JP2007161877A - アクリル系ブロック共重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐候性、耐油性、柔軟性及び耐磨耗性、成形時の溶融流動性に優れ、かつ耐熱性、耐熱分解性にも優れるアクリル系ブロック共重合体を得る。
【解決手段】 メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(A)の重合体ブロックのうち少なくとも一方のブロックの主鎖中に、熱分解により容易に遊離のカルボキシル基を生成する所定の構造を有する単量体単位を一分子あたり少なくとも一つ導入する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐候性、耐油性、柔軟性及び耐磨耗性、成形時の溶融流動性に優れ、かつ耐熱性、耐熱分解性にも優れるアクリル系ブロック共重合体に関する。
加硫ゴムは、優れた柔軟性とゴム弾性を備えており、従来、このような特性が要求される広範な用途に利用されてきた。しかし、加硫ゴムは、成形時には添加剤を配合して加硫する必要があるため、成形サイクル時間が長く、かつ工程が煩雑であり、成形性に問題がある。また、加硫ゴムはいったん成形加硫したのちは再加熱しても溶融しないため、接合するなどの後加工ができない、使用後にリサイクルすることが困難という問題もある。
このような点から近年、熱可塑性エラストマーが加硫ゴムに代わって使用されるようになってきている。たとえば、自動車の車両においては、ガラスランチャンネル、ウェザーストリップ、各種ブーツ、水切りモールなど様々なシール部品が使用されており、そのうちの大部分は加硫型のゴムを用いていた。しかし、環境問題の観点から、近年そのシール部品の一部にリサイクル可能なオレフィン系熱可塑性エラストマーが用いられ始めている。
一般に、熱可塑性エラストマーはエントロピー弾性を発揮するゴム成分(ソフトセグメント)と、高温では流動するが、常温では塑性変形を防止してゴム成分に補強効果を与える拘束成分(ハードセグメント)からなるアロイ構造をとっている。たとえば、SEBSやSEPSといったスチレン系エラストマーではスチレンブロックが凝集してハードセグメントとして働き、ブタジエン系ブロックやイソプレン系ブロックがマトリクスとなり、ソフトセグメントとして働く。また、オレフィン系エラストマーでは、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)などのゴムが、ポリプロピレン(PP)などの樹脂中に分散した構造をとっている。スチレン系エラストマーおよびオレフィン系エラストマーでは、いずれもハードセグメントが高温で流動し、これにより射出成形など熱可塑性の加工が可能となっている。しかしながら、従来のスチレン系あるいはオレフィン系熱可塑性エラストマーは、加硫ゴムに比べてゴム弾性や耐熱性(この場合の耐熱性は、高温における圧縮永久歪み特性を意味する)が充分でない上に、耐油性が悪いといった欠点を有している。
耐油性に優れる熱可塑性エラストマーとして、近年、メタアクリルブロックとアクリルブロックを有するアクリル系ブロック体が報告されている(特許文献1)。しかし、これらもスチレン系エラストマー同様、成形加工性は非常に良好であるが、耐熱性に劣るといった欠点を有する。そこで、アクリル系ブロック体の耐熱性を改善するために、ガラス転移温度(Tg)の高い単量体単位を導入したものでは(特許文献2)、耐熱性は改善される反面、その高いTgのために、成形加工性に劣ることが問題であった。
特開平1−26619号公報 国際公開第2003/068836号パンフレット
本発明の目的は、アクリル系ブロック共重合体の特徴である耐候性、耐油性、柔軟性及び耐磨耗性を維持しつつ、成形時の溶融流動性が改善され、さらに、耐熱性、耐熱分解性に優れたアクリル系ブロック共重合体組成物アクリル系ブロック共重合体を得ることである。
上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、熱分解により容易に遊離のカルボキシル基を生成する単量体単位を導入することにより、上記課題を効果的に解決できることを見出し、本発明を解決するに至った。
すなわち、本発明は、メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)からなり、これらの重合体ブロックのうち少なくとも一方の重合体ブロックの主鎖中に、一般式(1):
Figure 2007161877
(式中のR1は水素またはメチル基を表す。式中のR2は炭素数1〜20の有機基を表す。)
で表される単量体単位(c)を一分子あたり少なくとも一つ含有してなるアクリル系ブロック共重合体(A)に関する。
好ましい実施形態としては、(a−b)型、b−(a−b)型および(a−b)−a型からなる群より選択される少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体からなることを特徴とするアクリル系ブロック共重合体(A)、
数平均分子量が30000〜200000であることを特徴とするアクリル系ブロック共重合体、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したアクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1〜1.8であることを特徴とするアクリル系ブロック共重合体、
アクリル系ブロック共重合体(A)が、メタアクリル系重合体ブロック(a)10〜60重量%と、アクリル系重合体ブロック(b)90〜40重量%とからなることを特徴とするアクリル系ブロック共重合体、
単量体単位(c)をメタアクリル系重合体ブロック(a)に有することを特徴とするアクリル系ブロック共重合体、
単量体単位(c)をアクリル系重合体ブロック(b)に有することを特徴とするアクリル系ブロック共重合体、
メタアクリル系重合体ブロック(a)が、メタアクリル酸メチルと、アクリル酸エチルおよび/またはアクリル酸−2−メトキシエチルとからなるブロック共重合体であることを特徴とするアクリル系ブロック共重合体、
アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体ならびにこれらと共重合可能な異種のアクリル酸エステル50〜100重量%と、ビニル系単量体0〜50重量%とからなることを特徴とするアクリル系ブロック共重合体、
アクリル系ブロック共重合体(A)が、原子移動ラジカル重合により製造されたブロック共重合体であることを特徴とするアクリル系ブロック共重合体、
熱潜在性酸触媒(B)をさらに含有することを特徴とするアクリル系ブロック共重合体、が挙げられる。
本発明に係るアクリル系ブロック共重合体は、耐候性、耐油性、柔軟性及び耐磨耗性に優れるばかりでなく、成形性や耐熱性にも優れている。このため、本発明の組成物は、自動車用、家庭用電気製品用、または事務用電気製品等の成形体用途に好適に使用することができる。
本発明にかかるアクリル系ブロック共重合体(A)は、メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)からなり、これらの重合体ブロックのうち少なくとも一方に単量体単位(c)を有する。この単量体単位(c)は、成形時に熱分解して、容易に遊離のカルボキシル基を生成する。その結果、成形時の成形流動性および成形後の成形体の耐熱性がともに良好なブロック共重合体とすることができる。
以下、本発明の各成分につき詳細に説明する。
<アクリル系ブロック共重合体(A)>
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)の構造は特に問うものではなく、線状ブロック共重合体または分岐状(星状)ブロック共重合体、またはこれらの混合物であってもよい。このようなブロック共重合体の構造は、必要とされるアクリル系ブロック共重合体(A)の物性に応じて適宜選択すれば良いが、コスト面や重合容易性の点で、線状ブロック共重合体が好ましい。また、線状ブロック共重合体は、いずれの構造(配列)のものであってもよいが、線状ブロック共重合体の物性または組成物の物性の点から、メタアクリル系重合体ブロック(a)をa、アクリル系重合体ブロック(b)をbと表現したとき、(a−b)型、b−(a−b)型および(a−b)−a型(nは1以上の整数、たとえば1〜3の整数)からなる群より選択される少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体からなることが好ましい。これらの中でも、加工時の取り扱い容易性や、組成物の物性の点から、a−b型のジブロック共重合体、a−b−a型のトリブロック共重合体、またはこれらの混合物が好ましい。
単量体単位(c)は、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)の一方または両方の重合体ブロックに、アクリル系ブロック共重合体(A)一分子あたり1つ以上導入される。その数が2つ以上である場合には、単量体単位(c)が重合されている様式はランダム共重合またはブロック共重合であることができる。a−b−a型のトリブロック共重合体を例にとって表わすと、(a/z)−b−a型、(a/z)−b−(a/z)型、z−a−b−a型、z−a−b−a−z型、a−(b/z)−a型、a−b−z−a型、a−z−b−z−a型、(a/z)−(b/z)−(a/z)型、z−a−z−b−z−a−z型などのいずれであってもよい。ここでzとは、単量体単位(c)または単量体単位(c)が重合されてなる重合体ブロックを表し、(a/z)とは、メタアクリル系重合体ブロック(a)に単量体単位(c)が共重合されていることを表し、(b/z)とは、アクリル系重合体ブロック(b)に単量体単位(c)が共重合されていることを表す。
また、メタアクリル系重合体ブロック(a)あるいはアクリル系重合体ブロック(b)中でzの含有される部位と含有される様式は自由に設定してよく、目的に応じて使い分けることができる。
アクリル系ブロック共重合体(A)の分子量は、特に限定されず、メタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体系ブロック(b)にそれぞれ必要とされる分子量から決めればよい。しかし、分子量が小さい場合には、エラストマーとして充分な機械特性を発現出来ない場合があり、逆に分子量が必要以上に大きいと、加工特性が低下する場合がある。このような点から、アクリル系ブロック共重合体(A)の数平均分子量は、30000〜300000が好ましく、より好ましくは40000〜200000、さらに好ましくは50000〜150000である。
また、アクリル系ブロック共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)も、とくに限定はないが、1〜1.8であることが好ましく、1〜1.5であることがさらに好ましい。Mw/Mnが1.8を超えると、アクリル系ブロック共重合体の均一性が低下する場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の組成比はとくに限定されず、使用される用途において要求される物性、組成物の加工時に要求される成形性、およびメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)にそれぞれ必要とされる分子量から決めればよい。好ましいメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の組成比の範囲を例示すると、メタアクリル系重合体ブロック(a)が5〜80重量%、アクリル系重合体ブロック(b)が95〜20重量%であることが好ましい。より好ましくは、メタアクリル系重合体ブロック(a)が10〜70重量%、アクリル系重合体ブロック(b)が90〜30重量%である。さらに好ましくは、メタアクリル系重合体ブロック(a)が10〜60重量%、アクリル系重合体ブロック(b)が90〜40重量%である。とくに好ましくはメタアクリル系重合体ブロック(a)が20〜50重量%、アクリル系重合体ブロック(b)が80〜50重量%である。メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が5重量%より少ないと、高温でのゴム弾性が低下する場合があり、80重量%より多いと、エラストマーとしての機械特性、特に破断伸びが低下したり、熱可塑性樹脂との組成物の柔軟性が低下する場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度の関係は、メタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度をTg、アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度をTgとして、下式の関係を満たすことが好ましい。
Tg>Tg
重合体(メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b))のガラス転移温度(Tg)の設定は、下記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率を設定することにより行なうことができる。
1/Tg=(W/Tg)+(W/Tg)+…+(W/Tg
+W+…+W=1
式中、Tgは重合体部分のガラス転移温度を表わし、Tg,Tg,…,Tgは各重合単量体のガラス転移温度を表わす。また、W,W,…,Wは各重合単量体の重量比率を表わす。
Fox式における各重合単量体のガラス転移温度は、たとえば、Polymer Handbook Third Edition(Wiley−Interscience 1989)記載の値を用いればよい。
なお、ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)または動的粘弾性のtanδピークにより測定することができるが、メタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の極性が近すぎたり、ブロックの単量体の連鎖数が少なすぎると、それら測定値と、上記Fox式による計算式とがずれる場合がある。
<メタアクリル系重合体ブロック(a)>
メタアクリル系重合体ブロック(a)は、メタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、メタアクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。メタアクリル酸エステルの割合が50重量%未満であると、メタアクリル酸エステルの特徴である、耐候性などが損なわれる場合がある
メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸n−ペンチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸n−ヘプチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸ステアリルなどのメタアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸イソボルニルなどのメタアクリル酸脂環式炭化水素エステル;メタアクリル酸ベンジルなどのメタアクリル酸アラルキルエステル;メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイルなどのメタアクリル酸芳香族炭化水素エステル;メタアクリル酸2−メトキシエチル、メタアクリル酸3−メトキシブチルなどのメタアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;メタアクリル酸トリフルオロメチル、メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸2−トリフルオロエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタアクリル酸フッ化アルキルエステルなどがあげられる。これらはそれぞれ単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、加工性、コストおよび入手しやすさの点で、メタアクリル酸メチルが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、アクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸脂環式炭化水素エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル;アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチルなどのアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸フッ化アルキルエステルなどをあげることができる。
芳香族アルケニル化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。
シアン化ビニル化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげることができる。
共役ジエン系化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。
ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどをあげることができる。
ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることができる。
マレイミド系化合物としては、たとえば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどをあげることができる。
これらの化合物は、それぞれ単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、メタアクリル系重合体ブロック(a)に要求されるガラス転移温度の調整、アクリル系ブロック体(b)との相溶性などの観点から好ましいものを選択すればよい。また、メタアクリル酸メチルの重合体は熱分解によりほぼ定量的に解重合するが、それを抑えるために、アクリル酸エステル、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−メトキシエチルもしくはそれらの混合物、または、スチレンなどを共重合することができる。また、さらなる耐油性の向上を目的として、アクリロニトリルを共重合することができる。このうち、メタアクリル酸メチルとの相溶性の点でアクリル酸エチルおよび/またはアクリル酸−2−メトキシエチルが好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度は、高温でのゴム弾性および成形性の観点から、25〜130℃が好ましく、より好ましくは50〜130℃、さらに好ましくは70〜100℃である。
メタアクリル系重合体ブロック(a)のTgの設定は、前記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率を設定することにより行なうことができる。
<アクリル系重合体ブロック(b)>
アクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、アクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。アクリル酸エステルの割合が50重量%未満であると、アクリル酸エステルを用いる場合の特徴である組成物の物性、とくに柔軟性、耐油性が損なわれる場合がある。
アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成する単量体として例示したアクリル酸エステルと同様の単量体をあげることができる。
これらは単独でまたはこれらの二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ゴム弾性、低温特性およびコストのバランスの点で、アクリル酸−n−ブチルが好ましい。耐油性と機械特性が必要な場合は、アクリル酸エチルが好ましい。また、低温特性と耐油性の付与、および樹脂の表面タック性の改善が必要な場合は、アクリル酸−2−メトキシエチルが好ましい。また、耐油性および低温特性のバランスが必要な場合は、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルを組み合わせて用いるのが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができ、これらの具体例としては、メタアクリル系重合体ブロック(a)に用いられる前記のものと同様のものをあげることができる。
これらのビニル系単量体は、それぞれ単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、アクリル系重合体ブロック(b)に要求されるガラス転移温度および耐油性、メタアクリル系重合体ブロック(a)との相溶性などのバランスを勘案して、適宜好ましいものを選択する。たとえば、組成物の耐油性の向上を目的とした場合、アクリロニトリルを共重合するとよい。
アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度は、エラストマー組成物のゴム弾性の観点から、25℃以下であるのが好ましく、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−20℃以下である。アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度がエラストマー組成物の使用される環境の温度より高いと、柔軟性や、ゴム弾性が発現されにくい。
アクリル系重合体ブロック(b)のTgの設定は、前記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率を設定することにより行なうことができる。
<単量体単位(c)>
一般式(1):
Figure 2007161877
(式中のR1は水素またはメチル基を表す。式中のR2は炭素数1〜20の有機基を表す。)
で表わされる単量体単位(c)のブロック共重合体(A)への導入方法は、特に限定されないが、導入後に単量体単位(c)となる(メタ)アクリルモノマーをブロック共重合体(A)の重合時に直接重合してもよく、ブロック共重合体(A)中に(メタ)アクリル酸単位を導入した後、カルボキシル基にビニルエーテルを付加反応させることで導入してもよい。反応が容易である点や、導入の煩雑さの観点から、導入後に単量体単位(c)となる(メタ)アクリルモノマーをブロック共重合体(A)の重合時に直接重合することが好ましい。なお、本願において、(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタアクリルを意味する。
ブロック共重合体(A)は、単量体単位(c)をメタアクリル系重合体ブロック(a)、アクリル系重合体ブロック(b)のどちらか一方のブロックのみに含有していてもよいし、両方のブロックに含有していてもよく、アクリル系ブロック共重合体(A)の反応点や、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するブロック(メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b))の凝集力やガラス転移温度、さらには以下のような必要とされるアクリル系ブロック共重合体(A)の物性などを勘案して、導入位置や導入量を決定すればよい。
単量体単位(c)は80〜200℃程度の温度で熱分解し、熱分解時にビニルエーテルを脱離してカルボキシル基を生成する。そこで、たとえば、単量体単位(c)の熱分解後に生成するカルボキシル基を反応点として、アミノ基、水酸基などを有する化合物と反応させて、メタアクリル系重合体ブロック(a)やアクリル系重合体ブロック(b)を選択的に変性させることができる。また、熱分解後にカルボキシル基が生成する単量体単位(c)をメタアクリル系重合体ブロック(a)に導入することにより、アクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性や耐熱分解性を向上させることができる。アクリル系ブロック共重合体(A)に耐油性やさらなるゴム弾性や圧縮永久歪み特性を付与する観点では、単量体単位(c)をアクリル系重合体ブロック(b)に架橋性の反応部位(架橋点)などとして導入すればよい。なお、反応点の制御や、耐熱性、ゴム弾性などの点では、アクリル系ブロック共重合体(A)は、単量体単位(c)をメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のうち、いずれか一方のブロックに有することが好ましい。
ブロック共重合体(A)がカルボキシル基を有する場合、重合体のTgが高くなったり、水素結合によって凝集力が高くなるため、成形性が悪化するが、本発明においては、単量体単位(c)はカルボキシル基を保護した構造を有していることから、成形性を改善することができる。さらに、カルボキシル基を架橋性の反応部位として導入した場合、架橋剤を配合する段階で反応が進行するために架橋が不均一になるが、単量体単位(c)はカルボキシル基を保護した構造を有していることから、架橋剤を均一に配合した後に反応させることで均一に架橋することができる。
一般式(1)のRは、炭素数1〜20の有機基である以外においては特に限定されず、単量体単位(c)の熱分解の温度、アクリル系ブロック共重合体(A)の成形性、脱離するビニルエーテルの沸点や特性に応じて適宜選択することができる。たとえば、脱離するビニルエーテルをアクリル系ブロック共重合体(A)から除去したい場合や、成形流動性の観点では、R2は炭素数1〜7の有機基であるのが好ましく、炭素数2〜4の有機基であるのがより好ましい。脱離するビニルエーテルをアクリル系ブロック共重合体(A)の可塑剤として利用する場合は、炭素数8〜11の有機基であるのが好ましい。脱離するビニルエーテルによりアクリル系ブロック共重合体(A)に滑性を付与したい場合は、炭素数11〜20の有機基であるのが好ましく、15〜20の有機基であるのがより好ましい。
具体的には、Rとしては、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、2−エチルへキシル、ドデシル、オクタデシル、シクロへキシル等のアルキル基が例示される。
ここで、単量体単位(c)をメタアクリル系重合体ブロック(a)に含む場合は、一般式(1)のRはメチル基であることが好ましく、単量体単位(c)をアクリル系重合体ブロック(b)に含む場合は、一般式(1)のRは水素であることが好ましい。単量体単位(c)をメタアクリル系重合体ブロック(a)に含み、かつRが水素である場合や、単量体単位(c)をアクリル系重合体ブロック(b)に含み、かつRがメチル基である場合は、アクリル系ブロック共重合体(A)の重合操作が煩雑になったり、メタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度の差が小さくなり、アクリル系ブロック共重合体(A)のゴム弾性が低下するおそれがある。
単量体単位(c)の含有量は、アクリル系ブロック共重合体(A)において0.1重量%以上かつ90重量%以下であるのが好ましく、0.5重量%以上かつ50重量%以下がより好ましい。これは、単量体単位(c)をブロック共重合体(A)に導入することにより、耐熱性や耐熱分解性の向上等の効果が得られるが、例えば、単量体単位(c)由来のカルボキシル基をハードセグメントであるメタアクリル系重合体ブロック(a)に導入する場合、単量体単位(c)が0.1重量%より少ないと、耐熱性や耐熱分解性の向上が不充分であり、高温におけるゴム弾性の発現が低下する場合があるためである。また、単量体単位(c)をアクリル系重合体ブロック(b)に導入する場合、0.1重量%より少ないと、単量体単位(c)の熱分解後に生成するカルボキシル基による耐油性付与や、凝集力が不充分になったり、架橋点として利用する場合も、架橋度が不充分となることから、ゴム弾性や圧縮永久歪み特性が低下する場合がある。また、単量体単位(c)をアミノ基、水酸基などを有する化合物と反応させることにより、耐熱性等をさらに向上させることができるが、0.1重量%より少ないと、単量体単位(c)の熱分解後に生成するカルボキシル基を反応点として、アクリル系ブロック共重合体(A)をアミノ基、水酸基などを有する化合物と反応させることにより得られる、耐熱性の向上等の効果が不十分になる場合がある。一方、90重量%をこえると、導入が困難になったり、柔軟性や機械特性が低下する傾向にある。
なお、単量体単位(c)の含有量とは、導入後に単量体単位(c)となる(メタ)アクリルモノマーのブロック共重合体(A)全体中の重量%を表す。この含有量は、導入後に単量体単位(c)となる(メタ)アクリルモノマーをブロック共重合体(A)の重合時に直接重合する場合には、モノマーの添加率あるいは重合後の(A)のH−NMRまたは13C−NMR分析により算出でき、ブロック共重合体(A)中に(メタ)アクリル酸単位を導入した後、カルボキシル基にビニルエーテルを付加反応して導入する場合はH−NMR分析または13C−NMR分析により算出することができる。
単量体単位(c)の含有数の好ましい範囲は、単量体単位(c)の熱分解後に生成するカルボキシル基の凝集力、反応性、アクリル系ブロック共重合体(A)の構造および組成、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するブロックの数、ガラス転移温度、ならびに、単量体単位(c)の含有される部位および様式によって異なる。従って、単量体単位(c)の含有ブロックや含有量は、単量体単位(c)の熱分解後に生成するカルボキシル基を含有するアクリル系ブロック共重合体(A)に必要とされる凝集力、ガラス転移温度、反応点や反応性などに応じて適宜決定すればよい。
<アクリル系ブロック共重合体(A)の製法>
アクリル系ブロック共重合体(A)を製造する方法としては、とくに限定されないが、開始剤を用いた制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、リビングアニオン重合や連鎖移動剤を用いるラジカル重合、近年開発されたリビングラジカル重合があげられる。なかでも、リビングラジカル重合が、アクリル系ブロック共重合体の分子量および構造の制御の点から好ましい。
リビングラジカル重合は、重合末端の活性が失われることなく維持されるラジカル重合である。リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性をもち続ける重合のことを指すが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リビング重合も含まれる。ここでの定義も後者である。リビングラジカル重合は、近年様々なグループで積極的に研究がなされている。
その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、第116巻、7943頁)やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1994年、第27巻、7228頁)、有機ハロゲン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などをあげることができる。本発明において、これらのうちいずれの方法を使用するかはとくに制約はないが、制御の容易さの点などから原子移動ラジカル重合が好ましい。
原子移動ラジカル重合の具体例としては、特開2004−107447号公報に記載されている方法をあげることができる。
<熱潜在性酸触媒(B)>
本発明に係るアクリル系ブロック共重合体(A)には、貯蔵時の単量体単位(c)の熱分解をより少なくし、成形加工時の熱分解を促進する目的で、(B)成分として、加熱時に活性を示す熱潜在性酸触媒(B)を添加してもよい。この熱潜在性酸触媒(B)は、60℃以上の温度において、酸触媒活性を示す化合物が好ましい。この熱潜在性酸触媒(B)が60℃未満の温度で酸触媒活性を示す場合、単量体単位(c)が貯蔵中に分解し、成形性が悪化する場合がある。(B)成分の熱潜在性酸触媒としては、具体的には、(i)プロトン酸をアレニウス塩基で中和した化合物、(ii)プロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、(iii)ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、(iv)ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、(v)スルホン酸エステル類、(vi)リン酸エステル類、(vii)オニウム化合物類、(viii)アルミニウム錯体から誘導される化合物、および(ix)第4オニウム塩が好ましく挙げられる。
プロトン酸をアレニウス塩基で中和した化合物(i)としては、例えばカルボン酸類、ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノおよびジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノおよびジエステル類、等を水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化鉄等の各種金属水酸化物で中和した化合物が挙げられる。
プロトン酸をルイス塩基で中和した化合物(ii)としては、例えばハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノおよびジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノおよびジエステル類、等を、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロへキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエチノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種アミンもしくはトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイトで中和した化合物、さらには、酸−塩基ブロック化触媒として市販されているネイキュアー2500X、X47−110、3525、5225(商品名、キングインダストリーズ社製)などが挙げられる。
また、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物(iii)としては、例えばBF、FeCl、SnCl、AlCl、ZnClなどのルイス酸を前記のルイス塩基で中和した化合物が挙げられる。あるいは上記ルイス酸とトリアルキルホスフェートとの混合物(iv)も挙げられる。スルホン酸エステル類(v)としては、例えば式(2)
Figure 2007161877
(ただし、式中のRはフェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基またはアルキル基、Rは一級炭素または二級炭素を介してスルホニルオキシ基と結合している炭素数3〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、アルカノール基、飽和のシクロアルキル基またはヒドロキシシクロアルキル基もしくは不飽和のシクロアルケニルまたはヒドロキシシクロアルケニル基である。)で表される化合物が挙げられる。
このような化合物としては、具体的には例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類とn−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノ−ルなどの第一級アルコール類またはイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノ−ル、シクロヘキサノールなどの第二級アルコール類とのエステル化物、さらには前記スルホン酸類とオキシラン基含有化合物との反応により得られるβ‐ヒドロキシアルキルスルホン酸エステル類などが挙げられる。
リン酸エステル類(vi)としては、例えば、式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007161877
(式中のRは炭素数3〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基、hは1または2である。)
より具体的には、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール等の第一級アルコール類、およびイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール等の第二級アルコール類のリン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエステル類が挙げられる。
また、該オニウム化合物(vii)としては、例えば式(4)〜(7)で表される化合物などが挙げられる。
[(RNR]+・X ・・・・・(4)
[(RPR]+・X ・・・・・(5)
[(R10OR11]+・X ・・・・・(6)
[(R12SR13]+・X ・・・・・(7)
式中のR、R、R10およびR12は、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、アルカノール基またはシクロアルキル基であって、2個のR、R、R10およびR12は互いに結合してN、P、OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成していてもよく、R、R、R11およびR13は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、XはSbF 、AsF 、PF またはBF である。
また、触媒としてアルミニウム錯体から誘導される化合物(viii)を使用することができる。具体的には、オクチル酸アルミニウム等の金属石鹸、β−ジケトネートアルミニウム錯体、β−ジケトエステラートアルミニウム錯体、o−カルボニルフェノレートアルミニウム錯体が挙げられる。上記アルミニウム錯体の配位子として用いられるβ−ジケトンとしては、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、2,4−ペンタンジオン、3−フェニル−2,4−ペンタンジオン、5−ジメチル−2,4−へキサンジオン、5−フェニル−2,4−ペンタンジオン、2,6−ジメチル−3,5−へプタンジオン、2,6−テトラメチル−3,5−ペンタンジオン等が挙げられる。
また、β−ジケトエステルとしては、エチルアセトアセテート、プロピルアセトアセテート、ブチルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテート、エチルベンゾイルアセテート等が挙げられ、o−カルボニルフェノールとしては、2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド、2’−ヒドロキシ−アセトフェノン、メチル−2−ヒドロキシベンゾエート、フェニル−2−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
さらに、活性力を高めるために、上記アルミニウム錯体にさらにシラノール化合物を混合したアルミニウム錯体を用いてもよい。そのようなシラノール化合物としては、トリフェニルシラノール、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキシルトリメトキシシラン、へキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等が挙げられる。
さらに、触媒として、第4オニウム塩(ix)を使用することもできる。より具体的には、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド等のテトラブチルアンモニウムハライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムアイオダイド等のテトラブチルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド等のテトラフェニルホスホニウムハライド等が挙げられる。
これらの触媒のうち、コスト面や入手が容易である点で、プロトン酸をアレニウス塩基で中和した化合物が好ましく、最終的に得られる成形体の耐水性や着色の点でアルミニウム錯体から誘導される化合物が好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、これらの硬化促進剤は、それぞれ単独で又はこれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。また、その配合量は、アクリル系ブロック共重合体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部の範囲で添加することが好ましい。熱潜在性酸触媒の量が0.01重量部未満では触媒効果が十分に発揮されないおそれがあり、10重量部を超えると、最終的に得られる成形体が着色したり、耐水性が低下するおそれがある。
<その他成分>
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)には、必要に応じて異種の熱可塑性樹脂を配合してもよい。熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン共重合樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、スチレン−メチルメタクリレート樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、およびポリアミドイミド樹脂などがあげられる。これらは少なくとも1種用いることができる。特に限定されないが、アクリル系ブロック共重合体(A)と相溶性のよいものが好適に用いられ、単量体単位(c)の熱分解後に生成するカルボキシル基と反応しうる官能基を有するものがより好適に用いられる。カルボキシル基と反応しうる官能基としては、アミノ基、水酸基などが例示され、これらを有する熱可塑性樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などをあげることができる。
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)には、必要に応じて充填剤を配合してもよい。充填材としては、特に限定されないが、木粉、パルプ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、シリカ(ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸など)、カーボンブラックのような補強性充填材;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、べんがら、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、亜鉛末、炭酸亜鉛およびシラスバルーンなどのような充填材;石綿、ガラス繊維およびガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバーなどのような繊維状充填材などがあげられる。
これら充填材のうちでは機械特性の改善や補強効果、コスト面等から無機充填剤がより好ましく、酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、タルクがより好ましい。
また、シリカの場合は、その表面がオルガノシランやオルガノシラザン、ジオルガノポリシロキサンなどの有機ケイ素化合物で予め疎水処理されたシリカを用いてもよい。さらに、炭酸カルシウムは、脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステルなどの有機物や各種界面活性剤、および、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤などの各種カップリング剤などの表面処理剤を用いて表面処理を施してあるものを用いてもよい。
充填材を用いる場合の添加量は、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、5〜200重量部の範囲とするのが好ましく、10〜100重量部の範囲とするのがより好ましい。配合量が5重量部未満の場合には、得られる成形体の補強効果が十分でないことがあり、200重量部を超えると得られる組成物の成形が低下する傾向にある。充填材は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)には、必要に応じて成形性や金型からの離型性、得られる成形体の表面の低摩擦化のために、各種滑剤を配合してもよい。
滑剤としては、たとえば、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウムなどの脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタン酸系ワックスなどのワックス類、低分子量ポリエチレンや低分子量ポリプロピレンなどの低分子量ポリオレフィン、ジメチルポリシロキサンなどのポリオルガノシロキサン、オクタデシルアミン、リン酸アルキル、脂肪酸エステル、エチレンビスステアリルアミドなどのアミド系滑剤、4フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン粉末、シリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末、シリカなどを用いることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、脂肪酸エステル、エチレンビスステアリルアミドがコスト面や成形性に優れており好ましい。
滑剤を用いる場合の添加量は、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲とするのが好ましく、0.2〜10重量部の範囲とするのがより好ましい。配合量が0.1重量部未満の場合には、成形性の改善効果や得られる成形体の低摩擦化が不十分となることがあり、20重量部を超えると、得られる成形体の機械特性や耐薬品性などが悪化する傾向にある。滑剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)は、本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)および得られる成形体の諸物性の調整を目的として、必要に応じて、上記以外の各種添加剤を添加してもよい。このような添加剤として安定剤、可塑剤、柔軟性付与剤、難燃剤、顔料、帯電防止剤、抗菌抗カビ剤などを添加してもよい。
安定剤としては、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などがあげられる。老化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン(PAN)、オクチルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPN)、N,N’−ジアリル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン誘導体、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、アルキル化フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロプロピル)−p−フェニレンジアミン、ジアリルフェニレンジアミン混合物、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン誘導体などのアミン系老化防止剤、2−メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)などのイミダゾール系老化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピネート]などのフェノール系老化防止剤、ニッケルジエチル−ジチオカーバメイトなどのリン酸塩系老化防止剤、トリフェニルホスファイトなどの2次老化防止剤、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートなどがあげられる。また、光安定剤や紫外線吸収剤としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−2−シアノ−3,3‘−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、モノグリコールサリチレート、オキザリック酸アミド、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどがあげられる。
このような安定剤の具体的な製品としては、Irganox(登録商標)1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、サノール(登録商標)LS770(三共ライフテック株式会社)、アデカスタブ(登録商標)LA−57(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブLA−68(旭電化工業株式会社製)、Chimassorb(登録商標)944(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、サノールLS765(三共ライフテック株式会社)、アデカスタブLA−62(旭電化工業株式会社製)、TINUVIN(登録商標)144(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLA−63(旭電化工業株式会社製)、TINUVIN622(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLA−32(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブLA−36(旭電化工業株式会社製)、TINUVIN571(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、TINUVIN234(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLA−31(旭電化工業株式会社製)、TINUVIN1130(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブAO−20(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブAO−50(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブ2112(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブPEP−36旭電化工業株式会社製)、スミライザーGM(住友化学工業株式会社)、スミライザーGS(住友化学工業株式会社)、スミライザーTP−D(住友化学工業株式会社)などがあげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでもアクリル系ブロック体の熱や光による劣化防止効果やコストなので点で、サノールLS770、Irganox1010、スミライザーGS、TINUVIN234が好ましい。
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレートのようなイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタル酸のようなテトラヒドロフタル酸誘導体;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、アジピン酸イソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブチルジグリコール等のアジピン酸誘導体;アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル等のアゼライン酸誘導体;セバシン酸ジブチル等のセバシン酸誘導体;ドデカン−2−酸誘導体;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル等のマレイン酸誘導体;フマル酸ジブチル等のフマル酸誘導体;トリメリト酸トリス−2−エチルヘキシル等のトリメリト酸誘導体;ピロメリト酸誘導体;クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸誘導体;イタコン酸誘導体;オレイン酸誘導体;リシノール酸誘導体;ステアリン酸誘導体;その他脂肪酸誘導体;スルホン酸誘導体;リン酸誘導体;グルタル酸誘導体;アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸などの二塩基酸とグリコールおよび一価アルコールなどとのポリマーであるポリエステル系可塑剤、グルコール誘導体、グリセリン誘導体、塩素化パラフィン等のパラフィン誘導体、エポキシ誘導体ポリエステル系重合型可塑剤、ポリエーテル系重合型可塑剤、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート誘導体等が挙げられる。本発明において可塑剤はこれらに限定されるいことがなく、種々の可塑剤を用いることができ、ゴム用可塑剤として広く市販されているものも用いることができる。これらの化合物は、アクリル系ブロック共重合体(A)の粘度を低くすることが期待できる。市販されている可塑剤としては、チオコールTP(モートン社製)、アデカサイザー(登録商標)O−130P、C−79、UL−100、P−200、RS−735(旭電化社製)などが挙げられる。これら以外の高分子量の可塑剤としては、アクリル系重合体、ポリプロピレングリコール系重合体、ポリテトラヒドロフラン系重合体、ポリイソブチレン系重合体などがあげられる。このなかでも低揮発性で加熱による減量の少ない可塑剤であるアジピン酸誘導体、フタル酸誘導体、グルタル酸誘導体、トリメリト酸誘導体、ピロメリト酸誘導体、ポリエステル系可塑剤、グリセリン誘導体、エポキシ誘導体ポリエステル系重合型可塑剤、ポリエーテル系重合型可塑剤、などが好ましい。
柔軟性付与剤としては、例えば、プロセスオイル等の軟化剤;動物油、植物油等の油分;灯油、軽油、重油、ナフサ等の石油留分などが挙げられる。軟化剤としては、プロセスオイルが挙げられ、より具体的には、パラフィンオイル;ナフテン系プロセスオイル;芳香族系プロセスオイル等の石油系プロセスオイル等が挙げられる。植物油としては、例えばひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、パインオイル、トール油等が例示できるが、これらに限定するものではない。これらの柔軟性付与剤は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、デカブロモビフェニル、デカブロモビフェニルエーテル、三酸化アンチモンなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛などを用いることができるが、これらに限定するものではない。これらは単独で用いても、二種以上を組合わせて用いてもよい。
熱潜在性酸触媒(B)やその他の添加剤は、例えば、バッチ式混錬装置や連続混錬装置を用いることにより、配合することができる。バッチ式混練装置としては、例えば、耐圧製の反応容器、ミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、高剪断型ミキサーを使用できる。また、連続混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、KCK押出混練機などを用いることができる。この際、アクリル系ブロック共重合体(A)を可溶な溶媒等に溶かした状態で配合した後、溶媒を除去しても良いし、アクリル系ブロック共重合体(A)が溶融する温度で混練しながら直接配合しても良い。さらに、ペレット状に賦形する方法などの既存の方法を用いることができる。
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)は、アクリル系ブロック共重合体の特徴である耐候性、耐油性、柔軟性及び耐磨耗性を維持しつつ、成形時の溶融流動性が改善され、かつ優れた耐熱性、耐熱分解性を有することから、自動車、電気・電子部品、包装材料、建築、土木材料、雑貨品などの分野で自動車用シール製品、家庭用電気製品用シール製品、事務用電気製品用シール製品、ホース、シート、フィルム材料、制振材、防振材、グリップ、緩衝材、粘着剤のベースポリマー、樹脂改質剤などとして広く好適に用いることができる。
これらの製品の成形は、アクリル系ブロック共重合体(A)を、押出し成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、パウダースラッシュ成形、インジェクションブローなどの任意の成形加工法を用いて成形加工することにより行うことができる。これらのうちでは、押出し成形、射出成形が、簡便である点から好ましい。
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例におけるBA、EA、MMA、TBMA、TBA、EEA、AA、MAAは、それぞれ、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸1−エトキシエチル、アクリル酸およびメタクリル酸を表わす。また、略号「co」はランダム共重合による結合を表し、略号「b」はブロック共重合による結合を表す。
実施例中に記載した分子量や重合反応の転化率、各物性評価は、以下の方法に従って行った。
<分子量測定法>
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムに、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いた。
<重合反応の転化率測定法>
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示す分析装置、条件で測定した。
使用機器:島津製作所(株)製ガスクロマトグラフィーGC−14B
分離カラム:J&W SCIENTIFIC INC製、キャピラリーカラムSupelcowax−10、0.35mmφ×30m
分離条件:初期温度60℃、3.5分間保持
昇温速度40℃/min
最終温度140℃、1.5分間保持
インジェクション温度250℃
ディテクター温度250℃
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約10倍に希釈し、酢酸ブチルまたはアセトニトリルを内部標準物質とした。
<熱重量減少測定>
熱重量減少(wt%)は、(株)島津製作所製の示差熱熱重量同時測定装置(DTG−50)で測定した。測定は流量50.0ml/分の窒素気流下、加熱速度10.0℃/分の条件でおこなった。
<硬度>
JIS K6253に従い、23℃における硬度(直後、JIS A)を測定した。
<圧縮永久歪み>
JIS K6301に準拠し、円柱型成形体を圧縮率25%の条件で、70℃で22時間保持し、23℃で30分放置したのち、成形体の厚みを測定し、歪みの残留度を計算した。すなわち圧縮永久歪み0%で歪みが全部回復し、圧縮永久歪み100%で歪みが全く回復しないことを意味する。
<耐油性>
ASTM D638に準拠し、組成物の成形体を150℃に保持したASTMオイルNo.3中に72時間浸し、外観を目視にて観察することにより評価を行った。
形状:保持=○、激しく膨潤または一部溶解=×
<メルトフローレート>
メルトフローレートは島津製作所製の高化式フローテスターCFT−500C型を用いて、内径1mm、長さ10mmのダイス、余熱時間30秒、測定温度180℃で、荷重10kg重または60kg重にて測定した。
(製造例1)
(MMA−co−MAA)−b−BA−b−(MMA−co−MAA)型アクリル系ブロック共重合体(この場合、(MMA−co−MAA)はMMAとMAAからなる重合体ブロックを、BAはBAからなる重合体ブロックを意味し、(MMA−co−MAA)−b−BA−b−(MMA−co−MAA)は、(MMA−co−MAA)ブロックとBAブロックがこの順に結合したブロック共重合体を意味する。以下「重合体1」と記載する)の合成
重合体1を得るために、以下の操作を行なった。
5Lのセパラブルフラスコの重合容器内をチッ素置換したのち、臭化銅11.25g(78.5ミリモル)を量り取り、アセトニトリル(チッ素バブリングしたもの)141mlを加えた。30分間70℃で加熱攪拌したのち、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.65g(15.7ミリモル)およびBA900ml(6.28モル)を加えた。85℃で加熱攪拌し、配位子ジエチレントリアミン1.64ml(7.85ミリモル)を加えて重合を開始した。
重合開始から一定時間ごとに、重合溶液約0.2mlを抜き取り、これをガスクロマトグラムで分析することによりBAの転化率を決定した。トリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。BAの転化率が95%の時点で、TBMA234ml(1.44ミリモル)、塩化銅7.77g(78.5ミリモル)、ジエチレントリアミン1.64ml(7.85ミリモル)およびトルエン(チッ素バブリングしたもの)1148mlを加えた。同様にして、TBMAの転化率を決定した。TBMAの転化率が89%、MMAの転化率が84%の時点で、トルエン520mlを加え、水浴で反応器を冷却して反応を終了させた。得られた反応溶液にトルエンを加えて、重合体濃度が25重量%になるように希釈した。このポリマー溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物31.3gを加えて室温で3時間攪拌した。析出した不溶部を桐山漏斗で濾過して除いたのち、ポリマー溶液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学(株)製)を80.5g加えて、室温でさらに3時間攪拌した。桐山漏斗で吸着剤を濾過し、無色透明のポリマー溶液を得た。この溶液を乾燥させて溶剤および残存モノマーを除き、GPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが113600、分子量分布Mw/Mnが1.44であった。
このようにして得られたブロック共重合体100gをトルエン1.0Lに溶解し、p−トルエンスルホン酸一水和物3.0gを加えて、120℃の油浴で3時間加熱攪拌し、t−ブチルエステルをカルボキシル基に変換した。メタノールで希釈し、キョーワード500SHを2.0g加えて攪拌したのち、これを濾過して除き、80℃で真空乾燥させて目的の重合体1を得た。t−ブチルエステル部位のカルボキシル基への変換は、IR(赤外線吸収スペクトル)および13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)により確認できた。すなわち、IRでは、変換後には3400〜3000cm−1あたりにカルボキシル基に由来するブロードな吸収スペクトルが見られるようになることから確認できた。13C−NMRでは、変換後にはt−ブチル基の3級炭素由来の82ppmのシグナルと、メチル炭素由来の28ppmのシグナルが消失することから確認できた。カルボキシル基を有する単量体は得られた重合体1中に、14.7重量%であった。なお、カルボキシル基を有する単量体の含有量は、t−ブチルエステルがカルボキシル基に変換されたことから、メタクリル酸−t−ブチルをメタクリル酸として、仕込みモノマーの組成比とその添加率から計算することで求めた。
得られたポリマーの熱重量分析を行なったところ、大きな重量減少はなく、50〜250℃での重量減少は2%であった。
(製造例2)
(MMA−co−EEA)−b−BA−b−(MMA−co−EEA)型アクリル系ブロック共重合体(この場合、(MMA−co−EEA)はMMAとEEAからなる重合体ブロックを、BAはBAからなる重合体ブロックを意味し、(MMA−co−EEA)−b−BA−b−(MMA−co−EEA)は、(MMA−co−EEA)ブロックとBAブロックがこの順に結合したブロック共重合体を意味する。以下「重合体2」と記載する)の合成
重合体2を得るために以下の操作を行なった。
300ml三口フラスコを用い、製造例1で得られた重合体1;30gをアセトン90gに溶解した。さらに、リン酸2−エチルヘキシル;0.32gを加え、攪拌した。その後、エチルビニルエーテル21gを滴下し、内温が35℃以下になるように水冷しながら、20時間攪拌し反応させた。この反応液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学(株)製)を11g加えて室温でさらに8時間撹拌した。桐山漏斗で吸着剤を濾過し、無色透明のポリマー溶液を得た。この溶液を乾燥させて溶剤および残存モノマーを除き、目的の重合体2を得た。
カルボキシル基含有ユニットのEEAユニットへの変換は、IR(赤外線吸収スペクトル)および13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)により確認できた。すなわち、IRでは、変換後には3400〜3000cm−1あたりにカルボキシル基に由来するブロードな吸収スペクトルが消失することから確認できた。13C−NMRでは、変換後にはアセタール部位(酸素原子2つに結合する炭素原子)の炭素由来の100ppmのシグナルが見られるようになることから確認できた。
得られたポリマーの熱重量分析を行なったところ、140℃〜180℃にかけて重量が減少し、50〜250℃での重量減少は6%であった。また、熱分析後のポリマーの13C−NMRを測定したところ、EEAユニットのアセタール部位(酸素原子2つに結合する炭素原子)の炭素由来の100ppm付近のシグナルが消失することが確認された。このことから、成形条件下でEEAユニットが容易に熱分解することがわかる。
(製造例3)
アクリル酸1−エトキシエチル(以下、EEA)の合成
EEAを得るために以下の操作を行なった。300mlの三口フラスコにアクリル酸30gとリン酸2−エチルヘキシル0.55gを仕込み、攪拌を開始した。その後、エチルビニルエーテル60gを滴下し、内温が35℃以下になるように水冷しながら、20時間攪拌し、反応させた。
この反応液を減圧蒸留することで、精製されたEEAを得た。EEAの合成はH−NMR(核磁気共鳴スペクトル)により確認した。
(製造例4)
(MMA−co−EA)−b−(BA−co−EEA)−b−(MMA−co−EA)型アクリル系ブロック共重合体(この場合、(MMA−co−EA)はMMAとEAからなる重合体ブロックを、(BA−co−EEA)はBAとEEAからなる重合体ブロックを意味し、(MMA−co−EA)−b−(BA−co−EEA)−b−(MMA−co−EA)は、(MMA−co−EA)ブロックと(BA−co−EEA)ブロックがこの順に結合したブロック共重合体を意味する。以下「重合体3」と記載する)の合成
重合体3を得るために以下の操作を行なった。
2Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅2.15g(15ミリモル)、BA238g(1.86モル)およびEEA14g(98ミリモル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル3.0g(8ミリモル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)22.0gに溶解させた溶液を仕込み、内溶液を75℃に昇温しつつ30分間攪拌した。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン0.26g(1ミリモル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
重合開始から一定時間ごとに、重合溶液約0.2mLをサンプリングして、これをガスクロマトグラムで分析することによりBA、EEAの転化率を決定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはアクリル系重合体ブロック重合時に合計4回(合計1.04g)添加した。
BAの転化率が97.8%の時点で、MMA154g(1.54モル)、EA25g(0.25モル)、塩化銅1.48g(15ミリモル)、ペンタメチルジエチレントリアミン0.26g(1ミリモル)およびトルエン(窒素バブリングしたもの)332gを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
アクリル系重合体ブロック重合時と同様にして、MMAの転化率を決定した。MMAを投入した時点でサンプリングを行い、これを基準としてMMAの転化率を決定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはメタアクリル系重合体ブロック重合時に合計6回(合計1.56g)添加した。MMAの転化率が94.4%の時点でトルエン900gを加え、水浴で反応器を冷却して反応を終了させた。
得られた反応溶液にトルエンを加えて、重合体濃度が25重量%になるように希釈した。このポリマー溶液を、活性アルミナ(和光純薬(株)製)を充填したカラムを通過させて触媒を除去、精製した。さらに、この溶液を乾燥させて溶剤および残存モノマーを除き、目的の重合体3を得た。EEAの重合は、重合体1のH−NMR(核磁気共鳴スペクトル)により確認した。
得られた重合体3のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnは70363、分子量分布Mw/Mnは1.45であった。
得られたポリマーの熱重量分析を行なったところ、160℃〜200℃にかけて重量が減少し、50〜250℃での重量減少は2.0%であった。また、熱分析後のポリマーのH−NMRを測定したところ、EEAユニットのエトキシ部位の2級炭素に結合する水素原子由来の5.8ppm付近のシグナルが消失することが確認された。このことから、成形条件下でEEAユニットが容易に熱分解することがわかる。
(製造例5)
(MMA−co−EA)−b−(BA−co−AA)−b−(MMA−co−EA)型アクリル系ブロック共重合体(この場合、(MMA−co−EA)はMMAとEAからなる重合体ブロックを、(BA−co−AA)はBAとAAからなる重合体ブロックを意味し、(MMA−co−EA)−b−(BA−co−AA)−b−(MMA−co−EA)は、(MMA−co−EA)ブロックと(BA−co−AA)ブロックがこの順に結合したブロック共重合体を意味する。以下、「重合体4」と記載する)の合成
重合体4を得るために以下の操作を行なった。
500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅639g(4.45モル)、BA71,831g(560モル)およびTBA3,203g(25.0モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル891g(2.47モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)6588gに溶解させた溶液を仕込み、内溶液を75℃に昇温しつつ30分間攪拌した。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン77.2g(0.445モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
重合開始から一定時間ごとに、重合溶液約100mLを抜き取り、これをガスクロマトグラム分析することにより、BA、TBAの転化率を決定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはアクリル系重合体ブロック重合時に合計2回(合計154g)添加した。
BAの転化率が98.9%、TBAの転化率が99.0%の時点で、MMA45,779g(457モル)、EA7,432g(74.2モル)、塩化銅441g(4.45モル)、ペンタメチルジエチレントリアミン77.2g(0.445モル)およびトルエン(窒素バブリングしたもの)98641gを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
MMA、EAを投入した時点でサンプリングを行い、これを基準としてMMA、EAの転化率を決定した。MMA、EAを投入後、内温を85℃に設定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはメタアクリル系重合体ブロック重合時に合計6回(合計463g)添加した。MMAの転化率が95.9%の時点でトルエン220,000gを加え、反応器を冷却して反応を終了させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnは77,400、分子量分布Mw/Mnは1.44であった。得られた反応溶液にトルエンを加えて重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸を1,779g加え、反応機内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業製ラヂオライト#3000を6,116g添加した。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m)を用いて固体分を分離した。
得られた濾液に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)750gを添加し、さらに内部標準物質としてTBMAを濾液100wt%に対して0.1wt%を添加した。この溶液を150℃で4時間加熱攪拌した。4時間後、溶液をサンプリングし、GC測定にてTBMAが消失していることを確認して反応終了とし、冷却した。
得られた溶液に対し、キョーワード500SH、9,275gを加え反応機内を窒素置換し、30℃で1時間撹拌した。溶液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m)を用いて固体分を分離し、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液にイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)750gと、酸トラップ剤としてハイドロタルサイトDHT−4A−2(協和化学工業(株)製)1,325gを添加した。
引き続き重合体溶液から溶媒成分を蒸発した。蒸発機は株式会社栗本鐵工所製SCP100(伝熱面積1m)を用いた。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を90Torr、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hに設定し重合体溶液の蒸発を実施した。重合体は排出機を通じ、φ4mmのダイスにてストランドとし、アルフローH50ES(主成分:エチレンビスステアリン酸アミド、日本油脂(株)製)の3%懸濁液で満たした水槽で冷却後、ペレタイザーにより円柱状のペレットを得た。このようにして重合体4のペレットを作製した。
t−ブチルエステル部位の酸無水物基およびカルボキシル基への変換効率測定は、280℃熱分解反応によりt−ブチル基から発生するイソブチレン量を定量することにより行った。測定の結果、得られた樹脂の変換効率は95%以上であった。
得られたポリマーの熱重量分析を行なったところ、大きな重量が減少はなく、50〜250℃での重量減少は0.5%であった。
(実施例1)
製造例2で得られた重合体2のメルトフローレートを60kg荷重にて測定した。また、重合体2を、設定温度240℃で熱プレス((株)神藤金属工業所製 圧縮成形機NSF−50)成形し、直径30mmおよび厚さ12mmで円筒状の圧縮永久歪み評価用の成形体を得た。この成形体を用いて、硬度、圧縮永久歪み、耐油性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
製造例4で得られた重合体3のメルトフローレートを10kg荷重にて測定した。また、重合体3を、設定温度240℃で熱プレス((株)神藤金属工業所製 圧縮成形機NSF−50)成形し、直径30mmおよび厚さ12mmで円筒状の圧縮永久歪み評価用の成形体を得た。この成形体を用いて、硬度、圧縮永久歪み、耐油性を測定した。結果を表2に示す。
(比較例1)
製造例1で得られた重合体1を用いた以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
製造例5で得られた重合体4を用いた以外は、実施例2と同様に評価した。結果を表2に示す。
Figure 2007161877
Figure 2007161877
表1および2(実施例1〜2および比較例1〜2)から明らかなように、本発明のアクリル系ブロック共重合体は、従来のアクリル系ブロック共重合体の特徴である、柔軟性、耐油性、耐熱性(高温における圧縮永久歪み特性)に優れる上に、成形時の溶融流動性にも優れることがわかる。
本発明のアクリル系ブロック共重合体は、アクリル系ブロック共重合体が本来有する特性を維持しながら、優れた成形性を有する材料として、好適に使用可能である。
したがって、本発明のアクリル系ブロック共重合体は、たとえば包装材料、建築、土木材料、自動車用材料、家電製品用材料、その他雑貨品用材料などの分野で有用なホース、シート、フィルム、異形押出成形品、各種射出成形品などに好適に使用できる。

Claims (11)

  1. メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(b)からなり、これらの重合体ブロックのうち少なくとも一方の重合体ブロックの主鎖中に、一般式(1):
    Figure 2007161877
    (式中のR1は水素またはメチル基を表す。式中のR2は炭素数1〜20の有機基を表す。)
    で表される単量体単位(c)を一分子あたり少なくとも一つ含有してなるアクリル系ブロック共重合体(A)。
  2. (a−b)型、b−(a−b)型および(a−b)−a型からなる群より選択される少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体からなることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系ブロック共重合体。
  3. 数平均分子量が30000〜200000であることを特徴とする請求項1または2に記載のアクリル系ブロック共重合体。
  4. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したアクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1〜1.8であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体。
  5. アクリル系ブロック共重合体(A)が、メタアクリル系重合体ブロック(a)10〜60重量%と、アクリル系重合体ブロック(b)90〜40重量%とからなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体。
  6. 単量体単位(c)をメタアクリル系重合体ブロック(a)に有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体。
  7. 単量体単位(c)をアクリル系重合体ブロック(b)に有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体。
  8. メタアクリル系重合体ブロック(a)が、メタアクリル酸メチルと、アクリル酸エチルおよび/またはアクリル酸−2−メトキシエチルとからなるブロック共重合体であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体。
  9. アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体ならびにこれらと共重合可能な異種のアクリル酸エステル50〜100重量%と、ビニル系単量体0〜50重量%とからなることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体。
  10. アクリル系ブロック共重合体(A)が、原子移動ラジカル重合により製造されたブロック共重合体であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体。
  11. 熱潜在性酸触媒(B)をさらに含有することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体。
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JP2017141346A (ja) * 2016-02-10 2017-08-17 株式会社クラレ (メタ)アクリル系重合体の製造方法

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