以下、必要により添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明のシール方法において、余剰のシール剤を捕捉するための捕捉剤を配設した配管の一例を示す概略図である。図1において、配管1の内部には、中空円筒状に成形された円筒状吸着体(成形吸着体)2が前記配管1の内壁(又は管状の凹部内壁)に配設されている。すなわち、円筒状吸着体2は、シール剤を捕捉(吸着)可能な捕捉剤(例えば、活性炭などの吸着剤)で形成されており、ガス流に対してガス関連機器(ガスメータなど)よりも上流側の配管の内部に配設され、配管の漏洩部を通過して円筒状吸着体に到達した余剰のシール剤を捕捉(又は吸着)することにより、円筒状吸着体2よりも下流側に位置するガス関連機器に到達するシール剤の量を低減する。このような円筒状吸着体では、供給ガス流を中空部に通過させつつ余剰のシール剤を吸着体部分で捕捉できるため、吸着体の配設部位における圧力上昇(圧力損失)を生じることなく効率よくシール剤を捕捉できる。
図2は、本発明のシール方法において、余剰のシール剤を捕捉するための捕捉剤を配設した配管の他の一例を示す概略図である。図2の例では、配管21の内部に、捕捉剤(吸着剤)22が円筒状(又は円柱状)に充填される形態で配設されている。この例では、配管内壁に吸着体を充填させているため、供給ガスと吸着体との接触面積を大きくすることができ、より一層効率よく余剰のシール剤を捕捉できる。
また、図3は、本発明のシール方法において、余剰のシール剤を捕捉するための捕捉剤を配設した配管のさらに他の一例を示す概略図である。この図3の例では、配管31の内部に、ハニカム状に成形された円筒状(又は円柱状)のハニカム吸着体32が充填される形態で配設されている。この例では、ハニカム状とすることにより、供給ガスと吸着体との接触面積を大きくすることができ、しかも配設部位における圧力上昇を抑制しつつ効率よく余剰のシール剤を捕捉できる。
図4は、本発明のシール方法において、余剰のシール剤を捕捉するための捕捉剤を配設した配管の別の一例を示す模式図である。図4において、配管41には、配管の内壁の連通部を通じて凸状収容部43と連通しており、この凸状収容部43には捕捉剤42が充填されている。すなわち、この図4の例では、配管の一部に、配管の内部(又は供給ガス流)に臨んで開口し、ガス溜まりとなる収容部43が取り付けられ、この収容部43に充填された捕捉剤42に供給ガス流が接触することにより、余剰のシール剤を捕捉できる。この例の吸着剤では、ガス溜まりにおいて余剰のシール剤を捕捉するので、供給ガス流による圧力上昇を高いレベルで抑制できる。
図5は、本発明のシール方法において、余剰のシール剤を捕捉するための捕捉剤を配設した配管のさらに別の一例を示す概略図である。この図の例では、配管51の屈曲部(湾曲部)の内部に、前記図1と同様の吸着体52が配設されている。このような配管の屈曲部に捕捉剤を配設すると、ガス流が前記屈曲部又は湾曲部で乱れるため、捕捉剤に対する供給ガス流の接触効率を高め、より一層効率よく余剰のシール剤を捕捉することができる。
本発明のシール方法は、配管内の供給ガス流にシール剤を供給して前記ガス流とともに流通させて、前記漏洩部を閉塞するシール方法であって、配管内を通過した余剰のシール剤を捕捉しつつ前記漏洩部を閉塞する。
[シール剤]
本発明のシール方法において、シール剤は、配管の漏洩部を閉塞可能な封止性化合物で構成されている。
(封止性化合物)
前記封止性化合物は、配管内で流通している供給ガス(例えば、都市ガスなど)とともに流通可能である。すなわち、前記シール剤を構成する封止性化合物は、代表的には、常温常圧において蒸気圧を有しており、通常、気体状態である供給ガスとともに流通可能である。
また、封止性化合物は、配管の漏洩部を閉塞又は封止できる限り、特に限定されず、配管の漏洩部の態様に応じて適宜選択してもよい。すなわち、配管の漏洩には、種々の態様があり、例えば、配管の腐蝕による漏洩(腐蝕漏洩)、配管の継手部(ネジ継手部)をシールするため予め施されたシール剤(残存シール剤)と配管との間に隙間が形成されて生じる漏洩などが挙げられる。
前者の態様(腐蝕漏洩)などでは、シール剤(又は封止性化合物)として、漏洩部において、反応して漏洩部を閉塞可能な封止性化合物を好適に使用できる。このような封止性化合物としては、例えば、特開2002−356670号公報に記載の封止性化合物(例えば、シランカップリング剤、シアノアクリレート類、イソシアネート類、(メタ)アクリル系モノマー、ビニルエーテル類、カチオン重合性オレフィン、シクロアルカン類、ラクトン類、ラクタム類、環状エーテル類、環状スルファイド類、環状イミン類など)などが挙げられる。
一方、後者の態様(隙間の形成による漏洩)では、残存シール剤(詳細には、配管の漏洩部に残存する残存シール剤)に、吸収されて蓄積することにより前記漏洩部を閉塞可能な封止性化合物を好適に使用できる。
なお、配管の漏洩は、後者の態様、すなわち、ガス管を配設してシールする部分のシール剤(又は目止め剤、通常、ネジ継手をシールするネジシール剤)が、減容又は体積減少(すなわち、残存したシール剤が減容)したり、シールされている箇所(通常、ネジ継手部)に何らかの圧力が作用してシールされている箇所から剥離するなどの原因により、残存シール剤と配管との間に隙間が形成されることにより生じる場合が多い。そのため、本発明では、残存シール剤に対する吸収性および蓄積性を有する封止性化合物(以下、蓄積封止性化合物などということがある)を好適に使用できる。
以下、このような蓄積封止性化合物について詳述する。
前記のように、蓄積封止性化合物は、残存シール剤に接触して吸収されたのち、残存シール剤から脱離することなく蓄積する性質を有している。すなわち、蓄積性封止性化合物は、配管の漏洩部[詳細には、残存シール剤と配管(配管のネジ継手部)との間に形成された隙間]に残存する残存シール剤に吸収されて蓄積することにより前記漏洩部を閉塞可能な封止性化合物である。なお、吸収および蓄積のメカニズムは明らかではないが、前記蓄積封止性化合物が、前記残存シール剤に対して何らかの親和性を有しており、この親和性により吸収されて残存シール剤を膨張(又は膨潤)させつつ、脱離することなく蓄積することにより漏洩部を封止するようである。
蓄積封止性化合物は、上記のように、残存シール剤に吸収された後、蓄積される。このような観点から、蓄積封止性化合物の沸点は、比較的高い沸点であってもよく、例えば、50℃以上(例えば、50〜300℃)、好ましくは80℃以上(例えば、80〜250℃)、さらに好ましくは100℃以上(例えば、100〜220℃)、特に120〜200℃程度であってもよい。
また、蓄積封止性化合物の蒸気圧は、蓄積されるという観点から比較的小さい蒸気圧、例えば、20℃において、10000Pa以下(例えば、10〜9000Pa)、好ましくは8000Pa以下(例えば、20〜7000Pa)、さらに好ましくは5000Pa以下(例えば、30〜5000Pa)、特に40〜3000Pa(例えば、50〜2000Pa)、通常、60〜1500Pa(例えば、80〜1000Pa)程度であってもよい。特に、蓄積封止性化合物(前記オレフィンオキシド類など)の蒸気圧は、20℃において、例えば、500〜5000Pa、好ましくは600〜4000Pa、さらに好ましくは700〜3000Pa(例えば、750〜2500Pa)程度であってもよい。
前記のように、前記蓄積封止性化合物は、通常、残存シール剤(および吸収促進剤)に対して何らかの親和性を有しており、残存シール剤に対する親和性基(官能基、特性基、親和性官能基)を有している場合が多い。なお、親和性基は、残存シール剤に対して反応可能な反応性基であってもよい。
このような親和性基としては、残存シール剤の種類(例えば、残存シール剤を構成する化合物の官能基の種類、極性など)に応じて、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基又はその誘導性基(酸無水物基など)、アミノ基、置換アミノ基(例えば、モノ又はジアルキルアミノ基など)、シアノ基、イソシアネート基、メルカプト基、エポキシ基、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子など)、アルデヒド基(ホルミル基)、アシル基[アルキルカルボニル基(アセチル基などのC1−4アルキル−カルボニル基など)、アロイル基(ベンゾイル基などのC6−10アリール−カルボニル基)など]、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニルなどのC1−4アルコキシカルボニル基)、オキソ基(=O)又はケトン基(−CO−)、アミド基(−NHCO−)、イミノ基(−NH−)などが挙げられる。蓄積封止性化合物は、これらの親和性基を単独で又は2種以上組みあわせて有していてもよい。特に、複数(又は異種)の親和性基を有する蓄積封止性化合物(例えば、ヒドロキシル基およびエポキシ基を有する化合物など)は、残存シール剤に対する親和性(さらには、吸収性、蓄積性)をより一層向上する傾向があるようである。
なお、蓄積封止性化合物は、重合性(ラジカル重合性、アニオン重合性、カチオン重合性、湿気重合性など)を有する化合物(例えば、ラジカル重合性化合物)であってもよい。このような重合性の封止性化合物としては、重合性基[例えば、アルケニル基(ビニル基、アリル基など)などの重合性不飽和結合を有する炭化水素基、(メタ)アクリロイル基などのラジカル重合性基]を有する化合物が挙げられる。
本発明において使用可能な蓄積封止性化合物としては、残存シール剤に対して吸収されて蓄積する性質を有する限り、特に限定されず、前記特開2002−356670号公報に記載の封止性化合物であってもよい。
好ましい蓄積封止性化合物には、前記親和性基のうち、特に、エポキシ基を有する化合物、複数のケトン基を有する化合物などが含まれる。このような親和性基を有する化合物は、残存シール剤に対する吸収性および蓄積性が高い。
(エポキシ基を有する蓄積封止性化合物)
エポキシ基を有する蓄積封止性化合物は、エポキシ基[例えば、α,β−エポキシ基(又は1,2−エポキシ基)、α,γ−エポキシ基(又は1,3−エポキシ基)など]を有する化合物であればよく、残存シール剤に対する親和性の観点から、通常、オレフィンオキシド類(α,β−エポキシ基又は1,2−エポキシ基を有する化合物、オキシラン類)であってもよい。なお、エポキシ基を有する封止性化合物は、1つのエポキシ基を有していてもよく、複数のエポキシ基を有していてもよい。
オレフィンオキシド類は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、炭化水素基[アルキル基(例えば、メチル基、エチル基などのC1−6アルキル基、好ましくはC1−4アルキル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基などのC2−6アルケニル基)、アルキリデン基(メチリデン基などのC1−4アルキリデン基など)などの脂肪族炭化水素基;シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基)などの脂環族炭化水素基;アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などのC6−10アリール基などの芳香族炭化水素基など]、アルコキシ基(メトキシ基などのC1−4アルコキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、前記親和性基[ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)などのエポキシ基を除く前記親和性基など]、(メタ)アクリロイル基、複素環基(例えば、2−フリル、2−チエニルなど)が挙げられる。オレフィンオキシド類は、これらの置換基を単独で又は2種以上組みあわせて有していてもよい。
特に、親和性基としてのエポキシ基に加えて、置換基として残存シール剤に対する親和性を有する官能基(エポキシ基以外の親和性基、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基など、特にヒドロキシル基)を有するオレフィンオキシド類は、残存シール剤に対する親和性をより一層向上できるためか、残存シール剤に対する吸収性および蓄積性が著しく高い。
代表的なオレフィンオキシド類としては、例えば、鎖状オレフィンオキシド類、環状オレフィンオキシド類(置換基を有していてもよい環状オレフィンオキシド)などが挙げられる。
鎖状オレフィンオキシド類としては、例えば、アルケンオキシド(2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘプタンなどのC6−20アルケンオキシドなど)、置換基を有するアルケンオキシド[例えば、ヒドロキシアルケンオキシド類(又はα,β−エポキシアルカノール類、例えば、2,3−エポキシプロパノール(グリシドール)、2,3−エポキシブタノール、3,4−エポキシブタノール、3,4−エポキシ−2−ブタノール、2,3−エポキシ−2−メチルプロパノールなどのヒドロキシC3−10アルケンオキシド類、好ましくはヒドロキシC3−8アルケンオキシド類、さらに好ましくはヒドロキシC3−6アルケンオキシド類)などの親和性基又は官能基を有するアルケンオキシドなど]などが例示できる。
環状オレフィンオキシド類としては、単環式オレフィンオキシド類[シクロアルケンオキシド類(又はα,β−エポキシシクロアルカン類)、シクロアルカジエンオキシド類(又はα,β−エポキシシクロアルケン類)など]、多環式オレフィンオキシド類(例えば、ジシクロアルケンオキシド類、トリシクロアルケンオキシド類など)などが挙げられる。
シクロアルケンオキシド類としては、例えば、シクロアルケンオキシド[例えば、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン(シクロヘキセンオキシド)、1,2−エポキシシクロヘプタン、1,2−エポキシシクロオクタンなどのC4−12シクロアルケンオキシド、好ましくはC5−10シクロアルケンオキシド]、置換基を有するシクロアルケンオキシド[例えば、アルキルシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−4−メチルシクロヘキサン、1,2−エポキシ−3−エチルシクロヘプタンなどのC1−6アルキル−C4−12シクロアルケンオキシド類、好ましくはC1−4アルキル−C5−10シクロアルケンオキシド類)、アルケニルシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンなどのC2−6アルケニル−C4−12シクロアルケンオキシド類、好ましくはC2−4アルケニル−C5−10シクロアルケンオキシド類)、アルキニルシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−4−プロピニルシクロオクタンなどのC2−6アルキニル−C4−12シクロアルケンオキシド類)、シクロアルキルシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−4−シクロヘキシルシクロヘプタンなどのC4−12シクロアルキル−C4−12シクロアルケンオキシド類)、アリールシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−5−フェニルシクロオクタンなどのC6−10アリール−C4−12シクロアルケンオキシド類、好ましくはC6−8アリール−C5−10シクロアルケンオキシド類)などの炭化水素基を有するシクロアルケンオキシド類;アルコキシシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−4−メトキシシクロヘプタンなどのC1−6アルコキシ−C4−12シクロアルケンオキシド類);ヒドロキシシクロアルケンオキシド類(例えば、2,3−エポキシシクロブタノール、2,3−エポキシシクロペンタノール、2,3−エポキシシクロヘキサノール、1,2−エポキシ−4−ヒドロキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−5−ヒドロキシシクロオクタン、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサノールなどのヒドロキシC4−12シクロアルケンオキシド類、好ましくはヒドロキシC5−10シクロアルケンオキシド類)、カルボキシシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−4−カルボキシシクロヘキサンなどのカルボキシC4−12シクロアルケンオキシド類)、アミノシクロアルケンオキシド類(例えば、1,2−エポキシ−3−アミノシクロヘプタンなどのアミノC4−12シクロアルケンオキシド類)などの官能基又は親和性基を有するシクロアルケンオキシド類など]などが挙げられる。
シクロアルカジエンオキシド類としては、前記シクロアルケンオキシド類に対応する化合物、例えば、α,β−エポキシシクロアルケン類(例えば、4,5−エポキシシクロヘキセン、3,4−エポキシシクロヘプテンなどのα,β−エポキシC4−12シクロアルケン類)、置換基を有するα,β−エポキシシクロアルケン[例えば、アルキルα,β−エポキシシクロアルケン類(例えば、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキセンなどのα,β−エポキシC1−6アルキルC4−12シクロヘキセン類)、α,β−エポキシシクロアルキルシクロアルケン類(例えば、5,6−エポキシ−3−シクロヘキシルシクロヘキセンなどのα,β−エポキシC5−10シクロアルキルC4−12シクロアルケン類)などの炭化水素基を有するシクロアルカジエンオキシド類;α,β−エポキシアルコキシシクロヘキセン類(例えば、3,4−エポキシ−6−エトキシシクロオクテンなどのα,β−エポキシC1−6アルコキシ−C4−12シクロヘキセン類);ヒドロキシアルキル−α,β−エポキシシクロアルケン類(例えば、3,4−エポキシ−5−ヒドロキシメチルシクロヘキセンなど)、カルボキシアルキル−α,β−エポキシシクロアルケン類(5,6−エポキシ−3−カルボキシエチルシクロヘプテンなど)などの官能基又は親和性基を有するシクロアルカジエンオキシド類など]などが挙げられる。
エポキシ基を有する蓄積封止性化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
(複数のケトン基を有する蓄積封止性化合物)
複数のケトン基を有する蓄積封止性化合物には、2つ以上(例えば、2〜4)のケトン基を有する化合物、特に、ジケトン類(置換基を有していてもよいジケトン)などが含まれる。ジケトン類は、α−ジケトン類(又は1,2−ジケトン類)、β−ジケトン類(又は1,3−ジケトン類)、γ−ジケトン類(又は1,4−ジケトン類)などが挙げられ、特に、残存シール剤に対する親和性の観点から、ケト−エノール互変異性を有するβ−ジケトン類が好ましい。
ジケトン類(特に、β−ジケトン類)は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記例示の置換基(例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基などの炭化水素基、ヒドロキシル基などの親和性基など)などが挙げられる。ジケトン類は、これらの置換基を単独で又は2種以上組みあわせて有していてもよい。
前記ジケトン類としては、例えば、鎖状ジケトン類、環状ジケトン類などが例示できる。
鎖状ジケトン類としては、脂肪族ジケトン類、例えば、アルカンジオン類{アルカンジオン(例えば、ビアセチル、アセチルアセトン、2,3−ヘキサンジオン、2,4−ヘキサンジオン、2,6−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオンなどのC4−12アルカンジオン類、好ましくはC5−10アルカンジオン類)、置換基を有するアルカンジオン[例えば、アルキルアルカンジオン類(例えば、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、3−エチル−2,4−ヘプタンジオン、2−エチル−3,5−オクタンジオンなどのC1−6アルキル−C4−12アルカンジオン、好ましくはC1−4アルキル−C5−10アルカンジオン類)、アルケニルアルカンジオン類(例えば、4−ビニル−3,5−ヘプタンジオンなどのC2−6アルケニル−C4−12アルカンジオン類)、シクロアルキルアルカンジオン類(例えば、2−シクロヘキシル−4,5−オクタンジオンなどのC4−10シクロアルキルC4−12アルカンジオン類)、アリールアルカンジオン類(例えば、5−フェニル−2,4−ヘキサンジオンなどのC6−10アリールC4−12アルカンジオン類)などの炭化水素基を有するアルカンジオン類;アルコキシアルカンジオン類(例えば、3−メトキシ−2,4−ペンタンジオンなどのC1−6アルコキシC4−12アルカンジオン);アミノ又は置換アミノアルカンジオン類(例えば、4−アミノ−2,3−ヘキサンジオン、3−エチルアミノ−2,6−オクタンジオン、2−アニリノ−3,5−ヘプタンジオンなどのアミノ又は置換アミノC4−12アルカンジオン類)、ヒドロキシアルカンジオン類(例えば、2−ヒドロキシ−3,5−ヘプタンジオンなどのヒドロキシC4−12アルカンジオン類)、α,β−エポキシアルカンジオン類(例えば、1,2−エポキシ−3,5−ヘキサンジオンなどのα,β−エポキシC4−12アルカンジオン類)などの親和性基又は官能基を有するアルカンジオン類など]など}、アルケンジオン類[例えば、アルケンジオン(例えば、4−ペンテン−2,3−ジオン、5−ヘキセン−2,4−ジオンなどのC5−12アルケンジオンなど)など]などが含まれる。
環状ジケトン類としては、例えば、単環式ジケトン類、多環式ジケトン類などが挙げられる。単環式ジケトン類としては、シクロアルカンジオン類[例えば、シクロアルカンジオン(例えば、1,3−シクロブタンジオン、1,2−シクロペンタンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,4−シクロヘキサンジオンなどのC4−12シクロアルカンジオン、好ましくはC5−10シクロアルカンジオン)、置換基を有するシクロアルカンジオン(例えば、4−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンなどのアルキルシクロアルカンジオン類;5−メトキシ−1,3−シクロヘキサンジオンなどのアルコキシシクロアルカンジオン類など)、シクロアルケンジオン類[例えば、シクロアルケンジオン(例えば、4−シクロヘキセン−1,3−ジオン、5−シクロヘキセン−1,3−ジオンなどのC4−12シクロアルケンジオン)、置換基を有するシクロアルケンジオン(例えば、6−メチル−4−ヘキセン−1,3−ジオンなどのアルキルシクロヘキセンジオン類など)、α,β−エポキシシクロアルカンジオン類(例えば、4,5−エポキシ−1,3−シクロヘキサンジオンなどのα,β−エポキシC4−12シクロアルカンジオン類)など]などが例示できる。多環式ジケトン類には、例えば、ビシクロアルカンジオン類(例えば、2,3−ジヒドロ−1,4−ナフタレンジオン、5,6−エポキシ−2,3−ペルヒドロナフタレンジオンなど)、トリシクロアルカンジオン類(例えば、1,4−ジヒドロ−1,4−アントラセンジオンなど)などが含まれる。
複数のケトン基を有する蓄積封止性化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい封止性化合物(蓄積封止性化合物)には、高沸点(例えば、沸点50℃以上)のオレフィンオキシド類[例えば、前記C6−20アルケンオキシド(例えば、C8−15アルケンオキシド)類、環状オレフィンオキシド類、残存シール剤に対して親和性を有する官能基(前記親和性基のうち、エポキシ基を除く基、例えば、ヒドロキシル基など)を有するオレフィンオキシド類など]、ジケトン類(特に、β−ジケトン類)などが含まれ、特に、シクロアルケンオキシド類(例えば、C5−10シクロアルケンオキシド類、好ましくはC5−8シクロアルケンオキシド類など)、ヒドロキシアルケンオキシド類(例えば、ヒドロキシC3−10シクロアルケンオキシド類、好ましくはヒドロキシC3−6シクロアルケンオキシド類など)、β−脂肪族ジケトン類[β−アルカンジオン類(例えば、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオンなどのβ−C5−10アルカンジオン類、好ましくはβ−C5−8アルカンジオン類など)など]などが好ましい。
なお、封止性化合物は、供給ガスと共に流通するため、供給ガスとともに燃焼(完全燃焼)可能であるのが好ましい。すなわち、過剰量の封止性化合物は、漏洩部を閉塞することなく流通又は通過する。このような過剰量の封止性化合物は、後述するように捕捉剤により捕捉されるが、ごく少量において捕捉剤においてもトラップされることなく流通し、供給ガスとともに燃焼される場合がある。そのため、封止性化合物は、通常、炭素原子と水素原子と(さらに酸素原子と)を主成分とする化合物(微量の窒素原子などを含んでいてもよい化合物)であってもよい。このような観点からも、前記オレフィンオキシド類やジケトン類は、封止性化合物として好ましい。
前記シール剤において、封止性化合物は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
なお、前記シール剤(又は蓄積封止性化合物)は、残存シール剤に対して吸収されたのち、残存シール剤に蓄積(又は残留)する。蓄積の形態は、特に限定されず、残存シール剤に対する吸着(物理吸着、化学吸着など)などであってもよく、残存シール剤に対して反応して蓄積してもよい。
前記シール剤は、必要に応じて他の成分(例えば、反応又は重合開始剤など)を含んでいてもよい。特に、シール剤を、前記封止性化合物(特に蓄積封止性化合物)とこの封止性化合物の残存シール剤に対する吸収を促進するための吸収促進剤とで構成すると、封止性化合物の残存シール剤に対する吸収性を向上してより一層効率よく漏洩部をシールできる。
吸収促進剤を使用することにより、封止性化合物の吸収性を促進できる理由は定かではないが、蓄積封止性化合物と組みあわせる場合には、吸収促進剤が残存シール剤に対して吸収されることにより、残存シール剤を膨張(又は膨潤)させ、封止性化合物が膨張した残存シール剤に吸収されやすくなるものと考えられる。また、吸収促進剤が封止性化合物に対して親和性を有しており、この親和性により、吸収促進剤で膨潤した残存シール剤に吸収されやすくなることも考えられる。
なお、吸収促進剤は、残存シール剤に対して蓄積する性質を有していてもよいが、通常、残存シール剤に対して吸収される性質を有し、かつ残存シール剤に対して蓄積しない性質を有している。すなわち、吸収促進剤を残存シール剤に対して吸収させて放置(常温又は加熱下での放置など)すると、吸収された吸収促進剤(吸収促進剤の一部又は全部)が、残存シール剤から脱離する(又は脱離しやすい)性質を有している。このような残存シール剤に対して蓄積しない(又は残存シール剤から脱離しやすい)という点で、吸収促進剤と封止性化合物とは異なる。ただし、吸収促進剤は、単独で使用したとき、残存シール剤に蓄積しない性質を有しており、封止性化合物と併用したとき、なんらかの作用(例えば、封止性化合物との反応など)により残存シール剤に対して蓄積可能であってもよい。
吸収促進剤としては、封止性化合物と同様に、配管内で流通している供給ガス(例えば、都市ガスなど)とともに流通可能であり、残存シール剤に対して吸収される性質を有していればよく、残存シール剤の種類に応じて適宜選択できる。
吸収促進剤は、供給ガスとともに流通可能であれば、常温において、気体、液体、固体のいずれであってもよく、通常、液体であってもよい。吸収促進剤の沸点は、例えば、30℃以上(例えば、35〜250℃)、好ましくは40℃以上(例えば、45〜200℃)、さらに好ましくは50℃以上(例えば、55〜150℃)、特に55℃以上(例えば、60〜120℃)程度であってもよい。
代表的な吸収促進剤としては、慣用の溶媒、例えば、炭化水素類[例えば、脂肪族炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカンなどのC5−10アルカン類など)、脂環族炭化水素類(例えば、シクロペンタン、シクロヘキサンなどのC5−8シクロアルカンなど)]、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレンなどのC6−10アレーンなど)など]、アルコール類[アルカノール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、イソアミルアルコール、オクタノール、デカノールなどのC1−10アルカノール、好ましくはC1−6アルカノールなど)などの脂肪族アルコール類;シクロアルカノール類(例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどのC5−8シクロアルカノールなど)などの脂環族アルコール類など]、エーテル類[ジアルキルエーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなど)などの鎖状エーテル類;ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など]、ケトン類[ジアルキルケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのジC1−4アルキルケトン類など)などの脂肪族ケトン類;シクロアルカノン類(例えば、シクロヘキサノンなどのC5−8シクロアルカノンなど)などのモノケトン類など]、エステル類[例えば、カルボン酸アルキルエステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸C1−4アルキルエステルなど)など]などが挙げられる。
好ましい吸収促進剤には、残存シール剤の種類にもよるが、アルコール類[例えば、C1−4アルカノール(メタノール、エタノールなど)などのアルカノール類]などが含まれる。
吸収促進剤は、単独で又は2種以上組みあわせて使用してもよい。
前記封止性化合物および吸収促進剤で構成されたシール剤の形態は、封止性化合物と吸収促進剤とを組みあわせて使用できる形態であればよく、封止性化合物と吸収性化合物とが互いに混合(溶解、分散など)した混合物の形態、封止性化合物と吸収性化合物とが混合することなく分離している形態などであってもよい。後者の形態は、封止性化合物と吸収性化合物とが反応可能な場合などにおいて有用である。
シール剤において、封止性化合物と吸収促進剤との割合は、前者/後者(重量比)=90/10〜1/99、好ましくは70/30〜2/98、さらに好ましくは50/50〜3/97、特に30/70〜5/95程度であってもよい。なお、上記割合は、前記のように、混合物における割合(混合割合)であってもよく、シール剤としての使用時における割合(使用割合)であってもよい。
なお、残存シール剤を構成するシール剤(又はネジシール剤)としては、特に限定されず、慣用のシール剤、例えば、フェノール樹脂系シール剤(フェノール樹脂をベース又は構成成分とするシール剤、以下同じ)、エポキシ樹脂系シール剤、アクリル樹脂系シール剤、ゴム系シール剤(シリコーン変性オレフィン系樹脂などのゴム変性樹脂など)などが例示できる。なお、エポキシ基を有する封止性化合物や複数のケトン基を有する化合物は、特に、フェノール樹脂系(又はフェノール樹脂をベースとする)シール剤に吸収および蓄積されやすいようである。フェノール樹脂系シール剤において、フェノール樹脂は、ノボラック樹脂、レゾール樹脂などであってもよいが、通常ノボラック樹脂であってもよい。なお、ノボラック樹脂は、酸触媒の存在下、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、エチルフェノールなどのC1−4アルキルフェノール、ジヒドロキシベンゼン、レゾルシノール、ナフトールなど)とアルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒドなどの芳香族アルデヒドなど)との反応により得られる。
残存シール剤(例えば、フェノール樹脂系シール剤)は、種々の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤など)、充填剤、着色剤、難燃剤などを含んでいてもよい。残存シール剤は、これらの添加剤を単独で又は2種以上組みあわせて含んでいてもよい。
[シール方法]
前記シール剤は、配管内の供給ガス流とともに流通させることにより漏洩部を閉塞できる。しかし、供給ガス流とともに流通したシール剤の一部は、消費されることなく(又は漏洩部を閉塞することなく)流通し、最終的には配管に接続されたガス関連機器に到達する。しかし、このように消費されることなく流通した過剰のシール剤は、ガス関連機器に対して悪影響(ガス関連機器の故障など)を与える場合があり、出来る限りガス関連機器に到達するシール剤の量を低減するのが好ましい。
そこで、本発明のシール方法では、前記シール剤を、配管内の供給ガス流に供給して前記ガス流とともに流通させて、過剰のシール剤を捕捉しながら、前記漏洩部を閉塞する。すなわち、本発明のシール方法では、前記ガス流に対して、前記漏洩部よりも下流側であり、かつ配管に接続されたガス関連機器よりも上流側に位置する箇所に配設(又は装着)した捕捉剤(又は捕捉材)により、配管内を通過した余剰のシール剤を捕捉しつつ前記漏洩部を閉塞する。
前記捕捉剤(又は捕捉剤を構成する捕捉成分)としては、前記シール剤(封止性化合物)を捕捉(又は吸着)できる限り特に限定されず、シール剤の種類などにもよるが、通常、慣用の吸着剤を使用できる。なお、捕捉剤(特に吸着剤)は、シール剤のうち、少なくとも封止性化合物を捕捉可能であればよいが、シール剤を封止性化合物と他の成分とで構成する場合、他の成分もまた捕捉可能であるのが好ましい。例えば、シール剤を封止性化合物および吸収促進剤で構成する場合、捕捉剤は、通常、封止性化合物および吸収促進剤を捕捉可能であってもよい。代表的な吸着剤としては、例えば、炭素系吸着剤(活性炭など)、鉱物系吸着剤[例えば、ゼオライト(A型ゼオライト、Z型ゼオライトなど)、ベントナイト、モンモリロナイトなど]、セラミック系吸着剤[例えば、シリカ、シリカゲル、アルミナ(活性アルミナなど)、白土(活性白土、酸性白土など)、シリカ−アルミナなど)など]などが挙げられる。吸着剤は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
なお、本発明では、通常、供給ガスとともに流通したシール剤をトラップするという観点から、前記例示の吸着剤のような吸着剤(例えば、活性炭など)を好適に使用できるが、シール剤の種類によっては、通常、液相吸着に使用される吸着剤(液相吸着剤)であっても使用できる。例えば、シール剤が、比較的極性が大きい封止性化合物[例えば、官能基(ヒドロキシル基、カルボニル基、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基など)を有する封止性化合物など]である場合には、イオン交換体{例えば、陰イオン交換樹脂[例えば、第4級アンモニウム塩基(トリメチルアンモニウム塩基など)を有する強塩基性イオン交換樹脂、第1級、第2級又は第3級アミノ基を有する弱塩基性イオン交換樹脂など]、陽イオン交換樹脂[例えば、スルホン酸基を有する強酸性イオン交換樹脂、フッ化アルキルスルホン酸基を有する超強酸性イオン交換樹脂、カルボキシル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基などを有する弱酸性イオン交換樹脂など]などのイオン交換樹脂など}などの液相吸着剤であっても、効率よくトラップできる。
好ましい吸着剤には、活性炭が含まれる。活性炭としては、植物系活性炭(例えば、木粉、ヤシ殻、素灰、竹などの植物を原料とする活性炭)、鉱物系活性炭(例えば、ピート炭、レキ炭、ピッチ、コークスなどの鉱物を原料とする活性炭)、樹脂系活性炭(例えば、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂などの樹脂を原料とする活性炭)などが挙げられる。これらの活性炭は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
吸着剤(活性炭など)の比表面積は、300〜3000m2/g、好ましくは500〜2500m2/g、さらに好ましくは700〜2200m2/g、特に1000〜2000m2/g程度であってもよい。
また、吸着剤(活性炭など)の平均孔径(平均細孔径)は、例えば、0.1〜10nm、好ましくは0.3〜3nm、さらに好ましくは0.5〜2nm程度であってもよい。
吸着剤(活性炭など)の形状は、繊維状、粉粒状(又は粒状)などであってもよい。本発明では、特に、繊維状吸着剤(活性炭など)を好適に使用できる。繊維状吸着剤(活性炭など)の平均繊維径は、例えば、1〜100μm、好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜20μm程度であってもよい。なお、粉粒状吸着剤(活性炭など)の平均粒径は、5〜500μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜80μm(例えば、30〜60μm)程度であってもよい。
捕捉剤は、繊維状、粒状などの形状のまま配設してもよく、通常、前記捕捉剤(例えば、繊維状吸着剤など)を用いて適当な形状に成形した成形体(吸着成形体)として配設してもよい。成形体は、ペレット状、シート状(マット状、織物状など)などの形状(全体的な形状)を有していてもよく、前記図の例の円筒状(中空円筒状など)のように、配設部位に対応する形状に成形されていてもよい。また、成形体は、織布状、不織布状などであってもよく、前記図3の例のようにハニカム状に成形されていてもよい。
捕捉剤の配設部位(配設位置)は、ガス関連機器(詳細にはガス関連機器の入側)よりも上流側に位置する箇所(又は配管の部位)であればよく、通常、供給ガス流に対して前記漏洩部よりも下流側である。通常、配管は複数のガス関連機器[例えば、ガスメータおよびガス消費機器(給湯器など)]に接続されている場合が多く、全てのガス関連機器に到達する余剰のシール剤を低減するため、特に、配管のうち、最も上流側に接続されているガス関連機器(又は配管に最初に接続されたガス関連機器、通常、ガスメーター)の上流側に位置する箇所(配管)に少なくとも捕捉剤を配設するのが好ましい。例えば、(1)ガスメーター(ガスメーターの入側)の上流側のみに捕捉剤を配設してもよく、(2)ガスメーターの上流側、およびガスメーターより下流側に接続されたガス関連機器(例えば、給湯器などのガス消費機器)とガスメーターとの間の適当な部位に捕捉剤を配設してもよい。
また、捕捉剤の配設位置は、できるだけ下流側に位置する配管の漏洩部を閉塞するという観点から、ガス関連機器(特に、ガスメーターなどの最も上流側に接続されたガス関連機器)の近傍に少なくとも配設するのが好ましい。
以上のような観点から、特に、配管のうち、最も上流側に接続されたガス関連機器(通常、ガスメーター)よりも上流側であって、配管の最も下流側の継手部(最も下流側に位置する継手部、ガス流に対してガス関連機器に最も近い配管の継手部)よりも下流側に位置する箇所(又は配管)に少なくとも捕捉剤を配設してもよい。
なお、捕捉剤を配設する配管の部位は、配管の直線部であってもよく、前記図5の例に示すように配管の屈曲部であってもよい。
捕捉剤の配設形態は、供給ガス流(およびシール剤)と捕捉剤とが接触できる形態であればよい。例えば、(a)配管の内壁(又は内面)に捕捉剤を配設してもよく、(b)配管の側面(外面)側に配管の内部と連通して設けられ、かつガス流を規制可能な収容部に捕捉剤を収容(配設)してもよい。
配管の内面に配設する態様(a)では、配管の内面(又は内壁)の少なくとも一部に捕捉剤を配設できればよく、例えば、配管の内壁(又は内周)に沿って断面円弧状に配設してもよく、前記図のように配管の内壁に沿って断面円状(又は円筒状)に配設してもよい。また、配管の内面に少なくとも接触できればよく、前記図1のように断面輪状(又は中空円筒状)に配設してもよく、配管の内部に充填して配設してもよい。好ましい態様では、捕捉剤(例えば、活性炭など)で形成された円筒状吸着体(中空円筒状吸着体)を、配管の内壁に(接触させて)配設してもよい。
なお、配管の内面に配設する場合、配設されている捕捉剤(又は吸着成形体)の長さ(供給ガス流の流れ方向の長さ)は、例えば、0.5〜50cm、好ましくは1〜30cm、さらに好ましくは2〜20cm(例えば、3〜10cm)程度であってもよい。また、配管の内面に断面円弧状に配設する場合(すなわち、中空部を設ける場合)、捕捉剤(吸着性形態)の厚み(配管の径方向の厚み)は、配管の内径(内半径)を1とするとき、0.05〜0.8、好ましくは0.1〜0.6、さらに好ましくは0.2〜0.5程度であってもよい。
収容部に捕捉剤を収容する態様(b)において、収容部は、配管内部と通じておればよく、直接的に配管内部と連通していてもよく、連通部(例えば、管状の連通部)を介して配管内部と連通していてもよい。また、収容部は、配管の内部と連通可能であればよく、前記図4のように配管の内部に向けて(又は配管の内部を臨む)開口部が設けられていてもよく、配管の内部に向けて連通可能な孔(メッシュ)が設けられていてもよい。なお、収容部の全体形状は、捕捉剤を収容又は配設可能な形状であればよく、例えば、箱状(ボックス状)、筒状(円筒状)などであってもよい。また、収容部は、配管の周囲全体に亘って連通可能な形状(例えば、ドーナツ状)であってもよい。
なお、捕捉剤(又は成形吸着体)は、必要に応じて接着剤などを用いて配管に固定してもよく、接着剤などを要することなく[例えば、捕捉剤(成形吸着体)を配管の配設部位の大きさよりも大きく成形した成形吸着体を配設し、弾性(又は柔軟性)を利用して]固定してもよい。
このような本発明の方法は、気体を流通させる種々の管体(又は配管)、特に都市ガスなどのガス管に適用でき、配管は1つの流路に限らず複数の流路を有する分岐管であってもよい。配管の種類は特に限定されず、種々の配管又は管路(例えば、平均内径15〜100mmφ程度の管体)に有効に適用できる。特に、シール剤との間に隙間が生じやすい配管、例えば、本管から分岐した枝管の継手部(例えば、微小のガス漏れが生じやすいネジ継手部など)を有する管体又は管路に有効に適用でき、ガスの漏洩を有効に抑止又は防止できる。
前記シール方法において、封止性化合物の割合(供給割合、流通割合)は、供給ガス流全体(ガスとシール剤との総量)に対して、体積基準で、0.1〜5000ppm(例えば、0.2〜3000ppm)、好ましくは0.3〜1000ppm(例えば、0.5〜800ppm)、さらに好ましくは1〜500ppm程度であってもよく、通常3〜2000ppm程度であってもよい。特に、本発明では、封止性化合物の割合が、供給ガス流全体に対して、体積基準で、例えば、好ましくは0.1〜500ppm、さらに好ましくは0.3〜400ppm、特に好ましくは1〜300ppm、最も好ましくは5〜200ppm(例えば、10〜150ppm)程度であっても漏洩部を閉塞できる。捕捉剤により余剰のシール剤を捕捉しつつ、このような低濃度でシール剤を供給すると、ガス関連機器に対する影響をより一層低減して漏洩部を閉塞できる。また、吸収促進剤の割合は、(供給割合、流通割合)は、供給ガス流全体に対して、体積基準で、0.1〜200000ppm(例えば、0.1〜100000ppm)、好ましくは0.3〜70000ppm(例えば、0.5〜50000ppm)、さらに好ましくは1〜30000ppm(例えば、10〜20000ppm)程度であってもよい。さらに、封止性化合物と吸収促進剤との割合(供給割合、流通割合)は、例えば、前者/後者(体積比)=95/5〜0.5/99.5(例えば、90/10〜1/99)、好ましくは80/20〜2/98(例えば、70/30〜3/97)、さらに好ましくは60/40〜4/96(例えば、50/50〜5/95)程度であってもよく、通常40/60〜5/95(例えば、30/70〜6/94)程度であってもよい。
なお、配管を流通する供給ガスに、前記シール剤を添加して共に流通させる方法としては、特に限定されず、例えば、供給ガスを減圧して流通するためのガバナ又はガバナよりも下流の適当な場所(例えば、中圧に減圧するガバナ、中圧配管の任意の場所、低圧に減圧するガバナ、ガバナを通過した配管(低圧配管)の任意の場所)に前記シール剤を添加してもよい。通常、漏洩部を閉塞するという観点から、少なくともシール剤(残存シール剤)によりシールされている箇所(継ぎ手部分など)よりも、ガス流の上流側において前記シール剤を添加するのが好ましい。特に、ガス漏れが多数起こっている地域、配管が古くなり、漏れが懸念される地域の配管の上流側に前記シール剤を添加してもよい。
上記のような本発明のシール方法は、前記漏洩部を閉塞するので、漏洩部からのガス漏洩を抑止又は抑制するのに有用である。なお、前記シール方法は、微量のガス漏れなどの発見されにくいガス漏洩であっても、効率よく抑止できる。
また、前記シール方法では、シール剤として蓄積封止性化合物を用いることにより、前記配管の漏洩部(又は残存シール剤)に、ガスの漏洩に至る前に前記シール剤を吸収させて蓄積させ、ガス漏洩を防止することも可能である。すなわち、前記方法では、残存シール剤に対して、前記封止性化合物を吸収および蓄積させて前記残存シール剤を膨張(又は膨潤)させることにより前記漏洩部を閉塞するので、ガス漏洩には至っていないものの、残存シール剤と配管との間に隙間が生成しつつある漏洩部であっても閉塞又は抑止できる。
さらに、前記方法では、ガス流を利用して漏洩部を閉塞するので、供給ガスを停止することなく、広域の漏洩部(ガス漏洩部など)をシールするのに有効であり、ガス管などからの漏洩箇所を探索して掘削し、ガス管を補修(復元)するなどの手間を省略することができる。
前記シール剤は、供給ガス(又は配管)に対して定常的に流通(又は添加)させてもよいが、通常、所定の期間(例えば、1日〜1年、好ましくは3日〜半年、1週間〜3ヶ月程度)、供給ガスに対して流通させたのち、シール剤の流通を停止してもよい。特に、本発明では、残存シール剤に対して吸収された前記封止性化合物は確実に蓄積されるので、比較的少量のシール剤を長期に亘って(例えば、2週間〜6ヶ月、好ましくは1〜3ヶ月程度)流通させてもよい。なお、流通の停止時期は、適宜調整でき、既にガス漏洩した漏洩部を封止する場合には、漏れの発生件数が大きく減少したことを確認したのち、シール剤の流通を停止してもよい。また、シール剤の流通は、連続的に行ってもよく、断続的に又は間欠的に行ってもよい。
なお、必要に応じて、配管を加熱又は加温しながら前記シール剤を流通してもよい。配管の加熱又は加温は慣用の方法で行うことができ、配管の外部から加熱手段(ヒーター、熱媒など)により加熱してもよく、加熱気体(加熱空気、加熱水蒸気などの加熱媒体)を配管内に導入することにより配管を加熱又は加温してもよい。