JP2006333838A - 減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 最適成育温度37〜38℃付近で、熱に弱い乳酸菌をプロバイオティクスなどとして含有する発酵乳を、乳酸菌を生かしたままで乾燥、粉末化することに適した発酵乳粉末の製造方法を提案する。
【解決手段】 発酵乳を減圧噴霧乾燥することにより、生きた乳酸菌を含む発酵乳粉末を製造する減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法。発酵乳を減圧噴霧乾燥する際の乾燥用の熱源として遠赤外線を用い、発酵乳粉末中の生きた乳酸菌の数が減圧噴霧乾燥処理を行う前の発酵乳中の乳酸菌の数の70%乃至80%で、発酵乳を減圧噴霧乾燥する際の乾燥温度が50℃以下、好ましくは35℃〜38℃である減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法。
【選択図】 図1

Description

この発明は、発酵乳(例えば、無糖ドリンクヨーグルトのような発酵乳飲料や、ヨーグルトなど)を減圧下で噴霧乾燥して発酵乳粉末を製造する方法に関し、特に、生きた乳酸菌を含んだ発酵乳粉末を製造することに適した発酵乳粉末の製造方法に関する。
食品中の成分を長期間保持させる方法の一つに、古くから用いられている方法として乾燥技術がある。乾燥により、食品中の水分を減らし、食品の腐敗や成分変化を抑制することができる。また、乾燥することにより軽量化がなされ流通面での低コスト化が図れる。したがって、この乾燥技術をうまく利用すれば、食品中の有効成分をより長期間にわたり保持できる可能性がある。
食品の中でも特に液体食品を乾燥する技術として噴霧乾燥法、凍結乾燥法、減圧噴霧乾燥法がある。
噴霧乾燥法(Spray Dry)(以下「SD法」と表すことがある。)は、常圧(1.0×10Pa程度)の下で原料をノズルより噴霧して微粒化し、そこに120℃〜200℃の熱風をあてて、直接乾燥粉末を得る方法である。
凍結乾燥法(Freeze Dry)(以下「FD法」と表すことがある。)は、昇華作用により真空条件で液体材料から脱水し、粉体を得るものであり、原料を急速冷凍して凍結させたのち、乾燥室内を減圧して水分を昇華させることにより乾燥を行う方法である。
FD法は低温での乾燥が可能であるため、熱に弱い有用成分の活性を維持しやすく、食品中の成分変化が少なくて済むが、製造費が高く、短時間で水分を蒸発できないため、乾燥までに長時間を要し、連続式ではなく、回分式でしか粉体を得ることができないという欠点がある。
これに対しSD法は瞬間的に乾燥が行われるので成分変化が少ないと言われているが、熱風(120℃〜200℃)を用いるために熱に非常に弱い成分(ビタミン、有用微生物、酵素など)は失われる可能性が否定できない。しかし、SD法の方が、より短時間で水分を蒸発でき、連続式で粉体を得ることができて、低コストでの乾燥が可能である。
減圧噴霧乾燥法(Vacuum Spray Drying)(以下「VSD法」と表すことがある。)は、減圧条件にある温風(40℃程度)へ、液体材料を霧状に噴射することにより粉体を得るものである。このVSD法は40℃程度の温風を用いているので、熱に弱い有用成分の活性を維持しつつ、連続式で粉体を得ることが可能である。すなわち、VSD法は前記した2つの乾燥法の長所を兼ね備えていることになる。
このVSD法において、蒸発の際の潜熱を供給する熱源として噴霧乾燥装置の蒸発室(乾燥室)の周壁の少なくとも一部を遠赤外線放射面とし、減圧下において、牛乳のような熱によって変質しやすい溶液や懸濁液を乾燥し、粉体を得る提案もされている(特許文献1)。
特開平10−28568号公報
食品中の有効成分の中で熱に弱いものとして、整腸作用などがあるとされる乳酸菌がある。乳酸菌は一般的に無胞子で、最適成育温度37〜38℃付近であることから熱に非常に弱く、前述した従来のVSD法においても、乳酸菌を含有する食品についての粉末化方法は提案されていなかった。また、FD法によって乳酸菌の生菌末を製造することは従来から提案されているが、前述したように製造コストが高いという問題があった。
なお、本明細書、特許請求の範囲、図面において、乳酸菌とは、乳酸菌そのものの他に、ビフィズス菌なども含まれるものとする。
乳酸菌を含有する食品はプロバイオティクス食品(例えば、乳酸菌飲料や、プレーンヨーグルト)と呼ばれるが、プロバイオティクスとは腸内フローラ(菌叢)のバランスを改善する効果を持った「生きた微生物」と評されるもので、プロバイオティクス食品は整腸効果の他に様々な効果があるとされている。
このプロバイオティクス食品(例えば、乳酸菌飲料や、プレーンヨーグルト)を、低コストで大量に、粉末化できるようになれば、乳酸菌をプロバイオティクスとして含んだ錠剤や顆粒剤の商品化が可能となる。また、工場で使用する乳酸菌の常温輸送や常温管理が可能となる。
本発明は、乳酸菌をプロバイオティクスなどとして含有する食品(例えば、発酵乳)を乾燥、粉末化することに適した、発酵乳粉末の製造方法、特に、生きた乳酸菌を含んだ発酵乳粉末を製造することに適した発酵乳の粉末化方法を提案することを目的にしている。
前記目的を達成するため、本発明が提案する減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法は、発酵乳を減圧噴霧乾燥することにより、生きた乳酸菌を含む発酵乳粉末を製造するものである。また、この場合の発酵乳を減圧噴霧乾燥する際の乾燥用の熱源として遠赤外線を用いるものである。更に、発酵乳粉末中の生きた乳酸菌の数が減圧噴霧乾燥処理を行う前の発酵乳中の乳酸菌の数の70%乃至80%であり、発酵乳を減圧噴霧乾燥する際の乾燥温度が50℃以下、好ましくは35℃〜38℃であることを特徴とするものである。
本発明によれば、乳酸菌をプロバイオティクスなどとして含有する食品(例えば、発酵乳)から、生きた乳酸菌を含む発酵乳粉末を製造することができる。
この発明によれば、乳酸菌をプロバイオティクスなどとして含有する食品(例えば、発酵乳)を低コストで、大量に、乾燥、粉末化することができる。
また、この発明によれば、減圧噴霧乾燥処理を行う前の発酵乳中の乳酸菌の数の70%乃至80%を発酵乳粉末中に維持することができる。
本発明により、安価で大量に、発酵乳を粉末化することができ、乳酸菌をプロバイオティクスなどとして含んだ錠剤や顆粒剤の商品化が可能となる。また、工場で使用する乳酸菌の常温輸送や常温管理が可能となる。
本発明は、発酵乳を減圧噴霧乾燥することにより、生きた乳酸菌を含む発酵乳粉末を製造する減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法である。
すなわち、本願の発明者等は、乳酸菌をプロバイオティクスなどとして含有する食品(例えば、発酵乳)を減圧噴霧乾燥法によって粉末化することにより、生きた乳酸菌を含む発酵乳粉末を製造することが可能であることを見出して本願発明を完成させたものである。
前記において、発酵乳(例えば、無糖ドリンクヨーグルトのような発酵乳飲料や、ヨーグルトなど)を減圧噴霧乾燥する際の乾燥用の熱源として遠赤外線を用いることができる。
発明者等の実験によれば、減圧下にある乾燥塔(乾燥室)内においても、乾燥用の熱源として遠赤外線を用いれば、効果的に熱を伝達することが可能であり、生存する乳酸菌の数を高い状態で維持しつつ、減圧噴霧乾燥によって生きた乳酸菌を含んだ発酵乳粉末を製造することができた。
すなわち、本発明の減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法は、発酵乳粉末中の生きた乳酸菌の数が減圧噴霧乾燥処理を行う前の発酵乳中の乳酸菌の数の70%乃至80%であることを特徴とするものである。
このように、乾燥用の熱源として遠赤外線を用い、生存する乳酸菌の数を高い状態で維持して発酵乳粉末を製造する本発明の減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法においては、発酵乳を減圧噴霧乾燥する際の乾燥温度を50℃以下、より好ましくは35℃〜38℃とすることが望ましい。
すなわち、乾燥温度を50℃以下とする(具体的には、減圧噴霧乾燥が行われる乾燥室内の温度を50℃以下にする)と、より好ましくは35℃〜38℃にすると、製造された発酵乳粉末における乳酸菌の生存確率が高くなる。
発明者等の実験によれば、減圧噴霧乾燥が行われる乾燥室内の温度を50℃以下にして本発明の方法を実施すると、粉末化処理前の発酵乳に生存していた乳酸菌の40%以上が粉末化後も生存し続けていた。
また、乾燥温度を35℃にした場合には、粉末化処理前の発酵乳に生存していた乳酸菌の80%以上が粉末化後も生存していた。乳酸菌の最適成育温度は37〜38℃付近であるので、乾燥温度を35℃〜38℃にして本発明の方法を使用した場合には、非常に高い確率で乳酸菌を乳酸菌粉末中に生存させ続けることができる。
なお、前記のように、乾燥用の熱源として遠赤外線を用い、生存する乳酸菌の数を高い状態で維持して発酵乳粉末を製造する本発明の減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法において、発酵乳を減圧噴霧乾燥する際の乾燥温度を50℃以下、より好ましくは35℃〜38℃に維持して減圧噴霧乾燥する際の乾燥塔(乾燥室)内の圧力は、例えば、8〜11kPaに減圧した状態にしておくことができる。
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。
図1は、本発明の減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法の実施に適用できる発酵乳粉末化装置の好ましい一実施例を説明するものである。
図示のように、外部から密閉されている乾燥塔1の上部内側に吹出ノズル2を臨ませてある。吹出ノズル2には、粉末化処理が行われる発酵乳が投入されている原料タンク3が送液ポンプ5を介して接続されていると共に、圧縮空気供給タンク4が接続されている。
原料タンク3には加熱攪拌機6が付設されており、吹出ノズル2に送液ポンプ5を介して供給される発酵乳の温度が乾燥塔1内の所定の温度に対応するように調整している。
乾燥塔1の下部には、排気パイプを介して排気機構が接続されており、これによって、乾燥塔1内の圧力が所定の低圧に保たれる。排気機構は真空ポンプ13からなり、真空ポンプ13が、メインバルブ15aと、乾燥塔1内からの排気から水蒸気を凝縮させるためのコールドトラップ14とを介して乾燥塔1に接続されている。
なお、乾燥塔1から排気機構に接続される部分には邪魔板17を配置し、乾燥塔1内の発酵乳粉末などが排気機構側に流入しないようにして、連続的な粉末化処理を可能にしている。
所定の低圧に維持されている乾燥塔1内において吹出ノズル2から噴霧された発酵乳を蒸発させるための潜熱を供給する加熱手段として、この実施形態では、吹出ノズル2が配備されている位置の近傍、すなわち、乾燥塔1内の上部空間に遠赤外線ヒーター9を配置すると共に、乾燥塔1の下部の外周に温水チューブ10を巻き付けている。温水チューブ10には、恒温水槽11から温水循環ポンプ12を介して温水が供給される。
図1図示のように、遠赤外線ヒーター9が配置されている乾燥塔1の上部には上部温度センサ8aが配備されており、上部温度センサ8aで検知した温度に応じて、乾燥塔1の上部空間が所定の温度(例えば、50℃以下や、35℃〜38℃)に保たれるように、温度制御器7aにより遠赤外線ヒーター9の出力が制御される。例えば、上部温度センサ8aで検知した温度が所定の温度、例えば、50℃を越えたときに遠赤外線ヒーター9をOFFにするように制御する。
また、外周に温水チューブ10が巻き付けられている乾燥塔1の領域には、中間部温度センサ8c、下部温度センサ8bが配備されており、これらで検知した温度に応じて、乾燥塔1内の下部空間が所定の温度(例えば、35℃〜38℃)に保たれるように、温度制御器7bにより温水循環ポンプ12による温水チューブ10への温水の供給量が制御される。例えば、中間部温度センサ8c、下部温度センサ8bで検知した温度が所定の温度、例えば、50℃を越えたときに温水循環ポンプ12による温水チューブ10への温水の供給を停止するように制御する。
なお、この実施形態では、排気機構への接続部に出口部温度センサ8dを設け、排気部の温度も検知可能にしている。
次に、図1図示の発酵乳粉末化装置を用いた本発明の粉末化方法の一例を説明する。
原料タンク3内に、固形分濃度11%に調整したプレーンヨーグルト(明治乳業株式会社製)を入れ、加熱攪拌機を作動させて36℃前後の温度に維持する。
遠赤外線ヒーター9を作動させると共に、温水循環ポンプ12を作動させて、恒温水槽11内で40℃前後の温度に維持されている温水を温水チューブ10に送り、乾燥塔1内の温度を37℃にまで加熱する。
一方、コールドトラップ14に付けられているリークバルブ15bは閉じたまま、メインバルブ15aを開いて真空ポンプ13を作動させ、乾燥塔1内を減圧する(3.5kPa〜4.5kPaの圧力に減圧した)。
ここで、不図示の制御装置により、送液ポンプ5を作動させると共に、圧縮空気タンク4からの圧縮空気の供給を開始し、乾燥塔1内への発酵乳の噴霧を開始する。
圧縮空気及び発酵乳が乾燥塔1内に噴霧されることにより乾燥塔1内の圧力が高くなるが、圧力計(デジタルマノメーター)16で乾燥塔1内の圧力を把握して、乾燥塔1内の圧力が8〜11kPaに維持されるようにした。
乾燥塔1内の温度は、上部温度センサ8a、中部温度センサ8c、下部温度センサ8bで検知しながら、遠赤外線ヒーター9の出力、温水循環ポンプ12による温水の送水量を制御して36℃前後に維持した。
粉末化工程が完了した後、不図示の制御装置による制御によって、送液ポンプ5の作動を停止すると共に、圧縮空気タンク4からの圧縮空気の供給を停止し、乾燥塔1内への発酵乳の噴霧を終了する。
ノズル2からの噴霧が終了した後、メインバルブ15aを閉じ、真空ポンプ13を停止する。次いで、コールドトラップ14に付設されているリークバルブを開放して乾燥塔1内を大気圧に戻し、乾燥塔1の下部を空けて、製品(乾燥粉末)を回収する。
(乳酸菌生存数の確認試験)
原料の有効成分である乳酸菌数を測定する手法として、微生物に含まれるATPの濃度を測定して生菌数を推算するATP法(バイオルミネッセンス法)を採用した。
そこで、前記の実施例で使用した原料(プレーンヨーグルト)について、減圧噴霧乾燥による粉末化処理を行う前の初期ATP濃度及び、減圧噴霧処理時の乾燥塔1内の温度を35℃、50℃、80℃、120℃に変更した以外の条件を同一にして前記の実施例の方法で減圧噴霧乾燥処理して製造した発酵乳粉末におけるATP濃度の測定を行った。
初期ATP濃度の測定方法
初期ATP濃度はATPアナライザ(東亜DKK AF-100)を用いて行った。本装置はルシフェリン-ルシフェラーゼ反応により発光現象を起こし、相対発光量(RLU:Relative Light Unit)を測定することによりATP濃度を分析し、微生物数の推算を行う装置である。
なお、試料が着色していると発光が阻害され精度が落ちるので、純水で150倍に希釈して測定した。
実際の測定手順を以下に述べる。まず、ATPを全く含まないゼロ校正液、100nmol/LのATP標準試薬、微生物を分解する微生物抽出試薬、ルシフェリンおよびルシフェラーゼを含む発光試薬を用いてゼロ校正(キャリブレーション)を行う。
その後、希釈試料と微生物抽出試薬を測定容器にいれ20秒間攪拌する。最後に発光試薬を入れ、容器を装置に入れると測定が始まり、結果を求めることができる。各試薬および希釈試料はすべて100μlずつ用いる。なお、測定およびゼロ校正の際には装置メーカーの純正試薬(東亜DKK AF-2A1、AF-2L1、AF-2K1)を用いた。
ATP濃度の経時変化
各温度条件での処理後、得られた粉体に純水を加え還元し、初期ATP濃度の測定の時と同様150倍に希釈してATPアナライザ(東亜DKK AF-100)でATP濃度を測定した。その結果、還元直後は高温乾燥の場合でも測定値が高く、時間経過により減少していくことがわかった。これは、還元直後は減圧噴霧乾燥処理により生じた死菌のATPも測定しているためだと考えられる。このため、微生物活性の保持を考察するためには還元後のATP濃度の経時変化を測定する必要があると考えられた。そこで、還元後ATP濃度を直ちに測定して、これを0分とし、その後30℃の恒温水槽に浸して30分ごとにATP濃度の経時変化を測定した。
乾燥後に純水で還元した場合、死菌の影響で還元後30分の間は急激にATPが減少したが、30分経過後、60分以降は数値が安定したので、30経過時、60経過時のATP濃度を測定した。
一方、前記の実施例で使用した原料(プレーンヨーグルト)について、乳酸菌の数と、ATP濃度との関係を確認したところ、図2図示のように、直線的な比例関係を有することが把握できた。
これを参考にして、減圧噴霧処理時の乾燥塔1内の温度を35℃、50℃、80℃、120℃に変更した以外の条件を前記の実施例の方法と同一にして減圧噴霧乾燥処理して製造した発酵乳粉末における乳酸菌の生存数を確認したところ、粉末乾燥後30分、60経過時では、減圧噴霧乾燥処理前における発酵乳の固形分当たりに含まれる乳酸菌個数を10億個として、図3図示のようになった。
すなわち、乾燥塔1内の温度を35℃にして本発明の減圧噴霧乾燥方法によって製造した乳酸菌粉末の場合、製造後60分が経過しても、処理前の80%を越える数の乳酸菌が生存していた。
また、乾燥温度50℃の場合も、30経過時で50%以上、60経過時で40%以上の乳酸菌が生存していた。
更に、乳酸菌の最適成育温度は37〜38℃付近であるにもかかわらず、80℃の乾燥温度でも16%、120℃の乾燥温度でも6%の乳酸菌が生存していた。
そこで本発明の減圧噴霧乾燥法はプロバイオティクス食品の乾燥・粉末化に有効な手法であると考えられ、特に、乾燥温度を50℃以下、より好ましくは、乳酸菌の最適成育温度を考慮した35℃〜38℃の乾燥温度で本発明の減圧噴霧乾燥法を使用すれば、乳酸菌をプロバイオティクスなどとして含有する食品(例えば、発酵乳)を低コストで、大量に、乾燥、粉末化することが可能になる。
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はかかる実施形態に限られるものではない。
例えば、前記の実施例では、原料である発酵乳と、圧縮空気とを同時に送ることによって微粒子化を行う二流体ノズル式の噴霧を行ったが、加圧タイプでの噴霧にすることもできる。
また、減圧噴霧乾燥処理時における乾燥温度を供給するための熱は、前記の実施例では、発酵乳が噴霧される近傍のみに遠赤外線ヒーターを配備し、遠赤外線ヒーターによる熱の供給が少なくなる乾燥塔1の下部では、乾燥塔の壁に加熱手段(乾燥塔の壁の外周に巻き付けられた、内部に温水が流れる温水ヒーター)を配備する形態としたが、これ以外の形態も採用可能である。
遠赤外線による加熱は、加熱の際に熱媒体を必要とせず、減圧下でも効率よく熱供給できる点で有利なので、遠赤外線ヒーターのみによって乾燥用の熱を供給することも可能である。例えば、発酵乳が噴霧される近傍のみだけでなく、乾燥搭内において発酵乳が噴霧される位置から離れている位置にも遠赤外線ヒーターを配備したり、乾燥搭内において発酵乳が噴霧される位置の近傍から、乾燥搭内において発酵乳が噴霧される位置から離れている位置にまで連続的に遠赤外線ヒーターが配備されている形態にすることもできる。
このように、乾燥搭(あるいは、乾燥室)内において発酵乳が噴霧される位置の近傍のみに遠赤外線ヒーターが配備されている形態、乾燥搭内において発酵乳が噴霧される位置の近傍と、乾燥搭内において発酵乳が噴霧される位置から離れている位置との双方に遠赤外線ヒーターが配備されている形態、あるいは、乾燥搭内において発酵乳が噴霧される位置の近傍から、乾燥搭内において発酵乳が噴霧される位置から離れている位置にまで連続的に遠赤外線ヒーターが配備されている形態などのように、加熱手段が乾燥搭の壁に配備されていない形態にすると、減圧噴霧乾燥処理によって製造される粉体が乾燥搭の内壁に付着して粉体の回収率が低下することを防止できるので有利である。
ただし、乾燥塔の壁のみに加熱手段を配備しておくこともできる。例えば、前記の実施例で説明したように、乾燥塔の壁の外周に巻き付けられた、内部に温水が流れる温水ヒーターを乾燥塔の全長にわたって設けることや、乾燥塔の全長において、その壁の内部に、加熱流体が通過する流路を設ける、等々の形態を採用することができる。
なお、乾燥塔の壁に加熱手段を配備する場合、減圧噴霧乾燥処理によって製造される粉体が乾燥塔の内壁に付着してしまうので、乾燥塔の壁に加熱手段を配備する場合には、前述の実施例のように、乾燥搭内において発酵乳が噴霧される位置の近傍には遠赤外線ヒーターを配備し、遠赤外線ヒーターによる熱の供給が少なくなる乾燥搭内において発酵乳が噴霧される位置から離れている位置における乾燥塔の壁に加熱手段を配備するようにすることが望ましい。
本発明の減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法の実施に適用できる発酵乳粉末化装置の好ましい一実施例を説明する図。 発酵乳(プレーンヨーグルト)における乳酸菌の数とATP濃度との関係を表す図。 減圧噴霧処理時の乾燥温度を変化させて本発明の減圧噴霧乾燥法によって製造した発酵乳粉末中の乳酸菌の数を表す図。
符号の説明
1 乾燥塔
2 吹出ノズル
3 原料タンク
4 圧縮空気供給タンク
5 送液ポンプ
6 加熱攪拌機
7a、7b 温度制御器
8a 上部温度センサ
8b 下部温度センサ
8c 中間部温度センサ
8d 出口部温度センサ
9 遠赤外線ヒーター
10 温水チューブ
11 恒温水槽
12 温水循環ポンプ
13 真空ポンプ
14 コールドトラップ
15a メインバルブ
15b リークバルブ
16 圧力計(デジタルマノメーター)
17 邪魔板

Claims (4)

  1. 発酵乳を減圧噴霧乾燥することにより、生きた乳酸菌を含む発酵乳粉末を製造することを特徴とする減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法。
  2. 発酵乳を減圧噴霧乾燥する際の乾燥用の熱源として遠赤外線を用いることを特徴とする請求項1記載の減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法。
  3. 発酵乳粉末中の生きた乳酸菌の数が減圧噴霧乾燥処理を行う前の発酵乳中の乳酸菌の数の70%乃至80%であることを特徴とする請求項1又は2記載の減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法。
  4. 発酵乳を減圧噴霧乾燥する際の乾燥温度が50℃以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の減圧噴霧乾燥法による発酵乳粉末の製造方法。
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