JP3556919B2 - 発光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷陰極を用いた平板型表示装置(フラットパネルディスプレイ)、特にその中でもオーロラビジョン(登録商標)等の大画面の表示装置に用いられる配列型の発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
陰極電子源としては、従来から熱電子を用いた陰極線管(CRT)用の電子源などが有名であるが、近年、フラット・パネル・デイスプレイの開発が盛んに行われるに伴い、ヒータが要らない冷陰極の電子源の開発が進んでいる。とりわけ平面状に配置された電界放出型陰極、即ち冷陰極(ColdCathode)からなる電子源を備えた電界放出型表示装置(FED:Field
Emission Display)は、高輝度および広視野角、高速応答、低消費電力の実現が可能な自発光型表示装置として注目されている。この中でも特に注目されているのが、半導体プロセスを必要とせず印刷やCVD
(Chemical Vapor Deposition)で作成可能なCNT(Carbon Nano−Tube)を用いた電子源であり、学会や研究会で盛んに発表されている。
【0003】
図7は背面パネル上に印刷・焼成により形成された従来例の冷陰極電子源を示す平面図であり、図8は従来例の冷陰極電子源を用いた発光素子を示す模式断面図である。ここでは冷陰極電子源の代表としてCNT陰極電子源を用いて従来の技術の説明をするが、もちろん、炭素系材料を用いた冷陰極電子源であればその種類はCNTに限定されるものではない。また、簡単のため、印刷法で作製したCNT陰極電子源を例に説明するが、CVD法で作製したCNT陰極電子源でも本質的には同じであり、同様に適用できる。
【0004】
図において、1はガラスなどでできた真空容器の前面パネルであり、2は前面パネル1から約10mm程度隔てて対向配置されたガラスなどで出来た真空容器の背面パネルで、その内表面には印刷によりCNT陰極電子源6が四角や丸の所定の形に多数マトリクス状に形成されている。CNT陰極電子源6は、この場合は矩形に印刷され、その厚さは印刷・焼成後10〜20μm程度である。なお、簡略化のため陰極電子源が4×4として図示している。7は複数個のCNT陰極電子源6を連結して冷陰極部列60を構成し、後述の金属ゲート電極とでCNT陰極電子源6をマトリクス駆動するための陰極配線層で、一般にAgペーストの印刷やITO(IndiumTin Oxide)の蒸着膜などにより作製される導電体である。また、この配線層7はCNT陰極電子源6の下地にも配設される。
【0005】
3は前面パネル1の内面に多数マトリクス状に塗布された赤R、緑G、青Bの略正方形の蛍光体で、蛍光面を形成している。4は矩形枠状のガラス製のスペーサで、これら前面パネル1と背面パネル2とスペーサ4とが低融点ガラスにより気密に封止されて真空容器を形成している。蛍光面全体には、発光効率を高めること及び電子加速用の陽極として機能させることを目的としたアルミバックを施している。すなわち前面パネル1内面の蛍光体3は10kV程度の陽極電位に保てるようになっている。5は良く知られた折り曲げ式の金属ゲート電極で、CNT陰極電子源6から約1〜2mm離して冷陰極部列60と交差して複数列設置されており、電圧を印加することによりCNT陰極電子源6から電子を引き出す作用をもっている。8はゲート電極5に開けられた電子を通過させるメッシュ開口部である。
【0006】
ここで示したもの以外にも実際には発光素子の内部を真空に引くための孔や排気管、外部への信号取り出し電極などが背面パネル2の中央部に、また内部ガスを吸着するためのゲッタがスペーサガラス4側面などに設置されているが、本願発明の要旨とは本質的に無関係であるので、簡明のために略している。
【0007】
このように構成された発光素子は、縦横にマトリクス状に所定個ずつ配列され、大画面の表示装置を構成する。ここで、隣接する発光素子間の間隙が大きい場合、画面全体を見たときに、その境界部分(継目、シーム)が目立つという問題がある。従って隣接する発光素子間の間隔はできるだけ小さいことが望ましく、そのために、スペーサガラス4をできるだけ薄くしたり、外部電極(図示せず)や排気管(図示せず)を背面側に設けている。
【0008】
次に、このように構成された個々の発光素子や大画面表示装置の動作について説明する。図8において、CNT陰極電子源6とゲート電極5との間に適当な電圧を印加してゲート電極5のメッシュ開口部8を通してCNT陰極電子源6からエミッション電流を取り出す。一般に、このときのゲート電圧は点灯位置を制御するためパルス電圧が加えられるが、この値は、入手しやすい市販の安い駆動用ICを使うためには200V以下程度が望ましい。このようにしてゲート電極5から取り出されたエミッション電流は、陽極として機能する蛍光体3に印加された約10kV程度の高電圧により加速され、蛍光体を励起して発光させ、個々の発光素子に所定のカラー画像を出す。そしてその結果、全体として大画面表示装置にカラー画像を表示できることになる。また、個々の発光素子においては、エミッション電流が蛍光体3に当ったときに出るガスは、ゲッタ(図示せず)により吸着され、発光素子本体、真空容器の内部を高真空に保つことにより劣化が起こりにくくなるようにしてある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の発光素子の場合、電子源(冷陰極)から放出されるエミッション電流を集束するための電極が設置されていないため、エミッション電流が充分集束しないで、電子ビームがある一定以上小さくならずに、 蛍光面に当たるから、蛍光体ドットの解像度を高く出来ないという問題点があった。
また、特に発光素子の初期点灯時においてのみ、エミッション電流を取り出した電子源(冷陰極)の電子放出能力が劣化するという問題点があった。 また、従来の発光素子の場合、ゲート電極に薄い( 0.1〜0.3mm程度の) 折り曲げ式の金属電極を用いていたので、 低い駆動電圧を得ようとしても、 陰極(冷陰極)とゲート電極間のギャップは0.5〜1.0mm程度にしか短縮できず、その結果ゲート電極5にかける電圧は低くならないという問題点があり、これ以上ギャップを近づけようとしても、 折り曲げ式のゲート電極のため曲がりや反りなどもあり精度が出なかった。
【0010】
本発明の発光素子は、かかる事情に鑑みてなされたもので、冷陰極の周囲に別個に電極を設けて、発光素子の特性を向上させようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる発光素子は、前面パネル及び背面パネルを有する真空容器と、上記前面パネルの内面に形成された蛍光面と、上記背面パネルの内面に形成され、複数個の冷陰極が配線により連結された複数列の冷陰極部列と、上記背面パネルの複数列の冷陰極部列上にそれらと交差し、それらとでマトリクス状に形成される複数列のゲート電極列とを備え、上記冷陰極から放出された電子を上記蛍光面に衝突させることによりこれを発光させ、上記冷陰極から放出された電子からなるエミッション電流を上記冷陰極の周囲に設けた集束電極で集束させるものであって、上記集束電極を、上記冷陰極と同じ背面パネル内面に形成し、上記ゲート電極列を、上記冷陰極部及び上記集束電極との間に空隙部が形成されるように上記冷陰極部及び上記集束電極との対向部毎に凹部を形成するとともに、上記冷陰極及び上記集束電極との対向部に電子引き出し用の開口部を形成した金属円板とし、上記背面パネルに載置したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による発光素子の模式的断面図である。図2は図1における背面パネルに形成された複数列の冷陰極部列と集束電極列を示す正面図である。図3(a)は図1における1個のゲート電極列の詳細構造を示す正面図で、ゲート電極列の上面を示し、同図(b)はそのB−B線断面図、同図(c)はそのC−C線断面図である。図4は図1における背面パネル上にゲート電極列を直置きした状態を示す正面図である。なお、簡略化のため冷陰極部列を4列で図示している。
【0013】
図において、1はガラスなどでできた厚さ2〜4mmの真空容器の前面パネル、2は前面パネルから約5〜30mm、例えば約10mm程度隔てて対向配置された、前面パネルと同様の背面パネルである。背面パネル2の内表面には、図2に示すように、CNTの冷陰極6aと集束電極6bが形成されている。その集束電極6bは冷陰極6aの周囲に、冷陰極6aを両側から挟み込み、冷陰極6aと電気的に絶縁されるように空隙を設けて配置されている。冷陰極6aと集束電極6bは同時に同製作法で同材料で形成されており、それぞれ矩形状に形成された銀系の金属膜又はITO(IndiumTin Oxide)からなる下層の電極とその上層のCNT電子放出物質層からなり、厚さは印刷・焼成後10〜20μm程度である。
【0014】
各冷陰極6aと各集束電極6b上毎にケガキが施されて縦横(図面では縦のみ示す)に切削されたV溝により電子放出物質層が島状に形成されている。7aはマトリクス駆動するための陰極配線層で、Agペーストの印刷やITOの蒸着膜などにより作製される導電体であり、冷陰極6aと集束電極6bの下層電極と同時に形成するとよい。複数個の冷陰極6aが陰極配線層7aで接続されて冷陰極部列60を構成している。図2では4列の冷陰極部列60を示している。
【0015】
7bは接続される集束電極6bに電圧を印加する配線層で、同様にAgペーストの印刷やITOの蒸着膜などにより作製される導電体であり、冷陰極6aと集束電極6bの下層電極と同時に形成するとよい。複数個の集束電極6bが配線層7bで接続されて集束電極列61を構成している。そのため、集束電極列61には、それに接続された集束電極6bに対して共通の端子で、各集束電極6bに電圧を印加でき、共通端子は、例えば、背面パネルの反前面パネル側の中央部に引き出されている。図2では各冷陰極部列60にそれぞれ沿って、冷陰極部列60を取り囲んで集束電極列61が形成されている。
【0016】
このCNTの冷陰極6aと集束電極6bの一製造方法について述べる。背面パネル2上にITOの蒸着膜で所定の矩形状に、冷陰極6aと集束電極6bの下層の電極をそれぞれ形成する。CNTやカーボンナノファイバーなどの炭素系材料をブチルカルビトールなどの適当な溶剤(樹脂としてエチルセルロ―スが入っている)に混ぜてペースト化した後、このペーストを冷陰極6aと集束電極6bの下層の電極上に印刷し、焼成する。その後、CNT等の電子放出物質層に鋭利な金属の先で縦横(垂直と水平)にケガキを施してV溝を切削し、電子放出物質層を島状に形成している。このように電子放出物質層をケガキにより島状に形成すると実用とされる適切なゲート電圧のところで、約1桁以上電子放出特性が改善されている。このように、単なる機械的研磨と異なり、ケガキにより電子源表面の電子放出物質層を短冊状や島状に形成することは、電子放出物質層のエッジ効果(鋭いエッジからは電子が出やすいという効果)や電子放出物質層の表面積拡大効果などがあり、飛躍的な電子放出量の増大、電子放出特性の改善につながっているものと考えられる。詳しくは、同一出願人による出願:特願2001−83166号明細書に記載してある。
【0017】
また、一般に鋭利な金属の先で電子放出物質層にケガキを施すと、その幅は約数10μmになる。ケガキピッチは細かいほど電子放出物質層のエッジや表面積が増加し電子放出量が増大するが、作業性が損なわれので、一般に多用される数mm角程度の大きさのCNT陰極電子源において、ケガキピッチは50μm以上で500μm以下が望ましく、100〜150μmが電子放出量と作業性の両面を考慮して最も望ましい。
【0018】
また、ケガキに代わって、CNT等の電子放出物質層にラビングを施してもよい。ラビングを施したCNT等の電子放出物質層も、ケガキの場合と同様に、実用とされる適切なゲート電圧のところで、約1桁以上電子放出特性が改善され、飛躍的な電子放出量の増大、電子放出特性の改善が見られた。
【0019】
図1で、3は前面パネル1の内面に塗布された赤R、 緑G、 青Bの略正方形の蛍光体で、蛍光面を形成している。4は矩形枠状のガラス製のスペーサで、 前面パネル1と背面パネル2とスペーサ4とが低融点ガラスにて気密に封止されて真空容器を形成している。蛍光面全体には、発光効率を高めると共に電子加速用の陽極として機能させるためにアルミバックを施している。前面パネル1内面の蛍光体3は10kV程度の陽極電位に保てるようになっている。
【0020】
図3,図4で示すように、5aは冷陰極部列60及び集束電極列61毎との間に空隙部が形成されるように凹部、すなわち冷陰極6a及び集束電極6b並びに配線層7a,7bとの対向部に開口部10が形成され、冷陰極6a及び集束電極6bを覆って背面パネル2に直置きされたゲート電極列、8はゲート電極列5aの開口部10に冷陰極6a及び集束電極6bに対向して開けられた電子を通過させるメッシュ開口部である。複数列のゲート電極列5aは複数の冷陰極部列60とでマトリクス状に形成されている。
【0021】
このゲート電極列5aは1枚の薄い四角形の金属平板からエッチングにより不要な部分を除去してその骨格、開口部10の凹部、メッシュ開口部8を作る。開口部10の凹部は、ハーフエッチングで作成し、特に重要なのは、開口部10の空隙の高さ(すなわち凹部の深さ)であり、この空隙の高さがCNT冷陰極6aとのギャップを決める。図3では、その値の一例として、金属板厚が0.1〜0.2mm、開口部10が0.05〜0.1mmの場合を示している。また、このゲート電極列5aは、図2で示すように背面パネル2の上に形成されている冷陰極部列60及び集束電極列61並びに配線層7a,7bの上にこれらとの接触を避けるように図1や図4で示すように直に置かれる。
【0022】
また、このゲート電極列5aは背面パネル2の上に直置きされるが、直置きしたゲート電極列5aとCNT冷陰極6aとのギャップを精度よく狙いどおり出すために、ゲート電極列5aを背面パネル2の所定の位置に置いた後、適当な治具を用いてゲート電極列5aを押さえ、曲げやそりの影響を受けにくくした状態で背面パネル2とゲート電極列5aを低融点ガラスなどで固定している。なお、ゲート電極列5aに背面パネル2と熱膨張率が異なる材料を使えば、発光素子を作る上で欠かせない熱工程で、固定した部分にクラックが入るおそれがあるため、ゲート電極列5aの材料としては、背面パネル2の一般的な材料である光学ガラスやソーダガラスの熱膨張率と同程度の熱膨張率を持つ426合金(42%Ni−6%Cr−52%Fe)や50−50合金(50%Fe−50%Ni)を使っている。
【0023】
ゲート電極列5aは、薄い金属板であるが曲げや反りの影響を受けにくく、CNT冷陰極6a及び集束電極6bとのギャップを0.05〜0.1mmと従来の折り曲げ式ゲート電極5の場合より1桁程度小さくできる。これにより、ゲート電極5aにかける印加電圧も従来の数分の一以下の極めて低い電圧ですむようになる。
曲がりや反りのない高精度なゲート電極列5aを簡便に形成でき、絶縁破壊の心配もなく、冷陰極とゲート電極間のギャップを極く狭くすることができるので、制御用ゲート電圧を低くでき、入手しやすい安い駆動用ICを用いることができる。なお、ゲート電極列の詳細については、同一出願人の出願:特願2001−14049号明細書に記載してある。
【0024】
発光素子は、陽極蛍光体3に約+10kV程度の高電圧を印加し、ゲート電極列5aに約+150〜200Vの電圧を印加し、冷陰極部列60に0Vの電圧を印加しておき、集束電極列61にゲート電極列5aの約半分の+電圧を印加すると、冷陰極6aから発射されるエミッション電流の直径を陽極蛍光体の大きさと一致するように集束させることができる。このとき、集束電極列61の+電位を調整することによりエミッション電流の直径を調整することができる。このようにして、冷陰極6aの周囲に集束電極6bを設けて、冷陰極6aから発射されるエミッション電流の直径を陽極蛍光体の大きさと一致するように集束させることにより、蛍光体ドットの解像度を高くできる。
【0025】
実施の形態2.
図5,図6は、それぞれ図2に対応する他例で、図1における背面パネルに形成された複数列の冷陰極部列と集束電極列を示す正面図である。図5では、集束電極6bが、冷陰極6aを空隙を介在させて取り囲むロの字形状に形成されている。集束電極6bは冷陰極6aの陰極配線層7aと接触しないように、両者間には空隙を介在させている。図6では、集束電極6bがコの字形状で、冷陰極6aを両側から空隙を介在させて挟み込んでいる。集束電極6bは冷陰極6aの陰極配線層7aと接触しないように、両者間には空隙を介在させている。図5,図6の場合は、集束電極6bの表面部(上層の電子放出物質層)に対するケガキ処理又はラビング処理が施されていないが、冷陰極6aから発射されるエミッション電流を集束するために電位だけを与えるだけの場合は、ケガキ処理又はラビング処理はしなくてもよい。しかし、冷陰極6aと集束電極6bを同製作法で形成した方が、効果的である。
【0026】
図5,図6のいずれにおいても、上述と同様に電圧を印加することにより、近接する冷陰極6aから発射されるエミッション電流の直径を陽極蛍光体と一致するように集束させることができる。図5,図6の場合は、図2の場合より、集束電極6bが冷陰極6aを一層均一に取り囲んでいるため、エミッション電流を均一に集束し易い。
【0027】
参考例
図1〜図4の実施の形態1に示す構成において、図2で示す、冷陰極部列60及び集束電極列61の場合は、冷陰極6aと集束電極6bの表面部(上層の電子放出物質層)にケガキ処理又はラビング処理が施されて、両電極とも電子放出特性が改善されている。そのため、集束電極6bを冷陰極6aの単なるエミッション電流の集束用のみでなく、集束電極6bからもエミッション電流を取り出すこともできる。一方、発光素子は、特に初期点灯時において、冷陰極が劣化するという問題があったので、正規の冷陰極6aの代わりに(正規の冷陰極6aを浮かせて絶縁した状態で)、集束電極6bに0Vを印加し、陽極蛍光体3とゲート電極列5aには実施の形態1と同様な電圧を印加して、集束電極6bに冷陰極の役目を果たさせ、エージングを行う初期のみ冷陰極電子源としてエミッション電流を出させることにより、集束電極6bに初期エミッションの劣化を起こさせる。
【0028】
しばらく集束電極6bからエミッションを出し、 エミッションの劣化がおさまった後、 集束電極6bの0Vの印加を解除し、正規の冷陰極6a に0Vを印加してからエミッション電流を取り出せば、集束電極6bのエミッション能力は劣化したままであるが、 正規の冷陰極6a からのエミッション電流は減少せず、 初期のみエミッション電流を取り出した冷陰極電子源の電子放出能力が劣化するという問題を解決できる。すなわち、この集束電極6bに、集束のみでなく意図的にエミッションの劣化を引き起こす犠牲電極(カソード)としての役割も兼ね備えさせることが出来る。電極6bを犠牲電極機能のみに利用することもできるが、集束電極6bを犠牲電極として利用した後、本来の集束電極6bとして、正規の電圧(ゲート電極列の印加電圧の半分程度)を印加して働かせることができる。犠牲電極として利用後、集束電極6bを、集束用として利用するときは、エミッション電流を放出する必要はないので、たとえエミッション劣化を起していても問題はない。
犠牲電極は配線により連結されて犠牲電極列を形成しており、犠牲電極列が冷陰極部列に沿っており、犠牲電極列には、それに接続された犠牲電極に対して共通の端子で、各犠牲電極に電圧を印加できる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の発光素子によれば、集束電極を、冷陰極と同じ背面パネル内面に形成し、ゲート電極列を、冷陰極部及び上記集束電極との間に空隙部が形成されるように上記冷陰極部及び上記集束電極との対向部毎に凹部を形成するとともに、上記冷陰極及び上記集束電極との対向部に電子引き出し用の開口部を形成した金属平板とし、上記背面パネルに載置したので、冷陰極から発射されるエミッション電流の直径を集束させることができ、蛍光体ドットの解像度を高くでき、冷陰極とゲート電極間のギャップを狭くすることができ、制御用ゲート電圧を低くできる。
特に、本発明の発光素子は大画面の表示装置に用いられる発光素子に関し、半導体プロセスを必要とせず印刷やCVDで作成可能な電子源に適用されるものであって、ゲート電極列は、金属平板であるが曲げや反りの影響を受けにくく、冷陰極及び集束電極とのギャップを従来の折り曲げ式ゲート電極(図8)の場合より1桁程度小さくできる。これにより、ゲート電極にかける印加電圧も従来の数分の一以下の極めて低い電圧ですむようになる。曲がりや反りの影響を受けにくい高精度なゲート電極列を簡便に形成でき、絶縁破壊の心配もなく、冷陰極とゲート電極間のギャップを極く狭くすることができるので、制御用ゲート電圧が低い駆動用ICを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による発光素子の模式的断面図である。
【図2】図1における背面パネルに形成された複数列の冷陰極部列と集束電極列を示す正面図である。
【図3】図1における1個のゲート電極列の詳細構造を示す図である。
【図4】図1における背面パネル上にゲート電極列を直置きした状態を示す正面図である。
【図5】背面パネルに形成された複数列の冷陰極部列と集束電極列を示す他例の正面図である。
【図6】背面パネルに形成された複数列の冷陰極部列と集束電極列を示す他例の正面図である。
【図7】背面パネル上に印刷・焼成により形成された従来の冷陰極電子源を示す平面図である。
【図8】従来例の冷陰極電子源を用いた発光素子を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 前面パネル 2 背面パネル
3 蛍光体 4 スペーサ
5 ゲート電極 6 陰極電子源
5a ゲート電極列 6a 冷陰極
6b 集束電極 7a 陰極配線層
7b 配線層 8 メッシュ開口部
10 開口部 60 冷陰極部列
61 集束電極列。
Claims (1)
- 前面パネル及び背面パネルを有する真空容器と、上記前面パネルの内面に形成された蛍光面と、上記背面パネルの内面に形成され、複数個の冷陰極が配線により連結された複数列の冷陰極部列と、上記背面パネルの複数列の冷陰極部列上にそれらと交差し、それらとでマトリクス状に形成される複数列のゲート電極列とを備え、上記冷陰極から放出された電子を上記蛍光面に衝突させることによりこれを発光させ、上記冷陰極から放出された電子からなるエミッション電流を上記冷陰極の周囲に設けた集束電極で集束させるものであって、上記集束電極を、上記冷陰極と同じ背面パネル内面に形成し、上記ゲート電極列を、上記冷陰極部及び上記集束電極との間に空隙部が形成されるように上記冷陰極部及び上記集束電極との対向部毎に凹部を形成するとともに、上記冷陰極及び上記集束電極との対向部に電子引き出し用の開口部を形成した金属平板とし、上記背面パネルに載置した発光素子。
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