JP2006337243A - 接触燃焼式ガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【構成】検知対象ガスを接触により燃焼させる酸化触媒を設けた熱伝導層中にヒータコイルを埋設した検知素子と、酸化触媒を有しない熱伝導層中に同等のヒータコイルを埋設した補償素子と、2個の抵抗素子とによってホイートストンブリッジ回路を構成し、そのホイートストンブリッジ回路に直流電圧を印加し、上記検知素子と補償素子の続点と上記2個の抵抗素子の接続点との間の電圧を検出信号として出力するようにしたガス検知部10を備えた接触燃焼式ガスセンサにおいて、自己診断部20を設けた。その自己診断部20は、初期状態において上記ホイートストンブリッジ回路に印加する直流電圧の電圧値の変化に対する上記検出信号の電圧変化の傾きと、使用状態における上記印加する直流電圧の電圧値の変化に対する上記検出信号の測定値による電圧変化の傾きとを比較して、センサ異常を診断する機能を有する。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、接触燃焼式ガスセンサは長期間に亘って使用するものであるから、検知素子等の劣化や回路の動作不良などが生じる恐れがあり、しかも実際にガス漏れが発生することは滅多にないため、そのような異常が発生していても判らないという問題があった。
しかし、実ガスによる検査を定期的に行うのは手間がかかり、特に家庭用の小規模なシステムに設けられたガスセンサまで検査員が個々に訪問して検査するのは困難である。また、2系統のガスセンサを設けるのはコスト高になり、やはり小規模なシステムなどには採用しにくいという問題があったし、2系統設けても両方とも動作不良なってしまう恐れもないとは云えなかった。
(a)初期状態における上記接続点間に印加する上記直流電圧の電圧値の変化に対する上記検出信号の電圧変化又はその傾きを記憶する初期値記憶手段11、
(b)使用状態において、前記接続点間に印加する前記直流電圧の電圧値の変化に対する前記検出信号の電圧変化を測定する測定手段12、
(c)該測定手段によって測定された前記検出信号の電圧変化からその傾きを算出する傾き演算手段13、
(d)該傾き演算手段によって算出された傾きと、前記初期値記憶手段に記憶されている傾きの初期値又は前記記憶されている検出信号の電圧変化から算出される傾きの初期値とから、傾きの変化率を演算する変化率演算手段14、
(e)該変化率演算手段によって算出された傾きの変化率が基準値を超えたときにセンサ異常と診断する診断手段15、
初期値記憶手段11を、初期状態において上記接続点間に印加する上記直流電圧を定格電圧と該定格電圧より所定比率だけ増加及び減少させた各電圧に切り替えた場合の上記検出信号の各電圧又はその各電圧から算出されるゼロ点の傾きの初期値を記憶する手段とする。
測定手段12を、使用状態において、上記接続点間に印加する上記直流電圧を定格電圧と該定格電圧より上記所定比率だけ増加及び減少させた各電圧に自動的に切り替えて、その各電圧を印加したときの上記検出信号の各電圧を測定する手段とする。
変化率演算手段14を、上記傾き演算手段13によって算出されたゼロ点の傾きと、上記初期値記憶手段11に記憶されているゼロ点の傾きの初期値又は上記記憶されている検出信号の各電圧から演算されるゼロ点の傾きの初期値とから傾きの変化率を演算する手段とする。
あるいは、上記自己診断部20は、設定された時間間隔で周期的にセンサ異常の自己診断動作を開始する機能を有するようにしてもよい。
そして、上記検知対象ガスが水素ガスであれば、燃料電池システムにおける水素ガスの漏れを検知するガスセンサとして極めて有効である。
図2は、この発明による接触燃焼式ガスセンサの一実施例に使用するセンサ本体の構成を示す部分断面図である。
このセンサ本体3は、セラミックや樹脂からなる板状のマウントベース31を貫通する外部接続用の電極ピン32,33に、検知素子2の両端のリード部25を固定している。また、この図には現れていないが、検知素子2に並んで、検知素子2のヒータコイルと同一構成で電気的特性が同じヒータコイルを備えた補償素子が設けられている。この検知素子2と補償素子は、マウントベース31と、ガス透過性を有する金網又は金属粉もしくはセラミック粉の焼結体からなる防爆構造体34によって囲まれている。
ヒータコイル22は、白金線、白金−ロジウム合金等の白金系合金線で線径が10μm〜50μm、より好ましくは20μm〜30μm程度の原線を芯金に巻き付けて一重巻回コイルを作成し、それを再度芯金に巻き付けてビード部24となる部分を二重巻きにしている。このようにするとヒータコイル22の熱伝導層21との接触面積が大きくなると共に抵抗値が高くなるので、高いガス感度が得られる。また、リード部25も一重巻回コイルになっているため、外部からの衝撃を吸収することができ、衝撃に強いセンサとなる。しかし、これに限るものではなく、従来の一般的なヒータコイル、すなわちビード部が一重巻回コイルで、リード部は直線状のものを使用してもよい。
検知対象ガスとしては、例えば、メタンガス、水素ガス、LPガス(液化石油ガス)、プロパンガス、ブタンガス、エチレンガス、一酸化炭素ガス、またはエタノールやアセトン等の有機成分ガスが挙げられる。
ガス検知部10は、センサ本体3の検知素子(D素子)2と補償素子(C素子)4とを直列に接続した第1の直列回路と、第1の抵抗素子51と第2の抵抗素子52とを直列に接続した第2の直列回路とを並列に接続してホイートストンブリッジ回路を構成している。そして、第1の直列回路と第2の直列回路の接続点a−b間に電源5によって直流電圧を印加し、検知素子2と補償素子4との接続点Aと第1の抵抗素子51と第2の抵抗素子52との接続点Bとの間の電圧Vout を検出信号として出力する。
図5に示すガスセンサ1は、接触燃焼式ガスセンサであり、図4に示したガス検知部10及び電源5と、A−D変換回路6及び診断用マイクロコンピュータ7とによって構成されている。
一方、ガス感度の劣化に関しては、ガス検出時における検知素子の通電抵抗値RDの上昇値が初期値に比べて小さくなることによって発生するが、殆どの場合、その劣化原因は同時に検知素子及び補償素子のいずれかあるいは両方に対してその表面積の変化を誘発させている。
そこで、意図的にセンサ本体のガス感度を劣化させたガス検知部に対して、電源電圧を定格値と、定格値の90%および110%の電圧に変化させて順次印加し、清浄な大気中における出力電圧であるゼロ点値を測定してプロットすると、図8〜図11に示すような傾向が得られ、ガス感度の劣化を印加電圧に対するゼロ点の傾きの変化として捉えることができることが判った。
図9から図11に示す実験例では、それぞれゼロ点変動が発生しただけでなく、印加電圧に対するゼロ点の傾きが初期状態における傾きに対して大きく変化している。特に、図11に示す実験例では、HMDSによる劣化処理を2回行った場合には、印加電圧に対するゼロ点の傾きが初期状態における傾きに対して反転している(傾きが逆になっている)。
例えば、図4及び図5に示したガス検知部10に電源5から印加する電圧Vinを、定格電圧に対して100%、70〜90%のいずれか、および110〜130%のいずれかの3種類に切り替えられるようにする。そして、初期状態(工場出荷前)において清浄な大気中で、ガス検知部10にこれらの電圧を順次印加し、その各印加電圧に対する出力電圧Vout (ゼロ点値)を測定して、その各電圧値をA−D変換回路6によって変換したデジタル値、あるいはそれから算出されるゼロ点の傾きの値を、初期値データとしてガスセンサ1の内部メモリ(例えば、診断用マイクロコンピュータ7内のROM)に記憶させておく。
この診断結果をガスセンサ装備機器8に送り、診断結果が「正常」の場合はガスセンサ1は継続使用され、「異常」の場合は機器側で動作を停止するかあるいは異常を知らせる警告を発する。
ここで、「ガス感度の初期値のX%以上に相当」とは、例えば水素4000ppm感度が30mVであるセンサにおいて、15mVのゼロ点変動がX=50%であることを示す。このXの値は、ガスセンサを装備する機器における監視ガス濃度に依存し、ガスセンサ装備機器メーカが設定してセンサメーカに要望する仕様であるが、一般的には25〜50%程度に設定するのが、安全側として扱いやすいと考えられる。このXに相当する診断用電圧値V0(上述の例では15mV)を、センサの製造工程において上記メモリに記憶させておく。
そして、ステップS2で、そのゼロ点Vout(100) がメモリに記憶している診断用電圧値V0の負の値−V0以上か否かを判断し、否であれば異常と診断してステップS11へ進み、異常信号をガスセンサ装備機器8へ出力して処理を終了する。
ここでゼロ点Vout(100) が+V0以下であればステップS4へ進み、電源5に定格の90%の電圧Vin(90) をガス検知部10に印加させて、そのときのガス検知部10の出力電圧をゼロ点Vout(90) として測定してRAMに記憶する。
その後、ステップS6で、ステップ1,4,5で得た各印加電圧に対するゼロ点Vout(90),Vout(100),Vout(110) の測定結果からゼロ点の傾きa1を演算して算出する。これは、前述した初期値の傾きを演算する場合と同様に、印加電圧に対して出力電圧(ゼロ点値)をプロットした一次関数である直線y=ax+bにおけるxの係数「a」に相当する傾き「a1」を、例えば最小自乗法によって計算する。
そして、ステップS8において、測定結果から演算したゼロ点の傾きa1とゼロ点の傾きの初期値a0とから、傾きの変化率YをY=|{(a1−a0)/a0}|×100(%)の演算によって算出する。
4:補償素子 5:電源 6:A−D変換回路
7:診断用マイクロコンピュータ 8:ガスセンサ装備機器
10:ガス検知部 11:初期値記憶手段 12:測定手段
13:傾き演算手段 14:変化率演算手段 15:診断手段
20:自己診断部 21:熱伝導層 22:ヒータコイル
23:酸化触媒層
Claims (6)
- 検知対象ガスを接触により燃焼させる酸化触媒を表面に被覆するか担持する熱伝導層中にヒータコイルを埋設した検知素子と、前記酸化触媒を有しない熱伝導層中に前記ヒータコイルと電気的特性が同じヒータコイルを埋設した補償素子とを直列に接続した第1の直列回路と、第1の抵抗素子と第2の抵抗素子とを直列に接続した第2の直列回路とを並列に接続してホイートストンブリッジ回路を構成し、前記第1の直列回路と前記第2の直列回路の接続点間に直流電圧を印加し、前記検知素子と前記補償素子との接続点と前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子との接続点との間の電圧を検出信号として出力するようにしたガス検知部を備えた接触燃焼式ガスセンサにおいて、
初期状態における前記接続点間に印加する前記直流電圧の電圧値の変化に対する前記検出信号の電圧変化の傾きと、使用状態における前記接続点間に印加する前記直流電圧の電圧値の変化に対する前記検出信号の測定値の電圧変化の傾きとを比較して、センサ異常を診断する自己診断部を設けたことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ。 - 請求項1記載の接触燃焼式ガスセンサにおいて、前記自己診断部が、
初期状態における前記接続点間に印加する前記直流電圧の電圧値の変化に対する前記検出信号の電圧変化又はその傾きを記憶する初期値記憶手段と、
使用状態において、前記接続点間に印加する前記直流電圧の電圧値の変化に対する前記検出信号の電圧変化を測定する測定手段と、
該測定手段によって測定された前記検出信号の電圧変化からその傾きを算出する傾き演算手段と、
該傾き演算手段によって算出された傾きと、前記初期値記憶手段に記憶されている傾きの初期値又は前記記憶されている検出信号の電圧変化から算出される傾きの初期値とから、傾きの変化率を演算する変化率演算手段と、
該変化率演算手段によって算出された傾きの変化率が基準値を超えたときにセンサ異常と診断する診断手段と、
を有することを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ。 - 請求項2記載の接触燃焼式ガスセンサにおいて、
前記初期値記憶手段が、初期状態において前記接続点間に印加する前記直流電圧を定格電圧と該定格電圧より所定比率だけ増加及び減少させた各電圧に切り替えた場合の前記検出信号の各電圧又はその各電圧から算出されるゼロ点の傾きの初期値を記憶する手段であり、
前記測定手段が、使用状態において、前記接続点間に印加する前記直流電圧を定格電圧と該定格電圧より前記所定比率だけ増加及び減少させた各電圧に自動的に切り替えて、その各電圧を印加したときの前記検出信号の各電圧を測定する手段であり、
上記傾き演算手段が、前記測定手段によって測定された各電圧値からゼロ点の傾きを演算する手段であり、
前記変化率演算手段が、前記演算手段によって算出されたゼロ点の傾きと、前記初期値記憶手段に記憶されているゼロ点の傾きの初期値又は前記記憶されている検出信号の各電圧から演算されるゼロ点の傾きの初期値とから傾きの変化率を演算する手段である
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ。 - 前記自己診断部は、当該センサが取り付けられている機器からの指示によって、センサ異常の自己診断動作を開始する機能を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
- 前記自己診断部は、設定された時間間隔で周期的にセンサ異常の自己診断動作を開始する機能を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
- 前記検知対象ガスが水素ガスである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
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