ところで、図17〜図19に示した上記システムにあっては、内燃機関の点火・始動スイッチであるイグニッションスイッチIGSWによる給電の経路(通電ライン)が、他の手段による給電の経路(通電ライン)と合流するようになっている。具体的には、例えば図17および図18に示したシステムにあっては、制御対象とするスタータSTへの給電経路について、上記イグニッションスイッチIGSWによる給電の経路と上記スタータリレーSRによる給電の経路とが合流点P1にて互いに合流している。また、図19に示したシステムにあっては、上記スタータリレーSRへの給電経路について、上記イグニッションスイッチIGSWによる給電の経路と上記ISS用コントローラCT3による給電の経路とが合流点P2にて互いに合流している。このため、上記スイッチIGSWと同時に、これら給電経路を合流する手段(リレーSRやコントローラCT3)によっても給電が実行されるようなことがあると、その給電経路に対して規定値以上の電流(過電流)が供給されて、同経路(合流後の共通部分)やリレー素子、さらにはスタータ自体に損傷を与えてしまうことが懸念されるようになる。以下、先の図17および図18に示したシステムを例にとって、図20(a)〜(c)を参照しつつ、この課題についてさらに説明する。なお、図20(a)および(b)は上記スタータリレーSR、イグニッションスイッチIGSWのオン/オフ状態の推移を示すタイムチャート、また図20(c)は上記スタータST(リレーコイルRC)の給電経路、詳しくはその合流(合流点P1)後の共通部分における電流量の推移を示すタイムチャートである。
同図20(a)〜(c)に示されるように、ISS用コントローラCT3によるスタータリレーSRの駆動制御(オン制御)のみによって上記スタータSTに対する給電が行われている間は、同スタータSTの給電経路における電流量(図20(c)中の破線)は適正な範囲(規定範囲)にある。しかしここで、例えばアイドリングストップ制御のラン復帰に際してさらに運転者等(ユーザ)によるイグニッションスイッチIGSWのオン操作があって、これに基づく給電が開始されたとすると、図20(c)に実線で示されるように、給電経路の一部(合流後の共通部分)に対して集中的に規定値以上の電流(過電流)が供給されるようになる。そしてこれにより、同経路(配線)やリレー素子、さらにはスタータ自体に損傷を与えてしまうことが懸念されるようになる。
そこで従来、これらワイヤ(配線部材)およびリレー素子、さらにはスタータとして、こうした過電流にも耐え得るものを選定して採用することも行われているものの、こうした構成によっては新たに、これら部品(装置)について大型化、コスト上昇といった問題を招くことになってしまう。またこのほかにも、例えば特開2005−90301号公報に記載のように、スタータの運転についてその自動/手動を切り換えるスイッチ(切換スイッチ)を設けるようにした構成などが提案されている。しかし、こうした構成によっては、制御が複雑になることで、いわば故障の起き易い環境を作り出してしまうことにもなり、故障等のいわゆる不測の事態への対応が未だ十分とはいえない。すなわち結局のところ、これらの構成によっても、上記課題を抜本的に解決するには至っていない。
また、スタータの故障・消耗等にも対応すべくスタータをもう1つ設けるようにしたシステム、例えば図21に示されるような2つのスタータを備えるシステムにあっては、逆に電流量の不足が問題になる。以下、図21および図22を参照して、この課題についてさらに説明する。なお、図21は、このシステムの概略構成を示すブロック図である。
同図21に示されるように、このシステムは、大きくは、当該車両に搭載されている内燃機関(エンジン)を外部から駆動してこれを自力回転させる第1および第2のスタータST1およびST2と、このうちの第2スタータST2のアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCT3とを備えて構成されている。詳しくは、該コントローラCT3は、上記第2スタータST2への給電の断続制御を行うべくその給電経路中にあるスタータリレーSR2を開(オフ)/閉(オン)駆動するスタータリレー駆動回路SC2や、この回路SC2と協働して同第2スタータST2のアイドリングストップ動作を制御するマイクロコンピュータMC3等を有して構成されている。
一方、上記第1スタータST1に対しては、特にその給電経路に対し、内燃機関の点火・始動スイッチであるイグニッションスイッチIGSWが設けられており、このスイッチIGSWのオフ(開)/オン(閉)操作に基づいて同第1スタータST1への給電が断続されるようになっている。なお、該イグニッションスイッチIGSWの配設される第1スタータST1の給電経路(詳しくはリレーコイルの通電ライン)は、上記スタータリレーSR2の配設されている第2スタータST2への給電経路(同上)共々、これらに共通の電源(電源電圧「+B」)に接続されている。
すなわちこのシステムにおいては、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際、運転者等による上記イグニッションスイッチIGSWのオン操作に基づいて、あるいは上記マイクロコンピュータMC3の指令に基づいて、上記スタータST1およびST2のいずれか一方に対して給電が実行される。そうして、そのスタータ(スタータモータ)により、内燃機関に対するクランキング(スタータ駆動)が開始されることになる。
また、図22は、上記システムの動作例を示すタイムチャートである。なお、これら図22(a)〜(d)において、(a)および(b)は、上記スタータリレーSR2、イグニッションスイッチIGSWのオン/オフ状態の推移を示すタイムチャート、また(c)および(d)は、上記第2および第1のスタータST2およびST1の給電経路における電流量の推移を示すタイムチャートである。
同図22(c)、(d)に破線にて示すように、コントローラCT3によるスタータリレーSR2のオン制御、あるいはユーザによるイグニッションスイッチIGSWのオン操作によって、上記スタータST1およびST2の一方のみに給電が行われている間は、該スタータに供給される電流量は適正な範囲(規定範囲)におかれる。しかしここで、図22(a)および(b)に実線にて示すように、これら2つのスタータST1およびST2に対して同時に給電が行われるようなことがあると、同図22(c)および(d)に実線にて示されるように、共通の電源(電源電圧「+B」)による電流供給量が不足して、各スタータの駆動に必要とされるだけの電力の確保が困難となり、ひいてはこれらスタータに駆動不良等が生じるおそれすらある。
こうした事態を回避するためには、例えば上記2つのスタータST1およびST2の電源(車載バッテリ等)として、これら2つのスタータが同時に駆動された場合にあっても十分に電力を確保し得るだけの容量をもった電源(バッテリ)を採用することなども考えられる。しかし、こうした構成によってもやはり新たに、当該電源本体の大型化やコスト上昇といった問題を招くことになってしまい、結局のところ、こうした2つのスタータによるシステムは、未だ実用化にすら至っていない実情にある。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、制御性の複雑化を低く抑えつつ、アイドリングストップ制御のラン復帰に際して誤ったタイミングで給電操作がなされた場合であれ、スタータ本体やリレー素子への供給電流量を規定範囲に収めることのできる電子制御装置およびそのアイドリングストップ制御方法を提供することを目的とする。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車載内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動するスタータと、該スタータの給電経路中に配設されてオフ/オン操作されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータスイッチと、該スタータスイッチの配設された給電経路と途中で合流する前記スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータリレーとを備えて構成される車載制御システムにあって、前記スタータスイッチのオフ/オン操作とは別途に、前記スタータリレーを開/閉駆動して前記スタータのアイドリングストップ動作を制御する電子制御装置として、前記スタータスイッチの配設された給電経路を一時的に遮断状態に固定してこの期間だけ同スタータスイッチの操作に基づく前記スタータへの給電を禁止する禁止手段を備え、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記禁止手段によって前記スタータスイッチの操作に基づく前記スタータへの給電を禁止しておきこの状態で、前記スタータリレーとの協働のもとに前記スタータの駆動を制御する構成とする。
当該電子制御装置を含む上記車載制御システムにあっては、制御対象とするスタータの給電経路中にスタータスイッチが配設され、このスタータスイッチのオフ/オン状態に応じて該スタータへの給電が断続されるようになっている。すなわち平常時、例えば運転者により同スイッチがオン(閉)操作されたときには上記スタータへの給電が実行され、逆に同スイッチがオフ(開)操作されたときには、そのスタータへの給電が遮断される。しかしながら、車両(特にスタータ)を制御する電子制御装置としての上記構成においては、このスタータスイッチの配設された給電経路を一時的に遮断状態に固定する禁止手段を新たに設け、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際には、この禁止手段によって同経路を遮断させるようにしている。これにより、当該機関のラン復帰を実行している間は、誤ったタイミングで手動による給電操作、すなわちスタータスイッチのオン操作がなされた場合であれ、この経路を通じて給電が実行されることはなくなる。すなわち、給電経路の一部(合流後の共通部分)に対して前述した規定値以上の電流(過電流)が供給されることはなくなり、ひいては同経路(配線)やリレー素子、さらにはスタータ自体に損傷を与えてしまう事態は好適に回避されるようになる。
しかも、こうした構成によれば、禁止手段を追加するだけでこうした過電流の回避が実現されるため、システム自体の簡素な構成は維持され、ひいてはその保守性も高く維持されるようになる。さらに、この禁止手段について必要とされる制御は、上記スタータスイッチ操作に基づく給電を禁止したいとき(禁止期間)に同手段をオン(遮断)制御する(オン(遮断)制御しておく)といった簡単な制御だけで事が足り、こうした制御性についても、これが極めてシンプルに保たれることになる。
なお、例えば上記禁止手段を直列に複数(例えば2つ)接続して設けるようにすれば、そのいずれかが故障(閉固定)した場合にあってもこれに柔軟に対応することのできる構成となる。すなわち上記構成は、簡単、容易にセキュリティレベルを高めることができるという特長も併せもち、前述した故障等のいわゆる不測の事態に対しても強い耐性を有している。
また、請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の電子制御装置において、前記システムを、前記スタータのほかにこれと同じく前記内燃機関を外部から駆動する復帰用スタータを備えるとともに、さらに、該復帰用スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同復帰用スタータへの給電を断続させる復帰用スタータリレーと、前記復帰用スタータの異常を検知する異常検知手段とを備える構成とし、該システムにあって、平常時には、前記復帰用スタータリレーとの協働のもと、前記内燃機関のアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態への復帰を前記復帰用スタータに行わせる一方、前記異常検知手段によってその異常が検知されるときには、同復帰用スタータの駆動を中止するとともに、前記内燃機関のアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態への復帰を他方の前記スタータに行わせるようにする。
こうした構成によれば、平常時に使用している復帰用スタータや復帰用スタータリレーが、例えば故障・消耗等により使用できなくなるような事態になっても、これが復帰用スタータの動作異常として上記異常検知手段により検知され、別の正常なスタータ(前記スタータ)により当該機関のラン復帰が適正に行われるようになる。ちなみに、このスタータ(前記スタータ)は、例えば内燃機関の始動などにも用いることができる。
なお、前記異常検知手段によって復帰用スタータの異常が検知されるとき、単に同復帰用スタータの駆動を中止するだけでなく、これを中止した上で、さらにこの駆動を禁止することとすれば、セキュリティレベルをさらに高めることも可能である。
また、請求項3に記載の発明では、上記請求項2に記載の電子制御装置において、前記スタータについてはこれを、前記スタータスイッチのオン/オフ操作に基づいてその作動/停止が制御されるように構成し、また他方の前記復帰用スタータについてはこれを、前記スタータスイッチの操作とは独立して別途その作動/停止が制御されるように構成することとする。
こうした構成にすれば、前記禁止手段によって給電経路が遮断されることで、上記スタータスイッチのオン操作(給電操作)がなされても、前記スタータがこの操作(手動操作)に基づく作動を開始することはなくなる。すなわち平常時、復帰用スタータによってラン復帰を行っている間は、誤ったタイミングで手動による給電操作、すなわちスタータスイッチのオン操作がなされた場合であれ、この誤操作に伴い上記2つのスタータが誤って同時に作動して(給電されて)しまうような事態は好適に回避され、ひいては前述したスタータ駆動に際しての電力不足の問題をはじめとした一時の過剰な電力消費に起因する諸々の問題が未然に防止されるようにもなる。
またこのとき、請求項4に記載の発明によるように、前記スタータスイッチの操作に基づく前記スタータへの給電を禁止する期間においては、前記禁止手段により、前記スタータスイッチの配設された給電経路と共々、前記スタータリレーの配設された給電経路も遮断状態に固定して、同スタータリレーに基づく前記スタータへの給電も併せ禁止するように構成することとすれば、上記スタータスイッチの誤操作だけでなく、前記スタータリレーの故障・消耗(例えばオン(閉)固定)等にも起因して生じ得る、上記2つのスタータが同時に給電、作動されてしまう事態についてもこれが好適に回避されるようになる。すなわち、こうした構成を採用することで、前述したスタータ駆動に際しての電力不足の問題をはじめとした諸々の問題がより確実に防止されるようになる。
そして、こうした禁止手段としては、具体的には請求項5に記載の発明によるように、前記スタータスイッチと前記スタータとの間にあって、前記スタータスイッチの配設された給電経路と前記スタータリレーの配設された給電経路との合流点もしくは該合流点よりも前記スタータ寄りに配設され、継続的な開状態をもってこれらスタータスイッチの操作並びにスタータリレーの駆動に基づく前記スタータへの給電を禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子により構成されるものを採用することが有効である。こうした構成によれば、上記請求項4に記載の構成が実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
また、請求項6に記載の発明では、請求項4または5に記載の構成を前提として、当該電子制御装置による制御を補助する補助制御装置を通信可能に接続されるかたちでさらに備え、該補助制御装置に前記禁止手段の駆動制御を行わせる構成とする。こうした構成によれば、当該電子制御装置に故障等の異常が生じた場合であれ、該電子制御装置と通信可能に接続された上記補助制御装置により前記禁止手段の駆動が所望に制御されるようになる。このため、前述したスタータスイッチの誤操作に伴う不都合は、より高いセキュリティレベルをもって、より好適に回避されるようになる。
またこの場合、平常時は、上記補助制御装置に当該電子制御装置の異常の有無を監視させつつ当該電子制御装置により前記禁止手段の駆動制御を行うようにして、上記補助制御装置によって当該電子制御装置の異常が検知されたときにのみ、当該電子制御装置に代えて同補助制御装置に前記禁止手段の駆動制御を行わせる構成とすれば、平常時(正常時)は電子制御装置間の通信によることなくスタータの駆動制御が行われるようになり、もってセキュリティレベルはさらに高められることになる。
また一方、上記請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子制御装置における前記禁止手段としては、具体的には請求項7に記載の発明によるように、前記スタータスイッチと前記スタータとの間に配設されて、継続的な開状態をもって前記スタータスイッチの操作に基づく前記スタータへの給電を禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子により構成されるものを採用することが有効である。こうした構成によれば、上記請求項1〜3のいずれか一項に記載の構成は実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
また、先の請求項5に記載の発明も含め、こうしたスイッチング素子としては、請求項8に記載の発明によるように、半導体素子からなるスイッチング素子を有して構成されるものを採用することが特に有効である。一般に、トランジスタ等の半導体素子からなるスイッチング素子は長寿命で、しかも低コストなものが多い。このため、信頼性の高い構成を低コストで実現するためには、こうした構成が特に有効である。
また、請求項9に記載の発明では、請求項2〜8のいずれか一項に記載の構成を前提として、当該電子制御装置による制御を補助する補助制御装置を通信可能に接続されるかたちで備え、該補助制御装置に前記スタータリレーおよび前記禁止手段の駆動制御を行わせる構成とする。こうした構成によれば、当該電子制御装置に故障等の異常が生じた場合であれ、該電子制御装置と通信可能に接続された上記補助制御装置によって、前記スタータリレーの駆動(開/閉駆動)および前記禁止手段の駆動が所望に制御されるようになる。これにより、復帰用スタータや復帰用スタータリレーに異常が生じた場合だけでなく、これらを制御する当該電子制御装置自体に故障等の異常が生じた場合にもこれに柔軟に対応して適正な制御を維持し続けることが可能になる。
また、上記請求項1〜9のいずれか一項に記載の電子制御装置は、請求項10に記載の発明によるように、前記スタータスイッチが、前記車載内燃機関の点火・始動スイッチ、すなわち運転者等(ユーザ)の手動操作に基づいて同機関を始動させるイグニッションスイッチである構成について採用して特に有効である。
一般にスタータの主な用途としては、上述の内燃機関のラン復帰のほかに、内燃機関の始動がある。そして、内燃機関の始動は、ユーザ(運転者等)の意思に基づいて実行されるよう、通常、始動スイッチであるイグニッションスイッチの操作(通常はキー操作)に応じて実行されるようになっている。上記請求項10に記載の構成によれば、ここに述べた2つの用途を同時に満たす構成にあっても、前述したスタータ本体やリレー素子への供給電流量を規定範囲に収めることができるようになり、より実情に適したかたちで上記請求項1〜9のいずれか一項に記載の構成が好適に実現されるようになる。
また一方、請求項11に記載の発明では、車載内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動するスタータと、該スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータリレーと、該スタータリレーへの給電経路中に配設されてオン/オフ操作されることに基づいて同スタータリレーを閉/開駆動するスタータスイッチとを備えて構成される車載制御システムにあって、前記スタータスイッチの配設された給電経路と途中で合流する給電経路を通じた電流供給の有無に基づき前記スタータスイッチの操作とは別途に前記スタータリレーを閉/開駆動して、このスタータリレーの駆動に基づいて前記スタータのアイドリングストップ動作を制御する電子制御装置として、前記スタータスイッチの配設された給電経路を一時的に遮断状態に固定してこの期間だけ同スタータスイッチの操作に基づく前記スタータリレーへの給電を禁止する禁止手段を備え、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記禁止手段によって前記スタータスイッチの操作に基づく前記スタータリレーへの給電を禁止しておきこの状態で、前記電流供給の有無に基づく前記スタータリレーの駆動制御のもとに前記スタータの駆動を制御する構成とする。
こうした構成としても、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際には、前述と同様、上記禁止手段によって給電経路が遮断され、誤ったタイミングで手動による給電操作、すなわちスタータスイッチのオン操作がなされた場合であれ、給電経路の一部(合流後の共通部分)に対し前述した規定値以上の電流(過電流)が供給されることはなくなり、ひいては同経路(配線)やリレー素子(特にスタータリレー)等に損傷を与えてしまう事態は好適に回避されるようになる。しかもこの場合も、前述と同様、システム自体の簡素な構成が維持され、そしてその保守性が高く維持されることになる。また、その制御性がシンプルに保たれることも前述と同様である。
また、請求項12に記載の発明では、上記請求項11に記載の電子制御装置において、前記システムを、前記スタータのほかにこれと同じく前記内燃機関を外部から駆動する復帰用スタータを備えるとともに、さらに、該復帰用スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同復帰用スタータへの給電を断続させる復帰用スタータリレーと、前記復帰用スタータの異常を検知する異常検知手段とを備える構成とし、該システムにあって、平常時には、前記復帰用スタータリレーとの協働のもと、前記内燃機関のアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態への復帰を前記復帰用スタータに行わせる一方、前記異常検知手段によってその異常が検知されるときには、同復帰用スタータの駆動を中止するとともに、前記内燃機関のアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態への復帰を他方の前記スタータに行わせるようにする。
こうした構成によれば、平常時に使用している復帰用スタータや復帰用スタータリレーが例えば故障・消耗等により使用できなくなるような事態になっても、これが復帰用スタータの動作異常として上記異常検知手段により検知され、別の正常なスタータ(前記スタータ)により当該機関のラン復帰が適正に行われるようになる。ちなみに、このスタータ(前記スタータ)は、例えば内燃機関の始動などにも用いることができる。
なおこの場合も、前記異常検知手段によって復帰用スタータの異常が検知されるとき、単に同復帰用スタータの駆動を中止するだけでなく、これを中止した上で、さらにこの駆動を禁止することとすれば、セキュリティレベルはさらに高められることになる。
また、請求項13に記載の発明では、上記請求項12に記載の電子制御装置において、前記スタータについてはこれを、前記スタータスイッチのオン/オフ操作に基づいてその作動/停止が制御されるように構成し、また他方の前記復帰用スタータについてはこれを、前記スタータスイッチの操作とは独立して別途その作動/停止が制御されるように構成することとする。
こうした構成としても、平常時、復帰用スタータによってラン復帰を行っている間は、前述と同様、誤ったタイミングで手動による給電操作、すなわちスタータスイッチのオン操作がなされた場合であれ、この誤操作に伴い上記2つのスタータが誤って同時に作動して(給電されて)しまうような事態は好適に回避され、ひいては前述したスタータ駆動に際しての電力不足の問題をはじめとした一時の過剰な電力消費に起因する諸々の問題が未然に防止されるようになる。
またこのとき、請求項14に記載の発明によるように、前記スタータスイッチの操作に基づく前記スタータリレーへの給電を禁止する期間においては、前記禁止手段により、前記スタータスイッチの配設された給電経路と共々、前記スタータリレーを駆動すべく実行される電流供給のための給電経路も遮断状態に固定して、該電流供給に基づく前記スタータリレーへの給電も併せ禁止するように構成することとすれば、上記スタータスイッチの誤操作だけでなく、当該電子制御装置の故障・消耗(例えば誤ったタイミングでの前記スタータリレーへの電流供給)等にも起因して生じ得る、上記2つのスタータが同時に給電、作動されてしまう事態についてもこれが好適に回避されるようになる。すなわち、こうした構成を採用することで、前述したスタータ駆動に際しての電力不足の問題をはじめとした諸々の問題がより確実に防止されるようになる。
そして、こうした禁止手段としては、具体的には請求項15に記載の発明によるように、前記スタータスイッチと前記スタータリレーとの間にあって、前記スタータスイッチの配設された給電経路と前記スタータリレーを駆動すべく実行される電流供給のための給電経路との合流点もしくは該合流点よりも前記スタータリレー寄りに配設され、継続的な開状態をもってこれらスタータスイッチの操作並びに電流供給の実行に基づく前記スタータリレーへの給電を禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子により構成されるものを採用することが有効である。こうした構成によれば、上記請求項14に記載の構成が実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
また、請求項16に記載の発明では、請求項14または15に記載の構成を前提として、当該電子制御装置による制御を補助する補助制御装置を通信可能に接続されるかたちでさらに備え、該補助制御装置に前記禁止手段の駆動制御を行わせる構成とする。
こうした構成によれば、当該電子制御装置に故障等の異常が生じた場合であれ、該電子制御装置と通信可能に接続された上記補助制御装置により前記禁止手段の駆動が所望に制御されるようになる。このため、前述したスタータスイッチの誤操作に伴う不都合は、より高いセキュリティレベルをもって、より好適に回避されるようになる。
またこの場合も、前述と同様、当該電子制御装置の異常が検知されたときにのみ、当該電子制御装置に代えて上記補助制御装置に前記禁止手段の駆動制御を行わせる構成とすれば、平常時(正常時)は電子制御装置間の通信によることなくスタータの駆動制御が行われるようになり、もってセキュリティレベルはさらに高められることになる。
また一方、上記請求項11〜13のいずれか一項に記載の電子制御装置における前記禁止手段としては、具体的には請求項17に記載の発明によるように、前記スタータスイッチと前記スタータリレーとの間に配設されて、継続的な開状態をもって前記スタータスイッチの操作に基づく前記スタータリレーへの給電を禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子により構成されるものを採用することが有効である。こうした構成によれば、上記請求項11〜13のいずれか一項に記載の構成は実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
また、先の請求項15に記載の発明も含め、こうしたスイッチング素子としても、前述と同様、請求項18に記載の発明によるように、半導体素子からなるスイッチング素子(例えばトランジスタ)を有して構成されるものを採用することが特に有効である。
また、請求項19に記載の発明では、請求項12〜18のいずれか一項に記載の構成を前提として、当該電子制御装置による制御を補助する補助制御装置を通信可能に接続されるかたちで備え、該補助制御装置に前記スタータリレーおよび前記禁止手段の駆動制御を行わせる構成とする。こうした構成としても、前述と同様、復帰用スタータや復帰用スタータリレーに異常が生じた場合だけでなく、これらを制御する当該電子制御装置自体に故障等の異常が生じた場合にもこれに柔軟に対応して適正な制御を維持し続けることが可能になる。
また、これも前述と同様であるが、上記請求項11〜19のいずれか一項に記載の電子制御装置は、請求項20に記載の発明によるように、前記スタータスイッチが、前記車載内燃機関の点火・始動スイッチ、すなわち運転者等(ユーザ)の手動操作に基づいて同機関を始動させるイグニッションスイッチである構成に用いて特に有効である。
また、請求項21に記載の発明では、車載内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動する第1および第2のスタータと、前記第1のスタータの給電経路中に配設されてオフ/オン操作されることに基づいて同第1のスタータへの給電を断続させるスタータスイッチと、該スタータスイッチの配設された前記第1のスタータの給電経路と共通の電源に接続される前記第2のスタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同第2のスタータへの給電を断続させるスタータリレーとを備えて構成される車載制御システムにあって、前記スタータリレーを開/閉駆動して前記第2のスタータのアイドリングストップ動作を制御する電子制御装置として、前記スタータスイッチの配設された給電経路を一時的に遮断状態に固定してこの期間だけ同スタータスイッチの操作に基づく前記第1のスタータへの給電を禁止する禁止手段を備え、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記禁止手段によって前記スタータスイッチの操作に基づく前記第1のスタータへの給電を禁止しておきこの状態で、前記スタータリレーとの協働のもとに前記第2のスタータの駆動を制御する構成とする。
こうした構成によれば、上記禁止手段によって給電経路が遮断されることで、スタータスイッチのオン操作(給電操作)がなされても、上記第1のスタータがこの操作(手動操作)に基づく作動を開始することはなくなる。すなわち、上記第2のスタータによってラン復帰を行っている間は、誤ったタイミングで手動による給電操作、すなわちスタータスイッチのオン操作がなされた場合であれ、この誤操作に伴い上記2つ(第1および第2)のスタータが誤って同時に作動して(給電されて)しまうような事態は好適に回避されるようになる。そしてこれにより、前述したこれらスタータの駆動に必要とされる電流量が供給されなくなることについても、これが好適に回避されるようになる。なおこの場合も、前述と同様、システム自体の簡素な構成が維持され、保守性が高く維持されるようになる。また、制御性がシンプルに保たれることも前述と同様である。
またここで、前記システムが、前記スタータスイッチとは別途に、同じく前記共通の電源に接続された前記第1のスタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同第1のスタータへの給電を断続させる第1のスタータリレーをさらに備えるものとして構成されるときには、請求項22に記載の発明によるように、前記スタータスイッチの操作に基づく前記第1のスタータへの給電を禁止する期間においては、前記禁止手段により、前記スタータスイッチの配設された給電経路と共々、前記第1のスタータリレーの配設された給電経路も遮断状態に固定して、同第1のスタータリレーに基づく前記第1のスタータへの給電も併せ禁止するように構成することで、上記スタータスイッチの誤操作だけでなく、上記第1のスタータリレーの故障・消耗(例えばオン(閉)固定)等にも起因して生じ得る、上記2つ(第1および第2)のスタータが同時に給電、作動されてしまう事態についてもこれが好適に回避されるようになる。すなわち、こうした構成を採用することにより、前述したスタータ駆動に際しての電力不足の問題がより確実に防止されるようになる。
そして、こうした禁止手段としては、具体的には請求項23に記載の発明によるように、前記スタータスイッチと前記第1のスタータとの間にあって、前記スタータスイッチの配設された給電経路と前記第1のスタータリレーの配設された給電経路との合流点もしくは該合流点よりも前記第1のスタータ寄りに配設され、継続的な開状態をもってこれらスタータスイッチの操作並びに第1のスタータリレーの駆動に基づく前記第1のスタータへの給電を禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子により構成されるものを採用することが有効である。こうした構成によれば、上記請求項22に記載の構成が実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
また、請求項24に記載の発明では、請求項22または23に記載の構成を前提として、当該電子制御装置による制御を補助する補助制御装置を通信可能に接続されるかたちでさらに備え、該補助制御装置に前記禁止手段の駆動制御を行わせる構成とする。こうした構成によれば、当該電子制御装置に故障等の異常が生じた場合であれ、該電子制御装置と通信可能に接続された上記補助制御装置により前記禁止手段の駆動(開/閉駆動)が所望に制御されるようになる。このため、前述したスタータスイッチの誤操作に伴う不都合は、より高いセキュリティレベルをもって、より好適に回避されるようになる。
またこの場合も、前述と同様、当該電子制御装置の異常が検知されたときにのみ、当該電子制御装置に代えて同補助制御装置に前記禁止手段の駆動制御を行わせる構成とすれば、平常時(正常時)は電子制御装置間の通信によることなくスタータの駆動制御が行われるようになり、もってセキュリティレベルはさらに高められることになる。
また一方、上記請求項21に記載の電子制御装置における前記禁止手段としては、具体的には請求項25に記載の発明によるように、前記スタータスイッチと前記第1のスタータとの間に配設されて、継続的な開状態をもって前記スタータスイッチの操作に基づく前記第1のスタータへの給電を禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子により構成されるものを採用することが有効である。こうした構成によれば、上記請求項21に記載の構成は実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
また、先の請求項23に記載の発明も含め、こうしたスイッチング素子としても、前述と同様、請求項26に記載の発明によるように、半導体素子からなるスイッチング素子を有して構成されるものを採用することが特に有効である。
また、請求項27に記載の発明では、請求項21〜26のいずれか一項に記載の電子制御装置において、前記システムを、前記スタータスイッチとは別途に、同じく前記共通の電源に接続される前記第1のスタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同第1のスタータへの給電を断続させる第1のスタータリレーを備える構成とし、該システムにあって、当該電子制御装置による制御を補助する補助制御装置を通信可能に接続されるかたちで備え、該補助制御装置に前記第1のスタータリレーおよび前記禁止手段の駆動制御を行わせるようにする。
こうした構成によれば、当該電子制御装置に故障等の異常が生じた場合であれ、該電子制御装置と通信可能に接続された上記補助制御装置により、前記第1のスタータリレーの駆動(開/閉駆動)および前記禁止手段の駆動が所望に制御されるようになる。これにより、前述した2つ(第1および第2)のスタータが同時に作動して(給電されて)しまうような事態は、より高いセキュリティレベルをもってより好適に回避されるようになる。
また、これら請求項21〜27のいずれか一項に記載の電子制御装置も、請求項28に記載の発明によるように、前記スタータスイッチが、前記車載内燃機関の点火・始動スイッチ、すなわち運転者等(ユーザ)の手動操作に基づいて同機関を始動させるイグニッションスイッチである構成に用いて特に有効である。
他方、請求項29に記載の発明では、車載内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動するスタータと、該スタータの給電経路中に配設されてオフ/オン操作されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータスイッチと、該スタータスイッチの配設された給電経路と途中で合流する前記スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータリレーとを備えて構成される車載制御システムについて、前記スタータスイッチのオフ/オン操作、並びに前記スタータリレーの開/閉駆動に基づいて、前記スタータのアイドリングストップ動作を制御するアイドリングストップ制御方法として、前記システムに対して、前記スタータスイッチの配設された給電経路を一時的に遮断状態に固定してこの期間だけ同スタータスイッチの操作に基づく前記スタータへの給電を禁止する禁止手段をさらに設け、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記禁止手段によって前記スタータスイッチの操作に基づく前記スタータへの給電を禁止しておきこの状態で、前記スタータリレーの駆動のもとに前記スタータの駆動を制御することとする。
また、請求項30に記載の発明では、車載内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動するスタータと、該スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータリレーと、該スタータリレーへの給電経路中に配設されてオン/オフ操作されることに基づいて同スタータリレーを閉/開駆動するスタータスイッチとを備えて構成される車載制御システムについて、前記スタータスイッチのオフ/オン操作、並びに同スタータスイッチの配設された給電経路と途中で合流する給電経路を通じた電流供給の有無に基づいて、前記スタータリレーを閉/開駆動して、このスタータリレーの駆動に基づいて前記スタータのアイドリングストップ動作を制御するアイドリングストップ制御方法として、前記システムに対して、前記スタータスイッチの配設された給電経路を一時的に遮断状態に固定してこの期間だけ同スタータスイッチの操作に基づく前記スタータリレーへの給電を禁止する禁止手段をさらに設け、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記禁止手段によって前記スタータスイッチの操作に基づく前記スタータリレーへの給電を禁止しておきこの状態で、前記電流供給の有無に基づく前記スタータリレーの駆動制御のもとに前記スタータの駆動を制御することとする。
アイドリングストップ制御方法としてもこれらの方法を採用することとすれば、上記禁止手段によって給電経路が遮断されることで、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際に、誤ったタイミングで手動による給電操作、すなわちスタータスイッチのオン操作がなされた場合であれ、給電経路の一部(合流後の共通部分)に対し前述した規定値以上の電流(過電流)が供給されることはなくなり、ひいては同経路(配線)やリレー素子(特にスタータリレー)等に損傷を与えてしまう事態は好適に回避されるようになる。しかもこの場合も、前述と同様、システム自体の簡素な構成が維持され、そしてその保守性が高く維持されることになる。さらに、その制御性がシンプルに保たれることも前述と同様である。
さらに、請求項31に記載の発明では、車載内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動する第1および第2のスタータと、前記第1のスタータの給電経路中に配設されてオフ/オン操作されることに基づいて同第1のスタータへの給電を断続させるスタータスイッチと、該スタータスイッチの配設された前記第1のスタータの給電経路と共通の電源に接続される前記第2のスタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同第2のスタータへの給電を断続させるスタータリレーとを備えて構成される車載制御システムについて、前記スタータスイッチのオフ/オン操作に基づいて前記第1のスタータの駆動を制御するとともに、前記スタータリレーの開/閉駆動に基づいて前記第2のスタータのアイドリングストップ動作を制御するアイドリングストップ制御方法として、前記システムに対して、前記スタータスイッチの配設された給電経路を一時的に遮断状態に固定してこの期間だけ同スタータスイッチの操作に基づく前記第1のスタータへの給電を禁止する禁止手段をさらに設け、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記禁止手段によって前記スタータスイッチの操作に基づく前記第1のスタータへの給電を禁止しておきこの状態で、前記スタータリレーの駆動のもとに前記第2のスタータの駆動を制御することとする。
こうした方法によっても、前述と同様、上記第2のスタータによりラン復帰を行っている間は、誤ったタイミングで手動による給電操作、すなわちスタータスイッチのオン操作がなされた場合であれ、この誤操作に伴い上記2つ(第1および第2)のスタータが誤って同時に作動して(給電されて)しまうような事態は好適に回避される。そしてこれにより、前述したこれらスタータの駆動に必要とされる電流量が供給されなくなることも、また好適に回避されるようになる。しかもこの場合も、前述と同様、システム自体の簡素な構成が維持され、そしてその保守性が高く維持されることになる。さらに、その制御性がシンプルに保たれることも前述と同様である。
(第1の実施の形態)
以下、図1〜図3を参照して、この発明に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法を具体化した第1の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態に係るシステムも、先の図17〜図19に例示したシステムと同様、ISS(アイドリングストップシステム)用コントローラを備え、このコントローラによって、車両に搭載される内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動するスタータのアイドリングストップ動作を制御するように構成されている。
まず、図1を参照して、こうしたISS用コントローラ(電子制御装置)を含む内燃機関の制御システム(車載制御システム)について、また特にその構成の概要について説明する。なお、この図1は、同システムの概略構成を模式的に示すブロック図である。
同図1に示されるように、このシステムは、大きくは、当該車両に搭載されている内燃機関(エンジン)を外部から駆動するスタータSTと、同スタータSTのアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCTとを備えて構成されている。そして、こうしたシステムにあって、上記スタータSTの給電経路中(詳しくはリレーコイルの通電ライン上)には、点火・始動スイッチとして当該機関を始動させるイグニッションスイッチIGSWと、さらに、上記ISS用コントローラCTによってオフ(開)/オン(閉)駆動される電磁式のスタータリレーSRとが配設されている。さらに詳しくは、これらスイッチIGSWおよびリレーSRは、スタータSTの電源(電源電圧「+B」)から当該スタータSTに至る途中で合流(合流点P1)する各給電経路において、互いに独立して同スタータSTへの給電の断続制御を行うことができるように配設されている。なお、このシステムにおいても、上記スタータSTの電源(電源電圧「+B」や「+BB」)は、例えば車載バッテリ等によって供給されるものである。
また、このシステムにおいては、上記イグニッションスイッチIGSWの配設された給電経路を一時的に遮断状態に固定して、この期間だけ同スイッチIGSWの操作(給電操作)に基づく上記スタータSTへの給電を禁止するカットリレーCRがさらに設けられている。具体的には、このカットリレーCRは、上記イグニッションスイッチIGSWとスタータSTとの間、より詳しくは該給電経路の合流点P1よりもスイッチIGSW寄りに配設されている。そして、このカットリレーCRの継続的なオン(開)状態をもって同スイッチIGSWの操作に基づくスタータSTへの給電を禁止するとともに、オン(開)状態からオフ(閉)状態への遷移をもってその禁止を解除するように構成されている。
また、上記ISS用コントローラCTは、上記スタータSTへの給電の断続制御を行うべくその給電経路中にある上記スタータリレーSRを開/閉駆動するスタータリレー駆動回路SCや、この回路SCと協働して上記スタータSTのアイドリングストップ動作を制御するマイクロコンピュータ(マイコン)MC等を有して構成されている。また、このISS用コントローラCTは、こうした構成に加えてさらに、上記カットリレーCRを駆動するカットリレー駆動回路CCを備え、上記マイクロコンピュータMCの指令に基づき所望とされるタイミングで上記カットリレーCRをオン(開)/オフ(閉)駆動することができるように構成されている。なお、この実施の形態においては、上記カットリレーCRやカットリレー駆動回路CCが禁止手段として機能するようになっている。
次に、図2を参照して、このシステムの構成の詳細、並びに同システムによるアイドリングストップ制御方法についてさらに説明する。なお、図2は、このシステム構成の詳細を示す回路図である。
同図2に示されるように、このシステムにあっても、上記マイクロコンピュータMCの指令(電流供給の有無)に基づきトランジスタT10がオン/オフ駆動され、上記スタータリレーSRのリレーコイルSRCの通電の有無、ひいてはそのリレースイッチSRWのオン(閉)/オフ(開)状態が所望に制御されるようになっている。そしてこれに伴い、上記スタータST(スタータモータM)の給電経路に配設されているリレーコイルRCの通電の有無、ひいてはそのリレースイッチRWのオン(閉)/オフ(開)状態についても、同じくこれが所望に制御されるようになっている。なおここでも、上記トランジスタT10は、所要の抵抗値に設定された抵抗素子R11やR12等が設けられることで、そのスイッチング動作の最適化が図られている。そして、これら抵抗素子の抵抗値は、例えばトランジスタT10の「エミッタ−コレクタ」間に印加される電源電圧(Vcc)等に応じて、所要の抵抗値に設定される。
また、上記カットリレーCRも、大きくはリレーコイルCRCおよびリレースイッチCRWからなる、いわゆる電磁式のリレーとして構成され、上記カットリレー駆動回路CCを構成するトランジスタTのオフ/オン駆動に応じて、開/閉駆動されるようになっている。なおここでは、このトランジスタTに対して、所要の抵抗値に設定された抵抗素子R1やR2等を設けることで、そのスイッチング動作の最適化を図るようにしている。
そして、このシステムにおいても、先の図17〜図19に例示したシステムと同様、上述のスタータリレーSRの開/閉駆動のみならず、上記イグニッションスイッチIGSWが操作されることによっても、上記スタータSTへの給電の有無が所望に制御されるようになっている。すなわち、例えば運転者(ユーザ)によりこのスイッチIGSWがオン(閉)/オフ(開)操作されることによっても、上記スタータST(スタータモータM)の給電経路に配設されているリレーコイルRCの通電の有無、ひいてはそのリレースイッチRWのオン(閉)/オフ(開)状態が所望に制御されるようになっている。
このように、このシステムにおいても、所望のタイミングでの、運転者等(ユーザ)による上記イグニッションスイッチIGSWのオン操作(給電操作)に基づいて、あるいは上記マイクロコンピュータMCの指令に基づいて、上記スタータSTのリレーコイルRCが通電され、これに伴いリレースイッチRWがオン(閉)される。そうして、電源電圧(+BB)がスタータモータMへ給電され、このスタータモータMにより、内燃機関に対するクランキング(スタータ駆動)が開始されることになる。ただし、この実施の形態においては、上記カットリレーCRおよびカットリレー駆動回路CCが設けられていることにより、前述した給電経路の一部(合流後の共通部分)に対する集中的な過電流は抑制されるようになり、上記スタータSTへの供給電流量についてもこれが規定範囲に収められるようになっている。以下、図3を併せ参照して、このカットリレーCRの制御態様について詳しく説明する。なお、ここで説明に用いる図3(b)〜(d)は、先の図20(a)〜(c)に対応するタイムチャートである。また、この図3において、(a)は、カットリレーCRのオン/オフ状態の推移を示すタイムチャートである。
同図3(b)に示されるように、この実施の形態にあって、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際には、ISS用コントローラCTによるスタータリレーSRの駆動制御(オン(閉)制御)により、上記スタータSTに対し給電が行われる。そして、少なくともこの給電が行われている間は、同図3(a)に示されるように、上記カットリレーCRがオン(開)制御され、上記イグニッションスイッチIGSWの操作に基づくスタータSTへの給電が禁止されるようになっている。具体的には、この期間においては、たとえ運転者等(ユーザ)により上記イグニッションスイッチIGSWのオン操作がなされた(図3(c)中の破線)としても、上記カットリレーCRによりこの給電経路は依然として遮断状態にされたままであるため、同経路を通じて上記スタータSTへ給電が行われることはない。すなわち、同スイッチIGSWがオン操作されても、またされなくとも、この給電経路と上記スタータリレーSRによる給電経路との合流(合流点P1)後の共通部分に対して前述した規定値以上の電流(過電流)が供給される(図3(d)中の破線)ことはなくなり、同経路における供給電流量は規定範囲に収められることになる(同(d)中の実線)。
またここで、上記カットリレーCRを駆動するカットリレー駆動回路CCは、図2に示されるように、半導体素子からなるスイッチング素子、すなわちトランジスタTとして構成されている。このように、該カットリレー駆動回路CCとして半導体素子を採用することで、このシステムは、経年変化に伴う故障、すなわち寿命の面においても、信頼性の高い構成となっている。なお、このカットリレー駆動回路CCだけでなく上記カットリレーCR自体も、同図2に示した電磁式のリレーに代えて、半導体素子からなるスイッチング素子(例えばトランジスタ)として構成することとすれば、より信頼性の高い構成が低コストで実現されるようになる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法によれば、以下のような優れた効果が得られるようになる。
(1)スタータSTのアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCTとして、内燃機関の点火・始動スイッチであるイグニッションスイッチIGSWの配設された給電経路を一時的に遮断状態に固定するカットリレーCRやカットリレー駆動回路CC(禁止手段)を備える構成とする。そうして、当該機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、これらカットリレーCRおよびカットリレー駆動回路CCによってイグニッションスイッチIGSWの操作に基づくスタータSTへの給電を禁止しておきこの状態で、スタータリレーSRとの協働のもと、スタータSTの駆動を制御させるようにした。これにより、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際に、誤ったタイミングで手動による給電操作、すなわちイグニッションスイッチIGSWのオン操作がなされた場合であれ、給電経路に対して前述した規定値以上の電流(過電流)が供給されることはなくなる。すなわち、同経路(配線)やリレー素子、さらにはスタータ自体に損傷を与えてしまうようなことは、好適に回避されることになる。しかも、こうした構成では、上記カットリレーCRやカットリレー駆動回路CC(禁止手段)を追加するだけでこうした過電流の回避が実現されるため、システム自体の簡素な構成は維持され、ひいてはその保守性も高く維持されるようになる。さらに、このカットリレーCRの駆動に際しての制御についてもこれは、上記イグニッションスイッチIGSWの操作に基づく給電を禁止したいとき(禁止期間)に同リレーCRをオン(開)制御する(オン(開)制御しておく)といった簡単な制御だけで事が足り、こうした制御性についても、これが極めてシンプルに保たれることになる。
(2)上記スイッチIGSWとスタータSTとの間に配設されて、継続的な開状態をもって該スイッチIGSWの操作に基づくスタータSTへの給電を禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子、すなわち上記カットリレーCRを、禁止手段として採用することとした。これにより、上記構成が実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
(3)また、こうしたスイッチング素子(カットリレーCR)として、半導体素子からなるスイッチング素子(トランジスタなど)を有して構成されるものを採用することとすれば、上記構成として、より信頼性の高い構成が低コストで実現されるようになる。
(第2の実施の形態)
次に、図4を併せ参照して、この発明に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法を具体化した第2の実施の形態について説明する。なお、図4は、先の図1に対応したブロック図であり、この図4においては、図1に示した要素と同一の要素に各々同一の符号を付して示し、それら要素についての重複する説明は割愛する。また、この図4からも明らかなように、この実施の形態においては、先の図19に例示したようなシステムに対して、この発明を適用、具現化することとしている。
同図4に示されるように、このシステムも、大きくは、制御対象とするスタータSTの給電経路中に配設されたスタータリレーSRへの電流供給を所望のタイミングで行うISS用コントローラCT等を有して構成されている。ただしここでは、運転者等の操作により開閉される前述のイグニッションスイッチIGSWも、スタータリレーSRの給電経路中に配設されており、これによっても、同リレーSRへの給電の断続が制御されるようになっている。すなわち、このシステムにおいては、これらスイッチIGSWおよびコントローラCTによって、スタータリレーSRが開(オフ)/閉(オン)駆動されるようになっている。詳しくは、このうちISS用コントローラCTは、上記イグニッションスイッチIGSWの配設された給電経路に途中で合流(合流点P2)する給電経路を通じたスタータリレーSRへの電流供給の有無に基づいて、同スタータリレーSRの閉/開駆動を制御するように構成されている。
そして、このシステムにおいても、第1の実施の形態と同様、上記イグニッションスイッチIGSWの配設された給電経路を一時的に遮断状態に固定して、この期間だけ同スイッチIGSWの操作(給電操作)に基づく上記スタータSTへの給電を禁止するカットリレーCRがさらに設けられている。具体的には、このカットリレーCRは、上記イグニッションスイッチIGSWとスタータSTとの間、より詳しくは該給電経路の合流点P2よりもスイッチIGSW寄りに配設されている。そして、このカットリレーCRの継続的なオン(開)状態をもって同スイッチIGSWの操作に基づくスタータSTへの給電を禁止するとともに、オン(開)状態からオフ(閉)状態への遷移をもってその禁止を解除するように構成されている。
また、ISS用コントローラCTは、上記カットリレーCRを駆動するカットリレー駆動回路CCを備え、内蔵されるマイクロコンピュータMCの指令に基づき所望とされるタイミングで上記カットリレーCRをオン(開)/オフ(閉)駆動することができるように構成されている。なお、この実施の形態においても、これらカットリレーCRやカットリレー駆動回路CCが禁止手段として機能するようになっている。
このように、このシステムにおいても、所望のタイミングでの、運転者等(ユーザ)による上記イグニッションスイッチIGSWのオン操作(給電操作)に基づいて、あるいはマイクロコンピュータMCの指令に基づいて、上記スタータSTのリレーコイルが通電され、電源電圧(+BB)がスタータモータへ給電されるようになっている。そうして、このスタータモータにより、内燃機関に対するクランキング(スタータ駆動)が開始されることになる。そしてこのとき、上記カットリレーCRおよびカットリレー駆動回路CCが設けられていることで、例えば先の図3に示した動作例に準じた動作をもって、前述した給電経路の一部(合流(合流点P2)後の共通部分)に対する集中的な過電流を抑制して、上記スタータSTへの供給電流量を規定範囲に収めることができるようになる。
すなわち、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、上記カットリレーCRおよびカットリレー駆動回路CCにより、上記イグニッションスイッチIGSWのオン操作(給電操作)に基づくスタータリレーSRへの給電を禁止しておく。そして、この状態で、上記ISS用コントローラCTによる電流供給の有無に基づくスタータリレーSRの駆動制御のもと、制御対象とするスタータSTの駆動を制御するようにする。これにより、上記イグニッションスイッチIGSWがオン操作されても、またされなくとも、当該スタータSTの給電経路(特に合流後の部分)に対して前述した規定値以上の電流(過電流)が供給されることはなくなり、同経路やスタータリレーSRにおける供給電流量は規定範囲に収められることになる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法によっても、前記(1)〜(3)の効果と同様の効果もしくはそれに準じた効果が得られるようになる。
(第3の実施の形態)
次に、図5および図6を参照して、この発明に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法を具体化した第3の実施の形態について説明する。なお、この図5からも明らかなように、この実施の形態においては、先の図21に例示したようなシステムに対して、この発明を適用、具現化することとしている。
同図5に示されるように、このシステムは、大きくは、当該車両に搭載されている内燃機関(エンジン)を外部から駆動してこれを自力回転させる第1および第2のスタータST1およびST2と、このうちの第2スタータST2のアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCTとを備えて構成されている。詳しくは、該コントローラCTは、上記第2スタータST2への給電の断続制御を行うべくその給電経路中にあるスタータリレーSR2を開(オフ)/閉(オン)駆動するスタータリレー駆動回路SC2や、この回路SC2と協働して同第2スタータST2のアイドリングストップ動作を制御するマイクロコンピュータMC等を有して構成されている。
一方、上記第1スタータST1に対しては、特にその給電経路に対し、内燃機関の点火・始動スイッチであるイグニッションスイッチIGSWが設けられており、このスイッチIGSWのオフ(開)/オン(閉)操作に基づいて同第1スタータST1への給電が断続されるようになっている。すなわち、上記第1スタータST1は、イグニッションスイッチIGSWのオン/オフ操作に基づいてその作動/停止が制御され、他方の第2スタータST2は、同スイッチIGSWの操作とは独立して別途その作動/停止が制御されるようになっている。なお、このシステムにおいても、先の図21に例示したシステムと同様、上記イグニッションスイッチIGSWの配設されている第1スタータST1の給電経路は、上記スタータリレーSR2の配設されている第2スタータST2への給電経路共々、これらに共通の電源(電源電圧「+B」)に接続されている。
ただし、このシステムにおいては、第1および第2の実施の形態と同様、上記イグニッションスイッチIGSWの配設された給電経路を一時的に遮断状態に固定して、この期間だけ同スイッチIGSWの操作(給電操作)に基づく上記スタータSTへの給電を禁止するカットリレーCRがさらに設けられている。具体的には、このカットリレーCRは、上記イグニッションスイッチIGSWと第1スタータST1との間に配設されており、継続的なオン(開)状態をもって同スイッチIGSWの操作に基づく第1スタータST1への給電を禁止するとともに、オン(開)状態からオフ(閉)状態への遷移をもってその禁止を解除するように構成されている。
また、上記ISS用コントローラCTは、上記構成に加えてさらに、このカットリレーCRを駆動するカットリレー駆動回路CCを備え、内蔵されるマイクロコンピュータMCの指令に基づき所望とされるタイミングで上記カットリレーCRをオン(開)/オフ(閉)駆動することができるように構成されている。なお、このカットリレー駆動回路CCは、第1および第2の実施の形態と同様、半導体素子からなるスイッチング素子として構成されている(図2参照)。そして、この実施の形態においても、これらカットリレーCRやカットリレー駆動回路CCが禁止手段として機能するようになっている。
このように、このシステムにおいても、所望のタイミングでの、運転者等(ユーザ)による上記イグニッションスイッチIGSWのオン操作に基づいて、あるいは上記マイクロコンピュータMCの指令に基づいて、上記第1および第2のスタータST1およびST2のいずれか一方に対して給電が実行される。そうして、そのスタータ(スタータモータ)により、内燃機関に対するクランキング(スタータ駆動)が開始されることになる。ただし、この実施の形態においては、上記カットリレーCRおよびカットリレー駆動回路CCが設けられていることで、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させるに際して、機関駆動のために必要とされる電力がこれを行うスタータに確実に供給されるようになっている。以下、図6を併せ参照して、このカットリレーCRの制御態様について詳しく説明する。なお、ここで説明に用いる図6(b)〜(e)は、先の図22(a)〜(d)に対応するタイムチャートである。また、この図6において、(a)は、カットリレーCRのオン/オフ状態の推移を示すタイムチャートである。
同図6(b)に示されるように、この実施の形態にあって、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際には、ISS用コントローラCTによるスタータリレーSR2の駆動制御(オン(閉)制御)により、上記第2スタータST2に対し給電が行われる。そして、少なくともこの給電が行われている間は、同図6(a)に示されるように、上記カットリレーCRがオン(開)制御され、上記イグニッションスイッチIGSWの操作に基づく第1スタータST1への給電が禁止されるようになっている。具体的には、この期間においては、たとえ運転者等(ユーザ)により上記イグニッションスイッチIGSWのオン操作がなされた(図6(c)中の破線)としても、上記カットリレーCRによりこの給電経路は依然として遮断状態にされたままであるため、同経路を通じて上記第1スタータST1への給電が行われることはない。すなわち、同スイッチIGSWがオン操作されても、またされなくとも、上記2つ(第1および第2)のスタータST1およびST2が同時に作動する(給電される)ことはなくなり(図6(d)および(e)中の実線)、前述したこれらスタータに対する供給電力が不足する(同(d)および(e)中の破線)ような事態は回避されるようになる。このように、このシステムにおいては、当該内燃機関のラン復帰が上記第2スタータST2のみの駆動に基づいて行われることにより、このラン復帰を行っている間は、同第2スタータST2に対する供給電流量が適正な範囲(規定範囲)に収められ(図6(d)中の実線)、適正に内燃機関のラン復帰が行われることになる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法によれば、以下のような優れた効果が得られるようになる。
(4)第2スタータST2のアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCTとして、内燃機関の点火・始動スイッチであるイグニッションスイッチIGSWの配設された給電経路を一時的に遮断状態に固定するカットリレーCRやカットリレー駆動回路CC(禁止手段)を備える構成とする。そうして、当該内燃機関をラン復帰させる際には、これらカットリレーCRおよびカットリレー駆動回路CCによってイグニッションスイッチIGSWの操作に基づく第1スタータST1への給電を禁止しておきこの状態で、スタータリレーSR2との協働のもと、第2スタータST2の駆動を制御させるようにした。これにより、当該内燃機関をラン復帰させる際に、誤ったタイミングで手動による給電操作、すなわちイグニッションスイッチIGSWのオン操作がなされた場合であれ、この誤操作に伴い上記2つ(第1および第2)のスタータST1およびST2が誤って同時に作動して(給電されて)しまうような事態は好適に回避されるようになる。そしてこれにより、前述したこれらスタータの駆動に必要とされる電流量が供給されなくなることも、また好適に回避されるようになる。しかも、こうした構成では、上記カットリレーCRやカットリレー駆動回路CC(禁止手段)を追加するだけでこうした電流不足の回避が実現されるため、システム自体の簡素な構成は維持され、ひいてはその保守性も高く維持されるようになる。さらに、このカットリレーCRの駆動に際しての制御についてもこれは、上記イグニッションスイッチIGSWの操作に基づく給電を禁止したいとき(禁止期間)に同リレーCRをオン(開)制御する(オン(開)制御しておく)といった簡単な制御だけで事が足り、こうした制御性についても、これが極めてシンプルに保たれることになる。
(5)上記スイッチIGSWと第1スタータST1との間に配設されて、継続的な開状態をもって該スイッチIGSWの操作に基づく同スタータST1への給電を禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子、すなわち上記カットリレーCRにより構成されるものを、禁止手段として採用することとした。これにより、実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
(6)また、こうしたスイッチング素子(カットリレーCR)として、半導体素子からなるスイッチング素子(トランジスタなど)を有して構成されるものを採用することとすれば、信頼性の高い構成が低コストで実現されるようになる。
(第4の実施の形態)
次に、図7および図8を参照して、この発明に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法を具体化した第4の実施の形態について説明する。なお、図7は、先の図5に対応したブロック図であり、この図7においては、図5に示した要素と同一の要素に各々同一の符号を付して示し、それら要素についての重複する説明は割愛する。
同図7に示されるように、このシステムは、大きくは、当該車両に搭載されている内燃機関(エンジン)を外部から駆動してこれを自力回転させる第1スタータST1および第2スタータST2(復帰用スタータ)や、これらスタータST1およびST2のアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCT等を備えて構成されている。そして、ISS用コントローラCTは、スタータリレー駆動回路SC1およびSC2や、カットリレー駆動回路CC、さらにはマイクロコンピュータMC等を有して構成されている。
またここでも、第1スタータST1の給電経路中には、内燃機関の点火・始動スイッチであるイグニッションスイッチIGSWが、また第2スタータST2の給電経路中には、上記ISS用コントローラCTにより開/閉駆動されるスタータリレーSR2が、それぞれ配設されている。ただしここでは、上記イグニッションスイッチIGSWの配設された給電経路と途中で合流(合流点P1)する第1スタータST1の給電経路に対し、さらに、上記ISS用コントローラCTにより開/閉駆動されるスタータリレーSR1(第1のスタータリレー)が設けられている。なお、これらイグニッションスイッチIGSWおよびスタータリレーSR1の配設されている第1スタータST1の給電経路(詳しくはリレーコイルの通電ライン)はいずれも、上記スタータリレーSR2の配設されている第2スタータST2への給電経路(同通電ライン)共々、これらに共通の電源(電源電圧「+B」)に接続されている。
このように、このシステムにおいて、上記第1スタータST1は、イグニッションスイッチIGSWのオン/オフ操作に基づいてその作動/停止が制御され、他方の第2スタータST2は、同スイッチIGSWの操作とは独立して別途その作動/停止が制御されるようになっている。しかも、このうち第1スタータST1は、上記スタータリレーSR1がさらに設けられていることで、上記イグニッションスイッチIGSWだけではなく、該スイッチIGSWとは別途に、且つ、独立に、このスタータリレーSR1によっても、その作動/停止が制御されるようになっている。
また、この実施の形態においても、上記第1〜第3の実施の形態と同様、禁止手段としてのカットリレーCRやカットリレー駆動回路CCが設けられている。具体的には、カットリレー駆動回路CCは、上記ISS用コントローラCTに内蔵されており、カットリレーCRは、上記イグニッションスイッチIGSWと第1スタータST1との間、より詳しくは該給電経路の合流点P1よりもスイッチIGSW寄りに配設されている。そして、このカットリレーCRの継続的なオン(開)状態をもって同スイッチIGSWの操作に基づく第1スタータST1への給電を禁止するとともに、オン(開)状態からオフ(閉)状態への遷移をもってその禁止を解除するように構成されている。
また、ここでは図示を割愛しているが、この実施の形態においては、上記ISS用コントローラCTが、上記第2スタータST2(復帰用スタータ)の異常を検知する異常検知手段を備えている。この手段としては、同スタータST2の異常を検知することのできるものであれば基本的に任意の構成を採用することができるが、具体的には、例えば内燃機関(エンジン)の回転数を適宜のセンサ信号として取り込む回路などが、この異常検知手段に相当する。そして、こうした内燃機関(エンジン)の回転数から第2スタータST2の異常を検知する手法を採用する場合には、例えば第2スタータST2だけをオン制御しているとき、当該機関の回転数が低ければ、あるいはこれが全く回転していなければ、同スタータST2に異常が生じていると判断することができる。こうすることで、例えば故障・消耗等により第2スタータST2やスタータリレーSR2が使用できなくなった場合には、同スタータST2を監視しているこの異常検知手段によって、これを検知することができるようになる。さらにこの場合、該異常検知手段により第2スタータST2の異常が検知されたとき、これを警告ランプなどの報知手段により運転者に報知する構成、すなわち異常が検知されたときに運転席に設置されたランプを点灯(または点滅)させる構成等とすれば、運転者はこのことを認識して適宜の対処(スタータ交換等)を施すことができるようになる。
次に、図8を併せ参照して、このシステムによるアイドリングストップ制御方法、特にカットリレーCRの制御態様について詳しく説明する。なお、同図8において、(a)〜(d)は、カットリレーCR、スタータリレーSR2、スタータリレーSR1、イグニッションスイッチIGSWのオン/オフ状態の推移を示すタイムチャート、また(e)および(f)は、第2スタータST2および第1スタータST1の給電経路における電流量の推移を示すタイムチャートである。
ところで、このシステムにおいては、平常時には、当該機関のアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態への復帰(ラン復帰)が、上記第2スタータST2(復帰用スタータ)によって行われる。ただし、上述の異常検知手段によってこの第2スタータST2の異常が検知されたときには、同スタータST2の駆動を中止するとともに、当該機関のラン復帰を他方の第1スタータST1に行わせるようになっている。なお、このスタータ(第1スタータST1)は、平常時には、内燃機関の始動に用いられているものである。
詳しくは、図8(a)〜(f)に示されるように、平常時(第2スタータST2の正常時)には、先の図6に示した動作例に準じた動作をもって、前述したスタータ駆動に際しての電力不足の問題が未然に防止される。すなわち、この実施の形態においても、平常時(第2スタータST2の正常時)には、カットリレーCRがオン(開)制御された状態で、当該第2スタータST2に対し給電が行われる。このため、上記イグニッションスイッチIGSWがオン操作されても(図8(d)の破線)、またされなくとも(同(d)の実線)、上記スタータST1およびST2が同時に作動する(給電される)ことはなくなる(図8(e)および(f)中の実線)。そしてこれにより、前述したこれらスタータに対する供給電力が不足する(同(e)および(f)中の破線)ような事態は回避されるようになる。
一方、上記異常検知手段によって第2スタータST2の異常(例えばスタータリレーSR2のオフ(開)固定)が検知されると、同スタータST2の駆動が中止される(具体的には、該リレーSR2に対するマイクロコンピュータMCの指令が止められる)とともに、ISS用コントローラCTによりスタータリレーSR1がオン(閉)駆動される。そうして、このスタータリレーSR1がオン(閉)駆動されることにより、上記第2スタータST2に代わりこの第1スタータST1によって、当該機関のラン復帰が、すなわち同機関に対するクランキング(スタータ駆動)が行われるようになる。またこのとき、先の図3に示した動作例に準じた動作をもって、前述した給電経路の一部(合流後の共通部分)に対する集中的な過電流が抑制されて、上記第1スタータST1への供給電流量が適正範囲(規定範囲)に収められる。すなわち、この実施の形態においても、図8(a)および(c)に示されるように、カットリレーCRがオン(開)制御された状態で、当該第1スタータST1に対し給電が行われる。このため、上記イグニッションスイッチIGSWがオン操作されても(図8(d)の破線)、またされなくとも(同(d)の実線)、当該スタータST1の給電経路(特に合流後の部分)に対して前述した規定値以上の電流(過電流)が供給されることはなくなり、同経路や第1スタータST1における供給電流量は規定範囲に収められることになる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法によれば、前記(1)〜(6)の効果と同様の効果もしくはそれに準じた効果に加え、さらに次のような効果も得られるようになる。
(7)第1スタータST1および第2スタータST2(復帰用スタータ)のアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCTとして、第2スタータST2への給電を断続させるスタータリレーSR2(復帰用スタータリレー)と、同スタータST2の異常を検知する異常検知手段とを備える構成とする。そうして、平常時には、内燃機関のアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態への復帰(ラン復帰)を第2スタータST2に行わせる一方、上記異常検知手段によってその異常が検知されるときには、同スタータST2の駆動を中止するとともに、当該機関のラン復帰を他方の第1スタータST1に行わせるようにした。これにより、平常時に使用している第2スタータST2やスタータリレーSR2が例えば故障・消耗等により使用できなくなるような事態になっても、これが第2スタータST2の動作異常として異常検知手段によって検知され、この検知をもって、正常な第1スタータST1により当該機関のラン復帰が適正に行われるようになる。
(8)また、第1スタータST1についてはこれを、イグニッションスイッチIGSWのオン/オフ操作に基づいてその作動/停止が制御されるように構成し、また他方の第2スタータST2についてはこれを、イグニッションスイッチIGSWの操作とは独立して別途その作動/停止が制御されるように構成することとした。これにより、平常時、第2スタータST2によってラン復帰を行っている間は、誤ったタイミングで手動による給電操作、すなわちイグニッションスイッチIGSWのオン操作がなされた場合であれ、この誤操作に伴い上記2つのスタータST1およびST2が誤って同時に作動して(給電されて)しまうような事態は好適に回避されるようになる。そしてこれにより、前述したスタータ駆動に際しての電力不足の問題をはじめとした一時の過剰な電力消費に起因する諸々の問題についても、これが未然に防止されるようになる。
なお、上記異常検知手段によって第2スタータST2(復帰用スタータ)の異常が検知されるとき、単に同スタータST2の駆動を中止するだけでなく、これを中止した上で、さらにこの駆動を禁止することとすれば、セキュリティレベルをさらに高めることも可能である。
(第5の実施の形態)
次に、図9および図10を参照して、この発明に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法を具体化した第5の実施の形態について説明する。なお、図9は、先の図7に対応したブロック図であり、この図9においては、図7に示した要素と同一の要素に各々同一の符号を付して示し、それら要素についての重複する説明は割愛する。
同図9に示されるように、このシステムは、大きくは、先の図7に例示した第4の実施の形態のシステムに準じた構成を有している。ただし、この実施の形態においては、上述のカットリレーCRが、上記イグニッションスイッチIGSWと第1スタータST1との間にあって、特にスタータリレーSR1による給電経路とスイッチIGSWによる給電経路との合流点P1よりも第1スタータST1寄りに配設されている。そうして、このカットリレーCRがオン(開)制御されている期間においては、同カットリレーCRにより、イグニッションスイッチIGSWの配設された給電経路と共々、スタータリレーSR1の配設された給電経路も遮断状態に固定され、同スタータリレーSR1に基づく第1スタータST1への給電も併せ禁止されるようになっている。
以下、図10を併せ参照して、このカットリレーCRの制御態様について詳しく説明する。なお、ここで説明に用いる図10(a)〜(f)は、先の図8(a)〜(f)に対応するタイムチャートである。
同図10(b)に示されるように、この実施の形態にあって、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際には、ISS用コントローラCTによるスタータリレーSR2の駆動制御(オン(閉)制御)により、上記第2スタータST2に対し給電が行われる。そして、少なくともこの給電が行われている間は、図10(a)に示されるように、上記カットリレーCRがオン(開)制御され、上記イグニッションスイッチIGSWの操作に基づく第2スタータST2への給電が禁止されるようになっている。
しかもこのとき、上記カットリレーCRが該給電経路の合流点P1(図9)よりも第1スタータST1寄りに設けられていることで、同カットリレーCRのオン(開)駆動をもって、上記イグニッションスイッチIGSWの配設された給電経路と共々、スタータリレーSR1の配設された給電経路も遮断状態に固定されることになる。このため、イグニッションスイッチIGSWが誤って操作された場合(図10(d)の破線)だけでなく、上記スタータリレーSR1が故障・消耗等により使用できなくなった場合(例えば図10(c)に示すオン固定)にも、上記スタータST1およびST2が同時に作動して(給電されて)しまう(図10(e)の破線)事態は回避される。すなわちこれにより、前述したスタータ駆動に際しての電力不足等の問題はより確実に防止されるようになる。また、図10(f)に破線で(詳しくは、同図中「第1スタータがON固定時」の期間に破線で)示されるような上記第1スタータST1に対する過電流についても、これが好適に回避されるようになる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法によれば、前記(1)〜(8)の効果と同様の効果もしくはそれに準じた効果に加え、さらに次のような効果も得られるようになる。
(9)禁止手段としての上記カットリレーCRがオン(開)制御されている期間においては、同カットリレーCRにより、イグニッションスイッチIGSWの配設された給電経路と共々、スタータリレーSR1の配設された給電経路も遮断状態に固定され、同スタータリレーSR1に基づく第1スタータST1への給電も併せ禁止されるようにした。これにより、上記イグニッションスイッチIGSWの誤操作だけでなく、上記スタータリレーSR1の故障・消耗(例えばオン(閉)固定)等にも起因して生じ得る、上記2つ(第1および第2)のスタータST1およびST2が同時に給電、作動されてしまう事態についてもこれが好適に回避されるようになる。すなわち、こうした構成を採用することで、前述したスタータ駆動に際しての電力不足の問題をはじめとした諸々の問題がより確実に防止されるようになる。また、詳しくは先の図10(f)、特に同図中「第1スタータがON固定時」の期間に示されるように、上記第1スタータST1に対する過電流についても、これが好適に回避されるようになる。
(10)また、この実施の形態においては、上記カットリレーCRを、上記イグニッションスイッチIGSWと第1スタータST1との間、特に給電経路の合流点P1(図9)よりも第1スタータST1寄りに配設されるものとしたことで、上記構成が実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
(第6の実施の形態)
次に、図11および図12を参照して、この発明に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法を具体化した第6の実施の形態について説明する。なお、図11は、先の図9に対応したブロック図であり、この図11においては、図9に示した要素と同一の要素に各々同一の符号を付して示し、それら要素についての重複する説明は割愛する。
同図11に示されるように、このシステムは、大きくは、先の図9に例示した第5の実施の形態のシステムに準じた構成を有している。ただし、このシステムにあっては、ISS用コントローラCTとは別に、カットリレー駆動用コントローラCCT(補助制御装置)が、該ISS用コントローラCTと通信可能に接続されるかたちでさらに設けられている。具体的には、ISS用コントローラCTは、大きくは、スタータリレー駆動回路SC1およびSC2や、これら回路との協働のもとにスタータリレーSR1およびSR2の駆動を制御するマイクロコンピュータMC等を有して構成されている。一方、カットリレー駆動用コントローラCCTは、大きくは、カットリレー駆動回路CC、さらには、この回路との協働のもとにカットリレーCRの駆動を制御するマイクロコンピュータCMC等を有して構成されている。そうして、これら電子制御装置の双方向の通信(あるいはコントローラCTからコントローラCCTへの単方向のアクセス)をもって、上述のカットリレーCRの駆動制御が、上記カットリレー駆動用コントローラCCTによって行われるようになっている。なお、これら電子制御装置間の通信方法としては、例えばCAN(Controller Area Network)通信などを利用することができる。
以下、図12を併せ参照して、上記カットリレーCRの制御態様について詳しく説明する。なお、これら図12(a)〜(f)も、先の図8(a)〜(f)に対応するタイムチャートである。
同図12(a)〜(f)に示されるように、この実施の形態においては、ISS用コントローラCTに異常が生じた場合にも、該ISS用コントローラCTと通信可能に接続された上記カットリレー駆動用コントローラCCTにより、上記カットリレーCRの開/閉駆動が所望に制御される。このため、このとき誤ってイグニッションスイッチIGSWがオン操作された(図12(d)の破線)としても、このイグニッションスイッチIGSWの誤操作に伴って第1スタータST1が誤動作する(図12(f)の破線)ようなことはなくなる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法によれば、前記(1)〜(10)の効果と同様の効果もしくはそれに準じた効果に加え、さらに次のような効果も得られるようになる。
(11)ISS用コントローラCTによる制御を補助するカットリレー駆動用コントローラCCT(補助制御装置)を、ISS用コントローラCTと通信可能に接続させるかたちでさらに設け、該コントローラCCTに、禁止手段としての上記カットリレーCRの駆動制御を行わせるようにした。これにより、上記イグニッションスイッチIGSWの誤操作に伴う不都合を、より高いセキュリティレベルをもって好適に回避することができるようになる。
(第7の実施の形態)
次に、図13および図14を参照して、この発明に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法を具体化した第7の実施の形態について説明する。なお、図13は、先の図7に対応したブロック図であり、この図13においては、図7に示した要素と同一の要素に各々同一の符号を付して示し、それら要素についての重複する説明は割愛する。
同図11に示されるように、このシステムは、大きくは、先の図7に例示した第4の実施の形態のシステムに準じた構成を有している。ただし、このシステムにあっては、ISS用コントローラCT(図7)に代えて、互いに通信可能に接続される第1コントローラCT1(補助制御装置)および第2コントローラCT2を採用することとしている。具体的には、第1コントローラCT1は、大きくは、スタータリレー駆動回路SC1やカットリレー駆動回路CC、さらには、これら回路との協働のもとにスタータリレーSR1やカットリレーCRの駆動を制御するマイクロコンピュータMC1等を有して構成されている。一方、第2コントローラCT2は、大きくは、スタータリレー駆動回路SC2、そして、この回路との協働のもとにスタータリレーSR2の駆動を制御するマイクロコンピュータMC2等を有して構成されている。そうして、これら電子制御装置の双方向(あるいは単方向)の通信をもって、第1および第2のスタータST1およびST2、さらにはカットリレーCRが所望に制御されるようになっている。なおこの場合も、これら電子制御装置間の通信方法としては、例えばCAN通信などを利用することができる。
以下、図14を併せ参照して、上記カットリレーCRの制御態様についてさらに詳しく説明する。なお、これら図14(a)〜(f)も、先の図8(a)〜(f)に対応するタイムチャートである。
同図14(a)〜(f)に示されるように、この実施の形態においては、第2コントローラCT2に異常が生じた場合にも、該第2コントローラCT2と通信可能に接続された上記第1コントローラCT1によって、上記スタータリレーSR1の開/閉駆動、並びにカットリレーCRの開/閉駆動が所望に制御される。このため、このとき誤ってイグニッションスイッチIGSWがオン操作された(図14(d)の破線)としても、このイグニッションスイッチIGSWの誤操作に伴い上記第1スタータST1が誤動作する(図14(f)の破線)ことはなく、上記第1コントローラCT1により、該スタータST1の制御が適正に行われるようになる。すなわち、この実施の形態に係る上記システムによれば、第2スタータST2やスタータリレーSR2に異常が生じた場合だけでなく、これらを制御する第2コントローラCT2自体に故障等の異常が生じた場合にもこれに柔軟に対応して適正な制御を維持し続けることが可能になる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法によれば、前記(1)〜(8)の効果と同様の効果もしくはそれに準じた効果に加え、さらに次のような効果も得られるようになる。
(12)第2コントローラCT2による制御を補助する第1コントローラCT1(補助制御装置)を、第2コントローラCT2と通信可能に接続させるかたちでさらに設け、該第1コントローラCT1に、スタータリレーSR1、並びにカットリレーCRの駆動制御を行わせるようにした。これにより、第2スタータST2やスタータリレーSR2に異常が生じた場合だけでなく、これらを制御する第2コントローラCT2自体に故障等の異常が生じた場合にもこれに柔軟に対応して適正な制御を維持し続けることが可能になる。
(他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・例えば図15に示すように、図4に例示した第2の実施の形態の構成についてこれを、先の図7に例示した第4の実施の形態のシステムと同様、第1および第2のスタータST1およびST2により構成するようにした場合にも、例えば先の図8に示した動作例に準じた動作をもって、前記(1)〜(8)の効果に準じた効果は得られるようになる。
・そしてこの場合も、例えば図16に示すように、上記カットリレーCRを、イグニッションスイッチIGSWと第1スタータST1との間で、特に給電経路の合流点P2よりも第1スタータST1寄りに配設するようにすれば、前記(1)〜(10)の効果に準じた効果が得られるようになる。すなわち、上記イグニッションスイッチIGSWの誤操作だけでなく、ISS用コントローラCTの故障・消耗(例えば誤ったタイミングでのスタータリレーSR1への電流供給)等にも起因して生じ得る、上記2つ(第1および第2)のスタータST1およびST2が同時に給電、作動されてしまう事態についてもこれが好適に回避されるようになる。
・さらに、これら図15および図16に例示する電子制御装置についても、先の図11あるいは図13に例示したものに準じた補助制御装置を採用することとすれば、前記(11)の効果に準じた効果、あるいは前記(12)の効果に準じた効果が得られるようになる。
・また、上記第6の実施の形態(図11)およびその変形例において、ISS用コントローラCTにもカットリレー駆動回路CCをもたせた構成とすることもできる。すなわち、平常時は、カットリレー駆動用コントローラCCTに当該ISS用コントローラCTの異常の有無を監視させつつ、当該コントローラCTによりカットリレーCRの駆動制御を行う。そうして、上記カットリレー駆動用コントローラCCTによって当該ISS用コントローラCTの異常が検知されたときにのみ、当該コントローラCTに代えて上記カットリレー駆動用コントローラCCTにカットリレーCRの駆動制御を行わせる。こうした構成を採用することとすれば、平常時(正常時)は、電子制御装置間の通信によることなくスタータのアイドリングストップ制御が行われることになり、もってセキュリティレベルはさらに高められることになる。
・上記各実施の形態およびその変形例においては、説明の便宜上、実用される可能性の高い1つ乃至2つのスタータを備えるシステムについてのみ言及したが、3つ以上のスタータを備える構成に対しても、この発明は同様に適用することができる。
・上記第4〜第7の実施の形態およびその変形例においては、第1および第2のスタータST1およびST2を共通の電源に接続した構成について言及することとしたが、これらが互いに異なる電源に接続された場合にあっても、前記(1)〜(3)の効果や前記(7)〜(12)の効果と同様の効果もしくはそれに準じた効果は得られるようになる。
・また、上記各実施の形態およびその変形例において、カットリレーCRを直列に複数(例えば2つ)接続して設けるようにすれば、そのいずれかが故障(閉固定)した場合にあってもこれに柔軟に対応することのできる構成となる。
・また、先の図3、図6、図8、図10、図12、図14は、あくまで各実施の形態に係る電子制御装置、あるいはシステムについて、その動作の一例を例示するものにすぎない。すなわち、この発明に係る電子制御装置の動作態様は、ここに示す動作態様に限定されることはない。例えば、カットリレーCRのオン制御がスタータリレーSR、SR1、SR2のオン制御と同時に行われることは必須ではなく、誤ったタイミングでの手動による給電操作、すなわちイグニッションスイッチIGSWの誤操作が予想されるタイミングに先立って行われることで足りる。
・上記各実施の形態およびその変形例において、スタータの給電経路中に配設されてオフ/オン操作(手動操作)されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータスイッチとしては、前述したイグニッションスイッチIGSWに限られない任意のスイッチを採用することができる。例えばこれが非常時のスタータ駆動を目的として設けられたスイッチなどであっても、その意義についてはいくらか差が出るものの、この発明は同様に適用することができる。
CC…カットリレー駆動回路、CCT…カットリレー駆動用コントローラ、CMC、MC、MC1、MC2…マイクロコンピュータ、CR…カットリレー、CRC、RC、SRC…リレーコイル、CRW、RW、SRW…リレースイッチ、CT…ISS用コントローラ、IGSW…イグニッションスイッチ、M…スタータモータ、R1、R2、R11、R12…抵抗素子、SC、SC1、SC2…スタータリレー駆動回路、SR、SR1、SR2…スタータリレー、ST…スタータ、ST1…第1スタータ、ST2…第2スタータ、T、T10…トランジスタ。