JP2006334606A - ろう材、ろう付け用複合材、及びそれらを用いたろう付け製品 - Google Patents

ろう材、ろう付け用複合材、及びそれらを用いたろう付け製品 Download PDF

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洋光 黒田
Kazuma Kuroki
一真 黒木
Masayoshi Aoyama
正義 青山
Fumio Horii
文夫 堀井
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Abstract

【課題】 十分な耐食性及び高温強度を有するろう材、ろう付け用複合材、及びそれらを用いたろう付け製品を提供するものである。
【解決手段】 本発明に係るろう材10は、被ろう付け部材同士をろう付けするものであって、Ti、Ni、Fe、及びCrを含む合金で構成され、ろう材10に含まれるNi成分の重量W1とろう材に含まれるNi成分とTi成分の重量の総和W2の比(W1/W2)が、0.55〜0.70のものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱交換器や燃料電池用部材などの被ろう付け部材同士をろう付けするためのろう材、ろう付け用複合材、及びそれらを用いたろう付け製品に関するものである。
自動車用オイルクーラの接合材としてステンレス基クラッド材が使用されている。これは、基材であるステンレス鋼板の片面又は両面に、ろう材としての機能を有するCu材がクラッドされている。
また、ステンレス鋼や、Ni基合金又はCo基合金などからなる部品のろう付け材として、ろう付け接合部の耐食性に優れる各種Niろう材が、JIS規格により規定されている。また、熱交換器用Niろう材として、Ni、Cr、又はNi-Cr合金の中から選択される金属粉末を4〜22wt%添加してなる粉末Niろう材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、高耐食性を有する市販のろう材として、Niに、Cr、P、Siなどを添加した粉末状のNiろう材がある。
特開2000−107883号公報
ところで、従来のろう材又はろう付け用クラッド材を、高温で、腐食性の高いガス又は液体に晒される熱交換器(燃料電池改質器用クーラや、排ガス再循環装置(以下、EGR(Exhaust Gas Recirculation)という)用クーラ)の接合用ろう材として使用する場合、以下に示すような問題があった。
(1) 前述したステンレス基クラッド材を自動車用オイルクーラの接合材として使用する場合、耐熱性及び耐食性については全く問題がない。しかし、このステンレス基クラッド材を、燃料電池用熱交換器やEGR用クーラの接合材として使用する場合、耐熱性及び耐食性に問題があった。なぜなら、燃料電池用熱交換器やEGR用クーラ内には、高温で、かつ、腐食性の高い溶液や排気ガスなどが循環されることから、ステンレス基クラッド材のろう材(Cu材)では耐熱性及び耐食性が十分でなく、使用できないという問題があった。
(2) 特許文献1記載の粉末Niろう材、及びJIS規格で規定された各種Niろう材は、耐食性に優れているものの、高温での強度が十分でないという問題があった。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、十分な耐食性及び高温強度を有するろう材、ろう付け用複合材、及びそれらを用いたろう付け製品を提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明に係るろう材は、被ろう付け部材同士をろう付けするろう材において、Ti、Ni、Fe、及びCrを含む合金で構成され、ろう材に含まれるNi成分の重量W1とろう材に含まれるNi成分とTi成分の重量の総和W2の比(W1/W2)が、0.55〜0.70のものである。
ここで、ろう付け処理後の合金組成が、
Ti:10〜40mass%、
Ni:25〜50mass%、
Fe:10〜50mass%、
Cr: 1〜20mass%、
となるように、ろう材の各成分の割合は調整される。
700〜900℃での引張強さは147MPa(15kgf/mm2)以上であることが好ましい。また、700〜900℃での引張強さの下限値Bと常温での引張強さAの比(B/A)は0.70以上であることが好ましい。
ろう材は、金属単体粉末の混合体、又は合金粉末の混合体であってもよい。また、ろう材は、箔材、棒材、又はワイヤ材であってもよい。
また、本発明に係るろう付け用複合材は、基材の表面にろう材層を一体的に設けてなる複合材で構成され、被ろう付け部材とろう付けされるろう付け用複合材において、ろう材層を、前述したろう材で構成したものである。
ろう付け用複合材は、箔材、棒材、又はワイヤ材であってもよい。
また、本発明に係るろう付け製品は、前述したろう材を用い、被ろう付け部材同士をろう付け接合したものである。
また、本発明に係るろう付け製品は、前述したろう付け用複合材と被ろう付け部材をろう付け接合したものである。
また、本発明に係るろう付け製品は、被ろう付け部材同士がろう付け接合部を介して接合されたろう付け製品において、ろう付け接合部の合金組成が、
Ti:10〜40mass%、
Ni:25〜50mass%、
Fe:10〜50mass%、
Cr: 1〜20mass%、
のものである。
本発明によれば、十分な耐食性及び高温強度を有するろう材が得られるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明者らが鋭意研究した結果、ろう付け製品のろう付け接合部が十分な高温強度及び耐食性を有するためには、ろう付け接合部(ろう付け処理後のろう材、ろう材層)の組成をある範囲に規定する必要があることを見出した。
本発明の好適一実施の形態に係るろう材の横断面図を図1に示す。
本実施の形態に係るろう材は、被ろう付け部材同士をろう付けするためのものであり、Ti、Ni、Fe、及びCrを含む合金で構成される。具体的には、図1に示すように、本実施の形態に係るろう材10は、第1の層であるNi-Fe合金層(以下、Ni合金層という)11と、第2の層であるTi又はTi合金層(以下、Ti層という)12と、第3の層であるNi又はNi合金層(以下、Ni層という)13の3層構造の積層体(複合体)で構成される。
ろう材10全体に含まれるNi成分の重量W1と、ろう材10全体に含まれるNi成分とTi成分の重量の総和W2の比(W1/W2)は、0.55〜0.70とされる。ここで、W1/W2が0.55未満だと、高温での引張強さが低下すると共に、ろう材10の融点が上昇する。また、W1/W2が0.70を超えると、同じく融点が上昇し、1200℃近傍では溶融せず、ろう材として機能しなくなる。
また、ろう材10は、ろう付け処理後の合金組成が、
Ti:10〜40mass%、
Ni:25〜50mass%、
Fe:10〜50mass%、
Cr: 1〜20mass%、
となるように、Ti、Ni、Fe、及びCrの各成分の割合が調整される。各成分の割合の具体的な調整は、Ni合金層11、Ti層12、及びNi層13の各層の組成及び層厚を調整することでなされる。
Ni合金層11を構成するNi-Fe合金としては、基本組成がFe-36〜36.5mass%Niの合金(例えば、インバー(登録商標))や、基本組成がFe-42mass%Niの合金(例えば、42アロイ)などが挙げられる。
ろう材10のFe濃度は、ろう付け処理後のろう材10(ろう付け接合部)に含まれるFe濃度が10〜50mass%以下となるように調整される。ここで、ろう付け接合部のFe濃度が50mass%を超えると、ろう付け接合部の耐食性及びろう材の湯流れ性が低下するため、好ましくない。また、ろう付け接合部のFe濃度が10mass%未満だと、硬くて脆いNiとTiの金属間化合物が生成し易くなるためである。また、ろう材10のFe濃度は、ろう付け処理後の目標値である10〜50mass%以下よりも低く設計することが好ましい。これは、ろう付け処理により、Fe系合金からなる被ろう付け部材のFe成分が溶融ろう材中へ拡散するため、ろう付け接合部のFe濃度が初期の設計値(ろう材10のFe濃度)よりも高くなるためである。
本実施の形態においては、Ni合金層11、Ti層12、及びNi層13の3層構造のろう材10について説明を行った。しかし、ろう材10の層構造は、これに特に限定するものではなく、2層、又は4層以上の構造であってもよい。
また、本実施の形態においては、箔状(薄板状)を呈したろう材(箔材)10を用いて説明を行ったが、ろう材の形状は箔状に特に限定するものではなく、例えば、粉末状、棒状、又はワイヤ状のいずれであってもよい。例えば、粉末材としては、Ti、Ni、Fe、及びCrの各単体粉末の混合体や、Ti、Ni、Fe、及びCr成分を含んだ数種類の合金粉末の混合体が挙げられる。また、棒材(又はワイヤ材)としては、図2に示すように、Ni層13(第3の層)からなる心材の周りに、順に、Ti層12からなる第2の層、Ni合金層11からなる第1の層を設けたろう材20が挙げられる。この場合、心材(Ni層13)の周りに設ける層12,11は、メッキ法、押出法、造管法などによって形成される。
次に、本実施の形態に係るろう材10を用いたろう付け方法を説明する。
本実施の形態に係るろう材10に、適宜、圧延加工を施すことで、各層11,12,13がクラッドされ、所望の厚さのろう材(最終製品)が得られる。この最終製品が、接合を行う被ろう付け部材(図示せず)同士のろう付け予定部分(以下、ろう付け箇所と記す)に配置される。
次に、ろう付け箇所をメインに被ろう付け部材を加熱することで、ろう付け処理がなされる。このろう付け処理によって、ろう付け箇所においてろう材10の溶融反応が生じる。このろう付け処理の温度は、例えば、1120〜1200℃、好ましくは1150〜1180℃とされる。
このろう付け処理により、先ず、ろう材10におけるNi合金層11とTi層12及びTi層12とNi層13の各層間で相互に拡散反応が進行し、Ni合金層11とTi層12及びTi層12とNi層13の各界面で溶融が生じ始める。つまり、ろう材10中では、Ni成分、Ti成分、Fe成分、及びCr成分が混合、接触して、合金化が生じる。これによって、ろう材10の融点は、Ni、Tiのそれぞれの融点(1455℃、1670℃)と比べて低くなり、より低い温度でのろう付け処理が可能となる。その結果、1120〜1200℃の温度でろう材10が溶融し始め、ろう材10の流動が生じ、ろう材10が溶融してろう溶融部が形成される。
また、このろう付け処理時に、ろう材10の溶融、流動が生じるが、この溶融、流動の前に、ろう材10全体にFe成分が十分に拡散する。このため、溶融したろう材10全体のFe濃度は、溶融前のろう材10全体のFe濃度と同じ濃度となる。さらに、ろう付け処理の際に、ステンレス鋼を始めとするFe系合金からなる被ろう付け部材のFe成分がろう溶融部中に溶け込むことがあるが、溶け込みが生じるのは、ろう溶融部におけるFe濃度が飽和に達するまでであり、溶け込み可能なFe量には限界がある。ろう材10のろう溶融部には、全体に十分な濃度のFe成分が存在するため、被ろう付け部材のFe成分が、ろう溶融部中に溶け込むことが抑制され、被ろう付け部材に侵食が発生するのを大幅に低減することができる。また、ろう溶融部中のFe濃度が湯流れ性を阻害しない10〜50mass%以下の範囲に収まるように、被ろう付け部材のFe成分のいくらかの溶け込みを予め想定して、ろう材10のFe濃度が調整、決定されている。このため、ろう溶融部の湯流れ性は良好である。これらの結果、ろう付け処理後において、ろう付け製品のろう付け接合部で強度低下が生じることはなく、ろう付け接合部の信頼性は良好である。
その後、ろう材10が完全に溶融した段階で急冷を行うことで、ろう溶融部が凝固してろう付け接合部となり、被ろう付け部材同士がろう付け接合部を介して接合され、ろう付け製品が得られる。
本実施の形態に係るろう材10は、耐食性に優れ、高融点のNi、Ti、及びCrを主成分とするものであるため、ろう材10を用いたろう付け製品のろう付け接合部は、十分な耐熱性及び耐食性を有する。
また、本実施の形態に係るろう材10は、高融点のNi、Ti、及びCrが主成分であるものの、1120〜1200℃という温度でのろう付け処理が可能である。
さらに、本実施の形態に係るろう材10は、W1/W2を0.55〜0.70に、また、ろう付け処理後のろう材10の合金組成がTi:10〜40mass%、Ni:25〜50mass%、Fe:10〜50mass%、Cr:1〜20mass%となるように、Ti、Ni、Fe、及びCrの各成分の割合を調整しているため、700〜900℃での引張強さが147MPa(15kgf/mm2)以上、700〜900℃での引張強さの下限値Bと常温での引張強さAの比(B/A)が0.70以上となる。つまり、ろう材10を用いたろう付け製品のろう付け接合部は、700〜900℃の高温領域において、常温引張強さと比べてほとんど遜色のない十分な高温強度を有しており、信頼性が高い。
また、本実施の形態に係るろう材10はFeを含んでいるため、ろう材10を用いてステンレス鋼を始めとするFe系合金からなる被ろう付け部材をろう付けする場合、被ろう付け部材の食われを低減することができる。その結果、被ろう付け部材のろう付け接合部の強度がほとんど低下しなくなるため、ろう材10を用いたろう付け製品は、ろう付け接合部の信頼性が高い。
さらに、ろう付け接合部の合金組成をある一定範囲に調整するための手段として、本実施の形態においては、Ti、Ni、Fe、及びCrの各成分組成を調整したろう材10を採用した。しかし、この調整手段だけに限定されるものではなく、例えば、熱処理(ろう付け処理)の温度及び時間を制御する方法もある。熱処理の温度及び時間を制御することで、被ろう付け部材から溶融ろう材中へ拡散する金属元素の量が変化するため、これを利用して、ろう付け接合部の合金組成をある一定範囲に調整することもできる。もちろん、Ti、Ni、Fe、及びCrの各成分組成の調整と、ろう付け処理における温度及び時間の制御を併用してもよい。
本実施の形態に係るろう材10を用いるろう付け製品としては、EGR用クーラ等の高温・高腐食性のガス又は液体に晒される熱交換器、燃料電池の改質器用クーラ、燃料電池部材、オイルクーラ、ラジェータ、二次電池部材などが挙げられる。また、本実施の形態に係るろう材10は、ろう付け接合部に高い耐食性及び高温強度が要求される全てのろう付け製品にも適用可能である。
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の他の好適一実施の形態に係るろう材の横断面図を図3に示す。尚、図1と同様の部材には同じ符号を付しており、これらの部材については説明を省略する。
本実施の形態に係るろう付け用複合材は、被ろう付け部材とろう付けされるものであり、Ti、Ni、Fe、及びCrを含む合金で構成されるろう付け層と基材が一体に設けられたものである。具体的には、図3に示すように、本実施の形態に係るろう材30は、基材31の表面(図3中では上面のみ)に、図1に示したろう材10をろう付け層として一体的に設けたものである。ここで言う基材31の表面は、外部に露出する全ての面を示している。
基材31の構成材としては、Fe系合金、例えばステンレス鋼、好ましくはオーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS304など)が挙げられる。
本実施の形態においては、基材31の片面(図3中では上面)のみにろう付け層10を設けたろう付け用複合材30について説明を行ったが、これに特に限定するものではない。例えば、ろう付け層10が基材31の両面(図3中では上・下面)に設けられたろう付け用複合材であってもよい。
また、本実施の形態においては、ろう付け層10が複層構造の積層体の場合について説明を行ったが、これに特に限定するものではない。例えば、前実施の形態において述べたTi、Ni、Fe、及びCrの各単体粉末の混合体や、Ti、Ni、Fe、及びCr成分を含んだ数種類の合金粉末の混合体を用い、この粉末材を有機系のバインダで溶かしたものを基材31の表面に塗布し、ろう付け層10としてもよい。
さらに、本実施の形態においては、箔状(薄板状)を呈したろう付け用複合材(箔材)30を用いて説明を行ったが、ろう付け用複合材の形状は箔状に特に限定するものではなく、例えば、棒状、又はワイヤ状のいずれであってもよい。例えば、棒材(又はワイヤ材)としては、図4に示すように、基材31と同等の心材(基材)41の周りに、順に、Ni層13からなる第3の層、Ti層12からなる第2の層、Ni合金層11からなる第1の層を設けたろう付け用複合材40が挙げられる。この場合、心材(基材41)の周りに設ける各層13,12,11は、メッキ法、押出法、造管法などによって形成される。
次に、本実施の形態に係るろう付け用複合材30を用いたろう付け方法を説明する。
先ず、本実施の形態に係るろう付け用複合材30にプレス加工を施し、半製品を作製する。この時、プレス加工に先立って、適宜、ろう付け用複合材30に焼鈍処理を施してもよい。焼鈍処理を行うことによって、基材31が十分に軟化され、プレス加工時に割れが生じることはなく、所望の形状の半製品を歩留りよく得ることができる。また、この焼鈍処理によって、ろう付け層10におけるNi合金層11とTi層12及びTi層12とNi層13の各層間で拡散反応が進行する。
この半製品と被ろう付け部材(図示せず)とを組み合わせ、ろう付け箇所を接触させる。その後、これらの組み合わせ部材に、加熱炉を用いてろう付け処理を施すことで、ろう付け箇所においてろう付け層10(ろう材)の溶融反応が生じる。
その後は、前実施の形態に係るろう材10と被ろう付け部材のろう付け処理と同じ反応を経て、本実施の形態に係るろう付け用複合材30と被ろう付け部材がろう付け接合部を介して接合されたろう付け製品が得られる。
本実施の形態に係るろう付け用複合材30においても、前実施の形態に係るろう材10と同様の作用効果が得られる。
また、本実施の形態に係るろう付け用複合材30は、基材31とろう付け層10が一体的に設けられているため、前実施の形態に係るろう材10のように、ろう付け箇所にろう材を配置するという作業が不要となる。このため、良好なろう付け生産性で、ろう付け製品を得ることができる。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
Ni、Ti、Fe、及びCrの各金属粉末(粒径200μm)をそれぞれ混合し、ろう材を作製した(試料1)。このろう材は、ろう付け処理後の組成がNi-20mass%Ti-41mass%Fe-8mass%Crとなるように、合金組成が調整された。
(実施例2)
インバー(登録商標)板(条材)、Ti板(条材)、Ni板(条材)を順に重ね合わせて3層構造(インバー/Ti/Ni)の積層体を形成した。この積層体に圧延処理を繰り返し施し、クラッド材(ろう材)を作製した(試料2)。このろう材は、ろう付け処理後の組成がNi-17mass%Ti-48mass%Fe-9mass%Crとなるように、各金属板の厚さ、及びろう付け処理時の熱処理条件(温度、時間)が調整された。
(実施例3)
実施例2と同様にして、ろう材を作製した(試料3)。このろう材は、ろう付け処理後の組成がNi-38mass%Ti-10mass%Fe-4mass%Crになるように、各金属板の厚さ、及びろう付け処理時の熱処理条件(温度、時間)が調整された。
(実施例4)
インバー(登録商標)板(条材)、Ti板(条材)、Ni板(条材)を順に重ね合わせて3層構造(インバー/Ti/Ni)の積層体を形成した。この積層体をSUS304からなる基材の両面に配置すると共に圧延処理を繰り返し施し、クラッド材(ろう付け用複合材(インバー/Ti/Ni/SUS304/Ni/Ti/インバー))を作製した(試料4)。このろう付け用複合材は、ろう材層のろう付け処理後の組成がNi-22mass%Ti-35mass%Fe-7mass%Crになるように、各金属板の厚さ、及びろう付け処理時の熱処理条件(温度、時間)が調整された。
(比較例1)
実施例4と同様にして、ろう付け用複合材を作製した(試料5)。このろう付け用複合材は、ろう材層のろう付け処理後の組成がNi-34mass%Ti-9mass%Fe-2mass%Crになるように、各金属板の厚さ、及びろう付け処理時の熱処理条件(温度、時間)が調整された。
(比較例2)
実施例4と同様にして、ろう付け用複合材を作製した(試料6)。このろう付け用複合材は、ろう材層のろう付け処理後の組成がNi-16mass%Ti-51mass%Fe-10mass%Crになるように、各金属板の厚さ、及びろう付け処理時の熱処理条件(温度、時間)が調整された。
(比較例3)
実施例4と同様にして、ろう付け用複合材を作製した(試料7)。このろう付け用複合材は、ろう材層のろう付け処理後の組成がNi-46mass%Ti-25mass%Fe-4mass%Crになるように、各金属板の厚さ、及びろう付け処理時の熱処理条件(温度、時間)が調整された。
(従来例1)
SUS304からなる基材の片面にCu板(条材)を配置すると共に圧延処理を繰り返し施し、2層構造のクラッド材(ろう付け用複合材(Cu/SUS304))を作製した(試料8)。
(従来例2)
市販の粉末Niろう材(Ni-30mass%Cr-6mass%P-4mass%Si)を合成樹脂バインダで溶いたものを作製した(試料9)。
(従来例3)
市販の粉末Niろう材(Ni-19mass%Cr-10mass%Si)を合成樹脂バインダで溶いたものを作製した(試料10)。
実施例1〜4、比較例1〜3、及び従来例1〜3の各試料の構成、W1/W2、ろう付け処理後のろう材組成を表1に示す。また、各試料について、高温引張強さ、耐食性の評価を行い、それらの評価に基づいて総合評価を行った。これらの結果も併せて表1に示す。
高温引張強さは、各試料を用いてJIS Z 31922号の試験片に準ずるものを作製し、JIS Z 319号に準拠した方法で、
(1) 高温(700℃、800℃、900℃)での引張り強さ、
(2) B/A(Aは常温での引張り強さ、Bは700〜900℃での引張り強さの下限値)、
を測定した。図5(a)に示すように、試験片50は、被ろう付け部材(又はろう付け用複合材)同士を、ろう材(又はろう付け層)からなるろう付け接合部52を介して接合したものである。そして、図5(b)に示すように、この試験片50の把持部51a,51bを治具55a,55bでそれぞれ掴み、矢印A1,A2の方向に引張ることで、引張強さを測定した。
耐食性の評価は、先ず、SUS304板とSUS304パイプの間にろう材を配置した後、ろう付け用の所定の熱処理を加え、SUS304板とSUS304パイプをろう付け接合したろう付け製品を作製した。また、ろう付け用複合材のろう付け層の上にSUS304パイプを配置した後、ろう付け用の所定の熱処理を加え、基材(SUS304板)とSUS304パイプをろう付け接合したろう付け製品を作製した。これらの各ろう付け製品を、塩素イオン、硝酸イオン、及び硫酸イオンを含む腐食性溶液中に1000h浸漬して腐食試験を行い、その後、これらの各ろう付け製品を溶液中から取出してろう付け接合部の組織観察を行い、腐食発生の有無を調べた。また、腐食試験後の溶液を分析し、ろう材からの溶出物の定量比較を行い、腐食の程度を判断した。
Figure 2006334606
表1に示すように、実施例1〜4の各ろう材又はろう付け用複合材のろう付け層は、W1/W2を0.55〜0.70に規定すると共に、ろう付け処理後のろう材組成を所定の範囲に規定している。このため、700℃での引張り強さは194〜209MPa(19.8〜21.3kgf/mm2)、800℃での引張り強さは180〜188MPa(18.4〜19.2kgf/mm2)、900℃での引張り強さは159〜184MPa(16.2〜18.8kgf/mm2)であり、700〜900℃での引張強さがいずれも147MPa(15kgf/mm2)以上となった。また、B/Aは0.72〜0.81であり、いずれも0.70以上となった。さらに、いずれも腐食の発生はなく、耐食性は良好であった。
これに対して、比較例1のろう付け用複合材のろう付け層は、W1/W2が0.62と規定範囲内であり、また、ろう付け製品のろう付け接合部は良好な耐食性を有していた。しかし、Ni濃度が55mass%と規定範囲(25〜50mass%)を超えていると共に、Fe濃度が9mass%と規定範囲(10〜50mass%)未満であったため、900℃での引張り強さが146MPa(14.9kgf/mm2)と規定範囲未満になると共に、B/Aも0.61と規定範囲(0.70以上)未満になった。B/Aが小さいということは、常温環境下での強度と比べて、高温環境下での強度の低下の割合が大きいということであり、高温での使用に耐え難い材料であると判断できる。
また、比較例2のろう付け用複合材のろう付け層は、W1/W2が0.59と規定範囲内であり、また、優れた高温引張強さを有していた。しかし、Ni濃度が23mass%と規定範囲(25〜50mass%)未満であると共に、Fe濃度が51mass%と規定範囲を超えていたため、ろう付け接合部において腐食が発生した。すなわち、比較例2のろう付け用複合材を用いたろう付け製品のろう付け接合部は、耐食性に問題があり、自動車用熱交換器などの高耐食環境下では使用が難しいことがわかった。
また、比較例3のろう付け用複合材を用いたろう付け製品のろう付け接合部は、良好な耐食性を有していた。しかし、W1/W2が0.35と規定範囲未満であり、Ti濃度が46mass%と規定範囲(10〜40mass%)を超えていたため、高温での引張強さがいずれも規定範囲未満になると共に、B/Aも0.66と規定範囲未満になった。
一方、従来例1のろう付け用複合材は、ろう付け層がCu単体で構成されているため、700℃を超える高温環境下では引張り強さが極端に低下してしまい、高温材料としての使用は難しいことが明らかであった。また、ろう付け層がCu単体で構成されているため、耐食性が不十分で、著しい腐食が発生することから、高耐食環境下での使用に耐えられないことがわかった。
従来例2のろう材(市販の高耐食粉末Niろう材)を用いたろう付け製品のろう付け接合部は、腐食の発生は認められず、良好な耐食性を有していた。しかし、900℃での引張り強さが145MPa(14.8kgf/mm2)と規定範囲未満になると共に、B/Aも0.60と規定範囲未満になった。
従来例3のろう材(市販の高耐食粉末Niろう材)は、試験片50を作製するための加工中にろう付け接合部52が破断してしまい、引張強度試験が実施できなかった。破断部の分析の結果、ろう材中に非常に硬い化合物(又はその相)が形成されていることがわかった。その硬い化合物が破壊の起点となってそこからクラックが発生すると共に、その硬い化合物をクラックが容易に伝播することで、ろう付け接合部52が破断するに至ったと考えられる。
以上より、粉末材や箔材からなるろう材や、基材とろう付け層が一体化されたろう付け用複合材のいずれにおいても、W1/W2及びろう付け処理後のろう材組成を本発明の規定範囲とすることで、十分な耐食性及び高温強度が得られることがわかった。
本発明の好適一実施の形態に係るろう材の横断面図である。 図1の変形例である。 本発明の他の好適一実施の形態に係るろう付け用複合材の横断面図である。 図3の変形例である。 [実施例]における引張強度試験の概略図である。図5(a)は、引張強度試験に供する試験片の外観図を、図5(b)は、図5(a)の試験片に引張応力を付与した状態を示している。
符号の説明
10 ろう材

Claims (13)

  1. 被ろう付け部材同士をろう付けするろう材において、
    Ti、Ni、Fe、及びCrを含む合金で構成され、ろう材に含まれるNi成分の重量W1とろう材に含まれるNi成分とTi成分の重量の総和W2の比(W1/W2)が、0.55〜0.70であることを特徴とするろう材。
  2. ろう付け処理後の合金組成が、
    Ti:10〜40mass%、
    Ni:25〜50mass%、
    Fe:10〜50mass%、
    Cr: 1〜20mass%、
    となるように、各成分の割合を調整した請求項1記載のろう材。
  3. 700〜900℃での引張強さが147MPa(15kgf/mm2)以上である請求項1又は2記載のろう材。
  4. 700〜900℃での引張強さの下限値Bと常温での引張強さAの比(B/A)が0.70以上である請求項1から3いずれかに記載のろう材。
  5. 上記ろう材が、金属単体粉末の混合体、又は合金粉末の混合体である請求項1から4いずれかに記載のろう材。
  6. 上記ろう材が、箔材である請求項1から4いずれかに記載のろう材。
  7. 上記ろう材が、棒材又はワイヤ材である請求項1から4いずれかに記載のろう材。
  8. 基材の表面にろう材層を一体的に設けてなる複合材で構成され、被ろう付け部材とろう付けされるろう付け用複合材において、
    上記ろう材層を、請求項1から5いずれかに記載のろう材で構成したことを特徴とするろう付け用複合材。
  9. 上記ろう付け用複合材が、箔材である請求項8記載のろう付け用複合材。
  10. 上記ろう付け用複合材が、棒材又はワイヤ材である請求項8記載のろう付け用複合材。
  11. 請求項1から7いずれかに記載のろう材を用い、被ろう付け部材同士をろう付け接合したことを特徴とするろう付け製品。
  12. 請求項8から10いずれかに記載のろう付け用複合材と被ろう付け部材をろう付け接合したことを特徴とするろう付け製品。
  13. 被ろう付け部材同士がろう付け接合部を介して接合されたろう付け製品において、
    上記ろう付け接合部の合金組成が、
    Ti:10〜40mass%、
    Ni:25〜50mass%、
    Fe:10〜50mass%、
    Cr: 1〜20mass%、
    であることを特徴とするろう付け製品。
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