JP2006324042A - フラットワイヤハーネスの製造方法、センサの製造方法、フラットワイヤハーネスの製造装置、フラットワイヤハーネスおよびセンサ - Google Patents

フラットワイヤハーネスの製造方法、センサの製造方法、フラットワイヤハーネスの製造装置、フラットワイヤハーネスおよびセンサ Download PDF

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貴啓 平澤
Hiroyuki Ishibashi
広行 石橋
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耕司 林
Masashi Kurahashi
正志 倉橋
Hiroyuki Iida
弘幸 飯田
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Abstract

【課題】 接合部の外観検査を容易に行なうことができ、また、末端処理を要しないフラットワイヤハーネスを多品種少量生産する。
【解決手段】 複数のワイヤ線101が所定間隔で貫通するワイヤ線ガイド231を、ワイヤ線101の根元部を固定しながらワイヤ線101の先端に向けて駆動し、ワイヤ線101の先端部を整列させる。ワイヤ線ガイド231から突出した複数のワイヤ線101の先端をチャックして、ワイヤ線101を所定長さ引き出す。引き出された複数のワイヤ線101の中間部を、所定の長さに予め切断された一対の接着テープ111,111間に挟み込んで複数のワイヤ線101を相互に連結する。接着テープ111により相互に連結されたワイヤ線101を、接着テープ111より根元側の所定位置で切断する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、複数のワイヤ線を有するフラットワイヤハーネスの製造方法、それに用いる製造装置およびフラットワイヤハーネス、並びにそれを用いたセンサおよびその製造方法に関する。
小型で高密度の各種の電子機器の製造においては、その構造上基板と基板をつなぐケーブルが存在する場合が多い。このようなケーブルとしては、フレキシブル配線基板(FPC)を用いるのが一般的である。
このような電子機器の一例として、出願人は特許文献1(国際公開第2002/075763号パンフレット)で、多品種少量生産への対応が可能な近接センサを提案している。この特許文献1に開示された近接センサにおいては、回路部を、物体の接近を検知する検知回路と、検知部から出力される信号を特定の形態の出力信号に変換して外部に導出する出力回路とに分割し、検知回路と出力回路との間をFPCで接続している。
一方、特許文献2(特開2001−283658号公報)においては、市販のFPCに代えて用いる、フラットケーブルの製造方法を開示している。特許文献2に開示されたフラットケーブルは、帯状のコア線(導体)とその両面に設けられたシースとを有している。一方の側のシースは長手方向に断続的に設けられて、コア線の一部がむき出しになるようにしている。
国際公開第2002/075763号パンフレット 特開2001−283658号公報
特許文献1に記載されているようなFPCを用いて回路基板間を接続する場合には、次のような問題がある。
第一の問題点としては、はんだ接合部の外観検査ができないという点が挙げられる。FPCは通常、回路基板の表面に形成された電極に対向するようにFPCの銅箔部を配置し、これらの間をはんだ付けすることで接続している。しかし、回路基板の電極の表面を銅箔部が覆うため、その接合部の目視確認することができない。はんだ接合部の非破壊検査としてはX線測定、超音波測定および電気検査などの方式があるが、いずれもインライン検査には適していない。そのためこれらを実施しようとすると生産タクトタイムに悪影響を与えることになる。
第二の問題点としては、高い加熱温度が要求される点が挙げられる。FPCを用いて回路基板間を接続する工程においては、FPCの基材側の面(導体パターンと反対側の面)にヒータが押し当てられて熱圧着が行なわれる。FPCの基材には高い耐熱性が要求されるため、ポリイミドを使用するのが一般的である。一方で、ポリイミドは熱伝導率が低いため、特定個所のはんだを溶融させるためには加熱温度を高くしなければならない。これにより、ヒータチップが短寿命化し、より多くのエネルギーを消耗するなどの弊害をもたらす。その結果、FPCを用いる機器の生産コストが上昇する。また、熱が伝わりにくい構造のため、はんだの溶融が十分でないなどの問題を引き起こす原因ともなる。
第三の問題点としては、FPCのコストが高い点が挙げられる。これにより機器全体のコストが増大する要因となる。
一方、特許文献2に記載されたフラットケーブルによると、断続的に貼り合わされるシースの長さが一定のために、製造されるフラットケーブルの被覆されている長さは全て同じ物しかできない。そのため、多品種少量の生産には対応できない。また、コア線の一方の側はむき出しになっているが、他方の側はシースに覆われている。そのためフラットケーブルを電極に接続すると、コア線と電極との接合部はシースに覆われ、外観検査を行ないにくいという問題点もある。
したがって、この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、接合部の外観検査を容易に行なうことができ、また、末端処理を要しないフラットワイヤハーネスを多品種少量生産することができる、フラットワイヤハーネスの製造方法、それに用いる製造装置およびフラットワイヤハーネス、並びにそれを用いたセンサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
この発明に基づいたフラットワイヤハーネスの製造方法は、複数のワイヤ線の先端部を整列させる工程と、整列した複数の上記ワイヤ線の先端をチャックして、上記ワイヤ線を所定長さ引き出す工程と、引き出された複数の上記ワイヤ線の中間部を、所定の長さに予め切断された接着テープ間に挟み込んで複数の上記ワイヤ線を相互に連結する工程と、上記接着テープにより相互に連結された上記ワイヤ線を、上記接着テープより根元側の所定位置で切断する工程とを有している。
このような製造方法によりフラットワイヤハーネスを製造することにより、両端が露出した複数本のワイヤ線を備えたフラットワイヤハーネスを製造することができる。これにより、ワイヤ線の端部をはんだ付けなどので電極に接続した後に目視などにより外観検査を行なうことができる。また、ワイヤ線を引き出す長さを調整することで、種々の長さのフラットワイヤハーネスを製造することができる。
この発明に基づいたセンサの製造方法は、筒状のケース体と、上記ケース体の前端部に取り付けられる検知部組立体と、上記ケース体の後端部に取り付けられる出力部組立体と、上記検知部組立体と出力部組立体との間を接続するフラットワイヤハーネスとを備えたセンサの製造方法であって、上記のフラットワイヤハーネスの製造方法により、上記検知部組立体と出力部組立体との間を接続するのに適した長さのフラットワイヤハーネスを製造する工程と、上記検知部組立体と出力部組立体との間を上記フラットワイヤハーネスで接続する工程と、上記フラットワイヤハーネスで接続された上記検知部組立体および出力部組立体を上記ケース体に組み付ける工程とを備えている。
このような製造方法によりセンサを製造することで、種々の長さのセンサを安価かつ容易に製造することができる。
この発明に基づいたフラットワイヤハーネスの製造装置は、ワイヤ線が巻き取られている複数のボビンと、上記ボビンから引き出された複数の前記ワイヤ線を挟持して固定した状態と前記ワイヤ線を解放した状態とを切り替え可能な固定部と、複数の上記ワイヤ線が貫通する貫通孔が所定間隔で複数設けられ、上記固定部に隣接する位置と上記固定部から離間した位置との間を往復動可能なワイヤ線ガイドと、上記ワイヤ線ガイドから突出する複数の上記ワイヤ線の先端部をチャックして移動し、上記ワイヤ線を所定長さ引き出すチャック部と、接着テープを対向するように保持し、上記チャック部により引き出された複数の上記ワイヤ線を上記接着テープで挟み込むように移動するテープ保持部と、複数の上記ワイヤ線を上記テープ保持部と上記ワイヤ線ガイドとの間で切断する切断装置とを備えている。
このようなフラットワイヤハーネスの製造装置を用いることで、上記のフラットワイヤハーネスの製造方法を容易に実施することができる。
上記のフラットワイヤハーネスの製造装置において、上記テープ保持部には、上記ワイヤ線が接着テープを介して嵌り込む所定間隔の溝を設けてもよい。この場合には、ワイヤ線のピッチ精度を向上させることができる。
また、上記のフラットワイヤハーネスの製造装置において、上記ワイヤ線相互の間隔を変化させるワイヤ線間隔変更部を設けてもよい。この場合には、一方の端部と他方の端部とで、ワイヤ線のピッチが異なるフラットワイヤハーネスを製造することができる。
この発明に基づいたセンサは、筒状のケース体と、上記ケース体の前端部に取り付けられた検知部組立体と、上記ケース体の後端部に取り付けられた出力部組立体と、上記検知部組立体と出力部組立体との間を接続するフラットワイヤハーネスとを備え、上記フラットワイヤハーネスは所定間隔に保持された複数のワイヤ線の中間部を一対の接着テープにより両面から挟み込んで連結している。
上記のセンサによると、種々の長さのセンサを安価かつ容易に製造することができる。
本発明によると、接合部の外観検査を容易に行なうことができ、また、末端処理を要しないフラットワイヤハーネスを多品種少量生産することができる。
この発明に基づいた各実施の形態について、図を参照しながら説明する。なお、各実施の形態において、同一または相当箇所については同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さないこととする。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係るフラットワイヤハーネス100の製造方法およびこれに用いる製造装置について、図1から図10を参照して説明する。なお、図1および図2は、本実施の形態におけるフラットワイヤハーネスの製造装置の主要部の構造を示す斜視図であり、図3ないし図8は、フラットワイヤハーネスの製造工程を示す斜視図であり、図9は、フラットワイヤハーネスにより回路基板を接続した状態を示す斜視図であり、図10は、フラットワイヤハーネスを用いて近接センサの回路基板を接続した状態を示す斜視図である。
本実施の形態に係るフラットワイヤハーネス100の製造方法は、複数のワイヤ線101が所定間隔で貫通するワイヤ線ガイド231を、ワイヤ線101の根元部を固定しながらワイヤ線101の先端に向けて駆動し、ワイヤ線101の先端部を整列させる工程と、ワイヤ線ガイド231から突出した複数のワイヤ線101の先端をチャックして、ワイヤ線101を所定長さ引き出す工程と、引き出された複数のワイヤ線101の中間部を、所定の長さに予め切断された一対の接着テープ111,111間に挟み込んで複数のワイヤ線101を相互に連結する工程と、接着テープ111により相互に連結されたワイヤ線101を、接着テープ111より根元側の所定位置で切断する工程とを備えている。
図1および図2は、上記のフラットワイヤハーネス100の製造方法を実現するための製造装置200を示している。ワイヤ線101は複数のボビン211に巻き取られており、このボビン211から順次繰り出される。ボビン211には図示しないテンション装置が設けられている。テンション装置は、メカブレーキやヒステリシスブレーキなどを有しており、この制動力によりボビン211の巻き取り方向に常時テンションが与えられ、ワイヤ線101の弛みが防止される。
ボビン211から繰り出されたワイヤ線101は、固定部221を経由する。固定部221は、上下に開閉可能な一対のブロックを有している。固定部221は、その上下のブロック間にワイヤ線101を挟持してワイヤ線101の移動を阻止する固定状態と、固定部221が上下に開いてワイヤ線101の移動が可能となる解放状態とを切り替えることができる。固定部221のブロックは、図示しない周知のエアシリンダなどにより駆動される。
固定部221を経由したワイヤ線101は、ワイヤ線ガイド231を貫通する。ワイヤ線ガイド231は、ワイヤ線101と直交する方向に延びる板状の部材であり、ワイヤ線101の数に応じた複数の貫通孔232が所定ピッチで設けられている。貫通孔232の内径は、ワイヤ線101の直径より僅かに大きくされており、ワイヤ線ガイド231をワイヤ線101の先端方向に駆動することにより、ワイヤ線101の先端を整列させることができる。ワイヤ線ガイド231がワイヤ線101の先端を整列させた状態において、ワイヤ線101の先端部は、チャック部271にチャック可能な程度の長さワイヤ線ガイド231から突出する。
ワイヤ線ガイド231は、図2に示すようにエアシリンダ234に接続されている。このエアシリンダ234に駆動されて、ワイヤ線ガイド231は、固定部221に隣接する状態と、固定部221から離間する状態との間を往復移動することができる。
ワイヤ線ガイド231により整列させられたワイヤ線101の先端部がチャック部271にチャックされ、チャック部271の移動に伴って相互に平行な状態で引き出される。このチャック部271に引き出された平行なワイヤ線101の上下面に対向するように、接着テープ111を保持するテープ保持部241が設けられている。テープ保持部241は、上下に分割された上側テープ保持部241aと、下側テープ保持部241bとを有し、それぞれの対向する面に予め所定長さに切断された接着テープ111が保持されている。接着テープ111は、真空吸着などにより保持される。
接着テープ111が保持される面には、ワイヤ線101と同じ間隔で溝242が設けられている。接着テープ111によりワイヤ線101を挟み込むと、ワイヤ線101はこの溝242に嵌り込む。これによりワイヤ線101を所定間隔に位置決めすることができる。上側テープ保持部241aおよび下側テープ保持部241bは、図2に示すように、それぞれサーボモータ244を有するアクチュエータ243により上下に駆動される。
ワイヤ線ガイド231とテープ保持部241との間に進退可能に切断装置251が設けられている。切断装置251は、一対の切断刃252a,252bを有し、これらの間に上下方向からワイヤ線101を挟み込んでワイヤ線101を切断することができる。また、ワイヤ線ガイド231は、ワイヤ線101を任意の長さに切断することができるように、ワイヤ線101の長手方向に移動可能とされている。
ワイヤ線101の先端部を挟持して引き出す方向に駆動されるチャック部271は、先端部が上下方向に開閉可能とされている。チャック部271の先端部にも、ワイヤ線101の間隔と同じ間隔で窪みを設け、ワイヤ線101の先端を位置決めするようにしてもよい。
図2に示すように、チャック部271はエアシリンダ273に連結された三本のロッド272により保持されており、これにより水平方向に駆動される。エアシリンダ273にはチャック部271がエアシリンダ273に最も近接したときに当接するストッパ274が設けられている。チャック部271は、内蔵されたエアシリンダにより駆動されて開閉する。
図3ないし図8を参照して、上記のフラットワイヤハーネスの製造装置を用いたフラットワイヤハーネス100の製造工程について説明する。図3は、前工程のフラットワイヤハーネス100の製造が終了した状態を示しており、ワイヤ線101の先端部は乱れた状態である。また、固定部221は閉じた状態となり、ワイヤ線101の根元部を挟持して固定している。まず、ワイヤ線ガイド231がワイヤ線101の先端側に移動し、図4に示すように、ワイヤ線101の先端部を整列させる。
続いて、チャック部271がワイヤ線ガイド231の近傍まで移動し、整列したワイヤ線101の先端部を挟持した後、図5に示すように後退し、ワイヤ線101を所定の長さ引き出す。さらに、所定長さの接着テープ111を保持したテープ保持部241が駆動され、ワイヤ線101を上下方向から挟み込む。
この接着テープ111の基材としては、フッ素樹脂(PTFE(polytetrafluoroethylene)樹脂、PFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)樹脂、ポリイミド、PET(polyethylene terephthalate)、PPS(poly(p-phenylene sulfide))などを用いることができる。また、接着テープ111に設ける粘着物質としては、シリコーン系の粘着物質の他、たとえばnon−DBDPE(non-Decabromodiphenylether)などの難燃性接着材からなる粘着物質などを用いることができる。さらに、接着テープ111に用いる粘着物質は、常時粘着性を有するものに限定されず、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などで構成された粘着物質を用いてもよい。このような粘着物質を用いる場合には、上述のテープ保持部241に加熱機構を設けておく。
また、接着テープ111の長さは、最終的に必要となるフラットワイヤハーネス100の全長に応じて決定され、ワイヤ線101が接着テープ111の両端から突出する長さのものが採用される。接着テープ111は、製造されるフラットワイヤハーネス100の全長に応じた任意の長さのものを用いることができる。この接着テープ111は、フラットワイヤハーネス100を製造する都度、所定の長さに切断して使用しても良いし、予め種々の所定長さに切断したものをストックし、適宜選択して使用しても良い。
接着テープ111の厚みは、たとえば0.03から2.0mm程度のものを用いることが好ましい。また、好ましくは、薄い厚みの接着テープ111を用いて、フラットワイヤハーネス100を湾曲させるようにしてもよい。
テープ保持部241の接着テープ111を保持する面には、所定間隔で溝242が設けられている。図7に示すように、ワイヤ線101をテープ保持部241で上下方向から挟み込んだ状態において、ワイヤ線101は、接着テープ111を介して溝242に嵌り込む。これにより、ワイヤ線101の相互の間隔は、溝242の間隔と一致する。その結果、複数設けられるワイヤ線101のピッチのばらつきを抑制し、より設計値に近い正確なピッチとすることができる。
また、ワイヤ線101の表面形状に沿って接着テープ111が接着されるのでワイヤ線101と接着テープ111との接触面積が増してこれらが強固に接着され、また、隣り合うワイヤ線101,101間において、接着テープ111が相互に密着するので、接着テープ111相互も強固に固定される。これらにより、ワイヤ線101に位置ずれが生じにくいフラットワイヤハーネス100を構成することができる。
最後に、ワイヤ線ガイド231が固定部221の側に後退した後、図8に示すように、切断装置251によりワイヤ線101の接着テープ111より根元側を所定長さに切断して、フラットワイヤハーネス100が完成する。
図9は、フラットワイヤハーネス100を使用して、回路基板131と回路基板132との間を接続する例を示している。図9に示すように、本実施の形態のフラットワイヤハーネス100においては、その両端部のワイヤ線101が露出しているので、露出したワイヤ線101と回路基板131,132の電極141との接続部も露出する。これによりたとえばはんだ付けでフラットワイヤハーネス100と電極141とを接続した場合には、外観検査によりはんだの状態を確認することができる。これにより接続部の検査をインラインで行なうことができる。また、ワイヤ線101が露出しているので、ワイヤ線101を直接加熱することができる。これによりFPCをはんだ付けするときに問題になったような、加熱時の加熱温度の上昇に伴うヒータチップの短寿命化、消費エネルギーの増大などの問題を回避することができる。さらに、所定の長さに予め切断された接着テープ111を用いるので、被覆を除去してワイヤ線101を露出させる作業が不要となり、被覆材料の無駄が無くなり、これらの廃棄コストも発生しない。これによりコストダウンも達成できる。
本実施の形態のフラットワイヤハーネス100の製造方法においては、チャック部271によりワイヤ線101を引き出すので、引き出す長さを変更することでフラットワイヤハーネス100の全長を適宜変更することができ、種々の長さのフラットワイヤハーネス100を製造することができる。これにより、フラットワイヤハーネス100の多品種少量生産(一個流し)に対応することができる。
また、ワイヤ線ガイド231で先端部を整列させたワイヤ線101をチャック部271によりチャックするので、ワイヤ線101のピッチを正確にすることができる。さらに、テープ保持部241の接着テープ111を保持する面に溝242を設けているので、ワイヤ線101が接着テープ111を介して溝242に嵌り込み、ワイヤ線101のピッチ精度をさらに向上させることができる。
図10は、このフラットワイヤハーネス100を近接センサ150に用いた例を示している。近接センサ150は、コイルを共振回路要素とする発振回路を備えて、このコイルに物体が近づくことによって生じる発振回路の発振振幅の減少や発振の停止を検知することにより、物体の接近を非接触で検知する装置である。図10に示す近接センサ150は、検知部組立体151と、出力部組立体152とを有しており、これらを円筒状のケース153に組み付けることによって構成されている。検知部組立体151はコイル、コア、検知回路などを有している。出力部組立体152は出力回路を含み、その端部には図示しないコネクタが接続される。
その製造工程としては、まず、必要な長さのフラットワイヤハーネス100を上述の製造方法にて製造し、このフラットワイヤハーネス100を検知部組立体151と出力部組立体152とにはんだ付けなどで接続する。続いて、フラットワイヤハーネス100をU字状に湾曲変形させた後、ケース153に組み付ける。その後、出力部組立体152に図示しないコネクタなどを取り付ける。
フラットワイヤハーネス100と回路基板の電極とをはんだ付けする工程においては、次のような工程を採用しうる。まず、電極の表面にはんだの皮膜(予備はんだ)を形成する。次に、フラットワイヤハーネス100のワイヤ線101を櫛歯状の保持具により電極上に位置決めする。続いて、ワイヤ線101の位置に凹部が形成された加熱チップをワイヤ線101の表面側から押し当てて予備はんだを溶融させ、ワイヤ線101の端部と電極とをはんだ付けする。
近接センサは、様々な用途に用いられるため、求められる仕様も様々である。この様々な仕様が存在する近接センサを効率的に生産するために、近接センサ150の回路部を検知回路と出力回路に分割して、それぞれを検知部組立体151および出力部組立体152として構成し、その用途に応じて、これらを適宜選択して組み合わせ、それらの間をフラットワイヤハーネス100で接続している。したがって、求められるフラットワイヤハーネス100の長さも、製造される近接センサの寸法に応じて様々である。
本実施の形態のフラットワイヤハーネスの製造方法によると、任意の長さのフラットワイヤハーネス100を製造することができるので、多様な近接センサに用いる種々の長さのフラットワイヤハーネス100を容易に製造することができる。また、接続部に加わる応力を緩和するため、或いは伸縮性を持たせるためにフラットワイヤハーネス100を湾曲させる場合でも、本実施の形態のフラットワイヤハーネス100においては、接着テープ111が相互に強固に接着され、また、接着テープ111とワイヤ線101とが強固に接着されているので、フラットワイヤハーネス100を湾曲変形させた場合でもワイヤ線101が位置ずれを防止することができる。
さらに、従来用いられていたFPCは比較的高価であったが、このフラットワイヤハーネス100の製造方法によると、接着テープ111の無駄が生じないこと、接着テープ111に安価な材料を選択できることなどにより、フラットワイヤハーネス100を安価に製造することができる。
(実施の形態2)
続いて実施の形態2に係るフラットワイヤハーネス100の製造方法およびこれに用いる製造装置について、図11から図14を参照して説明する。なお、図11から図13は、本実施の形態におけるフラットワイヤハーネスの製造装置の主要部の構造を示す斜視図であり、図14は、本実施の形態に係るフラットワイヤハーネスの構造を示す斜視図である。
本実施の形態の製造装置においては、図11から図13に示すように、ワイヤ線間隔変更部が設けられている。具体的には、ワイヤ線間隔変更部は、昇降自在のワイヤ幅規制ピンブロック311と、昇降自在且つ回転自在の、一対のワイヤ幅変更ピンブロック321,331とで構成されている。ワイヤ幅規制ピンブロック311およびワイヤ幅変更ピンブロック321,331の上面には、上向きに突出した複数のピンが設けられている。
図11から図13は一例として、ワイヤ線101が4本の場合を示している。ワイヤ幅規制ピンブロック311の上面にはこれに対応して、4本のピンが設けられており、それぞれワイヤ線101の外側に当接するように配置されている。
また、ワイヤ幅変更ピンブロック321,331の上面には、それぞれ3本のピンが設けられている。中央のピンは長尺に構成されワイヤ幅変更ピンブロック321,331の回転中心上に位置している。この中央のピンは、図12に示すように、その長手方向がワイヤ線101と平行になるように、中央の2本のワイヤ線101の間に挿入され、図13に示すように、ワイヤ幅変更ピンブロック321,331を回転させることで、ワイヤ線101の延びる方向と直交方向となり、中央の2本のワイヤ線101の間隔を広げることができる。ワイヤ幅変更ピンブロック321,331の外側のピンは、ワイヤ幅変更ピンブロック321,331の回転中心から所定距離離れて配置されている。初期状態では、外側のピンとワイヤ幅変更ピンブロック321,331の回転中心とを結ぶ線は、ワイヤ線101と斜めに交差する方向に位置している。この状態で、外側のピンは中央と外側のワイヤ線101の間に挿入され、ワイヤ幅変更ピンブロック321,331を回転させることで、外側のピンとワイヤ幅変更ピンブロック321,331の回転中心とを結ぶ線がワイヤ線101と直交する方向となり、外側のワイヤ線101を外側に移動させる。
このようなワイヤ線間隔変更部を設けることで、図13に示すように、ワイヤ線101の間隔を、ワイヤ幅規制ピンブロック311より先端側と、一対のワイヤ幅変更ピンブロック321,331の間に挟まれる部分とで異なるようにすることができる。この状態で、実施の形態1と同様の工程により図13に破線で示す位置に接着テープ111を貼設することで、ワイヤ線101の間隔を固定することができる。
続いて、図13に矢印で示す位置でワイヤ線101を切断することで一端と他端とでワイヤ線101の間隔が異なるフラットワイヤハーネス100が完成する。必要に応じて、接着テープ111の間のワイヤ線101にも被覆として接着テープ111を貼設してもよい。なお、ワイヤ線101を矢印で示す位置で切断すると、ワイヤ線ガイド231から比較的長いワイヤ線101が先端側に突出した状態となるが、固定部221より根元側にワイヤ線戻しチャック222を設け、これによりワイヤ線101をチャックして、ワイヤ線ガイド231から適当な長さ突出する状態までワイヤ線101を引き戻すようにしてもよい。
本実施の形態のフラットワイヤハーネス100の製造方法によると、図14に示すような、一端と他端とでワイヤ線101のピッチが異なるフラットワイヤハーネス100を製造することができる。これにより、一方の回路基板131と他方の回路基板132とで接続すべき電極141のピッチが異なるような場合にも、これらに応じたフラットワイヤハーネス100を製造することができる。
その結果、たとえば実施の形態1で説明したような近接センサにおいて、検知部組立体の回路基板と出力部組立体の回路基板とで接続すべき電極のピッチが異なるような場合でも、これらを容易に接続することが可能なフラットワイヤハーネス100を製造することができる。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
この発明に基づいた実施の形態1におけるフラットワイヤハーネスの製造装置の主要部の構造を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるフラットワイヤハーネスの製造装置の主要部の構造を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるフラットワイヤハーネスの製造工程を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるフラットワイヤハーネスの製造工程を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるフラットワイヤハーネスの製造工程を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるフラットワイヤハーネスの製造工程を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるフラットワイヤハーネスの製造工程を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるフラットワイヤハーネスの製造工程を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるフラットワイヤハーネスにより回路基板を接続した状態を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態1におけるフラットワイヤハーネスにより近接センサの回路基板を接続した状態を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態2におけるフラットワイヤハーネスの製造装置の主要部の構造を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態2におけるフラットワイヤハーネスの製造装置の主要部の構造を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態2におけるフラットワイヤハーネスの製造装置の主要部の構造を示す斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態2におけるフラットワイヤハーネスの構造を示す斜視図である。
符号の説明
100 フラットワイヤハーネス、101 ワイヤ線、111 接着テープ、131,132 回路基板、150 近接センサ、151 検知部組立体、152 出力部組立体、153 ケース、200 製造装置、211 ボビン、221 固定部、231 ワイヤ線ガイド、232 貫通孔、241 テープ保持部、242 溝、251 切断装置、271 チャック部、311 ワイヤ幅規制ピンブロック、321,331 ワイヤ幅変更ピンブロック。

Claims (7)

  1. 複数のワイヤ線の先端部を整列させる工程と、
    複数の前記ワイヤ線の先端をチャックして、前記ワイヤ線を所定長さ引き出す工程と、
    引き出された複数の前記ワイヤ線の中間部を、所定の長さに予め切断された一対の接着テープ間に挟み込んで複数の前記ワイヤ線を相互に連結する工程と、
    前記接着テープにより相互に連結された前記ワイヤ線を、前記接着テープより根元側の所定位置で切断する工程とを備えたフラットワイヤハーネスの製造方法。
  2. 筒状のケース体と、前記ケース体の前端部に取り付けられる検知部組立体と、前記ケース体の後端部に取り付けられる出力部組立体と、前記検知部組立体と出力部組立体との間を接続するフラットワイヤハーネスとを備えたセンサの製造方法であって、
    請求項1に記載のフラットワイヤハーネスの製造方法により、前記検知部組立体と出力部組立体との間を接続するのに適した長さのフラットワイヤハーネスを製造する工程と、
    前記検知部組立体と出力部組立体との間を前記フラットワイヤハーネスで接続する工程と、
    前記フラットワイヤハーネスで接続された前記検知部組立体および出力部組立体を前記ケース体に組み付ける工程とを備えた、センサの製造方法。
  3. ワイヤ線が巻き取られた複数のボビンと、
    前記ボビンから引き出された複数の前記ワイヤ線を挟持して固定した状態と前記ワイヤ線を解放した状態とを切り替え可能な固定部と、
    複数の前記ワイヤ線が貫通する貫通孔が所定間隔で複数設けられ、前記固定部に隣接する位置と前記固定部から離間した位置との間を往復動可能なワイヤ線ガイドと、
    前記ワイヤ線ガイドから突出する複数の前記ワイヤ線の先端部をチャックして移動し、前記ワイヤ線を所定長さ引き出すチャック部と、
    接着テープを対向するように保持し、前記チャック部により引き出された複数の前記ワイヤ線を前記接着テープで挟み込むように移動するテープ保持部と、
    複数の前記ワイヤ線を前記テープ保持部と前記ワイヤ線ガイドとの間で切断する切断装置とを備えた、フラットワイヤハーネスの製造装置。
  4. 前記テープ保持部には、前記ワイヤ線が接着テープを介して嵌り込む所定間隔の溝が設けられている、請求項3に記載のフラットワイヤハーネスの製造装置。
  5. 前記ワイヤ線相互の間隔を変化させるワイヤ線間隔変更部が更に設けられている、請求項3または4に記載のフラットワイヤハーネスの製造装置。
  6. 両端部において相互に平行に保持された複数のワイヤ線と、
    前記ワイヤ線の中間部を両面から挟み込んで前記ワイヤ線を相互に連結する接着テープとを備え、
    一方の端部と他方の端部とで前記ワイヤ線の間隔が異なる、フラットワイヤハーネス。
  7. 筒状のケース体と、
    前記ケース体の前端部に取り付けられた検知部組立体と、
    前記ケース体の後端部に取り付けられた出力部組立体と、
    前記検知部組立体と出力部組立体との間を接続するフラットワイヤハーネスとを備え、
    前記フラットワイヤハーネスは所定間隔に保持された複数のワイヤ線の中間部を一対の接着テープにより両面から挟み込んで連結している、センサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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