JP2006335253A - 負荷制御システムおよび負荷制御プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】 負荷電流の制限を必要最小限に抑えて、快適性を維持しながら、重要保安系の負荷を駆動するための電力を確保する。
【解決手段】 バッテリの状態を検知する電源状態検知手段と、重要保安系の負荷の作動を予測する重要負荷予測手段と、前記バッテリの状態が重要保安系の負荷を十分に駆動できない状態で、かつ、重要保安系の負荷の作動を予測する場合に、重要保安系でない負荷への供給電流を制限することにより重要保安系の負荷を駆動するために必要な電力を確保する負荷制御手段とを設けている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車に搭載された負荷の駆動制御を行う負荷制御システムおよび負荷制御プログラムに関するものである。
図4は従来の自動車における電源回路90の構成を示す図である。すなわち、エンジン91が回転しているときに、発電機92によってエンジン91の回転力を電気エネルギーに変換し、各部の負荷93a〜93fに供給すると共に、余剰の電力を用いて二次電池(バッテリ)94の充電を行っていた。ところで、バッテリ94が十分に充電されている状態であれば、自動車内の各種負荷93a〜93fを作動させる上で問題はないが、バッテリ94が十分に充電されていない状態では負荷93a〜93fの動作に十分な電力が得られず、動作不良を起こすことがあった。
一方、近年は自動車を制御する部品を電装負荷とする傾向があり、バッテリ94にかかる負担が大きくなる傾向にある。例えば、自動車の操舵部においても、油圧式のパワーステアリングに代えて電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)とよばれる電動操舵装置が用いられるようになっている。また、電動ブレーキや、いわゆる「プリクラッシュシステム」を含む衝突事故防止システムなどのアシスト機能も、電気的な負荷を増加させるものとなる。
そして、前記EPS、電動ブレーキ、衝突事故防止システムに加えて、エアバックシステムを含む重要保安系の負荷には、瞬間的に大きな電力を要求するものがある。そこで、バッテリ94が大きな電力を供給できるようにするために、十分な容量を有するバッテリ94を用いる必要があった。また、前記負荷93a〜93fを、例えば前記重要保安系の負荷93aと、その他の負荷93b〜93fとに分けて、重要保安系の負荷93aを駆動するための電力を確保するために、その他の負荷93b〜93fに供給する電流に制限を設けることも行われている。
特許文献1には、バッテリの状態を検知するバッテリ状態検知手段と、電気負荷の作動状態を検知する負荷状態検知手段とを備え、大電流が流れる場合の電圧降下を予測して、この電圧が基準値以下になる場合に、重要度の低い負荷への電流を制限することが記載されている。
特開2004−194495号公報
しかしながら、引用文献1のような構成では、負荷の制御が頻繁に行われて、快適性を失うことがあった。すなわち、図4のような電源回路90において、バッテリ94の状態検知のみで負荷への電流を制限しているので、バッテリ94の状態によっては、重要保安系の負荷93aが作動するかどうかにかかわりなく常に負荷93b〜93fへの電流制限がかかる場合がある。
本発明は、上述のような課題を考慮に入れてなされたものであって、負荷電流の制限を必要最小限に抑えて、快適性を維持しながら、重要保安系の負荷を駆動するための電力を確保することができる負荷制御システムおよび負荷制御プログラムを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1に係る負荷制御システムは、バッテリの状態を検知する電源状態検知手段と、重要保安系の負荷の作動を予測する重要負荷予測手段と、前記バッテリの状態が重要保安系の負荷を十分に駆動できない状態で、かつ、重要保安系の負荷の作動を予測する場合に、重要保安系でない負荷への供給電流を制限することにより重要保安系の負荷を駆動するために必要な電力を確保する負荷制御手段とを設けたことを特徴としている。
前記本発明の負荷制御システムでは、バッテリの状態が重要保安系の負荷を十分に駆動できない状態で、かつ、重要保安系の負荷の作動を予測する場合にだけ、重要保安系でない負荷への供給電流を制限するので、重要保安系でない負荷への電流制限制御を必要最小限に抑えることができる。つまり、本発明の負荷制御システムを用いることにより、快適性をできるだけ損なうことなく重要保安系の負荷の駆動に必要な電力を確保することができる。
なお、本明細書における重要保安系の負荷とは、EPS、電動ブレーキ、衝突事故防止システム、エアバックシステムなどの自動車の安全に関わる重要な部分の電気的な負荷を示す語であり、とりわけ、運転者をアシストして動作する各種装置からなる電気負荷を意味している。また、以下の説明においては重要保安系の負荷を駆動するために必要な電流のことを、アシスト量と表現する。
前記負荷制御手段が、自動車の始動からの時間、変速機の状態、車速、カーブまたは交差点までの距離、道幅の状態情報の少なくとも何れか一つを入力し、これらの状態情報のうち何れか一つが条件を満たすときに、重要保安系の負荷の作動を予測するものであってもよい。
前記構成とすると、重要保安系の負荷の作動を前記状態情報を用いて的確に予測することができる。
例えば、自動車の始動からの時間が始動時間閾値未満であるとき、すなわち発進時には、運転者がハンドルやブレーキを操作することが多く、EPSや電動ブレーキの作動を予測できる。同様に、変速機が後退状態であったり、車速が車速閾値未満であったり、カーナビゲーションシステムなどから得られる道幅が道幅閾値未満であるとき、さらに、カーナビゲーションシステムなどから得られる情報を基にカーブまたは交差点までの距離が距離閾値未満であるときには、これをEPSや電動ブレーキや衝突事故防止システムの作動予測に用いることができる。
前記重要保安系の負荷の駆動に必要とされる電力の大きさに応じて負荷の制限レベルを調節する制限レベル調節手段を設けても良い。
この場合、重要保安系でない負荷への電流制限を必要最小限の制限レベルで行うことができる。これによって、快適性を保つことができる。
前記重要保安系の負荷が電動操舵装置(すなわちEPS)であり、前記制限レベル調節手段が、路面状態とタイヤの空気圧とを用いて必要とされる電力の大きさを求めるものであってもよい。
この場合には、EPSによるアシスト量を容易かつ確実に求めることができる。したがって、重要保安系でない負荷に対しては必要十分な電流制限をかけて、EPSの動作に必要な電流のアシスト量を確保することができる。
また、本発明は負荷制御プログラムを提供している。
該負荷制御プログラムは、負荷制御システムの演算処理部によって実行されることにより、重要保安系の負荷を駆動するために必要な電力を確保させる負荷制御プログラムであって、
バッテリの状態を検知し、このバッテリの状態が重要保安系の負荷を十分に駆動できないときに、重要保安系の負荷の作動を予測し、重要保安系の負荷の作動が予測されるときに重要保安系でない負荷への供給電流を制限させることを特徴としている。
前記負荷制御プログラムでは、重要保安系の負荷の作動を予測する場合にだけ、重要保安系でない負荷への供給電流を制限するという高度な制御を容易に行うことができ、それだけ、電流制限制御を必要最小限に抑えることができる。つまり、快適性をできるだけ損なうことなく重要保安系の負荷の駆動に必要な電力を確保することができる。
前記負荷制御プログラムは、自動車の始動からの時間が始動時間閾値未満であること、変速機が後退状態であること、車速が車速閾値未満であること、カーブまたは交差点までの距離が距離閾値未満であること、道幅が道幅閾値未満であることのうち、少なくとも一つ以上が条件を満たすときに、重要保安系の負荷の作動を予測するものとしても良い。
この場合には、EPSなどの重要保安系の負荷が作動しやすい状況を的確に判断して、この負荷の作動予測を行うことができる。
かつ、前記重要保安系の負荷の駆動に必要とされる電力の大きさに応じて負荷の制限レベルを調節する制限レベル調節プログラムを有するもよい。
この場合には、重要保安系でない負荷への電流制限を必要最小限の制限レベルで行って、快適性を保つことができる。
さらに、前記重要保安系の負荷が電動操舵装置(EPS)であり、前記制限レベル調節プログラムが、路面状態とタイヤの空気圧とを用いて必要とされる電力の大きさを求めるものであってもよい。
このように、EPSによるアシスト量を求めることができ、重要保安系でない負荷に対して必要十分な電流制限をかけて、このアシスト量を確保することができる。
上述したように、本発明の負荷制御システムでは、バッテリの状態が重要保安系の負荷を十分に駆動できない状態で、かつ、重要保安系の負荷の作動を予測する場合にだけ、重要保安系でない負荷への供給電流を制限するので、重要保安系でない負荷への電流制限制御を必要最小限に抑えることができる。よって、本発明の負荷制御システムを用いることにより、快適性をできるだけ損なうことなく、重要保安系の負荷の駆動に必要な電力を確保することができる。
また、自動車の始動からの時間、変速機の状態、車速、カーブまたは交差点までの距離、道幅の状態情報を用いて、EPSや電動ブレーキや衝突事故防止システム等の重要保安系の作動予測に用いることができる。
さらに、要保安系の負荷の駆動に必要とされる電力の大きさに応じて負荷の制限レベルを調節する制限レベル調節手段を設けることで、重要保安系でない負荷への電流制限を必要最小限の制限レベルで行うことができる。これによって、快適性を保つことができる。
さらに、重要保安系の負荷が電動操舵装置(EPS)の場合には、路面状態とタイヤの空気圧とを用いて必要とされる電力の大きさを求めることにより、EPSによるアシスト量を容易かつ確実に求めることができる。その結果、重要保安系でない負荷に対しては必要十分な電流制限をかけて、EPSの動作に必要な電流のアシスト量を確保することができる。
また、本発明に係わる負荷制御プログラムでは、重要保安系の負荷の作動を予測する場合にだけ、重要保安系でない負荷への供給電流を制限するという高度な制御を容易に行うことができ、それだけ、電流制限制御を必要最小限に抑えることができる。よって、快適性をできるだけ損なうことなく重要保安系の負荷の駆動に必要な電力を確保することができる。
図1は本発明の第1発明に係る負荷制御システム1の構成を示すブロック図である。図1において、2は自動車のエンジン、3はエンジンスタータ、4はオルタネータなどの発電機、5はバッテリ、6a〜6fは負荷である。7は自動車の車速Vを測定するカーナビゲーションシステムである。また、8a〜8cは電池の状態を検出するための各種センサであり、例えば、電圧計8a,電流計8bおよび温度計8c、9a,9b,9cは外気温、降雨量、タイヤ空気圧などの物理量を検出するセンサである。
前記負荷制御システム1は、前記各種センサ8a〜8cの測定値を用いてバッテリ5の電圧Bvや電流Baなどを測定してバッテリの充電状態(SOC)を検出する電源状態検知手段10と、前記負荷6a〜6fのうち、重要保安系の負荷6aの動作を予測する重要負荷予測手段11と、重要保安系でない負荷6b〜6fにそれぞれ供給する電流Ib〜Ifを制限するための制御信号Sb〜Sfを出力する負荷制御手段12と、路面/タイヤ状態検出手段13とを備えている。
本発明の負荷制御システム1は自動車用のシステムであるから、エンジン2はトラックを含む自動車用のエンジンであるが、これをその他の車両や船舶に応用することはできる。発電機4は一般的にオルタネータであるが、その他の交流または直流発電機が用いられてもよい。
また、本発明の負荷制御システム1を用いる場合は、重要保安系の負荷6aを駆動させるのに必要とする電力が増加しても、バッテリ5の電流容量を変えないようにすることも可能であるが、重要保安系の負荷6aの駆動に必要な電力の増加に伴って、バッテリ5の容量を十分に大きく設定してもよいことはいうまでもない。
前記重要保安系の負荷6aは例えばEPS、電動ブレーキ、衝突事故防止システム、エアバックシステムなどの安全を確保するために重要な役割を果たしている動力系および制動系の電気負荷であり、本実施例では特にEPSを中心として説明するので重要保安系の負荷6aをEPS6aとも表現する。また、負荷6bはエアコンや電熱ヒータなどの冷暖房系の負荷、負荷6cはデフォッガやシートヒータなどの暖気系の負荷、負荷6dはルームランプ、フォグランプ、ヘッドランプなどの灯火系の負荷、負荷6eはオーディオ、カーナビなどのアクセサリ系の負荷、6fはセキュリティ系の負荷である。
前記重要負荷予測手段11は、例えば自動車の始動からの時間Tを計測するタイマーを備えている。また、重要負荷予測手段11はカーナビゲーションシステム7に接続されているので、車速V、カーブまたは交差点までの距離D、道幅W、位置情報Lなどの状態情報をカーナビゲーションシステム7から入力できるように構成されている。
さらに、前記エンジン2に取り付けられた変速機2aの状態(バックギアであるかどうか)を状態信号Gとして入力できるように構成してある。この変速機2aの状態信号Gは変速機2aに取り付けたセンサによって得るように図示しているが、変速レバーやECU内の信号などから得るようにしてもよい。
前記負荷制御手段12は各負荷6b〜6fの電源制御回路と例えばCANの通信線を用いて接続されており、各負荷6b〜6fの電流制限のレベルを調節する制限レベル調節手段12aを有するものである。また、Sb〜Sfは制限レベル調節手段12aから各負荷6b〜6fに送信される電流制限のための制御信号である。
前記路面/タイヤ状態検出手段13は前記温度センサ9aを用いて外気温を得、降雨量センサ9bから降雨量を得ることにより、路面の状態を検知することができる。
また、タイヤ空気圧センサ9cからタイヤの状態を検知する。つまり、路面状態とタイヤの空気圧からタイヤの操舵に必要な摩擦力を推測することができるように構成されている。
また、本実施例において前記電源状態検知手段10、重要負荷予測手段11、負荷制御手段12(前記制限レベル調節手段12a)、路面/タイヤ状態検出手段13はいずれも、ECUを構成する演算処理部によって実行されるプログラムによって構成され、前記電源状態検知手段10と重要負荷予測手段11とが重要負荷予測プログラム15、路面/タイヤ状態検出手段13と制限レベル調節手段12aとが制限レベル調節プログラム16によって実現される。つまり、各プログラム15,16が本発明の負荷制御システム1を構成する負荷制御プログラムPである。
本実施例のように、負荷制御プログラムPをECUによって実行可能なソフトウェアとして、各手段10〜12をプログラム15,16によって構成することにより、ハードウェアの変更をなくして、その製造コストを削減することができる。
図2,3は負荷制御プログラムPを構成する各プログラム15,16の動作を説明する図であり、図2は重要負荷予測プログラム15の動作を説明する図、図3は制限レベル調節プログラム16の動作を説明する図である。
図2において、S1はイグニッションキーをオンにするステップであり、通常は自動車の所有者が操作する。
S2は前記バッテリ5の電圧Bvをバッテリ電圧閾値Bvthと比較してバッテリ5のSOCを判断するステップであり、電圧Bvがバッテリ電圧閾値Bvth以上のときはステップS2に戻ってループ処理を繰り返す。つまり、本実施例においてバッテリ電圧閾値Bvthは、バッテリ5から供給される電力によってEPS6aを十分に駆動できる状態を判断するための指針となるものである。
したがって、このステップS2の動作が前記電源状態検知手段10に対応する部分である。なお、本実施例では省略するがバッテリ5に流れる電流Baやバッテリの温度などの情報も合わせて、バッテリのSOCを求めてこれを閾値と比較するようにしてもよいことはいうまでもない。
いずれにしても、以下のステップS3以降の動作はバッテリ5がEPS6aを駆動するのに十分な電力を有さない場合(SOCが低い場合)において実行される。
S3〜S7にステップは、前記重要負荷予測手段11に対応する部分であり、S3は自動車の始動からの時間Tが始動時間閾値Tthより長いかどうかを判断するステップである。ここで、前記時間Tが始動時間閾値Tth以下のときに、EPS6aの作動を予測して図3のAにジャンプする。つまり、自動車の始動直後にはハンドル操作が行われることが多いので、始動直後から始動時間閾値Tthの間は、EPS6aの動作に備えて重要保安系でない負荷6b〜6fへの電流制限を行う。
S4は変速機2aがバックギア以外の状態であるかどうかを判断するステップであり、変速機2aがバックのときには、EPS6aの作動を予測して図3のAにジャンプする。つまり、運転者がバックギアに変速した状態では、ハンドル操作を行うことが多く、しかも、発電機4からの供給電流は小さいので、バックギアに入った状態では、EPS6aの動作に備えて重要保安系でない負荷6b〜6fへの電流制限を行う。
S5は車速Vが車速閾値Vth以下であるかどうかを判断するステップであり、車速Vが車速閾値Vth以上であるときには、EPS6aの作動を予測して図3のAにジャンプする。つまり、車速Vが車速閾値Vthを超える状態では、ハンドル操作を重たくするためにEPS6aに制動をかけるので、このEPS6aの動作に備えて重要保安系でない負荷6b〜6fへの電流制限を行う。この車速閾値VthはECUがハンドル操作を重たくする制御をかける最低速度より少し低い速度に設定することが望ましい。
なお、車速Vが別の車速閾値Vth’未満であるときにも、EPS6aの作動を予測して図3のAにジャンプするようにしてもよい。つまり、車速Vが所定の車速閾値Vth’以下である状態では、運転者が曲がるために減速している状態であるかもしれないので、このときのEPS6aの動作に備えて重要保安系でない負荷6b〜6fへの電流制限を行うようにしてもよい。
S6はカーブや交差点までの距離Dが距離閾値Dthを超えるかどうかを判断するステップであり、この距離Dが距離閾値Dth以下であるときには、EPS6aの作動を予測して図3のAにジャンプする。つまり、カーブや曲がり角では当然ながら運転者がハンドル操作を行うので、このときEPS6aの動作に備えて重要保安系でない負荷6b〜6fへの電流制限を行う。なお、前記距離Dはナビゲーションシステム7が道案内をしている状態では、このナビゲーションシステム7から容易に得ることができる。
S7は道幅Wが道幅閾値Wthを超えるかどうかを判断するステップであり、この距離Dが距離閾値Dth以下であるときには、EPS6aの作動を予測して図3のAにジャンプする。つまり、道幅Wが狭いとき運転者が頻繁にハンドル操作を行うので、このときEPS6aの動作に備えて重要保安系でない負荷6b〜6fへの電流制限を行う。
前記ステップS3〜S7のいずれにもおいても図3のAにジャンプしなかった場合は、EPS6aの作動を予測しないので、その他の負荷6b〜6fに対する電流制限をすることなく、ステップS2に戻って(Bにジャンプして)ループ処理を繰り返す。
以上のように前記各ステップS3〜S7では、始動からの時間、変速機の状態、車速、カーブまたは交差点までの距離、道幅を示す状態情報T,G,V,D,Wを用いて、これらの状態情報T,G,V,D,Wのうち何れか一つが条件を満たすときに、EPS6aの作動を予測することにより、EPS6aが動作する前にその動作を予測することができる。つまり、前記ステップS3〜S7のプログラムが重要負荷予測手段11となる。しかしながら、本発明の負荷制御システム1では前記状態信号T,G,V,D,Wの全てではなく一部を用いて、重要保安系の負荷の駆動を予測してもよい。
次に、図3に示す制限レベル調節プログラム16の動作を説明する。図3において、S10は前記降雨量センサ9aから得られた降雨量の情報を用いて天候が晴れであるか雨であるかを判断するステップである。
S11は前記ステップS10において晴れであると判断されたときに実行されるステップであり、前記温度センサ9bから得られる外気温が0℃以下であるかどうかを判断するステップである。
S12は前記ステップS11において外気温が0℃以下でないと判断された場合に実行されるステップであり、前記タイヤの空気圧センサ9cから得られるタイヤの空気圧が空気圧閾値より小さいかどうかを判断するステップである。
一方、S13は前記ステップS10において雨であると判断されたときに実行されるステップであり、前記タイヤの空気圧センサ9cから得られるタイヤの空気圧が空気圧閾値より小さいかどうかを判断するステップである。
そして、本実施例の場合、前記ステップS12,S13の判断に基づいて、負荷制限レベルは3段階に分けられる。
S14は前記ステップS12においてタイヤ空気圧が空気圧閾値より小さいと判断した場合に実行されるステップであり、このとき、路面状態は乾燥しているので路面とタイヤとの摩擦抵抗が大きく、かつ、タイヤの空気圧が低いので接地面積も大きくなり、さらに摩擦抵抗が大きくなるので、EPSによるアシスト量が大きくなると予測され、最も制限の多い負荷制限レベル1の負荷制御をかけるように各負荷6b〜6fを制御するステップであり、重要保安系でない多くの負荷6b〜6fへの電流制限をかける状態になるように制御信号Sb〜Sfを出力する。
S15は前記ステップS13においてタイヤ空気圧が空気圧閾値以上であると判断した場合に実行されるステップであり、このとき、路面状態は濡れているか凍結しているなどして路面とタイヤとの摩擦抵抗が小さく、かつ、タイヤの空気圧が高いので接地面積も小さくなり、さらに摩擦抵抗が小さくなるので、EPSによるアシスト量が小さくなると予想され、最も制限の少ない負荷制限レベル3の負荷制御をかけるように各負荷6b〜6fを制御するステップであり、重要保安系でない負荷6b〜6fのうち必要最小限の負荷への電流制限をかける状態になるように制御信号Sb〜Sfを出力する。
そして、S16は前記ステップS12においてタイヤ空気圧が空気圧閾値以上であると判断した場合または前記ステップS13においてタイヤ空気圧が空気圧閾値より小さいと判断した場合に実行されるステップであり、このとき、路面状態は高い摩擦抵抗を有していてもタイヤの空気圧が高いか、タイヤの空気圧が低くても路面状態は摩擦抵抗が低い状態樽ので、前記負荷制限レベル1と負荷制限レベル3の間の負荷制限レベル2の負荷制御をかけるように各負荷6b〜6fを制御するように、制御信号Sb〜Sfを出力するステップである。
前記ステップS14〜S16の処理が終了すると、図2のBにジャンプする。したがって、前記ステップS10〜S13の処理は前記路面/タイヤ状態検出手段13に対応するものでありステップS14〜S16の処理は前記制限レベル調節手段12に対応するものである。
なお、本実施例では負荷制限レベルの設定を3段階に分けることにより、処理を簡単な比較だけで行えるようにして、簡素化を図っているが、本発明はこの点に限定されるものではない。すなわち、負荷制限を、カーブの大きさや位置情報、降雨量、外気温、タイヤ空気圧、車速などの種々の物理量の関数によって表して、任意の電流制限を掛けるように、前記制御信号Sb〜Sfを出力するようにしてもよい。
さらに、上述の実施例では、比較的容易に理解できるEPSを重要保安系の負荷の例として挙げて説明しているが、本発明は重要保安系の負荷がEPSであることに限定されるものではない。すなわち、例えば、重要保安系の負荷が電動ブレーキ、衝突事故防止システムの場合には、衝突が不可避であることを検出するための物理量(例えば前の車との車間距離)を測定するセンサの出力が、衝突不可避のレベルの値になる一歩手前に適宜の閾値を設けて重要保安系の負荷の作動を予測することも可能である。
本発明の一実施例に係る負荷制御システムの構成を示すブロック図である。 前記実施例に係る負荷制御プログラムの動作を説明する図である。 前記負荷制御プログラムの動作を説明する別の図である。 従来の電源回路の構成を示す図である。
符号の説明
1 負荷制御システム
5 バッテリ
6a 重要保安系の負荷(EPS)
6b〜6f 重要保安系でない負荷
10 電源状態検知手段
11 重要負荷予測手段
12 負荷制御手段
12a 制限レベル調節手段
15 重要負荷予測プログラム
16 制限レベル調節プログラム
P 負荷制御プログラム
T 自動車の始動からの時間
G 変速機の状態
V 車速
D カーブまたは交差点までの距離
W 道幅

Claims (8)

  1. バッテリの状態を検知する電源状態検知手段と、
    重要保安系の負荷の作動を予測する重要負荷予測手段と、
    前記バッテリの状態が重要保安系の負荷を十分に駆動できない状態で、かつ、重要保安系の負荷の作動を予測する場合に、重要保安系でない負荷への供給電流を制限することにより重要保安系の負荷を駆動するために必要な電力を確保する負荷制御手段と
    を設けたことを特徴とする負荷制御システム。
  2. 前記負荷制御手段が、自動車の始動からの時間、変速機の状態、車速、カーブまたは交差点までの距離、道幅の状態情報の少なくとも何れか一つを入力し、これらの状態情報のうち何れか一つが条件を満たすときに、重要保安系の負荷の作動を予測するものである請求項1に記載の負荷制御システム。
  3. 前記重要保安系の負荷の駆動に必要とされる電力の大きさに応じて負荷の制限レベルを調節する制限レベル調節手段を設けた請求項1または請求項2に記載の負荷制御システム。
  4. 前記重要保安系の負荷が電動操舵装置であり、前記制限レベル調節手段が、路面状態とタイヤの空気圧とを用いて必要とされる電力の大きさを求めるものである請求項3に記載の負荷制御システム。
  5. 負荷制御システムの演算処理部によって実行されることにより、重要保安系の負荷を駆動するために必要な電力を確保させる負荷制御プログラムであって、
    バッテリの状態を検知し、このバッテリの状態が重要保安系の負荷を十分に駆動できないときに、重要保安系の負荷の作動を予測し、重要保安系の負荷の作動が予測されるときに重要保安系でない負荷への供給電流を制限させることを特徴とする負荷制御プログラム。
  6. 自動車の始動からの時間が始動時間閾値未満であること、変速機が後退状態であること、車速が車速閾値未満であること、カーブまたは交差点までの距離が距離閾値未満であること、道幅が道幅閾値未満であることのうち、少なくとも一つ以上が条件を満たすときに、重要保安系の負荷の作動を予測するものである請求項5に記載の負荷制御プログラム。
  7. 前記重要保安系の負荷の駆動に必要とされる電力の大きさに応じて負荷の制限レベルを調節する制限レベル調節プログラムを有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の負荷制御プログラム。
  8. 前記重要保安系の負荷が電動操舵装置であり、前記制限レベル調節プログラムが、路面状態とタイヤの空気圧とを用いて必要とされる電力の大きさを求めるものである請求項7に記載の負荷制御プログラム。
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