以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
図1は、引出体を有する装置の一例である画像形成装置を示す概略断面図である。ここに示した画像形成装置は、その画像形成装置本体1内に配置された4つの感光体3を有し、その各感光体上にイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成される。ここでは、各感光体3がドラム状に構成されているが、無端ベルトより成る感光体を用いることもできる。またこれらの感光体を識別する必要のあるときは、これらに符号3Y,3M,3C,3BKを付し、必要に応じて、これらを第1、第2、第3及び第4の感光体と称し、これらを特に識別する必要がないときは、その感光体に符号3を付して示すことにする。
第1乃至第4の感光体3Y乃至3BKに対向して転写材の一例である中間転写体4が配置され、ここに示した中間転写体4は、複数の支持ローラ12,13,14に巻き掛けられて矢印A方向に走行駆動される無端ベルトにより構成されている。
第1乃至第4の各感光体3Y,3M,3C,3BK上にトナー像を形成する構成と、その作用は実質的に全て同一であるため、第1の感光体3Yにトナー像を形成する構成だけを説明する。図2は、この感光体3Yと、そのまわりに配置されたプロセス機器の拡大図であり、該感光体3Yは図1及び図2における反時計方向に回転駆動される。このとき帯電装置7によって感光体表面が所定の極性に均一に帯電される。ここに示した帯電装置7は、感光体3Yに対向配置されて回転する帯電ローラ15と、この帯電ローラ15を支持するケース16とを有している。
上述のように帯電装置7により帯電された感光体3Yの帯電面には、図1に示した露光装置8から出射する書き込み光(この例ではレーザビーム)Lが照射される。これによって感光体3Yに静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置9によってイエロートナー像として可視像化される。ここに示した現像装置9は、現像ケース17と、その現像ケース17に支持されて回転駆動される現像ローラ18を有し、その現像ローラ18に担持された乾式現像剤によって静電潜像がトナー像として可視像化される。
無端ベルトより成る中間転写体4を挟んで、第1の感光体3Yにほぼ対向した位置には、転写ローラにより構成された第1の転写装置10が配置され、その転写装置10の作用によって、感光体3Y上のイエロートナー像が中間転写体4上に転写される。中間転写体4に転写されず、第1の感光体3Y上に残された転写残トナーは、クリーニング装置11によって除去される。ここに示したクリーニング装置はクリーニングケース19と、このケースに支持されたクリーニングブレード21とを有し、このブレード21は感光体3Yの表面に当接して感光体3Y上の転写残トナーを除去する。クリーニング装置11を通過した感光体3Yの表面には除電装置22からの光が照射されてその表面電位が初期化される。
全く同様にして、図1に示した第2乃至第4の感光体3M,3C,3BK上にマゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像が、イエロートナー像の転写された中間転写体4上に順次重ねて転写される。このようにして4色の重ねトナー像が中間転写体4上に形成される。
一方、図1に示すように、無端ベルトより成る中間転写体4を挟んで支持ローラ14に対向して第2の転写装置23が配置されている。また、画像形成装置本体1の下部には給紙装置5が配置され、この給紙装置5から、例えば転写紙又は樹脂フィルムなどから成る最終転写材としての記録材Pが矢印Bで示す方向に給送され、その記録材Pが、第2の転写装置23と中間転写体4との間の転写領域に搬送され、その第2の転写装置23の作用によって中間転写体4上に形成されたトナー像が記録材P上に転写される。このようにして転写されたトナー像を担持した記録材Pは、定着装置2に送り込まれ、該定着装置2を通過する。このときそのトナー像が熱と圧力の作用によって記録材P上に定着され、記録材P上にフルカラー画像が形成される。定着装置2を通過した記録材は、矢印C方向で示すように排紙部6上に排出される。また、トナー像転写後の中間転写体上に付着する転写残トナーは、クリーニング装置80によって除去される。
上述し、かつ図2に示したように、第1の感光体3Yのまわりには、帯電装置7、現像装置9、転写装置10、クリーニング装置11及び除電装置22の各プロセス機器が配置されている。全く同様に、第2乃至第4の感光体3M,3C,3BKのまわりにも、上述した各プロセス機器が配置され、かかるプロセス機器によって、各感光体3に潜像を形成し、該潜像をトナー像として可視像化し、そのトナー像を転写材に転写して画像形成を行う。図1及び図2に示した例では、各感光体3上に形成した各トナー像を、中間転写体4より成る転写材に転写し、次いでその中間転写体4上のトナー像を最終転写材である記録材P上に転写するように構成されているが、中間転写体4を省き、各感光体3上のトナー像を、直接、記録材より成る転写材上に重ねて転写し、その重ねトナー像を定着装置によって定着してフルカラー画像を得るように構成することもできる。
ここで、各感光体3のまわりに配置され、その感光体にトナー像を形成する上述のプロセス機器の少なくとも1つがユニット化された作像ユニット24として構成され、本例では4つの作像ユニット24が設けられている。画像形成装置の形態に応じて、作像ユニットの数は適宜設定され、該作像ユニットは少なくとも1つ設けられるものである。
図3は、後述する引出体31から1つの作像ユニット24と、後述する感光体ユニット41とを取り外した状態を示し、図4は、その作像ユニット24を図3とは反対側から見た斜視図である。図2乃至図4から明らかなように、作像ユニット24は前壁25と、後壁26と、前壁25及び後壁26を一体に連結する第1及び第2ステー27,28(図2)とにより構成されたユニットフレーム29に、帯電装置7、現像装置9、クリーニング装置11及び除電装置22が着脱可能に組み付けられ、これらによって一体的な作像ユニット24が構成されている。ユニットフレーム29と、帯電装置7のケース16と、現像装置9の現像ケース17と、クリーニング装置11のクリーニングケース19とによって、作像ユニット24のユニットケース30が構成され、図2に示すようにそのユニットケース30の下部開口32から感光体3の下部が露出している。またユニットケース30に形成された光入射口33から書き込み光Lがユニットケース30内に入射する。いずれの作像ユニット24も、現像装置に収容された現像剤の色が異なるだけで、全て実質的に同じく構成されている。
図3は、画像形成装置本体1の図示していない前ドアを開き、後述する面板を取り外して、引出体31を画像形成装置本体から引き出したときの様子を示している。この図と図5から判るように、引出体31は、前フレーム板34と、奥フレーム板35と、これらのフレーム板34,35を一体に連結する複数の連結板36A,36B,36C,36D,36Eとを有する枠体状の引出本体42を有し、その各連結板36A,36Eにはスライドレール37,37Aがそれぞれ固定されている。一方、画像形成装置本体1内にも一対のガイドレール38(図3にその一方のみを示す)が固定され、引出体31に固定された各スライドレール37,37Aがその各ガイドレール38に摺動自在に嵌合している。画像形成装置本体1の前ドアを開き、面板を取り外して、引出体31を矢印Xで示す方向に引くと、各スライドレール37が各ガイドレール38に対して摺動しながら、その引出体31が図3に示すように画像形成装置本体外に引き出される。
図3に示すように、ドラム状の感光体3の長手方向各端部には、フランジ39,40が固定され、この感光体3とフランジ39,40とによって一体の感光体ユニット41が構成されていて、本例の画像形成装置は4つの感光体ユニットを有している。かかる感光体ユニット41と、作像ユニット24は、引出体31と共に画像形成装置本体1に対して引き出され、或いは押し込まれて画像形成装置本体内の所定の装填位置にセットされる。このように、画像形成装置本体1に対して引き出し可能に支持された引出体31を、図3に示したように引き出した上、所望する作像ユニット24を上方に持ち上げれば、その作像ユニット24を引出体31から取り外すことができ、次いで感光体ユニット41も引出体31から取り外すことができる。逆の操作によってその作像ユニット24と感光体ユニット41を引出体31に装着することができる。このときの動作については後に詳しく説明する。
表面にトナー像が形成される感光体3を有する上述の感光体ユニット41は第1のユニットの一例を構成し、感光体にトナー像を形成するための少なくとも1つのプロセス機器を有する作像ユニット24は第2のユニットの一例を構成している。また画像形成装置本体1は、引出体を有する装置本体の一例を構成するものである。図6は感光体ユニット41と作像ユニット24と引出体31とを画像形成装置本体1内の所定の装填位置にセットしたときの状態を示す縦断面図であって、作像ユニット24については、これを簡略化してそのユニットケース30だけを示した図である。ここで、引出体31と、感光体ユニット41として構成された第1のユニットと、作像ユニット24として構成された第2のユニット24は、前述のように、図6に矢印Xで示した方向に引き出され、矢印Y方向に押し込まれるが、これらのユニット24,41と引出体31を引き出す側を手前側、その反対側を奥側とする。
図6に示すように、画像形成装置本体1の本体フレームは、手前側に位置する前側板44と、奥側に位置する奥側板45を有し、前側板44に形成された開口46は、図示していないねじによって前側板44に着脱可能に固定された前述の面板47によって閉鎖されている。この面板47は、当該面板に形成された孔が前側板44に固定された位置決めピン48に嵌合することにより、前側板44に対して正しく位置決めされる。
また、画像形成装置本体1の奥側板45には、軸受49を介して、丸棒状の軸50の基端側(奥側)がその軸線まわりに回転自在に支持され、この軸50の自由端側(手前側)は、面板47に圧入された軸受51を介して該面板47に回転自在に支持されている。図5は引出体31を奥側から見た様子を示しているが、この図に示すように、引出体31の後フレーム板35には複数の奥側ピン52が突設され、引出体31の前フレーム板34には、図3に示すように複数の手前側ピン53が突設され、奥側ピン52と手前側ピン53が、奥側板45と面板47とに形成された位置決め孔にそれぞれ着脱可能に嵌合している。その際、図6に示すように、面板47に固定された例えばゴムより成る弾性部材153が、引出体31の前フレーム板34に圧接して引出体31を奥側へ加圧し、これにより図5及び図6に示した奥側ピン52の段部52Aが奥側板45に圧接する。このようにして引出体31が前後方向にガタつくことが阻止され、該引出体31が画像形成装置本体の本体フレームに対して位置決めされる。
さらに、図6に示すように、感光体ユニット41の奥側の端部、図示した例ではその奥側のフランジ39(以下、奥フランジという)の中心孔が、軸50の奥側の部分50Aにガタつくことなく、しかもその軸50の軸線方向に摺動可能に嵌合している。同様に感光体ユニット41の手前側の端部、図示した例ではその手前側のフランジ(以下、前フランジという)40も、その中心孔が、軸50の手前側の部分にガタつくことなく、かつその軸50の軸線方向に摺動可能に嵌合している。さらに図5及び図6に示すように、引出体31の前フレーム板34と、奥フレーム板35には、手前側ホルダ54と、奥側ホルダ55の基部が固定されている。このように、引出体31は、引出本体42と、その引出本体42にそれぞれ取り付けられた奥側ホルダ54及び手前側ホルダ55とを有している。その際、感光体ユニット41の奥フランジ39の一部が、奥側ホルダ55の中心孔56に突入しているが、引出体31と感光体ユニット41と作像ユニット24が画像形成装置本体1内の所定の装填位置にセットされている状態では、奥フランジ39は、奥側ホルダ55に接触することはない。
さらに、図6に示すように、手前側ホルダ54の中心孔には、軸受57を介して、圧縮コイルばねより成る加圧部材58用の第1の受け部材59が回転自在に支持されている。この加圧部材58は、その一端側が第1の受け部材59に圧接すると共に、当該加圧部材58の他端側は第2の受け部材60に圧接し、該第2の受け部材60が、感光体ユニット41の手前側の端部、図示した例ではその前フランジ40に圧接している。これにより、感光体ユニット41は奥側に向けて加圧される。第2の受け部材60は、軸50の軸線方向に摺動可能に第1の受け部材59に嵌合し、しかも第2の受け部材60に形成された長孔61に、第1の受け部材59に形成された爪部62が軸50の軸線方向に相対摺動可能に嵌合している。これにより、第1及び第2の受け部材59,60の相対回転は禁止され、両受け部材59,60が前側ホルダ54に回転自在に支持される。かかる受け部材59,60と加圧部材58の内側を軸50が貫通して延び、さらにその軸50は、引出体31の前フレーム板34と後フレーム板35を貫通している。引出体31と感光体ユニット41と作像ユニット24が画像形成装置本体内の所定の装填位置にセットされているときは、軸50は第1及び第2の受け部材59,60にも、加圧部材58にも接触することはない。
一方、図6及び図7に示すように、軸50の基端側の部分には、テーパ状の周面に多数の歯が形成された係合部材63が固定され、感光体ユニット41の奥フランジ39の中心孔内周面に形成された多数の歯(図示せず)が係合部材63の歯に噛み合っている。このとき、感光体ユニット41は、前述のように加圧部材58によって奥側へ向けて加圧されているので、奥フランジ39の歯が係合部材63の歯に強固に噛み合う。これにより、感光体ユニット41と軸50との軸線方向における相対移動と両者の相対回転が禁止される。この状態で、軸50の奥端部に連結された図示していないモータが作動して、該軸50がその軸線のまわりに回転駆動されると、その回転が係合部材63を介して感光体ユニット41に伝えられ、感光体3がその中心軸線のまわりに回転して、前述の画像形成動作が実行される。感光体ユニット41の回転に伴って、図6に示した第1及び第2の受け部材59,60と加圧部材58が一体となって、感光体ユニット41と共に回転する。
図4に示すように、ユニットケース30の後壁26には貫通孔64が形成され、図6に示すように、その貫通孔64が、軸50に圧入された軸受65にガタつくことなく、しかも軸50の軸線方向に摺動可能に嵌合している。また、図3及び図6に示すように、作像ユニット24のユニットケース30の前壁25に形成された貫通孔には軸受66が圧入され、この軸受66が軸50に、ガタつくことなく、しかも軸50の軸線方向に摺動可能に嵌合している。このようにして、作像ユニット24が軸50に対して、その半径方向に位置決めされる。さらに、図3に示すようにユニットケース30の前壁25に突設された基準ピン67が面板47に形成された位置決め孔(図示せず)に着脱可能に嵌合し、図4に示すようにユニットケース30の後壁26に突設されたもう1つの基準ピン68が、図6に示すように奥側板45に形成された位置決め孔に着脱可能に嵌合する。基準ピン67,68は作像ユニット24の角度位置を規制するものである。さらに、図5に示すように、引出体31の前フレーム板34には、ピン69が突設され、このピン69が、ユニットケース30に形成された図示していない孔に着脱可能に嵌合する。これにより、作像ユニット24が、軸50の軸線方向に位置決めされる。
ここで、引出体31と感光体ユニット41と作像ユニット24が図6に示したように組み付いた状態のものを引出組立体71と称することにする。図8(a),(b),(c)は、その引出組立体71を画像形成装置本体から引き出すときの様子を示す概略図である。図8においては、一部の部材を省略すると共に、各部材を簡略化して示し、かつその断面を示すハッチングは省略してある(図11及び図12においても同じ)。
図8の(a)は、引出組立体71が画像形成装置本体内の所定の装填位置にセットされた図6と同じ状態を示している。前述のように、画像形成装置本体1の前ドアを開き、図6に示した面板47を前側板44から外して開口46を開放した上で、引出組立体71を手前側、すなわち矢印X方向に引くと、その引出組立体71が図8(b),(c)に示すように手前側に移動して引き出される。この引き出し時に、軸50はその基端側が画像形成装置本体に支持されたままであるので、当該軸50は感光体ユニット41と作像ユニット24から漸次抜き出されて行き、図8の(c)に示すように引出体31を完全に引き出し終えると、軸50は感光体ユニット41と作像ユニット24から抜き出される。これにより、感光体ユニット41と作像ユニット24は軸50に拘束されないフリー状態となるので、その作像ユニット24を上方に持ち上げることにより、当該作像ユニット24を引出体31から離脱することができる。次いで、感光体ユニット41を、手前側に加圧し、図6に示した加圧部材58を圧縮変形することにより、感光体ユニット41の奥フランジ39を奥側ホルダ55から外すことができるので、その感光体ユニット41の奥側の部分を図9に示すように上方に持ち上げることにより、当該感光体ユニット41を引出体31から離脱することができる。逆の操作により、感光体ユニット41と作像ユニット24を順次、引出体31に組み付けることができる。次いでその引出組立体71を図8の(c)に矢印Yで示した奥側へ押し込むと、軸50が感光体ユニット41と作像ユニット24に挿入され、引出組立体71が、図6に示したように画像形成装置本体1内の所定の装填位置にセットされる。このとき、前述の各構成によって、引出体31、感光体ユニット41及び作像ユニット24がそれぞれ相対的に、しかも画像形成装置本体1に対して正しく位置決めされる。
引出組立体71を矢印Y方向に押し込むとき、作像ユニット24の奥側の貫通孔64が軸50に固定された軸受65に嵌合し、しかもその作像ユニット24に取り付けられた手前側の軸受66が軸50に嵌合すると共に、感光体ユニット41の奥フランジ39と前フランジ40の各中心孔が軸50に嵌合するが、このときその嵌合を円滑に行えるように、軸50の手前側の自由端部を、図6に示すように小径に形成し、或いは先細のテーパ状に形成しておくことが好ましい。
上述のように、感光体ユニット41より成る第1のユニットと、作像ユニット24より成る第2のユニットは、軸50に対して、その軸線方向に挿脱可能に組み付けられ、軸50が画像形成装置本体1に支持されたままの状態で、引出体31を引き出し、又は押し込むとき、第1及び第2のユニットは引出体31と共に移動する。しかも、引出体31を引き出して、画像形成装置本体1に支持された軸50が第1及び第2のユニットから外れた状態で、その第1及び第2のユニットを引出体31から離脱できるように構成されている。このように、感光体ユニット41と作像ユニット24をそれぞれ着脱できるので、その一方だけが寿命となったとき、当該一方のユニットだけを交換することができる。未だ充分に使用できる他方のユニットまで交換する必要はなく、ユーザに必要以上の経済的負担をかける不具合を回避できるのである。
ところで、作像ユニット24と感光体ユニット41が画像形成装置本体1内にセットされているとき、その作像ユニット24の要素、例えば帯電ローラ15、現像ローラ18、クリーニングブレード21などは、図2に示したように感光体3の表面に当接し、又は近接して位置している。従って、引出体31を図8の(c)に示したように引き出し、次いで作像ユニット24を上方に持ち上げるとき、感光体3と作像ユニット24の各要素が図2に示した状態のままであったとすると、作像ユニット24の要素が感光体3の表面に強く当り、その感光体3や作像ユニット24の要素に傷が付けられるおそれがある。
そこで、本例の画像形成装置においては、図8の(a),(b),(c)に示すように、引出体31と共に、感光体ユニット41より成る第1のユニットと、作像ユニット24より成る第2のユニットを引き出すとき、その第1及び第2のユニットが、互いに離間する向きに相対移動するように構成されている。図8の(a),(b),(c)におけるδ,δ1は、作像ユニット24と感光体ユニット41との間隔を示しているが、引出組立体71が画像形成装置本体にセットされているときの間隔δよりも、引出組立体71を引き出したときの間隔δ1が大きくなるのである。この例では、図8(a)乃至(c)から判るように、引出体31と共に感光体ユニット41より成る第1のユニットと作像ユニット24より成る第2のユニットとを引き出すとき、その第1及び第2のユニットが、互いにほぼ上下方向に離間する向きに相対移動する。図10は、作像ユニット24と感光体3が上下方向に離間し、その作像ユニット24の帯電ローラ15、現像ローラ18及びクリーニングブレード21が感光体3の表面から大きく離間した状態を示している。
上述のように、作像ユニット24の要素を感光体3から離間させ、或いはその当接力を弱めた状態で、作像ユニット24を感光体ユニット41に対して着脱するので、その着脱時に感光体表面や作像ユニット24の要素に傷が付けられる不具合を阻止できる。
次に、引出組立体71の引き出し時に、作像ユニット24と感光体ユニット41を相対的に離間させるためのより具体的な構成例を説明する。
図6に示したように、感光体ユニット41より成る第1のユニットと作像ユニット24より成る第2のユニットが画像形成装置本体1内の所定の装填位置にセットされているとき、その第1のユニットの奥側の端部、図示した例では感光体ユニット41の奥フランジ39が嵌合する前述の軸50の部分50Aを第1の軸部分と称し、その第1の軸部分50Aよりも手前側の軸部分を第2の軸部分50Bと称することにすると、第2の軸部分50Bの直径は第1の軸部分50Aの直径よりも小さく設定されている。両者の直径の差は、例えば1mm程度である。
引出体31と共に、感光体ユニット41より成る第1のユニットと、作像ユニット24より成る第2のユニットとを矢印X方向に引き出すと、その第1のユニットの奥側の端部、すなわち奥フランジ39が第1の軸部分50Aから第2の軸部分50Bに移行するが、このときその第1のユニットの奥側の端部が自重によって下方に移動し、その下方に移動した第1のユニットの奥側の端部が引出体31によって受け止められる。奥フランジ39が下方に落ち、引出体31によって受け止められるのである。図示した例では、引出体31が前述のように引出本体42と奥側ホルダ55を有しており、下方に移動した第1のユニットの奥側の端部、すなわち奥フランジ39が、図8の(b),(c)にも示すように、奥側ホルダ55の内周面下部の受け面55Aで受け止められる。引出組立体71を引き出すとき、感光体ユニット41の手前側の端部、すなわちその前フランジ40も、図8の(b),(c)に概略を示すように、その自重で下方に移動し、当該前フランジ40が引出体31により受け止められるが、これについては後に詳しく説明する。
上述のように、感光体ユニット41を下方に落下させることによって、その感光体ユニット41を作像ユニット24に対して離れる向きに移動させることができる。
ところで、引出組立体71が画像形成装置本体内の所定の装填位置にセットされているとき、前述のように、感光体ユニット41より成る第1のユニットと、軸50との軸線方向における相対移動と、両者の相対回転を禁止するように、第1のユニットの手前側の端部、すなわち前フランジ40を加圧部材58により奥側へ向けて加圧すると共に、その加圧部材58の加圧力によって、第1のユニットの奥側の端部、すなわち奥フランジ39を、軸50に固定された係合部材63に係合させている。従って引出組立体71を引き出し始めると、奥フランジ39と係合部材63との圧接力が漸次弱まり、両者が互いに離れるが、このときも加圧部材58によって感光体ユニット41がその奥側へ向けて加圧されているので、その感光体ユニット41が引出体31に対して相対的に奥側へ向けて移動し、図6に示した奥フランジ39の部分39Aが奥側ホルダ55の部分55Bに強く当たって圧接したままとなり、その奥フランジ39が下方に落下しなくなるおそれがある。そこで、本例の画像形成装置においては、図6を参照して先に説明したように、引出体31に対して軸50の軸線方向に不動な第1の受け部材59と、該第1の受け部材59に対して軸50の軸線方向に可動な第2の受け部材60とに加圧部材58を収容し、第2の受け部材60に形成した長孔61に第1の受け部材59の爪部62を軸50の軸線方向に摺動可能に嵌合し、第2の受け部材60が軸50の軸線方向に移動できる距離を規制するように構成されている。これにより、引出組立体71を手前側に引き出し始め、奥フランジ39が係合部材63から離れた後、感光体ユニット41が加圧部材58により加圧されて引出体31に対して相対的に奥側へ移動する量が制限される。これにより、図6に示した奥フランジ39の部分39Aが奥側ホルダ55の部分55Bに圧接する前に、その奥フランジ39が奥側ホルダ55の受け面55Aに落ち込むことができる。このように、第1の受け部材59に形成された爪部62と第2の受け部材60に形成された長孔61は、引出体31と共に、感光体ユニット41より成る第1のユニットと、作像ユニット24より成る第2のユニットとを手前側に引き出すとき、加圧部材58により加圧された第1のユニットが引出体31に対して相対的に奥側へ移動する量を規制する規制手段の一例を構成している。
ところで、先に簡単に説明したように、本例の画像形成装置は、引出体31と共に、感光体ユニット41より成る第1のユニットと作像ユニット24より成る第2のユニットとを引き出すとき、その第1のユニットの手前側の端部を構成する前フランジ40も、自重によって下方に移動すると共に、その下方に移動した第1のユニットの手前側の端部を引出体31により受け止めるように構成されているが、以下にその具体的構成例を明らかにする。
本例の引出体31は、前述のように引出本体42とその引出本体42に取り付けられた手前側ホルダ54を有している。そこで、下方に移動した第1のユニットの手前側の端部、すなわち前フランジ40を、その手前側ホルダ54で受け止めるように構成することができる。その際、その前フランジ40を手前側ホルダによって直に前フランジ40を受け止めるように構成してもよいが、本例の画像形成装置においては、手前側ホルダ54に、加圧部材58用の受け部材59,60が回転自在に支持されているので、下方に移動した第1のユニットの前端側の端部である前フランジ40を、その受け部材59,60を介して手前側ホルダ54で受け止めるように構成されている。すなわち図8の(b),(c)に示すように、第2の受け部材60の内周面下部の受け面60Aによって、下方に落下した前フランジ40を受け止めるのである。また、第2の受け部材59を省き、加圧部材58を直に前フランジ40に圧接させることもできるが、この場合には、下方に落下した前フランジ40を加圧部材58によって受け止めるように構成することもできる。この場合には、下方に移動した第1のユニットの手前側の端部(前フランジ40)を、手前側ホルダ54に回転自在に支持された加圧部材用の受け部材59と加圧部材58を介して、その手前側ホルダ54で受けることになる。
また、奥側ホルダ55と手前側ホルダ54を、引出本体42に離脱不能に固定してもよいが、これらのホルダ54,55を、例えば図示していないねじ又はピンなどによって、引出本体42に着脱可能に取り付けると、作像ユニット24を引出体31から取り外した後、両ホルダ54,55と共に感光体ユニット41を引出体31から離脱することができる。このようにすれば、感光体ユニット自体に手を触れず、両ホルダ44,45を手で掴んで、感光体ユニット41を引出体31に対して着脱することができ、感光体3を汚すおそれをなくすことができる。
ところで、図6に示したように、本例の画像形成装置においては、感光体ユニット41より成る第1のユニットと、作像ユニット24より成る第2のユニットとが画像形成装置本体1内の所定の装填位置にセットされているとき、その第2のユニットは、軸50に対して軸受65,66を介して嵌合している。この状態から、引出体31と共に、第1のユニットと第2のユニットを矢印X方向に引き出し始めると、第2のユニットと軸50との上記嵌合が外れる。すなわち、ユニットケース30の後壁26に形成された貫通孔64が軸50に圧入された軸受65から外れ、該ユニットケース30の前壁25の貫通孔に圧入された軸受66が軸50から外れるか、又はその軸50の手前側の小径部に移行する。これにより、その作像ユニット24より成る第2のユニットがわずかに下方に移動し、図8の(b),(c)に示すように該第2のユニットは、そのユニットケース30が引出体31の引出本体42に受け止められる。このとき、作像ユニット24より成る第2のユニットの下方への移動量が、感光体ユニット41より成る第1のユニットの下方への移動量よりも小さくなるように構成されている。このように、引出組立体71の引き出し動作に伴って作像ユニット24も下方に下がるように構成したときも、その作像ユニット24と感光体ユニット41が上下方向に離間するように、これらを相対的に移動させることができる。
或いは、図11の(a),(b)に示すように、作像ユニット24の前壁25及び後壁26と、引出本体42との間に、板ばね又は圧縮コイルばねなどから成る付勢手段73を設け、引出組立体71を矢印X方向に引き出し、ユニットケース30の貫通孔64が軸受65から外れ、またユニットケース30に圧入された軸受66が軸50から外れるか、又はその軸50の小径部に移行したとき、上記付勢手段73によって作像ユニット24を上昇させることもできる。このようにすれば、感光体ユニット41と作像ユニット24が上下方向により大きく離間する向きに相対移動することができ、作像ユニット24の要素を感光体3から大きく離すことができる。感光体ユニット41より成る第1のユニットと作像ユニット24より成る第2のユニットが画像形成装置本体内の所定の装填位置にセットされているとき、その第2のユニットが軸50に軸受65,66を介して嵌合し、引出体31と共に、第1のユニットと第2のユニットとを引き出し始め、該第2のユニットと軸50との上記嵌合が外れたとき、第2のユニットを引出体31に対して上方へ移動させる付勢手段73を設けることにより、第1及び第2のユニットを上下方向に相対的に大きく移動させることができるのである。
また、上述した各構成において、引出組立体71を手前側に引き出すとき、感光体ユニット41が下方に下がることにより、感光体3が図1に示した中間転写体4に強く当り、これらに傷が付けられるおそれがある。そこで、引出組立体71を引き出すとき、引出体31がわずかに上方に持ち上がるように構成することが好ましい。例えば、図12の(a),(b)に示すように、引出組立体71の引き出し、又は押し込み時に、感光体ユニット41が干渉することのない画像形成装置本体部分に、持ち上げ手段の一例であるローラ74を回転自在に支持し、図12の(b)に示すように引出組立体71を引き出すとき、引出体31をローラ74上に載せ、その引出体31をわずかに上昇させる。このように、引出体31と共に、第1のユニットと第2のユニットとを引き出すとき、その引出体31を上昇させる持ち上げ手段を設けるのである。これにより、引出体31の引き出し又は押し込み時に、感光体ユニット41が、その下方に位置する要素、図の例では図1に示した中間転写体4に干渉することを防止でき、感光体3や中間転写体4に傷が付けられる不具合を阻止できる。
以上、第1のユニットが感光体ユニット41より成り、第2のユニットが作像ユニット24より成る画像形成装置に本発明を適用した具体例を説明したが、本発明はかかる画像形成装置以外の各種装置にも適用できるものである。