JP2006508316A - 油圧操作クラッチの油圧回路の機能信頼度を高めるための装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 蓄圧器と、一次ピストン、二次ピストン及び調整室を具備するレリーズシリンダとを備えた油圧クラッチの油圧回路の機能信頼度を高めるための公知の装置をさらに改良して、停車時及び駐車ブレーキの解除時にクラッチの意図せぬ切断が回避されるようにする。
【解決手段】 そのために、本発明に基づき圧力監視・供給装置（２８）を使用する。圧力監視・供給装置（２８）は基準作動圧力を決定し、システムの故障の場合にクラッチディスクの相互の押圧力が車を停止しておくのになお十分であるような二次ピストン（１６）の移動だけを許す静圧を確定する。

Description

本発明は請求項１又は請求項７の上位概念に基づく油圧操作クラッチの油圧回路の機能信頼度を高めるための装置に関する。

油圧操作クラッチの油圧回路の機能信頼度の向上は、一般にクラッチのそれぞれの操作状態を維持し、各操作状態の間に再現性のある、かつ当該の車両の運転者にとって扱いやすい所定の過渡挙動を得ることを目標とする。

これらの要件を満たすために、運転者が締結及び切断操作をそれぞれの状況に的確に適応させることができるように、クラッチペダルに十分に反応する増圧器が先行技術により周知である。この場合クラッチの寿命期間中に一様な応答挙動を保証するために、遊び及び摩耗の補償を実現することが極めて重要である。

自動的摩耗補償が実現されたレリーズシリンダが先行技術により周知である。このような場合レリーズシリンダは２つのピストンを有し、これらのピストンの軸方向間隔はピストンの間にある液体の容積によって決まり、クラッチの摩耗状態に応じて容積の調整が行われる。

ところが停車時に作動弁が密閉せず、作動油が調整穴を経て一次ピストンと二次ピストンの間の間隙に流入し、容積の増加により二次ピストンを移動させるため、クラッチのゆるやかな切断を確実になくすことができず、このため駐車ブレーキを解除した時に車両が不意に動き出す危険がある。

自動車用油圧クラッチ操作装置のための空気式増圧器がドイツ特許第１９７１７４８６号明細書に記載されている。油圧作動室の増圧のために圧縮空気を作用させる空気圧作動室が増圧器に設けられている。空気圧作動室に配属され、増圧用圧力源の断続のために利用される制御ピストンが、油圧回路にある作動ピストンによって作動され、漏れによるレリーズシリンダの圧力上昇を阻止する。

ところが上記の装置の空気圧式増圧器は複雑な構造を有し、その点で条件によっては故障しやすく、製造が比較的高価である。

そこで本発明の根底にあるのは、油圧クラッチの油圧回路の操作の機能信頼度を比較的簡単な手段によって高めるという課題である。

本発明によれば請求項１の上位概念に基づく装置において、蓄圧器に圧力監視・供給装置が配属され、圧力監視・供給装置が基準作動圧力及び差圧を決定し、停車時及びエンジン遮断時に残留静圧を得るために作動圧力を上記の差圧の分だけ減圧する。

本発明は、静圧が常時準備されるため、エンジンを切って停車した後、再始動したときに油圧クラッチの迅速な使用が可能であり、同時に蓄圧器は全作動圧力を受けないので負担が軽減される利点がある。特に蓄圧器がダイヤフラムリザーバとして設計されていれば、持続的に働く全作動圧力は作動媒質の激しい拡散をもたらす可能性がある。その結果運転と保守の費用が増加することになる。また静圧が働いてクラッチが切断されないか、又は車が動き出さないようにクラッチに十分に高い静止モーメントが維持される程度にしかクラッチが切断されないことが保証される。

発明の好ましい実施態様では、本発明に基づく装置は静圧の最大値を調整及び制限することができる圧力制限器を有する。上記の静圧は一次ピストンと二次ピストンの間の液体容積に作用して、クラッチディスクに対するクラッチ圧力板の押圧力が車両を停止させておくのになお十分であるような、レリーズシリンダの二次ピストンの移動だけを許す。

こうしてギヤを挿入する時や駐車ブレーキを解除した時に、傾斜した道路でも車両を当該の位置に保持することが保証される。

最大許容静圧を決定するために、クラッチのレリーズレバーを操作するピストンロッドの相対変位を利用することが可能である。ピストンロッドは増分距離測定システムと連動し、増分距離測定システムはピストンロッドの軸方向変位に対する静圧の関数依存性を確定するために、ピストンロッドが経過した距離に関する情報を制御量として圧力監視・供給装置に転送する。

またクラッチばねの変形挙動を検出し、その時支配的な圧力に関連させることが基本的に可能である。

選んだ静圧が油圧回路の内部漏れにより低下し、その結果運転休止期間の後に車両の使用が遅れることを回避するために、発明の好ましい実施態様では圧力監視・供給装置にトリガ素子が配属され、トリガ素子はとりわけ時間制御のもとで静圧の検査を起動する。妥当とみなされる基準圧力を下回ると、静圧の修正が適宜に行われる。トリガのために所属の電子装置を常に短時間だけ、例えば毎時１回だけ作動すればよい。これは僅かなエネルギー消費をもたらすに過ぎない。圧力が所定の値を下回るならば、必要な作動圧力が再び回復されるまで、ポンプ又は作動圧力を発生するためのその他の装置を作動することができる。油圧システムの漏れ率が系の重大な欠陥を示唆する場合は、運転者に当該の情報を提供することができる。圧力降下と時間との関係が所定の値を超えるならば、こうした事態を識別することができる。

レリーズシリンダに静圧が作用して一次ピストンと二次ピストンの間に容積増加が起こり、クラッチのレリーズレバーに力が働いて、伝達されるトルクの低下とクラッチの部分的切断を招く可能性をなくすために、本発明の実施態様では作動弁を駆動することによって、調整容積と連通する調整穴が閉鎖されるまで一次ピストンを移動することができる。間隙の容積が増加すれば、クラッチの操作の際に２つのピストンの間のダイヤフラムスプリングに過圧がかかり、破壊され、クラッチがもはや締結されないか又は大幅に遅れてようやく締結される危険がある。

クラッチを締結したとき、レリーズシリンダの一次ピストンは、調整穴が一次ピストンによって閉鎖され、一次ピストンと二次ピストンの間にある液体容積に容積変化がまったく作用しないような位置にある。

本発明の好ましい実施態様では、クラッチの摩耗補償を行わせるために、圧力調節器がトリガ回路によって短時間停止され、一次ピストンと二次ピストンの間のスペースに通じる調整穴がレリーズシリンダの一次ピストンによって容積調整のために開放される。トリガによって調整穴の開放をクラッチ操作のつどでなく時折行うだけでよく、それでも十分な摩耗補償が行われ、上記の危険を回避することが保証される。

次に好ましい実施例及び所属の図面に基づき発明を詳述する。

図１によれば空気式増圧器を備えた油圧クラッチ操作装置は、リザーブタンク１を備え、クラッチペダル２により操作されるマスタシリンダ３、マスタシリンダに後置された増圧器４、クラッチのレリーズ機構に作用するレリーズシリンダ５並びにマスタシリンダ３と増圧器４及び増圧器４とレリーズシリンダ５を水密に結合する油圧管６及び７でおおむね構成される。

増圧器４は油圧領域８と隣接する油圧管６、７に作用する空気圧領域９を有する。作動状態で空気圧領域９に、圧縮機１０から空気管１１を経て供給される圧縮気体が作用する。

レリーズシリンダ５は図２に非作動状態で示されている。おおむね円筒形に形成されたケーシング１２は段付き穴１３を備えており、この穴の中にパッキンリング１５を有する一次ピストン１４及びパッキンリング１７を有する二次ピストン１６が軸方向移動可能に配置されている。コイルばね１８によって一次ピストン１４と二次ピストン１６の間隔が保持され、クラッチ部材の自動的摩耗補償のための余裕を設けることが構造上可能になる。一次ピストン１４の圧力が解除されると、コイルばね１８が一次ピストン１４と二次ピストン１６の接近を制限する。二次ピストン１６はピストンロッド１９に作用する。ピストンロッド１９はレリーズシリンダ５の端板２０の空欠部に通され、クラッチ操作装置のレリーズレバー２１まで伸びている。ピストンロッド１９の保護のために、ピストンロッド１９はベローで取り囲まれている。ベローの末端区域はケーシング１２の端板２０の上にある。

ピストンロッド１９の反対側のケーシング１２の端部では、油圧管７がケーシング１２の接続区域２２と水密に結合されている。一次ピストン１４の末端側が当接すると、接続区域２２に設けられた調整穴２３が油圧管７と一次ピストン１４及び二次ピストン１６の間の調整室２６とを連絡するから、一次ピストン１４と二次ピストン１６の間の調整室２６の中にある液体は油圧管７により供給される液体と連通する。一次ピストン１４と二次ピストン１６の間に封入された液体容積を変えることによって、ピストン１４及び１６の相互間隔が変更され、それによってクラッチ区域の摩耗補償が得られる。

図３が示すように、油圧クラッチ操作装置のレリーズシリンダ５は二二方弁として形成された作動弁２４によって制御される。作動弁２４は一方の切換え状態で、蓄圧器２５から出るシステム油圧力をレリーズシリンダ５の接続区域に転送する。そこで一次ピストン１４はその末端位置から軸方向に移動され、調整穴２３を閉鎖する。一次ピストン１４と二次ピストン１６の間の調整室２６にある容積不変の液体を介して、二次ピストン１６もピストンロッド１９も一次ピストン１４の運動に追従し、それによってレリーズレバー２１が操作され、クラッチが切断される。

モータ２９によって駆動されるポンプ３４は作動油をタンク２７から逆止め弁３５を経て蓄圧器２５の方向へ搬送する。系の圧力を監視するために、圧力制限弁３６が設けられ、場合によっては作動油をタンク２７に逆流させる。

クラッチの締結とともにばね仕掛のレリーズレバー２１は図３に示す初期位置に逆動し、その際一次ピストン１４がレリーズシリンダのケーシング１２の中で末端位置に到達するまで、二次ピストン１６、封入された作動油及び一次ピストン１４を左へ軸方向に移動させる。その場合二二方弁として形成された作動弁３３は、タンク２７への逆体積流れが生じる切換え位置にある。さらに作動弁２４及び３３の切換え位置を調整することにより、一次ピストン１４の末端位置で一次ピストン１４により開放された調整穴２３を介して油量調整を行うとともに、クラッチの摩耗挙動に対してクラッチ操作装置を適応させることができる。

停車してエンジンを切ると、圧力監視・供給装置２８が当該の情報を受領し、それに基づいて圧力監視・供給装置２８はシステム圧力を検出し、差圧の分だけ減圧するから、例えばギヤ挿入時及び駐車ブレーキの解除時に傾斜した道路でも車が動き出すことが防止され、しかもクラッチ操作装置の迅速な使用が引続き保証される。

そのために圧力監視・供給装置２８は、圧力監視・供給装置２８でシステム圧力と差圧から決定される圧力が、二次ピストン１６並びにピストンロッド１９及びレリーズレバー２１に作用してもクラッチの部分的切断を生じない静圧に制限されることを保証する。システムの故障により例えば作動弁２４が正確に閉鎖せず、レリーズシリンダ５にゆるやかな圧力上昇が起こり、調整穴２３が開放されていて、一次ピストン１４と二次ピストン１６の間の液体で満たされた調整室２６の容積が増加する場合は、必ず上記の部分的切断が起こる。

そこで圧力監視・供給装置２８に設けられた圧力調節器３０によってスイッチ素子、例えば作動弁２４を適当に僅かに駆動することにより、レリーズシリンダ５に発生する圧力によって一次ピストン１４が状態「クラッチ切断」の方向へ移動され、こうして調整穴２３が閉鎖され、クラッチは引続き締結される。代案として、状態「クラッチ締結」で常に一次ピストン１４を、調整穴２３が閉鎖されるまで前進させることができる。その場合はクラッチ操作のつど一次ピストンをストップまで短時間逆行させて調整穴２３を開放し、続いて再び調整穴２３が閉鎖される位置に移動する。クラッチ操作当りのクラッチ摩耗は僅かであるから、確実な摩耗補償を可能にし、調整穴２３の機能が不要なときにこれを閉鎖するには、この方法で十分である。こうして一次及び二次ピストン１４、１６の間の間隙の無秩序な油流が確実に防止される。

別の代案として、一次ピストン１４と二次ピストン１６の間の容積変化、それとともにクラッチの摩耗補償をトリガ回路３１で行うこともできる。トリガ回路３１もまた圧力監視・供給装置２８に配置することができ、容積交換を行うために、一次ピストン１４による調整穴２３の閉鎖を所定の間隔で短時間停止する。

さらに圧力監視・供給装置２８は増分距離センサ３２に接続する。ピストンロッド１９が通過した距離に関する情報は、静圧とピストンロッド１９の軸方向移動の関数的依存性を確定するために、制御量として増分距離センサ３２から圧力監視・供給装置２８に転送される。

圧力調節器３０は、圧力監視・供給装置２８から独立に動作し、クラッチの締結時に種々の使用条件で、従ってエンジン運転時も作動するように設計することができる。

空気式増圧器を有する油圧クラッチ操作装置の基本構造を示す図。 一次及び二次ピストンを有する図１のクラッチ操作装置のレリーズシリンダを示す図。 圧力監視・供給装置及び圧力調節器の回路図を含むレリーズシリンダの図を示す図。

符号の説明

１ リザーブタンク
２ クラッチペダル
３ マスタシリンダ
４ 増圧器
５ レリーズシリンダ
６ 油圧管
７ 油圧管
８ 油圧領域
９ 空気圧領域
１０ 圧縮機
１１ 空気管
１２ ケーシング
１３ 段付き穴
１４ 一次ピストン
１５ パッキンリング
１６ 二次ピストン
１７ パッキンリング
１８ コイルばね
１９ ピストンロッド
２０ 端板
２２ 接続区域
２３ 調整穴
２４ 作動弁
２５ 蓄圧器
２６ 調整室
２７ タンク
２８ 圧力監視・供給装置
２９ モータ
３０ 圧力調節器
３１ トリガ回路
３２ 距離センサ
３３ 作動弁
３４ ポンプ
３５ 逆止め弁
３６ 圧力制限弁

Claims (8)

1. マスタシリンダ（３）により油圧管（６、７）を介して操作され、一次ピストン（１４）及び二次ピストン（１６）を有し、摩耗補償のためにピストン（１４、１６）の間隔が可変であるレリーズシリンダ（５）と、蓄圧器（２５）及び蓄圧器充填装置とを備えた油圧操作クラッチの油圧回路の機能信頼度を高めるための装置において、
   蓄圧器（２５）に圧力監視・供給装置（２８）が配属され、圧力監視・供給装置（２８）が操作システムの基準作動圧力及び差圧を決定し、停車時及びエンジン遮断時に残留静圧を得るために作動圧力を上記の差圧の分だけ減圧することを特徴とする装置。
2. この装置が静圧の最大値を調整及び制限することができる圧力制限器（２９）を有し、上記静圧が一次ピストン（１４）と二次ピストン（１６）の間の液体容積に作用して、クラッチディスクに対するクラッチ圧力板の押圧力がギヤの挿入時、駐車ブレーキを解除した時及び傾斜した道路で、停止中の車両が動き出すことを阻止するのになお十分であるような、レリーズシリンダ（５）の二次ピストン（１６）の移動だけを許すことを特徴とする請求項１に記載の装置。
3. 操作システムで働く静圧に由来しない間接的パラメータを制御量として圧力監視・供給装置（２８）に転送して、当該のパラメータに対する静圧の関数的依存性を確定することを特徴とする請求項２に記載の装置。
4. とりわけ時間制御のもとで静圧の検査を起動するトリガ素子（３１）が圧力監視・供給装置（２８）に配属されていることを特徴とする請求項１又は３に記載の装置。
5. レリーズシリンダ（５）の一次ピストン（１４）及び二次ピストン（１６）が可変容積を有する調整室（２６）によって隔てられていることを特徴とする上記請求項の少なくとも１つに記載の装置。
6. 作動弁（２４）を駆動することによって、レリーズシリンダ（５）の一次ピストン（１４）が、調整室（２６）と連通するレリーズシリンダ（５）の調整穴（２３）を閉鎖するまで移動させられることを特徴とする上記請求項の少なくとも１つに記載の装置。
7. マスタシリンダ（３）により油圧管（６、７）を介して操作され、一次ピストン（１４）及び二次ピストン（１６）を有し、摩耗補償のためにピストン（１４、１６）の間隔が可変であるレリーズシリンダ（５）と、蓄圧器（２５）及び蓄圧器充填装置とを備えた油圧操作クラッチの油圧回路の機能信頼度を高めるための装置において、蓄圧器（２５）に圧力監視・供給装置（２８）及び圧力調節器（３０）が配属され、一次ピストン（１４）が一次ピストン（１４）と二次ピストン（１６）の間の調整室（２６）の容積変化が起こらない位置へ軸方向に僅かに移動されるように、圧力調節器（３０）がスイッチ素子（２４）に作用することを特徴とする装置。
8. 一次ピストン（１４）と二次ピストン（１６）の間の調整室（２６）に封入された圧油容積を変化することによって摩耗補償を行うために、圧力調節器（３０）が所定の時間間隔でトリガ回路（３１）により短時間停止されることを特徴とする請求項７に記載の装置。

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