JP2006348353A - 高張力熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

高張力熱延鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度で加工性に優れ、島状スケールが抑制されて表面性状にも優れた高張力熱延鋼板の提供。
【解決手段】C:0.05〜0.30%、Si<0.5%、Mn:0.5〜3.0%、Al:0.1〜2.0%を含有するとともにSi+Al:0.5〜2.0%を満たし、残部はFeと不純物の化学組成で、組織中に体積割合で5%以上のオーステナイトと60%以上のポリゴナルフェライトを含有し、オーステナイトの平均結晶粒径が2.0μm以下、前記ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が1.0μmを超えて3.0μmまでで、前記オーステナイト中のC含有量が0.7〜2.0%である高張力熱延鋼板。下記(1)〜(2)群のうちの少なくとも1群から選んだ1種以上の元素を含有してもよい。(1)Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.20%、V:0.005〜0.20%、(2)Ca:0.0002〜0.01%、Zr:0.002〜0.10%、REM:0.002〜0.10%。
【選択図】なし

Description

本発明は、高張力熱延鋼板及びその製造方法に関する。特に、本発明は、自動車や各種産業機械に用いられる部材の素材として好適な、表面性状に優れ、高強度で加工性にも優れた微細な結晶粒を有する熱延鋼板及びその製造方法に関する。
連続熱間圧延によって製造される高張力熱延鋼板は、比較的安価な構造材料として自動車を始めとする各種産業機械に広く適用されており、プレス加工等の成形加工によって所定の形状に加工されることが多い。このため、高張力熱延鋼板には優れた加工性が要求される。
一般に、鋼板はその強度を増加させると加工性(例えば延性)が低下するが、強度と延性がともに優れる鋼板として、いわゆる「残留オーステナイト」、つまり、未変態のまま残ったオーステナイトの変態誘起塑性(以下、「TRIP」という。)を利用した鋼板が知られており、例えば、特許文献1には、質量%で、0.2%前後のC、1.5%前後のSi及び1.5%前後のMnを含有する鋼を熱間圧延し、Ar3点近傍で仕上圧延を行ってから40℃/s以上の冷却速度で加速冷却した後、400℃近傍で巻き取ることからなる残留オーステナイトを有する鋼板の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、Siの含有量を低減し、代わりにAlを多量に含有させた延性及び穴拡げ性に優れた残留オーステナイトを含む鋼板及びその製造方法が開示されている。
一方、鋼の強化には、固溶強化、析出強化、変態強化及び細粒化強化(結晶粒の微細化による強化)などが知られているが、このうち結晶粒組織の微細化は一般に延性を低下させることなく高強度化できる。しかしながら、結晶粒の微細化により十分な強化効果を得るには少なくともフェライト粒径を3μm以下に細粒化する必要があり、そうした微細組織を得るための技術や、組織の細粒化と残留オーステナイトのTRIP現象とを組み合わせて高い強度と優れた延性とを両立させた「強度−延性バランス」に優れた鋼の製造方法がいくつか提案されている。
例えば、特許文献3には、「重量%にて、C:0.05〜0.3%とMn:0.5〜3%を含み、残部が実質的にFeからなる組成の鋼を、Ac3点以上の温度から5℃/s以上100℃/s未満の冷却速度にて冷却して650℃以下とし、フェライト相、ベイナイト相、またはマルテンサイト相のような低温相が析出を開始する温度までの温度範囲で、加工開始に対する加工終了の断面積減少率が60%以上の加工を、1パスまたは1パス当たり30%以上の多パスにて施し、その後空冷又はそれ以上の冷却速度にて400℃以下の温度にまで冷却する」ことからなる「微細粒フェライト組織を有する鋼の製造方法」が開示されている。
また、特許文献4には、「C:0.05〜0.30wt%、Si:0.30〜2.0wt%、Mn:1.0〜2.5wt%、Al:0.003〜0.100wt%、Nb:0.05〜0.50wt%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物の組成になり、また残留オーステナイトが5〜20vol%で、残部は主にポリゴナルフェライトからなる鋼組織を有し、該ポリゴナルフェライト粒のうち、粒径:8μm以下の微細粒が個数比率で全体の85%以上を占め、かつ平均粒径が5μm以下」である「超微細粒を有する延性、靱性、耐疲労特性および強度−伸びバランスに優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法」が開示されている。
特開昭63−4017号公報 特開平5−112846号公報 特開2001−98322号公報 特開平11−1747号公報
本発明の目的は、自動車や各種産業機械に用いられる部材の素材として好適な、高強度で加工性に優れ、しかも、いわゆる「島状スケール」の生成が抑制されて表面性状にも優れた、微細な結晶粒を有する熱延鋼板及びその製造方法を提供することである。
具体的には、Siの含有量を0.5%未満に低減することによって島状スケールの生成を抑制し、Alを含有させることによって穴拡げ性を高め、組織中に残留オーステナイトを含ませることにより延性を高め、更に、ポリゴナルフェライトの結晶粒を3.0μm以下の適正サイズに微細化することによって高強度化した熱延鋼板と、前記特性を有する鋼板を800℃程度以上の実用的な熱間圧延によって製造する方法とを提供することである。
前述の特許文献1で提案された技術によると、引張強度(TS)と全延び(EL)との積である「TS×EL」の値で24000MPa・%以上の「強度−延性バランス」の優れた鋼板が得られるものの、加工性の重要な指標の一つである穴拡げ性が低いため、伸びフランジ性が要求されるような部品の素材としては用いることができない。また、残留オーステナイトを確保するために0.5%以上のSiを含有しているため、「島状スケール」と呼ばれる鋼板の表面不良が発生する。
なお、AlはSiと同様にセメンタイトの析出を抑制する効果を有しており、組織中にオーステナイトを残留させることができる。しかも、前記のAlの効果は、同じ質量割合でSiを含有させた場合よりも顕著であり、更に、Alには、ポリゴナルフェライトの均一で微細な生成を促進する一方で、穴拡げ性を劣化させる粗大ベイナイトの生成を抑制する作用もある。
前記の特許文献2で提案された技術は、上記のAlの効果をうまく活用したものであり、Siの含有量を1.0%以下に低減し、代わりにAlをsol.Al量で0.8%以上含有させた鋼を、780〜840℃で熱間での仕上圧延を終了した後、10〜50℃/sの冷却速度にて300〜450℃まで加速冷却して巻き取る方法によって、或いは、前記の鋼を、780〜940℃で熱間での仕上圧延を終了した後、10℃/s以上の冷却速度にて600〜700℃まで冷却し、2〜10秒間空冷した後、20℃/s以上の冷却速度にて300〜450℃まで加速冷却し巻き取る方法によって、「TS×EL」の値で24000MPa・%以上の「強度−延性バランス」と、穴拡げ率で90%以上という優れた加工性とを有する鋼板を得るものである。しかしながら、Alは加工性向上という点では顕著な効果を発揮する反面Siに比べて固溶強化能が低いので、高強度化という点では不利であり、しかも、フェライト安定化元素であるAlをsol.Al量で0.8%以上も含有させることは、オーステナイトの不安定化につながるため、熱間圧延温度を過度に上昇させる必要が生じる場合があり、生産性や製造コスト面で改善の余地がある。
特許文献3で提案された技術によると、単純組成の低炭素鋼でも3μm以下の微細フェライト粒組織が得られる。しかしながら、650℃以下の低温域で1パス当り30%以上といういわゆる「低温大圧下」圧延を行う必要があり、工業的な規模の生産に適用することは難しい。
特許文献4で提案された技術は、Nbを0.05〜0.50%含有させることによってNbCを析出させ、NbCによる初期オーステナイト粒の微細化及び圧延過程での動的再結晶によるオーステナイト粒の微細化を通じて、工業的に実施される800℃程度以上の温度での熱間圧延の場合にも容易に2〜4μmの微細フェライト粒組織を得るものである。しかも、組織中に残留オーステナイトを含むため、「TS×EL」の値で26000MPa・%以上の「強度−延性バランス」の優れた鋼板を得ることができる。しかしながら、NbCを多量析出させる技術であるが故に、必然的に得られる残留オーステナイト量が低下し、したがって、安定且つ確実に、残留オーステナイト量を確保し、また、高強度化を達成するためには、特許文献4の実施例の表1に示されているように、前述の特許文献1と同様に1%以上のSiを含有させることとなり、この場合には、穴拡げ性や表面性状が低下する。
そこで、本発明者らは、高強度で加工性に優れ、しかも、いわゆる「島状スケール」の生成が抑制されて表面性状にも優れた、微細な結晶粒を有する熱延鋼板を得るために鋭意研究を重ねた。その結果、下記(a)〜(d)の知見を得た。
(a)多パスで行う熱間圧延をAr3点以上(概ね800℃程度以上)の温度で完了し、その後に施す1次冷却の際、圧延完了から0.4秒以内に720℃まで冷却すると、極めて微細なフェライト粒が得られる。Ar3点以上の温度域の圧延では、オーステナイトに歪みが蓄積され、圧延完了後0.4秒以内に720℃まで冷却することによって、前述の歪みが効率的にオーステナイト内に凍結される。そして、720℃以下の温度になると、オーステナイトからフェライトへの変態が活発化し、蓄積された歪みを核としてフェライト粒が多数発生し、微細なフェライト組織が形成されるためと考えられる。
(b)上記(a)の手法によるとフェライトの生成が著しく促進されるため、非常に焼入れ性の高い鋼組成であっても微細なフェライトを多量に生成させることができる。「島状スケール」の生成抑制のために低Si化した鋼にオーステナイトを残留させるには一定量のAlを含有させる必要があるが、Alを含有する鋼の場合はオーステナイトが不安定になってAr3点が著しく上昇する。したがって、Alを含有する鋼をオーステナイト域で熱間圧延するためには、オーステナイト安定化元素であるCやMnを含有させてAr3点を下げる必要がある。しかし、このような鋼組成では焼入れ性が著しく増加するので、通常の熱間圧延条件では組織におけるフェライトの体積割合が低下し、ポリゴナルフェライト主体の組織が得られない。しかしながら、上記(a)で述べた処理によれば、焼入れ性の高い鋼であっても多量且つ微細なフェライトを得ることができ、しかも、未変態のオーステナイト中にCが濃縮するので、効率的に残留オーステナイトを含む組織とすることができる。
(c)通常の場合、残量オーステナイトはベイニティックフェライトの界面にラス状で存在するが、上記(a)の処理によって得られる残留オーステナイトはフェライトの粒界や粒内に微細な粒状で均一分散する。そのため、延性や穴拡げ性が一層向上し、しかも、機械的特性の異方性が極めて小さくなる。
(d)微細フェライトによる細粒化強化により、固溶強化能が高いSiの含有量を低減しても高強度化を達成することができる。しかも、フェライトの細粒化及び低Si化によって島状スケールの生成が抑制され、表面性状が極めて良好となる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
本発明の要旨は、下記(1)〜(4)に示す高張力熱延鋼板及び(5)〜(6)に示す高張力熱延鋼板の製造方法にある。
(1)質量%で、C:0.05〜0.30%、Si:0.5%未満、Mn:0.5〜3.0%及びAl:0.1〜2.0%を含有するとともにSiとAlの含有量の和が0.5〜2.0%を満たし、残部はFe及び不純物の化学組成で、組織中に体積割合で5%以上のオーステナイトと60%以上のポリゴナルフェライトを含有し、更に、前記オーステナイトの平均結晶粒径が2.0μm以下、前記ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が1.0μmを超えて3.0μmまでで、しかも、前記オーステナイト中のC含有量が質量%で、0.7〜2.0%であることを特徴とする高張力熱延鋼板。
(2)SiとAlの含有量の和が下記(1)式を満たす上記(1)に記載の高張力熱延鋼板。
0.5≦Si+Al≦(13×C+Mn+10)/10・・・(1)、
但し、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
(3)Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.20%及びV:0.005〜0.20%のうちの1種以上を含有する上記(1)又は(2)に記載の高張力熱延鋼板。
(4)Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.0002〜0.01%、Zr:0.002〜0.10%及びREM(希土類元素):0.002〜0.10%のうちの1種以上を含有する上記(1)から(3)までのいずれかに記載の高張力熱延鋼板。
(5)上記(1)から(4)までのいずれかに記載の化学組成を有する高張力熱延鋼板の製造方法であって、前記化学組成の鋼塊又は鋼片を熱間圧延してAr3点以上の温度で熱間での圧延を完了した後、1次冷却を行って0.4秒以内に720℃まで冷却し、更に、その1次冷却を720〜550℃の温度域の温度T1℃で停止し、次いで、2次冷却によってT1℃から500℃までを1〜30秒で冷却し、更に、その2次冷却を500〜300℃の温度域の温度T2℃まで行った後T2〜300℃の温度域で巻き取ることを特徴とする高張力熱延鋼板の製造方法。
(6)1次冷却が720℃まで0.2秒以内に冷却するものである上記(5)に記載の高張力熱延鋼板の製造方法。
ここで、或る相の体積割合は面積割合に等しいことが知られているため、上記ポリゴナルフェライト及びオーステナイトが組織に占める体積割合はそれぞれ、例えば、通常の2次元的な評価方法によって求めたポリゴナルフェライト及びオーステナイトの割合から決定すればよい。
なお、本発明における「オーステナイト」とは、オーステナイトが変態せずに残ったいわゆる「残留オーステナイト」を指す。
また、「ポリゴナルフェライト」とはアスペクト比が2以下であるフェライトを指し、光学顕微鏡や走査電子顕微鏡による組織観察像を画像解析処理することで確認することができる。なお、アスペクト比は、圧延方向に平行に切断した面における圧延方向のフェライト粒径をdRD、圧延方向に垂直な方向のフェライト粒径をdNDとしたとき、「dRD/dND」又は「dND/dRD」で表される。
本発明でいう「平均結晶粒径」とは、いわゆる「切片法」で求めた平均粒切片長を1.12倍したASTM公称粒径を指す。
「REM(希土類元素)」は、Sc、Y及びランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量は上記元素の合計含有量を指す。
本発明でいう「鋼塊」は、JIS G 0203(1984)に規定されているとおり、「鋳片」を含むものをいう。
以下、上記(1)〜(4)の高張力熱延鋼板に係る発明及び(5)〜(6)の高張力熱延鋼板の製造方法に係る発明を、それぞれ「(1)の発明」〜「(6)の発明」という。また、総称して「本発明」ということがある。
本発明の高張力熱延鋼板は、「強度−延性バランス」に優れるので、自動車や各種の産業機械に用いられる高強度構造部材の素材として利用することができ、しかも、高い穴拡げ性と優れた表面性状も具備しているので、従来の高強度高延性鋼板に比べて、その適用範囲は極めて広い。また、本発明の高張力熱延鋼板は、本発明の方法によって800℃程度以上の実用的な熱間圧延によって比較的容易に製造することができる。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)鋼の化学組成
C:0.05〜0.30%
Cは、高温でのオーステナイトを安定化する作用がある。このため、オーステナイトからフェライトへの変態温度が低下し、熱間圧延の仕上げ温度を低くすることができるので、フェライト結晶粒の微細化が促進される。また、Cはフェライト変態の進行に伴ってオーステナイト中に濃縮し、オーステナイトを安定化するとともに鋼板を強化する作用も有する。
しかし、Cの含有量が0.05%未満では十分なオーステナイト安定化効果が得られないため所望の残留オーステナイト量を確保できない。一方、その含有量が0.30%を超えると熱間圧延後のフェライト変態が遅延し、フェライトの体積割合が減少するうえ、溶接性も顕著に劣化する。したがって、Cの含有量を0.05〜0.30%とした。なお、Cの含有量の好ましい下限は0.10%で、好ましい上限は0.20%である。
Si:0.5%未満
Siは、フェライトを安定化し、ポリゴナルフェライトの生成を促進してCの未変態オーステナイト中への濃化を助長する作用、更には、セメンタイトの析出を遅らせる作用を通じて、オーステナイトが未変態のままで残る量、つまり、残留オーステナイトの量を多くする。Siには、ポリゴナルフェライトを固溶強化して鋼板強度を高める作用もある。こうした効果を確実に得るには、Siは0.05%以上の含有量とすることが好ましい。
しかしながら、Siの含有量が0.5%以上では島状スケールの生成が顕著になって鋼板の表面性状が劣化する。したがって、Siの含有量を0.5%未満とした。なお、Siの含有量は、Alの含有量との合計が0.5〜2.0%を満たすものでなければならない。このことについては後述する。
Mn:0.5〜3.0%
Mnは、強度を高める作用を有する。また、高温でのオーステナイトを安定化してオーステナイトからフェライトへの変態温度を低下させるので、熱延の仕上げ温度を低くすることができ、このため、フェライト結晶粒の微細化が促進される。
しかしながら、Mnの含有量が0.5%未満では前記の効果が得難い。一方、その含有量が3.0%を超えると、熱間圧延後の冷却過程で十分な量のポリゴナルフェライトを生成させることが困難となる。したがって、Mnの含有量を0.5〜3.0%とした。なお、Mnの含有量は0.8〜3.0%とすることが好ましい。
Al:0.1〜2.0%
Alは、本発明において特に重要な元素である。すなわち、AlはSiと同様に、フェライトを安定化し、ポリゴナルフェライトの生成を促進してCの未変態オーステナイト中への濃化を助長する作用、更には、セメンタイトの析出を遅らせる作用を通じて、オーステナイトが未変態のままで残る量、つまり、残留オーステナイトの量を多くする。しかも、その作用は同じ質量割合でSiを含有させる場合よりも顕著である。Alには、ポリゴナルフェライトの均一で微細な生成を促進し、穴拡げ性を高める作用もある。
しかしながら、Alの含有量が0.1%未満では前記の効果が得難い。一方、Alの過剰な添加は、高温でのオーステナイトを不安定化して熱間圧延の仕上温度(完了温度)を過度に上昇させ、また安定した連続鋳造を困難にする。特に、Alの含有量が2.0%を超えると、熱間圧延の完了温度を高くしなければならず、また、ノズル詰まりを生じて連続鋳造性の低下を招く。したがって、Alの含有量を0.1〜2.0%とした。Alの含有量の好ましい下限は0.3%で、好ましい上限は1.5%である。なお、Alの含有量は、Siの含有量との合計が0.5〜2.0%を満たすものでなければならない。このことについては後述する。
SiとAlの含有量の和:
SiとAlの含有量は、上述のSiが0.5%未満で、且つ、Alが0.1〜2.0%であることに加えて、両元素の含有量の和が0.5〜2.0%を満たすようにする必要がある。
SiとAlの含有量の和(以下、「Si+Al」ともいう。)が0.5%未満では、セメンタイトの析出を遅延させる作用が不十分になって一部セメンタイトが生成する。このため、残留オーステナイトの量が低下し、所望の残留オーステナイト量を確保することができない。一方、SiとAlの含有量の和が2.0%を超えると、たとえAlの含有量が2.0%以下であっても、高温でのオーステナイトが不安定化して熱間圧延の仕上温度(完了温度)が過度に上昇し、また、連続鋳造を安定して行うことが困難になる。
このため、(1)の発明においては、「Si+Al」を0.5〜2.0%とした。「Si+Al」の好ましい下限は1.0%で、好ましい上限は1.8%である。
なお、オーステナイトへの歪み蓄積効率を高めてフェライトを微細化し、細粒化強化の効果を一層高めるには、実製造上Ar3点を950℃以下にすることが有効であるので、元素記号をその元素の質量%での鋼中含有量として表したとき、上記「Si+Al」の値が、「(13×C+Mn+10)/10」以下となるようにするのがよい。
このため、(2)の発明においては、SiとAlの含有量の和が前記(1)式を満たすように規定した。
したがって、前記(1)の発明に係る高張力熱延鋼板の化学組成を、上述した範囲のCからAlまでの元素を含むとともに、「Si+Al」が0.5〜2.0%を満たし、残部はFe及び不純物からなることと規定した。また、前記(2)の発明に係る高張力熱延鋼板の化学組成について、更に、「Si+Al」が前記(1)式を満たすように規定した。
なお、本発明に係る高張力熱延鋼板には、上記の成分元素に加え、必要に応じて、後述する第1群及び第2群のうちの少なくとも1群から選んだ1種以上の元素を任意添加元素として添加し、含有させてもよい。
以下、任意添加元素に関して説明する。
第1群:Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.20%及びV:0.005〜0.20%
Nb、Ti及びVは、いずれもフェライト地に炭窒化物として析出し、鋼板の強度を高める作用を有する。上記の析出物には、オーステナイトやフェライトの粗大化を抑制して、結晶粒の微細化を促進する作用がある。こうした効果を確実に得るには、少なくともいずれかを0.005%以上含有させることが好ましい。
しかしながら、Nbを0.10%を超えて含有させても、また、Ti又はVを0.20%を超えて含有させても、前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。更に、炭窒化物の析出に多量のCが消費されるので残留オーステナイトの量が少なくなり、所望の残留オーステナイト量を確保できなくなる。
したがって、Nb、Ti及びVを添加する場合のそれぞれの含有量は、Nbは0.005〜0.10%、Tiは0.005〜0.20%及びVは0.005〜0.20%とするのがよい。添加する場合のそれぞれの含有量のより好ましい下限は、Nbが0.008%、Tiが0.008%及びVが0.008%である。また、添加する場合のそれぞれの含有量のより好ましい上限は、Nbが0.08%、Tiが0.15%及びVが0.15%である。なお、上記のNb、Ti及びVはいずれか1種のみ、又は2種以上の複合で添加することができる。
第2群:Ca:0.0002〜0.01%、Zr:0.002〜0.10%及びREM(希土類元素):0.002〜0.10%
Ca、Zr及びREMは、いずれも介在物の形状を調整して冷間加工性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、0.0002%以上のCa、0.002%以上のZr及び0.002%以上のREMのうちの少なくとも1種を含有させることが好ましい。
しかしながら、Caが0.01%を超えて含有されると、また、Zr又はREMが0.10%を超えて含有されると、鋼中の介在物が多くなり過ぎて却って加工性が低下する。
したがって、Ca、Zr又はREMを添加する場合のそれぞれの含有量は、Caは0.0002〜0.01%、Zrは0.002〜0.10%、そしてREMは0.002〜0.10%とするのがよい。添加する場合のそれぞれの含有量のより好ましい下限は、Caが0.0005%、Zrが0.01%、そしてREMが0.01%である。また、添加する場合のそれぞれの含有量のより好ましい上限は、Caが0.005%、Zrが0.05%、そしてREMが0.05%である。なお、上記のCa、Zr及びREMはいずれか1種のみ、又は2種以上の複合で添加することができる。
したがって、前記(3)の発明に係る高張力熱延鋼板の化学組成は、鋼板の強度を高めるとともに結晶粒を微細化することを目的として、前記(1)又は(2)の発明の鋼のFeの一部に代えて、Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.20%及びV:0.005〜0.20%の1種以上を含むものとした。
また、前記(4)の発明に係る高張力熱延鋼板の化学組成は、冷間加工性を高めることを目的として、前記(1)から(3)までのいずれかの発明の鋼のFeの一部に代えて、Ca:0.0002〜0.01%、Zr:0.002〜0.10%及びREM(希土類元素):0.002〜0.10%のうちの1種以上を含むものとした。
なお、「REM(希土類元素)」が、Sc、Y及びランタノイドの合計17元素の総称で、REMの含有量が上記元素の合計含有量を指すことは既に述べたとおりである。
なお、鋼中に混入する不純物としては、P、S、Cu、Ni、Cr及びMoなどが挙げられるが、例えばP、Sについては、できればその含有量を以下のように規制するのが望ましい。
P:0.05%以下
Pは靱性や延性に悪影響を及ぼすため、その含有量は0.05%以下に抑えるのが望ましい。なお、ポリゴナルフェライトを一層均一に分散させるために、Pの含有量は0.010%以下とすることがより一層好ましい。
S:0.05%以下
Sは硫化物系介在物を形成して加工性を低下させるため、その含有量は0.05%以下に抑えるのが望ましい。なお、一段と優れた加工性を確保するために、Sの含有量は0.003%以下とすることがより一層好ましい。
上述の化学組成を有する鋼は、例えば転炉、電気炉又は平炉等により溶製される。鋼塊の製造は、鋳型に注入する「造塊法」又は「連続鋳造法」のいずれの手段を用いても構わない。
(B)高張力熱延鋼板の組織
本発明の高張力熱延鋼板は、その組織を、体積割合で5%以上のオーステナイトと60%以上のポリゴナルフェライトを含有し、更に、前記オーステナイトの平均結晶粒径が2.0μm以下、前記ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が1.0μmを超えて3.0μmまでのものとする必要がある。
先ず、相の種類について、体積割合で5%以上のオーステナイトと60%以上のポリゴナルフェライトを含有するものとしたのは、組織に占めるオーステナイトが体積割合で5%未満の場合には十分な延性が得られないからである。更に、組織に占めるポリゴナルフェライトが体積割合で60%未満の場合にも、十分な延性や穴拡げ性が確保できないためである。
組織に占めるオーステナイトの量が多ければ多いほど延性が向上するので、体積割合で組織の60%以上を占める主相のポリゴナルフェライト以外の組織がすべてオーステナイトであっても構わない。
また、一層優れた延性や穴拡げ性を確保するために、組織に占めるポリゴナルフェライトの体積割合は70%以上であることが好ましく、95%(つまり、ポリゴナルフェライト以外の組織がオーステナイトだけで、そのオーステナイトの体積割合が5%の場合)であってもよい。
本発明の高張力熱延鋼板は、上記のポリゴナルフェライトとオーステナイト以外の第3相を含んでいてもよい。ここで、ポリゴナルフェライトとオーステナイト以外の相としては、例えば、ベイナイトが挙げられる。
次に、相のサイズについて、オーステナイトの平均結晶粒径を2.0μm以下、ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径を1.0μmを超えて3.0μmまでのものとしたのは、オーステナイトの平均結晶粒径が2.0μmを超える場合には、「TRIP」現象によって硬質で且つ粗大なマルテンサイトが生成し、局部延性が劣化するからである。また、ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が1.0μm以下では、強度は上昇するものの延性の低下が著しくなって「強度−延性バランス」が急激に低下し、一方、ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が3.0μmを超える場合には、細粒化強化の効果が十分に得られないためである。
オーステナイトのサイズが小さければ小さいほど、より均一、且つ多量に分散するので、「TRIP」現象が効率的に起こって延性が向上する。したがって、本発明の高張力熱延鋼板におけるオーステナイトの平均結晶粒径の下限値は特に規定しなくてもよい。なお、通常観察される「残留オーステナイト」は、平均結晶粒径が0.05μm以上のものである。また、オーステナイトのアスペクト比が2を超える場合には、鋼板の機械的特性の異方性が大きくなる場合があるので、オーステナイトのアスペクト比は2以下であることが好ましい。
上述の理由から、本発明の高張力熱延鋼板は、その組織を、体積割合で5%以上のオーステナイトと60%以上のポリゴナルフェライトを含有し、更に、前記オーステナイトの平均結晶粒径が2.0μm以下、前記ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が1.0μmを超えて3.0μmまでのものとした。
既に述べたように、或る相の体積割合は面積割合に等しいことが知られているため、上記オーステナイト及びポリゴナルフェライトが組織に占める体積割合はそれぞれ、例えば、通常の2次元的な評価方法によって求めたオーステナイト及びポリゴナルフェライトの割合から決定すればよい。その他の相に関しても同様である。
なお、本発明における「オーステナイト」は、オーステナイトが変態せずに残ったいわゆる「残留オーステナイト」を指す。
また、「ポリゴナルフェライト」は、アスペクト比が2以下であるフェライトを指し、既に述べたように、光学顕微鏡や走査電子顕微鏡による組織観察像を画像解析処理することによって確認することができる。なお、フェライトのアスペクト比は、圧延方向に平行に切断した面における圧延方向のフェライト粒径をdRD、圧延方向に垂直な方向のフェライト粒径をdNDとしたとき、「dRD/dND」又は「dND/dRD」で表される。
前記オーステナイトのアスペクト比も同様に、圧延方向に平行に切断した面における圧延方向のオーステナイト粒径をdRD、圧延方向に垂直な方向のオーステナイト粒径をdNDとしたとき、「dRD/dND」又は「dND/dRD」で表され、光学顕微鏡や走査電子顕微鏡による組織観察像を画像解析処理することで確認することができる。
なお、既に述べたように、本発明でいう「平均結晶粒径」は、いわゆる「切片法」で求めた平均粒切片長を1.12倍したASTM公称粒径を指す。
(C)高張力熱延鋼板のオーステナイト中のC含有量
本発明の高張力熱延鋼板は、上記(B)項で述べた組織におけるオーステナイト中のC含有量が0.7〜2.0%のものでなければならない。
オーステナイト中のC含有量が0.7%未満であると、鋼板を加工する場合の変形初期に「TRIP」現象が起こるため延性が向上しない。一方、2.0%を超える場合には、オーステナイトが安定になりすぎるため「TRIP」が起こらず、延性の低下をきたす。
したがって、本発明の高張力熱延鋼板は、上記(B)項で述べた組織におけるオーステナイト中のC含有量を0.7〜2.0%とした。
なお、上記オーステナイト中のC含有量の好ましい下限は0.9%であり、好ましい上限は1.6%である。
(D)高張力熱延鋼板の製造方法
前記(A)項に記載の化学組成、(B)項に記載の組織及び(C)項に記載のオーステナイト中のC含有量を有する(1)の発明〜(4)の発明に係る高張力熱延鋼板は、例えば、前記(A)項に記載の化学組成を有する「鋼塊又は鋼片を熱間圧延してAr3点以上の温度で熱間での圧延を完了した後、1次冷却を行って0.4秒以内に720℃まで冷却し、更に、その1次冷却を720〜550℃の温度域の温度T1℃で停止し、次いで、2次冷却によってT1℃から500〜300℃の温度域の温度T2℃でまでを1〜30秒で冷却してT2〜300℃の温度域で巻き取る」ことを特徴とする前記(5)の発明によって比較的容易に製造することができる。
(D−1)熱間圧延:
熱間での圧延は、圧延後にオーステナイトからフェライトへ変態させるためにその完了温度をAr3点以上とするのがよい。圧延によってオーステナイトに導入された加工歪みの蓄積効果が大きくなって結晶粒の微細化が促進されるので、上記熱間圧延の完了温度はAr3点に近いほど好ましい。なお、被圧延材である鋼塊又は鋼片の「Si+Al」が前記(1)式を満たす場合には、Ar3点が950℃以下となり加工歪みの蓄積効果を大きくすることが容易になるので、後述する熱間圧延完了後の1次冷却処理によって、平均結晶粒径が1.0μmを超えて2μmまでの微細なポリゴナルフェライト粒を容易に得ることができる。
したがって、前記(5)の発明においては、Ar3点以上の温度で熱間圧延を完了することとした。
熱間圧延に供する鋼塊又は鋼片として、次の(イ)〜(ハ)に記載のものを用いれば、容易にAr3点以上の熱間圧延完了温度を確保することができる。
(イ)Ar3点以下の温度域まで温度降下していない鋳造ままの鋼塊又は鋳造後直接に熱間加工され、Ar3点以下の温度域まで温度降下していない鋼片、
(ロ)鋳造後の冷塊をAc3点以上の温度域まで再加熱した鋼塊又は熱間加工後の冷片をAc3点以上の温度域まで再加熱した鋼片、
(ハ)冷間加工された冷片をAc3点以上の温度域まで再加熱した鋼片。
なお、上記(ロ)及び(ハ)のAc3点以上の温度域へ再加熱する場合の加熱温度の上限は特に制限されるものではない。しかし、低コストにして高い生産性と均一な機械的特性とを確保するという点からは900〜1350℃程度とするのがよく、TiCやNbCなどの析出物をオーステナイト中に十分に固溶させる必要がない鋼種の場合には、初期のオーステナイト結晶粒を微細化し、熱間圧延後のフェライト粒を微細化し易くするために、上記の範囲の中でも比較的低い900〜1100℃とすることが好ましい。
熱間圧延に際しては、リバースミル又はタンデムミルを用いるのがよく、特に、工業的な生産性の面からは、少なくとも最終の数段はタンデムミルを用いた圧延とすることが好ましい。
なお、熱間圧延における圧下量は、Ar3点〜「Ar3点+100℃」の温度域における板厚減少率が40%以上であることが好ましく、Ar3点〜「Ar3点+80℃」の温度域における板厚減少率が60%以上であれば一層好ましい。上記の圧延は、1パスで行う必要はなく、連続した複数パスの圧延であってもよい。
複数パスの圧延における1パス当たりの圧下量は、好ましくは板厚減少率で15〜60%である。歪みを蓄積させたオーステナイトから変態によって生成するフェライトのサイズを微細化しやすいという点からは、1パス当たりの圧下量を大きくする方が好ましいが、圧延完了後の冷却条件を調整することで、1パス当たりの圧下量が40%以下の複数パスの圧延によっても平均結晶粒径が3.0μm以下の微細なポリゴナルフェライトフェライト粒を得ることができる。
(D−2)熱間圧延後の冷却と巻き取り:
熱間での圧延を完了した後、オーステナイトに導入された加工歪みを解放することなく、これを駆動力としてオーステナイトからフェライトへ変態させ、微細なフェライト粒組織を生成させるために、先ず、熱間圧延を完了した後、1次冷却を行って0.4秒以内に720℃まで冷却し、更に、その1次冷却を720〜550℃の温度域の温度T1℃で停止するのがよい。
720℃を超える温度で、冷却を停止又は鈍化させて、熱間圧延完了後に720℃に至るまでの時間が0.4秒を超えると、微細なフェライトが生成する以前に、加工によって導入された歪みが解放されてしまう場合や、歪みの存在形態が変化してフェライトの核生成に有効ではなくなり、フェライト粒が顕著に粗大化する場合がある。
1次冷却によって、鋼板の温度が720℃に達すると、フェライト変態が活発化する温度域に入る。なお、フェライト変態の温度域は、720〜550℃の温度域であるため、550℃を下回る温度域まで1次冷却するとフェライト(ポリゴナルフェライト)の体積割合が激減してベイナイトやマルテンサイトといった低温変態相が生成する場合がある。
したがって、前記(5)の発明においては、熱間圧延を完了した後、1次冷却を行って0.4秒以内に720℃まで冷却し、更に、その1次冷却を720〜550℃の温度域の温度T1℃で停止することとした。
なお、熱間圧延を完了した後、720℃まで冷却する時間は、0.2秒以内であることが一層好ましい。これは、加工歪みのオーステナイト中への凍結がより容易になり、加工歪みを駆動力としたオーステナイトからフェライトへの変態によって、一層安定且つ確実に微細なポリゴナルフェライト粒組織が得られるためである。
したがって、前記(6)の発明においては、熱間圧延を完了した後の1次冷却で、720℃までを0.2秒以内に冷却することとした。
なお、上記の1次冷却に水冷を用い、その冷却速度を400℃/s以上とすることが更に好ましい。
また、熱間圧延を完了した後、1次冷却を行って0.4秒以内に700℃まで冷却することによっても、加工歪みのオーステナイト中への凍結がより容易になり、加工歪みを駆動力としたオーステナイトからフェライトへの変態によって、一層安定且つ確実に微細なポリゴナルフェライト粒組織が得られる。このため、熱間圧延を完了した後、1次冷却を行って0.4秒以内に700℃まで冷却することがより好ましい。
更に、ベイナイトやマルテンサイトといった低温変態相の生成をできるだけ抑えて、十分な量のポリゴナルフェライトを得るために、1次冷却の停止温度は700〜600℃の温度域の温度とするのが一層好ましい。
上記の1次冷却の後は、2次冷却によってT1℃から500℃までを1〜30秒で冷却し、更に、その2次冷却を500〜300℃の温度域の温度T2℃まで行った後T2〜300℃の温度域で巻き取るのがよい。
温度T1℃から500℃までを1秒未満で2次冷却すると、ポリゴナルフェライトの生成量が少なく、そのため未変態オーステナイト中へのCの濃化が不十分となって、体積割合で5%以上という所望量のオーステナイトを残留させることができない場合がある。一方、温度T1℃から500℃までの冷却に30秒を超える時間を要する場合には、この2次冷却中にパーライトが生成するため、残留オーステナイト量が減少し十分な「TRIP」効果が得られない場合がある。
なお、巻き取り温度が500℃を超えるとパーライトが生成して残留オーステナイト量が減少するため、十分な「TRIP」効果が得られない場合があるし、300℃を下回る温度域で巻き取りを行うとマルテンサイトの生成が促進されて延性が低下する場合がある。
したがって、前記(5)の発明においては、1次冷却をT1℃で停止し、次いで、2次冷却によってT1℃から500℃までを1〜30秒で冷却し、更に、その2次冷却を500〜300℃の温度域の温度T2℃まで行った後T2〜300℃の温度域で巻き取ることとした。
なお、本発明に係る高張力熱延鋼板に溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、電気めっきなどの表面処理を施した場合には、優れた延性及び穴拡げ性に加えて優れた耐食性をも備えた表面処理鋼板を得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
表1に示す化学組成を有する鋼を、150kgの高周波真空溶解炉にて溶解し、各鋼塊を通常の方法で熱間鍛造して幅が150mmで厚さが30mmの鋼片(鋼板)とした。
Figure 2006348353
次いで、上記の各鋼片を1000〜1250℃の温度に加熱し、5パスの熱間圧延を行って厚さが1.5mmの鋼板に仕上げた。なお、鋼片を加熱した具体的な温度は、鋼A、鋼C〜E、鋼G、鋼I、鋼K、鋼M及び鋼Oが1250℃、鋼B、鋼F、鋼H及び鋼Jが1150℃、鋼L及び鋼Nが1000℃である。
熱間圧延を完了した後は、表2に示す条件で冷却及び巻き取り処理を行った。なお、上記5パスの熱間圧延における総圧下量(板厚減少率)は95%で、また、圧延完了温度はおおよそ「Ar3点+20℃」である。
Figure 2006348353
このようにして得た各鋼板について、組織、機械的特性、表面性状及びオーステナイト中のC含有量を調査した。
組織は、相の特定、オーステナイトとフェライトの各々の面積割合(したがって、体積割合)、平均結晶粒径及びアスペクト比について調査した。相の特定は走査型電子顕微鏡を用いた板厚方向断面観察によって実施した。オーステナイトとフェライトの平均結晶粒径は、鋼板のいずれか一方の表面から板厚の1/8、1/4及び1/2の深さの位置の3箇所において撮影した走査型電子顕微鏡写真を用いて、切片法によってそれぞれの位置における平均粒切片長を測定し、これらの算術平均値を1.12倍して求めた。なお、アスペクト比が2を超えるオーステナイトについては、フイルム状の形態を呈していることから平均結晶粒径の測定が困難であるため、参考値としてフイルム幅を測定した。フェライトの体積割合は、前述のフェライト粒径測定位置と同じ位置をいわゆる「メッシュ法」によって測定し、これらの算術平均値から求めた。またオーステナイトの体積割合はX線回折測定して求めた。
機械的特性は、引張特性及び伸びフランジ加工性を以下の方法で調査した。
引張特性は各鋼板からRD方向(つまり、圧延方向)とTD方向(つまり、圧延幅方向)にJIS Z 2201(1998)に記載の5号引張試験片を採取して常温で引張試験を行い、引張強度(TS)と全伸び(EL)を測定した。
伸びフランジ加工性は、各鋼板から縦横それぞれ100mmの正方形の試験片を採取し、その中央にポンチで直径が10mmの打ち抜き穴をあけ,先端角60°の円錐ポンチでこの穴を拡げて,穴の縁にクラックが貫通した時の穴直径から計算される限界穴拡げ率(HER)で評価した。
表面性状は、各鋼板の表面を光学顕微鏡により10倍又は50倍の観察倍率で写真撮影し、島状スケールの面積割合を画像解析によって算出した。なお、島状スケールの面積割合が5%未満のものを「◎」、5%以上20%未満のものを「○」、20%以上のものを「×」で評価した。
オーステナイト中のC含有量は、X線回折測定で得られるフェライトとオーステナイトの格子定数から算出した。
表3に、組織とオーステナイト中のC含有量の調査結果を示す。なお、試験番号18の鋼板を除いて、他の試験番号の鋼板におけるフェライトは、全てアスペクト比が2以下のポリゴナルフェライトであった。このため、表3には、オーステナイトに関するアスペクト比だけを2との大小関係で表示した。
Figure 2006348353
表4に、機械的特性及び表面性状の調査結果をまとめて示す。
Figure 2006348353
表3及び表4から明らかなように、本発明で定める化学組成と組織を有する試験番号1〜12の熱延鋼板は、高強度であるとともに良好な伸び特性を有しており、また、その異方性は極めて小さい。更に、島状スケールの面積割合は5%未満の「◎」で、表面性状にも優れている。
これに対して、本発明で定める化学組成を有する場合であっても組織が本発明で定める規定から外れた試験番号13〜18の熱延鋼板の機械的特性は、上記試験番号1〜12の熱延鋼板に比べて劣ることが明らかである。
すなわち、試験番号13の熱延鋼板はポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が3.0μmを超えるために強度が低い。
試験番号14の熱延鋼板は、ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が3.0μmを超え、しかも、その生成量は体積割合で21.2%と60%を大きく下回ったベイナイト主体の組織であるため、延性が極めて低い。
試験番号15及び試験番号17の熱延鋼板は、その組織がそれぞれ、ポリゴナルフェライトとパーライトの混合組織、ポリゴナルフェライトとマルテンサイトの混合組織であって、オーステナイトを含まないものであり、したがって、オーステナイト中におけるCの含有量も本発明の規定から外れている。このため、その機械的特性は大きく劣っている。
試験番号16の熱延鋼板は、ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が3.0μmを超え、しかも、オーステナイトを含まないものであり、したがって、オーステナイト中におけるCの含有量も本発明の規定から外れている。このため、その機械的特性は大きく劣っている。
また、試験番号18の熱延鋼板は、前述のとおりフェライトはそのアスペクト比が2を超える加工組織になっており、しかもその加工フェライトの平均結晶粒径が3.0μmを超えるため延性が極めて低い。
なお、本発明で定める化学組成から外れた試験番号19〜22の熱延鋼板は、その組織も本発明で定める規定から外れおり、強度、延性及び表面性状のうちの少なくとも1つの特性が劣っている。
本発明の高張力熱延鋼板は、「強度−延性バランス」に優れるので、自動車や各種の産業機械に用いられる高強度構造部材の素材として利用することができる。この高張力熱延鋼板は、本発明の方法によって800℃程度以上の実用的な熱間圧延によって比較的容易に製造することができる。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.30%、Si:0.5%未満、Mn:0.5〜3.0%及びAl:0.1〜2.0%を含有するとともにSiとAlの含有量の和が0.5〜2.0%を満たし、残部はFe及び不純物の化学組成で、組織中に体積割合で5%以上のオーステナイトと60%以上のポリゴナルフェライトを含有し、更に、前記オーステナイトの平均結晶粒径が2.0μm以下、前記ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が1.0μmを超えて3.0μmまでで、しかも、前記オーステナイト中のC含有量が質量%で、0.7〜2.0%であることを特徴とする高張力熱延鋼板。
  2. SiとAlの含有量の和が下記(1)式を満たす請求項1に記載の高張力熱延鋼板。
    0.5≦Si+Al≦(13×C+Mn+10)/10・・・(1)
    但し、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
  3. Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.20%及びV:0.005〜0.20%のうちの1種以上を含有する請求項1又は2に記載の高張力熱延鋼板。
  4. Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.0002〜0.01%、Zr:0.002〜0.10%及びREM(希土類元素):0.002〜0.10%のうちの1種以上を含有する請求項1から3までのいずれかに記載の高張力熱延鋼板。
  5. 請求項1から4までのいずれかに記載の化学組成を有する高張力熱延鋼板の製造方法であって、前記化学組成の鋼塊又は鋼片を熱間圧延してAr3点以上の温度で熱間での圧延を完了した後、1次冷却を行って0.4秒以内に720℃まで冷却し、更に、その1次冷却を720〜550℃の温度域の温度T1℃で停止し、次いで、2次冷却によってT1℃から500℃までを1〜30秒で冷却し、更に、その2次冷却を500〜300℃の温度域の温度T2℃まで行った後T2〜300℃の温度域で巻き取ることを特徴とする高張力熱延鋼板の製造方法。
  6. 1次冷却が720℃まで0.2秒以内に冷却するものである請求項5に記載の高張力熱延鋼板の製造方法。


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