JP2006347689A - クレーンのウインチ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 冷却油を供給するための油圧ポンプを大型化する必要がなく、かつ複雑な制御機器を設ける必要のない簡単な構成で、しかもブレーキケースに大量の冷却油を供給することができるクレーンのウインチ装置を提供する。
【解決手段】 ウインチ装置を2台の巻上ウインチA,Bとから構成し、冷却油供給ポンプから巻上ウインチA,Bそれぞれのブレーキ装置10のブレーキケースに連通する第1冷却油供給ライン33と第2冷却油供給ライン34を、第1冷却油供給ライン33から第2冷却油供給ライン34への冷却油の流れを許容する向きに逆止弁35aを設けた第1連通ライン35と、第2冷却油供給ライン34から第1冷却油供給ライン33への冷却油の流れを許容する向きに逆止弁36aを設けた第2連通ライン36とにより接続する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ウインチ装置を2台の巻上ウインチA,Bとから構成し、冷却油供給ポンプから巻上ウインチA,Bそれぞれのブレーキ装置10のブレーキケースに連通する第1冷却油供給ライン33と第2冷却油供給ライン34を、第1冷却油供給ライン33から第2冷却油供給ライン34への冷却油の流れを許容する向きに逆止弁35aを設けた第1連通ライン35と、第2冷却油供給ライン34から第1冷却油供給ライン33への冷却油の流れを許容する向きに逆止弁36aを設けた第2連通ライン36とにより接続する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、クレーンのウインチ装置の改善に係り、より詳しくは湿式多板式のブレーキ装置が組込まれ、フリーフォール機能を有する巻上ウインチが2台以上配設されてなるクレーンのウインチ装置に関するものである。
以下、巻上ウインチを備えた従来例に係るクレーンを、添付図面を参照しながら説明する。図5は、従来例に係る典型的なクレーンの側面図である。この従来例に係るクレーンは、走行体101を備えており、この走行体101の上には、旋回体102が旋回自在に搭載されている。この旋回体102の前側にラチス型のブーム103が起伏可能に支持されている。また、前記旋回体102には吊荷用の後述するウインチドラム51を有する巻上ウインチが搭載されており、この巻上ウインチのウインチドラム51によってワイヤロープ104が巻上げまたは巻下げられ、このワイヤロープ104の先端に連結されたフック105により吊荷106が吊持されるようになっている。また、前記旋回体102には起伏ウインチ107が搭載されており、この起伏ウインチ107により起伏ロープ108が巻上げまたは巻下げられてブーム103が起伏されるように構成されている。
前記巻上ウインチは、フリーフォール機能を有しており、クレーンのブレーキ装置を有するウインチの油圧回路図の図6に示すように構成されている。即ち、この従来例1に係る巻上ウインチは、ウインチドラム51を回転駆動する油圧モータ52と、この油圧モータ52に圧油を供給する可変油圧ポンプ53と、この可変油圧ポンプ53から油圧モータ52への圧油の流れを制御する方向制御弁54と、油圧モータ52の駆動力をウインチドラム51に伝達する遊星減速機構55と、ウインチドラム51の回転を制動する湿式多板式のブレーキ装置60とから構成されている。なお、前記遊星減速機構55は、油圧モータ52の出力軸52aに嵌着されたサンギヤ55aと、このサンギヤ55aに噛合する複数個のプラネタリギヤ55bと、ウインチドラム51の内側に設けられ、プラネタリギヤ55bに噛合するリングギヤ55cとから構成されている。
前記プラネタリギヤ55bは、キャリヤ軸56により支持されている。このキャリヤ軸56はブレーキケース61の側壁61aを貫通し、その先端部に複数枚のインナディスク62が取付けられている。また、ブレーキケース61の内周面に設けられた図示しないスプラインに複数枚のアウタディスク63が嵌合され、これらインナディスク62とアウタディスク63とが交互に配置されている。これらインナ・アウタディスク62,63は、これらの外方に設けられ、ばね67で付勢されるブレーキピストン64によって押圧されるようになっている。前記ブレーキピストン64は、ブレーキシリンダ(油圧シリンダ)65のピストン66で作動されるようになっており、そしてブレーキシリンダ65の油室65aには、油圧ポンプ73から電磁切換弁72、ブレーキペダル74で操作される減圧弁71を介して圧油が供給されるようになっている。
前記電磁切換弁72のソレノイドは、運転室での操作により切り換えられるフリーフォールスイッチ91に接続されている。このスイッチ91がオンのとき、電磁切換弁72は位置ロに切り換えられ、油圧ポンプ73から減圧弁71へ圧油が供給される。また、このスイッチ91がオフのとき、電磁切換弁72は位置イに切り換えられ、油圧ポンプ73から減圧弁71への圧油の供給が停止される。
また、前記ブレーキケース61には給油孔61bと排油孔61cとが設けられている。
そして、給油孔61bには管路81を介して油圧ポンプ75から圧油が供給され、排油孔61cから排出される排油はフィルタ76,オイルクーラ77を介してタンクに戻されるようになっている。管路81には、油の逆流を阻止するチェック弁83が設けられ、油圧モータ52からのドレン油を導くドレン管路82が接続されており、そして管路81を介して給油孔61bからブレーキケース61に供給される油の圧力がリリーフ弁78で調整されるようになっている。
そして、給油孔61bには管路81を介して油圧ポンプ75から圧油が供給され、排油孔61cから排出される排油はフィルタ76,オイルクーラ77を介してタンクに戻されるようになっている。管路81には、油の逆流を阻止するチェック弁83が設けられ、油圧モータ52からのドレン油を導くドレン管路82が接続されており、そして管路81を介して給油孔61bからブレーキケース61に供給される油の圧力がリリーフ弁78で調整されるようになっている。
巻上ウインチのブレーキ装置60の冷却油供給回路の系統を上記のような構成にすることにより、油圧ポンプ75から吐出される吐出油が流れる管路81に、油圧モータ52のドレン油がドレン管路82を介して流入すると共に、管路81内で合流してブレーキケース61内に供給される。そのため、油圧ポンプ75を大型にするまでもなく、多量の冷却油をブレーキケース61に供給することができる。従って、ブレーキ装置60のインナディスク62とアウタディスク63とが効果的に冷却され、これらディスク62,63の熱変形(反り)が防止されるので、フリーフォール時の湿式多板式のブレーキ装置60のブレーキ力が確保される(例えば、特許文献1参照。)。
次に、従来例2に係るクレーンの巻上ウインチを、ブレーキ装置を有する巻上ウインチの油圧回路図の図7を参照しながら、上記従来例1と同一のものに同一符号を付し、かつ同一名称を以て、主としてその相違する点について説明する。即ち、この従来例2に係るクレーンの巻上ウインチは、上記従来例1と同様に、ウインチドラム51の回転を制動する湿式多板式のブレーキ装置60を備えている。このブレーキ装置60のブレーキケース61に、油圧源79からブレーキケース61内に設けられたインナディスク62とアウタディスク63を冷却する冷却油を供給するための管路81が連通している。この管路81には、温度センサ92により検出されるアウタディスク63の温度Tによりコントローラ94を介して制御される油圧切換弁81aが設けられている。
上記のような管路81を備えた巻上ウインチのブレーキ装置60の油圧回路によれば、温度センサ93によりアウタディスク63の温度Tが検出されると共に、フリーフォールスイッチ91と、油圧モータ52の回転駆動方向を制御するコントロールレバー57の操作を検出する圧力スイッチ93に基づいてフリーフォール動作が検出される。フリーフォールスイッチ91がオン(ウインチはフリーフォールモード)、かつ圧力スイッチ93がオフのときには、アウタディスク63の温度Tに応じて電磁比例弁81bを介して油圧切換弁81aが切換えられ、油圧源79からブレーキケース61内に冷却油が供給される。
一方、フリーフォールスイッチ91がオフ(ウインチは巻上操作モード)、または圧力スイッチ93がオンのときには、油圧源79からブレーキケース61内への冷却油の供給が停止される(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004?224509号公報
特開2003?226487号公報
一方、フリーフォールスイッチ91がオフ(ウインチは巻上操作モード)、または圧力スイッチ93がオンのときには、油圧源79からブレーキケース61内への冷却油の供給が停止される(例えば、特許文献2参照。)。
上記従来例1、および従来例2に係る巻上ウインチの湿式多板式のブレーキ装置は、何れもそれなりに有用であると考えられる。しかしながら、これら湿式多板式のブレーキ装置のディスク温度は、フリーフォールの制動時から急激に上昇すると共に、作動停止直後に最高温度になる。この時点で、ディスク温度がディスクの許容温度を超える恐れがあるために、フリーフォール時から制動時にわたり十分な量の冷却油を供給する必要がある。
ところで、上記従来例1に係る巻上ウインチのブレーキ装置の場合は、フリーフォール時には油圧モータは停止状態で油が供給されないため、ドレン管路からブレーキ装置のブレーキケースにドレン油が供給されるようなことがない。従って、ディスク温度が最も高温になるときに十分な量の冷却油を確保することができず、ディスクが反ったり焼付いたりする恐れがある。
ところで、上記従来例1に係る巻上ウインチのブレーキ装置の場合は、フリーフォール時には油圧モータは停止状態で油が供給されないため、ドレン管路からブレーキ装置のブレーキケースにドレン油が供給されるようなことがない。従って、ディスク温度が最も高温になるときに十分な量の冷却油を確保することができず、ディスクが反ったり焼付いたりする恐れがある。
一方、上記従来例2に係る巻上ウインチのブレーキ装置の場合には、温度センサにより検出されるアウタディスクの温度Tに応じて、油圧源から管路を介してブレーキ装置のブレーキケースに供給される冷却油量が制御される。従って、上記従来例1に係る巻上ウインチのブレーキ装置のような冷却油量の不足というような問題が発生するような恐れがないと考えられる。しかしながら、検出器が多く、またこれら検出器から入力される検出値を演算する演算手段が必要になる等、ブレーキ装置のブレーキケースに供給する冷却油量の制御機器が複雑になるため高コストになるのに加えて、故障する可能性が大きくなる。
従って、本発明の目的は、冷却油を供給するための油圧ポンプを大型化する必要がなく、かつ複雑な制御機器を設ける必要のない簡単な構成で、しかも多くの冷却油を必要とする方のブレーキケースに大量の冷却油を供給することができるブレーキ装置を有するウインチが2台以上配設されてなるクレーンのウインチ装置を提供することである。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、従って、上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るクレーンのウインチ装置が採用した手段は、油圧モータにより遊星減速機構を介して正逆回転され、吊荷を吊持するワイヤロープを巻取り、繰出すウインチドラムにベアリングを介して組込まれたブレーキケースに、フリーフォール時前記ウインチドラムの回転と共に回転するインナディスク、および前記ブレーキケースに固定され、前記インナディスクと交互に積層されるアウタディスクからなる多板ディスクと、これら多板ディスクの方向にばねにより付勢されると共に、ブレーキシリンダにより往復動されるブレーキピストンとからなる湿式多板式のブレーキ装置が組込まれると共に、前記ブレーキケースに前記多板ディスクを冷却する冷却油を給排する冷却油給排ラインが連通するウインチが2台以上配設されてなるクレーンのウインチ装置において、前記冷却油給排ラインの冷却油供給ポンプから前記ブレーキケースに連通する冷却油供給ライン同士を、一方から他方への冷却油の流れを許容する向きに逆止弁が設けられた第1連通ラインと、他方から一方への冷却油の流れを許容する向きに逆止弁が設けられた第2連通ラインとにより接続したことを特徴とするものである。
また、本発明の請求項2に係るクレーンのウインチ装置が採用した手段は、請求項1に記載のクレーンのウインチ装置において、前記第1連通ラインと第2連通ラインに、前記冷却油供給ライン同士の連通を遮断し、かつ遮断を解除する開閉弁を設けたことを特徴とするものである。
フリーフォール時には、ブレーキシリンダによりブレーキピストンが作動され、このブレーキピストンが、このブレーキピストンをウインチの多板ディスクの方向に付勢するばねを付勢力に抗して圧縮するため、ウインチの多板ディスクのインナディスクとアウタディスクとが開放される。開放されると、インナディスクとアウタディスクとの間に隙間ができ、冷却油の流路面積が大きくなって流路抵抗が減るため圧力が低下する。
従って、本発明の請求項1に係るクレーンのウインチ装置によれば、停止状態にあるウインチのブレーキケースに連通する冷却油供給ラインから、フリーフォール状態にあるウインチのブレーキケースに連通する冷却油供給ラインに対して、第1連通ラインまたは第2連通ラインを介して、停止状態にあるウインチのブレーキケースに供給される冷却油の一部が供給されるから、フリーフォール状態にあるウインチのブレーキケースに十分な量の冷却油が供給される。しかも、フリーフォール状態にあるウインチのブレーキ装置では、インナディスクの回転によるポンピング作用によりブレーキケース内がさらに低圧になるというように、フリーフォール速度が高速になる程、フリーフォール状態にあるウインチのブレーキケース内により大量の冷却油が供給される。また、フリーフォール後の制動時にはディスクが密着するため停止状態と同様の条件になるが、ディスクが滑っている状態においては、回転によるポンピング作用が機能するため、第1連通ラインまたは第2連通ラインを介して、停止状態にあるウインチのブレーキケースに連通する冷却油供給ラインから冷却油の一部の供給を受けることができる。さらに、逆止弁は、ばねの付勢力を適正に設定することにより、製品のばらつきにより差圧が生じる等の誤作動を防止し、フリーフォールによって確実に差圧が生じる状態で作動させることができる。
また、本発明の請求項1に係るクレーンでクラムセル等の作業を行うようなウインチ装置の2台のウインチで同時にバケットを下降させる作業を行う場合等で、あるウインチでフリーフォール、残りのウインチを制動させながら吊荷を下降させると、ブレーキケース内の圧力差からブレーキを作動させて制動している側のブレーキケースに連通する冷却油供給ラインから、フリーフォール側のブレーキケースに連通する冷却油供給ラインに冷却油が供給される。本来、発熱している制動側のブレーキケース側に多くの冷却油を供給する必要であるにもかかわらず、冷却油量が少なくなってしまう。
しかしながら、本発明の請求項2に係るクレーンのウインチ装置によれば、第1連通ラインと第2連通ラインに、冷却油供給ライン同士の連通を遮断し、かつ遮断を解除する開閉弁が設けられている。従って、本発明の請求項2に係るクレーンのウインチ装置によれば、開閉弁で冷却油供給ライン同士の連通を遮断することにより、制動側のブレーキケース側に供給される冷却油の減少を防止することができる。
以下、本発明の形態1に係るクレーンのウインチ装置を、添付図面を参照しながら説明する。図1はクレーンに搭載されている2台のウインチから構成されてなるウインチ装置の冷却油回路を模式的に示す図1、図2はウインチ装置を構成するウインチのブレーキ装置の具体的な冷却油回路を示す図である。なお、クレーンの主要構成については、従来例の項において説明したものと大同小異であるから、クレーン自体の構成に係る説明については割愛する。
クレーン作業やバケット作業等に使用されるクレーンの巻上ウインチは湿式多板式のブレーキ装置を備えており、一般に、油圧モータによって負荷(例えば、クレーン作業の場合の吊りフックまたは吊荷)を巻上げ、巻下げ駆動する動力伝達モード機能とは別にフリーフォールモード機能を備えている。ウインチのフリーフォールモード機能は、負荷によってウインチドラムを巻下げ方向に自由回転させて負荷を自由落下させるものである。
先ず、図1を参照しながら、本発明の形態1に係るクレーンのウインチ装置の概要を説明する。即ち、図示しないクレーンの上部旋回体に2台の巻上ウインチA,Bからなるウインチ装置が搭載されている。このウインチ装置の巻上ウインチA,Bのそれぞれには、後述する湿式多板式のブレーキ装置10が組込まれている。前記巻上ウインチAのブレーキ装置10には、エンジン31により駆動される第1ポンプ32aと第2ポンプ32bとからなる2連タンデムポンプ32の前記第1ポンプ32aから第1冷却油供給ライン33が連通し、また前記巻上ウインチBのブレーキ装置10には、第2ポンプ32bから第2冷却油供給ライン34が連通している。そして、これら第1冷却油供給ライン33と第2冷却油供給ライン34とは、第1冷却油供給ライン33から第2冷却油供給ライン34への冷却油の流れを許容する向きに逆止弁35aが設けられた第1連通ライン35と、第2冷却油供給ライン34から第1冷却油供給ライン33への冷却油の流れを許容する向きに逆止弁36aが設けられた第2連通ライン36とにより接続されている。なお、本発明の形態1に係るクレーンのウインチ装置においては、上記のとおり、2連タンデムポンプ32を用いたが、2台のポンプを個別に用いても良い。
また、これら巻上ウインチA,Bのブレーキ装置10のそれぞれからタンク39に、これらブレーキ装置10,10の後述する多板ディスクを冷却した冷却油をタンク39に戻す冷却油戻しライン38が連通している。この冷却油戻しライン38は、それぞれの巻上ウインチA,Bのブレーキ装置10から延びると共に、途中で合流してタンク39に連通しており、そして合流位置の下流側のラインには、合流位置からタンク39側に向って順に、オイルクーラ38a、オイルフィルタ38bが設けられている。
次に、ウインチ装置の構成を、図2を参照しながらより詳細に説明する。但し、このウインチ装置を構成する巻上ウインチAと巻上ウインチBの構成は全く同構成であるから、巻上ウインチAを例として構成を説明し、巻上ウインチBの構成に係る説明は割愛する。
即ち、図に示す符号1は、巻上ウインチAのウインチドラムであって、このウインチドラム1は、図示しない油圧ポンプから供給される作動油によって正逆回転駆動される油圧モータの回転力が、後述する遊星減速機構を介して伝達されることにより回転されるように構成されている。
即ち、図に示す符号1は、巻上ウインチAのウインチドラムであって、このウインチドラム1は、図示しない油圧ポンプから供給される作動油によって正逆回転駆動される油圧モータの回転力が、後述する遊星減速機構を介して伝達されることにより回転されるように構成されている。
遊星減速機構は、従来例1,2と同様に、前記油圧モータの出力軸に嵌着されたサンギヤと、湿式多板式の後述するブレーキ装置10のインナディスクを支持するキャリヤ軸8の先端のキャリヤに遊星回転可能に支持されて、前記サンギヤと噛合する複数のプラネタリギヤと、ウインチドラム1の内側に設けられ、複数の前記プラネタリギヤのそれぞれが噛合するリングギヤとから構成されている。なお、これに限らず、例えば、本発明の形態1′に係るウインチ装置を構成するウインチのブレーキ装置の模式的構成説明図の図3に示すように構成することができる。即ち、インナディスクは、油圧モータ2で回転されるサンギヤ5aと、このサンギヤ55aに噛合し、ウインチドラム1を回転させる複数個のプラネタリギヤ5bと、ウインチドラム1の内側に設けられ、プラネタリギヤ5bに噛合して回転するリングギヤ5cとからなる遊星減速機構5の前記リングギヤ5cで回転されるリングギヤ軸8′に支持されていても良い。
前記ブレーキ装置10は、ウインチドラム1の前記遊星減速機構の反対側の開口側に、ベアリングを介して嵌挿されてなるブレーキケース11を備えている。そして、このブレーキケース11の遊星減速機構側の開口を閉塞する側壁11aを貫通するキャリヤ軸8の先端にインナディスク取付体9が嵌着されている。このインナディスク取付体9の外周面にインナディスク12が摺動可能に外嵌されている。また、このブレーキケース11の内周面にスプラインが加工されており、このスプラインにアウタディスク13が、前記インナディスク12と交互に重なり合うように摺動可能に嵌着されることにより、多板ディスク14が形成されている。
また、前記ブレーキケース11のベアリング側に側壁11bが設けられており、この側壁11bと多板ディスク14との間にブレーキピストン15が内設されている。このブレーキピストン15は、側壁11b側に設けられた複数のばね保持穴に嵌着され、先端面が側壁11bに当接する加圧ばね16により多板ディスク14の方向に付勢されてインナディスク12とアウタディスク13とを密着させるように構成されている。また、このブレーキピストン15は、ブレーキケース11の側壁11bの外側に設けられてなるブレーキシリンダ17のピストン17Pのピストンロッドに外嵌されており、このピストン17Pの外方方向の移動により加圧ばね16が圧縮され、この加圧ばね16による多板ディスク14に対する付勢力が解除されるように構成されている。
前記ブレーキシリンダ17の径方向の中央部に冷却油流入口18が設けられており、この冷却油流入口18に、前記第1冷却油供給ライン33が接続されている。また、前記ブレーキケース11の外縁付近の端面に多板ディスク14冷却後の冷却油を排出する冷却油流出口19が設けられており、この冷却油流出口19に前記冷却油戻しライン38が接続されている。
前記ブレーキシリンダ17は、ピストン17Pで仕切られた制動側油室17aと、制動解除側油室17bとを備えており、これら制動側油室17aと制動解除側油室17bとが同圧力、または圧力が0になると、加圧ばね16の付勢力によりブレーキピストン15が多板ディスク14を押付ける。一方、制動側油室17aと制動解除側油室17bとが同圧力であるときには制動側油室17aの圧油を抜き、または制動側油室17aと制動解除側油室17bとが圧力0であるときには制動解除側油室17bに圧油を供給することにより多板ディスク14を開放する。
以下、本発明の形態1に係るクレーンのウインチ装置の作用態様を説明する。いま、クレーンに搭載されているウインチ装置の2台の巻上ウインチA,Bのうち、巻上ウインチAがフリーフォール状態になっており、そして巻上ウインチBが停止状態になっているとする。その場合、停止状態になっている巻上ウインチBのブレーキ装置10の多板ディスク14を構成するインナディスク12とアウタディスク13は密着している。一方、フリーフォール状態にある巻上ウインチAの多板ディスク14を構成するインナディスク12とアウタディスク13同士の間には隙間があって、冷却油が流れる流路の断面積が大きくなっている。流路の抵抗が少ないため、フリーフォール状態にある巻上ウインチAの方が停止状態の巻上ウインチBに比較して冷却油の供給圧力が低圧になる。その結果、巻上ウインチAとBとの差圧が逆止弁36aの設定値を超えた時点で、冷却油が第2冷却油供給ライン34から第1冷却油供給ライン33に供給される。
従って、本発明の請求項1に係るクレーンのウインチ装置によれば、巻上ウインチBのブレーキケースに連通する第2冷却油供給ライン34から、巻上ウインチAのブレーキケース11に連通する第1冷却油供給ライン33に対して、第2連通ライン36を介して巻上ウインチBのブレーキケースに供給される冷却油の一部が供給されるから、巻上ウインチAのブレーキケース11に十分な量の冷却油が供給される。しかも、巻上ウインチAのブレーキ装置10では、インナディスク12の回転によるポンピング作用によりブレーキケース11内がさらに低圧になるというように、フリーフォール速度が高速になる程、この巻上ウインチAのブレーキケース11内により大量の冷却油が供給される。また、フリーフォール後の制動時には多板ディスク14のインナディスク12とアウタディスク13が密着するため停止状態と同様の条件になるが、これらディスク12,13が滑っている状態においては、回転によるポンピング作用が機能するため、第2連通ライン36を介して、巻上ウインチBのブレーキケースに連通する第2冷却油供給ライン34から冷却油の一部の供給を受けることができる。
一方、上記とは逆に、巻上ウインチAが停止状態になっており、そして巻上ウインチBがフリーフォール状態になっている場合には、巻上ウインチAのブレーキケース11に連通する第1冷却油供給ライン33から、巻上ウインチBのブレーキケースに連通する第2冷却油供給ライン34に対して、第1連通ライン35を介して巻上ウインチAのブレーキケース11に供給される冷却油の一部が供給されることとなる。
本発明の形態1に係るクレーンのウインチ装置によれば、上記従来例1に係る巻上ウインチのブレーキ装置と異なり、フリーフォール状態にある巻上ウインチのブレーキ装置のブレーキケースに十分な量の冷却油が供給されるから、ディスク温度が最も高温になるときに十分な量の冷却油を確保することができる。また、上記従来例2に係る巻上ウインチのブレーキ装置のような多くの検出器や、これら検出器から入力される検出値を演算する演算手段が設けられておらず、逆止弁が設けられた連通ラインが2本追加されただけの構成である。従って、従来例2に比較して低コストであり、また逆止弁35a,36aは、ばねの付勢力を適正に設定することにより、巻上ウインチA,Bの製作上のばらつきに起因する内部抵抗の相違による誤作動が防止される。
次に、本発明の形態2に係るクレーンのウインチ装置を、添付図面を参照しながら説明する。図4はクレーンに搭載されている2台のウインチから構成されてなるウインチ装置の冷却油回路を模式的に示す図である。なお、本発明の形態2に係るクレーンのウインチ装置が、上記形態1に係るクレーンのウインチ装置と相違するところは、ウインチ装置の冷却油回路の第1,2連通ラインに開閉弁が設けられてなるところにあり、これ以外はまったく同構成であるから、上記形態1に係るクレーンのウインチ装置と同一のものに同一符号を付し、その相違する点について説明する。
即ち、本発明の形態2に係るクレーンのウインチ装置は、ウインチ装置の冷却油回路の第1冷却油供給ライン33と第2冷却油供給ライン34とを連通させる第1連通ライン35と第2連通ライン36に、図示しない切換スイッチで開閉が操作され、前記第1冷却油供給ライン33と第2冷却油供給ライン34同士の連通を遮断し、かつ遮断を解除する4ポート2位置の電磁開閉弁37を設けた構成になるものである。
ところで、この形態2の場合においては、図4から良く理解されるように、前記電磁開閉弁37はソレノイドの励磁により開弁され、励磁解除により閉弁されるように構成されている。しかしながら、これとは逆に、ソレノイドの励磁により閉弁され、励磁解除により開弁されるように構成されていても良い。また、この形態2の場合においては、1個の4ポート2位置の電磁開閉弁37が設けられているが、第1連通ライン35と第2連通ライン36とのそれぞれに、2ポート2位置の開閉弁が設けられていても、同等の機能を得ることができる。
従って、本発明の形態2に係るクレーンのウインチ装置によれば、電磁開閉弁37を開弁した状態においては、上記形態1に係るクレーンのウインチ装置と同様の効果を得ることができる。ところが、電磁開閉弁37を開弁したまま、巻上ウインチA,Bで同時にフリーフォールでの降下作業を行うクラムセル作業のような場合、例えば巻上ウインチAでフリーフォール、巻上ウインチBを制動させながら吊荷を下降させると、上記のとおり、ブレーキケース内の圧力差からブレーキを作動させて制動している巻上ウインチBのブレーキケースに連通する第2冷却油供給ライン34から、フリーフォールしている巻上ウインチAのブレーキケースに連通する第1冷却油供給ライン33に冷却油が供給される。本来、発熱している制動側の巻上ウインチBのブレーキケースに多くの冷却油を供給する必要であるにもかかわらず、冷却油量が少なくなってしまう。
しかしながら、本発明の形態2に係るクレーンのウインチ装置では、第1連通ライン35と第2連通ライン36に設けられている4ポート2位置の電磁開閉弁37を閉弁して、第1,2冷却油供給ライン33,34同士の連通を遮断すれば、制動側の巻上ウインチBのブレーキケースに供給される冷却油の減少を防止することができる。従って、本発明の形態2に係るクレーンのウインチ装置によれば、発熱している制動側の巻上ウインチBのブレーキケースに供給される冷却油量が少なくなるようなことがない。勿論、巻上ウインチBでフリーフォール、巻上ウインチAを制動させながら吊荷を下降させる場合であっても、電磁開閉弁37を閉弁して、第1,2冷却油供給ライン33,34同士の連通を遮断すれば、制動側の巻上ウインチAのブレーキケースに供給される冷却油の減少を防止することができる。
以上では、ウインチ装置が2台の巻上ウインチにより構成されている場合を例として説明した。しかしながら、例えば、ウインチ装置が3台の巻上ウインチにより構成されていても良い。この場合には、それぞれの巻上ウインチのブレーキケースに冷却油を供給する冷却油供給ライン同士を、逆止弁が設けられた2本ずつの連通ラインにより相互に連通させれば良いものである。従って、上記実施の形態1,2によって、本発明の構成が限定されるものではない。また、上記形態1,2に係るクレーンのウインチ装置は本発明の具体例に過ぎないから、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内における設計変更等は自由自在である。
A…巻上ウインチ
B…巻上ウインチ
1…ウインチドラム,2…油圧モータ,5…遊星減速機構,5a…サンギヤ,5b…プラネタリギヤ,5c…リングギヤ, 8…キャリヤ軸,8′…リングギヤ軸,9…インナディスク取付体
10…ブレーキ装置,11…ブレーキケース,11a…側壁,11b…側壁,12…インナディスク,13…アウタディスク,14…多板ディスク,15…ブレーキピストン,16…加圧ばね,17…ブレーキシリンダ,17a…制動側油室,17b…制動解除側油室,17P…ピストン,18…冷却油流入口,19…冷却油流出口
21…ブレーキ作動油供給ライン,22…ブレーキ解除油供給ライン
31…エンジン,32…2連タンデムポンプ,32a…第1ポンプ,32b…第2ポンプ,33…第1冷却油供給ライン,34…第2冷却油供給ライン,35…第1連通ライン,35a…逆止弁,36…第2連通ライン,36a…逆止弁,37…電磁開閉弁(4ポート2位置),38…冷却油戻しライン,38a…オイルクーラ,38b…オイルフィルタ,39…タンク
B…巻上ウインチ
1…ウインチドラム,2…油圧モータ,5…遊星減速機構,5a…サンギヤ,5b…プラネタリギヤ,5c…リングギヤ, 8…キャリヤ軸,8′…リングギヤ軸,9…インナディスク取付体
10…ブレーキ装置,11…ブレーキケース,11a…側壁,11b…側壁,12…インナディスク,13…アウタディスク,14…多板ディスク,15…ブレーキピストン,16…加圧ばね,17…ブレーキシリンダ,17a…制動側油室,17b…制動解除側油室,17P…ピストン,18…冷却油流入口,19…冷却油流出口
21…ブレーキ作動油供給ライン,22…ブレーキ解除油供給ライン
31…エンジン,32…2連タンデムポンプ,32a…第1ポンプ,32b…第2ポンプ,33…第1冷却油供給ライン,34…第2冷却油供給ライン,35…第1連通ライン,35a…逆止弁,36…第2連通ライン,36a…逆止弁,37…電磁開閉弁(4ポート2位置),38…冷却油戻しライン,38a…オイルクーラ,38b…オイルフィルタ,39…タンク
Claims (2)
- 油圧モータにより遊星減速機構を介して正逆回転され、吊荷を吊持するワイヤロープを巻取り、繰出すウインチドラムにベアリングを介して組込まれたブレーキケースに、フリーフォール時前記ウインチドラムの回転と共に回転するインナディスク、および前記ブレーキケースに固定され、前記インナディスクと交互に積層されるアウタディスクからなる多板ディスクと、これら多板ディスクの方向にばねにより付勢されると共に、ブレーキシリンダにより往復動されるブレーキピストンとからなる湿式多板式のブレーキ装置が組込まれると共に、前記ブレーキケースに前記多板ディスクを冷却する冷却油を給排する冷却油給排ラインが連通するウインチが2台以上配設されてなるクレーンのウインチ装置において、前記冷却油給排ラインの冷却油供給ポンプから前記ブレーキケースに連通する冷却油供給ライン同士を、一方から他方への冷却油の流れを許容する向きに逆止弁が設けられた第1連通ラインと、他方から一方への冷却油の流れを許容する向きに逆止弁が設けられた第2連通ラインとにより接続したことを特徴とするクレーンのウインチ装置。
- 前記第1連通ラインと第2連通ラインに、前記冷却油供給ライン同士の連通を遮断し、かつ遮断を解除する開閉弁を設けたことを特徴とする請求項1に記載のクレーンのウインチ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005175585A JP2006347689A (ja) | 2005-06-15 | 2005-06-15 | クレーンのウインチ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005175585A JP2006347689A (ja) | 2005-06-15 | 2005-06-15 | クレーンのウインチ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006347689A true JP2006347689A (ja) | 2006-12-28 |
Family
ID=37643933
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005175585A Pending JP2006347689A (ja) | 2005-06-15 | 2005-06-15 | クレーンのウインチ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006347689A (ja) |
-
2005
- 2005-06-15 JP JP2005175585A patent/JP2006347689A/ja active Pending
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