このように、図18〜図20に示した上記システムにあっては、例えば運転者等による手動操作により、あるいはISS用コントローラCT2の指令により、所望とされるタイミングで内燃機関に対するクランキング(スタータ駆動)が実行されることになる。しかしながら、上記ISS用コントローラCT2は、いつも正常に動作するとは限らない。当該電子制御装置は、構成自体が極めて精密で、非常に繊細に出来上がっていることに加えて、その配設環境も常に望ましい環境にあるとは限らない(例えば寒冷地などで使用されることもある)。このため、経時的な消耗等を含めた予期し難い原因により同装置に故障等の異常が引き起こされる可能性は少なからず残されている。以下、図21(a)および(b)を参照して、この課題についてさらに説明する。なお、同図21において、(a)は、スタータリレー駆動回路SCによるスタータリレーSRへのオン/オフ指令の推移を示すタイムチャート、(b)は、スタータST(リレーコイルRC)に供給される電流量の推移を示すタイムチャートである。
同図21(a)に実線にて示されるように、この例においては、上記ISS用コントローラCT2に故障等の異常が生じて、オン信号(駆動電流)が制御不能になる場合を想定している。すなわち、この信号(オン信号)が、上記スタータリレーSR(図18、図20)に対していつまでも送り続けられることにより、同リレーSRがオン固定される。このため、図21(b)に同じく実線にて示されるように、制御対象とするスタータSTがオフ(停止)されるべきタイミング(同図21(a)および(b)中の破線参照)になっても、これが正常にオフされず、わるくすると、該スタータSTがいつまでも回り続けてしまうことにもなりかねない。
また別の事例として、長時間の通電により、あるいは別の給電経路からも電流が供給されることにより、通電ライン(配線)に損傷を与えてしまうことも懸念される。具体的には、例えば先の図19に示したシステムでいえば、上記スタータリレーSRがオン固定された状態で、例えば運転者等(ユーザ)によりイグニッションスイッチIGSWがオン操作(給電操作)されるようなことがあると、同スイッチIGSWの配設された給電経路によっても、上記スタータSTへ電流が供給されるようになる。すなわち、これら給電経路の合流点P1、さらには合流後の部分に対しては、通常想定されている1つの経路のみによる電流量よりも多くの量の電流が集中的に供給されることになる。このため、ここに規定値以上の電流(過電流)が供給され、同経路(配線)やリレー素子、さらにはスタータ自体に損傷を与えてしまうことが懸念されるようになる。
そこで従来、これらワイヤ(配線部材)およびリレー素子、さらにはスタータとして、こうした過電流にも耐え得るものを選定して採用することも行われているものの、こうした構成によっては新たに、これら部品(装置)について大型化、コスト上昇といった問題を招くことになってしまう。すなわち結局のところ、こうした構成によっても、上記課題を抜本的に解決するには至っていない。
また、スタータの故障・消耗等にも対応すべくスタータをもう1つ設けるようにしたシステム、例えば図22に示されるような2つのスタータを備えるシステムにあっては、逆に電流量の不足が問題になる。以下、図22および図23を参照して、この課題についてさらに説明する。なお、図22は、このシステムの概略構成を示すブロック図である。
同図22に示されるように、このシステムは、大きくは、当該車両に搭載されている内燃機関(エンジン)を外部から駆動してこれを自力回転させる第1および第2のスタータST1およびST2と、これらスタータST1およびST2を制御するISS用コントローラCT2とを備えて構成されている。詳しくは、該コントローラCT2は、上記スタータST1およびST2への給電の断続制御を行うべくその給電経路中にあるスタータリレーSR1およびSR2を開(オフ)/閉(オン)駆動するスタータリレー駆動回路SC1およびSC2や、これら駆動回路と協働して上記各スタータを制御するマイクロコンピュータMC2等を有して構成されている。
また、上記第1スタータST1に対しては、特にその給電経路に対し、内燃機関の点火・始動スイッチであるイグニッションスイッチIGSWがさらに設けられており、このスイッチIGSWのオフ(開)/オン(閉)操作によっても同第1スタータST1への給電が断続されるようになっている。なお、該イグニッションスイッチIGSWの配設された第1スタータST1の給電経路(詳しくはリレーコイルの通電ライン)は、上記スタータリレーSR1およびSR2の配設されている各スタータへの給電経路(同上)共々、これらに共通の電源(電源電圧「+B」)に接続されている。
そして、こうしたシステムにあって、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際には、運転者等によるイグニッションスイッチIGSWのオン操作に基づいて、あるいはマイクロコンピュータMC2の指令に基づいて、上記スタータST1およびST2のいずれか一方に対して給電が実行される。そうして、そのスタータ(スタータモータ)により、内燃機関に対するクランキング(スタータ駆動)が開始されることになる。
図23(a)〜(d)は、上記システムの動作例を示すタイムチャートである。なお、これら図23において、(a)および(b)は、スタータリレー駆動回路SC2およびSC1によるスタータリレーSR2およびSR1へのオン/オフ指令の推移を示すタイムチャート、また(c)および(d)は、第2および第1のスタータST2およびST1に供給される電流量の推移を示すタイムチャートである。
同図23(c)、(d)に破線にて示すように、コントローラCT2によるスタータリレーSR2のオン制御によって、上記スタータST1およびST2の一方(ここではスタータST2)のみに給電が行われている間は、該スタータに供給される電流量は適正な範囲(規定範囲)におかれる。しかしここで、例えばコントローラCT2の故障等によりスタータリレーSR1をオフ制御することができなくなるようなことがあると、図23(a)および(b)に実線にて示すように、上記スタータST1およびST2の双方に同時に給電が行われることにもなりかねない。そしてこの場合には、これらのスタータで同時に電力が消費されることになることで、図23(c)および(d)に実線にて示されるように、共通の電源(電源電圧「+B」)による電流供給量が不足して、各スタータの駆動に必要とされるだけの電力の確保が困難となり、ひいてはこれらスタータに駆動不良等の生じるおそれすらある。
こうした事態を回避するためには、例えば上記2つのスタータST1およびST2の電源(車載バッテリ等)として、これら2つのスタータが同時に駆動された場合にあっても十分に電力を確保し得るだけの容量をもった電源(バッテリ)を採用することなども考えられる。しかし、こうした構成によってもやはり新たに、当該電源本体の大型化やコスト上昇といった問題を招くことになってしまい、結局のところ、こうした2つのスタータによるシステムは、未だ実用化にすら至っていない実情にある。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、故障等に対する耐性を高め、こうした不測の事態において制御対象であるスタータの誤動作が原因となり生じ得る諸々の不都合についてもこれを未然に防止することのできる電子制御装置およびそのアイドリングストップ制御方法を提供することを目的とする。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車載内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動するスタータと、該スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータリレーとを備えて構成される車載制御システムにあって、前記スタータリレーに開/閉指令を与えるスタータリレー駆動回路を備え、該スタータリレー駆動回路による指令に応じて前記スタータリレーが開/閉駆動されることに基づいて前記スタータのアイドリングストップ動作を制御する電子制御装置として、前記スタータリレー駆動回路による前記スタータリレーへの開/閉指令の経路を断って該指令に基づく前記スタータリレーの開/閉駆動を継続的に禁止する禁止手段をさらに備え、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記禁止手段による禁止を所要時間だけ解除して前記スタータリレーとの協働のもと前記スタータにこれを実行させる構成とする。
当該電子制御装置を含む上記車載制御システムにあっては、制御対象とするスタータの給電経路中にスタータリレーが配設され、スタータリレー駆動回路の開/閉指令に応じて該スタータリレーが開/閉駆動されることに基づいて、制御対象とするスタータへの給電が断続されるようになっている。ただし、車両(特にスタータ)を制御する電子制御装置としての上記構成においては、スタータリレーへの開/閉指令の経路を断って該指令に基づく同リレーの開/閉駆動を継続的に禁止する禁止手段を新たに設け、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際には、この禁止手段による禁止を所要時間だけ解除してこのラン復帰を行うようにしている。これにより、該ラン復帰を行わない期間においては、上記スタータリレーへの指令経路が断たれて、上記スタータリレー駆動回路による指令は該スタータリレーに届かなくなる。すなわち、故障等の原因によりスタータリレー駆動回路が制御不能になって同回路からスタータリレーへ閉(オン)指令がいつまでも出力されるようになった場合にも、該スタータリレーが閉(オン)固定されることはなくなり、前述したスタータがいつまでも回り続けてしまうようなことや、その通電ライン(配線)に損傷を与えてしまうようなことは未然に防止されるようになる。
また、請求項2に記載の発明では、車載内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動するスタータと、該スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータリレーとを備えて構成される車載制御システムにあって、前記スタータリレーに開/閉指令を与え、この指令に応じて前記スタータリレーが開/閉駆動されることに基づいて前記スタータのアイドリングストップ動作を制御する電子制御装置として、当該電子制御装置によるスタータ制御を補助する補助制御装置を通信可能に接続されるかたちで備えつつ、当該電子制御装置による前記スタータリレーへの開/閉指令の経路を断って該指令に基づく前記スタータリレーの開/閉駆動を継続的に禁止するとともに前記補助制御装置からの解除要求に従ってその禁止を解除する禁止手段をさらに備え、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記補助制御装置との通信に基づいて前記禁止手段による禁止を所要時間だけ解除して前記スタータリレーとの協働のもとに前記スタータにこれを実行させる構成とする。
こうした構成によれば、当該電子制御装置と通信可能に接続された補助制御装置によって、前記禁止手段の駆動が制御されるようになる。すなわち、当該電子制御装置の略全体に異常(故障等)が発生した場合においても、上記禁止手段の駆動は適正に制御される。このため、例えば故障等の原因によりスタータリレー駆動回路が制御不能になって同回路からスタータリレーへ閉(オン)指令がいつまでも出力されるようになった場合においてさらに、当該電子制御装置の略全体に異常(故障等)が発生した場合であれ、制御対象であるスタータのアイドリングストップ動作は適正に制御されるようになる。
また、請求項3に記載の発明では、上記請求項1または2に記載の電子制御装置において、前記システムを、前記スタータのほかにこれと同じく前記内燃機関を外部から駆動する復帰用スタータを備えるとともに、さらに、該復帰用スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同復帰用スタータへの給電を断続させる復帰用スタータリレーと、前記復帰用スタータの異常を検知する異常検知手段とを備える構成とし、該システムにあって、平常時には、前記復帰用スタータリレーに開/閉指令を与え、この指令に応じて前記復帰用スタータリレーが開/閉駆動されることに基づいて、前記内燃機関のアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態への復帰を前記復帰用スタータに行わせる一方、前記異常検知手段によってその異常が検知されるときには、同復帰用スタータの駆動を中止するとともに、前記内燃機関のアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態への復帰を他方の前記スタータに行わせるようにする。
こうした構成によれば、平常時に使用している復帰用スタータや復帰用スタータリレーが、例えば消耗等により使用できなくなるような事態になっても、これが復帰用スタータの動作異常として上記異常検知手段により検知され、別の正常なスタータ(前記スタータ)により当該機関のラン復帰が適正に行われるようになる。
なお、前記異常検知手段によって復帰用スタータの異常が検知されるとき、単に同復帰用スタータの駆動を中止するだけでなく、これを中止した上で、さらにこの駆動を禁止することとすれば、セキュリティレベルをさらに高めることも可能である。
またこの場合、請求項4に記載の発明によるように、前記復帰用スタータリレーへの開/閉指令の経路を断って該指令に基づく前記復帰用スタータリレーの開/閉駆動を継続的に禁止する復帰用スタータ禁止手段をさらに備え、平常時、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記復帰用スタータ禁止手段による禁止を所要時間だけ解除して前記復帰用スタータリレーとの協働のもと前記復帰用スタータにこれを実行させる構成とすることが望ましい。
このように、前記復帰用スタータに対しても禁止手段(復帰用スタータ禁止手段)を設けるようにすることで、この復帰用スタータについても、これがいつまでも回り続けてしまうようなことや、その通電ライン(配線)に損傷を与えてしまったりするようなことは未然に防止されるようになる。
また、この請求項4に記載の電子制御装置において、前記復帰用スタータ禁止手段としては、具体的には請求項5に記載の発明によるように、当該電子制御装置と前記復帰用スタータリレーとの間に配設されて、継続的な開状態をもって当該電子制御装置の開/閉指令に基づく前記復帰用スタータリレーの開/閉駆動を継続的に禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子により構成されるものを採用することが有効である。こうした構成によれば、上記請求項4に記載の構成は実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
またこの場合において、前記復帰用スタータ禁止手段を構成するスイッチング素子としては、請求項6に記載の発明によるように、半導体素子により構成されるものを採用することが特に有効である。一般に、半導体素子からなるスイッチング素子(例えばトランジスタ等)は長寿命で、しかも低コストなものが多い。このため、信頼性の高い構成を低コストで実現するためには、こうした構成が特に有効である。
また、上記請求項3〜6のいずれか一項に記載の電子制御装置は、請求項7に記載の発明によるように、前記復帰用スタータの異常時にこれに代わってラン復帰を行う前記スタータが、前記内燃機関の始動に際して始動スイッチであるイグニッションスイッチの操作に基づき同機関を駆動するものである構成について採用して特に有効である。
一般にスタータの主な用途としては、上述の内燃機関のラン復帰のほかに、内燃機関の始動がある。そして、内燃機関の始動は、ユーザ(運転者等)の意思に基づいて実行されるよう、通常、始動スイッチであるイグニッションスイッチの操作(通常はキー操作)に応じて実行されるようになっている。この点、上記請求項7に記載の構成によれば、ここに述べた2つの用途が共により的確に且つ円滑に行われるようになる。
また、上記請求項3〜7のいずれか一項に記載の電子制御装置は、請求項8に記載の発明によるように、前記復帰用スタータと、該復帰用スタータの異常時にこれに代わってラン復帰を行う前記スタータとが、共通の電源に接続されたシステム構成について採用して特に有効である。
前述したように、複数のスタータが共通の電源に接続された制御システムにあっては、これらスタータが同時に駆動することに起因して、各スタータの駆動不良が懸念されるようになる(図22および図23参照)。この点、上記構成によれば、こうした複数のスタータが共通の電源に接続された制御システムにあって、故障等の原因によりスタータリレー駆動回路が制御不能になって同回路からスタータリレーへ閉(オン)指令がいつまでも出力されるようになった場合にも、該スタータリレー自体が閉(オン)状態に固定されることはなくなり、前述した制御対象であるスタータが誤動作してしまうようなことや、そのスタータ駆動に必要とされる電力が不足してしまうようなことは未然に防止されるようになる。
また、上記請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子制御装置において、前記禁止手段としては、具体的には請求項9に記載の発明によるように、当該電子制御装置と前記スタータリレーとの間に配設されて、継続的な開状態をもって当該電子制御装置の開/閉指令に基づく前記スタータリレーの開/閉駆動を継続的に禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子により構成されるものを採用することが有効である。こうした構成によれば、上記請求項1〜8のいずれか一項に記載の構成は実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
またこの場合においても、前記禁止手段を構成するスイッチング素子としては、請求項10に記載の発明によるように、上記請求項6に記載の発明と同様、半導体素子により構成されるものを採用することが特に有効である。
また一方、請求項11に記載の発明では、車載内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動するスタータと、該スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータリレーとを備えて構成される車載制御システムにあって、前記スタータリレーに開/閉指令を与え、この指令に応じて前記スタータリレーが開/閉駆動されることに基づいて前記スタータのアイドリングストップ動作を制御する電子制御装置として、前記スタータと前記スタータリレーとの間で同リレーの配設された給電経路を遮断状態に固定して継続的に同経路による前記スタータへの給電を禁止する禁止手段を備え、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記禁止手段による禁止を所要時間だけ解除して前記スタータリレーとの協働のもと前記スタータにこれを実行させる構成とする。
当該電子制御装置を含む上記車載制御システムにおいては、制御対象とするスタータの給電経路中にスタータリレーが配設され、このスタータリレーが開/閉駆動されることに基づいて、制御対象とするスタータへの給電が断続されるようになっている。ただし、車両(特にスタータ)を制御する電子制御装置としての上記構成にあっては、該スタータリレーと制御対象であるスタータとの間で給電経路を遮断状態に固定して継続的に同経路によるスタータへの給電を禁止する禁止手段を新たに設け、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際には、この禁止手段による禁止を所要時間だけ解除してこのラン復帰を行うようにしている。これにより、ラン復帰を行わない期間においては、該スタータリレーの配設された給電経路が遮断されて、同経路によりスタータへ給電されることはなくなる。すなわち、故障等に起因して該スタータリレー自体が閉(オン)状態に固定(固着)されるようになった場合にも、制御対象であるスタータが誤動作したりその通電ラインが損傷したりするようなことは未然に防止されるようになる。
また、請求項12に記載の発明では、車載内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動するスタータと、該スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータリレーとを備えて構成される車載制御システムにあって、前記スタータリレーに開/閉指令を与え、この指令に応じて前記スタータリレーが開/閉駆動されることに基づいて前記スタータのアイドリングストップ動作を制御する電子制御装置として、当該電子制御装置による制御を補助する補助制御装置を通信可能に接続されるかたちで備えつつ、前記スタータと前記スタータリレーとの間で同リレーの配設された給電経路を遮断状態に固定して継続的に同経路による前記スタータへの給電を禁止するとともに前記補助制御装置からの解除要求に従ってその禁止を解除する禁止手段をさらに備え、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記補助制御装置との通信に基づいて前記禁止手段による禁止を所要時間だけ解除して前記スタータリレーとの協働のもとに前記スタータにこれを実行させる構成とする。
こうした構成によれば、当該電子制御装置と通信可能に接続された補助制御装置によって、前記禁止手段の駆動が制御されるようになる。すなわち、当該電子制御装置の略全体に異常(故障等)が発生した場合においても、上記禁止手段の駆動は適正に制御される。このため、例えば故障等の原因によりスタータリレー駆動回路が制御不能になって同回路からスタータリレーへ閉(オン)指令がいつまでも出力されるようになった場合においてさらに、当該電子制御装置の略全体に異常(故障等)が発生した場合であれ、制御対象であるスタータのアイドリングストップ動作は適正に制御されるようになる。
また、請求項13に記載の発明では、上記請求項11または12に記載の電子制御装置において、前記システムを、前記スタータのほかにこれと同じく前記内燃機関を外部から駆動する復帰用スタータを備えるとともに、さらに、該復帰用スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同復帰用スタータへの給電を断続させる復帰用スタータリレーと、前記復帰用スタータの異常を検知する異常検知手段とを備え、該システムにあって、平常時には、前記復帰用スタータリレーとの協働のもと、前記内燃機関のアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態への復帰を前記復帰用スタータに行わせる一方、前記異常検知手段によってその異常が検知されるときには、同復帰用スタータの駆動を中止するとともに、前記内燃機関のアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態への復帰を他方の前記スタータに行わせるようにする。
こうした構成によれば、平常時に使用している復帰用スタータや復帰用スタータリレーが、例えば消耗等により使用できなくなるような事態になっても、これが復帰用スタータの動作異常として上記異常検知手段により検知され、別の正常なスタータ(前記スタータ)により当該機関のラン復帰が適正に行われるようになる。
なおこの場合も、前記異常検知手段によって復帰用スタータの異常が検知されるとき、単に同復帰用スタータの駆動を中止するだけでなく、これを中止した上で、さらにこの駆動を禁止することとすれば、セキュリティレベルはさらに高められることになる。
またこの場合も、請求項14に記載の発明によるように、前記復帰用スタータリレーの配設された給電経路を当該復帰用スタータリレーと前記復帰用スタータとの間で遮断状態に固定して継続的に同経路による前記復帰用スタータへの給電を禁止する復帰用スタータ禁止手段をさらに備え、平常時、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記復帰用スタータ禁止手段による禁止を所要時間だけ解除して前記復帰用スタータリレーとの協働のもと前記復帰用スタータにこれを実行させる構成とすることが望ましい。
このように、前記復帰用スタータに対しても禁止手段(復帰用スタータ禁止手段)を設けるようにすることで、この復帰用スタータについても、これがいつまでも回り続けてしまうようなことや、その通電ライン(配線)に損傷を与えてしまったりするようなことは未然に防止されるようになる。
また、この請求項14に記載の電子制御装置において、前記復帰用スタータ禁止手段としては、具体的には請求項15に記載の発明によるように、前記復帰用スタータリレーと前記復帰用スタータとの間に配設されて、継続的な開状態をもって前記復帰用スタータへの給電を禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子により構成されるものを採用することが有効である。こうした構成によれば、上記請求項14に記載の構成は実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
またこの場合においても、前述と同様、前記復帰用スタータ禁止手段を構成するスイッチング素子としては、請求項16に記載の発明によるように、半導体素子により構成されるものを採用することが特に有効である。
また、上記請求項13〜16のいずれか一項に記載の電子制御装置も、請求項17に記載の発明によるように、前記復帰用スタータの異常時にこれに代わってラン復帰を行う前記スタータが、前記内燃機関の始動に際して始動スイッチであるイグニッションスイッチの操作に基づき同機関を駆動するものである構成に採用して特に有効である。こうした構成によれば、スタータの主な用途である上述の内燃機関のラン復帰に加え、内燃機関の始動についてもこれがより的確に且つ円滑に行われることになる。
また、上記請求項13〜17のいずれか一項に記載の電子制御装置についてもこれは、請求項18に記載の発明によるように、前記復帰用スタータと、該復帰用スタータの異常時にこれに代わってラン復帰を行う前記スタータとが、共通の電源に接続されたシステム構成について採用して特に有効である。前述と同様、こうした構成によれば、複数のスタータが共通の電源に接続された制御システムにありながら、故障等の原因によりスタータリレー駆動回路が制御不能になって同回路からスタータリレーへ閉(オン)指令がいつまでも出力されるようになった場合にも、該スタータリレー自体が閉(オン)状態に固定されることはなくなり、前述した制御対象であるスタータが誤動作してしまうようなことや、そのスタータ駆動に必要とされる電力が不足してしまうようなことは未然に防止されるようになる。
また、上記請求項13〜18のいずれか一項に記載の電子制御装置において、前記禁止手段としては、具体的には請求項19に記載の発明によるように、前記スタータリレーと前記スタータとの間に配設されて、継続的な開状態をもって前記スタータへの給電を禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子により構成されるものを採用することが有効である。こうした構成によれば、上記請求項13〜18のいずれか一項に記載の構成は実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
またこの場合においても、前記禁止手段を構成するスイッチング素子としては、請求項20に記載の発明によるように、上記請求項16に記載の発明と同様、半導体素子により構成されるものを採用することが特に有効である。
他方、請求項21に記載の発明では、車載内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動するスタータと、該スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータリレーと、該スタータリレーに開/閉指令を与えるスタータリレー駆動回路とを備えて構成される車載制御システムについて、前記スタータリレー駆動回路による指令に応じて前記スタータリレーが開/閉駆動されることに基づき前記スタータのアイドリングストップ動作を制御するアイドリングストップ制御方法として、前記システムに対して、前記スタータリレー駆動回路による前記スタータリレーへの開/閉指令の経路を断って該指令に基づく前記スタータリレーの開/閉駆動を継続的に禁止する禁止手段をさらに設け、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記禁止手段による禁止を所要時間だけ解除して前記スタータリレーの駆動のもと前記スタータにこれを実行させることとする。
アイドリングストップ制御方法としても、こうした方法を採用することとすれば、故障等の原因によりスタータリレー駆動回路が制御不能になって同回路からスタータリレーへ閉(オン)指令がいつまでも出力されるようになった場合であれ、該スタータリレーが閉(オン)固定されることはなくなり、前述したスタータがいつまでも回り続けてしまうようなことや、その通電ライン(配線)に損傷を与えてしまうようなことは未然に防止されるようになる。
また、請求項22に記載の発明では、車載内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動するスタータと、該スタータの給電経路中に配設されて開/閉駆動されることに基づいて同スタータへの給電を断続させるスタータリレーとを備えて構成される車載制御システムについて、前記スタータリレーに開/閉指令を与え、この指令に応じて前記スタータリレーが開/閉駆動されることに基づいて前記スタータのアイドリングストップ動作を制御するアイドリングストップ制御方法として、前記システムに対して、前記スタータと前記スタータリレーとの間で同リレーの配設された給電経路を遮断状態に固定して継続的に同経路による前記スタータへの給電を禁止する禁止手段をさらに設け、前記内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、前記禁止手段による禁止を所要時間だけ解除して前記スタータリレーの駆動のもと前記スタータにこれを実行させることとする。
こうした方法によっても、請求項11に記載の発明と同様、故障等に起因して該スタータリレー自体が閉(オン)状態に固定(固着)されるようになった場合であれ、制御対象であるスタータが誤動作したりその通電ラインが損傷したりするようなことは未然に防止されるようになる。
(第1の実施の形態)
以下、図1〜図3を参照して、この発明に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法を具体化した第1の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態に係るシステムも、先の図18に例示したシステムと同様、ISS(アイドリングストップシステム)用コントローラを備え、このコントローラによって、車両に搭載される内燃機関を自力で回転させるために同機関を外部から駆動するスタータのアイドリングストップ動作を制御するように構成されている。
まず、図1を参照して、こうしたISS用コントローラ(電子制御装置)を含む内燃機関の制御システム(車載制御システム)について、また特にその構成の概要について説明する。なお、この図1は、同システムの概略構成を模式的に示すブロック図である。
同図1に示されるように、このシステムは、大きくは、当該車両に搭載されている内燃機関(エンジン)を外部から駆動するスタータSTと、同スタータSTのアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCTとを備えて構成されている。そして、こうしたシステムにあって、上記スタータSTの給電経路中(詳しくはリレーコイルの通電ライン上)には、点火・始動スイッチとして当該機関を始動させるイグニッションスイッチIGSWと、さらに、上記ISS用コントローラCTによってオフ(開)/オン(閉)駆動される電磁式のスタータリレーSRとが配設されている。さらに詳しくは、これらスイッチIGSWおよびリレーSRは、スタータSTの電源(電源電圧「+B」)から当該スタータSTに至る途中で合流(合流点P1)する各給電経路において、互いに独立して同スタータSTへの給電の断続制御を行うことができるように配設されている。なお、このシステムにおいても、上記スタータSTの電源(電源電圧「+B」や「+BB」)は、例えば車載バッテリ等によって供給されるものである。
また、このシステムにおいては、上記ISS用コントローラCT(詳しくはスタータリレー駆動回路SC)とスタータリレーSRとの間に、電磁式のカットリレーCRがさらに設けられている。具体的には、このカットリレーCRは、継続的な開状態をもって上記コントローラCTの開/閉指令に基づくスタータリレーSRの開/閉駆動を継続的に禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子として構成されている。
また、上記ISS用コントローラCTは、上記スタータSTへの給電の断続制御を行うべくその給電経路中にある上記スタータリレーSRに開/閉指令を与えるスタータリレー駆動回路SCや、この回路SCと協働して上記スタータSTのアイドリングストップ動作を制御するマイクロコンピュータ(マイコン)MC等を有して構成されている。また、このISS用コントローラCTは、こうした構成に加えてさらに、上記カットリレーCRを駆動するカットリレー駆動回路CCを備え、上記マイクロコンピュータMCの指令に基づき所望とされるタイミングで上記カットリレーCRをオン(開)/オフ(閉)駆動することができるように構成されている。なお、この実施の形態においては、上記カットリレーCRやカットリレー駆動回路CCが禁止手段として機能するようになっている。
次に、図2を参照して、このシステムの構成の詳細、並びに同システムによるアイドリングストップ制御方法についてさらに説明する。なお、図2は、このシステム構成の詳細を示す回路図である。
同図2に示されるように、このシステムにあっても、上記マイクロコンピュータMCの指令(電流供給の有無)に基づきトランジスタT10がオン/オフ駆動される。すなわち、上記カットリレーCRがオフ(閉)状態にあるときには、上記スタータリレーSRのリレーコイルSRCの通電の有無、ひいてはそのリレースイッチSRWのオン(閉)/オフ(開)状態が所望に制御される。そうして、上記スタータST(スタータモータM)の給電経路に配設されたリレーコイルRCの通電の有無、ひいてはそのリレースイッチRWのオン(閉)/オフ(開)状態についても、同じくこれが所望に制御されるようになっている。なお、ここでも上記トランジスタT10は、所要の抵抗値に設定された抵抗素子R11やR12等が設けられることで、そのスイッチング動作の最適化が図られている。そして、これら抵抗素子の抵抗値も、例えばトランジスタT10の「エミッタ−コレクタ」間に印加される電源電圧(Vcc)等に応じて、所要の抵抗値に設定される。
またここで、上記カットリレーCRは、大きくは、リレーコイルCRCおよびリレースイッチCRWからなる電磁式のリレーとして構成されている。そうして、上記マイクロコンピュータMCの指令に基づいて上記カットリレー駆動回路CCを構成するトランジスタTがオフ/オン駆動されることにより、対応するように、このリレーCRも開/閉駆動されるようになっている。そして、このようなカットリレーCRがオン(開)駆動された場合には、上記スタータリレー駆動回路SCによるスタータリレーSRへの開/閉指令の経路が断たれることにより、該指令に基づくスタータリレーSRの開/閉駆動が継続的に禁止されることになる。なお、この実施の形態においては、このトランジスタTに対して、所要の抵抗値に設定された抵抗素子R1やR2等を設けることで、そのスイッチング動作の最適化を図るようにしている。
そして、このシステムにおいても、先の図18に例示したシステムと同様、上述のスタータリレーSRの開/閉駆動のみならず、上記イグニッションスイッチIGSWが操作されることによっても、上記スタータSTへの給電の有無が所望に制御されるようになっている。すなわち、例えば運転者等(ユーザ)によりこのスイッチIGSWがオン(閉)/オフ(開)操作されることによっても、上記スタータST(スタータモータM)の給電経路に配設されているリレーコイルRCの通電の有無、ひいてはそのリレースイッチRWのオン(閉)/オフ(開)状態が所望に制御されるようになっている。
このように、このシステムにおいても、所望のタイミングでの、運転者等(ユーザ)による上記イグニッションスイッチIGSWのオン操作(給電操作)に基づいて、あるいは上記マイクロコンピュータMCの指令に基づいて、上記スタータSTのリレーコイルRCが通電され、これに伴いリレースイッチRWがオン(閉)される。そうして、電源電圧(+BB)がスタータモータMへ給電され、このスタータモータMにより、内燃機関に対するクランキング(スタータ駆動)が開始されることになる。ただし、この実施の形態においては、上記カットリレーCRおよびカットリレー駆動回路CCが設けられていることにより、前述したスタータがいつまでも回り続けてしまうようなことや、その通電ライン(配線)に損傷を与えてしまうようなことは未然に防止されるようになっている。以下、図3を併せ参照して、このカットリレーCRの制御態様について詳しく説明する。なお、ここで説明に用いる図3(b)および(c)は、先の図21(a)および(b)に対応するタイムチャートである。また、この図3において、(a)は、カットリレー駆動回路CCによるカットリレーCRへのオン/オフ指令の推移を示すタイムチャートである。
同図3(a)〜(c)に示されるように、この実施の形態にあって、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際には、平常時にオン(開)状態におかれているカットリレーCRが、所要時間だけオフ(閉)制御される。そして、この状態において、上記ISS用コントローラCTによりスタータリレーSRがオン(閉)制御されることに基づき、スタータSTに対し給電が行われる。すなわち、ラン復帰を行わない期間においては、上記スタータリレーSRへの指令経路がカットリレーCRにより断たれており、上記スタータリレー駆動回路SCの指令は該スタータリレーSRまで届かない。このため、同図3(b)に示されるように、故障等の原因によりスタータリレー駆動回路SCが制御不能になって同回路SCからスタータリレーSRへ閉(オン)指令がいつまでも出力される(オン固定)ようになった場合にも、該スタータリレーSR自体が閉(オン)状態に固定されることはなくなる。そしてこれにより、前述したスタータSTがいつまでも回り続けてしまう(図3(c)の破線)ようなことについても、またその通電ライン(配線)に損傷を与えてしまうようなことについても、これが未然に防止されるようになる。
またここで、上記カットリレーCRを駆動するカットリレー駆動回路CCは、図2に示されるように、半導体素子からなるスイッチング素子、すなわちトランジスタTとして構成されている。このように、該カットリレー駆動回路CCとして半導体素子を採用することで、このシステムは、経年変化に伴う故障、すなわち寿命の面においても、信頼性の高い構成となっている。なお、このカットリレー駆動回路CCだけでなく上記カットリレーCR自体も、同図2に例示した電磁式のリレーに代えて、半導体素子からなるスイッチング素子(例えばトランジスタ)として構成することとすれば、より信頼性の高い構成が低コストで実現されるようになる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法によれば、以下のような優れた効果が得られるようになる。
(1)スタータSTのアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCTとして、スタータリレー駆動回路SCによるスタータリレーSRへの開/閉指令の経路を断って該指令に基づくスタータリレーSRの開/閉駆動を継続的に禁止するカットリレーCRやカットリレー駆動回路CC(禁止手段)を備える構成とする。そうして、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、これらカットリレーCRおよびカットリレー駆動回路CCによる禁止を所要時間だけ解除してスタータリレーSRとの協働のもとスタータSTにこれを実行させるようにした。これにより、前述したスタータSTがいつまでも回り続けてしまう(図3(c)の破線)ようなことについても、またその通電ライン(配線)に損傷を与えてしまうようなことについても、これが未然に防止されるようになる。
(2)しかもこうした構成では、上記カットリレーCRやカットリレー駆動回路CC(禁止手段)を追加するだけで上述のスタータ誤動作等の回避が実現されるため、システム自体の簡素な構成は維持され、ひいてはその保守性も高く維持されるようになる。
(3)さらに、このカットリレーCRの駆動に際しての制御についてもこれは、内燃機関をラン復帰させる際に該カットリレーCRをオフ(閉)制御するといった簡単な制御だけで事が足り、こうした制御性についても、これが極めてシンプルに保たれることになる。
(4)ISS用コントローラCTとスタータリレーSRとの間に配設されて、継続的な開状態をもってコントローラCTの開/閉指令に基づくリレーSRの開/閉駆動を継続的に禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除する上記カットリレーCRを、禁止手段として採用することとした。これにより、上記構成が実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。
(5)また、こうしたスイッチング素子(カットリレーCR)として、半導体素子からなるスイッチング素子(トランジスタなど)により構成されるものを採用することとすれば、上記構成として、より信頼性の高い構成が低コストで実現されるようになる。
なお、上記第1の実施の形態において、図1および図2に示したシステム構成、並びに回路構成は、この発明の適用されるシステム構成および回路構成のあくまで一例にすぎない。すなわち、例えばイグニッションスイッチIGSWの配設される給電経路の配置についてもこれを適宜に変更することが可能であり、例えば図4に示すように、スタータリレーSRの配設された給電経路との合流点P2を、カットリレーCRとスタータリレーSRとの間に設定することもできる。
(第2の実施の形態)
次に、図5および図6を参照して、この発明に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法を具体化した第2の実施の形態について説明する。なお、図5は、先の図1に対応したブロック図であり、この図5においては、図1に示した要素と同一の要素に各々同一の符号を付して示し、それら要素についての重複する説明は割愛する。
同図5に示されるように、このシステムは、大きくは、先の図1に例示した第1の実施の形態のシステムに準じた構成を有している。ただし、このシステムにあっては、ISS用コントローラCTとは別に、カットリレー駆動用コントローラCCT(補助制御装置)が、ISS用コントローラCTと通信可能に接続されるかたちでさらに設けられている。具体的には、この実施の形態において、上記ISS用コントローラCTは、大きくは、スタータリレー駆動回路SC、そしてこの回路SCとの協働のもとにスタータリレーSRの駆動を制御するマイクロコンピュータMC等から構成されている。一方、カットリレー駆動用コントローラCCTは、大きくは、カットリレー駆動回路CC、さらには、この回路CCとの協働のもとにカットリレーCRの駆動を制御するマイクロコンピュータCMC等を有して構成されている。そうして、これら電子制御装置の双方向の通信(あるいはコントローラCTからコントローラCCTへの単方向のアクセス)をもって、前述したカットリレーCRの駆動制御が、上記カットリレー駆動用コントローラCCTによって行われるようになっている。なお、これら電子制御装置間の通信方法としては、例えばCAN(Controller Area Network)通信などを利用することができる。
以下、図6を併せ参照して、上記カットリレーCRの制御態様について詳しく説明する。なお、この図6において、(a)は、カットリレー駆動回路CCによるカットリレーCRへのオン/オフ指令の推移を示すタイムチャート、(b)は、スタータリレー駆動回路SCによるスタータリレーSRへのオン/オフ指令の推移を示すタイムチャート、(c)は、スタータSTに供給される電流量の推移を示すタイムチャートである。
同図6(a)〜(c)に示されるように、この実施の形態においても、先の第1の実施の形態と同様、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際には、上記カットリレーCRが、所要時間だけオフ(閉)制御される。ただし、この実施の形態においては、このカットリレーCRの駆動が、ISS用コントローラCTの指令に基づいて、同コントローラCTと通信可能に接続されたカットリレー駆動用コントローラCCTによって制御される。このため、同図6(b)に示されるように、スタータリレー駆動回路SCが制御不能になって同回路SCからスタータリレーSRへ閉(オン)指令がいつまでも出力されるようになった状態で、さらに、このコントローラCTの略全体に異常(故障等)が発生した場合であれ、同図6(c)に示すように、スタータSTは適正に制御されることになる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法によれば、前記(1)〜(5)の効果と同様の効果もしくはそれに準じた効果に加え、さらに次のような効果も得られるようになる。
(6)スタータSTのアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCTとして、カットリレー駆動用コントローラCCT(補助制御装置)を通信可能に接続されるかたちで備える構成とする。そうして、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、カットリレー駆動用コントローラCCTとの通信に基づいて、禁止手段としてのカットリレーCRおよびカットリレー駆動回路CCによる禁止を所要時間だけ解除してスタータリレーSRとの協働のもとスタータSTにこれを実行させるようにした。これにより、例えば故障等の原因によりスタータリレー駆動回路SCが制御不能になって同回路SCからスタータリレーSRへ閉(オン)指令がいつまでも出力されるようになった場合においてさらに、このコントローラCTの略全体に異常(故障等)が発生した場合であれ、スタータSTのアイドリングストップ動作は適正に制御されるようになる。
(第3の実施の形態)
次に、図7および図8を参照して、この発明に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法を具体化した第3の実施の形態について説明する。なお、この図7からも明らかなように、この実施の形態においては、先の図22に例示したようなシステムに対して、この発明を適用、具現化することとしている。
同図7に示されるように、このシステムは、大きくは、当該車両に搭載されている内燃機関(エンジン)を外部から駆動してこれを自力回転させる第1スタータST1および第2スタータST2(復帰用スタータ)と、これらスタータST1およびST2を制御するISS用コントローラCTとを備えて構成されている。詳しくは、該コントローラCTは、上記スタータST1およびST2への給電の断続制御を行うべくその給電経路中にあるスタータリレーSR1およびSR2を開(オフ)/閉(オン)駆動するスタータリレー駆動回路SC1およびSC2や、これら駆動回路と協働して上記各スタータを制御するマイクロコンピュータMC等を有して構成されている。
また、上記第1スタータST1に対しては、特にその給電経路に対し、内燃機関の点火・始動スイッチであるイグニッションスイッチIGSWがさらに設けられており、このスイッチIGSWのオフ(開)/オン(閉)操作によっても、同第1スタータST1への給電が断続されるようになっている。なおここで、該イグニッションスイッチIGSWの配設された第1スタータST1の給電経路(詳しくはリレーコイルの通電ライン)は、上記スタータリレーSR1およびSR2の配設されている各スタータへの給電経路(同上)共々、これらに共通の電源(電源電圧「+B」)に接続されている。
また、このシステムにおいては、ISS用コントローラCT(詳しくはスタータリレー駆動回路SC1)とスタータリレーSR1との間に、第1および第2の実施の形態と同様、電磁式のカットリレーCRがさらに設けられている。具体的には、このカットリレーCRは、継続的な開状態をもって上記コントローラCTの開/閉指令に基づくスタータリレーSR1の開/閉駆動を継続的に禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子として構成されている。
また、上記ISS用コントローラCTは、上記構成に加えてさらに、このカットリレーCRを駆動するカットリレー駆動回路CCを備え、内蔵されるマイクロコンピュータMCの指令に基づき所望とされるタイミングで上記カットリレーCRをオン(開)/オフ(閉)駆動することができるように構成されている。なお、このカットリレー駆動回路CCも、第1および第2の実施の形態と同様、半導体素子からなるスイッチング素子として構成されている(図2参照)。そして、この実施の形態においても、これらカットリレーCRやカットリレー駆動回路CCが禁止手段として機能するようになっている。
また、ここでは図示を割愛しているが、この実施の形態においては、上記ISS用コントローラCTが、上記第2スタータST2(復帰用スタータ)の異常を検知する異常検知手段を備えている。この手段としては、同スタータST2の異常を検知することのできるものであれば基本的に任意の構成を採用することができるが、具体的には、例えば内燃機関(エンジン)の回転数を適宜のセンサ信号として取り込む回路などが、この異常検知手段に相当する。そして、こうした内燃機関(エンジン)の回転数から第2スタータST2の異常を検知する手法を採用する場合には、例えば第2スタータST2だけをオン制御しているとき、当該機関の回転数が低ければ、あるいはこれが全く回転していなければ、同スタータST2に異常が生じていると判断することができる。こうすることで、例えば故障・消耗等により第2スタータST2やスタータリレーSR2が使用できなくなった場合には、同スタータST2を監視しているこの異常検知手段によって、これを検知することができるようになる。さらにこの場合、該異常検知手段により第2スタータST2の異常が検知されたとき、これを警告ランプなどの報知手段により運転者に報知する構成、すなわち異常が検知されたときに運転席に設置されたランプを点灯(または点滅)させる構成等とすれば、運転者はこのことを認識して適宜の対処(スタータ交換等)を施すことができるようになる。
そして、こうしたシステムにおいても、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際には、運転者等によるイグニッションスイッチIGSWのオン操作に基づいて、あるいはマイクロコンピュータMCの指令に基づいて、上記スタータST1およびST2のいずれか一方に対して給電が実行される。そうして、そのスタータ(スタータモータ)により、内燃機関に対するクランキング(スタータ駆動)が開始されることになる。ただし、この実施の形態においては、上記カットリレーCRおよびカットリレー駆動回路CCが設けられていることで、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させるに際して、機関駆動のために必要とされる電力がこれを行うスタータに確実に供給されるようになっている。以下、図8を併せ参照して、このカットリレーCRの制御態様について詳しく説明する。なお、図8(b)〜(e)は、先の図23(a)〜(d)に対応するタイムチャートであり、また図8(a)は、カットリレー駆動回路CCによるカットリレーCRへのオン/オフ指令の推移を示すタイムチャートである。
ところで、このシステムにおいては、平常時には、当該機関のアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態への復帰(ラン復帰)が、上記第2スタータST2(復帰用スタータ)によって行われる。ただし、上述の異常検知手段によってこの第2スタータST2の異常が検知されたときには、同スタータST2の駆動を中止するとともに、当該機関のラン復帰を他方の第1スタータST1に行わせるようになっている。なお、このスタータ(第1スタータST1)は、平常時には、内燃機関の始動に用いられているものである。
そして、図8(a)〜(e)に示されるように、この実施の形態においては、第2スタータST2によって内燃機関のラン復帰が行われている期間も含め、平常時(第2スタータST2の正常な時)には、常に上記カットリレーCRがオン(開)状態におかれている。すなわち、この期間においては、上記スタータリレーSR1への指令経路が断たれることにより、上記スタータリレー駆動回路SC1による指令が該スタータリレーSR1に届かなくなる。このため、同図8(c)に示されるように、故障等の原因によりスタータリレー駆動回路SC1が制御不能になって同回路SC1からスタータリレーSR1へ閉(オン)指令がいつまでも出力される(オン固定)ようになった場合にも、該スタータリレーSR1自体が閉(オン)状態に固定されることはなくなる。そしてこれにより、スタータST1が誤動作してしまう(図8(e)の破線)ようなことはなくなり、前述した複数のスタータが同時に駆動することに起因した電力不足の問題(図8(d)の破線)についてもこれが未然に防止されるようになる。
また一方、図8(b)および(d)に示されるように、上記異常検知手段によって第2スタータST2の異常が検知されたとき(例えばスタータリレー駆動回路SC2のオン/オフ指令がオフ固定された場合)には、同スタータST2の駆動は中止される。そしてこの場合には、先の図3に示した動作例に準じた動作をもって、第1スタータST1が、上記第2スタータST2に代わり、当該機関のラン復帰を行うようになる。すなわちこの場合も、内燃機関のラン復帰の際、所要時間だけカットリレーCRがオフ(閉)にされ、この状態において、ISS用コントローラCTによりスタータリレーSR1がオン(閉)制御され、第1スタータST1に対し給電が行われる。このため、この実施の形態においても、先の第1の実施の形態と同様、第1スタータST1がいつまでも回り続けてしまうようなことや、またその通電ライン(配線)に損傷を与えてしまうようなことが未然に防止されるようになる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法によれば、前記(1)〜(5)の効果と同様の効果もしくはそれに準じた効果に加え、さらに次のような効果も得られるようになる。
(7)共通の電源に接続された第1スタータST1および第2スタータST2(復帰用スタータ)のアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCTとして、第2スタータST2への給電を断続させるスタータリレーSR2(復帰用スタータリレー)と、同スタータST2の異常を検知する異常検知手段とを備える構成とする。そうして、平常時には、内燃機関のアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態への復帰(ラン復帰)を第2スタータST2に行わせる一方、上記異常検知手段によって同スタータST2の異常が検知されるときには、このスタータST2の駆動を中止するとともに、当該機関のラン復帰を他方の第1スタータST1に行わせるようにした。これにより、平常時に使用している第2スタータST2やスタータリレーSR2が例えば故障・消耗等により使用できなくなるような事態になっても、これが第2スタータST2の動作異常として異常検知手段によって検知され、正常な第1スタータST1により当該機関のラン復帰が適正に行われるようになる。
(8)また、第1スタータST1が誤動作してしまうようなことについてもこれが好適に防止されるようになり、前述のような、複数のスタータが同時に駆動することに起因した電力不足の問題についても、これが未然に防止されるようになる。
(9)第1スタータST1を、内燃機関の始動に際して始動スイッチであるイグニッションスイッチIGSWの操作に基づき同機関を駆動するものとして用いるようにした。こうした構成によれば、スタータの主な用途である上述の内燃機関のラン復帰に加え、内燃機関の始動についてもこれがより的確に且つ円滑に行われることになる。
(第4の実施の形態)
次に、図9および図10を参照して、この発明に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法を具体化した第4の実施の形態について説明する。なお、図9は、先の図7に対応したブロック図であり、この図9においては、図7に示した要素と同一の要素に各々同一の符号を付して示し、それら要素についての重複する説明は割愛する。
同図9に示されるように、このシステムは、大きくは、先の図7に例示した第3の実施の形態のシステムに準じた構成を有している。すなわち、このシステムにおいても、ISS用コントローラCTが、共通の電源(電源電圧「+B」)に接続された第1スタータST1および第2スタータST2の駆動を制御するように構成されている。ただし、このシステムにあっては、ISS用コントローラCTとは別に、禁止手段としてのカットリレーCRの駆動を制御するカットリレー駆動用コントローラCCT(補助制御装置)が、ISS用コントローラCTと通信可能に接続されるかたちでさらに設けられている。具体的には、この実施の形態において、上記ISS用コントローラCTは、大きくは、スタータリレー駆動回路SC1およびSC2、そしてこれら回路との協働のもとにスタータリレーSR1およびSR2の駆動を制御するマイクロコンピュータMC等から構成されている。一方、カットリレー駆動用コントローラCCTは、大きくは、禁止手段としてのカットリレー駆動回路CC、さらには、この回路CCとの協働のもとにカットリレーCRの駆動を制御するマイクロコンピュータCMC等を有して構成されている。そうして、これら電子制御装置の双方向の通信(あるいはコントローラCTからコントローラCCTへの単方向のアクセス)をもって、上述のカットリレーCRの駆動制御が、上記カットリレー駆動用コントローラCCTによって行われるようになっている。なお、これら電子制御装置間の通信方法としては、例えばCAN(Controller Area Network)通信などを利用することができる。
また、ここでも図示は割愛しているが、この実施の形態においても、上記ISS用コントローラCTが、上記第2スタータST2(復帰用スタータ)の異常を検知する異常検知手段を備えている。
以下、図10を併せ参照して、上記カットリレーCRの制御態様について詳しく説明する。なお、図10(a)〜(e)は、先の図8(a)〜(e)に対応するタイムチャートである。ただしここでは、説明の便宜上、上記異常検知手段によって第2スタータST2の異常が検知されたとき(ここではスタータリレー駆動回路SC2のオン/オフ指令がオフ固定された場合)のみの動作例を示すようにしている。
同図10(a)〜(e)に示されるように、この実施の形態においても、基本的な動作は、先の図8(a)〜(e)に示した動作例と同様である。すなわちこの場合も、内燃機関のラン復帰の際、所要時間だけカットリレーCRがオフ(閉)にされ、この状態において、ISS用コントローラCTによりスタータリレーSR1がオン(閉)制御され、第1スタータST1に対し給電が行われる。このため、この実施の形態においても、先の第1の実施の形態と同様、第1スタータST1がいつまでも回り続けてしまうようなこと(図10(e)中の破線)や、またその通電ライン(配線)に損傷を与えてしまうようなことは未然に防止されるようになる。
また、この実施の形態においては、上記カットリレーCRの駆動が、ISS用コントローラCTの指令に基づいて、同コントローラCTと通信可能に接続されたカットリレー駆動用コントローラCCTによって制御される。すなわち、ISS用コントローラCTの略全体に異常(故障等)が発生した場合においても、該カットリレーCRの駆動は適正に制御されることになる。このため、図10(b)に示されるように、制御不能になったスタータリレー駆動回路SC2からスタータリレーSR2へ閉(オン)指令がいつまでも出力されるようになった状態において、さらに、このコントローラCTの略全体に異常が発生した場合であれ、図10(e)に実線で示されるように、第1スタータST1は適正に制御されるようになる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法によっても、前記(1)〜(9)の効果と同様の効果もしくはそれに準じた効果が得られるようになる。
(第5の実施の形態)
次に、図11および図12を参照して、この発明に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法を具体化した第5の実施の形態について説明する。なお、図11は、先の図1に対応したブロック図であり、この図11においては、図1に示した要素と同一の要素に各々同一の符号を付して示し、それら要素についての重複する説明は割愛する。
同図11に示されるように、このシステムは、大きくは、先の図1に例示した第1の実施の形態のシステムに準じた構成を有している。ただし、このシステムにあっては、禁止手段としてのカットリレーCRが、制御対象であるスタータSTと、該スタータSTの給電経路中に配設されて開/閉駆動されるスタータリレーSRとの間に設けられている。具体的には、このカットリレーCRは、継続的な開状態をもってスタータSTへの給電を禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除するスイッチング素子として構成されている。
以下、図12を併せ参照して、上記カットリレーCRの制御態様について詳しく説明する。なお、この図12において、(a)は、カットリレー駆動回路CCによるカットリレーCRへのオン/オフ指令の推移を示すタイムチャート、(b)は、スタータリレーSRのオン/オフ状態の推移を示すタイムチャート、(c)は、スタータST(リレーコイルRC)に供給される電流量の推移を示すタイムチャートである。
同図12(a)〜(c)に示されるように、この実施の形態においても、第1の実施の形態と同様、平常時には上記カットリレーCRがオン(開)状態におかれている。そして、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰(ラン復帰)させる際には、同カットリレーCRが所要時間だけオフ(閉)制御される。そして、この状態において、上記ISS用コントローラCTによりスタータリレーSRがオン(閉)制御されることに基づき、スタータSTに対し給電が行われることになる。ただし、この実施の形態においては、禁止手段としてのカットリレーCRが、上記スタータSTとスタータリレーSRとの間に設けられている。そのため、ラン復帰を行わない期間においては、該スタータリレーSRの配設された給電経路が遮断されることになり、該リレーSRのオン/オフ状態にかかわらず、この給電経路によって、上記スタータSTへ給電されることはない。すなわち、このシステムにおいては、故障等に起因して該スタータリレーSR自体が閉(オン)状態に固定(固着)されるようになった場合にも、前述したスタータSTがいつまでも回り続けてしまう(図12(c)の破線)ようなことや、またその通電ライン(配線)に損傷を与えてしまうようなことは未然に防止されるようになる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電子制御装置およびアイドリングストップ制御方法によれば、前記(1)〜(5)の効果と同様の効果もしくはそれに準じた効果に加え、さらに次のような効果も得られるようになる。
(10)スタータSTのアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCTとして、スタータSTとスタータリレーSRとの間で同リレーSRの配設された給電経路を遮断状態に固定して継続的に同経路によるスタータSTへの給電を禁止するカットリレーCRやカットリレー駆動回路CC(禁止手段)を備える構成とする。そうして、当該内燃機関をアイドリングストップ状態からアイドリングラン状態へ復帰させる際には、これらカットリレーCRおよびカットリレー駆動回路CCによる禁止を所要時間だけ解除してスタータリレーSRとの協働のもとスタータSTにこれを実行させるようにした。これにより、故障等に起因して該スタータリレーSR自体が閉(オン)状態に固定(固着)されるようになった場合にも、前述したスタータSTがいつまでも回り続けてしまうようなことや、またその通電ライン(配線)に損傷を与えてしまうようなことは未然に防止されるようになる。
なお、この第5の実施の形態についても、先の第2の実施の形態の図5に示した構成に準ずるかたちで、例えば図13に示すように、スタータSTのアイドリングストップ動作を制御するISS用コントローラCTとして、カットリレー駆動用コントローラCCT(補助制御装置)を通信可能に接続されるかたちで備える構成とすることができる。そうして、当該機関をラン復帰させる際に、該コントローラCCTとの通信に基づいて、禁止手段としてのカットリレーCRおよびカットリレー駆動回路CCによる禁止を所要時間だけ解除して、上記スタータSTにこれを実行させるようにすれば、上記効果に加え、前記(6)の効果と同様の効果もさらに得られるようになる。
また、例えば図14に示すように、先の第3の実施の形態の図7に示した構成に準ずるかたちで、上記ISS用コントローラCTを、共通の電源に接続された第1スタータST1および第2スタータST2(復帰用スタータ)のアイドリングストップ動作を制御するものとすることもできる。すなわちこの場合も、第3の実施の形態と同様、当該システムは、第2スタータST2への給電を断続させるスタータリレーSR2(復帰用スタータリレー)と、同スタータST2の異常を検知する異常検知手段とをさらに備える。そうして、当該機関のラン復帰を第2スタータST2に行わせる一方、上記異常検知手段によって同スタータST2の異常が検知されるときには、このスタータST2の駆動を中止するとともに、当該機関のラン復帰を他方の第1スタータST1に行わせるようにする。こうすることで、上記効果に加え、前記(7)〜(9)の効果と同様の効果もさらに得られるようになる。そしてこの場合も、例えば図15に示すように、先の第4の実施の形態の図9に示した構成に準ずる態様で、上記カットリレー駆動用コントローラCCT(補助制御装置)を、当該ISS用コントローラCTと通信可能に接続されるかたちで備える構成とすれば、前記(6)の効果と同様の効果も併せて得られるようになる。
(他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・図7および図14に示した構成において、禁止手段としてのカットリレーやカットリレー駆動回路を、第1スタータST1だけでなく、第2スタータST2(復帰用スタータ)に対しても設けるようにした構成とすることもできる。すなわち、例えば図16に示すように、図7に例示した構成において、第2スタータST2に対しても、コントローラCTによるスタータリレーSR2への開/閉指令の経路を断って該指令に基づく同リレーSR2の開/閉駆動を継続的に禁止する第2のカットリレーCR2やカットリレー駆動回路CC2(復帰用スタータ禁止手段)を設けるようにする。こうした構成によれば、上記スタータリレーSR2(復帰用スタータ)についても、これがいつまでも回り続けてしまうようなことや、その通電ライン(配線)に損傷を与えてしまったりするようなことは未然に防止されるようになる。また、上記カットリレーCR2は、例えばISS用コントローラCTとスタータリレーSR2との間に配設されて、継続的な開状態をもって同コントローラCTの開/閉指令に基づくリレーSR2の開/閉駆動を継続的に禁止するとともに、開状態から閉状態への遷移をもってその禁止を解除する電磁式のリレー素子として構成するようにする。こうすることで、上記構成が実情に即したかたちで容易に実現されるようになる。さらにこの場合にも、こうしたスイッチング素子(カットリレーCR2)として、半導体素子からなるスイッチング素子(トランジスタなど)により構成されるものを採用することとすれば、上記構成として、より信頼性の高い構成が低コストで実現されるようになる。また、説明の便宜上、図示は割愛するが、第5の実施の形態の図14に示した構成についても、これらの構成を採用すれば、同様の効果が得られるようになる。
・またこの場合においても、先の第4の実施の形態の図9に示した構成に準ずるかたちで、ISS用コントローラCTについて、カットリレー駆動用コントローラCCT(補助制御装置)が通信可能に接続された構成とすることができる。すなわち、例えば図17に示すように、図16に例示した構成について、こうした構成を採用することとすれば、前述した効果に加えてさらに、前記(6)の効果と同様の効果も得られるようになる。また、第5の実施の形態の構成についても、こうした構成を採用すれば、同様の効果が得られるようになる。
・また、上述したカットリレー駆動用コントローラCCTを備える各構成(図5、図9、図17参照)について、ISS用コントローラCTにもカットリレー駆動回路CCをもたせた構成とすることもできる。すなわち、平常時は、カットリレー駆動用コントローラCCTに当該ISS用コントローラCTの異常の有無を監視させつつ、当該コントローラCTによりカットリレーCRの駆動制御を行うようにする。そうして、上記カットリレー駆動用コントローラCCTによって当該ISS用コントローラCTの異常が検知されたときにのみ、当該コントローラCTに代えて上記カットリレー駆動用コントローラCCTにカットリレーCRの駆動制御を行わせる。こうした構成を採用することとすれば、平常時(正常時)は、電子制御装置間の通信によることなくスタータのアイドリングストップ制御が行われることになり、もってセキュリティレベルはさらに高められることになる。
・上記各実施の形態においては、説明の便宜上、実用される可能性の高い1つ乃至2つのスタータを備えるシステムについてのみ言及したが、3つ以上のスタータを備える構成に対しても、この発明は同様に適用することができる。
・上記第3および第4の実施の形態およびその変形例においては、第1および第2のスタータST1およびST2を共通の電源に接続した構成について言及することとしたが、これらが互いに異なる電源に接続された構成に対しても、この発明は同様に適用することができる。
・また、上記各実施の形態およびその変形例において、カットリレーCRを直列に複数(例えば2つ)接続して設けるようにすれば、そのいずれかが故障(閉固定)した場合にあってもこれに柔軟に対応することのできる構成となる。
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