JP2006352194A - 光子送信器およびその制御方法と光子通信システム - Google Patents

光子送信器およびその制御方法と光子通信システム Download PDF

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Abstract

【課題】 クロック校正モードにおける受信側でのSN比劣化を防止しシステム伝送距離の制約を緩和しクロック校正精度を向上させる。
【解決手段】 送信される光パルス列の光強度を疑似単一光子状態と多光子状態との間で切り替えることができる光子送信器10において、光パルス列の経路中に半導体光アンプ(SOA)30を設ける。半導体光アンプのバイアス端子にはセレクタ31が接続され、疑似単一光子モードでは逆バイアス電圧が印加されて光減衰器として作用し、多光子モードでは順バイアス電圧が印加されて光増幅器として作用する。
【選択図】 図1

Description

本発明は光伝送路を用いた光子通信システムに係り、特にその光子送信器およびその制御方法に関する。
光子通信の分野において、量子鍵配布システムは伝送路の高秘匿性を実現するものとして近年盛んに研究されており種々の提案がなされている。量子鍵配布システムでは、暗号鍵の素情報により変調された光信号が理論的には1ビット当たり光子1個のエネルギーで送信されるために、伝送路途中で光ファイバの分岐による盗聴がなされたとしても、その光子は確率的に正規の受信者か盗聴者のいずれか一方にのみ到達し、双方が同じビット情報を入手することはありえない。したがって、正規の受信者に到達した情報のみを有効な暗号鍵として採用すれば、盗聴されていないことが確実な暗号鍵を送信者および受信者の双方で共有することができる。
理想的な単一光子発生源を作成する事は不可能では無いが、実用に耐えうる装置は現時点では非常に困難と考えられている。このために、近い将来での実用化段階では、1ビット当たり光子が2個となる確率が極めて小さいとみなせる擬似的な単一光子状態を用いるのが現実的である。具体的には、レーザ光源(LD)により生成したパルス光を各種の光減衰器で強力に減衰させ、疑似単一光子状態を作成する方法が一般的である。
一方、量子鍵配布システムの受信側では、光検出素子であるアバランシェフォトダイオード(APD)をガイガーモードで使用するのが一般的である。すなわち、光パルスの到来に合わせて、APDに逆バイアス電圧を短時間パルス状に印加する。ただし、降伏電圧以上の逆バイアスを印加するので、その印加時間が長くなると、APDはブレークダウンを起こし、ダークカウントと呼ばれる熱雑音に起因したノイズを生成する。このため、逆バイアス電圧の印加時間は、システム設計可能な範囲で、出来る限り短くする必要がある。例えば、1.3〜1.55μm帯の長波APDをマイナス数10℃に冷却した場合には、逆バイアスのパルス時間幅は、数nsec程度と非常に狭い幅である。
さらに、単一光子状態で送信された光子信号が受信器に到達するまでに、伝送路の減衰により、光子が消滅し、受信器に到達する光子は非常に少なくなる。例えば、1.55μm帯のシングルモードファイバを使用したシステムの場合には、ファイバの伝送損失により、100km伝送をした場合には、約20dBの損失を受け、その上に、送信時の疑似単一光子状態を実現するための平均光子数0.1Photon/bit、受信APDの量子効率0.1を掛けると、現実の光子検出される受信レートは、送信ビットレートの1/10000になる。したがって、光子受信器では、受信レートが非常に低い、言い換えると、0/1の分布であるマーク率が極端に零に近くなり、一般的な光通信システムのように受信信号からクロック成分を抽出することが不可能となる。
以上の説明のように、自己クロック抽出不可能で非常に小さい確率でしか到達しない光子信号を効率的に受信すること、および、APDの逆バイアス電圧印加時間をできるだけ短縮することを両立させるには、逆バイアス電圧パルスのAPDへの印加を光子到達のタイミングに整合させる必要がある。そのためには、光子パルスと同一周波数のクロック信号が必要となるが、送信器で用いた周波数の発信器と完全に同一のクロックを受信器側で独自に生成する事は不可能なので、光子信号と並行してクロック信号を送信器から受信器へ供給する必要がある。
たとえば、特表平8−505019号公報(特許文献1)には、量子チャネルと公共チャネルとを同一の光ファイバ上に設け、公共チャネルを利用してビット同期その他システムのタイミング較正を行う方法が提案されている。特許文献1に記載された方法では、レーザ光源の出力光のレベルを減衰器により減少させ、量子チャネルで使用するせいぜい1つの光子を含むパルスを生成する(11ページ8行〜11行、Fig. 4参照)。すなわち、送信器側で疑似単一光子状態と多光子状態との切り替えを行うことで、受信器内部のクロックの位相校正機能を実現している。
特表平8−505019号公報
しかしながら、上記従来の光子送信器を用いた光子通信システムでは、次のような課題が解決されていない。
第1の課題は、クロック校正モードにおける受信側での光強度のSN(信号対雑音)比劣化が生じるためにシステム伝送距離が制約されてしまうことである。このシステム構成上の制約は、単一光子通信モードでは盗聴不可能な信号伝達を実現するための本質的な制約として許容せざるを得ないが、多光子状態を用いたクロック校正モードでは解決すべき課題である。
上述した特許文献1のシステムによれば、送信器側に設けられたレーザ光源から出射されたレーザ光は、送信器から光ファイバ伝送路を通り受信器まで伝送される。1.55μm帯のレーザ光を用いてクロック校正を行う場合、ファイバの伝送損失を0.2dB/km、伝送路長を100kmとすると、伝送路損失は約20dBだが、送受信器双方の内部に使用する位相変調器などの損失を勘案すると、レーザ出力から受信器入力までの総損失は30dB以上になるであろう。これだけの大きな損失を受けた光信号をAPDで受信し、クロックを抽出し、精度の良いクロックの校正を行うことは、実用的な繰り返し周波数では、たとえ多光子状態であっても非常に困難である。以上の理由により、クロック校正時の多光子信号の損失が伝送距離の制約に繋がっている。
第2の課題はクロック校正時のジッタ劣化である。特に、光ファイバ伝送路における偏光の揺らぎを補償することができ、偏光に敏感な量子暗号鍵配布システムを実用化するための方式として期待されているプラグアンドプレイ方式では、送信器側の光位相変調器の中を、光パルスが往復して変調される。このために、変調クロストークを回避するには、1ビットの光パルス幅を1ビットのタイムスロットよりも短くする必要がある。
干渉計を使用した量子鍵配布システムでは、一般に1ビットが2つの光パルスからなることから、送信器側の位相変調器の中では、合計4つのパルスが同時に右と左に進むことになり、光パルスをシステムクロック周期の数分の一から十数分の一という短パルスにする必要がある。この制約から、光パルスは多光子状態であってもマーク率が非常に低く、その結果として、受信器側で受信したクロック信号にジッタが重畳し、精度の良いクロック校正を行うことを困難にしている。
第3の課題は、クロック校正モードと疑似単一光子モードとの間の遷移時間によるオーバヘッドの増大である。精度の良い光子受信を行うためには、光子到達にAPD受光器のガイガーモードを正確に同期させる必要がある。そのためには、出来る限り頻繁に受信器のクロック校正を行い、受信器の自走クロックの誤差を補正することが望ましい。
しかしながら、たとえば機械式の可変減衰器を用いると、減衰量変化のための可動部の移動時間は数ミリ秒から数秒のオーダを必要とする。このため、頻繁なクロック校正を行うと、システムの動作時間の大半を減衰器の可動時間が占める事にもなりかねず、オーバヘッドの増加の問題が発生する。
本発明では、上記課題を解決するために、光子送信器に内蔵する可変光減衰器の代わりに半導体光アンプ(SOA)を用いることを特徴とする。半導体光アンプ(SOA)は、電流の注入により光増幅器として動作するため、多光子状態でのクロック校正時に伝送損失や送受信器を構成する変調器などの光部品の損失を補償することができる。なお、「クロック」とは回路の動作時間の基準となるタイミング信号一般をいう。
本発明によれば、送信される光パルス列の光強度を疑似単一光子状態と多光子状態との間で切り替えることができる光子送信器は、光パルス列の経路中に設けられた半導体光アンプと、前記疑似単一光子状態と前記多光子状態のいずれに設定するかに依存して、前記半導体光アンプを利得状態あるいは損失状態にするためのバイアス電圧を選択するバイアス選択手段と、を有することを特徴とする。
本発明の一実施形態として、前記バイアス選択手段は、順バイアス電圧を供給する第1のバイアス源と、逆バイアス電圧を供給する第2のバイアス源と、前記多光子状態に設定する場合には前記第1のバイアス源を、前記疑似単一光子状態に設定する場合には前記第2のバイアス源をそれぞれ選択し、前記半導体光アンプにバイアス電圧を印加するバイアスセレクタと、を有する。
本発明による光子送信器により前記多光子状態の光パルス列を光子受信器へ送信することで光子受信器との動作タイミングの同期を精度よく確立することができる。なお、「動作タイミングの同期」はクロック同期、フレーム同期などを含む。特に、送信される光パルス列に伝送路を伝送中にパルス幅が広がるチャーピングをかけることでクロック校正の精度がさらに向上する。
本発明の他の側面によれば、半導体光アンプが損失状態のとき、半導体光アンプに流れる電流に基づいてクロック信号を抽出するクロック抽出手段を更に有することを特徴とする。本発明の一実施形態として、バイアス選択手段は、前記バイアスセレクタにより前記逆バイアス電圧が前記半導体光アンプに印加されている場合、前記半導体光アンプから出力される電流の変化を検出する電流検出手段と、前記検出された電流から前記光パルス列のクロック信号を抽出するクロック抽出手段と、を更に有する。
本発明による光子送信器はプラグアンドプレイ方式のシステムに適用することができ、光子受信器から入射した光パルス列を折り返して光子受信器側へ出射するための折り返し手段を更に有し、前記光パルス列は入射から出射まで前記半導体光アンプを2回通過することを特徴とする。
本発明による光子送信器は単一方向伝送方式のシステムに適用することができ、光パルス列を生成するパルス光源を当該光子送信器内に有し、光パルス列は前記半導体光アンプを通過して出射することを特徴とする。
本発明の更に別の側面によれば、光子受信器からダブルパルス列を入射する場合、入射方向のダブルパルスの一方のパルスと出射方向のダブルパルスの一方のパルスとが半導体光アンプを同じタイミングで通過するように折り返し手段の遅延時間が調整されていることを特徴とする。この場合、半導体光アンプの相互利得変調効果により、各ダブルパルスの一方のパルスのみが相対的に大きく増幅され擬似的なシングルパルスとして出射する単一パルス変換を実現できる。
本発明による光子送信器の制御方法は、送信される光パルス列の光強度を疑似単一光子状態と多光子状態との間で切り替えることができ、光パルス列の経路中に半導体光アンプを設けた光子送信器の制御方法であって、前記疑似単一光子状態に設定される場合には、前記半導体光アンプが利得状態になるバイアス電圧を選択して印加し、前記多光子状態に設定される場合には、前記半導体光アンプが損失状態になるバイアス電圧を選択して印加する、ことを特徴とする。送信される多光子状態の光パルス列がチャーピングにより伝送路を伝送中にパルス幅が広がるように、前記半導体光アンプへ印加するバイアス電圧を変調することが望ましい一実施形態である。
本発明によれば、従来の課題が解決されると共に、次のような効果を得ることができる。まず、半導体光アンプ(SOA)は、電流の注入により光増幅器として動作するため、クロック校正時の伝送損失や、変調器など送受信器を構成する光部品の損失を補償する事が可能となり、伝送距離の制約を緩和しクロック校正の精度を向上させることができる。
また、半導体光アンプ(SOA)は、注入電流の変化に従いサブnsec(ナノ秒)という高速な変調が可能であり、減衰器として用いる損失状態から利得状態への遷移を1ナノ秒以下で完了させることが可能である。
さらに、半導体光アンプ(SOA)に強い光パルスが入射すると、誘導放出により急激に活性層のキャリア密度が変化するために、光パルスにチャープが掛かり、その後の伝送による分散の影響を受け、パルス幅が拡張する。また、より積極的に、光パルスの通過に同期して注入電流を変調することにより半導体光アンプ(SOA)の活性層のキャリア密度の変調を行い、チャープ量を意図的に拡大し、伝送後の光パルスの幅をより広げマーク率を緩和することが可能となる。
疑似単一光子状態に対しては、ダイオード構造である半導体光アンプ(SOA)に逆バイアスを印加すると、光吸収体となり、可変光減衰器と同等の機能を果たすことが可能である。エルビウムドープド光ファイバアンプ(EDFA)では吸収した光の再放出によるバックグラウンドノイズの増加により光子受信SN比の劣化が懸念されるが、逆バイアス状態の半導体光アンプ(SOA)では、吸収したキャリアは外部に引き抜かれるので再放出されることが無いため、単一光子状態に対するノイズ源とならない。
また、半導体光アンプ(SOA)の外部に引き抜かれた電流をモニタすることにより、半導体光アンプ(SOA)は光受信器として機能するができる。プラグアンドプレイ方式では、光子送信器のクロック抽出回路に関する光カプラと光受信器の削減が可能である。
したがって、本発明の第1の効果は、システムの伝送距離を延長することが可能になることである。増幅機能を持った半導体光アンプ(SOA)を用いることで、伝送路の損失、変調器など送受信器を構成する光部品の損失を補償する事が可能となり、同期クロック校正時に発生する伝送距離の制約を緩和することができる。
また、半導体光アンプ(SOA)は逆バイアス状態では受光素子としての機能を持つため、送信側の同期クロック抽出用の光部品を削減することができ、分岐損失が緩和され、伝送距離が延長可能となる。光部品が削減されることから、同時にコストの削減効果も得られる。
本発明の第2の効果は、光子受信の効率が改善されることである。半導体光アンプ(SOA)の減衰量切り替え時間を極めて短時間で行えるため、オーバヘッド増大が回避できる。これによって、頻繁にクロック校正を行うことが可能となり、受信クロックの誤差抑制が可能となる。また、半導体光アンプ(SOA)の導波路内のキャリア密度の変化により出力光パルスにチャープを掛けることができるので、伝送後に光パルス幅が広がることで受信マーク率が改善することが可能である。
1.第1実施形態
1.1)構成
図1は本発明の第1実施形態による光子送信器の構成を示すブロック図である。ここでは、プラグアンドプレイ方式の場合の光子送信器を示している。プラグアンドプレイ方式については後述する(図10参照)。
本実施形態による光子送信器10は伝送路ファイバ24を通して光子受信器(図示せず)に接続されている。ファラデーミラー(FM)21、三酸化リチウムニオブ導波路型の位相変調器(LN−PM)22、半導体光アンプ(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)30、カプラ(CPL)23、および伝送路ファイバ24の間は光ファイバにより直列に接続されている。カプラ(CPL)23にはクロック受信器25が接続され、クロック受信器25はさらにクロックフィルタ26に接続されている。
半導体光アンプ(SOA)30は、周知のように、電流注入がないときには光を吸収し、電流注入があるときには光を増幅する作用を示す半導体素子であり、小型で集積が容易であるという利点を有する。半導体光アンプ(SOA)30にはSOAバイアス回路が接続され、半導体光アンプ(SOA)30に印加されるバイアス電圧を制御する。後述するように、クロック校正モードでは順バイアス電圧が半導体光アンプ(SOA)30に印加され、半導体光アンプ(SOA)30は利得状態となる。疑似単一光子モードでは逆バイアス電圧が印加され、半導体光アンプ(SOA)30は損失状態となる。
SOAバイアス回路は、バイアスバイアスセレクタ31、順電圧バイアス源32、逆電圧バイアス源33およびSOAバイアス制御部34からなる。バイアスバイアスセレクタ31は、SOAバイアス制御回路34の選択信号に従い、半導体光アンプ(SOA)30に印加するバイアス電源として、順電圧バイアス源32および逆電圧バイアス源33のいずれか片方を選択し、半導体光アンプ(SOA)30のバイアス端子へ接続する。バイアスバイアスセレクタ31として高速スイッチング素子を用いることで、バイアス電圧を数100psecの時間で切り替えることが可能である。
1.2)動作
光信号は伝送路ファイバ24から入射し、カプラ(CPL)23、バイアス制御された半導体光アンプ(SOA)30および位相変調器(LN−PM)22を通してファラデーミラー(FM)21で反射され、再び位相変調器(LN−PM)22、バイアス制御された半導体光アンプ(SOA)30およびカプラ(CPL)23を通して伝送路ファイバ24へ出射される。また、伝送路ファイバ24から入射した光信号はカプラ(CPL)23で分岐され、クロック受信器25へ入射する。
A)クロック校正モード
図2は、クロック校正モードにおける、本実施形態による光子送信器の光レベルの変化と比較例である光子送信器の光レベルの変化とを示す光信号レベル図である。
本実施形態による光子送信器の構成は図1に示すとおりであり、SOAバイアス制御回路34はバイアスバイアスセレクタ31を制御して順電圧バイアス源32を半導体光アンプ(SOA)30のバイアス端子に接続する。これによって半導体光アンプ(SOA)30は順バイアス電圧が印加され利得状態となっている。また、比較例としての光子送信器は、半導体光アンプ(SOA)30の代わりに光減衰器(ATT)が設けられ、クロック校正モードでは光減衰器の減衰量は最小に設定されている。
本実施形態による光子送信器では、伝送路ファイバ24から入射した光信号は、カプラ(CPL)23で減衰するが、利得状態となっている半導体光アンプ(SOA)30により増幅される。続いて、位相変調器(LN−PM)22で減衰し、ファラデーミラー(FM)21で反射する際に更に減衰する。反射した光信号は、さらに位相変調器(LN−PM)22で減衰するが、利得状態となっている半導体光アンプ(SOA)30により増幅される。そして、カプラ(CPL)23で減衰して伝送路ファイバ24へ出射される。
このように、本実施形態によれば、利得状態となっている半導体光アンプ(SOA)30を二回通過することにより、伝送路出射時の光信号レベルが、比較例よりも大きく上昇することがわかる。これにより、伝送後の受信器側において十分な光強度でクロック校正が可能となる。
具体的には、半導体光アンプ(SOA)30の利得が10dBの場合、半導体光アンプ(SOA)30を二回通過することにより、伝送路出射時のレベルが、比較例よりも20dB上昇する。20dBのレベル上昇は100kmの伝送路における減衰を補償することが可能である。したがって、光子受信器は十分な光強度でクロック校正信号を受信することが可能となる。
B)疑似単一光子モード
図3は、疑似単一光子モードにおける本実施形態による光子送信器の光レベルの変化を示す光信号レベル図である。
疑似単一光子モードでは、SOAバイアス制御回路34はバイアスセレクタ31を制御して逆電圧バイアス源33を半導体光アンプ(SOA)30のバイアス端子に接続する。これによって半導体光アンプ(SOA)30は逆バイアス電圧が印加され損失状態となっている。言い換えれば、半導体光アンプ(SOA)30は光源衰器として機能する。
伝送路ファイバ24から入射した通常の光強度を有する光信号は、カプラ(CPL)23でクロック校正モードと同様に減衰し、さらに、損失状態となっている半導体光アンプ(SOA)30により大きく減衰する。続いて、クロック校正モードと同様に位相変調器(LN−PM)22で減衰し、ファラデーミラー(FM)21で反射する際に更に減衰する。そして、反射した光信号は位相変調器(LN−PM)22で減衰し、さらに、損失状態となっている半導体光アンプ(SOA)30により大きく減衰する。このように、損失状態となっている半導体光アンプ(SOA)30を二回通過することで、カプラ(CPL)23を通して伝送路ファイバ24へ出射される光信号の出力レベルを擬似的に1ビット当たり単一光子状態と見なせる光強度にすることができる。
上述したように、半導体光アンプ(SOA)30が利得状態になるか損失状態になるかは、バイアスセレクタ 31により選択されたSOAバイアス電圧により決定され、バイアスセレクタ31に高速スイッチング素子を用いることで高速に切り替えることが可能である。具体的には、バイアス電圧を数100psecの時間で切り替えが可能であり、それに追従して半導体光アンプ(SOA)30は1nsec以下の時間で状態の遷移が完了する。
1.3)効果
上述したように、本実施形態によれば、半導体光アンプ(SOA)30の光増幅作用を利用することで、伝送路の損失、送受信器を構成する光部品の損失などを補償することができ、同期クロック校正時に発生する伝送距離の制約を緩和することができる。
また、半導体光アンプ(SOA)30の高速切り替え性能を利用することで、光子送信器10の送信パルス毎に単一光子状態と多光子状態との切り替えが可能となり、光子受信器側で頻繁な受信クロック校正を行うことができる。したがって、受信光子の到達とAPDのガイガーモードとの同期精度を高めることができ、高効率な光子受信が可能となる。
また、逆バイアス状態の半導体光アンプ(SOA)30は光吸収体になって光をキャリアとして吸収するが、吸収したキャリアは半導体光アンプ(SOA)30の外部に引き抜かれるので再放出されることが無く単一光子状態に対するノイズ源とならない。同じ光アンプでも、エルビウムドープド光ファイバアンプ(EDFA)では、吸収した光の再放出によるバックグラウンドノイズの増加があり、光子受信SN比の劣化が懸念される。本発明のように半導体光アンプ(SOA)を用いることで、単一光子状態に対するノイズのない高精度の光子通信が可能となる。
なお、図1において位相変調器(LN−PM)22の損失がその動作状態に依らず不変である事から、半導体光アンプ(SOA)30の配置を、図示した位相変調器(LN−PM)22とカプラ(CPL)23の間から、位相変調器(LN−PM)22とファラデーミラー(FM)21の間に変更しても良い。
また、ファラデーミラー(FM)21の代わりに、等価的な光学的特性を示すPBSループミラーを用いることもできる。PBSループミラーについては、本出願人が平成16年11月19日に出願した特願2004−335228号の明細書を参照されたい。
2.第2実施形態
図4は、本発明の第2実施形態による光子送信器の構成を示すブロック図である。ただし、図1と同様の機能を有するブロックには同一参照番号を付して説明は省略する。
本実施形態は、SOAバイアス回路がクロック再生機能を兼ねている点で図1の第1実施形態と異なっている。本実施形態におけるSOAバイアス回路は、バイアスセレクタ31、順電圧バイアス源32、逆電圧バイアス源33およびSOAバイアス制御部34に加えて、バイアスセレクタ31と逆電圧バイアス源33との間に、クロック信号周波数に対して十分に広帯域な電流検出回路35が挿入され、クロックフィルタ26を介してクロック信号を取り出すことができるように構成されている。クロック信号周波数に対して十分に広帯域の電流検出回路35としてはトランス・インピーダンス・アンプ(TIA)を用いる。
この電流検出回路(TIA)35とクロックフィルタ26から得られるクロック信号は、図1でのクロック受信器25とクロックフィルタ26から出力されるクロック信号と等化であるため、図1のカプラ(CPL)23は省略可能である。送受信光が通過するカプラ(CPL)23を省略できるので、カプラ(CPL)23における減衰がなくなり光出力レベルをさらに上昇させることができる。
バイアスセレクタ31は、上述したように、SOAバイアス制御回路34の選択信号に従い、クロック校正モードでは順電圧バイアス源32を、疑似単一光子モードでは逆電圧バイアス源33をそれぞれ選択し、半導体光アンプ(SOA)30のバイアス端子へ接続する。クロック校正モードでの動作は第1実施形態で説明したとおりであるから、ここでは省略する。
疑似単一光子モードでは、第1実施形態と同様に、逆電圧バイアス(−V)が印加されると半導体光アンプ(SOA)30は損失状態となる。周知のように、半導体光アンプ(SOA)はダイオード構造を有し、逆バイアスが印加されると光吸収体となり、可変光減衰器と同等の機能を有する。第1実施形態では、この光減衰器としての機能を利用して疑似単一光子モードを実現した。
既に述べたように、逆バイアス状態の半導体光アンプ(SOA)30が光吸収体になって光をキャリアとして吸収すると、吸収したキャリアは半導体光アンプ(SOA)30の外部に引き抜かれる。したがって、伝送路から入射した通常レベルの光パルスが半導体光アンプ(SOA)30に入射すると、光子が吸収されて減衰する一方で、その吸収したキャリアが電流として逆バイアス電源33側へ引き抜かれる。この受光電流をモニタすることにより、半導体光アンプ(SOA)30を光受信器として機能させることが可能である。
後述するプラグアンドプレイ方式において、光子受信器が所定のシステムクロックに従った通常レベルの光パルスを伝送路へ送信すると、その通常レベルの光パルスが伝送路を通して光子送信器の半導体光アンプ(SOA)30に入射する。したがって、半導体光アンプ(SOA)30のバイアス端子に逆電圧バイアス源33が電流検出回路(TIA)35を通して接続されていると、半導体光アンプ(SOA)30により受光された光パルスの電流が電流検出回路(TIA)35により電圧信号に変換され、クロックフィルタ26を通して光パルスのクロック信号を生成することができる。このクロック信号が光子送信器内のシステムクロックとして各部分に分配される。
このように、本実施形態によれば、半導体光アンプ(SOA)30を利用することで、光子受信器側から入射した通常レベルの光パルスからクロック校正用の光強度の高い光信号を出力することができ、疑似単一光子モードでは疑似単一光子の微弱な光信号を出力することができる。
さらに、半導体光アンプ(SOA)30は逆バイアス状態では受光素子としての機能を持つため、同じ光パルスからクロック信号を取得することが可能となり、送信側の同期クロック抽出用の光部品であるカプラ(CPL)23を削減することで分岐損失が緩和され、伝送距離が延長可能となる。光部品が削減されることから、同時にコストの削減効果も得られる。
なお、第1実施形態と同様に、図4において位相変調器(LN−PM)22の損失がその動作状態に依らず不変である事から、半導体光アンプ(SOA)30の配置を、図示した位相変調器(LN−PM)22と伝送路24の間から、位相変調器(LN−PM)22とファラデーミラー(FM)21の間に変更しても良い。また、ファラデーミラー(FM)21の代わりに、等価的な光学的特性を示すPBSループミラーを用いることもできる。
3.第3実施形態
図1および図4に示す光子送信器は、上述したように、ファラデーミラー(FM)21(あるいは同等のPBSループミラー)が入射光パルス列を反射し伝送路24へ出射する構成を有しているので、光パルス列が同一の半導体光アンプ(SOA)30を通して往復する。この場合、ファラデーミラー(FM)21で反射して右進するパルスと伝送路24から入射して左進するパルスとが、同一タイミングで半導体光アンプ(SOA)30を通過するように光子送信器10内の遅延時間を調整することができる。
同一タイミングで反対方向に進行する光パルスが到達すると、半導体光アンプ(SOA)30の利得は誘導放出により得られるために、飽和状態では強い信号に対する利得は弱い信号のそれよりも大きな値になる。このクロスゲインモジュレーション(XGM:相互利得変調)という現象を利用することで、2つのパルスを擬似的に単一のパルスへ変換することができ、クロック校正モードにおけるクロック校正用の光信号としてより大きな光強度を得ることができる。
図1および図4に示す光子送信器の構成はプラグアンドプレイ方式の光子通信システムにおけるものである。後述するように、プラグアンドプレイ方式では送信器と受信器との間で干渉計が構築される。光子受信器は、システムクロックのタイミングで単一の光パルスを生成し、それを光カプラによって前後した2つのパルスであるダブルパルスに変換して伝送路へ送信する。
図1あるいは図4に示す光子送信器において、光パルス列が半導体光アンプ(SOA)30を左進で通過する時から、ファラデーミラー(FM)21で反射されて再び半導体光アンプ(SOA)30を右進で通過するまでの遅延時間を調節することにより、右進パルスと左進パルスを半導体光アンプ(SOA)30の内部で重なるようにタイミング調節し、上述したクロスゲインモジュレーション(XGM)現象を積極的に利用してダブルパルスを擬似的なシングルパルスへ変換する。
図5は、本発明の第3実施形態による光子送信器におけるクロスゲインモジュレーション(XGM)現象を説明するための模式的なタイムチャートである。図5の縦軸方向は時間の流れを、横軸方向は第2実施形態による光子送信器の部品の配置に対応し、中央の網掛け部が半導体光アンプ(SOA)30の利得領域を示す。
時刻Aでは、伝送路から位相変調器(LN−PM)22へ左進するパルス列のダブルパルスの第一パルスが半導体光アンプ(SOA)30を通過し増幅されている。このとき、逆方向に右進するパルスは、まだ半導体光アンプ(SOA)30に到達していない。
時刻Bでは、左進するパルスの第二パルスと、右進するパルスの第一パルスが半導体光アンプ(SOA)30の中を同時に通過している。このとき、半導体光アンプ(SOA)30の利得は誘導放出により得られるため、飽和状態では、強い信号に対する利得が弱い信号に対する利得よりも大きな値となる。右進パルスの第一パルスは時刻Aで増幅された大きなパルス強度であるから、時刻Cに示すように、右進パルスの第一パルスが大きく増幅され、右進パルスの第二パルスへの利得は相対的に小さな値となる。
このように、右進パルスが伝送路24へ出射される時刻Dでは、第一パルスと第二パルスの強度比が入射時と比較して拡大し、結果として、擬似的な単一パルスに変換されたことなる。すなわち、右進パルスと左進パルスを半導体光アンプ(SOA)30の内部で重なるようにタイミング調節することで、半導体光アンプ(SOA)30のクロスゲインモジュレーション(XGM)現象を積極的に利用し、半導体光アンプ(SOA)30をダブルパルスから単一パルスへの擬似的なパルス変換器として利用することが可能である。
このような半導体光アンプ(SOA)30のクロスゲインモジュレーション(XGM)現象を利用して単一パルス変換を行うことで、クロック校正モードにおいて伝送路出射時の光信号レベルをさらに上昇させることができ、伝送後の受信器側において十分な光強度でクロック校正が可能となり、同期クロック校正時に発生する伝送距離の制約を緩和することができる。
4.第4実施形態
4.1)構成
図6は本発明の第4実施形態による光子送信器の構成を示すブロック図である。ここでは、単一方向伝送方式の光子送信器を示している。単一方向伝送方式は、プラグアンドプレイ方式とは異なり、光子送信器10内にシステムクロック源11が設けられ、システムクロックに同期した光パルスが光子送信器10から周期的に出射する。ただし、図1と同様の機能を有するブロックには同一参照番号を付して説明は省略する。
図6において、本実施形態による光子送信器10は、システム全体の同期を取るためのシステムクロック源11を有し、そのシステムクロックに同期してレーザ光源(LD)12から光パルス列が周期的に出射する。この光パルス列の各パルスは、カプラ(CPL)27により二分岐され、一方の光パルスはそのままカプラ(CPL)28に入射し、他方の光パルスは位相変調器(LN−PM)22によって位相変調されカプラ(CPL)28に入射する。
カプラ(CPL)27と28の間の2つの経路(すなわち位相変調されない経路と位相変調される経路)は光路長が異なっており、この光路長差によりカプラ(CPL)28で合流した2つの光パルスは、位相変調を受けた光パルスと位相変調されていない光パルスとが相前後したダブルパルスとなり、半導体光アンプ(SOA)30を通して伝送路24へ出射する。
半導体光アンプ(SOA)30およびSOAバイアス回路の構成については、第1実施形態で説明したとおりであるから、同一参照番号を付して詳細な説明は省略する。上述したように、半導体光アンプ(SOA)30は、クロック校正モードでは順バイアス電圧が印加されて利得状態となりダブルパルス列の増幅を行い、疑似単一光子モードでは逆バイアス電圧が印加されて損失状態となりダブルパルス列を疑似単一光子状態に減衰させる。
ただし、本実施形態において、レーザ光源(LD)12から出射する光パルス列は、疑似単一光子状態での伝送後の受信特性の要求から、そのパルス時間幅は十分に狭いものとし、その結果、パルス列のマーク率は非常に低い(ゼロに近い)ものとする。
4.2)チャープドパルスの伝送
図7は、本発明の第4実施形態による光子送信器を用いたシステムにおける光パルス列の変化を示す波形図である。
図7(a)に示す零に近いマーク率の光信号が順バイアスされた半導体光アンプ(SOA)30に入射して増幅されると、図7(b)に示すように強いパタン効果によるチャーピングが発生する。具体的には、半導体光アンプ(SOA)30の導波路活性層内部への注入電流に対して入射光信号の無信号状態が継続すると、反転分布が増大した状態になる。そこへ光パルスが入射すると、飽和状態の反転分布から急激に誘導放出によるキャリアの消費が起こり、その結果、導波路の屈折率が急激に変化し、光パルスの立ち上がり時にチャーピングが発生する。
このチャープドパルスを伝送すると、図7(c)に示すように、伝送路ファイバ24の波長分散によりパルス幅が拡幅される。もともと零に近いマーク率の光パルスが拡幅されることは、マーク率が0.5に近くなる方向に緩和されることを意味し、光パルスの受信においてSN比の改善が期待できる。したがって、クロック校正時のクロックジッタ量が減少するので、クロック校正後の単一光子状態での光子受信精度が向上する。
上述したチャープ付加方式は、後述するプラグアンドプレイ方式に対しても同様に適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
なお、第1実施形態と同様に、図6において位相変調器(LN−PM)22の損失がその動作状態に依らず不変である事から、半導体光アンプ(SOA)30をレーザ光源(LD)12とカプラ(CPL)27の間に設けてもよい。
5.第5実施形態
5.1)構成
図8は本発明の第5実施形態による光子送信器の構成を示すブロック図である。ここでは、単一方向伝送方式の光子送信器を例示するが、図6と同様の機能を有するブロックには同一参照番号を付して説明は省略する。図6に示す第4実施形態との相違点は、SOAバイアス回路の構成である。
本実施形態による光子送信器10のバイアス回路では、順電圧バイアス源32に増幅変調信号発生部32aが設けられ、増幅変調信号発生部32aはシステムクロックに同期して順バイアス電圧を変調する。この変調は、クロック校正モードにおいてバイアスセレクタ31が順電圧バイアス源32を選択しているときに行われ、半導体光アンプ(SOA)30が光パルスを増幅する際に光パルスに対して強いチャーピングが付与される。
5.2)チャープドパルスの生成
図9は、本発明の第5実施形態による光子送信器を用いたシステムにおける光パルス列の変化を示す波形図である。レーザ光源12は、図9(a)に示すように、システムクロックに同期して光パルス列を出射する。
図9(b)に示すように、SOAバイアス制御信号がクロック校正モードになると、バイアスセレクタ31は順電圧バイアス源32および増幅変調信号発生部32aを選択する。これによって、図9(c)に示すように、半導体光アンプ(SOA)30に印加される順バイアス電圧(+V)は、システムクロックに従って動作する増幅変調信号発生部32aにより、光パルスの通過に同期して変調される。その結果、図9(d)に示すように、半導体光アンプ(SOA)30の出力光パルスは変調を受けてチャープし、伝送路24へ出射する。
このチャープドパルスを伝送すると、図9(e)に示すように、伝送路ファイバ24の波長分散によりパルス幅が拡幅し、第4実施形態で説明したように受信クロックのSN比の改善が得られる。
なお、チャーピングしたパルス波形が伝送により拡幅する場合、受信パルス幅は伝送路長に依存するため、伝送距離が変化すると、受信パルス幅が変化する。これに対しては、増幅変調信号発生部32aから出力する変調強度を伝送路長に応じて調節することで、半導体光アンプ(SOA)30を通過した後のパルスのチャープ量を調整し、受信時のパルス幅を最適な値に調節すればよい。
このようにして、クロック校正時のクロックジッタ量を減少させることができ、クロック校正後の疑似単一光子モードでの光子受信精度を向上させることができる。
なお、上述したチャープ付加方式は、後述するプラグアンドプレイ方式に対しても同様に適用可能であり、同様の効果を得ることができる。また、第4実施形態と同様に、図8において位相変調器(LN−PM)22の損失がその動作状態に依らず不変である事から、半導体光アンプ(SOA)30をレーザ光源(LD)12とカプラ(CPL)27の間に設けてもよい。
6.プラグアンドプレイ方式
上述した本発明の各実施形態による光子送信器10は、プラグアンドプレイ方式の量子鍵配布システムに適用可能である。プラグアンドプレイ方式の量子鍵配布システムは、最も実用化に適した構成として頻繁に用いられている。
図10は、本発明による光子送信器を用いたプラグアンドプレイ方式の量子暗号鍵配布システムの概略的構成を示すブロック図である。光子送信器10は、上述した各実施形態の構成を用いることができるので詳細は省略するが、以下、図1に示す第1実施形態の光送信器10を一例とし、クロック校正モードの動作について説明する。ただし、光子送信器10には、図示されていない同期信号を折り返す回路が設けられているものとする。
量子暗号鍵配布システムでは、量子暗号鍵の光子受信器50(通例に従って「Bob」という。)にシステムクロック源51が設けられ、システムクロックに同期してレーザダイオード(LD)52から光パルス列がサーキュレータ53へ出力される。サーキュレータ53により光パルス列は光カプラ54側へ出力され、光カプラ54によって各光パルスは2分割される。
2分割されたうちの一方の光パルスP1は短いパスを通して偏光ビープスプリッタ(PBS)56へ入射し、他方の光パルスP2は位相変調器55が介在する長いパスを通してPBS56に入射する。こうして、それぞれ相前後したダブルパルス(P1およびP2)が光多重分離部57を通して光子送信器10(以下、通例に従い「Alice」という。)へ送信される。
Alice10の半導体光アンプ(SOA)30は、クロック校正モードでは増幅状態に設定されている。光伝送路24を通して光パルスP1およびP2を順次受信すると、ファラデーミラー21で反射し、半導体光アンプ(SOA)30により増幅されてBob50へ返送される。既に説明したように、半導体光アンプ(SOA)30により増幅されるので、光強度の高いクロック校正用の光パルスを返送することができる。
Bob50では、Alice10から受信した光パルスP1およびP2がPBS56およびカプラ54を通してAPD59により検出され、クロック信号として位相比較器60へ出力される。
他方、システムクロック源51のシステムクロックは、光送信器62により上記光パルスP1およびP2とは異なる波長(古典チャネル)の光パルスとして光子送信器10へ送信され、そこで折り返された光パルスが光受信器63により受信され、クロック信号として位相比較器60へ出力される。
こうして位相比較器60は、量子チャネル側の波長のクロック信号と古典チャネル側のクロック信号との位相を比較し、その位相の差に応じて可変遅延部61の遅延量を制御し、量子チャネルと古典チャネルとの同期を確立することができる。
本発明は光ファイバ等の光伝送路を用いた光子通信システムのクロック同期に適用可能であり、たとえば量子鍵配布システム等の光子通信システムに適している。
本発明の第1実施形態による光子送信器の構成を示すブロック図である。 クロック校正モードにおける、本実施形態による光子送信器の光レベルの変化と比較例である光子送信器の光レベルの変化とを示す光信号レベル図である。 疑似単一光子モードにおける本実施形態による光子送信器の光レベルの変化を示す光信号レベル図である。 本発明の第2実施形態による光子送信器の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態による光子送信器におけるクロスゲインモジュレーション(XGM)現象を説明するための模式的なタイムチャートである。 本発明の第4実施形態による光子送信器の構成を示すブロック図である。 本発明の第4実施形態による光子送信器を用いたシステムにおける光パルス列の変化を示す波形図である。 本発明の第5実施形態による光子送信器の構成を示すブロック図である。 本発明の第5実施形態による光子送信器を用いたシステムにおける光パルス列の変化を示す波形図である。 本発明による光子送信器を用いたプラグアンドプレイ方式の量子暗号鍵配布システムの概略的構成を示すブロック図である。
符号の説明
10 光子送信器
11 システムクロック源
12 レーザ光源
21 ファラデーミラー
22 位相変調器
23 カプラ
24 伝送路ファイバ
25 クロック受信器
26 クロックフィルタ
27、28 カプラ
30 半導体光アンプ
31 バイアスセレクタ
32 順電圧バイアス源
32a 振幅変調信号発生部
33 逆電圧バイアス源
34 SOAバイアス制御部
35 電流検出回路(TIA)

Claims (19)

  1. 送信される光パルス列の光強度を疑似単一光子状態と多光子状態との間で切り替えることができる光子送信器において、
    光パルス列の経路中に設けられた半導体光アンプと、
    前記疑似単一光子状態と前記多光子状態のいずれに設定するかに依存して、前記半導体光アンプを利得状態あるいは損失状態にするためのバイアス電圧を選択するバイアス選択手段と、
    を有することを特徴とする光子送信器。
  2. 前記バイアス選択手段は、
    順バイアス電圧を供給する第1のバイアス源と、
    逆バイアス電圧を供給する第2のバイアス源と、
    前記多光子状態に設定する場合には前記第1のバイアス源を、前記疑似単一光子状態に設定する場合には前記第2のバイアス源をそれぞれ選択し、前記半導体光アンプにバイアス電圧を印加するバイアスセレクタと、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の光子送信器。
  3. 前記多光子状態の光パルス列を送信することで送信先の光子受信器との動作タイミングの同期を確立することを特徴とする請求項1に記載の光子送信器。
  4. 前記送信される光パルス列は、チャーピングにより伝送路を伝送中にパルス幅が広がることを特徴とする請求項3に記載の光子送信器。
  5. 前記チャーピングは、送信すべき光パルス列が前記半導体光アンプにより増幅されることで付与されることを特徴とする請求項4に記載の光子送信器。
  6. 前記バイアス選択手段は前記バイアス電圧を振幅変調する振幅変調手段を有し、
    前記チャーピングは、前記振幅変調手段により振幅変調されたバイアス電圧を前記半導体光アンプに印加することで付与されることを特徴とする請求項4に記載の光子送信器。
  7. 前記バイアス選択手段は、
    順バイアス電圧を供給する第1のバイアス源と、
    逆バイアス電圧を供給する第2のバイアス源と、
    前記多光子状態に設定する場合には前記第1のバイアス源を、前記疑似単一光子状態に設定する場合には前記第2のバイアス源をそれぞれ選択し、前記半導体光アンプにバイアス電圧を印加するバイアスセレクタと、
    前記第1のバイアス源と前記バイアスセレクタとの間に接続され、前記送信される光パルスにチャーピングを付与するために前記順バイアス電圧を振幅変調する振幅変調手段と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の光子送信器。
  8. 前記バイアス選択手段の切り替えに要する時間は前記光パルス列の繰り返し周期以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光子送信器。
  9. 前記半導体光アンプが損失状態のとき、前記半導体光アンプに流れる電流に基づいてクロック信号を抽出するクロック抽出手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の光子送信器。
  10. 前記バイアス選択手段は、
    前記バイアスセレクタにより前記逆バイアス電圧が前記半導体光アンプに印加されている場合、前記半導体光アンプから出力される電流の変化を検出する電流検出手段と、
    前記検出された電流から前記光パルス列のクロック信号を抽出するクロック抽出手段と、
    を更に有することを特徴とする請求項2に記載の光子送信器。
  11. 前記電流検出手段は、前記バイアスセレクタと前記第2のバイアス源との間に接続されていることを特徴とする請求項10に記載の光子送信器。
  12. 光子受信器から入射した光パルス列を折り返して前記光子受信器側へ出射するための折り返し手段を更に有し、前記光パルス列は入射から出射まで前記半導体光アンプを2回通過することを特徴とする請求項1に記載の光子送信器。
  13. 前記光パルス列を生成するパルス光源を当該光子送信器内に有し、前記光パルス列は前記半導体光アンプを通過して出射することを特徴とする請求項1に記載の光子送信器。
  14. 光子受信器から入射したダブルパルス列を折り返して前記光子受信器側へ出射するための折り返し手段を更に有し、
    入射方向のダブルパルスの一方のパルスと出射方向のダブルパルスの一方のパルスとが前記半導体光アンプを同じタイミングで通過するように前記折り返し手段の遅延時間が調整されていることを特徴とする請求項3に記載の光子送信器。
  15. 前記半導体光アンプの相互利得変調効果により、各ダブルパルスの一方のパルスのみが相対的に大きく増幅され擬似的なシングルパルスとして出射することを特徴とする請求項14に記載の光子送信器。
  16. 光子受信器と光子送信器とが光伝送路を通して接続された光子通信システムにおいて、
    前記光子受信器は、
    所定のタイミングで光パルス列を生成し、前記光子送信器へ送出するパルス送信手段と、
    前記光子送信器から入射した光パルス列に基づいてクロック校正を行うクロック校正手段と、
    を有し、
    前記光子送信器は、
    前記光子受信器から入射した光パルス列を折り返す折り返し手段と、
    前記入射した光パルス列の当該光子送信器内の経路中に設けられた半導体光アンプと、
    前記光子受信器へ送信する光パルス列を疑似単一光子状態と多光子状態のいずれに設定するかに依存して、前記半導体光アンプを利得状態あるいは損失状態にするためのバイアス電圧を選択するバイアス選択手段と、
    を有し、多光子状態の光パルス列をクロック校正用として前記光子受信器へ送信することを特徴とする光子通信システム。
  17. 光子受信器と光子送信器とが光伝送路を通して接続された光子通信システムにおいて、
    前記光子送信器は、
    所定のタイミングで光パルス列を生成するパルス光源と、
    前記光パルス列の当該光子送信器内の経路中に設けられた半導体光アンプと、
    前記光子受信器へ送信する光パルス列を疑似単一光子状態と多光子状態のいずれに設定するかに依存して、前記半導体光アンプを利得状態あるいは損失状態にするためのバイアス電圧を選択するバイアス選択手段と、
    を有し、多光子状態の光パルス列をクロック校正用として前記光子受信器へ送信することを特徴とする光子通信システム。
  18. 送信される光パルス列の光強度を疑似単一光子状態と多光子状態との間で切り替えることができ、光パルス列の経路中に半導体光アンプを設けた光子送信器の制御方法において、
    前記疑似単一光子状態に設定される場合には、前記半導体光アンプが利得状態になるバイアス電圧を選択して印加し、
    前記多光子状態に設定される場合には、前記半導体光アンプが損失状態になるバイアス電圧を選択して印加する、
    ことを特徴とする光子送信器の制御方法。
  19. 前記送信される多光子状態の光パルス列がチャーピングにより伝送路を伝送中にパルス幅が広がるように、前記半導体光アンプへ印加するバイアス電圧を変調することを特徴とする請求項18に記載の光子送信器の制御方法。

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