JP2006318038A - 医療機器流通管理システム - Google Patents

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Hiroshi Takakusa
啓史 高草
Noriya Kajiwara
徳也 梶原
Masaaki Inoue
政昭 井上
Kiyohisa Okuda
清久 奥田
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Abstract

【課題】 使用可能期限や使用可能回数が設定されている手術に用いられる各種の医療機器を医療機関に貸し出す業務において、数が非常に多い医療機器を効率良く管理する。また、医療機関にストックされた医療機材が使用されずに使用可能期限を越えてしまい、返却・廃棄しなければならなくなる率を低下させる。
【解決手段】 各医療機器に、ID情報等が記録された非接触情報担持部を付与する。医療機材の使用可能期限が近づけば、その医療機材を使用する可能性が高い医療機関に移送する指示を与える移送指示手段を備えることにより、未使用のまま期限を越えてしまい、損失が発生する率を低下させることができる。医療機関側に情報端末を設け、流通管理サーバとネットワークで接続することにより、医療機器の流通を流通管理サーバによって容易に管理することが可能となる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、手術器械及び医療機材を、流通拠点から一もしくは複数の医療機関に配送する又は貸し出す(医療機器会社の代理店に配送する又は貸し出す場合も含む。)業務において用いられる、各器械及び機材の管理を効率的に行うためのシステムに関する。
病院で行われる手術では、種々の手術器械が用いられる。これらの器械の種類は手術の内容に応じて異なるため、器械全体の種類は膨大な数に上る。また、医療機器会社毎にそれぞれ独自の規格を有しており、異なる医療機器会社間では器械の互換性がない。この現状から、各個の病院で当該手術器械を保有することは経済的に難しく、医療機器会社からの貸し出しに頼らざるを得ない。
病院で利用される医療機器は、再使用可能な手術器械(例えば開胸器、穿削器、穿孔器など)と、再使用不可能な医療機材(例えばカテーテルやチューブなど)とに大別される。手術器械は基本的に再使用可能であるとはいえ、使用中の不具合を最小限に図るよう医療機器会社が自主的に使用可能回数を設定しており、通算で所定回数以上手術に使用されたものはそれ以上使用することができない。一方、医療機材には、出荷時に行われた滅菌が有効とされる使用可能期限が設定されており、その期限を過ぎたものは、使用することができなくなる。
このように、医療機器は種類が膨大であるにもかかわらず、個々の管理を適切に行わなければならない。また、機器の種類によっては高額なものもある。そこで、病院は手術器械及び医療機材を購入して所有するのではなく、医療機器会社や医療機器会社と病院との間を取り持つ代理店から、ある手術に必要な医療機器を借り、使用後に返却する(手術器械貸し出しの場合)、又は予め病院に預けておき、使用した都度購入(医療機材の預託在庫の場合)して、医療機器会社又は代理店が各医療機器の使用回数期限や滅菌期限などの管理を行うというシステムが従来一般に利用されている。
さらにまた、手術器械及び医療機材の管理は、業務の効率化のみを目的としたものに限られず、近年の薬事法改正などに基づく法律的要請により、出荷時期、使用時期、使用に関する種々の利用に関する記録データを残しておく必要もある(いわゆるトレーサビリティ管理)。
医療機器会社又は賃貸・回収業者が行う医療機器の管理を支援する従来技術の一例として、特許文献1に記載のシステムがある。このシステムでは、個々の医療機器に、固有IDが記録されたバーコードを付与し、このバーコードによって各医療機器を管理する。これにより、ある医療機器が使用限度回数に達したか否かを瞬時に知ることができる。また、形状が似通っていて、作業者にとって見た目では相違が判断しにくい医療機器が複数あっても、適切に仕分けを行うことができる。
また、特許文献2には、複数の病院間で医療器機を相互に貸し出すためのシステムが記載されている。通信回線を介して複数の端末とサーバとが接続されており、病院は端末を利用して貸し出しを予約することができる。このシステムを利用することにより、高額な医療器機を効率よく利用することができ、医療費の低減を図ることも可能となる。
特開2004-13837号公報 特開2002-15073号公報
病院が手術用の医療機材を準備する際には、手術の内容が確定した都度に必要な機材を依頼していては緊急の事態に対応できないということや、配送業務が非効率となることから、ある程度の数量の医療機材を予め借り受けておき、ストックしておくことが多い。これを預託在庫という。
しかしながら、上述したように、医療機材には使用可能期限が設定されており、その期限を過ぎたものは使用することができなくなるため、手術が行われ、使用されると目算してストックしておいたにもかかわらず、使用可能期限内にその医療機材が使用されなかった場合には返却しなければならない。返却された医療機材は、医療機器会社側で再度滅菌処理を行うか、又は廃棄処理される。
病院と医療機器会社又は代理店との間では、病院が使用した医療機材に対してのみ費用が発生する預託在庫という制度があり、医療機材が使用期限内に使用されなかった場合には、医療機器会社や代理店側に損失が発生してしまうという問題があった。特許文献1に記載のシステムでは、各医療機器には固定の納入先(病院)が関連づけられているため、この問題を解決することができない。特許文献2に記載のシステムは、単に貸し借りの予約をネットワークを介して行うことが可能なだけにすぎず、使用期限が設定された医療機材の流通に関する上記課題の解決策を与えるものではない。また、特許文献1又は2に記載のシステムに限らず、従来のいずれのシステムによってもこの問題を有効に解決することができなかった。
上記課題を解決するために成された本発明に係る医療機器流通管理システムは、
医療機関における手術に使用される各種の手術器械及び医療機材を、流通拠点から一もしくは複数の医療機関に配送する又は貸し出す業務に供されるシステムであって、
流通拠点に設置される、非接触認証技術を利用した情報読取部と接続された流通管理サーバを有し、
個別の手術器械又は医療機材が、前記非接触認証技術を利用する情報読取部と交信可能な少なくとも固有の識別情報を含む情報を有する非接触情報担持部を備え、
前記流通管理サーバが、個別の手術器械又は医療機材の流通拠点からの出荷時及び医療機関からの返却時に、前記情報読取部によって、前記非接触情報担持部の有する情報を読み取ることにより、
個別の手術器械又は医療機材について予め設定された使用可能回数又は使用可能期限、使用履歴及び流通履歴に関する各種情報を管理する管理手段と、
予め使用可能回数が設定された手術器械又は医療機材が、各使用後に該手術器械又は医療機材の流通拠点に返却された際に、使用履歴をチェックし、使用回数が使用可能回数以上になった場合、廃棄指示を行う廃棄指示手段と、
使用可能期限が設定された医療機材が未使用であって使用可能期限までの残り期間が第1の所定期間よりも短くなった場合に、前記使用可能期限内に該医療機材が使用される可能性が高い医療機関に該医療機材を移送する旨の指示を行う移送指示手段と、
使用可能期限が設定された医療機材が未使用であって使用可能期限までの残り期間が第2の所定期間よりも短くなった場合に、該医療機材の回収を促す回収指示を行う回収指示手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の医療機器流通管理システムは、その好適な一形態として、
医療機関に情報端末を設け、該情報端末が非接触認証技術を利用した端末情報読取部を備え、
該端末情報読取部によって前記非接触情報担持部の有する情報を読み取ることを利用し、前記手術器械又は医療機材に関する利用情報を前記流通管理サーバに送信することにより、
前記管理手段が、更に医療機関における利用情報を管理する構成とすることができる。
本発明に係る医療機器流通管理システムによれば、非接触認証技術を利用することにより、手術器械の使用可能回数及び医療機材の使用可能期限をはじめとする種々の利用情報を確実に管理することが可能となる。また、管理サーバが移送指示手段を備えることにより、医療機関がストックしておいたにもかかわらず、従来であれば使用されないまま使用可能期限を過ぎてしまい、再滅菌処理が施されたり、廃棄されなければならなかった医療機材を有効に使用することが可能となり、損失を低減させることが可能となる。
また、医療機関に情報端末を設ける構成とし、医療機関側での各手術器械及び医療機材の利用に関する情報を医療端末から流通管理サーバに送信することにより、種々の利用情報をサーバ側で一括管理することが可能となる。
本発明に係る医療機器流通管理システム(以下、「本システム」とも称する)の概略構成図を図1に示す。本システムの基本的構成は、流通管理サーバ1、情報端末3、及び医療機器4、5から成る。
まず、医療機器4、5について説明する。本システムにおける医療機器は、手術器械4と、医療機材5とに大別される。そして、手術器械4及び医療機材5のいずれにも、少なくとも固有の識別情報が保存された非接触情報担持部41、51が付与されている。本発明における非接触情報担持部は、接触型ICによるRFID技術を利用した非接触ICタグであってもよいし、バーコード、二次元コード等の非接触型コード認証技術を利用したコード表示部であってもよい。なお、非接触情報担持部41、51は、通常は医療機器会社から出荷される時点で既に各医療機器に一体的に取り付けられており、取り外されることなく使用される。また、非接触情報担持部41、51が医療機器会社から出荷される時点で各医療機器に一体的に取り付けられていないか、あるいは取り付けられていても、そこに含まれている情報が不十分である場合は、流通拠点において新たに取り付けられる。
手術器械4は、手術で使用しても洗浄、滅菌を行うことによって再度使用することができるものであり、例えば開胸器や穿削器などが挙げられる。各手術器械には使用可能回数が予め設定されており、手術での使用回数がその使用可能回数を上回ると、目視による検査では何ら問題がない場合であっても、廃棄しなければならない。
医療機材5は、前記手術器械4とは異なり、再使用が不可能な手術用の各種部材であり、例えば人工心臓弁、心臓カテーテル、ステント、チューブなどが挙げられる。医療機材5は、医療機器会社から出荷される時点で滅菌処理が施されており、その滅菌処理が有効とされる使用可能期限が設定されている。その使用可能期限を越えたものは、廃棄しなければならない。このような事情から、医療機材5は個別に包装されていることが多いため、医療機材5用の非接触情報担持部51は医療機材5の本体に設けられていてもよいし、その包装の一部に設けられていてもよい。
また、例えば人工関節置換手術などの場合、患者に対して最終的に使用する人工関節(医療機材)のサイズは事前には決定されず、手術中に最適なものが選択されることがあるため、手術に際しては、複数のサイズの人工関節を準備しておく必要が生じる。このような場合のために、複数サイズの医療機材が一つの組となり、所定のケースに収納されている状態で流通することがある。また、取り扱い易さなど、種々の理由に基づき複数個の手術器械4や医療機材5が組となって所定のケース(セットケース)に収納されている場合もある。さらに、手術の種類毎に、その手術で使用される可能性がある複数の医療機器が一つの組として、ケースに収納されることもある。このような場合には、そのケース自体に非接触情報担持部を設けることができる。この非接触情報担持部には、そのケース内に収納されている手術器械及び医療機材の全IDが記録されていてもよいし、非接触情報担持部にはケースに固有のIDのみが記録されており、流通管理サーバ1に設けられた医療機器管理データベース15(詳細は後述)において、ケースのIDとそのケースに収納されている複数の手術器械及び医療機材とが関連づけられていてもよい。なお、このように複数個の手術器械や医療機材が組となって所定のケースに収納されている場合でも、ケース内の各手術器械及び医療機材には個々に非接触情報担持部が設けられていることが望ましい。ケースに収納されていたが手術で使用されず、個別包装のため滅菌性が損なわれていない医療機材は、通常は手術後に流通拠点に返却され、再度出荷される。
上記構成により、セットケースを開封するまでは、一つの非接触情報担持部のデータを読み取るだけで、そのセットケースに含まれる医療機器全てのデータを一括して管理することができるため、読み取りの手間が大幅に軽減される。
流通管理サーバ1は、各種の手術器械を、一又は複数の病院に対して配送する又は貸し出しする流通拠点に設置されており、通常は、演算を実行する中央処理装置、各医療機器に関する使用可能回数や使用可能期限などの各種状態や所在箇所などのデータから成る医療機器管理データベース15(以下、「医療機器管理DB」とする)を含む種々のデータを保存するためのハードディスク等から成る記憶装置の他、表示装置11、キーボードやマウスから成る入力装置12等を備えているコンピュータである。本システムでは、この流通管理サーバ1によって各医療機器に関する種々のデータが集中的に管理される。
流通管理サーバ1には情報読取部2が接続されている。情報読取部2はその基本的な機能として各手術器械4及び医療機材5に設けられた非接触情報担持部41、51に保存されたデータを読み取ることが可能である。情報読取部2において読み取られた非接触情報担持部41、51のデータは、流通管理サーバ1に送信される。
流通管理サーバ1によって管理される医療機器管理DB15に保存されるデータは、手術器械と医療機材とで異なっている。
手術器械4に関しては、例えば、手術器械4の名称、固有ID、使用可能回数、通算使用回数、所在箇所、が保存されている。
医療機材5に関しては、例えば、医療機材5の名称、固有ID、使用可能期限、所在箇所が保存されている。
手術器械4の非接触情報担持部41に保存されているデータには少なくともその固有IDが含まれているが、更に名称や使用可能回数などの情報が保存されていてもよい。
また、医療機材5の非接触情報担持部51に保存されているデータには少なくともその固有IDが含まれているが、更に名称や使用可能期限などの情報が保存されていてもよい。
本発明に係るシステムの他の形態として、医療機関側に情報端末3を設け、情報端末3と流通管理サーバ1とがインターネットや専用線などのデータ通信ネットワーク9によって接続された構成とすることもできる(図2)。この場合、医療機関側は情報端末3を用い、手術の予定に関し、手術名、日時などを含む手術に関する情報を入力し、その情報を流通管理サーバ1に送信する。流通管理サーバ1はその情報に基づき、医療機関に配送する手術器械4又は医療機材5の出荷予定情報を生成する。このようにして、オンラインで医療機器の配送の要請を行うことができる。
また、情報端末3が、非接触情報担持部に対応する非接触認証技術を利用した端末情報読取部を備える構成とすることもできる。この場合、端末情報読取部により手術器械4又は医療機材5の非接触情報担持部41、51に保存された情報を読み取るとともに、情報端末3によって手術に関する各種のデータを入力することによって、医療機関側での手術器械4及び医療機材5の利用に関する各種の利用情報をオンラインで流通管理サーバ1に送信することができる。流通管理サーバ1は、受信した利用情報に基づき医療機器管理DB15を更新する。
次に、本システムを利用した手術器械4及び医療機材5の管理方法の一例を図3に基づき説明する。手術器械4及び医療機材5の管理方法は入庫から配送までの段階では基本的に同一である。
[入庫・配送]
まず、流通拠点は、複数(もしくは単一)の医療機器会社から各種の医療機器の配送委託を受ける。もしくは借り受け又は購入することもある。このとき、流通管理サーバ1の入力装置12によって、医療機器会社からの入庫段階であることを特定した後、情報読取部2を用いて、医療機器に設けられている非接触情報担持部のデータを読み取ることにより、その医療機器(手術器械4又は医療機材5)が入庫したことを入力する。流通管理サーバ1は、その入力されたデータである医療機器のID、使用可能回数や使用可能期限などと共に、その医療機器の状態が出荷待ち状態であることを医療機器管理DB15に登録する。また、非接触情報担持部が、医療機器会社から出荷される時点で各医療機器に一体的に取り付けられていないか、あるいは取り付けられていても、そこに含まれている情報が不十分である場合は、流通拠点において、新たに取り付けた後に、同じ操作を行う。
流通拠点は、病院又は医療機器会社からの配送要請により医療機器等を配送する。この配送要請は、医療機関に情報端末3が設けられていれば、情報端末3から流通管理サーバ1に対してオンラインで直接行ってもよいし、FAXや電話等の手段によって行っても構わない。配送に際しては、流通管理サーバ1の入力装置12によって出荷段階であることを特定した後、情報読取部2を用いて各医療機器やケースに設けられている非接触情報担持部のデータを読み取ることにより、医療機器を配送することを入力する。この入力に基づき、流通管理サーバ1は医療機器管理DB15を更新する。
医療機器の配送が完了すると、病院側では情報端末3の端末情報読取部を用い、受け取り段階であることを指定した後、各医療機器に設けられた非接触情報担持部のデータを読み取る。次いで情報端末3は、ネットワーク9を介して、その医療機器のID及び受け取り完了のデータを病院IDと共に流通管理サーバ1に送信する。流通管理サーバ1はそのデータを受け取り、医療機器管理DB15を更新する。
以下、手術器械4、医療機材5のそれぞれの管理方法の例について説明する。
[手術器械の管理]
本システムにおける手術器械4の流通形態を図4のフローチャートより説明する。まず、ある手術器械4が医療機器会社より入庫する(ステップS41)。次いで、病院又は医療機器会社の要請により、その手術器械4が病院へ配送される(ステップS42)。なお、ステップS42では、病院側が情報端末3によって受け取り完了入力を行えばよいが、配送前に流通管理サーバ1側でも出庫確認を行っておくことが望ましい。ここまでは上述の入庫・配送段階に該当する。
病院で手術が行われ、その手術器械4が使用されると(ステップS43)、病院側では情報端末3を用いて、その手術器械4が使用段階であることを指定した後、端末情報読取部を用いて非接触情報担持部41のデータを読み取ることにより、その手術器械4を使用したことを入力する。この入力は手術の前に行っても構わない。このステップS43では、情報端末3によって使用完了のみを指示するのではなく、薬事法等の法律の要請に則した、また、管理の上で必要な手術に関する各種のデータを入力してもよい。情報端末3はこの入力に基づき、その手術器械4のID及び使用完了に係るデータを流通管理サーバ1に送信する。流通管理サーバ1はそのデータを受け取り、医療機器管理DB15を更新する。この更新時にその手術器械4の使用回数に1を加える(ステップS44)。流通管理サーバ1は、この使用完了に係るデータを受信すると、手術器械4の引き取りを指示するようにすることもできる。
使用された手術器械4を病院から引き取ると、流通拠点は情報読取部2を用いて、返却されたことを入力する(ステップS45)。流通管理サーバ1は、この返却の入力に基づき、医療機器管理DB15に保存されている使用可能回数を参照し、当該手術器械4が使用可能回数以上使用されたかどうかを判断する(ステップS46)。使用可能回数に達している場合、その手術器械4を医療機器会社に返却又は廃棄する。使用可能回数に達していない場合には、問題がないかどうか点検が行われる(ステップS47)。この点検時に何らかの問題が発見された場合には、手術器械4は医療機器会社に返却されるか又は廃棄される。ステップS46又はステップS47において返却・廃棄処理となった場合には、入力装置12によって返却・廃棄段階であることを指定した後に、情報読取部2によってその手術器械4のIDを読み取ればよい。返却・廃棄処理となった手術器械4に関する各種の履歴は、ログとして流通管理サーバ1の記憶装置内に保存される。
ステップS47における点検で問題がないと判断された場合には、手術器械4は、洗浄及び必要に応じて再滅菌された後、情報読取部2を用いて再使用可能である旨の入力がされ、出庫待ち状態となって流通拠点の倉庫に保管される。そして、病院又は医療機器会社の要請に応じて再び配送される(ステップS42)。
[医療機材の管理]
医療機材5は、上記の入庫・配送段階を経て、病院に配送される。病院側では手術における使用時に、情報端末3によって使用段階であることを指定し、その医療機材5に設けられた非接触情報担持部のデータを読み取る。このデータはネットワーク9を介して流通管理サーバ1に送信され、医療機器管理DB15に医療機材5の使用が完了した旨のデータが書き込まれる。医療機材5の使用に際しても手術器械4の場合と同様に、情報端末3によって、薬事法などの法律に則した、また、管理の上で必要な手術に関する各種のデータを入力することが望ましい。
組となるセットケースに格納されていたものの、手術において使用されなかった医療機材5は、病院がそのまま保管しておいてもよいが、通常は流通拠点に返却される。病院が返却を希望する医療機材5は、情報端末3によって、読み取ったその医療機材5のIDとともに、返却希望データを流通管理サーバ1に送信する。流通管理サーバ1はそのデータに基づき、引き取りの指示を表示する。又は、セットケースが使用された旨のデータを受け取ると、自動的に引き取りの指示を表示する構成としてもよい。
ある病院にストックされており、且つ未使用状態である医療機材5の使用可能期限が迫り、残り日数が予め設定されている所定の日数よりも少なくなると、流通管理サーバ1は、その医療機材5(又はその医療機材5を含むケース)を、その使用可能期限内に使用する可能性が高いと判断する病院に移送する指示を表示する。この移送先の病院は、流通管理サーバ1の記憶装置に保存されている病院別医療機材管理データベースのデータに基づいて判断される。この病院別医療機材管理DBには、各病院における医療機材5、及び医療機材5を含むセットケースの使用履歴、使用頻度、現在のストック数等のデータが含まれている。この指示に基づき、流通拠点は当該医療機材5を移送する。図3では、病院Bにストックされており、使用可能期限が迫っている医療機材5が、その医療機材5を期限内に使用する可能性の高い病院Aに移送される様子が描かれている。
また、移送指示は、予め特定された複数の病院から成る地域(図3における地域1や地域2)に基づき、その地域内のみで移送が行われるように指示を行うのが好ましい。この地域は、地理的な位置のみに基づいて構成されるのではなく、同じ経営系列の病院のみから構成されるようにすることもできる。また、医療機器会社の代理店が存在し、その代理店が所定の複数の病院をまとめて管理している場合には、その代理店が取引を担当している複数の病院を一つの地域とみなし、その地域内で移送指示が行われるようにすることもできる。
医療機材5の移送指示は、通常は移送される側の医療機関の配送要請が特に無い場合でも行われる。また、ある病院が医療機材5の配送を要請し、使用可能期限内にその医療機材5を使用する予定があることがわかっている場合には、その医療機材5は、流通拠点の倉庫から配送するのではなく、その医療機関の属する地域の他の医療機関から移送されるように、流通管理サーバ1によって移送指示が行われる構成とすることもできる。
このように医療機関間で医療機材5の移送を行う場合には、移送時に、移送先の医療機関で情報端末3を用いて、移送受け取り段階であることを指定し、その医療機材5の非接触情報担持部51を読み取ることにより、移送が完了した旨のデータを流通管理サーバ1に送信する。流通管理サーバ1は、このデータに基づき、医療機器管理DB15におけるその医療機材5の所在箇所を変更する。また、移送の際に、移送元の医療機関でも情報端末3によって移送段階であることを指定し、その医療機材5の非接触情報担持部51を読み取ることによって、移送が行われることを通知するデータを流通管理サーバ1に送信する構成とすることもできる。
医療機関間で移送を適宜に行ったとしても、医療機材5が未使用のまま使用可能期限が到来してしまう場合もある。この場合には、安全性を鑑みて、使用可能期限日に対する残りの日数が、所定の日数(移送指示が行われる残り日数よりも短期間に設定される)を切ると、流通管理サーバ1は、その医療機材5の回収を促す指示を表示する。流通拠点はこの指示に基づき、医療機材5を回収する。
以上、本発明に係るシステムの例を説明したが、本システムは、本発明の精神内において自由に変更可能であることは言うまでもない。
例えば、流通拠点と複数の病院との間に医療機器会社の代理店が存在している場合には、その代理店にも流通管理サーバ1からの各種指示を表示したり、管理サーバの備える各種のデータを閲覧することが可能な表示端末を設ける構成とすればよい。
また、配送時や移送時に、配送を行う担当者(ドライバ)が各医療機器の管理を行うために、非接触情報担持部のデータを読み取ることができ、且つその読み取ったデータをリアルタイムに無線で、又は配送後に有線で、流通管理サーバ1に対して送信することができる携帯端末を利用する構成とすることもできる。この構成により、各医療機器のより緻密な管理を行うことができ、入力漏れなどがあった場合にでも、その医療機器の所在箇所や状態を検出しやすくなる。
さらに、読み取りだけでなく書き込みも可能な非接触情報担持部を利用し、情報読取部2によって所定のデータを非接触情報担持部に書き込むようにしてもよい。例えば、手術器械4が備える非接触情報担持部41に通算使用回数を書き込むようにしておけば、流通管理サーバ1に接続して照会することなく、非接触情報担持部41のデータを各種の読取装置で読み取ることが可能となる。
本発明に係るシステムの概略構成図。 本発明に係るシステムの他の実施形態の概略構成図。 本発明に係るシステムを利用した手術器械の流通の模式図。 手術器械の流通のフローチャート。
符号の説明
1…流通管理サーバ
11…表示装置
12…入力装置
15…医療機器管理DB
2…情報読取部
3…情報端末
4…手術器械
5…医療機材
41、51…非接触情報担持部
9…データ通信ネットワーク

Claims (5)

  1. 医療機関における手術に使用される各種の手術器械及び医療機材を、流通拠点から一もしくは複数の医療機関に配送する又は貸し出す業務に供されるシステムであって、
    流通拠点に設置される、非接触認証技術を利用した情報読取部と接続された流通管理サーバを有し、
    個別の手術器械又は医療機材が、前記非接触認証技術を利用する情報読取部と交信可能な少なくとも固有の識別情報を含む情報を有する非接触情報担持部を備え、
    前記流通管理サーバが、個別の手術器械又は医療機材の流通拠点からの出荷時及び医療機関からの返却時に、前記情報読取部によって、前記非接触情報担持部の有する情報を読み取ることにより、
    個別の手術器械又は医療機材について予め設定された使用可能回数又は使用可能期限、使用履歴及び流通履歴に関する各種情報を管理する管理手段と、
    予め使用可能回数が設定された手術器械又は医療機材が、各使用後に該手術器械又は医療機材の流通拠点に返却された際に、使用履歴をチェックし、使用回数が使用可能回数以上になった場合、廃棄指示を行う廃棄指示手段と、
    使用可能期限が設定された医療機材が未使用であって使用可能期限までの残り期間が第1の所定期間よりも短くなった場合に、前記使用可能期限内に該医療機材が使用される可能性が高い医療機関に該医療機材を移送する旨の指示を行う移送指示手段と、
    使用可能期限が設定された医療機材が未使用であって使用可能期限までの残り期間が第2の所定期間よりも短くなった場合に、該医療機材の回収を促す回収指示を行う回収指示手段と、
    を備えることを特徴とする医療機器流通管理システム。
  2. 前記非接触認証技術が、非接触型ICを利用したRFID技術であり、
    前記非接触情報担持部が、該RFID技術に対応した非接触ICタグであることを特徴とする請求項1に記載の医療機器流通管理システム。
  3. 前記非接触認証技術が、バーコード、二次元コード等の非接触型コード認証技術であり、
    前記非接触情報担持部が、該非接触型コード認証技術に対応したコード表示部であることを特徴とする請求項1に記載の医療機器流通管理システム。
  4. 医療機関に情報端末を設け、
    該情報端末により手術の予定に関する各種の情報を入力し、該情報を前記流通管理サーバに送信することによって、
    該流通管理サーバが、前記予定された手術内容に応じた手術器械又は医療機材を該医療機関に配送する出荷予定情報を生成する出荷予定情報生成手段を備えている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療機器流通管理システム。
  5. 前記情報端末が非接触認証技術を利用した端末情報読取部を備え、
    該端末情報読取部によって前記非接触情報担持部の有する情報を読み取ることを利用し、前記手術器械又は医療機材に関する利用情報を前記流通管理サーバに送信することにより、
    前記管理手段が、更に医療機関における利用情報を管理することを特徴とする請求項4に記載の医療機器流通管理システム。


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