JP2006349612A - 温度センサ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の熱電対では、測温接点(測温部64)をエポキシ樹脂66で被覆したものであるから、ポリテトラフルオロエチレン製の保護外皮(シース)65との馴染みが悪く、隙間から液が侵入し、測温部64を劣化させることがある。そこで液が侵入し難い熱電対(接触式温度センサ)を提供することを目的とする。
【解決手段】 保護外皮65がフッ素樹脂で形成された熱電対10において、測温部64を被覆する被覆部16がフッ素樹脂で構成されている。保護外皮65と被覆部16の馴染みが良く、隙間を生じ難い。従って液が侵入し難い。
【選択図】 図1
【解決手段】 保護外皮65がフッ素樹脂で形成された熱電対10において、測温部64を被覆する被覆部16がフッ素樹脂で構成されている。保護外皮65と被覆部16の馴染みが良く、隙間を生じ難い。従って液が侵入し難い。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液体中に浸漬して使用する熱電対や測温抵抗体といった温度センサ及びその製造方法に関するものであり、特にその先端構造に関する。
温度センサは、物体から放射される赤外線の量から温度を測定する非接触式のものと、直接物体に接触して温度測定を行う接触式のものの2つのタイプに大別される。接触式の温度センサとしては、熱電対や測温抵抗体が代表例として挙げられる。
これら接触式の温度センサにあっては、測温部の保護の為にしばしばカップ状の保護キャップが取り付けられる(例えば特許文献1参照)。該保護キャップの材料には、測温部への熱伝導性の観点から、ステンレス鋼等の金属が専ら用いられている。
熱電対に関し、熱電対素線61,62及び絶縁材料63を覆う保護外皮(シース)65としては様々なものが用いられているが、殊に測定対象が液体のときには化学的耐性(耐薬品性)や耐高温性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂やポリエチレン等のオレフィン樹脂が用いられている。尚この場合、絶縁材料63としてもフッ素樹脂やオレフィン樹脂を用いることがある。
この熱電対による温度センサの製造法は、まずフッ素樹脂やポリエチレンで被覆された素線(+脚61,−脚62)についてその先端部分を露出させ、この素線の+脚61と−脚62を接続して測温接点を形成し、次いでこの測温接点(測温部64)をエポキシ樹脂66で被覆しつつ、このエポキシ樹脂の接着性を利用して保護キャップ67を取り付け固定するというものである(図2:従来の熱電対の先端部分を示す一部切り欠き断面図)。
測温抵抗体としても、その導線を覆う保護外皮(シース)にポリテトラフルオロエチレンやポリエチレンを用い、その測温抵抗素子部分(測温部)にエポキシ樹脂を塗布して保護キャップを取り付け固定したものが知られている。
特開2004−109102号公報
ところがエポキシ樹脂はフッ素樹脂やオレフィン樹脂との馴染みが悪いことから、上記保護外皮65とエポキシ樹脂66との接触部分に隙間を生じることがある。この為、油や水等の液体の温度を測定するときに、温度センサの感温部68を液体に浸漬すると、毛細管現象により該液体が上記測温部(測温接点、測温抵抗素子部分)64にまで侵入し、測温部64の劣化を早める等の不具合を生じる虞がある。更には測温部に侵入した液体が、熱電対素線や導線の表面を伝って、温度センサ後端に設けられている端子箱(端子箱から補償導線を接続して計器に信号が伝送される)にまで至り、端子箱に不具合を生じる懸念もある。
そこで本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、測温接点、測温抵抗素子部分といった測温部を被覆する被覆部と、その基部分の保護外皮との間に隙間を殆ど形成せず、測温部に液体が至ることのない温度センサを提供することにある。
本発明に係る温度センサは、保護外皮がフッ素樹脂で形成された液体温度測定用の接触式温度センサにおいて、前記温度センサの測温部が、前記フッ素樹脂と同一又は異なったフッ素樹脂で被覆されたものであることを特徴とする。尚フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体等が挙げられる。
或いは本発明に係る温度センサは、保護外皮がオレフィン樹脂で形成された液体温度測定用の接触式温度センサにおいて、前記温度センサの測温部が、前記オレフィン樹脂と同一又は異なったオレフィン樹脂で被覆されたものであることを特徴とする。尚オレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。
作業の簡便性の観点から従来では上述の様にエポキシ樹脂によって測温部が被覆されており(以下、この部分を被覆部と称することがある)、この為に保護外皮との間に隙間を生じる懸念があったものであるが、本発明では上記の如く、被覆部の材料として保護外皮と同質のものを用いる(詳しくは、保護外皮がフッ素樹脂の場合は被覆部としてフッ素樹脂を用い、保護外皮がオレフィン樹脂の場合は被覆部としてオレフィン樹脂を用いる)ことから、被覆部と保護外皮との馴染みが良く、隙間を生じる懸念が殆どない。従って温度センサの感温部を液体に浸漬して測定する場合であっても、液体が測温部(測温接点、測温抵抗素子部分)に侵入する虞が殆どなく、測温部の劣化を防止することができて耐久性が向上する。
尚「前記フッ素樹脂と同一又は異なったフッ素樹脂で被覆」とは、例えば保護外皮に用いられているフッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレンの場合に、被覆部の材料としてポリテトラフルオロエチレン(即ち、同一のフッ素樹脂)を用いるか、又はポリクロロトリフルオロエチレン等の他のフッ素樹脂(即ち、異なったフッ素樹脂)を用いるということである。同様に「前記オレフィン樹脂と同一又は異なったオレフィン樹脂で被覆」とは、例えば保護外皮に用いられているオレフィン樹脂がポリエチレンの場合に、測温部の被覆材料としてポリエチレン(即ち、同一のオレフィン樹脂)を用いるか、又はポリプロピレン等の他のオレフィン樹脂(即ち、異なったオレフィン樹脂)を用いるということである。
更に本発明において、前記測温部におけるフッ素樹脂被覆部またはオレフィン樹脂被覆部に対して、内ネジを有する保護キャップが取り付けられたものであることが好ましい。この内ネジによって上記被覆部との摩擦抵抗が上昇し、保護キャップが抜け難い。またフッ素樹脂被覆部或いはオレフィン樹脂被覆部の外側面に雄ネジを形成すれば、保護キャップと螺合させることができるので、装着も容易でしっかりと止めることができる。
加えて前記保護キャップの開口部周縁に残された空隙に樹脂が充填されたものであることがより好ましい。これにより保護キャップがよりしっかりと固定される。
また本発明に係る温度センサの製造方法は、前記測温部を、フッ素樹脂或いはオレフィン樹脂で被覆した後、この被覆部と前記保護外皮とを加熱することにより軟化或いは一部溶融させ、外部から力を加えることにより前記被覆部と前記保護外皮を密着させることを特徴とする。
この様にして外部から力を加えてフッ素樹脂或いはオレフィン樹脂の被覆部と保護外皮を密着させることにより、確実に隙間をなくすことができる。
本発明によれば前述の様に測温部(測温接点や測温抵抗素子部分)を被覆する被覆部と保護外皮との間に殆ど隙間を作らないから、液体に接触させて温度測定するにおいて、内部の測温部に液体が侵入する虞が殆どなく、従って測温部の劣化が防止できて耐久性が向上する。また測温部にすら液体が殆ど侵入しないことから、端子箱に液体が至ることも殆どなく、液体侵入による不具合を生じる懸念もない。
以下、本発明に係る温度センサに関して、例を示す図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
図1は、本発明の一実施形態に係る温度センサである熱電対10の先端部分を示す一部切り欠き断面図である。
熱電対10は、ポリテトラフルオロエチレンからなる絶縁材料63により熱電対素線(+脚61,−脚62)を絶縁し、更にこの回りをポリテトラフルオロエチレン製の保護外皮65で被覆すると共に、上記+脚61,−脚62の先端同士を接続して測温接点(測温部64)を形成したものである。そしてこの測温接点(測温部64)の部分は、ポリテトラフルオロエチレンで被覆されている(被覆部16)。尚、被覆部16を被覆した後、被覆部16と保護外皮65を加熱により軟化して外部から力を加え、これによって被覆部16と保護外皮65が密着した状態となっている。
そして上記被覆部16を覆う様にテンレス鋼製の保護キャップ17が取り付けられている。この保護キャップ17には内ネジ17aが形成されており、保護キャップ17を被覆部16に対してねじ込んであるから、内ネジ17aによって摩擦抵抗が高くなって抜け難い。更に保護キャップ17の開口部17b周縁に残された空間には、エポキシ樹脂18が充填されている。従って保護キャップ17はより一層しっかりと固定される。
本実施形態においては、測温部64の被覆部16としてポリテトラフルオロエチレンが用いられており、保護外皮65の材料と同じであるから、両者の馴染みが良く、これらの間に隙間を形成することが殆どない。従って熱電対10の感温部68を水や油等の液体に浸漬して測定するに際して、保護外皮65と被覆部16の隙間から液体がしみ込むということがなく、液体との接触による測温部64の劣化ということが起こらず、耐久性が向上する。
尚、上記実施形態においては被覆部16の材料として保護外皮65と同じポリテトラフルオロエチレンを用いたが、他のフッ素樹脂、例えばポリクロロトリフルオロエチレン等であっても良い。尤も保護外皮65と同じものを用いた方が、被覆部16と保護外皮65の馴染みが非常に良好となるので望ましい。
また上記実施形態では保護外皮65と被覆部16がフッ素樹脂の場合を例に挙げたが、オレフィン樹脂であっても良い。
更に上記実施形態では熱電対の場合を示したが、測温抵抗体の場合であっても良く、同様に、測温抵抗素子部分を被覆する被覆部と、その基部分の保護外皮との隙間から、液体が殆どしみ込まず、測温部の耐久性が向上する。
10 熱電対
16 被覆部
17 保護キャップ
17a 内ネジ
18 エポキシ樹脂
61 +脚(熱電対素線)
62 −脚(熱電対素線)
63 絶縁材料
64 測温部
65 保護外皮
68 温度センサ感温部
16 被覆部
17 保護キャップ
17a 内ネジ
18 エポキシ樹脂
61 +脚(熱電対素線)
62 −脚(熱電対素線)
63 絶縁材料
64 測温部
65 保護外皮
68 温度センサ感温部
Claims (5)
- 保護外皮がフッ素樹脂で形成された液体温度測定用の接触式温度センサにおいて、
前記温度センサの測温部が、前記フッ素樹脂と同一又は異なったフッ素樹脂で被覆されたものであることを特徴とする温度センサ。 - 保護外皮がオレフィン樹脂で形成された液体温度測定用の接触式温度センサにおいて、
前記温度センサの測温部が、前記オレフィン樹脂と同一又は異なったオレフィン樹脂で被覆されたものであることを特徴とする温度センサ。 - 前記測温部における前記フッ素樹脂被覆部又は前記オレフィン樹脂被覆部に対して、内ネジを有する保護キャップが取り付けられたものである請求項1又は2に記載の温度センサ。
- 前記保護キャップの開口部周縁に残された空隙に樹脂が充填されたものである請求項3に記載の温度センサ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度センサを製造する方法において、
前記測温部を、フッ素樹脂或いはオレフィン樹脂で被覆した後、この被覆部と前記保護外皮とを加熱することにより軟化或いは一部溶融させ、外部から力を加えることにより前記被覆部と前記保護外皮を密着させることを特徴とする温度センサの製造方法。
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- 2005-06-20 JP JP2005179269A patent/JP2006349612A/ja active Pending
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