JP2006505287A - 熱処理された食品のアクリルアミド含有率を減少させる方法 - Google Patents

熱処理された食品のアクリルアミド含有率を減少させる方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、相当する慣用の熱処理された食品と比較して熱処理された食品のアクリルアミド含有率を減少させる方法に関する。

Description

本発明は、慣用の熱処理された食品と比較して、熱処理された食品のアクリルアミド含有率を減少させる方法に関する。
最近、スエーデン国家食品行政機関(Swedish National Food Administration)(NFA)及びストックホルム大学からの科学者は新しい研究結果を公表したが、それによれば、製造時に高い熱処理を受ける種々の食品において、毒性でありそして多分発癌性物質であるアクリルアミドが形成される。NFAは国際的協力及び研究を刺激するために、他の国家及び国際機関及び機構に知らせた。その理由は、食品を加熱する際のアクリルアミドの形成は明らかに広く行きわたった現象であるからである。次いで2002年夏に、ジュネーブで、国連の食料農業機構(FAO)及び世界保健機関(WHO)により協同で開催された専門家協議会(食品中のアクリルアミドの健康への関係に関するWHO、FAO/WHO協議会)(WHO、FAO/WHO Consultation on the Health Implications of Acrylamide in Foods)(ジュネーブ、2002年6月25〜27日)が行われた。
専門家協議会はアクリルアミドの毒物学的作用の本質的な最終点として下記のこと:神経毒性、生殖毒性、突然変異誘発性(mutagenicity)及び発癌性を論議した。
特に、専門家協議会は、アクリルアミド及びその代謝産物グリシドアミドの遺伝毒性潜在力は重要な役割を演じるという見解から出発した。in vivoで、アクリルアミドは体細胞及び生殖細胞において遺伝毒性である。ゆえに、アクリルアミドは遺伝子及び染色体のレベルで遺伝される損傷を引き起こすことがありうる。知られているとおり、その代謝産物の1つは化学的に反応性のエポキシドであるグリシドアミドであり、これはDNAと直接反応しそしてアダクトを形成することができる。遺伝毒性機構はアクリルアミドの発癌性において重要な役割を演じることが強調された。
専門家協議会は、実験室動物に関する研究からの入手可能なデータを評価した。協議会は、特に発癌性の遺伝毒性機構の重要性を強調しそして、今日まで、追加の別の機構について、例えばホルモン的な性質のいかなる証拠もほとんど与えられていないという意見であった。
国際専門家協議会は、部分的に製造に依存して、ある種の食品中に存在する他の発癌性物質、例えば、ベンゾピレン、の発癌性影響力に匹敵しうるラットにおけるアクリルアミドの発癌性影響力を述べている。しかしながら、アクリルアミドは食品中の今日まで見出されたすべての他の発癌性物質よりも高い含有率で存在すると言われている。ヒトについては、食品中の発癌性物質の相対的影響力は未知である。働いているときにさらされる労働者の疫学的研究からのデータはあまり重要ではない。何故ならば、それらは癌の危険のわずかな変化を決定するのにまったく適当ではないからである。総体的に、専門家協議会は、食品中のアクリルアミドの存在を懸念を引き起こすものとして評価した。
入手可能なデータに基づいて、WHO/FAO専門家協議会は、食品は消費者がさらされることに重要な寄与をするという結論に至った。
アクリルアミドは、ある種の食品が相対的に高い温度で製造されるときに形成される。高い温度に加えて、高い温度にさらされる期間が重要な役割を果たす。国際専門家協議会は機構の形成のためのいかなる他の信頼性のある証拠も見出さなかった。専門家協議会によれば、アクリルアミド形成の機構はまだ理解さていない。
ある実験条件下に、アクリルアミドは、in vitroで、アミノ酸、特にアスパラギン(Mottram et al.,Nature 419,(2002),448;Stadler et al.,Nature 419,(2002),449)と糖、例えばフルクトース、ガラクトース、ラクトース又はスクロース(Stadler et al.,Nature 419,(2002),449)との反応において形成されるようである。
熱処理された食品中のアクリルアミド含有率の変動性の原因はまだ十分には理解されていない(食品中のアクリルアミドの健康への関係に関するWHO、FAO/WHO協議会)(ジュネーブ、2002年6月25〜27日)。
EAO及びWHOにより開催された国際専門家協議会は、食品の加工条件とアクリルアミドの形成との関係及びアクリルアミド含有率を最小化するための加工条件の最適化の研究を推奨した。
熱処理された食品のアクリルアミド含有率を最小にする方法は先行技術では今日までまだ記載されておらずそして緊急に必要とされる。ゆえに、本発明の基礎をなす目的は、慣用の熱処理された食品と比べて減少したアクリルアミド含有率を有する熱処理された食品の製造を可能とする方法を提供することである。
この目的は、特許請求の範囲に記載された態様の提供により達成される。
ゆえに、本発明は、熱処理された食品のアクリルアミド含有率を、相当する慣用の熱処理された食品と比較して減少させる方法であって、
a)相当する慣用の植物材料と比較して可溶性糖及び/又はアミノ酸の減少した含有率を有する植物材料を提供するか又は選択すること、
b)該植物材料を加工して食品を得ること、そして
c)加工工程b)において生成した食品を熱処理する、
ことを含む方法に関する。
2−プロペンアミド、ビニルアミド又はエチレンカルボキサミドとも呼ばれるアクリルアミド(CAS番号79−06−1)は、水にきわめて可溶性であるがヘプタンには不溶性である室温で無色の固体である。本発明に関して、「アクリルアミド含有率の減少」という用語は、相当する慣用の熱処理された食品のアクリルアミド含有率と比較して、少なくとも15%、特に少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、75%、特に好ましくは少なくとも90%のアクリルアミド含有率の減少を意味すると理解されるべきである。
食品のアクリルアミド含有率を決定する方法は、例えば、Tareke et al.(J.Agric.Food Chem.50,(2002),4998-5006)に記載されている。アクリルアミドは、誘導体化(例えばジブロモ化合物を形成するための)の後GC/MSにより、又はLC/MS−MSにより、好ましくはTareke et al.(J.Agric.Food Chem.50,(2002),4998-5006)により記載されたLC/MS−MSにより定量的に決定された。ジブロモ生成物を形成するための誘導体化は、例えば、US Environmental Protection Agency(=EPA)のEPA法8032A(http://www.epa.gov/epaoswer/hazwaste/test/pdfs/8032a.pdf,December 1996 version, “Acrylamide by gas chromatography”)におけると同じように行うことができる。本発明に関して、誘導体化は、好ましくは、EPA法8032Aに従って行われる。
本発明に関して、「食品」という用語は、植物材料を含有するいかなる食品も意味するものと理解されるべきである。この用語は、特に、予備工程、例えば、「熱処理された食品」を製造するための適当な、パン生地混合物(dough mixtures)、ポテトスライス、ポテトストリップ、顆粒(granules)及びトウモロコシ粒(maize grains)を含む。予備工程、特に熱処理された食品を製造するためのポテトスライスは、予備加熱調理された(precooked)もしくはブランチングされた(blanched)形態又は冷凍された形態で存在することもできる。
本発明に関して、「熱処理された食品」という用語は、>100℃、好ましくは110℃〜230℃、特に120℃〜200℃、好ましくは150℃〜170℃、特に好ましくは150℃〜180℃の温度にさらされたいかなる食品も意味するものと理解されるべきである。本発明に関して、「熱処理」という用語は、標準圧力条件下に100℃より高い温度に導くいかなる処理も意味すると理解されるべきであり、特に、それはディープファットフライング(deep-fat frying)、グリル(grilling)、フライング(frying)、ロースティング(roasting)、押出し、バッキング(backing)もしくはマイクロ波加熱、オートクレーブ処理又はパーフライング(parfrying)を意味すると理解されるべきである。
熱処理時間は、食品に依存して異なることができる。絶対アクリルアミド含有率は常に熱処理時間と共に増加する。本発明の助けにより、慣用の熱処理された食品と比較して、定められた方法により定められた時間定められた温度で熱処理された食品のアクリルアミド含有率を低くすることが今や可能である。
本発明に関して、特にポテトチップ(potato chips)及びポテトクリスプ(potato crisps)に関しては、熱処理は、これがディープファットフライングプロセスであるとき、10秒〜8分間、好ましくは2〜5分間、特に好ましくは2〜3分間行われる。熱処理がベーキングプロセスであるならば、熱処理は、本発明に関しては、1〜120分、好ましくは5〜30分間行われる。
本発明に関しては、特に部分的にフライングされた(パーフライド(parfried))ポテトチップに関しては、ポテトストリップの熱処理は、30秒〜600秒、好ましくは60秒〜360秒間行うことができる油中でのディープファットパーフライングプロセス(deep-fat parfrying process)であり、及び/又はパーフライング温度は120℃〜200℃、好ましくは130℃〜170℃の範囲にあることができる。一般に、パーフライング時間はポテトスライスの水分を75重量%より少ない水分含有率に減少させるのに十分であるべきである。フライングによる仕上げ調整(finish preparation)を意図したパーフライングされそして冷凍されたポテトストリップは、典型的には60〜70重量%の水分含有率となるようにパーフライングされる。オーブン加熱による仕上げ調整を意図した冷凍されたポテトストリップは一般に60重量%未満、好ましくは40〜55重量%、更に好ましくは44〜50重量%のより低い水分含有率となるようにパーフライングされる。
パーフライング工程に必要な実際の時間は、特定の油の温度、ポテトスライスの寸法及び温度、バッチサイズ、フライング鍋の容積及びポテトスライスの最初の水分含有率を含むいくつかのファクターにより決定される。
好ましくは、水分含有率は国際特許出願WO97/40707A1の14頁に記載のようにして決定される。
このような「熱処理された食品」の例は、ポテトクリスプ(この英国用語に対する同義語は米国用語「ポテトチップ」である)、(ポテト)チップ(この英国用語に対する同義語は米国用語「フレンチフライ」である)、パーフライドポテトチップ(場合により熱処理の後冷凍されてもよい)、マッシュドポテト、ビスケット、クラッカー、クリスプブレッド(crisp bread)、ブレックファーストシリアル、メイズクリスプ(maize crisps)(タコス)、ポップコーン、ブレッドクリスプ(bread crisps)、ウエイハー、サルトスティック(salt sticks)、コーヒー、パン、ロール、ケーキ、ライスクリスプ(rice crisps)、ピザ及びトースト、更にトルティーヤ、コロッケ、ウエッジ(wedges)、ポテトスティック(potato sticks)、ツイストパン、肉、魚及び野菜のためのパンコーティング、ナッツのためのパンコーティング、トルティーヤチップ、パン及び種々の焼成製品(baked goods)及びシリアル配合物(cereal formulations)、並びに予備加熱調理されたミール(pre-cooked meals)、特にベビーフードである。
本発明に関して、英国用語「ポテトクリスプ」及び「ポテトチップ」は、同義の米国用語「ポテトチップ」及び「フレンチフライ」の代わりに使用される。
本発明に関して、「慣用の熱処理された食品」という用語は、慣用の植物材料から製造された食品を意味すると理解されるべきである。本発明に関して、「相当する慣用の熱処理された食品」という用語は、好ましくは、相当する慣用の植物材料と比較して遺伝子改変により可溶性糖及び/又はアミノ酸の減少した含有率を有する本発明に従って使用されるべき植物材料と同じ方法で加工及び熱処理された、慣用の植物材料から製造された熱処理された食品に関する。
本発明に関して、「植物材料」という用語は、植物からなるか又は植物の一部を含むいかなる材料も意味するものと理解されるべきである。好ましくは、該植物の一部は植物の収穫された産物、例えば、塊茎、果実、種子、タマネギ、葉及び根である。植物材料は、いかなる所望の植物種から生じるものであってもよく、即ち、単子葉植物及び双子葉植物の両方から生じるものであることができる。好ましくは、これは農業による農場植物(agricultural farmed plants)、即ち、栄養補給の目的又は技術的、特に工業的な目的でヒトにより栽培される植物からの植物材料である。デンプン質植物(例えば、コムギ、オオムギ、オーツムギ、ライムギ、ジャガイモ、トウモロコシ、イネ、エンドウ豆、キャッサバ)、特にジャガイモ植物からの植物材料が特に好ましい。
本発明に関して、「慣用の植物材料」という用語は、特に、相当する遺伝子改変されていない植物、即ち、相当する野生型植物と比較して、可溶性糖、特にグルコース及び/又はフルクトースの含有率の減少及び/又はアミノ酸、特にアスパラギンの含有率の減少をもたらす遺伝子改変を持たない植物の植物材料を意味するものと理解されるべきである。しかしながら、本発明に関して、慣用の植物材料は、他の面で遺伝子改変されている遺伝子改変された植物から生じるものであることもできるが、この遺伝子改変は、相当する野生型植物と比較して、可溶性糖、特にグルコース、及び/又はフルクトースの含有率の減少及び/又はアミノ酸、特にアスパラギンの含有率の減少をもたらさない。
「遺伝子改変」という用語は後に定義される。
本発明に関して、「可溶性糖」という用語は植物材料中に存在するいかなる水溶性糖も意味するものと理解されるべきであり、好ましくは、可溶性糖はヘキソース、好ましくは還元糖、特にフルクトース及び/又はグルコースである。
本発明に関して、「可溶性糖の含有率を減少させる」又は「可溶性糖の減少した含有率」という用語は、相当する慣用の熱処理された食品又は相当する慣用の植物材料の可溶性糖、特にフルクトース及び/又はグルコースの含有率と比較して、可溶性糖の含有率を減少させること、好ましくは、植物材料の可溶性糖、特にフルクトース及び/又はグルコースの含有率を少なくとも10%、特に少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも40%、特に50〜95%、好ましくは、60%〜90%減少させることを意味すると理解されるべきである。
本発明に関して、「アミノ酸」という用語は、植物材料中に存在するいかなるアミノ酸も意味し、好ましくは、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、メチオニン、トレオニン及びバリン、更に好ましくは、アスパラギンを意味するものと理解されるべきである。
本発明に関して、「アミノ酸の含有率を減少させる」又は「アミノ酸の減少した含有率」という用語は、相当する慣用の熱処理された食品又は相当する慣用の植物材料のアミノ酸、特にアスパラギンの含有率と比較して、植物材料のアミノ酸の含有率を減少さること、好ましくは、植物鎖料のアミノ酸、特に、アスパラギンの含有率を少なくとも10%、特に少なくとも15%、好ましくは、少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも40%減少させることを意味するものと理解されるべきである。
熱処理された食品中のアクリルアミド含有率の変動性の原因は、まだ十分に理解されておらず(食品中のアクリルアミドの健康との関係に関するWHO、FAO/WHO協議会)(ジュネーブ、2002年6月25〜27日)、それゆえ今日まで熱処理された食品のアクリルアミド含有率を最小にする方法は記載されていない。特に、それらの基礎として特定の植物材料の選択を伴う方法は記載されていない。
驚くべきことに、熱処理された食品を製造するために使用される出発植物材料の選択はこのような食品のアクリルアミド含有率に対する決定的に重要な効果を有することが今や見出された。本発明は、相当する慣用の植物材料と比較して可溶性糖及び/又はアミノ酸の減少した含有率を有する植物材料の使用により、熱処理後、可溶性糖及び/又はアミノ酸の慣用の含有率を有する植物材料を使用する場合よりも低いアクリルアミド含有率を有する食品の製造が可能となることを始めて教示する。ゆえに、本発明は、熱処理された食品におけるアクリルアミドの形成を回避するために、可溶性糖及び/又はアミノ酸の相対的に低い含有率を有する植物材料を使用することを教示する。
植物材料中の糖、特に、フルクトース及びグルコースの含有率を決定する方法は当業者に知られておりそして例えば、Miuller-Roeber et al.(Mol.Gen.Genet.224,(1990),136-146)及び下記するテキストにも記載されている。本発明に関して、グルコース、フルクトース及び/又はスクロースの含有率の決定は好ましくは下記の如くして行われる(「グルコース、フルクトース及びスクロースの決定」)。
植物材料中のアミノ酸、特にアスパラギンの含有率を決定する方法は当業者に知られておりそして、例えば、Cohen,Meys,Tarvin(1988),The pico-tag method: A Manual of advanced techniques for amino acid analysis,Millipore Corporation,Milford,Mass.,USAに記載されている。Roessner et al(Plant Physiology 127,(2001),749-764)により記載された方法が好ましい。
本発明の方法の更なる態様では、使用される植物材料は、それが遺伝子改変されており、この遺伝子改変は、野生型植物の相当する慣用の植物材料と比較して、可溶性糖、特にグルコース及び/又はフルクトースの含有率の減少をもたらすことを特徴とする。
本発明に関して、「遺伝子改変」は、野生型植物の相当する慣用の植物材料と比較して可溶性糖の含有率の減少をもたらすいかなる遺伝子改変であってもよい。
本発明に関して、遺伝子改変は、1つ又はそれより多くの遺伝子の突然変異誘発により引き起こされることができる。突然変異のタイプは、それが野生型植物の相当する慣用の植物材料と比較して可溶性糖の含有率の減少をもたらすとの条件下に、遺伝子改変にとって決定的に重要ではない。
本発明に関して、「突然変異誘発」という用語は、いかなるタイプの突然変異も意味し、例えば、欠失、点突然変異(ヌクレオチド置き換え)、挿入、逆位、遺伝子変換又は染色体転座を意味すると理解されるべきである。
突然変異は化学的作用物質又は高エネルギー放射(例えば、X線、中性子、ガンマ線又は紫外線)の使用により引き起こすことができる。化学的に誘発される突然変異を引き起こすために使用することができる作用物質及び相当する突然変異源の反応によりそれによって生じる突然変異は、例えば、Ehrenberg and Husain,1981,(Mutation Research 86,1-113),Miuller,1972(Biologisches Zentralblatt 91(1),31-48)に記載されている。ガンマ線、エチルメタンスルホネート(EMS)、N−メチル−N−ニトロ尿素又はナトリウムアジド(NaN)を使用するイネ突然変異体の発生は、例えば、Jauhar and Siddiq(1999,Indian Journal of Genetics,59(1),23-28),Rao(1977,Cytologica 42,443-450),Gupta and Sharma(1990, Oryza 27,217-219)及び Satoh and Omura(1981, Japanese Journal of Breeding 31(3),316-326)に記載されている)。NaN及びマレイン酸ヒドラジド(1,2−ジヒドロピリダジン−3,6−ジオン)を使用するコムギ突然変異体の発生は、例えば、Arora et al.(1992,Annals of Biology 8(1),65-69)に記載されている。種々のタイプの高エネルギー放射及び化学的作用物質を使用するコムギ突然変異体の産生の概説は、Scarascia-Mugnozza et al.(1993,Mutation Breeding Review 10,1-28)に与えられている。Svec et al.(1998,Cereal Research Communication 26(4),391-396)は、トリチカレにおける突然変異体を発生させるためのN−エチル−N−ニトロ尿素の使用を記載している。アワ突然変異体を発生させるためのMMS及びガンマ線の使用は、Shashidhara et al.(1990,Journalof Maharashtra Agricultural Universities 15(1),20-23)に記載されている。
主として栄養生殖する植物種における突然変異体の産生は、例えば、改変されたデンプンを産生するジャガイモについて(Hovenkamp-Hermelink et al.(1987,Theoretical and Applied Genetics 75,217-221)、並びに増加した油収率及び改変された油品質を有するハッカについて(Dwivedi et al.,2000,Journal of Medicinal and Aromatic Plant Sciences 22,460-463)記載されている。
これらの方法のすべては、一般に、遺伝子改変により野生型植物の相当する慣用の植物材料と比較して可溶性糖の減少した含有率を有する植物材料を提供するのに適当であり、ゆえに本発明の方法で使用するために適当である。
適当な遺伝子における突然変異は、当業者に知られている方法を使用して発見されうる。特に、この目的に使用することができる方法は、プローブとのハイブリダイゼーション(Southern blot)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅、該当するゲノム配列の配列決定及び個々のヌクレオチド置換を調査することに基づく分析である。ハイブリダイゼーションパターンに基づいて突然変異を同定するための方法は、例えば、制限断片長多形(restriction fragment length polymorphism)(RFLP)についての調査(Nam et al.,1989,The Plant Cell 1,699-705;Leister and Dean,1993,The Plant Journal 4(4),745-750)である。PCRに基づく方法は、例えば、増幅断片長多形(amplified fragment length polymorphism)(AFLP)の分析(Castiglioni et al.,1998,Genetics 149,2039-2056; Meksem et al.,2001,Molecular Genetics and Genomics 265,207-214; Meyer et al.,1998,Molecular and General Genetics 259,150-160)である。突然変異を同定するために制限エンドヌクレアーゼにより開裂された増幅した断片の使用(Cleaved Amplified Polymorphic Sequences,CAPS)も使用することができる(Konieczny and Ausubel,1993,The Plant Journal 4,403-410; Jarvis et al.,1994,Plant Molecular Biology 24,685-687;Bachem et al.,1996,The Plant Journal9(5),745-753)。SNPs(一塩基多形)を決定するための方法は、中でも、Qi et al.(2001,Nucleic Acids Research 29(22),e116)Drenkard et al.(2000,Plant Physiology 124,1483-1492)及びCho et al.(1999,Nature Genetics 23,203-207)により記載されている。特に或る遺伝子の突然変異について短時間内に多くの植物を調べることを可能とする方法が適当である。TILLING(Targeting Induced Local Lesions IN Genomes)と呼ばれるこのような方法は、例として、McCallum et al.(2000,Plant Physiology 123,439-442)により記載されている。
これらの方法のすべての使用は、一般に本発明の方法で使用するのに適当な遺伝子改変された植物材料を同定するために適当である。
更に、本発明に関して、使用することができる遺伝子改変された植物材料は、遺伝子工学的方法(アンチセンス、コサプレッション技術、リボザイム、in vivo突然変異誘発、RNAi技術等)により産生させることができる。
特に好ましい本発明の方法の更なる態様では、遺伝子改変は、遺伝子改変されていない野生型植物の相当する植物細胞と比較して、植物細胞中に存在する1種又はそれより多くの内因性R1タンパク質の活性の減少をもたらす。
本発明に関して、「R1タンパク質」という用語は、例えば、Lorberth et al.(Nature Biotech.16,(1998),473-477),Ritte et al.,(PNAS 99,(2002),7166-7171)及び国際特許出願WO98/27212、WO00/77229、WO00/28052に記載されておりそして下記の特徴を有するタンパク質を意味するものと理解されるべきである。R1タンパク質の重要な特徴は、i)それらのアミノ酸配列(例えば、GenBank Acc.No.A61831,Y09533参照);ii)植物細胞のプラスチドにおけるそれらの局在化;iii)植物中のデンプンのリン酸化の程度に影響を与えるそれらの能力である。更に、「R1タンパク質」という用語は、3つの基質、α−ポリグルカン、ATP及びHOが3つの生成物、α−ポリグルカン−P、AMP及びオルトホスフェートに転化されるジキナーゼ型反応におけるデンプンのリン酸化を触媒するタンパク質を表す(Ritte et al., PNAS Vol.99No.10,(2002),7166-7171)。「R1タンパク質」という用語に対してより最近の文献で使用される同義語は、「アルファグルカン 水 ジキナーゼ」に対する略号である「GWDタンパク質」という用語である(Blennow et al.,Trends in Plant Sciences Vol.7 No.10(2002),445-450)。ゆえに、本発明に関して、「R1タンパク質」という用語は「GWDタンパク質」も含む。
例えば、ジャガイモからのR1タンパク質をコードするR1遺伝子を抑制することは、トランスジェニックジャガイモ植物において、ジャガイモ塊茎から単離されうるデンプンのホスフェート含有率の減少をもたらす。更に、Lorberth等は、Solanum tuberosumからのR1タンパク質は、相当するR1cDNAがE.coli中で発現されるときバクテリアグリコーゲンをリン酸化することができることを示す(Lorberth et al.,Nature Biotech.16,(1998),473-477)。
Ritte et al.(Plant J.21,(2000),387-391)は、ジャガイモ植物におけるSolanum tuberosumからのR1タンパク質はデンプン粒(starch granules)に可逆的に結合し、デンプン粒への結合の強度は植物の代謝状態に依存していることを示した。デンプン粒に結合した形態では、ジャガイモ植物中のタンパク質は暗所で成長させた葉の中に主として存在する。対照的に、葉を照射した後、タンパク質はデンプン粒に結合されていない可溶性形態で主として存在する。
本発明に関して、トランスジェニックジャガイモ植物又はそれらの塊茎におけるジャガイモR1遺伝子の発現を抑制することは低温誘発された甘味料(cold-induced sweetenings)と呼ばれるものの減少をもたらす(Lorberth et al.,Nature Biotech.16,(1998),473-477)、即ち、低温貯蔵された(cold-stored)ジャガイモ塊茎が、遺伝子改変されていない相当する野生型植物の塊茎と比較して、可溶性糖、特にフルクトース及びグルコースの減少した含有率を有するということは特に重要である。
更に、減少したR1遺伝子発現を有するこれらのトランスジェニック植物のジャガイモ塊茎は、収穫の直後ですら又は室温での貯蔵の後、遺伝子改変されていない相当する野生型植物の塊茎と比較して、可溶性糖、特にフルクトース及びグルコースの減少した含有率を有する。
減少したR1遺伝子発現を有する植物から生じる(低温貯蔵された)ジャガイモ塊茎(Lorberth et al.,Nature Biotech.16,(1998),473-477)のディープファットフライング又はパーフライングは、遺伝子改変されていない相当するジャガイモ塊茎がディープファットフライングされるときよりもディープファットフライングされた製品における顕著に減少したアクリルアミド形成をもたらすことが、本発明によって始めて証明された。アクリルアミド形成の減少は驚くほど高い。
本発明の方法の更なる態様では、遺伝子改変は、遺伝子改変されていない野生型植物の相当する植物細胞と比較して、植物細胞中に存在する1種又はそれより多くの内因性インベルターゼタンパク質の活性の減少をもたらす。
本発明に関して、「インベルターゼタンパク質」という用語は、インベルターゼの酵素活性を有するタンパク質を意味するものと理解されるべきである。インベルターゼは、スクロースのグルコース及びフルクトースへの開裂を触媒する。好ましくは、本発明に関して、これらは酸インベルターゼであり、これらは液胞インベルターゼとも呼ばれ、そして、例えば、Zrenner et al.(Planta 198,(1996),246-252)に記載されている。
減少したインベルターゼ活性を有するジャガイモ植物は、例えば、Zrenner et al.(Planta 198,(1996),246-252)及びGreiner et al.(Nature Biotechnology 17,(1999),708-711)に記載されている。
本発明に関して、トランスジェニックジャガイモ植物、特にタバコからの液胞インベルターゼ阻害剤を発現するトランスジェニックジャガイモ植物(Greiner et al,Nature Biotechnology 17,(1999),708-711)におけるインベルターゼ活性の減少は、遺伝子改変されていない相当する野生型植物の塊茎と比較して、可溶性糖、特に、フルクトース及びグルコースの減少した含有率を有するこれらのトランスジェニック植物の低温貯蔵されたジャガイモ塊茎をもたらすことは特に重要である。
本発明に関して、「活性の減少」という用語は、R1又はインベルターゼタンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の相当する遺伝子改変されていない細胞と比べた減少、及び/又は植物材料の細胞中のR1又はインベルターゼタンパク質の量の減少、及び/又は植物材料の細胞中のR1又はインベルターゼタンパク質の酵素活性の減少を意味する。
本発明に関して、「植物細胞中に存在する1種又はそれより多くの内因性R1タンパク質の活性の減少」という用語は、相当する遺伝子改変されていない野生型植物の細胞と比べた、R1タンパク質をコードする1種又はそれより多くの内因性遺伝子の発現の減少、及び/又は植物材料の細胞中のR1タンパク質の量の減少、及び/又は植物材料の細胞中のR1タンパク質の酵素活性の減少を意味するものと理解されるべきである。
本発明に関して、「植物細胞中に存在する1種又はそれより多くの内因性インベルターゼタンパク質の活性の減少」という用語は、相当する遺伝子改変されていない細胞と比べた、インベルターゼタンパク質をコードする1種又はそれより多くの内因性遺伝子の発現の減少、及び/又は植物材料の細胞中のインベルターゼタンパク質の量の減少、及び/又は植物材料の細胞中のインベルターゼタンパク質の酵素活性の減少を意味するものと理解されるべきである。
発現の減少は、例えば、ノーザンブロット分析又はRT−PCRによりR1又はインベルターゼタンパク質をコードする転写物(transcripts)の量を測定することにより決定することができる。減少は、好ましくは、相当する遺伝子改変されていない細胞と比較して転写物の量において、少なくとも50%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも95%の減少を意味する。
問題の植物細胞中のこれらのタンパク質の減少した活性をもたらすR1又はインベルターゼタンパク質の量の減少は、例えば、ウエスタンブロット分析、ELISA(Enzyme Linked Immuno Sorbent Assay)又はRIA(ラジオイムノアッセイ)の如き免疫学的方法により決定することができる。減少は、好ましくは、相当する遺伝子改変されていない細胞と比較してR1又はインベルターゼの量において、少なくとも50%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも95%の減少を意味する。
R1タンパク質の酵素活性の減少は、Ritte et al.(PNAS 99,(2002),7166-7171)により記載された酵素アッセイに基づいて決定することができる。
インベルターゼタンパク質の酵素活性の減少は、Greiner et al.(Nature Biotechnology 17,(1999),708)により記載された方法により決定することができる。
R1又はインベルターゼタンパク質の酵素活性の減少は、好ましくは、相当する遺伝子改変されていない細胞と比較して活性において少なくとも50%、特に少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の減少を意味する。
R1タンパク質の酵素活性の減少は、好ましくは、相当する遺伝子改変されていない細胞のR1活性と比較してR1の活性において少なくとも50%、特に少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の減少を意味する。
インベルターゼタンパク質の酵素活性の減少は、好ましくは、相当する遺伝子改変されていない細胞のインベルターゼ活性と比較してインベルターゼタンパク質の活性において少なくとも50%、特に少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の減少を意味する。
本発明の方法の更なる態様では、遺伝子改変は、1種又はそれより多くの外来核酸分子の導入であって、該核酸分子の存在及び/又は発現は、遺伝子改変されていない野生型植物の相当する植物細胞と比較して植物細胞中に存在する1種又はそれより多くの内因性R1タンパク質の活性の減少をもたらす、外来核酸分子の導入である。
本発明の方法の更なる態様においては、遺伝子改変は、1種又はそれより多くの外来核酸分子の導入であって、該核酸分子の存在及び/又は発現は、遺伝子改変されていない野生型植物の相当する植物細胞と比較して植物細胞中に存在する1種又はそれより多くの内因性インベルターゼタンパク質の活性の減少をもたらす、外来核酸分子の導入である。
本発明に関して、「外来核酸分子(単数)」又は「外来核酸分子(複数)」という用語は、相当する植物細胞中に天然には存在しない分子又は特定の空間的配置(spatial arrangement)において植物細胞中に天然には存在しない分子、又は植物細胞のゲノムにおける部位に局在化されている分子であって、この部位にはそれは天然には存在しない、分子を意味すると理解されるべきである。好ましくは、外来核酸分子は、種々のエレメントからなる組換え分子であって、該エレメントの組み合わせ又はその特定の空間的配置は植物細胞中に天然には存在しない、組換え分子である。
本発明の方法の更なる好ましい態様では、外来核酸分子は、
(a)R1タンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少を引き起こす少なくとも1種のアンチセンスRNAをコードするDNA分子、
(b)コサプレッション効果により、R1タンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少をもたらすDNA分子、
(c)R1タンパク質をコードする内因性遺伝子の転写物を特異的方法で開裂する少なくとも1種のリボザイムをコードするDNA分子、
(d)in vivo突然変異誘発により導入されそして、内因性R1タンパク質をコードする遺伝子における突然変異または異種配列の挿入をもたらす核酸分子であって、該突然変異又は挿入は該遺伝子の発現の減少又は不活性R1タンパク質の合成を引き起こす、核酸分子、
(e)少なくとも1種のアンチセンスRNAと少なくとも1種のセンスRNAを同時にコードするDNA分子であって、該アンチセンスRNAと該センスRNAは、R1タンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少を引き起こす二本鎖RNA分子を形成する、DNA分子、
(f)トランスポゾンを含有するDNA分子であって、該トランスポゾン配列の組込みはR1タンパク質をコードする内因性遺伝子における突然変異又は挿入をもたらし、該突然変異又は挿入は該遺伝子の発現の減少又は不活性R1タンパク質の合成を引き起こす、DNA分子、及び
(g)R1タンパク質をコードする内因性遺伝子における挿入により、R1タンパク質をコードする遺伝子の発現の減少又は不活性R1タンパク質の合成を引き起こすT−DNA分子、
よりなる群から選ばれる。
本発明の方法の更なる好ましい態様では、外来核酸分子は、
(a)インベルターゼ阻害剤をコードするDNA分子、
(b)インベルターゼタンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少を引き起こす少なくとも1種のアンチセンスRNAをコードするDNA分子、
(c)コサプレッション効果により、インベルターゼタンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少をもたらすDNA分子、
(d)インベルターゼタンパク質をコードする内因性遺伝子の転写物を特異的方法で開裂する少なくとも1種のリボザイムをコードするDNA分子、
(e)in vivo突然変異誘発により導入されそしてインベルターゼタンパク質をコードする内因性遺伝子における突然変異又は異種配列の挿入をもたらす核酸分子であって、該突然変異又は挿入は該遺伝子の発現の減少又は不活性インベルターゼタンパク質の合成を引き起こす、核酸分子、
(f)少なくとも1種のアンチセンスRNAと少なくとも1種のセンスRNAを同時にコードするDNA分子であって、該アンチセンスRNAと該センスRNAはインベルターゼタンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少を引き起こす二本鎖RNA分子を形成する、DNA分子、
(g)トランスポゾンを含有するDNA分子であって、該トランスポゾン配列の組込みはインベルターゼタンパク質をコードする内因性遺伝子における突然変異又は挿入をもたらし、該突然変異又は挿入は該遺伝子の発現の減少又は不活性インベルターゼタンパク質の合成を引き起こす、DNA分子、
(h)インベルターゼタンパク質をコードする内因性遺伝子における挿入により、インベルターゼタンパク質をコードする遺伝子の発現の減少又は不活性インベルターゼタンパク質の合成を引き起こすT−DNA分子、
よりなる群から選ばれる。
アンチセンス又はコサプレッション技術により遺伝子発現を抑制するために、例えば、R1タンパク質又はインベルターゼタンパク質及び場合により存在する隣接配列(flanking sequences)をコードする全体配列(entire sequence)を含むDNA分子を使用することができ、そしてコード配列の一部のみを含むDNA分子であって、これらの部分は細胞におけるアンチセンス効果又はコサプレッション効果を引き起こすのに十分に長いことが必要である、DNA分子も使用することができる。適当な配列は、一般に、15bpの最小長さ、好ましくは21bpの最小長さ、好ましくは100〜500bpの長さまでの配列であり、そして効果的なアンチセンス又はコサプレッション抑制のために、500bpを超える長さを有する配列が特に好ましい。これらの記述はBEI遺伝子発現の抑制に対応して当てはまる。
アンチセンス又はコサプレッションアプローチのために、R1タンパク質又はインベルターゼタンパク質をコードする植物細胞における内因性配列に対する高度の相同性を有するDNA配列を使用することも適当である。最小相同性は約65%より大きくあるべきである。少なくとも90%、特に95〜100%の相同性を有する配列の使用は好ましいはずである。これらの記述はBEI遺伝子発現の抑制に対応して当てはまる。
更に、アンチセンス又はコサプレッション効果を達成するために、イントロン、即ち、R1タンパク質又はインベルターゼタンパク質をコードする遺伝子の非コード領域、の使用も考えられる。
デンプン生合成のタンパク質をコードする遺伝子の遺伝子発現を抑制するためのイントロン配列の使用は、例えば、国際特許出願WO97/04112、WO97/04113、WO98/37213、WO98/37214に記載されている。これらの記述はBEI遺伝子発現の抑制に対応して当てはまる。
当業者は、アンチセンス及びコサプレッション効果をいかにして達成するかについては精通している。コサプレッション抑制の方法は、例えば、Jorgensen(Trends Biotechnol.8(1990),340-344),Niebel et al.,(Curr.Top.Microbial.Immunol.197(1995),91-103),Flavell et al.(Curr.Top.Microbial.Immunol.197(1995),43-46),Palaqui and Vaucheret(Plant.Mol.Biol.29(1995),149-159),Vaucheret et al.,(Mol.Gen.Genet.248(1995),311-317)、de Borne et al.(Mol.Gen.Genet.243(1994),613-621)に記載されている。
細胞中のある酵素の活性を減少させるためのリボザイムの発現も当業者に知られておりそして、例えば、EP−B1 0321201に記載されている。植物細胞中のリボザイムの発現は、例えば、Feyter et al.(Mol.Gen.Genet.250(1996),329-338)に記載されている。
更に、植物材料の植物細胞におけるR1又はインベルターゼ活性の減少は、細胞の形質転換により、ハイブリッドRNA−DNAオリゴヌクレオチド(「キメロプラス(chimeroplas)」を細胞に導入する「in vivo突然変異誘発」により達成することもできる(Kipp,P.B.et al.,Poster Session at the 5th International Congress of Plant Molecular Biology,21-27.September 1997,Singapore;R.A.Dixon and C.J.Arntzen,Meeting report on "Metabolic Engineering in Transgenic Plants",Keystone Symposia,Copper Mountain,CO,USA,TIBTECH 15,(1997),441-447;国際特許出願WO9515972;Kren et al.,Hepatology 25,(1997),1462-1468;Cole-Strauss et al.,Science 273,(1996),1386-1389;Beetham et al.,(1999),PNAS 96,8774-8778)。
RNA−DNAオリゴヌクレオチドのDNA成分の一部は、内因性R1又はインベルターゼ遺伝子の核酸配列に対して相同性であるが、それと比べて、突然変異を有するか又は相同性領域により囲まれている(enclosed)異種領域を含有する。
RNA−DNAオリゴヌクレオチド及び内因性核酸分子の相同性領域を塩基対化し、次いで相同性組換えにより、RNA−DNAオリゴヌクレオチドのDNA成分中に存在する突然変異又は異種領域は植物細胞のゲノム中に移すことができる。これは、1種又はそれより多くのR1又はインベルターゼタンパク質の活性の減少をもたらす。これらの記述はBEI遺伝子発現の抑制に対応して当てはまる。
更に、R1又はインベルターゼ活性は、抑制されるべきそれぞれの標的遺伝子、好ましくはR1又はインベルターゼ遺伝子のセンス及びアンチセンスRNA分子の同時発現により植物細胞において減少させることもできる。
これは、例えば、それぞれの標的遺伝子又は標的遺伝子の一部の逆方向反復(inverted repeats)含有するキメラ構築物を使用することにより達成することができる。この場合に、キメラ構築物はそれぞれの標的遺伝子のセンス及びアンチセンスRNA分子をコードする。センス及びアンチセンスRNAは1つのRNA分子として同時にin plantaで合成され、センス及びアンチセンスRNAはスペーサーにより互いに分離されておりそして二本鎖RNA分子を形成することができる。この技術は「RNAi技術」とも呼ばれる。
植物のゲノム中に逆方向反復DNA構築物を導入することは、逆方向反復DNA構築物に相当する遺伝子を抑制するための高度に有効な方法であることが示された(Waterhouse et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95,(1998),13959-13964; Wang and Waterhouse,Plant.Mol.Biol.43,(2000),67-82; Singh et al.,Biochemical Society Transactions Vol.28 Part6(2000),925-927;Liu et al.,Biochemical Society Transactions Vol.28 Part6(2000),927-929);Smith et al.,(Nature 407,(2000),319-320;国際特許出願WO99/53050 A1)。標的遺伝子(単数)又は標的遺伝子(複数)のセンス及びアンチセンス配列は、同じ又は異なるプロモーターによって互いに別々に発現させることもできる(Nap,J-P et al,6th Intenational Congress of Plant Molecular Biology,Quebec,18-24 June,2000;Poster S7-27,Presentation Session S7)。これらの記述はBEI遺伝子発現の抑制に対応して当てはまる。
ゆえに、植物材料の植物細胞におけるR1又はインベルターゼ活性の減少は、R1又はインベルターゼ遺伝子の二本鎖RNA分子を生成させることにより達成することもできる。好ましくは、この目的で、R1又はインベルターゼ遺伝子のDNA分子又はcDNAの逆方向反復が植物のゲノムに導入され、転写されるべきDNA分子(R1又はインベルターゼ遺伝子又はcDNAあるいはこれらの遺伝子又はcDNAの断片)は該DNA分子の発現を制御するプロモーターの制御下にある。これらの記述はBEI遺伝子発現の抑制に対応して当てはまる。
更に、in transでの植物におけるプロモーターDNA分子の二本鎖RNA分子の形成は、以後標的プロモーターと呼ばれることになるこれらのプロモーターの相同性コピーのメチル化及び転写不活性化をもたらすことができることは知られている(Mette et al., EMBO J.19,(2000),5194-5201)。
かくして、標的プロモーターの不活性化により、この標的プロモーターの制御下に天然に存在する或る標的遺伝子(例えば、R1又はインベルターゼ遺伝子)の遺伝子発現を減少させることが可能である。
即ち、抑制されるべき遺伝子(標的遺伝子)の標的プロモーターを含むDNA分子は、この場合に、植物中のプロモーターの元の機能とは対照的に、遺伝子又cDNAsの発現のための制御エレメントとして使用されるのではなくて、それら自身転写可能なDNA分子として使用される。
RNAヘアピン分子として存在することができる二本鎖標的プロモーターRNA分子をin plantaで生成させるために、好ましくは、標的プロモーターDNA分子の逆方向反復を含有する構築物が使用され、この標的プロモーターDNA分子は該標的プロモーターDNA分子の遺伝子発現を制御するプロモーターの制御下にある。次いでこれらの構築物を植物のゲノムに導入する。該標的プロモーターDNA分子の「逆方向反復」の発現はin plantaで二本鎖標的プロモーターRNA分子の形成をもたらす(Mette et al., EMBO J.19,(2000),5194-5201)。この手段によって、標的プロモーターを不活性化させることができる。かくして、植物細胞におけるR1又はインベルターゼ活性の減少は、R1又はインベルターゼ遺伝子のプロモーター配列の二本鎖RNA分子を生成させることにより達成することもできる。好ましくは、この目的で、R1又はインベルターゼプロモーターのプロモーターDNA分子の逆方向反復が植物のゲノムに導入され、転写されるべき標的プロモーターDNA分子(R1又はインベルターゼプロモーター)は該標的プロモーターDNA分子の発現を制御するプロモーターの制御下にある。これらの記述はBEI遺伝子発現の抑制に対応して当てはまる。
本発明の更なる態様では、外来核酸分子は、R1又はインベルターゼタンパク質をコードする遺伝子に挿入されたトランスポゾン又はトランスファーDNA(T−DNA)と呼ばれるものであり、該タンパク質の活性は植物材料の当該細胞において結果として減少させられる。これらの記述はBEI遺伝子発現の抑制に対応して当てはまる。
一般に、本発明の方法に適当な植物材料は相同性トランスポゾンを使用するのみならず異種トランスポゾンも使用して産生させることができ、相同性トランスポゾンの使用は植物ゲノム中にすでに天然に存在するトランスポゾンを意味するものとも理解される。これらの記述はBEI遺伝子発現の抑制に対応して当てはまる。
トランスポゾンにより遺伝子発現を改変することは当業者に知られている。植物バイオテクノロジーにおけるツールとして内因性及び異種トランスポゾンの使用の概説は、Ramachandran and Sundareson(2001,Plant Physiology and Biochemistry 39,234-252)に示される。特定の遺伝子がトランスポゾン挿入突然変異誘発により不活性化されている突然変異体を同定する可能性はMaes et al.(1999,Trends in Plant Science 4(3),90-96)による概説に記載されている。内因性トランスポゾンの助けによりイネ突然変異体を産生させることは、Hirochika(2001,Current Opinion in Plant Biology 4,118-122)により記載されている。内因性レトロトランスポゾンを使用するトウモロコシ遺伝子の同定は、例えば、Hanley et al.(2000,The Plant Journal 22(4),557-566)により報告されている。レトロトランスポゾンを使用して突然変異体を産生する可能性及び突然変異体を同定する方法は、Kumar and Hirochika(2001,Trends in Plant Science 6(3),127-134)により記載されている。異なる種における異種トランスポゾンの活性は、双子葉植物のみならず単子葉植物についても記載されている:例えば、イネについては(Greco et al.,2001,Plant Physiology 125,1175-1177;Liu et al.,1999,Molecular and General Genetics 262,413-420;Hiroyuki et al.,1999,The Plant Journal 19(5),605-613;Jeon and Gynheung,2001,Plant Science 161,211-219)、オオムギ(2000,Koprek et al.,The Plant Journal 24(2),253-263)、アラビアドプシス.タリアナ(Arabiadopsis Thaliana)(Aarts et al.,1993,Nature 363,715-717,Schmidt and Willmitzer,1989,Molecular and General Genetics 220,17-24;Altmann et al.,1992,Theoretical and Applied Genetics 84,371-383; Tissier et al.,1999,The Plant Cell 11,1841-1852),トマト(Belzile and Yoder,1992,The Plant Journal 2(2),173-179)及びジャガイモ(Frey et al.,1989,Molecular and General Genetics 217,172-177;Knap et al.,1988, Molecular and General Genetics 213,285-290)。
T−DNA挿入突然変異誘発は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)からのTi−プラスミドの或る区域(T−DNA)を植物細胞のゲノムに組み込むことができるということに基づいている。植物染色体における組込みの部位はここでは固定されておらず、それはいかなる所望の位置にあってもよい。もしT−DNAが遺伝子機能を表す染色体の区域に組み込まれるならば、これは遺伝子発現の改変をもたらすことができ、したがって問題の遺伝子によりコードされたタンパク質の活性の変化ももたらすことができる。特に、タンパク質のコード領域へのT−DNAの組込みは、しばしば、問題の細胞によりもはや合成されえない相当するタンパク質又は活性な形態にはない相当するタンパク質をもたらす。突然変異体を産生するためのT−DNA挿入の使用は、例えば、アラビドプシス.タリアナ(Krysan et al.,1999,The Plant Cell 11,2283-2290;Atipiroz-Leehan and Feldmann,1997,Trends in gnetics 13(4),152-156;Parinov and Sundaresan,2000,Current Opinion in Biotechnology 11,157-161)そしてイネ(Jeon and An,2001,Plant Science 161,211-219;Jeon et al.,2000,The Plant Journal 22(6),561-570)について記載されている。T−DNA挿入突然変異誘発を使用して産生された突然変異体を同定する方法は、中でも、Young et al.,(2001,Plant Physiology 125,513-518),Parinov et al.(1999,The Plant cell 11,2263-2270);Thorneycroft et al.,(2001,Journal of Experimental Botany 52,1593-1601)及びMcKinney et al.,(1995,The Plant Journal 8(4),613-622)により記載されている。
T−DNA突然変異誘発は、一般に、本発明の方法において使用することができる植物材料を産生するのに適当である。
本発明の方法の更なる態様では、遺伝子改変は、野生型植物の相当する遺伝子改変されていない植物細胞と比較して植物細胞中に存在する1種又はそれより多くのR1タンパク質の活性の減少をもたらすのみならず、同時に植物細胞中に存在するアイソフォームIの1種又はそれより多くの内因性分枝酵素(分枝酵素I=BEIタンパク質)の活性の減少ももたらす。
本発明に関しては、「BEIタンパク質」という用語は、アイソフォームIの分枝酵素(=BE)を意味するものと理解されるべきである。好ましくはBEIタンパク質はジャガイモ植物から生じる。
アイソフォームの命名は、ここではSmith−White及びPreissにより提唱された命名法に基づいている(Smith-White and Preis,plant Mol Biol.Rep.12,(1994),67-71,Larsson et al.,Plant Mol Biol.37,(1998),505-511)。この命名法は、トウモロコシからのBEIIタンパク質(Genbank Acc.NoAF072725,U65948)に対する相同性よりもトウモロコシからのBEIタンパク質(GenBank Acc.No.D11081;Baba et al., Biochem.Biophys.Res.Commun.181(1),(1991),87-94;Kim et al.,Gene 216,(1998),233-243)に対するアミノ酸レベルでのより高い相同性(同一性)を有するすべての酵素は、アイソフォームIの分枝酵素と呼ばれるか又は略してBEIタンパク質と呼ばれるという立場から出発する。
「BEIタンパク質」をコードする核酸分子は、多数の植物、例えば、トウモロコシ(Genbank Acc. No.D11081,AF072724)、イネ(Genbank Acc. No.D11082)、エンドウ豆(Genbank Acc. No X80010)及びジャガイモについて記載されている。ジャガイモからのBEI遺伝子及びBEIタンパク質の種々の形態は、例えば、Khoshnoodi et al.,Eur.J.Biochem.242(1),148-155(1996),Genbank Acc. No.Y08786及びKossmann et al.,Mol.Gen.Genet.230,(1991),39-44)に記載されている。ジャガイモ植物において、BEI遺伝子は主として塊茎において発現されそして葉においてはほとんど発現されない(Larsson et al.,Plant Mol.Biol,(1998),505-511)。
R1活性の減少をもたらす遺伝子改変に関して、上記した記述は当てはまる。BEIタンパク質I(分枝酵素I)の活性の減少をもたらす遺伝子改変は、1種又はそれより多くの外来核酸分子の導入であって、該核酸分子の存在及び/又は発現は、野生型植物の相当する遺伝子改変されていない植物細胞と比較して、植物細胞中に存在するアイソフォームIの1種又はそれより多くの内因性BEIタンパク質の活性の減少をもたらす、外来核酸分子の導入であることができる。
本発明に関して、「植物細胞中に存在するアイソフォームIの1種又はそれより多くの内因性分枝酵素の活性の減少」という用語は、BEIタンパク質をコードする1種又はそれより多くの内因性遺伝子の発現における相当する遺伝子改変されていない細胞と比較した減少、及び/又は植物材料の細胞におけるBEIタンパク質の量の減少及び/又は植物材料の細胞中のBEIタンパク質の酵素活性の減少を意味すると理解されるべきである。
発現の減少は、例えば、ノーザンブロット分析又はRT−PCRによりBEIタンパク質をコードする転写物の量を測定することにより決定することができる。減少は、好ましくは、相当する遺伝子改変されていない細胞と比較して転写物の量において、少なくとも50%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも95%の減少を意味する。
問題の植物細胞中のBEIタンパク質の減少した活性をもたらすBEIタンパク質の量の減少は、例えば、ウエスタンブロット分析、ELISA(Enzyme Linked Immuno Sorbent Assay)又はRIA(ラジオイムノアッセイ)の如き免疫学的方法により決定することができる。減少は、好ましくは、相当する遺伝子改変されていない細胞と比較してBEIタンパク質の量において、少なくとも50%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも95%の減少を意味する。
本発明の方法の更なる好ましい態様では、植物細胞中に存在するアイソフォームIの1種又はそれより多くの内因性BEIタンパク質の活性の減少をもたらす外来核酸分子は、
(a)BEIタンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少を引き起こす少なくとも1種のアンチセンスRNAをコードするDNA分子、
(b)コサプレッション効果により、BEIタンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少をもたらすDNA分子、
(c)BEIタンパク質をコードする内因性遺伝子の転写物を特異的方法で開裂する少なくとも1種のリボザイムをコードするDNA分子、
(d)in vivo突然変異誘発により導入されそして、内因性BEIタンパク質をコードする遺伝子における突然変異又は異種配列の挿入をもたらす核酸分子であって、該突然変異又は挿入は該遺伝子の発現の減少又は不活性BEIタンパク質の合成を引き起こす、核酸分子、
(e)少なくとも1種のアンチセンスRNAと少なくとも1種のセンスRNAを同時にコードするDNA分子であって、該アンチセンスRNAと該センスRNAはBEIタンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少を引き起こす二本鎖RNA分子を形成する、DNA分子、
(f)トランスポゾンを含有するDNA分子であって、該トランスポゾン配列の組込みはBEIタンパク質をコードする内因性遺伝子における突然変異又は挿入をもたらし、該突然変異又は挿入は該遺伝子の発現の減少又は不活性BEIタンパク質の合成を引き起こす、DNA分子、
(g)BEIタンパク質をコードする内因性遺伝子における挿入により、BEIタンパク質をコードする遺伝子の発現の減少又は不活性BEIタンパク質の合成を引き起こすT−DNA分子、
よりなる群から選ばれる。
本発明の方法の更なる態様では、使用される植物材料は、それが遺伝子改変されており、該遺伝子改変は、野生型植物からの相当する慣用の植物材料と比較して、アミノ酸、特にアスパラギンの含有率の減少をもたらすことを特徴とする。
本発明に関して、「遺伝子改変」は、野生型植物からの相当する慣用の植物材料と比較して、アミノ酸、特にアスパラギンの含有率の減少をもたらすいかなる遺伝子改変であってもよい。
アミノ酸含有率、特にアスパラギンの減少をもたらす遺伝子改変を生じさせるための種々の異なる考えられうる方法に関して、一般に上記した記述は糖の含有率の減少をもたらす遺伝子改変に関して当てはまる。
本発明の方法の更なる態様では、遺伝子改変は、遺伝子改変されていない野生型植物の相当する植物細胞と比較して植物細胞中に存在する1種又はそれより多くの内因性アスパラギンシンテターゼタンパク質の活性の減少をもたらす。
本発明に関して、「アスパラギンシンテターゼタンパク質」は、ATPのAMP及びピロホスフェートへの転化及びグルタミンのグルタメートへの転化を伴うアスパルテートのアスパラギンへの転化を触媒するタンパク質を意味すると理解されるべきである。アスパラギンシンテターゼ(asn1)についての配列情報は、例えば、Lam et al.(Plant Physiol.106(4),(1994),1347-1357)。
減少したアスパラギンシンテターゼ活性を有する植物は、相当する野生型植物と比較して、アスパラギンの減少した含有率を有する(Annual Meeting of the American Society of Plant Biologists in Madison,WI,USA,(1998),Molecular and transgenic studies of asparagine synthetase genes in Arabidopsis Thaliana,Abstract Number 535)。
したがって、「活性の減少」という用語の定義に関して、R1又はインベルターゼタンパク質に関して上になされた記述は当てはまる。アスパラギンシンテターゼの活性は、例えば、Romagni及びDayan(Journal of Agricultural & Food Chemistry 48(5),(2000),1692-1696)により記載された方法により決定することができる。
本発明の方法の更なる態様では、遺伝子改変は、1種又はそれより多くの外来核酸分子の導入であって、該核酸分子の存在及び/又は発現は遺伝子改変されていない野生型植物からの相当する植物細胞と比較して植物細胞中に存在する1種又はそれより多くの内因性アスパラギンシンテターゼタンパク質の活性の減少をもたらす、核酸分子の導入である。
「外来核酸分子」という用語はすでに前記した意味を有する。
本発明の方法の更なる態様では、外来核酸分子は
(a)アスパラギンシンテターゼタンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少を引き起こす少なくとも1種のアンチセンスRNAをコードするDNA分子、
(b)コサプレッション効果により、アスパラギンシンテターゼタンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少をもたらすDNA分子、
(c)アスパラギンシンテターゼタンパク質をコードする内因性遺伝子の転写物を特異的方法で開裂する少なくとも1種のリボザイムをコードするDNA分子、
(d)、内因性アスパラギンシンテターゼタンパク質をコードする遺伝子への突然変異又は異種配列の挿入をもたらすin vivo突然変異誘発により導入される核酸分子であって、該突然変異又は挿入は該遺伝子の発現の減少又は不活性アスパラギンシンテターゼタンパク質の合成を引き起こす、核酸分子、
(e)少なくとも1種のアンチセンスRNAと少なくとも1種のセンスRNAを同時にコードするDNA分子であって、該アンチセンスRNAと該センスRNAは、アスパラギンシンテターゼタンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少を引き起こす二本鎖RNA分子を形成する、DNA分子、
(f)トランスポゾンを含有するDNA分子であって、該トランスポゾン配列の組込みは内因性アスパラギンシンテターゼタンパク質をコードする遺伝子における突然変異又は挿入をもたらし、該突然変異又は挿入は該遺伝子の発現の減少又は不活性アスパラギンシンテターゼタンパク質の合成を引き起こす、DNA分子、
(g)内因性アスパラギンシンテターゼタンパク質をコードする遺伝子における挿入により、アスパラギンシンテターゼタンパク質をコードする遺伝子の発現の減少又は不活性アスパラギンシンテターゼタンパク質の合成を引き起こすT−DNA分子、
よりなる群から選ばれる。
したがって、これに関して、遺伝子工学的アプローチ(アンチセンス、コサプレッション及びリボザイム技術、in vivo突然変異誘発、トランスポゾン、T−DNA挿入)を行う際の種々の異なる状況において既に一般的に上でなされた記述はアスパラギンシンテターゼ活性の遺伝子改変に当てはまる。
本発明の方法の更なる態様では、遺伝子改変は、遺伝子改変されていない野生型植物の相当する植物細胞と比較して、ADP−グルコースピロホスホリラーゼタンパク質の活性の増加をもたらす。
ADPグルコースピロホスホリラーゼ活性は、例えば、Miuller-Roeber et al.(EMBO J.11,(1992),1229-1238)に記載の如くして決定することができる。
本発明に関して、「ADP−グルコースピロホスホリラーゼタンパク質」は、グルコース−1−ホスフェート及びATPのADP−グルコース及びピロホスフェートへの転化を触媒するタンパク質を意味するものと理解されるべきである。
本発明の方法の更なる態様では、遺伝子改変は1種又はそれより多くの外来核酸分子の導入であって、該核酸分子の存在及び/又は発現は遺伝子改変されていない野生型植物の相当する植物細胞と比較して、植物細胞中に存在する1種又はそれより多くのADP−グルコースピロホスホリラーゼタンパク質の活性の増加をもたらす、外来核酸分子の導入である。
ここで「外来核酸分子」はすでに上に定義した意味を有する。
好ましくは、外来核酸分子は、脱調節された(deregulated)ADP−グルコースピロホスホリラーゼ、特に好ましくは、glgC16と呼ばれそしてトランスジェニックジャガイモ植物における発現において、増加したデンプン合成速度をもたらすE.coliからのADP−グルコースピロホスホリラーゼをコードする。これらの植物の低温貯蔵されたジャガイモ塊茎は有意に減少したヘキソースの蓄積を示す(Stark et al.,Science 258,(1992),287-292;Stark et al.,Ann.NY Acad.Sci.792,(1996),26-37)。
更なる態様では、本発明は、相当する慣用の熱処理された食品と比較して減少したアクリルアミド含有率を有する熱処理された食品を製造する本発明の方法において使用することができる、上記した植物材料の使用に関する
更なる態様では、本発明は、相当する慣用の植物材料と比較して、減少したアクリルアミド含有率を有する熱処理された食品を製造するための可溶性糖及び/又はアミノ酸の減少した含有率を有する植物材料の使用に関する。
更なる態様では、本発明は、熱処理された食品のアクリルアミド含有率を減少させるための本発明の方法で使用することができる上記した植物材料の使用に関する。
更なる態様では、本発明は、減少したアクリルアミド含有率を有する熱処理された食品を製造するのに適当な植物材料を同定する方法であって、
a)熱処理された食品を製造するのに適当な植物材料中の可溶性糖及び/又はアミノ酸の含有率を決定し、そして
b)相当する慣用の植物材料と比較して、可溶性糖及び/又はアミノ酸の減少した含有率を有する製造工程a)に従うこのような植物材料を選ぶ、
ことを含む方法に関する。
本明細書において参照された刊行物及び特許のすべては、参照によりそのまま本明細書に組み込まれる。
方法
グルコース、フルクトース及びスクロースの決定
ジャガイモ塊茎中のグルコース、フルクトース及びスクロースの含有率を決定するために、ジャガイモ塊茎の小片(直径約10mm)を液体窒素中で冷凍し、次いで80%(容積/容積)エタノール0.5ml中で80℃で1時間抽出する。遠心(3分、3000rpm)の後、上澄液を取り出しそして沈殿物(deposit)を再び80%(容積/容積)エタノール0.5ml中に抽出する。この方法を繰り返す。一緒にした上澄液を使用して可溶性糖の量を決定する。
可溶性グルコース、フルクトース及びスクロースを下記の組成のアッセイ溶液において定量的に決定する。
100mMイミダゾール/HCl(pH6.9)
5mMMgCl
2mMNAD
1mMATP
サンプル200μl
グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(Leuconostoc mesenteroidesからの)2単位
アッセイ溶液を室温で5分間インキュベーションする。次いで200μlの反応容積に酵母ヘキソキナーゼ1500単位(グルコースを決定するために)、酵母ホスホグルコイソメラーゼ2.5単位(フルクトースを決定するために)、酵母β−フルクトシダーゼ350単位(スクロースを決定するために)を順次加えた後340nmでの吸収を測定することより慣用の測光法を使用して糖を決定した。
下記の実施例により本発明を説明する。
実施例1
ジャガイモ塊茎からのポテトクリスプ及びポテトチップの製造
ポテトクリスプ及びポテトチップを製造するために、R1遺伝子の減少した発現を有するトランスジェニックジャガイモ植物の熟したジャガイモ塊茎(Lorbeth et al.,Nature Biotechnology 16,(1998),473-477)及び減少したR1遺伝子発現及び更に分枝酵素I遺伝子の減少した発現(WO97/11188)を有するジャガイモ植物のジャガイモ塊茎を使用した。
クリスプ及びチップを更に収穫の直後及び種々の異なる時間4℃で貯蔵の後加工した。
塊茎を手で皮をむき、次いでスライサー(モデル Chef200,Saro Emmerich,Germanyからの)でスライスしてクリスプの製造用スライスとするか又はパンチ(Weisser,Germany)を使用して切断してチップを形成した。
サンプルを180℃の温度で植物脂肪(Palmaja,Meylip mbH&Co.KG,Germanny)を使用して種々の異なる時間ディープファットフライヤー(Frita4,Franke,Frifri aro GmbH,Germany)においてディープファットフライングした。
ディープファットフライングした生成物を次いで微粉砕しそしてそれらのアクリルアミド含有率を分析した。これは誘導体化の後GC/MS又はLD/MS−MSを使用して検出された(Epa method 8032a,U.S Environmental Protection Agency)これは、低く限定された測定に加えて、検出の高い選択性を確実にする。
ディープファットフライングされたサンプルの場合に、トランスジェニックジャガイモ塊茎におけるアクリルアミド含有率は相当する野生型植物の塊茎のアクリルアミド含有率と比較して少なくとも15%減少していることが見いだされた。
実施例2
減少したR1−及び分枝酵素I−遺伝子発現を有するジャガイモ塊茎から製造されたポテトクリスプ及びポテトチップのアクリルアミド含有率の決定
実施例1に従って製造されたポテトクリスプ及びポテトチップをそれらのアクリルアミド含有率について分析した。
遺伝子改変されていない植物は以後野生型植物と呼ぶ。減少したR1遺伝子発現(Lorbeth et al.,Nature Biotechnology 16,(1998),473-477)及び更に減少した分枝酵素I遺伝子発現(international patent application WO97/11188)を有するトランスジェニックジャガイモ植物は以後015VL001と呼ばれる。
ジャガイモ植物の収穫したばかりの塊茎が180℃で3分及び6分間のディープファットフライングのために使用されるならば、ポテトクリスプは下記のアクリルアミド含有率を有する:
Figure 2006505287
表1:クリスプ(収穫直後ジャガイモ塊茎から製造された)の百分率アクリルアミド含有率。野生型は100%に設定された。
絶対アクリルアミド含有率は増加するディープファットフライング時間と共に大きく増加する。これは野生型塊茎からのクリスプについてのみならずトランスジェニック塊茎からのクリスプについてもそうである。しかしながら、両ディープファットフライング時間について、トランスジェニックジャガイモ塊茎から製造されたクリスプにおけるアクリルアミド含有率の増加は、野生型植物のクリスプと比較して有意に減少している。3分のディープファットフライング時間では、トランスジェニッククリスプのアクリルアミド含有率は野生型クリスプと比較して約70%減少している。6分のディープファットフライング時間では、野生型と比較して約50%のトランスジェニッククリスプにおけるアクリルアミド形成の減少がある。
更なる実験においては、4℃で貯蔵されたジャガイモ塊茎を使用してポテトクリスプを製造した。収穫後、トランスジェニック塊茎尾及び関連した野生型塊茎を4℃で56日間貯蔵した。ポテトクリスプ及びポテトチップを製造しそして上記した条件下に種々の異なる時間180℃でディープファットフライングした。
Figure 2006505287
表2:クリスプ(4℃で貯蔵した塊茎から製造された)の百分率アクリルアミド含有率。野生型は100%に設定された。
絶対アクリルアミド含有率は4℃で貯蔵したジャガイモからの製品においては常に大きく増加する。しかしながら、トランスジェニックジャガイモ塊茎から製造されたクリスプにおけるアクリルアミド含有率は、相当する野生型植物から製造されたクリスプと比較して、3分のディープファットフライング時間及び6分のディープファットフライング時間の両方について、約70%少なく増加していることが示される。
更なる実験において、ポテトチップを実施例1に記載のようにして低温貯蔵されたジャガイモ塊茎(4℃で56日間貯蔵された)から製造しそしてディープファットフライングした。ポテトクリスプとは対照的に、ポテトチップは180℃て30秒間プレフライングし、キッチンペーパー上に置き、そして室温に冷却し、次いで特定された時間ディープファットフライングした。
Figure 2006505287
表3:ポテトチップ(低温貯蔵した塊茎から製造された)の百分率アクリルアミド含有率。野生型は100%に設定された。
絶対アクリルアミド含有率はポテトクリスプと比較してポテトチップではより低い。これは、多分主としてジャガイモkg当りポテトクリスプと比較してポテトチップのより小さい表面積による。この製品においても、百分率アクリルアミド含有率は、野生型塊茎から製造されたポテトチップと比較して、両ディープファットフライング時間についてトランスジェニックジャガイモ植物から製造されたポテトチップにおいて約50%の減少を示す。
クリスプ又はポテトチップの工業的製造に関して、スライスされたジャガイモはディープファットフライングの前にブランチングされる。ブランチングは水又はスチームブランチャーで行うことができる。ブランチング条件は固定された値ではなくて、使用されるジャガイモの品質に依存して極めて大きく変わる。ブランチングの間、可溶性糖は部分的に洗い流される。これはディープファットフライングにおけるジャガイモ製品のより均一な、褐色着色(browning)を引き起こす。
本発明の方法が相当する野生型塊茎からの製品と比較して変化したプロセス条件下にトランスジェニックジャガイモ植物から製造されたジャガイモ製品におけるアクリルアミド形成の減少ももたらすことを証明するために、スライスされたジャガイモを熱本管水(hot mains water)で洗浄することにより、ブランチングを実験室規模で行った。
この目的で、ジャガイモ(収穫後4℃で56日間貯蔵された)約200gを、各回45℃の本管水5リットルを使用して各回1.5分間で3回洗浄した。次いでスライスされたジャガイモを家庭用ペーパー上で乾燥しそして上記の如く180℃で3分間ディープファットフライングした。
Figure 2006505287
表4:洗浄されたクリスプ(ジャガイモ塊茎から製造された)の百分率アクリルアミド含有率。野生型は100%に設定された。
洗浄は洗浄されていないポテトクリスプと比較して野生型植物のジャガイモ塊茎から製造されたクリスプにおけるアクリルアミド形成を約16%減少させる。
野生型植物のジャガイモ塊茎から製造された「洗浄された」クリスプと比較して、トランスジェニックジャガイモ植物のジャガイモ塊茎から製造された「洗浄された」クリスプは約80%アクリルアミド形成が減少している。
更なる分析において、可溶性糖、特に、グルコース及び/又はフルクトースの含有率は、野生型植物の慣用の植物材料と比較して決定された。
この目的で、ジャガイモ塊茎の皮をむきそして約0.5cmのサンプル直径を有するサンプルをコルクボーラー(Rothからの)を使用して切り取った。このサンプルから、各場合に5つの異なる塊茎から、各回最初、4分の1及び2分の1からの約2mm厚さのスライスを反応容器中で一緒にしそして可溶性糖を測定するのに使用した。
植物材料の糖、特にフルクトース及びグルコースの含有率の決定は当業者に知られておりそして上記のように行われた。
Figure 2006505287
表6:相当する野生型(100%)の塊茎に基づく収穫されたばかりの塊茎サンプル及び貯蔵された塊茎サンプルの百分率可溶性糖含有率の比較
貯蔵は、野生型植物中の可溶性糖の含有率の鋭い上昇を引き起こす。系統015VLの塊茎は、収穫の直後、野生型植物と比較して約30%〜40%減少したグルコース又はフルクトースの含有率を示す。上記した低温貯蔵の後、相当する野生型植物と比較してトランスジェニック植物における約50%のグルコース又はフルクトースの減少がある。
グルコース又はフルクトースの含有率がクリスプ中のアクリルアミド含有率と相関するならば、ジャガイモ塊茎中のグルコース又はフルクトースの含有率とディープファットフライングされた製品クリスプ中のアクリルアミドの形成との間に線形相関があることが分かる。
かくして、熱処理された食品中のアクリルアミドの形成と熱処理された食品を製造するのに使用される植物材料の可溶性糖の含有率との間に相関があることが初めて示された。アクリルアミド形成の減少に対する効果は予想されたよりもはるかに顕著である。
実施例3
減少したR1遺伝子発現を有するジャガイモ塊茎から製造されたポテトクリスプ及びポテトチップのアクリルアミド含有率の測定
減少したR1遺伝子発現を有するジャガイモ塊茎から製造された実施例1に従って製造されたポテトクリスプ及びポテトチップをそれらのアクリルアミド含有率について分析した。
この場合に、実施例2に既に述べたように、最初に異なるディープファットフライング時間について試験を行いそして異なる貯蔵又は洗浄をされたサンプルも調べた。
実施例2に記載された結果が確認された、即ち、減少したR1遺伝子発現を有するジャガイモ塊茎から製造されたポテトクリスプ及びポテトチップは、実施例2で更に詳細に記載された条件下に、相当する遺伝子改変されていない野生型植物からのジャガイモ塊茎から製造された相当する製品と比較してより少ないアクリルアミドを同様に示す。
実施例4
減少したR1遺伝子発現を有する種々の種類のトランスジェニックジャガイモ植物の産生
減少したR1遺伝子発現を有するトランスジェニックジャガイモ植物を産生させるために、Rocha-Sosa et al.(EMBO J.(1989),23-29)に記載のように、アグロバクテリアを使用して、栽培品種Tomensa、Solara及びBintjeのジャガイモ植物にプラスミドIR5/29のT−DNAを移入した。
ベクターIR5/29に関する注
IR5/29は、なかでも、Solanum tuberosumからのパタチン遺伝子B33のプロモーターの配列(Rocha-Sosa et al.,(1989),上記参照)及び該プロモーターへの「センス」方位(“sense”orientation)における完全なR1−cDNA(Lorberth et al.Nature Biotechnology 16,(1998),473-477)を含有するプラスミドpGSV71の誘導体である。
pGSV71は、中間体ベクターpGSV1から誘導されるプラスミドpGSV7の誘導体である。pGSV1はpGSC1700の誘導体であり、pGSC1700の構築は、Cprnelissen及びVanderwieleにより記載されている((1989)、Nuclear transcriptional activity of the tobacco plastid psbA promotor.Nucleic Acids Research 17:19-29)。pGSV1は、pGSC1700からカルベニシリン耐性遺伝子の欠失及びプラスミドpTiB6S3のTL−DNA領域のT−DNA配列の欠失により得られた。
pGSV7はプラスミドpBR322の複製起点(Bolivar et al.,(1977),Construction and characterization of new cloning vehicles.II.A multipurpose cloning system.Gene,2:95-113)及びプソイドモナスプラスミドpVS1の複製起点(Itoh et al.,(1984),Genetic and molecular characterization of the Pseudomonas plasmid pVS1.PlasmidII:206-220)を含有する。
pGSV7は抗生物質スペクチノマイシン及びストレプトマイシンに対する耐性を与えるKlebsiella pneumoniaeからのトランスポゾンTn1331からの選択性マーカー遺伝子aadA(Tolmasky,(1990),Sequencing and expression of aadA,bla,and tnpR from the multiresistance transposon Tn1331.Plasmid.24(3):218-226; Tolmasky and Crosa,(1993),Genetic organization of antibiotic resistance genes(aac(6')-lb,aadA,and oxa9) in the multiresistance transposon Tn1331.Plasmid.29(1):31-40)も含有する。
プラスミドpGSV71は、pGSV7のボーダー領域(border regions)間のキメラバー遺伝子(chimeric bar gene)をクローニングすることにより得られた。キメラバー遺伝子は、転写を開始するためのカリフラワーモザイクウイルスのプロモーター配列(Odell et al.,(1985),Identification of DNA sequences required for activity of the Caouliflower Mosaic Virus 35S promotor.Nature 313:810-812),Streptomyces hygroscopicusからのバー遺伝子(Thompson et al.,(1987); Characterization of the herbicide resistance gene bar from Streptomyces hygroscopicus.The EMBO Journal,6:2519-2523)及び転写の終結及びポリアデニル化のためのpTiT37のT−DNAのノパリンシンターゼ遺伝子の非翻訳3’領域を含有する。バー遺伝子は除草剤グルホシネートアンモニウムに対する耐性を与える。
T−DNAは列挙された順番に下記のエレメント:
−pTiB6S3からのTL−DNAの左ボーダー配列(left border sequence)(Gielen et al.,(1984),The complete nucleotide sequence of the TL-DNA of the Agrobacterium tumefaciens plasmid pTiAch5.The EMBO J.3:835-846)、
−TL−DNAの左ボーダー配列に基づくセンス方位におけるSolanum tuberosumからのパタチン遺伝子B33のプロモーター(Rocha-Sosa et al.,1989,上記参照)、
−パタチンプロモーターに基づくセンス方位における完全なR1−cDNA(Lorberth et al.,(1998),上記参照)、
−TL−DNAの左ボーダー配列に基づくセンス方位におけるTiプラスミドpTiACH5のT−DNAのオクトピンシンターゼ遺伝子(遺伝子3)のポリアデニル化シグナル(3’端部)(Gielen et al.,(1984)、上記参照)、
−TL−DNAの左ボーダー配列に基づくアンチセンス方位におけるプラスミドpTiT37のT−DNAからのノパリンシンターゼ遺伝子(3’nos)の非翻訳3’端部のTaql断片(Depicker et al.,(1982),Nopaline synthase: transcript mapping and DNA sequence.Journal of molecular and applied Genetics 1:561-573)、
−TL−DNAの左ボーダー配列に基づくアンチセンス方位におけるStreptomyces hygroscopicus)からのホスフィノトリシン耐性遺伝子(バー)のコード配列(Thompson et al.(1987),上記参照)。バー野生型遺伝子の5'端部の2つの末端コドンはコドンATG及びGACにより置き換えられた。
−TL−DNAの左ボーダー配列に基づくアンチセンス方位におけるカリフラワーモザイクウイルスのP35S3プロモーター領域(Odell et al.,(1985),上記参照)、
−プラスミドpTiB6S3からのTL−DNAの右ボーダー配列(Gielen et al.,(1984),上記参照)、
を含有する。
種々のジャガイモ栽培品種が形質転換された後、ウエスタンブロット分析(Lorberth et al., Nature Biotechnology 16,(1998),473-477)を使用して栽培品種の各々について、その塊茎がコサプレッション効果により顕著に減少した量のR1タンパク質を有する種々の系統を同定した。
プラスミドIR5/29を使用する形質転換により得られる栽培品種Tomensaの植物は0931R植物と呼ばれ、栽培品種Solaraの植物は0951R植物と呼ばれそして栽培品種Bintjeの植物は0921R植物と呼ばれた。
系統0931R360、0951R049及び0921R002からのジャガイモ塊茎を使用してポテトチップを製造した(実施例5)。
実施例5
減少したR1遺伝子発現を有する異なる種々のジャガイモ塊茎から製造されたポテトチップのアクリルアミド含有率の決定
実施例4に従って産生された植物の収穫されたばかりのジャガイモ塊茎を実施例1に従って加工してポテトチップを製造しそして実施例2に従って180℃で30秒間プレディープファットフライングし、キッチンペーパー上に置きそして室温に冷却し、次いで180℃で3分間ディープファットフライングした。
製造されたポテトチップは下記のアクリルアミド含有率を有していた:
Figure 2006505287
表1:ポテトチップ(収穫の直後にジャガイモ塊茎から製造された)の百分率アクリルアミド含有率。各相当する野生型は100%に設定された。
部分的に製造されたポテトチップの絶対アクリルアミド含有率は、使用される栽培品種
間で相当変わる。これは主として可溶性糖の異なる絶対値による。例えば、栽培品種Solaraからのポテトチップは、例えば、最も高いアクリルアミド含有率のみならず最も高い可溶性糖含有率も示した。
しかしながら、ポテトチップの相対的アクリルアミド含有率は、使用されるすべてのトランスジェニック栽培品種について、野生型塊茎から製造されたポテトチップと比較して約45−50%のアクリルアミドの量の相当な減少を示した。
更なる分析において、可溶性糖、特に、グルコース、フルクトース及びスクロースの含有率を種々の栽培品種からのジャガイモ塊茎において決定した。
この目的で、実施例2に従ってジャガイモ塊茎の皮をむきそしてコルクボーラー(Rothからの)を使用して、直径約0.5mmのサンプルを切り取った。このコルクボーラーサンプルから、5つの異なる塊茎の各々から、各場合に、最初、4分の1及び中点(half way)から約2mm厚さのスライスを採取しそして反応容器中で一緒にしそして可溶性糖を決定するために使用した。
植物材料の糖、特に、フルクトース及びグルコースの含有率を上記のように決定した。
上記したとおり、可溶性糖の絶対値は調べた栽培品種間で大きく変わる。
栽培品種Solaraは、最も高いグルコース、フルクトース及びスクロース含有率を示す。Tomensaは最も低いグルコース、及びフルクトース含有率を示し、そしてBintjeは最も低いスクロース含有率を示す。系統0931R360からの塊茎は、収穫の直後、相当する野生型植物と比較して約30〜40%減少したグルコース及びスクロース含有率を示す。系統0951R049の塊茎は、収穫の直後、野生型植物と比較して約10〜30%減少したグルコース及びフルクトース含有率を示す。
総グルコース及び/又はフルクトース含有率がポテトチップにおけるアクリルアミド含有率と相関しているならば、グルコース及び/又はフルクトース含有率とポテトチップにおけるアクリルアミドの形成との間には線形相関があることが分かり得る。
かくして、減少したR1遺伝子発現を有するジャガイモ植物の使用は、相当する遺伝子改変されていない野生型植物から製造される相当する熱処理された食品と比較して顕著に減少したアクリルアミド含有率により区別される熱処理された食品、特にポテトチップの製造を可能とすることが種々の栽培品種について確認された。
実施例6
減少したR1遺伝子発現の種々の異なる種類の貯蔵されたジャガイモ塊茎から製造されたポテトチップのアクリルアミド含有率の決定
実施例4に従って製造された植物からの4℃で73日間貯蔵されたジャガイモ塊茎を実施例1に従ってポテトチップに加工しそして実施例2に従って180℃で30秒間ディープファットプレフライングし、キッチンペーパー上に置きそして室温に冷却し、次いで180℃で3分間ディープファットフライングした。
製造されたポテトチップは下記のアクリルアミド含有率を有していた:
Figure 2006505287
表1:ポテトチップ(4℃で貯蔵したジャガイモ塊茎から製造された)百分率アクリルアミド含有率。相当するそれぞれの野生型は100%に設定された。
4℃で貯蔵されたジャガイモからの製品における絶対アクリルアミド含有率は常に顕著に増加する。しかしながら、トランスジェニックジャガイモ塊茎からのポテトチップのアクリルアミド含有率は相当する野生型植物からのポテトチップと比較して約30〜45%少なく増加することも列挙された変種について見出される。
更なる実験において、減少したR1遺伝子発現を有する栽培品種Desireeのジャガイモ塊茎(Loberth et al.,Nature Biotechnology 16,(1998),473-477)を4℃で73日間貯蔵した。ポテトチップ及びクリスプを実施例1に記載のようにして製造した。クリスプを実施例2に記載の如くして180℃で3分間ディープファットフライングした。ポテトクリスプと対照的に、ポテトチップを180℃で30秒間ディープファットプレフライングし、キッチンペーパー上に置き、そして室温に冷却し、次いで3分間ディープファットフライングした。
製造されたポテトチップ及びクリスプは下記のアクリルアミド含有率を有していた:
Figure 2006505287
表2:ポテトチップ及びクリスプ(4℃で貯蔵した塊茎から製造された)の百分率アクリルアミド含有率。野生型は100%に設定された。
4℃で貯蔵したジャガイモからの製品の絶対アクリルアミド含有率は常に顕著に増加する。しかしながら、この実験においては、アクリルアミド含有率は、相当する野生型植物から製造されたクリスプと比較してトランスジェニックジャガイモ塊茎から製造されたクリスプにおいて約70%少なく増加することも見出される。
更なる実験においては、減少したR1遺伝子発現の栽培品種Desireeのジャガイモ塊茎(Loberth et al.,Nature Biotechnology 16,(1998),473-477)を8℃で73日間貯蔵した。これらの貯蔵されたジャガイモ塊茎を実施例1に従ってポテトチップに加工しそして実施と例2に従って180℃で30秒間ディープファットプレフライングし、キッチンペーパー上に置き、そして室温に冷却し、次いで180℃で3分間ディープファットフライングした。
製造されたポテトチップは下記のアクリルアミド含有率を有していた:
Figure 2006505287
表3:ポテトチップ(8℃で貯蔵した塊茎から製造された)の百分率アクリルアミド含有率。野生型は100%に設定された。
8℃で貯蔵したジャガイモ塊茎からの製品における絶対アクリルアミド含有率は、4℃で貯蔵したジャガイモ塊茎の場合におけると同じく大きくは増加しない。しかしながら、この実験においても、トランスジェニックジャガイモ塊茎からのポテトチップのアクリルアミド含有率は相当する野生型植物から製造されたポテトチップと比較して、約48%少なく増加することが見出される。

Claims (16)

  1. 熱処理された食品のアクリルアミド含有率を、相当する慣用の熱処理された食品と比較して減少させる方法であって、
    a)相当する慣用の植物材料と比較して減少した可溶性糖の含有率を有する植物材料を選択すること、
    b)該植物材料を加工して食品を得ること、そして
    c)加工工程b)において生成した食品を熱処理すること、
    を含む方法。
  2. 該アクリルアミド含有率を、相当する慣用の熱処理された食品のアクリルアミド含有率と比較して少なくとも15%減少させる、請求項1記載の方法。
  3. 該アクリルアミド含有率を、相当する慣用の熱処理された食品のアクリルアミド含有率と比較して少なくとも30%減少させる、請求項1記載の方法。
  4. 該熱処理が少なくとも100℃の温度で行われる、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 該熱処理された食品が、ポテトクリスプ、(ポテト)チップ、パーフライドポテトチップ、マッシュドポテト、ビスケット、クラッカー、クリスプブレッド、ブレックファーストシリアル、メイズクリスプ(タコス)、ポップコーン、ブレッドクリスプ、ウエイハー、サルトスティック、コーヒー、パン、ロール、ケーキ、ライスクリスプ、ピザ及びトースト、更にトルティーヤ、コロッケ、ウエッジ、ポテトスティック、ツイストパン、肉、魚及び野菜のパンコーティング、ナッツのパンコーティング、トルティーヤチップ、パンもしくはシリアル配合物、予備加熱調理されたミールベビーフードである、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 使用される植物材料が、遺伝子的に改変されており、該遺伝子的な改変が、野生型植物からの相当する慣用の植物材料と比較して可溶性糖の含有率の減少をもたらすことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 該遺伝子的な改変が、遺伝子的に改変されていない野生型植物の相当する植物細胞と比較して、植物細胞中に存在する1種又はそれより多くの内因性R1タンパク質の活性の減少をもたらす、請求項6記載の方法。
  8. 該遺伝子的な改変が、1種又はそれより多くの外来核酸分子の導入であり、該外来核酸分子の存在及び/又は発現が遺伝子的に改変されていない野生型植物の相当する植物細胞と比較して植物細胞中に存在する1種又はそれより多くの内因性R1タンパク質の活性の減少をもたらす、請求項6又は7記載の方法。
  9. 該外来核酸分子が、
    (a)R1タンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少を引き起こす少なくとも1種のアンチセンスRNAをコードするDNA分子、
    (b)コサプレッション効果により、R1タンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少をもたらすDNA分子、
    (c)R1タンパク質をコードする内因性遺伝子の転写物を特異的方法で開裂する少なくとも1種のリボザイムをコードするDNA分子、
    (d)in vivo突然変異誘発により導入されそして内因性R1タンパク質をコードする遺伝子における突然変異又は異種配列の挿入をもたらす核酸分子であって、該突然変異又は挿入が該遺伝子の発現の減少又は不活性R1タンパク質の合成を引き起こす、核酸分子、
    (e)少なくとも1種のアンチセンスRNAと少なくとも1種のセンスRNAを同時にコードするDNA分子であって、該アンチセンスRNAと該センスRNAがR1タンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の減少を引き起こす二本鎖RNA分子を形成する、DNA分子、及び
    (f)トランスポゾンを含有するDNA分子であって、該トランスポゾン配列の組込みがR1タンパク質をコードする内因性遺伝子における突然変異または挿入をもたらし、該突然変異又は挿入が該遺伝子の発現の減少又は不活性R1タンパク質の合成を引き起こす、DNA分子、
    (g)R1タンパク質をコードする内因性遺伝子における挿入により、R1タンパク質をコードする遺伝子の発現の減少又は不活性R1タンパク質の合成を引き起こすT−DNA分子、
    よりなる群から選択される、請求項8記載の方法。
  10. 該植物材料がジャガイモ植物を起源とする、請求項1〜4又は6〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 該熱処理された食品が、ポテトチップ、ポテトクリスプ、パーフライドポテトチップ及びマッシュドポテトよりなる群から選択される、請求項10記載の方法。
  12. 相当する慣用の熱処理された食品と比較して減少したアクリルアミド含有率を有する、熱処理された食品を製造するための、請求項1、6、7、8、9又は10記載の植物材料の使用。
  13. 該アクリルアミド含有率が、相当する慣用の熱処理された食品のアクリルアミド含有率と比較して少なくとも15%減少している、請求項12記載の使用。
  14. 該熱処理された食品が、ポテトクリスプ、(ポテト)チップ、パーフライドポテトチップ、マッシュドポテト、ビスケット、クラッカー、クリスプブレッド、ブレックファーストシリアル、メイズクリスプ(タコス)、ポップコーン、ブレッドクリスプ、ウエイハー、サルトスティック、コーヒー、パン、ロール、ケーキ、ライスクリスプ、ピザ及びトースト、更にトルティーヤ、コロッケ、ウエッジ、ポテトスティック、ツイスター、肉、魚及び野菜のパンコーティング、ナッツのパンコーティング、トルティーヤチップ、パンもしくはシリアル配合物、予備加熱調理されたミールベビーフードよりなる群から選択される、請求項12又は13記載の使用。
  15. 熱処理された食品のアクリルアミド含有率を減少させるための、請求項1、6、7、8、9、又は10記載の植物材料の使用。
  16. a)熱処理された食品を製造するために適当な植物材料の可溶性糖及び/又はアミノ酸の含有率を決定すること、及び
    b)相当する慣用の植物材料と比較して可溶性糖及び/又はアミノ酸の減少した含有率を有する、製造工程a)に従うこのような植物材料を選択すること、
    を含む、減少したアクリルアミド含有率を有する熱処理された食品を製造するために適当な植物材料を同定するための方法。
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