以下、本開示の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<1.実施形態1>
<1.1.画像形成装置の構成>
図1は、画像形成装置100の概念図である。この画像形成装置100は、電子写真方式のプリンタである。画像形成装置100の例としては、レーザプリンタまたはLEDプリンタが挙げられる。
画像形成装置100は、4つの現像カートリッジ1と、ドロワ2と、本体フレーム101と、制御部102とを備える。
現像カートリッジ1は、ドロワ2に対して装着される。ドロワ2は、現像カートリッジ1が装着されるドラムカートリッジであって、4つのスロット2Aを備える。複数の現像カートリッジ1は、それぞれ、ドロワ2のスロット2Aに装着される。そして、現像カートリッジ1は、ドロワ2のスロット2Aに装着された状態で本体フレーム101内に装着される。4つの現像カートリッジ1は、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色)の現像剤(例えば、トナー)を収容する。ただし、複数の現像カートリッジ1は、同じ色の現像剤を収容してもよい。また、現像カートリッジ1の数は、1~3つであってもよく、5つ以上であってもよい。
画像形成装置100は、4つの現像カートリッジ1から供給される現像剤により、印刷用紙に画像を形成する。
4つの現像カートリッジ1は、それぞれ、ICチップ51を有する。ICチップ51は、情報の読み出しおよび書き込みが可能な記憶媒体である。記憶媒体としては、例えば、フラッシュROMまたはEPPROMが挙げられる。現像カートリッジ1がドロワ2のスロット2Aに装着された状態で、本体フレーム101に装着されると、各現像カートリッジ1のICチップ51と、制御部102とが、それぞれ電気的に接続される。制御部102は、例えば、回路基板により構成される。制御部102は、CPU等のプロセッサおよび各種のメモリを有する。制御部102のプロセッサは、プログラムに従って動作することにより、画像形成装置100における諸処理を実行する。
<1.2.現像カートリッジについて>
図2および図3は、現像カートリッジ1の斜視図である。図4および図5は、第1方向から視た現像カートリッジ1の平面図である。
以下の説明において、現像ローラ30の回転軸(第1軸)が延びる方向を「第1方向」と称する。この第1方向は、ドロワ2が有する後述の感光体ドラムのドラム軸が延びる軸方向でもある。また、筐体10の外側に露出した現像ローラ30の周面の一方側と、筐体10の内側に位置する現像ローラ30の周面の他方側とが並ぶ方向を、「第2方向」と称する。第2方向は、現像カートリッジ1の筐体10の外側に露出された現像ローラ30の周面と交差する方向でもある。また、第2方向は、現像ローラ30が、後述する感光体ドラムの表面から離間する「離間方向」でもある。
現像カートリッジ1は筐体10を有する。筐体10は、第1方向に離れた第1外表面11と、第2外表面12とを有する。第1外表面11は、筐体10の第1方向における一端部に位置する。第2外表面12は、筐体10の第1方向における他端部に位置する。
また、筐体10は、容器10Aと、蓋10Bとを有する。容器10Aは現像剤を収容する。蓋10Bは容器10Aを覆う。容器10Aと、蓋10Bとは、第1方向において第1外表面11と第2外表面12との間に配置される。
また、筐体10は所定の方向に延びている。以下、筐体10が延びる方向を「第3方向」と称する。第3方向は、第1方向に交差(より好ましくは、直交)する方向である。第3方向は、ドロワ2のスロット2A(図1参照)に対する現像カートリッジ1の挿入方向でもある。筐体10は開口10Cを有する。開口10Cは、第3方向における筐体10の一端部に位置する。容器10Aと外部とは、開口10Cを介して連通する。
現像カートリッジ1はアジテータ20を有する。アジテータ20は、第1方向に延びる軸(第3軸)について回転可能である。アジテータ20は、容器10A内のトナーを攪拌する部材である。アジテータ20は、第1方向に延びるシャフトと、シャフトから径方向外側へ向けて拡がる撹拌羽根とを有する。アジテータ20が、そのシャフトについて回転すると、撹拌羽根により、容器10A内の現像剤が撹拌される。
現像カートリッジ1は現像ローラ30を有する。現像ローラ30は、第2方向において、アジテータ20から離れて位置する。現像ローラ30は、筐体10の第3方向における一端部の開口10Cに位置する。現像ローラ30は、第1方向に延びる第1軸について回転可能に、筐体10に支持されるローラである。
現像ローラ30は、現像ローラ本体31と現像ローラシャフト32とを有する。現像ローラ本体31は、第1方向に延びる円筒状の部材である。現像ローラ本体31の材料には、例えば、弾性を有するゴムが用いられる。現像ローラシャフト32は、現像ローラ本体31を第1方向に貫通する円柱状の部材である。現像ローラシャフト32の材料には、金属または導電性を有する樹脂が用いられる。現像ローラ本体31は、現像ローラシャフト32に対して、回転不能に固定される。つまり、現像ローラ本体31は、現像ローラシャフト32と共に回転可能である。第2方向における現像ローラ本体31の周面の一方側が、開口部10Cを介して、筐体10の外側に露出する。また、第2方向における現像ローラ本体31の周面の他方側が、筐体10の内側に位置する。つまり、第2方向における現像ローラ本体31の周面の他方側は、筐体10から露出していない。
現像カートリッジ1は、さらに、現像電極33を有する。現像電極33は、現像ローラシャフト32の第1方向の一方の端部に現像電極33位置する。詳しくは、現像ローラシャフト32は、筐体10が有する不図示の軸受けに回転可能に装着された状態で、現像電極33を有する現像ローラシャフト32が装着される軸受けは、筐体10と一体であってもよいし、別体であってもよい。現像電極33は、第1外表面に位置する。現像電極33は、現像ローラシャフト32と電気的に接続される。現像電極33は、現像ローラ30に現像バイアスを印加するための電極である。現像電極33は、第2方向において、後述する離間部材60のシャフト61および第1カム62よりも、現像ローラ30に近い位置に配置されている。本実施形態では、現像電極33は、現像ローラ30の現像ローラシャフト32の端部に設けられる。
現像ローラシャフト32の第1方向の他方の端部には、不図示の現像ローラギアが装着される。現像ローラギアは、第2外表面12に位置する。現像ローラシャフト32は、その現像ローラギアに対して、回転不能に固定される。現像ローラギアが回転すると、現像ローラシャフト32も回転し、現像ローラシャフト32と共に現像ローラ本体31も回転する。
なお、現像ローラシャフト32は、現像ローラ本体31を第1方向に貫通していなくてもよい。例えば、現像ローラシャフト32が、現像ローラ本体31の第1方向の両端から、第1方向にそれぞれ延びていてもよい。
また、現像カートリッジ1は、図示を省略した供給ローラを有する。供給ローラは、容器10A内に位置し、現像ローラ30と、アジテータ20との間に位置する。また、供給ローラは、第1方向に延びる回転軸について回転可能である。現像カートリッジ1が駆動力を受けると、筐体10内の容器10Aから、供給ローラを介して、現像ローラ30の外周面に、現像剤が供給される。その際、供給ローラと現像ローラ30との間において、現像剤は摩擦帯電される。一方、現像ローラ30の現像ローラシャフト32には、現像バイアスがかけられている。このため、現像ローラシャフト32と現像剤との間の静電気力によって、現像ローラ本体31の外周面に、現像剤が引き付けられる。
さらに、現像カートリッジ1は、図示を省略した層厚規制ブレードを有する。層厚規制ブレードは、現像ローラ本体31の外周面に供給された現像剤を、一定の厚みに成形する。その後、現像ローラ本体31の外周面の現像剤は、ドロワ2が有する後述の感光体ドラム21(図11参照)へ供給される。このとき、現像剤は、感光体ドラム21の外周面に形成された静電潜像に応じて、現像ローラ本体31から感光体ドラム21へ移動する。これにより、感光体ドラム21の外周面において、静電潜像が可視像化される。
図3および図4に示すように、現像カートリッジ1はギア部40を有する。ギア部40は、筐体10の第2外表面12に位置する。ギア部40は、カップリング41、および、現像ローラギア(不図示)などを有する。
カップリング41は、画像形成装置100から供給される駆動力を受けるギアである。カップリング41は、第1方向に延びる回転軸について回転することが可能である。カップリング41は、第2方向において、後述する離間部材60のシャフト61、第1カム62および第2カム63よりも現像ローラ30に近い位置に配置されている。カップリング41は、第1方向に凹む締結穴411を有する。ドロワ2のスロット2Aに装着された現像カートリッジ1が画像形成装置100内に装着されると、画像形成装置100の駆動シャフトが、締結穴411に挿入される。これにより、駆動シャフトとカップリング41とが、相対回転不能に連結される。したがって、駆動シャフトが回転すると、カップリング41が回転する。カップリング41が回転すると、不図示の供給ローラに接続される供給シャフト、および、現像ローラギアが回転する。そして、供給シャフトと共に供給ローラが回転し、また、現像ローラギアと共に現像ローラ30も回転する。また、カップリング41が回転すると、不図示のギアを介して、アジテータ20も回転する。
現像カートリッジ1は離間部材60を有する。画像形成装置100は、接触状態と離間状態とを有する。接触状態は、現像カートリッジ1がドロワ2のスロット2Aに装着された状態において、現像ローラ30とドロワ2の感光体ドラム21とが接触する状態である。また、離間状態は、現像ローラ30とドロワ2の感光体ドラム21とが互いに離れた状態である。現像カートリッジ1がドロワ2のスロット2Aに装着されると、画像形成装置100は接触状態となる。離間部材60は、画像形成装置100を接触状態または離間状態に切り替えるための部材である。本実施形態では、接触状態から離間状態となる際、現像ローラ30は、離間方向である第2方向において、感光体ドラム21から離間する。
離間部材60は、蓋10Bに設けられる。離間部材60は、第1方向において、筐体10および現像ローラ30に対して移動可能である。また、離間部材60は、第2方向において、筐体10および現像ローラ30とともに移動可能である。
図6は、離間部材60の分解斜視図である。図6では、離間部材60が設けられる筐体10の蓋10Bのみ図示している。図8および図9は、第1方向において、筐体10および現像ローラ30に対して移動する離間部材60を説明するための図である。図10は、第3方向から視た現像カートリッジ1の平面図である。以下、離間部材60について、図2~図10を参照して説明する。
離間部材60は、第1方向に延びる軸(第2軸)に沿ったシャフト61を有する。シャフト61は、円柱状である。ただし、シャフト61は、角柱状であってもよい。蓋10Bは、第1方向に貫通した孔10B1を有する。孔10B1の径は、シャフト61の径よりも大きい。シャフト61は、この孔10B1に挿入される。孔10B1の径は、シャフト61の径よりも大きい。シャフト61は、この孔10B1に挿入される。孔10B1に挿入されたシャフト61は、第1方向において、第1位置(図8に示す位置)と第2位置(図9に示す位置)との間で、筐体10の蓋10Bに対して移動可能である。第2位置は、第1方向において、第1位置よりも、第1外表面11に近い位置である。また、本実施形態では、孔10B1に挿入されたシャフト61は、第1方向に延びる第2軸について、蓋10Bに対して回転可能である。
シャフト61は、好ましくは、剛性部材により構成される。例えば、シャフト61は、鉄により作られる。また、シャフト61は、樹脂により作られてもよい。
本実施形態では、蓋10Bは、リング10B2、および、リング10B3を有する。リング10B2は、第1方向における蓋10Bの一端部に配置される。リング10B3は、第1方向における蓋10Bの他端部に配置される。また、第1方向に沿った孔10Bは、リング10B2と、リング10B3との間で露出している。つまり、孔10Bに挿入されたシャフト61は、リング10B2と、リング10B3との間で、蓋10Bから露出している。シャフト61は剛性を有するため、露出した部分が、第2方向または第3方向に折れ曲がることはない。
ただし、リング10B2と、リング10B3との間に、さらに、追加のリングが設けるようにしてもよい。また、蓋10Bは、第1方向において、リング10B2と、リング10B3との間でシャフト61は露出しているが、露出していなくてもよい。つまり、シャフト61は、蓋10Bの内部に収容されてもよい。
蓋10Bでシャフト61を第1方向に移動可能に保持することで、現像カートリッジ1の筐体10に対して、容易にシャフト61を設けることができる。
シャフト61の第1方向における一端部には、第1カム62が設けられる。第1カム62は、ゴムまたは樹脂などで構成される。図7に示すように、第1カム62には、第1方向に貫通する孔62Aが設けられる。シャフト61の一端部61Aは、他の部分よりも径が小さく、孔62Aに挿入される。シャフト61の一端部61Aは、孔62Aに挿入されると、第1方向において、一端部61Aの先端が第1カム62から露出する。その露出した一端部61Aの先端に止め輪61Bが嵌められることで、シャフト61の一端部61Aに、第1カム62が固定される。ただし、第1カム62は、接着により、シャフト61に固定されてもよい。
第1カム62は、第1傾斜面621を有する。図5に示すように、本実施形態では、第1傾斜面621は、シャフト61の周面の一部に設けられる。なお、第1カム62は、蓋10Bと向かい合う接触面622を有する。接触面622は、第1傾斜面621が設けられるシャフト61の周面の一部とは異なる周面に設けられる。換言すると、接触面622は、筐体10、つまり、筐体10の外表面と向かい合っている。接触面622と蓋10Bとが向かい合っているため、第1カム62が、シャフト61について回転しようとしても、接触面622と蓋10Bとが接触し、第1カム62が回転できない。なお、本実施形態では、第1傾斜面621は、シャフト61の周面の一部に設けられているが、第1傾斜面621は、シャフト61の全周に設けられてもよい。
第1傾斜面621は、第1方向に延びるシャフト61に対して傾斜する。第1方向に対する第1傾斜面621の角度は、43度以上、47度以下である。より好ましくは、第1方向に対する第1傾斜面621の角度は、約45度である。第1カム62、つまり第1傾斜面621は、筐体10の第1外表面11に位置する。第1傾斜面621は、第1方向における第1外表面11から離れる方向に向かうに従い、第2方向において現像ローラ30から離れる。換言すると、第1傾斜面621は、第1方向の一端部から他端部に向かうにつれて、シャフト61の径方向の外側に向けてのシャフト61からの距離が長くなる。また、第1傾斜面621は、シャフト61に対して鋭角に傾斜する。なお、第1カム62は、第2軸を中心軸とする円錐形状を2分した形状である。言い換えれば、第1カム62は、円錐面の一部である、第1傾斜面621を有する。
なお、第1カム62は、円錐状でなく、多角錐状であってもよい。この場合、第1傾斜面621は、多角錐面の一部である。また、第1傾斜面621は、なだらかに傾斜する面であるが、傾斜途中に段差などの凹凸が設けられてもよい。さらに、第1傾斜面621は、曲面状であってもよい。
シャフト61の第1方向における他端部には、第2カム63が設けられる。第2カム63は、ゴムまたは樹脂などで構成される。第2カム63は、図7で説明したように、第1カム62と同様に、シャフト61の第1方向の他端部に固定されている。
第2カム63は、第2傾斜面631を有する。図4に示すように、本実施形態では、第2傾斜面631は、シャフト61の周面の全周に設けられる。なお、本実施形態では、第2傾斜面631は、シャフト61の周面の全周に設けられているが、第2傾斜面631は、シャフト61の周面の一部に設けられてもよい。
第2傾斜面631は、第1方向に延びるシャフト61に対して傾斜する。第1方向に対する第2傾斜面631の角度は、43度以上、47度以下である。より好ましくは、第1方向に対する第2傾斜面631の角度は、約45度である。第2傾斜面631は、第1方向のシャフト61の一端部から他端部に向かうにつれて、シャフト61の径方向の外側に向けてのシャフト61からの距離が長くなる。また、第2傾斜面631は、シャフト61に対して鋭角に傾斜する。つまり、第1カム62の第1傾斜面621と、第2カム63の第2傾斜面631とは、第1方向に対して、同方向に傾斜する。なお、第2カム63は、第2軸を中心軸とする円錐状である。換言すれば、第2カム63は、円錐面の一部である第2傾斜面631を有する。
なお、第2カム63は、円錐状でなく、多角錐状であってもよい。この場合、第2傾斜面631は、多角錐面の一部である。また、第2傾斜面631は、なだらかに傾斜する面であるが、傾斜途中に段差などの凹凸が設けられてもよい。さらに、第2傾斜面631は、曲面状であってもよい。
この第1カム62および第2カム63は、図8および図9に示すように、シャフト61とともに、第1方向に移動可能である。シャフト61が、第1方向において、第1位置から第2位置へ移動すると、第2カム63は蓋10Bに近づき、第1カム62は蓋10Bから遠ざかる。シャフト61が、第1方向において、第2位置から第1位置へ移動すると、第2カム63は蓋10Bから遠ざかり、第1カム62は蓋10Bに近づく。換言すれば、シャフト61が、第1方向において、第1位置から第2位置へ移動すると、第2カム63は筐体10に近づき、第1カム62は筐体10から遠ざかる。また、シャフト61が、第1方向において、第2位置から第1位置へ移動すると、第2カム63は筐体10から遠ざかり、第1カム62は筐体10に近づく。
また、一対の孔10B1に挿入されたシャフト61は、第1方向に延びる第2軸について、筐体10の蓋10Bに対して回転不可である。ただし、シャフト61は、第2軸について、蓋10Bに対して回転可能であってもよい。この場合、第1カム62および第2カム63は、筐体10Bに対して、第2軸について回転不可に、シャフト61に設けられる。つまり、シャフト63のみが第2軸について回転し、第1カム62および第2カム63は回転しない。
離間部材60はコイルばね64を有する。コイルばね64は、第1方向におけるシャフト61の他端部に設けられる。詳しくは、シャフト61は、コイルばね64に挿入される。そして、コイルばね64は、第1方向において、第2カム63と、蓋10Bとの間に位置する。第1方向におけるコイルばね64の一端は、例えばワッシャ65を介して、蓋10Bに接触する。また、第1方向におけるコイルばね64の他端は、第2カム63に接触する。コイルばね64は、シャフト61を中心とした周方向において、カバー66で覆われる。なお、コイルばね64は、第2カム63を介して、シャフト61に接続されているが、直接シャフト61に接続されてもよい。
コイルばね64は、第1長さと、第1長さよりも短い第2長さとの間で、第1方向に伸縮可能な弾性部材(弾性部材)である。後に詳述するが、第2カム63は、第1方向において、シャフト61の他端部から一端部に向かう押圧力で押される。そうすると、シャフト61、第1カム62および第2カム63は、図8に示す第1位置から、図9に示す第2位置へ移動する。第1位置から第2位置へ移動すると、コイルばね64は、第1長さから第2長さへと収縮する。第2カム63への押圧力がなくなると、第2長さから第1長さへ戻るコイルばね64の復元力により、シャフト61、第1カム62および第2カム63は、第2位置から第1位置へと押し戻される。このように、シャフト61、第1カム62および第2カム63は、第1方向の押圧力、および、コイルばね64の弾性力により、筐体10に対して、第1方向に移動する。
以上の構成を有する現像カートリッジ1が、ドロワ2に装着されると、現像カートリッジ1の現像ローラ30は、感光体ドラム21と接触する。この状態では、第1カム62の第1傾斜面621は、後述するドロワ2の第1受け面22(図11参照)と接触する。また、第2カム63の第2傾斜面631は、第2受け面23(図11参照)と接触する。詳しくは、現像カートリッジ1がドロワ2に装着されたときには、第1傾斜面621と、第1受け面22とは非接触であり、第2傾斜面631と、第2受け面23とは非接触である。現像カートリッジ1が、第1方向に、一定量移動することで、第1傾斜面621と、第1受け面22とが接触し、第2傾斜面631と、第2受け面23とは接触する。なお、現像カートリッジ1がドロワ2に装着されたときには、第1傾斜面621と、第1受け面22とは接触してもよい。また、現像カートリッジ1がドロワ2に装着されたときには、第2傾斜面631と、第2受け面23とは接触してもよい。
現像ローラ30を感光体ドラム21から離間させる場合、離間部材60は、第1方向における第2カム63から第1カム62に向かう方向へ、押圧される。これにより、シャフト61、第1カム62および第2カム63は、筐体10および現像ローラ30に対して、第1方向に移動する。
このとき、第1カム62の第1傾斜面621は、第1受け面22と接触しつつ、第1方向に移動する。上述のように、第1傾斜面621は、第1カム62から第2カム63に向かうにつれて、シャフト61の径方向の外側に向けて広がっている。このため、第1カム62が第1方向に移動すると、第1受け面22が接触する第1傾斜面621の位置は、シャフト61の径方向において、シャフト61から遠くなる。第1傾斜面621と、第1受け面22とは、第2方向に向かい合う。つまり、第1傾斜面621は、第1方向に移動すると、第2方向において、第1受け面22から離れる方向にも移動する。
同様に、第2カム63の第2傾斜面631は、第2受け面23と接触しつつ、第1方向に移動する。上述のように、第2傾斜面631は、第1カム62から第2カム63に向かうにつれて、シャフト61の径方向の外側に向けて広がっている。このため、第2カム63が第1方向に移動すると、第2受け面23が接触する第2傾斜面631の位置は、シャフト61の径方向において、シャフト61から遠くなる。第2傾斜面631と、第2受け面23とは、第2方向に向かい合う。つまり、第2傾斜面631は、第1方向に移動すると、第2方向において、第2受け面23から離れる方向にも移動する。
第1カム62および第2カム63が、第1方向に移動しつつ、第2方向に移動することで、シャフト61も同様に移動する。シャフト61、第1カム62および第2カム63が第2方向に移動すると、これに伴い、筐体10および現像ローラ30も、第2方向に移動する。これにより、図17に示すように、現像ローラ30は、第2方向において、感光体ドラム21から離れる。
コイルばね64は、シャフト61、第1カム62および第2カム63の第1方向の移動に伴い伸縮する。コイルばね64は、シャフト61、第1カム62および第2カム63が図8に示す第1位置のとき、第1長さである。また、コイルばね64は、シャフト61、第1カム62および第2カム63が図9に示す第2位置のとき、第1長さよりも短い第2長さである。第1長さから第2長さへ収縮したコイルばね64は、離間部材60への押圧力がなくなると、第2長さから第1長さへ伸長する。
シャフト61、第1カム62および第2カム63が第2位置から第1位置へ移動すると、上述と逆の作用により、第1カム62の第1傾斜面621は、第2方向において、第1受け面22に近づく方向に移動する。また、第2カム63の第2傾斜面631は、第2方向において、第2受け面23に近づく方向に移動する。これに伴い、筐体10および現像ローラ30は、第2方向に移動し、現像ローラ30は、第2方向において、感光体ドラム21に近づく。そして、現像ローラ30の表面は、感光体ドラム21の表面と接触する。
<1.3.ドロワについて>
図11は、ドロワ2の斜視図である。図12は、第3方向から視たドロワ2の平面図である。図13は、ドロワ2のスロット2Aに現像カートリッジ1を装着した状態の斜視図である。図14は、ドロワ2のスロット2Aに現像カートリッジ1を装着した状態を、第3方向から視た平面図である。図15は、ドロワ2のスロット2Aに現像カートリッジ1を装着した状態を、第1方向から視た平面図である。
ドロワ2は、フレーム200を有する。フレーム200は、4つのスロット2Aを有する。4つのスロット2Aそれぞれには、現像カートリッジ1が装着される。ドロワ2は、感光体ドラム21を有する。感光体ドラム21は、4つのスロット2Aそれぞれに対して配置される。感光体ドラム21は、第1方向に延びる回転軸(ドラム軸)について回転可能である。ドロワ2のスロット2Aには、現像ローラ30の表面が、感光体ドラム21の表面に向かい合う状態で、現像カートリッジ1が装着される。ドロワ2は、スロット2Aに現像カートリッジ1が装着された状態で、本体フレーム101(図1参照)に対して、装着される。
ドロワ2のフレーム200は、第1サイドフレーム201と、第2サイドフレーム202とを有する。第1サイドフレーム201と、第2サイドフレーム202とは、第1方向において離れて位置する。第1方向における第1サイドフレーム201と、第2サイドフレームとの間に感光体ドラム21が設けられる。ドロワ2のスロット2Aに現像カートリッジ1が装着されると、第1方向における第1サイドフレーム201と第2サイドフレーム202との間に、現像カートリッジ1が装着される。そして、第1方向において、現像カートリッジ1の第1外表面11と、第1サイドフレーム201とが向かい合う。また、ドロワ2のスロット2Aに現像カートリッジ1が装着されると、第1方向において、現像カートリッジ1の第2外表面12と、第2サイドフレーム202とが向かい合う。
第1サイドフレーム201には、第1方向に貫通し、かつ、第3方向に凹む第1凹部201Aが設けられる。第1凹部201Aは、4つのスロット2Aそれぞれに対して設けられる。ドロワ2のスロット2Aに現像カートリッジ1が装着されると、図13および図14に示すように、第1凹部201Aには、現像カートリッジ1のカバー45に覆われるICチップ51が位置する。
第2サイドフレーム202には、第1方向に貫通し、現像カートリッジ1の一部を外部に露出させる孔であって、第3方向において、感光体ドラム21から離れる方向に向けて開いた第2凹部202Aが設けられる。第2凹部202Aも、第2凹部201Aと同様に、4つのスロット2Aそれぞれに対して設けられる。ドロワ2のスロット2Aに現像カートリッジ1が装着されると、図13~図15に示すように、第2凹部202Aには、現像カートリッジ1の第2カム63が位置する。
また、第2サイドフレーム202は、第1方向に貫通した貫通孔202Bを有する。貫通孔202Bは、4つのスロット2Aそれぞれに対して設けられる。ドロワ2のスロット2Aに現像カートリッジ1が装着されると、図13~図15に示すように、現像カートリッジ1のカップリング41の締結穴411が、貫通孔202Bから露出する。画像形成装置100の駆動シャフトは、貫通孔202Bを介して、締結穴411に挿入される。そして、駆動シャフトとカップリング41とが、相対回転不能に連結される。
さらに、ドロワ2は、第1受け面22と第2受け面23とを有する。第1受け面22は、第1方向において第2受け面23と離れて位置する。つまり、第1受け面22は、第1方向におけるスロット2Aの一端部に配置される。また、第2受け面23は、第1方向におけるスロット2Aの他端部に配置される。
第1受け面22は、第1方向において、第2サイドフレーム202と向かい合う、第1サイドフレーム201の面に設けられる。第1受け面22は、第1方向に対して傾斜する。第1受け面22は、本開示の「第1傾斜面」の一例である。より詳しくは、第1受け面22は、ドロワ2のスロット2Aに装着された現像カートリッジ1の第1カム62と、第2方向において向かい合う位置に配置される。そして、第1受け面22は、図14に示すように、第1カム62の第1傾斜面621と接触する。第1受け面22は、第1方向において、第1サイドフレーム201から第2サイドフレーム202へ向かうにつれて、第2方向における現像カートリッジ1との距離が長くなる。
第2受け面23は、第2サイドフレーム202の第2凹部202Aに設けられる。第2受け面23は、第1方向に対して、第1受け面22と同じ方向に傾斜する。第2受け面23は、本開示の「第2傾斜面」の一例である。より詳しくは、第2受け面23は、ドロワ2のスロット2Aに装着された現像カートリッジ1の第2カム63と、第2方向において向かい合う位置に配置される。そして、第2受け面23は、図14に示すように、第2カム63の第2傾斜面631と接触する。第2受け面23は、第1方向において、第1サイドフレーム201から離れる方向に向かうにつれて、第2方向における現像カートリッジ1との距離が長くなる。
<1.4.離間部材60による離間動作について>
次に、画像形成装置100における接触状態と離間状態との切り替え時の動きについて、説明する。
図16は、離間部材60による離間動作を説明するための図である。なお、図16(A)は、現像ローラ30と、感光体ドラム21とが接触した状態を示し、図16(B)は、現像ローラ30と、感光体ドラム21とが離間した状態を示す。図17は、接触状態での現像カートリッジ1の斜視図である。図18は、離間状態での現像カートリッジ1の斜視図である。
ドロワ2のスロット2Aに現像カートリッジ1を装着すると、図17に示すように、現像カートリッジ1の現像ローラ30と、感光体ドラム21とは接触する。この接触状態では、図16(A)に示すように、第1カム62の第1傾斜面621は、第1受け面22と接触する。また、第2カム63の第2傾斜面631は、第2受け面23と接触する。詳しくは、現像カートリッジ1がドロワ2に装着されたときには、第1傾斜面621と、第1受け面22とは非接触であり、第2傾斜面631と、第2受け面23とは非接触である。現像カートリッジ1が、第1方向に、一定量移動することで、第1傾斜面621と、第1受け面22とが接触し、第2傾斜面631と、第2受け面23とは接触する。なお、現像カートリッジ1がドロワ2に装着されたときに、第1傾斜面621と、第1受け面22とは接触してもよい。また、現像カートリッジ1がドロワ2に装着されたときに、第2傾斜面631と、第2受け面23とは接触してもよい。
より詳しくは、第1傾斜面621は、第1方向における第1カム62から第2カム63に向かうにつれて、シャフト61の径方向の外側に向けて広がる。そして、第1受け面22は、シャフト61の径方向において、シャフト61からの距離が短い、第1傾斜面621の位置に接触する。同様に、第2傾斜面631は、第1方向における第1カム62から第2カム63に向かうにつれて、シャフト61の径方向の外側に向けて広がる。そして、第2受け面23は、シャフト61の径方向において、シャフト61からの距離が短い、第2傾斜面631の位置に接触する。
なお、第1カム62および第2カム63それぞれが円錐状であるため、シャフト61が第2軸について回転しても、第1傾斜面621および第2傾斜面631は、第1受け面22および第2受け面23それぞれと接触する。
画像形成装置100は、駆動部103を有する。駆動部103は、押圧部材104を第1方向に沿って移動させる、例えばモータである。押圧部材104は、第1方向に沿って延びる、円柱または角柱である。押圧部材104は、第1方向において、ドロワ2のスロット2Aに装着された現像カートリッジ1の第2カム63と接触する接触位置と、第2カム63と接触しない非接触位置との間で移動する。
現像ローラ30を感光体ドラム21から離間させる場合、駆動部103は、第1方向における第2カム63から第1カム62に向かう方向へ、押圧部材104を移動させる。これにより、第2カム63は、押圧部材104により第1方向に押圧される。第2カム63が押圧されると、シャフト61、第1カム62および第2カム63は、筐体10および現像ローラ30に対して、第1方向に移動する。
このとき、第1カム62の第1傾斜面621は、第1受け面22と接触しつつ、第1方向に移動する。上述のように、第1傾斜面621は、第1カム62から第2カム63に向かうにつれて、シャフト61の径方向の外側に向けて広がっている。このため、第1カム62が第1方向に移動すると、第1受け面22が接触する第1傾斜面621の位置は、シャフト61の径方向において、シャフト61から遠くなる。第1傾斜面621と、第1受け面22とは、第2方向に向かい合う。つまり、第1傾斜面621は、第1方向に移動すると、図16(B)に示すように、第2方向において、第1受け面22から離れる方向にも移動する。
同様に、第2カム63の第2傾斜面631は、第2受け面23と接触しつつ、第1方向に移動する。上述のように、第2傾斜面631は、第1カム62から第2カム63に向かうにつれて、シャフト61の径方向の外側に向けて広がっている。このため、第2カム63が第1方向に移動すると、第2受け面23が接触する第2傾斜面631の位置は、シャフト61の径方向において、シャフト61から遠くなる。第2傾斜面631と、第2受け面23とは、第2方向に向かい合う。つまり、第2傾斜面631は、第1方向に移動すると、図16(B)に示すように、第2方向において、第2受け面23から離れる方向にも移動する。
第1カム62および第2カム63が、第1方向に移動しつつ、第2方向に移動することで、シャフト61も同様に移動する。シャフト61、第1カム62および第2カム63が第2方向に移動すると、図16(B)に示すように、これに伴い、筐体10および現像ローラ30も、第2方向に移動する。これにより、図18に示すように、現像ローラ30は、第2方向において、感光体ドラム21から離れる。そして、画像形成装置100は、離間状態となる。
コイルばね64は、シャフト61、第1カム62および第2カム63の第1方向の移動に伴い伸縮する。コイルばね64は、シャフト61、第1カム62および第2カム63が図8に示す第1位置のとき、第1長さである。また、コイルばね64は、シャフト61、第1カム62および第2カム63が図9に示す第2位置のとき、第1長さよりも短い第2長さである。第1長さから第2長さへ収縮したコイルばね64は、押圧部材104による押圧力がなくなると、第2長さから第1長さへ伸長する。
シャフト61、第1カム62および第2カム63が第2位置から第1位置へ移動すると、上述と逆の作用により、第1カム62の第1傾斜面621は、第2方向において、第1受け面22に近づく方向に移動する。また、第2カム63の第2傾斜面631は、第2方向において、第2受け面23に近づく方向に移動する。これに伴い、筐体10および現像ローラ30は、第2方向に移動し、現像ローラ30は、第2方向において、感光体ドラム21に近づく。そして、画像形成装置100は、接触状態となる。
第1カム62と、第2カム63とが、第1方向におけるシャフト61の両端部に設けられることで、画像形成装置100が離間状態と接触状態との移行時に、筐体10および現像ローラ30の第1方向における両端部が、傾くことを防止できる。
以上のように、第1方向における駆動力に従って、シャフト61が、筐体10および現像ローラ30に対して第1方向に移動する。シャフト61の第1方向への移動に伴って、第1傾斜面621が、第1受け面22と接触した場合に、第1傾斜面621が、第1受け面22に沿って、第2方向に移動する。第1傾斜面621の第2方向への移動に伴って、筐体10と現像ローラ30も第2方向へ移動する。これにより、両側の駆動力が必要なく、第1方向における駆動力によって、現像カートリッジ1を第2方向へ移動させることができる。また、現像カートリッジ1が、第1傾斜面621およびシャフト61を備えることで、ドラムカートリッジがシャフトを備えた場合と比較すると、ドラムカートリッジに対して、現像カートリッジ1を着脱する際に、シャフト61が、現像カートリッジ1の着脱を妨げることを防ぐことができる。
また、シャフト61を第1方向に移動させる際、シャフト61の第1方向における両側に駆動力を付与する必要がなく、シャフト61の第1方向の一方側から駆動力を付与すれば、現像カートリッジを移動させることができる。
さらに、画像形成装置100は、第1方向において、現像カートリッジ1およびドロワ2の一方側に、現像ローラ30および感光体ドラム21などを回転駆動する駆動源を有する。この駆動源の近傍に、押圧部材104を第1方向に移動させる駆動源である駆動部103を、配置できる。つまり、画像形成装置100が備える駆動源を、現像カートリッジ1およびドロワ2の一方向に集約できるため、画像形成装置100の小型化を実現することができる。また、ドロワ2の第1方向における両側に、現像カートリッジを移動させるための部品を設ける必要がなく、ドロワ2の簡素化または小型化を行うことができる。
<2.実施形態2>
実施形態1では、第1傾斜面621および第2傾斜面631は、それぞれ一定の角度に傾斜する面としている。これに対し、実施形態2では、第1傾斜面621および第2傾斜面631は、それぞれ異なる角度に傾いた少なくとも2つの傾斜面を有する。以下、その相違点について説明する。
図19は、第3方向から視た、実施形態2の現像カートリッジ1の平面図である。
第1カム62の第1傾斜面621は、斜面621Aと、斜面621Bとを有する。斜面621Aと、斜面621Bとは、第1方向に並ぶ。斜面621Aは、第1方向において、斜面621Bより、第2カム63から遠い位置に配置される。また、斜面621Aは、第1方向に対して、斜面621Bよりも急斜面である。詳しくは、斜面621Aは、第1方向に対して鋭角に傾斜している。また、斜面621Bも、第1方向に対して鋭角に傾斜している。そして、第1方向に対する斜面621Aの傾斜角は、第1方向に対する斜面621Bの傾斜角よりも大きい。第1方向に対する斜面621Aの角度は、43度以上、47度以下である。より好ましくは、第1方向に対する斜面621Aの角度は、45度である。また、第1方向に対する斜面621Bの角度は、12度以上、17度以下である。好ましくは、第1方向に対する斜面621Bの角度は、14度以上、15度以下である。より好ましくは、斜面621Bの角度は、14度または15度である。斜面621Aは、本開示の「第1斜面」の一例である。斜面621Bは、本開示の「第2斜面」の一例である。なお、例えば、斜面621Aにおける第1方向の長さと、斜面621Aにおけるシャフト61の径方向(言い換えれば、第2方向)における長さとの比は、1:1である。また、例えば、斜面621Bにおける第1方向の長さと、斜面621Bにおけるシャフト61の径方向(言い換えれば、第2方向)における長さとの比は、4:1である。
第2カム63の第2傾斜面631は、斜面631Aと、斜面631Bとを有する。斜面631Aと、斜面631Bとは、第1方向に並ぶ。斜面631Aは、第1方向において、斜面631Bより、第1カム62に近い位置に配置される。また、斜面631Aは、第1方向に対して、斜面631Bよりも急斜面である。詳しくは、斜面631Aは、第1方向に対して鋭角に傾斜している。また、斜面631Bも、第1方向に対して鋭角に傾斜している。そして、第1方向に対する斜面631Aの傾斜角は、第1方向に対する斜面631Bの傾斜角よりも大きい。第1方向に対する斜面631Aの角度は、43度以上、47度以下である。より好ましくは、第1方向に対する斜面631Aの角度は、45度である。また、第1方向に対する斜面631Bの角度は、12度以上、17度以下である。好ましくは、第1方向に対する斜面631Bの角度は、14度以上、15度以下である。より好ましくは、斜面631Bの角度は、14度または15度である。斜面631Aは、本開示の「第3斜面」の一例である。斜面631Bは、本開示の「第4斜面」の一例である。なお、例えば、斜面631Aにおける第1方向の長さと、斜面631Aにおけるシャフト61の径方向(言い換えれば、第2方向)における長さとの比は、1:1である。また、例えば、斜面631Bにおける第1方向の長さと、斜面631Bにおけるシャフト61の径方向(言い換えれば、第2方向)における長さとの比は、4:1である。
好ましくは、斜面621Aおよび斜面631Aは、第1方向に対して同じ角度で傾斜している。また、好ましくは、斜面621Bおよび斜面631Bは、第1方向に対して同じ角度で傾斜している。
<2.1.離間部材60による離間動作について>
次に、画像形成装置100における接触状態と離間状態との切り替え時の動きについて、説明する。
図20は、離間部材60による離間動作を説明するための図である。なお、図20(A)は、現像ローラ30と、感光体ドラム21とが接触した状態を示し、図20(B)は、現像ローラ30と、感光体ドラム21とが離間した状態を示す。
現像カートリッジ1の現像ローラ30と、感光体ドラム21とが接触する接触状態では、図20(A)に示すように、第1傾斜面621の斜面621Aは、第1受け面22と接触する。また、第2傾斜面631の斜面631Aは、第2受け面23と接触する。詳しくは、現像カートリッジ1がドロワ2に装着されたときには、第1傾斜面621と、第1受け面22とは非接触であり、第2傾斜面631と、第2受け面23とは非接触である。現像カートリッジ1が、第1方向に、一定量移動することで、第1傾斜面621と、第1受け面22とが接触し、第2傾斜面631と、第2受け面23とは接触する。なお、現像カートリッジ1がドロワ2に装着されたときに、第1傾斜面621と、第1受け面22とは接触してもよい。また、現像カートリッジ1がドロワ2に装着されたときに、第2傾斜面631と、第2受け面23とは接触してもよい。
第2カム63が押圧部材104により第1方向に押圧されると、シャフト61、第1カム62および第2カム63は、筐体10および現像ローラ30に対して、第1方向に移動する。このとき、第1傾斜面621の斜面621Aは、第1受け面22と接触しつつ、第1方向に移動する。また、第2傾斜面631の斜面631Aは、第2受け面23と接触しつつ、第1方向に移動する。これにより、第1傾斜面621は、図20(B)に示すように、第2方向において、第1受け面22から離れる方向にも移動する。また、第2傾斜面631も、図20(B)に示すように、第2方向において、第2受け面23から離れる方向にも移動する。そして、現像ローラ30は、第2方向において、感光体ドラム21から離れる(図18参照)。
シャフト61がさらに第1方向に移動すると、第1傾斜面621の斜面621Bが第1受け面22と接触しつつ、第1方向に移動する。また、第2傾斜面631の斜面631Bが第2受け面23と接触しつつ、第1方向に移動する。
第1方向の移動時において、最初に第1受け面22に当たる、第1傾斜面621の斜面621Aは、斜面621Bよりも急斜面である。また、第1方向の移動時において、最初に第2受け面23に当たる、第2傾斜面631の斜面631Aは、斜面631Bよりも急斜面である。このため、離間部材60の第1方向への移動当初において、離間部材60の第2方向への移動量を大きくすることができる。これにより、第1方向における離間部材60の少ない移動量で、現像ローラ30を感光ドラム21から離間させることができる。
また、第1方向に対する傾斜角が、斜面621Aより緩やかな斜面621Bが、第1受け面22に接触し、斜面631Aより緩やかな斜面631Bが、第2受け面23に接触することで、離間部材60は、第2方向への移動が抑えられつつ、第1方向へ移動する。これにより、押圧部材104の駆動負荷を軽減できる。
シャフト61、第1カム62および第2カム63が第2位置から第1位置へ移動すると、上述と逆の作用により、第1カム62の第1傾斜面621は、第2方向において、第1受け面22に近づく方向に移動する。また、第2カム63の第2傾斜面631は、第2方向において、第2受け面23に近づく方向に移動する。これに伴い、筐体10および現像ローラ30は、第2方向に移動し、現像ローラ30は、第2方向において、感光体ドラム21に近づく。そして、画像形成装置100は、接触状態となる。
以上のように、第1方向における駆動力に従って、シャフト61が、筐体10および現像ローラ30に対して第1方向に移動する。シャフト61の第1方向への移動に伴って、第1傾斜面621が、第1受け面22と接触した場合に、第1傾斜面621が、第1受け面22に沿って、第2方向に移動する。第1傾斜面621の第2方向への移動に伴って、筐体10と現像ローラ30も第2方向へ移動する。これにより、両側の駆動力が必要なく、第1方向における駆動力によって、現像カートリッジ1を第2方向へ移動させることができる。また、現像カートリッジ1が、第1傾斜面621およびシャフト61を備えることで、ドラムカートリッジがシャフトを備えた場合と比較すると、ドラムカートリッジに対して、現像カートリッジ1を着脱する際に、シャフト61が、現像カートリッジ1の着脱を妨げることを防ぐことができる。
また、シャフト61を第1方向に移動させる際、シャフト61の第1方向における両側に駆動力を付与する必要がなく、シャフト61の第1方向の一方側から駆動力を付与すれば、現像カートリッジを移動させることができる。
さらに、画像形成装置100は、第1方向において、現像カートリッジ1およびドロワ2の一方側に、現像ローラ30および感光体ドラム21などを回転駆動する駆動源を有する。この駆動源の近傍に、押圧部材104を第1方向に移動させる駆動源である駆動部103を、配置できる。つまり、画像形成装置100が備える駆動源を、現像カートリッジ1およびドロワ2の一方向に集約できるため、画像形成装置100の小型化を実現することができる。また、ドロワ2の第1方向における両側に、現像カートリッジを移動させるための部品を設ける必要がなく、ドロワ2の簡素化または小型化を行うことができる。
<3.変形例>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記の実施形態に限定されるものではない。
上記の実施形態では、離間部材60は、第1カム62と、第2カム63とを有している。しかしながら、離間部材60は、第1カム62および第2カム63の少なくとも一方を有していればよい。また、離間部材60は、第1傾斜面621および第2傾斜面631の少なくとも一方を有していればよい。また、例えば、第1カム62および第2カム63を設けずに、シャフト61を加工して、シャフト61の端部の周面を第1方向に傾斜させて、第1傾斜面621および第2傾斜面631を構成するようにしてもよい。
上記の実施形態では、弾性部材の一例として、コイルばね64を挙げて説明したが、これに限定されない。弾性部材は、板バネ、ねじりバネ、ゴム、スポンジなど、弾性力を有する部材であればよい。
また、上記の実施形態および変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。