JP2006325324A - 車両用分散型電源システム - Google Patents

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Abstract

【課題】車両に搭載される主電源の容量増大化を抑制しつつ、制御ユニット内の揮発性メモリの情報を確実に保存する。
【解決手段】バッテリ1にキースイッチ2から複数の電子制御ユニットECU1,ECU2,ECU3,…を接続し、各電子制御ユニットに、マイクロコンピュータ及び周辺回路からなるコントローラ部CTL1,CTL2,CTL3,…と、制御用電源を生成する制御用電源部PS1,PS2,PS3,…とを備えると共に、個々の電子制御ユニットに、コントローラ部内のバックアップメモリに電源を供給するバックアップ電源部PS_BK1,PS_BK2,PS_BK3,…を個別に備えることにより、バッテリ1の電源容量増大化を抑制しつつ、バックアップメモリに常時、微弱な電力を供給し、データを確実に保存する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載される複数の制御ユニットの各々に、車両の主電源を個々の制御ユニットで使用する制御用電源に変換する制御用電源装置を備えた車両用分散型電源システムに関する。
一般に、自動車等の車両においては、主電源としてバッテリを搭載し、始動用スタータやランプ等の各種機器の電源として供給すると共に、エンジン制御や変速機制御等の各種制御用としてマイクロコンピュータ及び周辺回路から構成される電子制御ユニットに対する制御電源を生成するための元電源として使用している。電子制御ユニットに対する制御用電源は、例えば、特許文献1に開示されているように、スイッチングレギュレータ等を用いてバッテリ電圧を降圧することにより生成される。
しかしながら、近年、エンジン制御や変速機制御といった車両の駆動制御に加えて、セキュリティ機能、マルチメディア機能、情報通信機能といった各種機能を搭載する車両が多くなり、マイクロコンピュータを中心と構成される電子制御ユニットの数が増加する傾向にある。このため、車両の消費電流も増加の傾向にあり、省電力化が望まれている。
マイクロコンピュータの低電力化に係わる技術は、例えば、特許文献2に開示されている。特許文献2の技術は、1チップマイコンに内蔵されている、動作下限電圧の大きいモジュールの作動に合わせて、モジュールの電源電圧を切換制御することにより、マイクロコンピュータの省電力化を図っている。
特開2004−147437号公報 特開2002−7374号公報
ところで、車両に搭載される電子制御ユニットは、学習機能や故障診断機能を備えており、これらの機能の履歴データを保存するため、バックアップメモリにデータを記憶している。バックアップメモリは、通常、マイクロコンピュータのメモリ空間における揮発性メモリの領域の一部を割り当てており、電源を遮断するとデータが失われるため、データを確実に保存するためには、車両のキースイッチのON,OFFに拘わらず、常時、微弱な電力をバックアップ電源として供給する必要がある。
図5は、従来の車両における電源システムを示しており、主電源として搭載されるバッテリ10にキースイッチ20を介して電子制御ユニット30,40,50,…が接続されている。各電子制御ユニット30,40,50,…には、それぞれ、スイッチングレギュレータ等からなる電源回路30a,40a,50a,…が内蔵され、各電源回路30a,40a,50a,…がキースイッチ20を介してバッテリ10に接続されると共にバッテリ10に直接接続されている。
電源回路30a,40a,50a,…は、キースイッチ20のON,OFFに拘わらず、常時、バッテリ10の電源から制御用電源を生成し、マイクロコンピュータ及び周辺回路からなるコントローラ部30b,40b,50b,…に供給する。すなわち、キースイッチ20がONされて車両が運転者状態にあるときには、電源回路30a,40a,50a,…からの制御用電源によってコントローラ部30b,40b,50b,…を作動させ、キースイッチ20がOFFされて車両の運転が停止されたときには、電源回路30a,40a,50a,…からの制御用電源によってコントローラ部30b,40b,50b,…内のバックアップメモリのデータを保存する。
このように、従来の車両の電源システムでは、主電源であるバッテリからバックアップ電源を生成しているため、車両の運転状態に拘わらず(キースイッチのON,OFFに拘わらず)、バッテリ電源を常時使用することになる。従って、電子制御ユニットの数が増加すると、制御用電源に加えてバックアップ電源としての電源容量も増加し、要求される電源容量を確保するため、必然的にバッテリが大容量化し、重量増やコスト上昇を招いてしまう。
更に、バックアップ電源をバッテリ電源から生成する場合、例えば、12Vのバッテリ電圧を降圧してバックアップメモリに2.2〜3.8Vの電圧を供給する等、バッテリ電圧を降圧しなければならず、電圧変換時に発生する損失が電子制御ユニットの増加と共に増加してしまう。従って、バッテリを電子制御ユニットのバックアップ電源として使用することは、エネルギー効率の上からも必ずしも得策ではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両に搭載される主電源の容量増大化を抑制しつつ、制御ユニット内の揮発性メモリの情報を確実に保存することのできる車両用分散型電源システムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明による車両用分散型電源システムは、車両に搭載される複数の制御ユニットの各々に、車両の主電源を個々の制御ユニットで使用する制御用電源に変換する制御用電源装置を備えた車両用分散型電源システムにおいて、上記複数の制御ユニットの各々に、上記主電源が遮断されたときに各制御ユニット内の揮発性メモリに電源を供給するバックアップ電源装置を備えたことを特徴とする。
バックアップ電源装置は、ラミネート型二次電池或いはキャパシタによるバックアップ電源と切換回路とを備え、切換回路により、主電源と制御用電源装置の入力端との接続、及びバックアップ電源と制御用電源装置の出力端との接続を切換え、バックアップ電源の電圧が設定電圧を下回ったとき、制御用電源装置を主電源に接続してバックアップ電源を充電することが望ましい。
切換回路は、制御用電源装置の出力端とバックアップ電源とを接続する接続ラインに介装された第1のスイッチング素子と、第1のスイッチング素子に並列に接続され、バックアップ電源に対して順方向に接続されるダイオードと、主電源と制御用電源装置の入力端とを接続する接続ラインに介装された第2のスイッチング素子とにより構成することができる。
本発明による車両用分散型電源システムは、車両に搭載される主電源の容量増大化を抑制しつつ、制御ユニット内の揮発性メモリの情報を確実に保存することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図4は本発明の実施の一形態に係わり、図1は電源システムの全体構成図、図2はバックアップ電源部の構成図、図3は電源システムの動作シーケンスを示すタイムチャート、図4はバックアップ電源部の動作を示す説明図である。
図1において、符号1は自動車等の車両に搭載される主電源としてのバッテリであり、例えば、定格電圧12Vの鉛バッテリである。このバッテリ1は、−極端子が接地され、+極端子が図示しないフューズやリレー・スイッチ類を介して、キースイッチ2から始動用スタータやランプ等の各種機器に接続されると共に、エンジン、自動変速機、ブレーキ等を制御する個々の電子制御ユニットECUi(i=1,2,3,…,n)に接続され、分散型の電源システムを形成している。尚、各機器類の接地線は、バッテリ1の−極端子を介して或いは個別に接地されている。
各電子制御ユニットECUiは、エンジン制御、変速機制御、ブレーキ制御等を個別に実行するマイクロコンピュータ及び周辺回路からなるコントローラ部CTLiと、バッテリ1の主電源からコントローラ部CTLi及び各種センサ類等に供給する制御用電源を生成する制御用電源装置としての制御用電源部PSiとを個別に備えている(i=1,2,3,…,n)。制御用電源部PSiは、スイッチング素子Q及び制御回路Pによるスイッチング回路と、ダイオードD,チョークコイルL,及びコンデンサCによる平滑回路とを有する周知のスイッチングレギュレータによって構成され、例えば、12Vのバッテリ電圧を降圧・安定化して5Vや3.3Vの制御用電圧を生成する。
また、以上の分散型電源システムにおいては、各電子制御ユニットECUi毎に、コントローラ部CTLi内のバックアップメモリに電源を供給するバックアップ電源装置としてのバックアップ電源部PS_BKiが個別に備えられている(i=1,2,3,…,n)。バックアップメモリは、コントローラ部CTLiのマイクロコンピュータにプログラムされた学習機能や故障診断機能等の履歴データを保存するメモリであり、マイクロコンピュータのメモリ空間におけるRAM(揮発性メモリ)領域の一部を割り当てていることから、キースイッチ2のON,OFFに拘わらずデータが確実に保存されるよう、常時、微弱な電力が供給されている。
バックアップ電源部PS_BKiは、バックアップメモリに電源を供給する専用のバックアップ電源BKを備え、このバックアップ電源BKが切換回路SWを介してバッテリ1の+極端子にキースイッチ2を経由することなく接続されると共に、制御用電源部PSiの入力端と出力端とに接続されている。バックアップ電源BKは、小型・軽量な蓄電体、例えば、ラミネート型の二次電池や電気二重層キャパシタ等の薄型で扁平な蓄電体で構成され、例えば、定格電圧2.2V〜3.8Vの二次電池、或いは2000F〜4000Fのキャパシタ等を用い、専用の充電回路を設けることなく切換回路SWを介して制御用電源部PSiから充電される。
図2に示すように、切換回路SWは、制御用電源部PSiの出力端となるコンデンサCの電圧出力端子とバックアップ電源BKとを接続する接続ラインに介装された第1のスイッチング素子Q1、第1のスイッチング素子Q1と並列に接続され、バックアップ電源BKに対して順方向に接続されるダイオードD1、バッテリ1の+極端子と制御用電源部PSiのスイッチング素子Q2とを接続する接続ラインに介装された第2のスイッチング素子Q2、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2を駆動制御する制御回路SWCを備えている。
第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2としては、IGBT,FET,バイポーラトランジスタ,リレー等を用いることができるが、省電力の点からMOS型の半導体素子を用いることが望ましい。これらのスイッチング素子Q1,Q2は、常時、バッテリ1から電源が供給される制御回路SWCによって駆動される。制御回路SWCは、キースイッチ2のON,OFFやバックアップ電源BKの電圧を監視し、その監視結果に応じて、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2を互いにON,OFFが逆となる関係で駆動制御する。
尚、バックアップ電源部PS_BKiは、電子制御ユニットECUiとは別体で設置しても良いが、バックアップ電源BKとしてラミネート型電池やキャパシタ等の薄型扁平の蓄電体を用いて電子制御ユニットECUiと同一の筐体内に設置することが望ましい。これにより、複数の制御ユニットの搭載性を向上すると共に、設置スペースの削減を図ることができる。
以上の分散型電源システムは、エンジン運転状態での通常モード、キースイッチ2がOFF時のバックアップモード、バックアップ電源BKに代えてバッテリ1を用いるバッテリバックアップモードを有している。以下、これらの動作モードについて、図3を参照して説明する。
先ず、キースイッチ2がOFFでエンジンが停止状態にあるT1期間では、バックアップ電源部PS_BKiの切換回路SWは、第1のスイッチング素子Q1がONで第2のスイッチング素子Q2がOFFされている。従って、制御用電源部PSiとバッテリ1との接続が遮断されると共に、バックアップ電源BKとコントローラ部CTLiとが接続され、図4に白抜き枠の矢印で示すように、バックアップ電源BKからコントローラ部CTLi内のバックアップメモリにバックアップ電源が供給される(バックアップモード)。このバックアップモードでは、例えば2.2V〜3.8Vのバックアップ電圧がバックアップメモリに供給され、バッテリ1の電力を消費することなくバックアップメモリのデータを保持することができる。
また、バックアップ電源BKの放電によってバックアップ電圧がバックアップメモリのデータを維持可能な電圧(放電下限電圧)を下回った場合には、T2期間のバッテリバックアップモードとなる。このバッテリバックアップモードでは、第1のスイッチング素子Q1がOFFされてバックアップ電源BKからの放電を阻止すると共にダイオードD1を介しての充電を可能とし、第2のスイッチング素子Q2がONされて制御用電源部PSiをバッテリ1に接続する。
これにより、バッテリ電圧が制御用電圧に変換されて制御用電源部PSiからコントローラ部CTLiに供給され、コントローラ部CTLi内のバックアップメモリのデータが保持される。すなわち、バッテリバックアップモードでは、バックアップ電源BKに代えて、主電源であるバッテリ1からバックアップメモリに電源が供給される。尚、バッテリバックアップモードでは、バッテリ1は、例えば9V〜12.5V程度で放電され、2.2V〜3.8V程度のバックアップ電源がバックアップメモリに供給される。
次に、キースイッチ2がONされると、T3期間の通常モードとなる。この通常モードでは、バッテリバックアップモードと同様、バックアップ電源部PS_BKiの切換回路SWは、第1のスイッチング素子Q1がOFF、第2のスイッチング素子Q2がONの状態を維持する。そして、エンジンが始動されてオルタネータ(図示せず)が作動すると、オルタネータによりバッテリ1が充電され、バッテリ電圧が、例えば12.5V〜14.4Vに上昇する。
また、キースイッチ2のONにより、バッテリ1から制御用電源部PSiにバッテリ電源が供給されると共に、図4に太線の矢印で示すように、バッテリ1から切換回路SWを介して制御用電源部PSiにバッテリ電源が供給され、制御用電源が生成される。この制御用電源部PSiで生成された制御用電源は、コントローラ部CTLiに供給されると共に、図4に斜線枠の矢印で示すように、切換回路SW内の第1のスイッチング素子Q1に並列に接続されたダイオードD1を介してバックアップ電源BKに供給される。
これにより、バックアップ電源BKがバッテリ1から制御用電源部PSiを介して充電され、バックアップモードでの正常動作が可能な電圧に回復するまで充電が継続される。その後、キースイッチ2がOFFされてエンジンが停止されると、バックアップモードに移行し、前述したように、バックアップ電源BKによりバックアップメモリへのバックアップ電源が確保される。
以上のように本実施の形態においては、バッテリ1が遮断されたときに電子制御ユニット内の揮発性メモリに電源を供給する専用のバックアップ電源BKを設けているので、電子制御ユニットの数が増大しても、バッテリ1の電源容量の増大を抑制しつつエネルギー効率を向上して電子制御ユニット内のバックアップメモリ(揮発性メモリ)のデータを確実に保存することができる。
しかも、バックアップ電源BKとしてラミネート型の二次電池或いはキャパシタを用いることにより、電源搭載重量を軽減して燃費向上に寄与すると共に、複数の電子制御ユニットの搭載性を向上することができる。
電源システムの全体構成図 バックアップ電源部の構成図 電源システムの動作シーケンスを示すタイムチャート バックアップ電源部の動作を示す説明図 従来の車両の電源システムを示す構成図
符号の説明
1 バッテリ(主電源)
ECUi 電子制御ユニット
PSi 制御用電源部(制御用電源装置)
CTLi コントローラ部
PS_BKi バックアップ電源部(バックアップ電源装置)
BK バックアップ電源
SW 切換回路
Q1 第1のスイッチング素子
D1 ダイオード
Q2 第2のスイッチング素子

Claims (3)

  1. 車両に搭載される複数の制御ユニットの各々に、車両の主電源を個々の制御ユニットで使用する制御用電源に変換する制御用電源装置を備えた車両用分散型電源システムにおいて、
    上記複数の制御ユニットの各々に、上記主電源が遮断されたときに各制御ユニット内の揮発性メモリに電源を供給するバックアップ電源装置を備えたことを特徴とする車両用分散型電源システム。
  2. 上記バックアップ電源装置に、
    ラミネート型二次電池或いはキャパシタによるバックアップ電源と、
    上記主電源と上記制御用電源装置の入力端との接続、及び上記バックアップ電源と上記制御用電源装置の出力端との接続を切換え、上記バックアップ電源の電圧が設定電圧を下回ったとき、上記制御用電源装置を上記主電源に接続して上記バックアップ電源への充電を可能とする切換回路とを備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用分散型電源システム。
  3. 上記切換回路に、
    上記制御用電源装置の出力端と上記バックアップ電源とを接続する接続ラインに介装された第1のスイッチング素子と、
    上記第1のスイッチング素子に並列に接続され、上記バックアップ電源に対して順方向に接続されるダイオードと、
    上記主電源と上記制御用電源装置の入力端とを接続する接続ラインに介装された第2のスイッチング素子とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用分散型電源システム。
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