JP2006335878A - 生分解性シート材 - Google Patents
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Abstract
【課題】生分解性を有する樹脂を使用し、剛性を持ちかつ透明性を有し、しかも割れにくく、熱融着による積層加工性に優れたシート材を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂98〜60重量%と脂肪族ポリエステル樹脂2〜40重量%(ただし、ポリ乳酸樹脂+脂肪族ポリエステル樹脂=100重量%)を主成分とする樹脂組成物100重量部中に脂肪酸アミドを0.05〜10重量部含有する樹脂組成物からなる生分解性シート材。
【選択図】なし
【解決手段】ポリ乳酸樹脂98〜60重量%と脂肪族ポリエステル樹脂2〜40重量%(ただし、ポリ乳酸樹脂+脂肪族ポリエステル樹脂=100重量%)を主成分とする樹脂組成物100重量部中に脂肪酸アミドを0.05〜10重量部含有する樹脂組成物からなる生分解性シート材。
【選択図】なし
Description
本発明は、シート材に関するものであり、さらに詳しくは生分解性を有するプラスチックで、熱融着による積層性に優れたシート材に関するものである。
生分解性プラスチックは、環境問題の面から近年注目を浴びてきており、従来の生分解性を有しないプラスチックである、塩化ビニル樹脂(以下「PVC」と略す)やグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下「PETG」と略す)などの代替品としてのニーズが極めて高く、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなど生分解性を有する樹脂を使用した製品の提唱がなされてきている(例えば、特許文献1)。しかしながら、所期の目的に見合う製品に成形するには、種々の困難がある。特に、ポリ乳酸樹脂を使用した場合、剛性を持ちかつ透明性があるという特徴を持つが、非常にもろく割れやすいため実用的に問題がある。
また、ポリブチレンサクシネートを代表とする脂肪族ポリエステル樹脂は、軟質性でかつ不透明ということで用途が限定されてしまうという問題がある。また、これらの生分解性樹脂は、加熱による粘度低下が極端なため、熱融着加工を伴う文具である下敷きや、クレジットカード、IDカードに代表されるプラスチックカードなどを加工する際の加工性に問題がある。これらを解決するため、従来から種々の工夫がなされているものの、未だ解決すべき課題として努力が続けられている。
特開平11−105224号公報
また、ポリブチレンサクシネートを代表とする脂肪族ポリエステル樹脂は、軟質性でかつ不透明ということで用途が限定されてしまうという問題がある。また、これらの生分解性樹脂は、加熱による粘度低下が極端なため、熱融着加工を伴う文具である下敷きや、クレジットカード、IDカードに代表されるプラスチックカードなどを加工する際の加工性に問題がある。これらを解決するため、従来から種々の工夫がなされているものの、未だ解決すべき課題として努力が続けられている。
本発明の目的は、生分解性を有する樹脂を使用し、剛性を持ちかつ透明性を有し、しかも割れにくく、熱融着による積層加工性に優れたシート材を提供することにある。
本発明者らは、ポリ乳酸樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂との混合物をシート化する際、脂肪酸アミドを加えることにより、得られたシート材を熱融着により積層加工する際の加工性が向上し、また得られた積層体が割れにくく、所期の性能を発揮することを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ポリ乳酸樹脂98〜60重量%と脂肪族ポリエステル樹脂2〜40重量%(ただし、ポリ乳酸樹脂+脂肪族ポリエステル樹脂=100重量%)を主成分とする樹脂成分100重量部に対し、脂肪酸アミドを0.05〜10重量部含有する樹脂組成物からなる生分解性シート材に関する。
本発明のシート材は、積層加工時における融着温度を下げることができ、しかも積層加工時の流れを抑え、積層体の強度を出すことができる温度範囲を広くすることができ、下敷きやプラスチックカードなど積層加工を行う用途において、非常に優れたものである。
本発明の生分解性シート材は、ポリ乳酸樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂との混合物を主成分とした樹脂成分中に、脂肪酸アミドを添加してなることを特徴とする。
ここで、主材であるポリ乳酸樹脂は、原料である乳酸が不斉炭素を持つため、L体とD体が存在する。
ポリ乳酸樹脂を得る方法は特に限定されないが、化学合成法や植物原料から合成される方法などが知られている。
乳酸を化学合成法にて合成すると、L体とD体が等量存在するラセミ体として得られるが、トウモロコシなどの植物原料から発酵法により合成することにより選択的にL体が得られる。
現在市販されているポリ乳酸は、植物原料から合成されたL−乳酸を重合したポリ−L−乳酸であるが、乳酸の環状2量体であるラクチドを経由して合成する方法では、ラクチドを合成する段階でD体を含むラクチドを得ることができ、L/D体の比率は反応条件を調整することにより変えることができる。それらを重合することにより、D体を含むランダム共重合体として得られたものが実際に市販されている。
ポリ乳酸樹脂を得る方法は特に限定されないが、化学合成法や植物原料から合成される方法などが知られている。
乳酸を化学合成法にて合成すると、L体とD体が等量存在するラセミ体として得られるが、トウモロコシなどの植物原料から発酵法により合成することにより選択的にL体が得られる。
現在市販されているポリ乳酸は、植物原料から合成されたL−乳酸を重合したポリ−L−乳酸であるが、乳酸の環状2量体であるラクチドを経由して合成する方法では、ラクチドを合成する段階でD体を含むラクチドを得ることができ、L/D体の比率は反応条件を調整することにより変えることができる。それらを重合することにより、D体を含むランダム共重合体として得られたものが実際に市販されている。
ポリ乳酸樹脂は、L体のみの場合融点が180℃、ガラス転移温度が60℃の結晶性ポリマーであるが、D体がランダム共重合されることにより融点は低下し、約12%含むものでは融点が140℃以下となり、ほぼ非晶性ポリマーとなる。
本発明で用いられるポリ乳酸樹脂は、D体がランダム共重合された単体あるいは、D体の含有量の異なるポリ乳酸樹脂を2種類以上ブレンドして使用することができるが、ポリ乳酸樹脂中に含まれるD体の含有量は0.5〜11%である。0.5%未満では、融点が高く加工性が悪くなり、一方11%を超えると、耐熱性に劣り実用的では無い。好ましくは1.0〜10%、さらに好ましくは1.5〜7%である。
本発明で用いられるポリ乳酸樹脂は、D体がランダム共重合された単体あるいは、D体の含有量の異なるポリ乳酸樹脂を2種類以上ブレンドして使用することができるが、ポリ乳酸樹脂中に含まれるD体の含有量は0.5〜11%である。0.5%未満では、融点が高く加工性が悪くなり、一方11%を超えると、耐熱性に劣り実用的では無い。好ましくは1.0〜10%、さらに好ましくは1.5〜7%である。
本発明で用いられる脂肪族ポリエステル樹脂を得る方法は特に限定されないが、ジオールとジカルボン酸から重縮合反応より得られることが知られている。
ここで使用されるジオールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどがあり、ジカルボン酸にはコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸などが挙げられるが、ポリマーの融点や熱安定性の点からコハク酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリブチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートにアジピン酸を共重合したポリブチレンサクシネート・アジペートのようなコハク酸を使用したサクシネート系脂肪族ポリエステルが適している。これらは、ビオノーレ(商品名)として昭和高分子(株)より市販されている。
ここで使用されるジオールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどがあり、ジカルボン酸にはコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸などが挙げられるが、ポリマーの融点や熱安定性の点からコハク酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリブチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートにアジピン酸を共重合したポリブチレンサクシネート・アジペートのようなコハク酸を使用したサクシネート系脂肪族ポリエステルが適している。これらは、ビオノーレ(商品名)として昭和高分子(株)より市販されている。
ポリ乳酸樹脂単体で得られたシート材は、前に述べたように透明性と剛性はあるが、非常に脆いという特徴があり、サクシネート系脂肪族ポリエステル樹脂などの脂肪族ポリエステル樹脂は柔軟性を持っているが、耐熱性と透明性に欠けるという特徴がある。
これらの欠点をそれぞれの樹脂をブレンドし混合物とすることにより補うことが可能となる。
ここで、各樹脂の混合比は、ポリ乳酸樹脂98〜60重量%、好ましくは96〜65重量%に対し、脂肪族ポリエステル樹脂が2〜40重量%、好ましくは4〜35重量%(ただし、ポリ乳酸樹脂+脂肪族ポリエステル樹脂=100重量%)である。
ポリ乳酸樹脂が98重量%を超えると、脂肪族ポリエステル樹脂の持つ柔軟性によるポリ乳酸樹脂の脆さを改善する効果が発揮されず、一方脂肪族ポリエルテル樹脂が40重量%を超えると、ポリ乳酸樹脂が持つ透明性と剛性を著しく阻害する。
これらの欠点をそれぞれの樹脂をブレンドし混合物とすることにより補うことが可能となる。
ここで、各樹脂の混合比は、ポリ乳酸樹脂98〜60重量%、好ましくは96〜65重量%に対し、脂肪族ポリエステル樹脂が2〜40重量%、好ましくは4〜35重量%(ただし、ポリ乳酸樹脂+脂肪族ポリエステル樹脂=100重量%)である。
ポリ乳酸樹脂が98重量%を超えると、脂肪族ポリエステル樹脂の持つ柔軟性によるポリ乳酸樹脂の脆さを改善する効果が発揮されず、一方脂肪族ポリエルテル樹脂が40重量%を超えると、ポリ乳酸樹脂が持つ透明性と剛性を著しく阻害する。
本発明で用いられる脂肪酸アミドの製造方法は特に限定されないが、脂肪酸アンモニウム塩の脱水、油脂の加アンモニア分解による。また、脂肪酸ビスアミドは、脂肪酸アミドとホルムアルデヒドとの縮合反応、脂肪酸とジアミンとの加熱縮合反応によるところが知られている。
脂肪酸アミドとしては、第一アミドや、第二アミドであるN−置換脂肪酸アミドなどが知られている。
第一アミドとして、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミドなどが挙げられる。
第二アミドとして、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N,N'-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'-ジオレイルセバシン酸アミド、N,N'-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N'-ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N'-ジステアリルセバシン酸アミド、N,N'-ジステアリルテレフタル酸アミド、N,N-ジメチルオレイン酸アミド、N-オレイルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-メチロールステアリン酸アミド、N-メチロールベヘン酸アミドなどが挙げられる。これらは、1種類または2種類以上の混合物でもよい。本発明では、脂肪酸アミドのうち、不飽和脂肪酸からなる不飽和脂肪酸アミドであるオレイン酸アミドやエルカ酸アミドが好ましい。
また、本発明では、脂肪酸アミドとして、これらの不飽和脂肪酸アミド単独使用のほか、不飽和脂肪酸アミドと上記ステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸アミドとの併用系であってもよい。なお。脂肪酸アミドとして、飽和脂肪酸アミドの単独使用は、積層加工時の加工温度における低温領域での融着性を得にくいため避けた方が好ましい。
脂肪酸アミドとしては、第一アミドや、第二アミドであるN−置換脂肪酸アミドなどが知られている。
第一アミドとして、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミドなどが挙げられる。
第二アミドとして、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N,N'-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'-ジオレイルセバシン酸アミド、N,N'-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N'-ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N'-ジステアリルセバシン酸アミド、N,N'-ジステアリルテレフタル酸アミド、N,N-ジメチルオレイン酸アミド、N-オレイルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-メチロールステアリン酸アミド、N-メチロールベヘン酸アミドなどが挙げられる。これらは、1種類または2種類以上の混合物でもよい。本発明では、脂肪酸アミドのうち、不飽和脂肪酸からなる不飽和脂肪酸アミドであるオレイン酸アミドやエルカ酸アミドが好ましい。
また、本発明では、脂肪酸アミドとして、これらの不飽和脂肪酸アミド単独使用のほか、不飽和脂肪酸アミドと上記ステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸アミドとの併用系であってもよい。なお。脂肪酸アミドとして、飽和脂肪酸アミドの単独使用は、積層加工時の加工温度における低温領域での融着性を得にくいため避けた方が好ましい。
以上の脂肪酸アミドの使用量は、樹脂成分100重量部に対して0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜8重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。
0.05重量部未満の添加では、本来の効果を発揮できず、一方、10重量部を超える添加ではペレット化やシート化する際、滑性オーバー現象やプレートアウト現象を生じ、加工性に著しく問題が出る。
0.05重量部未満の添加では、本来の効果を発揮できず、一方、10重量部を超える添加ではペレット化やシート化する際、滑性オーバー現象やプレートアウト現象を生じ、加工性に著しく問題が出る。
なお、本発明のシート材作製にあたって、必要に応じて、所要量の酸化防止剤、安定剤、加水分解防止剤、滑剤、加工助剤、酸化チタンやカーボンブラックなどの着色顔料、タルク、マイカなどの無機フィラーなどを添加してもよい。
本発明のシート材に用いられる樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂、脂肪族ポリエステル、脂肪酸アミド、必要に応じてその他の添加剤などをミキサーやタンブラーなどで混合したり、ストランドダイが装着された押出機により押し出してペレット化することにより、容易に製造することができる。この際の溶融混練温度は、通常、100〜280℃、好ましくは120〜260℃である。
本発明のシート材の作製では、シート化する加工機に所要量の混合物(本発明の樹脂組成物)を直接投入する方法や、一度押出機を用いてストランド状に押し出し、ペレット状に裁断されたものを再度加工機に投入しシート化する方法をとってもよい。シート化には既知の加工方法を用いることができ、特に限定されないが、Tダイ押出法、インフレーション押出法、カレンダー法などが挙げられる。いずれの方法においても、製膜後、シート材を急冷することにより結晶化を抑えることが重要である。製膜時の溶融混練温度は、通常、80〜280℃、好ましくは100〜260℃である。また、製膜後1軸あるいは2軸方向にシート材を延伸する延伸法が知られているが、延伸法により得られたシート材は結晶化したものとなってしまう。結晶化したシート材は耐熱温度が上がり、低温での熱融着性に劣るため積層には接着剤が必要となり、熱融着による積層加工には適さない。そのため、無延伸によるシート化と急冷による結晶化の抑制が必要である。ここで、急冷処理としては、温度コントロールされたキャスティングロールなどを用い、得られるシートを0〜80℃、好ましくは10〜60℃で急冷する方法が挙げられる。
本発明で得られたシート材を積層加工する方法には既知の加工方法を用いることができ、特に限定されないが、ホットラミネーション法、熱プレス法、超音波や高周波によるウエルダー法などが挙げられる。目的に応じて、本発明で得られたシート材同士や、PVC、PETGなどからなる熱融着性を持つ熱可塑性樹脂より得られたシート材との多層積層体が考えられるが、いずれの場合も最適な温度、圧力、加熱時間の設定が必要である。特に、クレジットカードやIDカードに代表されるカード類の製造には熱プレス法が主に用いられ、従来の素材であるPVCやPETGからなるカードは150℃以下の温度で、面圧5〜40kg/cm2により加工されるものが主流であり、加工機もそれに合わせて設計されていることが多いため、本発明で得られたシート材をカード類に加工する場合はPVC、PETGとほぼ同一の加工条件で積層できるものが望ましい。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の部は、特に断らない限り重量部である。
実施例1
ポリ乳酸樹脂(以下「PLA」と略す)として、レイシアH−440(D体約5%含有、三井化学株式会社製)、脂肪族ポリエステル樹脂としてビオノーレ#1903(ポリブチレンサクシネート(以下「PBS」と略す)、昭和高分子株式会社製)、脂肪酸アミドとしてエチレンビスラウリン酸アミド(商品名:スリパックスL、日本化成株式会社製)[以下「脂肪酸アミド1」と称す]、を用いた、表1に示す所定量の配合物を、30mm同方向2軸押出機(TEX−30、日本製鋼所社製)を用いシリンダー温度210℃で混練、ペレット化したものをTダイが装着された65mm単軸押出機を用いシリンダー温度220℃で、厚さ300μmのシートを作製した。作製したシート材を下記の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
ポリ乳酸樹脂(以下「PLA」と略す)として、レイシアH−440(D体約5%含有、三井化学株式会社製)、脂肪族ポリエステル樹脂としてビオノーレ#1903(ポリブチレンサクシネート(以下「PBS」と略す)、昭和高分子株式会社製)、脂肪酸アミドとしてエチレンビスラウリン酸アミド(商品名:スリパックスL、日本化成株式会社製)[以下「脂肪酸アミド1」と称す]、を用いた、表1に示す所定量の配合物を、30mm同方向2軸押出機(TEX−30、日本製鋼所社製)を用いシリンダー温度210℃で混練、ペレット化したものをTダイが装着された65mm単軸押出機を用いシリンダー温度220℃で、厚さ300μmのシートを作製した。作製したシート材を下記の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1における脂肪酸アミドをm−キシリレンビスステアリン酸アミド(商品名:スリパックスPXS、日本化成株式会社製)[以下「脂肪酸アミド2」と称す]に変更し、実施例1と同様に、ペレット化し、Tダイ押出機を用いて、厚さ300μmのシートを作製した。作製したシート材を下記の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
実施例1における脂肪酸アミドをm−キシリレンビスステアリン酸アミド(商品名:スリパックスPXS、日本化成株式会社製)[以下「脂肪酸アミド2」と称す]に変更し、実施例1と同様に、ペレット化し、Tダイ押出機を用いて、厚さ300μmのシートを作製した。作製したシート材を下記の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1における脂肪酸アミドをエルカ酸アミド(商品名:ニュートロンS、日本精化株式会社製)[以下「脂肪酸アミド3」と称す]に変更し、実施例1と同様に、ペレット化し、Tダイ押出機を用いて、厚さ300μmのシートを作製した。作製したシート材を下記の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
実施例1における脂肪酸アミドをエルカ酸アミド(商品名:ニュートロンS、日本精化株式会社製)[以下「脂肪酸アミド3」と称す]に変更し、実施例1と同様に、ペレット化し、Tダイ押出機を用いて、厚さ300μmのシートを作製した。作製したシート材を下記の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
比較例1
PLA樹脂とPBS樹脂のみを用いて、実施例1と同様に、ペレット化し、Tダイ押出機を用いて、厚さ300μmのシートを作製した。作製したシート材を下記の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
PLA樹脂とPBS樹脂のみを用いて、実施例1と同様に、ペレット化し、Tダイ押出機を用いて、厚さ300μmのシートを作製した。作製したシート材を下記の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
比較例2
PLA樹脂のみを用いて、Tダイ押出機を用いて、厚さ300μmのシートを作製した。作製したシート材を下記の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
PLA樹脂のみを用いて、Tダイ押出機を用いて、厚さ300μmのシートを作製した。作製したシート材を下記の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
積層加工
蒸気加熱型の熱板を用いた熱プレス装置に上記で得られたシートを2枚重ね、積層後の融着性を確認するために、重なり合う面の一部を市販の油性黒色インキで着色し、金属板の間に挟み込み下記の条件により積層体を作成し、得られた積層体を評価した。
積層加工温度:140,145,150,155,160℃
圧力:面圧15kg/cm2
保持時間:10分
蒸気加熱型の熱板を用いた熱プレス装置に上記で得られたシートを2枚重ね、積層後の融着性を確認するために、重なり合う面の一部を市販の油性黒色インキで着色し、金属板の間に挟み込み下記の条件により積層体を作成し、得られた積層体を評価した。
積層加工温度:140,145,150,155,160℃
圧力:面圧15kg/cm2
保持時間:10分
(積層性)
積層体の黒色インキで着色した部分を先端として10mm巾に切り出し、着色部で剥がれた部分をつかみ2枚のシートを剥がす様に引っ張り、剥がれ具合を目視にて観察した。評価は、次のとおりである。
○:着色部以外で剥がれがなく材破した。
×:着色部以外の所でも剥がれを生じた。
積層体の黒色インキで着色した部分を先端として10mm巾に切り出し、着色部で剥がれた部分をつかみ2枚のシートを剥がす様に引っ張り、剥がれ具合を目視にて観察した。評価は、次のとおりである。
○:着色部以外で剥がれがなく材破した。
×:着色部以外の所でも剥がれを生じた。
(プレス流れ)
積層体において、樹脂のはみ出し具合と着色部での亀裂発生具合を観察した。評価は、次のとおりである。
○:樹脂のはみ出しがほとんど見られず、着色部での亀裂が見られない。
×:樹脂のはみ出しが多く、着色部での亀裂が見られた。
積層体において、樹脂のはみ出し具合と着色部での亀裂発生具合を観察した。評価は、次のとおりである。
○:樹脂のはみ出しがほとんど見られず、着色部での亀裂が見られない。
×:樹脂のはみ出しが多く、着色部での亀裂が見られた。
(折り曲げ強度)
積層体を折り曲げ割れ具合を観察した。評価は次のとおりである。
○:折り曲げた時に割れが発生しない。
×:折り曲げた時に割れが発生した。
積層体を折り曲げ割れ具合を観察した。評価は次のとおりである。
○:折り曲げた時に割れが発生しない。
×:折り曲げた時に割れが発生した。
表1の結果より、実施例1〜3では、脂肪酸アミドを添加することにより、融着しかつプレス流れと折り曲げ強度とを満足する温度条件を見出すことができた。特に実施例3の不飽和脂肪酸アミドである脂肪酸アミド3(エルカ酸アミド)においては、低温領域においても融着性を持ち、プレス加工の適応温度範囲が広くなっていることがわかる。これにより、プレス加工時の実温度に多少のばらつきが出たとしても安定して積層体を得ることができることがわかる。
一方、比較例1では、PBS樹脂をブレンドすることにより強度の改善は見られるが、融着しかつプレス流れと折り曲げ強度とを満足する温度条件を見出すことができない。また、比較例2のPLA樹脂単体でのシート材では、融着する温度が高く、融着したとしてもプレス流れと折り曲げ強度とを満足する温度条件を見出すことができない。
一方、比較例1では、PBS樹脂をブレンドすることにより強度の改善は見られるが、融着しかつプレス流れと折り曲げ強度とを満足する温度条件を見出すことができない。また、比較例2のPLA樹脂単体でのシート材では、融着する温度が高く、融着したとしてもプレス流れと折り曲げ強度とを満足する温度条件を見出すことができない。
本発明のシート材は、積層加工時における融着温度を下げることができ、しかも積層加工時の流れを抑え、積層体の強度を出すことができる温度範囲を広くすることができるので、下敷きやプラスチックカードのほか、プラスチック容器用や照明カバーなどの機能性材料の多積層シートなどの積層加工を行う用途に広く用いることができる。
Claims (6)
- ポリ乳酸樹脂98〜60重量%と脂肪族ポリエステル樹脂2〜40重量%(ただし、ポリ乳酸樹脂+脂肪族ポリエステル樹脂=100重量%)を主成分とする樹脂成分100重量部に対し、脂肪酸アミドを0.05〜10重量部含有する樹脂組成物からなる生分解性シート材。
- ポリ乳酸樹脂がポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸との共重合体か、あるいはそれらの混合物である請求項1記載の生分解性シート材。
- 脂肪族ポリエステル樹脂がポリブチレンサクシネートおよびポリブチレンサクシネート・アジペートの群から選ばれた少なくとも1種のサクシネート系脂肪族ポリエステル樹脂である請求項1記載の生分解性シート材。
- 脂肪酸アミドが不飽和脂肪酸アミド、または不飽和脂肪酸アミドと飽和脂肪酸アミドとの混合物である請求項1記載の生分解性シート材。
- 無延伸法で製造されている請求項1〜4いずれかに記載の生分解性シート材。
- 請求項1〜5いずれかに記載の生分解性シート材を少なくとも1層使用した多積層シート。
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JP (1) | JP2006335878A (ja) |
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2005
- 2005-06-02 JP JP2005162401A patent/JP2006335878A/ja active Pending
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