JP2006510578A - 腫瘍関連グリコシル化に対する抗体に基づく製剤の使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、癌患者における腫瘍細胞の成長をそれぞれ低下または阻害するための予防および/または治療的処置用の医薬を製造するための腫瘍関連グリコシル化に対する抗体に基づく製剤の使用ならびに腫瘍関連グリコシル化に対する抗体を含む医薬的製剤に関する。さらに、本発明は医薬および/または診断的に使用する製剤、癌患者における転移形成の危険性を測定するための物質および診断方法、ならびにそれぞれの場合に腫瘍関連グリコシル化に対する抗体を用いる体液または組織に基づく製剤の製造方法に関する。

Description

本発明は癌患者を治療するための抗体製剤(調製物)、医薬製剤の新規使用、および腫瘍細胞を測定しまたは減少させる方法に関する。
「上皮成長因子(EGF)レセプター」と呼ばれる上皮成長因子に対するレセプターは、例えばEGFまたはヘレグリンのリガンドと結合することにより活性化するチロシン-キナーゼ活性を有する原形質膜糖タンパク質である。成長因子と結合することにより該レセプターの二量体化およびトランス-または自己-リン酸化が生じ、細胞分割のシグナルカスケードが始まる。リン酸化後、MAPキナーゼが活性化する。マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAP-キナーゼ)同様にこれらレセプターは細胞成長および細胞分割の調節の中心的位置にあると推測される。MAPキナーゼの2つのアイソフォームp42およびp44はerk1およびerk2も意味する。
特に腫瘍細胞によりMAPキナーゼは不比例的に高度に存在し、これにより後者またはEGFレセプターはそれぞれ腫瘍関連抗原(TAA)と考えられる。
腫瘍関連抗原(TAA)は癌の予防および/または治療用の免疫療法剤の開発の基礎となることが多い。TAAは好ましくは腫瘍細胞の細胞膜上に発現する非悪性組織との区別を可能にする構造であり、特異抗体の診断および治療的適用のための標的と考えることができる。
腫瘍の無限の成長はおそらくMAPキナーゼをブロックすることにより抑制される。従来技術において、それぞれMAPキナーゼまたはEGFレセプターと特異的に結合することができる多くの抗体が記載されてきた。
WO 02/092771には腫瘍化、過剰増殖、または異常細胞にみられ、正常細胞には検出されないEGFRエピトープと直接結合する特異的結合メンバーが記載されている。
WO 02/33073には細胞表面を架橋することにより細胞内にシグナルを伝達するアゴニストとして働く修飾抗体が記載されている。
WO 01/70268には、抗体と細胞周期をG2またはM期でブロックする物質の組み合わせが記載されている。
これらの文献には異常な腫瘍グリコシル化に対する抗体の使用は記載されていない。
EP 0359282AにはヒトEGFレセプターの細胞外ドメインと結合するモノクローナル抗体が記載されている。これにより腫瘍細胞の細胞増殖が阻害されるはずである。
「表皮成長因子」レセプター-2(HER-2)に対する抗体も化学療法と組み合わせて用いられてきた(Anticancer Drugs 2001、12 Suppl 4:pp.3-10)。
EGFレセプターのファミリーと結合するさらなる抗体がUS 5,811,098に記載されており、この抗体はヒトチロシンキナーゼレセプターのHER4と特異的に結合する。
WO 96/40210 Aには腫瘍増殖を阻害するためのある種の抗EGFレセプター抗体のキメラまたはヒト化変異体が記載されている。
EGFレセプターの細胞外ドメインに対するある種の抗体によるMAPキナーゼのブロッキングは腫瘍細胞だけでなくあらゆるマイトジェンで(mitotically)活性化された細胞を攻撃するという欠点がある。
癌患者の治療は腫瘍増殖の予防を含むだけでなく、むしろ転移の形成を長期にわたり予防すべきである。これは外科手術による原発性腫瘍の治療後および/または化学療法(例えば放射線療法)実施後に示唆されるかもしれない。播種性腫瘍細胞は休眠状態にあることがあり、化学療法(放射線療法)により攻撃できないことが多い。そのように治療された患者は一見治癒状態にあり、これは「微小残存病変」としても説明される。それにも関わらず、休眠腫瘍細胞は長期休眠状態後の増殖刺激により転移性細胞になると転移形成の潜在性を有する。
最も変化するTAAの発見および特徴付けの過程で、それが癌細胞に対する有用な機能を有することがわかってきた。TAAは変性細胞が転移を樹立するのにきわめて重要な例えば付着能の増大といった悪性表現型に特徴的な特性を示すのを可能にする。しかしながら、ある段階ではそのような抗原は正常細胞に非常に良く発現されることがあり、該細胞の正常機能を担う。この例に上皮起源の多数の腫瘍に出現し、上皮組織の胎生期発育時に重要な役割を果たすLewis(ルイス)Y炭化水素抗原がある。Lewis Y陽性癌細胞は転移の可能性がより高いようであるから肺癌におけるこの抗原の発現は予後不良との関連が高い(N. Engl. J. Med. 327 (1992)、14)。したがって、転移が生じる可能性は腫瘍細胞レセプターのグリコシル化の程度によりもたらされると考えることができる。
EP 0528767 Aには、上皮癌を治療するためのヒト化抗Lewis Y抗体の使用が記載されている。
さらに既知の腫瘍関連炭化水素構造の中に、例えば多くのタイプの上皮癌にますます発現するすべてのそれらLewis抗原がある。その中にLewis x-、Lewis b-、およびLewis y-構造、およびシアリル化Lewis x-構造がある。他の炭化水素抗原には、GloboH-構造、KH1、シアリルTnもしくはTn抗原、TF抗原、α-1,3-ガラクトシルエピトープがある(Elektrophoresis(1999)、20:362;Curr. Pharmaceutical Design(2000)、6:485、Neoplasma(1996),43:285)。
シアリル-LeaまたはジシアリルLeaを発現する腫瘍細胞は細胞付着レセプターを有する内皮細胞と結合することにより転移を形成することができる。この結合は例えばUS 6,121,233に従って、炭化水素構造、例えばシアリル-Leaまたはジシアリル Leaとインキュベーションすることにより防ぐことができる。
同様にEP 0521692によれば、モノシアロシル-Le I、モノシアロシル-Le II、ジシアロシル-Le、およびシアロシル Leの群から選ばれる模倣物(mimic)を投与することにより腫瘍細胞の転移可能性が阻害される。
異なる腫瘍細胞を用いることにより、EGFレセプターも独特な炭化水素構造、すなわち炭化水素-TAA、例えばシアリル化タイプLeX/Yを有することが示された(Cancer Research 47,2531-2536、1987)。
TAAに対する抗体の直接療法への適用は受け身免疫療法に基づき、すなわち、特異抗体が癌患者に適切な量で全身投与され免疫療法的作用を示す。そのような薬剤の生物学的半減期はその構造に依存し、制限される。したがって、該適用を反復する必要がある。しかしながら、異種抗体(例えばネズミモノクローナル抗体、MAB)を用いる場合、これは起こりうる治療効果を無効にし、危険な副作用(アナフィラキシー反応)を生じることがある望ましくない免疫反応をもたらすかもしれない。したがって、そのような免疫療法剤は限られた時間だけ投与することができる。
よりよいトレランスは該抗体の異種構造を減少させ、ヒト構造を導入することにより、例えばキメラまたはヒト化抗体を用いて得られる。特異的ヒト抗体を産生するための方法も開発される。すなわち、ある種の細胞株はヒトモノクローナル抗体を産生することができる。
本発明の目的は、腫瘍細胞の成長または腫瘍細胞の転移可能性を特異的に抑制することにより癌患者の治療法を改良することである。
本発明によればこの目的は特許請求の範囲の対象により達成される。
本発明によれば腫瘍関連グリコシル化に対する抗体に基づく製剤(製剤)は、それぞれ癌患者における腫瘍細胞の成長を減少させ、阻害するための予防的および/または治療的処置用の医薬を製造するのに用いられる。該革新的使用は、具体的には化学療法を受けている患者の治療に関連する。腫瘍特異抗体の腫瘍細胞との結合により腫瘍細胞の崩壊が可能になるだけでなく、グリコシル化表面レセプターを介して生じる腫瘍細胞のすべての機能も抑制される。すなわち、化学療法は革新的使用を組み合わせてはるかに効果的に細胞を攻撃することができる。これは主として化学療法耐性の適応について示唆される。この場合、腫瘍細胞は表面レセプターを介する防御メカニズムを発現している。さらなる適応は播種性腫瘍細胞が攻撃される「微小残存病変(minimal residual disease)」である。
驚くべきことに、異常なグリコシル化を有する腫瘍細胞の表面レセプターはこのグリコシル化に対する抗体により機能的に明確にブロックされ得ることがわかってきた。これはある種の表面レセプター、例えばEGFレセプターファミリーレセプターに関するだけではない(ここで、HER-2/neu(ErbB2)が該ファミリーメンバーの1例である)。実際には、異常なグリコシル化により特徴づけられるすべての腫瘍特異的レセプターが同時にブロックされる。その中には、例えば、EGFレセプターファミリーのすべてのレセプター、CD55(791Tgp72/DAF-崩壊促進因子)レセプター、トランスフェリンレセプター、およびP-糖タンパク質がある。すなわち、腫瘍細胞は異なる作用機序に基づいて攻撃される。
驚くべきことに、異常なグリコシル化に対する抗体は、EGFレセプターファミリーのいくつかのレセプターと機能的に結合し、細胞増殖を含むシグナルカスケードを効果的にブロックすることができることがわかった。具体的には抗体を革新的に用いることによりMAPキナーゼのerk1およびerk2アイソフォームを機能的に結合しうることが示される可能性がある。その結果、該成長因子の該レセプターとの結合はそれぞれ予防または減少した。この処置は、異常な腫瘍関連炭化水素構造は正常細胞のEGFレセプター上にはないためEGFレセプターのタンパク質様細胞外部分に対する抗体を用いる免疫療法に比べてより特異的である。他方、該処置は同じ異常なグリコシル化を有する異なるレセプターを同時にブロックするためより普遍的である。
本発明の使用により、抗炭化水素抗体は初めて免疫療法、およびグリコシル化腫瘍細胞レセプターの阻害、具体的にはEGFまたはヘレグリンによる癌細胞の細胞分裂促進刺激の予防をもたらす。正常細胞の細胞分裂はほとんど妨げられずに進行し、各副作用が避けられるはずである。癌細胞の腫瘍関連グリコシル化を介した抗体の成長因子のレセプターとの特異的結合はその後者と生理学的リガンドとの相互作用をブロックし、これらのレセプターを通したシグナル伝達、すなわち細胞増殖を阻害する。すなわち、これらの抗体は競合的に機能的に有効である。
同時に、そのような抗体は、液性および細胞性免疫系内でのその作用により腫瘍細胞を特異的に攻撃することができる。本発明によりそれぞれEGFレセプターまたはEGFレセプターファミリーのレセプターを発現する腫瘍細胞は特異的に結合し、溶解し得る。該抗体のこれらの機能は、いずれも標準的試験により決定することができる活性であるそのADCCおよびCDC活性(ADCC:抗体依存性細胞性細胞毒性;CDC:補体依存性細胞毒性)により決定される。これらの機能を用いる癌患者の革新的処置は他の競合的結合パートナー、例えばもちろんいかなる抗体活性も持たない従来技術において知られた炭化水素模倣物に対して利点がある。
本発明によれば、その活性物質が競合結合機能と腫瘍細胞溶解機能の両方を有する抗体製剤を用いることができる。しかしながら、本発明のさらなる局面は、MAPキナーゼをブロックするだけで、例えばCDCおよびADCC活性がないかまたは例えば50%以下に低下することによりそれを超えるいかなる溶解活性も生じない修飾抗体または抗体誘導体に基づく製剤に関する。優先的にDCおよびADCC活性がないか低下した本発明の抗体は、Fc部分を含まないか、またはFc配列の部分のみを有する。この製剤は医薬的および/または診断的に用いることができる。たとえ抗体活性が本発明の製剤において低下しても、例えば断片化および/または誘導体化により半減期が増加すれば特によい効果を達成することができる。
考えられる処置対象は、腫瘍細胞、すなわち腫瘍組織、または転移、または具体的には播種性腫瘍細胞の効果的な結合および減少である。それぞれ血液、骨髄、または臓器中に検出可能な腫瘍細胞または微小転移巣の数は有意に減少するはずである。転移の形成は妨害され、その成長は少なくとも遅くなるはずである。すなわち、患者の無再発寿命および全生存時間を特に標的化した免疫療法により長くすることができる。
本発明の使用の範囲内において、具体的には癌患者における腫瘍細胞の成長をそれぞれ減少または阻害するための治療、血液透析も可能である。しかしながら、癌疾患の危険性を有するドナー由来の体液または組織、例えば皮膚または他の臓器も腫瘍関連グリコシル化に対する抗体で予防的にex vivo処置することができよう。汚染した提供物により腫瘍細胞が伝搬する考えられる危険性を最小限にする。
高用量化学療法を受けている癌患者は、しばしば該化学療法実施後に再度自家療法を受ける骨髄のドナーまたは血液由来(hematogenic)幹細胞のドナーである。それはまさに腫瘍細胞で汚染されている可能性がある物質であり、特に本発明の治療に用いられる。高用量療法後、患者は本発明にしたがって汚染物を除去した製剤を受け取ることができる。
化学療法剤を用いる治療または放射線療法のような種々の方法による骨髄細胞または血液細胞のex vivo処置方法は「パージング(purging)」として知られている。これら処置による転移による汚染を避ける試みがなされる(Semin Oncol 1999, 26 (2)、545-51;Hematol Oncol Clin North Am 1993, 7 (3), 687-715)。
本発明は、細胞性免疫複合体を形成し、所望により体液由来の免疫複合体を分離するために腫瘍関連グリコシル化に対する抗体で体液または組織のex vivo処置をもたらす、体液または組織に基づく製剤の製造方法も提供する。得られる製剤はそれぞれ腫瘍内容物を有する危険性が実質的に減少し、転移形成の可能性が低下し、また主としてEGFレセプターファミリーのレセプターの含有量の低下を特徴とする。
本発明により処置する材料は具体的には患者またはドナーの骨髄、血液、血清、または臓器成分由来である。特異的抗体で処置後、所望により適切な免疫複合体が形成され、これは所望によりそれぞれすぐに投与可能な製剤中に材料および特異的抗体を同時に含む。該材料が腫瘍細胞を含むならば、後者は該抗体に認識され、それと結合する。これから、該抗体と腫瘍細胞または腫瘍細胞の細胞成分との細胞性免疫複合体が生じる。この免疫複合体は材料中に残存していてよく、さらに好ましくは該材料から分離される。このために、特に免疫複合体が局在化する固体または液体担体を用いる。処置材料から担体を分離することにより、免疫複合体を分離することができる。特に好ましい態様によれば、該抗体は処置前にすでに固体担体上に固定され、体液または組織のすすぎ液を担体と共にインキュベーションし、処置した液または液体を担体から分離する。
同等の方法も患者由来の試料における転移形成の可能性の革新的決定に適している。本発明によれば転移形成の危険性は、転移形成可能性の尺度として腫瘍細胞の定性的および/または定量的測定により決定される。そうするには、癌患者由来の体液試料を得、これを腫瘍関連グリコシル化に対する抗体と接触させる。これにより潜在的に存在する腫瘍細胞の細胞性免疫複合体が該抗体により形成され、これを定性的および/または定量的に測定する。そのために提供される診断用薬剤は該抗体を細胞性免疫複合体を分離するための担体とともにかまたは細胞性免疫複合体を測定するための標識と共に含む。好ましくは、該抗体は酵素、放射性成分、または他の検出用物質とのコンジュゲーションにより標識される。
本発明によれば、異常なグリコシル化を有する腫瘍細胞、例えばEGFレセプターファミリー由来のレセプターを有する腫瘍細胞またはLewis y-陽性腫瘍細胞を有する患者の処置が可能になる。治療する好ましい癌の種類は、上皮癌、例えば乳癌、胃および腸、前立腺、膵臓、卵巣および肺の癌、および特殊なタイプの白血病である。原発性腫瘍を有する患者は二次腫瘍を有する患者のように処置することができる。
好ましくは癌患者の免疫療法のための革新的処置はそれぞれ腫瘍組織の切除後または化学療法実施後に行う。好ましくは該処置は化学療法後1〜2週間以内に開始する。
本発明によれば、腫瘍細胞の異常なグリコシル化および成長因子に対するそのレセプターに対する一次抗体を用いる。好ましい抗体は、1またはいくつかのLewis抗原構造、例えばLewis x-、Lewis b-、およびLewis y-構造、所望によりそれらのシアリル化形ならびにGloboH、KH1、Tn抗原、シアリルTn、TF抗原およびα-1,3-ガラクトシル-エピトープ、およびシアリル Leaまたはジシアリル Lea、モノシアロシル-Le I、モノシアロシル-Le II、ジシアロシル-Leおよびシアロシル Leに特異的な抗体の群から選ばれる。
用語「抗体」により、すべてのタイプの抗体は、具体的には単特異的または多特異的モノクローナル抗体、または化学的、生化学的、または分子生物学的に製造した抗体であると理解されよう。
本明細書の医薬はおそらく細胞株、生物、または患者から単離された天然抗体を含んでよいが、異常なグリコシル化と特異的に結合することができる抗体誘導体を用いることが多い。好ましくは、抗体誘導体は抗体断片、コンジュゲートまたは相同物、および複合体および吸着物の群から選ばれる。さらに好ましくは、抗体誘導体はFab断片の少なくとも部分、例えばF(ab')2断片の少なくとも部分および/またはラムダまたはカッパ抗体のFc部分および/またはヒンジ領域の部分と共に含む。さらに、単鎖抗体誘導体、例えばいわゆる単鎖抗体も本発明により定義されたワクチンに用いることができる。好ましくはIgG、IgM、またはIgAのような免疫グロブリンのタイプの抗体を用いる。
本発明の処置は腫瘍細胞を特異的に標的とする。したがって、非特異的相互作用による副作用は予期されない。したがって、革新的に用いる活性物質がたとえ例えばネズミ抗体のような非ヒト種から誘導されていても不比例的反応を生じるはずである。しかしながら、組換え、キメラならびにヒト成分と結合した抗体、ヒト化、またはヒト抗体はヒトへの投与に特によく許容されると推測される。
該抗体の、EGFレセプターファミリーの少なくとも1つ、またはEGFレセプターファミリー由来のそれ以上またはすべてのレセプター、または癌細胞の他のグリコシル化レセプターとの結合は、通常それぞれ高親和性または高結合力で生じる。それぞれ成長因子またはリガンドの該レセプターとの結合は予防的処置を阻害または低下させるだけではない。成長因子またはリガンドはそれぞれそれらのレセプターにより表現されることもできる。したがって、腫瘍増殖および癌転移の治療的処置が好ましい。抗体の好ましい親和性は、Kd値10-6mol/l以下、好ましくは10-7mol/l以下、最も好ましくは10-8mol/lまたはそれ以下である。
選択した抗体は、好ましくは該抗体に対する結合部位がそれぞれ成長因子またはリガンドに対する結合部位に等しいかまたはそれと重複するか、またはその近傍にあるように成長因子または他のリガンドの腫瘍細胞との結合に干渉する。
腫瘍細胞のグリコシル化レセプターすべてを結合するために、患者あたり通常少なくとも50mg、好ましくは少なくとも100mg、最も好ましくは少なくとも200mgの高用量を投与する。最高用量は抗体、ヒト化抗体、およびヒト抗体がそれぞれ最良に許容される許容性に依存するであろう。患者および処置あたり1gまでまたは場合により2gまでの用量がきわめて好都合かもしれない。好ましくは該処置は用いる抗体の半減期にしたがって一定の時間間隔で反復され、これは通常3〜30日間の範囲である。特に抗体を誘導体化することにより半減期を数ヶ月まで増大することにより処置間隔を長くすることが可能である。
好ましくは本発明に用いる医薬は適切な製剤で提供される。医薬的に許容される担体を含むそのような製剤が好ましい。後者は例えば助剤、緩衝剤、塩、および保存料を含む。好ましくは即時注入用溶液を提供する。抗体は比較的安定であるから、抗体またはその誘導体に基づく医薬は、保存安定溶液剤としてまたはready-to-use(即使用可能)形の製剤として市場に売り出すことができるという実質的な利点を有する。好ましくは前者は製剤中室温までの温度で冷蔵庫中で保存安定性である。しかしながら、本発明にしたがって用いる医薬は必要事に解凍または再構成することができる凍結または凍結乾燥形で提供することもできよう。
医薬の活性物質の濃度はその許容性(tolerability)に依存するだろう。ヒト化抗体に基づく特によく許容される製剤はさらに希釈することなく高濃度で患者に直接投与することができる。0.1%〜10%、好ましくは1%〜5%の範囲の好ましい濃度により、投与容量および対応する注入時間を低く保つことが可能である。
通常、該医薬はi.v.投与されるだろう。しかしながら、同様に、活性物質を全身または腫瘍または転移の部位に局所適用する他の非経口的また粘膜投与法も選ぶことができる。
以下の実施例および図面により本発明をより詳細に限定することなく説明する。
図1は、SKBR-3細胞におけるEGF-およびヘレグリン-依存性MAPKリン酸化のIGN311、抗ErbB1 2C225およびトランスツズマブ(Herceptin)による阻害を示す。静止細胞を100nM IGN311(IGN)、100nM トランスツズマブ(T)、30nM 2C225(A)の存在下または非存在下でインキュベートした。次に、該細胞を1nM EGF(E)、ヘレグリン(H)と5分間インキュベーションし、MAPKリン酸化の程度を「材料と方法」に記載のphospho-erkを特異的に認識する抗血清を用いるイムノブロッティングにより測定した。
図2は、MAPキナーゼ刺激のIGN311誘導阻害の熱不安定性を示す(IGN311は熱変性(95℃、10minで不活化した)。成長を停止したSKBR3細胞をIGN311(IGNで示すレーン)または熱変性IGN311(IGN*で示すレーン)または抗EGFレセプター抗体(Aで示すレーン)と15分間プレインキュベーションした。次に、該細胞をEGFで刺激した(Eで示すレーン)。レーンUはブランク値(=非刺激細胞)に対応する。
図3は、ツニカマイシン処置(TM)およびコントロールSKBR-3細胞からのerbB2のIGN311およびABL364による免疫沈降を示す。データは、タンパク質がグリコシル化され、修飾Lewis y抗原が該分子の表面上に局在しているときにのみ本発明の抗体の結合が生じることを示す。
図4は、ABL364、IGN311、またはヘルセプチン存在下のSKBR-3細胞へのEGF刺激[3H]チミジン取り込みを示す。成長因子のそれらのレセプターとの結合は本発明の抗体によりブロックされ、さらに腫瘍細胞の成長、およびその分裂能力は少なくとも低下または完全にブロックされる。
図5、パネルA:IGN311およびABL364によるA431-およびSKBR-3細胞のErbBlおよびErbB2の免疫沈降。コンフルエントA431-およびSKBR-3細胞を1μg/ml ツニカマイシン(Tm)の存在下(+)または非存在下(-)で24時間インキュベーションした。細胞溶解物を調製し、LeY-修飾タンパク質を記載のごとくIGN311またはABL364を加えて免疫沈降させた。免疫沈降物の部分標本(30%)をSDS-ポリアクリルアミドゲルにロードした。イムノブロッティングをErbB1(A431細胞溶解物、上段ブロット)およびErbB2(SKBR-3、下段ブロット)認識抗体を用いて行った。データは2回再現した典型的試験のものである。パネルB:ABL364、IGN311またはトランスツズマブの存在下または非存在下での[125I]EGFの完全SKBR-3細胞に対する結合。SKBR-3細胞を、4℃で60分間(内在化を防ぐために)10nM 2C225、100nM ABL364、100nM IGN311または100nMトランスツズマブの存在下または非存在下で1nM[125I]EGFを含む培地中でインキュベーションした。結合反応を終了し、表面に結合し、内在化した[125I]EGFを「材料および方法」に記載のごとく測定した。
図6、パネルA:EGF ABL364、IGN311、および抗EGFレセプター抗体 2C225存在下または非存在下におけるEGFによるMAPKリン酸化の濃度依存性刺激。静止SKBR-3をビークル((上段ブロット)または100nM mABL364、100nM IGN311、または30nM 2C225(下段ブロット)存在下でプレインキュベーションし、次いでEGF濃度を増加させながら刺激した。パネルBおよびC:MAPK(B,C)のEGF-またはヘレグリン-誘導刺激のABL364、IGN311およびトランスツズマブによる濃度依存性阻害。パネルB:静止SKBR-3細胞を増加する濃度のABL364またはトランスツズマブの存在下でインキュベーションした。次いで、細胞を1.6nM EGFで刺激した。パネルC:静止A431細胞を増加する濃度のmABL364またはIGN311の存在下でインキュベーションし、次いで1nM EGFで刺激した。MAPKリン酸化の程度を「材料および方法」に記載のごとく測定した。
材料および方法
材料 A431およびSKBR-3細胞株はATCC(Manassas、VA)から得た。[125I]EGFはPerkin Elmer Life Science NEN(Boston、MA)から得た。EGFはOncogene Research Products(San Diego,CA)から得た。ヘレグリンβ-1および抗EGF-レセプター抗体(Ab-2、clone 225)はNeoMarkers(Fremont、CA)から得た。抗Lewis抗体 ABL364はNovartis(CH)から得、そのヒト化バージョンIGN311(10)はGMP条件下でBioInvent(Lund S)によりIgeneonのために製造された。トランスツズマブ(Herceptin(登録商標);)はRoche(CH)から得た。erk1およびerk2の脱リン酸化配列に対する抗体およびErbB1およびErbB2認識抗体はCell Signaling Technologies Inc.(Beverly、MA、USA)から得た。SuperFect(登録商標)ポリカチオン性トランスフェクション試薬およびプラスミド調製キットはQiagen(Hilden、FRG)から得た。erk1/erk2のカルボキシ末端を認識する抗体はSanta Cruz(Santa Cruz、CA)から得た。蛍光画像化はPhotometrics、Roper Scientific(Tucson、AZ)のCoolSNAP fx冷却CCDカメラを取り付けたZeiss Axiovert 200M倒立エピフルオレッセンス顕微鏡を用いて行った。蛍光フィルターセットはChroma Technology Corp.(Brattleboro、VT)から得た。蛍光画像ソフトウェアはMetaSeriesソフトウェア(Universal Imaging Corp.(Downington、PA))である。CFP標識H-Rasを生成するため、h-ras cDNA(pCDNA3中)をKpn IおよびApa Iを用いてpECFP-Cl(Clontech、Palo Alto、CA)中にサブクローンした。H-RasをコードするプラスミドはMartina Schmidtの好意により得、使用した他のプラスミドおよび試薬の供給源は別に記載する(12)。
細胞培養 SKBR-3およびA431細胞はそれぞれ10% FCS、抗体およびグルタミンを含むMcCoy改良(modified)培地およびDulbecco改良培地(DMEM)中で培養した。
MAPKアッセイの刺激、免疫沈降、およびイムノブロッティング
24時間後、細胞がプラスミドDNAでトランスフェクトされたら、細胞層(70〜90%コンフルエント)を12時間血清飢餓(欠乏、starvation)させて静止させた。次に細胞をアゴニストを含むかまたは含まない培地を加えて37℃で5分間維持することにより刺激し、MAPKアッセイでアゴニストで刺激する15分前に抗体を加えた。アゴニストまたはビークルへの曝露を氷冷リン酸緩衝生理食塩水で急速にリンスして終了させ、次いで該皿をすぐに液体窒素に浸漬した。急速解凍後、J. Bio. Chem. (2002)、277, 32490-32497に記載の溶解用緩衝液80μlを加えて溶解した。細胞デブリスを10,000xgで10分間遠心して除去した。10〜30μgタンパク質に相当する上清の部分標本をLaemmli試料用緩衝液に溶解し、SDS-ポリアクリルアミドゲルに適用した。イムノブロッティングはJ. Bio. Chem. (2002)、277、32490-32497に記載のごとく実施した。HA-GFP標識MAPKの免疫沈降には、プロテインG-セファロースに予めカップリングさせた抗HA抗体16B12を用いた。
ErbBの免疫沈降用の細胞溶解物の調製
細胞溶解物を異なる溶解用緩衝液(単位mM:20 Tris、150 NaCl、1 EDTA、1 EGTA、1 Na3VO4、40 β-グリセロホスフェート、1 PMSF、10 NaF(HClでpH7.5に調整);1% triton(トリトン)X-100、250U/mlアプロチニン、40μg/μlロイペプチン)中でMAPKアッセイについて記載したのと同様の方法で製造した。免疫沈降では細胞溶解物(500μg)をプロテインG-セファロースと予めカップリングしたABL364またはIGN311とインキュベーションした(個々の試料あたりそれぞれ20μg)。ErbB-レセプターに対するイムノブロッティングは適切な抗体を用い記載のごとく行った。
完全細胞に対する[ 125 I]EGF結合、内在化アッセイ
細胞を0.1% FCSおよび10mM Hepes. NaOH、pH 7.5(5*105〜106細胞/アッセイ)を含む培養液に再浮遊させた。次に、適切な抗体を加え、15分間後に1nM[125I]EGF(特異的活性 900cpm/fmol)を加えて反応を開始した。実験的アプローチは参考文献(13)に記載のアッセイに基づく。簡単には、内在化を防ぐために、反応物を4℃でインキュベーションした。[125I]EGFが平衡に達した(すなわち60分間)後、反応物を個々の試料に分割し、これを37℃で示した時間インキュベーションした。細胞を500xgで5分間、氷冷FCSを通して急速に沈殿させ内在化を止めた。次に、細胞ペレットを酸性ストリッピング緩衝液(150mM酢酸、pH 2.7、150mM NaCl)に再浮遊させ、氷上で10分間インキュベーションした。500xgで5分間遠心した後、酸ストリッピングにより上清中に放出された放射性リガンドを細胞表面関連リガンドと定義し、酸性ストリップ後に細胞内に残存した放射能を内在化リガンドと定義した。細胞ペレットを0.1% SDS含有100mM NaOH溶液に可溶化し、放射能をカウントした。完全細胞に対する[125I]EGFの結合のみを測定したら、細胞を4℃で60分間維持し、細胞を氷冷FCSで500xg、5分間沈殿させて反応を止めた。
[ 125 I]EGF再利用アッセイ
細胞、結合用緩衝液、および[125I]EGFの濃度の調製は上記と同じであった。結合反応を37℃で60分間行い、内在化させた。次に、細胞を500xgで5分間、氷冷FCSを通して2回沈殿させ非結合[125I]EGFを除去した。細胞ペレットを個々の抗体の存在下または非存在下で[125I]EGF不含結合用緩衝液に再浮遊し、個々の試料に分割し、次いで示した時間37℃でインキュベーションした。ErbBsの再利用(recycling)を細胞を500xgで5分間、氷冷FCSを通して急速に沈殿させて止めた。上清中に存在する放射性リガンドは再利用された[125I]EGFを示した。次いで酸性ストリップおよびさらなる工程を上記のごとく行った。
蛍光顕微鏡検査−SKBR-3細胞におけるCFP標識Rasおよびオレゴングリーン修飾EGFの画像化
SKBR-3細胞をポリ-D-リジンコートしたガラスカバースリップ上に播いた。24時間後、細胞を飢餓条件下に12時間維持した。CFP-Rasが可視化したら、細胞を1nM EGFで37℃15分間処理した。オレゴングリーン修飾EGFを画像化するため、必要であれば培地を100nM ABL364またはIGN311を含むか含まないPBSに交換して37℃で15分間インキュベーション後、20nMオレゴングリーン修飾EGFを加えた。次に、細胞を37℃で15分間維持し、非結合蛍光EGFをPBSで3回洗浄して除去した。500nmで励起し、535nmの放射を記録するフィルターセットを用い63x油浸対物レンズで画像化した。CCDカメラで写真をとり、デジタルの形で保存し、MetaSeriesソフトウェアで処理した(リリース4.6;MetaFluor and MetaMorph;Universal Imaging Corp.、Downington;PA)。
実施例I:ヒト抗Lewis Y-抗体 IGN311による成長因子介在刺激の阻害
IGN311はEGF依存性MAPKリン酸化を低下させる
ErbB-レセプターは、Cell(1990)、61,203-212に記載のMAPKの刺激をもたらすシグナリングカスケードを調節する。MAPKの活性化は上流キナーゼMek1による二重リン酸化(トレオニンおよびチロシン残基)を介して達成される。これは二重にリン酸化されたMAPKに対する特異的な抗血清を用いることによりモニターすることができる。SKBR-3細胞を血清飢餓により静止させ、血清非存在下で維持した。これら条件下で、MAPKを非常に緩やかな程度にのみリン酸化した(図1および2、レーン「U」)。細胞をIGN311、トランスツズマブ(Herceptin)および抗ErbBl抗体2C225の非存在下および存在下(図1、レーン標識:IGN、TおよびA、各下段の列)でEGF(図1、レーン標識:「E」)またはヘレグリン(図1、レーン標識:「H」)により5分間刺激した。EGFおよびヘレグリンの添加はMAPKリン酸化を増大した(図1、各レーン標識:「E」および「H」)。IGN311はEGFおよびヘレグリン両方に対する反応を低下させ、これはトランスツズマブおよび2C225抗体にも当てはまった。すなわち、ErbBl特異的抗体はErbB3特異的リガンドヘレグリンに対する反応を妨げることができる。同様に、トランスツズマブはヘレグリンおよびEGF(ErbBl特異的アゴニスト)に反応してシグナリングを阻害した。これら知見はSKBR-3-細胞におけるアゴニスト刺激はErbB-レセプターのヘテロメリック複合体の形成を誘導することを示唆する。さらに、これらデータはヒト化抗LeY-抗体IGN311がErbB-ファミリーメンバーを介したシグナリングを阻害することができることを強く示唆する。
IGN311の作用が特異的であることを証明するため、該抗体を熱変性させ、煮沸したIGN311(図2のIGN*で示す)を加えるとEGFの刺激効果を鈍らせなかった(図2のレーンE+IGNおよびE+IGN*参照)。さらなるコントロールはホルボールエステルB-ホルボール12,13-ジブチレートで刺激したSKBR-3-細胞からなった(図2、レーン標識:P)。ホルボールエステル刺激細胞において活性または煮沸IGN311の存在下のMAPKリン酸化はみられなかった。ホルボールエステルは、上流キナーゼ(おそらくRaf-1)に対する作用によりMAPKリン酸化も刺激するプロテインキナーゼCアイソフォームを活性化する。ホルボールエステルは細胞内作用部位を有するため、IGN311は活性または不活性(熱変性)形で加えるかどうかに関わらずホルボールエステルによる刺激に影響を与えると予測されない。これらをもとに、これら結果はIGN311の作用が特異的であることを証明するだけでなく、(細胞内作用部位、例えばMek1を介したMAPK活性化と干渉することにより作用するかもしれない)低分子量の夾雑物の存在も除外する。
実施例II:IGN 311およびABL364(ネズミ前駆体抗Lewis Y-抗体)によるEGF-レセプター依存性シグナリングの阻害
グリコシル化および脱グリコシル化erbB2のIGN311およびABL364による免疫沈降
抗生物質ツニカマイシンはドリコールリン酸結合オリゴ糖前駆体の合成を阻害し、小胞体のN結合グリコシル化を阻害する。コアグリコシル化の非存在下で、Lewis-Y抗原(ジフコシル-ラクトサミン-グリコシド部分)を側鎖として加えることはできない。しかしながら、N結合グリコシル化は共翻訳性(cotranslational)であるが、多くの場合、脱グリコシル化完全長タンパク質は依然合成され、これはerbB-ファミリーメンバーについても示された(Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.、1993、90、2900-2904)。すなわち、ツニカマイシンはIGN311およびABL364のerbB-ファミリーメンバーを認識する能力を観察するのに用いた。豊富な量のerbB2を発現するSKBR3-細胞をツニカマイシンで24時間処理した。この処理はerbB2の移動性を変化させたが(図3、右側レーン標識:溶解物)タンパク質量の減少は生じなかった(図3、右から2番目のレーンおよび右側レーン参照)。界面活性剤溶解物はツニカマイシン処置および非処置コントロール細胞から生じ、ABL364(図3、最初の2レーン標識:ABL364)またはIGN311(図3、レーン3&4標識:IGN311)による免疫沈降のためのインプットとして用いた。免疫沈降したerbB2の量はerbB2のブロッティングにより評価した。ツニカマイシンによる前処置はerbB2を免疫沈降させる抗体の能力を大きく低下させた。これは、該タンパク質がグリコシル化され、ジフコシル-ラクトサミン-グリコシド部分に対する抗体の既知の特異性に基づいて推定することによりLewis-y抗原により修飾されるならば、IGN311およびABL364がerbB2のみを認識することを示す。
[ 3 H]チミジン取り込みの阻害
成長コントロールに対する抗体介在MAPキナーゼ阻害の関連性を評価するため、SKBR3-細胞を、EGFおよびABL364、IGN311またはヘルセプチンの存在下または非存在下で細胞周期の長さ維持した。図4は、ABL364、IGN311、またはヘルセプチン存在下でのSKBR-3細胞のEGF刺激[3H]チミジン取り込みの結果を示す。SKBR-3細胞を1nM EGFを欠く(コントロール)かまたは含む5% FCS中で20時間インキュベーションした。ABL364、IGN311、またはヘルセプチン(各100nM)を1nM EGF存在下または非存在下で20時間インキュベーションした。次に、[3H]チミジン(1μCi/ml)を培地に加えた。4時間後、該細胞を-80℃で凍結した。ろ過を「材料および方法」に示すように行った。本発明の抗体の存在下でのチミジンの取り込みが減少することが明確に示され、これは腫瘍細胞の増殖速度が阻害されたことを示唆する。EGF誘導刺激は抗体によりブロックされた。該3抗体は基礎値(すなわち、FCS依存性[3H]チミジン取り込み)に対する穏やかな効果を有し、30%の最大阻害がヘルセプチンで観察された。反対に、EGF誘導刺激は該3抗体によりブロックされた。これらデータは本発明の抗体の結合が該タンパク質がグリコシル化し、表面のLewis y抗原を修飾した時のみに生じることを示す。
IGN311およびABL364は[ 125 I]EGFの完全細胞に対する結合を阻害しない
IGN311およびABL364の(LeY修飾)ErbBlに対する結合がその同種リガンドの相互作用と干渉するか否かを試験するため、完全SKBR-3細胞に対する[125I]EGFの結合を測定した。図5Bでわかるように、ABL364およびIGN311はいずれも[125I]EGFの完全SKBR-3細胞に対する結合を低下させなかった(黒バー、酸性洗浄)。同じことがトランスツズマブ(ヘルセプチン)にも当てはまった。これはトランスツズマブが原形質膜の周辺のErbB2のドメインと結合するので(Nature(2003)、421,756-760)予想されたことであった。結合反応を4℃で進行させエンドサイトーシスの機序を阻害することができた。したがって、内在化[125I]EGFの量(白バー、酸耐性)はごくわずかであった。SKBR-3およびA431細胞の膜製剤を[l25I]EGF結合アッセイに用いると、IGN311、ABL364およびトランスツズマブいずれも[125I]EGF結合を減少させなかった(データ示さず)。そのErbB1のEGF結合ドメインと結合する能力に一致して、抗ErbB1抗体2C225は[125I]EGFの細胞(右側黒バー)およびA431およびSKBR-3膜(示さず)に対する結合を実質的に低下させる。[125I]EGFの濃度は〜1nM、すなわち、IGN311およびトランスツズマブがEGFに対する反応を鈍らせたMAPKアッセイに用いたEGF濃度の範囲内であったことは指摘する価値がある(以下参照)。
IGN311およびABL364は非競合的にEGF依存性MAPK刺激と拮抗する
ABL364およびIGN311は[125I]EGF結合と競合しなかった(図5B参照)。それにも関わらず、これら抗体はEGF依存性MAPK刺激を阻害し、該抗体の作用は非競合的阻害によるべきである。この解釈を証明するため、EGFの濃度依存性効果を適切な抗体の存在下および非存在下で検討した。ABL364およびIGN311は主にEGFの最大効果を低下させた(図6A、中段および下段ブロット)。これはEGF刺激MAPKリン酸化の非競合阻害を示す。抗EGF-レセプター抗体2C225はEGFのErbB1に対する結合を抑制し(図5Aも参照)、この抗体の作用メカニズムはよく理解されているので基準として用いた。抗体2C225の添加はMAPKリン酸化のEGF誘導刺激に対する濃度反応曲線を右に移動させ、最大効果は用いたEGFの最高濃度で達しなかった(図6A、上段)。図6Bにおいて、細胞を固定濃度のEGFで刺激し、ABL364(図6B、左)およびトランスツズマブ(図6B、右)の濃度を変化させた。ABL364がヘレグリン-およびEGF-誘導MAPKリン酸化を低ナノモル範囲で、その同種エピトープに対する高親和性に一致して阻害したことが明らかである(図6B、左)。しかしながら、>1μMの濃度で阻害作用は失われ、実際に刺激はEGFまたはヘレグリンの単独添加により誘発される以上であった。細胞をABL364の単独添加によってのみチャレンジすると(図6Bの上段のブロット)、該抗体自体は1μMと等しいかまたはそれ以上の濃度で反応を誘導することができた。これはABL364がIgG3アイソタイプであり、凝集傾向があり、高濃度でABL364はErbB-レセプターと架橋し、活性状態に有利であることによるかもしれない。反対に、IGN311は非常に高濃度でも刺激を生じず(5μMまで、示さず)、これはIGN311がIgGlアイソタイプであることに関連があるかもしれない。トランスツズマブは有用な比較物の役割を果たし、その作用メカニズムはABL364およびIGN311のそれと異なり、トランスツズマブは特異的にErbB2を標的にし、EGFの結合をブロックしない(上記も参照)。トランスツズマブはABL364のそれより確実には低くない濃度範囲でEGFによるMAPキナーゼ刺激をブロックした。実際に、10nMで2抗体による阻害の程度はかなり似ていた(図6B左および右参照)。ABL364およびIGN311のその同種エピトープに対する親和性に大きな差はなかった(Cancer Res(1996)、56,1118-1125)。すなわち、その阻害作用がLeY抗原-修飾成長因子レセプターとの結合と関連があれば、MAPK刺激の最大半減阻害(half-maximum inhibition)は同様の濃度範囲にわたり生じるべきである。これは両抗体についてIC50が3〜10nMの範囲内にあると推定された例であった(図6C)。図6Cに示す実験がA431細胞を用いて行われたことにも注目する価値がある(ErbB1が過剰発現し、主要なErbBアアイソフォームであることを示す)。すなわち、ABL364およびIGN311の作用は乳癌細胞に制限されない。
IGN311およびABL364はEGF-レセプターの再利用動態を変化させる
多くの場合で、MAPKのレセプター依存性刺激はアゴニスト結合レセプターのエンドサイトーシスに依存し、この反応はGTPアーゼダイナミンを必要とする。本発明者らは、エンドサイトーシスがSKBR-3細胞を野生型ダイナミンまたはダイナミン(ダイナミンK44A)の優性阻害バージョン(GTPアーゼ欠損)およびエピトープ標識レポーターMAPKで同時トランスフェクションすることによりMAPKの刺激に重要であったことを示した。細胞が優性阻害ダイナミンK44Aを発現するとEGFはレポーターMAPKを刺激することができなかったが野生型ダイナミンを発現する細胞において蛍光顕微鏡検査で強力な刺激がみられた。内部コントロール(細胞生存性およびローディングのための)として、本発明者らは内在性MAPKのEGF刺激リン酸化を測定した。該反応は野生型または突然変異ダイナミンをコードするプラスミドに暴露した細胞から調製した溶解物において差がなく、これはSKBR-3細胞(〜5%)における低トランスフェクション効率によると予想された。
該実験は、ダイナミン依存性エンドサイトーシスがSKBR-3細胞におけるMAPK刺激の必須条件であることを示した。これはさらにH-Rasの蛍光標識バージョン(CFP-Ras = アミノ末端をシアン蛍光タンパク質で標識したH-Ras)を用いて確認され、EGFは蛍光が原形質膜で消失し、点状細胞内染色が蓄積するようにCFP-Rasの再分布を誘導した。すなわち、抗LeY抗体はEGF-レセプターの細胞内経路(ルーティング)に影響を与えるのでMAPKに対する阻害作用を示すことが考えられる。これは抗LeY抗体の存在下または非存在下での内在化および再利用の速度を測定することにより取り組まれた。SKBR-3細胞を[125I]EGFと4℃でインキュベーションした。非結合リガンドを除去し、試料を37℃に温めて内在化を開始した。本発明者らは、表面結合(すなわち酸放出)放射性リガンドおよび内在化(すなわち、酸耐性)放射性リガンド結合における時間依存性変化を測定した。表面結合リガンドは急速なモノエクスポーネンシャル(monoexponential)減衰(kit=0.39±0.07min-1)で消失し、これは内在化レセプターの出現について測定された速度とかなり似ていた(=0.24±0.06min-1)が、該モノクローナル抗体はこれら速度の一定の変化を生じなかった(データ示さず)。したがって、本発明者らは37℃でプレインキュベーション中にSKBR-3-細胞の[125I]EGF内在化を可能にすることにより再利用を特徴づけた。次に、非結合リガンドを除去し、細胞を4℃に保った。次に、内在化[125I]EGFが37℃の新鮮培地中で表面に再利用させることができた。本発明者らは、細胞表面へのレセプターの再利用を示す、培地中の[125I]EGFの再出現の時間経過を測定した。ABL364およびIGN311はコントロール条件に比べて容易に交換するプールの増加を生じた。定常状態条件で予想されたように(図5Bも参照)、[125I]EGFの膜結合分画(すなわち、酸感受性分画)は一定のままであり、ABL364処置細胞およびコントロール細胞に匹敵した。データは、ABL364およびIGN311の存在下でEGF-レセプターを含むエンドソームはより急速な再利用を可能にするコンパートメント内にシフトすることを示唆する。このシフトを可視化するため、本発明者らは蛍光EGFの分布パターンを試験した。カバースリップ上に増殖したSKBR-3細胞をABL364、IGN311の存在下または非存在下で20nMオレゴングリーン標識EGFとインキュベーションした。蛍光顕微鏡検査においてABL364およびIGN311の存在下における蛍光EGFの分布パターンがコントロール条件下のそれと異なることが示された。コントロール条件下において蛍光は分散点状パターンを示すが、ABL364およびIGN311の存在下では蛍光EGFはサブメンブランコンパートメントに密集した。本発明者らはこの蛍光染色が特に酸ストリップの効果の測定により細胞内であることを示した。この操作はIGN311およびABL364のいずれの存在下における染色パターンにも影響しなかった(データ示さず)。最後に、さらなるコントロールとして、細胞をトランスツズマブとインキュベーションすると蛍光EGFの分布パターンは変化しなかった。これは内在化(示さず)および再利用動態のいずれもトランスツズマブの添加により変化しなかった観察結果と適合する。
SKBR-3細胞におけるEGF-およびヘレグリン-依存性MAPKリン酸化のIGN311、抗ErbB1 2C225およびトランスツズマブ(Herceptin)による阻害を示す。 MAPキナーゼ刺激のIGN311誘導阻害の熱不安定性を示す。 ツニカマイシン処置(TM)およびコントロールSKBR-3細胞からのerbB2のIGN311およびABL364による免疫沈降を示す。 ABL364、IGN311、またはヘルセプチン存在下のSKBR-3細胞へのEGF刺激[3H]チミジン取り込みを示す。 A:IGN311およびABL364によるA431-およびSKBR-3細胞のErbBlおよびErbB2の免疫沈降を示し、B:ABL364、IGN311またはトランスツズマブの存在下または非存在下での[125I]EGFの完全SKBR-3細胞に対する結合を示す。 EGF ABL364、IGN311、および抗EGFレセプター抗体 2C225存在下または非存在下におけるEGFによるMAPKリン酸化の濃度依存性刺激を示す。 MAPK(B,C)のEGF-またはヘレグリン-誘導刺激のABL364、IGN311およびトランスツズマブによる濃度依存性阻害を示す。 MAPK(B,C)のEGF-またはヘレグリン-誘導刺激のABL364、IGN311およびトランスツズマブによる濃度依存性阻害を示す。

Claims (24)

  1. 癌患者における腫瘍細胞の成長をそれぞれ減少または阻害するための予防および/または治療的処置用の医薬を製造するための腫瘍関連グリコシル化に対する抗体に基づく製剤の使用。
  2. 化学療法と組み合わせて患者を治療するための請求項1記載の使用。
  3. 化学療法耐性を治療するための請求項1記載の使用。
  4. 「微小残存病変」を治療するための請求項1記載の使用。
  5. グリコシル化腫瘍細胞レセプターを阻害するための請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  6. 上皮成長因子(EGF)および/またはヘレグリンによる腫瘍細胞の細胞分裂促進刺激を阻害するための請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  7. EGFレセプターのファミリー由来のレセプターを発現する腫瘍細胞を崩壊させるための請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
  8. 抗体がLewis(ルイス)抗原に対するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
  9. Lewis x-、Lewis b-およびLewis-y-構造ならびにシアリル-Tn、Tn抗原、GloboH、KH1、TF抗原、およびα-1,3-ガラクトシルエピトープのような異常なグリコシル化に対する抗体を用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
  10. 該抗体がモノクローナル抗体、具体的にはヒト、ヒト化、キメラ、またはネズミ抗体であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
  11. 解離定数がKd値10-6mol/l以下、好ましくは10-7mol/l以下、最も好ましくは10-8mol/lまたはそれ以下のEGFレセプターとの結合親和性を有する抗体を使用することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
  12. 該抗体を患者あたり少なくとも50mg、好ましくは少なくとも100mg、最も好ましくは少なくとも200mg、2gまでの用量で使用することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
  13. 抗体誘導体が抗体の少なくともFab部分を含み、腫瘍関連グリコシル化と結合することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
  14. 患者がEGFレセプターのファミリー由来のレセプターを発現する腫瘍細胞を有する癌に罹患していることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の使用。
  15. 癌患者を治療するための0.1〜10%、好ましくは1〜5%の範囲の濃度の腫瘍関連グリコシル化に対する抗体を含む医薬製剤。
  16. 腫瘍関連グリコシル化と結合する、天然抗体の50%以下のCDCおよびADCC活性を有する抗体の少なくともFab部分を含む抗体誘導体に基づく医薬および/または診断用途の製剤。
  17. 癌患者由来の体液または組織、具体的には骨髄、血液、血清、または臓器成分がex vivoで処理されることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
  18. 癌患者が高用量化学療法の枠内で治療されることを特徴とする請求項17記載の方法。
  19. 各体液または組織が癌疾患の危険性を有する患者由来であることを特徴とする請求項17記載の方法。
  20. 体液または組織を腫瘍関連グリコシル化に対する抗体でex vivo処理することにより細胞性免疫複合体を形成させ、所望により免疫複合体を分離することにより体液または組織、具体的には骨髄、血液、血清、または臓器成分に基づく製剤の製造方法。
  21. EGF-レセプターファミリー由来のレセプターの含有量が減少した請求項19記載の方法により得ることができる製剤。
  22. 癌患者由来の体液試料を得、
    該試料を腫瘍関連グリコシル化に対する抗体と接触させて存在する可能性がある腫瘍細胞と該抗体の細胞性免疫複合体を形成させ、
    転移形成の可能性の指標として体液中の免疫複合体を定性的および/または定量的に測定することにより癌患者の転移形成の危険性を測定する方法。
  23. 腫瘍関連グリコシル化に対する抗体を担体と共に含む、細胞性免疫複合体を分離するための診断用薬剤。
  24. 腫瘍関連グリコシル化に対する抗体を標識と共に含む、細胞性免疫複合体を測定するための診断用薬剤。
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