JP2006348339A - 鋼板熱処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱処理を繰返しても曲り変形が累積されないような鋼板熱処理装置を実現。
【解決手段】鋼板9に急熱とこれに続く急冷とを適用する熱処理を繰返し施して行う結晶粒微細化処理のために鋼板9を長手方向に移動させながら鋼板9に誘導加熱とこれに続く急冷とを順次適用するため、支承部材15,16にて鋼板9を両端から縦長状態かつ曲り許容状態で保持して昇降させ、急熱用の誘導子32と急冷用の放水部33とを上下にして熱処理ユニットを構成し、それを水平面内調節機構31にて水平移動させて位置と面内方位の調節を行うようにする。誘導子32と鋼板9と対峙距離を一定に保つ追従制御や、鋼板9の変形を矯正する放水量の調整も行うようにする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、鋼板に急熱とこれに続く急冷とを適用する熱処理を繰返し施して行う結晶粒微細化処理のために鋼板を長手方向に移動させながら該鋼板に誘導加熱とこれに続く急冷とを順次適用する鋼板熱処理装置に関する。
鋼の熱処理に関してAc3直上に急熱しこれに続いて急冷する熱処理を繰返し施す処理法により超微細粒鋼材が得られることや結晶粒を微細化すれば強度・靱性が共に上昇することが知られており(例えば非特許文献1参照)、それが金型や熱延鋼帯に応用されている(例えば特許文献1〜3参照)。
鋼製の金型の場合(例えば特許文献1参照)、金型の表面に、オーステナイト化温度域とマルテンサイト変態温度域とを往復させる急熱と急冷を複数回繰返して、微細な細粒層を形成することにより、硬さと靱性を両立させており、そのうち特に靱性については、比較的鈍い切欠に関するシャルピー衝撃値の向上ばかりか、鋭い切欠に関する破壊靱性も向上している。急熱は高周波誘導加熱で、急冷は水冷で、具現化されている。
熱延鋼帯の場合(例えば特許文献2,3参照)、鋼帯を長手方向に移動させながら急熱および急冷を繰返すことにより結晶粒の微細化が進められる。その際、急熱はオーステナイト化を目途に高周波誘導加熱で行われ、急冷はマルテンサイト変態を目途に水冷で行われている。また、鋼帯の送りには、往復移動もあれば(例えば特許文献2)、一方向移動もあるが(例えば特許文献3)、何れも(特許文献2,3)、移動中の鋼帯に対し熱処理に加えて圧延と巻取も行うようになっている。
鋼の熱処理 改訂5版 80頁 「2・5・8 超微細化処理による強化」 社団法人日本鉄鋼協会編 丸善株式会社発行(昭和44年10月1日) 特開平6−315752号公報 (第1〜2頁、図6) 特開2002−066606号公報 (第1頁、図1) 特開2004−099984号公報 (第1頁、図2)
ところで、有限長の鋼板についても結晶粒微細化処理により高硬度を維持しつつ破壊靱性を高めたいという要請があるが、鋼板のほぼ全体を熱処理する場合、鋼板が長いと、金型のように全域を一気に熱処理するのは誘導子や高周波電源の大型化を伴うのでコストが嵩むため、鋼板を長手方向に移動させながら熱処理を繰返すという熱延鋼帯の手法を採用することが思い浮かぶ。ところが、有限長の鋼板では多くの場合、コイラーに掛かるほど薄くはなく又長くはないので、巻き取ることができない。
また、巻取は、圧延もそうであるが、強い外力を作用させて鋼帯の形状を強制することから、熱処理時における鋼帯と誘導子との相対位置はあまり変動しないので熱処理装置が標準的なもので足りるという利点がある一方、内部応力を残留させる傾向が生じる。
このため、従来手法をそのまま採用するのでなく、熱処理のため鋼板を長手方向に移動させるに際して鋼板をできるだけ自由な状態に保つことが求められる。そして、そのような保持手段としては、鋼板を両端で支承することが考えられる。
しかしながら、鋼板を長手方向の両端から曲り許容状態で保持した場合、長い鋼板が横になっていると、自重に起因して中央部分には大きな曲げ応力が生じる。
また、自由状態では反りや捩れ等の曲り変形が許容されるため、曲り方によっては鋼板と誘導子との距離が不所望なまで大きく変動することもある。
しかも、そのような不所望な変形が熱処理の度に生じるので、それが重なると、鋼板は次段の熱処理や素材としての使用の適う平板状でなくなる。
そこで、結晶粒微細化処理のために鋼板を長手方向に移動させながら急熱および急冷を繰返す際に、有限長の鋼板を両端から曲り許容状態で保持しても、自重による曲り変形が生じ難いうえ例え熱処理によって曲がっても熱処理を続行することができるような鋼板熱処理装置を実現することが技術的な課題となる。
また、熱処理を繰返しても曲り変形が累積されないような鋼板熱処理装置を実現することが更なる技術課題となる。
本発明の鋼板熱処理装置(請求項1)は、このような課題を解決するために創案されたものであり、鋼板に急熱とこれに続く急冷とを適用する熱処理を繰返し施して行う結晶粒微細化処理のために鋼板を長手方向に移動させながら該鋼板に誘導加熱とこれに続く急冷とを順次適用する鋼板熱処理装置において、前記鋼板の長手方向の両端に係合して前記鋼板をその長手方向を鉛直方向に配向させた状態で且つ曲り許容状態で保持する支承部材と、これを介して前記鋼板を長手方向に移動させる昇降機構と、前記鋼板を誘導加熱するための、該鋼板の幅方向には全域に亘り長手方向には一部区間に対峙するように配置された誘導子と該誘導子の下方で前記鋼板の幅方向には全域に亘り長手方向には一部区間に対峙するように配置された前記鋼板の急冷を行う放水部とが組みになった熱処理ユニットと、この熱処理ユニットを水平面内で移動させて位置と面内方位の調節を行う水平面内調節機構とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の鋼板熱処理装置(請求項2)は、上記の請求項1記載の鋼板熱処理装置であって更に、前記誘導子と前記鋼板との対峙距離を計測する距離センサが前記誘導子に対して固定された状態で前記鋼板の幅方向における複数箇所に設置され、そのデータに基づいて前記水平面内調節機構を動作させることにより前記対峙距離を一定に保つ追従制御が行われることを特徴とする。
さらに、本発明の鋼板熱処理装置(請求項3)は、上記の請求項2記載の鋼板熱処理装置であって更に、前記放水部がその長手方向に区分けされていて、その区分体の幾つかは放水量の調整が可能になっており、前記鋼板の変形状態を検知する変形検知手段が設けられ、その変形を矯正するよう前記放水部の放水量が調整されることを特徴とする。
また、本発明の鋼板熱処理装置(請求項4)は、上記の請求項3記載の鋼板熱処理装置であって更に、前記変形検知手段として、前記水平面内調節機構での調節量に基づいて前記鋼板の変形状態を検知する手段と、前記支承部材の近傍に設けられてそれと共に移動する距離センサによって検出した前記鋼板の端部の変位量に基づいて前記鋼板の変形状態を検知する手段とのうち、何れか一方の手段または双方の手段が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の鋼板熱処理装置(請求項5)は、上記の請求項1〜請求項4記載の鋼板熱処理装置であって更に、前記誘導子が複数回巻かれた、前記鋼板を囲撓できる形状のソレノイドコイルであり、それと前記鋼板との対峙距離がコイル内の上側部分では狭く下側部分では広くなっている、ことを特徴とする。
また、本発明の鋼板熱処理装置(請求項6)は、上記の請求項1〜請求項5記載の鋼板熱処理装置であって更に、前記熱処理ユニットが前記鋼板の幅方向を、上方に凸側を向けた逆V字状に又は傾きをつけた直線状にカバーしていることを特徴とする。
また、本発明の鋼板熱処理装置(請求項7)は、上記の請求項1〜請求項6記載の鋼板熱処理装置であって更に、前記鋼板の幅方向の端部に放水する放水子が前記熱処理ユニットに固定された状態で前記誘導子の上方に設置されていることを特徴とする。
また、本発明の鋼板熱処理装置(請求項8)は、上記の請求項1〜請求項6記載の鋼板熱処理装置であって更に、前記熱処理ユニットが上下方向複数段設置され、最下段を除く各段の放水部には前記鋼板を伝う水の落下を阻止する水切部が付設され、最上段の誘導子の上方には前記鋼板の幅方向の端部に放水する放水子が最上段の熱処理ユニットに固定された状態で設けられていることを特徴とする。
このような本発明の鋼板熱処理装置(請求項1)にあっては、鋼板をその長手方向を鉛直方向に配向させた状態で保持して昇降させるようにしたことにより、鋼板を長手方向の両端から曲り許容状態で保持したとき、鋼板に生じる内部応力は自重による圧縮力が主になり、これは横に保持したときの曲げ応力より遙かに小さいので、自重による曲り変形が生じ難いものとなる。しかも、縦型化によって装置の設置面積が少なくて済むという利点もある。なお、縦型化に伴い、熱処理ユニットにおいて誘導子は上に放水部は下に配置されているので、熱処理は、鋼板の下降時に行われ、上昇時には行われない。
また、この鋼板熱処理装置にあっては、水平面内調節機構を導入して、誘導子および放水部を含む熱処理ユニットの位置と面内方位が水平面内で調節可能なようにもしたことにより、鋼板が反っていても捩れていても熱処理ユニットの位置等調節にて鋼板と熱処理ユニットとの対峙距離を調整してそれを適切な範囲に収めることが可能なので、鋼板が熱処理によって曲り変形したときでも鋼板の移動および熱処理を続行することができる。
したがって、この発明によれば、有限長の鋼板を両端から曲り許容状態で保持して長手方向に移動させながら該鋼板に誘導加熱とこれに続く急冷とを順次適用する熱処理を繰返しても自重による曲り変形が生じ難いうえ例え熱処理によって曲がっても熱処理を続行しうる鋼板熱処理装置を実現することができる。
また、本発明の鋼板熱処理装置(請求項2)にあっては、誘導子と鋼板との対峙距離が距離センサによって計測され、それで検出した距離データ(変位量の検出値)に基づく追従制御によって対峙距離が一定に保たれるようにしたことにより、熱処理続行に必要な水平面内調節機構の動作制御が自動で行われる。しかも、その際、距離センサでの計測が鋼板の幅方向における複数箇所について行われるようにもしたことにより、反り変形ばかりか捩れ変形にも適切に追従することができる。
さらに、本発明の鋼板熱処理装置(請求項3)にあっては、変形検知手段を設けて鋼板の変形状態を検知するとともに、放水部をその長手方向(鋼板について見れば幅方向)に区分けしてその放水量の調整にて鋼板の変形が矯正されるようにしたことにより、以前の熱処理によって鋼板に生じていた変形が後の熱処理時に打ち消されるので、熱処理の繰返しによる曲り変形の累積が抑制される。
また、本発明の鋼板熱処理装置(請求項4)にあっては、変形検知手段の具体化に際して水平面内調節機構での調節量に基づいて鋼板の変形状態を検知するようにした場合は、追従制御用の距離センサを変形検知用に共用することができ、変形検知手段の具体化に際し支承部材の近傍に距離センサを設けて鋼板の端部の変位量を検知するようにした場合は、移動式の誘導加熱では特に変形しやすい鋼材端部の変形を何時でも直接的に検知することができる。
また、本発明の鋼板熱処理装置(請求項5)にあっては、誘導子がソレノイドコイルになっていて、その誘導子と鋼板との対峙距離がコイルの上側部分では狭く下側部分では広くなっているので、鋼板の下降時に行われる誘導加熱に際して、鋼板の長手方向のどの部位に対しても表層部の局所的な強い加熱が行われた後に少しずつ広がり弱わまった加熱が行われる。そのため、深部まで無理なく一様な入熱がなされるので、鋼板の変形が少なくて済む。
また、本発明の鋼板熱処理装置(請求項6)にあっては、鋼板への熱処理を、幅方向の中央部から両脇に広げて行きながら、又は、幅方向の一端側から他端側へ移行させていきながら長手方向に進めるので、熱処理が幅方向に関してもランダムにではなく順を追って進行(即ち、熱処理の始端側と終端側が一定の位置関係を維持した規則性を以て一方向に進行)するので、鋼板の変形が更に少なくて済む。特に逆V字誘導子の場合には、上記熱処理の幅方向の進展が左右対称となるので一層好ましい。
誘導子の形状を鋼板の厚みや幅に適合させても有限長の鋼板では誘導加熱時に隅部が過熱されやすいが、本発明の鋼板熱処理装置(請求項7)にあっては、誘導子の上方に放水子が設けられ、そこから鋼板の幅方向の端に放水しうるようになっているので、鋼板の隅部やその近傍を誘導加熱するときに放水子から放水させることにより、端部への過剰な入熱を該当箇所への同時冷却にて取り去って、過熱を防止することができる。特に鋼板の長手方向の熱処理開始点に生じやすい上記過熱起因の熱処理割れの防止に、上記端部への放水が有用である。
また、本発明の鋼板熱処理装置(請求項8)にあっては、熱処理ユニットを上下方向に複数段設置したことにより、鋼板の移動回数より多く急熱および急冷を繰返せて能率が向上する。なお、複数段化しても、上段の放水部と下段の誘導子との間には水切部が存在していて、上段の放水部から水が鋼板を伝って落下するのが阻止されるようになっているので、下段の誘導子による誘導加熱が損なわれることなく、適切な熱処理が行われる。
しかも、上述のような幅方向における全域の誘導加熱と端部への局所的な冷却との併用には、隅部の過熱防止という上述の効果がある一方、変形が大きくなりやすいという不所望な副作用もあるところ、本発明の鋼板熱処理装置(請求項8)にあっては、鋼板の幅方向の端への放水が、鋼板の移動回数と同じ回数で済み、熱処理回数より少ないので、その分だけ変形が少なくなる、という更なる効果も享受することができる。
本発明の鋼板熱処理装置の一実施形態(第1形態)について、その構成を、図面を引用して説明する。図1は、鋼板熱処理装置10の機械部の概要構造を示し、(a)が正面図、(b)〜(d)が右側面図である。また、図2は、支承部15,16を示し、(a)が正面図、(b)〜(d)が右側面図である。さらに、図3は、距離センサ21,22,34の配置を示し、(a)が正面図、(b)が右側面図である。また、図4は、熱処理部について、(a)が放水子43と誘導子32の平面図、(b)が放水子43と誘導子32と放水部33の正面図、(c)が放水部33の一部断面の平面図である。図5は、電子制御装置45のブロック図であり、図6は、水冷状態を示し、(a)が反り矯正時の放水状況、(b)が捩れ矯正時の放水状況である。
この鋼板熱処理装置10は、有限長の鋼板9を一時的に保持して長手方向に移動させるために、昇降モータ11と固定枠12とボールネジ機構13と枠体上部14と上端支承部材15と下端支承部材16と枠体下部17と可動枠18とを具えており(図1,図2参照)、移動中の鋼板9に急熱および急冷の熱処理を施すために、水平面内調節機構31と誘導子32と放水部33と放水子43と図示しない高周波電源および給水設備を具えており(図1,図4参照)、鋼板9を移動させながらの熱処理を自動で繰返すために、距離センサ21,22,34と電子制御装置45とを具えている(図3,図5,図6参照)。それらのうち誘導子32と放水部33と放水子43とが相互固定されて熱処理ユニットになっている。以下、各部を詳述する。
固定枠12は(図1参照)、上半分が床面7から立ち上がり、下半分が床下8に潜り込んだ状態で、床に固定設置され、枠体上部14及び枠体下部17を上下移動可能に支持するとともに、その移動の案内部材を兼ねるため内側が直線レール状に形成されている。枠体上部14と枠体下部17は可動枠18で連結されており、これらは、昇降モータ11でボールネジ機構13を軸回転させると、一体的に上下動するようになっている。そして、このような支持機構および可動機構は、上端支承部材15及び下端支承部材16を介して鋼板9を長手方向に移動させる昇降機構を成している。
枠体下部17には複数本の例えば3本の下端支承部材16が上向きに固設されており、枠体上部14には1本だけ上端支承部材15が下向きに装着されており、これらの支承部材15,16が鋼板9の長手方向の両端に係合することにより、鋼板9をその長手方向を鉛直方向に配向させた状態(以下、これを縦長状態という)で且つ曲り許容状態で保持するようになっている。
すなわち(図2(a),(b)参照)、鋼板9の曲り変形を許容するために、上端支承部材15,下端支承部材16は、何れも、細長い丸棒状で、鋼板9より曲げ剛性の小さいものとなっている。
そして、下端支承部材16は鋼板9の下端を複数箇所で支持することにより鋼板9の自由回転は阻止するが幅方向の曲げ変形等はほぼ許すようになっている。
また、上端支承部材15は、鋼板9の上端中央を単一箇所で支持することにより、やはり鋼板9の幅方向の曲げ変形を許すようになっている。
さらに、上端支承部材15は、ある程度は進退可能に即ち上下方向へは多少の移動を許容される状態で枠体上部14に取り付けられているので、処理時の鋼板9の熱膨張を逃がすとともに(図2(c)参照)、鋼板9の反り変形ばかりか捩れ変形も許容するものとなっている(図2(d)参照)。
水平面内調節機構31は(図1参照)、床面7の上に固定して固定枠12の脇に設置され、熱処理ユニットのうちの誘導子32及び放水部33をアーム状部材で支持し、このアーム状部材を図示しないサーボモータ及び伝動機構で駆動することにより、熱処理ユニットを水平面内で移動させて、熱処理ユニットを成す誘導子32,放水部33,及び放水子43の位置と面内方位とを調節するようになっている(図4(a)参照)。誘導子32は(図1,図4(a),(b)参照)、水冷可能な銅管等の電気良導体からなり、ソレノイドコイル状に捲回されて、鋼板9の昇降路を囲むところに配置され、図示しない高周波電源からやはり不図示のケーブルやトランスを介して高周波が通電されると、鋼板9の対峙部分を誘導加熱するようになっている。
また、誘導子32は、移動加熱用なので、鋼板9との対峙状態に関して、鋼板9の幅方向には全域に亘って鋼板9と対峙し、鋼板9の長手方向には一部区間で鋼板9と対峙するようになっている。そして、誘導子32の捲回中心に鋼板9を置いたとき(図4(a)参照)、鋼板9の幅方向の大部分で、誘導子32と鋼板9とが平行になり両者の対峙距離が一定になるよう、誘導子32が形成されている。ただし、鋼板9の幅方向の両端部では、過熱防止のため、両者の対峙距離が広がるよう、誘導子32が逃げる形状になっている。
放水子43は(図4(a),(b)参照)、この誘導子32の上方に付設されている。放水子43は、鋼板9の隅部すなわち鋼板9の幅方向端部であって長手方向の端部でもある部分の過熱防止のために、誘導子32での誘導加熱と併用されるので、鋼板9の幅方向の両端の近傍にだけ設けられ、放水方向を鋼板9の幅方向の端に向けている。放水子43からの放水は、止水弁や電磁弁からなる給水具44を介在させた給水設備から放水子43への給水に応じて行われ、その給水は、電子制御装置45の制御に従う電磁弁の開閉に応じて行われるようになっている。
放水部33は(図1,図4(b),(c)参照)、下降中の鋼板9に対して急熱後の急冷を行うため、誘導子32の下方に設けられ、やはり鋼板9と幅方向には全域に亘り長手方向には一部区間で対峙するようになっている。この放水部33は(図4(c)参照)、その長手方向すなわち鋼板9の幅方向に区分されており(図4(c)では表裏それぞれ8区分)、更にそれぞれの区分体33aに対し止水弁や電磁弁からなる給水具33bが接続されている。そして、区分体33a毎に、電子制御装置45の制御に従って電磁弁が開閉すると、放水部33の放水状態(遂行/停止)が切り替わるようになっている。
さらに、区分体33aのうち幾つかは(図4(c)では表裏それぞれ6区分)、電子制御装置45の制御に従う流量調整弁33cにて放水量を調整しうるようになっている。流量調整弁33cは区分体33a及び給水具33b毎に設けても良いが、ここでは隣接する2区分で1個の流量調整弁33cを共用するようになっている(図4(c)では表裏それぞれ3個)。各区分体33aには複数の噴射口が鋼板9の幅方向に列なって穿孔されており、放水時には、適量に調整された冷却水が各噴射口から鋼板9に向けて噴霧されるようになっている。
距離センサ21,22,34は(図3参照)、数十mm程度まで計測できれば適宜な近接センサで良いが、水濡れや汚れに強いのが好ましく、例えば防水タイプの近接センサーが好適である。それらのうち、距離センサ21は、2個が枠体上部14に適宜な支柱で取り付けられて、鋼板9の上端の両隅の厚み方向変位を検出するようになっている。距離センサ22は、2個が枠体下部17に適宜な支柱で取り付けられて、鋼板9の下端の両隅の厚み方向変位を検出するようになっている。距離センサ34は、鋼板9の幅方向に分かれた2箇所それぞれに設けられ、何れも誘導子32に対して固定された状態で取り付けられて、誘導子32と鋼板9との対峙距離を鋼板9の幅方向の2箇所で計測するようになっている。
このような距離センサ34は鋼板9の昇降時に鋼板9の長手方向に相対移動することになるが、距離センサ21,22は、支承部材15,16の近傍に設けられてそれと共に移動するので、鋼板9が昇降しても鋼板9の長手方向へ相対移動しないものとなっている。また、これらの距離センサ21,22,34によって計測された距離データ(変位量の検出値)は、随時、適宜な信号ケーブル等で送出され、適宜な信号入力回路やA/D変換回路を介して電子制御装置45に取り込まれるようにもなっている。
電子制御装置45は(図5参照)、プログラマブルなコンピュータやシーケンサからなり、追従制御プログラムや,曲り検出プログラム,捩れ検出プログラム,水量調節プログラム,送り制御プログラム,通電制御プログラム等がインストールされている。
追従制御プログラムは、距離センサ34の距離データ(変位量の検出値)に基づいて変動を打ち消す向きに水平面内調節機構31を動作させることにより誘導子32と鋼板9との対峙距離を一定に保つようになっている。これは鋼板9の昇降いずれの時にも働くプログラムである。
曲り検出プログラムは、鋼板9の変形状態を検知する変形検知手段の一つであり、水平面内調節機構31での調節量(即ち位置データ及び面内方位データ)に基づいて鋼板9の変形状態を検知するものである。鋼板9の上昇時に調節量を鋼板9の長手方向の全域について記憶しておき、鋼板9の次の下降前すなわち熱処理前に、周波数分析演算等にて鋼板9の長手方向の曲り変形すなわち反り変形のデータを抽出し、それを水量調節プログラムに引き渡すようになっている。なお、鋼板9の幅方向の曲り変形のデータも得たい場合は、距離センサ34を誘導子32に固定した状態で鋼板9の幅方向における3箇所以上に設置して、例えば二次元の高速フーリエ変換にて二方向のデータを抽出する、といった拡張を行えば良い。
捩れ検出プログラムも、鋼板9の変形状態を検知する変形検知手段の一つであるが、このプログラムは、距離センサ21,22で検出した鋼板9の端部の変位量(距離データ)に基づいて鋼板9の変形状態を検知するものである。鋼板9の下端は複数の下端支承部材16で支承されて鉛直軸中心の回転は止められているので、2個の距離センサ21で計測した鋼板9の長手方向の上端の両隅の変位差(距離データの差)を算出する等のことで鋼板9の全体的な捩れ変形のデータを求め、それらの検出変位の平均をとる等のことで鋼板9の長手方向の上端における幅方向の曲り変形のデータを求め、2個の距離センサ22で計測した鋼板9の長手方向の下端の両隅の変位の平均を算出する等のことで鋼板9の長手方向の下端における幅方向の曲り変形のデータを求めるようにもなっている。それらの変形データは随時得られるが、例えば鋼板9の下降前のデータを水量調節プログラムに引き渡すようになっている。
水量調節プログラムは、曲り検出プログラムと捩れ検出プログラムから受けた変形データに基づいて放水部33の放水量を流量調整弁33cの制御にて調整するものであり、鋼板9の変形を矯正するため凸側の水量を増やし凹側の水量を減らすようになっている。その増減量は、変形の程度である曲率に応じて調整され、反り変形の矯正分(図6(a)参照)と捩れ変形の矯正分(図6(b)参照)とを重畳したものとされる。反り変形の矯正分については、鋼板9の長手方向の曲り変形の矯正分と、鋼板9の上端か下端における幅方向の曲り変形の矯正分とが、含められるようになっている。
送り制御プログラムは、選択可能な動作モードとして段取モードと熱処理モードとを具えており、段取モードでは可動機構14〜18を最も上まで上昇させ、下端支承部材16の上端を誘導子32から上へ突き出させた状態を維持するようになっている。また、熱処理モードでは、昇降モータ11を制御して鋼板9を一定の速度かつ周期で昇降させるようになっている。速度や周期はパラメータ設定等で変更することができる。
通電制御プログラムは、高周波電源に指令を送出して、鋼板9の下降時には熱処理遂行のため誘導子32に高周波を通電させ、それ以外のときは、その通電を停止させるようになっている。鋼板9の隅部の過熱防止のため、給水具44の制御も行って、鋼板9の下降開始時には一時的に例えば7秒ほど放水子43から鋼板9の幅方向の両端へ放水させるようにもなっている。
この実施形態(第1形態)の鋼板熱処理装置10について、その使用態様及び動作を説明する。
鋼板熱処理装置10の処理対象である鋼板9の材質は、JIS G3128(SHY)やJIS G4103(SNCM)が典型的であるが、急熱と急冷の繰返しで結晶粒が微細化するものであれば他のものでも良い(例えば特許文献1〜3参照)。
鋼板9のサイズは、厚さ22mm×幅1200mm×長さ3500mm前後が典型的であるが、縦長状態で両端から保持しうるものであれば他のサイズ(目安として9〜25mm×900〜1500mm×1500〜6000mm程度)でも良い。鋼板9のサイズに適合した誘導子32及び放水部33が水平面内調節機構31に装着されていればそれらはそのまま用いられるが、適合していない場合は、誘導子32と放水部33が、鋼板9に適合するものと交換される。鋼板9のサイズに応じて放水子43の設置位置や上端支承部材15の装備位置の調整も行われる。誘導子32の通電電流や,その周波数,放水部33の平均放水量などは、鋼板9のサイズ及び材質に適合する値が選定され、電子制御装置45にパラメータ設定される。典型的な一例を挙げると、高周波電流は980A、その電圧は590V、その周波数は2.2kHzである。
鋼板熱処理装置10の初期設定や調節が済んだら、電子制御装置45の送り制御プログラムを段取モードにする。そうすると、可動機構14〜18が十分に上昇して停止するので、誘導子32から上へ突き出ている下端支承部材16の先端に縦長状態の鋼板9の下端を載せ、それから鋼板9の上端に上端支承部材15を係合させて、鋼板9を保持させる(図1(c)参照)。なお、鋼板9と支承部材15との係合が外れないよう、鋼板9の両端の係合部位には、予め窪み形成や穿孔を施しておくと良い。
こうして鋼板9が縦長状態で且つ曲り許容状態で保持されたら、電子制御装置45の送り制御プログラムを熱処理モードにする。そうすると、鋼板9が定速で下降させられる(図1(a)及び(b)参照)。その際、距離センサ34の距離データ(変位量の検出値)に基づく電子制御装置45の追従制御も行われ、それに従って水平面内調節機構31が熱処理ユニットの位置と面内方位を調節するので、誘導子32及び放水部33と鋼板9との対峙距離が一定に保たれる。また、鋼板9の下端から例えば50mmほど上のところで、放水子43と誘導子32と放水部33とが動作を開始する。
そのうち、放水子43から鋼板9の幅方向の両端への放水は、例えば7秒ほど行われて停止する。この一時的かつ局所的な水冷によって、鋼板9の下端の焼割れや大変形が防止される。誘導子32への高周波通電による急熱と放水部33からの放水による急冷は、鋼板9の幅方向の全域に及び、鋼板9が下降しきるまで(図1(d)参照)継続される。この一回目の熱処理では、放水部33の放水量の調整が行われないので、放水部33の各区分体33aから一様な放水が行われる。なお、一回目の熱処理から放水量の調整を行わせたい場合は、熱処理を伴わない空送り状態で鋼板9を一往復させれば良い。
鋼板9の上端から例えば50mm〜百数十mmほど下のところで、誘導子32への通電が止められ、放水部33の放水が止められて、一回目の熱処理が終わる。熱処理の終了位置は、焼割れ防止のため、毎回ずらすのが望ましい。
下降しきったら、上昇に転じて、鋼板9は定速移動する。上昇時には、熱処理は行われないが、誘導子32及び放水部33と鋼板9との対峙距離を一定に保つ追従制御は行われ、そのときの水平面内調節機構31の調節量のデータ記録も行われる。
そして、上昇しきったとき、曲り検出プログラムによって鋼板9の反り変形データが求められとともに、捩れ検出プログラムによって鋼板9の全体的な捩れ変形データと上下端部の幅方向曲り変形データも求められる。
上昇しきったら、下降に転じて、鋼板9は定速移動する。下降時には、上述した追従制御と熱処理が行われるが、二回目以降の熱処理に際しては、放水部33の放水量の調整が行わる。放水量の調整は、先ほど得られた変形データに基づいて区分体33a毎に放水量を増減することで遂行され、鋼板9の変形が矯正される(図6参照)。
繰返しとなる詳細な説明は割愛するが、上述した処理がパラメータ設定に応じて繰返されるので、鋼板9を長手方向に移動させながら誘導加熱による急熱と水冷による急冷が繰返えされて、鋼板9の結晶粒が微細化される。
こうして、所望の熱処理を終え、鋼板9の温度が下がったら、電子制御装置45の送り制御プログラムを段取モードにして、処理済みの鋼板9を鋼板熱処理装置10から外し、次の鋼板9が有ればそれの段取と処理を続行する。
本発明の鋼板熱処理装置の他の実施形態(第2形態)について、その構成を、図面を引用して説明する。図7は誘導子47の構造を示し、(a)が正面図、(b)が一部断面の右側面図である。
この鋼板熱処理装置が上述した鋼板熱処理装置10と相違するのは誘導子32に代えて誘導子47を導入したことであり、誘導子47が誘導子32と相違するのは、コイル捲回数が“2”から“4”に増えている点と、誘導子47と鋼板9との対峙距離がコイルの上側部分では狭く下側部分では広い点である。
この場合、誘導子47と鋼板9との対峙距離がコイルの上側部分では狭く下側部分では広くなっているので、鋼板9の下降時に行われる誘導加熱に際して、鋼板9の長手方向のどの部位に対しても、表層部の局所的な強い加熱が誘導子47の上側部分によって行われた後、その熱が深部等へ伝達されながら拡散している間に、少しずつ広がり弱わまった加熱が誘導子47の下側部分によって行われる。これにより、表層部の過熱を避けつつ深部まで加熱することができるので、改質能力が向上する一方、鋼板の変形は抑制される。
本発明の鋼板熱処理装置の他の実施形態(第3形態)について、その構成を、図面を引用して説明する。図8は、(a),(b)何れも誘導子48の構造を示す正面図である。
この鋼板熱処理装置が上述した鋼板熱処理装置10と相違するのは誘導子32に代えて誘導子48を導入したことであり、図8(a)の誘導子48が誘導子32と相違するのは、コイル捲回数が“2”から“4”に増えている点と、それらが何れも上方に凸側を向けた逆V字状になっている点である。また、図8(b)の誘導子48が誘導子32と相違するのは、コイル捲回数が“2”から“4”に増えている点と、それらが何れも傾きをつけた直線状になっている点である。なお、図示は割愛したが、放水部33も誘導子32と同様に逆V字状か傾斜直線状になっている。
この場合、鋼板9の下降時に誘導加熱とそれに続く水冷とが行われる際、その熱処理が鋼板9の幅方向における中央部から両脇に広がりながら(図8(a)参照)、又は、熱処理部位が鋼板9の幅方向の一端側から他端側へ移行しながら(図8(b)参照)、上記熱処理が鋼板9の長手方向に進むので、鋼板9の変形が少なくて済む。なお、上に凸の形は、図示した「∧」字形のような折線状に限られず、「∩」字形のような曲線状でも良い。また、鋼板9とソレノイドコイル状誘導子48との対峙距離がコイルの上側部分では狭く下側部分では広いという誘導子47の特徴を誘導子48に兼備させると一層良い。
本発明の鋼板熱処理装置の他の実施形態(第4形態)について、その構成を、図面を引用して説明する。図9は、鋼板熱処理装置50の機械部の概要構造を示し、(a)が正面図、(b)が右側面図である。また、図10は、距離センサ55の配置を示し、(a)が正面図、(b)が右側面図である。さらに、図11は、熱処理部について、(a)が放水子43と誘導子52の平面図、(b)が放水子43と誘導子52と放水部53と水切部54と誘導子32と放水部33の正面図、(c)が放水部53の一部断面の平面図である。また、図12は、水切部54の要部の断面図である。図13は、電子制御装置45のブロック図である。
この鋼板熱処理装置50が上述した鋼板熱処理装置10と相違する主な点は、水平面内調節機構31と誘導子32と放水部33と距離センサ34との組合せ機構(第1組)と同様に水平面内調節機構51と誘導子52と放水部53と距離センサ55とからなる組合せ機構(第2組)が上方に追加されたことである。この追加機構(第2組)には水切部54が付いていることと、放水子43が誘導子32の上方から誘導子52の上方に移設されたことも、相違点である。それに伴い電子制御装置45も機能拡張されている。以下、相違点を詳述する。
水平面内調節機構51は、誘導子52と放水部53と水切部54とを水平移動させて位置と面内方位の調節を行えれば、水平面内調節機構31と同じ構造でも異なる構造のものでも良い。
誘導子52は、鋼板9と幅方向には全域に亘り長手方向には一部区間で対峙することにより通電時に鋼板9の急熱を行えるものであれば、誘導子32と同じでも、誘導子47,48と同じでも、それらと異なっていても良い。誘導子52への給電を担う高周波電源は、誘導子32と共用しても良く、別個のものを追加設置しても良い。
放水部53は、誘導子52の下方に設けられて鋼板9と幅方向には全域に亘り長手方向には一部区間で対峙することにより放水時に鋼板9の急冷を行うようになっていれば基本的には良いが、鋼板9の変形を無理なく矯正する等の観点から、放水部33と同じく区分体毎に放水量調整可能になっている(図11(c)参照)。
距離センサ55は、誘導子52に対して固定された状態で鋼板9の幅方向における2箇所に設けられ(図10参照)、それぞれ誘導子52と鋼板9との対峙距離を計測するようになっていれば、距離センサ34と同じ構造でも異なる構造のものでも良い。
水切部54は(図11(b),図12)、傘状に下端部が広がっており、上端部を放水部53の下端に連結させた状態で放水部53の直下に付設されている。これには、水切部54の上面上で自由にスライドするスライドシールが付設されている。スライドシールは、例えば、スライダ54aの先端にゴムシール54bを装着させ、ゴムシール54bと鋼板9との間隙9aにフレキシブルチューブでエア(圧縮空気)を吹き込むようにしたものである。これにより、水切部54と鋼板9とが触れ合って摩擦の生じるのが防止されるとともに、放水部53から鋼板9に向けて噴霧された冷却水46が鋼板9を伝って間隙9aに浸入し更には誘導子32での加熱部位へ落下するのも阻止される。放水部53の冷却水46は、水切部54上面の排水口等から流出し、水切部54の傾斜面上を流れて、外側へ排出されるようになっている(図12の矢付き点線を参照)。
電子制御装置45は(図13参照)、もう一つの追従制御プログラムが追加インストールされて、距離センサ55の距離データ(変位量の検出値)に基づいて水平面内調節機構51を動作させることにより誘導子52と鋼板9との対峙距離を一定に保つ追従制御も行うようになっている。また、曲り検出プログラムは例えば水平面内調節機構31,51の調整量の平均値を変形データ算出の基礎にすることで誤差を少なくし、捩れ検出プログラムは水平面内調節機構の調整量から鋼板9の長手方向の各部における局所的な捩れ量も算出して全体的な捩れ変形のデータに加味し、水量調節プログラムは放水量の調整を放水部33と放水部53に分担させ、通電制御プログラムは誘導子32に加えて誘導子52への通電も制御するようになっている。
この実施形態(第4形態)の鋼板熱処理装置50について、その使用態様及び動作を説明する。基本的には鋼板熱処理装置10のときと同様なので、ここでも相違点を中心に述べる。
鋼板熱処理装置50では誘導子と放水部との組が上下二段に配置されているので、鋼板9を一往復させる度に熱処理が2回行われる。その熱処理は、1回目が誘導子52と放水部53によって遂行され、2回目が誘導子32と放水部33によって遂行されるが、何れも移動式の誘導加熱による急熱と水冷による急冷であり、結晶粒の微細化に寄与する。その際、誘導子52の追従制御と誘導子32の追従制御は独立に行われるので、何れも鋼板9との対峙距離が一定に保たれる。
もっとも、以前の熱処理等に起因して鋼板9に曲げ変形等が生じていると、計測箇所以外の部位では対峙距離が多少変化するが、そのようなところではスライダ54aが移動してゴムシール54bと鋼板9との間隙9aが一定に維持されるので、上段の放水部53から冷却水46が鋼板9を伝って間隙9aに浸入することはなく、更にそこから真下へ冷却水46が流れ落ちることもない。そして、誘導子52と放水部53による先行の熱処理ばかりか、誘導子32と放水部33による後続の熱処理も、適切に遂行される。
また、鋼板9の上昇時に計測等で得られた変形データに基づき、鋼板9の下降時には変形矯正のための水量調整が行われるが、鋼板熱処理装置50の場合、水量調整が放水部33と放水部53とで分担して遂行されることから、調整能力が向上している。
さらに、放水子43から鋼板9の幅方向の端への放水も、鋼板9の下端部の焼割れ防止等のため、やはり熱処理開始の直後だけ行われるが、鋼板熱処理装置50の場合、誘導子52による先行の急熱にだけ併用され、鋼板9の深部まで冷える間のない短時間後に行われるため焼割れの心配のない誘導子32での急熱には併用されないので、誘導加熱と局所冷却との併用に起因して生じる不所望な変形が小さくて済む。
[その他]
本発明の一実施形態(第1形態)について、鋼板熱処理装置の機械部の概要構造を示し、(a)が正面図、(b)〜(d)が右側面図である。 支承部について、(a)が正面図、(b)〜(d)が右側面図である。 距離センサの配置を示し、(a)が正面図、(b)が右側面図である。 熱処理部について、(a)が放水子と誘導子の平面図、(b)が放水子と誘導子と放水部の正面図、(c)が放水部の一部断面の平面図である。 電子制御装置のブロック図である。 水冷状態を示し、(a)が反り矯正時、(b)が捩れ矯正時である。 本発明の他の実施形態(第2形態)について、誘導子の構造を示し、(a)が正面図、(b)が一部断面の右側面図である。 本発明の他の実施形態(第3形態)について、(a),(b)何れも誘導子の構造を示す正面図である。 本発明の他の実施形態(第4形態)について、鋼板熱処理装置の機械部の概要構造を示し、(a)が正面図、(b)が右側面図である。 距離センサの配置を示し、(a)が正面図、(b)が右側面図である。 熱処理部について、(a)が放水子と誘導子の平面図、(b)が放水子と誘導子と放水部の正面図、(c)が放水部の一部断面の平面図である。 水切部の要部の断面図である。 電子制御装置のブロック図である。
符号の説明
7…床面、8…床下、9…鋼板、
10…鋼板熱処理装置、
11…昇降モータ、12…固定枠、13…ボールネジ機構、
14…枠体上部、15…上端支承部材、16…下端支承部材、
17…枠体下部、18…可動枠、21,22…距離センサ、
31…水平面内調節機構、32…誘導子、33…放水部、33a…区分体、
33b…給水具、33c…流量調整弁、34…距離センサ、43…放水子、
44…給水具、45…電子制御装置、46…冷却水、47,48…誘導子、
50…鋼板熱処理装置、
51…水平面内調節機構、52…誘導子、53…放水部、54…水切部、
54a…スライダ、54b…ゴムシール、54c…チューブ、55…距離センサ

Claims (8)

  1. 鋼板に急熱とこれに続く急冷とを適用する熱処理を繰返し施して行う結晶粒微細化処理のために鋼板を長手方向に移動させながら該鋼板に誘導加熱とこれに続く急冷とを順次適用する鋼板熱処理装置において、前記鋼板の長手方向の両端に係合して前記鋼板をその長手方向を鉛直方向に配向させた状態で且つ曲り許容状態で保持する支承部材と、これを介して前記鋼板を長手方向に移動させる昇降機構と、前記鋼板を誘導加熱するための、該鋼板の幅方向には全域に亘り長手方向には一部区間に対峙するように配置された誘導子と該誘導子の下方で前記鋼板の幅方向には全域に亘り長手方向には一部区間に対峙するように配置された前記鋼板の急冷を行う放水部とが組みになった熱処理ユニットと、この熱処理ユニットを水平面内で移動させて位置と面内方位の調節を行う水平面内調節機構とを備えていることを特徴とする鋼板熱処理装置。
  2. 前記誘導子と前記鋼板との対峙距離を計測する距離センサが前記誘導子に対して固定された状態で前記鋼板の幅方向における複数箇所に設置され、そのデータに基づいて前記水平面内調節機構を動作させることにより前記対峙距離を一定に保つ追従制御が行われることを特徴とする請求項1記載の鋼板熱処理装置。
  3. 前記放水部がその長手方向に区分けされていて、その区分体の幾つかは放水量の調整が可能になっており、前記鋼板の変形状態を検知する変形検知手段が設けられ、その変形を矯正するよう前記放水部の放水量が調整されることを特徴とする請求項2記載の鋼板熱処理装置。
  4. 前記変形検知手段として、前記水平面内調節機構での調節量に基づいて前記鋼板の変形状態を検知する手段と、前記支承部材の近傍に設けられてそれと共に移動する距離センサによって検出した前記鋼板の端部の変位量に基づいて前記鋼板の変形状態を検知する手段とのうち、何れか一方の手段または双方の手段が設けられていることを特徴とする請求項3記載の鋼板熱処理装置。
  5. 前記誘導子が複数回巻かれた、前記鋼板を囲撓できる形状のソレノイドコイルであり、それと前記鋼板との対峙距離がコイル内の上側部分では狭く下側部分では広くなっている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載された鋼板熱処理装置。
  6. 前記熱処理ユニットが前記鋼板の幅方向を、上方に凸側を向けた逆V字状に又は傾きをつけた直線状にカバーしていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載された鋼板熱処理装置。
  7. 前記鋼板の幅方向の端部に放水する放水子が前記熱処理ユニットに固定された状態で前記誘導子の上方に設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載された鋼板熱処理装置。
  8. 前記熱処理ユニットが上下方向複数段設置され、最下段を除く各段の放水部には前記鋼板を伝う水の落下を阻止する水切部が付設され、最上段の誘導子の上方には前記鋼板の幅方向の端部に放水する放水子が最上段の熱処理ユニットに固定された状態で設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載された鋼板熱処理装置。
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