しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、自機側がデジタル回線網に接続されたデジタル電話機であることを前提とする技術であり、デジタル電話機に届くパケットの中身から情報を得るようになっていたため、自機側がIP電話用アダプタに接続されたアナログ電話機である場合には、上記技術を採用することはできなかった。
また、上記特許文献1に記載の技術は、あくまでも通信相手である他機がデジタル回線網の加入者か非加入者かを識別しているに過ぎず、自機側通信網としては1種の回線(デジタル回線)のみを利用している。すなわち、自機側通信網として2種の回線(例えば、IP網とPSTN網)のいずれかを択一的に利用できる構成にはなっておらず、それ故、自機側通信網の種別を識別する構成は備えていなかった。
したがって、上述の通り、IP網経由の音声とPSTN網経由の音声には音量や音質に違いがあるものの、上記特許文献1に記載の技術では、こうした音量や音質の違いを解消することはできなかった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、IP網およびPSTN網の双方に接続された中継装置に接続されることにより、IP網およびPSTN網のそれぞれを自機側通信網として利用可能な通信装置において、IP網およびPSTN網それぞれの特性を考慮した通信を実施可能とすることにある。
以下、本発明において採用した特徴的構成について説明する。
まず、請求項1に記載の通信装置は、自機が接続された自機側通信網および通信先機器が接続された他機側通信網を経由して前記通信先機器と通信可能で、IP網およびPSTN網の双方に接続された中継装置に接続されることにより、前記IP網および前記PSTN網のそれぞれを前記自機側通信網として利用可能な通信装置であって、前記通信先機器からの着信時に、前記自機側通信網または前記中継装置のいずれかから伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、前記IP網経由の着信か前記PSTN網経由の着信かを判定する着信時自機側通信網判定手段と、前記着信時自機側通信網判定手段によって前記IP網経由の着信と判定された場合と前記PSTN網経由の着信と判定された場合とでは、前記通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施す音声信号処理手段とを備えたことを特徴とする。
この通信装置によれば、着信時に伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、自機が利用している自機側通信網を特定し、特定した自機側通信網に応じて、通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施す。
したがって、例えば、IP網経由の着信時にはIP網経由の音声が聞き取りやすくなるような第1の信号処理を施すようにし、しかも、PSTN網経由の着信時にはPSTN網経由の音声が聞き取りやすくなるような第2の信号処理を施すようにすることができる。
IP網経由の着信時とPSTN網経由の着信時とで、通信先機器との間で伝送される音声信号に対して同じ信号処理しか施せない通信装置の場合、例えば、IP網経由の音声が聞き取りやすくなるような第1の信号処理を施そうとすると、PSTN網経由の着信時にも第1の信号処理が施される結果、必ずしもPSTN網経由の音声が聞き取りやすくならないことがあり、PSTN網経由の音声が聞き取りやすくなるような第2の信号処理を施そうとすると、IP網経由の着信時にも第2の信号処理が施される結果、必ずしもIP網経由の音声が聞き取りやすくならないことがあるが、この点、請求項1に記載の通信装置であれば、IP網経由の音声およびPSTN網経由の音声どちらをも聞き取りやすい音声にすることができる。
なお、音声信号処理手段による信号処理については、具体的な処理内容がいくつか考えられ、例えば、音量を増減する処理、エコーキャンセルの効き具合を変える処理、ノイズの多い周波数帯をカットする処理などを考えることができる。より具体的には、自機側通信網に関し、PSTN網経由の場合とIP網経由の場合とで音量に差がある場合、その差が小さくなるように、PSTN網用とIP網用とで音量を増減する処理の程度を変える。また、PSTN網経由の場合とIP網経由の場合とでエコーの程度に違いがある場合、その違いが小さくなるように、PSTN網用とIP網用とでエコーキャンセルの効き具合を変える。また、PSTN網経由の場合とIP網経由の場合とでノイズの多さやノイズの周波数に違いがある場合、その違いが小さくなるように、PSTN網用とIP網用とでフィルター特性を変える。これらの処理のうち、どの処理をどのように組み合わせて採用するか、また各処理による効果の程度をどの程度とするかなどは任意である。また、これらの処理を組み合わせてなるPSTN網用の信号処理とIP網用の信号処理の各処理内容は、利用者が任意には変更できない処理内容があらかじめ決められていてもよいし、利用者が任意に処理内容を変更できるようになっていてもよい。
次に、請求項2に記載の通信装置は、請求項1に記載の通信装置において、前記通信先機器からの着信時に、前記他機側通信網から伝送されてくる前記通信先機器の電話番号に基づいて、前記他機側通信網の種別を判定する着信時他機側通信網判定手段を備え、前記音声信号処理手段は、前記着信時自機側通信網判定手段によって判定された判定結果と前記着信時他機側通信網判定手段によって判定された判定結果との組み合わせに応じて、前記通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施すことを特徴とする。
この通信装置によれば、着信時に伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、自機が利用している自機側通信網を特定し、しかも、着信時に伝送されてくる通信先機器の電話番号に基づいて、通信先機器が利用している他機側通信網を特定し、特定した自機側通信網と他機側通信網の組み合わせに応じて、通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施す。
したがって、自機側通信網の特性のみを考慮した信号処理ではなく、他機側通信網の特性をも考慮した信号処理を行うことができ、自機側通信網と他機側通信網とがどのような組み合わせとなっても、それに応じて聞き取りやすい音声にすることができる。
なお、電話番号に基づいて判断可能な他機側通信網の種別としては、IP網、PSTN網、および携帯電話網を挙げることができる。これらは、全てを異なる他機側通信網と認識して信号処理を行うと最も望ましいが、IP網とIP網以外とを異なる他機側通信網と認識するようにしたり、あるいは、PSTN網とPSTN網以外とを異なる他機側通信網と認識するようにしても、相応の効果はある。
また、音声信号処理手段による信号処理については、音量を増減する処理、エコーキャンセルの効き具合を変える処理、ノイズの多い周波数帯をカットする処理など、具体的な処理内容がいくつか考えられるが、この点は請求項1に記載の通信装置の場合と同様である。一例を挙げて説明すれば、他機側通信網がPSTN網である場合とIP網である場合と携帯電話網である場合とで音量に差がある場合、その差が小さくなるように音量を増減する処理の程度を変えればよい。エコーキャンセルやノイズカットなども同様である。
次に、請求項3記載の通信装置は、自機が接続された自機側通信網および通信先機器が接続された他機側通信網を経由して前記通信先機器と通信可能で、IP網およびPSTN網の双方に接続された中継装置に接続されることにより、前記IP網および前記PSTN網のそれぞれを前記自機側通信網として利用可能な通信装置であって、前記通信先機器への発信時に、利用者が行った入力操作または前記通信先機器の電話番号に基づいて、前記IP網経由の発信か前記PSTN網経由の発信かを判定する発信時自機側通信網判定手段と、前記発信時自機側通信網判定手段によって前記IP網経由の発信と判定された場合と前記PSTN網経由の発信と判定された場合とでは、前記通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施す音声信号処理手段とを備えたことを特徴とする。
この通信装置において、発信時に利用者が行った入力操作としては、様々な操作を考えることができ、例えば、IP網またはPSTN網を利用者が任意に選択するために設けられた専用の回線選択ボタンが設けられていれば、その回線選択ボタンを押す操作が、発信時に利用者が行った入力操作に該当する。また、通信先機器の電話番号を入力する前に所定の番号(例えば、“0000”)を入力するとPSTN網が選択され、その番号を入力しないとIP網が選択される場合、その所定の番号を入力する操作が、発信時に利用者が行った入力操作に該当する。また、通信先機器の電話番号には、必ずPSTN網を利用せざるを得ない電話番号(例えば“110”等)があるので、そのような電話番号への発信時には、電話番号に基づいて、自機が利用している自機側通信網を特定できる。
このような通信装置によれば、発信時に利用者が行った入力操作または通信先機器の電話番号に基づいて、自機が利用している自機側通信網を特定し、特定した自機側通信網に応じて、通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施す。
したがって、例えば、IP網経由の発信時にはIP網経由の音声が聞き取りやすくなるような第1の信号処理を施すようにし、しかも、PSTN網経由の発信時にはPSTN網経由の音声が聞き取りやすくなるような第2の信号処理を施すようにすることができ、IP網経由の音声およびPSTN網経由の音声どちらをも聞き取りやすい音声にすることができる。
なお、音声信号処理手段による信号処理については、具体的な処理内容がいくつか考えられるが、この点は、請求項1に記載の通信装置の場合と同様なので、ここでの説明は省略する。
次に、請求項4に記載の通信装置は、請求項3に記載の通信装置において、前記通信先機器への発信時に、前記通信先機器の電話番号に基づいて、前記他機側通信網の種別を判定する発信時他機側通信網判定手段を備え、前記音声信号処理手段は、前記発信時自機側通信網判定手段によって判定された判定結果と前記発信時他機側通信網判定手段によって判定された判定結果との組み合わせに応じて、前記通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施すことを特徴とする。
この通信装置によれば、発信時に利用者が行った入力操作または通信先機器の電話番号に基づいて、自機が利用している自機側通信網を特定し、しかも、通信先機器の電話番号に基づいて、通信先機器が利用している他機側通信網を特定し、特定した自機側通信網と他機側通信網の組み合わせに応じて、通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施す。
したがって、自機側通信網の特性のみを考慮した信号処理ではなく、他機側通信網の特性をも考慮した信号処理を行うことができ、自機側通信網と他機側通信網とがどのような組み合わせとなっても、それに応じて聞き取りやすい音声にすることができる。
なお、電話番号に基づいて判断可能な他機側通信網の種別としては、IP網、PSTN網、および携帯電話網を挙げることができ、この点は請求項2に記載の通信装置の場合と同様である。また、これら全てを異なる他機側通信網と認識して信号処理を行うと最も望ましいが、IP網とIP網以外とを異なる他機側通信網と認識するようにしたり、あるいは、PSTN網とPSTN網以外とを異なる他機側通信網と認識するようにしてもよく、この点も、請求項2に記載の通信装置の場合と同様である。
また、音声信号処理手段による信号処理については、音量を増減する処理、エコーキャンセルの効き具合を変える処理、ノイズの多い周波数帯をカットする処理などを適宜組み合わせて採用でき、この点も請求項2に記載の通信装置の場合と同様である。
次に、請求項5に記載の通信装置は、自機が接続された自機側通信網および通信先機器が接続された他機側通信網を経由して前記通信先機器と通信可能で、IP網およびPSTN網の双方に接続された中継装置に接続されることにより、前記IP網および前記PSTN網のそれぞれを前記自機側通信網として利用可能な通信装置であって、前記通信先機器からの着信時に、前記自機側通信網または前記中継装置のいずれかから伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、前記IP網経由の着信か前記PSTN網経由の着信かを判定する着信時自機側通信網判定手段と、前記通信先機器への発信時に、利用者が行った入力操作または前記通信先機器の電話番号に基づいて、前記IP網経由の発信か前記PSTN網経由の発信かを判定する発信時自機側通信網判定手段と、前記着信時自機側通信網判定手段によって前記IP網経由の着信と判定された場合と前記PSTN網経由の着信と判定された場合とでは、前記通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施し、しかも、前記発信時自機側通信網判定手段によって前記IP網経由の発信と判定された場合と前記PSTN網経由の発信と判定された場合とでは、前記通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施す音声信号処理手段とを備えたことを特徴とする。
この通信装置は、請求項1に記載の通信装置が備える各手段および請求項3に記載の通信装置が備える各手段に相当する手段を兼ね備えている。
したがって、例えば、IP網経由の着信時にも発信時にもIP網経由の音声が聞き取りやすくなるような第1の信号処理を施すようにし、しかも、PSTN網経由の着信時にも発信時にもPSTN網経由の音声が聞き取りやすくなるような第2の信号処理を施すようにすることができ、IP網経由の音声およびPSTN網経由の音声どちらをも聞き取りやすい音声にすることができる。
次に、請求項6に記載の通信装置は、請求項5に記載の通信装置において、前記通信先機器からの着信時に、前記他機側通信網から伝送されてくる前記通信先機器の電話番号に基づいて、前記他機側通信網の種別を判定する着信時他機側通信網判定手段と、前記通信先機器への発信時に、前記通信先機器の電話番号に基づいて、前記他機側通信網の種別を判定する発信時他機側通信網判定手段を備え、前記音声信号処理手段は、前記着信時自機側通信網判定手段によって判定された判定結果と前記着信時他機側通信網判定手段によって判定された判定結果との組み合わせに応じて、前記通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施し、しかも、前記発信時自機側通信網判定手段によって判定された判定結果と前記発信時他機側通信網判定手段によって判定された判定結果との組み合わせに応じて、前記通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施すことを特徴とする。
この通信装置は、請求項2に記載の通信装置が備える各手段および請求項4に記載の通信装置が備える各手段に相当する手段を兼ね備えている。
したがって、自機側通信網の特性のみを考慮した信号処理ではなく、他機側通信網の特性をも考慮した信号処理を行うことができ、自機側通信網と他機側通信網とがどのような組み合わせとなっても、それに応じて聞き取りやすい音声にすることができる。
次に、請求項7に記載の通信装置は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の通信装置において、第1の通信先機器との通信中に第2の通信先機器から着信した場合に、前記自機側通信網または前記中継装置のいずれかから伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、前記第2の通信先機器からの着信が、前記IP網経由の着信か前記PSTN網経由の着信かを判定する通話中着信時自機側通信網判定手段を備え、前記音声信号処理手段は、前記通話中着信時自機側通信網判定手段によって前記第2の通信先機器からの着信が前記IP網経由の着信と判定された場合と前記PSTN網経由の着信と判定された場合とで、前記第2の通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施すことを特徴とする。
この通信装置によれば、第1の通信先機器との通信中に第2の通信先機器から着信した場合にも、第2の通信先機器からの着信に関し、自機が利用する自機側通信網を特定し、特定した自機側通信網に応じて、通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施す。
したがって、第2の通信先機器に関しても、例えば、IP網経由の着信時にはIP網経由の音声が聞き取りやすくなるような第1の信号処理を施すようにし、しかも、PSTN網経由の着信時にはPSTN網経由の音声が聞き取りやすくなるような第2の信号処理を施すようにすることができ、IP網経由の音声およびPSTN網経由の音声どちらをも聞き取りやすい音声にすることができる。
次に、請求項8に記載の通信装置は、請求項7に記載の通信装置において、前記第2の通信先機器からの着信時に、前記他機側通信網から伝送されてくる前記第2の通信先機器の電話番号に基づいて、前記他機側通信網の種別を判定する通話中着信時他機側通信網判定手段を備え、前記音声信号処理手段は、前記通話中着信時自機側通信網判定手段によって判定された判定結果と前記通話中着信時他機側通信網判定手段によって判定された判定結果との組み合わせに応じて、前記第2の通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施すことを特徴とする。
この通信装置によれば、第2の通信先機器からの着信時にも、その着信時に伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、自機が利用している自機側通信網を特定し、しかも、着信時に伝送されてくる通信先機器の電話番号に基づいて、通信先機器が利用している他機側通信網を特定し、特定した自機側通信網と他機側通信網の組み合わせに応じて、通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施す。
したがって、第2の通信先機器に関しても、自機側通信網の特性のみを考慮した信号処理ではなく、他機側通信網の特性をも考慮した信号処理を行うことができ、自機側通信網と他機側通信網とがどのような組み合わせとなっても、それに応じて聞き取りやすい音声にすることができる。
次に、請求項9に記載の通信装置は、ファクシミリ機能を有する装置であり、自機が接続された自機側通信網および通信先機器が接続された他機側通信網を経由して前記通信先機器と通信可能で、IP網およびPSTN網の双方に接続された中継装置に接続されることにより、前記IP網および前記PSTN網のそれぞれを前記自機側通信網として利用可能な通信装置であって、前記通信先機器からの着信時に、前記自機側通信網または前記中継装置のいずれかから伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、前記IP網経由の着信か前記PSTN網経由の着信かを判定する着信時自機側通信網判定手段と、前記通信先機器との間でファクシミリ画像を伝送する際に、前記着信時自機側通信網判定手段によって前記IP網経由の着信と判定された場合と前記PSTN網経由の着信と判定された場合とでは、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行う通信制御手段とを備えたことを特徴とする。
この通信装置は、ファクシミリ画像の伝送を行う点で、請求項1に記載の通信装置とは相違するが、着信時自機側通信網判定手段を備えている点で、請求項1に記載の通信装置と共通の主要部を備えているものである。
この通信装置によれば、着信時に伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、自機が利用している自機側通信網を特定し、特定した自機側通信網に応じて、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行う。
したがって、例えば、遅延の発生しやすいIP網経由の着信時には通信速度を遅めにして、通信エラーの発生を抑制することができ、一方、遅延の発生しにくいPSTN網経由の着信時には通信速度を速めにして、迅速にファクシミリ画像の伝送を完了させることができる。
次に、請求項10に記載の通信装置は、請求項9に記載の通信装置において、前記通信先機器からの着信時に、前記他機側通信網から伝送されてくる前記通信先機器の電話番号に基づいて、前記他機側通信網の種別を判定する着信時他機側通信網判定手段を備え、前記通信制御手段は、前記着信時自機側通信網判定手段によって判定された判定結果と前記着信時他機側通信網判定手段によって判定された判定結果との組み合わせに応じて、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行うことを特徴とする。
この通信装置は、ファクシミリ画像の伝送を行う点で、請求項2に記載の通信装置とは相違するが、着信時自機側通信網判定手段および着信時他機側通信網判定手段を備えている点で、請求項2に記載の通信装置と共通の主要部を備えているものである。
この通信装置によれば、着信時に伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、自機が利用している自機側通信網を特定し、しかも、着信時に伝送されてくる通信先機器の電話番号に基づいて、通信先機器が利用している他機側通信網を特定し、特定した自機側通信網と他機側通信網の組み合わせに応じて、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行う。
したがって、自機側通信網の特性のみを考慮した通信速度ではなく、他機側通信網の特性をも考慮した通信速度で、ファクシミリ画像の伝送を行うことができ、自機側通信網と他機側通信網とがどのような組み合わせとなっても、それに応じて通信エラーの発生を抑制したり迅速にファクシミリ画像の伝送を完了させたりすることができる。
次に、請求項11に記載の通信装置は、ファクシミリ機能を有する装置であり、自機が接続された自機側通信網および通信先機器が接続された他機側通信網を経由して前記通信先機器と通信可能で、IP網およびPSTN網の双方に接続された中継装置に接続されることにより、前記IP網および前記PSTN網のそれぞれを前記自機側通信網として利用可能な通信装置であって、前記通信先機器への発信時に、利用者が行った入力操作または前記通信先機器の電話番号に基づいて、前記IP網経由の発信か前記PSTN網経由の発信かを判定する発信時自機側通信網判定手段と、前記通信先機器との間でファクシミリ画像を伝送する際に、前記発信時自機側通信網判定手段によって前記IP網経由の発信と判定された場合と前記PSTN網経由の発信と判定された場合とでは、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行う通信制御手段とを備えたことを特徴とする。
この通信装置は、ファクシミリ画像の伝送を行う点で、請求項3に記載の通信装置とは相違するが、発信時自機側通信網判定手段を備えている点で、請求項3に記載の通信装置と共通の主要部を備えているものである。
この通信装置によれば、利用者が行った入力操作または通信先機器の電話番号に基づいて、自機が利用している自機側通信網を特定し、特定した自機側通信網に応じて、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行う。
したがって、例えば、遅延の発生しやすいIP網経由の発信時には通信速度を遅めにして、通信エラーの発生を抑制することができ、一方、遅延の発生しにくいPSTN網経由の発信時には通信速度を速めにして、迅速にファクシミリ画像の伝送を完了させることができる。
次に、請求項12に記載の通信装置は、請求項11に記載の通信装置において、前記通信先機器への発信時に、前記通信先機器の電話番号に基づいて、前記他機側通信網の種別を判定する発信時他機側通信網判定手段を備え、前記通信制御手段は、前記発信時自機側通信網判定手段によって判定された判定結果と前記発信時他機側通信網判定手段によって判定された判定結果との組み合わせに応じて、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行うことを特徴とする。
この通信装置は、ファクシミリ画像の伝送を行う点で、請求項4に記載の通信装置とは相違するが、発信時自機側通信網判定手段および発信時他機側通信網判定手段を備えている点で、請求項4に記載の通信装置と共通の主要部を備えているものである。
この通信装置によれば、利用者が行った入力操作または通信先機器の電話番号に基づいて、自機が利用している自機側通信網を特定し、しかも、通信先機器の電話番号に基づいて、通信先機器が利用している他機側通信網を特定し、特定した自機側通信網と他機側通信網の組み合わせに応じて、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行う。
したがって、自機側通信網の特性のみを考慮した通信速度ではなく、他機側通信網の特性をも考慮した通信速度で、ファクシミリ画像の伝送を行うことができ、自機側通信網と他機側通信網とがどのような組み合わせとなっても、それに応じて通信エラーの発生を抑制したり迅速にファクシミリ画像の伝送を完了させたりすることができる。
次に、請求項13に記載の通信装置は、ファクシミリ機能を有する装置であり、自機が接続された自機側通信網および通信先機器が接続された他機側通信網を経由して前記通信先機器と通信可能で、IP網およびPSTN網の双方に接続された中継装置に接続されることにより、前記IP網および前記PSTN網のそれぞれを前記自機側通信網として利用可能な通信装置であって、前記通信先機器からの着信時に、前記自機側通信網または前記中継装置のいずれかから伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、前記IP網経由の着信か前記PSTN網経由の着信かを判定する着信時自機側通信網判定手段と、前記通信先機器への発信時に、利用者が行った入力操作または前記通信先機器の電話番号に基づいて、前記IP網経由の発信か前記PSTN網経由の発信かを判定する発信時自機側通信網判定手段と、前記通信先機器との間でファクシミリ画像を伝送する際に、前記着信時自機側通信網判定手段によって前記IP網経由の着信と判定された場合と前記PSTN網経由の着信と判定された場合とでは、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行い、しかも、前記発信時自機側通信網判定手段によって前記IP網経由の発信と判定された場合と前記PSTN網経由の発信と判定された場合とでは、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行う通信制御手段とを備えたことを特徴とする。
この通信装置は、請求項9に記載の通信装置が備える各手段および請求項11に記載の通信装置が備える各手段に相当する手段を兼ね備えている。
したがって、この通信装置によれば、着信時にも発信時にも自機が利用している自機側通信網を特定し、特定した自機側通信網に応じて、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行うことができるので、例えば、遅延の発生しやすいIP網経由の通信時には通信速度を遅めにして、通信エラーの発生を抑制することができ、一方、遅延の発生しにくいPSTN網経由の通信時には通信速度を速めにして、迅速にファクシミリ画像の伝送を完了させることができる。
次に、請求項14に記載の通信装置は、請求項13に記載の通信装置において、前記通信先機器からの着信時に、前記他機側通信網から伝送されてくる前記通信先機器の電話番号に基づいて、前記他機側通信網の種別を判定する着信時他機側通信網判定手段と、前記通信先機器への発信時に、前記通信先機器の電話番号に基づいて、前記他機側通信網の種別を判定する発信時他機側通信網判定手段を備え、前記通信制御手段は、前記着信時自機側通信網判定手段によって判定された判定結果と前記着信時他機側通信網判定手段によって判定された判定結果との組み合わせに応じて、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行い、しかも、前記発信時自機側通信網判定手段によって判定された判定結果と前記発信時他機側通信網判定手段によって判定された判定結果との組み合わせに応じて、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行うことを特徴とする。
この通信装置は、請求項10に記載の通信装置が備える各手段および請求項12に記載の通信装置が備える各手段に相当する手段を兼ね備えている。
したがって、自機側通信網の特性のみを考慮した通信速度ではなく、他機側通信網の特性をも考慮した通信速度で、ファクシミリ画像の伝送を行うことができ、自機側通信網と他機側通信網とがどのような組み合わせとなっても、それに応じて通信エラーの発生を抑制したり迅速にファクシミリ画像の伝送を完了させたりすることができる。
なお、請求項15に記載のプログラムは、自機が接続された自機側通信網および通信先機器が接続された他機側通信網を経由して前記通信先機器と通信可能で、IP網およびPSTN網の双方に接続された中継装置に接続されることにより、前記IP網および前記PSTN網のそれぞれを前記自機側通信網として利用可能な通信装置に内蔵されたコンピュータを、請求項1〜請求項14のいずれかに記載の通信装置が備える各手段として機能させるためのプログラムである。
このようなプログラムを利用すれば、通信装置に内蔵されたコンピュータが、請求項1〜請求項14のいずれかに記載の通信装置が備える各手段として機能するので、通信装置が、上述した通りの作用、効果を奏するものとなる。
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
以下に説明する実施形態は、本発明に係る通信装置が備える構成を、ファクシミリ機能、電話機能、プリンタ機能、スキャナ機能、およびコピー機能等を兼ね備えた複合機(一般にMFP(Multi-Function Product)等と呼ばれる装置)において採用したものである。
[通信系全体の概略構成]
まず、複合機が接続される通信系全体の概略構成について説明する。
図1に示すように、複合機1は、単一の通信線2を介してアダプタ3に接続され、アダプタ3経由でPSTN網4およびIP網5の双方を利用可能となっている。すなわち、複合機1は、PSTN網4およびIP網5を自機側通信網として利用可能となっている。
また、PSTN網4およびIP網5は、ゲートウェイを介して相互に接続され、PSTN網4およびIP網5それぞれが、携帯電話網6ともゲートウェイを介して相互に接続されている。PSTN網4、IP網5、および携帯電話網6には、それぞれ電話機4a、IP電話機5a、携帯電話機6aなどが接続されており、これら電話機4a、IP電話機5a、携帯電話機6aなどが、複合機1側から見て通信先機器に相当する。通信先機器が電話機4aである場合、通信先機器が利用する他機側通信網はPSTN網4であり、通信先機器がIP電話機5aである場合、他機側通信網はIP網5であり、通信先機器が携帯電話機6aである場合、他機側通信網は携帯電話網6である。
アダプタ3は、付属機能の違いやIP網5との接続形態の違いにより、IP電話対応ADSLモデム、IP電話対応ブロードバンドルータ、あるいは、VoIPアダプタなど、様々な名称で市販されているが、いずれも一般的な電話機(本実施形態の場合は複合機1)をIP電話機としても使用できるようにするための機能を持った中継機器である。
複合機1から通信先機器への発信時には、アダプタ3は、複合機1側から送信されてくる電話番号に基づいて、PSTN網4とIP網5のいずれを利用すべきかを判断し、利用すべきと判断した通信網と複合機1側とを接続する。
また、複合機1への着信時には、アダプタ3は、着信のあった通信網と複合機1側とを接続する。このときアダプタ3は、着信があることを複合機1へ伝達するため、アダプタ3から複合機1へ呼び出し信号(Ring信号)を送出するが、この呼び出し信号の信号パターンが、PSTN網4経由の着信とIP網5経由の着信とでは異なる信号パターンとされており、複合機1側では、アダプタ3から送られてくる呼び出し信号の信号パターンに基づいて、PSTN網4経由の着信なのかIP網5経由の着信なのかを識別できるようになっている。
[複合機の構成]
次に、複合機1の構成について説明する。
複合機1には、図2に示すように、CPU11、ROM12、EEPROM13、RAM14、画像メモリ15、回線I/F部19、モデム20、バッファ21、スキャナ22、符号化部23、復号化部24、プリンタ25、操作パネル8、LCD(液晶表示パネル)9、アンプ27、通話用のハンドセット47などが設けられており、これらがバスライン30を介して互いに接続されている。
CPU11は、バスライン30により接続された各部を制御する装置であり、例えば、回線I/F部19を介して音声や画像データの送受信を行うための処理等を実行する。
ROM12は、この複合機1で実行される制御プログラム等を格納した書き換え不能な記憶装置であり、後述する処理をCPU11に実行させるためのプログラムは、このROM12に格納されている。また、ROM12には、ハンドセット音響パラメータテーブル12a(詳細は後述)も格納されている。
EEPROM13は、複合機1の電源が遮断された後も書き込まれたデータを保持することができる書き換え可能な不揮発性の記憶装置である。
RAM14は、複合機1の各動作の実行時に各種のデータや着信履歴等を記憶するための読み込みおよび書き換えが可能な記憶装置であり、後述する処理の中で書き込みおよび更新がなされるハンドセット音響パラメータ14aは、このRAM14に格納されている。
画像メモリ15は、画像データ及び印刷のためのビットイメージを記憶するための記憶装置であり、安価な大容量メモリであるダイナミックRAM(DRAM)により構成されている。そして、受信された画像データは、一旦画像メモリ15に記憶され、プリンタ25によって記録紙に印刷された後に、この画像メモリ15から消去される。また、スキャナ22によって読み取られた画像データも、この画像メモリ15に記憶される。
回線I/F部19は、回線制御を行うためのものであり、電話回線側(例えば、PSTN網4、IP網5、あるいはアダプタ3)から送られてくる呼出信号(リング信号)や相手側装置の電話番号等の発信元番号情報(CallerID)を示す信号等の各種信号を受信するとともに、操作パネル8上のキーの操作に応じた発信時のダイヤル信号を電話回線側へ送信する。
モデム20は、画情報及び通信データを変調及び復調して伝送するとともに、伝送制御用の各種手順信号を送受信するためのものである。
バッファ21は、相手側装置との間で送受信される符号化された画情報を含むデータを一時的に記憶するためのものである。
スキャナ22は、原稿挿入口に挿入された原稿を画像データとして読み取るためのものであり、原稿搬送用モータを備えている。
符号化部23は、スキャナ22により読み取られた画像データの符号化を行うものである。
復号化部24は、バッファ21又は画像メモリ15に記憶された画像データを読み出して、これを復号化するものであり、復号化されたデータは、プリンタ25により記録紙に印刷される。
プリンタ25は、記録紙を搬送する記録紙用搬送モータ、印字ヘッドを搭載したキャリッジを移動させるキャリッジモータ、及び記録紙へインクを吐出する印字ヘッド等を備えた、周知のインクジェット方式のプリンタで構成されている。
LCD9は、CPU11から指令信号に基づいて、様々な情報を文字又は画像を通じてユーザに向けて発するものであり、その情報としては、例えば、FAXデータを送受信中である旨、又は発信元の電話番号もしくはファクシミリ番号や発信元の名前もしくは名称等の発信元の情報等が挙げられる。
アンプ27は、そのアンプ27に接続されたスピーカ28を鳴動して、呼出音や音声を出力するためのものである。
ハンドセット47は、通信先機器から送信されてくる音声信号を再生するスピーカと通話者が発する音声を入力するマイクロフォン等とが一体化された通話用の送受話器である。
フックスイッチ48は、利用者がハンドセット47を持ち上げる操作(フックアップ)を行ったときにオンになり、ハンドセット47を元の位置に戻す操作(フックダウン)を行ったときにオフになるスイッチである。フックスイッチ48のオン/オフはCPU11によって監視され、フックスイッチ48がオンになるとCPU11は回線を閉結し、フックスイッチ48がオフになるとCPU11は回線を開放する。また、このフックスイッチ48は、操作パネル8での操作によってもオン/オフを切り替え可能になっており、操作パネル8を利用すれば、ハンドセット47を持ち上げる操作(フックアップ)を実際に行わなくても、複合機1の状態をフックアップ/フックダウンが行われた場合と同等な状態に切り替えることができる。
[ハンドセット音響パラメータテーブル]
次に、ROM12に格納されたハンドセット音響パラメータテーブル12aについて説明する。
ハンドセット音響パラメータテーブル12aは、本実施形態においては、図3に示すようなデータ構造のテーブルとなっている。すなわち、本実施形態において、ハンドセット音響パラメータテーブル12aには、6組分の音響パラメータ群が格納されており、これら6組の音響パラメータ群が、2種の自機側通信網(PSTN網4およびIP網5)と3種の他機側通信網(PSTN網4、IP網5、および携帯電話網6)との組み合わせ(全6通り)に対して、一対一の関係で対応づけられている。
1組分の音響パラメータ群には、各組とも、送話レベル、受話レベル、フィルター特性値、およびLEC(ラインエコーキャンセラー)設定値、以上4種の音響パラメータが含まれている。これら4種の音響パラメータのうち、送話レベルおよび受話レベルの2種については、操作パネル8で設定可能な3通りの音量設定(大、中、小)それぞれに対応する3対の音響パラメータが格納されている。
6組の音響パラメータ群のうち、自機側または他機側にPSTN網4が利用されるケースに対応する音響パラメータ群は、音量レベルの減衰を補う信号処理を施すためのパラメータであり、この音響パラメータ群に基づいて信号処理を行うことで、音量の増大が図られ、比較的小さい音声がより聞き取りやすい音量に変換される。
また、自機側または他機側にIP網5が利用されるケースに対応する音響パラメータ群は、IP網5に特有のインピーダンス特性に伴うエコー発生を抑制する信号処理を施すためのパラメータであり、この音響パラメータ群に基づいて信号処理を行うことで、エコーキャンセル等が施されてより聞き取りやすい音質に変換される。
さらに、他機側に携帯電話網6が利用されるケースに対応する音響パラメータ群は、屋外の騒音や風などに起因するノイズを抑制する信号処理を施すためのパラメータであり、この音響パラメータ群に基づいて信号処理を行うことで、ノイズ成分のカットあるいは人の声の強調等が施されて、聞き取りやすい音量および音質に変換される。
これら6組の音響パラメータ群は、後述する処理の中で、いずれか1組が択一的に利用されて、通信先機器との間で伝送される音声信号に対する信号処理が施されることになる。このとき、送話レベルおよび受話レベルの2種については、音量設定(大、中、小)に対応する3対が用意された音響パラメータの中から、操作パネル8で設定された音量設定(大、中、小)に応じて、いずれか1対の音響パラメータが利用される。
後述する処理の中では、CPU11が自機側通信網と他機側通信網の判定を行い、判定結果に対応する1組の音響パラメータ群を選び、選んだ1組の音響パラメータ群の中から、操作パネル8での音量設定(大、中、小)も考慮して4種の音響パラメータが読み出され、読み出された4種の音響パラメータが、RAM14のハンドセット音響パラメータ14aに格納される。
CPU11は、通信先機器との間で伝送される音声信号に対し、常にハンドセット音響パラメータ14aを参照して信号処理を行うように構成されており、これにより、CPU11は、通信先機器との間で伝送される音声信号に対し、自機側通信網および他機側通信網の組み合わせに応じて決まる信号処理を施すことになる。
[複合機による通話処理]
次に、複合機1による通話処理について、図4〜図9に示すフローチャートに基づいて説明する。図4〜図9に示すフローチャートは、複合機1においてCPU11によって常時実行される処理の中から、本発明の要部に関連する処理ステップのみを抜粋して示したものである。CPU11は、実際には図4〜図9に表れない処理をも実行しているが、本発明の要部に関連しない処理については図示を省略してある。
CPU11によってこの処理が実行されると、まず、図4に示すように、アダプタ3から伝送されてくる呼び出し信号の監視が行われ(S105)、呼び出し信号がなければ(S110:いいえ)、続いてハンドセットフックスイッチ48の監視が行われ(S115)、ハンドセット47をフックアップしていなければ(S120:いいえ)、S105の処理へと戻る。これにより、呼び出し信号がなく、且つ、ハンドセット47をフックアップしていない間は、S105〜S120の処理が繰り返されて、呼び出し信号の監視とハンドセット47のフックアップの監視が継続されることになる。なお、S120の処理では、利用者が実際にハンドセット47をフックアップした場合はもちろんのこと、操作パネル8での操作によって複合機1の状態をフックアップした場合と同等な状態に切り替えた場合でも、ハンドセット47をフックアップしたと判断される。後述する処理の中でも、ハンドセット47のフックアップを監視する処理が出てくるが、それらの処理も同様である。
そして、S105〜S115の処理が繰り返される中で、通信先機器からの着信に伴い、アダプタ3から呼び出し信号が伝送されてきた場合は(S110:はい)、図5および図6に示す着信時処理に移行する。この着信時処理では、通信先機器側から送信されてくる発信元番号情報が受信され(S125)、IP Phoneへの呼び出し信号パターンか否かが判断される(S130)。
ここで、IP網5経由の着信の場合、呼び出し信号の信号パターンは、IP Phoneへの呼び出し信号パターンとなるので(S130:はい)、その場合は、S135〜S180のIP網経由着信時処理(図5参照)に移行することになる。また、PSTN網4経由の着信の場合、呼び出し信号の信号パターンは、IP Phoneへの呼び出し信号パターンとならないので(S130:いいえ)、その場合は、S185〜S230のPSTN網経由着信時処理(図6参照)に移行することになる。
S135〜S180のIP網経由着信時処理に移行した場合は、まず、呼び出し信号が停止したか否かが判断され(S135)、停止していなければ(S135:いいえ)、ハンドセットフックスイッチ48の監視が行われ(S140)、ハンドセット47をフックアップしていなければ(S145:いいえ)、S135の処理へと戻る。これにより、呼び出し信号が停止せず、且つ、ハンドセット47をフックアップしていない間は、S135〜S145の処理が繰り返されて、呼び出し信号が停止するまでハンドセット47のフックアップの監視が継続されることになる。
ここで、呼び出し信号が停止した場合は(S135:はい)、かかってきた電話が切れたことになるので、S105の処理(図4参照)へと戻って、再びS105〜S120の処理を繰り返す状態になる。
一方、S135〜S145の処理が繰り返される中で、利用者がハンドセット47をフックアップしたら(S145:はい)、その場合は、回線が閉結され(S150)、ハンドセット47による通話開始処理が実行される(S155)。
次に、S160〜S180の処理によって、ハンドセット音響パラメータの設定が行われる。ここでは、S130の処理で肯定判断がなされていることから、自機側通信網がIP網5であることは既に判断を終えているので、他機側通信網がPSTN網4、IP網5、および携帯電話網6のいずれであるかを判断し、それに応じてハンドセット音響パラメータの設定が行われる。
具体的には、CPU11により、まず、発信元番号情報の先頭に050が存在するか否かが判断される(S160)。050が存在する場合(S160:はい)、通信先機器はIP網5を利用する機器(例えばIP電話機5a)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網もIP網5となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「IP−IP」に設定する(S165)。
このS165の処理では、「IP−IP」に対応する音響パラメータ群が、ROM12のハンドセット音響パラメータテーブル12aから読み出される。このとき、操作パネル8で設定された音量設定(大、中、小)も参照され、この音量設定に応じた2種の音響パラメータ(送話レベルおよび受話レベル)と、他の2種の音響パラメータ(フィルター特性値およびLEC設定値)が読み出される。そして、読み出された4種の音響パラメータが、RAM14のハンドセット音響パラメータ14aに格納される。既に説明した通り、CPU11は、通信先機器との間で伝送される音声信号に対し、常にハンドセット音響パラメータ14aを参照して信号処理を行っているため、S165の処理を実行した以降は、自機側通信網がIP網5で他機側通信網もIP網5であるケースに対応した信号処理が行われることになる。
また、S160の処理で、発信元番号情報の先頭に050が存在しない場合は(S160:いいえ)、引き続いて、発信元番号情報の先頭に090が存在するか否かが判断される(S170)。090が存在する場合(S170:はい)、通信先機器は携帯電話網6を利用する機器(例えば携帯電話機6a)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網が携帯電話網6となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「IP−携帯」用に設定する(S175)。なお、S175の処理では、「IP−携帯」に対応する音響パラメータ群がROM12のハンドセット音響パラメータテーブル12aから読み出されるが、その他の点はS165の処理と同様である。以降、ハンドセット音響パラメータを設定する処理(例えばS180,S215,S225,S230…等々)については、煩雑な説明になるのを避けるため特に重ねて説明しないが、いずれもS165の処理とほぼ同等な処理となる。
さらに、S170の処理で、発信元番号情報の先頭に090が存在しない場合は(S170:いいえ)、通信先機器はPSTN網4を利用する機器(例えば電話機4a)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網がPSTN網4となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「IP−PSTN」に設定する(S180)。
以上説明したS160〜S180の処理によって、ハンドセット音響パラメータの設定が行われたら、続いて、IP網経由での通話処理に移行するが、このIP網経由での通話処理については後から詳述する。
さて一方、S130の処理による判断の結果、S185〜S230のPSTN網経由着信時処理に移行した場合は、まず、呼び出し信号が停止したか否かが判断され(S185)、停止していなければ(S185:いいえ)、ハンドセットフックスイッチ48の監視が行われ(S190)、ハンドセット47をフックアップしていなければ(S190:いいえ)、S185の処理へと戻る。これにより、呼び出し信号が停止せず、且つ、ハンドセット47をフックアップしていない間は、S185〜S195の処理が繰り返されて、呼び出し信号が停止するまでハンドセット47のフックアップの監視が継続されることになる。
ここで、呼び出し信号が停止した場合は(S185:はい)、かかってきた電話が切れたことになるので、S105の処理(図4参照)へと戻って、再びS105〜S120の処理を繰り返す状態になる。
一方、S185〜S195の処理が繰り返される中で、利用者がハンドセット47をフックアップしたら(S195:はい)、その場合は、回線が閉結され(S200)、ハンドセット47による通話開始処理が実行される(S205)。
次に、S210〜S230の処理によって、ハンドセット音響パラメータの設定が行われる。ここでは、S130の処理で否定判断がなされていることから、自機側通信網がPSTN網4であることは既に判断を終えているので、他機側通信網がPSTN網4、IP網5、および携帯電話網6のいずれであるかを判断し、それに応じてハンドセット音響パラメータの設定が行われる。
具体的には、CPU11により、まず、発信元番号情報の先頭に050が存在するか否かが判断される(S210)。050が存在する場合(S210:はい)、通信先機器はIP網5を利用する機器(例えばIP電話機5a)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網がIP網5となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「PSTN−IP」に設定する(S215)。
また、S210の処理で、発信元番号情報の先頭に050が存在しない場合は(S210:いいえ)、引き続いて、発信元番号情報の先頭に090が存在するか否かが判断される(S220)。090が存在する場合(S220:はい)、通信先機器は携帯電話網6を利用する機器(例えば携帯電話機6a)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網が携帯電話網6となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「PSTN−携帯」用に設定する(S225)。
さらに、S220の処理で、発信元番号情報の先頭に090が存在しない場合は(S220:いいえ)、通信先機器はPSTN網4を利用する機器(例えば電話機4a)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網もPSTN網4となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「PSTN−PSTN」に設定する(S230)。
以上説明したS210〜S230の処理によって、ハンドセット音響パラメータの設定が行われたら、続いて、PSTN網経由での通話処理に移行するが、このPSTN網経由での通話処理については後から詳述する。
さて、以上が、図5および図6に示す着信時処理に移行した場合の説明であるが、S105〜S115の処理が繰り返される中で、利用者がハンドセット47をフックアップした場合は(S120:はい)、回線が閉結され(S235)、図7に示す発信時処理に移行する。
発信時処理に移行した場合は、まず、ハンドセット47による通話開始処理が実行され(S240)、ハンドセット音響パラメータの初期値として、ハンドセット音響パラメータを「IP−PSTN」に設定する(S245)。
続いて、ダイヤル入力の監視が行われ(S250)、ダイヤル入力を終了したか否かが判断され(S255)、ダイヤル入力を終了していなければ(S255:いいえ)、S250へと戻り、S250〜S255の処理を繰り返すことにより、ダイヤル入力の完了を待つ。なお、ダイヤル入力は、操作パネル8の番号ボタンからの入力、あるいは、事前に登録してある登録リストからの入力であり、ダイヤル入力を終了したか否かの判断は、操作パネル8上で所定の桁数の入力を終えるか発信ボタンを操作するか登録リストからの入力を完了したことをもって、ダイヤル入力を終了したと判断する。
ダイヤル入力を終了した場合(S255)、引き続いて、ダイヤルの先頭に0000が存在するか否かを判断する(S260)。これは、アダプタ3の仕様に合わせた処理である。より詳しくは、アダプタ3は、発呼時に複合機1から伝送されてくるダイヤルの先頭に0000が存在する場合、複合機1からアダプタ3に対してPSTN網4経由での発呼が指定されたと認識し、PSTN網4経由で通信ができるように回線を閉結するように構成されている。そこで、複合機1は、発呼時のダイヤルの先頭に0000が存在することをもって、自機側通信網がPSTN網4であると判断する。
ダイヤルの先頭に0000が存在する場合は(S260:はい)、続くダイヤルが090で始まっているか否かが判断される(S265)。090で始まっている場合(S265:はい)、通信先機器は携帯電話網6を利用する機器(例えば携帯電話機6a)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網が携帯電話網6となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「PSTN−携帯」に設定する(S270)。
また、S265の処理で、続くダイヤルが090で始まっていない場合は(S265:いいえ)、引き続いて、続くダイヤルが050で始まっているか否かが判断される(S275)。050で始まっている場合(S275:はい)、通信先機器はIP網5を利用する機器(例えばIP電話機5a)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網がIP網5となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「PSTN−IP」に設定する(S280)。
さらに、S275の処理で、続くダイヤルが050で始まっていない場合は(S275:いいえ)、通信先機器はPSTN網4を利用する機器(例えば電話機4a)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網もPSTN網4となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「PSTN−PSTN」に設定する(S285)。
また、ダイヤルの先頭に0000が存在しない場合は(S260:いいえ)、ダイヤルの先頭に1が存在するか否かを判断する(S290)。これも、アダプタ3の仕様に合わせた処理であり、アダプタ3は、発呼時に複合機1から伝送されてくるダイヤルの先頭に1が存在する場合、110,119等へ接続する都合上、PSTN網4経由での発呼が指定されたと認識し、PSTN網4経由で通信ができるように回線を閉結するように構成されている。そこで、複合機1は、発呼時のダイヤルの先頭に1が存在することをもって、自機側通信網がPSTN網4であると判断する。
ダイヤルの先頭に1が存在する場合は(S290:はい)、通信先機器もPSTN網4を利用する機器であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網もPSTN網4となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「PSTN−PSTN」に設定する(S295)。
以上説明したS265〜S295の処理によって、ハンドセット音響パラメータの設定が行われたら、続いて、PSTN網経由での通話処理に移行するが、このPSTN網経由での通話処理については後から詳述する。
一方、ダイヤルの先頭に1が存在しない場合は(S290:いいえ)、ダイヤルの先頭に090が存在するか否かが判断される(S300)。090が存在する場合(S300:はい)、通信先機器は携帯電話網6を利用する機器(例えば携帯電話機6a)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網が携帯電話網6となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「IP−携帯」に設定する(S305)。
また、S300の処理で、ダイヤルの先頭に090が存在しない場合は(S300:いいえ)、引き続いて、ダイヤルの先頭に050が存在するか否かが判断される(S310)。050が存在する場合(S310:はい)、通信先機器はIP網5を利用する機器(例えばIP電話機5a)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網もIP網5となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「IP−IP」に設定する(S315)。
さらに、S310の処理で、ダイヤルの先頭に050が存在しない場合は(S310:いいえ)、通信先機器はPSTN網4を利用する機器(例えば電話機4a)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網がPSTN網4となるので、この場合は、ハンドセット音響パラメータを「IP−PSTN」に設定する(S320)。
以上説明したS300〜S315の処理によって、ハンドセット音響パラメータの設定が行われたら、続いて、IP網経由での通話処理に移行するが、このIP網経由での通話処理については後から詳述する。
次に、PSTN網経由での通話処理について、図8に基づいて説明する。
既に説明した処理の中で、ハンドセット音響パラメータの設定が完了し、その後、PSTN網経由での通話処理へ移行すると、まず、ハンドセットフックスイッチ48の監視が行われ(S325)、ハンドセット47をフックダウンしていなければ(S330:いいえ)、続いて、アダプタ3から伝送されてくるキャッチディスプレイ信号の監視が行われ(S340)、キャッチディスプレイ信号を受信していなければ(S345:いいえ)、S325の処理へと戻る。これにより、ハンドセット47をフックダウンせず、且つ、キャッチディスプレイ信号も受信していない間は、S325〜S345の処理が繰り返されて、ハンドセット47のフックダウンの監視とキャッチディスプレイ信号の監視が継続されることになる。
そして、S325〜S345の処理が繰り返される中で、ハンドセット47をフックダウンした場合は(S330:はい)、回線が開放されて(S335)、S105の処理(図4参照)へと戻って、再びS105〜S120の処理を繰り返す状態になる。
一方、S325〜S345の処理が繰り返される中で、キャッチディスプレイ信号を受信した場合は(S345:はい)、ダイヤルの先頭に050が存在するか否かが判断される(S350)。050が存在する場合(S350:はい)、通信先機器はIP網5を利用する機器(例えばIP電話機5a)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網がIP網5となる。ただし、通話中にキャッチディスプレイによる着信があった場合に、通話相手を切り替えるか否かは利用者の判断に委ねられるので、この場合は、操作パネル8にあるキャッチボタンを監視し(S355)、キャッチボタンが押下されたら(S360:はい)、ハンドセット音響パラメータを「PSTN−IP」用に設定して(S365)、S325の処理へ戻る一方、キャッチボタンが押下されなければ(S360:いいえ)、S365の処理を実行することなくS325の処理へ戻る。これらS350〜S365の処理により、通話中にIP網5側からの着信があった場合には、利用者がキャッチボタンを押下したときのみ、ハンドセット音響パラメータが変更されることになる。
また、S350の処理で、ダイヤルの先頭に050が存在しない場合は(S350:いいえ)、引き続いて、ダイアルの先頭に090が存在するか否かが判断される(S370)。090が存在する場合(S370:はい)、通信先機器は携帯電話網6を利用する機器(例えば携帯電話機6a)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網が携帯電話網6となる。ただし、この場合も、操作パネル8にあるキャッチボタンを監視し(S375)、キャッチボタンが押下されたら(S380:はい)、ハンドセット音響パラメータを「PSTN−携帯」用に設定して(S385)、S325の処理へ戻る一方、キャッチボタンが押下されなければ(S380:いいえ)、S385の処理を実行することなくS325の処理へ戻る。これらS370〜S385の処理により、通話中に携帯電話網6側からの着信があった場合についても、利用者がキャッチボタンを押下したときのみ、ハンドセット音響パラメータが変更されることになる。
さらに、S370の処理で、ダイヤルの先頭に090が存在しない場合は(S370:いいえ)、通信先機器はPSTN網4を利用する機器(例えば電話機4a)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網がPSTN網4となる。ただし、この場合も、操作パネル8にあるキャッチボタンを監視し(S390)、キャッチボタンが押下されたら(S395:はい)、ハンドセット音響パラメータを「PSTN−PSTN」用に設定して(S400)、S325の処理へ戻る一方、キャッチボタンが押下されなければ(S395:いいえ)、S400の処理を実行することなくS325の処理へ戻る。これらS370〜S400の処理により、通話中にPSTN網4側からの着信があった場合についても、利用者がキャッチボタンを押下したときのみ、ハンドセット音響パラメータが変更されることになる。
以上説明したS325〜S400の処理が、PSTN網経由での通話処理となる。
次に、IP網経由での通話処理について、図9に基づいて説明する。
既に説明した処理の中で、ハンドセット音響パラメータの設定が完了し、その後、IP網経由での通話処理へ移行すると、まず、ハンドセットフックスイッチ48の監視が行われ(S405)、ハンドセット47をフックダウンしていなければ(S410:いいえ)、続いて、アダプタ3から伝送されてくるキャッチディスプレイ信号の監視が行われ(S420)、キャッチディスプレイ信号を受信していなければ(S425:いいえ)、S405の処理へと戻る。これにより、ハンドセット47をフックダウンせず、且つ、キャッチディスプレイ信号も受信していない間は、S405〜S425の処理が繰り返されて、ハンドセット47のフックダウンの監視とキャッチディスプレイ信号の監視が継続されることになる。
そして、S405〜S425の処理が繰り返される中で、ハンドセット47をフックダウンした場合は(S410:はい)、回線が開放されて(S415)、S105の処理(図4参照)へと戻って、再びS105〜S120の処理を繰り返す状態になる。
一方、S405〜S425の処理が繰り返される中で、キャッチディスプレイ信号を受信した場合は(S425:はい)、ダイヤルの先頭に050が存在するか否かが判断される(S430)。050が存在する場合(S430:はい)、通信先機器はIP網5を利用する機器(例えばIP電話機5a)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網もIP網5となる。ただし、既に説明した通り、通話中にキャッチディスプレイによる着信があった場合に、通話相手を切り替えるか否かは利用者の判断に委ねられるので、操作パネル8にあるキャッチボタンを監視し(S435)、キャッチボタンが押下されたら(S440:はい)、ハンドセット音響パラメータを「IP−IP」用に設定して(S445)、S405の処理へ戻る一方、キャッチボタンが押下されなければ(S440:いいえ)、S445の処理を実行することなくS405の処理へ戻る。これらS430〜S445の処理により、通話中にIP網5側からの着信があった場合には、利用者がキャッチボタンを押下したときのみ、ハンドセット音響パラメータが変更されることになる。
また、S430の処理で、ダイヤルの先頭に050が存在しない場合は(S430:いいえ)、引き続いて、ダイアルの先頭に090が存在するか否かが判断される(S450)。090が存在する場合(S450:はい)、通信先機器は携帯電話網6を利用する機器(例えば携帯電話機6a)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網が携帯電話網6となる。ただし、この場合も、操作パネル8にあるキャッチボタンを監視し(S455)、キャッチボタンが押下されたら(S460:はい)、ハンドセット音響パラメータを「IP−携帯」用に設定して(S465)、S405の処理へ戻る一方、キャッチボタンが押下されなければ(S460:いいえ)、S465の処理を実行することなくS405の処理へ戻る。これらS450〜S465の処理により、通話中に携帯電話網6側からの着信があった場合についても、利用者がキャッチボタンを押下したときのみ、ハンドセット音響パラメータが変更されることになる。
さらに、S450の処理で、ダイヤルの先頭に090が存在しない場合は(S450:いいえ)、通信先機器はPSTN網4を利用する機器(例えば電話機4a)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網がPSTN網4となる。ただし、この場合も、操作パネル8にあるキャッチボタンを監視し(S470)、キャッチボタンが押下されたら(S475:はい)、ハンドセット音響パラメータを「IP−PSTN」用に設定して(S480)、S405の処理へ戻る一方、キャッチボタンが押下されなければ(S475:いいえ)、S480の処理を実行することなくS405の処理へ戻る。これらS350〜S480の処理により、通話中にPSTN網4側からの着信があった場合についても、利用者がキャッチボタンを押下したときのみ、ハンドセット音響パラメータが変更されることになる。
以上説明したS405〜S480の処理が、IP網経由での通話処理となる。
[アダプタによる通信中継処理]
次に、アダプタ3による通信中継処理について、図10および図11のフローチャートに基づいて説明する。なお、図10および図11に示すフローチャートも、アダプタ3において常時実行される処理の中から、本発明の要部に関連する処理ステップのみを抜粋して示したものである。アダプタ3は、実際には図10および図11に表れない処理をも実行しているが、本発明の要部に関連しない処理については図示を省略してある。
アダプタ3においてこの処理が実行されると、まず、図10に示すように、PSTN網4側およびIP網5側の双方について着呼が監視され(S505)、着呼がなければ(S505:いいえ)、図11に示すように、電話機(本実施形態の場合は複合機1)による回線閉結が監視され(S515)、電話機が回線を閉結していなければ(S520:いいえ)、S505の処理へと戻る。これにより、着呼が無く、且つ、電話機が回線を閉結しない間は、S505〜S520の処理が繰り返されて、着呼の監視と電話機による回線閉結の監視が継続されることになる。
そして、S505〜S520の処理が繰り返される中で、着呼があった場合は(S510:はい)、IP Phoneへの着呼か否かが判断される(S530)。ここで、IP Phoneへの着呼とはIP網5経由での着呼のことであり、PSTN網4経由での着呼はIP Phoneへの着呼ではないと判断される。そして、IP Phoneへの着呼である場合は(S530:はい)、IP Phone用の呼び出し信号パターンの送出を開始し(S540)、一方、IP Phoneへの着呼でない場合は(S530:いいえ)、PSTN用の呼び出し信号パターンの送出を開始する(S540)。
続いて、アダプタ3は、電話機が回線を閉結したか否かを判断し(S545)、閉結していない場合は(S545:いいえ)、着呼を監視し(S550)、着呼が停止していない場合は(S555:いいえ)、S545へと戻って、S545〜S555の処理を繰り返すことにより、電話機が回線を閉結するか着呼が停止するまで待機する。ここで、着呼が停止すれば(S555:はい)、電話機側へ送出していた呼び出し信号を停止させて(S560)、S505の処理へと戻る。
また、電話機が回線を閉結した場合は(S545:はい)、電話機側へ送出していた呼び出し信号を停止させて(S565)、電話接続処理を実行する(S570)。この電話接続処理により、複合機1と着信のあった通信網とがアダプタ3を介して接続されて通信可能な状態になる。この後は、電話機が回線を開放していなければ(S575:いいえ)、S575の処理へと戻ることにより、電話機が回線を開放するのを待ち、電話機が回線を開放したら(S575:はい)、S505の処理へと戻る。
一方、S505〜S520の処理が繰り返される中で、電話機が回線を閉結した場合は(S520:はい)、特段の事情がない限りは、低料金となるIP Phone回線が使用される可能性が高いと推定されるので、まずは、電話接続処理を実行し(S580)、IP Phone回線(IP網5)に接続し(S585)、IP Phone用のダイアルトーンを電話機側へ送出し(S590)、電話機の回線開放の監視が行われる(S595)。
ここで、電話機が回線を開放した場合は(S600:はい)、電話機が回線を閉結したものの、実際には発呼することなく回線を開放したことになるので、そのままS505の処理へと戻る。
一方、電話機が回線を開放しない場合は(S600:いいえ)、電話機によるダイヤル入力が監視され(S605)、一桁も入力されていなければ(S610:いいえ)、S605の処理へと戻る。そして、一桁でも入力されれば(S610:はい)、ダイアルの先頭が0か否かが判断され(S615)、0で無ければ(S615:いいえ)、PSTN回線に接続する(S620)。また、ダイアルの先頭が0であれば(S615:はい)、さらにダイヤル入力が監視され(S625)、ダイアルの先頭から4桁すべてが0であるか否かが判断され(S630)、4桁すべてが0であれば(S630:はい)、PSTN回線に接続する(S620)。
つまり、ダイアルの先頭が0でない場合と、ダイアルの先頭から4桁が0000である場合は、S620の処理により、自機側通信網としてPSTN網4が選ばれることになり、それ以外の場合は、S585の処理により、自機側通信網としてIP網5が選ばれることになる。
そして、電話機の回線開放の監視が行われ(S635)、電話機が回線を開放しない場合は(S640:いいえ)、S635の処理へ戻ることにより、電話機の回線開放の監視が継続される。また、電話機が回線を開放した場合は(S640:はい)、S505の処理へと戻ることになる。
[上記通話処理による効果]
以上説明した複合機1によれば、着信時には、アダプタ3から伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、自機が利用している自機側通信網がPSTN網4であるかIP網5であるかを特定し、通信先機器が利用している他機側通信網から伝送されてくる発信元番号情報に基づいて、他機側通信網がPSTN網4であるかIP網5であるか携帯電話網6であるかを特定している。
また、発信時には、通信先機器の電話番号やその電話番号の先頭に付加される番号(例えば、0000)に基づいて、自機が利用する自機側通信網がPSTN網4であるかIP網5であるかを特定し、通信先機器の電話番号に基づいて、他機側通信網がPSTN網4であるかIP網5であるか携帯電話網6であるかを特定している。
さらに、通話中に割り込んでくるキャッチディスプレイによる着信に関しても、アダプタ3から伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、自機が利用している自機側通信網がPSTN網4であるかIP網5であるかを特定し、通信先機器が利用している他機側通信網から伝送されてくる発信元番号情報に基づいて、他機側通信網がPSTN網4であるかIP網5であるか携帯電話網6であるかを特定している。
そして、特定した自機側通信網および他機側通信網の組み合わせに応じて音響パラメータを選択することで、通信先機器との間で伝送される音声信号に対して異なる信号処理を施している。したがって、これら自機側通信網や他機側通信網の違いがあっても、通信先機器との間で伝送される音声信号に対して同一の信号処理しか施せない通信装置とは異なり、自機側通信網や他機側通信網の違いに起因する音響特性を考慮して信号処理を施し、自機側通信網がPSTN網4またはIP網5のいずれであっても、送話または受話にかかる音声を聞き取りやすい音声にすることができる。また、他機側通信網がPSTN網4、IP網5、携帯電話網6のいずれであっても、送話または受話にかかる音声を聞き取りやすい音声にすることができる。
[ファクシミリ伝送処理]
次に、複合機1によるファクシミリ伝送処理について、図12〜図16に示すフローチャートに基づいて説明する。図12〜図16に示すフローチャートは、複合機1においてCPU11によって常時実行される処理の中から、本発明の要部に関連する処理ステップのみを抜粋して示したものである。CPU11は、実際には図12〜図16に表れない処理をも実行しているが、本発明の要部に関連しない処理については図示を省略してある。
以下に説明するファクシミリ伝送処理では、自機側通信網および他機側通信網の伝送特性を考慮して、初期通信速度の設定が行われる。具体的には、本実施形態において、初期通信速度は、「V.29 9600bps」、「V.17 14400bps」、「V.34 33600bps」の3種の中から選ばれ、遅延の発生しやすい通信網を経由する場合はより低速な通信を行って通信エラーの発生を抑制する一方、遅延の発生しにくい通信網を経由する場合はより高速な通信を行って伝送時間の短縮を図るようにしている。
CPU11によってこの処理が実行されると、まず、図12に示すように、アダプタ3から伝送されてくる呼び出し信号の監視が行われ(S705)、呼び出し信号がなければ(S710:いいえ)、続いてFAX送信指示があるか否かが判断され(S720)、FAX送信指示がなければ(S720:いいえ)、S705の処理へと戻る。これにより、呼び出し信号がなく、且つ、FAX送信指示もない間は、S705〜S720の処理が繰り返されて、呼び出し信号の監視とFAX送信指示の有無についての判断が継続されることになる。
そして、S705〜S720の処理が繰り返される中で、通信先機器からの着信に伴い、アダプタ3から呼び出し信号が伝送されてきた場合は(S710:はい)、図13および図14に示す着信時処理に移行する。この着信時処理では、通信先機器側から送信されてくる発信元番号情報が受信され(S745)、IP Phoneへの呼び出し信号パターンか否かが判断される(S750)。
ここで、IP網5経由の着信の場合、呼び出し信号の信号パターンは、IP Phoneへの呼び出し信号パターンとなるので(S750:はい)、その場合は、S755〜S790のIP網経由着信時処理(図13参照)に移行することになる。また、PSTN網4経由の着信の場合、呼び出し信号の信号パターンは、IP Phoneへの呼び出し信号パターンとならないので(S750:いいえ)、その場合は、S795〜S830のPSTN網経由着信時処理(図14参照)に移行することになる。
S755〜S790のIP網経由着信時処理に移行した場合は、まず、呼び出し信号が停止したか否かが判断され(S755)、停止していなければ(S755:いいえ)、呼び出し回数がカウントされ(S760)、呼び出し回数が4未満であれば(S765:いいえ)、S755の処理へと戻る。これにより、呼び出し信号が停止せず、且つ、呼び出し回数が4未満の間は、S755〜S765の処理が繰り返されることになる。
ここで、呼び出し信号が停止した場合は(S755:はい)、ファクシミリの伝送(あるいは電話)が中止されたことになるので、S705の処理(図12参照)へと戻って、再びS705〜S720の処理を繰り返す状態になる。
一方、S755〜S765の処理が繰り返される中で、呼び出し回数が4以上に達したら(S765:はい)、その場合は、回線が閉結され(S770)、FAX受信開始処理が実行される(S775)。
次に、S780〜S790の処理によって、初期通信速度の設定が行われる。ここでは、S750の処理で肯定判断がなされていることから、自機側通信網がIP網5であることは既に判断を終えているので、他機側通信網がPSTN網4またはIP網5のいずれであるかを判断し、それに応じて通信速度の設定が行われる。
具体的には、CPU11により、まず、発信元番号情報の先頭に050が存在するか否かが判断される(S780)。050が存在する場合(S780:はい)、通信先機器はIP網5を利用する機器(例えばIP電話機5a相当のファクシミリ装置)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網もIP網5となる。したがって、この場合は、自機側通信網、他機側通信網とも遅延が発生しやすいIP網5となるので、遅延に伴う通信エラーの発生を最大限に抑制するため、初期通信速度を最も低速なV.29 9600bpsに設定する(S785)。
また、S780の処理で、発信元番号情報の先頭に050が存在しない場合は(S780:いいえ)、通信先機器はPSTN網4を利用する機器(例えば電話機4a相当のファクシミリ装置)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網がPSTN網4となる。したがって、この場合は、自機側通信網のみ遅延が発生しやすいIP網5となるので、遅延に伴う通信エラーの発生を僅かに抑制しながら、通信速度も僅かに高めるため、初期通信速度をV.17 14400bpsに設定する(S790)。
以上説明したS780〜S790の処理によって、初期通信速度の設定が行われたら、続いて、実際の通信処理に移行するが、これについては後から詳述する。
さて一方、S750の処理による判断の結果、S795〜S830のPSTN網経由着信時処理に移行した場合は、まず、呼び出し信号が停止したか否かが判断され(S795)、停止していなければ(S795:いいえ)、呼び出し回数がカウントされ(S800)、呼び出し回数が4未満であれば(S805:いいえ)、S795の処理へと戻る。これにより、呼び出し信号が停止せず、且つ、呼び出し回数が4未満の間は、S795〜S805の処理が繰り返されることになる。
ここで、呼び出し信号が停止した場合は(S795:はい)、ファクシミリの伝送(あるいは電話)が中止されたことになるので、S705の処理(図12参照)へと戻って、再びS705〜S720の処理を繰り返す状態になる。
一方、S795〜S805の処理が繰り返される中で、呼び出し回数が4以上に達したら(S805:はい)、その場合は、回線が閉結され(S810)、FAX受信開始処理が実行される(S815)。
次に、S820〜S790の処理によって、初期通信速度の設定が行われる。ここでは、S750の処理で否定判断がなされていることから、自機側通信網がPSTN網4であることは既に判断を終えているので、他機側通信網がPSTN網4またはIP網5のいずれであるかを判断し、それに応じて通信速度の設定が行われる。
具体的には、CPU11により、まず、発信元番号情報の先頭に050が存在するか否かが判断される(S820)。050が存在する場合(S820:はい)、通信先機器はIP網5を利用する機器(例えばIP電話機5a相当のファクシミリ装置)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網がIP網5となる。したがって、この場合は、他機側通信網のみ遅延が発生しやすいIP網5となるので、遅延に伴う通信エラーの発生を僅かに抑制しながら、通信速度も僅かに高めるため、初期通信速度をV.17 14400bpsに設定する(S825)。
また、S820の処理で、発信元番号情報の先頭に050が存在しない場合は(S820:いいえ)、通信先機器はPSTN網4を利用する機器(例えば電話機4a相当のファクシミリ装置)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網もPSTN網4となる。したがって、この場合は、自機側通信網および他機側通信網ともに遅延が発生しやすいIP網5ではないので、通信速度を最大限高めるため、初期通信速度を最も高速なV.34 33600bpsに設定する(S830)。
以上説明したS820〜S830の処理によって、初期通信速度の設定が行われたら、続いて、実際の通信処理に移行するが、これについては後から詳述する。
さて、以上が、図13および図14に示す着信時処理に移行した場合の説明であるが、S705〜S720の処理が繰り返される中で、FAX送信指示があった場合は(S720:はい)、FAX送信先番号の入力を受け(S832)、FAX送信開始指示待ちになり(S833)、FAX開始が指示されない間は(S834:いいえ)、S833の処理へと戻り、FAX開始が指示されたら(S834:はい)、回線が閉結され(S835)、図15に示す発信時処理に移行する。
発信時処理に移行した場合は、まず、FAX送信開始処理が実行され(S840)、引き続いて、FAX送信先番号の先頭に0000が存在するか否かを判断する(S845)。これは、既に通話処理において説明した通り、アダプタ3の仕様に合わせた処理であり、複合機1は、発呼時のダイヤルの先頭に0000が存在することをもって、自機側通信網がPSTN網4であると判断する。
FAX送信先番号の先頭に0000が存在する場合は(S845:はい)、続く番号情報が050で始まっているか否かが判断される(S850)。050で始まっている場合(S850:はい)、通信先機器はIP網5を利用する機器(例えばIP電話機5a相当のファクシミリ装置)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網がIP網5となるので、この場合は、初期通信速度をV.17 14400bpsに設定する(S855)。
また、S850の処理で、続く番号情報が050で始まっていない場合は(S850:いいえ)、通信先機器はPSTN網4を利用する機器(例えば電話機4a相当のファクシミリ装置)であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網もPSTN網4となるので、この場合は、初期通信速度をV.34 33600bpsに設定する(S860)。
また、FAX送信先番号の先頭に0000が存在しない場合は(S845:いいえ)、ダイヤルの先頭に1が存在するか否かを判断する(S865)。これも、既に通話処理において説明した通り、アダプタ3の仕様に合わせた処理であり、複合機1は、発呼時のダイヤルの先頭に1が存在することをもって、自機側通信網がPSTN網4であると判断する。
FAX送信先番号の先頭に1が存在する場合は(S865:はい)、通信先機器もPSTN網4を利用する機器であり、自機側通信網がPSTN網4で他機側通信網もPSTN網4となるので、この場合は、初期通信速度をV.34 33600bpsに設定する(S870)。
以上説明したS850〜S860の処理によって、初期通信速度の設定が行われたら、続いて、実際の通信処理に移行するが、これについては後から詳述する。
一方、FAX送信先番号の先頭に1が存在しない場合は(S865:いいえ)、FAX送信先番号の先頭に050が存在するか否かが判断される(S875)。050が存在する場合(S875:はい)、通信先機器はIP網5を利用する機器(例えばIP電話機5a相当のファクシミリ装置)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網もIP網5となるので、この場合は、初期通信速度をV.29 9600bpsに設定する(S880)。
また、S875の処理で、FAX送信先番号の先頭に050が存在しない場合は(S875:いいえ)、通信先機器はPSTN網4を利用する機器(例えば電話機4a相当のファクシミリ装置)であり、自機側通信網がIP網5で他機側通信網がPSTN網4となるので、この場合は、初期通信速度をV.17 14400bpsに設定する(S885)。
以上説明したS865〜S885の処理によって、初期通信速度の設定が行われたら、続いて、実際の通信処理に移行する。
なお、以上説明した処理の中で、初期通信速度の設定が完了した後に実行される実際の通信処理は、図16に示すような処理であり、まず、ファクシミリデータを送受信するための通信処理が行われ(S890)、この通信処理によって全てのファクシミリデータの送受信を終えたら、通信終了処理が行われ(S900)、回線が開放されて(S910)、S705の処理へと戻る。
[上記ファクシミリ伝送処理による効果]
以上説明した複合機1によれば、ファクシミリの受信時には、アダプタ3から伝送されてくる着信通知用信号に基づいて、自機が利用している自機側通信網がPSTN網4であるかIP網5であるかを特定し、通信先機器が利用している他機側通信網から伝送されてくる発信元番号情報に基づいて、他機側通信網がPSTN網4であるかIP網5であるかを特定している。
また、ファクシミリの送信時には、通信先機器の電話番号やその電話番号の先頭に付加される番号(例えば、0000)に基づいて、自機が利用する自機側通信網がPSTN網4であるかIP網5であるかを特定し、通信先機器の電話番号に基づいて、他機側通信網がPSTN網4であるかIP網5であるかを特定している。
そして、特定した自機側通信網および他機側通信網の組み合わせに応じて初期通信速度を選択することで、異なる通信速度でファクシミリ画像の伝送を行っている。したがって、これら自機側通信網や他機側通信網の違いがあっても、通信先機器との間で同一の通信速度でしかファクシミリ画像を伝送できない通信装置とは異なり、遅延が発生しやすいにもかかわらず過度に通信速度が高速になったり、遅延が発生しにくいにもかかわらず過度に通信速度が低速になったりすることがない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、本発明の通信装置の構成を持った複合機1を例示したが、複合機1以外の通信装置、例えば、電話機やファクシミリ装置に本発明を適用してもよいのはもちろんである。
また、上記実施形態では、説明が煩雑になるのを避けるため、090で携帯電話網を識別する旨の説明を行ったが、周知の通り、080、070なども携帯電話網を示す番号なので、これら090以外の番号についても、携帯電話網として識別すると好ましい。
同様にPSTN網と識別すべき番号も、上記実施形態では、先頭が1から始まる番号(110、119など)や、アダプタ3の仕様として設定されている0000などを例示したが、例えば、日本国内では、0120や0990などが、PSTN網経由の通信で利用される番号なので、これらの番号でPSTN網を識別するようにしてもよい。
さらに、近年のIP電話機や携帯電話機の普及に伴い、今後も番号の割り当てや再編が行われる可能性があるので、そのような新たな番号を本発明に取り入れることができるのはもちろんである。すなわち、本発明を実施するに当たっては、実施形態として例示した090、050といった特定の番号を用いることが重要なことではない。
また、通信先機器との間で伝送される音声信号としては、通信先機器へ伝送される音声信号と、通信先機器から伝送されてくる音声信号の2つがあり、これら2つの音声信号の両方を本発明による処理対象とすれば最も効果的であるが、いずれか一方の音声信号のみを本発明による処理対象としても相応の効果は得られる。すなわち、本発明の構成は、送話側および受話側の双方に適用してもよいし、送話側のみに適用してもよいし、受話側のみに適用してもよい。例えば、送話側に適用した場合は、自機側の利用者が発する音声が過小または過大でも適切な音量や音質に補正してから通信先機器へと伝送することができ、受話側に適用した場合は、通信先機器から伝送されてくる音声が過小または過大でも適切な音量や音質に補正してから、補正後の音声を自機側の利用者に聞かせることができる。
加えて、図1においては、便宜的に、IP網接続用の通信線とPSTN網接続用の通信線それぞれがアダプタ3に接続される接続形態を例示してあるが、この種のアダプタ3には、PSTN網接続用に用意されている単一の通信線をIP網接続用としても兼用する接続形態となっているもの(例えばADSLなど)もあり、これらの接続形態の内のどれを利用するかは、本実施形態においては任意である。
1・・・複合機、2・・・通信線、3・・・アダプタ、4・・・PSTN網、4a・・・電話機、5・・・IP網、5a・・・IP電話機、6・・・携帯電話網、6a・・・携帯電話機、8・・・操作パネル、9・・・LCD、11・・・CPU、12・・・ROM、12a・・・ハンドセット音響パラメータテーブル、13・・・EEPROM、14・・・RAM、14a・・・ハンドセット音響パラメータ、15・・・画像メモリ、19・・・回線I/F部、20・・・モデム、21・・・バッファ、22・・・スキャナ、23・・・符号化部、24・・・復号化部、25・・・プリンタ、27・・・アンプ、28・・・スピーカ、30・・・バスライン、47・・・ハンドセット、48・・・フックスイッチ。