JP2006325571A - フィトステロ−ルあるいは/およびフィトスタノ−ル類含有可食性粉末類とその製造方法 - Google Patents

フィトステロ−ルあるいは/およびフィトスタノ−ル類含有可食性粉末類とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類は水不溶性で水への分散・懸濁性が悪く結晶化し易い。これらを均一・高濃度に可食性粉末類に含浸させ、かつ調製された可食性粉末類が容易に水に分散・懸濁される性質を有し、かつ含浸されたフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類が長期保存しても結晶化しないような調製方法を確立すること。
【解決手段】
フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を加熱溶融あるいは可溶性溶媒に溶解して可食性粉末類に含浸させ必要ならば溶媒を揮発させるか、可食性粉末類の原材料にフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を同様に含浸させてから粉末化する。

Description

本発明は健康食品、就中フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を含有する可食性粉末類とその製造方法に関する。
フィトステロ−ル類は摂食すると腸管からのコレステロ−ル吸収を妨害し血中コレステロ−ルを低下させる作用のあることが古くから知られ、さらにフィトステロ−ル類を水素添加/還元した化学構造を有するフィトスタノ−ル類にも同様の作用のあることが知られている。このためフィトステロ−ルあるいはフィトスタノ−ル類を配合した食品が種々研究開発されている。(非特許文献1を参照)
特表2003−516115号公報 特表2002−535975号公報 特開平11−146757号公報 特表2002−505093号公報 特表2002−517418号公報 特表2002−516260号公報 特開2002−291442号公報 特開2002−17291号公報 特開2004−91523号公報 特開2003−113089号公報 特開2004−201658号公報 特表2003−514560号公報 特表2002−517418号公報 特開2004−75541号公報 特許3535147号公報 特開2003−514560号公報 FOOD TECHNOLOGY Vol.55 No.1(2002)63〜67 K.B.Hicks et al
フィトステロ−ル類・フィトスタノ−ル類、中でもフィトステロ−ル類は結晶性が極めて高く水への溶解性が極めて低いという欠点がある。このため、これらをそのまま服用しても腸内で溶出せず血中コレステロ−ル低下作用は微弱ないしは発現しないことが知られている。(非特許文献1を参照)実際に市販の精製フィトステロ−ル類微粉末製剤(タマ生化学(株)製造・販売になる商品「フィトステロ−ルFKP」/成分:β−シトステロ−ル含量95%以上)を購入し室温下に1か月も保存すると徐々にザラザラした微塊状の粉末を含有する性状に変化するが、これもフィトステロ−ル類の易結晶性によるものと思われる。このような性質は消化管中での消化液による溶解・分散・懸濁と腸管粘膜からの吸収を困難にするだけでなく、これらの粉末・錠剤・カプセル等の製剤化において均一な濃度分布を有する製品の製造をも困難化する。このような製剤化においては最初に均一な含量・濃度を有する粉末類を調製し、これらを直接の原料として混合・打錠・カプセル充填・小分け包装等を行なうことが通常行なわれる。この意味からも均一な含量・濃度を有する粉末製品を調製する技術は非常に重要である。
このためフィトステロ−ル類・フィトスタノ−ル類の結晶化防止および溶解性向上のための種々の製剤化ないしは加工方法が検討されてきた。例えば特許文献1〜7は水あるいは油脂への溶解性・分散性・懸濁性を向上させるために界面活性剤・強力な攪拌・剪断力等を用い、さらには生成した分散・懸濁状態を安定化させるために高分子物質を添加する等の技術を開示している。
特許文献8はフィトステロ−ル類を油脂に溶解して使用するものであるが、特許文献9ではさらに油脂への分散性を高めるために界面活性剤を併用する技術を開示している。
本発明はフィステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を含有する可食性粉末類に関する。前述のとおりフィトステロ−ル類・フィトスタノ−ル類は結晶性が高く水・油脂等への溶解性・分散性・懸濁性が悪く、食品に添加するについては主としてこれらの結晶性の抑制と均一な分散のために種々の技術が開発されてきた。これらの主たるものは液体添加にあたっての強力な攪拌・剪断力の適用および/あるいは界面活性剤の併用であるが、液性製剤は腐敗・変質(フィトステロ−ル類・フィトスタノ−ル類の経時的結晶析出を含む)の心配がある。本発明は水分含量が低く安定性に優れ、フィトステロ−ルあるいは/およびフィトスタノ−ル類以外の添加物を含有しない、かつ水への分散、あるいは他の食材と混合して種々のメニュ−に調理加工可能な使用適性にも優れたフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を均一に含有する可食性粉末類とその簡便な製造方法を提供せんとするものである。
特許文献11〜15には粉末食品へのフィトステロ−ル類の添加技術が開示されているが、特許文献11の場合には助剤としての油脂と界面活性剤が添加される。特許文献12〜15ではいったん水溶状態で食材・添加物(界面活性剤・高分子物質)・フィトステロ−ルを懸濁ないしは分散させ、これを乾燥・粉砕して均一な粉末食品を調製するというまことに煩瑣な工程を経る。特許文献16にはフィトステロ−ル類を小麦粉と混合してからパンとして焼きフィトステロ−ル類の結晶析出を防止する技術が開示されている。本発明では小麦粉とフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を別個に一体化してから加工食品原料として用いる技術構成を採用しており結果として60%までの高濃度にフィトステロ−ル類を含有させることができる。特許文献16の技術では6%の含有率が上限であるに過ぎない。また、特許文献の技術ではパンという保存性の期待できない加工食品が生成物であるが、本発明では保存性が極めて良好でしかも生成物はパンはもとよりクッキ−・ケ−キ・麺・パスタ・クレイプ等、広範な加工食品の原料として使用でき結果として食品への応用範囲をはるかに広げることが可能になる。
本発明は界面活性剤・ガム類等の高分子物質(ただし、例えば食物繊維として多糖類を添加することは許容される:フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類の溶解性・分散性・懸濁性を向上させるための助剤としてこれらの高分子物質を使用しない)を一切使用せず、まことに単純・平易な加工方法により均一な含量・濃度を有するフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を含む可食性粉末類を調製せんとするものである。
さらに、本発明によれば経時的に安定で、水への分散性も良好なフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を含有する可食性粉末類を極めて単純・平易な加工工程により調製することができる。ここに「経時的に安定」とは本発明によって調製された可食性粉末類を冷蔵・室温下に長期間保管しても含有されるフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類が相互に会合・凝集して結晶化したり微塊状の粒子を含むザラザラした粉末に変化しないことを言う。加えて、本発明によれば加工コストも大いに節減でき大量生産にあたっても均質な製品を安価に量産できる。また可食性粉末類が結果物であるため広範囲の加工食品の原料ないしは副原料として利用できフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類の摂取形態の豊富化を実現することができる。さらに本発明によれば従来技術よりはるかに高濃度のフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を可食性粉末類に均一・安定的に含有せしめることができる。その含量は最大で60%にも達する。本発明のフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類の結晶析出防止効果はおそらくこれらの物質が溶融ないしは溶媒溶解状態で可食性粉末類の微細構造に均一に浸透しタンパク質・多糖類等のボディ形成物質の分子構造と密接に相互作用して結晶化を妨害される、あるいは/および原料の植物体の細胞膜等を構成する脂質と相溶した状態で存在するために結晶化を妨害される結果と推測される。
本発明はフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を可食性粉末類に一切の添加物・助剤を残留することなく、また極めて簡易・平易な工程により均一に吸着させて均一な含量・濃度で経時的に安定な可食性粉末類を調製せんとするものである。本発明において「粉末」とは微粉状・粉状・顆粒状・粒状の形態のものを言う。
本発明においてフィトステロ−ル類とは植物から抽出されるβ−シトステロ−ル・スティグマステロ−ル・カンペステロ−ル・ブラシカステロ−ル、あるいは酵母や菌類から抽出されるエルゴステロ−ル等の単一あるいは任意の混合物を言う。また、本発明においてフィトスタノ−ル類とは前述のフィトステロ−ル類を接触還元/水素添加した各対応するステロイド環炭素骨格が飽和された有機化合物を言う。本発明においてフィトステロ−ル類とフィトスタノ−ル類は別々に用いられる場合もあるし両者の任意の混合物としても用いられうる。例えば松科の植物のパルプから抽出されるト−ル油やコ−ンファイバ−から抽出されるコ−ンファイバ−油にはフィトスタノ−ル類とフィトステロ−ル類が天然の状態で混在することが知られている。
また、本発明において可食性粉末類とは穀物粉(例えば小麦粉・米粉・黄粉・蕎粉・黍粉等)、澱粉類(例えばコ−ンスタ−チ・馬鈴薯澱粉・タピオカ澱粉・葛粉・蕨粉等/これらの老化防止処理等の化工処理したものをも含む/デキストリン粉末・シクロデキストリン粉末・可溶性澱粉粉末等)、豆粉類(例えば全粒大豆粉・脱脂大豆粉・脱脂ピ−ナッツ粉・緑豆粉・エンドウ豆粉・小豆粉等)、穀物タンパク粉(例えば分離大豆タンパク粉・粉末グルテン・豆乳粉末等)、乾燥野菜粉末(例えばケ−ル粉末・大麦若葉粉末・紫蘇葉粉末・桑の葉粉末・小松菜粉末・ホウレン草粉末・蕎麦若葉粉末・ヨモギ粉末・人参粉粉末・カボチャ粉末・トマト粉末・マッシュポテト粉末・セロリ粉末・モヤシ粉末・アシタバ粉末・アヤムラサキ粉末・白菜粉末・キャベツ粉末・タマネギ粉末・ニンニク粉末・ゴ−ヤ粉末・抹茶・山芋粉末・梅肉粉末・唐辛子粉末・生姜粉末・鬱金粉末・柑橘類果皮粉末(例えば陳皮粉末・橙皮粉末・ユズ皮粉末・オレンジ皮粉末・グレイプフル−ツ皮粉末等)等)、キノコ粉末類(例えば椎茸粉末・エノキ茸粉末・マッシュル−ム粉末・アガリクス粉末・ヤマブシ茸粉末・舞茸粉末・松茸粉末・シメジ粉末・エリンギ粉末・サルノコシカケ粉末・ブクリョウ粉末等)、藻類粉末類(例えば昆布粉末・ワカメ粉末・アラメ粉末・ヒジキ粉末・モズク粉末・浅草海苔粉末・クロレラ粉末・スピルリナ粉末・ドゥナリエラ粉末等)・粉乳(例えば全脂粉乳・脱脂粉乳等)、分離乳タンパク粉末(例えばカゼインおよびその塩類の粉末)等、さらには後述の食物繊維類をも含む。これらの粉末は外観上粗粒子程度から微粉末に至る形状・粒度を有することができる。
さらに本発明において食物繊維類とは炭水化物であって人体の胃腸内で完全に消化できないものを言い、例えばコ−ンファイバ−・難消化性デキストリン類・セルロ−ズ類・ヘミセルロ−ズ類・寒天・カラギナン・キチン・キトサン・各種のガム類(カラヤガム・ロ−カストビ−ンガム・アカシアガム・キサンタンガム・ジェランガム等)等で粉末状であるものを言う。
本発明の一番目の製造方法の骨子はフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を加熱・融解し融解状態を保持したまま可食性粉末類に均一に混合し、フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を吸着させ冷却し必要ならば粉砕・篩別等の処理を行なって均一な粉末とすることにある。当然に可食性粉末類の加熱による変質を避けるために可食性粉末類の熱変質温度よりは低い温度帯で可食性粉末類が熱変質を起こすまでの時間内に加熱時の混合操作は完了しなくてはならない。しかし、この可食性粉末類の熱変質温度と熱変質時間はある程度の曖昧さを含んでいる。何故ならば可食性粉末類はある一定以上(概して120℃以上)の温度に保持すれば遅かれ早かれ熱分解・着色・焦げ等の熱変質を起こすからである。よって、本発明における「可食性粉末類の変質温度よりは下の温度帯で、可食性粉末が熱変質するまでの時間内」とは色調・臭い・味等の官能的指標において熱時混合工程完了後において目立った変化のない「温度と時間(指標として積算温度を用いることもある概念)」という意味に解釈されたい。本発明においては一般的に130℃以上、200℃以下程度の温度が適用される。
本発明の製造方法の第二番目の骨子はフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を可食性で揮発性の有機溶媒に溶解し溶解状態を保持したまま可食性粉末類に均一に混合してから有機溶媒を蒸発させることにある。ただし、混合を加熱した容器中で実施する場合には加熱により有機溶媒が急速に蒸発・揮散し実質的に飽和点に達する場合もあろうが、加熱が充分に高温(130℃以上)である場合には溶媒が充分量でなくてもフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類が溶融状態に転化して実質的に前述の溶融を利用した均一混合になる場合も起こりうる。この境界は実質的には把握が困難であるが、前述の実施態様あるいはここで述べている実施態様のどちらかの範疇に入るものと技術的に解釈されよう。予備実験において本発明者等はフィトスタノ−ル類が熱時、エタノ−ルあるいは酢酸に容易に溶解することを知った。よってこれらの可食性有機溶媒の単一あるいは複合物にフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を溶解して可食性粉末類に均一に混合し(例えば、溶媒に溶解した溶液を噴霧する、あるいは熱時に有機溶媒にフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を溶解した溶液と粉末類を均一に混合しながら加熱する)フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類の溶解状態を維持しながら可食性粉末類に吸着させ、これらの有機溶媒を加熱、あるいは/および減圧により蒸発・留去すれば目的とする可食性粉末製品が得られる。蒸発・留去はエタノ−ルであれば高温(例えば100℃以上)で可食性粉末を転動ないしは流動させれば自動的にエタノ−ノは蒸発・除去される。この場合に気流を併用すればより効率的に留去できる。酢酸の場合には沸点がやや高いのでこのような方法だけでは留去が困難な場合には減圧(例えば1Torr以下)を併用すればよい。この場合にも微弱に空気を外部より吹き込めば留去が大幅に効率化できることは当業者の広く知るところである。エタノ−ルと酢酸を適宜混合して使用することは常識的な技術であろう。
本発明の第三番目の製造方法の骨子は可食性粉末類に直接フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を混合する場合の他に、可食性粉末類の原料となりうる食品素材類に同様の加工を施してフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を混合して吸着させ、これらを適宜に加工してフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類の混合した可食性粉末類に変換する方法にある。ここにいう適宜の加工には少なくとも粉砕(粉末化)の工程は必須のものとして含まれ、所望により乾燥(脱水)・整粒・篩別等の操作が含まれよう。食材の粉末化は当業者には自明の技術で対応できる範囲内で充分に本発明の目的を達成できるはずであるのでことさらにここでは解説はしない。具体的技術の開示については実施例を参照されたい。
本発明の目的物はフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を均一に含有する、長期に保存しても結晶化・分離・微塊状化を起こすことのない安定で均一な可食性粉末類である。当該技術分野において本発明の、フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を加熱溶融して可食性粉末類に含浸させる発想はなかった。特許文献15の特許請求の範囲および発明の詳細な説明において「溶融」の語が使用されているが、植物ステロ−ルと乳化剤との混融であり、その目的も後に水への分散性を向上させるためであって本発明とは技術思想においても実施の態様においても根本的に相違するものである。
また、フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を可食性で揮発性の有機溶媒に溶解して食品に添加し後に有機溶媒を蒸発して除去するという技術思想も新規である。従来技術では不揮発性の油脂類にフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を溶解することが行なわれていた。(例えば特許文献11参照)以上、本発明の二つの方法によれば従来技術(例えば特許文献16)によればたかだか6%のフィトステロ−ル類を食品に含有しうるだけなのに対しその10倍にも達する多量のフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を安定的に、しかも簡便な加工処理により含有させることが可能になる。
本発明においては可食性粉末類が穀粉類・澱粉類・豆粉類・穀物タンパク類・乾燥野菜粉末類・キノコ粉末類・藻類粉末類・粉乳類・分離乳タンパク粉末類・食物繊維類である場合に特に実用上の効果が大きいものと期待される。
穀粉類の代表的なものは小麦粉・米粉・黄粉・蕎粉・黍粉等であり、これらは麺類・パン類・菓子類等の広範囲の加工食品の原料として使用される。蕎麦にはルチン等の機能性成分が含まれており、最近では他の雑穀類にも機能性食品素材としての注目が集まっている。穀粉類は以上のような背景からフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類の効果を期待した加工食品・機能性食品あるいは健康食品の素材として有望である。
澱粉類(例えばコ−ンスタ−チ・小麦澱粉・薩摩芋澱粉・馬鈴薯澱粉・タピオカ澱粉・エンドウマメ澱粉・葛粉・蕨粉等/これらに老化防止等の化工をしたものも含む)も主要な加工食品の原料の一部を構成しており広範囲の用途が期待されうる。これらも菓子類や一般の種々の加工食品に主たる、あるいは補助的な原料として広範に使用されている。なお本発明においては「澱粉」の定義にはデキストリン・シクロデキストリン・可溶性澱粉等の通常の澱粉を部分的に加水分解した多糖類製品をも包含する。
豆粉類(例えば全粒大豆粉・脱脂大豆粉・脱脂ピ−ナッツ粉・緑豆粉・エンドウ豆粉・小豆粉等)は、例えばサポニン類・イソフラボン類・ビフィズス菌活性糖類等の機能性成分を含みフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類との相乗効果を期待した機能性食品あるいは健康食品の素材として有望である。
穀物タンパク粉類、例えば分離大豆タンパク粉はそれ自身を水に溶解して飲用する健康食品として根強いファンを有している。また、最近になって分離大豆タンパクを摂取すれば血中コレステロ−ルが低下するとの報告も散見される。グルテン粉末は各種の加工食品の物性改良剤として幅広く使用されている。
乾燥野菜粉末類、例えばケ−ル末・ホウレン草末・人参粉末・カボチャ粉末・マッシュポテト末・セロリ末・モヤシ末・アシタバ末・白菜末・キャベツ末等は本発明者等がこれらを主原料とする便通改善食品を既に開発済みである。最近では唐辛子粉末・生姜粉末・ニンニク粉末・鬱金粉末等は機能性成分を含むとの理由で健康食品原料としての用途が拡大している。よって各種の乾燥野菜粉末類はフィトステロ−ル類/あるいはおよびフィトスタノ−ル類との相乗効果を期待した生活習慣病の予防ないしは改善を目的とした機能性食品あるいは健康食品の素材として有望である。
アガリクス・サルノコシカケ等のキノコ類には抗腫瘍作用が知られており健康食品素材として著名である。他のキノコ類についても例えば椎茸には血圧低下作用が知られている他、一般的にキノコ類には難消化性の特殊な多糖類等多くの薬理成分が含まれ種々の健康補助効果が期待されている。よってキノコの粉末類は本発明の可食性粉末が志向する健康補助食品ないしは機能性食品原料として好ましいものである。
藻類には食物繊維・各種ミネラル類、あるいはモズク中の抗菌作用や抗腫瘍作用を有するフコイダンのような機能性成分が種々含まれていることが知られており今後も新規な有効成分が発見されるものと期待されている。さらにクロレラ・スピルリナ・ドゥナリエラ等の藻類は粉末・錠剤・カプセル・エキス・飲料等に加工して既に人気の高い健康食品としての地位を確保している。これらとフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類とを組合せた健康食品・機能性食品の開発は魅力的なテ−マのひとつであろう。
粉乳類、例えば全脂粉乳・脱脂粉乳等、分離乳タンパク粉末類、例えばカゼインおよびその塩類の粉末等は乳タンパクに特有のカルシウム吸収促進作用、あるいは人体の腸管内で生理活性を有するオリゴペプチドを生成する、さらには腸内細菌叢を改善する等の特有の効果が広く知られており、フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類との相乗効果を期待した機能性食品あるいは健康食品の素材として有望である。
食物繊維類については当該技術分野の技術者には便通改善作用・血中コレステロ−ル低下作用があることは周知でありフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類との相乗効果を期待した機能性食品あるいは健康食品の素材として有望である。
本発明においては上記の可食性粉末類を適宜に混合してフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を含有せしめることは随意である。また、ト−ル油から抽出されるフィトステロ−ル類のように天然の状態でフィトスタノ−ル類との混合物として抽出されるものも当然に本発明に使用できる。
本発明は粉砕すれば可食性粉末類になりうる食品素材類を溶融した、あるいは可食性有機溶媒に溶解したフィトステロ−ルあるいは/およびフィトスタノ−ル類と均一に混合し冷却し、必要ならば乾燥・粉砕することによっても実施することができるが、前述の理由から当該食品素材が穀粉類・澱粉類・豆粉類・穀物タンパク粉・乾燥野菜粉末・藻類粉末・キノコ粉末類の原料である場合に特に実用上の効果が大きいものと期待される。この場合でも食品素材類複数種を適宜混合して処理してもよいし、各々個別に処理し後の工程で合一して加工し最終的に可食性粉末類混合物としてもよい。
以上のようにして製造されるフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を含有する可食性粉末類はそのまま健康補助食品あるいは機能性食品の原料としてビン等の容器への充填・小袋包装・打錠・カプセル充填等して製品化することができる。また、機能性を有する加工食品、例えば菓子類(プリン・ゼリ−・ケ−キ・クッキ−・クラッカ−・キャンディ−・グミ等)・パン類・麺類・パスタ類・飲料(ネクタ−・ジュ−ス等)ス−プやソ−ス類(レトルトパウチ・ビン詰・缶詰・乾燥ス−プ等)等種々の加工食品の原料として使用しうる。以下に実施例を示して本発明を具体的に開示するが、本発明の範囲はこれらのみに限定されるものではなく、本特許出願に関わる特許請求の範囲および発明の詳細な説明の項の記述に照らして本発明と技術思想を同じくし実施の態様において類似ないしは同等とみなされるものは当然に本発明の特許請求の範囲に包含されることは言うまでもない。
大麦若葉粉末(400メッシュパス)280g、タマ生化学(株)「フィトステロ−ルFKP」120gを充分均一に混合し弗素樹脂コ−トされたフライパンに入れ、約150℃の温度を維持しながらガスコンロにて直加熱でフィトステロ−ルの白粉が消失するまで攪拌した。白粉がなくなり全体が均一になったら加熱を止め攪拌しつつ放冷してから室温にて粉砕した。かくしてフィトステロ−ル類を30重量%含む大麦若葉粉末を得た。この大麦若葉粉末は鮮やかな緑色を保持し風味・味とも良好であり適量の水に投入して攪拌すれば容易に均一に湿潤・分散し大麦若葉青汁を調製することができた。さらにこの青汁は異味・異臭はなく喉越しも良好で官能的に問題はなかった。室温下に1ケ月間保管してもフィトステロ−ル類の結晶の析出・分離、粉体の凝集・固結等は認められなかった。
実施例1と同様にフィトステロ−ル類50重量%を含む大麦若葉粉末を得た。この大麦若葉粉末135gと無処理の400メッシュパスの大麦若葉粉末135gを混合し難消化性デキストリン(松谷化学(株)製「ファイバ−ソルNo.2」)30gを270gの水に溶解した水溶液を7.5g/min.の速度で噴霧しつつ吸気温度75℃、排気温度45℃にて流動層造粒乾燥して不定形顆粒とした。この顆粒は22.5重量%のフィトステロ−ル類と10重量%の食物繊維(難消化性デキストリン)を含有するが、水への崩壊・分散性は良好でフィトステロ−ル類の分離、大麦若葉粉末の撥水による凝結等は全く認められず味・風味とも良好な青汁となった。
抹茶140gと「フィトステロ−ルFKP」60gを実施例1と同様に処理しフィトステロ−ル類30重量%を含む抹茶を得た。本品は水に容易に分散し水分散液はフィトステロ−ル類による粉っぽい食感や異味・異臭は感じられず官能的に良好であった。比較のため抹茶7g、「フィトステロ−ルFKP」3gを充分に混合した。これを同様に水に投入・攪拌したがフィトステロ−ル類の白い粉末が分離・浮上して均一な分散液とはならなかった。
小麦強力粉31.5g、「フィトステロ−ルFKP」13.5gを実施例1と同様に処理した。フィトステロ−ルが含浸するにつれ全体は塊状・顆粒状・粉状の混合物となった。充分にフィトステロ−ルが小麦粉全体に吸着されたら火から下ろして放冷し室温になったら粉砕して30重量%のフィトステロ−ル類を含む均一な粉体とした。このうち37.5gを取り、強力粉113.9gを均一に混合して8重量%のフィトステロ−ル類を含む小麦粉を得た。さらに砂糖7.5g・塩小さじ1/2・卵Lサイズ1個・スキムミルク5g・水75mlを加えて混練・成形・焼き上げしてロ−ルパン6個を調製した。本ロ−ルパン1個にはフィトステロ−ル類1.9gを含有するが、食べてもフィトステロ−ル類の結晶ないしは粉体の食感・異味・異臭は全く感じられず官能的に良好であった。殺菌のため本品の表面をエタノ−ルで軽く拭い乾燥させてから手早く脱酸素剤を封入したガスバリア−性のフィルムで調製した袋に封入して室温と冷蔵庫中に1ケ月保管してから断面を観察したが、フィトステロ−ル類の析出・分離は観察されなかった。比較のため強力粉140gに「フィトステロ−ルFKP」11.2gを加えて充分均一に混合して8重量%のフィトステロ−ル類を含む小麦粉とした。これに砂糖17.5g・塩小さじ1/2・卵Lサイズ1個・スキムミルク5g・水75mlを加えて同様にロ−ルパンを調製した。本品1個には約1.9gのフィトステロ−ル類が含有されるが、断面にはフィトステロ−ル類の白色の結晶が観察され食べても粉っぽく著しく不味であった。
「フィトステロ−ルFKP」0.7gを6.3gの99%エタノ−ルと加熱して完全に溶解した。これに大麦若葉粉末2gを加えてエタノ−ルが完全に蒸発するまで攪拌しながら加熱した。得られた粉末を水に投入して攪拌すると実施例1の大麦若葉粉末と同様に容易に分散・懸濁した。
「フィトステロ−ルFKP」2g、99%エタノ−ル8g、粗砕状態のホウレン草粉末2gを実施例5と同様に処理し次いでミキサ−にて微粉砕した。得られた粉末は水に容易に分散・懸濁した。
弗素樹脂コ−トしたフライパンに「フィトステロ−ルFKP」2gを均一に散布しコンロ上で加熱した。フィトステロ−ルが溶融したら不要部分を除去し水洗・水切りして約2cm角に切断したホウレン草500gを加えて均一に攪拌しながら緑色を保持ししなやかになって熱が通りフィトステロ−ルが消失するまで炒めた。放冷後トレイに取り減圧度1Torr、初期棚温度80℃、終期棚温度60℃にて15時間凍結乾燥した。乾燥物は28gであった。これをミキサ−に掛けて粉砕し100メッシュの篩を通して整粒した。得られたホウレン草粉末は水に容易に分散・懸濁し、かくして得られるホウレン草青汁は異味・異臭がなくザラザラした食感もなく官能的に通常の青汁と同様であった。本品をガスバリア−性フィルムの袋に脱酸素剤とともに封入し室温に1ケ月保存してもフィトステロ−ル類の結晶の析出、粉末の凝集・固結は起こらなかった。
黄粉280g、「フィトステロ−ルFKP」120gを均一に混合し弗素樹脂コ−トされたフライパンで150℃の温度を保持しながらフィトステロ−ルの白粉が溶融し均一になるまで攪拌・混合した。放冷し粉砕処理してフィトステロ−ル30重量%含量の黄粉を得た。本品は水に容易に分散し水溶液は飲用しても異味・異臭がなく喉越しも滑らかであった。1ケ月の室温保存試験においてもフィトステロ−ルの析出、黄粉の凝集・固結は観察されなかった。
米粉280g、「フィトステロ−ルFKP」120gを実施例8と同様に処理しフィトステロ−ル含量30重量%の同様の可食性粉末を得た。
馬鈴薯澱粉280g、「フィトステロ−ルFKP」120gを実施例8と同様に処理しフィトステロ−ル含量30重量%の可食性澱粉粉末を得た。本澱粉製品は水に容易に分散した。
唐辛子粉末280g、「フィトステロ−ルFKP」120gを実施例8と同様に処理しフィトステロ−ル含量30重量%の唐辛子粉末を得た。本唐辛子粉末は水に容易に分散した。
昆布粉末280g、「フィトステロ−ルFKP」120gを実施例8と同様に処理しフィトステロ−ル含量30重量%の昆布粉末を得た。本昆布粉末は水に容易に分散した。
人参粉末280g、「フィトステロ−ルFKP」120gを実施例8と同様に処理しフィトステロ−ル含量30重量%の人参粉末を得た。本人参粉末は水に容易に分散した。
青紫蘇粉末280g、「フィトステロ−ルFKP」120gを実施例8と同様に処理しフィトステロ−ル含量30重量%の青紫蘇粉末を得た。本青紫蘇粉末は水に容易に分散した。
分離大豆タンパク粉末280g、「フィトステロ−ルFKP」120gを実施例8と同様に処理しフィトステロ−ル含量30重量%の分離大豆タンパク粉末を得た。本分離大豆タンパク粉末は水に容易に分散し大豆タンパク飲料として官能的に問題なく飲用できた。
β−シクロデキストリン粉末380g、「フィトステロ−ルFKP」100gを実施例8と同様に処理しフィトステロ−ル含量25重量%のβ−シクロデキストリン粉末を得た。本β−シクロデキストリン粉末は水に容易に分散した。
豆乳粉末200g、「フィトステロ−ルFKP」200gを実施例8と同様に処理しフィトステロ−ル含量50重量%の豆乳粉末を得た。本豆乳粉末は水に容易に分散した。

Claims (13)

  1. 溶解したフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を含浸されたことを特徴とする可食性粉末類。
  2. フィトスタノ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類の溶解が加熱・溶融によることを特徴とする請求項1に記載の可食性粉末類。
  3. フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類の溶解が可食性有機溶媒への溶解であることを特徴とする請求項1に記載の可食性粉末類。
  4. 可食性有機溶媒がエタノ−ルあるいは/および酢酸であることを特徴とする請求項3に記載の可食性粉末類。
  5. 可食性粉末類が穀粉類・澱粉類・豆粉類・穀物タンパク粉類・乾燥野菜粉末類・キノコ粉末類・粉乳類・分離乳タンパク粉末類・食物繊維類より選ばれる1種または複数種であることを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれか1項に記載の可食性粉末類。
  6. フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を1〜60%含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5のいずれか1項に記載の可食性粉末類。
  7. フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を加熱・融解し融解状態を保持したまま可食性粉末類に均一に混合し冷却することを特徴とする可食性粉末類の製造方法。
  8. フィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を可食性で揮発性の溶媒に溶解し溶解状態を保持したまま可食性粉末類に均一に添加し溶媒を蒸発・除去することを特徴とする可食性粉末類の製造方法。
  9. 溶媒がエタノ−ルあるいは/および酢酸であることを特徴とする請求項7に記載の可食性粉末類の製造方法。
  10. 可食性粉末類が穀粉類・澱粉類・豆粉類・穀物タンパク粉類・乾燥野菜粉末類・キノコ粉末類・藻類粉末類・粉乳類・分離乳タンパク粉末類・食物繊維類より選ばれる1種または複数種であることを特徴とする請求項6、7、8のいずれか1項に記載の可食性粉末類。
  11. 粉砕すれば可食性粉末類になりうる食品素材類に、加熱・溶融したフィトステロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を融解状態を保持したまま均一に混合し冷却し、必要ならば乾燥し、粉砕することを特徴とする可食性粉末類の製造方法。
  12. 粉砕すれば可食性粉末類になりうる食品素材類に、可食性有機溶媒に溶解したフィトルテロ−ル類あるいは/およびフィトスタノ−ル類を溶解状態を保持したまま均一に添加した後に溶媒を蒸発させ、必要ならば乾燥し、粉砕することを特徴とする可食性粉末類の製造方法。
  13. 食品素材類が穀物類・豆類・野菜類・野菜加工品類・キノコ類・藻類・キノコ加工品類・食物繊維類より選ばれる1種または複数種であることを特徴とする請求あることを特徴とする請求項10、請求項11に記載の可食性粉末類の製造方法。
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