JP2006348174A - 光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物及びそれを光硬化させて得られる立体造形物 - Google Patents

光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物及びそれを光硬化させて得られる立体造形物 Download PDF

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Abstract

【課題】液状樹脂組成物の保存安定性が良好であり、かつ、高温環境下においても黄変の少ない立体造形物を高精度で得ることができる光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)下記式(1)で表される構造を有する化合物、
【化1】
Figure 2006348174

(B)フェノール性水酸基を有する化合物、(C)カチオン重合性化合物、(D)ラジカル重合開始剤、(E)ラジカル重合性化合物、(F)2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド及びジフェニルジスルフィドからなる群から選択される1種以上の化合物、及び、
(G)ポリエーテルポリオール化合物、を含有する液状樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物及びそれを光硬化させて得られる立体造形物に関する。
放射線硬化性の液状物質(液状樹脂組成物)に選択的に光照射して硬化樹脂層を形成する工程を繰り返すことにより、当該硬化樹脂層が一体的に積層されてなる立体形状物を形成する光学的立体造形法が知られている(特許文献1〜4参照)。この光学的立体造形法の代表的な例を説明すると、次のとおりである。
まず、容器内に収容された放射線硬化性液状樹脂組成物の液面に、紫外線レーザー等の光を選択的に照射することにより、所定のパターンを有する硬化樹脂層を形成する。次いで、この硬化樹脂層の上に、一層分の放射線硬化性液状樹脂組成物を供給し、その液面に選択的に光を照射することにより、先行して形成された硬化樹脂層上にこれと連続するよう新しい硬化樹脂層を一体的に積層形成する。そして、光が照射されるパターンを変化させながらあるいは変化させずに上記の工程を所定回数繰り返すことにより、複数の硬化樹脂層が一体的に積層されてなる立体形状物が形成される。
この光学的立体造形法は、目的とする立体形状物の形状が複雑なものであっても、容易にしかも短時間で得ることができる。本技術は、自動車や家電産業の新製品開発における試作過程において極めて有用であり、開発期間の短縮とコスト削減に不可欠な手段になりつつある。
従来、光学的立体造形法に使用される放射線硬化性液状樹脂組成物としては、下記〔イ〕〜〔ハ〕のような樹脂組成物が紹介されている。
〔イ〕ウレタン(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、チオール及びエン化合物、感光性ポリイミド等のラジカル重合性有機化合物を含有する樹脂組成物(特許文献5〜7参照)。
〔ロ〕エポキシ化合物、環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物等のカチオン重合性有機化合物を含有する樹脂組成物(特許文献8参照)。
〔ハ〕ラジカル重合性有機化合物とカチオン重合性有機化合物とを含有する樹脂組成物(特許文献9〜14参照)。
このような立体造形法により得られる立体形状物は、これまでデザインを検討するための形状確認モデルとして多用されてきた。しかしながら、近年の市場動向として、光学部品等の透明な造形物に対する要請が高く、特に、得られた透明な立体造形物が、高温環境下においても経時的に着色(黄変)しないことが求められている。
一方、このような立体形状物を形成するための放射線硬化性液状樹脂組成物は、優れた保存安定性を有することが望まれる。
しかし、前述の〔イ〕〜〔ハ〕の樹脂組成物を用いた立体造形物は、高温環境下における経時的な黄変を十分に抑制することができなかった。
また、立体形状物を形成するための液状樹脂組成物は、保存安定性に劣ることがあった。この場合、調製時から立体形状物の作製時までの保存可能時間が短くなり、不便であった。
特許文献15及び16には、光学的立体造形法に使用される放射線硬化性液状樹脂組成物に添加することができる成分として、酸化防止剤が記載されているが、立体造形物の耐熱環境下における黄変性との関係については記載されていない。
また、前述の〔ロ〕及び〔ハ〕の組成では、一般的にトリアリールスルホニウム塩タイプのカチオン性重合開始剤が用いられる。代表的な例として、下記式(1)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2006348174
具体的な市販品としては、UVI−6974、UVI−6976(ダウ・ケミカル社製)、CPI−6976(アセトコーポレーション社製)などが挙げられる。
特開昭60−247515号公報 特開昭62−35966号公報 特開昭62−101408号公報 特開平5−24119号公報 特開平1−204915号公報 特開平2−208305号公報 特開平3−160013号公報 特開平1−213304号公報 特開平2−28261号公報 特開平2−75618号公報 特開平6−228413号公報 特開平11−310626号公報 特開平11−228610号公報 特開平11−240939号公報 特開平8−256062号公報 特開2003−73457号公報
本発明の目的は、液状樹脂組成物の保存安定性が良好であり、かつ、高温環境下においても黄変の少ない立体造形物を高精度で得ることができる光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、前記式(1)の構造を有するカチオン性重合開始剤の使用に加えて、特定の一次酸化防止剤(下記成分(B))及び二次酸化防止剤(下記成分(F))を併用することにより、上記目的に合致した光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]を提供するものである。
[1]下記成分(A)〜(G):
(A)下記式(1)で表される構造を有する化合物、
Figure 2006348174
(B)フェノール性水酸基を有する化合物、
(C)カチオン重合性化合物、
(D)ラジカル重合開始剤、
(E)ラジカル重合性化合物、
(F)2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド及びジフェニルジスルフィドからなる群から選択される1種以上の化合物、及び、
(G)ポリエーテルポリオール化合物、
を含有する光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物。
[2]組成物全量に対する成分(A)〜(G)の含有率が、下記のとおりである上記[1]に記載の光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物。
成分(A):0.1〜10質量%
成分(B):0.1〜10質量%
成分(C):15〜85質量%
成分(D):0.01〜10質量%
成分(E):0.1〜25質量%
成分(F):0.2〜3質量%
成分(G):1〜35質量%
[3]成分(C)が、1分子中に2個以上の脂環式エポキシ基を有する化合物を、成分(C)の全量に対して40質量%以上の含有量で含む上記[1]又は[2]に記載の光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物。
[4]成分(B)が、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物に光を照射することにより得られる立体造形物。
本発明の光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、液状樹脂組成物の保存安定性が良好であり、高温環境下における黄変の少ない立体造形物を高精度で得ることができるという利点がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
I.光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物
本発明の組成物は、上記成分(A)〜(G)を必須構成成分とする。以下、成分(A)〜(G)及び必要に応じて配合しうる任意成分について、それぞれ説明する。
成分(A)
本発明の組成物に用いられる成分(A)は、下記式(1)で表される構造を有する化合物であり、光カチオン性重合開始剤として働く。通常、式(1)で表される構造を有する化合物は、下記式(1a)で表されるジフェニル(フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネートとして塩の形で用いることができる。
Figure 2006348174
Figure 2006348174
上記式(1)で表される構造を有する化合物の市販品には、通常、不純物として、下記式(2)で表される構造を有する化合物が含まれている。
本発明の組成物中の下記式(2)で表される構造を有する化合物の量は、上記式(1)で表される構造を有する化合物の含有量に対して、質量比で1/20を超えないことが、望ましい。これにより、液状樹脂組成物の保存安定性が一層改善されて経時的な粘度上昇が防止される。
下記式(2)で表される構造を有する化合物は、下記式(2a)で表されるビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルファイドビスヘキサフルオロアンチモネートとして塩の形である場合が多い。
Figure 2006348174
Figure 2006348174
上記式(2)で表される構造を有する化合物の含有量が十分に低く、成分(A)として好適に用いることができる市販品としては、CPI−100A、CPI−101A、CPI−110A(サンアプロ社製)等が挙げられる。
本発明における成分(A)の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜8質量%、特に好ましくは1〜8質量%である。成分(A)の含有量が0.1質量%未満である場合には、液状樹脂組成物の放射線硬化性が低下し、十分な機械的強度を有する立体形状物を造形することができない。一方、10質量%を超える場合には、液状樹脂組成物を光学的立体造形法に供する場合に、適当な光透過性を得ることができず、硬化深さの制御が困難となり、得られる立体形状物の造形精度が低下する傾向がある。
成分(B)
本発明の組成物に用いられる成分(B)は、フェノール性水酸基を有する化合物である。成分(B)としては、公知の酸化防止剤等を挙げることができ、特にヒンダードフェノール系化合物が好ましい。成分(B)を添加することにより、後述の成分(F)も添加することを前提として、高温環境下においても黄変の少ない立体造形物を高精度で得ることができる。
成分(B)の具体例としては、下記化合物等を挙げることができる。ヒンダードフェノール性化合物としては、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス 1010)、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス 1035FF)、ベンゼンプロパン酸−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](イルガノックス 245)、オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス 1076)、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a‘,a“−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール(イルガノックス 1330)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(イルガノックス 3114)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(イルガノックス1520L)、9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(スミライザー GA−80)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(スミライザー BHT)等が挙げられる。(上記において、イルガノックス(Irganox)は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社の登録商標、スミライザー(Sumilizer)は、住友化学工業社の登録商標である。)
中でも、高温環境下における立体造形物の経時的な黄変の抑制効果が高いことから、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を用いることが、特に好ましい。
ヒンダードフェノール系の成分(B)の市販品としては、例えばIrganox 1010、1035FF、245、1076、1330、3114、1520L、3125(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Sumilizer BHT、GA−80(住友化学社製)、Cyanox 1790(サイテック社製)等が挙げられる。
本発明の組成物中における成分(B)の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは1.0〜5.0質量%である。成分(B)の含有量が0.1質量%未満である場合又は10質量%を超える場合には、高温環境下における立体造形物の経時的な黄変の抑制効果が不十分となるなどの欠点があり、好ましくない。
成分(C)
本発明の組成物に用いられる成分(C)は、カチオン重合性化合物であり、カチオン性光重合開始剤の存在下で光照射することにより重合反応や架橋反応を起こす化合物である。
成分(C)としては、特に限定されるものではないが、1分子中に2個以上の脂環式エポキシ基を有する化合物が好ましい。1分子中に2個以上の脂環式エポキシ基を有する化合物を、成分(C)の全量(100質量%)に対して40質量%以上の含有量で含むことによって、特に良好な硬化速度、機械的強度及び耐熱性を得ることができる。
成分(C)の具体例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシシクロへキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノール又はアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油;エポキシステアリン酸ブチル;エポキシステアリン酸オクチル;エポキシ化アマニ油;エポキシ化ポリブタジエン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン等のオキセタン化合物等を挙げることができる。
上記のカチオン重合性化合物は、1種単独で又は2種以上組み合わせて、成分(C)を構成することができる。
これらのカチオン重合性化合物のうち、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン等が好ましい。
さらに好ましくは、上述のとおり、良好な硬化速度、機械的強度及び耐熱性を得る観点から、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等の、1分子中に2個以上の脂環式エポキシ基を有する化合物である。
成分(C)の市販品としては、UVR−6100、UVR−6105、UVR−6110、UVR−6128、UVR−6200、UVR−6216(以上、ユニオンカーバイド社製)、セロキサイド2021、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、エポリードGT−300、エポリードGT−301、エポリードGT−302、エポリードGT−400、エポリード401、エポリード403(以上、ダイセル化学工業社製)、KRM−2100、KRM−2110、KRM−2199、KRM−2400、KRM−2410、KRM−2408、KRM−2490、KRM−2200、KRM−2720、KRM−2750(以上、旭電化工業社製)、Rapi−cure DVE−3、CHVE、PEPC(以上、ISP社製)エピコート828、エピコート812、エピコート1031、エピコート872、エピコートCT508(以上、ジャパンエポキシレジン社製)、XDO(以上、東亞合成社製)、VECOMER 2010、2020、4010、4020(以上、アライドシグナル社製)等を挙げることができる。
本発明の組成物中における成分(C)の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは15〜85質量%、より好ましくは30〜80質量%、特に好ましくは40〜75質量%である。成分(C)の含有量が85質量%を超えると、立体造形物の反り等の変形が大きくなる傾向にあり、一方、15質量%未満の場合には、立体造形物の機械的特性及び熱的特性が低下する傾向がある。
成分(D)
本発明の組成物に用いられる成分(D)は、ラジカル重合開始剤であり、光等の放射線を受けることにより分解し、発生するラジカルによって、後述の成分(E)(ラジカル重合性化合物)のラジカル重合反応を開始させる化合物である。
成分(D)の具体例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン系化合物、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−2−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ−メチルペンチルフォスフィンオキサイド、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、及びBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリンその他の色素増感剤との組み合わせ等を挙げることができる。
これらのうち、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が特に好ましい。
上記のラジカル重合開始剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて、成分(D)を構成することができる。
本発明の組成物中における成分(D)の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。成分(D)の含有割合が0.01質量%未満である場合には、液状樹脂組成物のラジカル重合反応速度(硬化速度)が低下して、造形に長時間を要したり、解像度が低下したりする傾向がある。一方、成分(D)の含有割合が10質量%を超える場合には、過剰量の重合開始剤が液状樹脂組成物の硬化特性を低下させたり、立体造形物の耐湿性や耐熱性に悪影響を及ぼすことがある。
成分(E)
本発明の組成物に用いられる成分(E)は、ラジカル重合性化合物である。具体的にはエチレン性不飽和結合(C=C)を有する化合物であり、1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有する単官能モノマーや、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーを挙げることができる。
単官能モノマー及び多官能モノマーは、各々1種単独で又は2種以上組み合わせるか、あるいは単官能モノマーの少なくとも1種と多官能モノマーの少なくとも1種とを組み合わせて、成分(E)を構成することができる。
成分(E)中には3官能以上、即ち1分子中に3個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーが、成分(E)の全量(100質量%)に対して60質量%以上の含有量で含まれていることが好ましい。該含有量は、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは100質量%である。該含有量が60質量%以上であると、液状樹脂組成物の放射線硬化性がより向上すると共に、立体造形物の経時的変形が生じにくくなる傾向がある。
成分(E)である単官能性モノマーの具体例としては、アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドテトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレートで表される化合物等を挙げることができる。
成分(E)である多官能性モノマーの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下「EO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド(以下「PO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加物、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの中で、3官能以上の多官能モノマーに該当する上記に例示されたトリ(メタ)アクリレート化合物、テトラ(メタ)アクリレート化合物、ペンタ(メタ)アクリレート化合物、ヘキサ(メタ)アクリレート化合物等が好ましい。
中でもトリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
成分(E)である単官能性モノマーの市販品としては、例えばアロニックスM−101、M−102、M−111、M−113、M−117、M−152、TO−1210(以上、東亞合成社製)、KAYARAD TC−110S、R−564、R−128H(以上、日本化薬社製)、ビスコート192、ビスコート220、ビスコート2311HP、ビスコート2000、ビスコート2100、ビスコート2150、ビスコート8F、ビスコート17F(以上、大阪有機化学工業社製)等を挙げることができる。
成分(E)である多官能性モノマーの市販品としては、例えば、SA1002(以上、三菱化学社製)、ビスコート195、ビスコート230、ビスコート260、ビスコート215、ビスコート310、ビスコート214HP、ビスコート295、ビスコート300、ビスコート360、ビスコートGPT、ビスコート400、ビスコート700、ビスコート540、ビスコート3000、ビスコート3700(以上、大阪有機化学工業社製)、カヤラッドR−526、HDDA、NPGDA、TPGDA、MANDA、R−551、R−712、R−604、R−684、PET−30、GPO−303、TMPTA、THE−330、DPHA、DPHA−2H、DPHA−2C、DPHA−2I、D−310、D−330、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、T−1420、T−2020、T−2040、TPA−320、TPA−330、RP−1040、RP−2040、R−011、R−300、R−205(以上、日本化薬社製)、アロニックスM−210、M−220、M−233、M−240、M−215、M−305、M−309、M−310、M−315、M−325、M−400、M−6200、M−6400(以上、東亞合成社製)、ライトアクリレートBP−4EA、BP−4PA、BP−2EA、BP−2PA、DCP−A(以上、共栄社化学社製)、ニューフロンティアBPE−4、BR−42M、GX−8345(以上、第一工業製薬社製)、ASF−400(以上、新日鐵化学社製)、リポキシSP−1506、SP−1507、SP−1509、VR−77、SP−4010、SP−4060(以上、昭和高分子社製)、NKエステルA−BPE−4(以上、新中村化学工業社製)等を挙げることができる。
本発明の組成物中における成分(E)の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは0.1〜25質量%、より好ましくは0.1〜15質量%である。成分(E)を添加することによって、液状樹脂組成物の放射線硬化性が向上するとともに、立体造形物の経時的変形が生じにくくなる傾向にある。ただし、成分(E)の含有量が25質量%を超えると、立体造形物の耐衝撃性や破壊靭性が低下する傾向がある。
成分(F)
本発明の組成物に用いられる成分(F)は、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド及びジフェニルジスルフィドからなる群から選択される1種以上の化合物である。
成分(F)を添加することによって、液状樹脂組成物に光を照射して得られる硬化物(立体造形物)の透明性の経時的変化(黄変)を、例えば80℃×2時間程度の高温環境下においても、抑制することができる。
成分(F)のうち、2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾールは、下記式(3)で表される化合物である。
イソプロピルキサントゲンジスルフィドは、下記式(4)で表される化合物である。
ジフェニルジスルフィドは、下記式(5)で表される化合物である。
Figure 2006348174
Figure 2006348174
Figure 2006348174
本発明の組成物中における成分(F)の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは0.2〜3質量%である。
ただし、成分(F)の特に好ましい含有量は、成分(F)の種類によって、次のように異なる。
2−メルカプトベンゾチアゾールの場合には、0.2〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.2〜0.7質量%である。
2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール若しくはジフェニルジスルフィドの場合には、0.2〜3質量%である。
ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドの場合には、1〜3質量%である。
成分(F)の含有量が0.1質量%未満である場合には、立体造形物の黄変の抑制効果を十分に得ることができないことがある。一方、成分(F)の含有量が3質量%を超える場合には、重合阻害により、本発明の組成物が十分に硬化せず、光造形法により得られる立体造形物の弾性率が低下する傾向がある。
成分(G)
本発明の組成物に用いられる成分(G)は、ポリエーテルポリオール化合物である。成分(G)を添加することにより、液状樹脂組成物の放射線硬化性を改善し、硬化物の機械的特性、特に弾性率を向上させて、光造形法により得られる立体造形物の形状や機械的特性の経時的変化を抑制することができる。
成分(G)は、1分子中に3個以上の水酸基を有するものが好ましく、1分子中に3〜6個の水酸基を有するものが特に好ましい。1分子中に有する水酸基の数が3個以上のポリエーテルポリオールを用いることにより、放射線硬化性の十分な向上効果が得られ、また、得られる立体造形物の機械的特性、特に弾性率を安定させることができる。
成分(G)の具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、クオドロール等の3価以上の多価アルコールを、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物で変性することにより得られるポリエーテルポリオールを挙げることができる。
具体的には、EO変性トリメチロールプロパン、PO変性トリメチロールプロパン、テトラヒドロフラン変性トリメチロールプロパン、EO変性グリセリン、PO変性グリセリン、テトラヒドロフラン変性グリセリン、EO変性ペンタエリスリトール、PO変性ペンタエリスリトール、テトラヒドロフラン変性ペンタエリスリトール、EO変性ソルビトール、PO変性ソルビトール、EO変性スクロース、PO変性スクロース、EO変性スクロース、EO変性クオドール等を挙げることができる。
上記のポリエーテルポリオールは、1種単独で又は2種以上組み合わせて、成分(G)を構成することができる。
成分(G)の市販品としては、サンニックスTP−400、サンニックスGP−600、サンニックスGP−1000、サンニックスSP−750、サンニックスGP−250、サンニックスGP−400、サンニックスGP−600(以上、三洋化成社製)、TMP−3Glycol、PNT−4 Glycol、EDA−P−4、EDA−P−8(以上、日本乳化剤社製)、G−300、G−400、G−700、T−400、EDP−450、SP−600、SC−800(以上、旭電化工業社製)、SCP−400,SCP−1000、SP−1600(以上、阪本薬品工業社製)等を挙げることができる。
本発明の組成物中における成分(G)の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは1〜35質量%、より好ましくは1〜25質量%、特に好ましくは3〜15質量%である。
成分(G)の含有量が1質量%未満である場合には、液状樹脂組成物の遅延硬化性が低下するほか、放射線硬化性の向上効果を十分に得ることができず、さらには、良好な形状安定性及び物性安定性を有する立体造形物を得ることができないことがある。
一方、成分(G)の含有割合が35質量%を超える場合にも、液状樹脂組成物の放射線硬化性が低下し、光造形法により得られる立体造形物の弾性率が低下する傾向がある。
(H)成分
本発明の組成物に用いられる(H)成分は、水である。(H)成分を添加することによって、液状樹脂組成物の放射線硬化性を改善することができるとともに、液状樹脂組成物に光を照射して得られる硬化物の機械的特性、特に弾性率が向上するため、光造形により得られる立体造形物の形状や機械的特性の経時的変化を抑制することができる。
したがって、本発明では、(A)〜(G)成分に加えて、(H)成分を添加することが好ましい。
本発明の組成物中における(H)成分の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは0.1〜2質量%、より好ましくは0.2〜1質量%である。
成分(H)の含有量が0.1質量%未満である場合には、樹脂の感度が経時変化しやすく、安定な造形を行うことが難しくなる傾向がある。一方、成分(F)の含有割合が2質量%を超える場合にも、光造形により得られる立体形状物の弾性率が低下する傾向がある。
本発明の組成物から製造される立体造形物の物性等を向上させる目的で、成分(H)以外に任意に添加することができる成分として、例えば、光増感剤(重合促進剤)、反応性希釈剤等を挙げることができる。
光増感剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミン系化合物;チオキサントン、チオキサントンの誘導体、アントラキノン、アントラキノンの誘導体、アントラセン、アントラセンの誘導体、ペリレン、ペリレンの誘導体、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。
また、本発明の組成物には、本発明の目的及び効果を損なわない限りにおいて、その他の任意成分として各種の添加剤が含有されていてもよい。かかる添加剤としては、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマー等のポリマーあるいはオリゴマー;フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の重合禁止剤;重合開始助剤;レベリング剤;濡れ性改良剤;界面活性剤;可塑剤;紫外線吸収剤;シランカップリング剤;無機充填剤;エラストマー粒子;顔料;染料等を挙げることができる。
本発明の組成物は、上記成分(A)〜(H)及びその他の添加剤等の適量を攪拌容器に仕込み、通常、30〜70℃、好ましくは50〜60℃の温度で、通常1〜6時間、好ましくは1〜2時間攪拌することによって製造することができる。
以上のようにして得られる本発明の組成物は、光学的立体造形法における放射線硬化性液状樹脂組成物として好適に使用される。すなわち、本発明の組成物に対して、可視光、紫外光、赤外光等の光を選択的に照射して硬化に必要なエネルギーを供給する光学的立体造形法により、所望の形状の立体形状物を製造することができる。
本発明の組成物を用いれば、液状樹脂組成物の保存安定性が良好であり、高温環境下における黄変の少ない立体造形物を、高精度で製造することができる。
II.立体造形物
本発明の立体造形物は、本発明の組成物に光を照射することにより得られるものである。
本発明の組成物に光を選択的に照射する手段としては、特に制限されるものではなく、種々の手段を採用することができる。
例えば、(a)レーザー光、あるいはレンズ、ミラー等を用いて得られた収束光等を走査させながら組成物に照射する手段、(b)所定のパターンの光透過部を有するマスクを用い、このマスクを介して非収束光を組成物に照射する手段、(c)多数の光ファイバーを束ねてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光を組成物に照射する手段、等を採用することができる。
また、上記(b)のマスクを用いる手段においては、マスクとして、液晶表示装置と同様の原理により、所定のパターンに従って、光透過領域と光不透過領域とからなるマスク像を電気光学的に形成するものを用いることもできる。
目的とする立体形状物が、微細な部分を有するもの、又は高い寸法精度が要求されるものである場合には、液状樹脂組成物に選択的に光を照射する手段として、スポット径の小さいレーザー光を走査する手段を採用することが好ましい。
なお、容器内に収容されている液状樹脂組成物における光の照射面(例えば収束光の走査平面)は、当該液状樹脂組成物の液面、透光性容器の器壁との接触面の何れであってもよい。液状樹脂組成物の液面又は器壁との接触面を光の照射面とする場合には、容器の外部から直接又は器壁を介して光を照射することができる。
前記の光学的立体造形法においては、通常、液状樹脂組成物の特定部分を硬化させた後、光の照射位置(照射面)を、既硬化部分から未硬化部分に連続的に又は段階的に移動させることにより、硬化部分を積層させて所望の立体形状とする。ここで、照射位置の移動は種々の方法によって行うことができ、例えば光源、樹脂組成物の収容容器、樹脂組成物の既硬化部分の何れかを移動させたり、当該容器に樹脂組成物を追加供給する等の方法を挙げることができる。
前記の光学的立体造形法の代表的な一例を説明すると、次のとおりである。
まず、収容容器内において昇降自在に設けられた支持ステージを、液状樹脂組成物の液面から微小量降下(沈降)させることにより、当該支持ステージ上に液状樹脂組成物を供給して、その薄層(1)を形成する。
次いで、この薄層(1)に対して選択的に光を照射することにより、固体状の硬化樹脂層(1)を形成する。
次いで、この硬化樹脂層(1)上に液状樹脂組成物を供給してその薄層(2)を形成し、この薄層(2)に対して選択的に光照射することにより、前記硬化樹脂層(1)上にこれと連続して一体的に積層するよう新しい硬化樹脂層(2)を形成する。
そして、光照射されるパターンを変化させながら或いは変化させずに、この工程を所定回数繰り返すことにより、複数の硬化樹脂層(1,2,・・・n)が一体的に積層されてなる立体形状物が造形される。
このようにして得られる立体形状物を収容容器から取り出し、その表面に残存する未反応の樹脂組成物を除去した後、必要に応じて洗浄する。ここで、洗浄剤としては、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類に代表されるアルコール系有機溶剤;アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等に代表されるケトン系有機溶剤;テルペン類に代表される脂肪族系有機溶剤;低粘度の熱硬化性樹脂及び放射線硬化性樹脂を挙げることができる。
なお、洗浄剤で洗浄した後には必要に応じて、熱照射又は光照射によるポストキュアーを行っても良い。
ポストキュアーは、立体形状物の表面及び内部に残存することのある未反応の樹脂組成物を硬化させることができ、造形物の表面のべたつきを抑えることができる他、造形物の初期強度を向上させることができる。
本発明の立体造形物は、高精度であり、高温環境下においても黄変が少ない。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[液状樹脂組成物の調製]
表1に示す配合処方に従って各成分を攪拌容器内に仕込み、60℃で3時間攪拌することにより、実施例1〜10及び比較例1〜2の液状樹脂組成物を調製した。表1の配合処方は、質量部で示す。
[使用成分]
表1中の各成分は、次のとおりである。
(1)成分A
式(1a)で示される化合物の高純度品を用いた。
この高純度品は、CPI−100A(商品名;サンアプロ株式会社製)を、THFを用いた再結晶法により精製したものである。
なお、CPI−100Aは、(1)ジフェニル(フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネートと、(2)ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルファイドビスヘキサフルオロアンチモネートの混合物であり、(2)/(1)の質量比が1/50のものである。
CPI−100Aの高純度品における(2)/(1)の質量比は、HPLCのピーク面積比から、1/50以下であることが確認された。
(2)成分B
Irganox1010:ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
(3)成分C−1
セロキサイド2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ダイセル化学工業社製)
(4)成分C−2
エポライト4000:水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(共栄社化学社製)
(5)成分C−3
アロンオキセタン OXT−121:1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(東亜合成社製)
(6)成分D
Irgacure184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
(7)成分E−1
SR399E:ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート(米国サートマー社、巴工業社製)
(8)成分E−2
SR9003:ネオペンチルグリコールジアクリレート(米国サートマー社、巴工業社製)
(9)成分E−3
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製)
(10)成分F−1
2−メルカプトベンゾチアゾール(東京化成工業社製)
(11)成分F−2
ノクセラーMDB:2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール(大内新興化学工業社製)
(12)成分F−3
サンビットDIX:ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド(三新化学工業社製)
(13)成分F−4
ジフェニルジスルフィド(東京化成工業社製)
(14)成分F’(成分Fの代替物)
ノクセラーDM:ジベンゾチアジルジスルフィド(大内新興化学工業社製)
(15)成分G
サンニックスGP−400:ポリエーテルポリオール(三洋化成社製)
(16)成分H
[式(2)で表される構造を有する化合物の含有量の測定]
液状樹脂組成物中の前記式(2)で表される構造を有する化合物の含有量は、実施例1〜10及び比較例1〜2のいずれにおいても、前記式(1)で表される構造を有する化合物に対する質量比で、1/796であった。この測定方法は、次のとおりである。
液状樹脂組成物とメタノールを容積比20:80の割合でよく混合し、1時間静置した後に、その上澄み液を0.45μmフィルターで濾過し、試料液とした。この試料液を高速液体クロマトグラフィー(カラム:Inertsil Ph−3型、ジーエルサイエンス社製、キャリヤー:メタノール/水=95/5(過塩素酸ナトリウム0.15%))により分析を行い、式(1)で表される構造体と式(2)で表される構造体にそれぞれ由来するピークの面積比(ダイオードアレイで検出、波長300nmで解析)から、これらの含有量比を算出した。
[物性評価]
実施例1〜10及び比較例1〜2の各液状樹脂組成物を用いて、液状樹脂組成物の保存安定性、及び、立体造形物のヤング率及び高温環境下での黄変抑制の評価試験を行った。評価方法は次のとおりである。
(a)樹脂液保存安定性
各液状樹脂組成物100gをサンプルボトルに量り取り、80℃の恒温装置内に静置させた。10日間経過した後に、液状樹脂組成物の粘度が初期値の1.5倍以上に増大した場合を「×」、1.5倍未満である場合を「○」と判定した。
(b)ヤング率
実施例および比較例で得られた組成物の硬化後のヤング率は、次のようにして測定した。
381ミクロン厚のアプリケーターバーを用いてPET基板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射し硬化させ、試験用フィルムを得た。この硬化フィルムから延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるように短冊状サンプルを作成した。温度23℃、湿度50%下で引張り試験機を用いてJIS K7127に準拠して引張試験を行った。引張速度は1mm/minで2.5%歪みでの抗張力からヤング率を求めた。
(c)高温環境下での黄変抑制
ソリッドクリエーターSCS−300P(ソニーマニュファクチュアリングシステムズ社製)を使用し、照射面(液面)におけるレーザーパワー100mW、各組成において硬化深さが0.2mmとなる走査速度の条件で、液状樹脂組成物に対して選択的にレーザー光を照射して硬化樹脂層(厚さ0.1mm)を形成する工程を繰り返すことにより、立体造形物を作製した。得られた立体造形物について、造型直後と、80℃で2時間放置後にそれぞれ、微小面分光色差計(日本電色工業社製;VSS−300H型)によりYI値(イエローインデックス)を測定して、造型直後と、80℃で2時間放置後とのYI値の差(ΔYI)を算出した。ΔYI値が5以下である場合を「○」、5を超えた場合を「×」と判定した。
評価結果を表1に示す。
Figure 2006348174
表1から、実施例1〜10では、液状樹脂組成物における優れた保存安定性、及び、立体造形物における高温環境下での優れた黄変抑制効果が得られていることがわかる。
一方、比較例1では、成分(F)を含まないため、立体造形物における高温環境下での黄変抑制効果が劣る。比較例2では、成分(F)に代えて他の酸化防止剤を含むため、液状樹脂組成物の保存安定性が劣る。

Claims (5)

  1. 下記成分(A)〜(G):
    (A)下記式(1)で表される構造を有する化合物、
    Figure 2006348174
    (B)フェノール性水酸基を有する化合物、
    (C)カチオン重合性化合物、
    (D)ラジカル重合開始剤、
    (E)ラジカル重合性化合物、
    (F)2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド及びジフェニルジスルフィドからなる群から選択される1種以上の化合物、及び、
    (G)ポリエーテルポリオール化合物、
    を含有する光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物。
  2. 組成物全量に対する成分(A)〜(G)の含有率が、下記のとおりである請求項1記載の光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物。
    成分(A):0.1〜10質量%
    成分(B):0.1〜10質量%
    成分(C):15〜85質量%
    成分(D):0.01〜10質量%
    成分(E):0.1〜25質量%
    成分(F):0.2〜3質量%
    成分(G):1〜35質量%
  3. 成分(C)が、1分子中に2個以上の脂環式エポキシ基を有する化合物を、成分(C)の全量に対して40質量%以上の含有量で含む請求項1又は2に記載の光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物。
  4. 成分(B)が、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学的立体造形用放射線硬化性液状樹脂組成物に光を照射することにより得られる立体造形物。
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