JP2006321840A - 導電性高分子溶液及び導電性塗膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電性及び溶媒溶解性が共に優れた導電性高分子溶液を提供する。また、導電性が優れた導電性塗膜を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の導電性高分子溶液は、π共役系導電性高分子とポリアニオンと窒素含有化合物と溶媒とを含有する導電性高分子溶液であって、窒素含有化合物が、ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基、イミド基、アミド基から選ばれる1種以上の窒素含有官能基を有し、該窒素含有官能基の窒素原子が4級塩化されている。本発明の導電性高分子溶液においては、窒素含有化合物が、不飽和二重結合を1つ以上有することが好ましい。本発明の導電性塗膜は、上述した導電性高分子溶液が塗布されて形成されたものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、π共役系導電性高分子を含む導電性高分子溶液及び導電性塗膜に関する。
近年、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリンなどのπ共役系導電性高分子に電子供与性化合物や電子受容性化合物(ドーパント)を添加(ドーピング)した導電性材料が開発され、その用途は広がっている。
一般的に、主鎖がπ電子を含む共役系で構成されているπ共役系導電性高分子は、電解重合法及び化学酸化重合法により合成される。
電解重合法では、ド−パントとなる電解質とπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーとの混合溶液中に、予め形成した電極材料などの支持体を浸漬し、支持体上にπ共役系導電性高分子をフィルム状に形成する。そのため、大量に製造することが困難である。
一方、化学酸化重合法では、このような制約がなく、π共役系導電性高分子の前駆体モノマーに酸化剤及び酸化重合触媒を添加し、溶液中で大量のπ共役系導電性高分子を製造できる。
しかし、化学酸化重合法では、π共役系導電性高分子主鎖の共役系の成長に伴い、溶媒に対する溶解性が乏しくなるため、不溶の固形粉体で得られるようになる。不溶性のものでは、塗布によって支持体表面上にπ共役系導電性高分子膜を均一に形成することが困難になる。
そのため、π共役系導電性高分子に官能基を導入して可溶化する方法、バインダ樹脂に分散して可溶化する方法、ポリアニオンを添加して可溶化する方法が試みられている。
例えば、基材上に導電膜を形成する方法として、酸化剤と塩化ビニル系共重合体とπ共役系導電性高分子を形成するモノマーとを溶剤に溶解して基材に塗布し、溶剤により酸化電位を制御しながら、モノマーを重合して塩化ビニル系共重合体と導電性高分子の複合体を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、水への分散性を向上させるために、分子量が2,000〜500,000の範囲のポリアニオンであるポリスチレンスルホン酸の存在下で、酸化剤を用いて、3,4−ジアルコキシチオフェンを化学酸化重合してポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)水溶液を製造する方法が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、用途によっては、導電膜は熱安定性が高いことが求められることもある。熱安定性の高い導電膜を形成することを目的として、酸化防止剤として使用可能なスルホン化された物質と類似の構造をもつ化合物をドーパントとしてモノマーに混合して電解重合する方法が提案されている(特許文献3参照)。
特開平5−186619号公報 特許第2636968号公報 特許第2546617号公報
しかし、特許文献1記載の方法では、基材の種類によって溶剤が限定されることから酸化電位制御によるモノマーの重合が制限されるため、高い導電性を確保できない。また、絶縁性樹脂である塩化ビニル系共重合体が含まれていることも、高い導電性を確保できない原因となる。
特許文献2記載の方法では、π共役系導電性高分子の水分散性を向上させるために、ポリアニオンをより多く含ませている。そのため高い導電性が得られにくいという問題があった。したがって、導電性及び溶媒溶解性とが共に優れた導電性高分子溶液が求められている。
また、特許文献3記載の方法では、塗膜の熱安定性は得られるものの溶媒溶解性が得られないという問題があった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、導電性及び溶媒溶解性が共に優れた導電性高分子溶液を提供することを目的とする。さらに、塗膜の熱安定性を高くできる導電性高分子溶液を提供することを目的とする。また、導電性が優れた導電性塗膜を提供することを目的とする。さらには、熱安定性にも優れた導電性塗膜を提供することを目的とする。
本発明の導電性高分子溶液は、π共役系導電性高分子とポリアニオンと窒素含有化合物と溶媒とを含有する導電性高分子溶液であって、
窒素含有化合物が、ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基、イミド基、アミド基から選ばれる1種以上の窒素含有官能基を有し、該窒素含有官能基の窒素原子が4級塩化されていることを特徴とする。
本発明の導電性高分子溶液においては、窒素含有化合物が、不飽和二重結合を1つ以上有することが好ましい。
本発明の導電性塗膜は、上述した導電性高分子溶液が塗布されて形成されたことを特徴とする。
本発明の導電性高分子溶液は、導電性及び溶媒溶解性が共に優れる。
本発明の導電性高分子溶液において、窒素含有化合物が不飽和二重結合を1つ以上有すれば、該導電性高分子溶液から形成される塗膜の熱安定性を高くでき、しかも導電性をより高くできる。
本発明の導電性塗膜は、導電性が優れる。
<導電性高分子溶液>
(π共役系導電性高分子)
本発明の導電性高分子溶液に含まれるπ共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用できる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性を得ることができるが、導電性及び溶媒溶解性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入することが好ましい。
このようなπ共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
これらの中でも、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)から選ばれる1種又は2種からなる(共)重合体が抵抗値、反応性の点から好適に用いられる。さらには、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、導電性がより高い上に、耐熱性が向上する点から、より好ましい。
また、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)のようなアルキル置換化合物は溶媒溶解性を向上させるためより好ましい。アルキル基の中では導電性に悪影響を与えることがないため、メチル基が好ましい。さらに、ポリスチレンスルホン酸をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSSと略す)は、比較的熱安定性が高く、重合度が低いことから塗膜成形後の透明性が有利となる点で好ましい。
(ポリアニオン)
ポリアニオンとしては、例えば、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステルであって、アニオン基を有する構成単位のみからなるポリマー、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるポリマーが挙げられる。
このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性及び耐熱性を向上させる。
ポリアルキレンとは、主鎖がメチレンの繰り返しで構成されているポリマーである。ポリアルキレンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリ(3,3,3−トリフルオロプロピレン)、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
ポリアルケニレンとは、主鎖に不飽和結合(ビニル基)が1個以上含まれる構成単位からなるポリマーである。ポリアルケニレンの具体例としては、プロペニレン、1−メチルプロペニレン、1−ブチルプロペニレン、1−デシルプロペニレン、1−シアノプロペニレン、1−フェニルプロペニレン、1−ヒドロキシプロペニレン、1−ブテニレン、1−メチル−1−ブテニレン、1−エチル−1−ブテニレン、1−オクチル−1−ブテニレン、1−ペンタデシル−1−ブテニレン、2−メチル−1−ブテニレン、2−エチル−1−ブテニレン、2−ブチル−1−ブテニレン、2−ヘキシル−1−ブテニレン、2−オクチル−1−ブテニレン、2−デシル−1−ブテニレン、2−ドデシル−1−ブテニレン、2−フェニル−1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−メチル−2−ブテニレン、1−エチル−2−ブテニレン、1−オクチル−2−ブテニレン、1−ペンタデシル−2−ブテニレン、2−メチル−2−ブテニレン、2−エチル−2−ブテニレン、2−ブチル−2−ブテニレン、2−ヘキシル−2−ブテニレン、2−オクチル−2−ブテニレン、2−デシル−2−ブテニレン、2−ドデシル−2−ブテニレン、2−フェニル−2−ブテニレン、2−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、3−メチル−2−ブテニレン、3−エチル−2−ブテニレン、3−ブチル−2−ブテニレン、3−ヘキシル−2−ブテニレン、3−オクチル−2−ブテニレン、3−デシル−2−ブテニレン、3−ドデシル−2−ブテニレン、3−フェニル−2−ブテニレン、3−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、2−ペンテニレン、4−プロピル−2−ペンテニレン、4−ブチル−2−ペンテニレン、4−ヘキシル−2−ペンテニレン、4−シアノ−2−ペンテニレン、3−メチル−2−ペンテニレン、4−エチル−2−ペンテニレン、3−フェニル−2−ペンテニレン、4−ヒドロキシ−2−ペンテニレン、ヘキセニレン等から選ばれる1種以上の構成単位を含む重合体が挙げられる。
これらの中でも、不飽和結合とπ共役系導電性高分子との相互作用があること、置換若しくは未置換のブタジエンを出発物質として合成しやすいことから、置換若しくは未置換のブテニレンが好ましい。
ポリイミドとしては、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2,3,3−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、2,2−[4,4’−ジ(ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物等の無水物とオキシジアニン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等のジアミンとからのポリイミドが挙げられる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等が挙げられる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
ポリアニオンが置換基を有する場合、その置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、フェニル基、フェノール基、エステル基、アルコキシ基等が挙げられる。溶媒への溶解性、耐熱性及び樹脂への相溶性等を考慮すると、アルキル基、ヒドロキシ基、フェノール基、エステル基が好ましい。
アルキル基は、極性溶媒又は非極性溶媒への溶解性及び分散性、樹脂への相溶性及び分散性等を高くすることができ、ヒドロキシ基は、他の水素原子等との水素結合を形成しやすくでき、有機溶媒への溶解性、樹脂への相溶性、分散性、接着性を高くすることができる。また、シアノ基及びヒドロキシフェニル基は、極性樹脂への相溶性、溶解性を高くすることができ、しかも、耐熱性も高くすることができる。
上記置換基の中では、アルキル基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基が好ましい。
前記アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル等の鎖状アルキル基、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基が挙げられる。有機溶剤への溶解性、樹脂への分散性、立体障害等を考慮すると、炭素数1〜12のアルキル基がより好ましい。
前記ヒドロキシ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したヒドロキシ基又は他の官能基を介在して結合したヒドロキシ基が挙げられる。他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基等が挙げられる。ヒドロキシ基はこれらの官能基の末端又は中に置換されている。これらの中では樹脂への相溶及び有機溶剤への溶解性から、主鎖に結合した炭素数1〜6のアルキル基の末端に結合したヒドロキシ基がより好ましい。
前記アミノ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したアミノ基又は他の官能基を介在して結合したアミノ基が挙げられる。他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基等が挙げられる。アミノ基はこれらの官能基の末端又は中に置換されている。
前記フェノール基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したフェノール基又は他の官能基を介在して結合したフェノール基が挙げられる。他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基等が挙げられる。フェノール基はこれらの官能基の末端又は中に置換されている。
前記エステル基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したアルキル系エステル基、芳香族系エステル基、他の官能基を介在してなるアルキル系エステル基又は芳香族系エステル基が挙げられる。
シアノ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したシアノ基、ポリアニオンの主鎖に結合した炭素数1〜7のアルキル基の末端に結合したシアノ基、ポリアニオンの主鎖に結合した炭素数2〜7のアルケニル基の末端に結合したシアノ基等を挙げることができる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらのうち、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸が好ましい。ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸は、熱エネルギーを吸収して自ら分解することにより、π共役系導電性高分子成分の熱分解が緩和されるため、耐熱性、耐環境性に優れる。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
ポリアニオンには、耐衝撃性を改良するための合成ゴムや、耐環境特性を向上させるための老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤が添加されていてもよい。ただし、アミン化合物系の酸化防止剤は上記π共役系導電性高分子を重合させる際に用いる酸化剤の働きを阻害することがあるので、酸化防止剤にはフェノール系のものを用いたり、重合後に混合したりするなどの対策が必要である。
(ドーパント)
導電性高分子溶液は、電気伝導度(導電性)を向上させるために、ポリアニオン以外に他のドーパントを含んでもよい。他のドーパントとしては、π共役系導電性高分子を酸化還元させることができればドナー性のものであってもよく、アクセプタ性のものであってもよい。
[ドナー性ドーパント]
ドナー性ドーパントとしては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等の4級アミン化合物等が挙げられる。
[アクセプタ性ドーパント]
アクセプタ性ドーパントとしては、例えば、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸、有機シアノ化合物、有機金属化合物、フラーレン、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、カルボン酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレン等を使用できる。
さらに、ハロゲン化合物としては、例えば、塩素(Cl)、臭素(Br2)、ヨウ素(I)、塩化ヨウ素(ICl)、臭化ヨウ素(IBr)、フッ化ヨウ素(IF)等が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、SO等が挙げられる。
有機シアノ化合物としては、共役結合に二つ以上のシアノ基を含む化合物が使用できる。例えば、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、ジクロロジシアノベンゾキノン(DDQ)、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレン等が挙げられる。
プロトン酸としては、無機酸、有機酸が挙げられる。さらに、無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、過塩素酸等が挙げられる。また、有機酸としては、有機カルボン酸、フェノール類、有機スルホン酸等が挙げられる。
有機カルボン酸としては、脂肪族、芳香族、環状脂肪族等にカルボキシ基を一つ又は二つ以上を含むものを使用できる。例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸、トリフェニル酢酸等が挙げられる。
有機スルホン酸としては、脂肪族、芳香族、環状脂肪族等にスルホ基を一つ又は二つ以上含むもの、又は、スルホ基を含む高分子を使用できる。
スルホ基を一つ含むものとして、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、1−テトラデカンスルホン酸、1−ペンタデカンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、コリスチンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキチルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、5−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アセトアミド−3−クロロベンゼンスルホン酸、4−クロロ−3−ニトロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホン酸、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、8−クロロナフタレン−1−スルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン重縮合物、アントラキノンスルホン酸、ピレンスルホン酸等が挙げられる。また、これらの金属塩も使用できる。
スルホ基を二つ以上含むものとしては、例えば、エタンジスルホン酸、ブタンジスルホン酸、ペンタンジスルホン酸、デカンジスルホン酸、o−ベンゼンジスルホン酸、m−ベンゼンジスルホン酸、p−ベンゼンジスルホン酸、トルエンジスルホン酸、キシレンジスルホン酸、クロロベンゼンジスルホン酸、フルオロベンゼンジスルホン酸、ジメチルベンゼンジスルホン酸、ジエチルベンゼンジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、メチルナフタレンジスルホン酸、エチルナフタレンジスルホン酸、ペンタデシルナフタレンジスルホン酸、3−アミノ−5−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジスルホン酸、1−アセトアミド−8−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸、2−アミノ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、1−アミノ−3,8−ナフタレンジスルホン酸、3−アミノ−1,5−ナフタレンジスルホン酸、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、4−アミノ−5−ナフトール−2,7−ジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−イソチオ−シアノトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−マレイミジルスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ジナフチルメタンジスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、アントラセンスルホン酸等が挙げられる。また、これらの金属塩も使用できる。
ポリアニオンの含有量は、π共役系導電性高分子1モルに対して0.1〜10モルの範囲であることが好ましく、1〜7モルの範囲であることがより好ましい。ポリアニオンの含有量が0.1モルより少なくなると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が弱くなる傾向にあり、導電性が不足することがある。その上、溶媒への分散性及び溶解性が低くなり、均一な分散液を得ることが困難になる。また、ポリアニオンの含有量が10モルより多くなると、π共役系導電性高分子の含有割合が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくい。
(窒素含有化合物)
窒素含有化合物は、ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基、イミド基、アミド基から選ばれる1種以上の窒素含有官能基を有し、該窒素含有官能基が4級塩化されている化合物である。
すなわち、窒素含有化合物は、ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基、イミド基、アミド基から選ばれる1種以上の窒素含有官能基を有する化合物を4級塩化することにより得られる。
[ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基を有する化合物]
ウレア基を有する化合物としては、例えば、ポリウレアアクリレートなどが挙げられる。ウレタン基を有する化合物としては、例えば、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。アロハネート基を有する化合物としては、例えば、アロハネート結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物などが挙げられる。ビュレット基を有する化合物としては、例えば、ビュレット結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物などが挙げられる。
ウレア基を有する化合物は、イソシアネート基を有する化合物とアミノ基を有する化合物とを付加反応して得ることができる。
ウレタン基を有する化合物は、イソシアネート基を有する化合物とヒドロキシ基又はカルボキシ基を有する化合物とを付加反応して得ることができる。
アロハネート基を有する化合物は、上記ウレタン基を有する化合物とイソシアネート基を有する化合物とを付加反応して得ることができる。
ビュレット基を有する化合物は、上記ウレア基を有する化合物とイソシアネート基を有する化合物とを付加反応して得ることができる。
ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基を有する化合物を得るために用いられるイソシアネート基を有する化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化キシレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等のジイソシアネート等が例示される。
ウレア基を有する化合物を形成する際に使用されるアミノ基を有する化合物としては、ジアミン、アミノアルコールが挙げられる。ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンシアミン、キシリデンジアミン、フェニレンジアミン、4.4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。また、更に広義のジアミン、例えば、ヒドラジンやジカルボン酸のジヒドラジド(例えばシュウ酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等)等も利用できる。アミノアルコールとしては、メタノールアミン、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール等が例示される。
ヒドロキシ基を有する化合物としては、例えば、ジオール、アミノアルコール、高分子量のポリオールなどが挙げられる。
ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が例示される。
アミノアルコールとしては、上記アミノ基を有する化合物で例示したものが挙げられる。
高分子量のポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸またはその酸エステル、酸無水物等のジカルボン酸・酸エステル、酸無水物と、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、あるいはビスフェノールAのエチレオキサイド、または、プロピレオキサイド付加物等のグリコール、ヘキサメチレンジアミン、キシレンジアミン、イソホロンジアミン、モノエタノールアミン等のジアミンまたはアミノアルコール等単独又はこれらの混合物との脱水縮合反応で得られるポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、またはイプシロン−カプロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、多価アルコールとジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等との脱アルコール反応などで得られるものが挙げられる。この多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の単独又はこれらの複数使用からなるポリカーボネートポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどを開環重合させたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらを共重合したコポリエーテル、更に前記のポリエステル、ポリカーボネートポリオールを開始剤としたエステルエーテルが挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、例えば、ジカルボン酸、酸エステル、酸無水物が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。また、酸エステルとしては、上記ジカルボン酸のエステルが挙げられ、酸無水物としては、上記ジカルボン酸の酸無水物が挙げられる。またはその酸エステル、酸無水物等が例示される。
上記の、ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基を有する化合物は、溶融状態、バルク状態にて、ウレトジオン基が開環しない温度条件、好ましくは100℃以下で、上記成分を均一に混合し反応させて製造することができる。その際、必要に応じて、不活性溶剤を添加してもよい。不活性溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトン、N−メチルピロリドン、フルフラール等の極性溶剤が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用できる。
反応装置としては、上記の反応を行うことができれば特に制限されず、例えば、攪拌機を備えた反応容器、ニーダー、一軸又は多軸押出し反応機等の混合混練装置が挙げられる。
また、ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基を有する化合物を形成する際には、鎖延長剤を添加してもよい。鎖延長剤としては、一般に分子量300以下の分子内に2個以上の活性水素を含有する物質であり、公知のアルコール、アミン、アミノアルコール等が用いられる。例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、あるいはビスフェノールAのエチレンオキサイド、または、プロピレンオキサイド付加物等のグリコール、ヘキサメチレンジアミン、キシレンジアミン、イソホロンジアミン、メチレンビス(オルソクロロアニリン)、モノエタノールアミン等のジアミン又はアミノアルコール等が挙げられる。また、水、尿素も鎖延長剤として使うことができる。
ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基、イミド基、アミド基を有する化合物を形成する際には、触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の第3アミン、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛等の金属塩、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属化合物などが挙げられる。
窒素含有化合物は、該導電性高分子溶液から形成される塗膜の熱安定性、製膜性、耐摩耗性が高くなり、導電性がより高くなることから、不飽和二重結合を1つ以上有することが好ましい。窒素含有化合物が、ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基を有する化合物の4級塩化物である場合には、ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基を化合物に不飽和二重結合を導入することが好ましい。ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基を有する化合物に不飽和二重結合を導入する方法としては、例えば、分子末端にイソシアネート基を有する化合物と水酸基を有するアクリル酸エステル系単量体とを反応させる方法などが挙げられる。水酸基を有するアクリル酸エステル系単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリシドールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどを挙げられる。
[イミド基を有する化合物]
イミド基を有する化合物としては、ポリイミドが挙げられる。ポリイミドは、酸無水物とジアミンとを縮合反応させて得られるものである。
ここで、酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2,3,3−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、2,2−[4,4’−ジ(ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物等が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、オキシジアニン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等が挙げられる。
ポリイミドに不飽和二重結合を導入するためには、末端の酸無水物単位とイソシアネート基含有不飽和モノマーとを縮合反応させればよい。イソシアネート基含有不飽和モノマーとして、例えば、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
[アミド基を有する化合物]
アミド基を有する化合物としては、アクリルアミド系樹脂、ポリアミドが挙げられる。
アクリルアミド系樹脂は、アミド基含有モノマーを構成単位として含む(共)重合体である。アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、Nメチル(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド等が挙げられる。
また、アクリルアミド系樹脂は構成単位として、例えば、アクリル酸エステル(アルコール残基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等を例示できる);メタクリル酸エステル(アルコール残基は上記と同じ);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー;N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマーなどの共重合成分を含んでもよい。
アクリルアミド系樹脂に不飽和二重結合を導入する方法としては、ヒドロキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、グリシジル基含有モノマーより形成される活性水素と、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有不飽和モノマーを付加反応させる方法、カルボキシ基含有モノマーとグリシジル基含有モノマーを縮合反応させる方法などが挙げられる。
ポリアミドは、ジカルボン酸とジアミンとを縮合反応させて得られるものである。
ここで、ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、オキシジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等が挙げられる。
ポリアミドに不飽和二重結合を導入するためには、末端の酸無水物単位とイソシアネート基含有不飽和モノマーとを縮合反応させればよい。イソシアネート基含有不飽和モノマーとしては、例えば、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
[窒素原子の4級塩化]
ウレア基、アミド基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基、イミド基、アミド基を有する化合物の窒素原子の4級塩化は、塩化水素、臭化水素、酢酸、乳酸、硫酸等の無機酸やベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、メチルクロライド、メチルブロマイド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸、p−トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル、トリメチルホスファイト、エピクロルヒドリン等の4級塩化剤を作用させて行うことができる。
窒素原子の4級塩化率は、0.1〜100%が好ましく、2〜100%がより好ましい。4級塩化塩率が0.1%未満であると、π共役系導電性高分子とポリアニオンとの複合体のドープに寄与していないアニオン基と塩を形成するために多量の窒素含有化合物を添加しなければならず、導電性が低下する恐れがある。
窒素含有化合物の分子量は、作業性の点から、500〜60,000が好ましく、1,000〜30,000がより好ましい。
窒素含有化合物は、ポリアニオンに対して0.1モル当量から100モル当量含まれることが好ましく、2モル当量から50モル当量含まれることがより好ましい。窒素含有化合物の含有量がポリアニオンに対して100モル当量を超える場合には、窒素含有化合物が過剰になり、導電性を低下させるおそれがある。また、ポリアニオンに対して0.1モル当量未満では、導電性、熱安定性、製膜性、耐磨耗性、基材密着性を向上させることが困難になる傾向にある。
(溶媒)
導電性高分子溶液に含まれる溶媒としては、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ギ酸、酢酸等のカルボン酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよいし、他の有機溶媒との混合物としてもよい。
(多官能モノマー)
導電性高分子溶液には、塗膜の熱安定性、製膜性、耐摩耗性をより向上させるために、多官能モノマーを添加してもよい。多官能モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミドを使用できる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデンカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリストリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等のポリオールの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、メチレンビス(メタ)アクリルアミドのほか、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、ビス(2-アミノプロピル)アミン、ジエチレントリアミンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミン安息香酸などから誘導されるポリ(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
(添加剤)
また、導電性高分子溶液には、必要に応じて、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、難燃剤等の添加剤を含有させることもできる。
(製造方法)
上記導電性高分子溶液を製造する方法としては、例えば、まず、ポリアニオンを合成し、そのポリアニオンと溶媒の存在下でπ共役系導電性高分子の前駆体モノマーを化学酸化重合して、π共役系導電性高分子の溶液を得た後、その溶液に、窒素含有化合物を添加する方法が挙げられる。
ポリアニオンの合成方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有さないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有さないポリマーをスルホン化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/又は重合触媒の存在下で、酸化重合又はラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/又は重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。
アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤及び酸化触媒としては、例えば、ぺルオキソ二硫酸アンモニウム(過硫酸アンモニウム)、ぺルオキソ二硫酸ナトリウム(過硫酸ナトリウム)、ぺルオキソ二硫酸カリウム(過硫酸カリウム)等のぺルオキソ二硫酸塩、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物、三フッ化ホウ素などの金属ハロゲン化合物、酸化銀、酸化セシウム等の金属酸化物、過酸化水素、オゾン等の過酸化物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、酸素等が挙げられる。
また、溶媒としては、導電性高分子溶液を構成する溶媒を用いることができる。
得られたポリマーがポリアニオン塩である場合には、ポリアニオン酸に変質させることが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
アニオン基含有重合性モノマーは、モノマーの一部が一置換硫酸エステル基、カルボキシ基、スルホ基等で置換されたものであり、例えば、置換若しくは未置換のエチレンスルホン酸化合物、置換若しくは未置換のスチレンスルホン酸化合物、置換若しくは未置換のアクリレートスルホン酸化合物、置換若しくは未置換のメタクリレートスルホン酸化合物、置換若しくは未置換のアクリルアミドスルホン酸化合物、置換若しくは未置換のシクロビニレンスルホン酸化合物、置換若しくは未置換のブタジエンスルホン酸化合物、置換若しくは未置換のビニル芳香族スルホン酸化合物が挙げられる。
具体的には、ビニルスルホン酸及びその塩類、アリルスルホン酸及びその塩類、メタリルスルホン酸及びその塩類、スチレンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸及びその塩類、アリルオキシベンゼンスルホン酸及びその塩類、α−メチルスチレンスルホン酸及びその塩類、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸及びその塩類、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩類、シクロブテン−3−スルホン酸及びその塩類、イソプレンスルホン酸及びその塩類、1,3−ブタジエン−1−スルホン酸及びその塩類、1−メチル−1,3−ブタジエン−2−スルホン酸及びその塩類、1−メチル−1,3−ブタジエン−4−スルホン酸及びその塩類、アクリル酸エチルスルホン酸(CHCH-COO-(CH22-SO3H)及びその塩類、アクリル酸プロピルスルホン酸(CHCH-COO-(CH23-SO3H)及びその塩類、アクリル酸−t−ブチルスルホン酸(CHCH-COO-C(CH32CH-SO3H)及びその塩類、アクリル酸−n−ブチルスルホン酸(CHCH-COO-(CH2-SO3H)及びその塩類、アリル酸エチルスルホン酸(CHCHCH-COO-(CH22-SO3H)及びその塩類、アリル酸−t−ブチルスルホン酸(CHCHCH-COO-C(CH32CH-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸エチルスルホン酸(CHCH(CH22-COO-(CH22-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸プロピルスルホン酸(CHCH(CH22-COO-(CH23-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸−n−ブチルスルホン酸(CHCH(CH22-COO-(CH2-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸−t−ブチルスルホン酸(CHCH(CH22-COO-C(CH32CH-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸フェニレンスルホン酸(CHCH(CH22-COO-C64-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸ナフタレンスルホン酸(CHCH(CH22-COO-C108-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸エチルスルホン酸(CHC(CH3)-COO-(CH22-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸プロピルスルホン酸(CHC(CH3)-COO-(CH23-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸−t−ブチルスルホン酸(CHC(CH3)-COO-C(CH32CH-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸−n−ブチルスルホン酸(CHC(CH3)-COO-(CH2-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸フェニレンスルホン酸(CHC(CH3)-COO-C64-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸ナフタレンスルホン酸(CHC(CH3)-COO-C108-SO3H)及びその塩類、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。また、これらを2種以上含む共重合体であってもよい。
アニオン基を有さない重合性モノマーとしては、エチレン、プロぺン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、スチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−ブチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、p−メトキシスチレン、α−メチルスチレン、2−ビニルナフタレン、6−メチル−2−ビニルナフタレン、1−ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルアセテート、アクリルアルデヒド、アクリルニトリル、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルイミダゾ−ル、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニルブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸アリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸イソボニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸エチルカルビトール、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリロイルモルホリン、ビニルアミン、N,N−ジメチルビニルアミン、N,N−ジエチルビニルアミン、N,N−ジブチルビニルアミン、N,N−ジ−t−ブチルビニルアミン、N,N−ジフェニルビニルアミン、N−ビニルカルバゾール、ビニルアルコール、塩化ビニル、フッ化ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、2−メチルシクロヘキセン、ビニルフェノール、1,3−ブタジエン、1−メチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,4−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1−オクチル−1,3−ブタジエン、2−オクチル−1,3−ブタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1−ヒドロキシ−1,3−ブタジエン、2−ヒドロキシ−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合することで溶媒溶解性をコントロールすることができる。
上記ポリアニオン存在下で化学酸化重合するπ共役系導電性高分子の前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にもその主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシピロール、3−メチル−4−カルボキシピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
π共役系導電性高分子の前駆体モノマーを化学酸化重合する際に用いられる酸化剤、酸化触媒としては、ポリアニオンの合成に用いたものと同様である。
溶媒としては、前記前駆体モノマーを溶解又は分散しうる溶媒であり、酸化剤及び酸化触媒の酸化力を維持させることができるものであればよく、例えば、導電性高分子溶液に含まれるものと同様のものが挙げられる。
その重合の際には、π共役系導電性高分子の主鎖の成長と共にポリアニオンのアニオン基がπ共役系導電性高分子と塩を形成するため、π共役系導電性高分子の主鎖はポリアニオンに沿って成長する。よって、得られたπ共役系導電性高分子とポリアニオンは無数に塩を形成した複合体になる。この複合体においては、π共役系導電性高分子のモノマー3ユニットに対して1ユニットのアニオン基が塩を形成し、短く成長したπ共役系導電性高分子の数本が長いポリアニオンに沿って塩を形成しているものと推定されている。
窒素含有化合物を添加した際には、ポリアニオンと塩を形成していない残存π共役系導電性高分子は、均一溶媒中で、カチオンである窒素含有化合物の4級塩と塩を形成する。
窒素含有化合物が不飽和二重結合を有する場合には、不飽和二重結合同士を、ラジカル重合法、熱重合法、光重合法、カチオン重合法、プラズマ重合法により重合することが好ましい。
ラジカル重合法では、重合開始剤として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、ジアシルペルオキシド類、ペルオキシエステル類、ヒドロペルオキシド類等の過酸化物などを用いて重合する。
光重合法では、重合開始剤として、カルボニル化合物、イオウ化合物、有機過酸化物、アゾ化合物などを用いて重合する。具体的には、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェンノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、アクドリン、ミヒラーズケトン、キサントン、チオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル-プロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート、1−フェニルー1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、テトラメチルチウラム、ジチオカーバメート、過酸化ベンゾイル、N−ラウリルピリジウムアジド、ポリメチルフェニルシランなどが挙げられる。
光重合する場合には、光感度を向上させる増感剤を添加してもよい。増感剤の具体的な例として、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)-イソナフトチアゾール、3,3’−カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)等が挙げられる。これらの増感剤を1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても作用するものもある。
カチオン重合法で用いられるカチオン重合開始剤としては、アリールジアゾニウム塩類、ジアリールハロニウム塩類、トリフェニルスルホニウム塩類、シラノール/アルミニウムキレート、α−スルホニルオキシケトン類等が挙げられる
プラズマ重合では、プラズマを短時間照射し、プラズマの電子衝撃によるエネルギーを受けて、フラグメンテーションとリアレンジメントをしたのち、ラジカルの再結合により重合体を生成する。
なお、これらの重合は、導電性高分子溶液の形態で行ってもよいが、塗布後の乾燥の際に行ってもよい。
以上説明した導電性高分子溶液では、窒素含有化合物が4級塩化されてカチオンを形成し、窒素含有化合物の4級塩化窒素含有官能基が、π共役系導電性高分子との塩の形成に使用されなかったポリアニオンの残存アニオン基と塩を形成する。その結果、導電性及び溶媒溶解性が向上する。
窒素含有化合物が不飽和二重結合を1つ以上有する場合には、不飽和二重結合により架橋点が形成される。そして、この不飽和二重結合が重合することにより、窒素含有化合物と塩を形成しているポリアニオン及びπ共役導電性高分子を架橋することができる。その結果、π共役系導電性高分子とポリアニオンとの複合体の分子間距離が縮まり集束するため、π共役系導電性高分子間の電子移動におけるホッピングにかかる活性化エネルギーを小さくすることができ、導電性を高くできる(具体的には、電気伝導度で100S/cm以上を実現し得る。)と考えられる。また、不飽和二重結合の架橋によって分子密度が高まるため、熱安定性、製膜性、耐磨耗性が向上すると考えられる。
<導電性塗膜>
本発明の導電性塗膜は、上述した導電性高分子溶液が塗布されて形成されたものである。導電性高分子溶液の塗布方法としては、例えば、浸漬、コンマコート、スプレーコート、ロールコート、グラビア印刷などが挙げられる。
塗布後、加熱処理や紫外線照射処理により塗膜を硬化することが好ましい。加熱処理としては、例えば、熱風加熱や赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。紫外線照射処理としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源から紫外線を照射する方法を採用できる。
以上の導電性塗膜は、上記導電性高分子溶液が塗布されて形成されたものであるから、導電性に優れている。また、窒素含有化合物が不飽和二重結合を有し、この不飽和二重結合が重合している場合には、熱安定性に優れる上に、製膜性、耐摩耗性にも優れる。
[π共役系導電性高分子とポリアニオンとの複合体の調製]
(調製例1)ポリ(エチレンジオキシチオフェン)とポリアリルスルホン酸との複合体溶液(複合体溶液1)の調製
1000mlのイオン交換水に145g(1mol)のアリルスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14g(0.005mol)の過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、さらに12時間攪拌を継続した。
得られた溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml加え、限外ろ過法を用いて約1000ml溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形分を得た。
続いて、14.2g(0.1mol)のエチレンジオキシチオフェンと21.8g(0.15mol)のポリアリルスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶解した溶液とを混合させた。
この混合液を20℃に保ち、掻き混ぜながら200mlのイオン交換水に溶解した29.64g(0.13mol)の過硫酸アンモニウムを8.0g(0.02mol)の硫酸第二鉄の酸化触媒溶液をゆっくり加え、5時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過を用いて約2000mlの溶液を除去し、エバポレーションと凍結乾燥から水分を約1%以下に除去後、N、N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、約1.5質量%の青色ポリアリルスルホン酸ドープポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)溶液を得た。これを複合体溶液1とした。
(調製例2)ポリピロールとポリスチレンスルホン酸との複合体溶液(複合体溶液2)の調製
1000mlのイオン交換水に185g(1mol)のスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14g(0.005mol)の過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られた溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml加え、限外ろ過法を用いて約1000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形分を得た。
続いて、6.6g(0.1mol)のピロールと18.5g(0.15mol)のポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶解した溶液とを混合させた。
この混合液を20℃に保ち、掻き混ぜながら2000mlのイオン交換水に溶解した29.64g(0.13mol)の過硫酸アンモニウムを8.0g(0.02mol)の硫酸第二鉄の酸化触媒溶液をゆっくり加え、2時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、約1.5質量%の青色ポリスチレンスルホン酸ドープポリピロール溶液を得た。これを複合体溶液2とした。
(調製例3)ウレタン基含有化合物の溶液の調製
攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器を備えた反応器に、203g(1mol)のイソホロンジイソシアネート、46.5g(0.75mol)のエチレングリコールと29g(0.25mol)のペンタエリストリトールトリアクリレートを添加した。次いで、反応器内を窒素置換し、撹拌しながら反応温度60〜70℃に加温し、同温度にて3時間反応させた。次に、触媒としてトリオクチルホスフィン6.0部を仕込み、撹拌しながら65〜70℃に加熱し同温度で6時間反応させ、続いて、リン酸3.5部を加えて反応を停止させて、ウレタン基含有化合物の重合体を得た。この重合体をイソプロパノールで希釈した後、塩酸を添加し、撹拌して4級塩化を行って、約30質量%の4級塩化ウレタン基含有化合物の重合体の溶液を得た。これを4級塩化ポリマー溶液1とした。
[4級塩化率の測定]
この4級塩化ポリマー溶液をキャスティングによりフィルム化し、またベースとして4級塩化前のウレタン基含有化合物の重合体を同様にフィルム化し、それぞれ約0.2gを正確に秤量した。そして、ジオキサン/エタノール(7/3容量比)混合溶媒50mlに溶解し電位差滴定装置(平沼製作所製、Comtite−7)を用いて、N/10−HC104 ジオキサン溶液で滴定し、その変曲点より塩基性窒素含量を測定した。その結果、ベースのフィルムの塩基性窒素含量は0.67mmol/g、4級塩化ポリマーフィルム(A)の塩基性窒素含量は0.10mmol/gであった。これより、4級塩化率は約85%であることがわかる。
(調製例4)アミド基含有化合物の溶液調製
攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器を備えた反応器に、600mlのイソプロピルアルコール、115g(1mol)のN(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、115g(1mol)のN−メチロールアクリルアミド、6.57g(0.04mol)のアゾビスイソブチロニトリルを添加した。次いで、反応器内を窒素置換し、撹拌しながら反応温度80℃に加温して、6時間反応させた。その後、アセトンを加えて、白色沈殿を回収し、アミド基含有化合物の重合体を得た。この重合体をメチルエチルケトンに溶解させ、28.2g(ヒドロキシ基に対して0.4モル等量)の2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを添加した。反応器内を窒素置換し、攪拌しながら反応温度60℃に加温して、3時間反応させた。その後、減圧下溶媒を除去し、不飽和二重結合が導入されたアミド基含有化合物の重合体を得た。この重合体をイソプロパノールに希釈し、メチルクロライドを添加し、撹拌しながら反応温度を50度に加温し、2時間反応させて4級塩化を行って、約30質量%の4級塩化アミド基含有化合物の重合体の溶液を得た。これを4級塩化ポリマー溶液2とした。4級塩化率は約90%であった。
(調製例5)4級塩を形成可能な官能基を有さない化合物の溶液調製
攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器を備えた反応器に、600mlのイソプロピルアルコール、116g(1mol)の2−ヒドロキシプロピルアクリレート、148g(1mol)の4−ビニル安息香酸、6.57g(0.04mol)のアゾビスイソブチロニトリルを添加した。次いで、反応器内を窒素置換し、撹拌しながら反応温度80℃に加温して、6時間反応させた。その後、アセトンを加えて、白色沈殿を回収し、4級塩を形成可能な官能基を有さない化合物の重合体を得た。この重合体をメチルエチルケトンに溶解させ、28.2g(カルボキシ基に対して0.4モル等量)のグリシジルアクリレートを添加し、反応器内を窒素置換し、攪拌しながら反応温度60℃に加温して、3時間反応させた。その後、減圧下溶媒を除去した後、イソプロパノールに希釈して、不飽和二重結合が導入され、かつ、4級塩を形成可能な官能基を有さない化合物の重合体の溶液を得た。これをポリマー溶液3とした。
(実施例1)
100mlの複合体溶液1に2.1g(ポリアリルスルホン酸に対して4級塩が1モル当量)の4級塩化ポリマー溶液1を添加し、均一に分散させて導電性高分子溶液を得た。得られた導電性高分子溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にワイヤーコーターで塗布し、100℃のオーブン中で2分間乾燥させ、紫外線露光機によって積算光量500mJ/cmの紫外線照射をして導電性塗膜を形成した。その導電性塗膜の電気特性を以下のように評価した。その結果を表1に示す。
電気伝導度(S/cm):ローレスタ(三菱化学製)を用いて導電性塗膜の電気伝導度を測定した。
電気伝導度熱維持率(%):温度25℃における塗布膜の電気伝導度R25Bを測定し、測定後の導電性塗膜を温度125℃の環境下に300時間放置した後、該塗膜を温度25℃に戻し、電気伝導度R25Aを測定した。そして、下記式より算出した。なお、この電気伝導度熱維持率は熱安定性の指標になる。
電気伝導度熱維持率(%)=100×R25A/R25B
(実施例2)
100mlの複合体溶液2に1.1g(ポリスチレンスルホン酸に対して4級塩が1モル当量)の4級塩ポリマー溶液2を添加し、均一に分散させて導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして導電性塗膜を形成し、電気特性を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例3)
調製例4において不飽和二重結合の導入を省略した以外は実施例2と同様にして導電性高分子溶液を得た。そして、実施例2と同様にして導電性塗膜を形成し、電気特性を評価した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
調製例3において4級塩化を省略したこと以外は実施例1と同様にして導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして導電性塗膜を形成し、電気特性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例2)
4級塩化ポリマー溶液1の代わりに、調製例5のウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基、イミド基、アミド基をいずれも含まないポリマー溶液3を添加したこと以外は実施例1と同様にして導電性高分子溶液を得た。そして実施例1と同様にして導電性塗膜を形成し、電気特性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2006321840
Figure 2006321840
4級塩化された窒素含有化合物を含む実施例1〜3の導電性高分子溶液から形成された導電性塗膜は導電性が高かった。さらに、窒素含有化合物が不飽和二重結合を有する導電性高分子溶液から形成された実施例1,2の導電性塗膜は、不飽和二重結合が重合したため、膜強度が向上して、電気伝導度維持率の低下が防止されていた。すなわち、熱安定性が向上していた。また、導電性がより向上していた。
これに対し、官能基が4級塩化されていない化合物を有する比較例1,2の導電性高分子溶液から形成された導電性塗膜は、窒素含有化合物がポリアニオンと塩を形成しないため電気伝導度の向上は見られなかった。ただし、不飽和二重結合の重合により、電気伝導度維持率の低下は防止されていた。

Claims (3)

  1. π共役系導電性高分子とポリアニオンと窒素含有化合物と溶媒とを含有する導電性高分子溶液であって、
    窒素含有化合物が、ウレア基、ウレタン基、アロハネート基、ビュレット基、イミド基、アミド基から選ばれる1種以上の窒素含有官能基を有し、該窒素含有官能基の窒素原子が4級塩化されていることを特徴とする導電性高分子溶液。
  2. 窒素含有化合物が、不飽和二重結合を1つ以上有することを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子溶液。
  3. 請求項1または2に記載の導電性高分子溶液が塗布されて形成されたことを特徴とする導電性塗膜。
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