上記した従来構成によると、I型鋼(H型鋼)として、たとえば、フランジ板厚が22mm、ウエブ部板厚が12mm、フランジ幅が250mm、両フランジの外面間の高さが600mmのものを採用したとき、[フランジ板厚>ウエブ部板厚]の構成により、すなわちウエブ部の板厚を薄く形成したことにより、使用材料の重量を軽くしながらも、所定(規格)の強度などを確保できる。そしてI型鋼(H型鋼)は、圧延により製造されている。
しかし、上記した従来構成によると、曲げモーメント値を上げたり、横揺れを少なくするために強度などを向上させようとしたとき、ウエブ部の板厚を厚くするなどしなければならず、使用材料の重量が重くなることになる。
そこで本発明の請求項1記載の発明は、使用材料の重量を重くすることなく、曲げモーメント値を上げた梁材を能率良く得られる梁材の製造方法を提供することを目的としたものである。
また請求項7記載の発明は、全体を簡素に構成し得る梁材の製造設備を提供することを目的としたものである。
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の梁材の製造方法は、所定温度、またはその近辺にまで全体加熱されている鋼板は、幅方向において所定部分が薄肉鋼板部で残部が厚肉鋼板部として形成されており、この鋼板を長さ方向に搬送しながらロール式成形手段により、薄肉鋼板部と厚肉鋼板部とがコーナ部を介して直角状に位置する型状鋼板に熱間成形し、1対の型状鋼板を、その鋼板部の遊端を相対向させた状態で溶接結合して四角形状鋼管に形成したことを特徴としたものである。
したがって請求項1の発明によると、加熱した鋼板を長さ方向に搬送しながらロール式成形手段により熱間成形することで、鋼板から型状鋼板への成形を流れ作業的に行え、そして1対の型状鋼板間を溶接結合することで、四角形状鋼管に形成した梁材を製造し得る。この梁材は、四角形状鋼管に形成しながらも、左右の薄肉鋼板部により、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用材料の重量を重くすることなく形成し得る。しかも梁材は、コーナ部を熱間成形して四角形状鋼管に形成したことで、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて曲げモーメント値を上げ得る。
また本発明の請求項2記載の梁材の製造方法は、上記した請求項1記載の構成において、鋼板は、幅方向において中央部分が薄肉鋼板部で両側部分が短尺の厚肉鋼板部として形成されており、この鋼板を長さ方向に搬送しながらロール式成形手段により、薄肉鋼板部と短尺の両厚肉鋼板部とがそれぞれコーナ部を介して直角状に位置するU字型状鋼板に熱間成形し、1対のU字型状鋼板を、その厚肉鋼板部の遊端を相対向させた状態で溶接結合して四角形状鋼管に形成したことを特徴としたものである。
したがって請求項2の発明によると、加熱した鋼板を長さ方向に搬送しながらロール式成形手段により熱間成形することで、鋼板からU字型状鋼板への成形を流れ作業的に行え、そして1対のU字型状鋼板における厚肉鋼板部の遊端間を溶接結合することで、四角形状鋼管に形成した梁材を製造し得る。この梁材は、四角形状鋼管に形成しながらも、左右の薄肉鋼板部により、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用材料の重量を重くすることなく形成し得る。しかも梁材は、4箇所のコーナ部を熱間成形して四角形状鋼管に形成したことで、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて曲げモーメント値を上げ得る。
そして本発明の請求項3記載の梁材の製造方法は、上記した請求項1記載の構成において、鋼板は、幅方向において両側部分が短尺の薄肉鋼板部で中央部分が厚肉鋼板部として形成されており、この鋼板を長さ方向に搬送しながらロール式成形手段により、短尺の両薄肉鋼板部と厚肉鋼板部とがそれぞれコーナ部を介して直角状に位置するU字型状鋼板に熱間成形し、1対のU字型状鋼板を、短尺の薄肉鋼板部の遊端を相対向させた状態で溶接結合して四角形状鋼管に形成したことを特徴としたものである。
したがって請求項3の発明によると、加熱した鋼板を長さ方向に搬送しながらロール式成形手段により熱間成形することで、鋼板からU字型状鋼板への成形を流れ作業的に行え、そして1対のU字型状鋼板における薄肉鋼板部の遊端間を溶接結合することで、四角形状鋼管に形成した梁材を製造し得る。この梁材は、四角形状鋼管に形成しながらも、左右の薄肉鋼板部により、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用材料の重量を重くすることなく形成し得る。しかも梁材は、4箇所のコーナ部を熱間成形して四角形状鋼管に形成したことで、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて曲げモーメント値を上げ得る。
さらに本発明の請求項4記載の梁材の製造方法は、上記した請求項1記載の構成において、鋼板は、幅方向において一側部分が薄肉鋼板部で他側部分が厚肉鋼板部として形成されており、この鋼板を長さ方向に搬送しながらロール式成形手段により、薄肉鋼板部と厚肉鋼板部とがコーナ部を介して直角状に位置するL字型状鋼板に熱間成形し、1対のL字型状鋼板を、その薄肉鋼板部の遊端と厚肉鋼板部の遊端とを相対向させた状態で溶接結合して四角形状鋼管に形成したことを特徴としたものである。
したがって請求項4の発明によると、加熱した鋼板を長さ方向に搬送しながらロール式成形手段により熱間成形することで、鋼板からL字型状鋼板への成形を流れ作業的に行え、そして1対のL字型状鋼板間を溶接結合することで、四角形状鋼管に形成した梁材を製造し得る。この梁材は、四角形状鋼管に形成しながらも、左右の薄肉鋼板部により、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用材料の重量を重くすることなく形成し得る。しかも梁材は、2箇所のコーナ部を熱間成形して四角形状鋼管に形成したことで、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて曲げモーメント値を上げ得る。
しかも本発明の請求項5記載の梁材の製造方法は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成において、ロール式成形手段は複数段であり、最終段のロール式成形手段は、一方の鋼板部を当てロールと受けロールとにより上下から挟持し、他方の鋼板部の遊端に押しロールを上方から当接させて押し下げ力を作用させるとともに、他方の鋼板部の外面に規制ロールを当接させた状態で熱間成形することを特徴としたものである。
したがって請求項5の発明によると、当てロールと受けロールとにより一方の鋼板部を上下から挟持した状態で、規制ロールにより外面を規制した他方の鋼板部に対して、押しロールにより押し下げ力を作用させることによって、型状鋼板の熱間成形を安定して行える。
また本発明の請求項6記載の梁材の製造方法は、上記した請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成において、両薄肉鋼板部の板厚の加算値に対して、厚肉鋼板部の板厚が等厚状もしくは厚く形成され、両薄肉鋼板部の外面間の幅外寸よりも、両厚肉鋼板部の外面間の高さ外寸が長く形成されていることを特徴としたものである。
したがって請求項6の発明によると、上下方向で長い長方形状の四角形状鋼管に形成し得ることで、曲げモーメント値をより一層上げた梁材を製造し得る。
そして本発明の請求項7記載の梁材の製造設備は、幅方向において所定部分が薄肉鋼板部で残部が厚肉鋼板部として形成された鋼板を、所定温度、またはその近辺にまで全体加熱して取り出す加熱手段と、この鋼板を長さ方向に搬送しながら段階的に熱間成形して、最終的に薄肉鋼板部と厚肉鋼板部とがコーナ部を介して直角状に位置した型状鋼板に熱間成形する複数段のロール式成形手段からなる熱間成形部と、1対の型状鋼板を、その鋼板部の遊端を相対向させた状態で溶接結合する溶接手段とからなることを特徴としたものである。
したがって請求項7の発明によると、請求項1〜6の梁材の製造方法を容易に実現し得る梁材の製造設備を、全体を簡素に構成して提供し得る。
上記した本発明の請求項1によると、加熱した鋼板を長さ方向に搬送しながらロール式成形手段により熱間成形することで、鋼板から型状鋼板への成形を流れ作業的に行うことができ、そして1対の型状鋼板間を溶接結合することで、四角形状鋼管に形成した梁材を能率良く安価に製造することができる。この梁材は、四角形状鋼管に形成しながらも、左右の薄肉鋼板部により、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく形成できる。しかも梁材は、コーナ部を熱間成形して四角形状鋼管に形成したことで、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて曲げモーメント値を上げることができ、以て所定(規格)の強度などを十分に確保できる。
また上記した本発明の請求項2によると、加熱した鋼板を長さ方向に搬送しながらロール式成形手段により熱間成形することで、鋼板からU字型状鋼板への成形を流れ作業的に行うことができ、そして1対のU字型状鋼板における厚肉鋼板部の遊端間を溶接結合することで、四角形状鋼管に形成した梁材を製造することができる。この梁材は、四角形状鋼管に形成しながらも、左右の薄肉鋼板部により、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく形成できる。しかも梁材は、4箇所のコーナ部を熱間成形して四角形状鋼管に形成したことで、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて曲げモーメント値を上げることができ、以て所定(規格)の強度などを十分に確保できる。
そして上記した本発明の請求項3によると、加熱した鋼板を長さ方向に搬送しながらロール式成形手段により熱間成形することで、鋼板からU字型状鋼板への成形を流れ作業的に行うことができ、そして1対のU字型状鋼板における薄肉鋼板部の遊端間を溶接結合することで、四角形状鋼管に形成した梁材を製造することができる。この梁材は、四角形状鋼管に形成しながらも、左右の薄肉鋼板部により、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく形成できる。しかも梁材は、4箇所のコーナ部を熱間成形して四角形状鋼管に形成したことで、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて曲げモーメント値を上げることができ、以て所定(規格)の強度などを十分に確保できる。
さらに上記した本発明の請求項4によると、加熱した鋼板を長さ方向に搬送しながらロール式成形手段により熱間成形することで、鋼板からL字型状鋼板への成形を流れ作業的に行うことができ、そして1対のL字型状鋼板間を溶接結合することで、四角形状鋼管に形成した梁材を製造することができる。この梁材は、四角形状鋼管に形成しながらも、左右の薄肉鋼板部により、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく形成できる。しかも梁材は、2箇所のコーナ部を熱間成形して四角形状鋼管に形成したことで、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて曲げモーメント値を上げることができ、以て所定(規格)の強度などを十分に確保できる。
しかも上記した本発明の請求項5によると、当てロールと受けロールとにより一方の鋼板部を上下から挟持した状態で、規制ロールにより外面を規制した他方の鋼板部に対して、押しロールにより押し下げ力を作用させることによって、型状鋼板の熱間成形を安定して精度よく行うことができる。
また上記した本発明の請求項6によると、上下方向で長い長方形状の四角形状鋼管に形成できることで、曲げモーメント値をより一層上げた梁材を製造できる。
そして上記した本発明の請求項7によると、請求項1〜6の梁材の製造方法を容易に実現できる梁材の製造設備を、全体を簡素に構成して提供できる。
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を、図1〜図8に基づいて説明する。
図1に示すように、鋼板1は、所定幅1Vでかつ所定長さLとされている。ここで鋼板1は、幅方向において中央部分(所定部分)が薄肉鋼板部2で両側部分が短尺の厚肉鋼板部3Aとして形成されている。その際に、両薄肉鋼板部2の板厚tの加算値2tに対して、厚肉鋼板部3Aの板厚Tが等厚状[2t≒T]もしくは厚く[2t<T]形成されている。また所定幅1Vは、所定形状の梁材を得るに相当する長さ、すなわち、薄肉鋼板部2の幅1V1に対して厚肉鋼板部3Aの幅1V2は短く(詳細は後述する。)設定されている。
図2に示すように、前記鋼板1を長さ方向に搬送する搬送経路10中には、上手から下手へと順に、トリミング開先加工機15と、加熱手段16と、熱間成形部20と、放冷部38と、溶接手段39とが設けられている。そして熱間成形部20には、3段(複数段)のロール式成形手段21,26,31が配設されている。
前記鋼板1を搬送経路10上で長さ方向に搬送しながら、すなわち図3の(a)に示すように、ローラコンベア11により支持しかつ左右の幅決めロール12群により幅決めをして搬送経路10上で搬送しながら、まずトリミング開先加工機15に通して、幅方向における両側縁、すなわち短尺の厚肉鋼板部3Aの外側縁に開先4を加工する。次いで鋼板1を、たとえば加熱炉に入れての燃焼加熱方式からなる加熱手段16に通して、所定温度の一例であるA3変態点(たとえば850〜1050℃)、またはその近辺(前後)にまで全体加熱する。そして加熱した鋼板1を長さ方向に搬送しながら熱間成形部20に通し、ロール式成形手段21,26,31群により熱間成形する。
すなわち図3(b)に示すように、最始段(1段目)のロール式成形手段21においては、下位の直状の受けロール22と上位の直状の押しロール23とにより薄肉鋼板部2を上下から挟持するとともに、左右一対の直状の規制ロール24により短尺の両厚肉鋼板部3Aを下側から受け止め規制して熱間成形する。ここで、最始段のロール式成形手段21において規制ロール24は、搬送経路10の方向で複数配設され、その上手側の水平状態から下手側へと次第に傾斜角度を鋭角に変化させることで熱間成形するものであり、図3(b)は出口部分が示されている。
次いで2段目のロール式成形手段26においては、図4(a)に示すように、下位の直状の受けロール27と上位の直状の押しロール28とにより薄肉鋼板部2を上下から挟持するとともに、左右一対の直状の規制ロール29により短尺の両厚肉鋼板部3Aを下側から受け止め規制して熱間成形する。この2段目のロール式成形手段26においても最始段のロール式成形手段21と同様に、規制ロール29は搬送経路10の方向で複数配設され、その上手側から下手側へと次第に傾斜角度を鋭角に変化させることで熱間成形するものであり、図4(a)は出口部分が示されている。
そして図4(b)に示すように、最終段(3段目)のロール式成形手段31において、幅方向の中央部に薄肉鋼板部2が位置し、かつ薄肉鋼板部2の両端にコーナ部5を介して短尺の厚肉鋼板部3Aが直角状に位置するU字型状鋼板(型状鋼板の一例)6として熱間成形する。その際に最終段のロール式成形手段31においては、下位の直状の受けロール32と中間位の直状の当てロール33とにより薄肉鋼板部2を上下から挟持するとともに、上位の左右一対で直状の押しロール34を両厚肉鋼板部3Aの遊端に上方から当接させて押し下げ力Pを作用させ、さらに両厚肉鋼板部3Aの外面に上下方向向きで直状の規制ロール35を当接させた状態で熱間成形している。すなわち、受けロール32と当てロール33とにより薄肉鋼板部2を上下から挟持した状態で、規制ロール35により外面を規制した短尺の厚肉鋼板部3Aに対して、押しロール34により押し下げ力Pを作用させることで、U字型状鋼板6の熱間成形を安定して精度よく行える。
以上のように、加熱されて熱間成形部20に搬入された鋼板1は、ロール式成形手段21,26,31群によって折り曲げ状に熱間成形され、このとき熱間成形は、複数段のロール式成形手段21,26,31によって徐々(段階的)に曲げ状に行われる。すなわち、鋼板1を長さ方向に搬送しながら複数段のロール式成形手段21,26,31により熱間成形することで、鋼板1からU字型状鋼板6への熱間成形を流れ作業的に行えることになる。
このようにして熱間成形されたU字型状鋼板6は、図2に示すように、放冷部(冷却床)38に受け取られる。この放冷部38は、たとえばローラコンベヤ形式であって、U字型状鋼板6を搬送しながら放冷し、以て常温状(大気温度、若しくは大気温度よりも少し高い温度)とする。これによりU字型状鋼板6は、同じ雰囲気温度下で徐冷されることになり、以て冷却時の曲がりを少なくし得る。なお搬送中に、U字型状鋼板6を空冷形式で徐冷してもよい。
図5に示すように熱間成形されたU字型状鋼板6は、開先4に対してブラッシングなどを行ってミルスケールの除去などを行う。そして常温状とした1対のU字型状鋼板6を、短尺の厚肉鋼板部3Aの遊端を相対向させた状態で溶接手段39に搬入し、開先4を利用して溶接結合7することで、図6に示すように四角形状鋼管に形成され、以て製品としての梁材8を製造し得る。なお製作された梁材8は、必要に応じて、図示していない矯正装置、先端切断装置、後端切断装置、洗浄装置、防錆装置へと搬送され、それぞれで処理されたのち、製品としてストレージされる。
すなわち梁材8は、4箇所のコーナ部5を熱間成形により直角状(外面R状の曲率半径)に曲げ成形して、上下一対の厚肉鋼板部(フランジ部に相当)3と、左右一対の薄肉鋼板部(ウエブ部に相当)2とからなる四角形状鋼管に形成される。その際に梁材8は、前述したように両薄肉鋼板部2の板厚tの加算値2tに対して、厚肉鋼板部3の板厚Tが等厚状[2t≒T]もしくは厚く[2t<T]形成されている。そして梁材8は、両薄肉鋼板部2の外面間の幅外寸Wよりも、両厚肉鋼板部3の外面間の高さ外寸Hが長く[W<H]形成され、以て長方形状の四角形状鋼管に形成されている。
ここで梁材8としては、たとえば、薄肉鋼板部2の板厚tが6mm、厚肉鋼板部3の板厚Tが22mm、両薄肉鋼板部2の外面間の幅外寸Wが250mm、両厚肉鋼板部3の外面間の高さ外寸Hが600mmに形成されている。これにより、両薄肉鋼板部2の板厚tの加算値2tである12mmに対して、厚肉鋼板部3の板厚Tが22mmと厚く形成され、そして幅外寸Wの250mmよりも、高さ外寸Hの600mmが長く形成されることになる。
したがって梁材8は、左右一対の薄肉鋼板部2を有する四角形状鋼管に形成されていながらも、両薄肉鋼板部2の板厚tを薄く形成したことにより、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく形成し得る。しかも梁材8は、4箇所のコーナ部5を熱間成形して四角形状鋼管に形成されていることで、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて曲げモーメント値を上げ得、以て所定(規格)の強度などを十分に確保し得る。
このようにして得られた梁材8は鉄骨構造物の一部として使用される。すなわち図7、図8に示すように、鉄骨構造物40は、鋼管柱41と、この鋼管柱41の梁材連結部(パネルゾーン)に連結した梁材8などで構成される。そして鋼管柱41は、長尺角形鋼管(長尺の支柱)42と、短尺の梁材連結用角形鋼管(梁材連結部)43とによって構成され、以て鋼管柱41は、その長さ方向において長尺角形鋼管42群と梁材連結用角形鋼管43群とに切断(分断)されている。
そして下部の長尺角形鋼管42の上端に、梁材連結用角形鋼管43の下端が突き合せ方式により溶接結合44aされるとともに、梁材連結用角形鋼管43の上端に、上部の長尺角形鋼管42の下端が溶接結合44aされる。なお、溶接結合44aを行う際に、長尺角形鋼管42の内面側に裏当て材45aが介在される。このようにして形成された鋼管柱41に対する梁材8の連結は、この梁材8の遊端を梁材連結用角形鋼管43に対して溶接結合44bすることで行われ、この溶接結合44bを行う際にも裏当て材45bが介在される。
また梁材8の遊端間の連結、すなわち長さ方向での連結は、長さ方向で隣接した薄肉鋼板部2の外面間に亘って鋼板状のブラケット46を当接させ、そしてブラケット46から薄肉鋼板部2に亘って連結具47を結合作用させることで行える。なお、連結具47による結合は、ブラケット46から薄肉鋼板部2に亘って形成された貫通孔間に通したのち操作することで内端部分が拡径されるアンカー式ボルト、小径の貫通孔間にねじ込まれる螺合式ボルト、リベットなどが採用される。
このように構成された鉄骨構造物40は、4箇所のコーナ部5を熱間成形して四角形状鋼管に形成された梁材8が使用されていることで、I型鋼(H型鋼)の梁材が使用された形式に比べて、使用材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく構成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得て所定(規格)の強度などを十分に確保し得、さらに横揺れを少なくした構成とし得る。さらに梁材8が、上下方向で長い長方形状の四角形状鋼管に形成されていることで、曲げモーメント値をより一層上げ得る。なお、四角形状鋼管に形成された梁材8の内部空間を利用して、コンクリートや鉄筋コンクリートを充填させることで、強度などをより一層向上し得る。
また4箇所のコーナ部5を熱間成形した梁材8は、残留応力の除去と靭性の回復とを図り、捩れ、曲がり、変形が殆ど生じない均質なものにし得るとともに、この梁材8は能率よく安価に得られ、以て鉄骨構造物40を大幅なコストダウンで構成し得ることになる。なお、鋼管柱41を構成する長尺角形鋼管42と梁材連結用角形鋼管43としては、両方とも熱間成形鋼管を使用した形式、両方とも冷間成形鋼管を使用した形式、いずれか一方を熱間成形鋼管とし、他方を冷間成形鋼管とした形式であってもよい。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2を、図9〜図12に基づいて説明する。
図9(a)に示すように、鋼板51は、所定幅51Vでかつ所定長さLとされている。ここで鋼板51は、幅方向において両側部分が(所定部分)が短尺の薄肉鋼板部52Aで中央部分が厚肉鋼板部53として形成されている。その際に、両薄肉鋼板部52Aの板厚tの加算値2tに対して、厚肉鋼板部53の板厚Tが等厚状[2t≒T]もしくは厚く[2t<T]形成されている。また所定幅51Vは、所定形状の梁材を得るに相当する長さ、すなわち、薄肉鋼板部52Aの幅51V1と厚肉鋼板部53の幅51V2とは同様に(詳細は後述する。)設定されている。
前記鋼板51を搬送経路10上で長さ方向に搬送しながら、まずトリミング開先加工機15に通して、幅方向における両側縁、すなわち短尺の薄肉鋼板部52Aの外側縁に開先54を加工する。次いで鋼板51を加熱手段16に通して、所定温度の一例であるA3変態点(たとえば850〜1050℃)、またはその近辺(前後)にまで全体加熱する。そして加熱した鋼板51を長さ方向に搬送しながら熱間成形部60に通し、ロール式成形手段61,66,71群により熱間成形する。
すなわち図9(b)に示すように、最始段(1段目)のロール式成形手段61においては、下位の直状の受けロール62と上位の直状の押しロール63とにより厚肉鋼板部53を上下から挟持するとともに、左右一対の直状の規制ロール64により短尺の両薄肉鋼板部52を下側から受け止め規制して熱間成形する。ここで、最始段のロール式成形手段61において規制ロール64は、搬送経路の方向で複数配設され、その上手側の水平状態から下手側へと次第に傾斜角度を鋭角に変化させることで熱間成形するものであり、図9(b)は出口部分が示されている。
次いで2段目のロール式成形手段66においては、図10(a)に示すように、下位の直状の受けロール67と上位の直状の押しロール68とにより厚肉鋼板部53を上下から挟持するとともに、左右一対の直状の規制ロール69により短尺の両薄肉鋼板部52Aを下側から受け止め規制して熱間成形する。この2段目のロール式成形手段66においても最始段のロール式成形手段61と同様に、規制ロール69は搬送経路の方向で複数配設され、その上手側から下手側へと次第に傾斜角度を鋭角に変化させることで熱間成形するものであり、図10(a)は出口部分が示されている。
そして図10(b)に示すように、最終段(3段目)のロール式成形手段71において、幅方向の中央部に厚肉鋼板部53が位置し、かつ厚肉鋼板部53の両端にコーナ部55を介して短尺の薄肉鋼板部52Aが直角状に位置するU字型状鋼板(型状鋼板の一例)56として熱間成形する。その際に最終段のロール式成形手段71においては、下位の直状の受けロール72と中間位の直状の当てロール73とにより厚肉鋼板部53を上下から挟持するとともに、上位の左右一対で直状の押しロール74を両薄肉鋼板部52Aの遊端に上方から当接させて押し下げ力Pを作用させ、さらに両薄肉鋼板部52Aの外面に上下方向向きで直状の規制ロール75を当接させた状態で熱間成形している。すなわち、受けロール72と当てロール73とにより厚肉鋼板部53を上下から挟持した状態で、規制ロール75により外面を規制した短尺の薄肉鋼板部52Aに対して、押しロール74により押し下げ力Pを作用させることで、U字型状鋼板56の熱間成形を安定して精度よく行える。
以上のように、加熱されて熱間成形部60に搬入された鋼板51は、ロール式成形手段61,66,71群によって折り曲げ状に熱間成形され、このとき熱間成形は、複数段のロール式成形手段61,66,71によって徐々(段階的)に曲げ状に行われる。すなわち、鋼板51を長さ方向に搬送しながら複数段のロール式成形手段61,66,71により熱間成形することで、鋼板51からU字型状鋼板56への熱間成形を流れ作業的に行えることになる。
そして熱間成形されたU字型状鋼板56を、放冷部で搬送しながら放冷し、以て常温状(大気温度、若しくは大気温度よりも少し高い温度)とする。これによりU字型状鋼板56は、同じ雰囲気温度下で徐冷されることになり、以て冷却時の曲がりを少なくし得る。なお搬送中に、U字型状鋼板56を空冷形式で徐冷してもよい。
図11に示すように熱間成形されたU字型状鋼板56は、開先54に対してブラッシングなどを行ってミルスケールの除去などを行う。そして常温状とした1対のU字型状鋼板56を、短尺の薄肉鋼板部52Aの遊端を相対向させた状態で溶接手段39に搬入し、開先54を利用して溶接結合57することで、図12に示すように四角形状鋼管に形成され、以て製品としての梁材58を製造し得る。
すなわち梁材58は、4箇所のコーナ部55を熱間成形により直角状(外面R状の曲率半径)に曲げ成形して、上下一対の厚肉鋼板部(フランジ部に相当)53と、左右一対の薄肉鋼板部(ウエブ部に相当)52とからなる四角形状鋼管に形成される。その際に梁材58は、前述したように両薄肉鋼板部52の板厚tの加算値2tに対して、厚肉鋼板部53の板厚Tが等厚状[2t≒T]もしくは厚く[2t<T]形成されている。そして梁材58は、両薄肉鋼板部52の外面間の幅外寸Wよりも、両厚肉鋼板部53の外面間の高さ外寸Hが長く[W<H]形成され、以て長方形状の四角形状鋼管に形成されている。
ここで梁材58としては、たとえば、薄肉鋼板部52の板厚tが6mm、厚肉鋼板部53の板厚Tが22mm、両薄肉鋼板部52の外面間の幅外寸Wが250mm、両厚肉鋼板部53の外面間の高さ外寸Hが600mmに形成されている。これにより、両薄肉鋼板部52の板厚tの加算値2tである12mmに対して、厚肉鋼板部53の板厚Tが22mmと厚く形成され、そして幅外寸Wの250mmよりも、高さ外寸Hの600mmが長く形成されることになる。
したがって梁材58は、左右一対の薄肉鋼板部52を有する四角形状鋼管に形成されていながらも、両薄肉鋼板部52の板厚tを薄く形成したことにより、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく形成し得る。しかも梁材58は、4箇所のコーナ部55を熱間成形して四角形状鋼管に形成されていることで、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて曲げモーメント値を上げ得、以て所定(規格)の強度などを十分に確保し得る。
このようにして得られた梁材58は、前述した実施の形態1と同様にして、鉄骨構造物の一部として使用される。その際に鉄骨構造物は、4箇所のコーナ部55を熱間成形して四角形状鋼管に形成された梁材58が使用されていることで、I型鋼(H型鋼)の梁材が使用された形式に比べて、使用材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく構成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得て所定(規格)の強度などを十分に確保し得、さらに横揺れを少なくした構成とし得る。さらに梁材58が、上下方向で長い長方形状の四角形状鋼管に形成されていることで、曲げモーメント値をより一層上げ得る。なお、四角形状鋼管に形成された梁材58の内部空間を利用して、コンクリートや鉄筋コンクリートを充填させることで、強度などをより一層向上し得る。
また4箇所のコーナ部55を熱間成形した梁材58は、残留応力の除去と靭性の回復とを図り、捩れ、曲がり、変形が殆ど生じない均質なものにし得るとともに、この梁材58は能率よく安価に得られ、以て鉄骨構造物を大幅なコストダウンで構成し得ることになる。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3を、図13〜図16に基づいて説明する。
図13(a)に示すように、鋼板81は、所定幅81Vでかつ所定長さLとされている。ここで鋼板81は、幅方向において一側部分が(所定部分)が薄肉鋼板部82で他側部分が厚肉鋼板部83として形成されている。その際に、薄肉鋼板部82の板厚tの加算値2tに対して、厚肉鋼板部83の板厚Tが等厚状[2t≒T]もしくは厚く[2t<T]形成されている。また所定幅81Vは、所定形状の梁材を得るに相当する長さ、すなわち、薄肉鋼板部82の幅81V1や厚肉鋼板部83の幅81V2は最終製品の長さに同等状(詳細は後述する。)に設定されている。
前記鋼板81を搬送経路10上で長さ方向に搬送しながら、まずトリミング開先加工機15に通して、幅方向における両側縁、すなわち薄肉鋼板部82の外側縁と厚肉鋼板部83の外側縁とに開先84を加工する。次いで鋼板81を加熱手段16に通して、所定温度の一例であるA3変態点(たとえば850〜1050℃)、またはその近辺(前後)にまで全体加熱する。そして加熱した鋼板81を長さ方向に搬送しながら熱間成形部90に通し、ロール式成形手段91,96,101群により熱間成形する。
すなわち図13(b)に示すように、最始段(1段目)のロール式成形手段91においては、下位の直状の受けロール92と上位の直状の押しロール93とにより薄肉鋼板部82を上下から挟持するとともに、直状の規制ロール94により厚肉鋼板部82を下側から受け止め規制して熱間成形する。ここで、最始段のロール式成形手段91において規制ロール94は、搬送経路の方向で複数配設され、その上手側の水平状態から下手側へと次第に傾斜角度を鋭角に変化させることで熱間成形するものであり、図13(b)は出口部分が示されている。
次いで2段目のロール式成形手段96においては、図14(a)に示すように、下位の直状の受けロール97と上位の直状の押しロール98とにより薄肉鋼板部82を上下から挟持するとともに、直状の規制ロール99により厚肉鋼板部83を下側から受け止め規制して熱間成形する。この2段目のロール式成形手段96においても最始段のロール式成形手段91と同様に、規制ロール99は搬送経路の方向で複数配設され、その上手側から下手側へと次第に傾斜角度を鋭角に変化させることで熱間成形するものであり、図14(a)は出口部分が示されている。
そして図14(b)に示すように、最終段(3段目)のロール式成形手段101において、薄肉鋼板部82と厚肉鋼板部83とが、コーナ部85を介して直角状に位置したL字型状鋼板(熱間成形物)86として熱間成形する。その際に最終段のロール式成形手段101においては、下位の直状の受けロール102と中間位の直状の当てロール103とにより薄肉鋼板部82を上下から挟持するとともに、上位の直状の押しロール104を厚肉鋼板部83の遊端に上方から当接させて押し下げ力Pを作用させ、さらに厚肉鋼板部83の外面に上下方向向きで直状の規制ロール105を当接させた状態で熱間成形している。すなわち、受けロール102と当てロール103とにより薄肉鋼板部82を上下から挟持した状態で、規制ロール105により外面を規制した厚肉鋼板部83に対して、押しロール104により押し下げ力Pを作用させることで、L字型状鋼板86の熱間成形を安定して精度よく行える。
以上のように、加熱されて熱間成形部90に搬入された鋼板81は、ロール式成形手段91,96,101群によって折り曲げ状に熱間成形され、このとき熱間成形は、複数段のロール式成形手段91,96,101によって徐々(段階的)に曲げ状に行われる。すなわち、鋼板81を長さ方向に搬送しながら複数段のロール式成形手段91,96,101により熱間成形することで、鋼板81からL字型状鋼板86への熱間成形を流れ作業的に行えることになる。
そして熱間成形されたL字型状鋼板86を、放冷部で搬送しながら放冷し、以て常温状(大気温度、若しくは大気温度よりも少し高い温度)とする。これによりL字型状鋼板86は、同じ雰囲気温度下で徐冷されることになり、以て冷却時の曲がりを少なくし得る。なお搬送中に、L字型状鋼板86を空冷形式で徐冷してもよい。
図15に示すように熱間成形されたL字型状鋼板86は、開先84に対してブラッシングなどを行ってミルスケールの除去などを行う。そして常温状とした1対のL字型状鋼板86を、その薄肉鋼板部82と厚肉鋼板部83の遊端を相対向させた状態で溶接手段39に搬入し、開先84を利用して溶接結合87することで、図16に示すように四角形状鋼管に形成され、以て製品としての梁材88を製造し得る。
すなわち梁材88は、2箇所のコーナ部85を熱間成形により直角状(外面R状の曲率半径)に曲げ成形して、上下一対の厚肉鋼板部(フランジ部に相当)83と、左右一対の薄肉鋼板部(ウエブ部に相当)82とからなる四角形状鋼管に形成される。その際に梁材88は、前述したように両薄肉鋼板部82の板厚tの加算値2tに対して、厚肉鋼板部83の板厚Tが等厚状[2t≒T]もしくは厚く[2t<T]形成されている。そして梁材88は、両薄肉鋼板部82の外面間の幅外寸Wよりも、両厚肉鋼板部83の外面間の高さ外寸Hが長く[W<H]形成され、以て長方形状の四角形状鋼管に形成されている。
ここで梁材88としては、たとえば、薄肉鋼板部82の板厚tが6mm、厚肉鋼板部83の板厚Tが22mm、両薄肉鋼板部82の外面間の幅外寸Wが250mm、両厚肉鋼板部83の外面間の高さ外寸Hが600mmに形成されている。これにより、両薄肉鋼板部82の板厚tの加算値2tである12mmに対して、厚肉鋼板部83の板厚Tが22mmと厚く形成され、そして幅外寸Wの250mmよりも、高さ外寸Hの600mmが長く形成されることになる。
したがって梁材88は、左右一対の薄肉鋼板部82を有する四角形状鋼管に形成されていながらも、両薄肉鋼板部82の板厚tを薄く形成したことにより、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく形成し得る。しかも梁材88は、2箇所のコーナ部85を熱間成形して四角形状鋼管に形成されていることで、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて曲げモーメント値を上げ得、以て所定(規格)の強度などを十分に確保し得る。
このようにして得られた梁材88は、前述した実施の形態1と同様にして、鉄骨構造物の一部として使用される。その際に鉄骨構造物は、2箇所のコーナ部85を熱間成形して四角形状鋼管に形成された梁材88が使用されていることで、I型鋼(H型鋼)の梁材が使用された形式に比べて、使用材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく構成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得て所定(規格)の強度などを十分に確保し得、さらに横揺れを少なくした構成とし得る。さらに梁材88が、上下方向で長い長方形状の四角形状鋼管に形成されていることで、曲げモーメント値をより一層上げ得る。なお、四角形状鋼管に形成された梁材88の内部空間を利用して、コンクリートや鉄筋コンクリートを充填させることで、強度などをより一層向上し得る。
また2箇所のコーナ部85を熱間成形した梁材88は、残留応力の除去と靭性の回復とを図り、捩れ、曲がり、変形が殆ど生じない均質なものにし得るとともに、この梁材88は能率よく安価に得られ、以て鉄骨構造物を大幅なコストダウンで構成し得ることになる。
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4を、図17に基づいて説明する。
すなわち、最終段(3段目)のロール式成形手段111であって、薄肉鋼板部2の外面に下方から当接させる下位の直状の受けロール112は長尺に構成され、この受けロール112とにより薄肉鋼板部2を上下から挟持する当てロール113は上下動X自在に構成され、短尺の両厚肉鋼板部3Aの遊端に上方から当接させて押し下げ力Pを作用させる左右一対の押しロール114は上下動X自在にかつ左右動Y自在に構成され、短尺の両厚肉鋼板部3Aの外面に当接させる規制ロール115は左右動Y自在に構成されている。
この実施の形態4によると、当てロール113を上下動Xさせ、押しロール114を上下動Xさせるとともに左右動Yさせ、規制ロール115を左右動Yさせて位置調整することで、最終段のロール式成形手段111を、板厚t,Tや外寸の異なる複数種のU字型状鋼板6の熱間成形に兼用し得、各種のU字型状鋼板6の熱間成形を安定して精度よく行える。
なお実施の形態4では、実施の形態1の変形例としてU字型状鋼板6の熱間成形を行う形式が示されているが、実施の形態2の変形例としてU字型状鋼板56の熱間成形を行う形式や、実施の形態3の変形例としてL字型状鋼板86の熱間成形を行う形式も同様である。
上記した実施の形態1〜3では、熱間成形前における加熱手段16に通しての全体加熱を、所定温度の一例であるA3変態点(たとえば850〜1050℃)の近辺(前後)としているが、加熱手段16による加熱温度は任意に設定されるものである。
上記した実施の形態1〜3では、熱間成形部20,60,90に、3段(複数段)のロール式成形手段が配設された形式が示されているが、ロール式成形手段の段数は任意に設定されるものである。また各段のロール式成形手段におけるロール群の配置、ロールの数、ロール形状などは任意に決定されるものである。
上記した実施の形態1〜3では、鋼板1,51,81を搬送経路10上で搬送しながら、トリミング開先加工機15に通して開先4,54,84を加工しているが、これは開先を加工しない形式であってもよい。
上記した実施の形態1〜3では、梁材8,58,88の一例として、たとえば、両薄肉鋼板部2,52,82の板厚tが6mm、厚肉鋼板部3,53,83の板厚Tが22mmに、両薄肉鋼板部2,52,82の外面間の幅外寸Wが250mm、両厚肉鋼板部3,53,83の外面間の高さ外寸Hが600mmに形成されているが、これは、両薄肉鋼板部2,52,82の板厚tが6〜22mm、厚肉鋼板部3,53,83の板厚Tが12〜40mm、両薄肉鋼板部2,52,82の外面間の幅外寸Wが200〜600mm、両厚肉鋼板部3,53,83の外面間の高さ外寸Hが200〜1000mmに形成されているものであってもよい。
上記した実施の形態1〜3では、両薄肉鋼板部2,52,82の板厚tの加算値2tに対して、厚肉鋼板部3,53,83の板厚Tが厚く、すなわち[2t<T]に形成されているが、これは[t<T]の条件下で、[2t>T]に形成されたものであってもよい。
上記した実施の形態1〜3では、梁材8,58,88として、両薄肉鋼板部2,52,82の外面間の幅外寸Wよりも、両厚肉鋼板部3,53,83の外面間の高さ外寸Hが長く[W<H]形成され、以て上下方向に長い長方形状の四角形状鋼管に形成されているが、これは[W>H]として幅方向に長い長方形状の四角形状鋼管に形成されたものや、[W≒H]として正方形状の四角形状鋼管に形成されたものであってもよい。
上記した実施の形態1〜3では、梁材8として幅方向で同形状の1対のU字型状鋼板6を用い、また梁材58として上下方向で同形状の1対のU字型状鋼板56を用い、また梁材88として同形状の1対のL字型状鋼板86を用いているが、これらU字型状鋼板6,56やL字型状鋼板86からなる熱間成形物として、幅方向や上下方向で異なる形状、すなわち、薄肉鋼板部2,52,82や厚肉鋼板部3,53,83の寸法が幅方向や上下方向で異なるものを溶接結合して四角形状鋼管に形成したものであってもよい。
上記した実施の形態1では、鋼管柱41の梁材連結用角形鋼管(梁材連結部)43に、梁材8を溶接結合44bしているが、これは連結具を介して連結する形式などであってもよい。
上記した実施の形態1では、梁材8の遊端間を、ブラケット46と連結具47とを介して連結した形式が示されているが、これは溶接結合した形式などであってもよい。