以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明は、(A)アクリル系ブロック共重合体100重量部と、(B)アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、およびアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を含有する変性ポリオルガノシロキサン0.01〜10重量部、とからなることを特徴とする。これにより、耐熱性および離型性に優れたアクリル系ブロック共重合体組成物とすることが可能である。なお、本願において、離型性とは、金型からの成形体の離型のしやすさを意味し、成形方法は特定するものではない。
<アクリル系ブロック共重合体(A)>
ブロック共重合体(A)の構造は、線状ブロック共重合体であっても、分岐状(星状)ブロック共重合体であってもよく、これらの混合物であってもよい。ブロック共重合体(A)の構造は、必要とされるブロック共重合体(A)の物性に応じて適宜選択すればよいが、コスト面や重合容易性の点から、線状ブロック共重合体であるのが好ましい。
前記線状ブロック共重合体は、いずれの線状ブロック構造であってもかまわないが、その物性または組成物にした場合の物性の点から、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(A1)(以下、重合体ブロック(A1)またはブロック(A1)ともいう)およびアクリル系重合体ブロック(A2)(以下、いずれも重合体ブロック(A2)またはブロック(A2)ともいう)が、一般式:(A1−A2)n、一般式:A1−(A2−A1)n、一般式:(A2−A1)n−A2(nは1〜3の整数)で表わされるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体であることが好ましい。これらの中でも、加工時の取扱い容易性や、組成物にした場合の物性の点から、A1−A2型のジブロック共重合体、A1−A2−A1型のトリブロック共重合体、またはこれらの混合物が好ましい。
ブロック共重合体(A)の分子量は特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量で30,000〜500,000であるのが好ましく、さらに好ましくは50,000〜400,000である。数平均分子量が小さいと粘度が低く、また、数平均分子量が大きいと粘度が高くなる傾向があるので、要求される加工特性に応じて適宜設定する必要がある。
ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)も特に限定されないが、好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下である。Mw/Mnが1.8を超えると、ブロック共重合体の均一性が低下する傾向がある。
ブロック共重合体(A)のメタアクリル系重合体ブロック(A1)とアクリル系重合体ブロック(A2)の組成比は、ブロック(A1)を5〜90重量%、ブロック(A2)を95〜10重量%とするのが望ましい。(A1)の割合が5重量%より少ないと成形時に形状が保持されにくい傾向があり、(A2)の割合が10重量%より少ないと、エラストマーとしての弾性および成形時の溶融性が低下する傾向がある。成形時の形状の保持およびエラストマーとしての弾性の観点から、組成比の好ましい範囲は、(A1)が10〜60重量%、(A2)が90〜40重量%であり、さらに好ましくは、(A1)が15〜50重量%、(A2)が85〜50重量%である。
エラストマー組成物の硬度の観点からは、(A1)の割合が少ないと硬度が低くなり、また、(A1)の割合が多いと硬度が高くなる傾向がある。このため、エラストマー組成物の必要とされる硬度に応じて適宜設定する。また加工の観点からは、(A1)の割合が少ないと粘度が低く、また、(A1)の割合が多いと粘度が高くなる傾向があるので、必要とする加工特性に応じて適宜設定する。
<メタアクリル系重合体ブロック(A1)>
メタアクリル系重合体ブロック(A1)は、メタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、メタアクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(A1)を構成するメタアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸−n−プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−、メタアクリル酸−n−ペンチル、メタアクリル酸−n−ヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸−n−ヘプチル、メタアクリル酸−n−オクチル、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイル、メタアクリル酸ベンジル、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸−2−メトキシエチル、メタアクリル酸−3−メトキシブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸グリシジル、メタアクリル酸−2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタアクリル酸のエチレンオキサイド付加物、メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどをあげることができる。
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、加工性、コストおよび入手しやすさの点で、メタアクリル酸メチルが好ましい。また、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸シクロヘキシルなどを共重合させることによって、ガラス転移点を高くすることができる。更には、耐熱性を上げる為に酸無水物を導入する際の前駆体としては、メタアクリル酸−t−ブチルが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(A1)を構成するメタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、アクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド化合物などをあげることができる。
アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸−2−アミノエチル、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどをあげることができる。
芳香族アルケニル化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。シアン化ビニル化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげることができる。共役ジエン系化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどをあげることができる。ケイ素含有不飽和化合物としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどをあげることができる。不飽和ジカルボン酸化合物としては、たとえば、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステルなどをあげることができる。ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることができる。マレイミド系化合物としては、たとえば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどをあげることができる。
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、メタアクリル系重合体ブロック(A1)に要求されるガラス転移温度を調整したり、アクリル系重合体ブロック(A2)との相溶性などの観点から好ましいものを選択することができる。
(A1)のガラス転移温度は、エラストマー組成物の熱変形の観点から、好ましくは25℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。(A1)のガラス転移温度がエラストマー組成物の使用される環境の温度より低いと、凝集力の低下により、熱変形しやすくなる場合がある。
以上述べた観点から、メタアクリル系重合体ブロック(A1)は、メタアクリル酸メチルを主成分とするのが好ましく、また、ガラス転移点を制御する目的でアクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−メトキシエチルおよびアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を重合してなるブロックであることが好ましい。
<アクリル系重合体ブロック(A2)>
アクリル系重合体ブロック(A2)は、アクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、アクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(A2)を構成するアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル系重合体ブロック(A1)を構成する単量体として例示したアクリル酸エステルと同様の単量体をあげることができる。
これらは単独でまたはこれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ゴム弾性、低温特性およびコストのバランスの点で、アクリル酸−n−ブチルが好ましい。さらに低温特性と機械特性と圧縮永久歪が必要な場合は、アクリル酸−2−エチルヘキシルを共重合させればよい。耐油性と機械特性が必要な場合は、アクリル酸エチルが好ましい。また、低温特性と耐油性の付与、及び樹脂の表面タック性の改善が必要な場合は、アクリル酸−2−メトキシエチルが好ましい。また、耐油性および低温特性のバランスが必要な場合は、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルの組み合わせが好ましい。そして、耐熱性を上げる為に酸無水物基を導入する際の前駆体としては、アクリル酸−t−ブチルが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(A2)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物としては、アクリル系重合体ブロック(A2)を構成する単量体として例示したものと同様の単量体をあげることができる。
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、アクリル系重合体ブロック(A2)に要求されるガラス転移温度および耐油性、メタアクリル系重合体ブロック(A1)との相溶性などのバランスの観点から、好ましいものを選択することができる。
アクリル系重合体ブロック(A2)は、エラストマー組成物のゴム弾性の観点から、そのガラス転移温度が25℃以下であるものが好ましく、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−20℃以下である。アクリル系重合体ブロック(A2)のガラス転移温度を、エラストマー組成物の使用される環境の温度より低くすることにより、ゴム弾性が発現されやすくなる。
以上述べた観点から、アクリル系重合体ブロック(A2)は、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−メトキシエチル及びアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする単量体を重合してなるブロックであることが好ましい。
<ブロック共重合体(A)の製造方法>
(重合)
本発明にかかるアクリル系ブロック共重合体組成物の製造方法は、特に限定されないが、分子量を制御できるという観点から、制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、リビングアニオン重合、連鎖移動剤を用いるラジカル重合および近年開発されたリビングラジカル重合をあげることができる。ここで、リビングラジカル重合がブロック共重合体の分子量および構造制御の点ならびに架橋性官能基を有する単量体を共重合できる点から好ましい。
リビング重合とは、狭義においては、末端が常に活性を持ち続ける重合のことを示すが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リビング重合も含まれる。本発明においては、リビングラジカル重合は、重合末端が活性化されたものと不活性化されたものが平衡状態で維持されるラジカル重合方法を用いるのが好ましい。
その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(Journal of American Chemical Society,1994年,第116巻,7943頁)やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(Macromolecules,1994年,第27巻,7228頁)、有機ハロゲン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などをあげることができる。本発明において、これらのうちいずれの方法を使用するかはとくに制約はないが、制御の容易さなどから原子移動ラジカル重合が好ましい。
その中でも、たとえば、Matyjaszewskiら, Journal of American Chemical Society,1995年,第117巻,5614頁、および、Macromolecules,1995年,第28巻,7901頁、さらに、Science,1996年,第272巻,866頁、また、特開2001−200026号公報に示される重合方法を好ましく用いることができる。
(重合触媒などの除去)
重合によって得られた反応液は、重合体と金属錯体の混合物となっており、金属錯体を除去する必要がある。除去方法については特に限定されないが、たとえば、特開2003−147015号公報に示される処理方法が好ましく使用される。
(官能基変換)
本発明においては、重合体ブロックに導入された単量体のエステル部位を官能基変換反応させてカルボキシル基、酸無水物基を導入したアクリル系ブロック共重合体を用いてもよい。
カルボキシル基を有するブロック共重合体の合成方法としては、特に制限はないが、例えば、メタアクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリメチルシリルなどのような、カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体を含むブロック共重合体を合成し、加水分解もしくは酸分解など公知の所定の化学反応、たとえば特開平10−298248号公報や特開2001−234146号公報などに記載の方法によってカルボキシル基を生成させる方法がある。また、以下に示す方法のような、誘導した酸無水物基を加水分解してカルボキシル基を生成させる方法もある。
酸無水物基を有するブロック共重合体の合成方法としては、前記のカルボキシル基を有するブロック共重合体を、加熱により脱水もしくは脱アルコール反応を行わせることで、隣り合った単量体のエステル部位をカルボン酸無水物に変換させる方法がある。または、メタアクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリメチルシリルなどのような、カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体を含むブロック共重合体を合成し、上記のように加熱により脱アルコール反応を行わせることで、隣り合った単量体のエステル部位をカルボン酸無水物に変換させる方法がある。
このような方法により誘導した酸無水物基を有するブロック共重合体は、たとえばオートクレーブ中で精製水と加熱することで加水分解することができ、酸無水物基をカルボキシル基に変換することができる。加水分解は、たとえば200℃で2時間加熱することにより行うことができる。
メタアクリル系重合体ブロック(A1)あるいはメタアクリル系重合体ブロック(A2)中にt−ブチル基が含有される場合は、上記記載方法により、カルボン酸基、またはカルボン酸基と酸無水物基の両方に変換することができる。
<変性ポリオルガノシロキサン(B)>
本発明で用いる変性ポリオルガノシロキサンとしては、各種の反応性官能基を含有する、変性ポリオルガノシロキサンが挙げられる。
上記の変性ポリオルガノシロキサンとしては、たとえば、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基およびアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を含有する変性ポリオルガノシロキサンがあげられる。ただしこれらに限るものではない。
(B)の粘度は、特に限定されないが、10〜100,000mm2/sであることが好ましく、25〜70,000mm2/sであることがさらに好ましい。粘度が10mm2/sより低い場合は、揮発分による熱安定性が問題となる場合がある。粘度が100,000mm2/sより高い場合には、取り扱い性が問題となる場合がある。
(B)の官能基の数は、官能基当量であらわした場合に、100〜100,000g/molであることが好ましく、300〜10,000g/molであることがさらに好ましい。官能基当量が100g/molより小さい場合には、変性ポリオルガノシロキサンの貯蔵安定性などが問題となる場合がある。官能基当量が100,000g/molより大きい場合には、官能基変性による効果が小さいことが問題となる場合がある。
(B)の官能基が含まれる位置は、ポリオルガノシロキサンの側鎖の一部に導入したものであっても、ポリオルガノシロキサンのどちらか片方の末端に導入したものであっても、ポリオルガノシロキサンの両方の末端に導入したものであっても、ポリオルガノシロキサンの側鎖の一部と末端に導入したものであってもかまわない。
(B)の末端で官能基が導入されていないものは、メチル基で封鎖されていることが好ましい。
(B)の主鎖構造のケイ素原子に直接結合した有機基は、いずれもメチル基であることが好ましい。すなわち、変性ポリオルガノシロキサンは変性ポリジメチルシロキサンであることが好ましい。
(B)の官能基は、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基であり、以下に詳しく述べる。
アミノ基は、主鎖のケイ素に結合している官能基として、たとえば、
−R1NH2
−R2NHR1NH2
があげられる。R1およびR2はメチレン基などの二官能炭化水素基であれば特に限定されない。
エポキシ基は、主鎖のケイ素に結合している官能基として、たとえば、
(Rはメチレン基などの二官能炭化水素基であれば特に限定されない)
(Rはメチレン基などの二官能炭化水素基であれば特に限定されない)
があげられる。さらに具体的には、グリシジル基があげられる。
カルボキシル基は、
−R3COOH
があげられる。R3はメチレン基などの二官能炭化水素基であれば特に限定されない。
アルコキシ基は、主鎖のケイ素にアルコキシ基が結合している官能基、たとえば、アルコキシシリル基があげられ、その例として、
−Si(OR4)3
−Si(OR4)2(OH)
−Si(OR4)(OH)2
(R4はメチル基などの炭化水素基であれば特に限定されない)
があげられる。
変性ポリオルガノシロキサンの具体的な例を以下にあげるが、それらに限定されるものではない。
アミノ基変性ポリオルガノシロキサンとしては、TSF4700、TSF4701、TSF4702、TSF4703、TSF4704、TSF4705、TSF4706、TSF4707、TSF4708、TSF4709(以上、GE東芝シリコーン(株)製)、KF-393、KF-859、KF-860、KF-861、KF-867、KF-869、KF-880、KF-8002、KF-8004、KF-8005、KF-858、KF-864、KF-865、KF-868、KF-8003(以上、側鎖タイプ、信越シリコーン製)、KF-8010、X-22-161A、X-22-161B、X-22-1660B-3、KF-8008、KF-8012(以上、末端タイプ、信越シリコーン製)、FZ−3501、FZ−3504、FZ−3508、FZ−3705、FZ−3707、FZ−3710、FZ−3750、FZ−3760、FZ−3785、FZ−3789(以上、側鎖タイプ、日本ユニカー(株)製)があげられる。
エポキシ基変性ポリオルガノシロキサンとしては、TSF4730(以上、GE東芝シリコーン(株)製)、KF-1001、KF-101、KF-22-2000、KF-102(以上、側鎖タイプ、信越シリコーン製)、KF-105、X-22-163A、X-22-163B、X-22-163C、X-22-169AS、X-22-169B、X-22-173DX(以上、末端タイプ、信越シリコーン製)、L−9300、FZ−3720、FZ−3736、Y−7499(以上、側鎖タイプ、日本ユニカー(株)製)があげられる。
カルボキシル基変性ポリオルガノシロキサンとしては、X-22-3701E(以上、側鎖タイプ、信越シリコーン製)、X-22-162C(以上、末端タイプ、信越シリコーン製)、FZ−3703(以上、末端タイプ、日本ユニカー(株)製)があげられる。
アルコキシ基変性ポリオルガノシロキサンとしては、FZ−3704(以上、末端タイプ、日本ユニカー(株)製)があげられる。
(A)と(B)との配合比は、(A)アクリル系ブロック共重合体100重量部に対して、(B)変性ポリオルガノシロキサン0.01〜10重量部とする。0.01重量部より少ない場合には、離型性が劣る場合があり、10重量部より多い場合には、機械物性の低下、成形不良などを引き起こす場合がある。この配合比は、(A1)と(A2)の重量比、(A)の分子量、(B)の粘度などに応じて適宜設定する。
また、(A)と(B)との配合比は、好ましくは、(A)100重量部に対して、(B)0.02〜8重量部であり、さらに好ましくは、(A)100重量部に対して、(B)0.03〜6重量部である。
<架橋剤>
本発明の組成物について、成形性、耐熱性、機械物性などの必要な性能を満たすために、架橋剤を配合することが必要な場合がある。架橋剤としては、架橋ゴムに用いられているものなどが使用でき、それ以外にも、反応性官能基を含有する高分子が例示される。
このような反応性官能基を含有する高分子は、室温で液状であっても固体であってもよく、所望の反応速度や反応条件などを勘案して、組成、官能基含有量、分子量などを決定すればよい。
当該反応性官能基としては、エポキシ基、アミノ基、水酸基、ビニル基、Si−H基、オキサゾリル基などが例示される。反応性官能基が含有される形態としては、高分子鎖末端に位置していてもよく、高分子鎖末端以外の場所にペンダントあるいはグラフトしていてもよい。
当該反応性官能基を含有する高分子としては、たとえば、エポキシ基を含有するポリアクリル酸エステル、アミノ基を含有するポリアクリル酸エステル、水酸基を含有するポリアクリル酸エステル、ビニル基を含有するポリアクリル酸エステル、Si−H基を含有するポリアクリル酸エステル、オキサゾリル基を含有するポリアクリル酸エステル、エポキシ基を含有するポリメタアクリル酸エステル、アミノ基を含有するポリメタアクリル酸エステル、水酸基を含有するポリメタアクリル酸エステル、ビニル基を含有するポリメタアクリル酸エステル、Si−H基を含有するポリメタアクリル酸エステル、オキサゾリル基を含有するポリメタアクリル酸エステル、エポキシ基を含有するシリコーン、アミノ基を含有するシリコーン、水酸基を含有するシリコーン、ビニル基を含有するシリコーン、Si−H基を含有するシリコーン、オキサゾリル基を含有するシリコーン、などが例示される。
具体的な製品名としては、たとえば、ARUFON UG4010、UG4000(東亞合成(株)製)などが例示される。
<その他の配合物>
本発明の組成物について、製造、加工、成形、流通、製品としての使用、廃棄あるいはリサイクルの過程で必要な性能を満たすために、各種の添加剤を配合することが必要になる場合がある。
たとえば、成形加工時の熱安定性、成形加工時ならびに長期使用時の耐酸化劣化性などを考慮すると、安定剤を配合することが望ましい。
安定剤としては、熱劣化防止剤、一次酸化安定剤、二次酸化安定剤を組み合わせて用いることが望ましい。ただし、熱劣化防止剤および/または一次酸化安定剤に限った使用も可能である。
熱劣化防止剤としては、フェノールアクリレート系があげられる。たとえば、スミライザGM、スミライザGS(以上、住友化学工業(株)製)が例示できる。
一次酸化安定剤としては、フェノール系、アミン系があげられる。たとえば、フェノール系としては、スミライザBHT、スミライザMDP−S、スミライザGA−80(以上、住友化学工業(株)製)、イルガノックス1010(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)、また、アミン系としては、スミライザ9A(以上、住友化学工業(株)製)が例示できる。
二次酸化安定剤としては、イオウ系、リン系があげられる。たとえば、イオウ系としては、スミライザTPS、スミライザTP−D(以上、住友化学工業(株)製)、また、リン系としては、Sandstab P−EPQ、Hostanox par24(以上、クラリアントジャパン(株)製)が例示できる。
また、必要に応じて、各種重合体、可塑剤、柔軟性付与剤、滑剤、難燃剤、顔料、充填剤、離型剤、帯電防止剤、抗菌抗カビ剤などを配合してもよい。
これらの添加剤は、組成物が使用される用途に適したものを適宜選択すればよい。
上記の重合体としては、特に限定されないが、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ウレタンゴム、シリコーンゴム、多硫化ゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、四フッ化エチレン−プロピレン−フッ化ビニリデンゴム、アクリルゴム(ACM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム(CO)、エチレン−アクリルゴム、ノルボルネンゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー(SBC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー(TPVC)、およびフッ素系熱可塑性エラストマーなどが例示でき、これらは単独で用いてもよく、複数を組合わせて用いてもよい。
上記の可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレートのようなイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタル酸のようなテトラヒドロフタル酸誘導体;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、アジピン酸イソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブチルジグリコール等のアジピン酸誘導体;アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル等のアゼライン酸誘導体;セバシン酸ジブチル等のセバシン酸誘導体;ドデカン−2−酸誘導体;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル等のマレイン酸誘導体;フマル酸ジブチル等のフマル酸誘導体;トリメリト酸トリス−2−エチルヘキシル等のトリメリト酸誘導体;ピロメリト酸誘導体;クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸誘導体;イタコン酸誘導体;オレイン酸誘導体;リシノール酸誘導体;ステアリン酸誘導体;その他脂肪酸誘導体;スルホン酸誘導体;リン酸誘導体;グルタル酸誘導体;アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸などの二塩基酸とグリコールおよび一価アルコールなどとのポリマーであるポリエステル系可塑剤、グルコール誘導体、グリセリン誘導体、塩素化パラフィン等のパラフィン誘導体、エポキシ誘導体ポリエステル系重合型可塑剤、ポリエーテル系重合型可塑剤、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート誘導体等が挙げられる。本発明において可塑剤はこれらに限定されるいことがなく、種々の可塑剤を用いることができ、ゴム用可塑剤として広く市販されているものも用いることができる。これらの化合物は、ブロック共重合体(A)の粘度を低くすることが期待できる。市販されている可塑剤としては、チオコールTP(モートン社製)、アデカサイザーO−130P、C−79、UL−100、P−200、RS−735(旭電化社製)などが挙げられる。これら以外の高分子量の可塑剤としては、アクリル系重合体、ポリプロピレングリコール系重合体、ポリテトラヒドロフラン系重合体、ポリイソブチレン系重合体などがあげられる。特に限定されないが、このなかでも低揮発性で加熱による減量の少ない可塑剤であるアジピン酸誘導体、フタル酸誘導体、グルタル酸誘導体、トリメリト酸誘導体、ピロメリト酸誘導体、ポリエステル系可塑剤、グリセリン誘導体、エポキシ誘導体ポリエステル系重合型可塑剤、ポリエーテル系重合型可塑剤、などが好ましい。
上記の柔軟性付与剤としては、特に限定はなく、プロセスオイル等の軟化剤;動物油、植物油等の油分;灯油、軽油、重油、ナフサ等の石油留分などが挙げられる。軟化剤としては、プロセスオイルが挙げられ、より具体的には、パラフィンオイル;ナフテン系プロセスオイル;芳香族系プロセスオイル等の石油系プロセスオイル等が挙げられる。植物油としては、例えばひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、パインオイル、トール油等が例示でき、これらの柔軟性付与剤は少なくとも1種用いることができる。
上記の滑剤としては、エステル系滑剤、ポリエチレン系滑剤、ポリプロピレン系滑剤、炭化水素系滑剤、及びシリコーンオイルが好ましいものとして挙げられるが、特に限定はなく、さらに、モンタン酸系ワックス、ステアリン酸などの有機脂肪酸、ステアリン酸アミドなどの有機酸アミド、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸カルシウムなどの有機酸金属塩が例示できる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。ここでいうポリエチレン系滑剤、ポリプロピレン系滑剤には、それぞれ、酸化ポリエチレン系滑剤、酸化ポリプロピレン系滑剤が含まれる。
以下、滑剤およびシリコーンオイルの例を挙げるが、もちろんこれらに限定されることなく使用できる。
エステル系滑剤としては、牛脂45硬化油(融点45℃;日本油脂(株)製、以下同じ)、牛脂51硬化油(融点51℃)、牛脂54硬化油(融点54℃)、牛脂極度硬化油(融点60℃)、LicowaxE(滴点79〜85℃;クラリアントジャパン(株)製、滴点は同社カタログより引用、以下同じ)、LicowaxF(滴点77〜83℃)、LicowaxKP(滴点81〜87℃)、LicowaxKP303(滴点86〜92℃)、LicowaxKPS(滴点80〜85℃)、LicowaxKSL(滴点79〜85℃)、LicowaxKFO(滴点86〜92℃)、LicowaxKST(滴点56〜63℃)、LicowaxWE4(滴点78〜85℃)、LicowaxWE40(滴点73〜79℃)、LicowaxBJ(滴点72〜78℃)、LicowaxRT(滴点77〜83℃)、LicowaxKPE(滴点79〜85℃)、LicowaxKLE(滴点82〜88℃)、LicowaxNE(滴点74〜82℃)、LicowaxX102(滴点81〜87℃)などを挙げることが出来る。この中では、牛脂極度硬化油が好ましい。
ポリエチレン系滑剤としては、LicowaxPE520(クラリアントジャパン(株)製、以下同じ)、LicowaxPE130、LicowaxPE190、LicowaxPE810、LicowaxPE820、LicowaxPE830、LicowaxPE840、Ceridust130、Ceridust3620、Ceridust3615など、さらに酸化ポリエチレン系滑剤としては、LicolubH12、LicolubH22、LicowaxPED521、LicowaxPED522、LicowaxPED121、LicowaxPED136、LicowaxPED153、LicowaxPED191、LicowaxPED192、LicowaxPED1101、LicowaxPED821、LicowaxPED822、Ceridust3715、Ceridust3719などを挙げることが出来る。
ポリプロピレン系滑剤としては、LicowaxPP230(クラリアントジャパン(株)製、以下同じ)、LicowaxVP−PP220、CeridustVP6071など、さらに酸化ポリプロピレン系滑剤としては、LicomontAR504を挙げることが出来る。
炭化水素系滑剤としては、LicowaxR21(クラリアントジャパン(株)製、以下同じ)、LicolubH4を挙げることが出来る。
シリコーンオイルとしては、(B)で挙げた物を除いて特に限定はなく、TSF451(ジメチルシリコーンオイル;GE東芝シリコーン(株)製、以下同じ)、TSF410(高級脂肪酸変性シリコーンオイル)、TSF4427(アルキルアラルキル変性シリコーンオイル)、TSF4421(アルキル変性シリコーンオイル)、TSF484(メチルハイドロジェンシリコーンオイル)、TSF431(メチルフェニルシリコーンオイル)、TSF4440(ポリエーテル変性シリコーンオイル)などを挙げることが出来る。この中では、コストや取り扱いやすさの観点から、ジメチルシリコーンオイルが好ましい。
上記の難燃剤としては特に限定はなく、たとえば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、デカブロモビフェニル、デカブロモビフェニルエーテル、三酸化アンチモンなどを使用することができる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記の顔料としては特に限定はなく、たとえば、カーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛などを使用することができる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合わせて用いてもよい。
上記の充填剤としては、特に限定はなく、たとえば、無定形フィラー、板状フィラー、針状フィラー、球状フィラー、機能性フィラー、繊維状フィラー、金属粉末などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合わせて用いてもよい。
無定形フィラーとしては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛(亜鉛華)、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化マグネシウムなどであり、板状フィラーとしては、タルク、マイカ、ガラスフレーク、合成ハイドロタルサイトなどであり、針状フィラーとしては、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、ホウ酸アルミニウムなどであり、球状フィラーとしては、ガラスビーズ、シリカビーズ、ガラス(シリカ)バルーンなどであり、機能性フィラーとしては、金属系導電性フィラー、非金属系導電性フィラー、カーボン系導電性フィラー、磁性フィラー、圧電、焦電フィラー、摺動性フィラーなどであり、また、繊維状フィラーとしては、ガラス繊維、金属繊維、アスベスト、ミルドファイバーなどの有機、無機、金属の各種ファイバーなど、が例示できる。この中では、コスト、分散性、取り扱いやすさなどから、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、シリカが好ましい。また、合成ハイドロタルサイト、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化マグネシウムを用いた場合には、アクリル系ブロック共重合体(A)および他の成分に由来する酸成分を中和することができるため、これら成分から出る酸成分がさびを引き起こすことが問題となる使用用途において有用である。
重質炭酸カルシウムとしては、ソフトン3200、ソフトン2600、ソフトン2200、ソフトン1800、ソフトン1500、ソフトン1200、ソフトン1000、BF−100、BF−200、BF−300(以上、備北粉化工業製、乾式製造品)、ライトン32−X、ライトン26−S、ライトン26−A、ライトンBS−0、ライトンA、ライトンS−4、ライトンS−5(以上、備北粉化工業製、表面処理品)、ホワイトンSSB、ホワイトンSB、ホワイトンB(以上、白石カルシウム(株)製、乾式製造品)、PO−320−B10、PO−220−B10、PO−180−B10、PO−150−B10、PO−120−B10、PO−10−B10(以上、白石カルシウム(株)製、表面処理品)、ホワイトン305、ホワイトン306、ホワイトン307、ホワイトン310、STパウダーH50、パルシェン500、RS−10、HG−10H(以上、白石中央研究所製、表面処理品)などがあげられる。
軽質炭酸カルシウムとしては、膠質炭酸カルシウムおよび軽微性炭酸カルシウムが挙げられる。
上記の膠質炭酸カルシウムとしては、たとえば、ブリリアント15(以下、BRILLIANTはブリリアントと表記する)、ブリリアントS15、ブリリアント40、UNIBUR70、VIGOT15、VIGOT10、ブリリアント1500、UNIFANT15、UNIFANT15FR、VISCOLITE(以上、白石工業(株)製、連続式反応法により得られるもの)、白艶華PZ、白艶華PX、白艶華ツネックスE、白艶華CC、白艶華CCR、白艶華カルモス、白艶華U、白艶華ホモカルD、白艶華ホモカルDM、白艶華ゲルトン50、白艶華O、白艶華DD、白艶華TDD、白艶華IGV(以上、白石工業(株)製、回分式反応法により得られるもの)、MSK−C、MSK−G、MSK−K、MSK−P、MSK−PO、カルファイン100、カルファイン200、カルファイン200M、カルファイン500、カーレックス100、カーレックス300、MT−100、MS−100M、MS−600、シーレッツ200、N−2、MC−5、MC−K、MC−SII、MC−S5、MC−T、ユニグロス1000、ユニグロス3000、ルミナス(以上、丸尾カルシウム(株)製、コロイド製品)などがあげられる。
軽微性炭酸カルシウムとしては、PC、PC−700、PCX、PCX−850、シルバーW、赤玉(以上、白石工業(株)製、回分式反応法により得られるもの)などがあげられる。
天然シリカとしては、IMSIL−A25、IMSIL−A15、IMSIL−A10、IMSIL−A8、クリスタライトVX−S2、クリスタライトVX−S、クリスタライトVX−SR、クリスタライト5X((株)龍森製)があげられる。
合成シリカとしては、NIPSIL−VN3、NIPSIL−AQ、NIPSIL−LP、NIPSIL−NA、NIPSIL−ER、NIPSIL−RS150(以上、日本シリカ工業(株)製、一般用シリカ)、NIPSIL−SS10、NIPSIL−SS15、NIPSIL−SS30、NIPSIL−SS50、NIPSIL−SS70(以上、日本シリカ工業(株)製、表面処理シリカ)などがあげられる。
<組成物の製造方法>
組成物の製造方法には特に制限はなく、バッチ式混錬装置や連続混錬装置を用いることにより、アクリル系ブロック共重合体組成物を製造することができる。バッチ式混練装置としては、バッチ式混練装置としてはミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、高剪断型ミキサーが使用でき、連続混練装置としては単軸押出機、二軸押出機、KCK押出混練機などを用いることができる。さらに、機械的に混合しペレット状に賦形する方法などの既存の方法を用いることができる。混練時の温度は、使用するアクリル系ブロック共重合体(A)および添加剤(B)、さらに、それ以外の配合物を使用する場合にあってはそれらの溶融温度、またそれらの溶融粘度などに応じて調整するのがよく、例えば、100〜300℃で溶融混練することにより製造できる。
<成形体の用途および使用方法>
本発明の組成物の成形方法としては、特に限定されないが、射出成形、射出ブロー成形、ブロー成形、押出ブロー成形、押出成形、カレンダー成形、真空成形、プレス成形などに適用可能である。
得られた成形体は、たとえば、表皮材料や、触感が求められる材料(以下、「触感材料」とする)、良好な外観と耐侯性が求められる材料(以下、「外観材料」とする)として好適に用いることができ、その他に、耐磨耗性材料、耐油性材料、制振材料、粘着材料のような目的を有する材料として用いることができる。形状としては、シート、平板、フィルム、小型成形品、大型成形品その他任意の形状として、またパネル類、ハンドル類、グリップ類、スイッチ類のような部品として、さらにそれ以外にもシーリング部材として用いることができる。用途としては、特に制限されないが、自動車用、家庭用電気製品用、または事務用電気製品用が例示される。たとえば、自動車用表皮材料、自動車用触感材料、自動車用外観材料、自動車用パネル類、自動車用ハンドル類、自動車用グリップ類、自動車用スイッチ類として、また、家庭用または事務用電気製品用パネル類、家庭用または事務用電気製品用スイッチ類などを例示することができる。この中でも、自動車内装用表皮に好適に使用される。
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中に記載した分子量や重合反応の転化率、各物性評価は、以下の方法に従って行った。また、実施例におけるBA、MMA、TBA、EAは、それぞれ、アクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸エチルを表す。
<分子量測定法>
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムに、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いた。
<重合反応の転化率測定法>
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示す分析装置、条件で測定した。
使用機器:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14B
分離カラム:J&W SCIENTIFIC INC製、キャピラリーカラムSupelcowax−10、0.35mmφ×30m
分離条件:初期温度60℃、3.5分間保持
昇温速度40℃/min
最終温度140℃、1.5分間保持
インジェクション温度250℃
ディテクター温度250℃
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約3倍に希釈し、酢酸ブチルを内部標準物質とした。
<離型性試験>
実施例に従って得られた組成物約45gを、熱プレス設定温度200℃、圧力5MPa、厚さ1mmの設定で、グレインFの革シボ模様で修飾された幅21cmのプレス板にて熱プレス成形と冷却プレスを行った。革シボ模様が転写された評価用の成形体を、プレス板から剥離する際の応力を測定した。
測定方法:成形体の付着したプレス板を計量はかりの上に垂直に立て、成形体を鉛直方向に、約10cm/30秒の速度で引き剥がした。その時の応力を読み取った。
評価指標:応力が8kgf以下で、離型が良好であるもの:○、応力が5kgf以下で、離型性がさらに良好であるもの:◎、応力が8.5kgf以上で、離型に困難を感じるもの:×として評価した。
<耐熱性試験>
上の例で得られた成形体の一部を切り出し、130℃の熱風オーブンに投入して24時間後に取り出した。シボ模様の変化を観察し、特に変化がないもの:○、テカリによってシボの毛穴などが消失しているもの:×、多少テカリが生じているもの:△として評価した。
(製造例1)
<アクリル系ブロック共重合体(A)前駆体の合成>
アクリル系ブロック共重合体(A)前駆体を得るために以下の操作を行なった。500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅688g(4.80モル)、BA78,400g(612モル)およびTBA2,870g(22.4モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1,329g(3.69モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)7140gに溶解させた溶液を仕込み、内溶液を75℃に昇温しつつ30分間攪拌した。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン83.1g(0.480モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約100mLを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析によりBA、TBAの転化率を決定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはアクリル系重合体ブロック重合時に合計2回(合計166g)添加した。
BAの転化率が99.1%、TBAの転化率が99.3%の時点で、MMA48,260g(482モル)、EA7,840g(78.3モル)、塩化銅475g(4.80モル)、ペンタメチルジエチレントリアミン83.1g(0.480モル)およびトルエン(窒素バブリングしたもの)104,000gを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
MMA、EAを投入した時点でサンプリングを行い、これを基準としてMMA、EAの転化率を決定した。MMA、EAを投入後、内温を85℃に設定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはメタアクリル系重合体ブロック重合時に合計6回(合計499g)添加した。MMAの転化率が95.9%の時点でトルエン250,000gを加え、反応器を冷却して反応を終了させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnは53,100、分子量分布Mw/Mnは1.46であった。
得られた反応溶液にトルエンを加えて重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸を2,190g加え、反応機内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業製ラヂオライト#3000を2,630g添加した。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固体分を分離した。
濾過後のブロック共重合体溶液約450kgに対し、キョーワード500SH1.86kgを加え反応機内を窒素置換し、30℃で1時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固体分を分離し、重合体溶液を得た。
引き続き重合体溶液から溶媒成分を蒸発した。蒸発機は株式会社栗本鐵工所製SCP100(伝熱面積1m2)を用いた。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を90Torr、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hに設定し重合体溶液の蒸発を実施した。重合体は排出機を通じ、φ4mmのダイスにてストランドとし、アルフローH50ES(主成分:エチレンビスステアリン酸アミド、日本油脂(株)製)の3%懸濁液で満たした水槽で冷却後、ペレタイザーにより円柱状のペレットとした(アクリル系ブロック共重合体(A)前駆体)。
<溶融変性による、アクリル系ブロック共重合体(A)の合成>
以上のようにして得られたペレット100重量部に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.2重量部を配合し、260℃に設定したTEX44((株)日本製鋼所製)を用いて、100rpmで押し出しによる変性を行い、目的の酸無水物基およびカルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体のペレットを得た。(重合体ペレット1)
t−ブチルエステル部位の酸無水物基およびカルボキシル基への変換は、IR(赤外線吸収スペクトル)および13C(1H)−NMR(核磁気共鳴スペクトル)により確認できた。すなわち、IRでは、変換後には1800cm-1あたりに酸無水物基に由来する吸収スペクトルが見られるようになることから確認できた。13C(1H)−NMRでは、変換後には、t−ブチル基の4級炭素由来の82ppmのシグナルとメチル炭素由来の28ppmシグナルが消失し、新たに酸無水物基のカルボニル炭素由来の172〜173ppm(m)のシグナルと、カルボキシル基のカルボニル炭素由来の176〜179ppm(m)のシグナルが出現することから確認できた。
(実施例1)
表1に従い、製造例1で得られた重合体ペレット1、炭酸カルシウムとしてブリリアント1500(白石工業(株)製、)、架橋剤としてUG4010(東亞合成(株)製)、および、カーボンブラック(旭カーボン(株)製、旭#15)をコンパウンド処理した。ペレットと、炭酸カルシウムの合計100重量部(このうち、ペレット70重量%、炭酸カルシウム30重量%)に対して、架橋剤7重量部、カーボンブラック0.5重量部の比率で原料を供給し、二軸押出機TEX30HSS((株)日本製鋼所製)を用いて80℃で押出溶融混練し、ペレット状サンプルを得た。
得られたペレット45gに、シリカIMSIL・A−10((株)龍森製)4.5g、カルボキシ基変性シリコーンオイルとしてFZ3703(日本ユニカー(株)製、官能基当量3600g/mol、粘度3000mm2/s)0.5gを、ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用いて100℃・100rpmで溶融混練し、さらに、設定温度200℃で熱プレス成形し、革シボで修飾されたプレス板にて革シボ模様が転写された厚さ1mmの評価用の成形体を得た。この成形体について、離型性を測定した。また、耐熱性を測定したところ良好であった。
結果を表1に示す。
(実施例2、3、参考例1)
変性シリコーンオイルとしてFZ3703の代わりに、それぞれ、エポキシ基変性シリコーンオイルであるL9300(官能基当量4000g/mol、粘度6000mm2/s)、アルコキシ基変性シリコーンオイルであるFZ3704(官能基当量150g/mol、粘度7mm2/s)、アミノ基変性シリコーンオイルであるFZ3508(官能基当量4000g/mol、粘度90mm2/s)(いずれも日本ユニカー(株)製)を使用したほかは、実施例1と同様にして離型性を測定した。また、耐熱性を測定したところいずれも良好であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
変性シリコーンオイルを使用せず、官能基を有さない通常のシリコーンオイルであるポリジメチルシロキサンTSF451−1000(GE東芝シリコーン(株)製)を使用したほかは、実施例1と同様にして離型性を測定した。結果を表1に示す。また、耐熱性を測定したところ良好であった。
(製造例2)
<アクリル系ブロック共重合体(A)前駆体の合成>
アクリル系ブロック共重合体(A)前駆体を得るために以下の操作を行なった。500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅688g(4.80モル)、BA78,400g(612モル)およびTBA2,870g(22.4モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1,329g(3.69モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)7140gに溶解させた溶液を仕込み、内溶液を75℃に昇温しつつ30分間攪拌した。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン83.1g(0.480モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約100mLを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析によりBA、TBAの転化率を決定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはアクリル系重合体ブロック重合時に合計2回(合計166g)添加した。
BAの転化率が99.1%、TBAの転化率が99.3%の時点で、MMA48,260g(482モル)、EA7,840g(78.3モル)、塩化銅475g(4.80モル)、ペンタメチルジエチレントリアミン83.1g(0.480モル)およびトルエン(窒素バブリングしたもの)104,000gを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
MMA、EAを投入した時点でサンプリングを行い、これを基準としてMMA、EAの転化率を決定した。MMA、EAを投入後、内温を85℃に設定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはメタアクリル系重合体ブロック重合時に合計6回(合計499g)添加した。MMAの転化率が95.9%の時点でトルエン250,000gを加え、反応器を冷却して反応を終了させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnは53,100、分子量分布Mw/Mnは1.46であった。
得られた反応溶液にトルエンを加えて重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸を2,190g加え、反応機内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業製ラヂオライト#3000を2,630g添加した。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固体分を分離した。
<酸変性による、アクリル系ブロック共重合体(A)の合成>
得られた濾液に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)790gを添加し、さらに内部標準物質としてTBMAを濾液100wt%に対して0.1wt%を添加した。この溶液を150℃で4時間加熱攪拌した。4時間後、溶液をサンプリングし、GC測定にてTBMAが消失していることを確認して反応終了とし、冷却した。
得られた溶液に対し、キョーワード500SH、13,150gを加え反応機内を窒素置換し、30℃で1時間撹拌した。溶液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固体分を分離し、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液にイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)790gと、酸トラップ剤としてハイドロタルサイトDHT−4A−2(協和化学工業(株)製)1,315gを添加した。
引き続き重合体溶液から溶媒成分を蒸発した。蒸発機は株式会社栗本鐵工所製SCP100(伝熱面積1m2)を用いた。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を90Torr、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hに設定し重合体溶液の蒸発を実施した。重合体は排出機を通じ、φ4mmのダイスにてストランドとし、アルフローH50ES(主成分:エチレンビスステアリン酸アミド、日本油脂(株)製)の3%懸濁液で満たした水槽で冷却後、ペレタイザーにより円柱状のペレットを得た。このようにしてアクリル系ブロック共重合体(A)のペレットを作製した(重合体ペレット2)。
t−ブチルエステル部位の酸無水物基およびカルボキシル基への変換効率測定は、280℃熱分解反応によりt−ブチル基から発生するイソブチレン量を定量することにより行った。測定の結果、得られた樹脂の変換効率は95%以上であった。得られたアクリル系ブロック共重合体(A)のメタアクリル系重合体ブロック(a)のTgは、101℃であった。
(実施例5)
表2に従い、製造例2で得られた重合体ペレット2、架橋剤としてUG4010(東亞合成(株)製)、カーボンブラック(旭カーボン(株)製、旭#15)、シリカIMSIL・A−10((株)龍森製)、および、カルボキシ基変性シリコーンオイルとしてFZ3703(日本ユニカー(株)製、官能基当量3600g/mol、粘度3000mm2/s)を、ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用いて100℃・100rpmで溶融混練し、さらに、設定温度200℃で熱プレス成形し、革シボで修飾されたプレス板にて革シボ模様が転写された厚さ1mmの評価用の成形体を得た。この成形体について、離型性を測定した。また、耐熱性を測定したところ良好であった。
結果を表2に示す。
(実施例6、7)
変性シリコーンオイルとしてFZ3703の代わりに、それぞれ、アルコキシ基変性シリコーンオイルであるFZ3704(官能基当量150g/mol、粘度7mm2/s)、カルボキシ基変性シリコーンオイルであるL9300(官能基当量4000g/mol、粘度6000mm2/s)(いずれも日本ユニカー(株)製)を使用したほかは、実施例1と同様にして離型性を測定した。また、耐熱性を測定したところいずれも良好であった。結果を表2に示す。
(比較例2)
変性シリコーンオイルを使用せず、官能基を有さない通常のシリコーンオイルであるポリジメチルシロキサンTSF451−1000(GE東芝シリコーン(株)製)を使用したほかは、実施例1と同様にして離型性を測定した。また、耐熱性を測定したところ良好であった。結果を表2に示す。
(比較例3)
変性シリコーンオイル、ポリジメチルシロキサンともに使用しなかったほかは、実施例1と同様にして離型性を測定した。また、耐熱性を測定したところ良好であった。結果を表2に示す。
以上のことから、本発明にかかる組成物では、無変性シリコーンオイルを用いた場合や、シリコーンオイルを用いない場合と比較して、離型性が良好であることが分かる。