JP2006328440A - 廃触媒からのニッケル回収方法 - Google Patents

廃触媒からのニッケル回収方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006328440A
JP2006328440A JP2005149547A JP2005149547A JP2006328440A JP 2006328440 A JP2006328440 A JP 2006328440A JP 2005149547 A JP2005149547 A JP 2005149547A JP 2005149547 A JP2005149547 A JP 2005149547A JP 2006328440 A JP2006328440 A JP 2006328440A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nickel
recovering
molybdenum
vanadium
magnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005149547A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Shoji
浩史 庄司
Chu Kobayashi
宙 小林
Hiroichi Miyashita
博一 宮下
Masaki Imamura
正樹 今村
Kimitatsu Yano
仁美樹 矢野
Yoichi Watanabe
陽一 渡辺
Koji Koike
公司 小池
Masato Sugimoto
誠人 杉本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2005149547A priority Critical patent/JP2006328440A/ja
Publication of JP2006328440A publication Critical patent/JP2006328440A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

【課題】アルミナを主成分とする担体にニッケルを担持してなる廃触媒中に含有されるニッケルを、モリブデン、バナジウム等と分離した後、簡便な工程で効率よくニッケルを回収し、さらにはそれを有効利用する方法を提供する。
【解決手段】アルミナを主成分とする担体にニッケルを担持してなる廃触媒からニッケルを回収する方法であって、a)前記廃触媒をソーダ焙焼に付す工程、b)得られた焙焼物を水浸出してモリブデン及び/又はバナジウムを液中に溶出させる工程、及びc)水浸出後の含ニッケル浸出残渣を磁気分離に付し磁性ニッケルーアルミニウム複合酸化物からなる濃縮物を分離回収する工程を含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、廃触媒からのニッケル回収方法に関し、さらに詳しくは、アルミナを主成分とする担体にニッケルを担持してなる廃触媒中に含有されるニッケルを、モリブデン、バナジウム等と分離した後、簡便な工程で効率よくニッケルを回収し、さらにはそれを有効利用する方法に関する。
従来から、重質油の水素化精製においては、アルミナを主成分とする担体にニッケルを担持してなる触媒が使用されている。前記水素化精製は、石油留分中の硫黄分、窒素分、及びバナジウムなどの金属分を低減させるためのものである。一般に、水素化精製は、触媒の存在下で炭化水素油と水素を接触させ、含硫黄化合物などの含ヘテロ化合物を分解して、硫化水素、アンモニア等として分離するものである。
ここで用いられる水素化精製触媒は、アルミナなどの多孔質の担体に、モリブデン、タングステン、ニッケル、コバルト等の水素化活性金属成分を担持して製造される。水素化精製を長時間継続すると、触媒細孔内にコーク分及び金属分が析出して触媒活性が低下するため、触媒活性の低下した触媒は、廃触媒として取り出される。廃触媒は、アルミナのほか、石油留分中から分離されたバナジウムと、水素化精製触媒の種類によりモリブデン、ニッケル、コバルト等の水素化活性金属成分とを含有している。
この廃触媒の処理としては、付着された油分を除去し、バナジウム及びモリブデンを回収した後、路盤材、埋め立て等により廃棄物として処理することが行なわれる。また、バナジウム及びモリブデンとともに、廃触媒に含まれるニッケル分を有効に利用するため、例えば、以下の(イ)〜(ハ)の方法が提案されているが、それぞれに解決すべき課題が残されていた。
(イ)廃触媒の脱油及び焙焼後、硫酸にて全溶解し、次いで溶解液を溶媒抽出し、モリブデン、バナジウムを抽出し、抽出残液中のニッケル、コバルトを硫化して沈殿分離する。この液中に残った少量のニッケル、コバルトはキレート樹脂に吸着して回収し、残った液は高純度の硫酸アルミニウム溶液とする(例えば、特許文献1参照。)。
この方法では、モリブデン、バナジウム、ニッケル、コバルト、アルミニウム等多くの有価金属を回収することができる一方、それぞれの回収に際して、液中のpH及び酸化還元電位を抽出イオン種に応じて細かく管理する必要があり、工程数も増え設備が大きくなってしまうというコスト上の問題があった。
(ロ)廃触媒の脱油及び酸化焙焼後、pH10〜12のアルカリ溶液中でモリブデン、バナジウム等をアルカリ浸出した後に、発生する残渣からpH1〜3の強酸でニッケル、コバルトを浸出する(例えば、特許文献2参照。)。
この方法では、焙焼工程では、脱油後に残留する炭素分が自燃するので、工業規模では低い物温で酸化焙焼させるのが難しい。そのため、焙焼によって、難溶性のニッケルーアルミニウム複合酸化物が生成されるので、ニッケルの浸出率が低いという回収効率低下によるコスト上の問題があった。
(ハ)廃触媒のソーダ焙焼後、可溶性ソーダ塩としてモリブデン、バナジウムを浸出し回収した後、得られるニッケル、コバルト等を含有する残渣(以下、含ニッケル浸出残渣と呼称することがある。)をそのままフェロニッケル等の原料として再利用する。
しかしながら、この方法では、フェロニッケルの原料として利用する場合、含ニッケル残渣の組成は、アルミナが主成分であり、かつニッケル品位が通常使用されているガーニエライト鉱等の原料鉱石よりも低い。したがって、通常の電気炉熔解法に用いる原料としては、スラグ組成の調整に限界があること、及び設備の生産性を悪化させ熔練コスト上不利であること等、既存設備の生産性を悪化させる問題があり、処理量が大幅に制限されていた。
また、この含ニッケル浸出残渣からニッケル分を分離回収する方法としては、含ニッケル残渣をオートクレーブでアルカリ分解してアルミナを液中に溶解させた後に、ニッケル、コバルトを酸化物として磁気分離する方法(例えば、特許文献3参照。)が提案されているが、液中からアルミニウムを濃縮、回収するため工程が複雑で長くなり経済性に問題がある。
さらに、廃触媒から再生触媒を得る方法としては、廃触媒を乾燥し粉砕した後、乾式で篩分け又は磁気分離を行なうことによりニッケルとバナジウムのそれぞれが濃縮された部分に分別する方法(例えば、特許文献4参照。)がある。
しかしながら、この方法では、廃触媒の乾燥/粉砕時に、含有される金属硫化物が急激に酸化され、発熱し着火する恐れがあり、その対策が不可欠であるという問題のほか、乾燥及び粉砕工程そのものがエネルギー多消費であるという問題があった。
以上の状況から、上記廃触媒からモリブデン及びバナジウムを回収するとともに、簡便な工程で効率よくニッケルを分離回収し有効利用する方法が望まれていた。
特開平06−248367号公報(第1頁、第2頁) 特開平05−156375号公報(第1頁、第2頁) 特開昭55−89437号公報(第1頁) 特表2001−94009号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、アルミナを主成分とする担体にニッケルを担持してなる廃触媒中に含有されるニッケルを、モリブデン、バナジウム等と分離した後、簡便な工程で効率よくニッケルを回収し、さらにはそれを有効利用する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、アルミナを主成分とする担体にニッケルを担持してなる廃触媒からニッケル、モリブデン等の活性金属及び重質油から分離されたバナジウム等の有価金属の回収方法について、鋭意研究を重ねた結果、前記廃触媒をソーダ焙焼に付す工程、その後水浸出する工程、及び得られた含ニッケル浸出残渣を磁気分離に付す工程を含む方法で処理したところ、廃触媒中に含有されるニッケルを、モリブデン、バナジウム等と分離するとともに、効率よくニッケル濃縮物として回収することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、アルミナを主成分とする担体にニッケルを担持してなる廃触媒からニッケルを回収する方法であって、
a)前記廃触媒をソーダ焙焼に付す工程、
b)得られた焙焼物を水浸出してモリブデン及び/又はバナジウムを液中に溶出させる工程、及び
c)水浸出後の含ニッケル浸出残渣を磁気分離に付し磁性ニッケルーアルミニウム複合酸化物からなる濃縮物を分離回収する工程、
を含むことを特徴とする廃触媒からのニッケル回収方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記ソーダ焙焼の処理温度は、500〜1000℃であることを特徴とする廃触媒からのニッケル回収方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記磁気分離は、強さが0.8〜15kOeの磁界下に湿式法で行うことを特徴とする廃触媒からのニッケル回収方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記濃縮物は、ニッケル合金鋼用の鉄鋼原料又はフェロニッケル原料として用いられることを特徴とする廃触媒からのニッケル回収方法が提供される。
本発明の廃触媒からのニッケル回収方法は、第1の発明において、簡便化された処理工程によって、廃触媒中に含有されるニッケルを、モリブデン、バナジウム等と分離するとともに効率よくニッケル濃縮物として分離回収することができるので、その工業的価値は極めて大きい。また、第2又は3の発明では、ニッケルーアルミニウム複合酸化物の磁性を高め、又は磁着物のニッケル品位をさらに高めて、ニッケル濃縮物を効率的に分離回収することができるので、より有利である。また、第4の発明では、既存の処理設備でニッケル濃縮物を原料として有効利用することができる。
以下、本発明の廃触媒からのニッケル回収方法を詳細に説明する。
本発明の廃触媒からのニッケル回収方法は、アルミナを主成分とする担体にニッケルを担持してなる廃触媒からニッケルを回収する方法であって、a)前記廃触媒をソーダ焙焼に付す工程、b)得られた焙焼物を水浸出してモリブデン及び/又はバナジウムを液中に溶出させる工程、及びc)水浸出後の含ニッケル浸出残渣を磁気分離に付し磁性ニッケルーアルミニウム複合酸化物からなる濃縮物を分離回収する工程を含むことを特徴とする。
本発明において、廃触媒をソーダ焙焼に付しその後水浸出して得られた含ニッケル浸出残渣を磁気分離に付し、前記ソーダ焙焼により生成された磁性ニッケルーアルミニウム複合酸化物を磁着物として濃縮分離することが重要である。これによって、廃触媒中に含有されるニッケルを、水浸出によりモリブデン、バナジウム等と分離するとともに、磁気分離により非磁性のアルミナと分離して、ニッケル濃縮物として回収することができる。
まず、本発明の方法の概要を、図を用いて説明する。図1は、本発明の廃触媒からのニッケル回収方法の一例を表す工程図である。
図1において、廃触媒6は、ソーダ焙焼工程1に付される。得られた焙焼物は、水浸出工程2に付され、ろ過分離により浸出液7と含ニッケル残渣8とに分離される。モリブデン及び/又はバナジウムを含有する浸出液7は、モリブデン、バナジウム回収4において処理され所望の形態の製品が回収される。含ニッケル残渣8は、磁気分離工程3に付され、磁着物9と非磁着物10とに分離される。ここで、得られる磁着物9はフェリ磁性を有するニッケルーアルミニウム複合酸化物であり、ニッケルの濃縮物を形成するので、ニッケル合金鋼用の鉄鋼原料、フェロニッケル原料等として既存のニッケル回収5で処理される。また、非磁着物10は、アルミナを主成分とするものである。
次に、各工程について詳細に説明する。
本発明で用いる廃触媒としては、特に限定されるものではなく、アルミナを主成分とする担体にニッケルを担持してなる触媒の使用済み廃触媒が用いられるが、この中で、特に重質油の脱硫等に用いられる水素化精製触媒の廃触媒が好ましい。上記廃触媒は、水素化活性金属としてニッケルを含有し、60〜80重量%のアルミナのほか、石油留分中から分離されたバナジウム及び/又は他の水素化活性金属であるモリブデンとを含有している。さらに、他の水素化活性金属として、コバルトが含有される場合がある。
すなわち、この水素化精製触媒としては、一般にアルミナなどの多孔質の担体にモリブデン、タングステン、ニッケル、コバルト等の水素化活性金属成分を担持して製造されるが、廃触媒中には、これらの金属のほか、重質油の水素化精製において分離されたバナジウムが硫化物として含有される。
1.ソーダ焙焼工程
上記ソーダ焙焼工程は、製油所で使用済みとなった段階で廃触媒表面に付着している油分の除去と、廃触媒に含まれている硫化モリブデン、硫化バナジウム等の金属硫化物をそれぞれの水溶性のソーダ塩に変化させる工程である。この際、酸化物又は硫化物の形態で廃触媒に含まれているニッケルは、酸化され主成分であるアルミナと反応し固溶体化して、磁性ニッケルーアルミニウム複合酸化物が生成される。
このため、廃触媒にソーダ灰、苛性ソーダ、硫酸ナトリウム等のナトリウム化合物を混合して焙焼する。ソーダ灰を混合した場合には、例えば、硫化モリブデン、硫化バナジウムから、下記の式(1)〜(4)の反応によって、それぞれモリブデン酸ナトリウム(NaMoO)、バナジン酸ナトリウム(NaVO)が生成される。
2MoS+7O → 2MoO+4SO……(1)
MoO+NaCO → NaMoO+CO……(2)
4V+31O → 6V+16SO……(3)
+NaCO → 2NaVO+CO……(4)
上記工程で用いるナトリウム化合物の添加量としては、特に限定されるものではなく、廃触媒に含まれている硫化モリブデン、硫化バナジウム等の金属硫化物の含有量から上記反応において得られる化学量論量に基づいて選ばれる。
上記工程で用いる焙焼温度としては、特に限定されるものではなく、硫化モリブデン、硫化バナジウムから上記反応においてソーダ塩を生成させるとともに、磁性ニッケルーアルミニウム複合酸化物を生成させることができる条件が選ばれる。この中で、フェリ磁性を有するスピネル構造のアルミン酸ニッケル(NiAl)を形成させることができる500〜1000℃が好ましく、900〜1000℃がより好ましい。また、上記焙焼時間としては、8〜10時間が好ましい。
2.水抽出工程
上記水抽出工程は、上記ソーダ焙焼工程で得られた焙焼物を水で浸出してモリブデン、バナジウム等のソーダ塩を溶出させ、含ニッケル残渣を分離する工程である。
上記工程で用いる浸出水の温度としては、特に限定されるものではなく、ソーダ塩の溶解に対して好ましい30〜50℃が用いられる。また、上記工程で用いる浸出水量としては、特に限定されるものではなく、スラリー濃度が、250〜300g/Lが好ましい。
上記工程で得られるモリブデン及び/又はバナジウムを含有する浸出液からモリブデン、バナジウムの回収方法としては、沈殿−固液分離法、溶媒抽出法等によってモリブデンとバナジウムを分離させることにより、それぞれを所望の形態の製品として回収される。
3.磁気分離工程
上記磁気分離工程は、上記水抽出工程で得られた含ニッケル浸出残渣を磁気分離に付して、非磁性のアルミナから磁性ニッケルーアルミニウム複合酸化物を分離して磁着物中に濃縮し、ニッケル濃縮物を得る工程である。すなわち、上記ソーダ焙焼において、フェリ磁性を有するスピネル構造のアルミン酸ニッケル(NiAl)を形成させることが肝要である。
上記工程で用いる含ニッケル浸出残渣としては、上記水抽出工程で得られたスラリー状態のままで乾燥及び粉砕を行なうことなく用いることが好ましい。すなわち、ソーダ焙焼後水浸出する際に、含ニッケル浸出残渣は通常30μm以下の微粉末状態となり、改めて粉砕する必要がない。そのため、乾燥及び廃触媒の主成分であるアルミナの粉砕に要するエネルギーが不要となる。
上記工程で用いる磁気分離としては、特に限定されるものではないが、含ニッケル浸出残渣をスラリー状態のままで用いることができる湿式法が好ましい。上記磁気分離の設備としては、一般的な市販の湿式磁選機が用いられる。
上記磁気分離における磁界の強さとしては、特に限定されるものではないが、含ニッケル残渣の主成分であるアルミナとの分離性をアルミナとの分離性を上げるために、その磁界の強さが0.8〜15kOe(キロエルステッド)で行なわれることが好ましい。すなわち、磁界の強さが0.8kOe未満では、磁着物へのニッケルの回収率が低く、一方、15kOeを超えると、ニッケル含有率の低い粉粒も磁着されるためニッケルの濃縮度合が低下する。これによって、従来必要とされた含ニッケル浸出残渣の主成分であるアルミナ溶解を行なうことなく、アルミナとの分離性を上げることができる。
以上のように、含ニッケル浸出残渣をスラリー状態のまま乾燥せずに湿式法で磁気分離することにより、上記工程は、粉砕工程等を必要としない簡便で経済的な工程として好適である。
上記工程で得られる磁着物は、フェリ磁性を有するニッケルーアルミニウム複合酸化物を主成分とするニッケル濃縮物であるので、鉱石等の主原料の代わりにニッケル原料として用いることができる。特に、ニッケル合金鋼用の鉄鋼原料、あるいはフェロニッケル原料として既存の乾式製錬工程の副原料として処理される。ここで、副原料として鉱石よりもニッケル品位が高い原料を用いることができるので、生産性を上げることができるので好ましい。また、非磁着物はニッケル品位が低く、必ずしもニッケルの回収にコストメリットが生じるものではないため、路盤材等に振り分けて用いることができる。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例で用いた金属の分析方法は、ICP発光分析法で行った。
(実施例1)
水素化精製から産出されたアルミナを主成分とする担体にニッケルとモリブデンを担持してなる廃触媒を用いた。まず、前記廃触媒に、廃触媒に対して13重量%のソーダ灰を混合して、キルンに装入して、最高温度1000℃でソーダ焙焼を行ない、その後、得られた焙焼物を水浸出してモリブデンとバナジウムを含む浸出液を回収するとともに、含ニッケル残渣を得た。表1に得られた含ニッケル残渣の組成を示す。
Figure 2006328440
次いで、上記含ニッケル残渣360g(乾燥物基準)を水で希釈して、濃度36g/Lのスラリーに調製し、そのスラリー10Lを850μmの篩でふるって篩上を除去した後、湿式磁選機を用いて磁気分離時のスラリー流速を200L/分として磁気分離を行なった。なお、磁界の強さを0.8、4.6、9.4、14.6、及び22.2kOeの5段階に順次変更して湿式磁気分離を行ない、各磁界の強さでの磁着物と非磁着物を得て、その重量を求め、また成分分析を行った。結果を表2及び表3に示す。ここで、表2は、各産物の重量と分布率、Ni品位と分配率、Al品位及び産物のNi/Al比を示す。また、表3は、上記磁着物の積算値を示す。
Figure 2006328440
Figure 2006328440
表2、表3より、本発明の方法に従って作製された含ニッケル残渣を磁界分離することによって、含ニッケル残渣よりもNi/Al比の高い磁着物が得られることが分かる。例えば、磁界の強さが15kOe以下の条件でニッケルが大きく濃縮されることが分かる。また、同時に磁着物のNi/Al比も上昇していることから、選択的にアルミン酸ニッケル(NiAl)部分を磁着させ、アルミナが優勢な部分を非磁着物として分離されていることが分かる。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で得られた含ニッケル残渣を用いた。含ニッケル残渣の組成を表4に示す。
Figure 2006328440
上記含ニッケル残渣を318g/Lの濃度に調製したスラリー1Lを磁界の強さ0.8、9.4kOeの2段階に順次変更して湿式磁気分離を行ない、各磁界の強さでの磁着物と非磁着物を得て、その重量を求め、また成分分析を行った。なお、このスラリー濃度は一般的に湿式磁気分離において工業的に用いられる濃度である。結果を、表5及び表6に示す。ここで、表5は、各産物の重量と分布率、Ni品位と分配率、Al品位及び産物のNi/Al比を示す。また、表6は、上記磁着物の積算値を示す。
Figure 2006328440
Figure 2006328440
表5、表6より、高濃度の含ニッケル残渣スラリーにおいても、9.6kOeの磁界の強さでニッケルを磁着物に濃縮することができることが分かる。
以上より明らかなように、本発明の廃触媒からのニッケル回収方法は、アルミナを主成分とする担体にニッケルを担持してなる廃触媒中に含有されるニッケルを、モリブデン、バナジウム等と分離するとともに、簡便な工程で効率よくニッケルを分離回収し、さらに有効利用する方法であるので、ニッケルを含む水素化精製廃触媒をはじめ各種の水素化精製廃触媒からの有価金属の回収、特にニッケルの有効利用の手段としてコスト上好適である。
本発明の廃触媒からのニッケル回収方法の一例を表す工程図である。
符号の説明
1 ソーダ焙焼工程
2 水浸出工程
3 磁気分離工程
4 モリブデン、バナジウム回収
5 ニッケル回収
6 廃触媒
7 浸出液
8 含ニッケル残渣
9 磁着物
10 非磁着物

Claims (4)

  1. アルミナを主成分とする担体にニッケルを担持してなる廃触媒からニッケルを回収する方法であって、
    a)前記廃触媒をソーダ焙焼に付す工程、
    b)得られた焙焼物を水浸出してモリブデン及び/又はバナジウムを液中に溶出させる工程、及び
    c)水浸出後の含ニッケル浸出残渣を磁気分離に付し磁性ニッケルーアルミニウム複合酸化物からなる濃縮物を分離回収する工程、
    を含むことを特徴とする廃触媒からのニッケル回収方法。
  2. 前記ソーダ焙焼の処理温度は、500〜1000℃であることを特徴とする請求項1に記載の廃触媒からのニッケル回収方法。
  3. 前記磁気分離は、強さが0.8〜15kOeの磁界下に湿式法で行うことを特徴とする請求項1に記載の廃触媒からのニッケル回収方法。
  4. 前記濃縮物は、ニッケル合金鋼用の鉄鋼原料又はフェロニッケル原料として用いられることを特徴とする請求項1に記載の廃触媒からのニッケル回収方法。
JP2005149547A 2005-05-23 2005-05-23 廃触媒からのニッケル回収方法 Pending JP2006328440A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005149547A JP2006328440A (ja) 2005-05-23 2005-05-23 廃触媒からのニッケル回収方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005149547A JP2006328440A (ja) 2005-05-23 2005-05-23 廃触媒からのニッケル回収方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006328440A true JP2006328440A (ja) 2006-12-07

Family

ID=37550441

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005149547A Pending JP2006328440A (ja) 2005-05-23 2005-05-23 廃触媒からのニッケル回収方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006328440A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008111802A1 (en) * 2007-03-13 2008-09-18 Man Joo Kim Method of recovering valuable metals from the vrds spent catalyst
WO2009151147A1 (ja) 2008-06-12 2009-12-17 Jfeミネラル株式会社 廃触媒からの有価金属回収方法
JP2011168835A (ja) * 2010-02-18 2011-09-01 Nippon Catalyst Cycle Kk モリブデンおよびバナジウムの回収方法
CN103276219A (zh) * 2013-06-05 2013-09-04 中国科学院过程工程研究所 一种处理红土镍矿还原焙烧镍铁废渣的清洁生产方法
CN104971669A (zh) * 2015-02-07 2015-10-14 青岛惠城石化科技有限公司 一种新型铝溶胶的制备方法
WO2017186162A1 (zh) * 2016-04-29 2017-11-02 青拓集团有限公司 用于处理金属表面废物的工艺
WO2018211996A1 (ja) * 2017-05-19 2018-11-22 株式会社物質資源化研究所 石油燃焼灰の処理方法
CN109097562A (zh) * 2018-07-18 2018-12-28 中南大学 一种红土镍矿选择性硫化焙烧的方法
CN112974472A (zh) * 2021-02-06 2021-06-18 中钢天源股份有限公司 一种从注塑铁氧体碎料中回收磁粉的方法
CN113122704A (zh) * 2021-04-13 2021-07-16 中国恩菲工程技术有限公司 回收镍元素和铝元素的装置和方法
CN113564365A (zh) * 2021-07-30 2021-10-29 山东齐力环保科技有限公司 一种废催化剂干法提纯方法及系统
CN114763584A (zh) * 2021-01-14 2022-07-19 国家能源投资集团有限责任公司 废fcc催化剂的处理方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008111802A1 (en) * 2007-03-13 2008-09-18 Man Joo Kim Method of recovering valuable metals from the vrds spent catalyst
WO2009151147A1 (ja) 2008-06-12 2009-12-17 Jfeミネラル株式会社 廃触媒からの有価金属回収方法
JP2011168835A (ja) * 2010-02-18 2011-09-01 Nippon Catalyst Cycle Kk モリブデンおよびバナジウムの回収方法
CN103276219A (zh) * 2013-06-05 2013-09-04 中国科学院过程工程研究所 一种处理红土镍矿还原焙烧镍铁废渣的清洁生产方法
CN104971669A (zh) * 2015-02-07 2015-10-14 青岛惠城石化科技有限公司 一种新型铝溶胶的制备方法
CN107326170A (zh) * 2016-04-29 2017-11-07 青拓集团有限公司 用于处理金属表面废物的工艺
WO2017186162A1 (zh) * 2016-04-29 2017-11-02 青拓集团有限公司 用于处理金属表面废物的工艺
WO2018211996A1 (ja) * 2017-05-19 2018-11-22 株式会社物質資源化研究所 石油燃焼灰の処理方法
CN109097562A (zh) * 2018-07-18 2018-12-28 中南大学 一种红土镍矿选择性硫化焙烧的方法
CN114763584A (zh) * 2021-01-14 2022-07-19 国家能源投资集团有限责任公司 废fcc催化剂的处理方法
CN112974472A (zh) * 2021-02-06 2021-06-18 中钢天源股份有限公司 一种从注塑铁氧体碎料中回收磁粉的方法
CN113122704A (zh) * 2021-04-13 2021-07-16 中国恩菲工程技术有限公司 回收镍元素和铝元素的装置和方法
CN113564365A (zh) * 2021-07-30 2021-10-29 山东齐力环保科技有限公司 一种废催化剂干法提纯方法及系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006328440A (ja) 廃触媒からのニッケル回収方法
AU2018204491B2 (en) Hydrometallurgical treatment process for extraction of precious, base and rare elements
JP5387851B2 (ja) 廃触媒からの有価金属回収方法
TWI540209B (zh) 自含錸物質回收錸和其它金屬之方法
US8287618B2 (en) Method or process for recovering Mo, V, Ni, Co and Al from spent catalysts using ultrasonic assisted leaching with EDTA
Kim et al. Hydrometallurgical process development for the extraction, separation and recovery of vanadium from spent desulfurization catalyst bio-leach liquors
AU2010229809B2 (en) Process for recovering metals from coal liquefaction residue containing spent catalysts
KR20090087801A (ko) Co, Ni, Mn 함유 리튬 전지 찌꺼기로부터의 유가 금속 회수 방법
JP2013522454A (ja) 精製用残留分からの金属回収法
AU2011341872B2 (en) Method for enrichment-recovering ferronickel from raw material containing nickel, method for recovering nickel from enriched ferronickel, and method for recycling solution containing iron produced from same
CN111100987B (zh) 尾油中废催化剂金属组分的回收方法
Liang et al. A review of metallurgical processes and purification techniques for recovering Mo, V, Ni, Co, Al from spent catalysts
Cai et al. Comprehensive recovery of metals in spent Ni–Mo/γ–Al2O3 hydrofining catalyst
WO2014009928A1 (en) Hydrometallurgical treatment process for extraction of metals from concentrates
JP2016089209A (ja) コバルトの分離方法
CN114934169B (zh) 一种回收含钨废料的方法
KR101288961B1 (ko) 니켈 함유 광석으로부터 코발트를 회수하는 방법
WO2007062434A2 (en) A mineral recovery process
WO2015125821A1 (ja) スカンジウム回収方法
Silwamba et al. Lead removal in zinc leach residues from Kabwe, Zambia by carrier-in-pulp method using zero-valent iron
KR102095495B1 (ko) 아연제련공정 중 탈륨제거 방법
JPH09194957A (ja) マンガンノジュールからの有価金属の回収方法
JP2017014555A (ja) 黄銅鉱からの銅の浸出方法
OA18739A (en) Hydrometallurgical treatment process for extraction of precious, base and rare elements
CN115725838A (zh) 一种从大洋多金属结核中提取有价金属的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070509

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090818

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090908

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100119