JP2006348082A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 特に、良好な耐熱性、耐薬品性を示し、溶融性、耐スクラッチ性、低温特性のバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることを目的とする。
【解決手段】 メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)からなり、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のうち少なくとも一方の重合体ブロックに酸無水物基および/またはカルボキシル基を有するアクリル系ブロック共重合体(A)と、1分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を有するアクリル系重合体(B)および25℃での粘度が500mp・s以下であり、SP値が8.0〜9.5である可塑剤(C)からなる組成物とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)からなり、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のうち少なくとも一方の重合体ブロックに酸無水物基および/またはカルボキシル基を有するアクリル系ブロック共重合体(A)と、1分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を有するアクリル系重合体(B)および25℃での粘度が500mp・s以下であり、SP値が8.0〜9.5である可塑剤(C)からなる組成物とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、耐熱性、耐薬品性および溶融性のバランスに優れたアクリル系ブロック共重合体組成物に関するものである。また、パウダースラッシュ成形に好適な組成物およびその組成物を用いたパウダースラッシュ成形品に関する。
内装材等の表皮材には、これまで、軟質のポリ塩化ビニル(以下、PVC)がよく用いられており、内装材を成形する際は、例えば、粉末材料を用いた成形法であるパウダースラッシュ成形法等が用いられている。この方法は、i)ソフトな触感の製品が得られる、ii)皮シボやステッチを製品に設けることができる、iii)設計自由度が大きく意匠性の高い高級感のある表皮材を形成し得る、等の特徴を有しており、インストルメントパネル、コンソールボックス、ドアートリム等の自動車内装品の表皮成形に広く採用されている。この成形方法では、射出成形といった他の成形方法とは異なり、成形の際に賦形圧力をかけない。このため、粉末材料は、成形時に複雑な形状の金型に均一に付着し、かつ金型に付着した粉体が溶融して皮膜を形成することが要求される。また、表皮材などには、引張強度や伸び等の機械特性や耐候性、耐熱性、耐スクラッチ性、低温特性、歪回復性、接触可能性のある薬剤に対する耐性等が要求される。
PVCはパウダースラッシュ成形時の成形性に優れる。しかし、ハロゲン原子を多量に含むため、燃焼時の有毒ガス発生といった問題を有している。近年、これらPVCに替わる材料として、オレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマーが多く提案されている。これら熱可塑性エラストマーは比較的安価で耐候性、耐熱性に優れるものの、耐スクラッチ性に劣るという欠点を有している。
耐スクラッチ性に優れる材料として、熱可塑性ウレタンエラストマー(以下、TPU)よりなるパウダースラッシュ成形材料が提案されている。これらTPUは、低温特性、柔軟性に優れるものの、耐候性に劣るため、長期使用される自動車内装部品等の用途には信頼性の点で問題があった。
そこで、上記問題を解決する材料として、アクリル系ブロック共重合体を使用したパウダースラッシュ材料が提案されている(特許文献1)。メタアクリル酸メチルなどをハードセグメント、アクリル酸ブチルなどをソフトセグメントに有するアクリル系ブロック共重合体は、熱可塑性エラストマーとしての特性を有することが知られており、ブロック体を構成する成分を適宜選択することで、スチレン系ブロック体などの他の熱可塑性エラストマーに比べて極めて柔軟なエラストマーを与えることも可能である。また、アクリル系ブロック共重合体は、耐候性、耐熱性、耐久性、耐油性、耐磨耗性、低温特性に優れ、更に、例えばイニファーター法で製造したメタアクリルブロックとアクリルブロックを有するアクリル系ブロック共重合体は優れた機械特性を示す(特許文献2)。
しかし、特許文献1や2に記載のアクリル系ブロック共重合体から得られる成形体は、溶融性、耐熱性がパウダースラッシュ材料としては充分ではなかった。このため、耐候性、耐スクラッチ性、低温特性が良好であり、かつ溶融性、耐熱性に優れる自動車用内装材料の開発が求められていた。
本発明の目的は、良好な耐熱性、耐薬品性を示し、溶融性、耐スクラッチ性、および低温特性のバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決するに至った。
すなわち本発明は、
メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)からなり、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のうち少なくとも一方の重合体ブロックに酸無水物基および/またはカルボキシル基を有するアクリル系ブロック共重合体(A)と、1分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を有するアクリル系重合体(B)と、25℃での粘度が500mp・s以下であり、SP値が8.0〜9.5である可塑剤(C)とからなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)からなり、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のうち少なくとも一方の重合体ブロックに酸無水物基および/またはカルボキシル基を有するアクリル系ブロック共重合体(A)と、1分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を有するアクリル系重合体(B)と、25℃での粘度が500mp・s以下であり、SP値が8.0〜9.5である可塑剤(C)とからなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
好ましい実施態様としては、アクリル系重合体ブロック(b)の主鎖中に、酸無水物基および/またはカルボキシル基が存在することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が挙げられる。
好ましい実施態様としては、(A)成分であるアクリル系ブロック共重合体が、メタアクリル系単量体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)10〜60重量%と、アクリル系単量体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)90〜40重量%とからなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が挙げられる。
好ましい実施態様としては、アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチルおよびアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体ならびにこれらと共重合可能な異種のアクリル酸エステル50〜100重量%と、これらと共重合可能なビニル系単量体50〜0重量%とからなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が挙げられる。
好ましい実施態様としては、メタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度が25〜130℃であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が挙げられる。
好ましい実施形態としては、(A)成分であるアクリル系ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量が、30,000〜200,000であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が挙げられる。
好ましい実施態様としては、(A)成分であるアクリル系ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.8以下であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が挙げられる。
好ましい実施態様としては、(A)成分であるアクリル系ブロック共重合体が、原子移動ラジカル重合により製造されたブロック共重合体であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が挙げられる。
好ましい実施態様としては、(B)成分であるアクリル系重合体の重量平均分子量が、30,000以下であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が挙げられる。
好ましい実施態様としては、(A)成分であるアクリル系ブロック共重合体100重量部に対して、(C)成分である可塑剤を0.1〜50重量部含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が挙げられる。
好ましい実施態様としては、上記の組成物を含有することを特徴とするパウダースラッシュ成形用組成物に関する。
別の実施態様としては、上記の組成物をパウダースラッシュ成形して成ることを特徴とするパウダースラッシュ成形体に関する。
別の実施態様としては、上記の組成物をパウダースラッシュ成形して成ることを特徴とする自動車内装用表皮に関する。
本発明によれば、耐熱性、溶融性、耐スクラッチ性、および低温特性のバランスに優れたアクリル系ブロック共重合体組成物を得ることが可能である。本発明にかかる組成物は、パウダースラッシュ成形、プレス成形、およびその他の各種成形方法に好適に使用することが可能であって、これを用いて、例えば、外観の優れた自動車の内装用表皮等に好適に使用することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明は、溶融性に優れたアクリル系ブロック共重合体組成物であって、メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)からなり、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のうち少なくとも一方の重合体ブロックに酸無水物基および/またはカルボキシル基を有するアクリル系ブロック共重合体(A)と、1分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を有するアクリル系重合体(B)および可塑剤(C)からなることを特徴とする。
酸無水物基やカルボキシル基とエポキシ基とは、通常、成形時に反応し、アクリル系ブロック共重合体(A)を高分子量化もしくは架橋させる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
<アクリル系ブロック共重合体(A)>
ブロック共重合体(A)は、線状ブロック共重合体であっても、分岐状(星状)ブロック共重合体であってもよく、これらの混合物であってもよい。ブロック共重合体(A)の構造は、必要とされるブロック共重合体(A)の物性に応じて適宜選択すればよいが、コスト面や重合容易性の点から、線状ブロック共重合体であるのが好ましい。
ブロック共重合体(A)は、線状ブロック共重合体であっても、分岐状(星状)ブロック共重合体であってもよく、これらの混合物であってもよい。ブロック共重合体(A)の構造は、必要とされるブロック共重合体(A)の物性に応じて適宜選択すればよいが、コスト面や重合容易性の点から、線状ブロック共重合体であるのが好ましい。
線状ブロック共重合体は、いずれの線状ブロック構造のものであってもかまわないが、その物性または組成物にした場合の物性の点から、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(a)(以下、重合体ブロック(a)またはブロック(a)という)およびアクリル系重合体ブロック(b)(以下、いずれも重合体ブロック(b)またはブロック(b)という)が、一般式:(a−b)n、一般式:a−(b−a)n、一般式:(b−a)n−b(nは1〜3の整数)で表わされるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体であることが好ましい。これらの中でも、加工時の取扱いが容易なことや、組成物にした場合の物性の点から、a−b型のジブロック共重合体、a−b−a型のトリブロック共重合体、またはこれらの混合物が好ましい。
ブロック共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量は特に限定されないが、好ましくは30,000〜500,000、さらに好ましくは50,000〜400,000とする。数平均分子量が小さいと粘度が低く、また、数平均分子量が大きいと粘度が高くなる傾向があるので、必要とする加工特性に応じて適宜設定する。
ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)も特に限定されないが、好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下とする。Mw/Mnが1.8を超えるとブロック共重合体の均一性が低下する傾向がある。
ブロック共重合体(A)のメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の組成比は、メタアクリル系重合体ブロック(a)を5〜90重量%、アクリル系重合体ブロック(b)を95〜10重量%とするのが望ましい。メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が5重量%より少ないと、成形時に形状が保持されにくい傾向があり、アクリル系重合体ブロック(b)の割合が10重量%より少ないと、エラストマーとしての弾性および成形時の溶融性が低下する傾向がある。成形時の形状の保持およびエラストマーとしての弾性の観点から、組成比は、メタアクリル系重合体ブロック(a)を10〜60重量%、アクリル系重合体ブロック(b)を90〜40重量%とするのが好ましく、メタアクリル系重合体ブロック(a)を15〜50重量%、アクリル系重合体ブロック(b)を85〜50重量%とするのがより好ましい。
エラストマー組成物の硬度は、メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が少ないと低くなり、メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が多いと高くなる傾向がある。このため、メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合は、要求される硬度に応じて適宜設定するとよい。また粘度は、メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が少ないと低く、メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が多いと高くなる傾向がある。このため、要求される加工特性に応じてメタアクリル系重合体ブロック(a)の割合を適宜設定するとよい。
アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度の関係は、メタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度をTga、アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度をTgbとして、機械強度やゴム弾性発現等の点で下式の関係を満たすことが好ましい。
Tga>Tgb
Tga>Tgb
前記重合体(メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b))のガラス転移温度(Tg)の設定は、下記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率を設定することにより行うことができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2 /Tg2)+…+(Wm/Tgm)
W1+W2+…+Wm=1
(式中、Tgは重合体部分のガラス転移温度を表わし、Tg1,Tg2,…,Tgmは各重合単量体のガラス転移温度を表わす。また、W1,W2,…,Wmは各重合単量体の重量比率を表わす。)
前記Fox式における各重合単量体のガラス転移温度は、たとえば、Polymer Handbook Third Edition(Wiley−Interscience 1989年発行)記載の値を用いればよい。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2 /Tg2)+…+(Wm/Tgm)
W1+W2+…+Wm=1
(式中、Tgは重合体部分のガラス転移温度を表わし、Tg1,Tg2,…,Tgmは各重合単量体のガラス転移温度を表わす。また、W1,W2,…,Wmは各重合単量体の重量比率を表わす。)
前記Fox式における各重合単量体のガラス転移温度は、たとえば、Polymer Handbook Third Edition(Wiley−Interscience 1989年発行)記載の値を用いればよい。
なお、前記ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)または動的粘弾性のtanδピークにより測定することができるが、メタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の極性が近すぎたり、ブロックの単量体の連鎖数が少なすぎると、それら測定値と、前記Fox式による計算式とがずれる場合がある。
<メタアクリル系重合体ブロック(a)>
メタアクリル系重合体ブロック(a)は、メタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、加工性などの点で、メタアクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(a)は、メタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、加工性などの点で、メタアクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸−n−プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−n−ペンチル、メタアクリル酸−n−ヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸−n−ヘプチル、メタアクリル酸−n−オクチル、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイル、メタアクリル酸ベンジル、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸−2−メトキシエチル、メタアクリル酸−3−メトキシブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸グリシジル、メタアクリル酸−2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタアクリル酸のエチレンオキサイド付加物、メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどをあげることができる。
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、加工性、コストおよび入手容易性の点で、メタアクリル酸メチルが好ましい。また、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸シクロヘキシルなどを共重合させることによって、ガラス転移点を高くすることができる。更には、耐熱性を上げる為に酸無水物を導入する際の前駆体としては、メタアクリル酸−t−ブチルが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、アクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド化合物などをあげることができる。
アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸−2−アミノエチル、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどをあげることができる。
芳香族アルケニル化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。シアン化ビニル化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげることができる。共役ジエン系化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどをあげることができる。ケイ素含有不飽和化合物としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどをあげることができる。不飽和ジカルボン酸化合物としては、たとえば、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステルなどをあげることができる。ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることができる。マレイミド系化合物としては、たとえば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどをあげることができる。
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、メタアクリル系重合体ブロック(a)に要求されるガラス転移温度の調整、アクリル系重合体ブロック(b)との相溶性などの観点から好ましいものを適宜選択する。
メタアクリル系重合体ブロック(a)は、エラストマー組成物の熱変形の観点から、ガラス転移温度が25℃以上となるように設計するのが好ましく、40℃以上となるようにするのがより好ましく、50℃以上となるようにするのがさらに好ましい。(a)のガラス転移温度がエラストマー組成物の使用される環境の温度より低いと、凝集力の低下により、熱変形しやすくなる場合がある。
以上述べた観点から、メタアクリル系重合体ブロック(a)は、メタアクリル酸メチルを主成分とし、また、ガラス転移点を制御する目的で、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−メトキシエチルおよびアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を重合してなるブロックであることが好ましい。
<アクリル系重合体ブロック(b)>
アクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、ゴム弾性などの点で、アクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、ゴム弾性などの点で、アクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル系重合体ブロック(b)を構成する単量体として例示したアクリル酸エステルと同様の単量体をあげることができる。
これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ゴム弾性、低温特性およびコストのバランスの点で、アクリル酸−n−ブチルが好ましい。さらに低温特性と機械特性と圧縮永久歪が必要な場合は、アクリル酸−2−エチルヘキシルを共重合させるとよい。耐油性と機械特性が必要な場合は、アクリル酸エチルが好ましい。また、低温特性と耐油性の付与、及び樹脂の表面タック性の改善が必要な場合は、アクリル酸−2−メトキシエチルが好ましい。また、耐油性および低温特性のバランスが必要な場合は、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルの組み合わせが好ましい。そして、耐熱性を上げる為に酸無水物基を導入する場合、その前駆体としては、アクリル酸−t−ブチルが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物としては、メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成する単量体として例示したものと同様の単量体をあげることができる。
これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、アクリル系重合体ブロック(b)に要求されるガラス転移温度および耐油性、メタアクリル系重合体ブロック(a)との相溶性などのバランスを考慮して、適宜好ましいものを選択する。
アクリル系重合体ブロック(b)は、エラストマー組成物のゴム弾性の観点から、そのガラス転移温度が25℃以下となるようにするのが好ましく、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−20℃以下である。なお、アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度をエラストマー組成物の使用される環境の温度より低くすると、ゴム弾性が発現されやすくなる。
以上述べた観点から、アクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−メトキシエチル及びアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種ならびにこれらと共重合可能な異種のアクリル酸エステル50〜100重量%と、これらと共重合可能なビニル系単量体50〜0重量%とを重合してなるブロックであることが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度は、エラストマー組成物のゴム弾性の観点から、25℃以下であるのが好ましく、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−20℃以下である。アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度が、エラストマー組成物の使用される環境の温度より高いと、柔軟性や、ゴム弾性が発現されにくくなる。
以上述べた観点から、アクリル系重合体ブロック(b)は、酸無水物基、カルボキシル基または酸無水物基、カルボキシル基の前駆体を有する単量体、およびアクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする単量体を重合してなるブロックであることが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)のTgbの設定は、前記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率を設定することにより行なうことができる。
<酸無水物基およびカルボキシル基>
酸無水物基およびカルボキシル基は、本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形体に耐薬品性やゴム弾性を付与しつつ、高温での機械物性を保持させるために、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のうち少なくとも一方に、ブロック共重合体一分子当たり1つ以上導入する。酸無水物基およびカルボキシル基は、アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系重合体(B)との反応性や、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)の凝集力やガラス転移温度、さらには必要とされるアクリル系ブロック共重合体(A)の物性、導入の容易性などに応じて、酸無水物基またはカルボキシル基どちらか一方を導入しても良いし、共に導入しても良い。
酸無水物基およびカルボキシル基は、本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形体に耐薬品性やゴム弾性を付与しつつ、高温での機械物性を保持させるために、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のうち少なくとも一方に、ブロック共重合体一分子当たり1つ以上導入する。酸無水物基およびカルボキシル基は、アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系重合体(B)との反応性や、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)の凝集力やガラス転移温度、さらには必要とされるアクリル系ブロック共重合体(A)の物性、導入の容易性などに応じて、酸無水物基またはカルボキシル基どちらか一方を導入しても良いし、共に導入しても良い。
本発明において、酸無水物基およびカルボキシル基は、アクリル系重合体(B)との反応点として作用すればよく、ブロック共重合体が高分子量化または架橋されるための反応点または架橋点として作用することが好ましい。酸無水物基およびカルボキシル基は、酸無水物基およびカルボキシル基を適当な保護基で保護した形、または、酸無水物基およびカルボキシル基の前駆体の形でブロック共重合体に導入し、そののちに公知の化学反応で酸無水物基およびカルボキシル基を生成させることにより導入することができる。
前記酸無水物基およびカルボキシル基の含有数は、酸無水物基およびカルボキシル基の凝集力、反応性、アクリル系ブロック共重合体(A)の構造および組成、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するブロックの数、ガラス転移温度によって変化させ、その数は必要に応じて適宜設定する必要があるが、好ましくはブロック共重合体1分子あたり平均して1.0個以上、より好ましくは2.0個以上とする。これは、1.0個より少なくなると、ブロック共重合体の2分子間反応による高分子量化や架橋による耐熱性向上が不十分になる傾向があるためである。
なお、酸無水物基やカルボキシル基を導入することによりアクリル系重合体ブロック(b)の凝集力やガラス転移温度Tgbが向上すると、柔軟性、ゴム弾性、低温特性が悪化する傾向にある。このため、酸無水物基および/またはカルボキシル基をアクリル系重合体ブロック(b)に導入する場合、アクリル系ブロック共重合体(A)の柔軟性、ゴム弾性、低温特性が悪化しない範囲で導入することが好ましい。具体的には酸無水物基やカルボキシル基を導入後のアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度Tgbが25℃以下、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−20℃以下になるような範囲で導入することが好ましい。
以下に、酸無水物基およびカルボキシル基について説明する。
<酸無水物基>
組成物中に活性プロトンを有する化合物を含有する場合、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)中の酸無水物基は、所定の温度で加熱することにより、化合物(B)中のエポキシ基と容易に反応する。酸無水物基の導入位置は、特に限定されるものではなく、酸無水物基は、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)において、その主鎖中に導入されていても良いし、側鎖に導入されていても良い。酸無水物基はカルボキシル基を無水物化したものであり、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)への導入の容易性から、主鎖中へ導入されていることが好ましく、具体的には一般式(1)で表される。一般式(1):
組成物中に活性プロトンを有する化合物を含有する場合、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)中の酸無水物基は、所定の温度で加熱することにより、化合物(B)中のエポキシ基と容易に反応する。酸無水物基の導入位置は、特に限定されるものではなく、酸無水物基は、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)において、その主鎖中に導入されていても良いし、側鎖に導入されていても良い。酸無水物基はカルボキシル基を無水物化したものであり、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)への導入の容易性から、主鎖中へ導入されていることが好ましく、具体的には一般式(1)で表される。一般式(1):
一般式(1)中のnは0〜3の整数であって、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。nが4以上の場合は、重合が煩雑になったり、酸無水物基の環化が困難になる傾向にある。
酸無水物基の導入方法としては、酸無水物基の前駆体の形でアクリル系ブロック共重合体に導入し、そののちに環化させることが好ましい。特に、一般式(2):
アクリル系重合体ブロック(b)への一般式(2)で表される単位の導入は、一般式(2)に由来するアクリル酸エステル、またはメタアクリル酸エステル単量体を共重合することによって行なうことができる。単量体としては、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸α,α−ジメチルベンジル、(メタ)アクリル酸α−メチルベンジルなどがあげられるが、これらに限定するものではない。これらのなかでも、入手性や重合容易性、酸無水物基生成容易性などの点から(メタ)アクリル酸−t−ブチルが好ましい。
酸無水物基の形成は、酸無水物基の前駆体を有するアクリル系ブロック共重合体を高温下で加熱することにより行うことが好ましく、180〜300℃で加熱することにより行うのがより好ましい。180℃より低いと酸無水物基の生成が不十分となる傾向があり、300℃より高くなると、酸無水物基の前駆体を有するアクリル系ブロック共重合体自体が分解することがある。
<カルボキシル基>
アクリル系ブロック共重合体(A)中のカルボキシル基は、化合物(B)中のエポキシ基と容易に反応する。カルボキシル基の導入位置は、特に限定されるものではなく、カルボキシル基は、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)において、その主鎖中に導入されていても良いし、側鎖に導入されていても良いが、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)への導入の容易性から、主鎖中へ導入されていることが好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(A)中のカルボキシル基は、化合物(B)中のエポキシ基と容易に反応する。カルボキシル基の導入位置は、特に限定されるものではなく、カルボキシル基は、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)において、その主鎖中に導入されていても良いし、側鎖に導入されていても良いが、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)への導入の容易性から、主鎖中へ導入されていることが好ましい。
カルボキシル基の導入は、カルボキシル基を有する単量体が重合条件下で触媒を被毒することがない場合は、直接重合により導入することにより行うのが好ましく、カルボキシル基を有する単量体が重合時に触媒を失活させる場合には、官能基変換によりカルボキシル基を導入する方法により行うのが好ましい。
官能基変換によりにカルボキシル基を導入する方法では、カルボキシル基を適当な保護基で保護した形、または、カルボキシル基の前駆体となる官能基の形でアクリル系ブロック共重合体に導入し、そののちに公知の所定の化学反応で官能基を生成させることができる。この方法により、カルボキシル基を導入することができる。
カルボキシル基を有するアクリル系ブロック共重合体(A)の合成方法としては、たとえば、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸トリメチルシリルなどのように、カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体を含むアクリル系ブロック共重合体を合成し、加水分解もしくは酸分解など公知の化学反応によってカルボキシル基を生成させる方法(特開平10−298248号公報、特開2001−234146号公報)や、一般式(2):
また前記酸無水物基を加水分解することによりカルボキシル基を導入することもできる。
<ブロック共重合体(A)の製造方法>
(重合)
本発明にかかるアクリル系ブロック共重合体組成物の製造方法は、特に限定されないが、分子量を制御できるという観点から、制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、重合開始剤として有機アルカリ金属化合物を用い、有機アルミニウム化合物存在下でアニオン重合する方法(国際公開第2004/041886号パンフレット)や有機希土類錯体を重合開始剤として配位アニオン重合する方法(特開平10−298248)、連鎖移動剤を用いるラジカル重合および近年開発されたリビングラジカル重合等を挙げることができる。これらの中で、リビングラジカル重合がブロック共重合体の分子量および構造制御の点ならびに製造上の簡便さという点から好ましい。
(重合)
本発明にかかるアクリル系ブロック共重合体組成物の製造方法は、特に限定されないが、分子量を制御できるという観点から、制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、重合開始剤として有機アルカリ金属化合物を用い、有機アルミニウム化合物存在下でアニオン重合する方法(国際公開第2004/041886号パンフレット)や有機希土類錯体を重合開始剤として配位アニオン重合する方法(特開平10−298248)、連鎖移動剤を用いるラジカル重合および近年開発されたリビングラジカル重合等を挙げることができる。これらの中で、リビングラジカル重合がブロック共重合体の分子量および構造制御の点ならびに製造上の簡便さという点から好ましい。
その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(Journal of American Chemical Society,1994年,第116巻,7943頁)やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(Macromolecules,1994年,第27巻,7228頁)、有機ハロゲン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などをあげることができる。本発明において、これらのうちいずれの方法を使用するかはとくに制約はないが、制御の容易さなどから原子移動ラジカル重合が好ましい。
その中でも、たとえば、Matyjaszewskiら, Journal of American Chemical Society,1995年,第117巻,5614頁、および、Macromolecules,1995年,第28巻,7901頁、さらに、Science,1996年,第272巻,866頁、また、特許文献としては、特開2001−200026号公報に示される重合方法を好ましく用いることができる。
(重合触媒などの除去)
重合によって得られた反応液は、重合体と金属錯体の混合物となっており、金属錯体を除去する必要がある。除去方法については特に限定されないが、たとえば、特開2003−147015号公報に示される処理方法が好ましく使用される。
重合によって得られた反応液は、重合体と金属錯体の混合物となっており、金属錯体を除去する必要がある。除去方法については特に限定されないが、たとえば、特開2003−147015号公報に示される処理方法が好ましく使用される。
(官能基変換)
本発明においては、重合体ブロックに導入された単量体のエステル部位を官能基変換反応させてカルボキシル基、酸無水物基を導入したアクリル系ブロック共重合体を用いてもよい。
本発明においては、重合体ブロックに導入された単量体のエステル部位を官能基変換反応させてカルボキシル基、酸無水物基を導入したアクリル系ブロック共重合体を用いてもよい。
カルボキシル基を有するブロック共重合体の合成方法としては、特に制限はないが、例えば、メタアクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリメチルシリルなどのような、カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体を含むブロック共重合体を合成し、加水分解もしくは酸分解など公知の所定の化学反応、たとえば特開平10−298248号公報や特開2001−234146号公報などに記載の方法によってカルボキシル基を生成させる方法がある。また、以下に示す方法のような、誘導した酸無水物基を加水分解してカルボキシル基を生成させる方法もある。
酸無水物基を有するブロック共重合体の合成方法としては、前記のカルボキシル基を有するブロック共重合体を、加熱により脱水もしくは脱アルコール反応を行うことで、隣り合った単量体のエステル部位をカルボン酸無水物に変換させる方法がある。または、メタアクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリメチルシリルなどのような、カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体を含むブロック共重合体を合成し、上記のように加熱により脱アルコール反応を行わせることで、隣り合った単量体のエステル部位をカルボン酸無水物に変換させる方法がある。
このような方法により誘導した酸無水物基を有するブロック共重合体は、たとえばオートクレーブ中で精製水と加熱することで加水分解することができ、酸無水物基をカルボキシル基に変換することができる。加水分解は、たとえば200℃で2時間加熱することにより行うことができる。
メタアクリル系重合体ブロック(a)あるいはメタアクリル系重合体ブロック(b)中にt−ブチル基が含有される場合は、上記記載方法により、カルボン酸基、またはカルボン酸基と酸無水物基の両方に変換することができる。
<アクリル系重合体(B)>
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物を構成するアクリル系重合体(B)は、一分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を含有する重合体である。アクリル系重合体(B)は、組成物の成形時に可塑剤として成形流動性を向上させると同時に、成形時にアクリル系ブロック共重合体(A)中の酸無水物基やカルボキシル基と反応し、アクリル系ブロック共重合体(A)を高分子量化、あるいは架橋させることが可能である。ここでいう個数はアクリル系重合体(B)全体中に存在するエポキシ基の平均の個数を表す。
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物を構成するアクリル系重合体(B)は、一分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を含有する重合体である。アクリル系重合体(B)は、組成物の成形時に可塑剤として成形流動性を向上させると同時に、成形時にアクリル系ブロック共重合体(A)中の酸無水物基やカルボキシル基と反応し、アクリル系ブロック共重合体(A)を高分子量化、あるいは架橋させることが可能である。ここでいう個数はアクリル系重合体(B)全体中に存在するエポキシ基の平均の個数を表す。
アクリル系重合体(B)中のエポキシ基は、アクリル系重合体(B)中1.1個以上、好ましくは1.5個以上、より好ましくは2.0個以上含有させる。その数は、エポキシ基の反応性、エポキシ基の含有される部位および様式、アクリル系ブロック共重合体(A)中の酸無水物基やカルボキシル基の含有される数や部位および様式に応じて変化させる。エポキシ基の含有数が1.1個より少なくなると、ブロック共重合体の高分子量化反応剤、あるいは架橋剤としての効果が低くなり、アクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性向上が不充分になる傾向がある。
アクリル系重合体(B)は、1種または2種以上のアクリル系単量体を重合させるか、又は、1種または2種以上のアクリル系単量体とアクリル系単量体以外の他の単量体との混合物を重合させることにより得られたものであることが好ましい。
アクリル系単量体としては、アクリロイル基含有単量体及びメタクリロイル基含有単量体が挙げられ、具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸フェノキシエチル等が挙げられる。前記その他の単量体としては、アクリル系単量体と共重合可能な単量体、例えば酢酸ビニル、スチレン等を用いることができる。
アクリル系重合体(B)は、アクリロイル基含有単量体単位を含む。アクリル系重合体(B)中の全単量体単位に対するアクリロイル基含有単量体単位の割合は70質量%以上であることが好ましい。その割合が70質量%未満の場合、そのような重合体の耐候性は比較的低く、アクリル系ブロック共重合体(A)との相溶性も低下する傾向にある。また、その成形物に変色が生じやすくなる。
アクリル系重合体(B)は、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸−2−メトキシエチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体50〜100重量%と、これらと共重合可能な異種のアクリル酸エステルおよび/又はビニル系単量体50〜0重量%からなるものが好ましい。ビニル系単量体としては、スチレンが好ましい。
また、アクリル系重合体(B)の重量平均分子量は、特に制限はないが、30,000以下の低分子量のものが好ましく、500〜30,000のものがさらに好ましく、500〜10,000のものが特に好ましい。重量平均分子量が500未満の場合、成形体にべとつきが生じる傾向があり、一方、重量平均分子量が30,000を越えた場合、成形物の可塑化が不十分になる。
アクリル系重合体(B)の粘度は、25℃においてコーン・プレート型の回転粘度計(E型粘度計)で測定した時、35,000mPa・s以下であるのが好ましい。より好ましい粘度は、10,000mPa・s以下である。特に好ましい粘度は、5,000mPa・s以下である。粘度が35,000mPa・sより高いと、組成物の可塑化効果が低下する傾向にある。好ましい粘度の下限は特にないが、アクリル系重合体の通常の粘度は10mPa・s以上である。
示差走査熱量測定法(DSC)で測定される、アクリル系重合体(B)のガラス転移温度Tgは、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは25℃以下であり、さらに好ましくは0℃以下であり、特に好ましくは−30℃以下である。ガラス転移温度Tgが100℃を超える場合、可塑剤として成形性を向上させる効果が不十分になる傾向があり、また、得られる成形体の柔軟性が低下する傾向にある。
前記アクリル系重合体(B)は、公知の所定の方法で重合させることにより製造される。重合方法は必要に応じて適宜選択すればよく、例えば、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、リビングアニオン重合や連鎖移動剤を用いる重合およびリビングラジカル重合等の制御重合等の方法により行うことができるが、耐候性や耐熱性が良好で比較的低分子量かつ分子量分布の小さい重合体が得られる制御重合が好ましく、以下に記載の高温連続重合を用いる方法がコスト面などの点でより好ましい。
アクリル系重合体(B)は、180〜350℃の温度での重合反応により得ることが好ましい。この重合温度では、重合開始剤や連鎖移動剤を使用することなく、比較的低分子量のアクリル系重合体が得られることから、そのアクリル系重合体は優れた可塑剤であり、耐候性も良好である。具体的には、特表昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報、特開昭60−215007号公報及びWO01/083619号パンフレットに開示された高温連続重合による方法が例示される。すなわち、所定の温度及び圧力に設定された反応器内に上記の単量体の混合物を一定の供給速度で連続して供給し、その供給量に見合う量の反応液を抜き出す方法である。
アクリル系重合体(B)としては、具体的には東亞合成(株)のARUFON(登録商標)XG4000、ARUFON UG4000、ARUFON XG4010、ARUFON UG4010、ARUFON XD945、ARUFON XD950、ARUFON UG4030、ARUFON UG4070などが好適に使用できる。これらは、オールアクリル、アクリレート/スチレン等のアクリル系重合体であって、エポキシ基を1分子中に1.1個以上含む。
<可塑剤C>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性エラストマー組成物の溶融性の向上を目的として、25℃での粘度が500mp・s以下であり、SP値が8.0〜9.5である可塑剤を含む。可塑剤(C)は、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲で使用するのが好ましく、0.2〜40重量部の範囲で使用するのがより好ましい。配合量が0.1重量部未満の場合には、得られる組成物の溶融性や耐スクラッチ性、低温特性改善効果が充分でない場合があり、50重量部を超えると、得られる成形体の機械特性、耐熱性などが悪化する場合がある。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性エラストマー組成物の溶融性の向上を目的として、25℃での粘度が500mp・s以下であり、SP値が8.0〜9.5である可塑剤を含む。可塑剤(C)は、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲で使用するのが好ましく、0.2〜40重量部の範囲で使用するのがより好ましい。配合量が0.1重量部未満の場合には、得られる組成物の溶融性や耐スクラッチ性、低温特性改善効果が充分でない場合があり、50重量部を超えると、得られる成形体の機械特性、耐熱性などが悪化する場合がある。
可塑剤としては、特には限定されないが、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレートのようなイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタル酸のようなテトラヒドロフタル酸誘導体;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、アジピン酸イソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブチルジグリコール等のアジピン酸誘導体;アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル等のアゼライン酸誘導体;セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸誘導体;ドデカン−2−酸誘導体;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル等のマレイン酸誘導体;フマル酸ジブチル等のフマル酸誘導体;トリメリト酸トリス−2−エチルヘキシル、トリメリト酸トリオクチル等のトリメリト酸誘導体;ピロメリト酸テトラオクチル等のピロメリト酸誘導体;アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸誘導体;ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル等の安息香酸誘導体、イタコン酸誘導体;オレイン酸誘導体;リシノール酸誘導体;ステアリン酸誘導体;その他脂肪酸誘導体;N−アルキルベンゼンスルホンアミド等のスルホン酸誘導体;トリメチルフォスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)フォスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート等のリン酸誘導体;グルタル酸誘導体;アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸などの二塩基酸とグリコールおよび一価アルコールなどとのポリマーであるポリエステル系可塑剤、グルコール誘導体、グリセリン誘導体、塩素化パラフィン等のパラフィン誘導体、エポキシ誘導体ポリエステル系重合型可塑剤、ポリエーテル系重合型可塑剤、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート誘導体等が挙げられる。これら以外の高分子量の可塑剤としては、アクリル系重合体、ポリプロピレングリコール系重合体、ポリテトラヒドロフラン系重合体、ポリイソブチレン系重合体などがあげられる。また、動物油、植物油等の油分、灯油、軽油、重油、ナフサ等の石油留分などが挙げられる。軟化剤としては、プロセスオイルが挙げられ、より具体的には、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等の石油系プロセスオイル等が挙げられる。植物油としては、例えば、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、パインオイル、トール油等が例示できる。
本発明において、可塑剤はこれらに限定されることがなく、種々の可塑剤を用いることができ、ゴム用可塑剤として広く市販されているものも用いることができる。また、これらの可塑剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
さらに、可塑剤(C)は、沸点が200℃以上のものが好ましく、250℃以上であるものがさらに好ましい。得られる組成物は高温で成形されることがあり、沸点が200℃以下であると成形時に可塑剤(B)が揮発し易くなるため、成形方法や条件が限定されることがあるためである。
また、可塑剤(C)は、25℃においてコーン・プレート型の回転粘度計(E型粘度計)で測定した時の粘度が、500mPa・s以下のものを用いる。好ましくは400mPa・s以下のものを用いる。特に好ましい粘度は、300mPa・s以下である。粘度が500mPa・sより高いと、組成物の可塑化効果が低下し、その結果、組成物の溶融性改善が低下傾向にあるためである。
また、本発明で使用する可塑剤(C)としては、SP値が8.0〜9.5のものを用いる。好ましくは、8.1〜9.4である。SP値が8.0未満及び9.5を超える場合には、可塑剤(C)とアクリル系ブロック共重合体(A)との相溶性が悪くなり、得られる成形体の物性が低下したり、可塑剤がブリードアウトする可能性がある。なお、本発明のSP値はPOLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION(JOHN WILEY & SONS,INC)のVII/688〜694に挙げられているTABLE7のSolubility parameter δ (cal/cm)1/2に記載されている数値を採用している。
<その他の配合物>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、熱可塑性エラストマー組成物および得られる成形体の緒物性の調整を目的として、必要に応じて、上記以外の各種の添加剤を配合することが必要になる場合がある。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、熱可塑性エラストマー組成物および得られる成形体の緒物性の調整を目的として、必要に応じて、上記以外の各種の添加剤を配合することが必要になる場合がある。
たとえば、成形加工時の熱安定性、成形加工時ならびに長期使用時の耐酸化劣化性などを考慮すると、安定剤を配合することが望ましい。
上記の安定剤としては、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などがあげられる。例えば、老化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン(PAN)、オクチルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPN)、N,N’−ジアリル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン誘導体、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、アルキル化フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロプロピル)−p−フェニレンジアミン、ジアリルフェニレンジアミン混合物、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン誘導体などのアミン系老化防止剤、2−メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)などのイミダゾール系老化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピネート]などのフェノール系老化防止剤、ニッケルジエチル−ジチオカーバメイトなどのリン酸塩系老化防止剤、トリフェニルホスファイトなどの2次老化防止剤、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートなどがあげられる。また、光安定剤や紫外線吸収剤としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、モノグリコールサリチレート、オキザリック酸アミド、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどがあげられる。
工業製品としては、Irganox1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、サノールLS770(三共ライフテック株式会社製)、アデカスタブLA−57(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブLA−68(旭電化工業株式会社製)、Chimassorb944(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、サノールLS765(三共ライフテック株式会社製)、アデカスタブLA−62(旭電化工業株式会社製)、TINUVIN144(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLA−63(旭電化工業株式会社製)、TINUVIN622(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLA−32(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブLA−36(旭電化工業株式会社製)、TINUVIN571(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、TINUVIN234(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLA−31(旭電化工業株式会社製)、TINUVIN1130(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブAO−20(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブAO−50(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブ2112(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブPEP−36旭電化工業株式会社製)、スミライザーGM(住友化学工業株式会社製)、スミライザーGS(住友化学工業株式会社製)、スミライザーTP−D(住友化学工業株式会社製)などがあげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、必要に応じて、各種重合体、滑剤、難燃剤、顔料、充填材、離型剤、帯電防止剤、抗菌抗カビ剤などを配合してもよい。これらの添加剤は、組成物が使用される用途に適したものを適宜選択すればよい。
本発明にかかる組成物に配合可能な重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ウレタンゴム、シリコーンゴム、多硫化ゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、四フッ化エチレン−プロピレン−フッ化ビニリデンゴム、アクリルゴム(ACM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム(CO)、エチレン−アクリルゴム、ノルボルネンゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー(SBC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー(TPVC)、およびフッ素系熱可塑性エラストマーなどが例示でき、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記の滑剤としては、エステル系滑剤、ポリエチレン系滑剤、ポリプロピレン系滑剤、炭化水素系滑剤、及びシリコーンオイルが好ましいものとして挙げられるが、特に限定はなく、さらに、モンタン酸系ワックス、ステアリン酸などの有機脂肪酸、ステアリン酸アミドなどの有機酸アミド、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸カルシウムなどの有機酸金属塩が例示できる。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。ここでいうポリエチレン系滑剤、ポリプロピレン系滑剤には、それぞれ、酸化ポリエチレン系滑剤、酸化ポリプロピレン系滑剤が含まれる。
以下、滑剤およびシリコーンオイルの例を挙げるが、もちろんこれらに限定されることなく使用できる。
エステル系滑剤としては、牛脂45硬化油(融点45℃;日本油脂(株)製、以下同じ)、牛脂51硬化油(融点51℃)、牛脂54硬化油(融点54℃)、牛脂極度硬化油(融点60℃)、LicowaxE(滴点79〜85℃;クラリアントジャパン(株)製、滴点は同社カタログより引用、以下同じ)、LicowaxF(滴点77〜83℃)、LicowaxKP(滴点81〜87℃)、LicowaxKP303(滴点86〜92℃)、LicowaxKPS(滴点80〜85℃)、LicowaxKSL(滴点79〜85℃)、LicowaxKFO(滴点86〜92℃)、LicowaxKST(滴点56〜63℃)、LicowaxWE4(滴点78〜85℃)、LicowaxWE40(滴点73〜79℃)、LicowaxBJ(滴点72〜78℃)、LicowaxRT(滴点77〜83℃)、LicowaxKPE(滴点79〜85℃)、LicowaxKLE(滴点82〜88℃)、LicowaxNE(滴点74〜82℃)、LicowaxX102(滴点81〜87℃)などを挙げることが出来る。この中では、牛脂極度硬化油が好ましい。
ポリエチレン系滑剤としては、LicowaxPE520(クラリアントジャパン(株)製、以下同じ)、LicowaxPE130、LicowaxPE190、LicowaxPE810、LicowaxPE820、LicowaxPE830、LicowaxPE840、Ceridust130、Ceridust3620、Ceridust3615など、さらに酸化ポリエチレン系滑剤としては、LicolubH12、LicolubH22、LicowaxPED521、LicowaxPED522、LicowaxPED121、LicowaxPED136、LicowaxPED153、LicowaxPED191、LicowaxPED192、LicowaxPED1101、LicowaxPED821、LicowaxPED822、Ceridust3715、Ceridust3719などを挙げることが出来る。
ポリプロピレン系滑剤としては、LicowaxPP230(クラリアントジャパン(株)製、以下同じ)、LicowaxVP−PP220、CeridustVP6071など、さらに酸化ポリプロピレン系滑剤としては、LicomontAR504を挙げることが出来る。
炭化水素系滑剤としては、LicowaxR21(クラリアントジャパン(株)製、以下同じ)、LicolubH4を挙げることが出来る。
シリコーンオイルとしては、TSF451(ジメチルシリコーンオイル;GE東芝シリコーン(株)製、以下同じ)、TSF410(高級脂肪酸変性シリコーンオイル)、TSF4427(アルキルアラルキル変性シリコーンオイル)、TSF4421(アルキル変性シリコーンオイル)、TSF484(メチルハイドロジェンシリコーンオイル)、TSF431(メチルフェニルシリコーンオイル)、TSF4440(ポリエーテル変性シリコーンオイル)、TSF4700(アミノ変性シリコーンオイル)、XF42−B0970(カルビノール変性シリコーンオイル)、TSF4730(エポキシ変性シリコーンオイル)、TSF4770(カルボキシル変性シリコーンオイル)などを挙げることが出来る。この中では、コストや取り扱いやすさの観点から、ジメチルシリコーンオイルが好ましい。
上記の難燃剤としては特に限定はなく、たとえば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、デカブロモビフェニル、デカブロモビフェニルエーテル、三酸化アンチモンなどを使用することができる。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
上記の顔料としては特に限定はなく、たとえば、カーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛などを使用することができる。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
上記の充填材としては、特に限定はなく、たとえば、無定形フィラー、板状フィラー、針状フィラー、球状フィラー、機能性フィラー、繊維状フィラー、金属粉末などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
無定形フィラーとしては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛(亜鉛華)、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化マグネシウムなどであり、板状フィラーとしては、タルク、マイカ、ガラスフレーク、合成ハイドロタルサイトなどであり、針状フィラーとしては、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、ホウ酸アルミニウムなどであり、球状フィラーとしては、ガラスビーズ、シリカビーズ、ガラス(シリカ)バルーンなどであり、機能性フィラーとしては、金属系導電性フィラー、非金属系導電性フィラー、カーボン系導電性フィラー、磁性フィラー、圧電、焦電フィラー、摺動性フィラーなどであり、また、繊維状フィラーとしては、ガラス繊維、金属繊維、アスベスト、ミルドファイバーなどの有機、無機、金属の各種ファイバーなど、が例示できる。この中では、コスト、分散性、取り扱いやすさなどから、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、シリカが好ましい。また、合成ハイドロタルサイト、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化マグネシウムを用いた場合には、アクリル系ブロック共重合体(A)および他の成分に由来する酸成分を中和することができるため、これら成分から出る酸成分がさびを引き起こすことが問題となる使用用途において有用である。
重質炭酸カルシウムとしては、ソフトン3200、ソフトン2600、ソフトン2200、ソフトン1800、ソフトン1500、ソフトン1200、ソフトン1000、BF−100、BF−200、BF−300(以上、備北粉化工業製、乾式製造品)、ライトン32−X、ライトン26−S、ライトン26−A、ライトンBS−0、ライトンA、ライトンS−4、ライトンS−5(以上、備北粉化工業製、表面処理品)、ホワイトンSSB、ホワイトンSB、ホワイトンB(以上、白石カルシウム(株)製、乾式製造品)、PO−320−B10、PO−220−B10、PO−180−B10、PO−150−B10、PO−120−B10、PO−10−B10(以上、白石カルシウム(株)製、表面処理品)、ホワイトン305、ホワイトン306、ホワイトン307、ホワイトン310、STパウダーH50、パルシェン500、RS−10、HG−10H(以上、白石中央研究所製、表面処理品)などがあげられる。
軽質炭酸カルシウムとしては、膠質炭酸カルシウムおよび軽微性炭酸カルシウムが挙げられる。
上記の膠質炭酸カルシウムとしては、たとえば、BRILLIANT15(以下、BRILLIANTはブリリアントと表記する)、ブリリアントS15、ブリリアント40、UNIBUR70、VIGOT15、VIGOT10、ブリリアント1500、UNIFANT15、UNIFANT15FR、VISCOLITE(以上、白石工業(株)製、連続式反応法により得られるもの)、白艶華PZ、白艶華PX、白艶華ツネックスE、白艶華CC、白艶華CCR、白艶華カルモス、白艶華U、白艶華ホモカルD、白艶華ホモカルDM、白艶華ゲルトン50、白艶華O、白艶華DD、白艶華TDD、白艶華IGV(以上、白石工業(株)製、回分式反応法により得られるもの)、MSK−C、MSK−G、MSK−K、MSK−P、MSK−PO、カルファイン100、カルファイン200、カルファイン200M、カルファイン500、カーレックス100、カーレックス300、MT−100、MS−100M、MS−600、シーレッツ200、N−2、MC−5、MC−K、MC−SII、MC−S5、MC−T、ユニグロス1000、ユニグロス3000、ルミナス(以上、丸尾カルシウム(株)製 コロイド製品)などがあげられる。
軽微性炭酸カルシウムとしては、PC、PC−700、PCX、PCX−850、シルバーW、赤玉(以上、白石工業(株)製、回分式反応法により得られるもの)などがあげられる。
天然シリカとしては、IMSIL−A25、IMSIL−A15、IMSIL−A10、IMSIL−A8、クリスタライトVX−S2、クリスタライトVX−S、クリスタライトVX−SR、クリスタライト5X((株)龍森製)があげられる。
合成シリカとしては、NIPSIL−VN3、NIPSIL−AQ、NIPSIL−LP、NIPSIL−NA、NIPSIL−ER、NIPSIL−RS150(以上、日本シリカ工業(株)製、一般用シリカ)、NIPSIL−SS10、NIPSIL−SS15、NIPSIL−SS30、NIPSIL−SS50、NIPSIL−SS70(以上、日本シリカ工業(株)製、表面処理シリカ)などがあげられる。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法には特に制限はなく、バッチ式混練装置や連続混練装置を用いて製造することができる。バッチ式混練装置としては、例えば、ミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、高剪断型ミキサーが挙げられる。また、連続混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、KCK押出混練機などが挙げられる。さらに、機械的に混合した後、ペレット状に賦形する方法などの既存の方法を用いることができる。混練時の温度は、使用するアクリル系ブロック共重合体(A)および可塑剤(B)、さらに、それ以外の配合物を使用する場合においては、それらの溶融温度、またそれらの溶融粘度などに応じて調整するのがよく、例えば、100〜300℃で溶融混練することにより製造することができる。
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法には特に制限はなく、バッチ式混練装置や連続混練装置を用いて製造することができる。バッチ式混練装置としては、例えば、ミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、高剪断型ミキサーが挙げられる。また、連続混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、KCK押出混練機などが挙げられる。さらに、機械的に混合した後、ペレット状に賦形する方法などの既存の方法を用いることができる。混練時の温度は、使用するアクリル系ブロック共重合体(A)および可塑剤(B)、さらに、それ以外の配合物を使用する場合においては、それらの溶融温度、またそれらの溶融粘度などに応じて調整するのがよく、例えば、100〜300℃で溶融混練することにより製造することができる。
<成形体の用途および使用方法>
本発明の組成物の成形方法としては、パウダースラッシュ成形が例示されるが、それ以外にも射出成形、射出ブロー成形、ブロー成形、押出ブロー成形、押出成形、カレンダー成形、真空成形、プレス成形などに適用可能である。
本発明の組成物の成形方法としては、パウダースラッシュ成形が例示されるが、それ以外にも射出成形、射出ブロー成形、ブロー成形、押出ブロー成形、押出成形、カレンダー成形、真空成形、プレス成形などに適用可能である。
得られた成形体は、たとえば、表皮材料や、触感材料、外観材料として好適に用いることができ、その他に、耐磨耗性材料、耐油性材料、制振材料、粘着材料のような目的を有する材料として用いることができる。形状としては、シート、平板、フィルム、小型成形品、大型成形品その他任意の形状として、またパネル類、ハンドル類、グリップ類、スイッチ類のような部品として、さらにそれ以外にもシーリング部材として用いることができる。用途としては、特に制限されないが、自動車用、家庭用電気製品用、または事務用電気製品用が例示される。たとえば、自動車用表皮材料、自動車用触感材料、自動車用外観材料、自動車用パネル類、自動車用ハンドル類、自動車用グリップ類、自動車用スイッチ類として、また、家庭用または事務用電気製品用パネル類、家庭用または事務用電気製品用スイッチ類などを例示することができる。この中でも、自動車内装用表皮に好適に使用される。
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例におけるBA、MMA、TBA、EAは、それぞれ、アクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸エチルを表す。
<分子量測定法>
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムとして、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いた。
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムとして、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いた。
<重合反応の転化率測定法>
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示す分析装置、条件で測定した。
使用機器:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14B
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約3倍に希釈し、酢酸ブチルを内部標準物質とした。
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示す分析装置、条件で測定した。
使用機器:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14B
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約3倍に希釈し、酢酸ブチルを内部標準物質とした。
<溶融性試験>
実施例および比較例に従って、組成物のサンプルを作成した。小型粉砕器 サンプルミル SK−M2型(協立理工(株)製)にサンプルをドライアイスとともに投入し、粉砕した。得られたパウダーを用い、以下の条件にて溶融性試験を行った。
使用機器:アルミニウム金属板(板厚0.5mm)
加熱条件:215℃
加熱時間:1分
評価指標:目視にて、すばやく溶融し液状化するもの:○、溶融するが完全な液状化には至らず元の形が残るもの:×として評価した。
実施例および比較例に従って、組成物のサンプルを作成した。小型粉砕器 サンプルミル SK−M2型(協立理工(株)製)にサンプルをドライアイスとともに投入し、粉砕した。得られたパウダーを用い、以下の条件にて溶融性試験を行った。
使用機器:アルミニウム金属板(板厚0.5mm)
加熱条件:215℃
加熱時間:1分
評価指標:目視にて、すばやく溶融し液状化するもの:○、溶融するが完全な液状化には至らず元の形が残るもの:×として評価した。
<耐熱性試験>
本実施例および比較例に示す耐熱性は以下に示す条件で測定した。
本実施例および比較例に示す耐熱性は以下に示す条件で測定した。
実施例および比較例にて作成したシボ模様のシートを、24時間130℃で放置した。その後、表面を目視で観察し、シボ模様の変化が認められないもの:○、シボ模様の変化が認められるもの:×とした。
<耐薬品性試験>
本実施例および比較例に示す耐薬品性は以下に示す条件で測定した。
本実施例および比較例に示す耐薬品性は以下に示す条件で測定した。
実施例および比較例にて作成したシボ模様のシートを平面に設置し、ピペットにてエタノール水溶液(wt%)(和光純薬(株)製)を1滴滴下し、24時間室温で放置した。その後表面を目視で観察し、跡のないもの:○、白化および跡が認められるもの:×とした。
<耐スクラッチ性試験>
実施例および比較例にて作成したシボ模様のシートを切り出し、台紙に貼り付けて、測定サンプルとした。以下の条件にて、耐スクラッチ性試験を行った。
使用機器:テーバースクラッチテスタ((株)東洋精機製作所製)
回転数:0.5rpm
カッター:タングステンカーバイド、4.8mm角x19mm長、刃先半径12.7mm
荷重:2N
サンプル寸法:10cm角
得られた成形シートを目視にて、シートを斜めから見ると白く見えるが、正面から見た場合白く見えないもの:○、シートを正面からみても白く見えたり、表面が削りとられているもの:×として評価した。
実施例および比較例にて作成したシボ模様のシートを切り出し、台紙に貼り付けて、測定サンプルとした。以下の条件にて、耐スクラッチ性試験を行った。
使用機器:テーバースクラッチテスタ((株)東洋精機製作所製)
回転数:0.5rpm
カッター:タングステンカーバイド、4.8mm角x19mm長、刃先半径12.7mm
荷重:2N
サンプル寸法:10cm角
得られた成形シートを目視にて、シートを斜めから見ると白く見えるが、正面から見た場合白く見えないもの:○、シートを正面からみても白く見えたり、表面が削りとられているもの:×として評価した。
<低温特性試験>
実施例および比較例にて作成したシボ模様のシートを1cm×8cmの大きさに切り出し、−40℃に設定した操作孔つきの低温恒温器(エスペック(株)製)中に一時間静置した。その後、操作孔から手を挿入し、サンプルの手折試験を行った。この際、折れなかった物:○、折れた物:×として評価した。
実施例および比較例にて作成したシボ模様のシートを1cm×8cmの大きさに切り出し、−40℃に設定した操作孔つきの低温恒温器(エスペック(株)製)中に一時間静置した。その後、操作孔から手を挿入し、サンプルの手折試験を行った。この際、折れなかった物:○、折れた物:×として評価した。
(製造例1)
[アクリル系ブロック共重合体1の前駆体の合成]
アクリル系ブロック共重合体1の前駆体を得るために以下の操作を行なった。500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅692g(4.82モル)、BA77,820g(607モル)およびTBA3,470g(27.1モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル965.1g(2.68モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)7140gに溶解させた溶液を仕込み、内溶液を30分間攪拌し、75℃まで昇温させた。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン83.6g(0.482モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
[アクリル系ブロック共重合体1の前駆体の合成]
アクリル系ブロック共重合体1の前駆体を得るために以下の操作を行なった。500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅692g(4.82モル)、BA77,820g(607モル)およびTBA3,470g(27.1モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル965.1g(2.68モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)7140gに溶解させた溶液を仕込み、内溶液を30分間攪拌し、75℃まで昇温させた。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン83.6g(0.482モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約100mLを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析によりBA、TBAの転化率を決定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはアクリル系重合体ブロック重合時に合計2回(合計167g)添加した。
BAの転化率が98.9%、TBAの転化率が99.0%の時点で、MMA49,590g(495モル)、EA8,050g(80.4モル)、塩化銅477g(4.82モル)、ペンタメチルジエチレントリアミン83.6g(0.482モル)およびトルエン(窒素バブリングしたもの)106,860gを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
MMA、EAを投入した時点でサンプリングを行い、これを基準としてMMA、EAの転化率を決定した。MMA、EAを投入後、内温を85℃とした。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはメタアクリル系重合体ブロック重合時に合計6回(合計502g)添加した。MMAの転化率が95.9%の時点でトルエン250,000gを加え、反応器を冷却して反応を終了させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnは77,400、分子量分布Mw/Mnは1.44であった。得られた反応溶液にトルエンを加えて、重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸を2,203g加え、反応機内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業製ラヂオライト#3000を2,650g添加した。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固体分を分離した。
(製造例2)
[アクリル系ブロック共重合体1の合成]
上記方法で得られた濾液に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)790gを添加し、さらに内部標準物質としてTBMAを濾液100wt%に対して0.1wt%を添加した。この溶液を150℃で4時間加熱攪拌した。4時間後、溶液をサンプリングし、GC測定にてTBMAが消失していることを確認して反応終了とし、室温まで冷却した。
[アクリル系ブロック共重合体1の合成]
上記方法で得られた濾液に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)790gを添加し、さらに内部標準物質としてTBMAを濾液100wt%に対して0.1wt%を添加した。この溶液を150℃で4時間加熱攪拌した。4時間後、溶液をサンプリングし、GC測定にてTBMAが消失していることを確認して反応終了とし、室温まで冷却した。
得られた溶液に対し、キョーワード500SH、13,150gを加え反応機内を窒素置換し、30℃で1時間撹拌した。溶液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固体分を分離し、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液にイルガノックス1010を790gと、酸トラップ剤としてハイドロタルサイトDHT−4A−2(協和化学工業(株)製)1,315gを添加した。
引き続き重合体溶液から溶媒成分を蒸発した。蒸発機は株式会社栗本鐵工所製SCP100(伝熱面積1m2)を用いた。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を90Torr、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hに設定し重合体溶液の蒸発を実施した。重合体は排出機を通じ、φ4mmのダイスにてストランドとし、アルフローH50ES(主成分:エチレンビスステアリン酸アミド、日本油脂(株)製)の3%懸濁液で満たした水槽で冷却後、ペレタイザーにより円柱状のペレットを得た。このようにしてアクリル系ブロック共重合体1のペレットを作製した。
(製造例3)
[アクリル系ブロック共重合体2の合成]
アクリル系ブロック共重合体2を得るために以下の操作を行なった。500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅649g(4.53モル)、BA75,990g(593モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル905g(2.51モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)6667gに溶解させた溶液を仕込み、反応器内の溶液を30分間攪拌し、75℃まで昇温した。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン78.4g(0.453モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
[アクリル系ブロック共重合体2の合成]
アクリル系ブロック共重合体2を得るために以下の操作を行なった。500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅649g(4.53モル)、BA75,990g(593モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル905g(2.51モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)6667gに溶解させた溶液を仕込み、反応器内の溶液を30分間攪拌し、75℃まで昇温した。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン78.4g(0.453モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約100mLを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析によりBAの転化率を決定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはアクリル系重合体ブロック重合時に合計2回(合計159g)添加した。
BAの転化率が95.7%の時点で、MMA44,254g(442モル)、BA5,897g(46.0モル)、塩化銅448g(4.53モル)、ペンタメチルジエチレントリアミン78.4g(0.453モル)およびトルエン(窒素バブリングしたもの)93,314gを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
MMA、BAを投入した時点でサンプリングを行い、これを基準としてMMA、BAの転化率を決定した。MMA、BAを投入後、内温を85℃に設定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはメタアクリル系重合体ブロック重合時に合計5回(合計392g)添加した。MMAの転化率が90.2%の時点でトルエン220,000gを加え、反応器を冷却して反応を終了させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnは66,700、分子量分布Mw/Mnは1.46であった。得られた反応溶液にトルエンを加えて重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸を1,808g加えた後、反応機内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業製ラヂオライト#3000を2,410g添加した。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固体分を分離した。
得られた濾液に対して、キョーワード500SH、1,808gを加え反応機内を窒素置換し、30℃で1時間撹拌した。溶液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固体分を分離し、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液にイルガノックス1010を723gを添加した。
引き続き重合体溶液から溶媒成分を蒸発した。蒸発機は株式会社栗本鐵工所製SCP100(伝熱面積1m2)を用いた。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を90Torr、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hに設定し重合体溶液の蒸発を実施した。重合体は排出機を通じ、φ4mmのダイスにてストランドとし、アルフローH50ES(主成分:エチレンビスステアリン酸アミド、日本油脂(株)製)の3%懸濁液で満たした水槽で冷却後、ペレタイザーにより円柱状のペレットを得た。このようにしてアクリル系ブロック共重合体2のペレットを作製した。
(製造例4)
[アクリル系ブロック共重合体3の合成]
アクリル系ブロック共重合体3を得るために以下の操作を行なった。500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅675g(4.71モル)、BA48,276g(377モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル339g(0.94モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)8470gに溶解させた溶液を仕込み、内溶液を75℃に昇温しつつ30分間攪拌した。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン81.6g(0.471モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
[アクリル系ブロック共重合体3の合成]
アクリル系ブロック共重合体3を得るために以下の操作を行なった。500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅675g(4.71モル)、BA48,276g(377モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル339g(0.94モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)8470gに溶解させた溶液を仕込み、内溶液を75℃に昇温しつつ30分間攪拌した。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン81.6g(0.471モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約100mLを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析によりBAの転化率を決定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはアクリル系重合体ブロック重合時に合計4回(合計326g)添加した。
BAの転化率が95.8%の時点で、MMA31,095g(311モル)、塩化銅466g(4.71モル)、ペンタメチルジエチレントリアミン81.6g(0.471モル)およびトルエン(窒素バブリングしたもの)85,372gを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
MMAを投入した時点でサンプリングを行い、これを基準としてMMA、BAの転化率を決定した。MMAを投入後、内温を85℃に設定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはメタアクリル系重合体ブロック重合時に合計2回(合計163g)添加した。MMAの転化率が59.9%の時点でトルエン170,000gを加え、反応器を冷却して反応を終了させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnは105,300、分子量分布Mw/Mnは1.38であった。得られた反応溶液にトルエンを加えて重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸を1,612g加え、反応機内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業製ラヂオライト#3000を1,326g添加した。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固体分を分離した。
得られた濾液に対して、キョーワード500SHを995g加え反応機内を窒素置換し、30℃で1時間撹拌した。溶液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固体分を分離し、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液にイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)398gを添加した。
引き続き重合体溶液から溶媒成分を蒸発した。蒸発機は株式会社栗本鐵工所製SCP100(伝熱面積1m2)を用いた。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を90Torr、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hに設定し重合体溶液の蒸発を実施した。重合体は排出機を通じ、φ4mmのダイスにてストランドとし、アルフローH50ES(主成分:エチレンビスステアリン酸アミド、日本油脂(株)製)の3%懸濁液で満たした水槽で冷却後、ペレタイザーにより円柱状のペレットを得た。このようにしてアクリル系ブロック共重合体(A)のペレットを作製した。
(実施例1)
製造例2で得られた重合体1;100重量部に対し、オールアクリルで、エポキシ基を1分子中に1.1個以上(概算値4個(カタログより))含有するアクリル系重合体であるARUFON UG4010(東亞合成(株)製)10重量部、ポリエーテルエステル系可塑剤であるRS700(SP値:8.5、粘度:30mPa・s、旭電化工業(株)製)10重量部、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)1重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60、(株)東洋精機製作所製)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
製造例2で得られた重合体1;100重量部に対し、オールアクリルで、エポキシ基を1分子中に1.1個以上(概算値4個(カタログより))含有するアクリル系重合体であるARUFON UG4010(東亞合成(株)製)10重量部、ポリエーテルエステル系可塑剤であるRS700(SP値:8.5、粘度:30mPa・s、旭電化工業(株)製)10重量部、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)1重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60、(株)東洋精機製作所製)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
また、得られたブロック状サンプルを皮シボ金属板(板厚4.5mm、シボ深さ80%)を用い、設定温度200℃で8分間熱プレス(圧縮成形機NSF−50、(株)神藤金属工業所製)成形し、皮シボ模様が転写された厚さ1mmの評価用の成形体サンプルを得た。これらの成形体について、耐熱性試験、耐薬品性試験、耐スクラッチ性試験、低温特性試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
製造例2で得られた重合体1;100重量部に対し、アクリル系重合体であるARUFON UG4010(東亞合成(株)製)10重量部、アジピン酸エステル系可塑剤であるDIDA(SP値:8.3、粘度:22mPa・s、大八化学工業(株)製)10重量部、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)1重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60、(株)東洋精機製作所製)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
製造例2で得られた重合体1;100重量部に対し、アクリル系重合体であるARUFON UG4010(東亞合成(株)製)10重量部、アジピン酸エステル系可塑剤であるDIDA(SP値:8.3、粘度:22mPa・s、大八化学工業(株)製)10重量部、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)1重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60、(株)東洋精機製作所製)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
また、得られたサンプルを皮シボ金属板(板厚4.5mm、シボ深さ80%)を用い、設定温度200℃で8分間熱プレス成形し、皮シボ模様が転写された厚さ1mmの評価用の成形体サンプルを得た。これらの成形体について、耐熱性試験、耐薬品性試験、耐スクラッチ性試験、低温特性試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
製造例2で得られた重合体1;100重量部に対し、アクリル系重合体であるARUFON UG4010(東亞合成(株)製)10重量部、リン酸エステル系可塑剤である♯41(SP値:9.3、粘度:18mPa・s、大八化学工業(株)製)10重量部、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)1重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
製造例2で得られた重合体1;100重量部に対し、アクリル系重合体であるARUFON UG4010(東亞合成(株)製)10重量部、リン酸エステル系可塑剤である♯41(SP値:9.3、粘度:18mPa・s、大八化学工業(株)製)10重量部、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)1重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
また、得られたサンプルを皮シボ金属板(板厚4.5mm、シボ深さ80%)を用い、設定温度200℃で8分間熱プレス成形し、皮シボ模様が転写された厚さ1mmの評価用の成形体サンプルを得た。これらの成形体について、耐熱性試験および耐薬品性試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
製造例3で得られた重合体2;100重量部に対し、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)0.5重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
製造例3で得られた重合体2;100重量部に対し、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)0.5重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
また、得られたサンプルを皮シボ金属板(板厚4.5mm、シボ深さ80%)を用い、設定温度200℃で8分間熱プレス成形し、皮シボ模様が転写された厚さ1mmの評価用の成形体サンプルを得た。これらの成形体について、耐熱性試験、耐薬品性試験、耐スクラッチ性試験、低温特性試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
製造例4で得られた重合体3;100重量部に対し、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)0.5重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
製造例4で得られた重合体3;100重量部に対し、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)0.5重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
また、得られたサンプルを皮シボ金属板(板厚4.5mm、シボ深さ80%)を用い、設定温度200℃で8分間熱プレス成形し、皮シボ模様が転写された厚さ1mmの評価用の成形体サンプルを得た。これらの成形体について、耐熱性試験、耐薬品性試験、耐スクラッチ性試験、低温特性試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
製造例2で得られた重合体1;100重量部に対し、アクリル系重合体であるARUFON UG4010(東亞合成(株)製)10重量部、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)1重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
製造例2で得られた重合体1;100重量部に対し、アクリル系重合体であるARUFON UG4010(東亞合成(株)製)10重量部、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)1重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
また、得られたサンプルを皮シボ金属板(板厚4.5mm、シボ深さ80%)を用い、設定温度200℃で8分間熱プレス成形し、皮シボ模様が転写された厚さ1mmの評価用の成形体サンプルを得た。これらの成形体について、耐熱性試験、耐薬品性試験、耐スクラッチ性試験、低温特性試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
製造例2で得られた重合体1;100重量部に対し、アクリル系重合体であるARUFON UG4010(東亞合成(株)製)10重量部、アジピン酸エステル系可塑剤であるPN170(SP値:9.2、粘度:800mPa・s、旭電化(株)製)10重量部、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)1重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
製造例2で得られた重合体1;100重量部に対し、アクリル系重合体であるARUFON UG4010(東亞合成(株)製)10重量部、アジピン酸エステル系可塑剤であるPN170(SP値:9.2、粘度:800mPa・s、旭電化(株)製)10重量部、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)1重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
また、得られたサンプルを皮シボ金属板(板厚4.5mm、シボ深さ80%)を用い、設定温度200℃で8分間熱プレス成形し、皮シボ模様が転写された厚さ1mmの評価用の成形体サンプルを得た。これらの成形体について、耐熱性試験、耐薬品性試験、耐スクラッチ性試験、低温特性試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
製造例2で得られた重合体1;100重量部に対し、アクリル系重合体であるARUFON UG4010(東亞合成(株)製)10重量部、プロセスオイルであるPW90(SP値:7.1、粘度:183mPa・s、出光興産(株)製)5重量部、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)1重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
製造例2で得られた重合体1;100重量部に対し、アクリル系重合体であるARUFON UG4010(東亞合成(株)製)10重量部、プロセスオイルであるPW90(SP値:7.1、粘度:183mPa・s、出光興産(株)製)5重量部、カーボンブラック♯15(旭カーボン(株)製)1重量部の割合で、100℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60)を用いて100rpmで15分間、溶融混練を行い、ブロック状サンプルを得た。ここで得られたサンプルを用い、溶融性試験を行った。
また、得られたサンプルを皮シボ金属板(板厚4.5mm、シボ深さ80%)を用い、設定温度200℃で8分間熱プレス成形し、皮シボ模様が転写された厚さ1mmの評価用の成形体サンプルを得た。これらの成形体について、耐熱性試験、耐薬品性試験、耐スクラッチ性試験、低温特性試験を行った。結果を表1に示す。
表1(実施例1〜3および比較例1〜5)からわかるように、実施例1〜3の熱可塑性エラストマー組成物は耐熱性、耐薬品性、溶融性、耐スクラッチ性、低温特性のすべてにおいて、良好な結果が得られた。一方、比較例1〜5のサンプルでは、耐熱性、耐薬品性、溶融性、耐スクラッチ性、低温特性すべてを満たすものがない。
以上のことから、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、従来の熱可塑性エラストマー組成物と比較して、耐熱性、耐薬品性、溶融性、耐傷付き性および低温特性のバランスに優れることが示された。
Claims (13)
- メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)からなり、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のうち少なくとも一方の重合体ブロックに酸無水物基および/またはカルボキシル基を有するアクリル系ブロック共重合体(A)と、1分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を有するアクリル系重合体(B)と、25℃での粘度が500mp・s以下であり、SP値が8.0〜9.5である可塑剤(C)とからなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
- アクリル系重合体ブロック(b)の主鎖中に、酸無水物基および/またはカルボキシル基が存在することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- (A)成分であるアクリル系ブロック共重合体が、メタアクリル系単量体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)10〜60重量%と、アクリル系単量体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)90〜40重量%とからなることを特徴とする請求項1または2に記載のアクリル系ブロック共重合体組成物。
- アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチルおよびアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体ならびにこれらと共重合可能な異種のアクリル酸エステル50〜100重量%と、これらと共重合可能なビニル系単量体50〜0重量%とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体組成物。
- メタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度が25〜130℃であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- (A)成分であるアクリル系ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量が、30,000〜200,000であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体組成物。
- (A)成分であるアクリル系ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.8以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体組成物。
- (A)成分であるアクリル系ブロック共重合体が、原子移動ラジカル重合により製造されたブロック共重合体であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体組成物。
- (B)成分であるアクリル系重合体の重量平均分子量が、30,000以下であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- (A)成分であるアクリル系ブロック共重合体100重量部に対して、(C)成分である可塑剤を0.1〜50重量部含有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1から10のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とするパウダースラッシュ成形用組成物。
- 請求項1から10のいずれかに記載の組成物をパウダースラッシュ成形して成ることを特徴とするパウダースラッシュ成形体。
- 請求項1から10のいずれかに記載の組成物をパウダースラッシュ成形して成ることを特徴とする自動車内装用表皮。
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JP2005172782A JP2006348082A (ja) | 2005-06-13 | 2005-06-13 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
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JP2005172782A JP2006348082A (ja) | 2005-06-13 | 2005-06-13 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
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