JP4120831B2 - 高周波電力供給装置、該高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置及びプラズマ表面処理方法 - Google Patents

高周波電力供給装置、該高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置及びプラズマ表面処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマを利用して基板の表面に所定の処理を施す表面処理装置に用いられる高周波プラズマ発生用高周波電力供給装置、該高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置及びプラズマ表面処理方法並びにその応用に関する。本発明は、周波数10MHz〜30MHzのHF帯域の高周波プラズマ、並びに電子温度が低く、かつ、高密度のプラズマ生成が可能という特徴をもつ超高周波プラズマ、すなわち周波数30MHzないし300MHzのVHF帯域の高周波電力により生成するプラズマによる表面処理装置および表面処理方法に関する。
プラズマを用いて基板の表面に各種処理を施し、各種電子デバイスを製作することは、LSI(大規模集積回路)、LCD(液晶デイスプレー)用TFT(薄膜トランジスター)、アモルファスSi系太陽電池、薄膜多結晶Si系太陽電池、複写機用感光体、および各種情報記録デバイス等の分野において既に実用化されている。また、ダイヤモンド薄膜および立方晶ボロンナイトライド(C−BN)等の超硬質膜製造分野においても実用化が進みつつある。
上記技術分野は、薄膜形成、エッチング、表面改質およびコーテイング等多岐に亘るが、いずれも反応性プラズマの化学的および物理的作用を活用したものである。上記反応性プラズマの生成に関する装置および方法には、大別すると3つの代表的技術がある。
第1の代表的技術は、例えば、特許文献1ないし3に記載されているもので、プラズマ発生に非接地電極と接地電極から成る2枚の平行平板電極を一対として用いることを特徴とする。第2の代表的技術は、例えば特許文献4及び5に記載されているもので、プラズマ発生に棒電極あるいはラダー型電極と平板電極を一対として用いることを特徴とする。第3の代表的技術は、例えば、特許文献6に記載されているもので、アンテナ方式であることを特徴とする。
また、電力損失防止及び電極間以外で発生の不必要なプラズマの発生を抑制する技術として、平衡不平衡変換装置を用いる技術が、例えば特許文献2及び3に記載されている。
上記文献記載の技術の特徴は概略次の通りである。特許文献1に記載の技術は、非接地電極を方形電極とし、該方形電極の第1の辺の側面に複数の第1の電力供給点を配置し、該第1の辺と対向する第2の辺の側面に複数の第2の電力供給点を配置し、かつ、該複数の第1の給電点に供給される電力の電圧と該複数の第2の電力供給点に供給される前記電力の電圧の位相差を時間的に変化させることにより、一対の電極間の電界分布を平均化し、結果として、プラズマの強さの空間的分布を一様化することを特徴としている。なお、この技術では互いに向かい合った方向に伝播するように供給される2つの電力の進行波を干渉させて定在波を生成させ、該定在波の腹の位置を時間的に変化させることが可能である。
特許文献2に記載の技術は、一対の電極は方形の形状を有し、かつ、互いに直交する方向に位置する該電極の第1および第2の辺に、それぞれ、電力供給系の出力回路に接続された複数の電力供給点が設置され、かつ、該複数の電力供給点の反対側に、それぞれ、複数の該電力供給箇点に対応したリアクタンス調整装置が設置されるということを特徴としている。この技術では、該複数の電力供給点に対応したリアクタンス調整装置を制御することにより、反射波の位相を制御することにより、該供給電力の進行波と反射波を干渉させて定在波を生成することが可能で、かつ、該定在波の腹の位置を移動させることが可能である。
特許文献3に記載の技術は、一対の電極に複数の開口を設置し、該開口の縁にそれぞれ電力供給点を配置し、かつ、電力供給系より平衡不平衡変換装置及び平衡伝送路を介して電力を供給することを特徴としている。この技術では、互いに隣接する開口より給電された電力が進行波とその反射波の関係となって生成する定在波を重ねあわせることにより、電極間のプラズマの強さの空間的分布を一様化することが可能である。
特許文献4に記載の技術は、一対の電極の電力供給点の反対側の先端部分に反射電力の位相を調整する位相調整回路が接続されるということを特徴としている。この技術では、該位相調整回路を制御することにより、反射波の位相の調整が可能で、該供給電力の進行波と反射波を干渉させて定在波を生成することが可能で、かつ、該定在波の腹の位置を移動することが可能である。
特許文献5に記載の技術は、電極上のある1つの給電点に供給される電力の電圧と他の少なくとも1つの給電点に供給される前記電力の電圧の位相差を時間的に変化させることにより、一対の電極間の電界分布を平均化し、結果として、プラズマの強さの空間的分布を一様化することを特徴としている。なお、この技術では、互いに向かい合った方向から供給される2つの電力の進行波を干渉させて定在波を生成させ、該定在波の腹の位置を時間的に変化させることが可能である。
特許文献6に記載の技術は、電極が線状導体をその中央点を基準に平面内に含まれるように折り返して形成され、該中央点を給電点としたことが特徴である。なお、この電極の形状には、例えばU字型あるいはM字型がある。また、該U字型あるいはM字型電極がアンテナとなって供給電力が空間へ放射される。
非特許文献1に記載の技術は、非接地電極のプラズマに接する面の裏側の面にH文字状の給電帯を設置し、該H文字状給電帯上に複数の給電点を設置したことを特徴としている。 非特許文献2に記載の技術は、非接地電極の給電点の反対側、即ち電力伝播方向に位置する該電極の端部にコイルを設置し、電源と該一対の電極を結ぶ給電線および該電極に発生する定在波の腹の位置をずらすことを特徴としている。
特開2002−12977(第2頁、第1図、第10−11図) 特許第3575014号(第1−3頁、第6−10図) 特開2004−235673(第2―3頁、第9−11図) 特開平11−243062(第1頁、第1図、第7図) 特許第3316490号(第1頁、第1図、第8図) 特開2000−345351(第2頁、第1図、第5図、第7図)
J.Kuske, U.Stephan, O.Steinke and S.Rohleck: Power feeding in large area PECVD of amorphous silicon, Mat. Res. Soc. Symp.Proc. Vol. 377(1995),p.27-32. L.Sansonnens, A.Pletzer, D.Magni, A.A.Howling,Ch.Hollenstein and J.P.M.Schmitt,:A voltage uniformity study in large-area reactors for RF plasma deposition、Plasma Source Sci. Technol. 6 (1997),p.170-178.
上記のプラズマ表面処理技術、即ちプラズマ表面処理装置とプラズマ表面処理方法は、LCD,LSI,電子複写機および太陽電池等の産業分野のいずれにおいても、生産性向上に伴う製品コストの低減および大面積壁掛けTVなど性能(仕様)の改善等に関する大面積・均一化および高速処理化のニーズが年々強まっている。特に、エネルギー資源問題や地球環境問題に対応した新エネルギー源として実用化普及の加速化が期待されている薄膜シリコン系太陽電池の分野では、なお一層の生産コストの低減が社会的ニーズとして求められている。
上記ニーズに対応するため、最近では、一つの技術傾向として、産業界のみならず、学会でも特に、プラズマCVD(化学蒸着)技術およびプラズマエッチング技術ともに、高性能化と高速処理化が可能(低電子温度で高密度のプラズマが生成可能)という特徴のあるVHF帯(30MHzないし300MHz)の電源を用いたプラズマCVD技術の実用化研究が盛んになっている。しかしながら、従来技術では、以下に述べるような課題が依然として存在し、上記ニーズの分野では齟齬をきたしている。
第1の課題は、VHFプラズマを用いた表面処理の高速化・大面積・均一化(生産性向上および性能向上)が可能な高生産性プロセス用VHFプラズマ表面処理装置及びVHFプラズマ表面処理方法に係わる技術のブレークスルーである。一般に、LCD分野では、膜厚分布は再現性を確保して、±5%程度、太陽電池分野では、膜厚分布は再現性を確保して、±10%程度が実用化の一つの指標となっている。しかしながら、1987年世界初の試みとして登場したVHFプラズマは、電極サイズが直径100mmないし130mm程度の実験室規模の装置を用いた研究は精力的に実施されているが、その応用においては、即ち生産設備規模の装置を用いた研究は、大面積化・均一化が困難であることから、あまり進展が見られない状況にある。従来のVHFプラズマ技術では、例えばa−Si膜を製造する場合、再現性の確保を前提条件にすると、基板面積が50cmx50cm程度に関しては、±10〜15%程度の膜厚分布、100cmx100cm程度に関しては、±20〜40%程度の膜厚分布であり、上記指標をクリアできないという問題がある。
膜厚分布の不均一性の直接的原因としてはプラズマ密度の不均一性があり、プラズマ密度の不均一性の原因には、上記VHF固有の問題である波の干渉現象に起因する定在波の発生がある。この定在波の問題は電磁波の伝播に伴う基本的な現象であるため、従来、抜本的解決手段がなく、次善の策として、前記特許文献1〜6にあるアイデイアが実用化されつつある。しかしながら、いずれの技術も次に述べるような問題がある。すなわち、この定在波の問題を抜本的に解決できていない。
(1)特許文献1記載の技術は、方形電極の互いに対向した2つの辺から供給される電力の電圧の位相差を時間的に、例えば数kHZの周波数で、鋸歯状に変化させることにより、一対の電極間に発生の定在波の腹の位置を移動させ、時間平均的に見て均一化するものである。膜厚分布は、アモルファスSi製膜では、基板面積が50cmx50cm程度に関しては、±10〜15%程度の膜厚分布が得られているが、100cmx100cm程度に関しては、±20%以上と見られている。また、プラズマが例えば数kHzの周波数で変動するので、高品質膜製造や高品質エッチング加工等には適しないという欠点がある。なお、a−Si膜製膜では電源周波数が100kHz〜1MHz程度を境にして、低い周波数帯の場合では膜中水素の量が、高い周波数帯の場合に比べて著しく多くなるという研究結果がある。
(2)特許文献2記載の技術は、複数の電力供給点の反対側に、それぞれ、複数の該電力供給箇点に対応したリアクタンス調整装置を設置し、電力の反射波の位相を制御するので、電力の吸収率が高い条件、例えば圧力が数100Pa〜数1000Paでのプラズマ生成では反射波の強さが弱くなり、反射波の制御が無理となる。すなわち、プラズマ生成の圧力が数100Pa以下との条件の場合でないと応用できないという欠点がある。
(3)特許文献3記載の技術は、互いに隣接する開口より給電された電力が進行波とその反射波の関係となって生成する定在波を重ねあわせることにより、電極間のプラズマの強さの空間的分布を一様化するので、互いに隣接する開口の間隔を使用する電源周波数即ち波長に対応して選定することが必要である。すなわち、電源周波数が予め選定されることが必須条件で、かつ、プラズマ密度の強さに応じて伝播電力の波長が短縮するので、プラズマの均一性はプラズマ密度の強さに依存するという欠点がある。
(4)特許文献4記載の技術は、特許文献2記載の技術と同様に、電力供給点の反対側に、位相調整装置を設置し、電力の反射波の位相を制御するので、電力の吸収率が高い条件、例えば圧力が数100Pa〜数1000Paでのプラズマ生成では反射波の強さが弱くなり、反射波の制御が無理となる。すなわち、プラズマ生成の圧力が数100Pa程度以下との条件の場合でないと応用できないという欠点がある。
(5)特許文献5記載の技術は、特許文献1記載の技術と同様に、電極上のある1つの給電点に供給される電力の電圧と他の少なくとも1つの給電点に供給される前記電力の電圧の位相差を時間的に変化させることにより、一対の電極間の電界分布を平均化し、結果として、プラズマの強さの空間的分布を一様化するので、プロセス用VHFプラズマ表面処理装置及びVHFプラズマ表面処理方法としては、プラズマが例えば数kHzの周波数で変動するので、高品質膜製造や高品質エッチング加工等には適しないという欠点がある。また、膜厚分布は、アモルファスSi製膜では、基板面積が50cmx50cm程度に関しては、±10〜15%程度の膜厚分布が得られているが、100cmx100cm程度に関しては、±20%以上と見られている。
(6)特許文献6記載の技術は、アンテナ方式即ち誘導結合型のプラズマ生成なので、圧力条件が数Pa以下という制約がある。すなわち、微結晶Si等のような圧力条件が数100Pa〜数1000Paである応用には無理があるという欠点がある。また、電極の周囲にある真空容器の形状や接地条件に影響を受けやすいで、製膜条件の適正条件の把握が困難と推測される。
第2の課題として、量産装置への応用性の高いVHFプラズマ発生用電極の技術開発がある。一般に、高生産性プロセスでの生産装置の基本ラインは、インライン型装置、マルチチャンバー型装置及びロール・ツー・ロール型装置の3つの方式があるが、これらの装置では基板搬送装置との兼ね合いから、プラズマ処理室内の一対の電極と給電ケーブルを接続する場合、例えば該一対の電極形状が矩形の場合、周囲4辺の中の1辺のみを用いて両者が接続できる手段が求められる。しかしながら、従来のVHFプラズマ技術では、このニーズに対応できないという問題がある。なお、前記の特許文献1~6記載の技術で、このニーズに対応可能な技術は、特許文献6記載の技術のみである。しかしながら、この技術は、前述の通り、圧力条件が数Pa以下という制約があるため、実用価値が低いと見られている。
更に、第3の課題として、2mx2m級大面積基板を対象にした液晶デイスプレー駆動用TFT製造装置及び2mx2m級大面積基板を対象にした薄膜Si系太陽電池製造装置等の分野では、10MHz〜30MHzのHF帯域の周波数の電源を用いるプラズマ表面処理装置において、上記定在波の発生に起因するプラズマ密度の不均一性の問題が顕在化しつつある。その理由は、生産性向上のためにプラズマ密度の更なる増大が図られる結果、プラズマ生成電力の波長の短縮化が起こり、該波長の四分の一の長さが基板サイズとほぼ同じレベルになり、定在波発生の要因になっている。具体的には、プラズマを伝播する電力の波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、プラズマ生成条件での波長λであり、真空中での電磁波の波長λに比べて短くなり、例えばSiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.5程度になる。即ち、例えば周波数13.56MHzで高密度プラズマを生成すれば、真空中での波長22.1mは高密度プラズマ中では11m程度に短縮化され、その四分の一の値(即ち2.75m)は上記基板サイズとほぼ同じになり、定在波発生の条件が満たされることになる。したがって、HF帯域の周波数の電源を用いるプラズマ表面処理装置においても、高密度プラズマを生成すれば定在波の問題が顕在化する。
以上説明したように、従来技術では、量産性向上や低コスト化に必要な大面積基板、例えばサイズ1mx1m級大面積基板を対象にしたVHFプラズマCVDおよびプラズマエッチング等の応用は、依然として困難で、困難視されている。即ち、プラズマ表面処理の高速化・大面積化・均一化等の課題に対応する為、一つの技術トレンドとして、VHFプラズマ技術が注目され、その実用化応用の開発研究が実施されているが、技術的困難性のため、1mx1m級を越える大面積基板を対象にしたVHFプラズマ利用の高速化・大面積化・均一化が可能な表面処理装置及びその方法の成功例は発表されていない。
また、HF帯域の周波数の電源を用いるプラズマ表面処理装置においても、2mx2m級大面積基板を対象にし、かつ、高密度プラズマを生成すれば定在波の問題が顕在化する。
言い換えれば、現在、電源周波数がHF及びVHF帯域であるプラズマ技術分野が抱える具体的技術課題は、第1に、一対の電極間に発生の定在波を抑制可能な大面積・均一化技術の創出、第2に、基板搬送装置の設置に制約を与えることが少ない給電手段の創出である。
そこで、本発明は、上記従来技術の課題を解決するために必要な、定在波の影響を根本的に抑制し、プラズマ表面処理の高速化・大面積化・均一化が可能で、かつ、基板搬送装置の設置に制約を与えることが少ない給電手段を実現可能なアイデイアを創出し、該アイデイアを実現するための高周波電力供給装置と該高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、高周波電力供給装置と該高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法を、次のように構成したことを特徴とする。
即ち、本発明の高周波電力供給装置は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、複数の給電点を有する第1及び第2の電極から成る一対の電極と、任意のパルス変調が可能で、かつ、4つの出力を有すると共に該4つの出力の電圧の位相をそれぞれ任意に設定可能な高周波電源及び該高周波電源の4つの出力端子に、それぞれ接続された第1、第2、第3及び第4のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる高周波電力供給装置であって、前記第1の電極表面において高周波電力波の伝播上での対向点となる関係にある少なくとも2つの地点にそれぞれ配置された第1及び第2の給電点のいずれか一方の給電点に、前記第1及び第3のインピーダンス整合器の出力端子を接続し、かつ、他方の給電点に前記第2及び第4のインピーダンス整合器の出力端子を接続すると共に、該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される電力をパルス幅Hw及びパルス周期T0でパルス変調し、該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される電力を該第1の出力端子から出力されるパルス変調された電力の立ち上がり時刻より半周期、即ちT0/2遅れた時刻に立ち上がる形でパルス変調することにより、該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力されるパルス変調された電力と該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力されるパルス変調された電力の該第1及び第2の給電点への供給時間帯を分離し、該一対の電極間に該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される2つの電力により形成される第1の定在波と該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される2つの電力により形成される第2の定在波の発生時間領域を異ならしめると共に、該2つの定在波の腹の位置間の距離即ち第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間の距離が、該電力の波長の四分の一になるように、該第1及び第2の出力端子から出力される電力の電圧の位相差及び該第3及び第4の出力端子から出力される電力の電圧の位相差を制御するという構成を有することを特徴としている。
また、本発明の高周波電力供給装置は、前記電力供給系が、任意のパルス変調が可能で、かつ、2出力でかつ該2出力の電圧の位相差を任意に設定可能な第1の高周波発信器及び該第1の高周波発信器の2つの出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2の電力増幅器及び該第1及び第2の電力増幅器の出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2のインピーダンス整合器及び該第1の高周波発信器のパルス変調信号に同期した任意のパルス変調が可能で、かつ、2出力でかつ該2出力の電圧の位相差を任意に設定可能な第2の高周波発信器及び該第2の高周波発信器の2つの出力端子にそれぞれ接続された第3及び第4の電力増幅器及び該第3及び第4の電力増幅器の出力端子にそれぞれ接続された第3及び第4のインピーダンス整合器から成るという構成を有することを特徴としている。
また、本発明の高周波電力供給装置は、前記電力供給系が、高周波発信器と、パルス発信器と、少なくとも3個の分配器と、少なくとも2個のゲート回路と、少なくとも2個の位相シフターと、少なくとも2個の位相差検出器と、少なくとも4個の電力増幅器と、少なくとも4個のインピーダンス整合器とから成るという構成を有することを特徴としている。
また、本発明の高周波電力供給装置は、前記電力供給系の出力のパルス変調のデユーテイ比即ちパルス幅Hwと周期T0の比Hw/H0が50%以下であることを特徴としている。
また、本発明の高周波電力供給装置は、前記電力供給系の出力の周波数が、10MHzから300MHzのHF帯ないしVHF帯に属していることを特徴としている。
また、本発明のプラズマ表面処理装置は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、複数の給電点を有する第1及び第2の電極から成る一対の電極と、任意のパルス変調が可能で、かつ、4つの出力を有すると共に該4つの出力の電圧の位相をそれぞれ任意に設定可能な高周波電源及び該高周波電源の4つの出力端子に、それぞれ接続された第1、第2、第3及び第4のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、
上記した本発明のいずれかの高周波電力供給装置を用いて前記一対の電極に高周波電力を供給するという構成を有することを特徴としている。
また、本発明の高周波プラズマ表面処理方法は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、複数の給電点を有する第1及び第2の電極から成る一対の電極と、任意のパルス変調が可能で、かつ、4つの出力を有すると共に該4つの出力の電圧の位相をそれぞれ任意に設定可能な高周波電源及び該高周波電源の4つの出力端子に、それぞれ接続された第1、第2、第3及び第4のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、上記した本発明のいずれかの高周波電力供給装置を用いて、前記第1の電極表面において高周波電力波の伝播上での対向点となる関係にある少なくとも2つの地点にそれぞれ配置された第1及び第2の給電点のいずれか一方の給電点に、前記第1及び第3のインピーダンス整合器の出力端子を接続し、かつ、他方の給電点に前記第2及び第4のインピーダンス整合器の出力端子を接続すると共に、該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される電力をパルス幅Hw及びパルス周期T0でパルス変調し、該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される電力を該第1の出力端子から出力されるパルス変調された電力の立ち上がり時刻より半周期、即ちT0/2遅れた時刻に立ち上がる形でパルス変調することにより、該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力されるパルス変調された電力と該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力されるパルス変調された電力の該第1及び第2の給電点への供給時間帯を分離し、該一対の電極間に該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される2つの電力により形成される第1の定在波と該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される2つの電力により形成される第2の定在波の発生時間領域を異ならしめると共に、該2つの定在波の腹の位置間の距離即ち第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間の距離が、該電力の波長の四分の一になるように、該第1及び第2の出力端子から出力される電力の電圧の位相差及び該第3及び第4の出力端子から出力される電力の電圧の位相差を制御することにより、該一対の電極間に発生の電圧の分布を時間平均的に一定とするようにしたことを特徴としている。
また、本発明の高周波プラズマ表面処理方法は、上記した本発明のプラズマ表面処理方法において、前記高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される電力の電圧の位相差と前記基板表面に形成される正弦的な厚み分布を有する半導体膜の膜厚が最大になる位置との関係を把握する第1の工程と、前記高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される電力の電圧の位相差と前記基板表面に形成される正弦的な厚み分布を有する半導体膜の膜厚が最大になる位置との関係を把握する第2の工程と、該第1及び第2の工程でそれぞれに把握された該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される電力の電圧の位相差と該膜厚が最大になる位置との関係及び該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される電力の電圧の位相差と該膜厚が最大になる位置との関係より、該高周波電源の4つの出力端子から出力される電力の電圧の位相を設定することにより、該基板に目的の半導体膜を形成する第3の工程から成ることを特徴としている。
また、本発明の高周波プラズマ表面処理方法は、上記した本発明のいずれかの高周波プラズマ表面処理方法において、前記基板の表面に、アモルファスSi系材料、微結晶Si系材料、多結晶Si系材料及び結晶Si系材料のいずれかを製造するようにしたことを特徴としている。
本発明の高周波電力供給装置は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、複数の給電点を有する第1及び第2の電極から成る一対の電極と、任意のパルス変調が可能で、かつ、4つの出力を有すると共に該4つの出力の電圧の位相をそれぞれ任意に設定可能な高周波電源及び該高周波電源の4つの出力端子に、それぞれ接続された第1、第2、第3及び第4のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる高周波電力供給装置であって、前記第1の電極表面において高周波電力波の伝播上での対向点となる関係にある少なくとも2つの地点にそれぞれ配置された第1及び第2の給電点のいずれか一方の給電点に、前記第1及び第3のインピーダンス整合器の出力端子を接続し、かつ、他方の給電点に前記第2及び第4のインピーダンス整合器の出力端子を接続すると共に、該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される電力をパルス幅Hw及びパルス周期T0でパルス変調し、該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される電力を該第1の出力端子から出力されるパル変調された電力の立ち上がり時刻より半周期、即ちT0/2遅れた時刻に立ち上がる形でパルス変調することにより、該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力されるパルス変調された電力と該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力されるパルス変調された電力の該第1及び第2の給電点への供給時間帯を分離し、該一対の電極間に該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される2つの電力により形成される第1の定在波と該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される2つの電力により形成される第2の定在波の発生時関領域を異ならしめると共に、該2つの定在波の腹の位置間の距離即ち第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間の距離が、該電力の波長の四分の一になるように、該第1及び第2の出力端子から出力される電力の電圧の位相差及び該第3及び第4の出力端子から出力される電力の電圧の位相差を制御するという構成を有することを特徴とするので、該一対の電極間の電力の強さが一定の値になる。
即ち、該一対の電極間の電力の強さの分布は、時間的に分離された、即ち互いに独立である2つの定在波の重ね合わせとなり、一定の値になる。即ち、該一対の電極間に生成される電力の強さの分布は、正弦波状の分布ではなく一定の強さとなり、プラズマの均一化が可能である。このことは、従来のHF及びVHF帯域のプラズマを利用する表面処理装置及び方法では不可能視される大面積基板を対象にした応用において、均一で高品質の高周波プラズマ処理が可能であるという効果がある。即ち、この発明のHF及びVHF帯域のプラズマを利用する表面処理装置及び方法の応用分野における貢献度は画期的で著しく大きいものがある。
また、本発明の高周波電力供給装置は、前記電力供給系が、任意のパルス変調が可能で、かつ、2出力でかつ該2出力の電圧の位相差を任意に設定可能な第1の高周波発信器及び該第1の高周波発信器の2つの出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2の電力増幅器及び該第1及び第2の電力増幅器の出力端子にそれぞれ接続された及び第1及び第2のインピーダンス整合器及び該第1の高周波発信器のパルス変調信号に同期した任意のパルス変調が可能で、かつ、2出力でかつ該2出力の電圧の位相差を任意に設定可能な第2の高周波発信器及び該第2の高周波発信器の2つの出力端子にそれぞれ接続された第3及び第4の電力増幅器及び該第3及び第4の電力増幅器の出力端子にそれぞれ接続された及び第3及び第4のインピーダンス整合器から成るという構成を有することを特徴とするので、前記一対の電極間の電力の強さの分布を、正弦波状の分布ではなく一様な分布にすることが確実に実現可能である。さらに、VHFプラズマの長所であるプラズマの高密度化の応用が容易に実現可能である。
また、本発明の高周波電力供給装置は、前記電力供給系が、高周波発信器と、パルス発信器と、少なくとも3個の分配器と、少なくとも2個のゲート回路と、少なくとも2個の位相シフターと、少なくとも2個の位相差検出器と、少なくとも4個の電力増幅器と、少なくとも4個のインピーダンス整合器とから成るという構成を有することを特徴とするので、前記一対の電極間の電力の強さの分布を、正弦波状の分布ではなく一様な分布にすることが確実に実現可能である。さらに、VHFプラズマの長所であるプラズマの高密度化の応用が容易に実現可能である。さらに、VHFプラズマの長所であるプラズマの高密度化の応用が容易に実現可能である。
また、本発明の高周波電力供給装置は、前記電力供給系の出力のパルス変調のデユーテイ比即ちパルス幅Hwと周期T0の比Hw/H0が50%以下であることを特徴とするので、上記した本発明のいずれかの高周波電力供給装置によって生成されるプラズマの強さの分布は、時間的に分離された、すなわち互いに独立である2つの定在波の重ね合わせとなり、均一化が可能である。即ち、該一対の電極間に生成される電力の強さの分布は、正弦波状の分布ではなく一定の強さとなり、プラズマの均一化が可能である。さらに、VHFプラズマの長所であるプラズマの高密度化の応用が容易に実現可能である。
また、本発明の高周波電力供給装置は、前記電力供給系の出力の周波数が、10MHzから300MHzのHF帯ないしVHF帯に属していることを特徴とするので、周波数がHF帯ないしVHF帯のプラズマを利用する表面処理の応用において、前記一対の電極間の電力の強さの分布を正弦波状の分布ではなく一様な分布にすることが可能である。さらに、VHFプラズマの長所であるプラズマの高密度化の応用が容易に実現可能である。
また、本発明のプラズマ表面処理装置は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、複数の給電点を有する第1及び第2の電極から成る一対の電極と、任意のパルス変調が可能で、かつ、4つの出力を有すると共に該4つの出力の電圧の位相をそれぞれ任意に設定可能な高周波電源及び該高周波電源の4つの出力端子に、それぞれ接続された第1、第2、第3及び第4のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高周波電力供給装置を用いて前記一対の電極に高周波電力を供給するという構成を有すること特徴とするので、該一対の電極間に生成される電力の強さの分布は、正弦波状の分布ではなく一定の強さとなり、プラズマの均一化が可能である。
その結果、従来のVHFプラズマ表面処理装置では不可能視される大面積基板を対象にした応用において、均一で高品質のプラズマ処理が可能である。このことは、プラズマ表面処理技術分野における画期的ブレークスルーが実現されるという意味があり、産業上の効果は著しく大きい。
また、本発明のプラズマ表面処理方法は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、複数の給電点を有する第1及び第2の電極から成る一対の電極と、任意のパルス変調が可能で、かつ、4つの出力を有すると共に該4つの出力の電圧の位相をそれぞれ任意に設定可能な高周波電源及び該高周波電源の4つの出力端子に、それぞれ接続された第1、第2、第3及び第4のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成を有する高周波電力供給装置を用いて、前記第1の電極表面において高周波電力波の伝播上での対向点となる関係にある少なくとも2つの地点にそれぞれ配置された第1及び第2の給電点のいずれか一方の給電点に、前記第1及び第3のインピーダンス整合器の出力端子を接続し、かつ、他方の給電点に前記第2及び第4のインピーダンス整合器の出力端子を接続すると共に、該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される電力をパルス幅Hw及びパルス周期T0でパルス変調し、該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される電力を該第1の出力端子から出力されるパル変調された電力の立ち上がり時刻より半周期、即ちT0/2遅れた時刻に立ち上がる形でパルス変調することにより、該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力されるパルス変調された電力と該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力されるパルス変調された電力の該第1及び第2の給電点への供給時間帯を分離し、該一対の電極間に該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される2つの電力により形成される第1の定在波と該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される2つの電力により形成される第2の定在波の発生時関領域を異ならしめると共に、該2つの定在波の腹の位置間の距離即ち第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間の距離が、該電力の波長の四分の一になるように、該第1及び第2の出力端子から出力される電力の電圧の位相差及び該第3及び第4の出力端子から出力される電力の電圧の位相差を制御することにより、該一対の電極間に発生の電圧の分布を時間平均的に一定とするようにしたことを特徴とするので、該一対の電極間の電力の強さの分布は、時間的に分離された、すなわち互いに独立である2つの定在波の重ね合わせとなり、均一化が可能である。
即ち、該一対の電極間に生成される電力の強さの分布は、正弦波状の分布ではなく一定の強さとなり、プラズマの均一化が可能である。その結果、従来のVHFプラズマ表面処理装置では不可能視される大面積基板を対象にした応用において、均一で高品質のプラズマ処理が可能である。このことは、プラズマ表面処理技術分野における画期的ブレークスルーが実現されるという意味があり、産業上の効果は著しく大きい。
また、本発明のプラズマ表面処理方法は、上記したプラズマ表面処理方法において、前記高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される電力の電圧の位相差と前記基板表面に形成される正弦的な厚み分布を有する半導体膜の膜厚が最大になる位置との関係を把握する第1の工程と、前記高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される電力の電圧の位相差と前記基板表面に形成される正弦的な厚み分布を有する半導体膜の膜厚が最大になる位置との関係を把握する第2の工程と、該第1及び第2の工程でそれぞれに把握された該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される電力の電圧の位相差と該膜厚が最大になる位置との関係及び該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される電力の電圧の位相差と該膜厚が最大になる位置との関係より、該高周波電源の4つの出力端子から出力される電力の電圧の位相を設定することにより、該基板に目的の半導体膜を形成する第3の工程から成ることを特徴とするので、該一対の電極間の電力の強さの分布は、時間的に分離された、すなわち互いに独立である2つの定在波の重ね合わせとなり、均一化が可能である。
即ち、該一対の電極間に生成される電力の強さの分布は、正弦波状の分布ではなく一定の強さとなり、プラズマの均一化が可能である。その結果、従来のVHFプラズマ表面処理方法では不可能視される大面積基板を対象にした応用において、均一で高品質のプラズマ処理が可能である。このことは、プラズマ表面処理技術分野における画期的ブレークスルーが実現されるという意味があり、産業上の効果は著しく大きい。
また、本発明のプラズマ表面処理方法は、前記基板の表面に、アモルファスSi系材料、微結晶Si系材料、多結晶Si系材料及び結晶Si系材料のいずれかを形成するようにしたことを特徴とするので、太陽電池及びTFT業界のみならず、LSI及び複写機用感光体の産業における生産性向上および製品コストの低減に関する高周波プラズマの大面積・高速・均一な製品製造への応用が確実に実現可能であり、貢献度が著しく大きい。
以下、本発明の実施の一形態に係わる高周波電力供給装置、該高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置及びプラズマ表面処理方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、プラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法の一例として、太陽電池を製作する際に必要なa―Si薄膜を製作する装置および方法が記載されているが、本願の発明対象が下記の例の装置及び方法に限定されるものではない。
(実施例1)
本発明に関する実施例1の高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)およびプラズマ表面処理方法(プラズマCVD方法)について、図1ないし図8を参照して説明する。
図1は実施例1に係わる高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置の全体を示す概略図、図2は図1図示の高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置の第1及び第2の電極への給電部の説明図、図3はパルス変調された出力の典型例を示す説明図、図4はパルス変調された正弦波信号の典型例を示す説明図、図5は一対の電極間に発生の電圧波の伝播を示す説明図、図6は一対の電極間に発生の電圧の定在波の腹の位置を示す説明図、図7は一対の電極間に発生の定在波の強さ(振幅の2乗の値)の分布を示す説明図及び図8は一対の電極間に発生の2つの定在波の強さを示す説明図である。
先ず、装置の構成を説明する。図1及び図2において、符番1は真空容器である。この真空容器1には、後述の放電ガスをプラズマ化する一対の電極、即ち非接地の放電ガス通気孔13を有する平板状の第1の電極2と図示しない基板ヒータ3を内臓した接地された平板状の第2の電極4が配置されている。なお、本実施例では、第1及び第2の電極2、4は、長さ1400mm程度、幅200mm程度の矩形導体板を用いる。
該第1の電極2は、絶縁物支持材5及びガス混合箱6を介して真空容器1に固着されている。該ガス混合箱6は放電ガス供給管8より供給されるSiH4等放電ガスを、整流孔7を介して、前記一対の電極2と4の間に均一に供給する機能を有している。供給されたSiH4等放電ガスは前記一対の電極2と4の間でプラズマ化された後、排気管9及び図示しない真空ポンプ10により、真空容器1の外へ排出される。
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニターされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、本実施例の場合は、放電ガスが流量500sccm〜1、500sccm程度の場合、圧力0.01Torr〜10Torr(1.33Pa〜1330Pa)程度に調整できる。真空容器1の真空到達圧力は2〜3E−7Torr(2.66〜3.99E−5Pa)程度である。
符番11は基板で、図示しないゲートバルブ12の開閉操作により、第2の電極4に設置される。そして、図示しない基板ヒータ3により所定の温度に加熱される。
電極へ高周波電力を給電する位置である給電点の一つは、前記平板状の第1の電極2の一方の端部の中央位置とし、これを第1の給電点21とする。また、該給電点21に対して高周波電力波の伝播上での対向点となる関係にある位置である該電極の他方の端部の中央位置を第2の給電点27とする。
符番100は同期信号伝送ケーブルで、後述の第1のパルス変調方式位相可変2出力発信器15の出力のパルス変調波形信号を同期信号として、後述の第2のパルス変調方式位相可変2出力発信器28に伝送する。
符番15は第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器で、周波数10MHz〜300MHz(HF帯域ないしVHF帯域)の任意の周波数、例えば60MHzの正弦波信号を発生し、かつ、該正弦波信号をパルス変調し、かつ、その2つの出力端子から出力される2つのパルス変調された正弦波信号の位相差を任意に設定することが可能である。
該位相可変2出力の発信器15の2つの出力端子から出力される2つの正弦波信号の位相差及びパルス変調のパルス幅Hw及び周期T0は、該位相可変2出力の発信器15に付属の位相差調整器及びパルス変調の調整器で、それぞれ任意の値に設定できる。また、該第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器15は、前述の同期信号伝送ケーブル100を介して、後述の第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器28にパルス変調の同期信号を送信する。
該第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器15の2つの出力端子の一方の出力は、第1の電力増幅器16、第1のインピーダンス整合器17、第1の電流導入端子18、第1の真空用同軸ケーブル19の芯線20を介して、第1の給電点21に供給される。この出力は、典型例として図3及び図4に示すW11(t)のように、パルス幅Hw、周期T0でパルス変調された正弦波である。
なお、位相可変2出力の発信器15と第1の電力増幅器16との接続、第1の電力増幅器16と第1のインピーダンス整合器17との接続、第1のインピーダンス整合器17と第1の電流導入端子18との接続は、いずれも同軸ケーブルが用いられる。そして、第1の真空用同軸ケーブル19の外部導体は第2の電極4に接続される。
該第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器15の2つの出力端子の他方の出力は、第2の電力増幅器22、第2のインピーダンス整合器23、第2の電流導入端子24、第2の真空用同軸ケーブル25の芯線及26を介して、第2の給電点27に供給される。この出力は、典型例として図3及び図4に示すW21(t)のように、該W11(t)と同様のパルス幅Hw、周期T0でパルス変調された正弦波である。
なお、位相可変2出力の発信器15と第2の電力増幅器22との接続、第2の電力増幅器22と第2のインピーダンス整合器23との接続、第2のインピーダンス整合器23と第2の電流導入端子24との接続は、いずれも同軸ケーブルが用いられる。そして、第2の真空用同軸ケーブル25の外部導体は第2の電極4に接続される。
前記第1の電力増幅器16及び第2の電力増幅器22には、それぞれ出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による該第1及び第2の電力増幅器16、22本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
符番28は、第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器で、2つの出力端子から位相の異なる周波数10MHz〜300MHz(HF帯域ないしVHF帯域)の任意の周波数、例えば60MHzの正弦波信号を発生し、かつ、該2つの正弦波信号を、前記第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器15から同期信号伝送ケーブル100を介して受信した同期信号を用いることにより、該第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器15のパルス変調信号に同期してパルス変調された信号を出力する。
該位相可変2出力の発信器28の2つの出力端子から出力される2つの正弦波信号の位相差及びパルス変調のパルス幅Hw及び周期T0は、該位相可変2出力の発信器28に付属の位相差調整器及びパルス変調の調整器で、それぞれ任意の値に設定できる。
該第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器28の2つの出力端子の一方の出力は、第3の電力増幅器29、第3のインピーダンス整合器30、第3の電流導入端子31、第3の真空用同軸ケーブル32の芯線及33を介して、第1の給電点21に供給される。この出力は、典型例として図3及び図4に示すW12(t)のように、パルス幅Hw、周期T0で、かつ、前記W11(t)及びW21(t)のパルス変調のパルス立ち上がり時間より半周期、即ちT0/2遅れた時刻に立ち上がるパルス変調された正弦波である。
なお、第2の位相可変2出力の発信器28と第3の電力増幅器29との接続、第3の電力増幅器29と第3のインピーダンス整合器30との接続、第3のインピーダンス整合器30と第3の電流導入端子31との接続は、いずれも同軸ケーブルが用いられる。そして、第3の真空用同軸ケーブル32の外部導体は第2の電極4に接続される。
該第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器28の2つの出力端子の他方の出力は、第4の電力増幅器34、第4のインピーダンス整合器35、第4の電流導入端子36、第4の真空用同軸ケーブル37の芯線38を介して、第2の給電点27に供給される。この出力は、典型例として図3及び図4に示すW22(t)のように、パルス幅Hw、周期T0で、かつ、前記W11(t)及びW21(t)のパルス変調のパルス立ち上がり時間より半周期、即ちT0/2遅れた時刻に立ち上がるパルス変調された正弦波である。
なお、第2の位相可変2出力の発信器28と第4の電力増幅器34との接続、第4の電力増幅器34と第4のインピーダンス整合器35との接続、第4のインピーダンス整合器35と第4の電流導入端子36との接続は、いずれも同軸ケーブルが用いられる。また、第4の真空用同軸ケーブル37の外部導体は第2の電極4に接続される。
前記第3の電力増幅器29及び第4の電力増幅器34には、それぞれ出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、該該反射波による該第3及び第4の電力増幅器29、34本体の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。
ここで、上記同期信号伝送ケーブル100と、位相可変2出力の発信器15と、第1の電力増幅器16と、第1のインピーダンス整合器17と、第1の電流導入端子18、第1の真空用同軸ケーブル19と、第2の電力増幅器22、第2のインピーダンス整合器23と、第2の電流導入端子24と、第2の真空用同軸ケーブル25と、第2の位相可変2出力の発信器28と、第3の電力増幅器29と、第3のインピーダンス整合器30と、第3の電流導入端子31と、第3の真空用同軸ケーブル32と、第4の電力増幅器34と、第4のインピーダンス整合器35と、第4の電流導入端子36及び第4の真空用同軸ケーブル37から構成される電力供給系を、高周波電力供給装置と呼ぶ。
次に、上記構成の高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用アモルファスSiを製膜する方法を説明する。なお、本発明の実施あるいは応用では、手順として、第1及び第2の予備製膜工程と本製膜工程が必要である。第1の予備製膜工程は、前記第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器15の2つの出力の位相差の設定値を把握するために、第2の予備製膜工程は、前記第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器28の2つの出力の位相差の設定値を把握するために、本製膜工程は目的とするアモルファスSiの製造のために実施される。
先ず、第1の第1の予備製膜工程であるが、図1及び図2において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば250sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、高周波電力供給装置の構成部材の中の前記第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器15、第1の電力増幅器16、第1のインピーダンス整合器17、第1の電流導入端子18、第1の真空用同軸ケーブル19の芯線20、第2の電力増幅器22、第2のインピーダンス整合器23、第2の電流導入端子24、第2の真空用同軸ケーブル25の芯線26から成る第1の電力供給系を用いて、一対の電極2、4に高周波電力を、例えば周波数60MHz、パルス幅Hw=400μ秒、パルス周期T0=1m秒の電力、例えば合計で200Wを供給する。
即ち、該第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器15の2つの出力の位相差を、例えば零に、パルス幅Hw=400μ秒、パルス周期T0=1m秒に設定し、第1の電力増幅器16の出力を100Wに設定して、その出力を第1のインピーダンス整合器17、第1の電流導入端子18、第1の真空用同軸ケーブル19の芯線20を介して、第1の給電点に供給するとともに、第2の電力増幅器22の出力を100Wに設定して、その出力を第2のインピーダンス整合器23、第2の電流導入端子24、第2の真空用同軸ケーブル25の芯線26を介して、第2の給電点に供給する。
この場合、前記第1のインピーダンス整合器17及び第2のインピーダンス整合器23を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器17、23の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにすることができる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、後述するように、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器15の2つの出力の位相差をパラメータに繰り返し実施する。そして、第1の電極の長さ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器15の2つの出力の位相差の関係をデータとして把握する。例えば、基板11の中央点から第1の給電点21の方向へ波長λの八分の一、即ちλ/8だけ離れた位置に設定するための位相差は、例えばΔθ1であるいうことが把握される。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。一般的にはSiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.5〜0.9程度である。
ところで、上記第1及び第2の給電点21及び27からパルス状に供給される電力の電圧波は、同一電源から発振され、互いに電極間を伝播していくので、すなわち、両者は互いに向かい合った方向から伝播しあって重なり合うので、干渉現象が発生する。その様子を、図5及び図6を用いて説明する。
図5において、第1の給電点21から第2の給電点27の方向の距離をxとし、xの正方向へ伝播する電圧波をW11(x,t)、xの負方向へ伝播する電圧波、即ち第2の給電点27から第1の給電点21の方向へ伝播する電圧波をW21(x,t)とすると、次のように表現される。
W11(x、t)=V1・sin(ωt+2πx/λ)
W21(x、t)=V1・sin{ωt−2π(x−L0)/λ+Δθ}
ただし、V1は電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、L0は第1及び第2の給電点の間隔、Δθは第1の給電点21から供給される電力の電圧波と第2の給電点27から供給される電力の電圧波の位相差である。この2つの電圧波の合成波W1(x、t)は次式のようになる。
W1(x、t)=W11(x、t)+W21(x、t)
=2・V1cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}・sin{ωt+(πL0/λ+Δθ/2)
上記合成波W1(x、t)を概念的に図6に示す。図6において、Δθ=0の場合、生成されるプラズマの強さは給電点間の中央部(x=L0/2)が強く、該中央部から離れるにしたがって弱くなることを示している。Δθ>0の場合、プラズマの強い部分が一方の給電点側へ移動し、Δθ<0の場合、他方の給電点側へ移動することを示している。
なお、ここでは、前記第1の電力供給系を用いて、前記第1及び第2の給電点21、27に供給される電力の電圧波を、それぞれ、W11(x、t)及びW21(x、t)と呼ぶ。また、その2つの電圧波の合成波を第1の定在波W1(x、t)と呼ぶ。
ところで、一対の電極間の電力の強さは、電圧の第1の定在波W1(x、t)の振幅値の二乗に比例する。即ち、電力の強さI1(x、t)は、
I1(x、t)∝cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}
と表される。このI1(x、t)を概念的に、図7に示す。
図7は、VHFプラズマの生成上問題となる定在波の発生により、一対の電極間でのプラズマの一様性は、例えば強さが0.9〜1.0の範囲であるとすると、電力伝播方向の距離で、−0.05〜+0.05λの範囲(即ち、膜厚が均一な範囲は長さ0.1λ)に限られるということを示している。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。一般的にはSiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.5〜0.9程度である。
また、前記第1の予備製膜工程にて取得した基板の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1の位相可変2出力の発信器15の2つの出力の位相差の関係を示すデータにより、膜厚分布の最大厚みの位置を例えば、基板の中央点から波長λの八分の一、即ちλ/8だけ離れた位置に設定することができる。
なお、ここでは、第1の定在波W1(x、t)の強さの分布をI1(x、t)と呼ぶ。
次に、第2の予備製膜工程であるが、図1及び図2において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば250sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
そして、高周波電力供給装置の構成部材の中の前記第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器28、第3の電力増幅器29、第3のインピーダンス整合器30、第3の電流導入端子31、第3の真空用同軸ケーブル32の芯線33、第4の電力増幅器34、第4のインピーダンス整合器35、第4の電流導入端子36、第4の真空用同軸ケーブル37の芯線38から成る第2の電力供給系を用いて、一対の電極2、4に高周波電力を、例えば周波数60MHz、パルス幅Hw=400μ秒、パルス周期T0=1m秒の電力例えば合計で200Wを供給する。
即ち、該第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器28の2つの出力の位相差を、例えば零に、パルス幅Hw=400μ秒、パルス周期T0=1m秒に設定し、第3の電力増幅器29の出力を100Wに設定して、その出力を第3のインピーダンス整合器30、第3の電流導入端子31、第3の真空用同軸ケーブル32の芯線33を介して、第1の給電点に供給するとともに、第4の電力増幅器34の出力を100Wに設定して、その出力を第4のインピーダンス整合器35、第4の電流導入端子36、第4の真空用同軸ケーブル37の芯線38を介して、第2の給電点に供給する。
この場合、前記第3のインピーダンス整合器30及び第4のインピーダンス整合器35を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器30、35の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。該基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布には、前述のVHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器28の2つの出力の位相差をパラメータに繰り返し実施する。そして、第1の電極の長さ方向において、基板の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器28の2つの出力の位相差の関係をデータとして把握する。
この場合も、前記第1の予備製膜工程と同様に、第2の電力供給系を用いた場合において、基板の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器28の2つの出力の位相差の関係を示すデータにより、膜厚分布の最大厚みの位置を例えば、基板の中央点から第2の給電点27の方向へ波長λの八分の一、即ちλ/8だけ離れた位置に設定するための位相差は例えばΔθ2であるということが把握される。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。一般的にはSiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.5〜0.9程度である。
第2の予備製膜工程において、上記第1及び第2の給電点21及び27からパルス状に供給される電力の電圧波は、同一電源から発振され、互いに電極間を伝播していくので、すなわち、両者は互いに向かい合った方向から伝播しあって重なり合うので、干渉現象が発生する。その様子を、図5及び図6に示す。
図5において、第1の給電点21から第2の給電点27の方向の距離をxとし、xの正方向へ伝播する電圧波をW12(x,t)、xの負方向へ伝播する電圧波、即ち第2の給電点27から第1の給電点21の方向へ伝播する電圧波をW22(x,t)とすると、次のように表現される。
W12(x、t)=V2・sin(ωt+2πx/λ)
W22(x、t)=V2・sin{ωt−2π(x−L0)/λ+Δθ}
ただし、V2は電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、L0は第1及び第2の給電点の間隔、Δθは第1の給電点21から供給される電力の電圧波と第2の給電点27から供給される電力の電圧波の位相差である。電圧の合成波W2(x、t)は次式のようになる。
W2(x、t)=W12(x、t)+W22(x、t)
=2・V2cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}・sin{ωt+(πL0/λ+Δθ/2)
上記合成波W2(x、t)を概念的に図6に示す。図6において、Δθ=0の場合、生成されるプラズマの強さは給電点間の中央部(x=L0/2)が強く、該中央部から離れるにしたがって弱くなることを示している。Δθ>0の場合、プラズマの強い部分が一方の給電点側へ移動し、Δθ<0の場合、他方の給電点側へ移動することを示している。
なお、ここでは、前記第2の電力供給系を用いて前記第1及び第2の給電点21、27に供給される電力の電圧波を、それぞれ、W12(x、t)及びW22(x、t)と呼ぶ。また、その2つの波の合成波を第2の定在波W2(x、t)と呼ぶ。
ところで、一対の電極間の電力の強さは、電圧の合成波W2(x、t)の振幅値の二乗に比例する。即ち、電力の強さI2(x、t)は、
I2(x、t)∝cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}
と表される。このI2(x、t)を概念的に、図7に示す。
図7は、VHFプラズマの生成上問題となる定在波発生により、一対の電極間でのプラズマの一様性は、例えば強さが0.9〜1.0の範囲であるとすると、電力伝播方向の距離で、−0.05〜+0.05λの範囲(即ち、膜厚が均一な範囲は長さ0.1λ)に限られるということを示している。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。一般的にはSiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.5〜0.9程度である。
なお、ここでは、第2の定在波W2(x、t)の強さの分布をI2(x、t)と呼ぶ。
さて、前記第1および第2の予備製膜工程の結果を受けて、本製膜工程に入る。先ず、図1及び図2において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば300sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、高周波電力供給装置を用いて一対の電極2、4に高周波電力を供給する。即ち、前記第1の電力供給系の構成部材の第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器15の2つの出力、例えば周波数60MHzの正弦波の位相差を第1の予備製膜工程のデータとして把握したΔθ1に設定し、そのパルス変調を図3及び図4に示すW11(t)及びW21(t)におけるパルス幅Hw及び周期T0を例えばHw=400μ秒及びT0=1m秒に設定し、第1及び第2の給電点21、27に、それぞれ例えば電力100Wを供給するともとに、前記第2の電力供給系の構成部材の第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器28の2つの出力、例えば周波数60MHzの正弦波の位相差を第2の予備製膜工程のデータとして把握したΔθ2に設定し、かつ、そのパルス変調を図3及び図4に示すW12(t)及びW22(t)におけるパルス幅Hw及び周期T0を例えばHw=400μ秒及びT0=1m秒で、かつ、前記W11(t)及びW21(t)のパルス変調のパルス立ち上がり時間より半周期、即ちT0/2遅れた時刻に立ち上がるように設定し、第1及び第2の給電点21、27に、それぞれ例えば電力100Wを供給する。即ち、前記第1及び第2の給電点21,27に、前記電圧波W11(x、t)、電圧波W21(x、t)、W12(x、t)及びW22(x、t)が供給される。
ここで、第1の予備製膜工程及び第2の予備製膜工程でそれぞれ設定した第1のパルス変調方式位相可変2出力の発信器15及び第2のパルス変調方式位相可変2出力の発信器28のパルス幅Hwと周期T0の値を、例えば、Hw=400μ秒を1m秒などへ、T0=1m秒を5m秒などへ変更して、いくつかの製膜データを比較することができる。
一対の電極2、4間に4つの電圧波が供給されると、前述のように、W11(x、t)とW21(x、t)は干渉して第1の定在波W1(x、t)を形成し、W12(x、t)とW22(x、t)は干渉して第2の定在波W2(x、t)を形成する。ただし、W11(x、t)は、W12(x、t)及びW22(x、t)とは、時間的に分離されているので干渉しない。また、同様に、W21(x、t)は、W12(x、t)及びW22(x、t)と干渉しない。
したがって、上記パルス変調の周期T0より大幅に長い数秒以上の一般的な製膜時間で考えれば、一対の電極2、4間に生成される電力の強さの分布は、第1の定在波W1(x、t)の強さの分布I1(x、t)と第2の定在波W2(x、t)の強さの分布I2(x、t)の重ね合わせた形となる。その様子を概念的に図8に示す。
ここで、基板の中央点をx軸の原点とし、該原点から第1の給電点21を向いた方向を正の方向とすると、第1の定在波W1(x、t)の強さの分布I1(x、t)は、
I1(x、t)∝cos{2πx/λ+2π(λ/8)/λ}
=cos{2πx/λ+π/4}
第2の定在波W2(x、t)の強さの分布I2(x、t)は、
I2(x、t)∝cos{2πx/λ−2π(λ/8)/λ}
=cos{2πx/λ−π/4}
一対の電極2、4間に生成される電力の強さの分布I(x、t)は、
I(x、t)
=cos{2πx/λ+π/4}+cos{2πx/λ−π/4}
=1
この結果は、該一対の電極2、4間に生成される電力の強さの分布I(x、t)は、x即ち電力の伝播方向の位置に依存しないで一定の値であり、均一であるということを示している。このことは、定在波の影響を受けない電力供給が可能であることを意味している。
上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板11の表面に吸着されることによりa−Si膜が堆積するが、一対の電極2,4間の電力の分布が、上述の通り、時間平均的に一様であるので、その堆積膜は一様になる。
このことは、本発明の装置及び方法では、波長λの二分の一を越えるサイズの基板を対象にした場合においても、一様な膜厚分布の形成が可能であることを示している。即ち、従来のVHFプラズマ表面処理装置及び方法では不可能視されている波長λの二分の一を越えるサイズの基板を対象にした場合でも、本発明は一様な膜厚分布の形成が実現可能であるということを意味している。
したがって、上記のことはVHFプラズマの応用分野においては画期的な発見であり、その実用価値は著しく大きいものがある。
なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
本実施例では、第1及び第2の電極2が長さ1400mm程度、幅200mm程度の矩形板であり、かつ、給電点は両端部に1点ずつであるので、基板サイズは上記1200mmx200mm程度に制約されるが、第1及び第2の電極2、4の幅を拡大し、かつ、給電点の個数を増加すれば基板サイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、本実施例2では、電源周波数は60MHzの場合のみについて説明したが、上記高周波電力供給装置の構成部材は、周波数10MHz〜300MHzにおいて、電力の伝送及び制御において、問題はないことは当然のことである。
また、本実施例1では、第1の電極2の形状を矩形の場合のみについて説明したが、その形状は矩形以外、例えば棒状導体をU字状にしたもの及びW字状にしたものを用い、該電極の両端に第1及び第2の給電点21、27を配置することが容易に考えられる。
また、基板の形状が円筒形の場合への応用では、電極形状を円筒形にして該円筒形電極の端面に第1及び第2の給電点21、27を配置することが容易に考えられる。
a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法では不可能であった
該一対の電極2、4間の電力の強さの分布I(x、t)の均一化が可能である。即ち、膜厚分布として±10%以内を実現可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
(実施例2)
本発明に関する実施例2の高周波電力供給装置により構成された高周波プラズマ発生装置及び該装置を用いた高周波プラズマ発生方法について、図9を参照して説明する。なお、図2ないし図8も参照する。
先ず、装置の構成について説明する。ただし、実施例1に示した部材と同じ部材は同符番を付して説明を省略する。図9は実施例2に係わる高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置の全体を示す概略図である。
図9において、符番70は高周波発信器で、周波数10MHz〜300MHzの正弦波信号を発生する。符番71、72、73はそれぞれ、第1、第2及び第3の分配器である。第1の分配器71は、高周波発信器70の出力を2分配する。第2の分配器72は、後述の第1のゲート回路装置74の出力を2分配する。第3の分配器73は後述の第2のゲート回路装置75の出力を2分配する。
符番74、75はそれぞれ、第1及び第2のゲート回路装置で、それぞれ、後述のパルス発信器80のパルス電圧が印加されている時間の間だけ、その入力端子と出力端子間を導通状態にする。なお、パルス電圧が印加されていない時間は不通状態になる。符番76、77は第1及び第2の位相シフターである。第1の位相シフター76は、その入力端子に入力されるパルス変調された高周波信号の位相を遅延させる機能を持ち、その遅延量は後述の位相差検出器78の出力により制御される。第2の位相シフター77は、その入力端子に入力されるパルス変調された高周波信号の位相を遅延させる機能を持ち、その遅延量は後述の位相差検出器79の出力により制御される。
符番78、79は、それぞれ、第1及び第2の位相差検出器である。第1の位相差検出器78は、第1及び第2のインピーダンス整合器17、23のそれぞれの出力電圧の位相差を検知し、その位相差に比例した電圧を位相シフター76の制御信号として、位相シフター76に伝送する。第2の位相差検出器79は、第3及び第4のインピーダンス整合器30、35のそれぞれの出力電圧の位相差を検知し、その位相差に比例した電圧を位相シフター77の制御信号として、位相シフター77に伝送する。なお、第1及び第2の位相差検出器78、79には、それぞれ、第1及び第2の位相シフター76、77の位相を任意に制御可能な位相調整ダイヤルが付属しており、該第1及び第2の位相シフター76、77の出力の正弦波信号の位相を任意に調整が可能である。
符番80は2出力のパルス発信器で、その第1の出力端子は任意のパルス幅Hwと任意の周期T0のパルス電圧を出力し、その第2の出力端子は第1の出力端子から出力されるパルス電圧と同じパルス幅Hw及び周期T0で、位相が半周期即ちT0/2だけ遅れたパルス電圧を出力する。なお、該第1の出力端子からのパルス電圧は第1のゲート回路装置74の制御信号として、該第1のゲート回路装置74に伝送される。また、該第2の出力端子からのパルス電圧は第2のゲート回路装置75の制御信号として、該第2のゲート回路装置75に伝送される。
図9において、高周波発信器70の出力端子から出力される超高周波の正弦波信号、例えば60MHzの正弦波信号は、第1の分配器71により2分配されて、その出力の一方は第1のゲート回路装置74を介して、第2の分配器72により2分配される。その出力の一方は、第1の電力増幅器16で電力増幅されて、第1のインピーダンス整合器17、第1の電流導入端子18、真空用同軸ケーブル19の芯線20を介して、第1の給電点21に供給される。
なお、高周波発信器70は10MHz〜300MHzの範囲にて任意の周波数の正弦波信号を発生し、その出力端から出力する。また、第1のゲート回路装置74は、パルス発信器80の出力端子から伝送される任意のパルス幅Hwと任意の周期T0のパルス電圧によりオンオフ制御がなされる。
ここで、そのパルス電圧の典型例として図3にW11(t)、W21(t)として示す。
該第2の分配器72の他方の出力は、位相シフター76を介して第2の電力増幅器22、第2のインピーダンス整合器23、第2の電流導入端子24、第2の真空用同軸ケーブル25の芯線26を介して、第2の給電点27に供給される。
該位相シフター76は、第1の位相差検出器78が検知した第1及び第2のインピーダンス整合器17、23の出力の電圧の位相差に比例した電圧により制御され、該位相シフター76に入力された正弦波信号の位相を遅延させ、後流側の第2の電力増幅器22に伝送する。なお、第1の位相差検出器78に付属の位相調整ダイヤルにて、手動にて、該位相シフター76の位相を任意に制御可能である。
図9において、第1の分配器71により2分配された出力の他方は第2のゲート回路装置75を介して、第3の分配器73により2分配される。その出力の一方は、第3の電力増幅器29で電力増幅されて、第3のインピーダンス整合器30、第3の電流導入端子36、真空用同軸ケーブル31の芯線32を介して、第1の給電点21に供給される。なお、第2のゲート回路装置75は、パルス発信器80の出力端子から伝送される任意のパルス幅Hwと任意の周期T0のパルス電圧によりオンオフ制御がなされる。ここで、そのパルス電圧の典型例として、図3図示のW12(t)、W22(t)を示す。W12(t)、W22(t)は、上記W11(t)、W21(t)に比べて、半周期、即ちT0/2だけ遅れた時刻に立ち上がる。
該第3の分配器73の他方の出力は、位相シフター77を介して第4の電力増幅器34、第4のインピーダンス整合器35、第4の電流導入端子36、第4の真空用同軸ケーブル37の芯線38を介して、第2の給電点27に供給される。
該位相シフター77は、第2の位相差検出器79が検知した第3及び第4のインピーダンス整合器30、35の出力の電圧の位相差に比例した電圧により制御され、該位相シフター77に入力された正弦波信号の位相を遅延させ、後流側の第4の電力増幅器34に伝送する。なお、第2の位相差検出器79に付属の位相調整ダイヤルにて、手動にて、該位相シフター77の位相を任意に制御可能である。
ここで、高周波発信器70と、第1、第2及び第3の分配器71、72、73と、第1及び第2のゲート回路装置74、75と、第1及び第2の位相シフター76、77と、第1の位相シフター76と、第2の位相シフター77と、第1及び第2の位相差検出器78、79と、2出力のパルス発信器80と、第1の電力増幅器16と、第1のインピーダンス整合器17と、第1の電流導入端子18、第1の真空用同軸ケーブル19と、第2の電力増幅器22、第2のインピーダンス整合器23と、第2の電流導入端子24と、第2の真空用同軸ケーブル25と、第3の電力増幅器29と、第3のインピーダンス整合器30と、第3の電流導入端子31と、第3の真空用同軸ケーブル32と、第4の電力増幅器34と、第4のインピーダンス整合器35と、第4の電流導入端子36及び第4の真空用同軸ケーブル37から構成される電力供給系を、高周波電力供給装置と呼ぶ。
次に、上記構成の高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用アモルファスSiを製膜する方法を説明する。なお、本発明の実施あるいは応用では、手順として、第1及び第2の予備製膜工程と本製膜工程が必要である。第1の予備製膜工程は、前記第1のインピーダンス整合器17の出力の電圧及び前記第2のインピーダンス整合器23の出力の電圧の位相差を測定し、制御する第1の位相差検出器78及び第1の位相シフター76から成る第1の位相制御系の位相設定値を把握するために、第2の予備製膜工程は、前記第3のインピーダンス整合器30の出力の電圧及び前記第4のインピーダンス整合器35の出力の電圧の位相差を測定し、制御する第2の位相差検出器79及び第2の位相シフター77から成る第2の位相制御系の位相設定値を把握するために、本製膜工程は目的とするアモルファスSiの製造のために実施される。
先ず、第1の第1の予備製膜工程であるが、図9において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、図示しない放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば250sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、高周波電力供給装置の一部を用いて一対の電極2、4に高周波電力を供給する。
即ち、2出力のパルス発信器80のパルス電圧で制御される第1のゲート回路装置74でパルス変調された高周波発信器70の正弦波出力を第2の分配器72で2分配する。この場合、該高周波発信器70の正弦波出力の周波数は、10MHz〜300MHzの範囲で任意に設定可能で、例えば、周波数を60MHzに設定する。また、前記パルス変調された超高周波発信器70の正弦波出力のパルス幅Hw及びパルス周期T0は任意に設定が可能で、例えば、パルス幅Hw=400μ秒、パルス周期T0=1m秒と設定される。
該第2の分配器72で2分配された一方の信号を第1の電力増幅器16で増幅し、例えば電力200Wとし、該電力を第1のインピーダンス整合器17、第1の電流導入端子18及び第1の真空用同軸ケーブル19の芯線20を介して、第1の給電点21に供給する。
該第2の分配器72で2分配された他方の信号を第1の位相シフター76を介して第2の電力増幅器22で増幅し、例えば電力200Wとし、該電力を第2のインピーダンス整合器23、第2の電流導入端子24及び第2の真空用同軸ケーブル25の芯線26を介して、第2の給電点27に供給する。この場合、該第1及び第2の給電点21、27に供給される電力の電圧の位相差は、該第1のインピーダンス整合器17の出力の電圧及び該第2のインピーダンス整合器23の出力の電圧の位相差を測定し、制御する第1の位相差検出器78及び第1の位相シフター76から成る第1の位相制御系で制御され、任意の位相差を設定可能で、例えば該位相差を零度に設定する。
第1の給電点21に供給されるパルス変調された電力の波形を、概念的に、図3及び図4に、W11(t)として示す。また、第の給電点27に供給されるパルス変調された電力の波形を、概念的に、図3及び図4に、W21(t)として示す。
この場合、前記第1のインピーダンス整合器17及び第2のインピーダンス整合器23を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器17、23の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにすることができる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、前述のように、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第1及び第2の給電点に供給される電力の電圧の位相差をパラメータに繰り返し実施する。
そして、第1の電極2の長さ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と該位相差の関係をデータとして把握する。例えば、基板11の中央点から第1の給電点21の方向へ波長λの八分の一、即ちλ/8だけ離れた位置に設定するための位相差は、例えばΔθ1であるいうことが把握される。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。一般的にはSiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.5〜0.9程度である。
ところで、上記第1及び第2の給電点21及び27から供給されるパルス変調された電力の電圧波は、同一電源から発振され、互いに電極間を伝播していくので、すなわち、両者は互いに向かい合った方向から伝播しあって重なり合うので干渉現象が発生する。その様子を、図5及び図6を用いて説明する。
図5において、第1の給電点21から第2の給電点27の方向の距離をxとし、xの正方向へ伝播する電圧波をW11(x,t)、xの負方向へ伝播する電圧波、即ち第2の給電点27から第1の給電点21の方向へ伝播する電圧波をW21(x,t)とすると、次のように表現される。
W11(x、t)=V1・sin(ωt+2πx/λ)
W21(x、t)=V1・sin{ωt−2π(x−L0)/λ+Δθ}
ただし、V1は電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、L0は第1及び第2の給電点の間隔、Δθは第1の給電点21から供給される電力の電圧波と第2の給電点27から供給される電力の電圧波の位相差である。この2つの電圧波の合成波W1(x、t)は次式のようになる。
W1(x、t)=W11(x、t)+W21(x、t)
=2・V1cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}・sin{ωt+(πL0/λ+Δθ/2)
上記合成波W1(x、t)を概念的に図6に示す。図6において、Δθ=0の場合、生成されるプラズマの強さは給電点間の中央部(x=L0/2)が強く、該中央部から離れるにしたがって弱くなることを示している。Δθ>0の場合、プラズマの強い部分が一方の給電点側へ移動し、Δθ<0の場合、他方の給電点側へ移動することを示している。
なお、ここでは、前記第1の電力供給系を用いて、前記第1及び第2の給電点21、27に供給される電力の電圧波を、それぞれ、W11(x、t)及びW21(x、t)と呼ぶ。また、その2つの電圧波の合成波を第1の定在波W1(x、t)と呼ぶ。
ところで、一対の電極間の電力の強さは、電圧の第1の定在波W1(x、t)の振幅値の二乗に比例する。即ち、電力の強さI1(x、t)は、
I1(x、t)∝cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}
と表される。このI1(x、t)を概念的に、図7に示す。
図7は、VHFプラズマの生成上問題となる定在波の発生により、一対の電極間でのプラズマの一様性は、例えば強さが0.9〜1.0の範囲であるすると、電力伝播方向の距離で、−0.05〜+0.05λの範囲(即ち、膜厚が均一な範囲は長さ0.1λ)に限られるということを示している。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。一般的にはSiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.5〜0.9程度である。
また、前記第1の予備製膜工程にて取得した基板の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と前記第1及び第2の給電点21、27に供給される電力の電圧の位相差の関係を示すデータにより、膜厚分布の最大厚みの位置を例えば、基板の中央点から波長λの八分の一、即ちλ/8だけ離れた位置に設定することができる。
なお、ここでは、第1の定在波W1(x、t)の強さの分布をI1(x、t)と呼ぶ。
次に、第2の予備製膜工程であるが、前記第1の予備製膜工程と同様に、図9において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、図示しない放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば250sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、高周波電力供給装置の一部を用いて一対の電極2、4に高周波電力を供給する。
即ち、2出力のパルス発信器80のパルス電圧で制御される第2のゲート回路装置75でパルス変調された高周波発信器70の正弦波出力を第3の分配器73で2分配する。なお、該高周波発信器70の正弦波出力の周波数は、前記第1の予備製膜工程と同じ周波数、例えば、周波数を60MHzである。また、前記パルス変調された超高周波発信器70の正弦波出力のパルス幅Hw及びパルス周期T0は、前記第1の予備製膜工程と同じ、例えば、パルス幅Hw=400μ秒、パルス周期T0=1m秒と設定されるが、パルスの立ち上がり時刻は半周期遅れに設定する。
該第3の分配器73で2分配された一方の信号を第3の電力増幅器29で増幅し、例えば電力200Wとし、該電力を第3のインピーダンス整合器30、第3の電流導入端子36及び第3の真空用同軸ケーブル31の芯線32を介して、第1の給電点21に供給する。
該第3の分配器72で2分配された他方の信号を第2の位相シフター77を介して第4の電力増幅器34で増幅し、例えば電力200Wとし、該電力を第4のインピーダンス整合器35、第4の電流導入端子36及び第4の真空用同軸ケーブル37の芯線38を介して、第2の給電点27に供給する。この場合、該第1及び第2の給電点21、27に供給される電力の電圧の位相差は、該第3のインピーダンス整合器30の出力の電圧及び該第4のインピーダンス整合器35の出力の電圧の位相差を測定し、制御する第2の位相差検出器79及び第2の位相シフター77から成る第2の位相制御系で制御され、任意の位相差を設定可能で、例えば該位相差を零度に設定する。
第1の給電点21に供給されるパルス変調された電力の波形を、概念的に、図3及び図4に、W12(t)として示す。また、第2の給電点27に供給されるパルス変調された電力の波形を、概念的に、図3及び図4に、W22(t)として示す。
この場合、前記第3のインピーダンス整合器30及び第4のインピーダンス整合器35を調整することにより、それぞれのインピーダンス整合器30、35の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにすることができる。
その結果、前記SiH4ガスのプラズマが生成され、基板11に例えばアモルファスSiが堆積する。
前記要領で、製膜時間を例えば10〜20分間にして、前記基板11にアモルファスSi膜を形成させる。製膜後、真空容器1から前記基板11を取り出して、該アモルファスSi膜の膜厚み分布を評価する。基板11に堆積された例えばアモルファスSiの膜厚分布は、前述のように、VHFプラズマ固有の現象である定在波の発生により、正弦的な分布となる。このような、製膜試験を第1及び第2の給電点に供給される電力の電圧の位相差をパラメータに繰り返し実施する。
そして、第1の電極2の長さ方向において、基板11の中央点から正弦的な膜厚分布の最大厚みの位置までの距離と該位相差の関係をデータとして把握する。例えば、基板11の中央点から第1の給電点27の方向へ波長λの八分の一、即ちλ/8だけ離れた位置に設定するための位相差は、例えばΔθ2であるいうことが把握される。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。一般的にはSiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.5〜0.9程度である。
第2の予備製膜工程において、上記第1及び第2の給電点21及び27から供給されるパルス変調された電力の電圧波は、同一電源から発振され、互いに電極間を伝播していくので、すなわち、両者は互いに向かい合った方向から伝播しあって重なり合うので、干渉現象が発生する。その様子を、図5及び図6に示す。
図5において、第1の給電点21から第2の給電点27の方向の距離をxとし、xの正方向へ伝播する電圧波をW12(x,t)、xの負方向へ伝播する電圧波、即ち第2の給電点27から第1の給電点21の方向へ伝播する電圧波をW22(x,t)とすると、次のように表現される。
W12(x、t)=V2・sin(ωt+2πx/λ)
W22(x、t)=V2・sin{ωt−2π(x−L0)/λ+Δθ}
ただし、V2は電圧波の振幅、ωは電圧の角周波数、λは電圧波の波長、tは時間、L0は第1及び第2の給電点の間隔、Δθは第1の給電点21から供給される電力の電圧波と第2の給電点27から供給される電力の電圧波の位相差である。電圧の合成波W2(x、t)は次式のようになる。
W2(x、t)=W12(x、t)+W22(x、t)
=2・V2cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}・sin{ωt+(πL0/λ+Δθ/2)
上記合成波W2(x、t)を概念的に図6に示す。図6において、Δθ=0の場合、生成されるプラズマの強さは給電点間の中央部(x=L0/2)が強く、該中央部から離れるにしたがって弱くなることを示している。Δθ>0の場合、プラズマの強い部分が一方の給電点側へ移動し、Δθ<0の場合、他方の給電点側へ移動することを示している。
なお、ここでは、前記第2の電力供給系を用いて前記第1及び第2の給電点21、27に供給される電力の電圧波を、それぞれ、W12(x、t)及びW22(x、t)と呼ぶ。また、その2つの波の合成波を第2の定在波W2(x、t)と呼ぶ。
ところで、一対の電極間の電力の強さは、電圧の合成波W2(x、t)の振幅値の二乗に比例する。即ち、電力の強さI2(x、t)は、
I2(x、t)∝cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}
と表される。このI2(x、t)を概念的に、図7に示す。
図7は、VHFプラズマの生成上問題となる定在波発生により、一対の電極間でのプラズマの一様性は、例えば強さが0.9〜1.0の範囲であるすると、電力伝播方向の距離で、−0.05〜+0.05λの範囲(即ち、膜厚が均一な範囲は長さ0.1λ)に限られるということを示している。
ただし、その波長λは、真空中での電磁波の波長ではなく、上記製膜条件での波長λであり、真空中での電磁波の波長λに比べて短くなる。一般的にはSiH4ガスのプラズマでは、プラズマ中での波長λと真空中での波長λとの比λ/λは0.5〜0.9程度である。
なお、ここでは、第2の定在波W2(x、t)の強さの分布をI2(x、t)と呼ぶ。
さて、前記第1および第2の予備製膜工程の結果を受けて、本製膜工程に入る。先ず、図9において、予め、基板11を第2の電極4の上に設置し、図示しない真空ポンプ10を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管8からSiH4ガスを、例えば300sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
次に、高周波電力供給装置を用いて一対の電極2、4に高周波電力を供給する。
前記高周波発信器70の出力の周波数を、例えば60MHzに設定し、第1の給電点21及び第2の給電点に供給される前記電力W11(t)、W21(t)のパルス幅Hw及び周期T0を例えばHw=400μ秒及びT0=1m秒に設定し、前記電力W12(t)、W22(t)のパルス幅Hw及び周期T0を例えばHw=400μ秒及びT0=1m秒で、かつ、前記W11(t)及びW21(t)のパルス変調のパルス立ち上がり時間より半周期、即ちT0/2遅れた時刻に立ち上がるように設定する。そして、前記第1の位相差検出器78及び第1の位相シフター76から成る第1の位相制御系で制御する第1及び第2の給電点に供給の電力の電圧の位相差を前記第1の予備製膜工程のデータとして把握したΔθ1に設定し、前記第2の位相差検出器79及び第2の位相シフター77から成る第2の位相制御系で制御する第1及び第2の給電点に供給の電力の電圧の位相差を前記第2の予備製膜工程のデータとして把握したΔθ2に設定する。
第1、第2、第3及び第4の増幅器16、22、29、34の出力は、例えばそれぞれ、200Wに設定する。即ち、前記第1及び第2の給電点21,27に、電力200Wの電圧波W11(x、t)、電力200Wの電圧波W21(x、t)、電力200WのW12(x、t)及び電力200WのW22(x、t)が供給される。
ここで、第1の予備製膜工程及び第2の予備製膜工程でそれぞれ設定した上記パルス幅Hwと周期T0の値を、例えば、Hw=400μ秒を1m秒などへ、T0=1m秒を5m秒などへ変更して、いくつかの製膜データを比較することができる。
一対の電極2、4間に4つの電圧波が供給されると、前述のように、W11(x、t)とW21(x、t)は干渉して第1の定在波W1(x、t)を形成し、W12(x、t)とW22(x、t)は干渉して第2の定在波W2(x、t)を形成する。ただし、W11(x、t)は、W12(x、t)及びW22(x、t)とは、時間的に分離されているので干渉しない。また、同様に、W21(x、t)は、W12(x、t)及びW22(x、t)と干渉しない。
したがって、上記パルス変調の周期T0より大幅に長い数秒以上の一般的な製膜時間で考えれば、一対の電極2、4間に生成される電力の強さの分布は、第1の定在波W1(x、t)の強さの分布I1(x、t)と第2の定在波W2(x、t)の強さの分布I2(x、t)の重ね合わせた形となる。その様子を概念的に図8に示す。
ここで、基板の中央点をx軸の原点とし、該原点から第1の給電点21を向いた方向を正の方向とすると、第1の定在波W1(x、t)の強さの分布I1(x、t)は、
I1(x、t)∝cos{2πx/λ+2π(λ/8)/λ}
=cos{2πx/λ+π/4}
第2の定在波W2(x、t)の強さの分布I2(x、t)は、
I2(x、t)∝cos{2πx/λ−2π(λ/8)/λ}
=cos{2πx/λ−π/4}
一対の電極2、4間に生成される電力の強さの分布I(x、t)は、
I(x、t)
=cos{2πx/λ+π/4}+cos{2πx/λ−π/4}
=1
この結果は、該一対の電極2、4間に生成される電力の強さの分布I(x、t)は、x即ち電力の伝播方向の位置に依存しないで一定の値であり、均一であるということを示している。このことは、定在波の影響を受けない電力供給が可能であることを意味している。
上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板11の表面に吸着されることによりa−Si膜が堆積するが、一対の電極2、4間の電力の分布が、上述の通り、時間平均的に一様であるので、その堆積膜は一様になる。
このことは、本発明の装置及び方法では、波長λの二分の一を越えるサイズの基板を対象にした場合においても、一様な膜厚分布の形成が可能であることを示している。即ち、従来のVHFプラズマ表面処理装置及び方法では不可能視されている波長λの二分の一を越えるサイズの基板を対象にした場合でも、本発明は一様な膜厚分布の形成が実現可能であるということを意味している。
したがって、上記のことはVHFプラズマの応用分野においては画期的な発見であり、その実用価値は著しく大きいものがある。
なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
本実施例では、第1及び第2の電極2、4がサイズ1400mmx200mm程度であるので、基板サイズは1200mmx200mm程度に制約されるが、第1の電極2の幅及び給電点の個数を増加すれば、基板サイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
また、本実施例2では、電源周波数は60MHzの場合のみについて説明したが、上記高周波電力供給装置の構成部材は、周波数10MHz〜300MHzにおいて、電力の伝送及び制御において、問題はないことは当然のことである。
また、本実施例2では、第1の電極2の形状を矩形の場合のみについて説明したが、その形状は矩形以外、例えば棒状導体をU字状にしたもの及びW字状にしたものを用い、該電極の両端に第1及び第2の給電点21、27を配置することが容易に考えられる。
また、基板の形状が円筒形の場合への応用では、電極形状を円筒形にして該円筒形電極の端面に第1及び第2の給電点21、27を配置することが容易に考えられる。
a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。
上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法では不可能であった該一対の電極2、4間の電力の強さの分布I(x、t)の均一化が可能である。即ち、膜厚分布として±10%以内を実現可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
実施例1に係わる高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置の全体を示す概略図。 図1図示の高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置の第1及び第2の電極への給電部の説明図。 パルス変調された出力の典型例を示す説明図。 パルス変調された正弦波信号の典型例を示す説明図。 一対の電極間に発生の電圧波の伝播を示す説明図。 一対の電極間に発生の電圧の定在波の腹の位置を示す説明図。 一対の電極間に発生の定在波の強さ(振幅の2乗の値)の分布を示す説明図。 一対の電極間に発生の2つの定在波の強さを示す説明図。 実施例2に係わる高周波電力供給装置により構成されたプラズマ表面処理装置の全体を示す概略図。
符号の説明
1...真空容器、
2...第1の電極、
3...図示しない基板ヒータ、
4...第2の電極、
5...絶縁物支持材、
6...ガス混合箱、
7...整流孔、
8...放電ガス供給管、
9...排気管、
10...図示しない真空ポンプ、
11...基板、
12...図示しないゲートバルブ、
13...放電ガス通気孔、
15...第1のパルス変調方式位相可変2出力発信器、
16...第1の電力増幅器、
17...第1のインピーダンス整合器、
18...第1の電流導入端子、
19...第1の真空用同軸ケーブル、
20...第1の真空用同軸ケーブルの芯線、
21...第1の給電点、
100...同期信号伝送ケーブル、
22...第2の電力増幅器、
23...第2のインピーダンス整合器、
24...第2の電流導入端子、
25...第2の真空用同軸ケーブル、
26...第2の真空用同軸ケーブルの芯線、
27...第2の給電点、
28...第2のパルス変調方式位相可変2出力発信器、
29...第3の電力増幅器、
30...第3のインピーダンス整合器、
31...第3の電流導入端子、
32...第3の真空用同軸ケーブル、
33...第3の真空用同軸ケーブルの芯線、
34...第4の電力増幅器、
35...第4のインピーダンス整合器、
36...第4の電流導入端子、
37...第4の真空用同軸ケーブル、
38...第4の真空用同軸ケーブルの芯線、
70...高周波発信器、
71...第1の分配器、
72...第2の分配器、
73...第3の分配器、
74...第1のゲート回路装置、
75...第2のゲート回路装置、
76...第1の位相シフター、
77...第2の位相シフター、
78...第1の位相差検出器、
79...第2の位相差検出器、
80...2出力のパルス発信器。

Claims (9)

  1. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、複数の給電点を有する第1及び第2の電極から成る一対の電極と、任意のパルス変調が可能で、かつ、4つの出力を有すると共に該4つの出力の電圧の位相をそれぞれ任意に設定可能な高周波電源及び該高周波電源の4つの出力端子に、それぞれ接続された第1、第2、第3及び第4のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置に用いられる高周波電力供給装置であって、前記第1の電極表面において高周波電力波の伝播上での対向点となる関係にある少なくとも2つの地点にそれぞれ配置された第1及び第2の給電点のいずれか一方の給電点に、前記第1及び第3のインピーダンス整合器の出力端子を接続し、かつ、他方の給電点に前記第2及び第4のインピーダンス整合器の出力端子を接続すると共に、該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される電力をパルス幅Hw及びパルス周期T0でパルス変調し、該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される電力を該第1の出力端子から出力されるパルス変調された電力の立ち上がり時刻より半周期、即ちT0/2遅れた時刻に立ち上がる形でパルス変調することにより、該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力されるパルス変調された電力と該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力されるパルス変調された電力の該第1及び第2の給電点への供給時間帯を分離し、該一対の電極間に該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される2つの電力により形成される第1の定在波と該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される2つの電力により形成される第2の定在波の発生時間領域を異ならしめると共に、該2つの定在波の腹の位置間の距離即ち第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間の距離が、該電力の波長の四分の一になるように、該第1及び第2の出力端子から出力される電力の電圧の位相差及び該第3及び第4の出力端子から出力される電力の電圧の位相差を制御するという構成を有することを特徴とする高周波電力供給装置。
  2. 前記電力供給系は、任意のパルス変調が可能で、かつ、2出力でかつ該2出力の電圧の位相差を任意に設定可能な第1の高周波発信器及び該第1の高周波発信器の2つの出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2の電力増幅器及び該第1及び第2の電力増幅器の出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2のインピーダンス整合器及び該第1の高周波発信器のパルス変調信号に同期した任意のパルス変調が可能で、かつ、2出力でかつ該2出力の電圧の位相差を任意に設定可能な第2の高周波発信器及び該第2の高周波発信器の2つの出力端子にそれぞれ接続された第3及び第4の電力増幅器及び該第3及び第4の電力増幅器の出力端子にそれぞれ接続された第3及び第4のインピーダンス整合器から成るという構成を有することを特徴とする請求項1記載の高周波電力供給装置。
  3. 前記電力供給系は、高周波発信器と、パルス発信器と、少なくとも3個の分配器と、少なくとも2個のゲート回路と、少なくとも2個の位相シフターと、少なくとも2個の位相差検出器と、少なくとも4個の電力増幅器と、少なくとも4個のインピーダンス整合器とから成るという構成を有することを特徴とする請求項1記載の高周波電力供給装置。
  4. 前記電力供給系の出力のパルス変調のデユーテイ比即ちパルス幅Hwと周期T0の比Hw/H0は50%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高周波電力供給装置。
  5. 前記電力供給系の出力の周波数は、10MHzから300MHzのHF帯ないしVHF帯に属していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高周波電力供給装置。
  6. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、複数の給電点を有する第1及び第2の電極から成る一対の電極と、任意のパルス変調が可能で、かつ、4つの出力を有すると共に該4つの出力の電圧の位相をそれぞれ任意に設定可能な高周波電源及び該高周波電源の4つの出力端子に、それぞれ接続された第1、第2、第3及び第4のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高周波電力供給装置を用いて前記一対の電極に高周波電力を供給するという構成を有すること特徴とするプラズマ表面処理装置。
  7. 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、複数の給電点を有する第1及び第2の電極から成る一対の電極と、任意のパルス変調が可能で、かつ、4つの出力を有すると共に該4つの出力の電圧の位相をそれぞれ任意に設定可能な高周波電源及び該高周波電源の4つの出力端子に、それぞれ接続された第1、第2、第3及び第4のインピーダンス整合器から成る電力供給系と、プラズマ処理すべき基板を配置する基板保持手段とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成を有する高周波電力供給装置を用いて、前記第1の電極表面において高周波電力波の伝播上での対向点となる関係にある少なくとも2つの地点にそれぞれ配置された第1及び第2の給電点のいずれか一方の給電点に、前記第1及び第3のインピーダンス整合器の出力端子を接続し、かつ、他方の給電点に前記第2及び第4のインピーダンス整合器の出力端子を接続すると共に、該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される電力をパルス幅Hw及びパルス周期T0でパルス変調し、該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される電力を該第1の出力端子から出力されるパルス変調された電力の立ち上がり時刻より半周期、即ちT0/2遅れた時刻に立ち上がる形でパルス変調することにより、該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力されるパルス変調された電力と該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力されるパルス変調された電力の該第1及び第2の給電点への供給時間帯を分離し、該一対の電極間に該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される2つの電力により形成される第1の定在波と該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される2つの電力により形成される第2の定在波の発生時間領域を異ならしめると共に、該2つの定在波の腹の位置間の距離即ち第1の定在波の腹の位置と第2の定在波の腹の位置との間の距離が、該電力の波長の四分の一になるように、該第1及び第2の出力端子から出力される電力の電圧の位相差及び該第3及び第4の出力端子から出力される電力の電圧の位相差を制御することにより、該一対の電極間に発生の電圧の分布を時間平均的に一定とするようにしたことを特徴とするプラズマ表面処理方法。
  8. 請求項7に記載のプラズマ表面処理方法において、前記高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される電力の電圧の位相差と前記基板表面に形成される正弦的な厚み分布を有する半導体膜の膜厚が最大になる位置との関係を把握する第1の工程と、前記高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される電力の電圧の位相差と前記基板表面に形成される正弦的な厚み分布を有する半導体膜の膜厚が最大になる位置との関係を把握する第2の工程と、該第1及び第2の工程でそれぞれに把握された該高周波電源の第1及び第2の出力端子から出力される電力の電圧の位相差と該膜厚が最大になる位置との関係及び該高周波電源の第3及び第4の出力端子から出力される電力の電圧の位相差と該膜厚が最大になる位置との関係より、該高周波電源の4つの出力端子から出力される電力の電圧の位相を設定することにより、該基板に目的の半導体膜を形成する第3の工程から成ることを特徴とするプラズマ表面処理方法。
  9. 請求項7あるいは8のいずれか1項に記載のプラズマ表面処理方法において、前記基板の表面に、アモルファスSi系材料、微結晶Si系材料、多結晶Si系材料及び結晶Si系材料のいずれかを製造するようにしたことを特徴とするプラズマ表面処理方法。
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