、脂肪族化合物中75%の溶液)58.88gおよびビニルアセテート2.34gを装入した。引き続き該装入物を95rpmの攪拌機回転数で70℃に加熱した。内部温度が70℃に達したら、開始剤の供給(エチルアセテート4.05kgおよびPPV228.88g)を829g/hの速度で開始した。開始剤供給の開始の10分後にモノマー供給(PDMS混合物5.21kgおよびビニルアセテート18.77kg)を6.0kg/hの速度で開始した。開始剤の供給は310分間にわたって行い、モノマー供給は60分前に終了した。両方の供給が終了した後、70℃でさらに120分間、後重合させた。得られたポリマー溶液を引き続き加熱して蒸留し(溶剤の交換)、その際、蒸留液は常にメタノールと交換した。溶液がエチルアセテートおよびイソプロパノールを含有しなくなるまでこの工程を繰り返した。
分析:FG:52.9%(メタノール中)、GC分析:残留VAc含有率60ppm;残留エチルアセテート:2.0%、SZ:2.24mgKOH/g、粘度(ヘプラー、エチルアセテート中10%の溶液)=1.23mPas;SEC M=10777g/モル、M=3626g/モル、多分散性=2.97;ガラス転移温度(Tg):Tg=26.2℃。H−NMRによる樹脂の組成(CDCl):PDMS 22.56質量%(25.31モル%)、PVAc 77.44質量%(74.69モル%)。
2.シリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーを製造するためのビニルアセテート−ポリジメチルシロキサン−コポリマーのけん化:
例d)(シリコーン17.8質量%):
還流冷却器、供給装置および馬蹄型攪拌機を備えた120lの攪拌容器中に、例a)により製造したメタノール中45.6%のポリマー溶液26.3kgを装入し、かつメタノールでFG約20%に希釈した。次いでこの溶液を35℃に加熱した。引き続き45%の水/メタノール性水酸化ナトリウム溶液220mlを迅速に添加した。水酸化ナトリウム溶液を添加した11分後に濃酢酸でpHを約7に調節した。沈殿したポリビニルアルコールを水溶液として得るために、懸濁液を加熱して蒸留し、かつ蒸留液を連続的に水と交換した。すべてのメタノールが水により交換されるまでこの工程を繰り返した。
水性PVA溶液の分析:
FG:11.3%;SZ:0mgKOH/g;pH(水中4%):6.5;けん化度(VZ):87.15mgKOH/g;VOC(揮発性有機化合物)(メタノール):8ppm、H−NMRによる組成(DMSO中シフト反応試薬としてトリフルオロ酢酸を使用):ビニルアセテート13.9質量%(8.2モル%)、ビニルアルコール68.3質量%(79.5モル%)、PDMS17.8質量%(12.3モル%)。
例e)(シリコーン26.0質量%):
例d)と同様の方法であるが、ただしけん化時間は13分であった。例b)からの樹脂をけん化した。PVA水溶液の分析:
FG:11.4%;SZ:0mgKOH/g;pH(水中4%):6.74;VZ:96.33mgKOH/g;VOC(メタノール):590ppm、
H−NMRによる組成(DMSO中、シフト反応試薬としてトリフルオロ酢酸を使用):ビニルアセテート15.0質量%(9.3モル%)、ビニルアルコール59.0質量%(71.8モル%)、PDMS26.0質量%(18.9モル%)。
例f)(シリコーン31.3質量%):
例d)と同様の方法であるが、ただしけん化時間は11分であった。例c)からの樹脂をけん化した。PVA水溶液の分析:
FG:10.95%;SZ:0mgKOH/g;pH(水中4%):6.79;VZ:45.5mgKOH/g;VOC(メタノール):測定されず、
H−NMRによる組成(DMSO中、シフト反応試薬としてトリフルオロ酢酸を使用):ビニルアセテート5.4質量%(3.2モル%)、ビニルアルコール63.3質量%(74.8モル%)、PDMS31.3質量%(22.0モル%)。
ケイ素含有ポリビニルアルコールを用いたポリマー分散液およびポリマー粉末の製造:
原料:
Genapol X 150:
エトキシル化度15を有するエトキシル化されたイソトリデシルアルコール。
Mersolat:
アルキル基中に12〜14の炭素原子を有するアルキル硫酸Na。
Airvol 513:
粘度約14mPas(20℃、4%溶液、ヘプラーにより測定)およびけん化度140(mgKOH/gポリマー)(加水分解度88モル%)を有する市販のポリビニルアルコール(Air Products & Chemicalsより)。
G04/140:
粘度約4mPas(20℃、4%溶液)、ヘプラーにより測定)およびけん化度140(mgKOH/gポリマー)(加水分解度88モル%を有する市販のポリビニルアルコール(Clariantより)。
ポリビニルアルコールW25/140:
粘度約25mPas(20℃、4%溶液、ヘプラーにより測定)およびけん化度140(mgKOH/gポリマー)(加水分解度88モル%)を有するポリビニルアルコール。
Genapol PF80:
EO 80%を有するEO−PO−ブロックポリマー。
PDMS混合物(Dehesive (R) 929):
SiOMe−単位を約100有し、官能化されていないポリジメチルシロキサン5質量%、α−モノビニル−官能化されたポリジメチルシロキサン20質量%およびα,ω−ジビニル−官能化されたポリジメチルシロキサン75質量%を含有する3種類のポリジメチルシロキサンの混合物。
比較例1:
ポリビニルアルコール−安定化されたビニルアセテート−エチレン−ビニルシラン−GMA−コポリマー(シリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーを含有せず)
19lの圧力オートクレーブ中に水3.64kg、Genapol X 150(40%水溶液)177.44g、Mersolat(40%水溶液)164.52g、ビニル硫酸ナトリウム(25%)70.97gおよびビニルアセテート887.18gを装入した。10%のギ酸でpH=5に調節した。さらにTrilon B(EDTA;2%水溶液)9.7mlおよび硫酸鉄アンモニウム(1%溶液)30.6mlを添加した。容器を70℃に加熱し、かつエチレンを22バールで圧入した。反応器が熱平衡状態になったら直ちに、5.4%のペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液(APS溶液)を毎時68gで、および4.16%の亜硫酸ナトリウム溶液を毎時85gで導入した。25分後に、ビニルアセテート6.92kgおよびビニルトリメトキシシラン(Wacker Silan XL10)45.26gからなる混合物を毎時1202gの速度で供給し始めた(モノマー供給流)。
同時に乳化剤供給流を毎時331gの供給性能で導入した。乳化剤供給流は水385.92g、Genapol X 150(40%水溶液)931.54gおよびG04/140(ポリビニルアルコール;20%溶液)501.26gを含有していた。
モノマー供給流のための全供給時間は5.8時間であり、かつ乳化剤供給流のためには5.5時間であった。反応開始の15分後にAPS供給流を毎時42.2gに、亜硫酸Na供給流を毎時52.7gに低減した。
乳化剤供給流の終了の30分後に、「GMA供給流」を導入した。「GMA供給流」の組成は次のとおりである:ビニルアセテート177.44gおよびグリシジルメタクリレート53.23g。供給時間は30分であった(速度:毎時462g)。「GMA供給流」の終了後、APS供給流および亜硫酸Na供給流をさらに1時間継続した。放圧後に残留モノマーを最小化するために分散液を水蒸気により処理(ストリッピング)し、引き続きHydorol Wで保存した。分散液の分析は第1表を参照のこと。
比較例2:
ポリビニルアルコール安定化したビニルアセテートVeoVA−エチレン−ビニルシラン−GMA−PDMS−コポリマー(シリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーを含有しない):
572lの圧力オートクレーブ中に水76.80kg、W25/140(ポリビニルアルコール、10%溶液)27.12kg、Genapol X 150(40%水溶液)4.80kg、Mersolat(40%水溶液)3.44kg、ビニル硫酸ナトリウム(25%)1.92kg、ビニルアセテート18.00kg、PDMS混合物4.80kgおよびVeoVa 10 18.00kgを装入した。10%のギ酸でpH=5に調節した。さらにTrilon B(EDTA;2%水溶液)314mlおよび硫酸鉄アンモニウム(1%溶液)991mlを添加した。容器を70℃に加熱し、かつエチレンを13バールで圧入した。反応器が熱平衡状態になったら直ちに、10.0%のペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液(APS溶液)を毎時1023gで、および5.05%の亜硫酸ナトリウム溶液を毎時1976gで導入した。25分後に、ビニルアセテート166.80kg、VeoVa 10 29.28kgおよびビニルトリメトキシシラン(Wacker Silan XL10)1.22kgからなる混合物を毎時34.02kgの速度で供給し始めた(モノマー供給流)。
同時に乳化剤供給流を毎時12.89kgの供給性能で導入した。乳化剤供給流は水45.69kgおよびGenapol X 150(40%水溶液)25.20kgを含有していた。モノマー供給流のための全供給時間は5.8時間であり、かつ乳化剤供給流のためには5.5時間であった。
反応開始の15分後にAPS供給流を毎時636gに、亜硫酸Na供給流を毎時1226gに低減した。
乳化剤供給流の終了の30分後に、「GMA供給流」を導入した。「GMA供給流」の組成は次のとおりである:ビニルアセテート4.80kg、VeoVa 10 720.01gおよびグリシジルメタクリレート2.88kg。供給時間は30分であった(速度:毎時16.8kg)。「GMA供給流」の終了後、APS供給流および亜硫酸Na供給流をさらに1時間継続した。放圧後に残留モノマーを最小化するために分散液を水蒸気により処理(ストリッピング)し、引き続きHydorol Wで保存した。分散液の分析は第1表を参照のこと。
比較例3:
ポリビニルアルコール安定化したビニルアセテートエチレン−ビニルシラン−GMA−コポリマー(シリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーを含有しない):
572lの圧力オートクレーブ中に水102.99kg、Genapol X 150(40%水溶液)17.90kg、Mersolat(40%水溶液)3.54kg、ビニル硫酸ナトリウム(25%)1.97kg、W25/140(ポリビニルアルコール、水中10%)13.95kgおよびビニルアセテート24.69kgを装入した。10%のギ酸でpH=5に調節した。さらにTrilon B(EDTA;2%水溶液)314mlおよび硫酸鉄アンモニウム(1%溶液)991mlを添加した。容器を70℃に加熱し、かつエチレンを22バールで圧入した。反応器が熱平衡状態になったら直ちに、10.0%のペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液(APS溶液)を毎時1023gで、および5.05%の亜硫酸ナトリウム溶液を毎時1976gで導入した。25分後に、ビニルアセテート217.25kgおよびビニルトリメトキシシラン(Wacker Silan XL10)1.25kgからなる混合物を毎時41.23kgの速度で供給し始めた(モノマー供給流)。
同時に乳化剤供給流を毎時9.85kgの供給性能で導入した。乳化剤供給流は水22.34kg、Genapol X 150(40%水溶液)12.96kgおよびW25/140(ポリビニルアルコール、10%溶液)13.95kgを含有していた。モノマー供給流のための全供給時間は5.3時間であり、かつ乳化剤供給流のためには5.0時間であった。
反応開始の15分後にAPS供給流を毎時636gに、亜硫酸Na供給流を毎時1226gに低減した。
乳化剤供給流の終了の30分後に、「GMA供給流」を導入した。「GMA供給流」の組成は次のとおりである:ビニルアセテート4.94kgおよびグリシジルメタクリレート1.48kg。供給時間は30分であった(速度:毎時12.84kg)。「GMA供給流」の終了後、APS供給流および亜硫酸Na供給流をさらに1時間継続した。放圧後に残留モノマーを最小化するために分散液を水蒸気により処理(ストリッピング)し、引き続きHydorol Wで保存した。分散液の分析は第1表を参照のこと。
比較例4:
ポリビニルアルコール安定化したビニルアセテートエチレン−ビニルシラン−GMA−コポリマー(シリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーを含有しない):
19lの圧力オートクレーブ中に水3.53kg、Genapol X 150(40%水溶液)176.30g、Mersolat(40%水溶液)163.47g、ビニル硫酸ナトリウム(25%)70.52gおよびビニルアセテート881.52gを装入した。10%のギ酸でpH=5に調節した。さらにTrilon B(EDTA;2%水溶液)9.7mlおよび硫酸鉄アンモニウム(1%溶液)30.6mlを添加した。容器を70℃に加熱し、かつエチレンを22バールで圧入した。反応器が熱平衡状態になったら直ちに、5.4%のペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液(APS溶液)を毎時68gで、および4.16%の亜硫酸ナトリウム溶液を毎時85gで導入した。25分後に、ビニルアセテート6.88kgおよびビニルトリメトキシシラン(Wacker Silan XL10)44.98kgからなる混合物を毎時1194gの速度で供給し始めた(モノマー供給流)。
同時に乳化剤供給流を毎時359gの供給性能で導入した。乳化剤供給流はGenapol X 150(40%水溶液)925.60gおよびAirvol V513(ポリビニルアルコール、9.5%溶液)1050gを含有していた。モノマー供給流のための全供給時間は5.8時間であり、かつ乳化剤供給流のためには5.5時間であった。
反応開始の15分後にAPS供給流を毎時4.、2gに、亜硫酸Na供給流を毎時52.7gに低減した。
乳化剤供給流の終了の30分後に、「GMA供給流」を導入した。「GMA供給流」の組成は次のとおりである:ビニルアセテート176.30gおよびグリシジルメタクリレート52.89g。供給時間は30分であった(速度:毎時459g)。「GMA供給流」の終了後、APS供給流および亜硫酸Na供給流をさらに1時間継続した。放圧後に残留モノマーを最小化するために分散液を水蒸気により処理(ストリッピング)し、引き続きHydorol Wで保存した。分散液の分析は第1表を参照のこと。
例1:
比較例1と同様の方法。ただし例d)からのケイ素含有ポリビニルアルコール100.11gを、ポリビニルアルコールG04/140の代わりに使用した。分散液の分析:第1表を参照のこと。
例2:
比較例1と同様の方法。ただし例e)からのケイ素含有ポリビニルアルコール100.16gをポリビニルアルコールG04/140の代わりに使用した。分散液の分析:第1表を参照のこと。
例3:
保護コロイドとしてシリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーを使用したポリビニルアルコール安定化したビニルアセテートエチレン−ビニルシラン−GMA−コポリマー:
19lの圧力オートクレーブ中に水2.08kg、Genapol X 150(40%水溶液)204.12g、Mersolat(40%水溶液)151.41g、例e)からのケイ素含有ポリビニルアルコール(水中11.4%)809.32g、ビニル硫酸ナトリウム(25%)65.32gおよびビニルアセテート816.48gを装入した。10%のギ酸でpH=5に調節した。さらにTrilon B(EDTA;2%水溶液)9.7mlおよび硫酸鉄アンモニウム(1%溶液)30.6mlを添加した。容器を70℃に加熱し、かつエチレンを22バールで圧入した。反応器が熱平衡状態になったら直ちに、5.4%のペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液(APS溶液)を毎時68gで、および4.16%の亜硫酸ナトリウム溶液を毎時85gで導入した。25分後に、ビニルアセテート7.19kgおよびビニルトリメトキシシラン(Wacker Silan XL10)41.66gからなる混合物を毎時1247gの速度で供給し始めた(モノマー供給流)。
同時に乳化剤供給流を毎時464gの供給性能で導入した。乳化剤供給流は水919.14gおよびGenapol PF 80(20%水溶液)1.63kgを含有していた。モノマー供給流のための全供給時間は5.8時間であり、かつ乳化剤供給流のためには5.5時間であった。
反応開始の15分後にAPS供給流を毎時42.2gに、亜硫酸Na供給流を毎時52.7gに低減した。
乳化剤供給流の終了の30分後に、「GMA供給流」を導入した。「GMA供給流」の組成は次のとおりである:ビニルアセテート163.3gおよびグリシジルメタクリレート48.99g。供給時間は30分であった(速度:毎時425g)。「GMA供給流」の終了後、APS供給流および亜硫酸Na供給流をさらに1時間継続した。放圧後に残留モノマーを最小化するために分散液を水蒸気により処理(ストリッピング)し、引き続きHydorol Wで保存した。分散液の分析:第1表を参照のこと。
例4:
例3と同様の方法。ただし例d)からのケイ素含有ポリビニルアルコール92.22gを例e)からのケイ素含有ポリビニルアルコールの代わりに使用した。分散液の分析:第1表を参照のこと。
例5:
比較例2と同様の方法。ただし例d)からのシリコーン含有ポリビニルアルコール2.72kgをW25/140の代わりに使用した。さらにエチレンを14バールで圧入した。分散液の分析:第1表を参照のこと。
例6:
比較例2と同様の方法。ただし例e)からのシリコーン含有ポリビニルアルコール2.71kgをW25/140の代わりに使用した。さらにエチレンを14バールで圧入した。分散液の分析:第1表を参照のこと。
例7:
比較例2と同様の方法。ただし例f)からのシリコーン含有ポリビニルアルコール2.71kgをW25/140の代わりに使用した。さらにエチレンを14バールで圧入した。分散液の分析:第1表を参照のこと。
例8:
例7からの分散液に、例f)からのケイ素含有ポリビニルアルコール5質量%(固体/固体)を添加し、かつ水で250mPasの噴霧粘度に希釈した。次いで該分散液を2流体ノズルにより噴霧した。噴霧成分として4バールに前圧縮した空気を使用し、形成された液滴を125℃に加熱した空気により並流で乾燥させた。得られた乾燥粉末に市販の粘着防止剤(カルシウム−マグネシウム−炭酸塩とヒドロケイ酸マグネシウムとの混合物)10質量%を添加した。白色で流動性の粉末が得られた。
第1表から読みとれるように、実施例において製造された、ケイ素含有ポリビニルアルコール(ビニルアルコール−PDMS−コポリマーもしくはビニルアセテート−ビニルアルコール−PDMSターポリマー)は乳化重合における使用のために適切である。
このことは、乳化重合の際にすでに有利であることが証明されている市販のポリビニルアルコールを用いて製造した比較例V1〜V4と、ケイ素含有ポリビニルアルコールを用いて製造した例1〜7との比較が証明している。従って有利な粒径分布を有する分散液が得られ、凝集体の形成はいずれの場合でも観察されなかった。粘度はポリビニルアルコールの分子量により広い範囲で変更することができる(比較例V1、V3、V4を参照のこと)。
Figure 2006513297
BF20=ブルックフィールド粘度、
D=平均粒径(Nanosizer)、
Dn=平均粒径(数平均、Coulter Counter)、
Dv=平均粒径(体積平均、Coulter Counter)、
O=ポリマー分散液gあたりの粒子表面積、
FG=固体含有率。
該分散液を用いて、以下に記載されている処方により、ケイ酸塩が富化された処方1および炭酸塩が富化された処方2で塗料を製造した(第2表および第3表)。
Figure 2006513297
Figure 2006513297
適用技術的な試験:
水滴試験による疎水性の試験
上記の処方1および2により製造した塗料をEterplan(市販の繊維強化セメント板)上に施与した(膜厚約400μm)。乾燥後、一日後に注射器で水1mlを水滴の形で被覆上に設置した。滴が吸い込まれて消えるまでの時間をストップウォッチで測定した(記載は分)。この時間が長いほど、塗料もしくはその中に含有されている分散液の疎水性および耐水性は高い。極めて疎水性の分散液の場合、該水滴は数時間、留まっていた。
第4表は適用技術的なデータを示す。
Figure 2006513297
第4表から以下のことが読みとれる:
比較例V1、V3およびV4(市販のポリビニルアルコール)と例1〜4(例d)およびe)によるシリコーンポリビニルアルコール)との比較は、ケイ素含有ポリビニルアルコールが明らかに疎水性を向上することができることを示している。増加は3〜6倍である。比較例V2の場合、シリコーンマクロマーを共重合した。これは一般に疎水性の向上につながる。しかし例5、6および7(同様に共重合されたシリコーンマクロマー)との比較は、疎水性はこのような系でもシリコーン含有ポリビニルアルコールの使用によりさらに著しく向上することができることを示している。
例4(乳化剤Genapol PF80)と、例1(乳化剤Genapol X150)(そのつど例d)による、シリコーン17.8質量%を含有するシリコーン含有ポリビニルアルコール=PVAL)との比較ならびに例3(乳化剤Genapol PF80)と、例2(乳化剤Genapol X150)(そのつど例e)によるシリコーン含有ポリビニルアルコール;シリコーン26.0質量%を含有するPVAL)との比較は、乳化剤の交換(ここではGenapol X150とGenapol PF80)は、疎水性に顕著な影響を与えないことを示している。
例1(シリコーン17.8質量%を含有するPVAL、例d)による)と、例2(シリコーン26.0質量%を含有するPVAL、例e)による)との比較ならびに例4(シリコーン17.8質量%を含有するPVAL、例d)による)と、例3(シリコーン26.0質量%を含有するPVAL、例e)による)との比較は、分散液の製造のために使用されるシリコーン含有PVAL中にケイ素が多く存在しているほど、疎水性が増大することを証明している。このことは特に、列の例5(シリコーン17.8質量%を含有するPVAL、例d)による)、例6(ケイ素26.0質量%を含有するPVAL、例e)による)および例7(シリコーン31.3質量%を含有するPVAL、例f)による)が極めて明らかに示している。
ケイ素含有ポリビニルアルコールを含有する分散液から出発する場合、共重合性のシリコーンマクロマーの添加は疎水性のわずかな上昇につながる。このことは例1(シリコーン17.8質量%を含有するPVAL、シリコーンマクロマーを含有しない)もしくは例4(シリコーン17.8質量%を含有するPVAL、シリコーンマクロマーを含有しない)と、例5(シリコーン17.8質量%を含有するPVAL、分散液中にシリコーンマクロマーを含有する)との比較が証明している。このことはさらに例2(シリコーン26.0質量%を含有するPVAL、シリコーンマクロマーを含有しない)もしくは例3(シリコーン26.0質量%を含有するPVAL、シリコーンマクロマーを含有しない)と、例6(シリコーン26.0質量%を含有するPVAL、分散液中にシリコーンマクロマーを含有する)との比較が証明している。しかし疎水性の向上に対する主な影響は、シリコーン含有ポリビニルアルコールの使用に起因し、シリコーンマクロマーの付加的な使用はむしろ疎水性のわずかな改善をもたらすのみである。

Claims (20)

  1. 1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15の炭素原子を有するアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンおよびビニルハロゲン化物を含む群からの1もしくは複数のモノマーを重合し、その際、重合の前、重合の間または重合の後に、
    a)1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステルの1もしくは複数のモノマー単位0〜60質量%、
    b)ビニルアルコール単位20〜99.5質量%、
    c)一般式R 3−aSiO(SiRO)SiR3−a (式中、Rは同一であるか、または異なっており、かつそのつど1〜18の炭素原子を有する1価の、置換されていてもよいアルキル基またはアルコキシ基を表し、Rは重合性の基を表し、aは0または1であり、かつnは10〜1000である)を有する1もしくは複数のシリコーンのモノマー単位0.5〜70質量%
    ならびに場合によりその他の補助モノマー
    を含有する、シリコーン含有ビニルアルコール混合ポリマーを添加し、その際、少なくとも1のシリコーンは少なくとも1の基Rを有しており、かつその際、質量%での記載は合計して100質量%であることを特徴とする、エチレン性不飽和モノマーを水性媒体中でラジカル重合し、かつこうして得られたポリマー分散液を場合により乾燥させることにより水性ポリマー分散液の形またはそのポリマー粉末の形でのシリコーン改質ポリマーの製造方法。
  2. シリコーン含有ビニルアルコールの混合ポリマーがビニルエステル単位a)としてビニルアセテート単位を含有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. シリコーン含有ビニルアルコールの混合ポリマーがシリコーン単位c)として、式中でRが2〜8の炭素原子を有するアルケニル基であるシリコーンから誘導されるものを含有することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. シリコーン含有ビニルアルコールの混合ポリマーがシリコーン単位−単位c)として、α−モノビニルポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(アクリルオキシメチル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノビニル−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(アクリルオキシメチル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンを含む群からのシリコーンから誘導されるものを含有することを特徴とする、請求項3記載の方法。
  5. エチレン性不飽和モノマーとしてビニルアセテートまたはビニルアセテートとエチレンとを含有する混合物、またはビニルアセテートと他のビニルエステルおよび場合によりエチレンを含有する混合物、またはビニルアセテートとエチレンとビニルクロリドとを含有する混合物、またはアクリル酸エステルを含有するビニルエステル混合物、または(メタ)アクリル酸エステルの混合物、またはスチレンおよびブタジエンまたは(メタ)アクリル酸エステルを含有する混合物を重合することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. ビニルアセテートとエチレンとを含有する混合物、またはビニルアセテートとエチレンと9または10の炭素原子を有するα−分枝鎖状カルボン酸のビニルエステルとを含有する混合物を重合することを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. エチレン性不飽和モノマーと共にさらに、γ−アクリル−もしくはγ−メタクリルオキシプロピルトリ(アルコキシ)シラン、α−メタクリルオキシメチルトリ(アルコキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピル−メチルジ(アルコキシ)シラン、ビニルアルキルジ(アルコキシ)シランおよびビニルトリ(アルコキシ)シランを含む群からの1もしくは複数のシランを共重合することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. エチレン性不飽和モノマーと共にさらに、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシドエーテル、ビニルグリシドエーテルを含む群からの1もしくは複数のエポキシ官能性モノマーを共重合することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. エチレン性不飽和モノマーと共にさらに、C−〜C−アルキル基を有し、かつ1もしくは2の末端の、または1もしくは2の鎖中の重合性の基を有するSiO(C2n+1単位を10〜1000、有利には50〜500の鎖長を有する線状もしくは分枝鎖状のポリジアルキルシロキサンを含む群からの少なくとも1の不飽和基を有する1もしくは複数のシリコーンマクロマーを共重合することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 請求項1から9までのいずれか1項記載の方法により得られる、その水性ポリマー分散液の形またはそのポリマー粉末の形のシリコーン改質ポリマー。
  11. 接着剤および被覆剤中での請求項10記載のシリコーン改質ポリマーの使用。
  12. 繊維またはその他の粒状の材料を固定するための請求項10記載のシリコーン改質ポリマーの使用。
  13. 変性剤として、および疎水化剤としての請求項10記載のシリコーン改質ポリマーの使用。
  14. 研磨剤中での請求項10記載のシリコーン改質ポリマーの使用。
  15. 化粧品中で、特に毛髪の手入れの分野での請求項10記載のシリコーン改質ポリマーの使用。
  16. 保護被覆または剥離被覆としての請求項10記載のシリコーン改質ポリマーの使用。
  17. 建設分野における塗料、接着剤および被覆剤中でのバインダーとしての請求項10記載のシリコーン改質ポリマーの使用。
  18. タイル用接着剤および完全断熱用接着剤中での請求項17記載の使用。
  19. 屋内領域および屋外領域のための、放出の少ないプラスチックカラーペーストおよびプラスチック分散プラスター中での請求項17記載の使用。
  20. a)1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステルの1もしくは複数のモノマー単位0〜60質量%、
    b)ビニルアルコール単位20〜99.5質量%、
    c)一般式R 3−aSiO(SiRO)SiR3−a (式中、Rは同一であるか、または異なっており、かつそのつど1〜18の炭素原子を有する1価の、置換されていてもよいアルキル基またはアルコキシ基を表し、Rは重合性の基を表し、aは0または1であり、かつnは10〜1000である)を有する1もしくは複数のシリコーンのモノマー単位0.5〜70質量%
    ならびに場合によりその他の補助モノマー
    を含有し、その際、少なくとも1のシリコーンは少なくとも1の基Rを有しており、かつその際、質量%での記載は合計して100質量%である
    シリコーン単位を有する保護コロイド。
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