JP2006328183A - プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

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えつ子 谷垣
Akira Shimoyama
晃 下山
Shunsaku Noda
俊作 野田
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Abstract

【課題】
取扱性が良好であり、特にゴルフシャフト等の管状体に適用した場合の製品の強度とフィーリングに優れた繊維強化複合材料を得るためのプリプレグを提供する。
【解決手段】
次の構成要素[A]と構成要素[B]からなることを特徴とするプリプレグ。
[A]引張強度が3.8〜5.5GPaであり、引張弾性率が180〜220GPaであり、そして引張伸度が2〜3%である炭素繊維束。
[B]エポキシ当量が1700以上の2官能エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂100重量%に対し、20〜50重量%含有するエポキシ樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スポーツ用途、航空宇宙用途および一般産業用途において好適に用いられるプリプレグであって、取扱性が良好であり、特にゴルフシャフト等の管状体に適用した場合の製品の強度とフィーリングに優れた繊維強化複合材料を得るためのプリプレグに関するものである。
強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化複合材料を製造するにあたっては、各種の手段が適用されるが、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させたシート状中間基材であるプリプレグを用いる方法が多用される。この方法では、強化繊維とマトリックス樹脂からなるプリプレグを複数枚積層し、加熱しマトリックス樹脂を硬化させることによって繊維強化複合材料である成形体とするものである。
かかる繊維強化複合材料は、軽量であり、かつ機械強度特性に優れているために、スポーツ用途をはじめ、航空宇宙用途および一般産業用途に広く用いられている。特に、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスやバトミントン等のラケットおよびホッケー等のスティック等の用具が主要な用途として挙げられる。
これらのスポーツ用途では、従来からこれら用具の軽量化が求められてきた。そのため、軽量かつ成形体の剛性を金属材料などと同等に保つために、強化繊維として炭素繊維がよく用いられ、その炭素繊維含有率を向上させること、また用いられる炭素繊維を高弾性率・高強度のものに置き換えることにより、上記の要求を満たしたり、あるいは複数のプリプレグを用いた複雑な設計により、求められるねじり特性やフレックスおよび使用者のフィーリングなどの特性を満たすようにしている。
例えば、ゴルフシャフトでは、球の飛距離を伸ばすためにヘッドスピードを大きくする必要であり、そのため軽量化が要求される。従来のスチールシャフトでは軽量化には限界があり、繊維強化複合材料を適用して軽量化が満足されるようになった。しかしながら、繊維強化複合材料を用いたゴルフシャフトでは、軽すぎるため使用者にとっての打球感が劣るという別の課題が出てきた。
これらの、適度な軽量化や成形体の機械的強度を満足させるために、マトリックス樹脂に金属粒子を混ぜ込むことによりゴルフシャフトのバランス調整を行うなどの手段を用いる提案がなされている(特許文献1参照)。また、別に、打球感を向上させるために、低弾性率の強化繊維と金属層を用いる手段が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、これらの手段では、用いられるプリプレグに、強化繊維とマトリックス樹脂以外に新たな物質を混合もしくは組み合わせる手段であるため、今までと比べて取扱性に劣ったり、製造工程での手間が増えたり、コストが高くなる等の課題があった。
特開平6−15788号公報(第2頁) 特開2001−190722号公報(第2頁)
本発明の目的は、これらの課題を解決し、取扱性に優れ、且つ管状体等の強度と製品のフィーリングの両方に優れた繊維強化複合材料を得るためのプリプレグを提供することにある。
上記目的を達成するためには、本発明は以下の構成を有するものである。すなわち、本発明のプリプレグは、次の構成要素[A]と構成要素[B]からなることを特徴とするプリプレグである。
[A]引張強度が3.8〜5.5GPaであり、引張弾性率が180〜220GPaであり、引張伸度が2〜3%である炭素繊維束。
[B]エポキシ当量が1700以上の2官能エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂に対し、20〜50重量%含有するエポキシ樹脂組成物。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、前記の構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物は、100℃の温度における複素粘性率η*[Pa・s]と100℃の温度における貯蔵弾性率G’[Pa]について、次の式(1)および式(2)を満たすものである。
2≦η*≦11・・・(1)
0.2≦G’≦1・・・(2)
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、前記の構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物は、該エポキシ樹脂組成物内に、熱可塑性樹脂からなる添加剤を全エポキシ樹脂に対し1〜10重量%含有するものである。
また、本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、前記の構成要素[A]の炭素繊維束のフィラメント数は、3000〜24000本である。
本発明のプリプレグは、繊維強化複合材料用途に好適であり、特に管状体の繊維強化複合材料用途に好適である。
本発明によれば、取扱性が良好であり、特にゴルフシャフト等の管状体に適用した場合の製品の強度とフィーリングに優れた繊維強化複合材料を得るためのプリプレグを提供することができる。
以下、本発明のプリプレグとそのプリプレグを用いてなる繊維強化複合材料について、詳細に説明する。
本発明のプリプレグは、上記の構成要素[A]の炭素繊維束と構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物から基本的に構成されている。
本発明において、構成要素Aとして用いられる炭素繊維束を構成する炭素繊維としては、例えば、アクリル系、ピッチ系およびレーヨン系等の炭素繊維が挙げられ、中でも、引張強度の高いアクリル系の炭素繊維が好ましい。炭素繊維束の形態としては、有撚糸、解撚糸および無撚糸などを使用することができるが、複合材料の成形性と強度特性のバランスを考慮すると、無撚糸または解撚糸が好ましく、さらにプリプレグの表面状態を勘案すると、撚りの無い無撚糸が好ましい。
次に、本発明で用いられる炭素繊維の製造方法について例示説明する。
本発明で用いられる炭素繊維は、次のようにして製造することができる。まず、アクリル系の炭素繊維の場合、炭素繊維の前駆体として、アクリロニトリルが90重量%以上でアクリロニトリルと共重合可能なモノマーが10重量%未満の構成であるポリアクリロニトリル系共重合体からなる前駆体繊維束を使用することが好ましい。上記の共重合可能なモノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸またはこれらのメチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩からなるグループから選ばれた少なくとも1種を用いることが可能である。このポリアクリロニトリル系前駆体繊維束は、単繊維繊度は1.0〜2.0dtexであることが好ましく、より好ましくは1.1〜1.7dtexであり、さらに好ましくは1.2〜1.5dtexである。単繊維繊度が1.0dtexに満たないと、炭素繊維束の弾性率および強度が高くなりすぎ、また生産性も劣る。単繊維繊度が2.0dtexを超えると、炭化工程にて斑を生じやすくなり、全体の強度を低下させてしまう可能性がある。
このポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を、空気などの酸化性雰囲気中にて200℃〜300℃の温度範囲で加熱耐炎化することにより耐炎化繊維を製造する。次に、次工程の炭化処理前に、耐炎化繊維を窒素などの不活性雰囲気中で300℃〜1000℃の範囲温度内で予備炭化処理を行う。このように、耐炎化繊維を予備炭化処理を施した後で、窒素などの不活性雰囲気中で最高温度が好ましくは1000〜1400℃、より好ましくは1000〜1300℃、さらに好ましくは1100〜1250℃の温度範囲で炭化することにより、炭素繊維束を製造することができる。
炭化温度の最高温度が1400℃を超えると炭素繊維束の弾性率が高くなり過ぎ、1000℃未満であると炭素繊維の結晶サイズが小さくなり、炭素結晶の成長が不十分なため、得られる炭素繊維束の水分率が高くなって、繊維強化複合材料を成形する際に、マトリックス樹脂の硬化が不十分となり、繊維強化複合材料の引張強度が十分発現しない場合がある。
本発明において、炭素繊維束の引張強度、引張弾性率および引張伸度は、次の手法により測定される。JIS R7601(1986)に記載の方法に準じて、次の組成の樹脂を、炭素繊維束に含浸し、130℃の温度で35分間加熱硬化させて引張試験片を作製し、その引張試験片について、引張強度、引張弾性率および引張伸度を測定した。
[樹脂組成]
・ 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(100重量部)
・ 三フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)
・ アセトン(4重量部)
本発明で用いられる炭素繊維束において、前述手法で測定される引張弾性率は180〜220GPaであることが必要であり、特に190〜200GPaの範囲であることが好ましい。引張弾性率が180GPaに満たないと、強化繊維複合材料としたときの剛性が低くなり、管状体を作成するときに多層巻回が必要になり、結果として肉厚の扱いにくい製品となってしまう。また、引張弾性率が220GPaを超えると、高剛性のため成形体が脆くなる可能性がある。
また、本発明で用いられる炭素繊維束の引張強度は、3.8〜5.5GPaであることが必要であり、特に4.5〜5.5GPaの範囲であることが好ましい。引張強度が3.8GPaに満たないと、成形体の強度をも低下させる懸念がある。また、引張強度は高ければ高い方が有効である。
また、本発明で用いられる炭素繊維束の引張伸度は、2〜3%であることが必要である。炭素繊維束の引張伸度は、主に引張弾性率と引張強度に起因する。引張伸度が2%に満たないと、成形体の変形に強化繊維の変形が追随できず、破壊を早めてしまう。炭素繊維束の引張伸度は3%程度あれば十分であるが、2.0〜2.6%の範囲であることが好ましい。
本発明で用いられる炭素繊維の表面には、エポキシ樹脂との接着性を良好にするために、電解液にて炭素繊維を表面処理した後サイジング剤を塗布するが、このサイジング剤は、複数のエポキシ基を有する化合物からなる化合物であることが望ましい。サイジング剤の付着量は、0.3〜2.2%の範囲が好ましく、炭素繊維の取扱性や品位により、適宜調整される。
本発明において用いられる複数のエポキシ基を有する化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテルおよびポリエチレングリコールジグリシジルエーテル類、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、およびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類等が挙げられる。
また、ポリグリシジルエーテル化合物としては、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、アラビトールポリグリシジルエーテル類、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、および脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。
本発明で用いられる構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物で用いられるエポキシ樹脂としては、具体例としては、ポリオールから得られるグリシジルエーテル、活性水素を複数個有するアミンから得られるグリシジルアミン、ポリカルボン酸から得られるグリシジルエステルや、分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化して得られるポリエポキシド等が挙げられる。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルキシレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂等、およびこれらの組み合わせが好適に用いられるが、本発明においては、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
本発明で用いられる構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物においては、エポキシ当量が1700以上の2官能のエポキシ樹脂を含むことが必要であり、その含有率は、全エポキシ当量に対し20〜50重量%の範囲で用いることが重要である。エポキシ当量が1700以上の長鎖のエポキシ樹脂を用いることにより、エポキシ樹脂自身の塑性変形能力が向上し、プリプレグを管状体にしたときのねじり強さと、管状体の変形能力向上に有効である。エポキシ樹脂のエポキシ当量が1700に満たないと、エポキシ樹脂自身の塑性変形能力が低下し、プリプレグを管状体にしたときのねじり強さが十分に得られない場合がある。
エポキシ当量が1700以上の2官能のエポキシ樹脂の配合量は、全エポキシ当量に対し20〜50重量%が重要であり、より好ましくは20〜40重量%であり、さらに好ましくは20〜30重量%である。配合量が20重量%未満では長鎖エポキシの利点が発揮されず、50重量%を超えて配合すると、エポキシ樹脂内の架橋構造が疎になり剛性が低下する可能性がある。また、エポキシ樹脂の粘度が高くなりすぎ、プリプレグの含浸性などの特性が劣る可能性がある。
本発明で用いられる構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物に使用される硬化剤としては、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物であれば用いることができる。例えば、アミン系硬化剤として、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、m−キシリレンジアミンのような脂肪族アミン類、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタンなどの芳香族アミン類、ベンジルジメチルアミン、テトラメチルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの第3アミン類、また、ジシアンジアミドのような塩基性活性水素化合物や、アジピン酸ジヒドラジドなどの有機酸ジヒドラジド、および2−メチルイミダゾールや2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類が挙げられる。
また、酸無水物系硬化剤としては、例えば、ポリアジビン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカンニ酸)無水物、ポリセバシン酸無水物などの脂肪族酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などの脂環式酸無水物、無水フタル酸、無水トリメット酸、無水ピロメリット酸、グリセロールトリストリメリテートなどの芳香族酸無水物、無水ヘット酸、およびテトラブロモ無水フタル酸などのハロゲン系酸無水物が挙げられる。本発明においては、比較的低温で硬化し、かつ保存安定性が良好なことから、硬化剤としてアミン系硬化剤、中でもジシアンジアミドが好ましく用いられる。
本発明においては、エポキシ樹脂の硬化活性を高めるために、これら硬化剤に、適当な硬化促進剤を組み合わせて用いることが出来る。好ましい具体例としては、硬化剤であるジシアンジアミドなどのアミン系硬化剤に、硬化促進剤として、尿素誘導体やイミダゾール誘導体を組み合わせる例や、硬化剤であるカルボン酸無水物やポリフェノール化合物に、硬化促進剤として、3級アミンやイミダゾール誘導体を組み合わせる例などが挙げられる。
プリプレグの製造においては、マトリックス樹脂に熱をかけて強化繊維に含浸させることによりプリプレグとする手法が一般的である。この場合、良好なプリプレグとするために、マトリックス樹脂は強化繊維内にきちんと含浸していなくてはならない。このために、本発明でマトリックス樹脂として用いられるエポキシ樹脂組成物は、適正な粘性特性を有することが必要であり、複素粘性率η*と貯蔵弾性率G’について、好ましい範囲が存在する。エポキシ樹脂の粘性特性は、エポキシ樹脂組成物の成分および熱可塑性樹脂の配合量に起因するため、物性と取扱性により適宜選択される。
本発明で用いられる構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物は、100℃の温度における複素粘性率η*が2Pa・s以上11Pa・s以下であることが好ましい。この複素粘性率η*が2Pa・sより低いと、プリプレグの形態にしたときに常温にてエポキシ樹脂が流動してしまい、その結果、タック性(粘着性)の経時変化が早く取扱性に劣ってしまう可能性が高い。また、複素粘性率η*が11Pa・sを超えると、エポキシ樹脂を強化繊維束内に含浸させようとするときに、強化繊維に負荷がかかりすぎ、毛羽発生などの原因になる可能性がある。
また、構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物の貯蔵弾性率G’は、100℃の温度において0.2Pa以上1Pa以下の範囲であることが好ましい。これは、プリプレグへと加工するときには、含浸時の弾性挙動が適度に低くなければ、プリプレグにマトリックス樹脂であるエポキシ樹脂組成物が含浸しにくくなり、空隙を含んだプリプレグになる可能性があるためである。100℃の温度における貯蔵弾性率G’が0.2Paより低いと、エポキシ樹脂を炭素繊維束に含浸させる工程でエポキシ樹脂が必要以上に流動してしまい、均一な含浸状態が得られなくなる可能性がある。また、貯蔵弾性率G’が1Paを超えると、含浸工程においてエポキシ樹脂組成物が十分な柔らかさを持たないため、含浸性が劣ってしまう可能性がある。
かかる構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物には、熱可塑性樹脂からなる添加剤を配合することができる。熱可塑性樹脂を配合することにより、エポキシ樹脂組成物の粘度やプリプレグの取扱性制御、また成形体の変形能力や衝撃吸収能力の向上に有効となる。
かかる熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合およびカルボニル結合から選ばれる結合を有する熱可塑性樹脂が好ましく使用される。これら熱可塑性樹脂の中でも、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンのようなエンジニアリングプラスチックに属する熱可塑性樹脂の一群がより好ましく使用される。特に好ましくは、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルホルマールおよびポリビニルブチラールなどが、耐熱性にも優れることから好適に使用される。
かかる熱可塑性樹脂の配合量は、エポキシ樹脂組成物における全エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜10重量部用いることが好ましい。熱可塑性樹脂をこのように配合することにより、エポキシ樹脂組成物に適度な粘弾性および取扱性に必要な適度なタック性を与え、得られる炭素繊維強化プラスチックの機械強度を高める作用がある。熱可塑性樹脂の配合量は、さらに好ましくは3〜7重量部である。
本発明においては、プリプレグの形態に加工する際に、炭素繊維束を一方向に引き揃えてシート状とし、ここへマトリックス樹脂であるエポキシ樹脂組成物を含浸させる。この際、強化繊維束のフィラメント数は、シート状に加工しやすいという点で、3000〜24000本の単位であることが好ましい。さらに好ましくは、フィラメント数は6000〜24000本の単位である。フィラメント数が3000本より少ないと、プリプレグに加工する際に、大量のボビンが必要になり、手間が増える割に均一性がとりにくくなり、良好な品位のプリプレグを得ることが難しくなる可能性がある。また、フィラメント数が24000本よりも多いと、思うように均一にシート状に拡げられなかったり、プリプレグの表面状態に斑ができたりして、均一なプリプレグが得られなくなる可能性が多くなる。
本発明のプリプレグは、板状製品や様々な箇所に繊維強化複合材料として適用が可能であるが、特に重量とフィーリングのバランスが求められる管状体用途に適用されることが好ましい。
以下、実施例により本発明のプリプレグと繊維強化複合材料について、さらに具体的に説明する。エポキシ樹脂樹脂組成物の粘弾性特性の測定、プリプレグの作製、円筒の作製、円筒のねじり特性の測定、および層間破壊靱性値の測定は、それぞれ次の方法で行った。なお、物性測定と取扱性の評価は、全て温度24℃、相対湿度50%の環境で行った。
(1)エポキシ樹脂組成物の粘弾性特性の測定
エポキシ樹脂組成物の粘弾性特性は、平行円板型回転粘度計により、100℃の温度における複素粘性率η*(Pa・s)および貯蔵弾性率G’(Pa)を測定することにより求めた。測定条件は、下記に示すとおりとし、測定装置は、粘弾性測定システム”ARES”(Rheometric Scientific社製)を使用した。
・平行円板半径:20mm
・平行円板間距離:1.0mm
・測定周波数:0.5Hz
・昇温速度:1.5℃/分
・測定温度範囲:25℃〜100℃
・サンプルの形態:エポキシ樹脂組成物
(2)プリプレグの作製
エポキシ樹脂組成物をリバースロールコーターを用いて離型紙上に塗布し、エポキシ樹脂樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に整列させた炭素繊維(“トレカ”登録商標、東レ株式会社製)束シートに、この樹脂フィルム2枚を炭素繊維束の両面から重ね、加熱加圧して含浸せしめ、炭素繊維目付125g/m、樹脂重量分率24重量%の一方向プリプレグを作製した。
(3)プリプレグのタック係数測定
プリプレグを幅100mm、長さ200mmにカットし、表面が平らなプラスチック板に両面テープで測定中に剥がれないようにしっかりと貼り付けする。プリプレグの表面に18mm×18mmのガラス板を0.4kgfの荷重で5秒間押しつけた後、該ガラス板を30mm/分の速度で、プラスチック板に対して垂直な方向に引き剥がすときの剥離力を測定し、プリプレグのタック係数とした。
タック係数としては、0.8〜1.5kgfの範囲であることが好ましい。0.8kgfより低いとプリプレグの粘着力が弱く、巻きつけ作業等に支障をきたす。1.5kgfより高いと、作業時に少し位置をずらすなどの微調整が困難になり、このときに繊維束の乱れなどが生じ、強度低下を引き起こす可能性がある。
(4)プリプレグの含浸性測定
プリプレグを幅1000mm、長さ50mmにカットし、ダンプロンテープの粘着側でプリプレグを挟む。プリプレグの表面とダンプロンテープが接着した状態で、ダンプロンテープの端部10mmをプリプレグと共にカットし、プリプレグを厚み方向に引き裂く形でダンプロンテープを開く。このときのプリプレグの状態を観察し、プリプレグが厚み方向において、全幅に対する、上下のダンプロンテープにより裂けなかった部分、すなわち片側に貼り付いている部分の長さの割合(%)を含浸性評価値とした。
(5)円筒の作製
下記の手順により、円筒軸方向に対して[0°/±45°]の積層構成を有し、内径が10mmの管状体を作製した。マンドレルには、直径10mm、長さ1000mmのステンレス製丸棒を使用した。
A.一方向プリプレグを強化繊維の方向がマンドレル軸方向に対して45度になるように、縦800mm×横104mmの一方向プリプレグを2枚使用した。この2枚を繊維方向が互いに交差するように、かつ横方向に16mm(マンドレル半周分に対応)ずらせて貼り合わせた。
B.貼り合わせたプリプレグを、離型処理したマンドレルに、プリプレグの縦方向とマンドレルの軸方向が一致するように巻き付けた。
C.その上に、プリプレグを強化繊維の方向が縦方向になるように、縦800mm×横112mmの長方形に切り出したものをプリプレグの縦方向とマンドレルの軸方向が一致するように巻き付けた。
D.ラッピングテープ(耐熱性フィルムテープ)を巻きつけ、硬化用の炉の中で130℃、2時間加熱し成形した。
E.成形後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテープを除去して円筒複合材料を得た。
(6)円筒のねじり特性の測定
捻り強度内径10mmの円筒複合材料から長さ400mmの試験片を切り出し、「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準確認方法」(製品安全協会編、通商産業大臣承認5産第2087号、1993年)に記載の方法に従い、捻り試験を行った。試験片ゲージ長は300mmとし、試験片両端の50mmを固定冶具で把持した。捻り強度は次式により求めた。
捻り強度(N・m・deg)=破壊トルク(N・m)×破壊時の捻れ角(deg)
(実施例1)
アクリロニトリル99.5モル%とアクリル酸0.5モル%からなる共重合体を、ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法により重合し、共重合成分の含有率が22重量%の紡糸原液を得た。この紡糸原液を、40℃の温度で、孔数3000の紡糸口金を用い、一旦空気中に吐出し、約4mmの空間を通過させた後、3℃の温度にコントロールした35重量%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により、凝固糸条とした。この凝固糸条を水洗した後、温水中90℃の温度で3.5倍に延伸し、さらにアミノ変性シリコーンを含有した油剤を付与して延伸糸を得た。この延伸糸を、160℃の温度で加熱ローラーを用いて乾燥緻密化処理を行い、0.3MPa−Gの加圧スチーム中で延伸することにより、製糸全延伸倍率が13倍の、単繊維繊度1.3dtex、フィラメント数12000本のポリアクリロニトリル繊維を得た。
得られたポリアクリロニトリル繊維を、熱風循環方式の耐炎化炉において空気中250℃の温度で1時間耐炎化処理した後、不活性雰囲気中、300℃から1000℃の温度まで昇温して前炭化処理し、次に不活性雰囲気中、最高温度1200℃の温度で炭化処理し、炭素繊維束を得た。
次の表1に示す成分、すなわち、
・“エピコート”(登録商標)828(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 10重量部
・“エピコート”(登録商標)1007(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 30重量部
・“エピクロン”(登録商標)830(大日本インキ株式会社製) 35重量部
・“エピクロン”(登録商標)HP−7200L(大日本インキ株式会社製) 25重量部
・“ビニレック”(登録商標)K(チッソ株式会社製) 5重量部
を混合したエポキシ樹脂液に、
・ジシアンジアミド 4.5重量部
・3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3.0重量部
を混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物の100℃の温度における複素粘性率η*は4.5Pa・sであり、貯蔵弾性率G’は0.9Paであった。前記炭素繊維束とエポキシ樹脂組成物を用いて、前記(2)の方法に従い一方向プリプレグを作製し、さらに上記(3)〜(7)の方法に従ってプリプレグのタック係数、含浸性および円筒ねじり特性を算出した。この結果は、表1に示すとおりであり、プリプレグの取扱性は適度なタック感があり、円筒のねじり強さは5200N・m・deg.であった。
(実施例2)
炭化工程の最高温度を1150℃に変えたこと以外は、実施例1と同じ方法で、フィラメント数18000本の炭素繊維束を作成した。次の表1に示す成分、すなわち、
・“エピコート”(登録商標)828(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 10重量部
・“エピコート”(登録商標)1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 35重量部
・“エピコート”(登録商標)1009(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 20重量部
・“エピクロン”(登録商標)830(大日本インキ株式会社製) 35重量部
・“ビニレック”(登録商標)K(チッソ株式会社製) 1重量部
を混合したエポキシ樹脂液に、
・ジシアンジアミド 3.4重量部
・3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3.0重量部
を混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物の100℃の温度における複素粘性率η*は2.7Pa・sであり、貯蔵弾性率G’は0.2Paであった。前記炭素繊維束とエポキシ樹脂組成物を用いて、前記(2)の方法に従い一方向プリプレグを作製し、さらに上記(3)〜(7)の方法に従ってプリプレグのタック係数、含浸性および円筒ねじり特性を算出した。この結果は表1に示す通りであり、プリプレグの含浸性に優れ、円筒ねじり強さは4800N・m・deg.であった。
(実施例3)
炭化工程の最高温度を1100℃の温度としたこと以外は、実施例1と同じ方法で、フィラメント数24000本の炭素繊維束を作成した。次の表1に示す配合成分、すなわち、
・“エピコート”(登録商標)828(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 10重量部
・“エピコート”(登録商標)1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 10重量部
・“エピコート”(登録商標)1007(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 25重量部
・“エピクロン”(登録商標)830(大日本インキ株式会社製) 40重量部
・“エピクロン”(登録商標)HP7200−H(大日本インキ株式会社製) 15重量部
・“ビニレック”(登録商標)K(チッソ株式会社製) 3重量部
を混合したエポキシ樹脂液に、
・ジシアンジアミド 4.6重量部
・3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 4.0重量部
を混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物の100℃の温度における複素粘性率η*は8Pa・sであり、貯蔵弾性率G’は0.6Paであった。前記炭素繊維束とエポキシ樹脂組成物を用いて、前記(2)の方法に従い一方向プリプレグを作製し、さらに上記(3)〜(7)の方法に従ってプリプレグのタック係数、含浸性および円筒ねじり特性を算出した。この結果は表1に示す通りであり、プリプレグの含浸性が良好であり、円筒ねじり強さは5150N・m・deg.であった。
(実施例4)
アクリロニトリル99.5モル%とアクリル酸0.5モル%からなる共重合体を、ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法により重合し、共重合成分の含有率が28重量%の紡糸原液を得た。この紡糸原液を、45℃の温度で、孔数3000の紡糸口金を用い、一旦空気中に吐出し、約4mmの空間を通過させた後、3℃の温度にコントロールした35重量%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により、凝固糸条とした。この凝固糸条を、水洗した後、温水中90℃の温度で3.5倍に延伸し、さらにアミノ変性シリコーンを含有した油剤を付与して延伸糸を得た。この延伸糸を、160℃の温度の加熱ローラーを用いて、乾燥緻密化処理を行い、0.3MPa−Gの加圧スチーム中で延伸することにより、製糸全延伸倍率が13倍の、単繊維繊度1.5dtex、フィラメント数6000本のポリアクリロニトリル繊維を得た。このポリアクリロニトリル系繊維を用い、実施例1と同じ方法で炭素繊維束を作成した。
次の表1に示す成分、すなわち、
・“エピコート”(登録商標)828(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 10重量部
・“エピコート”(登録商標)1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 20重量部
・“エピコート”(登録商標)1004(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 15重量部
・“エピコート”(登録商標)1009(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 20重量部
・“エピクロン”(登録商標)830(大日本インキ株式会社製) 35重量部
・“ビニレック”(登録商標)K(チッソ株式会社製) 3重量部
を混合したエポキシ樹脂液に、
・ジシアンジアミド 3.4重量部
・3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3.0重量部
を混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物の100℃の温度における複素粘性率η*は11Pa・sであり、貯蔵弾性率G’は1.0Paであった。前記炭素繊維束とエポキシ樹脂組成物を用いて、前記(2)の方法に従い一方向プリプレグを作製し、さらに上記(3)〜(7)の方法に従ってプリプレグのタック係数、含浸性および円筒ねじり特性を算出した。この結果は表1に示す通りであり、プリプレグの平滑性にも優れ、円筒のねじり強さは5000N・m・deg.であった。
(比較例1)
炭化工程の最高温度を1400℃の温度としたこと以外は、実施例1と同じ方法で、フィラメント数6000本の炭素繊維束を作成した。次の表1に示す成分、すなわち、
・“エピコート”(登録商標)828(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 10重量部
・“エピコート”(登録商標)1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 20重量部
・“エピコート”(登録商標)1004(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 15重量部
・“エピコート”(登録商標)1009(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 20重量部
・“エピクロン”(登録商標)830(大日本インキ株式会社製) 35重量部
・“ビニレック”(登録商標)K(チッソ株式会社製) 3重量部
を混合したエポキシ樹脂液に、
・ジシアンジアミド 3.4重量部
・3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3.0重量部
を混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物の100℃の温度における複素粘性率η*は250Pa・sであり、貯蔵弾性率G’は10Paであった。前記炭素繊維束とエポキシ樹脂組成物を用いて、前記(2)の方法に従い一方向プリプレグを作製し、さらに上記(3)〜(7)の方法に従ってプリプレグのタック係数、含浸性および円筒ねじり特性を算出した。この結果は表1に示すとおりであり、プリプレグの取扱性はタック係数高く含浸性が劣り作業性には不向きであり、円筒ねじり強さは2500N・m・deg.と低い値であった。
(比較例2)
ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の単繊維繊度を0.8dtexにしたこと以外は、実施例1と同様にしてフィラメント数12000本の炭素繊維束を作成した。次の表1に示す成分、すなわち、
・“エピコート”(登録商標)828(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 30重量部
・“エピコート”(登録商標)1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 30重量部
・“エピコート”(登録商標)154(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 40重量部
・“ビニレック”(登録商標)K(チッソ株式会社製) 7重量部
を混合したエポキシ樹脂液に、
・ジシアンジアミド 3.5重量部
・3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3.0重量部
を混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物の100℃の温度における複素粘性率η*は4.8Pa・sであり、貯蔵弾性率G’は0.6Paであった。前記炭素繊維束とエポキシ樹脂組成物を用いて、前記(2)の方法に従い一方向プリプレグを作製し、さらに上記(3)〜(7)の方法に従ってプリプレグのタック係数、含浸性および円筒ねじり特性を算出した。この結果は表1に示すとおりであり、プリプレグの取扱性は良好であったが、含浸性甘く、円筒ねじり強さは2000N・m・deg.と低い値であった。
(比較例3)
アクリロニトリル99.5モル%とアクリル酸0.5モル%からなる共重合体を、ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法により重合して、共重合成分の含有率が15重量%の紡糸原液を得た。この紡糸原液を、55℃の温度で、孔数3000の紡糸口金を用い、一旦空気中に吐出し、約4mmの空間を通過させた後、20℃の温度にコントロールした55重量%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により凝固糸条とした。この凝固糸条を、水洗した後、温水中90℃の温度で3.5倍に延伸し、さらにアミノ変性シリコーンを含有した油剤を付与して延伸糸を得た。この延伸糸を、160℃の温度の加熱ローラーを用いて、乾燥緻密化処理を行い、0.3MPa−Gの加圧スチーム中で延伸することにより、製糸全延伸倍率が13倍の、単繊維繊度1.3dtex、フィラメント数24000本のポリアクリロニトリル繊維を得た。このポリアクリロニトリル系繊維を用いて、実施例1と同じ方法で、炭素繊維束を作成した。
次の実施例3と同様の成分、すなわち、
・“エピコート”(登録商標)828(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 10重量部
・“エピコート”(登録商標)1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 10重量部
・“エピコート”(登録商標)1007(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 25重量部
・“エピクロン”(登録商標)830(大日本インキ株式会社製) 40重量部
・“エピクロン”(登録商標)HP7200−H(大日本インキ株式会社製) 15重量部
・“ビニレック”(登録商標)K(チッソ株式会社製) 3重量部
を混合したエポキシ樹脂液に
・ジシアンジアミド 4.6重量部
・3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 4.0重量部
を混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物の100℃の温度における複素粘性率η*は8Pa・sであり、貯蔵弾性率G’は0.6Paであった。前記の炭素繊維束と、エポキシ樹脂組成物を用いて、前記(2)の方法に従い一方向プリプレグを作製し、さらに上記(3)〜(7)の方法に従ってプリプレグのタック係数、含浸性および円筒ねじり特性を算出した。この結果は、表1に示すとおりであり、プリプレグの取扱性は良好であったが、円筒ねじり強さは3500N・m・deg.と低い値であった。
Figure 2006328183
本発明のプリプレグは、取扱性が良好であり、特にゴルフシャフト等の管状体に適用した場合、製品の強度とフィーリングに優れた繊維強化複合材料を得ることができる。

Claims (5)

  1. 次の構成要素[A]と構成要素[B]からなることを特徴とするプリプレグ。
    [A]引張強度が3.8〜5.5GPaであり、引張弾性率が180〜220GPaであり、そして引張伸度が2〜3%である炭素繊維束。
    [B]エポキシ当量が1700以上の2官能エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂に対し、20〜50重量%含有するエポキシ樹脂組成物。
  2. 構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物が、100℃の温度における複素粘性率η*[Pa・s]と100℃の温度における貯蔵弾性率G’[Pa]について、次の式(1)および式(2)を満たすことを特徴とする請求項1記載のプリプレグ。
    2≦η*≦11・・・(1)
    0.2≦G’≦1・・・(2)
  3. 構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物が、該エポキシ樹脂組成物内に、熱可塑性樹脂からなる添加剤を全エポキシ樹脂に対し1〜10重量%含有することを特徴とする請求項1または2記載のプリプレグ。
  4. 構成要素[A]の炭素繊維束のフィラメント数が3000〜24000本であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグを用いてなる繊維強化複合材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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