JP2006332709A - 電極への電力供給方法、該電力供給方法を用いたプラズマ表面処理方法及びプラズマ表面処理装置 - Google Patents

電極への電力供給方法、該電力供給方法を用いたプラズマ表面処理方法及びプラズマ表面処理装置 Download PDF

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村田正義
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Abstract

【課題】
VHFプラズマ及びUHFプラズマの大面積・均一化プロセスへの応用において、定在波問題を効果的に解決することにより、大面積・均一化処理が可能なプラズマ表面処理方法及び表面処理装置を提供すること。
【解決手段】
ランダム位相変調器によりランダムに位相変調される高周波発振器を内臓した複数の電源の出力を一対の電極に供給することにより、該電極間に互いに独立で、時間的・空間的に変動しない複数の定在波を同時に発生させ、かつ、その複数の定在波の腹の位置を個々に制御することにより、大面積プラズマを一様化・均一化する方法及び装置。
【選択図】図7

Description

本発明は、プラズマを利用して基板の表面に所定の処理を施す表面処理装置及び表面処理方法に関する。本発明は、特に、メートル級サイズの大面積基板を対象にしたプラズマ発生用電極への高周波電力の供給方法、該供給方法を用いたプラズマ表面処理方法及びプラズマ表面処理装置に関する。
プラズマを用いて基板の表面に各種処理を施し、各種電子デバイスを製作することは、LSI(大規模集積回路)、LCD(液晶デイスプレー)用TFT(薄膜トランジスター)、アモルファスSi系太陽電池、薄膜多結晶Si系太陽電池、複写機用感光体、および各種情報記録デバイス等の分野において既に実用化されている。また、ダイヤモンド薄膜および立方晶ボロンナイトライド(C−BN)等の超硬質膜製造分野においても実用化が進みつつある。
また、最近、薄膜太陽電池の本格的実用化普及を目指した低コスト化及び生産性向上に必要な大面積太陽電池製造用プラズマCVD装置や高画質で大面積の液晶デイスプレーの低コスト化に必要な大面積薄膜トランジスター(TFT)製造用プラズマCVD装置が、特に注目されている。
上記技術分野は、薄膜形成、エッチング、表面改質およびコーテイング等多岐に亘るが、いずれも反応性プラズマの化学的および物理的作用を活用したものである。上記反応性プラズマの生成に関する装置および方法には、電極構造の形状で大別すると3つの代表的技術がある。
第1の代表的技術は、例えば、特許文献1及び非特許文献1、2に記載されているもので、プラズマ発生に非接地電極と接地電極から成る2枚の平行平板電極を一対として用いることを特徴とする。
第2の代表的技術は、例えば特許文献2及び3に記載されているもので、プラズマ発生に棒電極あるいはラダー型電極と平板電極を一対として用いることを特徴とする。
第3の代表的技術は、例えば、特許文献4に記載されているもので、電極がアンテナ方式であることを特徴とする。
プラズマの大面積、均一化の方法及び手段で大別すると、第1の代表的技術は、例えば、特許文献1、3に記載されているもので、電極上の少なくとも2つの給電点へ給電する電力の電圧の位相差を時間的に変化させ、電極の電圧分布における定在波を揺動することにより、その発生の影響を抑制することを特徴とする。
第2の代表的技術は、特許文献5に記載されているもので、電極に、腹の位置が異なる2つの定在波を時間的にずらせて発生させ、それを重畳させることにより、均一な電圧分布が得られるということを特徴とする。
第3の代表的技術は、特許文献6に記載されているもので、電極に、互いに独立の関係にあり、かつ腹の位置が異なる2つの定在波を同時に発生させ、それを重畳させることにより、均一な電圧分布が得られるということを特徴とする。
上記文献記載の技術の特徴は概略次の通りである。特許文献1に記載の技術は、非接地電極を方形電極とし、該方形電極の第1の辺の側面に複数の第1の電力供給点を配置し、該第1の辺と対向する第2の辺の側面に複数の第2の電力供給点を配置し、かつ、該複数の第1の給電点に供給される電力の電圧と該複数の第2の電力供給点に供給される前記電力の電圧の位相差を時間的に変化させることにより、一対の電極間の電界分布を平均化し、結果として、プラズマの強さの空間的分布を一様化することを特徴としている。なお、この技術では互いに向かい合った方向に伝播するように供給される2つの電力の進行波を干渉させて定在波を生成させ、該定在波の腹の位置を時間的に変化させることが可能である。
特許文献2に記載の技術は、一対の電極の電力供給点の反対側の先端部分に反射電力の位相を調整する位相調整回路が接続されるということを特徴としている。この技術では、該位相調整回路を制御することにより、反射波の位相の調整が可能で、該供給電力の進行波と反射波を干渉させて定在波を生成することが可能で、かつ、該定在波の腹の位置を移動することが可能である。
特許文献3に記載の技術は、電極上のある1つの給電点に供給される電力の電圧と他の少なくとも1つの給電点に供給される前記電力の電圧の位相差を時間的に変化させることにより、一対の電極間の電界分布を平均化し、結果として、プラズマの強さの空間的分布を一様化することを特徴としている。なお、この技術では、互いに向かい合った方向から供給される2つの電力の進行波を干渉させて定在波を生成させ、該定在波の腹の位置を時間的に変化させることが可能である。
特許文献4に記載の技術は、電極が線状導体をその中央点を基準に平面内に含まれるように折り返して形成され、該中央点を給電点としたことが特徴である。なお、この電極の形状には、例えばU字型あるいはM字型がある。また、該U字型あるいはM字型電極がアンテナとなって供給電力が空間へ放射される。
特許文献5に記載の技術は、電極の両端に対向して配置された第1の給電点及び第2の給電点に、それぞれに第1の高周波電源から出力された2つのパルス変調正弦波電力の電圧の位相差を所定の値に設定して供給し、かつ、該第1の高周波電源から出力された2つのパルス変調正弦波電力と時間帯を異ならせて、第2の高周波電源から出力された2つのパルス変調正弦波電力の電圧の位相差を所定の値に設定して供給することにより、即ち第1の高周波電源から出力されるパルス電力と第2の高周波電源から出力されるパルス電力を時間的に交互に供給することにより、腹の位置が異なり、かつ発生時間帯が異なる2つの定在波を発させることにより、電極の電力分布を均一にすることを可能としている。
特許文献6に記載の技術は、電極の両端に対向して配置された第1の給電点及び第2の給電点に、互いに独立の関係にある位相可変2出力の第1及び第2の高周波電源から出力される高周波電力を同時に供給し、かつ、該第1の高周波電源から出力された2つの電力の電圧の位相差を所定の値に設定して、該第2の高周波電源から出力された2つの電力の電圧の位相差を所定の値に設定して供給することにより、腹の位置が異なり、かつ時間的、空間的に変化のない互いに独立の関係にある2つの定在波を発生させることにより、電極の電力分布を均一にすることを可能としている。
非特許文献1に記載の技術は、非接地電極のプラズマに接する面の裏側の面にH文字状の給電帯を設置し、該H文字状給電帯上に複数の給電点を設置したことを特徴としている。
非特許文献2に記載の技術は、非接地電極の給電点の反対側、即ち電力伝播方向に位置する該電極の端部にコイルを設置し、電源と該一対の電極を結ぶ給電線および該電極に発生する定在波の腹の位置をずらすことを特徴としている。
特開2002−12977(第2頁、第1図、第10−11図) 特開平11−243062(第2頁、第1図、第7〜8図) 特許第3316490号(第1頁、第1図、第8図) 特開2000−345351(第2頁、第1図、第5図、第7図) 特開2005−123203(第2〜4頁、第1図、第2図、第8図) 特開2005−123199(第2〜4頁、第1図、第2図、第6図)
L.Sansonnens, A.Pletzer, D.Magni, A.A.Howling,Ch.Hollenstein and J.P.M.Schmitt,:A voltage uniformity study in large-area reactors for RF plasma deposition、Plasma Source Sci. Technol. 6 (1997),p.170-178. J.Kuske, U.Stephan, O.Steinke and S.Rohleck: Power feeding in large area PECVD of amorphous silicon, Mat. Res. Soc. Symp.Proc. Vol. 377(1995),p.27-32.
上記のプラズマ表面処理技術、即ちプラズマ表面処理装置とプラズマ表面処理方法は、LCD,LSI,電子複写機および太陽電池等の産業分野のいずれにおいても、生産性向上に伴う製品コストの低減および大面積壁掛けTVなど性能改善等に関する大面積・均一化および高速処理化のニーズが年々強まっている。
特に、最近はエネルギー資源問題や地球環境問題に対応した新エネルギー源として実用化普及の加速化が期待されている薄膜シリコン系太陽電池の分野では、これまで以上により一層の生産コストの低減が社会的ニーズとして求められている。
上記ニーズに対応するため、最近では、一つの技術傾向として、産業界のみならず、学会でも特に、プラズマCVD(化学蒸着)技術およびプラズマエッチング技術ともに、高性能化と高速処理化が可能(低電子温度で高密度のプラズマが生成可能)という特徴のあるVHF帯(30MHz〜300MHz)及びUHF帯域(300MHz〜3000MHz)の電源を用いたプラズマCVD技術の実用化研究が盛んになっている。
しかしながら、従来技術では、以下に述べるような課題が依然として存在し、上記ニーズの分野では齟齬をきたしている。
上記技術分野における課題は、VHF及びUHFプラズマを用いた表面処理の高速化・大面積・均一化(生産性向上および性能向上)が可能な高生産性プロセス用VHF及びUHFプラズマ表面処理装置及びVHF及びUHFプラズマ表面処理方法に係わる技術のブレークスルーである。
一般に、LCD分野では、膜厚分布は再現性を確保して、±5%程度、太陽電池分野では、膜厚分布は再現性を確保して、±10%程度が実用化の一つの指標となっている。しかしながら、1987年世界初の試みとして登場したVHFプラズマの高速化・大面積・均一化に関する技術はあまり進展が見られない状況にある。
従来のVHFプラズマ技術では、例えばa−Si膜を製造する場合、再現性の確保を前提条件にすると、基板面積が50cmx50cm程度に関しては、±10〜15%程度の膜厚分布、100cmx100cm程度に関しては、±20〜40%程度の膜厚分布であり、上記指標をクリアできないという問題がある。
膜厚分布の不均一性の直接的原因としてはプラズマ密度の不均一性があり、プラズマ密度の不均一性の原因には、上記VHF固有の問題である波の干渉現象に起因する定在波の発生がある。この定在波の問題は電磁波の伝播に伴う基本的な現象であるため、従来、抜本的解決手段がなく、次善の策として、前記特許文献1〜4にある技術が実用化されつつある。
しかしながら、いずれの技術も次に述べるような問題がある。すなわち、この定在波の問題を抜本的に解決できていない。
(1)特許文献1記載の技術は、方形電極の互いに対向した2つの辺から供給される電力の電圧の位相差を時間的に、例えば数kHZの周波数で、鋸歯状に変化させることにより、一対の電極間に発生の定在波の腹の位置を移動させ、時間平均的に見て均一化するものである。膜厚分布は、アモルファスSi製膜では、基板面積が50cmx50cm程度に関しては、±10〜15%程度の膜厚分布が得られているが、100cmx100cm程度に関しては、±20%以上と見られている。また、技術改善が困難で±20%程度が限界と見られている。
(2)特許文献2記載の技術は、電力供給点の反対側に、位相調整装置を設置し、電力の反射波の位相を制御するので、電力の吸収率が高い条件、例えば圧力が数100Pa〜数1000Paでのプラズマ生成では反射波の強さが弱くなり、反射波の制御が無理となる。すなわち、プラズマ生成の圧力が数100Pa程度以下との条件の場合でないと応用できないという欠点がある。
(3)特許文献3記載の技術は、特許文献1記載の技術と同様に、電極上のある1つの給電点に供給される電力の電圧と他の少なくとも1つの給電点に供給される前記電力の電圧の位相差を時間的に変化させることにより、一対の電極間の電界分布を平均化し、結果として、プラズマの強さの空間的分布を一様化するものである。本技術のデータとして、膜厚分布は、アモルファスSi製膜では、基板面積が140cmx110cm程度に関し、製膜速度1.7nsで±18%程度が報告されている。しかしながら、技術改善が困難で±18%程度が限界と見られている。
(4)特許文献4記載の技術は、アンテナ方式即ち誘導結合型のプラズマ生成なので、圧力条件が数Pa以下という制約がある。すなわち、微結晶Si等のような圧力条件が数100Pa〜数1000Paである応用には無理があるという欠点がある。また、電極の周囲にある真空容器の形状や接地条件に影響を受けやすいで、製膜条件の適正条件の把握が困難と推測される。
(5)特許文献5記載の技術は、上記特許文献1、3に記載の技術を改善できる可能性のある技術である。しかしながら、まだ、基礎的な研究開発段階にある技術である。
(6)特許文献6記載の技術は、上記特許文献1、3に記載の技術を改善できる可能性のある技術である。しかしながら、まだ、基礎的な研究開発段階にある技術である。
以上説明したように、従来技術では、生産性向上や低コスト化に必要な大面積基板、例えばサイズ1mx1m級大面積基板を対象にしたVHF(周波数30−300MHz)及びUHFプラズマCVD、並びにVHF及びUHFプラズマエッチング等の応用では、定在波問題が未解決である。
即ち、1mx1m級を越える大面積基板を対象にしたVHF及びUHFプラズマ利用の高速化・大面積化・均一化が可能な表面処理装置及びその方法には、依然として、電極に発生の定在波に起因する電力分布の不均一性問題がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、プラズマCVDによる大面積基板への製膜やプラズマによる大面積基板のエッチング処理などに対応可能なプラズマ表面処理方法およびプラズマ表面処理装置を提供することを目的とする。
本発明に係わる電極への電力供給方法は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、非接地電極及び接地電極から成る一対の電極と、複数の高周波電源及び複数のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる電極への電力供給方法において、前記複数の高周波電源にそれぞれに内臓の発振回路から出力される正弦波信号の位相を、互いに異なるランダム位相変調器で位相変調させることにより、該複数の高周波電源の出力間の相互の干渉を無くすことを特徴とする。
また、本発明に係わる電極への電力供給方法においては、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、非接地電極及び接地電極から成る一対の電極と、複数の高周波電源及び複数のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる電極への電力供給方法において、前記非接地電極に配置された互いに対向する関係にある一方の複数の給電点及び他方の複数の給電点に、それぞれに複数の位相可変2出力の高周波電源の一方の出力及び他方の出力を供給して、前記一対の電極間に複数の定在波を同時に発生させて、該電極間の電力分布を一様化する際に、該複数の高周波電源にそれぞれに内臓の発振回路から出力される正弦波信号の位相を、互いに異なるランダム位相変調器を用いてランダムに位相変調することにより、該複数の高周波電源の出力間の相互の干渉を無くすことを特徴とする。
また、本発明に係わる電極への電力供給方法においては、前記非接地電極の電力の伝播上の対向点である2つの位置に第1及び第2の給電点を配置し、該第1及び第2の給電点に、それぞれに、第1の位相可変2出力の高周波電源の一方の出力及び他方の出力を供給し、かつ、第2の位相可変2出力の高周波電源の一方の出力及び他方の出力を供給する際に、該第1の位相可変2出力の高周波電源に内臓の発振回路から出力される正弦波信号の位相を、第1のランダム位相変調器を用いてランダムに位相変調するとともに、該第2の位相可変2出力の高周波電源に内臓の発振回路から出力される正弦波信号の位相を、第2のランダム位相変調器を用いてランダムに位相変調することにより、該第1の位相可変2出力の高周波電源の出力と該第2の位相可変2出力の高周波電源の出力との相互の干渉を無くすことを特徴とする。
また、本発明に係わる電極への電力供給方法においては、前記高周波電源が、発振器と、ランダム位相変調器と、分配器と、フェーズシフターと、増幅器とから構成されることを特徴とする。
また、本発明に係わる電極への電力供給方法においては、前記高周波電源が、発振器と、ランダム位相変調器と、分配器と、フェーズシフターと、結合器と、増幅器とから構成されることを特徴とする。
本発明に係わるプラズマ表面処理方法は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、非接地電極及び接地電極から成る一対の電極と、複数の高周波電源及び複数のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法であって、前記電極への電力供給方法のいずれか一つの方法を用いることにより、前記非接地電極に配置された互いに対向する関係にある一方の複数の給電点と他方の複数の給電点に、それぞれに、複数の位相可変2出力の高周波電源の一方の出力及び他方の出力を供給し、前記一対の電極間に時間的、空間的に変動しない複数の定在波を同時に発生させて、前記基板のプラズマ表面処理を行うことを特徴とする。
また、本発明に係わるプラズマ表面処理方法おいては、前記非接地電極に配置された互いに対向する関係にある第1及び第2の給電点に供給する第1の位相可変2出力の高周波電源の2つの出力の電圧の位相差と、第2の位相可変2出力の高周波電源の2つの出力の電圧の位相差をそれぞれに制御して、前記一対の電極間に2つの定在波、即ち第1及び第2の定在波を同時に発生させ、かつ、該第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間の距離を調整するに際し、その距離を該電極間に生成のプラズマ内を伝播する電磁波の波長λの四分の一の奇数倍、即ちλ/4の奇数倍に設定することにより、該電極間の電力の強さの分布を一様化させることを特徴とする。
また、本発明に係わるプラズマ表面処理方法おいては、前記非接地電極に配置された互いに対向する関係にある第1及び第2の給電点に供給する第1の位相可変2出力の高周波電源の2つの出力の電圧の位相差と、第2の位相可変2出力の高周波電源の2つの出力の電圧の位相差をそれぞれに制御して、前記一対の電極間に2つの定在波、即ち第1及び第2の定在波を同時に発生させ、かつ、該第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間の距離を調整するに際し、その距離を該定在波の腹の空間的周期の二分の一の奇数倍にすることにより、該電極間の電力の強さの分布を一様化させることを特徴とする。
また、本発明に係わるプラズマ表面処理方法おいては、前記基板に所定のプラズマ処理を行う前に、膜厚み分布、エッチング速度分布、プラズマ発光分布、及びプラズマ密度分布のうち少なくとも1つについて、予め計測しておき、その計測結果に基ずいて前記定在波の腹の位置の情報と前記複数の2出力の位相可変高周波電源のそれぞれの2つの出力電力の電圧の位相差の関係を把握し、該基板の所定のプラズマ処理を行う為の該位相差の値の設定に用いることを特徴とする。
また、本発明に係わるプラズマ表面処理方法おいては、前記第1の高周波電源の2つの出力の電圧の位相差と前記基板表面に製膜される正弦的膜厚分布を有するシリコン系膜の膜厚が最大になる位置との関係を把握する第1の工程と、前記第2の高周波電源の2つの出力の電圧の位相差と前記基板表面に製膜される正弦的膜厚分布を有するシリコン系膜の膜厚が最大になる位置との関係を把握する第2の工程と、該第1及び第2の工程で把握された第1及び第2の高周波電源のそれぞれの2つの出力の電圧の位相差と該膜厚が最大になる位置との関係より該第1及び第2の高周波電源のそれぞれの2つの出力の位相差を設定することにより、該基板に目的のシリコン系膜を製膜する第3の工程からなることを特徴とする。
本発明に係わるプラズマ表面処理装置は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、非接地電極と接地電極から成る一対の電極と、複数の高周波電源及び複数のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、発生したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置であって、前記複数の高周波電源が、発振器と、ランダム位相変調器と、分配器と、フェーズシフターと、増幅器とから構成されることを特徴とする。
また、本発明のプラズマ表面処理装置においては、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、非接地電極と接地電極から成る一対の電極と、複数の高周波電源及び複数のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、発生したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置であって、前記複数の高周波電源が、発振器と、ランダム位相変調器と、分配器と、フェーズシフターと、結合器と、増幅器とから構成されることを特徴とする。
また、本発明のプラズマ表面処理装置においては、前記非接地電極に配置された互いに対向する関係にある一方の給電点及び他方の給電点に、それぞれに、第1の高周波電源の2つの出力の一方に接続された第1のインピーダンス整合器の出力端子と第2の高周波電源の2つの出力の一方に接続された第3のインピーダンス整合器の出力端子、及び該第1の高周波電源の2つの出力の他方に接続された第2のインピーダンス整合器の出力端子と該第2の高周波電源の2つの出力の他方に接続された第4のインピーダンス整合器の出力端子が接続されるという構成を有することを特徴とする。
従来の方法及び装置によるプラズマCVDによる製膜及びプラズマによるエッチング処理は、基板が大面積になると、定在波問題によりその均一化が困難であるが、本発明によれば、それが容易に可能である。
即ち、本発明によれば、ランダム位相変調器によりランダムに位相変調される高周波発振器を内臓した複数の電源の出力を一対の電極に供給することにより、該電極間に互いに独立で、時間的・空間的に変動しない複数の定在波を同時に発生させることが可能となり、かつ、その複数の定在波の腹の位置を個々に制御することが可能である。その結果、一対の電極間に発生の複数の定在波の強さの和が一定値になるように制御することが可能である。その結果、大面積プラズマの一様化・均一化を容易に実現できる。
電源周波数が30MHz〜300MHzのVHF帯域においても、一対の電極間の電力の強さの分布を均一化することが可能であるので、従来技術では困難視されるVHF及びUHFプラズマの応用におけるプラズマ密度及びラデイカル密度の均一化方法を提供できる。
また、メートル級サイズの基板を対象にした大面積プロセス分野におけるプラズマ表面処理方法及びプラズマ表面処理装置が提供される。
特に、大面積基板で均一のプラズマ表面処理が求められる薄膜シリコン系太陽電池、液晶デイスプレー、LSI及び電子複写機等の産業における生産性向上および製品コストの低減に関する超高周波プラズマの大面積・高速・均一な製品製造への応用が確実に実現可能であり、貢献度は著しく大きい。
以下、本発明の実施の一形態に係わる電極への電力供給方法、該電力供給方法を用いたプラズマ表面処理方法及びプラズマ表面処理装置について、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、電極への電力供給方法、該電力供給方法を用いたプラズマ表面処理方法及びプラズマ表面処理装置の一例として、太陽電池を製作する際に必要なアモルファスシリコン系薄膜を製作する装置及び方法が記載されているが、本願の発明対象が下記の例の装置及び方法に限定されるものではない。
(実施例1)
本発明に関する実施例1の電極への電力供給方法、該電力供給方法を用いたプラズマ表面処理方法(プラズマCVD方法)及びプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)について、図1ないし図5を参照して説明する。
図1は実施例1に係わるプラズマ表面処理装置の構成を示す概略図、図2は図1図示のプラズマ表面処理装置の第1及び第2の電極への給電部の説明図、図3は一対の電極間を伝播する電力波を示す説明図、図4は一対の電極間に発生の電力の定在波を示す説明図、図5は一対の電極間に発生の2つの電力の定在波の腹の位置を示す説明図である。
先ず、装置の構成を説明する。図1及び図2において、符番1は真空容器である。この真空容器1には、後述の放電ガスをプラズマ化する一対の電極、即ち非接地の1本の棒から成る第1の電極2と図示しない基板ヒータ3を内臓した接地された平板状の第2の電極4が配置されている。
該第1の電極2は、絶縁物支持材5及びガス混合箱6を介して真空容器1に固着されている。該ガス混合箱6は放電ガス供給管8より供給されるシランガス(SiH4)等放電ガスを、整流孔7を介して、前記一対の電極2、4の間に均一に供給する機能を有している。
供給されたSiH4等放電ガスは前記一対の電極2と4の間でプラズマ化された後、排気管9及び図示しない真空ポンプ10により、真空容器1の外へ排出される。
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニターされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、本実施例の場合は、放電ガスが流量500sccm〜1500sccm程度の場合、圧力0.01Torr〜10Torr(1.33Pa〜1330Pa)程度に調整できる。真空容器1の真空到達圧力は2〜3E−7Torr(2.66〜3.99E−5Pa)程度である。
符番11は基板で、図示しないゲートバルブ12の開閉操作により、第2の電極4に設置される。そして、図示しない基板ヒータ3により所定の温度に加熱される。
電極へ高周波電力を給電する位置である給電点の一つは、前記1本の棒から成る第1の電極2の一方の端部とし、これを第1の給電点12とする。また、該給電点12に対して高周波電力波の伝播上での対向点となる関係にある位置である該電極の他方の端部を第2の給電点13とする。
符番50は第1の発信器で、周波数10MHz〜30MHz(VH帯域)ないし30MHz〜300MHz(VHF帯域)の正弦波信号を発生し、かつ、その正弦波信号の位相は第1のランダム位相変調器51で、ランダムに変調される。
なお、後述するように、該正弦波信号の位相をランダムに変調することにより、後述の第1及び第2の電力供給系の出力間の相互の干渉性を低減することが可能である。
符番51は第1のランダム位相変調器で、第1の発信器50の正弦波信号の位相をランダムに変調する機能がある。即ち、第1の発信器50は、第1のランダム位相変調器51に位相変調されるので、sin{ωt+Φ1(t)}で表される信号を第1の分配器52へ伝送する。ただし、ωは角周波数、tは時間、Φ1(t)はランダムに変調された位相である。
ランダム位相変調には、該第1の発信器50の内部回路である共振回路の容量を外部信号で、即ちランダム位相変調器で制御する手段を用いる。なお、共振回路の容量制御は、例えば可変容量ダイオードを用いることにより、容易に行える。
そのランダム位相変調器には、一般に、通信工学や機械振動工学等でも用いられている乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器(予め入力された乱数表に基ずいて電圧信号を発生する)があるが、ここでは、白色雑音発生器を用いる。
また、コンピュータ制御シンセサイザ発振器と上記乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器を用いて、出力信号をランダム位相変調することもできる。
また、該発振器50の出力をアナログ電圧制御型移相器(フェーズシフター)と上記乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器を用いて、出力信号をランダム位相変調することもできる。
符番52は第1の分配器で、前記第1の発信器50の出力を2つに分配する。その一方は、後述の第1のフェーズシフター53へ、他方は後述の第2のフェーズシフター56へ伝送する。
符番53は第1のフェーズシフターで、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。符番54は第1の増幅器で入力された信号の電力を増幅する。
符番55は第1のインピーダンス整合器で、該第1の増幅器54の出力を第1の同軸ケーブル14、第1の電流導入端子15、第1の真空用同軸ケーブル16、該第1の真空用同軸ケーブル16の芯線17を介して、第1の給電点12に電力を供給する。符番18は第1の真空用同軸ケーブル16の外部導体と第2の電極を接続する給電線である。
なお、給電線17、18には、図示しない管状の絶縁材を取り付けて、その近傍での異常放電を抑制している。
前記第1の電力増幅器54には、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による電力増幅器本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
前記第1の分配器52の他方の出力は、第2のフェーズシフター56、第2の増幅器57、第2のインピーダンス整合器58を介して、後流へ伝送される。
第2のインピーダンス整合器58は、該第2の増幅器57の出力を第2の同軸ケーブル19、第2の電流導入端子20、第2の真空用同軸ケーブル21、該第2の真空用同軸ケーブル21の芯線22を介して、第2の給電点13に電力を供給する。符番23は第2の真空用同軸ケーブル21の外部導体と第2の電極を接続する給電線である。
なお、給電線22、23には、図示しない管状の絶縁材を取り付けて、その近傍での異常放電を抑制している。
前記第2の電力増幅器57には、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による電力増幅器本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
なお、ここでは、第1の発信器50、第1のランダム位相変調器51、第1及び第2フェーズシフター53、56、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58から構成される電力供給系を第1の電力供給系と呼ぶ。
符番60は第2の発信器で、周波数10MHz〜30MHz(VH帯域)ないし30MHz〜300MHz(VHF帯域)の正弦波信号を発生し、かつ、その正弦波信号の位相は第2のランダム位相変調器61で、ランダムに変調される。
なお、後述するように、該正弦波信号の位相をランダムに変調することにより、前記第1の電力供給系と後述の第2の電力供給系の出力間の相互の干渉性を低減することが可能である。
符番61は第2のランダム位相変調器で、第2の発信器60の正弦波信号の位相をランダムに変調する機能がある。即ち、第2の発信器60は、第2のランダム位相変調器61に位相変調されるので、sin{ωt+Φ2(t)}で表される信号を第2の分配器62へ伝送する。ただし、ωは角周波数、tは時間、Φ2(t)はランダムに変調された位相である。
ランダム位相変調には、該第2の発信器60の内部回路である共振回路の容量を外部信号で、即ちランダム位相変調器で制御する手段を用いる。なお、共振回路の容量制御は、例えば可変容量ダイオードを用いることにより、容易に行える。
そのランダム位相変調器には、一般に、通信工学や機械振動工学等でも用いられている乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器(予め入力された乱数表に基ずいて電圧信号を発生する)があるが、ここでは、白色雑音発生器を用いる。
また、コンピュータ制御シンセサイザ発振器と上記乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器を用いて、出力信号をランダム位相変調することもできる。
また、該発振器60の出力をアナログ電圧制御型移相器(フェーズシフター)と上記乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器を用いて、出力信号をランダム位相変調することもできる。
符番62は第2の分配器で、前記第2の発信器60の出力を2つに分配する。その一方は、後述の第3のフェーズシフター63へ、他方は後述の第4のフェーズシフター66へ伝送する。
符番63は第3のフェーズシフターで、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。符番64は第3の増幅器で入力された信号の電力を増幅する。符番65は第3のインピーダンス整合器で、該第3の増幅器64の出力を第3の同軸ケーブル24、第3の電流導入端子25、第3の真空用同軸ケーブル26、該第3の真空用同軸ケーブル26の芯線27を介して、第1の給電点12に電力を供給する。符番28は第3の真空用同軸ケーブル26の外部導体と第2の電極を接続する給電線である。
なお、給電線27、28には、図示しない管状の絶縁材を取り付けて、その近傍での異常放電を抑制している。
前記第3の電力増幅器64には、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による電力増幅器本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
前記第2の分配器62の他方の出力は、第4のフェーズシフター66、第4の増幅器67、第4のインピーダンス整合器68を介して、後流へ伝送される。
第4のインピーダンス整合器68は、該第4の増幅器67の出力を第4の同軸ケーブル29、第4の電流導入端子30、第4の真空用同軸ケーブル31、該第4の真空用同軸ケーブル31の芯線32を介して、第2の給電点13に電力を供給する。符番33は第4の真空用同軸ケーブル31の外部導体と第2の電極を接続する給電線である。
なお、給電線32、33には、図示しない管状の絶縁材を取り付けて、その近傍での異常放電を抑制している。
前記第4の電力増幅器67には、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による電力増幅器本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
なお、ここでは、第2の発信器60、第2のランダム位相変調器61、第2の分配器62、第3及び第4のフェーズシフター63、66、第3及び第4の増幅器64、67、第3及び第4のインピーダンス整合器65、68から構成される電力供給系を第2の電力供給系と呼ぶ。
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、プラズマCVDによる薄膜太陽電池用アモルファスシリコン膜を製造する場合の方法を説明する。
なお、本発明の実施あるいは応用では、手順として、第1及び第2の予備製膜工程と本製膜工程を用いるのが好ましい。
第1の予備製膜工程は、前記第1の電力供給系に関するもので、第1及び第2のフェーズシフター53、56を用いて、第1及び第2の給電点から供給される2つの電力の電圧の位相差と基板11に製膜されるアモルファスシリコン系膜の厚み分布との関係を把握するデータを取得するために行なわれる。
第2の予備製膜工程は、前記第2の電力供給系に関するもので、第3及び第4のフェーズシフター63、66を用いて、第1及び第2の給電点から供給される2つの電力の電圧の位相差と基板11に製膜されるアモルファスシリコン系膜の厚み分布との関係を把握するデータを取得するために行なわれる。
本製膜工程は目的とするアモルファスSiの製造のために実施される。
なお、本実施例では、以下に示すように、第1の予備製膜工程及び第2の予備製膜工程において、定在波の腹の位置の情報を把握する手段として、例えばアモルファスシリコン系膜を製膜するが、これに代えて、エッチング速度分布、プラズマ発光分布、及びプラズマ密度分布などのうち少なくとも1つについて、予め計測しておき、その計測結果に基ずいて定在波の腹の位置の情報と、後述の複数の2出力の位相可変高周波電源のそれぞれの2つの出力電力の電圧の位相差の関係を把握しても良い。
先ず、第1の第1の予備製膜工程であるが、図1及び図2において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば600sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第1の電力供給系、即ち、第1の発信器50、第1のランダム位相変調器51、第1及び第2フェーズシフター53、56、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58から供給される電力を、第1及び第2の同軸ケーブル14、19、第1及び第2の電流導入端子15、20を介して、第1及び第2の給電点12、13に供給する。
この場合、第1の発振器50の周波数を、例えば60MHzに設定する。
そして、前記第1のフェーズシフター53の調整器を、例えばθ1に設定し、第1の電力増幅器54の出力を例えば500Wに設定して、その出力を第1のインピーダンス整合器55、第1の電流導入端子15、第1の真空用同軸ケーブル16の芯線17を介して、第1の給電点12に供給する。そして、前記第2のフェーズシフター56の調整器を、例えばθ2に設定し、第2の電力増幅器57の出力を例えば500Wに設定して、その出力を第2のインピーダンス整合器58、第2の電流導入端子20、第2の真空用同軸ケーブル21の芯線22を介して、第2の給電点13に供給する。
なお、前記第1のインピーダンス整合器55及び第2のインピーダンス整合器58を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器55、58の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、後述するように、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相θ1、θ2をパラメータに繰り返し実施する。
そして、第1の電極2の長さ方向において、基板11の中央点から正弦的な
膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相θ1、θ2の関係をデータとして把握する。
例えば、膜厚分布の最大厚みの位置が基板11の中央点となる第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相の値は例えばθ11、θ22であるいうことが把握される。
ところで、上記第1及び第2の給電点12、13から供給される電力の電圧波は、同一電源から発振され、互いに逆方向から電極間を伝播していくので、すなわち、両者は互いに向かい合った方向から伝播しあって重なり合うので、干渉現象が発生する。その様子を、図2及び図3を用いて説明する。
図2及び図3において、第1の給電点12から第2の給電点13の方向の距離をxとし、
第1の給電点12から第2の給電点13の方向へ伝播する電圧波をW11(x、t)、第2の給電点13から第1の給電点12の方向へ伝播する電圧波をW21(x、t)とすると、次のように表される。
W11(x、t)=V・cos{ωt+Φ1(t)+2πx/λ)+θ1}
W12(x、t)=V・cos{ωt+Φ1(t)−2π(x−L0)/λ+θ2}
ただし、Vは電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、Φ1(t)は時間的にランダムに変化する位相、L0は第1及び第2の給電点の間隔、θ1は第1の給電点12から供給される電力の電圧波の初期位相、θ2は第2の給電点13から供給される電力の電圧波の初期位相である。
上記の2つの波は、複素関数表示にすると、次のように表される。
W11(x、t)=Re〔V・exp{−i(2πx/λ+θ1)}・exp{−iωt−iΦ1(t)}〕
W12(x、t)=Re〔V・exp{i2π(x−L0)/λ−iθ2)}・exp{−iωt−iΦ1(t)}〕
電磁波の干渉を考える際の波の強さI(x、t)は、次のように表される。ただし、*は共役複素数を示す。
I(x、t)={W11(x、t)+W12(x、t)}の絶対値の二乗
={W11(x、t)+W12(x、t)}・{W11(x、t)+W12(x、t)
=2V+V・exp〔−i{2π(2x−L0)/λ+(θ1−θ2)}〕+exp〔i{2π(2x−L0)/λ+(θ1−θ2)}〕
=2V+2Vcos{2π(2x−L0)/λ+(θ1−θ2)}
=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(θ1−θ2)/2}
ただし、λは波長であるが、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、一般的には真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。SiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.6程度である。
この式は、図4に示すように、(θ1−θ2)=Δθ=0、即ち、第1及び第2の給電点12、13に供給される電力の電圧の初期位相の差がゼロの場合は、腹(最大値)の位置がx=L0/2にあること、及び、腹と腹の間隔が波長の二分の一である定在波が発生することを示している。
また、上記Δθ=(θ1−θ2)の値を調整することにより、定在波の腹の位置を任意に設定できることを示している。
なお、ここでは、前記第1の電力供給系を用いて生成される上記定在波を第1の定在波と呼ぶ。また、後述の第2の電力供給系を用いて生成される定在波を第2の定在波と呼ぶ。
次に、第2の予備製膜工程であるが、図1及び図2において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば600sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
そして、前記第2の電力供給系、即ち、第2の発信器60、第2のランダム位相変調器61、第2の分配器62、第3及び第4のフェーズシフター63、66、第3及び第4の増幅器64、67、第3及び第4のインピーダンス整合器65、68から供給される電力を、第3及び第4の同軸ケーブル24、29、第3及び第4の電流導入端子25、30を介して、第1及び第2の給電点12、13に供給する。
この場合、第2の発振器60の周波数を、例えば60MHzに設定する。
そして、前記第3のフェーズシフター63の調整器を、例えばδ1に設定し、第3の電力増幅器64の出力を例えば500Wに設定して、その出力を第3のインピーダンス整合器65、第3の電流導入端子25、第3の真空用同軸ケーブル26の芯線27を介して、第1の給電点12に供給する。そして、前記第4のフェーズシフター66の調整器を、例えばδ2に設定し、第4の電力増幅器67の出力を例えば500Wに設定して、その出力を第4のインピーダンス整合器68、第4の電流導入端子30、第4の真空用同軸ケーブル31の芯線32を介して、第2の給電点13に供給する。
なお、前記第3の及び第4のインピーダンス整合器65、68調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器65、68の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、後述するように、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第3及び第4のフェーズシフター63、66の位相δ1、δ2をパラメータに繰り返し実施する。
そして、第1の電極2の長さ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第4のフェーズシフター63、66の位相差Δδ=(δ1−δ2)の関係をデータとして把握する。
例えば、基板11の中央点から第2の給電点13の方向へ波長λの四分の一、即ちλ/4だけ離れた位置に設定するための位相差Δδ=(δ1−δ2)は、例えばδ11−δ22であるいうことが把握される。
なお、その位置は、λ/4だけ離れた位置に限らないで、波長λの四分の一の奇数倍、即ちλ/4の奇数倍であっても良い。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、一般的には真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。SiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.6程度である。
また、上記の位相差Δδ=(δ1−δ2)の設定を行う際に、第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間隔が、その腹の空間的周期の二分の一の奇数倍に等しくなるように、位相差Δδ=(δ1−δ2)を選定すれば良い。
即ち、第2の予備製膜工程で基板11に製膜される膜厚みが正弦的な膜の最大厚み(第2の定在波の腹)の位置が、基板11の中央点から第2の給電点13の方向へ膜の周期の二分の一の奇数倍だけ離れた点に合致させれば良い。なお、膜の周期の二分の一という値は、予め、前記第1の予備製膜工程で把握できる。
ところで、上記第1及び第2の給電点12及び13から供給される電力の電圧波は、同一電源から発振され、互いに電極間を伝播していくので、すなわち、両者は互いに向かい合った方向から伝播しあって重なり合うので、干渉現象が発生する。その様子を、図2及び図3を用いて説明する。
図2及び図3において、第1の給電点12から第2の給電点13の方向の距離をxとし、第1の給電点12から第2の給電点13の方向へ伝播する電圧波をW21(x、t)、第2の給電点13から第1の給電点12の方向へ伝播する電圧波をW22(x、t)とすると、次のように表される。
W21(x、t)=V・cos{ωt+Φ2(t)+2πx/λ+δ1)}
W22(x、t)=V・cos{ωt+Φ2(t)−2π(x−L0)/λ+δ2}
ただし、Vは電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、Φ2(t)は時間的にランダムに変化する位相、L0は第1及び第2の給電点の間隔、δ1は第1の給電点12から供給される電力の電圧波の初期位相、δ2は第2の給電点13から供給される電力の電圧波の初期位相である。
上記の2つの波は、複素関数表示にすると、次のように表される。
W21(x、t)=Re〔V・exp{−i(2πx/λ+δ1)}・exp{−iωt−iΦ2(t)}〕
W22(x、t)=Re〔V・exp{i2π(x−L0)/λ)−iδ2}・exp{−iωt−iΦ2(t)}〕
電磁波の干渉を考える際の波の強さI(x、t)は、次のように表される。
I(x、t)={W21(x、t)+W22(x、t)}の絶対値の二乗
={W21(x、t)+W22(x、t)}・{W21(x、t)+W22(x、t)
=2V+V・exp〔−i{2π(2x−L0)/λ)+(δ1−δ2)}〕+V・exp〔i{2π(2x−L0)/λ)+(δ1−δ2)}〕
=2V+2Vcos{2π(2x−L0)/λ+(δ1−δ2)}
=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(δ1−δ2)/2}
ただし、λは波長であるが、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、一般的には真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。SiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.6程度である。
この式は、図4に示すように、Δδ=(δ1−δ2)=0、即ち、第1及び第2の給電点12、13に供給される電力の電圧の初期位相の差がゼロの場合は、腹(最大値)の位置がx=L0/2にあり、腹と腹の間隔が波長の二分の一である定在波が発生することを示している。
また、上記Δδ=(δ1−δ2)に値を調整することにより、定在波の腹の位置を任意に設定できることを示している。
なお、ここでは、前記第2の電力供給系を用いて生成される上記定在波を第2の定在波と呼ぶ。
さて、前記第1および第2の予備製膜工程の結果を受けて、本製膜工程に入る。
先ず、図1及び図2において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば600sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第1の電力供給系の発振器50の周波数を60MHとし、2つの
フェーズシフター53、56の出力の位相を、第1の予備製膜工程のデータとして把握したθ11、θ22に設定し、第1及び第2の給電点12、13に、それぞれ例えば400Wを供給する。
そして同様に、前記第2の電力供給系の発振器60の周波数を60MHとし、2つのフェーズシフター63、66の出力の位相を、第2の予備製膜工程のデータとして把握したδ11、δ22に設定し、第1及び第2の給電点12、13に、それぞれ例えば400Wを供給する。
さて、第1及び第2の給電点12、13に、第1及び第2の電力供給系からそれぞれ、電力が供給されると、該一対の電極間に発生の電力の分布は次に示すようになる。
この場合、4つの電圧波が同時に印加されるので、電磁波の強さI(x、t)は次式で表される。
ただし、Vは電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、Φ1(t)は時間的にランダムに変化する位相、L0は第1及び第2の給電点の間隔、θ1は第1の給電点12から供給される電力の電圧波の初期位相、θ2は第2の給電点13から供給される電力の電圧波の初期位相、Φ2(t)は時間的にランダムに変化する位相、δ1は第1の給電点12から供給される電力の電圧波の初期位相、δ2は第2の給電点13から供給される電力の電圧波の初期位相である。*は共役複素数を示す。
I(x、t)={W11(x、t)+W12(x、t)+W21(x、t)+W22(x、t)}・{W11(x、t)+W12(x、t)+W21(x、t)+W22(x、t)
ここで、W11(x、t)、W12(x、t)、W21(x、t)及びW22(x、t)は、前述の通りで、次式で表される。
W11(x、t)=Re〔V・exp{−i(2πx/λ+θ1)}・exp{−iωt−iΦ1(t)}〕
W12(x、t)=Re〔V・exp{i2π(x−L0)/λ−iθ2)}・exp{−iωt−iΦ1(t)}〕
W21(x、t)=Re〔V・exp{−i(2πx/λ+δ1)}・exp{−iωt−iΦ2(t)}〕
W22(x、t)=Re〔V・exp{i2π(x−L0)/λ)−iδ2}・exp{−iωt−iΦ2(t)}〕
上記電磁波の強さI(x、t)を計算すると、次のようになる。
I(x、t)={W11(x、t)・W11(x、t)+W11(x、t)・W12(x、t)+W12(x、t)・W11(x、t)+W12(x、t)・W12(x、t)}+{W21(x、t)・W21(x、t)+W21(x、t)・W22(x、t)+W22(x、t)・W21(x、t)+W22(x、t)・W22(x、t)}+{W11(x、t)・W21(x、t)+W21(x、t)・W11(x、t)}+{W11(x、t)・W22(x、t)+W22(x、t)・W11(x、t)}+{W12(x、t)・W21(x、t)+W21(x、t)・W12(x、t)}+{W12(x、t)・W22(x、t)+W22(x、t)・W12(x、t)
即ち、上記I(x、t)は、次のようになる。
I(x、t)=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(θ1−θ2)/2}+4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(δ1−δ2)/2}
+2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+(θ1−δ1)〕+2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+2π(2x−L0/2)/λ+(θ1−δ2)〕+2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+2π(2x−L0/2)/λ+(θ2−δ1)〕+2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+(θ2−δ2)〕
上式において、第1項は前述の第1の定在波を、第2項は前述の第2の定在波を表している。
上式において、第3項は、図2図示の第1の電力供給系から第1の給電点12に供給される電力の電圧波W11(x、t)と、第2の電力供給系から第1の給電点12に供給される電力の電圧波W21(x、t)の合成波を示している。
この項で示される値は、第1及び第2のランダム位相変調器51、61で、それぞれランダムに位相変調された第1及び第2の発振器50、60からの出力の電圧のランダムに変化する位相の差{Φ1(t)−Φ2(t)}を含んでいるので、時間的にランダムな値になる。即ち、瞬時値は時間とともに、ランダムに変化する。その結果、時間平均でみると、平均値がほぼ、ゼロになる。
時間平均とは、上記発振器出力の周期に比較して十分大きな時間にわたる平均をとることである。即ち、時間平均を< >で示すと、
<第3項>=<2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+(θ1−δ1)〕>
=0
このことは、W11(x、t)とW21(x、t)は定在波を発生することができないことを示している。
上式において、第4項は、図2図示の第1の電力供給系から第1の給電点12に供給される電力の電圧波W11(x、t)と、第2の電力供給系から第2の給電点13に供給される電力の電圧波W22(x、t)の合成波を示している。
この項で示される値は、第1及び第2のランダム位相変調器51、61で、それぞれランダムに位相変調された第1及び第2の発振器50、60からの出力の電圧のランダムに変化する位相の差{Φ1(t)−Φ2(t)}を含んでいるので、時間的にランダムな値になる。即ち、瞬時値は時間とともに、ランダムに変化する。その結果、時間平均でみると、平均値がほぼ、ゼロになる。
時間平均とは、上記発振器出力の周期に比較して十分大きな時間にわたる平均をとることである。即ち、時間平均を< >で示すと、
<第4項>=<2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+2π(2x−L0/2)/λ+(θ1−δ2)〕>=0
このことは、W11(x、t)とW22(x、t)は定在波を発生することができないことを示している。
上式において、第5項は、図2図示の第1の電力供給系から第2の給電点13に供給される電力の電圧波W12(x、t)と、第2の電力供給系から第1の給電点12に供給される電力の電圧波W21(x、t)の合成波を示している。
この項で示される値は、第1及び第2のランダム位相変調器51、61で、それぞれランダムに位相変調された第1及び第2の発振器50、60からの出力の電圧のランダムに変化する位相の差{Φ1(t)−Φ2(t)}を含んでいるので、時間的にランダムな値になる。即ち、瞬時値は時間とともに、ランダムに変化する。その結果、時間平均でみると、平均値がほぼ、ゼロになる。
時間平均とは、上記発振器出力の周期に比較して十分大きな時間にわたる平均をとることである。即ち、時間平均を< >で示すと、
<第5項>=<2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+2π(2x−L0/2)/λ+(θ2−δ1)〕>=0
このことは、W12(x、t)とW21(x、t)は定在波を発生することができないことを示している。
上式において、第6項は、図2図示の第1の電力供給系から第2の給電点13に供給される電力の電圧波W12(x、t)と、第2の電力供給系から第2の給電点13に供給される電力の電圧波W22(x、t)の合成波を示している。
この項で示される値は、第1及び第2のランダム位相変調器51、61で、それぞれランダムに位相変調された第1及び第2の発振器50、60からの出力の電圧のランダムに変化する位相の差{Φ1(t)−Φ2(t)}を含んでいるので、時間的にランダムな値になる。即ち、瞬時値は時間とともに、ランダムに変化する。その結果、時間平均でみると、平均値がほぼ、ゼロになる。
時間平均とは、上記発振器出力の周期に比較して十分大きな時間にわたる平均をとることである。即ち、時間平均を< >で示すと、
<第6項>=<2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+(θ2−δ2)〕>=0
このことは、W12(x、t)とW22(x、t)は定在波を発生することができないことを示している。
上述の通り、第1の電力供給系を構成する第1の発振器50及び第2の電力供給系を構成する第2の発振器60が、それぞれ、第1及び第2のランダム位相変調器51、61により、正弦波信号の位相がランダムに変調されている結果、W11(x、t)とW21(x、t)、W11(x、t)とW22(x、t)、W12(x、t)とW21(x、t)、及びW12(x、t)とW22(x、t)は、それぞれ、定在波を発生しないことが判る。
即ち、第1の発振器50及び第2の発振器60の出力の位相をランダムに変調することにより、第1及び第2の電力供給系の出力間の相互の干渉効果を無くすことが可能であることを示している。
したがって、上記第1及び第2の電力供給系から第1及び第2の給電点12、13に供給された電力により発生される上記一対の電極2、4間の電磁波の強さI(xt)は、時間平均で見ると次のようになる。
I(x、t)=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(θ1−Δθ2)/2}+4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(δ1−δ2)/2}
これは時間的に変動しない2つの定在波の和になっていることを示している。
そして、第1及び第2のフェーズシフター53、56で調整可能な位相差Δθ=(θ1−θ2)及び、第3及び第4のフェーズシフター63、66で調整可能な位相差Δδ=(δ1−δ2)を調整することにより、該2つの定在波のそれぞれの腹の位置を任意に調整できることを示している。
具体的には、例えば、前述の第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相の値を前述の第1の予備製膜工程で示したθ11、θ22とし、そして、
第3及び第3のフェーズシフター63、66の位相の値を前述の第2の予備製膜工程で示したδ11、δ22とすれば、図5に示すように、第1及び第2の定在波が、λ/4だけ離れた形で加算されることになる。
即ち、2つの定在波の和I2(x)は、
I2(x)=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ}+4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+π/2}
=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ}+4Vsin{2π(x−L0/2)/λ}
=4V
で表される。
上記の具体例では、図5に示すように、第1及び第2の定在波が、λ/4だけ離れた形で加算されることを意味するが、別の表現をすれば、前記第2の予備製膜工程において、位相差Δδ=(δ1−δ2)の設定を行う際に、第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間隔が、その腹の空間的周期の二分の一に等しくなるように、位相差Δδ=(δ1−δ2)を選定すれば良いことを意味する。
ところで、一般的に、一対の電極2、4間の電力の強さの分布とプラズマの強さの分布は比例関係にある。他方、上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板11の表面に吸着されることによりa−Si膜が堆積するが、プラズマの強さの分布と膜厚みの分布は比例関係にある。
このことは、電力の強さの分布が均一化されるということは、膜厚み分布が均一化されるということである。
また、電力の強さの分布が均一化されるということは、プラズマ密度及びラデイカル密度が大面積に亘って均一化されるという意味である。
したがって、一対の電極2、4間の電力の強さが上述の通り一様である場合は、その堆積膜の分布は一様になる。その結果、膜厚みのバラツキは一様になる。実用上必要な膜厚みのバラツキは5〜10%であるので、それを達成することは容易に可能である。
このことは、波長λの四分の一を越えるサイズの基板を対象にした従来のVHFプラズマ表面処理装置及び方法では不可能視されている一様な膜厚分布の形成が実現可能であるということを意味している。したがって、上記のことはVHFプラズマの応用分野においては画期的な発見であり、その実用価値は著しく大きい。
なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH、H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術であるので、上記アモルファスシリコン膜の製膜と同様に可能であることは、当然のことである。
本実施例では、第1の電極2が一本の棒であるので、基板サイズは長さ2m〜3mx幅0.1m程度に制約されるが、第1の電極2である棒電極の個数を幅方向に増加すれば基板サイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、薄膜系太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、薄膜系太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
(実施例2)
本発明に関する実施例2の電極への電力供給方法、該電力供給方法を用いたプラズマ表面処理方法(プラズマCVD方法)及びプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)について、主として図6を参照して説明する。
先ず、装置の構成について説明する。ただし、図1及び図2に示した部材と同じ部材は同符番を付して説明を省略する。
図6は実施例2に係わるプラズマ表面処理装置の電力供給装置に係わる構成を示す概略図である。なお、電力供給装置以外の装置は、図1図示の実施例1の場合と同じであるので、それらの構成については説明を省略する。
図6において、真空容器1の内部に、2本の棒状の第1の電極2a、2bと、平板状の第2の電極4が配置される。基板11は第2の電極4上に配置される。
電極へ高周波電力を給電する位置である給電点は、前記2本の棒から成る第1の電極2a、2bのそれぞれの端部とし、これを第1の給電点12a、第2の給電点13a、第3の給電点12b及び第4の給電点13bとする。なお、該給電点12a、13a及び12b、13bは、互いに高周波電力波の伝播上での対向点となる関係にある。
周波数10MHz〜30MHz(VH帯域)ないし30MHz〜300MHz(VHF帯域)の正弦波信号を発生する第1の発信器50の出力信号、即ち正弦波信号の位相は第1のランダム位相変調器51で、ランダムに変調される。
なお、後述するように、該正弦波信号の位相をランダムに変調することにより、後述の第3及び第4の電力供給系の出力間の相互の干渉性を低減することが可能である。
第1のランダム位相変調器51は第1の発信器50の正弦波信号の位相をランダムに変調する機能がある。即ち、第1の発信器50は、第1のランダム位相変調器51に位相変調されるので、sin{ωt+Φ1(t)}で表される信号を第1の分配器52へ伝送する。ただし、ωは角周波数、tは時間、Φ1(t)はランダムに変調された位相である。
ランダム位相変調には、該第1の発信器50の内部回路である共振回路の容量を外部信号で、即ちランダム位相変調器で制御する手段を用いる。なお、共振回路の容量制御は、例えば可変容量ダイオードを用いることにより、容易に行える。
そのランダム位相変調器には、一般に、通信工学や機械振動工学等でも用いられている乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器(予め入力された乱数表に基ずいて電圧信号を発生する)があるが、ここでは、白色雑音発生器を用いる。
また、コンピュータ制御シンセサイザ発振器と上記乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器を用いて、出力信号をランダム位相変調することもできる。
また、該発振器50の出力をアナログ電圧制御型移相器(フェーズシフター)と上記乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器を用いて、出力信号をランダム位相変調することもできる。
第1の分配器52は、前記第1の発信器50の出力を2つに分配し、第1及び第2のフェーズシフター53、56へ伝送する。
第1のフェーズシフター53は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第1の増幅器54は第1のフェーズシフター53の出力を電力増幅して、後述の第1の電力結合器80に伝送する。
第2のフェーズシフター56は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第2の増幅器57は第2のフェーズシフター56の出力を電力増幅して、後述の第2の電力結合器81に伝送する。
周波数10MHz〜30MHz(VH帯域)ないし30MHz〜300MHz(VHF帯域)の正弦波信号を発生する第2の発信器60の出力信号、即ち正弦波信号の位相は第2のランダム位相変調器61で、ランダムに変調される。
なお、後述するように、該正弦波信号の位相をランダムに変調することにより、後述の第3及び第4の電力供給系の出力間の相互の干渉性を低減することが可能である。
第2のランダム位相変調器61は第2の発信器60の正弦波信号の位相をランダムに変調する機能がある。即ち、第2の発信器60は、第2のランダム位相変調器61に位相変調されるので、sin{ωt+Φ1(t)}で表される信号を第2の分配器62へ伝送する。ただし、ωは角周波数、tは時間、Φ1(t)はランダムに変調された位相である。
ランダム位相変調には、該第2の発信器60の内部回路である共振回路の容量を外部信号で、即ちランダム位相変調器で制御する手段を用いる。なお、共振回路の容量制御は、例えば可変容量ダイオードを用いることにより、容易に行える。
そのランダム位相変調器には、一般に、通信工学や機械振動工学等でも用いられている乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器(予め入力された乱数表に基ずいて電圧信号を発生する)があるが、ここでは、白色雑音発生器を用いる。
また、コンピュータ制御シンセサイザ発振器と上記乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器を用いて、出力信号をランダム位相変調することもできる。
また、該発振器60の出力をアナログ電圧制御型移相器(フェーズシフター)と上記乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器を用いて、出力信号をランダム位相変調することもできる。
第2の分配器62は、前記第2の発信器60の出力を2つに分配し、第3及び第4のフェーズシフター63、66へ伝送する。
第3のフェーズシフター63は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第3の増幅器64は第3のフェーズシフター63の出力を電力増幅して、前記第1の電力結合器80に伝送する。
第4のフェーズシフター66は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第4の増幅器67は第4のフェーズシフター66の出力を電力増幅して、後述の第2の電力結合器81に伝送する。
符番80は第1の電力結合器で、第1の増幅器54及び第3の増幅器64の出力を結合して第1のインピーダンス整合器55に伝送する。
符番81は第2の電力結合器で、第2の増幅器57及び第4の増幅器67の出力を結合して第2のインピーダンス整合器58に伝送する。
第1のインピーダンス整合器55は、第1の電力結合器80から伝送された第1の増幅器54及び第3の増幅器64の出力を後述の第1の電力分配器82を介して、第1及び第3の給電点12a、12bに給電する。
符番82は第1の電力分配器で、第1のインピーダンス整合器55の出力を2つに分配する。その一方は、第1の同軸ケーブル14、第1の電流導入端子15、第1の真空用同軸ケーブル16の芯線17を介して、第1の給電点12aに給電する。他方は、第3の同軸ケーブル24、第3の電流導入端子25、第3の真空用同軸ケーブル26の芯線27を介して、第3の給電点12bに給電する。
第2のインピーダンス整合器58は、第2の電力結合器81から伝送された第2の増幅器57及び第4の増幅器67の出力を後述の第2の電力分配器83を介して、第2及び第4の給電点13a、13bに給電する。
符番83は第2の電力分配器で、第2のインピーダンス整合器58の出力を2つに分配する。その一方は、第2の同軸ケーブル19、第2の電流導入端子20、第2の真空用同軸ケーブル21の芯線22を介して、第2の給電点13aに給電する。他方は、第4の同軸ケーブル29、第4の電流導入端子30、第4の真空用同軸ケーブル31の芯線32を介して、第4の給電点13bに給電する。
なお、前記給電線17、27、22、32には、図示しない管状の絶縁材を取り付けて、その近傍での異常放電を抑制している。
前記第1、第2、第3及び第4の電力増幅器54、57、64、67には、それぞれ、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による電力増幅器本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
なお、ここでは、第1の発信器50、第1のランダム位相変調器51、第1の分配器52、第1及び第2のフェーズシフター53、56、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2の電力結合器80、81、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83から構成される電力供給系を第3の電力供給系と呼ぶ。
また、第2の発信器60、第2のランダム位相変調器61、第2の分配器62、第3及び第4のフェーズシフター63、66、第3及び第4の増幅器64、67、第1及び第2の電力結合器80、81、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83から構成される電力供給系を第4の電力供給系と呼ぶ。
上記装置構成において、第1の電力分配器82から第1及び第3の給電点12a、12bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子15、25の部品は同じ仕様とする。このことにより、この2つの伝播路で電力伝送される電磁波の伝播路に違いによる位相差は生じない。
そして、第2の電力分配器83から第2及び第4の給電点13a、13bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子20、30の部品は同じ仕様とする。このことにより、この2つの伝播路で電力伝送される電磁波の伝播路に違いによる位相差は生じない。
上記構成において、第1及び第2の電極2a、2bの間隔が開き過ぎると、後述の製膜試験において、両電極に沿って膜厚みが薄くなり、逆に、その間隔が近過ぎると、両電極に沿って膜厚みが厚くなる。ここでは、シランガスを用いたプラズマCVDでの経験に基ずいて、間隔は0.15mとする。
もしも、製膜試験の結果、膜厚み分布が所要の結果にならない場合は、両電極の間隔をパラメータに製膜試験を行い、最適な間隔を選定することができることは当然なことである。
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、プラズマCVDによる薄膜系太陽電池用アモルファスシリコン膜を製造する場合の方法を説明する。
なお、本発明の実施あるいは応用では、手順として、第1及び第2の予備製膜工程と本製膜工程を用いるのが好ましい。
第1の予備製膜工程は、前記第3の電力供給系に関するもので、第1及び第2のフェーズシフター53、56を用いて、第1及び第3の給電点12a、12bから供給される電力と、第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧の位相差と、基板11に製膜されるアモルファスシリコン系膜の厚み分布との関係を把握するデータを取得するために行なわれる。
第2の予備製膜工程は、前記第4の電力供給系に関するもので、第3及び第4のフェーズシフター63、66を用いて、第1及び第3の給電点12a、12bから供給される電力と、第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧の位相差と、基板11に製膜されるアモルファスシリコン系膜の厚み分布との関係を把握するデータを取得するために行なわれる。
本製膜工程は目的とするアモルファスSiの製造のために実施される。
なお、本実施例では、以下に示すように、第1の予備製膜工程及び第2の予備製膜工程において、定在波の腹の位置の情報を把握する手段として、例えばアモルファスシリコン系膜を製膜するが、これに代えて、エッチング速度分布、プラズマ発光分布、及びプラズマ密度分布などのうち少なくとも1つについて、予め計測しておき、その計測結果に基ずいて定在波の腹の位置の情報と、後述の複数の2出力の位相可変高周波電源のそれぞれの2つの出力電力の電圧の位相差の関係を把握しても良い。
先ず、第1の第1の予備製膜工程であるが、図6において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、図示しない放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば600sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第3の電力供給系、即ち、第1の発信器50、第1のランダム位相変調器51、第1の分配器52、第1及び第2のフェーズシフター53、56、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2の電力結合器80、81、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83を介して、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、12b、13a、13bに供給する。
この場合、第1の発振器50の周波数を、例えば60MHzに設定する。
そして、前記第1のフェーズシフター53の調整器を、例えばθ1に設定し、第1の電力増幅器54の出力を例えば500Wに設定して、その出力を第1の電力結合器80、第1のインピーダンス整合器55、第1の電力分配器82、第1及び第3の電流導入端子15、25、第1及び第2の真空用同軸ケーブル16、26の芯線17、27を介して、第1及び第3の給電点12a、12bに供給する。
そして、前記第2のフェーズシフター56の調整器を、例えばθ2に設定し、第2の電力増幅器57の出力を例えば500Wに設定して、その出力を第2の電力結合器81、第2のインピーダンス整合器58、第2の電力分配器83、第2及び第4の電流導入端子20、30、第2及び第4の真空用同軸ケーブル21、31の芯線22、32を介して、第2及び第4の給電点13a、13bに供給する。
なお、前記第1のインピーダンス整合器55及び第2のインピーダンス整合器58を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器55、58の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相θ1、θ2をパラメータに繰り返し実施する。
そして、第1及び第2の電極2a、2bの長さ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相θ1、θ2の関係をデータとして把握する。
例えば、膜厚分布の最大厚みの位置が基板11の中央点となる第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相の値は、θ11、θ22であるいうことが把握される。
ところで、上記第1及び第3の給電点12a、12bと、上記第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧波は、同一電源から発振され、互いに逆方向から電極間、即ち2aと4、2bと4の間を伝播していくので、干渉現象が発生する。その様子を、図6、図3及び図4を用いて説明する。
図6において、第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向の距離をxとし、同様に、第3の給電点12bから第4の給電点13bの方向の距離をxとする。
第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向へ伝播する電圧波をW11(x、t)、第2の給電点13aから第1の給電点12aの方向へ伝播する電圧波をW21(x、t)とすると、次のように表される。
W11(x、t)=V・cos{ωt+Φ1(t)+2πx/λ)+θ1}
W12(x、t)=V・cos{ωt+Φ1(t)−2π(x−L0)/λ+θ2}
ただし、Vは電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、Φ1(t)は時間的にランダムに変化する位相、L0は第1及び第2の給電点の間隔、θ1は第1の給電点12から供給される電力の電圧波の初期位相、θ2は第2の給電点13から供給される電力の電圧波の初期位相である。
上記の2つの波は、複素関数表示にすると、次のように表される。
W11(x、t)=Re〔V・exp{−i(2πx/λ+Δθ1)}・exp{−iωt−iΦ1(t)}〕
W12(x、t)=Re〔V・exp{i2π(x−L0)/λ−iΔθ2)}・exp{−iωt−iΦ1(t)}〕
電磁波の干渉を考える際の波の強さI(x、t)は、次のように表される。ただし、*は共役複素数を示す。
I(x、t)={W11(x、t)+W12(x、t)}の絶対値の二乗
={W11(x、t)+W12(x、t)}・{W11(x、t)+W12(x、t)
=2V+V・exp〔−i{2π(2x−L0)/λ+(θ1−θ2)}〕+exp〔i{2π(2x−L0)/λ+(θ1−θ2)}〕
=2V+2Vcos{2π(2x−L0)/λ+(θ1−θ2)}
=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(θ1−θ2)/2}
ただし、λは波長であるが、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、一般的には真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。SiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.6程度である。
この式は、図4に示すように、(θ1−θ2)=Δθ=0、即ち、第1及び第2の給電点12a、13aに供給される電力の電圧の初期位相の差がゼロの場合は、腹(最大値)の位置がx=L0/2にあること、及び、腹と腹の間隔が波長の二分の一である定在波が発生することを示している。
また、上記Δθ=(θ1−θ2)の値を調整することにより、定在波の腹の位置を任意に設定できることを示している。
なお、ここでは、第3の電力供給系を用いて生成される上記定在波を第1の定在波と呼ぶ。
第3の給電点12bから第4の給電点13bの方向へ伝播する電圧波と、第4の給電点13bから第3の給電点12bの方向へ伝播する電圧波の2つの波の干渉現象についても、上述の第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向へ伝播する電圧波と第2の給電点13aから第1の給電点12aの方向へ伝播する電圧波の2つの波の干渉現象と同様である。即ち、この場合も、図4に示すような定在波が発生する。
なお、上述の通り、第1の電力分配器82から第1及び第3の給電点12a、12bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子15、25の部品は同じ仕様とされているので、この2つの伝播路の違いによる位相の変化はない。
そして、第2の電力分配器83から第2及び第4の給電点13a、13bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子20、30の部品は同じ仕様とされているので、この2つの伝播路の違いによる位相の変化はない。
次に、第2の予備製膜工程であるが、図6において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、図示しない放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば600sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第4の電力供給系、即ち、第2の発信器60、第2のランダム位相変調器61、第2の分配器52、第3及び第4のフェーズシフター63、66、第3及び第4の増幅器64、77、第1及び第2の電力結合器80、81、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83を介して、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、12b、13a、13bに供給する。
この場合、第2の発振器60の周波数を、例えば60MHzに設定する。
そして、前記第2のフェーズシフター63の調整器を、例えばδ1に設定し、第3の電力増幅器64の出力を例えば500Wに設定して、その出力を第1の電力結合器80、第1のインピーダンス整合器55、第1の電力分配器82、第1及び第3の電流導入端子15、25、第1及び第2の真空用同軸ケーブル16、26の芯線17、27を介して、第1及び第3の給電点12a、12bに供給する。
そして、前記第4のフェーズシフター66の調整器を、例えばδ2に設定し、第4の電力増幅器67の出力を例えば500Wに設定して、その出力を第2の電力結合器81、第2のインピーダンス整合器58、第2の電力分配器83、第2及び第4の電流導入端子20、30、第2及び第4の真空用同軸ケーブル21、31の芯線22、32を介して、第2及び第4の給電点13a、13bに供給する。
なお、前記第1のインピーダンス整合器55及び第2のインピーダンス整合器58を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器55、58の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、後述するように、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第3及び第4のフェーズシフター63、6の位相δ1、δ2をパラメータに繰り返し実施する。
そして、第1及び第2の電極2a、2bの長さ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1及び第2のフェーズシフター63、66の位相δ1、δ2の関係をデータとして把握する。
例えば、基板11の中央点から第2の給電点13aの方向へ波長λの四分の一、即ちλ/4だけ離れた位置に設定するための位相差Δδ=(δ1−δ2)は、例えば(δ11−δ22)であるいうことが把握される。
なお、その位置は、λ/4だけ離れた位置に限らないで、波長λの四分の一の奇数倍、即ちλ/4の奇数倍であっても良い。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、一般的には真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。SiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.6程度である。
また、上記の位相差Δδ=(δ1−δ2)の設定を行う際に、上記第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間隔が、その腹の空間的周期の二分の一の奇数倍に等しくなるように、位相差Δδ=(δ1−δ2)を選定すれば良い。
即ち、第2の予備製膜工程で基板11に製膜される膜厚みが正弦的な膜の最大厚み(第3の定在波の腹)の位置が、基板11の中央点から第2の給電点13の方向へ膜の周期の二分の一の奇数倍だけ離れた点に合致させれば良い。なお、膜の周期の二分の一という値は、予め、前記第1の予備製膜工程で把握できる。
ところで、上記第1及び第3の給電点12a、12bと、上記第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧波は、同一電源から発振され、互いに逆方向から電極間、即ち2aと4、2bと4の間を伝播していくので、干渉現象が発生する。その様子を、図6及び図3、図4を用いて説明する。
図6において、第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向の距離をxとし、同様に、第3の給電点12bから第4の給電点13bの方向の距離をxとする。
第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向へ伝播する電圧波をW21(x、t)、第2の給電点13aから第1の給電点12aの方向へ伝播する電圧波をW22(x、t)とすると、次のように表される。
W21(x、t)=V・cos{ωt+Φ2(t)+2πx/λ)+δ1}
W22(x、t)=V・cos{ωt+Φ2(t)−2π(x−L0)/λ+δ2}
ただし、Vは電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、Φ2(t)は時間的にランダムに変化する位相、L0は第1及び第2の給電点の間隔、δ1は第1の給電点12aから供給される電力の電圧波の初期位相、δ2は第2の給電点13aから供給される電力の電圧波の初期位相である。
上記の2つの波は、複素関数表示にすると、次のように表される。
W21(x、t)=Re〔V・exp{−i(2πx/λ+δ1)}・exp{−iωt−iΦ2(t)}〕
W22(x、t)=Re〔V・exp{i2π(x−L0)/λ−iδ2)}・exp{−iωt−iΦ2(t)}〕
電磁波の干渉を考える際の波の強さI(x、t)は、次のように表される。ただし、*は共役複素数を示す。
I(x、t)={W21(x、t)+W22(x、t)}の絶対値の二乗
={W21(x、t)+W22(x、t)}・{W21(x、t)+W22(x、t)
=2V+V・exp〔−i{2π(2x−L0)/λ+(δ1−δ2)}〕+exp〔i{2π(2x−L0)/λ+(δ1−δ2)}〕
=2V+2Vcos{2π(2x−L0)/λ+(δ1−δ2)}
=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(δ1−δ2)/2}
ただし、λは波長であるが、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、一般的には真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。SiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.6程度である。
この式は、図4に示すように、(δ1−δ2)=Δδ=0、即ち、第1及び第2の給電点12a、13aに供給される電力の電圧の初期位相の差がゼロの場合は、腹(最大値)の位置がx=L0/2にあること、及び、腹と腹の間隔が波長の二分の一である定在波が発生することを示している。
また、上記Δδ=(δ1−δ2)の値を調整することにより、定在波の腹の位置を任意に設定できることを示している。
なお、ここでは、前記第4の電力供給系を用いて生成される上記定在波を第2の定在波と呼ぶ。
第3の給電点12bから第4の給電点13bの方向へ伝播する電圧波と、第4の給電点13bから第3の給電点12bの方向へ伝播する電圧波の2つの波の干渉現象についても、上述の第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向へ伝播する電圧波と第2の給電点13aから第1の給電点12aの方向へ伝播する電圧波の2つの波の干渉現象と同様である。即ち、この場合も、図4に示すような定在波が発生する。
なお、上述の通り、第1の電力分配器82から第1及び第3の給電点12a、12bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子15、25の部品は同じ仕様とされているので、この2つの伝播路の違いによる位相の変化はない。
そして、第2の電力分配器83から第2及び第4の給電点13a、13bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子20、30の部品は同じ仕様とされているので、この2つの伝播路の違いによる位相の変化はない。
さて、前記第1および第2の予備製膜工程の結果を受けて、本製膜工程に入る。
先ず、図6において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、図示しない放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば600sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第3の電力供給系の発振器50の周波数を60MHとし、2つの
フェーズシフター53、56の出力の位相を、第1の予備製膜工程のデータとして把握したθ11、θ22に設定し、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに、それぞれ例えば500Wを供給する。
そして同様に、前記第4の電力供給系の発振器60の周波数を60MHとし、2つのフェーズシフター63、66の出力の位相を、第2の予備製膜工程のデータとして把握したδ11、δ22に設定し、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに、それぞれ例えば500Wを供給する。
さて、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに、第3及び第3の電力供給系からそれぞれ、電力が供給されると、該一対の電極間に発生の電力の分布は次に示すようになる。
ここで、説明の便宜上、第3の電力供給系から第1及び第3の電流導入端子15、25を介して第1及び第3の給電点12a、12bに供給される電力をW11(x、t)で表す。
第3の電力供給系から第2及び第4の電流導入端子20、30を介して第2及び第4の給電点13a、13bに供給される電力をW12(x、t)で表す。
また、第4の電力供給系から第1及び第3の電流導入端子15、25を介して第1及び第3の給電点12a、12bに供給される電力をW21(x、t)で表す。
また、第4の電力供給系から第2及び第4の電流導入端子20、30を介して第2及び第4の給電点13a、13bに供給される電力をW22(x、t)で表す。
この場合、4つの電圧波が同時に印加されるので、電磁波の強さI(x、t)は次式で表される。
ただし、Vは電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、Φ1(t)は時間的にランダムに変化する位相、L0は第1及び第2の給電点の間隔、θ1は第3の電力供給系で第1及び第3の給電点12a、12bから供給される電力の電圧波の初期位相、θ2は第3の電力供給系で第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧波の初期位相、Φ2(t)は時間的にランダムに変化する位相、δ1は第4の電力供給系で第1及び第3の給電点12a、12bから供給される電力の電圧波の初期位相、δ2は第4の電力供給系で第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧波の初期位相である。*は共役複素数を示す。
I(x、t)={W11(x、t)+W12(x、t)+W21(x、t)+W22(x、t)}・{W11(x、t)+W12(x、t)+W21(x、t)+W22(x、t)
ここで、W11(x、t)、W12(x、t)、W21(x、t)及びW22(x、t)は、前述の通りで、次式で表される。
W11(x、t)=Re〔V・exp{−i(2πx/λ+θ1)}・exp{−iωt−iΦ1(t)}〕
W12(x、t)=Re〔V・exp{i2π(x−L0)/λ−iθ2)}・exp{−iωt−iΦ1(t)}〕
W21(x、t)=Re〔V・exp{−i(2πx/λ+δ1)}・exp{−iωt−iΦ2(t)}〕
W22(x、t)=Re〔V・exp{i2π(x−L0)/λ)−iδ2}・exp{−iωt−iΦ2(t)}〕
上記電磁波の強さI(x、t)を計算すると、次のようになる。
I(x、t)={W11(x、t)・W11(x、t)+W11(x、t)・W12(x、t)+W12(x、t)・W11(x、t)+W12(x、t)・W12(x、t)}+{W21(x、t)・W21(x、t)+W21(x、t)・W22(x、t)+W22(x、t)・W21(x、t)+W22(x、t)・W22(x、t)}+{W11(x、t)・W21(x、t)+W21(x、t)・W11(x、t)}+{W11(x、t)・W22(x、t)+W22(x、t)・W11(x、t)}+{W12(x、t)・W21(x、t)+W21(x、t)・W12(x、t)}+{W12(x、t)・W22(x、t)+W22(x、t)・W12(x、t)
即ち、上記I(x、t)は、次のようになる。
I(x、t)=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(θ1−θ2)/2}+4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(δ1−δ2)/2}+2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+(θ1−δ1)〕+2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+2π(2x−L0/2)/λ+(θ1−δ2)〕+2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+2π(2x−L0/2)/λ+(θ2−δ1)〕+2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+(θ2−δ2)〕
上式において、第1項は前述の第1の定在波を、第2項は前述の第2の定在波を表している。
上式において、第3項は、図6図示の第3の電力供給系から第1及び第3の給電点12a、12bに供給される電力の電圧波W11(x、t)と、第4の電力供給系から第1及び第3の給電点12a、12bに供給される電力の電圧波W21(x、t)の合成波を示している。この項で示される値は、第1及び第2のランダム位相変調器51、61で、それぞれランダムに位相変調された第1及び第2の発振器50、60からの出力の電圧のランダムに変化する位相の差{Φ1(t)−Φ2(t)}を含んでいるので、時間的にランダムな値になる。
即ち、瞬時値は時間とともに、ランダムに変化する。その結果、時間平均でみると、平均値がほぼ、ゼロになる。
時間平均とは、上記発振器出力の周期に比較して十分大きな時間にわたる平均をとることである。即ち、時間平均を< >で示すと、
<第3項>=<2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+(θ1−δ1)〕>=0
このことは、W11(x、t)とW21(x、t)は定在波を発生することができないことを示している。
上式において、第4項は、図6図示の第3の電力供給系から第1及び第2の給電点12a、12bに供給される電力の電圧波W11(x、t)と、第4の電力供給系から第2及び第4の給電点13a、13bに供給される電力の電圧波W22(x、t)の合成波を示している。この項で示される値は、第1及び第2のランダム位相変調器51、61で、それぞれランダムに位相変調された第1及び第2の発振器50、60からの出力の電圧のランダムに変化する位相の差{Φ1(t)−Φ2(t)}を含んでいるので、時間的にランダムな値になる。
即ち、瞬時値は時間とともに、ランダムに変化する。その結果、時間平均でみると、平均値がほぼ、ゼロになる。
時間平均とは、上記発振器出力の周期に比較して十分大きな時間にわたる平均をとることである。即ち、時間平均を< >で示すと、
<第4項>=<2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+2π(2x−L0/2)/λ+(θ1−δ2)〕>=0
このことは、W11(x、t)とW22(x、t)は定在波を発生することができないことを示している。
上式において、第5項は、図6図示の第3の電力供給系から第2及び第4の給電点13a、13bに供給される電力の電圧波W12(x、t)と、第4の電力供給系から第1及び第2の給電点12a、12bに供給される電力の電圧波W21(x、t)の合成波を示している。この項で示される値は、第1及び第2のランダム位相変調器51、61で、それぞれランダムに位相変調された第1及び第2の発振器50、60からの出力の電圧のランダムに変化する位相の差{Φ1(t)−Φ2(t)}を含んでいるので、時間的にランダムな値になる。即ち、瞬時値は時間とともに、ランダムに変化する。その結果、時間平均でみると、平均値がほぼ、ゼロになる。
時間平均とは、上記発振器出力の周期に比較して十分大きな時間にわたる平均をとることである。即ち、時間平均を< >で示すと、
<第5項>=<2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+2π(2x−L0/2)/λ+(θ2−δ1)〕>=0
このことは、W12(x、t)とW21(x、t)は定在波を発生することができないことを示している。
上式において、第6項は、図6図示の第3の電力供給系から第2及び第4の給電点13a、13bに供給される電力の電圧波W12(x、t)と、第4の電力供給系から第2及び第4の給電点13a、13bに供給される電力の電圧波W22(x、t)の合成波を示している。この項で示される値は、第1及び第2のランダム位相変調器51、61で、それぞれランダムに位相変調された第1及び第2の発振器50、60からの出力の電圧のランダムに変化する位相の差{Φ1(t)−Φ2(t)}を含んでいるので、時間的にランダムな値になる。
ち、瞬時値は時間とともに、ランダムに変化する。その結果、時間平均でみると、平均値がほぼ、ゼロになる。
時間平均とは、上記発振器出力の周期に比較して十分大きな時間にわたる平均をとることである。即ち、時間平均を< >で示すと、
<第6項>=<2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+(θ2−δ2)〕>=0
このことは、W12(x、t)とW22(x、t)は定在波を発生することができないことを示している。
上述の通り、第3の電力供給系を構成する第1の発振器50及び第4の電力供給系を構成する第2の発振器60が、それぞれ、第1及び第2のランダム位相変調器51、61により、正弦波信号の位相がランダムに変調されている結果、W11(x、t)とW21(x、t)、W11(x、t)とW22(x、t)、W12(x、t)とW21(x、t)、及びW12(x、t)とW22(x、t)は、それぞれ、定在波を発生しないことが判る。
即ち、第1の発振器50及び第2の発振器60の出力の位相をランダムに変調することにより、第3及び第4の電力供給系の出力間の相互の干渉効果を無くすことが可能であることを示している。
したがって、上記第3及び第4の電力供給系から第1、第2、第3及び第4の給電点12a、12b、13a、13bに供給された電力により発生される上記一対の電極、即ち2a、2b、及び4間の電磁波の強さI(xt)は、次のようになる。
I(x、t)=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(θ1−θ2)/2}+4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(δ1−δ2)/2}
これは時間的に変動しない2つの定在波の和になっていることを示している。
そして、第1及び第2のフェーズシフター53、56で調整可能な位相差Δθ=(θ1−θ2)及び、第3及び第4のフェーズシフター63、66で調整可能な位相差Δδ=(δ1−δ2)を調整することにより、該2つの定在波のそれぞれの腹の位置を任意に調整できることを示している。
具体的には、例えば、前述の第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相の値を前述の第1の予備製膜工程で示したθ11、θ22とし、そして、第3及び第4のフェーズシフター63、66の位相の値を前述の第2の予備製膜工程で示したδ11、δ22とすれば、図5に示すように、第1及び第2の定在波が、λ/4だけ離れた形で加算されることになる。
即ち、2つの定在波の和I(x)は、
I(x)=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ}+4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+π/2}
=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ}+4Vsin{2π(x−L0/2)/λ}
=4V
で表される。
上記の具体例では、図5に示すように、第1及び第2の定在波が、λ/4だけ離れた形で加算されることを意味するが、別の表現をすれば、前記第2の予備製膜工程において、位相差Δδ=(δ1−δ2)の設定を行う際に、第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間隔が、その腹の空間的周期の二分の一に等しくなるように、位相差Δδ=(δ1−δ2)を選定すれば良いことを意味する。
ところで、一般的に、一対の電極2、4間の電力の強さの分布とプラズマの強さの分布は比例関係にある。
他方、上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板11の表面に吸着されることによりa−Si膜が堆積するが、プラズマの強さの分布と膜厚みの分布は比例関係にある。このことは、電力の強さの分布が均一化されるということは、膜厚み分布が均一化されるということである。
また、電力の強さの分布が均一化されるということは、プラズマ密度及びラデイカル密度が大面積に亘って均一化されるという意味である。
したがって、一対の電極2、4間の電力の強さが上述の通り一様である場合は、その堆積膜の分布は一様になる。その結果、膜厚みのバラツキは一様になる。実用上必要な膜厚みのバラツキは5〜10%であるので、それを達成することは容易に可能である。
このことは、波長λの四分の一を越えるサイズの基板を対象にした従来のVHFプラズマ表面処理装置及び方法では不可能視されている一様な膜厚分布の形成が実現可能であるということを意味している。したがって、上記のことはVHFプラズマの応用分野においては画期的な発見であり、その実用価値は著しく大きい。
なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH、H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術であるので、上記アモルファスシリコン膜の製膜と同様に可能であることは、当然のことである。
本実施例では、第1の電極2が2本の棒であるので、基板サイズは長さ2m〜3mx幅0.3m程度に制約されるが、棒電極である第1の電極2a、2bの個数を幅方向に増加すれば基板サイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、薄膜系太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
(実施例3)
本発明に関する実施例3の電極への電力供給方法、該電力供給方法を用いたプラズマ表面処理方法(プラズマCVD方法)及びプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)について、主として図7を参照して説明する。
先ず、装置の構成について説明する。ただし、図1、図2及び図6に示した部材と同じ部材は同符番を付して説明を省略する。
図7は実施例3に係わるプラズマ表面処理装置の電力供給装置に係わる構成を示す概略図である。
図7において、真空容器1の内部に、矩形平板の第1の電極2と、平板状の第2の電極4が配置される。基板11は第2の電極4上に配置される。
電極へ高周波電力を給電する位置である給電点は、前記矩形平板の第1の電極2の互いに対向する辺とする。そして、その辺に、複数個、例えば、図7図示の12aに第1の給電点を、13aに第2の給電点を、12bに第3の給電点を、13bに第4の給電点を配置する。なお、該給電点12aと13a、及び12bと13bは、互いに高周波電力波の伝播上での対向点となる関係にある。
上記給電点の配置において、第1及び第3の給電点12a、12bの間隔、及び第2及び第4の給電点13a、13bの間隔が開き過ぎると、後述の製膜試験において、両給電点の間の膜厚みが薄くなり、逆に、その間隔が近過ぎると、両給電点の間の膜厚みが厚くなる。
ここでは、シランガスを用いたプラズマCVDでの経験に基ずいて、その間隔は0.3mとする。なお、具体的には、例えば、矩形平板の第1の電極2の辺の端から0.015mの位置に第1の給電点12aを、それから0.3m離れた位置に第3の給電点12bを、第3の給電点12bと辺の端の間を0.015mとする。
もしも、後述の製膜試験の結果、膜厚み分布が所要の結果にならない場合は、両給電点の間隔及び矩形平板の第1の電極2の幅をパラメータに製膜試験を行い、最適な両給電点間隔を選定することができることは当然なことである。
周波数10MHz〜30MHz(VH帯域)ないし30MHz〜300MHz(VHF帯域)の正弦波信号を発生する第1の発信器50の出力信号、即ち正弦波信号の位相は第1のランダム位相変調器51で、ランダムに変調される。
なお、後述するように、該正弦波信号の位相をランダムに変調することにより、後述の第5及び第6の電力供給系の出力間の相互の干渉性を低減することが可能である。
第1のランダム位相変調器51は第1の発信器50の正弦波信号の位相をランダムに変調する機能がある。即ち、第1の発信器50は、第1のランダム位相変調器51に位相変調されるので、sin{ωt+Φ1(t)}で表される信号を第1の分配器52へ伝送する。ただし、ωは角周波数、tは時間、Φ1(t)はランダムに変調された位相である。
ランダム位相変調には、該第1の発信器50の内部回路である共振回路の容量を外部信号で、即ちランダム位相変調器で制御する手段を用いる。なお、共振回路の容量制御は、例えば可変容量ダイオードを用いることにより、容易に行える。
そのランダム位相変調器には、一般に、通信工学や機械振動工学等でも用いられている乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器(予め入力された乱数表に基ずいて電圧信号を発生する)があるが、ここでは、白色雑音発生器を用いる。
また、コンピュータ制御シンセサイザ発振器と上記乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器を用いて、出力信号をランダム位相変調することもできる。
また、該発振器50の出力をアナログ電圧制御型移相器(フェーズシフター)と上記乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器を用いて、出力信号をランダム位相変調することもできる。
第1の分配器52は、前記第1の発信器50の出力を2つに分配し、第1及び第2のフェーズシフター53、56へ伝送する。
第1のフェーズシフター53は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第1のフェーズシフター53の出力は後述の第3の結合器84に伝送される。
第2のフェーズシフター56は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第2のフェーズシフター56の出力は後述の第3の結合器84に伝送される。
符番84は第3の結合器で、第1のフェーズシフター53及び後述の第3のフェーズシフター63の出力を結合して、後述の第1の増幅器54に伝送する。
符番85は第4の結合器で、第2のフェーズシフター56及び後述の第4のフェーズシフター66の出力を結合して、後述の第2の増幅器57に伝送する。
第1の増幅器54は前記第3の結合器84より伝送された信号の電力を増幅して、第1のインピーダンス整合器55に伝送する。
第1のインピーダンス整合器55は、第1の増幅器54の出力を第1の電力分配器82、第1の電流導入端子15、第1の真空用同軸ケーブル16、及び該第1の真空用同軸ケーブル16の芯線17を介して、第1の給電点12aに供給する。また、第3の電流導入端子25、第3の真空用同軸ケーブル26、及び該第3の真空用同軸ケーブル26の芯線27を介して、第3の給電点12bに供給する。
なお、給電線17、27には、図示しない管状の絶縁材を取り付けて、その近傍での異常放電を抑制している。
前記第1の電力増幅器54には、それぞれ、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による電力増幅器本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
第2の増幅器57は前記第4の結合器85より伝送された信号の電力を増幅して、第2のインピーダンス整合器58に伝送する。
第2のインピーダンス整合器58は、第2の増幅器57の出力を第3の電力分配器83、第2の電流導入端子20、第2の真空用同軸ケーブル21、及び該第2の真空用同軸ケーブル21の芯線22を介して、第2の給電点13aに供給する。また、第4の電流導入端子30、第4の真空用同軸ケーブル31、及び該第4の真空用同軸ケーブル31の芯線32を介して、第4の給電点13bに供給する。
なお、給電線22、32には、図示しない管状の絶縁材を取り付けて、その近傍での異常放電を抑制している。
前記第2の電力増幅器57には、それぞれ、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による電力増幅器本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
周波数10MHz〜30MHz(VH帯域)ないし30MHz〜300MHz(VHF帯域)の正弦波信号を発生する第2の発信器60の出力信号、即ち正弦波信号の位相は第2のランダム位相変調器61で、ランダムに変調される。
なお、後述するように、該正弦波信号の位相をランダムに変調することにより、後述の第5及び第6の電力供給系の出力間の相互の干渉性を低減することが可能である。
第2のランダム位相変調器61は第2の発信器60の正弦波信号の位相をランダムに変調する機能がある。即ち、第2の発信器60は、第2のランダム位相変調器61に位相変調されるので、sin{ωt+Φ1(t)}で表される信号を第2の分配器62へ伝送する。ただし、ωは角周波数、tは時間、Φ1(t)はランダムに変調された位相である。
ランダム位相変調には、該第2の発信器60の内部回路である共振回路の容量を外部信号で、即ちランダム位相変調器で制御する手段を用いる。なお、共振回路の容量制御は、例えば可変容量ダイオードを用いることにより、容易に行える。
そのランダム位相変調器には、一般に、通信工学や機械振動工学等でも用いられている乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器(予め入力された乱数表に基ずいて電圧信号を発生する)があるが、ここでは、白色雑音発生器を用いる。
また、コンピュータ制御シンセサイザ発振器と上記乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器を用いて、出力信号をランダム位相変調することもできる。
また、該発振器60の出力をアナログ電圧制御型移相器(フェーズシフター)と上記乱数発生器、白色雑音発生器及びコンピユータ利用の乱数信号発生器を用いて、出力信号をランダム位相変調することもできる。
第2の分配器62は、前記第2の発信器60の出力を2つに分配し、第3及び第4のフェーズシフター63、66へ伝送する。
第3のフェーズシフター63は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第3のフェーズシフター63の出力は第3の結合器84に伝送される。
第4のフェーズシフター66は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第4のフェーズシフター66の出力は第4の結合器85に伝送される。
第2の増幅器57は前記第4の結合器85より伝送された信号の電力を増幅して、第2のインピーダンス整合器58に伝送する。
第2のインピーダンス整合器58は、第2の増幅器57の出力を第2の電力分配器83、第2の電流導入端子20、第2の真空用同軸ケーブル21、及び該第2の真空用同軸ケーブル21の芯線22を介して、第2の給電点13aに供給する。また、第4の電流導入端子30、第4の真空用同軸ケーブル31、及び該第4の真空用同軸ケーブル31の芯線32を介して、第4の給電点13bに供給する。
第1のインピーダンス整合器55は、第1の増幅器54の出力を第1の電力分配器82、第1の電流導入端子15、第1の真空用同軸ケーブル16、及び該第1の真空用同軸ケーブル16の芯線17を介して、第1の給電点12aに供給する。また、第3の電流導入端子25、第3の真空用同軸ケーブル26、及び該第3の真空用同軸ケーブル26の芯線27を介して、第3の給電点12bに供給する。
なお、給電線22、32には、図示しない管状の絶縁材を取り付けて、その近傍での異常放電を抑制している。
前記第2の電力増幅器57には、それぞれ、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による電力増幅器本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
なお、ここでは、第1の発信器50、第1のランダム位相変調器51、第1の分配器52、第1及び第2のフェーズシフター53、56、第3及び第4の結合器84、85、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83から構成される電力供給系を第5の電力供給系と呼ぶ。
また、第2の発信器60、第2のランダム位相変調器61、第2の分配器62、第3及び第4のフェーズシフター63、66、第3及び第4の結合器84、85、
第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83から構成される電力供給系を第6の電力供給系と呼ぶ。
上記装置構成において、第1の電力分配器82から第1及び第3の給電点12a、12bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子15、25の部品は同じ仕様とする。このことにより、この2つの伝播路で電力伝送される電磁波の伝播路の違いによる位相差は生じない。
また、第2の電力分配器83から第2及び第4の給電点13a、13bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子20、30の部品は同じ仕様とする。このことにより、この2つの伝播路で電力伝送される電磁波の伝播路の違いによる位相差は生じない。
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、プラズマCVDによるa−Si太陽電池用アモルファスシリコン膜を製造する場合の方法を説明する。
なお、本発明の実施あるいは応用では、手順として、第1及び第2の予備製膜工程と本製膜工程を用いるのが好ましい。
第1の予備製膜工程は、前記第5の電力供給系に関するもので、第1及び第2のフェーズシフター53、56を用いて、第1及び第3の給電点12a、12bから供給される電力と、第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧の位相差と、基板11に製膜されるアモルファスシリコン系膜の厚み分布との関係を把握するデータを取得するために行なわれる。
第2の予備製膜工程は、前記第6の電力供給系に関するもので、第3及び第4のフェーズシフター63、66を用いて、第1及び第3の給電点12a、12bから供給される電力と、第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧の位相差と、基板11に製膜されるアモルファスシリコン系膜の厚み分布との関係を把握するデータを取得するために行なわれる。
本製膜工程は目的とするアモルファスSiの製造のために実施される。
なお、本実施例では、以下に示すように、第1の予備製膜工程及び第2の予備製膜工程において、定在波の腹の位置の情報を把握する手段として、例えばアモルファスシリコン系膜を製膜するが、これに代えて、エッチング速度分布、プラズマ発光分布、及びプラズマ密度分布などのうち少なくとも1つについて、予め計測しておき、その計測結果に基ずいて定在波の腹の位置の情報と、後述の複数の2出力の位相可変高周波電源のそれぞれの2つの出力電力の電圧の位相差の関係を把握しても良い。
先ず、第1の第1の予備製膜工程であるが、図7において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、図示しない放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば350sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第5の電力供給系、即ち、第1の発信器50、第1のランダム位相変調器51、第1の分配器52、第1及び第2のフェーズシフター53、56、第3及び第4の結合器84、85、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83
を用いて、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、12b、13a、13bに電力を供給する。
この場合、第1の発振器50の周波数を、例えば60MHzに設定する。
そして、前記第1のフェーズシフター53の調整器を、例えばθ1に設定し、第1の電力増幅器54の出力を、例えば500Wに設定して、第1のインピーダンス整合器55、第1の電力分配器82、第1及び第3の電流導入端子15、25、第1及び第2の真空用同軸ケーブル16、26の芯線17、27を介して、第1及び第3の給電点12a、12bに供給する。
そして、前記第2のフェーズシフター56の調整器を、例えばθ2に設定し、第2の電力増幅器57の出力を、例えば500Wに設定して、第2のインピーダンス整合器58、第2の電力分配器83、第2及び第4の電流導入端子20、30、第2及び第4の真空用同軸ケーブル21、31の芯線22、32を介して、第2及び第4の給電点13a、13bに供給する。
なお、前記第1のインピーダンス整合器55及び第2のインピーダンス整合器58を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器55、58の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、後述するように、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相θ1、θ2をパラメータに繰り返し実施する。
そして、第1の給電点12aと第2の給電点13aを結ぶ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相θ1、θ2の関係をデータとして把握する。例えば、膜厚分布の最大厚みの位置が、第1の給電点12aと第2の給電点13aを結ぶ方向において、基板11の中央点となる第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相の値は例えばθ11、θ22であるいうことが把握される。
ところで、上記第1及び第3の給電点12a、12bと、上記第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧波は、同一電源から発振され、互いに逆方向から電極間、即ち2と4の間を伝播していくので、干渉現象が発生する。その様子を、図7、図3及び図4を用いて説明する。
図7において、第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向の距離をxとし、同様に、第3の給電点12bから第4の給電点13bの方向の距離をxとする。
第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向へ伝播する電圧波をW11(x、t)、第2の給電点13aから第1の給電点12aの方向へ伝播する電圧波をW21(x、t)とすると、次のように表される。
W11(x、t)=V・cos{ωt+Φ1(t)+2πx/λ)+θ1}
W12(x、t)=V・cos{ωt+Φ1(t)−2π(x−L0)/λ+θ2}
ただし、Vは電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、Φ1(t)は時間的にランダムに変化する位相、L0は第1及び第2の給電点の間隔、θ1は第1の給電点12aから供給される電力の電圧波の初期位相、θ2は第2の給電点13aから供給される電力の電圧波の初期位相である。
上記の2つの波は、複素関数表示にすると、次のように表される。
W11(x、t)=Re〔V・exp{−i(2πx/λ+θ1)}・exp{−iωt−iΦ1(t)}〕
W12(x、t)=Re〔V・exp{i2π(x−L0)/λ−iθ2)}・exp{−iωt−iΦ1(t)}〕
電磁波の干渉を考える際の波の強さI(x、t)は、次のように表される。ただし、*は共役複素数を示す。
I(x、t)={W11(x、t)+W12(x、t)}の絶対値の二乗
={W11(x、t)+W12(x、t)}・{W11(x、t)+W12(x、t)
=2V+V・exp〔−i{2π(2x−L0)/λ+(θ1−θ2)}〕+exp〔i{2π(2x−L0)/λ+(θ1−θ2)}〕
=2V+2Vcos{2π(2x−L0)/λ+(θ1−θ2)}
=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(θ1−θ2)/2}
ただし、λは波長であるが、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、一般的には真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。SiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.6程度である。
この式は、図4に示すように、(θ1−θ2)=Δθ=0、即ち、第1及び第2の給電点12a、13aに供給される電力の電圧の初期位相の差がゼロの場合は、腹(最大値)の位置がx=L0/2にあること、及び、腹と腹の間隔が波長の二分の一である定在波が発生することを示している。
また、上記Δθ=(θ1−θ2)の値を調整することにより、定在波の腹の位置を任意に設定できることを示している。
なお、ここでは、第5の電力供給系を用いて生成される上記定在波を第1の定在波と呼ぶ。
第3の給電点12bから第4の給電点13bの方向へ伝播する電圧波と、第4の給電点13bから第3の給電点12bの方向へ伝播する電圧波の2つの波の干渉現象についても、上述の第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向へ伝播する電圧波と第2の給電点13aから第1の給電点12aの方向へ伝播する電圧波の2つの波の干渉現象と同様である。即ち、この場合も、図4に示すような定在波が発生する。
なお、上述の通り、第1の電力分配器82から第1及び第3の給電点12a、12bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子15、25の部品は同じ仕様とされているので、この2つの伝播路の違いによる位相の変化はない。
そして、第2の電力分配器83から第2及び第4の給電点13a、13bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子20、30の部品は同じ仕様とされているので、この2つの伝播路の違いによる位相の変化はない。
次に、第2の予備製膜工程であるが、図7において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、図示しない放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば350sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第6の電力供給系、即ち、第2の発信器60、第2のランダム位相変調器61、第2の分配器62、第3及び第4のフェーズシフター63、66、第3及び第4の結合器84、85、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83から構成される電力供給系を第6の電力供給系を用いて、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、12b、13a、13bに電力を供給する。
この場合、第2の発振器60の周波数を、例えば60MHzに設定する。
そして、前記第2のフェーズシフター63の調整器を、例えばδ1に設定し、第1の電力増幅器54の出力を例えば500Wに設定して、その出力を第1のインピーダンス整合器55、第1の電力分配器82、第1及び第3の電流導入端子15、25、第1及び第2の真空用同軸ケーブル16、26の芯線17、27を介して、第1及び第3の給電点12a、12bに供給する。
そして、前記第4のフェーズシフター66の調整器を、例えばδ2に設定し、第2の電力増幅器57の出力を例えば500Wに設定して、その出力を第2のインピーダンス整合器58、第2の電力分配器83、第2及び第4の電流導入端子20、30、第2及び第4の真空用同軸ケーブル21、31の芯線22、32を介して、第2及び第4の給電点13a、13bに供給する。
なお、前記第1のインピーダンス整合器55及び第2のインピーダンス整合器58を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器55、58の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、後述するように、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第3及び第4のフェーズシフター63、6の位相δ1、δ2をパラメータに繰り返し実施する。
そして、第1の給電点12aと第2の給電点13aを結ぶ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1及び第2のフェーズシフター63、66の位相δ1、δ2の関係をデータとして把握する。
例えば、基板11の中央点から第2の給電点13aの方向へ波長λの四分の一、即ちλ/4だけ離れた位置に設定するための位相差Δδ=(δ1−δ2)は、例えばδ11−δ22であるいうことが把握される。
なお、その位置は、λ/4だけ離れた位置に限らないで、波長λの四分の一の奇数倍、即ちλ/4の奇数倍であっても良い。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、一般的には真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。SiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.6程度である。
また、上記の位相差Δδ=(δ1−δ2)の設定を行う際に、上記第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間隔が、その腹の空間的周期の二分の一の奇数倍に等しくなるように、位相差Δδ=(δ1−δ2)を選定すれば良い。
即ち、第2の予備製膜工程で基板11に製膜される膜厚みが正弦的な膜の最大厚みの位置が、基板11の中央点から第2の給電点13の方向へ膜の周期の二分の一の奇数倍だけ離れた点に合致させれば良い。なお、膜の周期の二分の一という値は、予め、前記第1の予備製膜工程で把握できる。
ところで、上記第1及び第3の給電点12a、12bと、上記第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧波は、同一電源から発振され、互いに逆方向から電極間2と4の間を伝播していくので、干渉現象が発生する。その様子を、図7、図3及び図4を用いて説明する。
図7において、第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向の距離をxとし、同様に、第3の給電点12bから第4の給電点13bの方向の距離をxとする。
第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向へ伝播する電圧波をW21(x、t)、第2の給電点13aから第1の給電点12aの方向へ伝播する電圧波をW22(x、t)とすると、次のように表される。
W21(x、t)=V・cos{ωt+Φ2(t)+2πx/λ)+δ1}
W22(x、t)=V・cos{ωt+Φ2(t)−2π(x−L0)/λ+δ2}
ただし、Vは電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、Φ2(t)は時間的にランダムに変化する位相、L0は第1及び第2の給電点の間隔、δ1は第1の給電点12aから供給される電力の電圧波の初期位相、δ2は第2の給電点13aから供給される電力の電圧波の初期位相である。
上記の2つの波は、複素関数表示にすると、次のように表される。
W21(x、t)=Re〔V・exp{−i(2πx/λ+δ1)}・exp{−iωt−iΦ2(t)}〕
W22(x、t)=Re〔V・exp{i2π(x−L0)/λ−iδ2)}・exp{−iωt−iΦ2(t)}〕
電磁波の干渉を考える際の波の強さI(x、t)は、次のように表される。ただし、*は共役複素数を示す。
I(x、t)={W21(x、t)+W22(x、t)}の絶対値の二乗
={W21(x、t)+W22(x、t)}・{W21(x、t)+W22(x、t)
=2V+V・exp〔−i{2π(2x−L0)/λ+(δ1−δ2)}〕+exp〔i{2π(2x−L0)/λ+(δ1−δ2)}〕
=2V+2Vcos{2π(2x−L0)/λ+(δ1−δ2)}
=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(δ1−δ2)/2}
ただし、λは波長であるが、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、一般的には真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。SiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.6程度である。
この式は、図4に示すように、(δ1−δ2)=Δδ=0、即ち、第1及び第2の給電点12a、13aに供給される電力の電圧の初期位相の差がゼロの場合は、腹(最大値)の位置がx=L0/2にあること、及び、腹と腹の間隔が波長の二分の一である定在波が発生することを示している。
また、上記Δδ=(δ1−δ2)の値を調整することにより、定在波の腹の位置を任意に設定できることを示している。
なお、ここでは、前記第6の電力供給系を用いて生成される上記定在波を第2の定在波と呼ぶ。
第3の給電点12bから第4の給電点13bの方向へ伝播する電圧波と、第4の給電点13bから第3の給電点12bの方向へ伝播する電圧波の2つの波の干渉現象についても、上述の第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向へ伝播する電圧波と第2の給電点13aから第1の給電点12aの方向へ伝播する電圧波の2つの波の干渉現象と同様である。即ち、この場合も、図4に示すような定在波が発生する。
なお、上述の通り、第1の電力分配器82から第1及び第3の給電点12a、12bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子15、25の部品は同じ仕様とされているので、この2つの伝播路の違いによる位相の変化はない。
そして、第2の電力分配器83から第2及び第4の給電点13a、13bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子20、30の部品は同じ仕様とされているので、この2つの伝播路の違いによる位相の変化はない。
さて、前記第1および第2の予備製膜工程の結果を受けて、本製膜工程に入る。
先ず、図7において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、図示しない放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば350sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、第5の電力供給系の発振器50の周波数を60MHとし、2つのフェーズシフター53、56の出力の位相を、第1の予備製膜工程のデータとして把握したθ11、θ22に設定し、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに、それぞれに電力を供給する。電力は第6の電力供給系と合わせて、例えば1000Wとする。
そして同様に、第6の電力供給系の発振器60の周波数を60MHとし、2つのフェーズシフター63、66の出力の位相を、第2の予備製膜工程のデータとして把握したδ11、δ22に設定し、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに電力を供給する。電力は第5の電力供給系と合わせて、例えば1000Wとする。
さて、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに、第5及び第6の電力供給系からそれぞれ、電力が供給されると、該一対の電極間に発生の電力の分布は次に示すようになる。
ここで、説明の便宜上、第5の電力供給系から第1及び第3の電流導入端子15、25を介して第1及び第3の給電点12a、12bに供給される電力の電圧波をW11(x、t)で表す。
第5の電力供給系から第2及び第4の電流導入端子20、30を介して第2及び第4の給電点13a、13bに供給される電力の電圧波をW12(x、t)で表す。
また、第6の電力供給系から第1及び第3の電流導入端子15、25を介して第1及び第3の給電点12a、12bに供給される電力の電圧波をW21(x、t)で表す。
また、第6の電力供給系から第2及び第4の電流導入端子20、30を介して第2及び第4の給電点13a、13bに供給される電力の電圧波をW22(x、t)で表す。
この場合、4つの電圧波が同時に印加されるので、電磁波の強さI(x、t)は次式で表される。
ただし、Vは電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、Φ1(t)は時間的にランダムに変化する位相、L0は第1及び第2の給電点の間隔、θ1は第5の電力供給系で第1及び第3の給電点12a、12bから供給される電力の電圧波の初期位相、θ2は第5の電力供給系で第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧波の初期位相、Φ2(t)は時間的にランダムに変化する位相、δ1は第6の電力供給系で第1及び第3の給電点12a、12bから供給される電力の電圧波の初期位相、δ2は第4の電力供給系で第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧波の初期位相である。*は共役複素数を示す。
I(x、t)={W11(x、t)+W12(x、t)+W21(x、t)+W22(x、t)}・{W11(x、t)+W12(x、t)+W21(x、t)+W22(x、t)
ここで、W11(x、t)、W12(x、t)、W21(x、t)及びW22(x、t)は、前述の通りであり、次式で表される。
W11(x、t)=Re〔V・exp{−i(2πx/λ+θ1)}・exp{−iωt−iΦ1(t)}〕
W12(x、t)=Re〔V・exp{i2π(x−L0)/λ−iθ2)}・exp{−iωt−iΦ1(t)}〕
W21(x、t)=Re〔V・exp{−i(2πx/λ+δ1)}・exp{−iωt−iΦ2(t)}〕
W22(x、t)=Re〔V・exp{i2π(x−L0)/λ)−iδ2}・exp{−iωt−iΦ2(t)}〕
上記電磁波の強さI(x、t)を計算すると、次のようになる。
I(x、t)={W11(x、t)・W11(x、t)+W11(x、t)・W12(x、t)+W12(x、t)・W11(x、t)+W12(x、t)・W12(x、t)}+{W21(x、t)・W21(x、t)+W21(x、t)・W22(x、t)+W22(x、t)・W21(x、t)+W22(x、t)・W22(x、t)}+{W11(x、t)・W21(x、t)+W21(x、t)・W11(x、t)}+{W11(x、t)・W22(x、t)+W22(x、t)・W11(x、t)}+{W12(x、t)・W21(x、t)+W21(x、t)・W12(x、t)}+{W12(x、t)・W22(x、t)+W22(x、t)・W12(x、t)
即ち、上記I(x、t)は、次のようになる。
I(x、t)=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(θ1−θ2)/2}+4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(δ1−δ2)/2}+2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+(θ1−δ1)〕
+2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+2π(2x−L0/2)/λ+(θ1−δ2)〕+2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+2π(2x−L0/2)/λ+(θ2−δ1)〕+2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+(θ2−δ2)〕
上式において、第1項は前述の第1の定在波を、第2項は前述の第2の定在波を表している。
上式において、第3項は、図7図示の第5の電力供給系から第1及び第3の給電点12a、12bに供給される電力の電圧波W11(x、t)と、第6の電力供給系から第1及び第3の給電点12a、12bに供給される電力の電圧波W21(x、t)の合成波を示している。この項で示される値は、第1及び第2のランダム位相変調器51、61で、それぞれランダムに位相変調された第1及び第2の発振器50、60からの出力の電圧のランダムに変化する位相の差{Φ1(t)−Φ2(t)}を含んでいるので、時間的にランダムな値になる。
即ち、瞬時値は時間とともに、ランダムに変化する。その結果、時間平均でみると、平均値がほぼ、ゼロになる。
時間平均とは、上記発振器出力の周期に比較して十分大きな時間にわたる平均をとることである。即ち、時間平均を< >で示すと、
<第3項>=<2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+(θ1−δ1)〕>=0
このことは、W11(x、t)とW21(x、t)は定在波を発生することができないことを示している。
上式において、第4項は、図7図示の第5の電力供給系から第1及び第2の給電点12a、12bに供給される電力の電圧波W11(x、t)と、第6の電力供給系から第2及び第4の給電点13a、13bに供給される電力の電圧波W22(x、t)の合成波を示している。この項で示される値は、第1及び第2のランダム位相変調器51、61で、それぞれランダムに位相変調された第1及び第2の発振器50、60からの出力の電圧のランダムに変化する位相の差{Φ1(t)−Φ2(t)}を含んでいるので、時間的にランダムな値になる。
即ち、瞬時値は時間とともに、ランダムに変化する。その結果、時間平均でみると、平均値がほぼ、ゼロになる。
時間平均とは、上記発振器出力の周期に比較して十分大きな時間にわたる平均をとることである。即ち、時間平均を< >で示すと、
<第4項>=<2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+2π(2x−L0/2)/λ+(θ1−δ2)〕>=0
このことは、W11(x、t)とW22(x、t)は定在波を発生することができないことを示している。
上式において、第5項は、図7図示の第5の電力供給系から第2及び第4の給電点13a、13bに供給される電力の電圧波W12(x、t)と、第6の電力供給系から第1及び第2の給電点12a、12bに供給される電力の電圧波W21(x、t)の合成波を示している。この項で示される値は、第1及び第2のランダム位相変調器51、61で、それぞれランダムに位相変調された第1及び第2の発振器50、60からの出力の電圧のランダムに変化する位相の差{Φ1(t)−Φ2(t)}を含んでいるので、時間的にランダムな値になる。
即ち、瞬時値は時間とともに、ランダムに変化する。その結果、時間平均でみると、平均値がほぼ、ゼロになる。
時間平均とは、上記発振器出力の周期に比較して十分大きな時間にわたる平均をとることである。即ち、時間平均を< >で示すと、
<第5項>=<2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+2π(2x−L0/2)/λ+(θ2−δ1)〕>=0
このことは、W12(x、t)とW21(x、t)は定在波を発生することができないことを示している。
上式において、第6項は、図7図示の第5の電力供給系から第2及び第4の給電点13a、13bに供給される電力の電圧波W12(x、t)と、第6の電力供給系から第2及び第4の給電点13a、13bに供給される電力の電圧波W22(x、t)の合成波を示している。この項で示される値は、第1及び第2のランダム位相変調器51、61で、それぞれランダムに位相変調された第1及び第2の発振器50、60からの出力の電圧のランダムに変化する位相の差{Φ1(t)−Φ2(t)}を含んでいるので、時間的にランダムな値になる。
即ち、瞬時値は時間とともに、ランダムに変化する。その結果、時間平均でみると、平均値がほぼ、ゼロになる。
時間平均とは、上記発振器出力の周期に比較して十分大きな時間にわたる平均をとることである。即ち、時間平均を< >で示すと、
<第6項>=<2Vcos〔{Φ1(t)−Φ2(t)}+(θ2−δ2)〕>=0
このことは、W12(x、t)とW22(x、t)は定在波を発生することができないことを示している。
上述の通り、第5の電力供給系を構成する第1の発振器50及び第6の電力供給系を構成する第2の発振器60が、それぞれ、第1及び第2のランダム位相変調器51、61により、正弦波信号の位相がランダムに変調されている結果、W11(x、t)とW21(x、t)、W11(x、t)とW22(x、t)、W12(x、t)とW21(x、t)、及びW12(x、t)とW22(x、t)は、それぞれ、定在波を発生しないことが判る。
即ち、第1の発振器50及び第2の発振器60の出力の位相をランダムに変調することにより、第5及び第6の電力供給系の出力間の相互の干渉効果を無くすことが可能であることを示している。
したがって、上記第5及び第6の電力供給系から第1、第2、第3及び第4の給電点12a、12b、13a、13bに供給された電力により発生される上記一対の電極2、4間の電磁波の強さI(xt)は、次のようになる。
I(x、t)=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(θ1−θ2)/2}+4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+(δ1−δ2)/2}
これは時間的に変動しない2つの定在波の和になっていることを示している。
そして、第1及び第2のフェーズシフター53、56で調整可能な位相差Δθ=(θ1−θ2)及び、第3及び第4のフェーズシフター63、66で調整可能な位相差Δδ=(δ1−δ2)を調整することにより、該2つの定在波のそれぞれの腹の位置を任意に調整できることを示している。
具体的には、例えば、前述の第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相の値を前述の第1の予備製膜工程で示したθ11、θ22とし、そして、
第3及び第4のフェーズシフター63、66の位相の値を前述の第2の予備製膜工程で示したδ11、δ22とすれば、図5に示すように、第1及び第2の定在波が、λ/4だけ離れた形で加算されることになる。
即ち、2つの定在波の和I(x)は、
I(x)=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ}+4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+π/2}
=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ}+4Vsin{2π(x−L0/2)/λ}
=4V
で表される。
上記の具体例では、図5に示すように、第1及び第2の定在波が、λ/4だけ離れた形で加算されることを意味するが、別の表現をすれば、前記第2の予備製膜工程において、位相差Δδ=(δ1−δ2)の設定を行う際に、第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間隔が、その腹の空間的周期の二分の一に等しくなるように、位相差Δδ=(δ1−δ2)を選定すれば良いことを意味する。
ところで、一般的に、一対の電極2、4間の電力の強さの分布とプラズマの強さの分布は比例関係にある。
他方、上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板11の表面に吸着されることによりa−Si膜が堆積するが、プラズマの強さの分布と膜厚みの分布は比例関係にある。
このことは、電力の強さの分布が均一化されるということは、膜厚み分布が均一化されるということである。
また、電力の強さの分布が均一化されるということは、プラズマ密度及びラデイカル密度が大面積に亘って均一化されるという意味である。
したがって、一対の電極2、4間の電力の強さが上述の通り一様である場合は、その堆積膜の分布は一様になる。その結果、膜厚みのバラツキは一様になる。実用上必要な膜厚みのバラツキは5〜10%であるので、それを達成することは容易に可能である。
このことは、波長λの四分の一を越えるサイズの基板を対象にした従来のVHFプラズマ表面処理装置及び方法では不可能視されている一様な膜厚分布の形成が実現可能であるということを意味している。したがって、上記のことはVHFプラズマの応用分野においては画期的な発見であり、その実用価値は著しく大きい。
なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH、H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術であるので、上記アモルファスシリコン膜の製膜と同様に可能であることは、当然のことである。
本実施例では、給電点が対向した辺に2点ずつであるので、基板サイズは長さ2m〜3mx幅0.5m程度に制約されるが、給電点の個数を幅方向に増加すれば基板サイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
(実施例4)
本発明に関する実施例4の電極への電力供給方法、該電力供給方法を用いたプラズマ表面処理方法(プラズマCVD方法)及びプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)について、主として図8及び図9を参照して説明する。
先ず、装置の構成について説明する。ただし、図1、図2、図6及び図7に示した部材と同じ部材は同符番を付して説明を省略する。
図8は実施例4に係わるプラズマ表面処理装置の製膜室に係わる構成を示す概略図、図9は実施例4に係わるプラズマ表面処理装置の電力供給装置に係わる構成を示す概略図である。
図8及び図9において、真空容器1の内部に、第1の平板型電極2と図示しない基板ヒータを内臓した第2の平板型電極4が配置される。
該第1の平板型電極2は、絶縁部材87を介して、真空容器1に固着されている。該第1の平板型電極2は、内部が空洞で、ガスシャワー孔7が配置されており、その空洞には絶縁部材86で電気絶縁されたガス導入管8から放電ガス、例えばシランガスが供給される。また、該第1の平板型電極2には、多数のガス吐出孔2aが配置されており、前記放電ガスを前記一対の電極2、4間に均一に供給する機能を有している。
供給されたシランガス等放電ガスは前記一対の電極の間でプラズマ化された後、排気管9a、9b及び図示しない真空ポンプにより、真空容器1の外へ排出される。
基板11は、基板リフター90及び基板搬入出ゲート91を用いて、第2の電極4上に配置される。なお、該基板リフター90の上下動の際、真空容器1の気密を維持するために、ベローズ89が用いられる。
また、真空容器1の内壁と該第2の電極4の通電を良くするために、真空容器内壁に固着されている第1の接続導体88a及び第2の電極4に固着されている第2の接続導体88aが配置される。
電極へ高周波電力を給電する位置である給電点は、図8及び図9に示すように、第1の平板型電極2の互いに対向する辺とする。そして、その辺に、複数個、例えば、図9図示の12aに第1の給電点を、13aに第2の給電点を、12bに第3の給電点を、13bに第4の給電点を配置する。なお、該給電点12aと13a、及び12bと13bは、互いに高周波電力波の伝播上での対向点となる関係にある。
上記給電点の配置において、第1及び第3の給電点12a、12bの間隔、及び第2及び第4の給電点13a、13bの間隔が開き過ぎると、後述の製膜試験において、両給電点の間の膜厚みが薄くなり、逆に、その間隔が近過ぎると、両給電点の間の膜厚みが厚くなる。
ここでは、シランガスを用いたプラズマCVDでの経験に基ずいて、その間隔は0.3mとする。なお、具体的には、例えば、第1の平板型電極2の辺の端から0.015mの位置に第1の給電点12aを、それから0.3m離れた位置に第3の給電点12bを、第3の給電点12bと辺の端の間を0.015mとする。
もしも、後述の製膜試験の結果、膜厚み分布が所要の結果にならない場合は、両給電点の間隔及び矩形平板の第1の電極2の幅をパラメータに製膜試験を行い、最適な両給電点間隔を選定することができることは当然なことである。
図8及び図9において、周波数10MHz〜30MHz(VH帯域)ないし30MHz〜300MHz(VHF帯域)の正弦波信号を発生する第1の発信器50の出力信号、即ち正弦波信号の位相は第1のランダム位相変調器51で、ランダムに変調される。
なお、実施例1〜3において説明したように、該正弦波信号の位相をランダムに変調することにより、後述の第5及び第6の電力供給系の出力間の相互の干渉性を低減することが可能である。
第1の分配器52は、前記第1の発信器50の出力を2つに分配し、第1及び第2のフェーズシフター53、56へ伝送する。
第1のフェーズシフター53は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第1のフェーズシフター53の出力は第3の結合器84に伝送される。
第2のフェーズシフター56は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第2のフェーズシフター56の出力は第4の結合器85に伝送される。
第1の増幅器54は前記第3の結合器84より伝送された信号の電力を増幅して、第1のインピーダンス整合器55に伝送する。
第1のインピーダンス整合器55は、第1の増幅器54の出力を第1の電力分配器82、第1の電流導入端子15、第1の真空用同軸ケーブル16、及び該第1の真空用同軸ケーブル16の芯線17を介して、第1の給電点12aに供給する。また、第3の電流導入端子25、第3の真空用同軸ケーブル26、及び該第3の真空用同軸ケーブル26の芯線27を介して、第3の給電点12bに供給する。
なお、給電線17、27には、図示しない管状の絶縁材を取り付けて、その近傍での異常放電を抑制している。
前記第1の電力増幅器54には、それぞれ、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による電力増幅器本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
第2の増幅器57は前記第4の結合器85より伝送された信号の電力を増幅して、第2のインピーダンス整合器58に伝送する。
第2のインピーダンス整合器58は、第2の増幅器57の出力を第2の電力分配器83、第2の電流導入端子25、第2の真空用同軸ケーブル21、及び該第2の真空用同軸ケーブル21の芯線22を介して、第2の給電点13aに供給する。また、第4の電流導入端子30、第4の真空用同軸ケーブル31、及び該第4の真空用同軸ケーブル31の芯線32を介して、第4の給電点13bに供給する。
なお、給電線22、32には、図示しない管状の絶縁材を取り付けて、その近傍での異常放電を抑制している。
前記第2の電力増幅器57には、それぞれ、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による電力増幅器本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
周波数10MHz〜30MHz(VH帯域)ないし30MHz〜300MHz(VHF帯域)の正弦波信号を発生する第2の発信器60の出力信号、即ち正弦波信号の位相は第2のランダム位相変調器61で、ランダムに変調される。
なお、実施例1〜3において説明したように、該正弦波信号の位相をランダムに変調することにより、後述の第5及び第6の電力供給系の出力間の相互の干渉性を低減することが可能である。
第2の分配器62は、前記第2の発信器60の出力を2つに分配し、第3及び第4のフェーズシフター63、66へ伝送する。
第3のフェーズシフター63は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第3のフェーズシフター63の出力は第3の結合器84に伝送される。
第4のフェーズシフター66は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第4のフェーズシフター66の出力は第4の結合器85に伝送される。
第2の増幅器57は前記第4の結合器85より伝送された信号の電力を増幅して、第2のインピーダンス整合器58に伝送する。
第2のインピーダンス整合器58は、第2の増幅器57の出力を第2の電力分配器83、第2の電流導入端子20、第2の真空用同軸ケーブル21、及び該第2の真空用同軸ケーブル21の芯線22を介して、第2の給電点13aに供給する。また、第4の電流導入端子30、第4の真空用同軸ケーブル31、及び該第4の真空用同軸ケーブル31の芯線32を介して、第4の給電点13bに供給する。
第3のフェーズシフター63の出力は第3の結合器84を介して第1の増幅器に伝送される。
第1の増幅器54は前記第3の結合器84より伝送された信号の電力を増幅して、第1のインピーダンス整合器55に伝送する。
第1のインピーダンス整合器55は、第1の増幅器54の出力を第1の電力分配器82、第1の電流導入端子15、第1の真空用同軸ケーブル16、及び該第1の真空用同軸ケーブル16の芯線17を介して、第1の給電点12aに供給する。また、第3の電流導入端子25、第3の真空用同軸ケーブル26、及び該第3の真空用同軸ケーブル26の芯線27を介して、第3の給電点12bに供給する。
なお、ここでは、第1の発信器50、第1のランダム位相変調器51、第1の分配器52、第1及び第2のフェーズシフター53、56、第3及び第4の結合器84、85、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83から構成される電力供給系を第5の電力供給系と呼ぶ。
また、第2の発信器60、第2のランダム位相変調器51、第2の分配器62、第3及び第4のフェーズシフター63、66、第3及び第4の結合器84、85、
第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83から構成される電力供給系を第6の電力供給系と呼ぶ。
上記装置構成において、第1の電力分配器82から第1及び第3の給電点12a、12bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子15、25の部品は同じ仕様とする。このことにより、この2つの伝播路で電力伝送される電磁波の伝播路の違いによる位相差は生じない。
そして、第2の電力分配器83から第2及び第4の給電点13a、13bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの仕様及び長さを同じにすること、また、電流導入端子20、30の部品は同じ仕様とする。このことにより、この2つの伝播路で電力伝送される電磁波の伝播路の違いによる位相差は生じない。
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、プラズマCVDによるa−Si太陽電池用アモルファスシリコン膜を製造する場合の方法を説明する。
なお、本発明の実施あるいは応用では、手順として、第1及び第2の予備製膜工程と本製膜工程を用いるのが好ましい。
第1の予備製膜工程は、前記第5の電力供給系に関するもので、第1及び第2のフェーズシフター53、56を用いて、第1及び第3の給電点12a、12bから供給される電力と、第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧の位相差と、基板11に製膜されるアモルファスシリコン系膜の厚み分布との関係を把握するデータを取得するために行なわれる。
第2の予備製膜工程は、前記第6の電力供給系に関するもので、第3及び第4のフェーズシフター63、66を用いて、第1及び第3の給電点12a、12bから供給される電力と、第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧の位相差と、基板11に製膜されるアモルファスシリコン系膜の厚み分布との関係を把握するデータを取得するために行なわれる。
本製膜工程は目的とするアモルファスSiの製造のために実施される。
なお、本実施例では、以下に示すように、第1の予備製膜工程及び第2の予備製膜工程において、定在波の腹の位置の情報を把握する手段として、例えばアモルファスシリコン系膜を製膜するが、これに代えて、エッチング速度分布、プラズマ発光分布、及びプラズマ密度分布などのうち少なくとも1つについて、予め計測しておき、その計測結果に基ずいて定在波の腹の位置の情報と、後述の複数の2出力の位相可変高周波電源のそれぞれの2つの出力電力の電圧の位相差の関係を把握しても良い。
先ず、第1の第1の予備製膜工程であるが、図8、図9において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば350sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第5の電力供給系、即ち、第1の発信器50、第1のランダム位相変調器51、第1の分配器52、第1及び第2のフェーズシフター53、56、第3及び第4の結合器84、85、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83
を用いて、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、12b、13a、13bに電力を供給する。
この場合、第1の発振器50の周波数を、例えば60MHzに設定する。
そして、前記第1のフェーズシフター53の調整器を、例えばθ1に設定し、第1の電力増幅器54の出力を例えば500Wに設定して、第1のインピーダンス整合器55、第1の電力分配器82、第1及び第3の電流導入端子15、25、第1及び第2の真空用同軸ケーブル16、26の芯線17、27を介して、第1及び第3の給電点12a、12bに供給する。
そして、前記第2のフェーズシフター56の調整器を、例えばθ2に設定し、第2の電力増幅器57の出力を例えば500Wに設定して、第2のインピーダンス整合器58、第2の電力分配器83、第2及び第4の電流導入端子20、30、第2及び第4の真空用同軸ケーブル21、31の芯線22、32を介して、第2及び第4の給電点13a、13bに供給する。
なお、前記第1のインピーダンス整合器55及び第2のインピーダンス整合器58を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器55、58の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、後述するように、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相θ1、θ2をパラメータに繰り返し実施する。
そして、第1の給電点12aと第2の給電点12bを結ぶ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相θ1、θ2の関係をデータとして把握する。
例えば、膜厚分布の最大厚みの位置が、第1の給電点12aと第2の給電点12bを結ぶ方向において、基板11の中央点となる第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相の値は例えばθ11、θ22であるいうことが把握される。
その結果、図5に示す第1の定在波の形をした厚み分布を持つアモルファスシリコン膜が得られる。
次に、第2の予備製膜工程であるが、図8及び図9において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、図示しない放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば350sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第6の電力供給系、即ち、第2の発信器60、第2のランダム位相変調器61、第2の分配器62、第3及び第4のフェーズシフター63、66、第3及び第4の結合器84、85、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83から構成される電力供給系を第6の電力供給系を用いて、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、12b、13a、13bに電力を供給する。
この場合、第2の発振器60の周波数を、例えば60MHzに設定する。
そして、前記第2のフェーズシフター63の調整器を、例えばδ1に設定し、第1の電力増幅器54の出力を例えば500Wに設定して、その出力を
第1のインピーダンス整合器55、第1の電力分配器82、第1及び第3の電流導入端子15、25、第1及び第2の真空用同軸ケーブル16、26の芯線17、27を介して、第1及び第3の給電点12a、12bに供給する。
そして、前記第4のフェーズシフター66の調整器を、例えばδ2に設定し、第2の電力増幅器57の出力を例えば500Wに設定して、その出力を第2のインピーダンス整合器58、第2の電力分配器83、第2及び第4の電流導入端子20、30、第2及び第4の真空用同軸ケーブル21、31の芯線22、32を介して、第2及び第4の給電点13a、13bに供給する。
なお、前記第1のインピーダンス整合器55及び第2のインピーダンス整合器58を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器55、58の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第3及び第4のフェーズシフター63、6の位相δ1、δ2をパラメータに繰り返し実施する。
そして、第1の給電点12aと第2の給電点13aを結ぶ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1及び第2のフェーズシフター63、66の位相δ1、δ2の関係をデータとして把握する。
例えば、基板11の中央点から第2の給電点13aの方向へ波長λの四分の一、即ちλ/4だけ離れた位置に設定するための位相差Δδ=(δ1−δ2)は、例えばδ11−δ22であるいうことが把握される。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、一般的には真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。SiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.6程度である。
また、上記の位相差Δδ=(δ1−δ2)の設定を行う際に、上記第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間隔が、その腹の空間的周期の二分の一に等しくなるように、位相差Δδ=(δ1−δ2)を選定すれば良い。
即ち、第2の予備製膜工程で基板11に製膜される膜厚みが正弦的な膜の最大厚みの位置が、基板11の中央点から第2の給電点13の方向へ膜の周期の二分の一だけ離れた点に合致させれば良い。なお、膜の周期の二分の一という値は、予め、前記第1の予備製膜工程で把握できる。
その結果、図5に示す第2の定在波の形をした厚み分布を持つアモルファスシリコン膜が得られる。
さて、前記第1および第2の予備製膜工程の結果を受けて、本製膜工程に入る。
先ず、図8及び図9において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば350sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、第5の電力供給系の発振器50の周波数を60MHとし、2つのフェーズシフター53、56の出力の位相を、第1の予備製膜工程のデータとして把握したθ11、θ22に設定し、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに、それぞれに電力を供給する。電力は第6の電力供給系と合わせて、例えば1000Wとする。
そして同様に、第6の電力供給系の発振器60の周波数を60MHとし、2つのフェーズシフター63、66の出力の位相を、第2の予備製膜工程のデータとして把握したδ11、δ22に設定し、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに電力を供給する。電力は第5の電力供給系と合わせて、例えば1000Wとする。
さて、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに、第5及び第6の電力供給系からそれぞれ、電力が供給されると、実施例3の場合と同様に、該一対の電極間に発生の電力の分布は次式で表わされる電力の強さの分布I(x)となる。
I(x)=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ}+4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+π/2}
=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ}+4Vsin{2π(x−L0/2)/λ}
=4V
ただし、xは第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向の距離、Vは電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、L0は第1及び第2の給電点の間隔である。
ところで、一般的に、一対の電極2、4間の電力の強さの分布とプラズマの強さの分布は比例関係にある。
他方、上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板11の表面に吸着されることによりa−Si膜が堆積するが、プラズマの強さの分布と膜厚みの分布は比例関係にある。
このことは、電力の強さの分布が均一化されるということは、膜厚み分布が均一化されるということである。
また、電力の強さの分布が均一化されるということは、プラズマ密度及びラデイカル密度が大面積に亘って均一化されるという意味である。
したがって、一対の電極2、4間の電力の強さが上述の通り一様である場合は、その堆積膜の分布は一様になる。その結果、膜厚みのバラツキは一様になる。実用上必要な膜厚みのバラツキは5〜10%であるので、それを達成することは容易に可能である。
このことは、波長λの四分の一を越えるサイズの基板を対象にした従来のVHFプラズマ表面処理装置及び方法では不可能視されている一様な膜厚分布の形成が実現可能であるということを意味している。したがって、上記のことはVHFプラズマの応用分野においては画期的な発見であり、その実用価値は著しく大きい。
なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH、H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術であるので、上記アモルファスシリコン膜の製膜と同様に可能であることは、当然のことである。
本実施例では、給電点が対向した辺に2点ずつであるので、基板サイズは長さ2m〜3mx幅0.5m程度に制約されるが、給電点の個数を幅方向に増加すれば基板サイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
(実施例5)
本発明に関する実施例5の電極への電力供給方法、該電力供給方法を用いたプラズマ表面処理方法(プラズマCVD方法)及びプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)について、主として図10及び図11を参照して説明する。
先ず、装置の構成について説明する。ただし、図1、図2、図6及び図7〜図9に示した部材と同じ部材は同符番を付して説明を省略する。
図10は実施例5に係わるプラズマ表面処理装置の製膜室に係わる構成を示す概略図、図11は実施例5に係わるプラズマ表面処理装置の電力供給装置に係わる構成を示す概略図である。
図10及び図11において、真空容器1の内部に、第1の平板型ガス吐出孔2a付き電極2と、第2の平板型ガス吐出孔4a付き電極4が配置される。該電極2、4の間に、空洞を有する絶縁部材87が設置される。
該第2の電極4は、真空容器1に固着されている。該第2の電極2は、内部が空洞で、ガスシャワー孔7が配置されており、その空洞には絶縁部材86で電気絶縁されたガス導入管8から放電ガス、例えばシランガスが供給される。また、該第2の電極4には、多数のガス吐出孔4aが配置されており、前記放電ガスを前記一対の電極2、4間に均一に供給する機能を有している。
供給されたシランガス等放電ガスは前記一対の電極の間でプラズマ化された後、その空間で生成されたラデイカル等と一緒に、該第1の電極2はガス吐出孔2aを介して、排気管9a、9b及び図示しない真空ポンプにより、真空容器1の外へ排出される。
この場合、電気的に中性の前記ラデイカル等は拡散現象により拡散するので、基板保持板4bに設置される基板11の上に堆積する。その結果、アモルファスシリコンなどの膜が基板11に製膜される。
該基板保持板4bには図示しない基板ヒータが内臓されており、基板11の温度を任意に調整可能である。
なお、基板11は、基板リフター90及び基板搬入出ゲート91を用いて、該基板保持板4b上に配置される。該基板リフター90の上下動の際、真空容器1の気密を維持するために、ベローズ89が用いられる。
また、真空容器1の内壁と該第2の電極4の通電を良くするために、真空容器内壁に固着されている第1の接続導体88a及び基板保持板4bに固着されている第2の接続導体88aが配置される。
電極へ高周波電力を給電する位置である給電点は、図11に示すように、第1の電極2の互いに対向する辺とする。そして、その辺に、複数個、例えば、図11図示の12aに第1の給電点を、13aに第2の給電点を、12bに第3の給電点を、13bに第4の給電点を配置する。なお、該給電点12aと13a、及び12bと13bは、互いに高周波電力波の伝播上での対向点となる関係にある。
上記給電点の配置において、第1及び第3の給電点12a、12bの間隔、及び第2及び第4の給電点13a、13bの間隔が開き過ぎると、後述の製膜試験において、両給電点の間の膜厚みが薄くなり、逆に、その間隔が近過ぎると、両給電点の間の膜厚みが厚くなる。
ここでは、シランガスを用いたプラズマCVDでの経験に基ずいて、その間隔は0.3mとする。なお、具体的には、例えば、第1の電極2の辺の端から0.015mの位置に第1の給電点12aを、それから0.3m離れた位置に第3の給電点12bを、第3の給電点12bと辺の端の間を0.015mとする。
もしも、後述の製膜試験の結果、膜厚み分布が所要の結果にならない場合は、両給電点の間隔及び矩形平板の第1の電極2の幅をパラメータに製膜試験を行い、最適な両給電点間隔を選定することができることは当然なことである。
図10及び図11において、周波数10MHz〜30MHz(VH帯域)ないし30MHz〜300MHz(VHF帯域)の正弦波信号を発生する第1の発信器50の出力信号、即ち正弦波信号の位相は第1のランダム位相変調器51で、ランダムに変調される。
なお、実施例1〜3において説明したように、該正弦波信号の位相をランダムに変調することにより、後述の第5及び第6の電力供給系の出力間の相互の干渉性を低減することが可能である。
第1の分配器52は、前記第1の発信器50の出力を2つに分配し、第1及び第2のフェーズシフター53、56へ伝送する。
第1のフェーズシフター53は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第1のフェーズシフター53の出力は第3の結合器84に伝送される。
第2のフェーズシフター56は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第2のフェーズシフター56の出力は第4の結合器85に伝送される。
第1の増幅器54は前記第3の結合器84より伝送された信号の電力を増幅して、第1のインピーダンス整合器55に伝送する。
第1のインピーダンス整合器55は、第1の増幅器54の出力を第1の電力分配器82、第1の電流導入端子15、第1の真空用同軸ケーブル16、及び該第1の真空用同軸ケーブル16の芯線17を介して、第1の給電点12aに供給する。また、第3の電流導入端子25、第3の真空用同軸ケーブル26、及び該第3の真空用同軸ケーブル26の芯線27を介して、第3の給電点12bに供給する。
なお、給電線17、27には、図示しない管状の絶縁材を取り付けて、その近傍での異常放電を抑制している。
前記第1の電力増幅器54には、それぞれ、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による電力増幅器本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
第2の増幅器57は前記第4の結合器85より伝送された信号の電力を増幅して、第2のインピーダンス整合器58に伝送する。
第2のインピーダンス整合器58は、第2の増幅器57の出力を第2の電力分配器83、第2の電流導入端子20、第2の真空用同軸ケーブル21、及び該第2の真空用同軸ケーブル21の芯線22を介して、第1の給電点12aに供給する。また、第4の電流導入端子30、第4の真空用同軸ケーブル31、及び該第4の真空用同軸ケーブル31の芯線32を介して、第4の給電点13bに供給する。
なお、給電線22、32には、図示しない管状の絶縁材を取り付けて、その近傍での異常放電を抑制している。
前記第2の電力増幅器57には、それぞれ、出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による電力増幅器本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
なお、ここでは、第1の発信器50、第1のランダム位相変調器51、第1の分配器52、第1及び第2のフェーズシフター53、56、第3及び第4の結合器84、85、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83から構成される電力供給系を第5の電力供給系と呼ぶ。
周波数10MHz〜30MHz(VH帯域)ないし30MHz〜300MHz(VHF帯域)の正弦波信号を発生する第2の発信器60の出力信号、即ち正弦波信号の位相は第2のランダム位相変調器61で、ランダムに変調される。
なお、実施例1〜3において説明したように、該正弦波信号の位相をランダムに変調することにより、後述の第5及び第6の電力供給系の出力間の相互の干渉性を低減することが可能である。
第2の分配器62は、前記第2の発信器60の出力を2つに分配し、第3及び第4のフェーズシフター63、66へ伝送する。
第3のフェーズシフター63は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第3のフェーズシフター63の出力は第3の結合器84に伝送される。
第4のフェーズシフター66は、入力された信号の位相を任意に移相する機能を有する。第4のフェーズシフター66の出力は第4の結合器85に伝送される。
上記第3の結合器84に伝送された第3のフェーズシフター63の出力、及び
上記第4の結合器85に伝送された第4のフェーズシフター66の出力は、それぞれ、上記第5の電力供給系と同様にして、増幅され、インピーダンス整合されて、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに供給される。
ここで、第2の発信器60、第2のランダム位相変調器51、第2の分配器62、第3及び第4のフェーズシフター63、66、第3及び第4の結合器84、85、
第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83から構成される電力供給系を第6の電力供給系と呼ぶ。
上記装置構成において、第1の電力分配器82から第1及び第3の給電点12a、12bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの長さを同じにすること、及び電流導入端子15、25の部品は同じ仕様とする。このことにより、この2つの伝播路で電力伝送される電磁波の伝播路の違いによる位相差は生じない。
また、第2の電力分配器83から第2及び第4の給電点13a、13bまでの2つの伝送路の同軸ケーブル及び真空用同軸ケーブルの長さを同じにすること、及び電流導入端子20、30の部品は同じ仕様とする。このことにより、この2つの伝播路で電力伝送される電磁波の伝播路の違いによる位相差は生じない。
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、プラズマCVDによる薄膜太陽電池用アモルファスシリコン膜を製造する場合の方法を説明する。
なお、本発明の実施あるいは応用では、手順として、第1及び第2の予備製膜工程と本製膜工程を用いるのが好ましい。
第1の予備製膜工程は、前記第5の電力供給系に関するもので、第1及び第2のフェーズシフター53、56を用いて、第1及び第3の給電点12a、12bから供給される電力と、第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧の位相差と、基板11に製膜されるアモルファスシリコン系膜の厚み分布との関係を把握するデータを取得するために行なわれる。
第2の予備製膜工程は、前記第6の電力供給系に関するもので、第3及び第4のフェーズシフター63、66を用いて、第1及び第3の給電点12a、12bから供給される電力と、第2及び第4の給電点13a、13bから供給される電力の電圧の位相差と、基板11に製膜されるアモルファスシリコン系膜の厚み分布との関係を把握するデータを取得するために行なわれる。
本製膜工程は目的とするアモルファスSiの製造のために実施される。
なお、本実施例では、以下に示すように、第1の予備製膜工程及び第2の予備製膜工程において、定在波の腹の位置の情報を把握する手段として、例えばアモルファスシリコン系膜を製膜するが、これに代えて、エッチング速度分布、プラズマ発光分布、及びプラズマ密度分布などのうち少なくとも1つについて、予め計測しておき、その計測結果に基ずいて定在波の腹の位置の情報と、後述の複数の2出力の位相可変高周波電源のそれぞれの2つの出力電力の電圧の位相差の関係を把握しても良い。
先ず、第1の第1の予備製膜工程であるが、図10、図11において、予め、基板11を基板保持板4bの上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第5の電力供給系、即ち、第1の発信器50、第1のランダム位相変調器51、第1の分配器52、第1及び第2のフェーズシフター53、56、第3及び第4の結合器84、85、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83
を用いて、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、12b、13a、13bに供給する。
この場合、第1の発振器50の周波数を、例えば60MHzに設定する。
そして、前記第1のフェーズシフター53の調整器を、例えばθ1に設定し、第1の電力増幅器54の出力を例えば500Wに設定して、第1のインピーダンス整合器55、第1の電力分配器82、第1及び第3の電流導入端子15、25、第1及び第2の真空用同軸ケーブル16、26の芯線17、27を介して、第1及び第3の給電点12a、12bに供給する。
そして、前記第2のフェーズシフター56の調整器を、例えばθ2に設定し、第2の電力増幅器57の出力を例えば500Wに設定して、第2のインピーダンス整合器58、第2の電力分配器83、第2及び第4の電流導入端子20、30、第2及び第4の真空用同軸ケーブル21、31の芯線22、32を介して、第2及び第4の給電点13a、13bに供給する。
なお、前記第1のインピーダンス整合器55及び第2のインピーダンス整合器58を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器55、58の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、後述するように、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相θ1、θ2をパラメータに繰り返し実施する。
そして、第1の給電点12aと第2の給電点12bを結ぶ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相θ1、θ2の関係をデータとして把握する。例えば、膜厚分布の最大厚みの位置が、第1の給電点12aと第2の給電点12bを結ぶ方向において、基板11の中央点となる第1及び第2のフェーズシフター53、56の位相の値は、例えばθ11、θ22であるいうことが把握される。
その結果、図5に示す第1の定在波の形をした厚み分布を持つアモルファスシリコン膜が得られる。
次に、第2の予備製膜工程であるが、図10及び図11において、予め、基板11を基板保持板4bの上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、図示しない放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、前記第6の電力供給系、即ち、第2の発信器60、第2のランダム位相変調器51、第2の分配器62、第3及び第4のフェーズシフター63、66、第3及び第4の結合器84、85、第1及び第2の増幅器54、57、第1及び第2のインピーダンス整合器55、58、第1及び第2の電力分配器82、83から構成される電力供給系を第6の電力供給系を用いて、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、12b、13a、13bに電力を供給する。
この場合、第2の発振器60の周波数を、例えば60MHzに設定する。
そして、前記第2のフェーズシフター63の調整器を、例えばδ1に設定し、第1の電力増幅器54の出力を例えば500Wに設定して、その出力を
第1のインピーダンス整合器55、第1の電力分配器82、第1及び第3の電流導入端子15、25、第1及び第2の真空用同軸ケーブル16、26の芯線17、27を介して、第1及び第3の給電点12a、12bに供給する。
そして、前記第4のフェーズシフター66の調整器を、例えばδ2に設定し、第2の電力増幅器57の出力を例えば500Wに設定して、その出力を第2のインピーダンス整合器58、第2の電力分配器83、第2及び第4の電流導入端子20、30、第2及び第4の真空用同軸ケーブル21、31の芯線22、32を介して、第2及び第4の給電点13a、13bに供給する。
なお、前記第1のインピーダンス整合器55及び第2のインピーダンス整合器58を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器55、58の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、後述するように、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第3及び第4のフェーズシフター63、6の位相δ1、δ2をパラメータに繰り返し実施する。
そして、第1の給電点12aと第2の給電点13aを結ぶ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1及び第2のフェーズシフター63、66の位相δ1、δ2の関係をデータとして把握する。
例えば、基板11の中央点から第2の給電点13aの方向へ波長λの四分の一、即ちλ/4だけ離れた位置に設定するための位相差Δδ=(δ1−δ2)は、例えば(δ11−δ22)であるいうことが把握される。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、一般的には真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。SiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.6程度である。
また、上記の位相差Δδ=(δ1−δ2)の設定を行う際に、上記第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間隔が、その腹の空間的周期の二分の一に等しくなるように、位相差Δδ=(δ1−δ2)を選定すれば良い。
即ち、第2の予備製膜工程で基板11に製膜される膜厚みが正弦的な膜の最大厚みの位置が、基板11の中央点から第2の給電点13の方向へ膜の周期の二分の一だけ離れた点に合致させれば良い。なお、膜の周期の二分の一という値は、予め、前記第1の予備製膜工程で把握できる。
その結果、図5に示す第2の定在波の形をした厚み分布を持つアモルファスシリコン膜が得られる。
さて、前記第1および第2の予備製膜工程の結果を受けて、本製膜工程に入る。
先ず、図10及び図11において、予め、基板11を基板保持板4bの上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、第5の電力供給系の発振器50の周波数を60MHとし、2つのフェーズシフター53、56の出力の位相を、第1の予備製膜工程のデータとして把握したθ11、θ22に設定し、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに、それぞれに電力を供給する。電力は第6の電力供給系と合わせて、例えば1000Wとする。
そして同様に、第6の電力供給系の発振器60の周波数を60MHとし、2つのフェーズシフター63、66の出力の位相を、第2の予備製膜工程のデータとして把握したδ11、δ22に設定し、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに電力を供給する。電力は第5の電力供給系と合わせて、例えば1000Wとする。
さて、第1、第2、第3及び第4の給電点12a、13a、12b、13bに、第5及び第6の電力供給系からそれぞれ、電力が供給されると、該一対の電極間に発生の電力の強さの分布I(x)は、実施例3の場合と同様に次式で表わされる。
I(x)=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ}+4Vcos{2π(x−L0/2)/λ+π/2}
=4Vcos{2π(x−L0/2)/λ}+4Vsin{2π(x−L0/2)/λ}
=4V
ただし、xは第1の給電点12aから第2の給電点13aの方向の距離、Vは電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、L0は第1及び第2の給電点の間隔である。
ところで、一般的に、一対の電極2、4間の電力の強さの分布とプラズマの強さの分布は比例関係にある。
他方、上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板11の表面に吸着されることによりa−Si膜が堆積するが、プラズマの強さの分布と膜厚みの分布は比例関係にある。このことは、電力の強さの分布が均一化されるということは、膜厚み分布が均一化されるということである。
また、電力の強さの分布が均一化されるということは、プラズマ密度及びラデイカル密度が大面積に亘って均一化されるという意味である。
したがって、一対の電極2、4間の電力の強さが上述の通り一様である場合は、その堆積膜の分布は一様になる。その結果、膜厚みのバラツキは一様になる。実用上必要な膜厚みのバラツキは5〜10%であるので、それを達成することは容易に可能である。
このことは、波長λの四分の一を越えるサイズの基板を対象にした従来のVHFプラズマ表面処理装置及び方法では不可能視されている一様な膜厚分布の形成が実現可能であるということを意味している。したがって、上記のことはVHFプラズマの応用分野においては画期的な発見であり、その実用価値は著しく大きい。
なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH、H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術であるので、上記アモルファスシリコン膜の製膜と同様に可能であることは、当然のことである。
本実施例では、給電点が対向した辺に2点ずつであるので、基板サイズは長さ2m〜3mx幅0.5m程度に制約されるが、給電点の個数を幅方向に増加すれば基板サイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
図1は実施例1に係わるプラズマ表面処理装置の構成を示す概略図。 図2は図1図示のプラズマ表面処理装置の第1及び第2の電極への給電部の説明図。 図3は一対の電極間を伝播する電力波を示す説明図。 図4は一対の電極間に発生の電力の定在波を示す説明図。 図5は一対の電極間に発生の2つの電力の定在波の腹の位置を示す説明図。 図6は実施例2に係わるプラズマ表面処理装置の電力供給装置に係わる構成を示す概略図。 図7は実施例3に係わるプラズマ表面処理装置の電力供給装置に係わる構成を示す概略図。 図8は実施例4に係わるプラズマ表面処理装置の製膜室に係わる構成を示す概略図。 図9は実施例4に係わるプラズマ表面処理装置の電力供給装置に係わる構成を示す概略図。 図10は実施例5に係わるプラズマ表面処理装置の製膜室に係わる構成を示す概略図。 図11は実施例5に係わるプラズマ表面処理装置の電力供給装置に係わる構成を示す概略図。
符号の説明
1・・・真空容器、
2・・・第1の電極、
4・・・第2の電極、
5・・・絶縁部材、
7・・・ガスシャワー孔、
8・・・ガス導入菅、
9a、9b・・・排気管、
11・・・基板、
12、12a・・・第1の給電点、
12b・・・第3の給電点、
13、13a・・・第2の給電点、
13b・・・第4の給電点、
15・・・第1の電流導入端子、
20・・・第2の電流導入端子、
25・・・第3の電流導入端子、
30・・・第4の電流導入端子、
50・・・第1の発信器、
51・・・第1のランダム位相変調器、
52・・・第1の分配器
53・・・第1のフェーズシフター
54・・・第1の増幅器、
55・・・第1のインピーダンス整合器、
56・・・第2のフェーズシフター
57・・・第2の増幅器、
58・・・第2のインピーダンス整合器、
60・・・第2の発信器、
61・・・第2のランダム位相変調器、
62・・・第2の分配器
63・・・第3のフェーズシフター
64・・・第3の増幅器、
65・・・第3のインピーダンス整合器、
66・・・第4のフェーズシフター
67・・・第4の増幅器、
68・・・第4のインピーダンス整合器、
82・・・第1の電力分配器、
83・・・第2の電力分配器、
84・・・第3の結合器、
85・・・第4の結合器、
87、87a・・・絶縁材。

Claims (13)

  1. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、非接地電極及び接地電極から成る一対の電極と、複数の高周波電源及び複数のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる電極への電力供給方法において、前記複数の高周波電源にそれぞれに内臓の発振回路から出力される正弦波信号の位相を、互いに異なるランダム位相変調器で位相変調させることにより、該複数の高周波電源の出力間の相互の干渉を無くすことを特徴とする電極への電力供給方法。
  2. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、非接地電極及び接地電極から成る一対の電極と、複数の高周波電源及び複数のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる電極への電力供給方法において、前記非接地電極に配置された互いに対向する関係にある一方の複数の給電点及び他方の複数の給電点に、それぞれに複数の位相可変2出力の高周波電源の一方の出力及び他方の出力を供給して、前記一対の電極間に複数の定在波を同時に発生させて、該電極間の電力分布を一様化する際に、該複数の高周波電源にそれぞれに内臓の発振回路から出力される正弦波信号の位相を、互いに異なるランダム位相変調器を用いてランダムに位相変調することにより、該複数の高周波電源の出力間の相互の干渉を無くすことを特徴とする電極への電力供給方法。
  3. 請求項1あるいは請求項2のいずれか1項に記載の電極への電力供給方法において、前記非接地電極の電力の伝播上の対向点である2つの位置に第1及び第2の給電点を配置し、該第1及び第2の給電点に、それぞれに、第1の位相可変2出力の高周波電源の一方の出力及び他方の出力を供給し、かつ、第2の位相可変2出力の高周波電源の一方の出力及び他方の出力を供給する際に、該第1の位相可変2出力の高周波電源に内臓の発振回路から出力される正弦波信号の位相を、第1のランダム位相変調器を用いてランダムに位相変調するとともに、該第2の位相可変2出力の高周波電源に内臓の発振回路から出力される正弦波信号の位相を、第2のランダム位相変調器を用いてランダムに位相変調することにより、該第1の位相可変2出力の高周波電源の出力と該第2の位相可変2出力の高周波電源の出力との相互の干渉を無くすことを特徴とする電極への電力供給方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極への電力供給方法において、前記高周波電源が、発振器と、ランダム位相変調器と、分配器と、フェーズシフターと、増幅器とから構成されることを特徴とする電極への電力供給方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極への電力供給方法において、前記高周波電源が、発振器と、ランダム位相変調器と、分配器と、フェーズシフターと、結合器と、増幅器とから構成されることを特徴とする電極への電力供給方法。
  6. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、非接地電極及び接地電極から成る一対の電極と、複数の高周波電源及び複数のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法であって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電極への電力供給方法を用いることにより、前記非接地電極に配置された互いに対向する関係にある一方の複数の給電点と他方の複数の給電点に、それぞれに、複数の位相可変2出力の高周波電源の一方の出力及び他方の出力を供給し、前記一対の電極間に時間的、空間的に変動しない複数の定在波を同時に発生させて、前記基板のプラズマ表面処理を行うことを特徴とするプラズマ表面処理方法。
  7. 請求項6に記載のプラズマ表面処理方法において、前記非接地電極に配置された互いに対向する関係にある第1及び第2の給電点に供給する第1の位相可変2出力の高周波電源の2つの出力の電圧の位相差と、第2の位相可変2出力の高周波電源の2つの出力の電圧の位相差をそれぞれに制御して、前記一対の電極間に2つの定在波、即ち第1及び第2の定在波を同時に発生させ、かつ、該第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間の距離を調整するに際し、その距離を該電極間に生成のプラズマ内を伝播する電磁波の波長λの四分の一の奇数倍、即ちλ/4の奇数倍に設定することにより、該電極間の電力の強さの分布を一様化させることを特徴とするプラズマ表面処理方法。
  8. 請求項6に記載のプラズマ表面処理方法において、前記非接地電極に配置された互いに対向する関係にある第1及び第2の給電点に供給する第1の位相可変2出力の高周波電源の2つの出力の電圧の位相差と、第2の位相可変2出力の高周波電源の2つの出力の電圧の位相差をそれぞれに制御して、前記一対の電極間に2つの定在波、即ち第1及び第2の定在波を同時に発生させ、かつ、該第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間の距離を調整するに際し、その距離を該定在波の腹の空間的周期の二分の一の奇数倍にすることにより、該電極間の電力の強さの分布を一様化させることを特徴とするプラズマ表面処理方法。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載のプラズマ表面処理方法において、前記基板に所定のプラズマ処理を行う前に、膜厚み分布、エッチング速度分布、プラズマ発光分布、及びプラズマ密度分布のうち少なくとも1つについて、予め計測しておき、その計測結果に基ずいて前記定在波の腹の位置の情報と前記複数の2出力の位相可変高周波電源のそれぞれの2つの出力電力の電圧の位相差の関係を把握し、該基板の所定のプラズマ処理を行う為の該位相差の値の設定に用いることを特徴とするプラズマ表面処理方法。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載のプラズマ表面処理方法において、前記第1の高周波電源の2つの出力の電圧の位相差と前記基板表面に製膜される正弦的膜厚分布を有するシリコン系膜の膜厚が最大になる位置との関係を把握する第1の工程と、前記第2の高周波電源の2つの出力の電圧の位相差と前記基板表面に製膜される正弦的膜厚分布を有するシリコン系膜の膜厚が最大になる位置との関係を把握する第2の工程と、該第1及び第2の工程で把握された第1及び第2の高周波電源のそれぞれの2つの出力の電圧の位相差と該膜厚が最大になる位置との関係より該第1及び第2の高周波電源のそれぞれの2つの出力の位相差を設定することにより、該基板に目的のシリコン系膜を製膜する第3の工程からなることを特徴とするプラズマ表面処理方法。
  11. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、非接地電極と接地電極から成る一対の電極と、複数の高周波電源及び複数のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、発生したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置であって、前記複数の高周波電源が、発振器と、ランダム位相変調器と、分配器と、フェーズシフターと、増幅器とから構成されることを特徴とするプラズマ表面処理装置。
  12. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、非接地電極と接地電極から成る一対の電極と、複数の高周波電源及び複数のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、発生したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置であって、前記複数の高周波電源が、発振器と、ランダム位相変調器と、分配器と、フェーズシフターと、結合器と、増幅器とから構成されることを特徴とするプラズマ表面処理装置。
  13. 請求項11あるいは請求項12のいずれか1項に記載のプラズマ表面処理装置において、前記非接地電極に配置された互いに対向する関係にある一方の給電点及び他方の給電点に、それぞれに、第1の高周波電源の2つの出力の一方に接続された第1のインピーダンス整合器の出力端子と第2の高周波電源の2つの出力の一方に接続された第3のインピーダンス整合器の出力端子、及び該第1の高周波電源の2つの出力の他方に接続された第2のインピーダンス整合器の出力端子と該第2の高周波電源の2つの出力の他方に接続された第4のインピーダンス整合器の出力端子が接続されるという構成を有することを特徴とするプラズマ表面処理装置。
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