JP2006339007A - 自発光平面表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ナノチューブを電子源とした自発光平面表示装置において、ナノチューブの耐熱性を向上させ、パネルプロセスの大幅な簡略化及びコスト低減化を実現可能とする自発光平面表示装置を提供する。
【解決手段】 カソード電極CL上の電子源EMSに硼素及び窒素を構成元素として含んだナノチューブを使用することにより、耐熱性が大幅に向上し、大気中でのパネル封止が可能となるので、パネルプロセスの大幅な簡略化及びコスト低減化が可能となる。さらには、耐環境性に強い電子源EMSを実現することにより、電子源寿命を増大させることができる。
【選択図】 図5
【解決手段】 カソード電極CL上の電子源EMSに硼素及び窒素を構成元素として含んだナノチューブを使用することにより、耐熱性が大幅に向上し、大気中でのパネル封止が可能となるので、パネルプロセスの大幅な簡略化及びコスト低減化が可能となる。さらには、耐環境性に強い電子源EMSを実現することにより、電子源寿命を増大させることができる。
【選択図】 図5
Description
本発明は、真空中への電子放出を利用した自発光平面表示装置に係り、特にナノチューブで構成した電子源を有するカソード電極と、この電子源からの電子放出量を制御するゲート電極とを備えた背面パネルと、この背面パネルから取り出された電子の励起で発光する複数色の蛍光体層とアノード電極とを有する前面パネルとを具備した自発光平面表示装置及びその製造方法に関し、詳細にはナノチューブの構造に関するものである。
高輝度、高精細に優れたディスプレイデバイスとして従来からカラー陰極線管が広く用いられている。しかし、近年の情報処理装置やテレビ放送の高画質化に伴い、高輝度、高精細の特性をもつと共に軽量、省スペースの平面型表示装置の要求が高まっている。
その典型例として液晶表示装置、プラズマ表示装置などが実用化されている。また、特に高輝度化が可能なものとして、電子源から真空への電子放出を利用した電子放出型表示装置、低消費電力を特徴とする有機ELディスプレイなど、種々の型式のパネル型表示装置の実用化も近い。なお、補助的な照明光源を必要としないプラズマ表示装置、電子放出型表示装置あるいは有機EL表示装置を自発光型平面表示装置と称する。
このような平面型の表示装置のうち、上記電子放出型の表示装置には、C.A.Spindtらにより発案されたコーン状の電子放出構造を有するもの、メタル−インシュレータ−メタル(MIM)型の電子放出構造を有するもの、量子論的トンネル効果による電子放出現象を利用する電子放出構造(表面伝導型電子源とも呼ばれる)を有するもの、さらにはダイアモンド膜、グラファイト膜またはカーボンナノチューブに代表されるナノチューブなどが有する電子放出現象を利用するもの等が知られている。
自発光型平面表示装置の一例である電子放出型の表示装置は、内面に電子放出型の電子源と制御電極であるゲート電極とを形成した背面パネルと、この背面パネルと対向する内面に複数色の蛍光体層とアノード電極(陽極)とを備えた前面パネルの両者の内周縁に封止枠を介挿して封止し、当該背面パネルと前面パネルと封止枠とで形成される真空外囲器の内部を真空に保持して構成される。
背面パネルは、ガラスまたはセラミックス等を好適とする背面基板の上に第1の方向に延在しこの第1の方向と交差する第2の方向に並設されて電子源をもつ複数のカソード電極と、第2の方向に延在し第1の方向に並設して設けたゲート電極を有する。そして、カソード電極とゲート電極との間の電位差で電子源からの電子の放出量(放出のオン・オフを含む)を制御する。
また、前面パネルはガラス等の光透過性の材料で形成された前面基板の上に蛍光体層とアノード電極とを有する。封止枠は背面パネルと前面パネルの内周縁にフリットガラスなどの接着材で固着される。背面パネルと前面パネルと封止枠とで形成される真空容器の内部の真空度は、例えば10-5〜10-7Torr程度である。表示面サイズが大きいものでは、背面パネルと前面パネルの間に間隙保持部材(スペーサまたは隔壁とも称する)を介挿して固定し、両基板間の間を所定の間隔に保持している。
なお、ナノチューブとしての典型例であるカーボンナノチューブを電子源として用いた自発光平面表示装置が数多く報告されている。例えば、電子源構造をフォトリソグラフィープロセスにより形成し、5インチ型の自発光平面表示装置を作製した例が下記「非特許文献1」に報告されている。
Applied Physics Lettersのvol.80(21), pp.4045-4047 (2002)
上記非特許文献1では、カーボンナノチューブを含有する感光性ペーストを用いて電子源を任意の位置にフォトリソグラフィープロセスを用いて形成することにより、自発光平面表示装置を実現可能としている。
しかしながら、カーボンナノチューブを電子源として用いた自発光平面表示装置においては、背面パネルと前面パネルと封止枠とを封止して表示パネルを形成する際、カーボンナノチューブの耐熱性が不十分であるため、大気中ではなく、アルゴンガス中で長時間熱処理する必要があり、プロセスの効率を低下させ、また、コスト高となるという課題を有している。
また、カーボンナノチューブを電子源とした自発光型平面表示装置においては、ゲート動作を低電圧で行うために電子源とゲート電極との間の距離を数μmから数十μm程度の範囲に制御する必要がある。このためにフォトリソグラフィープロセスを適用する必要があり、低価格化への大きな障害となっていた。
したがって、本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ナノチューブを電子源として用いた自発光平面表示装置において、ナノチューブの耐熱性を向上させ、大気中でのパネル封止を実現可能とする自発光平面表示装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、パネル封止よりも高温度の熱処理プロセスに対する耐熱性を向上させ、パネルプロセスの大幅な簡略化とコスト低減とを実現可能とする自発光平面表示装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、耐環境性の高い電子源を実現することにより、電子源寿命を増大させることができる自発光平面表示装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、電子源構造を通常用いられる印刷法を用いて容易に且つ低価格で作製できる自発光平面表示装置の製造方法を提供することにある。
このような目的を達成するために本発明による自発光平面表示装置は、硼素,窒素,炭素のうちの少なくとも二種類を構成元素として含有したナノチューブを電子源として用いる。
炭素以外に硼素や窒素を構成元素として含有したナノチューブは、平均的な結合エネルギーが通常のカーボンナノチューブに対して増加するために耐熱性が向上する。さらに、結合エネルギーが強いために電界による破壊が緩和され、電子放出の長寿命化が期待できる。
また、電気伝導性に関しては、通常のカーボンナノチューブがカイラリティによる金属または半導体的性質を示すのに対して、硼素と炭素または窒素と炭素との二元素により構成されるナノチューブは金属的性質を示す。また、硼素,窒素,炭素の三元素から構成されるナノチューブは半導体であり、硼素+窒素の比率が大きくなるほどバンドギャップが大きくなる。
硼素と窒素とにより構成されたナノチューブは、大気中で約1000℃程度の耐熱性が期待できる。しかしながら、硼素+窒素ナノチューブは、チューブ径が約5nm以上ではバンドギャップエネルギーが2eV以上の半導体であり、電子源としては電気伝導性不足となる可能性がある。硼素+窒素ナノチューブは、多層ナノチューブの最外層の保護層として有用であると考えられる。
これに対して硼素,窒素,炭素を構成元素として含有するナノチューブは、構成元素の比率により、耐熱性及び電気電導性の優れたナノチューブが実現可能であり、電子源として大いに期待できる。また、硼素と炭素または窒素と炭素とを構成元素として含有するナノチューブは、耐熱性及び電気電導性の優れたナノチューブが実現可能であり、電子源として大いに期待できる。すなわち、従来のカーボンナノチューブに比較して耐熱性に優れ、電気電導性に関しても遜色のないナノチューブを硼素,窒素,炭素を構成元素として含有するナノチューブにより実現することができる。
なお、本発明は、上記各構成及び後述する実施の形態に記載される構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
本発明によれば、ナノチューブの耐熱性を大幅に向上させることができ、さらにはパネル封止よりも高温の熱処理プロセスに対する耐熱性を実現することができ、結果としてパネルプロセスの大幅な簡略化及びコスト低減に大きく貢献することができる。また、本発明によれば、電子源の寿命を大幅に向上させることができる等の極めて優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の多層ナノチューブについて図15を参照して説明する。図15は、多層ナノチューブを模式的に示す拡大斜視図である。代表例として同心円上に開口径が径方向に沿って順次大きくなる4層のナノチューブNT1,NT2,NT3,NT4からなる多層ナノチューブNTを示した。
通常の多層カーボンナノチューブは、炭素元素のみで構成されている。本発明では、第1の形体として、多層を形成する各層が硼素,窒素,炭素のうちの少なくとも二種類以上の元素から構成されており、硼素及び窒素の含有量が隣接の層に比較して最外層において最大であるものを電子源として用いる。
また、第2の形体として、硼素,窒素,炭素のうちの少なくとも二種類以上の元素から構成されており、硼素及び窒素の含有量が隣接の層に比較して最外層と最内層とにおいて最大であるものを電子源として用いる。なお、硼素及び窒素の含有量は最外層と最内層とで同じである必要はなく、何れかが大きくても良い。即ち、最外層と最内層との間で硼素及び窒素の含有量が極小となる層が構成された多層ナノチューブ層であれば良い。
また、第3の形体として、少なくとも最外層が硼素と窒素との二種類の元素から構成されたナノチューブ層であり、それ以外のそれぞれのナノチューブ層が硼素,窒素,炭素のうちの少なくとも一種類以上の元素から構成されているものを電子源として用いる。
また、第4の形体として、少なくとも最外層が硼素,窒素,炭素の三種類の元素から構成されたナノチューブ層であり、それ以外のそれぞれのナノチューブ層が硼素,窒素,炭素のうちの少なくとも一種類以上の元素から構成されているものを電子源として用いる。
第1の形体の例として、多層を形成する全ての層が硼素,窒素,炭素の三元素を含んでいる多層ナノチューブ、多層を形成する全ての層が硼素,炭素の二元素を含んでいる多層ナノチューブ、多層を形成する全ての層が窒素,炭素の二元素を含んでいる多層ナノチューブで硼素(B)及び窒素(N)の含有量が図16に示すように最外層において最大であり、内側の層に行くほど、少なくなっている多層ナノチューブなどを用いることができる。
第2の形体の例として、多層を形成する全ての層が硼素,窒素,炭素の三元素を含んでいる多層ナノチューブ、多層を形成する全ての層が硼素,炭素の二元素を含んでいる多層ナノチューブ、多層を形成する全ての層が窒素,炭素の二元素を含んでいる多層ナノチューブで硼素(B)及び窒素(N)の含有量が、図17に示すように最外層と最内層とにおいて最大であり、内部の層に行くほど、少なくなっている多層ナノチューブなどを用いることができる。
第3の形体の例として、最外層が硼素,窒素の二元素を含んでおり、それより内側のすべての層が硼素,窒素,炭素の三元素を含んでいる多層ナノチューブ、外層の二層が硼素,窒素の二元素を含んでおり、それより内側のすべての層が硼素,窒素、炭素の三元素を含んでいる多層ナノチューブ、最外層が硼素,窒素の二元素を含んでおり、それより内側のすべての層が炭素のみを含んでいる多層ナノチューブ、外層の二層が硼素,窒素の二元素を含んでおり、それより内側のすべての層が炭素のみを含んでいる多層ナノチューブなどを用いることができる。
第4の形体の例として、最外層が硼素,窒素,炭素の三元素を含んでおり、それより内側のすべての層が炭素のみを含んでいる多層ナノチューブ、外層の二層が硼素,窒素,炭素の三元素を含んでおり、それより内側のすべての層が炭素のみを含んでいる多層ナノチューブなどを用いることができる。
次に、本発明の多層ナノチューブの耐熱性向上について図18を用いて説明する。従来の多層カーボンナノチューブとして、CVD法で作製した10層のもの、本発明の多層ナノチューブとして、全層が硼素,窒素,炭素の三元素を含むナノチューブを用いた。従来品は約360℃で燃焼開始し、約470℃で終了する。これに対して、本発明品は約720℃で燃焼開始し、約930℃で終了する。このように本発明では、従来に比べて燃焼開始温度で約360℃の耐熱性向上が見られた。
また、本発明の多層ナノチューブの電子放出寿命向上について、図19を用いて説明する。従来の多層カーボンナノチューブとして、CVD法で作製した10層のもの、本発明の多層ナノチューブとして、全層が硼素,窒素,炭素の三元素を含むナノチューブを用いた。ナノチューブをペースト化し、約1mm角に印刷した後、約450℃真空中で熱処理して電子源とした。約10mA/cm2の電流密度が得られるように電圧を調整し、その電圧を維持した場合の電流密度の時間劣化を測定した。
加速試験を行った結果を、実際の駆動条件に換算した寿命として横軸に示した。電流密度が約半分になる時間を寿命と定義すると、従来品の寿命は約2万5千時間である。これに対して本発明品は約5万時間以上の寿命があることが判明した。以上のように本発明により、長寿命の電子源を実現することができた。
図1及び図2は、本発明による自発光平面表示装置の実施例1の構成を説明する模式図であり、図1は、自発光平面表示装置を斜め上方から見た要部展開斜視図、図2は、自発光平面表示装置を斜め下方から見た要部展開斜視図である。この自発光平面表示装置は、背面パネルPNL1を構成する背面基板SUB1と、前面パネルPNL2を構成する前面基板SUB2とが封止枠MFLを介して貼り合わせて構成される。
図3は、背面パネルPNL1を構成する背面基板SUB1の内面側の要部平面図である。図3において、背面基板SUB1の内面には、一方向に延在し、この一方向と交差する他方向に並設された多数のカソード電極CLと、上記他方向に延在し、上記一方向に並設された多数のゲート電極GLとが形成されている。カソード電極CLとゲート電極GLとは、図示しない絶縁層を介して交差し、それぞれの交差部分にはナノチューブ電子源が形成されている。
電子源に電子を供給するカソード電極CLは、各カソード電極を複数組に分割して各組毎のカソード電極がカソード電極バスラインに電気的に接続されている。また、ゲート電極GLは、各ゲート電極が複数組に分割して各組毎のゲート電極をゲート電極バスラインに電気的に接続されている。カソード電極バスライン及びゲート電極バスラインのうちの一部分をそれぞれ選択することにより、指定された位置の電子源から電子を放出させる電子線群を構成している。
この背面基板SUB1上に形成されたカソード電極CLには、カソード信号源(映像信号源)Sからカソード信号(映像信号)が供給され、ゲート電極GLにはゲート信号源(走査信号源)Gからゲート信号(走査信号)が印加される。そして、ゲート信号により選択されたゲート電極GLと交差するカソード電極CLの電子源から電子線が放出される。
図4は、前面パネルPNL2を構成する前面基板SUB2の内面側の要部平面図である。図4において、前面基板SUB2の内面の表示領域には、図3に示す背面基板SUB1に有する電子源の形成位置に合わせて赤色蛍光体層PHR,緑色蛍光体層PHG及び青色蛍光体層PHBがストライプ状に複数配列されて蛍光体層PHが形成されている。なお、この蛍光体層PHはドット状の配列でも良い。また、これらの各赤色蛍光体層PHR,緑色蛍光体層PHG及び青色蛍光体層PHBの相互間は、図示しないブラックマトリクス膜により区画され、これらの蛍光体層PH及びブラックマトリクス膜の背面の全面にはメタルバック膜が形成されている
さらに、この前面基板SUB2の内面には、図4に示すように蛍光体層PHの下層にアノード電極(陽極)ADが形成されている。なお、アノード電極ADを蛍光体層PHの上層に形成することもできる。このアノード電極ADには、図1に示す高電圧源Eから所定の陽極電圧が印加されている。カソード電極CLの電子源から放出された電子は、アノード電極ADに印加される高電圧で加速されて所定の蛍光体層PHに射突し、これを所定の色で発光させる。この蛍光体層PHの発光を前面基板SUB2の表示領域の全域で制御することで2次元の映像が表示される。
なお、画面サイズが大きい平面表示装置では、背面基板SUB1に有する電子源と前面基板SUB2の蛍光体層PHとの間隔を所定値に保持させるために封止枠MFLの内部に薄いガラス板などからなる複数の間隔保持部材(隔壁またはスペーサとも称する)が所定の間隔で設置される。
図5は、背面パネルPNL1を構成する背面基板1の構成例を模式的に説明する平面図であり、図5(a)は全体構成図、図5(b)は図5(a)の要部拡大平面図である。図5では、背面パネルPNLを構成する背面基板SUB1の内面には同図垂直方向に複数本のカソード電極CLが形成され、同図水平方向には多数のゲート電極GLが形成されている。カソード電極CLとゲート電極GLとは図示しないが、絶縁層を介して交差し、各交差部分に前述したナノチューブを含有した電子源部EMSが形成される。
電子源に電子を供給するカソード電極CLは、各カソード電極を複数組に分割して各組毎のカソード電極がカソード電極バスラインに電気的に接続されている。また、ゲート電極GLは、各ゲート電極が複数組に分割して各組毎のゲート電極をゲート電極バスラインに電気的に接続される構造となっている。そして、カソード電極バスライン及びゲート電極バスラインのうちの一部分をそれぞれ選択することにより、指定された位置の電子源から電子を放出させる電子線群を構成している。
前述したナノチューブを含有した電子源部EMSは、前述したようにゲート電極GLと、この下層の絶縁層(図示せず)を貫いた穴の底部に露出したカソード電極CL内に形成されている。個々の電子源部EMSはカラー表示の場合の1画素(ピクセル)を構成する副画素(サブピクセル)に対応する。カソード電極CLの一端はカソード電極引出線CLTとなり、カソード信号源Sからカソード信号(映像信号)が供給される。また、ゲート電極GLの一端はゲート電極引出線GLTとなり、ゲート信号源Gからゲート信号(走査信号)が供給される。
図6は、前面パネルPNL2を構成する前面基板SUB2の構成例を模式的に説明する平面図であり、図6(a)は全体構成図、図6(b)は図6(a)の要部拡大平面図である。この前面パネルは、前面基板SUB2の内面に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のストライプ状の各蛍光体層PHR,PHG,PHGが遮光層(ブラックマトリクス)BMで相互に区画されて蛍光体層PHが成膜されて蛍光面が形成され、この蛍光面上に膜厚が数十nm乃至数百nmに成膜されてアノード電極ADが形成されている。
この蛍光面は次のようにして形成される。先ず、吸光物質と感光性樹脂とを混合したスラリーの塗布し、マスク露光および過酸化水素水等を用いた既知のリフトオフ法により、図5における電子源EMSの横方向(水平方向)ピッチに合わせて電子源EMS間の中央の位置にストライプ状のブラックマトリクスBMを形成する。次に、スラリー法を用いて赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のストライプ状の各蛍光体層PHR,PHG,PHBの繰り返しパターンを形成し、各蛍光体層PHR,PHG,PHBの両側にブラックマトリクスBMが位置した蛍光体層PHを形成する。また、ストライプ状の各蛍光体層PHR,PHG,PHBを形成した後、図示しないが、全面にアルミニウムを数十乃至数百nmの厚さに蒸着してアノード電極ADを形成する。
このようにして製作した前面パネルPNL2を図1に示すように封止枠MFLを介して前述した背面パネルPNL1と重ね合わせ、電子源と蛍光体を位置合わせし、内部を真空引きして封止し、表示パネルを製作し、駆動回路等を付加して自発光平面表示装置を完成する。なお、前面パネルPNL2と封止枠MFLと背面パネルPNL1との封着にはフリットガラスを用いた。この封着は、封着面にフリットガラスを印刷法またはディスペンサー塗布法を用いて塗布し、約450°Cに加熱して溶融接着する。また、前面パネルPNL2と封止枠MFLと背面パネルPNL1とを封着した内部空間の真空引きは、前面パネルPNL2,封止枠MFLまたは背面パネルPNL1の何れか(通常は、背面パネルPNL1の表示領域外かつ封止枠MFL内の適当な場所)に取り付けた排気管から排気し、所定の真空度に達した状態で排気管を封じきることで表示パネルが形成される。
このようにして製作した表示パネルにカソード電極CLにカソード信号を、ゲート電極GLにゲート信号をそれぞれ印加し、さらにアノード電極ADにカソード電極CLに対してプラスの加速電圧を印加することにより、所望の高品位の画像を表示させることができる。
次に本発明による自発光平面表示装置における電子源の構造例及びこの構造例を製造する製造プロセスについて図7乃至図10に示す要部拡大斜視図を用いて説明する。なお、これらの図では電子源アレイのサブピクセルについて詳細に示す。
まず、図7に示すようにガラス板を好適とする背面基板SUB1の表面に銀微粒子と、鉛ガラス粒子とをエチルセルロースに含有させた電極形成用銀ペーストをスクリーン印刷法によりストライプ状に塗布し、焼成してカソード電極CLを形成する。この電極形成用銀ペーストは、平均粒径約0.5μmの銀微粒子が約80wt%と、平均粒径約0.5μmの鉛ガラス粒子が約10wt%と、エチルセルロースが約10wt%とを混合させた組成からなり、この銀ペーストを用いることにより、カソード電極CLの表面の凹凸の高低差を約0.5μm以下に抑えることができた。また、電極幅は約30μm、隣接する図示しないストライプ状のカソード電極との間隔は約240μmである。
このカソード電極CLは、粒径約0.5μmの銀微粒子と鉛ガラスとの混合物とから構成されており、エチルセルロースは焼成により消失され、鉛ガラス粒子は溶解される。このカソード電極CLの膜厚は焼成後で約5μmである。このようなカソード電極CLのストライプ構造を1280×3本=3840本形成する。
次に図8に示すようにこのカソード電極CLの表面に前述した本発明の単層または多層ナノチューブと、このナノチューブの支持体としての粒径が約1μmの銀微粒子とをエチルセルロースに含有させた銀ペーストをスクリーン印刷法により塗布し、焼成して電子源層ESMを形成する。この銀ペーストには、ナノチューブとカソード電極CLとの電気的コンタクトを良好にするために例えば金微粒子等の他の金属微粒子を混合することもできる。
次に、図9に示すようにカソード電極CL及び電子源層EMSが形成された背面基板SUB1上にフリットガラスをスクリーン印刷法により塗布し、焼成して絶縁層INSを形成する。この絶縁層INSには、下層に形成したカソード電極CLの電子源層EMSに対応する部分に電子源ホールCHL1が形成されている。この絶縁層INSの膜厚は、焼成後で約5μmである。この構成により、電子源ホールCHL1の内部には、カソード電極CL及びこのカソード電極CL上に形成された電子源層EMSが露出する構造となる。
次に、図10に示すようにこの絶縁層INS上に銀微粒子をエチルセルロースに含有させた電極形成用銀ペーストをスクリーン印刷法により塗布し、焼成してゲート電極GLを形成する。このゲート電極GLには、電子源層EMSに対応する部分に電子源ホールCHL1に連通する同一開口形状を有する上部電子源ホールCHL2が形成されている。このゲート電極GLは平均粒径が約1μmの銀微粒子で構成され、焼成後の膜厚は約5μmである。このようなゲート電極GLを720本形成する。
最後に上部電子源ホールCHL2内に露出している電子源層EMSの表面に対してナノチューブを起毛させるための表面処理を行う。この表面処理には、レーザ照射,プラズマ処理または機械的処理等の手法を用いることができる。このようにしてゲート動作可能なナノチューブ電子源構造を作製することができた。このような電子源構造においては、カソード電極CLと、ゲート電極GLと、電子源層EMSとが背面基板SUB1のほぼ同一平面上に隣接して形成されることになる。
なお、本実施例では、カソード電極CL,ゲート電極GLおよび電子源層EMSを銀で形成したが、必要な電気伝導性を有する如何なる金属またはその合金等を用いることも可能である。また、合金または金属多層膜を用いることも可能である。さらにカソード電極CL,電子源層EMS及びゲート電極GLの塗布は、スクリーン印刷法に限定されるものではなく、インクジェット法,他の特殊な印刷法または気相成長法等を用いることもできる。
図11乃至図14は、本発明の自発光平面表示装置における背面パネルの他の構造例及びこの構造例を製造する製造プロセスの説明図である。なお、ここでは、表示領域に形成される電子源アレイのサブピクセルについて説明する。
まず、図11に示すように、ガラス板を好適とする背面基板SUB1の表面に銀微粒子及び鉛ガラス粒子を有機溶剤に含有させた電極形成用銀ペーストをスクリーン印刷法によりストライプ状に塗布し、焼成してカソード電極CLとゲート電極GLとを同時に形成する。したがって、このカソード電極CLとゲート電極GLとは、背面基板SUB1上の同一平面上に形成される。この電極形成用銀ペーストは、平均粒径約0.5μmの銀微粒子が約80wt%と、平均粒径が約0.5μmの硼珪酸ガラス粒子が約10wt%と、ブチルカルビトールが約10wt%とを混合した組成からなり、この銀ペーストを用いることにより、カソード電極CLの表面の凹凸の高低差を約0.5μm以下に抑えることができた。このカソード電極CLの幅は約30μmであり、隣接するストライプ状のカソード電極との間隔は約240μmである。また、カソード電極CLとゲート電極GLとの間隔は約30μmである。
これらのカソード電極CL及びゲート電極GLは、平均粒径が約0.5μmの銀微粒子と、硼珪酸ガラスとの混合物とから構成されており、これらのカソード電極CL及びゲート電極GLの膜厚は焼成後で約5μmである。このようなカソード電極CLのストライプ構造を1280×3本=3840本形成する。
次に、図12に示すようにこのカソード電極CLの表面に前述した本発明の単層または多層ナノチューブと、このナノチューブの支持体としての粒径が約0.5μmの銀微粒子とを有機溶剤に含有した銀ペーストをスクリーン印刷法により塗布し、焼成して電子源層ESMを形成する。この銀ペーストには、ナノチューブとカソード電極CLとの電気的コンタクトを良好にするために例えば金微粒子等の他の金属微粒子を混合することもできる。
次に、図13に示すようにカソード電極CL及び電子源層EMSが形成された背面基板SUB1上にフリットガラスをスクリーン印刷法により塗布し、焼成して絶縁層INSを形成する。この絶縁層INSには、カソード電極CL上に形成した電子源層EMSに対応する部分に電子源ホールCHLと、ゲート電極GLに連通するゲート電極コンタクトホールGHLとが形成されている。この絶縁層INSの膜厚は、焼成後で約5μmである。この構成により、電子源ホールCHLの内部には、カソード電極CL及びこのカソード電極CL上に形成された電子源層EMSが露出する構造となり、また、ゲート電極コンタクトホールGHLの内部にはゲート電極GLの端子部となる一部が露出する構造となる。
次に、図14に示すようにこの絶縁層INS上の上記ゲート電極コンタクトホールGHLに対応する部位に銀微粒子を有機溶剤に含有させた電極形成用銀ペーストをスクリーン印刷法により塗布し、焼成して下部のゲート電極コンタクトホールGHLを挿通してゲート電極GLに電気的に接続されたゲート電極用バスラインGBLを形成する。このゲート電極用バスラインGBLは、平均粒径が約1μmの銀微粒子で構成され、焼成後の膜厚は約5μmである。このようなゲート電極用バスラインGBLを720本形成する。
最後に、電子源ホールCHL内に露出している電子源層EMSの表面に対してナノチューブを起毛させるための表面処理を行う。この表面処理には、レーザ照射,プラズマ処理または機械的処理等の手法を用いることができる。このようにしてゲート動作可能なナノチューブ電子源構造を作製することができた。このような電子源構造においては、カソード電極CLと、ゲート電極GLと、電子源層EMSとが背面基板SUB1の同一平面上に隣接して形成されることになる。
なお、本実施例では、カソード電極CL,ゲート電極GLおよび電子源層EMSを銀で形成したが、必要な電気伝導性を有する如何なる金属も用いることも可能である。また、合金または金属多層膜を用いることも可能である。さらにカソード電極CL,電子源層EMS及びゲート電極GLの塗布は、スクリーン印刷法に限定されるものではなく、インクジェット法,他の特殊な印刷法または気相成長法等を用いることもできる。
このように構成された電子源構造は、ゲート電極GLにカソード電極CLに対して正または負の電圧を印加することにより、カソード電極CLからのエミッションビームの広がり角度を制御することができる。
図20は、本発明に係わる自発光平面表示装置の全体構造の一例を説明する一部破断して示す斜視図である。また、図21は、図20のA−A’線に沿って切断した断面図である。図20及び図21において、背面パネルPNL1を構成する背面基板SUB1の内面にはカソード電極CLとゲート電極GLとを有し、カソード電極CLとゲート電極GLとの交差部分に前述した硼素及び窒素を構成元素として含んだナノチューブからなる電子源が形成されている。カソード電極CLの端部にはカソード電極引き出し線CLTが形成され、ゲート電極GLの端部にはゲート電極引き出し線GLTが形成されている。
前面パネルPNL2を構成する前面基板SUB2の内面には、前述したようなアノード電極ADと蛍光体層PHとが形成されている。背面パネルPNL1を構成する背面基板SUB1と前面パネルPNL2を構成する前面基板SUB2とは、その周縁に封止枠MFLを介在させて貼り合わされる。この貼り合わせた間隙を所定値に保持するため、背面基板SUB1と前面パネルPNL2との間にガラス板を好適とする間隔保持部材SPCを植立させている。図21はこの間隔保持部材SPCに沿った断面なので、間隔保持部材SPCは図示を省略してある。
なお、背面パネルSUB1と前面パネルPNL2と封止枠MFLとで密封された内部空間は、背面パネルPNL1の一部に設けた排気管EXCから排気して所定の真空状態とする。
PNL1・・・背面パネル、PNL2・・・前面パネル、SUB1・・・背面基板、SUB2・・・前面基板、MFL・・・封止枠、SPC・・・間隔保持部材、CL・・・カソード電極、CLT・・・カソード電極引き出し線、GL・・・ゲート電極、GLT・・・ゲート電極引き出し線、EMS・・・電子源層、NT・・・ナノチューブ、NT1・・・ナノチューブ、NT2・・・ナノチューブ、NT3・・・ナノチューブ、NT4・・・ナノチューブ、INS・・・絶縁層、GHL・・・ゲート電極コンタクトホール、GBL・・・ゲート電極用バスライン、CHL・・・電子源ホール、CHL1・・・電子源ホール、CHL2・・・電子源ホール、S・・・カソード信号源、G・・・ゲート信号源、PH・・・蛍光体層、AD・・・アノード電極、E・・・高電圧源。
Claims (5)
- 第1の方向に延在し、前記第1の方向と交差する第2の方向に並設されて表面にナノチューブからなる電子源を有する多数のカソード電極と、前記第2の方向に延在し、前記第1の方向に並設されて前記カソード電極との交差部における前記電子源から放出される電子の量を制御する電位が印加される多数のゲート電極とを有し、前記カソード電極と前記ゲート電極との交差部に形成される多数の画素で表示領域を構成する背面パネルと、
前記背面パネルの前記表示領域に有する前記電子源から取り出される電子の励起で発光する複数色の蛍光体層とアノード電極を有する前面パネルと、
を具備する自発光平面表示装置であって、
前記ナノチューブが硼素,窒素,炭素のうちの少なくとも二種類の元素から構成される多層ナノチューブからなり、前記硼素及び窒素の含有量が最外層において最大であることを特徴とする自発光平面表示装置。 - 第1の方向に延在し、前記第1の方向と交差する第2の方向に並設されて表面にナノチューブからなる電子源を有する多数のカソード電極と、前記第2の方向に延在し、前記第1の方向に並設されて前記カソード電極との交差部における前記電子源から放出される電子の量を制御する電位が印加される多数のゲート電極とを有し、前記カソード電極と前記ゲート電極との交差部に形成される多数の画素で表示領域を構成する背面パネルと、
前記背面パネルの前記表示領域に有する前記電子源から取り出される電子の励起で発光する複数色の蛍光体層とアノード電極を有する前面パネルと、
を具備する自発光平面表示装置であって、
前記ナノチューブが硼素,窒素,炭素のうちの少なくとも二種類の元素から構成される多層ナノチューブからなり、前記硼素及び窒素の含有量が最外層と最内層とにおいて最大であることを特徴とする自発光平面表示装置。 - 第1の方向に延在し、前記第1の方向と交差する第2の方向に並設されて表面にナノチューブからなる電子源を有する多数のカソード電極と、前記第2の方向に延在し、前記第1の方向に並設されて前記カソード電極との交差部における前記電子源から放出される電子の量を制御する電位が印加される多数のゲート電極とを有し、前記カソード電極と前記ゲート電極との交差部に形成される多数の画素で表示領域を構成する背面パネルと、
前記背面パネルの前記表示領域に有する前記電子源から取り出される電子の励起で発光する複数色の蛍光体層とアノード電極を有する前面パネルと、
を具備する自発光平面表示装置であって、
前記ナノチューブが多層ナノチューブからなり、少なくとも最外層が硼素と窒素との二種類の元素から構成されたナノチューブ層であり、それ以外の各ナノチューブ層が硼素,窒素,炭素のうちの少なくとも一種類の元素から構成されたナノチューブ層であることを特徴とする自発光平面表示装置。 - 第1の方向に延在し、前記第1の方向と交差する第2の方向に並設されて表面にナノチューブからなる電子源を有する多数のカソード電極と、前記第2の方向に延在し、前記第1の方向に並設されて前記カソード電極との交差部における前記電子源から放出される電子の量を制御する電位が印加される多数のゲート電極とを有し、前記カソード電極と前記ゲート電極との交差部に形成される多数の画素で表示領域を構成する背面パネルと、
前記背面パネルの前記表示領域に有する前記電子源から取り出される電子の励起で発光する複数色の蛍光体層とアノード電極を有する前面パネルと、
を具備する自発光平面表示装置であって、
前記ナノチューブが多層ナノチューブからなり、少なくとも最外層が硼素,窒素,炭素の三種類の元素から構成されたナノチューブ層であり、それ以外の各ナノチューブ層が硼素,窒素,炭素のうちの少なくとも一種類の元素から構成されたナノチューブ層であることを特徴とする自発光平面表示装置。 - 前記電子源を構成する層がスクリーン印刷法により形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の自発光平面表示装置の製造方法。
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JP2005161583A JP2006339007A (ja) | 2005-06-01 | 2005-06-01 | 自発光平面表示装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2008105278A1 (ja) * | 2007-02-26 | 2008-09-04 | Toray Industries, Inc. | 電子放出源用ペースト及び電子放出素子 |
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2005
- 2005-06-01 JP JP2005161583A patent/JP2006339007A/ja active Pending
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WO2008105278A1 (ja) * | 2007-02-26 | 2008-09-04 | Toray Industries, Inc. | 電子放出源用ペースト及び電子放出素子 |
JP2008243789A (ja) * | 2007-02-26 | 2008-10-09 | Toray Ind Inc | 電子放出源用ペースト及び電子放出素子 |
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