JP2006346642A - アンモニア分解触媒及びアンモニア処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 大気汚染物質のNOxやN2Oの副生を極力抑えながら、排ガス中のアンモニアを効率よく窒素に分解除去することのできるアンモニア分解触媒を提供する。
【解決手段】 マンガンを担持させたアルミナに、ゼオライトを混合させたことを特徴とするアンモニア分解触媒である。マンガンの担持量が触媒全体に対して0.5〜60重量%であることが好ましく、またゼオライトの混合量が触媒全体に対して1〜30重量%であることが好ましい。この触媒にアンモニアを含む排ガスを接触させることにより、NOxやN2Oの副生が抑えられ、且つ排ガス中のアンモニアが酸化されて効率よく分解除去される。
【選択図】 なし
【解決手段】 マンガンを担持させたアルミナに、ゼオライトを混合させたことを特徴とするアンモニア分解触媒である。マンガンの担持量が触媒全体に対して0.5〜60重量%であることが好ましく、またゼオライトの混合量が触媒全体に対して1〜30重量%であることが好ましい。この触媒にアンモニアを含む排ガスを接触させることにより、NOxやN2Oの副生が抑えられ、且つ排ガス中のアンモニアが酸化されて効率よく分解除去される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、各種排ガス中に含まれるアンモニアを無害な窒素に分解するアンモニア分解触媒、及びアンモニア分解を用いたアンモニア処理方法に関する。
火力発電設備、下水処理設備、アミン製造設備、食品製造設備、し尿処理設備、コークス炉製造設備などから排出される排ガス中のアンモニアは有害物質であり、これら設備の配管を腐食するなど悪影響が大きい。そのため、これらの排ガス中のアンモニアを効率よく除去する技術の開発が望まれている。
排ガス中のアンモニアを除去する方法として、例えば、特公昭57−058213号公報、特開平02−198638号公報、特公平06−004138号公報、特開平07−328440号公報などには、白金、パラジウムなどの貴金属をアルミナ、シリカ、チタニアなどの担体に担持した貴金属系触媒を用いる方法や、銅、ニッケル、コバルトなどの酸化物を触媒活性成分として分散担持したアンモニア分解触媒を用いる方法が提案されている。
しかし、上記した従来のアンモニア分解触媒は、高温条件下やアンモニア濃度に対する酸素過剰条件下では、アンモニアの酸化によって大気汚染物質である窒素酸化物NOxが多量に発生するうえ、白金やパラジウムなどの貴金属系触媒はコストが高くなるなどの問題もあった。また、銅やニッケルなどの卑金属酸化物系触媒では、低温での活性が低く、大気汚染物質であるNOxやN2Oの発生を招くなどの問題があった。
そこで、アンモニア分解時における窒素酸化物NOxの副生を防止するため、特開平05−146634号公報、特開平08−131832号公報、特開2003−24784号公報、特開2003−200050号公報などには、チタン、バナジウム、タングステン、モリブデンなどの脱硝触媒成分と、白金、パラジウム、ロジウムなどの酸化触媒成分とを組み合わせたアンモニア分解触媒が提案されている。
しかしながら、このようなアンモニア分解触媒は、酸化触媒成分が貴金属を含むため高価である。従って、貴金属を含まず安価であって、大気汚染物質であるNOxやN2Oの副生を抑えることができるアンモニア分解触媒の提供が望まれていた。
本発明は、このような従来の事情に鑑み、大気汚染のもととなる窒素酸化物のNOxやN2Oの副生を極力抑え、排ガス中のアンモニアを効率よく窒素に分解除去することのできるアンモニア分解触媒、及びその触媒を使用したアンモニア処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供するアンモニア分解触媒は、マンガンを担持させたアルミナに、ゼオライトを混合したことを特徴とする。本発明のアンモニア分解触媒においては、前記マンガンの担持量が触媒全体に対して0.5〜60重量%であることが好ましく、また前記ゼオライトの混合量が触媒全体に対して1〜30重量%であることが好ましい。
本発明は、また、排ガス中のアンモニアを触媒により酸化分解して除去するアンモニア処理方法であって、上記のマンガンを担持させたアルミナにゼオライトを混合させたアンモニア分解触媒を用いることを特徴とするアンモニア処理方法を提供するものである。
本発明によれば、貴金属を含まない安価な触媒を用いて、高温や低温などの温度条件にかかわらず、また排ガス中のアンモニア濃度に対して酸素過剰の条件下であっても、大気汚染のもととなるNOやNO2のような窒素酸化物NOx及びN2Oの副生を極力抑えながら、排ガス中のアンモニアを効率よく窒素に分解して除去することができる。
本発明のアンモニア分解触媒は、マンガンとアルミナとゼオライトを含有するものであり、更に具体的には、マンガンを担持させたアルミナに、更にゼオライトを混合したものである。アルミナへのマンガンの担持量は、触媒全体に対して0.5〜60重量%の範囲が好ましい。また、ゼオライトの混合量については、触媒全体に対して1〜30重量%であることが好ましい。
上記アルミナへのマンガンの担持量が0.5重量%未満では、十分なアンモニア分解能が得られず、大気汚染物質であるNOxが副生しやすくなる。マンガンの担持量の増加に伴ってアンモニア分解能も向上するが、60重量%を超えると、アンモニアの酸化によって大気汚染物質であるNOxやN2Oの副生が顕著に増加するため好ましくない。また、上記ゼオライトの混合量が1重量%未満ではNOxの副生が顕著になり、逆に30重量%を超えるとアンモニア分解能が低下すると共に、NOxあるいはN2Oが副生しやすくなる。
本発明のアンモニア分解触媒に担体として用いるアルミナとしては、特に限定されるものではないが、例えば、γ−アルミナなどを好適に使用することができる。また、ゼオライトの種類については、βゼオライト、フェリエライト、モルデナイト、ZSM−5などが使用できる。使用するゼオライトのSiO2/Al2O3モル比は10以上であることが好ましく、より十分な耐久性が得られるという点で10〜200の範囲が更に好ましい。尚、これらのゼオライトの製造方法については、特に限定されるものではない。
マンガンをアルミナに担持させる方法については、特に制限されず、従来から知られている方法を用いることができる。例えば、アルミナにマンガンの水溶性塩の水溶液を含浸させる含浸法、あるいは、アルミニウムの水溶性塩とマンガンの水溶性塩の混合水溶液にアルカリを添加して沈澱させる共沈法などを用いることができる。これらの方法によりマンガンをアルミナに担持させた後、乾燥・焼成し、更にゼオライトを混合することによって、本発明のアンモニア分解触媒を調製することができる。
上記した触媒調製時の乾燥温度は、特に限定されるものではないが、通常は80〜120℃程度で乾燥する。また、焼成温度は300〜1000℃程度が好ましく、400〜800℃程度が更に好ましい。このときの雰囲気については、触媒組成に応じて、大気雰囲気、不活性ガス雰囲気、酸素雰囲気、水蒸気雰囲気などの各雰囲気を適宜選択すればよく、これらの雰囲気を一定時間毎に交互に代えて用いることもできる。
また、マンガンを担持させたアルミナにゼオライトを混合する方法は、ゼオライト粉末を使用すれば如何なる方法であっても良い。例えば、マンガンを担持させたアルミナとゼオライト粉末を物理混合する方法や、マンガンを担持したアルミナ前駆体物質とゼオライト粉末を混錬法により混合させ、乾燥、焼成する方法などが挙げられる。
本発明によるアンモニア分解触媒は、従来知られている成形方法によって、球状、ハニカム状、ペレット状など、種々の形状に成形することができる。これらの形状並びに大きさなどは、使用条件に応じて任意に選択すればよい。また、排ガスの流れ方向に対して多数の貫通孔を有する耐火性一体構造の支持基体の表面に、ウォッシュコート法などによりアンモニア分解触媒を被覆することも可能である。
本発明のアンモニア分解触媒を排ガスと接触させることによって、排ガス中のアンモニアを酸化分解して除去することができる。アンモニアを含む排ガスを処理する際のガス空間速度(SV)については、特に限定されるものではないが、SV1,000〜100,000/hの範囲とすることが好ましい。また、アンモニア分解の反応温度は200〜500℃程度でよく、特に300〜400℃の範囲が好ましい。
[本発明のアンモニア分解触媒の調製]
30gのイオン交換水に硝酸マンガン(II)六水和物3.1gを溶解し、この溶液にγ−アルミナ粉末10gを浸漬し、撹拌しながら加熱して水分を蒸発させ、更に110℃で通風乾燥した後、大気中にて500℃で3時間焼成した。その後、この組成物にSiO2/Al2O3モル比27のβゼオライト粉末1.2gを物理混合して本発明の触媒1を得た。尚、この触媒1において、金属換算でのマンガンの担持量は触媒全体の5重量%であり、βゼオライトの混合量は触媒全体の10重量%である。
30gのイオン交換水に硝酸マンガン(II)六水和物3.1gを溶解し、この溶液にγ−アルミナ粉末10gを浸漬し、撹拌しながら加熱して水分を蒸発させ、更に110℃で通風乾燥した後、大気中にて500℃で3時間焼成した。その後、この組成物にSiO2/Al2O3モル比27のβゼオライト粉末1.2gを物理混合して本発明の触媒1を得た。尚、この触媒1において、金属換算でのマンガンの担持量は触媒全体の5重量%であり、βゼオライトの混合量は触媒全体の10重量%である。
上記と同様にアンモニア分解触媒を調製したが、その際マンガンの担持量を触媒全体の0.5重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、本発明の触媒2を得た。また、同じくマンガンの担持量を触媒全体の15重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、本発明の触媒3を得た。更に、同じくマンガンの担持量を触媒全体の50重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、本発明の触媒4を得た。
上記と同様にアンモニア分解触媒を調製したが、その際βゼオライトの混合量を触媒全体の1重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、本発明の触媒5を得た。また、同じくβゼオライトの混合量を触媒全体の25重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、本発明の触媒6を得た。
上記と同様にアンモニア分解触媒を調製したが、その際βゼオライト粉末に代えてモルデナイト(SiO2/Al2O3モル比13)粉末を用い、且つマンガン担持量を触媒全体の15重量%及びモルデナイト混合量を触媒全体の5重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、本発明の触媒7を得た。また、同じくβゼオライト粉末に代えてZSM−5(SiO2/Al2O3モル比80)粉末を用いた以外は上記触媒1の場合と同様にして、本発明の触媒8を得た。更に、同じくβゼオライト粉末に代えてフェリエライト(SiO2/Al2O3モル比20)粉末を用いた以外は上記触媒1の場合と同様にして、本発明の触媒9を得た。
[比較例のアンモニア分解触媒の調製]
上記実施例と同様にアンモニア分解触媒を調製したが、その際マンガン担持量を触媒全体の0.1重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、比較例の触媒C1を得た。また同様に、マンガン担持量を触媒全体の70重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、比較例の触媒C2を得た。
上記実施例と同様にアンモニア分解触媒を調製したが、その際マンガン担持量を触媒全体の0.1重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、比較例の触媒C1を得た。また同様に、マンガン担持量を触媒全体の70重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、比較例の触媒C2を得た。
上記と同様にアンモニア分解触媒を調製したが、その際βゼオライト粉末の混合量を触媒全体の0.5重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、比較例の触媒C3を得た。また、同じくβゼオライト粉末の混合量を触媒全体の35重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、比較例の触媒C4を得た。
上記と同様にアンモニア分解触媒を調製したが、その際βゼオライト粉末に代えてモルデナイト(SiO2/Al2O3モル比13)粉末を用い、且つマンガン担持量を触媒全体の15重量%及びモルデナイトの混合量を触媒全体の35重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、比較例の触媒C5を得た。同じくβゼオライト粉末に代えてZSM−5(SiO2/Al2O3モル比80)粉末を用い且つマンガンの担持量を触媒全体の0.1重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、比較例の触媒C6を得た。更に、同じくβゼオライト粉末に代えてフェリエライト(SiO2/Al2O3モル比20)粉末を用い且つマンガンの担持量を触媒全体の0.1重量%とした以外は上記触媒1の場合と同様にして、比較例の触媒C7を得た。
30gのイオン交換水に硝酸マンガン(II)六水和物2.8gを溶解し、この溶液にγ−アルミナ粉末10gを浸漬した後、撹拌しながら加熱して水分を蒸発させ、更に110℃で通風乾燥した後、大気中にて500℃で3時間焼成して、比較例の触媒C8を得た。尚、この比較例の触媒C8において、金属換算でのマンガンの含有量は触媒全体の5重量%である。
[触媒の評価試験]
上記した本発明の触媒1〜9及び比較例の触媒C1〜C8を用いて、アンモニア分解能を評価した。即ち、各触媒を加圧成型した後、粉砕して粒度を350〜500μmに整粒した。得られた触媒をそれぞれ内径6mmの石英ガラス製反応管に充填して触媒体を形成し、これを常圧固定床流通反応装置に装着した。この反応管内に、モデル排ガス(NH3:1,000ppm、O2:20%、H2O:5%、残部:N2)を、ガス温度400℃、空間速度(SV)50,000/hで通過させ、アンモニア分解反応を行った。得られた結果を、各触媒の構成と共に下記表1に示す。
上記した本発明の触媒1〜9及び比較例の触媒C1〜C8を用いて、アンモニア分解能を評価した。即ち、各触媒を加圧成型した後、粉砕して粒度を350〜500μmに整粒した。得られた触媒をそれぞれ内径6mmの石英ガラス製反応管に充填して触媒体を形成し、これを常圧固定床流通反応装置に装着した。この反応管内に、モデル排ガス(NH3:1,000ppm、O2:20%、H2O:5%、残部:N2)を、ガス温度400℃、空間速度(SV)50,000/hで通過させ、アンモニア分解反応を行った。得られた結果を、各触媒の構成と共に下記表1に示す。
尚、アンモニア分解率は下記数式1、NOx生成率は下記数式2、及びN2O生成率は下記数式3に従って算出した。
[数式1]
アンモニア分解率(%)=(入口NH3濃度−出口NH3濃度)/入口NH3濃度×100
[数式2]
NOx生成率(%)=(出口NO濃度+出口NO2濃度)/入口NH3濃度×100
[数式3]
N2O生成率(%)=出口N2O濃度×2/入口NH3濃度×100
[数式1]
アンモニア分解率(%)=(入口NH3濃度−出口NH3濃度)/入口NH3濃度×100
[数式2]
NOx生成率(%)=(出口NO濃度+出口NO2濃度)/入口NH3濃度×100
[数式3]
N2O生成率(%)=出口N2O濃度×2/入口NH3濃度×100
上記の結果から分かるように、マンガンを担持させたアルミナにゼオライトを混合した本発明のアンモニア分解触媒では、マンガンの担持量が触媒全体の0.5〜60重量%であり且つゼオライトの混合量が触媒全体の1〜30重量%であるとき、90%を超えるアンモニア分解率で排ガス中のアンモニアを窒素に分解することができ、しかも、高温条件下や酸素過剰条件下であっても、大気汚染物質である窒素酸化物NOxやN2Oの副生を抑制することができた。
一方、比較例の触媒C1、C6、C7は、マンガンの担持量が0.5重量%未満のため、アンモニア分解率が著しく低下し、大気汚染物質であるNOxの副生も多くなった。また、比較例の触媒C2は、逆にマンガンの担持量が60重量%を超えるため、アンモニア分解率は高いが、NOxやN2Oの副生が極めて多くなった。
比較例の触媒C3は、ゼオライトの混合量が1重量%未満であるため、特にNOxの副生が極端に多くなった。比較例の触媒C4、C5は、ゼオライトの混合量が30重量%を超えているため、アンモニア分解率が低下すると共に、NOxやN2Oの副生が多くなる傾向にあった。また、比較例の触媒C8では、アンモニア分解率は十分に高いが、ゼオライトを含まないため、特にNOxの副生が大幅に増加した。
Claims (4)
- マンガンを担持させたアルミナに、ゼオライトを混合したことを特徴とするアンモニア分解触媒。
- 前記マンガンの担持量が触媒全体に対して0.5〜60重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のアンモニア分解触媒
- 前記ゼオライトの混合量が触媒全体に対して1〜30重量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアンモニア分解触媒。
- 排ガス中のアンモニアを触媒により酸化分解して除去するアンモニア処理方法であって、前記請求項1〜3のいずれかに記載のアンモニア分解触媒を用いることを特徴とするアンモニア処理方法。
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- 2005-06-20 JP JP2005178907A patent/JP2006346642A/ja active Pending
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