JP2006342337A - 漏洩抑止シール剤及びシール方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】配管の漏洩部を効率よくかつ確実に閉塞できるシール剤を提供する。
【解決手段】前記シール剤を、配管内の供給ガス流とともに流通可能であり、かつ配管の漏洩部に残存する残存シール剤に、少なくとも吸収されることにより蓄積して前記漏洩部を閉塞可能な封止性化合物で構成する。前記封止性化合物としては、例えば、環状オレフィンオキシド類(例えば、シクロヘキセンオキシドなどのシクロアルケンオキシド)、残存シール剤に対する親和性基を有するオレフィンオキシド(例えば、グリシドールなどのヒドロキシアルケンオキシド)、ジケトン類(例えば、アセチルアセトンなどのβ−ジケトン類)などが挙げられる。前記シール剤は、さらに、前記封止性化合物の残存シール剤に対する吸収を促進可能な吸収促進剤(例えば、メタノールなどのアルカノール類など)を含んでいてもよい。
【選択図】なし
【解決手段】前記シール剤を、配管内の供給ガス流とともに流通可能であり、かつ配管の漏洩部に残存する残存シール剤に、少なくとも吸収されることにより蓄積して前記漏洩部を閉塞可能な封止性化合物で構成する。前記封止性化合物としては、例えば、環状オレフィンオキシド類(例えば、シクロヘキセンオキシドなどのシクロアルケンオキシド)、残存シール剤に対する親和性基を有するオレフィンオキシド(例えば、グリシドールなどのヒドロキシアルケンオキシド)、ジケトン類(例えば、アセチルアセトンなどのβ−ジケトン類)などが挙げられる。前記シール剤は、さらに、前記封止性化合物の残存シール剤に対する吸収を促進可能な吸収促進剤(例えば、メタノールなどのアルカノール類など)を含んでいてもよい。
【選択図】なし
Description
本発明は、管路(例えば、ガス管などの気体供給または輸送用管路)の漏洩部(ネジ継手部など)をシールするのに有用なシール剤およびこのシール剤を用いたシール方法に関する。特に、ガス管の漏洩箇所からのガスの漏洩を広範囲又は広域に亘って抑制又は抑止するのに有用なシール剤とこのシール剤を用いたシール方法に関する。
従来から、ガス管の漏洩が発生した場合、地中管では、地上からボーリングなどで漏洩ガスの濃度の高いところを調べて、掘削して漏洩個所を発見し、ガス管や継手を取り替えることにより修理されている。しかし、この方法では漏洩個所が多いと、漏洩個所の発見、掘削や埋め戻しなどの多くの作業が必要となると共に補修費用が高くなる。さらに、この方法では、未だ漏洩にまでは至っていない管路や継手部などを予防的に保全することができない。さらに、小口径(例えば、口径100mm未満)のネジ継手部での腐食によるガス漏れが増加しつつあるが、このようなガス漏れは、漏洩するガスが微少であるため、前記の方法では効率よく対処できない。
ガスの漏洩を防止するため、管内にリメイン剤を導入する現行工法のひとつにガスコンディショニング法がある。この方法は、モノエチレングリコール(MEG)などをガバナーの出管から加温しながらガス流とともに挿入する方法である。この方法は、鋳鉄製の本管の鉛継手のヤーン(すなわち、継ぎ目に適用されたアスファルト)を加熱してMEGにより膨張・膨潤させてガスの漏洩を防止することを目的としている。しかし、この方法は、MEGなどを微細な液滴にして挿入するため、到達距離が限定されていた。また、液滴が、バルブやメーターなどのガス工作物、ガス機器に使用されるゴム材料等に付着するので、このような付着による悪影響を評価する必要がある。
さらに、シール剤を気泡と同伴させて管路内に導入するフォームシール工法も知られている。しかし、この方法では、気泡の移動距離が制約され、例えば、高低差が約10m以上である場合には、気泡とともにシール剤を効率よく移送できない。そのため、ビルディングなどの高層建築物において、共用内管を通じて各フロアに延びる配管内のガスの漏洩部位を抑止することが困難である。
特開平11−140423号公報(特許文献1)には、トリレンジイソシアネート系ウレタン樹脂又はジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート系ウレタン樹脂を含有する配管用シール剤が開示されている。この文献には、前記ウレタン系樹脂プレポリマーと、溶剤及び/又は可塑剤と、噴射剤とを含む配管用スプレーシール剤組成物、およびこの組成物を噴射させて漏洩部分に浸透させて硬化させる配管の修繕方法も記載されている。しかし、この方法では、噴射によるシール剤の飛散距離が2m程度と短いため、長い管路に対して適用できない。
また、特開2002−356670号公報(特許文献2)には、配管の漏洩部からのガスの漏洩を抑制するために、配管内のガス流とともに流通可能であり、かつ反応又は体積膨張により漏洩部を閉塞可能な封止性化合物で構成されているシール剤をガス配管内のガス流とともに流通させて、漏洩部からのガスの漏洩を抑制する方法が開示されている。この文献にはシール剤として、湿気反応硬化型成分、ラジカル重合硬化型成分、カチオン重合硬化型成分などを例示している。そして、前記カチオン重合硬化型成分として、ビニルエーテル類、カチオン重合性オレフィン、シクロアルカン類、ラクトン類、ラクタム類、環状エーテル類(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなど)などが記載されている。しかし、この文献の方法では、ガスの漏洩部においてシール剤を反応させる必要があるので、漏洩箇所を効率よくシールできず、また、このようなシール剤を使用しても充分に漏洩部を封止できない場合がある。また、使用する反応性モノマーに応じて流通させるモノマー濃度や温度あるいは重合開始剤の量などを調整する必要があり、シール手順が煩雑になる虞がある。さらに、このようなシール剤は、温度が低い場合、ガスの漏洩部を有効にシールできない場合がある。
特開平11−140423号公報(特許請求の範囲)
特開2002−356670号公報(特許請求の範囲、段落番号[0014]、[0019])
従って、本発明の目的は、配管の漏洩部(又は漏洩箇所)を簡便にかつ効率よく閉塞(抑止)するためのシール剤及びこのシール剤を用いたシール方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、温度などの変動の有無に拘わらず、配管の漏洩部[例えば、継手部(ネジ継手部など)の漏洩部]を確実にシールできるシール剤およびこのシール剤を用いたシール方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、配管の漏洩部を広域にわたって確実に抑止(又は閉塞)するのに有効なシール剤およびこのシール剤を用いたシール方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、ガス漏洩までには至っていないが、配管と残存シール剤との間に隙間が形成されつつある配管(配管の継手部)を効率よく復元(又は封止)できるシール剤及びこのシール剤を用いたシール方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、配管又はその周辺に使用されるゴム材料(配管通路に使用されるOリング、圧力調整やメーターに使用されるゴム材料など)などに吸収させることなく、配管の漏洩部を選択的にかつ効率よく閉塞できるシール剤およびこのシール剤を用いたシール方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、配管の漏洩が、通常、ガス管を配設してシールする部分のシール剤(又は目止め剤、通常、ネジ継手をシールするネジシール剤)が、減容又は体積減少(すなわち、残存したシール剤が減容)したり、シールされている箇所(通常、ネジ継手部)に何らかの圧力が作用してシールされている箇所から剥離するなどの原因により、配管に隙間が形成されることにより生じる場合が多いことに着目し、この配管の漏洩部の残存シール剤に対して少なくとも吸収性を有する封止性化合物を用いて、前記漏洩部に直接的(及び選択的)に吸収させて蓄積させると、前記漏洩部における反応を利用しなくても、簡便にかつ効率よく漏洩部を封止できること、温度などの変動に拘わらず配管の漏洩部を確実にシールできることを見いだした。また、本発明者らは、前記封止性化合物と、自ら残存シール剤に対して吸収される特性(さらには残存シール剤を膨張又は膨潤させる特性)を有し、前記封止性化合物の吸収性を促進又は向上できる促進剤とで構成されたシール剤を用いると、前記漏洩部をより一層効率よく封止できること、さらには、封止性化合物を配管又はその周辺に使用されるゴム材料(配管通路に使用されるOリング、圧力調整やメーターに使用されるゴム材料など)などに吸収させることなく、選択的に残存シール剤に吸収および蓄積させて漏洩部をシールできることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のシール剤(又は補修剤)は、配管の漏洩部を閉塞(抑止、封止)するためのシール剤であって、配管内の供給ガス流とともに流通可能であり、かつ配管の漏洩部に残存する残存シール剤に、吸収されて蓄積することにより前記漏洩部を閉塞可能な封止性化合物で構成されている。前記封止性化合物は、封止性化合物が、エポキシ基を有する化合物および複数のケトン基を有する化合物から選択された少なくとも1種で構成されていてもよい。例えば、前記シール剤は、比較的高沸点のオレフィンオキシド類、ジケトン類などであってもよい。例えば、前記シール剤は、沸点が50℃以上のオレフィンオキシド類、及びジケトン類から選択された少なくとも一種の封止性化合物で構成されていてもよい。特に、前記オレフィンオキシド類は、環状オレフィンオキシド類および残存シール剤に対して親和性を有する官能基(例えば、ヒドロキシル基など)を有するオレフィンオキシド類から選択された少なくとも1種であってもよく、前記ジケトン類はβ−ジケトン類であってもよい。代表的には、前記シール剤は、シクロアルケンオキシド類(例えば、置換基を有していてもよいC5−10シクロアルケンオキシドなど)、ヒドロキシアルケンオキシド類(置換基を有していてもよいヒドロキシC3−10アルケンオキシドなど)、β−脂肪族ジケトン類(例えば、置換基を有していてもよいβ−C5−10アルカンジオンなど)から選択された少なくとも1種の封止性化合物で構成されていてもよい。
なお、前記封止性化合物は、残存シール剤に吸収させるという観点から、比較的低い蒸気圧を有していてもよく、例えば、前記封止性化合物の蒸気圧は、20℃において5000Pa以下であってもよい。
また、前記シール剤は、少なくとも封止性化合物で構成されていればよく、より一層効率よく漏洩部を封止するため、さらに、封止性化合物の前記残存シール剤に対する吸収を促進するための吸収促進剤を含んでいてもよい。すなわち、前記シール剤は、前記封止性化合物と吸収促進剤とで構成してもよい。なお、このような吸収促進剤でシール剤を構成する場合、封止性化合物は、前記封止性化合物に限定されず、特開2002−356670号公報に記載の封止性化合物などで構成することもできる。前記吸収促進剤は、残存シール剤に吸収される性質を有する化合物、例えば、アルコール類(例えば、アルカノール類など)であってもよい。吸収促進剤を含む代表的なシール剤では、封止性化合物が、C5−10シクロアルケンオキシド類、ヒドロキシC3−10アルケンオキシド類、およびβ−C5−10アルカンジオン類から選択された少なくとも1種で構成されており、吸収促進剤が、C1−4アルカノール類で構成されていてもよい。
前記シール剤において、封止性化合物と吸収促進剤との割合は、前者/後者(重量比)=90/10〜1/99程度であってもよい。
本発明のシール剤は、配管の漏洩部を閉塞するのに有用である。そのため、本発明には、配管の漏洩部を閉塞するための方法であって、前記シール剤を、配管内の供給ガス流とともに流通させて、配管の漏洩部に残存する残存シール剤に対して吸収させて蓄積させ、配管の漏洩部を閉塞するシール方法(又は補修方法)も含まれる。
このようなシール方法において、前記シール剤を、供給ガス流に間欠的に供給してもよい。すなわち、供給ガス流に対して、シール剤を間欠的に供給して流通させてもよい。このような間欠的なシール剤の供給により、確実に残存シール剤に封止性化合物を蓄積でき、より一層効率よく漏洩部を封止できる。このようなシール方法(間欠的シール方法ということがある)では、シール剤を2〜15回に亘って間欠的に供給してもよい。すなわち、供給ガス流に対して、シール剤を供給して停止するサイクルを2〜15回(又は2〜15サイクル)に亘って行ってもよい。また、前記シール方法では、シール剤を一気に又はごく短時間のうちに供給してもよいが、通常、シール剤を所定の時間(例えば、12時間〜6ヶ月程度)かけて供給する供給サイクル(供給期間)と、シール剤の供給を所定の時間(例えば、12時間〜6ヶ月程度)に亘って(又はかけて)停止する停止サイクル(停止期間)とで構成されたサイクル(供給・停止サイクル)を、所定の回数(例えば、2〜15回程度の複数回)に亘って繰り返すことにより、シール剤を間欠的に供給してもよい。なお、シール剤の停止期間(詳細には第n回目(nは1以上の整数、以下同じ)の停止期間)は、シール剤の供給期間(詳細には第n回目の供給期間)に対応させて調整してもよい。例えば、供給時間(詳細には、第n回目にシール剤を供給する期間)と停止時間(詳細には、第n回目にシール剤の供給を停止する期間)との割合は、例えば、前者/後者=90/10〜10/90程度であってもよい。なお、このような間欠的な供給によるシール方法では、シール剤を構成する封止性化合物は、前記封止性化合物に限定されず、特開2002−356670号公報に記載の封止性化合物などで構成することもできる。
なお、前記間欠的シール方法において、シール剤は、前記と同様に、封止性化合物単独で構成してもよく、封止性化合物と前記吸収促進剤とで構成してもよい。すなわち、前記シール方法では、封止性化合物に加えて、さらに、封止性化合物の残存シール剤に対する吸収を促進するための吸収促進剤[例えば、アルカノール類(例えば、メタノールなどのC1−4アルカノール類)などのアルコール類]を供給ガス流に供給してもよい。このような吸収促進剤は、前記のように、残存シール剤に対する前記封止性化合物の吸収性(および蓄積性)、さらには、選択吸収性を促進又は向上させることができるため、より一層効率よく漏洩部を閉塞できる。前記吸収促進剤は、封止性化合物の選択吸収性を効率よく向上するため、供給ガス流に封止性化合物が存在している状態で供給ガス流に供給してもよい。
また、前記シール方法では、ガスの漏洩に至る前に予め前記シール剤を吸収させて蓄積させ、ガス漏洩を防止してもよい。また、前記シール方法では、前記シール剤を供給ガス流とともに流通させるので、広域であっても効率よく漏洩部をシールできる。そのため、前記シール方法では、広域の漏洩部をシールしてもよい。
なお、本明細書において、配管の「漏洩部」とは、少なくとも予め配管に施されているシール剤(例えば、配管のネジ継手部をシールするシール剤)が、減容(体積減少)している箇所(又は残存シール剤が存在している箇所)や剥離している箇所などを意味し、配管(配管のネジ継手部)とシール剤との間に隙間[配管のシール部分(例えば、継手部など)の隙間]が生じていればよく、必ずしもガスが漏洩していなくてもよい。また、本明細書において、「類」とは置換基を有していてもよいことを意味し、例えば、「ヒドロキシシクロアルケンオキシド類」とは、「置換基を有していてもよいヒドロキシシクロアルケンオキシド」と同意である。
本発明のシール剤(およびこのシール剤を用いたシール方法)は、配管の漏洩部の残存シール剤に対して少なくとも吸収性を有する封止性化合物で構成されており、配管の漏洩部のシール剤に直接的に吸収させて蓄積させることができるため、漏洩部の(又は漏洩部の残存シール剤に対する)補修剤として作用し、配管の漏洩部を簡便にかつ効率よく抑止できる。また、本発明のシール剤(およびこのシール剤を用いたシール方法)は、漏洩部の残存シール剤に吸収および蓄積させるので、温度などの変動の有無に拘わらず、配管の漏洩部を確実にシールできる。さらに、封止性化合物(および吸収促進剤)を供給ガスと共に流通させて、配管の漏洩部の残存シール剤に対して吸収させて漏洩部を閉塞するので、掘削して配管を補修するといった工事を必要とせず、さらに供給ガスを停止することなく簡便にかつ効率よく配管の漏洩部(さらには、ガスの漏洩)を確実に封止又は抑止できる。そのため、配管の漏洩部[例えば、継手部(ネジ継手部やメカニカル継手部など)の漏洩部など]を広域にわたって確実に封止できる。また、残存シール剤に吸収させて封止するので、ガス漏洩には至っていないが、配管と残存シール剤との間に隙間が形成されつつある配管(配管の継手部)も効率よく復元できる。
また、前記封止性化合物とこの封止性化合物の吸収性を促進できる促進剤とを併用すると、残存シール剤に対して封止性化合物を選択的に吸収させることができ、配管又はその周辺に使用されるゴム材料(配管通路に使用されるOリング、圧力調整やメーターに使用されるゴム材料など)などに吸収される封止性化合物の量を低減し、配管の漏洩部を選択的にかつ効率よく閉塞できる。
本発明のシール剤(又は補修剤)は、配管の漏洩部を閉塞(抑止、封止)するためのシール剤であって、配管内の供給ガス流とともに流通可能であり、かつ配管の漏洩部[詳細には、残存シール剤と配管(配管のネジ継手部)との間に形成された隙間]に残存する残存シール剤に、吸収されて蓄積することにより前記漏洩部を閉塞可能な封止性化合物で構成されている。
[封止性化合物]
前記封止性化合物は、配管内で流通している供給ガス(例えば、都市ガスなど)とともに流通可能である。すなわち、本発明のシール剤を構成する封止性化合物は、代表的には、常温常圧において蒸気圧を有しており、通常、気体状態である供給ガスとともに流通可能である。また、封止性化合物は、残存シール剤に接触して吸収されたのち、残存シール剤から脱離することなく蓄積する性質を有している。
前記封止性化合物は、配管内で流通している供給ガス(例えば、都市ガスなど)とともに流通可能である。すなわち、本発明のシール剤を構成する封止性化合物は、代表的には、常温常圧において蒸気圧を有しており、通常、気体状態である供給ガスとともに流通可能である。また、封止性化合物は、残存シール剤に接触して吸収されたのち、残存シール剤から脱離することなく蓄積する性質を有している。
すなわち、本発明のシール剤(又は封止性化合物)は、漏洩部に残存する残存シール剤に直接的(および選択的)に吸収および蓄積されるので、漏洩部の(又は漏洩部の残存シール剤に対する)補修剤として作用し、シランカップリング剤などの反応性モノマー自身を反応させてシールする場合などに比べて、効率よくかつ確実に漏洩部をシール(封止、閉塞)できる。特に、前記封止性化合物は、残存シール剤に直接吸収させるので、低濃度で供給ガスとともに流通しても、効率よくシールできるとともに、ガス工作物やガスの燃焼などに悪影響を与えることがない。また、前記シール剤は、残存シール剤に蓄積し、供給後においても残存シール剤から脱離しない(又は脱離しにくい)ため、漏洩部近傍における温度などの変動に拘わらず、長期に亘って有効に漏洩部をシールできる。
なお、吸収および蓄積のメカニズムは明らかではないが、前記封止性化合物が、前記残存シール剤(及び吸収促進剤)に対して何らかの親和性を有しており、この親和性により吸収されて残存シール剤を膨張(又は膨潤)させつつ、脱離することなく蓄積することにより漏洩部を封止するようである。
なお、封止性化合物は、上記のように、残存シール剤に吸収された後、蓄積される。そのため、封止性化合物の沸点は、比較的高い沸点であってもよく、例えば、50℃以上(例えば、50〜300℃)、好ましくは80℃以上(例えば、80〜250℃)、さらに好ましくは100℃以上(例えば、100〜220℃)、特に120〜200℃程度であってもよい。
また、封止性化合物の蒸気圧は、蓄積されるという観点から比較的小さい蒸気圧、例えば、20℃において、10000Pa以下(例えば、10〜9000Pa)、好ましくは8000Pa以下(例えば、20〜7000Pa)、さらに好ましくは5000Pa以下(例えば、30〜5000Pa)、特に40〜3000Pa(例えば、50〜2000Pa)、通常、60〜1500Pa(例えば、80〜1000Pa)程度であってもよい。特に、封止性化合物(前記オレフィンオキシド類など)の蒸気圧は、20℃において、例えば、500〜5000Pa、好ましくは600〜4000Pa、さらに好ましくは700〜3000Pa(例えば、750〜2500Pa)程度であってもよい。
前記のように、前記封止性化合物は、通常、残存シール剤(および吸収促進剤)に対して何らかの親和性を有しており、残存シール剤に対する親和性基(官能基、特性基、親和性官能基)を有している場合が多い。
このような親和性基としては、残存シール剤の種類(例えば、残存シール剤を構成する化合物の官能基の種類、極性など)に応じて、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基又はその誘導性基(酸無水物基など)、アミノ基、置換アミノ基(例えば、モノ又はジアルキルアミノ基など)、シアノ基、イソシアネート基、メルカプト基、エポキシ基、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子など)、アルデヒド基(ホルミル基)、アシル基[アルキルカルボニル基(アセチル基などのC1−4アルキル−カルボニル基など)、アロイル基(ベンゾイル基などのC6−10アリール−カルボニル基)など]、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニルなどのC1−4アルコキシカルボニル基)、オキソ基(=O)又はケトン基(−CO−)、アミド基(−NHCO−)、イミノ基(−NH−)などが挙げられる。封止性化合物は、これらの親和性基を単独で又は2種以上組みあわせて有していてもよい。特に、複数(又は異種)の親和性基を有する封止性化合物(例えば、ヒドロキシル基およびエポキシ基を有する化合物など)は、残存シール剤に対する親和性(さらには、吸収性、蓄積性)をより一層向上する傾向があるようである。
なお、封止性化合物は、重合性(ラジカル重合性、アニオン重合性、カチオン重合性、湿気重合性など)を有する化合物(例えば、ラジカル重合性化合物)であってもよい。このような重合性を有する封止性化合物としては、前記親和性基に加えて、重合性基[例えば、アルケニル基(ビニル基、アリル基など)などの重合性不飽和結合を有する炭化水素基、(メタ)アクリロイル基などのラジカル重合性基]を有する化合物が挙げられる。
なお、シール剤を封止性化合物と後述の吸収促進剤とで構成する場合や、シール剤を間欠的に供給するシール方法においては、封止性化合物として、残存シール剤に対して吸収されて蓄積する性質を有する限り、特開2002−356670号公報に記載の封止性化合物(例えば、シランカップリング剤、シアノアクリレート類、イソシアネート類、(メタ)アクリル系モノマー、ビニルエーテル類、カチオン重合性オレフィン、シクロアルカン類、ラクトン類、ラクタム類、環状エーテル類、環状スルファイド類、環状イミン類など)などを使用してもよい。
好ましい封止性化合物には、前記親和性基のうち、特に、少なくともエポキシ基又はケトン基を有する化合物などが含まれる。このような親和性基を有する化合物は、残存シール剤に対する吸収性および蓄積性が高い。
(エポキシ基を有する封止性化合物)
エポキシ基を有する封止性化合物は、エポキシ基[例えば、α,β−エポキシ基(又は1,2−エポキシ基)、α,γ−エポキシ基(又は1,3−エポキシ基)など]を有する化合物であればよく、残存シール剤に対する親和性の観点から、通常、オレフィンオキシド類(α,β−エポキシ基又は1,2−エポキシ基を有する化合物、オキシラン類)であってもよい。なお、エポキシ基を有する封止性化合物は、1つのエポキシ基を有していてもよく、複数のエポキシ基を有していてもよい。
エポキシ基を有する封止性化合物は、エポキシ基[例えば、α,β−エポキシ基(又は1,2−エポキシ基)、α,γ−エポキシ基(又は1,3−エポキシ基)など]を有する化合物であればよく、残存シール剤に対する親和性の観点から、通常、オレフィンオキシド類(α,β−エポキシ基又は1,2−エポキシ基を有する化合物、オキシラン類)であってもよい。なお、エポキシ基を有する封止性化合物は、1つのエポキシ基を有していてもよく、複数のエポキシ基を有していてもよい。
オレフィンオキシド類は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、炭化水素基[アルキル基(例えば、メチル基、エチル基などのC1−6アルキル基、好ましくはC1−4アルキル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基などのC2−6アルケニル基)、アルキリデン基(メチリデン基などのC1−4アルキリデン基など)などの脂肪族炭化水素基;シクロアルキル(例えば、シクロヘキシルなどのC5−10シクロアルキル基)などの脂環族炭化水素基;アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などのC6−10アリール基などの芳香族炭化水素基など]、アルコキシ基(メトキシ基などのC1−4アルコキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、前記親和性基[ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)などのエポキシ基を除く前記親和性基など]、(メタ)アクリロイル基、複素環基(例えば、2−フリル、2−チエニルなど)が挙げられる。オレフィンオキシド類は、これらの置換基を単独で又は2種以上組みあわせて有していてもよい。
特に、親和性基としてのエポキシ基に加えて、置換基として残存シール剤に対する親和性を有する官能基(エポキシ基以外の親和性基、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基など、特にヒドロキシル基)を有するオレフィンオキシド類は、残存シール剤に対する親和性をより一層向上できるためか、残存シール剤に対する吸収性および蓄積性が著しく高い。
代表的なオレフィンオキシド類としては、例えば、鎖状オレフィンオキシド類、環状オレフィンオキシド類(置換基を有していてもよい環状オレフィンオキシド)などが挙げられる。
鎖状オレフィンオキシド類としては、例えば、アルケンオキシド(2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘプタンなどのC6−20アルケンオキシドなど)、置換基を有するアルケンオキシド[例えば、ヒドロキシアルケンオキシド類(又はα,β−エポキシアルカノール類、例えば、2,3−エポキシプロパノール(グリシドール)、2,3−エポキシブタノール、3,4−エポキシブタノール、3,4−エポキシ−2−ブタノール、2,3−エポキシ−2−メチルプロパノールなどのヒドロキシC3−10アルケンオキシド類、好ましくはヒドロキシC3−8アルケンオキシド類、さらに好ましくはヒドロキシC3−6アルケンオキシド類)などの親和性基又は官能基を有するアルケンオキシドなど]などが例示できる。
環状オレフィンオキシド類としては、単環式オレフィンオキシド類[シクロアルケンオキシド類(又はα,β−エポキシシクロアルカン類)、シクロアルカジエンオキシド類(又はα,β−エポキシシクロアルケン類)など]、多環式オレフィンオキシド類(例えば、ジシクロアルケンオキシド類、トリシクロアルケンオキシド類など)などが挙げられる。
シクロアルケンオキシド類としては、例えば、シクロアルケンオキシド[例えば、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン(シクロヘキセンオキシド)、1,2−エポキシシクロヘプタン、1,2−エポキシシクロオクタンなどのC4−12シクロアルケンオキシド、好ましくはC5−10シクロアルケンオキシド]、置換基を有するシクロアルケンオキシド[例えば、アルキルシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−4−メチルシクロヘキサン、1,2−エポキシ−3−エチルシクロヘプタンなどのC1−6アルキル−C4−12シクロアルケンオキシド類、好ましくはC1−4アルキル−C5−10シクロアルケンオキシド類)、アルケニルシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンなどのC2−6アルケニル−C4−12シクロアルケンオキシド類、好ましくはC2−4アルケニル−C5−10シクロアルケンオキシド類)、アルキニルシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−4−プロピニルシクロオクタンなどのC2−6アルキニル−C4−12シクロアルケンオキシド類)、シクロアルキルシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−4−シクロヘキシルシクロヘプタンなどのC4−12シクロアルキル−C4−12シクロアルケンオキシド類)、アリールシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−5−フェニルシクロオクタンなどのC6−10アリール−C4−12シクロアルケンオキシド類、好ましくはC6−8アリール−C5−10シクロアルケンオキシド類)などの炭化水素基を有するシクロアルケンオキシド類;アルコキシシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−4−メトキシシクロヘプタンなどのC1−6アルコキシ−C4−12シクロアルケンオキシド類);ヒドロキシシクロアルケンオキシド類(例えば、2,3−エポキシシクロブタノール、2,3−エポキシシクロペンタノール、2,3−エポキシシクロヘキサノール、1,2−エポキシ−4−ヒドロキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−5−ヒドロキシシクロオクタン、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサノールなどのヒドロキシC4−12シクロアルケンオキシド類、好ましくはヒドロキシC5−10シクロアルケンオキシド類)、カルボキシシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−4−カルボキシシクロヘキサンなどのカルボキシC4−12シクロアルケンオキシド類)、アミノシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−3−アミノシクロヘプタンなどのアミノC4−12シクロアルケンオキシド類)などの官能基又は親和性基を有するシクロアルケンオキシド類など]などが挙げられる。
シクロアルカジエンオキシド類としては、前記シクロアルケンオキシド類に対応する化合物、例えば、α,β−エポキシシクロアルケン類(例えば、4,5−エポキシシクロヘキセン、3,4−エポキシシクロヘプテンなどのα,β−エポキシC4−12シクロアルケン類)、置換基を有するα,β−エポキシシクロアルケン[例えば、アルキルα,β−エポキシシクロアルケン類(例えば、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキセンなどのα,β−エポキシC1−6アルキルC4−12シクロヘキセン類)、α,β−エポキシシクロアルキルシクロアルケン類(例えば、5,6−エポキシ−3−シクロヘキシルシクロヘキセンなどのα,β−エポキシC5−10シクロアルキルC4−12シクロアルケン類)などの炭化水素基を有するシクロアルカジエンオキシド類;α,β−エポキシアルコキシシクロヘキセン類(例えば、3,4−エポキシ−6−エトキシシクロオクテンなどのα,β−エポキシC1−6アルコキシ−C4−12シクロヘキセン類);ヒドロキシアルキル−α,β−エポキシシクロアルケン類(例えば、3,4−エポキシ−5−ヒドロキシメチルシクロヘキセンなど)、カルボキシアルキル−α,β−エポキシシクロアルケン類(5,6−エポキシ−3−カルボキシエチルシクロヘプテンなど)などの官能基又は親和性基を有するシクロアルカジエンオキシド類など]などが挙げられる。
エポキシ基を有する封止性化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
(ケトン基を有する封止性化合物)
ケトン基を有する封止性化合物は、分子中に少なくとも1つのケトン基を有する化合物であればよく、本発明では、2つ以上(例えば、2〜4)のケトン基を有する化合物、特に、ジケトン類(置換基を有していてもよいジケトン)を好適に使用できる。ジケトン類は、α−ジケトン類(又は1,2−ジケトン類)、β−ジケトン類(又は1,3−ジケトン類)、γ−ジケトン類(又は1,4−ジケトン類)などが挙げられ、特に、残存シール剤に対する親和性の観点から、ケト−エノール互変異性を有するβ−ジケトン類が好ましい。
ケトン基を有する封止性化合物は、分子中に少なくとも1つのケトン基を有する化合物であればよく、本発明では、2つ以上(例えば、2〜4)のケトン基を有する化合物、特に、ジケトン類(置換基を有していてもよいジケトン)を好適に使用できる。ジケトン類は、α−ジケトン類(又は1,2−ジケトン類)、β−ジケトン類(又は1,3−ジケトン類)、γ−ジケトン類(又は1,4−ジケトン類)などが挙げられ、特に、残存シール剤に対する親和性の観点から、ケト−エノール互変異性を有するβ−ジケトン類が好ましい。
ジケトン類(特に、β−ジケトン類)は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記例示の置換基(例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基などの炭化水素基、ヒドロキシル基などの親和性基など)などが挙げられる。ジケトン類は、これらの置換基を単独で又は2種以上組みあわせて有していてもよい。
前記ジケトン類としては、例えば、鎖状ジケトン類、環状ジケトン類などが例示できる。
鎖状ジケトン類としては、脂肪族ジケトン類、例えば、アルカンジオン類{アルカンジオン(例えば、ビアセチル、アセチルアセトン、2,3−ヘキサンジオン、2,4−ヘキサンジオン、2,6−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオンなどのC4−12アルカンジオン類、好ましくはC5−10アルカンジオン類)、置換基を有するアルカンジオン[例えば、アルキルアルカンジオン類(例えば、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、3−エチル−2,4−ヘプタンジオン、2−エチル−3,5−オクタンジオンなどのC1−6アルキル−C4−12アルカンジオン、好ましくはC1−4アルキル−C5−10アルカンジオン類)、アルケニルアルカンジオン類(例えば、4−ビニル−3,5−ヘプタンジオンなどのC2−6アルケニル−C4−12アルカンジオン類)、シクロアルキルアルカンジオン類(例えば、2−シクロヘキシル−4,5−オクタンジオンなどのC4−10シクロアルキルC4−12アルカンジオン類)、アリールアルカンジオン類(例えば、5−フェニル−2,4−ヘキサンジオンなどのC6−10アリールC4−12アルカンジオン類)などの炭化水素基を有するアルカンジオン類;アルコキシアルカンジオン類(例えば、3−メトキシ−2,4−ペンタンジオンなどのC1−6アルコキシC4−12アルカンジオン);アミノ又は置換アミノアルカンジオン類(例えば、4−アミノ−2,3−ヘキサンジオン、3−エチルアミノ−2,6−オクタンジオン、2−アニリノ−3,5−ヘプタンジオンなどのアミノ又は置換アミノC4−12アルカンジオン類)、ヒドロキシアルカンジオン類(例えば、2−ヒドロキシ−3,5−ヘプタンジオンなどのヒドロキシC4−12アルカンジオン類)、α,β−エポキシアルカンジオン類(例えば、1,2−エポキシ−3,5−ヘキサンジオンなどのα,β−エポキシC4−12アルカンジオン類)などの親和性基又は官能基を有するアルカンジオン類など]、アルケンジオン類[例えば、アルケンジオン(例えば、4−ペンテン−2,3−ジオン、5−ヘキセン−2,4−ジオンなどC5−12アルケンジオン)など]などが含まれる。
環状ジケトン類としては、例えば、単環式ジケトン類、多環式ジケトン類などが挙げられる。単環式ジケトン類としては、シクロアルカンジオン類[例えば、シクロアルカンジオン(例えば、1,3−シクロブタンジオン、1,2−シクロペンタンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,4−シクロヘキサンジオンなどのC4−12シクロアルカンジオン、好ましくはC5−10シクロアルカンジオン)、置換基を有するシクロアルカンジオン(例えば、4−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンなどのアルキルシクロアルカンジオン類;5−メトキシ−1,3−シクロヘキサンジオンなどのアルコキシシクロアルカンジオン類など)、シクロアルケンジオン類[例えば、シクロアルケンジオン(例えば、4−シクロヘキセン−1,3−ジオン、5−シクロヘキセン−1,3−ジオンなどのC4−12シクロアルケンジオン)、置換基を有するシクロアルケンジオン(例えば、6−メチル−4−ヘキセン−1,3−ジオンなどのアルキルシクロヘキセンジオン類など)、α,β−エポキシシクロアルカンジオン類(例えば、4,5−エポキシ−1,3−シクロヘキサンジオンなどのα,β−エポキシC4−12シクロアルカンジオン類)など]などが例示できる。多環式ジケトン類には、例えば、ビシクロアルカンジオン類(例えば、2,3−ジヒドロ−1,4−ナフタレンジオン、5,6−エポキシ−2,3−ペルヒドロナフタレンジオンなど)、トリシクロアルカンジオン類(例えば、1,4−ジヒドロ−1,4−アントラセンジオンなど)などが含まれる。
ケトン基を有する封止性化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい封止性化合物には、高沸点(例えば、沸点50℃以上)のオレフィンオキシド類[例えば、前記C6−20アルケンオキシド(例えば、C8−15アルケンオキシド)類、環状オレフィンオキシド類、残存シール剤に対して親和性を有する官能基(前記親和性基のうち、エポキシ基を除く基、例えば、ヒドロキシル基など)を有するオレフィンオキシド類など]、ジケトン類(特に、β−ジケトン類)などが含まれ、特に、シクロアルケンオキシド類(例えば、C5−10シクロアルケンオキシド類、好ましくはC5−8シクロアルケンオキシド類など)、ヒドロキシアルケンオキシド類(例えば、ヒドロキシC3−10シクロアルケンオキシド類、好ましくはヒドロキシC3−6シクロアルケンオキシド類など)、β−脂肪族ジケトン類[β−アルカンジオン類(例えば、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオンなどのβ−C5−10アルカンジオン類、好ましくはβ−C5−8アルカンジオン類など)など]などが好ましい。
なお、封止性化合物は、供給ガスと共に流通するため、供給ガスとともに燃焼(完全燃焼)可能であるのが好ましい。すなわち、前記封止性化合物は、残存シール剤に対して選択的に吸収されるが、過剰量の流通により、残存シール剤に吸収されることなく流通又は通過した封止性化合物は、供給ガスとともに燃焼される。そのため、封止性化合物は、通常、炭素原子と水素原子と(さらに酸素原子と)を主成分とする化合物(微量の窒素原子などを含んでいてもよい化合物)であってもよい。このような観点からも、前記オレフィンオキシド類やジケトン類は、封止性化合物として好ましい。
前記シール剤において、封止性化合物は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
本発明のシール剤は、前記封止性化合物で少なくとも構成されていればよく、封止性化合物単独で構成してもよく、前記封止性化合物と、この封止性化合物の残存シール剤に対する吸収を促進するための吸収促進剤とで構成されていてもよい。以下に、吸収促進剤について詳述する。
[吸収促進剤]
吸収促進剤は、残存シール剤に対する前記封止性化合物の吸収性を促進又は向上させる特性を有している。詳細には、吸収促進剤は、自ら残存シール剤に対して吸収される性質を有するとともに、封止性化合物を残存シール剤に対して吸収させやすくする性質を有している。すなわち、前記吸収促進剤は、残存シール剤に対する前記封止性化合物の吸収性(および蓄積性)、さらには、選択吸収性を促進又は向上させる。吸収促進剤を使用することにより、封止性化合物の吸収性を促進できる理由は定かではないが、吸収促進剤が残存シール剤に対して吸収されることにより、残存シール剤を膨張(又は膨潤)させ、封止性化合物が膨張した残存シール剤に吸収されやすくなるものと考えられる。また、吸収促進剤が封止性化合物に対して親和性を有しており、この親和性により、吸収促進剤で膨潤した残存シール剤に吸収されやすくなることも考えられる。
吸収促進剤は、残存シール剤に対する前記封止性化合物の吸収性を促進又は向上させる特性を有している。詳細には、吸収促進剤は、自ら残存シール剤に対して吸収される性質を有するとともに、封止性化合物を残存シール剤に対して吸収させやすくする性質を有している。すなわち、前記吸収促進剤は、残存シール剤に対する前記封止性化合物の吸収性(および蓄積性)、さらには、選択吸収性を促進又は向上させる。吸収促進剤を使用することにより、封止性化合物の吸収性を促進できる理由は定かではないが、吸収促進剤が残存シール剤に対して吸収されることにより、残存シール剤を膨張(又は膨潤)させ、封止性化合物が膨張した残存シール剤に吸収されやすくなるものと考えられる。また、吸収促進剤が封止性化合物に対して親和性を有しており、この親和性により、吸収促進剤で膨潤した残存シール剤に吸収されやすくなることも考えられる。
なお、吸収促進剤は、残存シール剤に対して蓄積する性質を有していてもよいが、通常、残存シール剤に対して吸収される性質を有し、かつ残存シール剤に対して蓄積しない性質を有している。すなわち、吸収促進剤を残存シール剤に対して吸収させて放置(常温又は加熱下での放置など)すると、吸収された吸収促進剤(吸収促進剤の一部又は全部)が、残存シール剤から脱離する(又は脱離しやすい)性質を有している。このような残存シール剤に対して蓄積しない(又は残存シール剤から脱離しやすい)という点で、吸収促進剤と封止性化合物とは異なる。ただし、吸収促進剤は、単独で使用したとき、残存シール剤に蓄積しない性質を有しており、封止性化合物と併用したとき、なんらかの作用(例えば、封止性化合物との反応など)により残存シール剤に対して蓄積可能であってもよい。
吸収促進剤としては、封止性化合物と同様に、配管内で流通している供給ガス(例えば、都市ガスなど)とともに流通可能であり、残存シール剤に対して吸収される性質を有していればよく、残存シール剤の種類に応じて適宜選択できる。
吸収促進剤は、供給ガスとともに流通可能であれば、常温において、気体、液体、固体のいずれであってもよく、通常、液体であってもよい。吸収促進剤の沸点は、例えば、30℃以上(例えば、35〜250℃)、好ましくは40℃以上(例えば、45〜200℃)、さらに好ましくは50℃以上(例えば、55〜150℃)、特に55℃以上(例えば、60〜120℃)程度であってもよい。
代表的な吸収促進剤としては、慣用の溶媒、例えば、炭化水素類[例えば、脂肪族炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカンなどのC5−10アルカン類など)、脂環族炭化水素類(例えば、シクロペンタン、シクロヘキサンなどのC5−8シクロアルカンなど)]、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレンなどのC6−10アレーンなど)など]、アルコール類[アルカノール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、イソアミルアルコール、オクタノール、デカノールなどのC1−10アルカノール、好ましくはC1−6アルカノールなど)などの脂肪族アルコール類;シクロアルカノール類(例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどのC5−8シクロアルカノールなど)などの脂環族アルコール類など]、エーテル類[ジアルキルエーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなど)などの鎖状エーテル類;ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など]、ケトン類[ジアルキルケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのジC1−4アルキルケトン類など)などの脂肪族ケトン類;シクロアルカノン類(例えば、シクロヘキサノンなどのC5−8シクロアルカノンなど)などのモノケトン類など]、エステル類[例えば、カルボン酸アルキルエステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸C1−4アルキルエステルなど)など]などが挙げられる。
好ましい吸収促進剤には、残存シール剤の種類にもよるが、アルコール類[例えば、C1−4アルカノール(メタノール、エタノール、ブタノールなど)などのアルカノール類]などが含まれる。
吸収促進剤は、単独で又は2種以上組みあわせて使用してもよい。
前記封止性化合物および吸収促進剤でシール剤を構成する場合、シール剤の形態は、封止性化合物と吸収促進剤とを組みあわせて使用できる形態であればよく、封止性化合物と吸収性化合物とが互いに混合(溶解、分散など)した混合物の形態、封止性化合物と吸収性化合物とが混合することなく分離している形態などであってもよい。後者の形態は、封止性化合物と吸収性化合物とが反応可能な場合などにおいて有用である。また、後述するように、本発明のシール方法においては、封止性化合物と吸収促進剤とは、混合物の形態で用いてもよく、個別に用いてもよい。
シール剤において、封止性化合物と吸収促進剤との割合は、前者/後者(重量比)=90/10〜1/99、好ましくは70/30〜2/98、さらに好ましくは50/50〜3/97、特に30/70〜5/95程度であってもよい。なお、上記割合は、前記のように、混合物における割合(混合割合)であってもよく、シール剤としての使用時における割合(使用割合)であってもよい。
また、本発明のシール剤は、さらに必要に応じて他の成分(例えば、反応又は重合開始剤など)を含んでいてもよい。
なお、前記シール剤(又は封止性化合物)は、残存シール剤に対して吸収されたのち、残存シール剤に蓄積(又は残留)する。蓄積の形態は、特に限定されず、残存シール剤に対する吸着(物理吸着、化学吸着など)などであってもよく、残存シール剤に対して反応して蓄積してもよい。
なお、残存シール剤を構成するシール剤(又はネジシール剤)としては、特に限定されず、慣用のシール剤、例えば、フェノール樹脂系シール剤(フェノール樹脂をベース又は構成成分とするシール剤、以下同じ)、エポキシ樹脂系シール剤、アクリル樹脂系シール剤、ゴム系シール剤(シリコーン変性オレフィン系樹脂などのゴム変性樹脂など)などが例示できる。なお、エポキシ基を有する封止性化合物や複数のケトン基を有する化合物は、特に、フェノール樹脂系(又はフェノール樹脂をベースとする)シール剤に吸収および蓄積されやすいようである。フェノール樹脂系シール剤において、フェノール樹脂は、ノボラック樹脂、レゾール樹脂などであってもよいが、通常ノボラック樹脂であってもよい。なお、ノボラック樹脂は、酸触媒の存在下、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、エチルフェノールなどのC1−4アルキルフェノール、ジヒドロキシベンゼン、レゾルシノール、ナフトールなど)とアルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒドなどの芳香族アルデヒドなど)との反応により得られる。
残存シール剤(例えば、フェノール樹脂系シール剤)は、種々の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤など)、充填剤[鉱物質物質(例えば、タルク、マイカなど)、金属酸化物(アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタンなど)など]、着色剤(カーボンブラックなど)、難燃剤などを含んでいてもよい。残存シール剤は、これらの添加剤を単独で又は2種以上組みあわせて含んでいてもよい。これらの添加剤の割合は、残存シール剤(又はネジシール剤)全体に対して、1〜80重量%、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜60重量%程度であってもよく、通常20〜75重量%(例えば、30〜65重量%程度)であってもよい。
[シール方法]
本発明のシール剤は、配管の漏洩部に残存する残存シール剤に吸収されて蓄積することにより、前記漏洩部を閉塞するのに有効である。すなわち、本発明のシール方法は、前記封止性化合物(および吸収促進剤)で構成されたシール剤(又は補修剤)を、配管内の供給ガス流とともに流通させて、配管の漏洩部に残存する残存シール剤に対して少なくとも吸収させて蓄積させ、配管の漏洩部を閉塞する。
本発明のシール剤は、配管の漏洩部に残存する残存シール剤に吸収されて蓄積することにより、前記漏洩部を閉塞するのに有効である。すなわち、本発明のシール方法は、前記封止性化合物(および吸収促進剤)で構成されたシール剤(又は補修剤)を、配管内の供給ガス流とともに流通させて、配管の漏洩部に残存する残存シール剤に対して少なくとも吸収させて蓄積させ、配管の漏洩部を閉塞する。
このような本発明の方法は、気体を流通させる種々の管体(又は配管)、特に都市ガスなどのガス管に適用でき、配管は1つの流路に限らず複数の流路を有する分岐管であってもよい。配管の種類は特に限定されず、種々の配管又は管路(例えば、平均内径15〜100mmφ程度の管体)に有効に適用できる。特に、シール剤との間に隙間が生じやすい配管、例えば、本管から分岐した枝管の継手部(例えば、微小のガス漏れが生じやすいネジ継手部など)を有する管体又は管路に有効に適用でき、ガスの漏洩を有効に抑止又は防止できる。
前記シール方法では、残存シール剤に対して選択的に封止性化合物を吸収および蓄積させるので、漏洩部で単に反応させる場合などに比べて、比較的少量のシール剤であっても、効率よく確実に漏洩部を閉塞できる。例えば、前記シール方法において、封止性化合物の割合(供給割合、流通割合)は、供給ガス流全体(ガスとシール剤との総量)に対して、体積基準で、0.1〜15000ppm、好ましくは0.3〜10000ppm(例えば、0.5〜8000ppm)、さらに好ましくは1〜5000ppm、通常0.2〜3000ppm(好ましくは0.3〜1000ppm、さらに好ましくは0.5〜800ppm)程度であってもよい。特に、本発明のシール方法では、シール剤の割合は、供給ガス流全体(ガスとシール剤との総量)に対して、体積基準で、例えば、好ましくは0.1〜500ppm、さらに好ましくは0.3〜400ppm、特に好ましくは1〜300ppm、最も好ましくは5〜200ppm(例えば、10〜150ppm)程度であっても漏洩部を閉塞できる。
また、前記のように、封止性化合物と吸収促進剤とを組み合わせると、より一層効率よく漏洩部を閉塞できる。詳細には、封止性化合物は、単独でも残存シール剤に対して吸収されて蓄積されるが、残存シール剤は減容しており、一部において、残存シール剤に吸収されることなくガスとともに流通する場合がある。また、前記封止性化合物は、残存シール剤のみならず、配管又はその周辺に使用されるゴム材料[配管通路に使用されるOリング、圧力調整やメーターに使用されるゴム材料(例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)など)]などに吸収される虞がある。このようなゴム材料に吸収された封止性化合物は、吸収されるものの、通常蓄積しないため、ゴム材料を膨張又は膨潤させるのみである。そのため、封止性化合物単独で使用する場合には、供給ガス流に対して低濃度で封止性化合物を流通させたり、残存シール剤に十分な封止性化合物を蓄積させるには長時間を要する場合がある。
そこで、本発明では、封止性化合物と吸収促進剤とを組みあわせて用い、吸収促進剤を残存シール剤に吸収させて(さらに膨張又は膨潤させて)、残存シール剤に対してより一層選択的に封止性化合物を吸収させることにより、封止性化合物の残存シール剤に対する吸収性(選択吸収性)を促進又は向上させて漏洩部をより一層効率よくシールしてもよい。すなわち、前記封止性化合物で構成されたシール剤を、配管内の供給ガス流とともに流通させて、配管の漏洩部に残存する残存シール剤に対して吸収させて蓄積させ、配管の漏洩部を閉塞するシール方法において、前記封止性化合物とともに、前記吸収促進剤を流通させることにより、前記封止性化合物の残存シール剤に対する吸収性および蓄積性を向上させることができる。
吸収促進剤を使用する場合、吸収促進剤の割合(供給割合、流通割合)は、供給ガス流全体(ガスとシール剤との総量)に対して、体積基準で、0.1〜200000ppm(例えば、0.1〜100000ppm)、好ましくは0.3〜70000ppm(例えば、0.5〜50000ppm)、さらに好ましくは1〜30000ppm(例えば、10〜20000ppm)程度であってもよい。本発明では、吸収促進剤を併用することにより、吸収されやすい環境で封止性化合物を残存シール剤に吸収(および蓄積)させるので、低濃度のシール剤の供給であっても、短時間でシール可能である。さらに、封止性化合物と吸収促進剤との割合(供給割合、流通割合)は、例えば、前者/後者(体積比)=95/5〜0.5/99.5(例えば、90/10〜1/99)、好ましくは80/20〜2/98(例えば、70/30〜3/97)、さらに好ましくは60/40〜4/96(例えば、50/50〜5/95)程度であってもよく、通常40/60〜5/95(例えば、30/70〜6/94)程度であってもよい。
本発明では、このような低濃度でシール剤を供給したり、後述のように間欠的にシール剤を供給することにより、ガスの燃焼、ガス工作物(バルブ、メーターなど)、ガス機器などに対する影響をより一層低減して漏洩部を閉塞できる。
なお、配管を流通する供給ガスに、前記シール剤を添加して共に流通させる方法としては、特に限定されず、例えば、供給ガスを減圧して流通するためのガバナ又はガバナよりも下流の適当な場所(例えば、中圧に減圧するガバナ、中圧配管の任意の場所、低圧に減圧するガバナ、ガバナを通過した配管(低圧配管)の任意の場所)に前記シール剤を添加してもよい。通常、漏洩部を閉塞するという観点から、少なくともシール剤(残存シール剤)によりシールされている箇所(継ぎ手部分など)よりも、ガス流の上流側において前記シール剤を添加するのが好ましい。特に、ガス漏れが多数起こっている地域、配管が古くなり、漏れが懸念される地域の配管の上流側に前記シール剤を添加してもよい。
上記のような本発明のシール方法は、前記漏洩部を閉塞するので、漏洩部からのガス漏洩を抑止又は抑制するのに有用である。なお、前記シール方法は、微量のガス漏れなどの発見されにくいガス漏洩であっても、効率よく抑止できる。
また、前記シール方法では、前記配管の漏洩部(又は残存シール剤)に、ガスの漏洩に至る前に前記シール剤を吸収させて蓄積させ、ガス漏洩を防止することも可能である。すなわち、前記方法では、減容(又は減肉、体積減少)したシール剤(残存シール剤)に対して、前記封止性化合物を吸収および蓄積させて前記残存シール剤を膨張(又は膨潤)させる(特に、吸収促進剤を使用する場合には、吸収促進剤を吸収させて膨張又は膨潤させつつ、前記封止性化合物を残存シール剤に吸収および蓄積させる)ことにより前記漏洩部を閉塞するので、ガス漏洩には至っていないものの、シール剤の減容が生じて隙間が生成しつつある漏洩部であっても閉塞又は抑止できる。
さらに、前記方法では、ガス流を利用して漏洩部を閉塞するので、供給ガスを停止することなく、広域の漏洩部(ガス漏洩部など)をシールするのに有効であり、ガス管などからの漏洩箇所を探索して掘削し、ガス管を補修(復元)するなどの手間を省略することができる。
なお、シール剤の供給において、封止性化合物と吸収促進剤とを組み合わせる場合、封止性化合物と吸収促進剤とは、少なくとも配管(又はガス流)内において、混合されればよく、予め封止性化合物と吸収促進剤とを混合した混合物を供給ガスに供給(又は添加)してもよく、封止性化合物と吸収促進剤とを個別に供給ガスに供給してもよい。個別に供給する方法では、同一の箇所から封止性化合物と吸収性化合物とを供給してもよく、異なる箇所(例えば、ガバナと、配管内の任意の箇所と)において封止性化合物と吸収性化合物とを個別に供給してもよい。
前記シール剤は、供給ガス(又は配管)に対して定常的に流通(又は添加)させてもよいが、通常、所定の期間(例えば、1日〜1年、好ましくは3日〜半年、一週間〜三ヶ月程度)、供給ガスに対して流通させたのち、シール剤の流通を停止してもよい。特に、本発明では、残存シール剤に対して吸収した前記封止性化合物は確実に蓄積されるので、比較的少量のシール剤を長期に亘って(例えば、二週間〜6ヶ月、好ましくは1〜3ヶ月程度)流通させてもよい。特に、吸収促進剤を併用することにより、残存シール剤に対する封止性化合物の選択吸収性を高めることができる。なお、流通の停止時期は、適宜調整でき、既にガス漏洩した漏洩部を封止する場合には、漏れの発生件数が大きく減少したことを確認したのち、シール剤の流通を停止してもよい。また、シール剤の流通は、連続的に行ってもよく、断続的に又は間欠的に行ってもよい。
なお、必要に応じて、配管を加熱又は加温しながら前記シール剤を流通してもよい。配管の加熱又は加温は慣用の方法で行うことができ、配管の外部から加熱手段(ヒーター、熱媒など)により加熱してもよく、加熱気体(加熱空気、加熱水蒸気などの加熱媒体)を配管内に導入することにより配管を加熱又は加温してもよい。
特に、前記シール方法において、前記シール剤を供給ガス流に間欠的に供給すると、より一層効率よく漏洩部を封止できる。詳細には、前記シール剤(又は封止性化合物)は、残存シール剤に対して吸収されて蓄積され、漏洩部の(又は漏洩部の残存シール剤に対する)補修剤として作用するが、一部において、残存シール剤に吸収されることなくガスとともに流通する場合がある。また、前記封止性化合物は、前記のように、残存シール剤のみならず、通常、配管又はその周辺に使用されるゴム材料などに吸収されるものの、通常蓄積せず、ゴム材料を膨張又は膨潤させるのみである。そのため、封止性化合物を使用する場合には、前記ゴム材料などに対するシール剤の吸収(又はゴム材料の膨張)を抑制しつつ漏洩部を閉塞するため、供給ガス流に対して低濃度で封止性化合物を流通させるなどの対策が必要となる場合がある。このため、漏洩部の閉塞のために、残存シール剤に十分な封止性化合物を蓄積させるには長時間を要する場合がある。
そこで、本発明では、シール剤の供給を、一回ではなく、間欠的に(又は複数回に分けて)行うことにより、より一層効率よく漏洩部を閉塞してもよい。すなわち、前記ゴム材料などに吸収された封止性化合物は、吸収されるものの蓄積しないため、シール剤の供給を停止すると、徐々に脱離してゴム材料などを元の状態に復元する。一方、残存シール剤に吸収されたシール剤(封止性化合物)は、シール剤の供給を停止しても、脱離する(又は放出される)ことなく残存シール剤に蓄積する。そのため、本発明では、供給ガス流に対するシール剤の供給と停止とを繰り返して間欠的にシール剤を供給し、ゴム材料などに吸収された封止性化合物を脱離させつつ、残存シール剤に封止性化合物を蓄積させることにより確実に漏洩部をシールしてもよい。また、前記シール剤(封止性化合物)は、通常、ゴム材料などに対してよりも残存シール剤に対して吸収されやすいため、間欠的にシール剤を供給することにより、より一層選択的に残存シール剤に吸収させることができ、ゴム材料などに吸収されるシール剤の量を低減しつつ効率よく漏洩部を閉塞できる。
以下に、シール剤を間欠的に供給する方法について詳述する。
[シール剤の間欠供給方法]
前記シール剤(例えば、封止性化合物)を供給ガスに供給又は添加する回数(あるいは供給又は添加を停止する回数)は、間欠的な供給を実現できる範囲[すなわち、2回以上(例えば、2〜100回程度)]であればよく、供給時間などにもよるが、例えば、2〜50回(例えば、2〜30回)、好ましくは2〜20回、さらに好ましくは3〜15回(例えば、3〜10回)、特に4〜8回程度であってもよい。
前記シール剤(例えば、封止性化合物)を供給ガスに供給又は添加する回数(あるいは供給又は添加を停止する回数)は、間欠的な供給を実現できる範囲[すなわち、2回以上(例えば、2〜100回程度)]であればよく、供給時間などにもよるが、例えば、2〜50回(例えば、2〜30回)、好ましくは2〜20回、さらに好ましくは3〜15回(例えば、3〜10回)、特に4〜8回程度であってもよい。
前記シール剤(例えば、封止性化合物)の供給(および停止)は、一気に又はごく短時間のうちに行ってもよいが、通常、連続的に所定の時間行う場合が多い。特に、前記シール方法では、シール剤を所定の時間かけて連続的に供給する供給サイクル(供給期間)と、シール剤の供給を所定の時間かけて連続的に停止する停止サイクル(停止期間)とで構成されたサイクル(供給・停止サイクル)を繰り返すことにより、シール剤を間欠的に供給してもよい。このようなサイクル数(供給・停止サイクル数)は、前記シール剤の供給回数(又は停止回数)と同様の範囲(例えば、3〜10回程度)であればよい。
一回の供給(又は供給サイクル)において、シール剤(例えば、封止性化合物)の供給時間(又は供給期間、すなわち、シール剤を供給してから停止するまでの時間)は、10分以上(例えば、30分〜1年程度)の範囲から選択でき、例えば、1時間〜10ヶ月(例えば、3時間〜8ヶ月)、好ましくは6時間〜8ヶ月(例えば、12時間〜6ヶ月)、さらに好ましくは1日〜4ヶ月(例えば、2日〜3ヶ月)、特に3日〜2ヶ月程度であってもよい。
また、一回の停止(又は停止サイクル)において、シール剤の停止時間(又は停止期間、すなわち、シール剤の供給を停止してから再びシール剤を供給するまでの時間)は、10分以上(例えば、30分〜1年程度)の範囲から選択でき、例えば、1時間〜10ヶ月(例えば、3時間〜8ヶ月)、好ましくは6時間〜8ヶ月(例えば、12時間〜6ヶ月)、さらに好ましくは1日〜4ヶ月(例えば、2日〜3ヶ月)、特に3日〜2ヶ月程度であってもよい。
なお、供給期間および停止期間は、各サイクルにおいて同じであってもよく、異なっていてもよい。すなわち、第n回目のシール剤の供給期間(又は停止時間)と、第n+1回目のシール剤の供給期間(又は停止期間)とは同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、前記のような供給・停止サイクルの繰り返しにおいて、最後のサイクルの停止時間(停止サイクルの時間)は、もはや漏洩部が充分に閉塞されているため、必ずしも上記範囲でなくてもよく、次回のシール(サイクル)までの比較的長期間[例えば、3ヶ月以上(例えば、6ヶ月〜10年程度)]であってもよい。
なお、シール剤の供給時間および停止時間は、供給ガスと流通させるシール剤の濃度などに応じて適宜選択できる。また、供給時間と停止時間とは、相互に関連又は対応しており、例えば、比較的長時間に亘って供給した場合には、ゴム材料などに多くの封止性化合物が吸収されていることが予想されるため、長時間に亘って停止することにより封止性化合物をゴム材料などから脱離させてもよい。そのため、供給時間と停止時間(詳細には、第n回目にシール剤を供給する期間と、第n回目にシール剤の供給を停止する期間)との割合は、例えば、前者/後者=90/10〜90/10(例えば、85/15〜15/85)、好ましくは80/20〜20/80(例えば、75/25〜25/75)、さらに好ましくは70/30〜30/70(例えば、65/35〜35/65)、特に60/40〜40/60(例えば、55/45〜45/55)程度であってもよい。
なお、最初のシール剤の供給開始から、最後のシール剤の供給停止までの時間は、例えば、1日〜2年、好ましくは5日〜1年、さらに好ましくは10日〜6ヶ月、特に2週間〜5ヶ月程度であってもよい。
なお、前記シール方法では、供給ガス流とともに、シール剤のうち、少なくとも前記封止性化合物を供給すればよく、他の成分を供給してもよい。特に、前記吸収促進剤を供給ガス流に供給すると、封止性化合物(又は吸収促進剤以外のシール剤の構成成分)の残存シール剤に対する吸収性を向上してより一層効率よく漏洩部をシールできる。
吸収促進剤は、前記封止性化合物との混合物の形態で供給してもよく、一回で又は間欠的に供給してもよく、通常、封止性化合物と同様に間欠的に供給してもよい。間欠的に供給する場合、吸収促進剤の供給時間や停止時間などの供給条件は、前記と同様であるが、吸収促進剤は封止性化合物と混合して供給してもよい。また、吸収促進剤は、封止性化合物と同じ態様で供給する必要はなく、封止性化合物とは独立して供給(および停止)することもできる。
また、吸収促進剤は、供給ガス流に封止性化合物が存在している状態で供給してもよく、封止性化合物の非存在下で行ってもよい。封止性化合物の非存在下で吸収促進剤を供給する方法としては、例えば、封止性化合物の供給を停止する停止期間内に吸収促進剤を供給し、この停止期間内に吸収促進剤の供給を停止する方法などが挙げられる。
好ましい態様では、吸収促進剤は、供給ガス流に封止性化合物が存在している状態で供給してもよい。すなわち、吸収促進剤は、封止性化合物の供給にオーバーラップさせて供給してもよい。前記のように、吸収促進剤は、供給を停止すると残存シール剤から徐々に脱離する性質を有しているため、封止性化合物の存在下で吸収促進剤を供給することにより、より一層効率よく残存シール剤に対する封止性化合物の選択吸収性を高めることができる。
オーバーラップさせて供給する具体的な方法としては、例えば、(i)供給ガス流に封止性化合物が供給されている間(封止性化合物の供給期間)に吸収促進剤を供給する方法、(ii)封止性化合物の供給が停止されている間(封止性化合物の停止期間)に吸収促進剤を供給し、少なくとも封止性化合物が供給されるまで吸収促進剤を供給し続ける方法などが挙げられる。
前記態様(i)において、吸収促進剤の供給は、封止性化合物の供給期間内に行えばよく、封止性化合物の供給と同時(又はほぼ同時)に行ってもよく、封止性化合物の供給期間内の適当な時期に行ってもよい。なお、態様(i)において、吸収促進剤の停止は、特に限定されず、封止性化合物の供給期間内に停止してもよく、封止性化合物の停止期間内において停止してもよく、次回以降の供給期間内又は停止期間内において停止してもよい。
また、前記態様(ii)において、吸収促進剤の供給の停止は、次の封止性化合物の供給が開始した後であればよく、例えば、次の封止性化合物の供給期間内であってもよく、次の封止性化合物の停止期間内であってもよく、次の封止性化合物の停止期間以降であってもよい。
好ましい吸収促進剤の供給方法としては、供給ガス流に封止性化合物が存在している状態で間欠的に吸収促進剤を供給する方法が挙げられる。このような方法では、封止性化合物の供給(および停止)に関連づけて(又は対応させて)、吸収促進剤を供給してもよい。例えば、(a)第n回目の封止性化合物の供給期間内に吸収促進剤を供給し、第n回目の封止性化合物の停止期間内に吸収促進剤の供給を停止し、第n+1回目の封止性化合物の供給期間内に吸収促進剤を供給し、第n+1回目の封止性化合物の停止期間内に吸収促進剤の供給を停止する吸収促進剤の供給・停止サイクルを繰り返してもよく、(b)第n回目の封止性化合物の停止期間内に吸収促進剤を供給し、第n+1回目の封止性化合物の供給期間内に吸収促進剤の供給を停止し、第n+1回目の封止性化合物の停止期間内に吸収促進剤を供給し、第n+2回目の封止性化合物の供給期間内に吸収促進剤の供給を停止する吸収促進剤の供給・停止サイクルを繰り返してもよい。
なお、封止性化合物の非存在下で吸収促進剤を供給する方法において、封止性化合物の供給を停止する停止期間内(例えば、封止性化合物の供給停止の開始と同時)に吸収促進剤を供給し、この停止期間内(例えば、封止性化合物の供給停止の終了と同時)に吸収促進剤の供給を停止するサイクルを繰り返してもよい。すなわち、第n回目の封止性化合物の停止期間内に吸収促進剤を供給し、この停止期間内に吸収促進剤の供給を停止し、第n+1回目の封止性化合物の停止期間内に吸収促進剤を供給し、この停止期間内に吸収促進剤の供給を停止する吸収促進剤の供給・停止サイクルを繰り返してもよい。
なお、このような間欠的にシール剤を供給するシール方法において、シール剤の流通方法、封止性化合物及び/又は吸収促進剤の供給割合などは前記と同様である。なお、封止性化合物(及び/又は吸収促進剤)の供給割合は、異なる供給サイクルにおいて、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、1つの供給サイクルにおいて、封止性化合物(及び/又は吸収促進剤)は、同一の濃度で連続的に供給してもよく、異なる濃度で供給してもよい(例えば、濃度を上昇させつつ供給したり、濃度を低下させつつ供給してもよい)。
本発明では、ガス漏れを抑止又は防止できる。そのため、本発明のシール剤(およびシール方法)は、種々のガス管、例えば、広範囲に配管された都市ガス又は燃料ガスの配管(管体又は管路)に適用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例および比較例では、フェノール樹脂と無機成分(タルク/二酸化チタン/カーボンブラック(重量比)=23.5/3.0/6.1)とを、前者/後者=50.5/48.5(重量比)の割合で含むフェノール樹脂系ネジシール剤を使用した。
(実施例1)
フェノール樹脂系ネジシール剤を用いてシールした配管継手を模擬劣化させ、この劣化させた継手部から、5ml/分程度のガス漏れを生じさせた。前記配管継手内に封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)を、室温下で、飽和蒸気圧に近い濃度[供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で、13000ppmの割合]で1日流通させたところ、継手部からのガス漏洩が完全に抑止された。なお、シクロヘキセンオキシドを1日流通した後の残存シール剤の重量を、200℃において、熱重量分析により分析した結果、流通後の残存シール剤の重量は、流通前の重量に対して15重量%上昇していた(すなわち、流通前の重量を1とするとき、流通後の重量は1.15になっていた)。この結果から、シクロヘキセンオキシドは、フェノール樹脂系シール剤に対して吸収されているとともに、シクロヘキセンのオキシドの沸点(129℃)より高い温度においても脱離することなく蓄積されていることがわかった。
フェノール樹脂系ネジシール剤を用いてシールした配管継手を模擬劣化させ、この劣化させた継手部から、5ml/分程度のガス漏れを生じさせた。前記配管継手内に封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)を、室温下で、飽和蒸気圧に近い濃度[供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で、13000ppmの割合]で1日流通させたところ、継手部からのガス漏洩が完全に抑止された。なお、シクロヘキセンオキシドを1日流通した後の残存シール剤の重量を、200℃において、熱重量分析により分析した結果、流通後の残存シール剤の重量は、流通前の重量に対して15重量%上昇していた(すなわち、流通前の重量を1とするとき、流通後の重量は1.15になっていた)。この結果から、シクロヘキセンオキシドは、フェノール樹脂系シール剤に対して吸収されているとともに、シクロヘキセンのオキシドの沸点(129℃)より高い温度においても脱離することなく蓄積されていることがわかった。
シール剤を空気とともに流通させた状態で2ヶ月経過後、シール剤(1,2−エポキシシクロヘキサン)の流通を停止して、空気のみを流通させた。そして、空気のみを流通させた状態で270日間放置したが、配管継手からのガス漏れがない状態が維持されていた。
(実施例2)
シクロヘキセンオキシドに代えて、アセチルアセトンを使用した以外は、実施例1と同様にしてシール剤を室温下で、飽和蒸気圧に近い濃度[供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で、7000ppmの割合]で1日流通させたところ、継手部からのガス漏洩が完全に抑止された。
シクロヘキセンオキシドに代えて、アセチルアセトンを使用した以外は、実施例1と同様にしてシール剤を室温下で、飽和蒸気圧に近い濃度[供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で、7000ppmの割合]で1日流通させたところ、継手部からのガス漏洩が完全に抑止された。
シール剤を空気とともに流通させた状態で2ヶ月経過後、シール剤(アセチルアセトン)の流通を停止して、空気のみを流通させた。そして、空気のみを流通させた状態で270日間放置したが、配管継手からのガス漏れがない状態が維持されていた。
(実施例3)
シクロヘキセンオキシドに代えて、グリシドールを使用した以外は、実施例1と同様にしてシール剤を室温下で、飽和蒸気圧に近い濃度[供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で、1000ppmの割合]で5日流通させたところ、継手部からのガス漏洩が完全に抑止された。
シクロヘキセンオキシドに代えて、グリシドールを使用した以外は、実施例1と同様にしてシール剤を室温下で、飽和蒸気圧に近い濃度[供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で、1000ppmの割合]で5日流通させたところ、継手部からのガス漏洩が完全に抑止された。
シール剤をガスとともに流通させた状態で2ヶ月経過後、シール剤(グリシドール)の流通を停止して、空気のみを流通させた。そして、空気のみを流通させた状態で130日間放置したが、配管継手からのガス漏れがない状態が維持されていた。
(実施例4)
ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)製のゴム管を2つ用意し、この導管内に、シール剤としてのシクロヘキセンオキシドおよびグリシドールを、供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、それぞれ、体積基準で、1000ppmで3日流通させた。そして、シール剤を3日流通した後のゴム導管の重量を測定した結果、流通後のゴム導管の重量は、シクロヘキセンオキシドでは28重量%上昇しており、グリシドールでは17重量%上昇していた。この結果と実施例1および3の結果から、グリシドールは、シクロヘキセンオキシドよりもゴム管に対して吸収されにくい傾向があることがわかった。
ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)製のゴム管を2つ用意し、この導管内に、シール剤としてのシクロヘキセンオキシドおよびグリシドールを、供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、それぞれ、体積基準で、1000ppmで3日流通させた。そして、シール剤を3日流通した後のゴム導管の重量を測定した結果、流通後のゴム導管の重量は、シクロヘキセンオキシドでは28重量%上昇しており、グリシドールでは17重量%上昇していた。この結果と実施例1および3の結果から、グリシドールは、シクロヘキセンオキシドよりもゴム管に対して吸収されにくい傾向があることがわかった。
(実施例5)
フェノール樹脂系ネジシール剤を用いてシールした配管継手を模擬劣化させ、この劣化させた継手部から、5ml/分程度のガス漏れを生じさせた。前記配管継手内に封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)および吸収促進剤としてのメタノールを、室温下で、供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で140000ppmの割合[シクロヘキセンオキシド/メタノール(気相状態での体積比)=約1/10]で1日流通させたところ、継手部からのガス漏洩が完全に抑止された。なお、シクロヘキセンオキシドのみを1日流通した後の残存シール剤の重量を、200℃において、熱重量分析により分析した結果、流通後の残存シール剤の重量は、流通前の重量に対して15重量%上昇していた(すなわち、流通前の重量を1とするとき、流通後の重量は1.15になっていた)。この結果から、シクロヘキセンオキシドは、フェノール樹脂系シール剤に対して吸収されているとともに、シクロヘキセンのオキシドの沸点(129℃)より高い温度においても脱離することなく蓄積されていることがわかった。
フェノール樹脂系ネジシール剤を用いてシールした配管継手を模擬劣化させ、この劣化させた継手部から、5ml/分程度のガス漏れを生じさせた。前記配管継手内に封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)および吸収促進剤としてのメタノールを、室温下で、供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で140000ppmの割合[シクロヘキセンオキシド/メタノール(気相状態での体積比)=約1/10]で1日流通させたところ、継手部からのガス漏洩が完全に抑止された。なお、シクロヘキセンオキシドのみを1日流通した後の残存シール剤の重量を、200℃において、熱重量分析により分析した結果、流通後の残存シール剤の重量は、流通前の重量に対して15重量%上昇していた(すなわち、流通前の重量を1とするとき、流通後の重量は1.15になっていた)。この結果から、シクロヘキセンオキシドは、フェノール樹脂系シール剤に対して吸収されているとともに、シクロヘキセンのオキシドの沸点(129℃)より高い温度においても脱離することなく蓄積されていることがわかった。
シール剤を空気とともにを流通させた状態で2ヶ月経過後、シール剤(1,2−エポキシシクロヘキサンおよびメタノール)の流通を停止して、空気のみを流通させた。そして、空気のみを流通させた状態で270日間放置したが、配管継手からのガス漏れがない状態が維持されていた。
そして、シクロヘキセンオキシドの選択吸収性を、以下のようにして、シクロヘキセンオキシドを単独で用いた場合と、シクロヘキセンオキシドとメタノールを用いた場合とで比較することにより調べた。
(選択吸収性)
前記模擬劣化させた配管継手とアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)製のゴム管とを連結した管を2つ用意し、一方の管内に、(i)シクロヘキセンオキシドを、他方の管に(ii)シクロヘキセンオキシドおよびメタノールを、室温で、それぞれ、供給ガス流全体(ガスとシール剤との総量)に対して、シクロヘキセンオキシドの供給割合が、体積基準で13000ppmとなるようにして1日流通させた。なお、後者(ii)の態様では、シクロヘキセンオキシドおよびメタノール全体の供給割合は、140000ppm(シクロヘキセンオキシド/メタノール(気相状態での体積比)=約1/10)]であった。そして、シール剤を1日流通した後のゴム管の重量を測定した結果、流通後のゴム管に吸収されたシクロヘキセンオキシドの重量は、配管継手(残存シール剤)に蓄積したシクロヘキセンオキシドの重量を100(重量増加率は約27%であった)としたとき、シクロヘキセンオキシド単独のシール剤では28であり、シクロヘキセンオキシドとメタノールとを組みあわせたシール剤では15であった。この結果から、シクロヘキセンオキシドは、メタノールと組みあわせることにより、ゴム管に対して吸収されにくく、残存シール剤に対する選択吸収性が高くなることがわかった。
前記模擬劣化させた配管継手とアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)製のゴム管とを連結した管を2つ用意し、一方の管内に、(i)シクロヘキセンオキシドを、他方の管に(ii)シクロヘキセンオキシドおよびメタノールを、室温で、それぞれ、供給ガス流全体(ガスとシール剤との総量)に対して、シクロヘキセンオキシドの供給割合が、体積基準で13000ppmとなるようにして1日流通させた。なお、後者(ii)の態様では、シクロヘキセンオキシドおよびメタノール全体の供給割合は、140000ppm(シクロヘキセンオキシド/メタノール(気相状態での体積比)=約1/10)]であった。そして、シール剤を1日流通した後のゴム管の重量を測定した結果、流通後のゴム管に吸収されたシクロヘキセンオキシドの重量は、配管継手(残存シール剤)に蓄積したシクロヘキセンオキシドの重量を100(重量増加率は約27%であった)としたとき、シクロヘキセンオキシド単独のシール剤では28であり、シクロヘキセンオキシドとメタノールとを組みあわせたシール剤では15であった。この結果から、シクロヘキセンオキシドは、メタノールと組みあわせることにより、ゴム管に対して吸収されにくく、残存シール剤に対する選択吸収性が高くなることがわかった。
(実施例6)
シクロヘキセンオキシドに代えて、アセチルアセトンを使用した以外は、実施例5と同様にして、アセチルアセトンおよびメタノールを、室温下で供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で140000ppmの割合[アセチルアセトン/メタノール(気相状態での体積比)=約1/20]で1日流通させたところ、継手部からのガス漏洩が完全に抑止された。
シクロヘキセンオキシドに代えて、アセチルアセトンを使用した以外は、実施例5と同様にして、アセチルアセトンおよびメタノールを、室温下で供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で140000ppmの割合[アセチルアセトン/メタノール(気相状態での体積比)=約1/20]で1日流通させたところ、継手部からのガス漏洩が完全に抑止された。
シール剤を空気とともにを流通させた状態で2ヶ月経過後、シール剤(アセチルアセトンおよびメタノール)の流通を停止して、空気のみを流通させた。そして、空気のみを流通させた状態で270日間放置したが、配管継手からのガス漏れがない状態が維持されていた。
(実施例7)
フェノール樹脂系ネジシール剤を用いてシールした配管継手を模擬劣化させ、この劣化させた継手部から、5ml/分程度のガス漏れを生じさせた。前記配管継手内に封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)を、室温下で、飽和蒸気圧に近い濃度[供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で、13000ppmの割合]で1日流通させたところ、継手部からのガス漏洩が完全に抑止された。なお、シクロヘキセンオキシドを1日流通した後の残存シール剤の重量を、200℃において、熱重量分析により分析した結果、流通後の残存シール剤の重量は、流通前の重量に対して15重量%上昇していた(すなわち、流通前の重量を1とするとき、流通後の重量は1.15になっていた)。この結果から、シクロヘキセンオキシドは、フェノール樹脂系シール剤に対して吸収されているとともに、シクロヘキセンオキシドの沸点(129℃)より高い温度においても脱離することなく蓄積されていることがわかった。この結果から、シクロヘキセンオキシドは、残存シール剤に蓄積して漏洩部を閉塞することがわかった。
フェノール樹脂系ネジシール剤を用いてシールした配管継手を模擬劣化させ、この劣化させた継手部から、5ml/分程度のガス漏れを生じさせた。前記配管継手内に封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)を、室温下で、飽和蒸気圧に近い濃度[供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で、13000ppmの割合]で1日流通させたところ、継手部からのガス漏洩が完全に抑止された。なお、シクロヘキセンオキシドを1日流通した後の残存シール剤の重量を、200℃において、熱重量分析により分析した結果、流通後の残存シール剤の重量は、流通前の重量に対して15重量%上昇していた(すなわち、流通前の重量を1とするとき、流通後の重量は1.15になっていた)。この結果から、シクロヘキセンオキシドは、フェノール樹脂系シール剤に対して吸収されているとともに、シクロヘキセンオキシドの沸点(129℃)より高い温度においても脱離することなく蓄積されていることがわかった。この結果から、シクロヘキセンオキシドは、残存シール剤に蓄積して漏洩部を閉塞することがわかった。
そして、前記模擬劣化させた配管継手とアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)製のゴム管とを連結した管を用意し、この管内に、シクロヘキセンオキシドを、飽和蒸気圧に近い濃度[すなわち、供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で、シクロヘキセンオキシドの供給割合13000ppm]で1週間流通させたのち、シクロヘキセンオキシドのみの供給を1週間停止した(すなわち、空気のみを1週間流通させた)。そして、このシクロヘキセンオキシドの1週間の供給および1週間の停止のサイクルを5回繰り返した(計10週間)。
そして、配管継手の重量を測定した結果、流通後の残存シール剤の重量は、流通前の残存シール剤の重量に対して約40重量%上昇していた。また、ゴム管の重量を測定した結果、流通後のゴム管の重量は、流通前のゴム管の重量よりも約4重量%上昇していた。
(実施例8)
実施例7において、1週間の供給および1週間の停止のサイクルを5回繰り返したことに代えて、シクロヘキセンオキシドの供給を5週間連続的に行ったこと以外は、実施例7と同様にして、シクロヘキセンオキシドを流通させた。
実施例7において、1週間の供給および1週間の停止のサイクルを5回繰り返したことに代えて、シクロヘキセンオキシドの供給を5週間連続的に行ったこと以外は、実施例7と同様にして、シクロヘキセンオキシドを流通させた。
そして、配管継手の重量を測定した結果、流通後の残存シール剤の重量は、流通前の残存シール剤の重量に対して約40重量%上昇していた。また、ゴム管の重量を測定した結果、流通後のゴム管の重量は、流通前のゴム管の重量よりも約10重量%上昇しており、実施例7に比べて、多量のシクロヘキセンオキシドが吸収されていることがわかった。このことから、間欠的に供給することにより、ゴム管に対するシクロへキセンオキシドの吸収を抑制できることがわかった。
(実施例9)
シクロへキセンオキシドの選択吸収性をより簡便に評価するため、ガスを流通可能な口(入口および出口)を備えた箱の中に、フェノール樹脂系ネジシール剤の粉末約3g、および厚み約2mmのニトリル−ブタジエンゴム(NBR)の試験片(約3g)を、それぞれ入れた2つのガラス容器を配置した。次いで、前記ガスを流通可能な口から、封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)を、室温下で、飽和蒸気圧に近い濃度[供給ガス流全体(空気とシクロへキセンオキシドとの総量)に対して、体積基準で、13000ppmの割合]で1週間連続的に流通させて、供給した。
シクロへキセンオキシドの選択吸収性をより簡便に評価するため、ガスを流通可能な口(入口および出口)を備えた箱の中に、フェノール樹脂系ネジシール剤の粉末約3g、および厚み約2mmのニトリル−ブタジエンゴム(NBR)の試験片(約3g)を、それぞれ入れた2つのガラス容器を配置した。次いで、前記ガスを流通可能な口から、封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)を、室温下で、飽和蒸気圧に近い濃度[供給ガス流全体(空気とシクロへキセンオキシドとの総量)に対して、体積基準で、13000ppmの割合]で1週間連続的に流通させて、供給した。
そして、シクロヘキセンオキシドを1週間連続的に流通した後のシール剤の重量増加(すなわち、フェノール樹脂系シール剤に蓄積したシクロヘキセンオキシドの重量)を100とするとき(重量増加率は約43%であった)、NBRの試験片の重量増加(すなわち、試験片に蓄積したシクロヘキセンオキシドの重量)は45であった。
(実施例10)
シクロへキセンオキシドの選択吸収性をより簡便に評価するため、ガスを流通可能な口(入口および出口)を備えた箱の中に、フェノール樹脂系ネジシール剤の粉末約3g、および厚み約2mmのニトリル−ブタジエンゴム(NBR)の試験片(約3g)を、それぞれ入れた2つのガラス容器を配置した。次いで、前記ガスを流通可能な口から、封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)および吸収促進剤としてのメタノールを、室温下で、供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で140000ppmの割合[シクロヘキセンオキシド/メタノール(気相状態での体積比)=約1/10]で1週間連続的に流通させて、供給した。
シクロへキセンオキシドの選択吸収性をより簡便に評価するため、ガスを流通可能な口(入口および出口)を備えた箱の中に、フェノール樹脂系ネジシール剤の粉末約3g、および厚み約2mmのニトリル−ブタジエンゴム(NBR)の試験片(約3g)を、それぞれ入れた2つのガラス容器を配置した。次いで、前記ガスを流通可能な口から、封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)および吸収促進剤としてのメタノールを、室温下で、供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で140000ppmの割合[シクロヘキセンオキシド/メタノール(気相状態での体積比)=約1/10]で1週間連続的に流通させて、供給した。
そして、シクロヘキセンオキシドおよびメタノールを1週間連続的に流通した後のシール剤の重量増加を100とするとき(重量増加率は約52%であった)、NBRの試験片の重量増加は29であった。すなわち、シクロへキセンオキシドとメタノールとを組み合わせることにより、より選択的にシクロへキセンオキシドをフェノール樹脂系ネジシール剤に吸収させることができた。なお、重量増加の測定は、吸収されたメタノールを除去するため、シール剤および試験片を80℃で24時間の雰囲気下で加熱したのち行った。
(実施例11)
シクロへキセンオキシドの選択吸収性をより簡便に評価するため、ガスを流通可能な口(入口および出口)を備えた箱の中に、フェノール樹脂系ネジシール剤の粉末約3g、および厚み約2mmのニトリル−ブタジエンゴム(NBR)の試験片(約3g)を、それぞれ入れた2つのガラス容器を配置した。次いで、前記ガスを流通可能な口から、封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)および吸収促進剤としてのメタノールを、室温下で、供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で140000ppmの割合[シクロヘキセンオキシド/メタノール(気相状態での体積比)=約1/10]で2日間連続的に流通させて供給したのち、シクロへキセンオキシドおよびメタノールの流通を2日間停止した。そして、このシクロヘキセンオキシドおよびメタノールの2日間の供給および2日間の停止のサイクルを3回繰り返した。
シクロへキセンオキシドの選択吸収性をより簡便に評価するため、ガスを流通可能な口(入口および出口)を備えた箱の中に、フェノール樹脂系ネジシール剤の粉末約3g、および厚み約2mmのニトリル−ブタジエンゴム(NBR)の試験片(約3g)を、それぞれ入れた2つのガラス容器を配置した。次いで、前記ガスを流通可能な口から、封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)および吸収促進剤としてのメタノールを、室温下で、供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で140000ppmの割合[シクロヘキセンオキシド/メタノール(気相状態での体積比)=約1/10]で2日間連続的に流通させて供給したのち、シクロへキセンオキシドおよびメタノールの流通を2日間停止した。そして、このシクロヘキセンオキシドおよびメタノールの2日間の供給および2日間の停止のサイクルを3回繰り返した。
そして、シクロヘキセンオキシドおよびメタノールを1週間連続的に流通した後のシール剤の重量増加を100とするとき(重量増加率は約40%であった)、NBRの試験片の重量増加は13であった。すなわち、シクロへキセンオキシドおよびメタノールを間欠的に供給することにより、より選択的にシクロへキセンオキシドをフェノール樹脂系ネジシール剤に吸収させることができた。なお、重量増加の測定は、吸収されたメタノールを除去するため、シール剤および試験片を80℃で24時間の雰囲気下で加熱したのち行った。
(実施例12)
シクロへキセンオキシドの選択吸収性をより簡便に評価するため、ガスを流通可能な口(入口および出口)を備えた箱の中に、フェノール樹脂系ネジシール剤の粉末約3g、および厚み約2mmのニトリル−ブタジエンゴム(NBR)の試験片(約3g)を、それぞれ入れた2つのガラス容器を配置した。次いで、前記ガスを流通可能な口から、封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)および吸収促進剤としてのブタノールを、室温下で、供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で28000ppmの割合[シクロヘキセンオキシド/ブタノール(気相状態での体積比)=約1/2]で2日間連続的に流通させて供給したのち、シクロへキセンオキシドおよびブタノールの流通を2日間停止した。そして、このシクロヘキセンオキシドおよびブタノールの2日間の供給および2日間の停止のサイクルを3回繰り返した。
シクロへキセンオキシドの選択吸収性をより簡便に評価するため、ガスを流通可能な口(入口および出口)を備えた箱の中に、フェノール樹脂系ネジシール剤の粉末約3g、および厚み約2mmのニトリル−ブタジエンゴム(NBR)の試験片(約3g)を、それぞれ入れた2つのガラス容器を配置した。次いで、前記ガスを流通可能な口から、封止性化合物(又はシール剤)としてのシクロヘキセンオキシド(1,2−エポキシシクロヘキサン)および吸収促進剤としてのブタノールを、室温下で、供給ガス流全体(空気とシール剤との総量)に対して、体積基準で28000ppmの割合[シクロヘキセンオキシド/ブタノール(気相状態での体積比)=約1/2]で2日間連続的に流通させて供給したのち、シクロへキセンオキシドおよびブタノールの流通を2日間停止した。そして、このシクロヘキセンオキシドおよびブタノールの2日間の供給および2日間の停止のサイクルを3回繰り返した。
そして、シクロヘキセンオキシドおよびブタノールを1週間連続的に流通した後のシール剤の重量増加を100とするとき(重量増加率は約36%であった)、NBRの試験片の重量増加は16であった。すなわち、シクロへキセンオキシドおよびブタノールを間欠的に供給することにより、より選択的にシクロへキセンオキシドをフェノール樹脂系ネジシール剤に吸収させることができた。なお、重量増加の測定は、吸収されたブタノールを除去するため、シール剤および試験片を120℃で24時間の雰囲気下で加熱したのち行った。
Claims (19)
- 配管の漏洩部を閉塞するためのシール剤であって、配管内の供給ガス流とともに流通可能であり、かつ配管の漏洩部に残存する残存シール剤に、吸収されて蓄積することにより前記漏洩部を閉塞可能な封止性化合物で構成されているシール剤。
- 封止性化合物が、エポキシ基を有する化合物および複数のケトン基を有する化合物から選択された少なくとも1種で構成されている請求項1記載のシール剤。
- 沸点が50℃以上のオレフィンオキシド類、およびジケトン類から選択された少なくとも1種の封止性化合物で構成されている請求項1記載のシール剤。
- オレフィンオキシド類が、環状オレフィンオキシド類および残存シール剤に対して親和性を有する官能基を有するオレフィンオキシド類から選択された少なくとも1種であり、ジケトン類がβ−ジケトン類である請求項3記載のシール剤。
- シクロアルケンオキシド類、ヒドロキシアルケンオキシド類、β−脂肪族ジケトン類から選択された少なくとも1種の封止性化合物で構成されている請求項1記載のシール剤。
- C5−10シクロアルケンオキシド類、ヒドロキシC3−10アルケンオキシド類、およびβ−C5−10アルカンジオン類から選択された少なくとも1種の封止性化合物で構成されている請求項5記載のシール剤。
- 封止性化合物の蒸気圧が、20℃において5000Pa以下である請求項1〜6のいずれかに記載のシール剤。
- さらに、封止性化合物の残存シール剤に対する吸収を促進するための吸収促進剤を含む請求項1〜7のいずれかに記載のシール剤。
- 吸収促進剤が、アルコール類である請求項8記載のシール剤。
- 吸収促進剤が、アルカノール類である請求項8記載のシール剤。
- 封止性化合物が、C5−10シクロアルケンオキシド類、ヒドロキシC3−10アルケンオキシド類、およびβ−C5−10アルカンジオン類から選択された少なくとも1種で構成されており、吸収促進剤が、C1−4アルカノール類で構成されている請求項8記載のシール剤。
- 封止性化合物と吸収促進剤との割合が、前者/後者(重量比)=90/10〜1/99である請求項8〜12のいずれかに記載のシール剤。
- 配管の漏洩部を閉塞するための方法であって、請求項1〜12のいずれかに記載のシール剤を、配管内の供給ガス流とともに流通させて、配管の漏洩部に残存する残存シール剤に対して吸収させて蓄積させ、配管の漏洩部を閉塞するシール方法。
- シール剤を、供給ガス流に間欠的に供給する請求項13記載のシール方法。
- シール剤を2〜15回に亘って間欠的に供給する請求項14記載のシール方法。
- シール剤を12時間〜6ヶ月かけて供給する供給サイクルと、シール剤の供給を12時間〜6ヶ月に亘って停止する停止サイクルとで構成されたサイクルを、2〜15回繰り返してシール剤を間欠的に供給する請求項14又は15記載のシール方法。
- 供給ガス流に封止性化合物が存在している状態で、封止性化合物の残存シール剤に対する吸収を促進するための吸収促進剤を供給ガス流に供給する請求項14〜16のいずれかに記載のシール方法。
- ガスの漏洩に至る前に予めシール剤を吸収させて蓄積させ、ガス漏洩を防止する請求項13〜17のいずれかに記載のシール方法。
- 広域の漏洩部をシールする請求項13〜18のいずれかに記載のシール方法。
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