JP2006317750A - 写真スタジオ装置及び写真スタジオ光源装置 - Google Patents

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庄一 野村
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秀樹 加藤
Tomoaki Tamura
知章 田村
Takashi Igarashi
隆史 五十嵐
Katsutoshi Sawada
勝利 澤田
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Abstract

【課題】被写体を束縛せずに自由な雰囲気で撮影でき、好ましい照明効果が得られる写真スタジオ装置を実現する。
【解決手段】写真スタジオ装置1は、被写体を、少なくとも右側壁、左側壁、後部壁、出入り口用の開口部を有する正面壁で囲む撮影空間により構成され、右側壁、左側壁及び正面壁には、各々の壁面につき、直線状の形状を有する少なくとも5つの照明用光源(例えば、直管蛍光灯)が配置され、右側壁、左側壁及び正面壁の各々の照明用光源を覆うように、照明用光源からの光を拡散させる光源拡散部が配置されている。光源監視部23によって、各々の壁面に配置された照明用光源の発光状態が監視され、複数の照明用光源のうち何れか一つの発光状態が不安定と判断された場合、給電制御部25によって、当該発光状態が不安定な照明用光源への給電が遮断される。
【選択図】図8

Description

本発明は、被写体を撮影するための写真スタジオ装置及び写真スタジオ光源装置に関する。
一般に、写真スタジオ装置では、ストロボや写真用白熱電球、写真用蛍光灯等の照明用光源を用いてポートレート撮影が行われている。一般に効果的な照明効果を得る作業は、固定された被写体位置にあわせて、複数のライトを組合せ、適切な照明を得る必要があり、多大な工数、労力を要する。このような撮影方法は被写体の位置、ポーズをあらかじめ決定し、被写体にポーズを強要するため、撮影に慣れていない一般の人物を撮影する場合、非常に硬い表情の写真となりやすい。
特に、被写体が乳幼児の場合、ポーズの強要そのものが困難となり、良好な撮影結果が得られない場合が多々あった。また、乳幼児を撮影する場合、形式的な、一般に「型物」と呼ばれる旧来の記念写真ではなく、より自然な、生き生きとした表情、動きを撮影するのが好まれるが、実際のところ、このような撮影は困難であった。
そこで、被写体を束縛せずに自由な雰囲気で撮影できるよう、均質な照明下で撮影する写真スタジオ装置が提案されている。特許文献1では、拡散光を発する箱状の光源部を、写真スタジオ装置の天井に複数、分散して配置し、写真スタジオ装置内のどこにいても露出の変動が少ない撮影を可能とする技術が開示されている。また、特許文献2では、壁面発光体で被写体を囲むことで影の無い良好な写真を簡単に撮影可能な技術が開示されている。
特開2004−54071号公報 特開2005−31511号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、撮影用の照明は、写真スタジオ装置内の拡散光を除き、天井からの光のみであるため、適正露出での撮影はできても、瞳に充分なキャッチライトが入らず、また、特に床面の明るさが減少する傾向があるため、被写体の生き生きとした表情を生かす照明効果が得られず、満足度の高い撮影結果が得られるものではなかった。また、特許文献2に開示された技術では、強い影の無い写真が得られるとしているが、被写体が動いた場合の照明条件の変動が大きく、必ずしも簡単な撮影ができるとは言えない状況であった。
本発明の課題は、被写体を束縛せずに自由な雰囲気で撮影でき、好ましい照明効果が得られる写真スタジオ装置を実現することである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、被写体を、少なくとも右側壁、左側壁、後部壁、出入り口用の開口部を有する正面壁で囲む撮影空間により構成される写真スタジオ装置であって、前記右側壁、前記左側壁及び前記正面壁には、各々の壁面につき、少なくとも5つの照明用光源が配置され、前記右側壁、前記左側壁及び前記正面壁の各々の照明用光源を覆うように、照明用光源からの光を拡散させる光源拡散部が配置され、前記各々の壁面に配置された照明用光源の発光状態を監視する監視手段と、前記監視手段により、前記照明用光源のうち何れか一つの発光状態が不安定と判断された場合、当該発光状態が不安定な照明用光源への給電を遮断する遮断手段と、を備えることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の写真スタジオ装置において、前記遮断手段は、前記発光状態が不安定な照明用光源とともに、配光バランス上、当該照明用光源に対応する他の照明用光源への給電を遮断することを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の写真スタジオ装置において、前記照明用光源は直線状の形状を有し、前記光源拡散部は、前記照明用光源の長手方向と平行な方向に稜谷線を有するレンチキュラーシートを備えることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の写真スタジオ装置において、前記レンチキュラーシートの撮影空間側に、指向性のない拡散シートが重ねられていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、直線状の形状を有する少なくとも5つの照明用光源が、一つの面が開口部となる筐体内に平行に配置され、
前記筐体の開口部に、前記照明用光源からの光を拡散させる光源拡散部として、当該照明用光源の長手方向と平行な方向に稜谷線を有するレンチキュラーシートが配置されることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の写真スタジオ光源装置において、前記照明用光源の発光状態を監視する監視手段と、
前記監視手段により、前記照明用光源のうち何れか一つの発光状態が不安定と判断された場合、当該発光状態が不安定な照明用光源への給電を遮断する遮断手段と、を備えることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、複数の照明用光源のうち、発光状態が不安定な照明用光源への給電を遮断するため、写真スタジオ装置全体の照度に大きな影響を与えず、安定した光量を持続させることができる。また、一つの照明用光源の発光状態が不安定になっても、撮影作業を中断する必要がなく、撮影作業の円滑化を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、写真スタジオ装置における照明効果の大幅な変化を防止することができる。
請求項3に記載の発明によれば、レンチキュラーシートによって、直線状の形状を有する照明用光源からの光を効果的に拡散させることができる。また、給電を遮断した箇所が見えにくく、より良好な撮影結果が得られる。
請求項4に記載の発明によれば、レンチキュラーシートが有する稜谷線構造が、指向性のない拡散シートによって隠されるため、光源拡散部を背景とした撮影状態でも、より自然な背景を有する撮影画像を得ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、照明用光源の複雑な構造が見えず、写真撮影用の良質な照明を実現することができる。
請求項6に記載の発明によれば、一つの照明用光源の発光状態が不安定になっても、撮影作業を中断する必要がなく、撮影作業の円滑化を図ることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
まず、本実施形態における構成について説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る写真スタジオ装置1の概略構成を示す。写真スタジオ装置1は、図1に示すように、出入り口用の開口部を有する正面壁2、右側壁3、左側壁4、後部壁5及び天井6で囲まれた撮影空間により構成される。なお、以下では、正面壁2、右側壁3、左側壁4、後部壁5は、何れも写真スタジオ装置1の内壁を表すものとする。
右側壁3、左側壁4及び天井6は、それぞれ略同一の面積であり、開口部を除く正面壁2の面積は、右側壁3、左側壁4及び天井6の何れか1つの壁面の60%以下である。また、床面及び後部壁5は略白色の拡散面である。正面壁2、右側壁3、左側壁4、後部壁5、天井6及び床面は互いに隣接し、略直方体の形状を有する。このような撮影空間(写真スタジオ装置1の内側の撮影領域)として、例えば、図1に示すように、横幅が2.08m、奥行きが2.38m、高さが2.28m、出入り口用の開口部の幅が1.08mの直方体の空間を適用することができる。なお、図1では、後部壁5と右側壁3及び左側壁4との接合部、正面壁2と右側壁3及び左側壁4との接合部を90度とし、撮影空間の形状が直方体である場合を示しているが、当該接合部の角度を変えて設計してもよい。例えば、正面壁2の、開口部を挟んだ2つの壁面を、写真スタジオ装置1の中央部に向けて配置してもよい。また、各接合部にR付け(壁面接合部を曲線状に滑らかに連結する)してもよい。
正面壁2、右側壁3、左側壁4及び天井6には、被写体を照らす照明用光源が配置されている。以下、各壁面に配置される照明用光源の発光量について説明する。表1に、各壁面の照明用光源の発光量比率と、発光量比率毎に撮影品質を評価した結果(実撮影による官能評価の結果)を示す。
Figure 2006317750
発光量比率A:全光量に占める正面壁発光量の割合;
発光量比率B:正面壁発光量を除いた全光量に占める左側壁又は右側壁の発光量の割合(左側壁と右側壁の各壁面は同一光量);
◎:非常に好ましい;
○:好ましい(商品ポートレートとして通常許容);
△:やや問題あり(商品ポートレートとして不満足);
×:問題あり(商品ポートレートとして不適格).
表1は、発光量比率(発光量比率A、発光量比率B)毎に、3項目「正面」、「俯瞰」、「背景」の評価結果を表したもので、12種類の評価結果(水準1〜12)からなる。「正面」項目は、人物(被写体)を入り口側に向かせ、入り口側から撮影したときの評価結果を表し、「俯瞰」項目は、人物を寝かせ、斜め上方から撮影した時の評価結果を表し、「背景」項目は、正面撮影時の背景の明るさ(適度な飛び過ぎない白で、且つ、被写体等の影が写らないことが好ましい)の評価結果を表す。
表1によると、発光量比率Bが極端に高い水準9〜12の場合(即ち、天井光が少ない)、俯瞰撮影時の顔正面の露出がアンダー傾向となり、好ましくない。また、発光量比率Aが極端に小さい場合、正面撮影時の顔正面の露出がアンダー傾向となり、好ましくない。更に、発光量比率Aが極端に大きい場合、俯瞰撮影時の顔へのライティング状態が好ましくなく、良好な撮影結果が得られない。また、水準2、水準3は、撮影空間内の撮影位置によって適正露出が変動し、充分好ましい撮影結果が得らない。水準6、水準7のように照明用光源の発光量をコントロールすると、各々の評価項目で「好ましい」又は「非常に好ましい」という評価結果となり、特に、水準7の発光量比率を適用するのが最も好ましいことがわかる。
即ち、撮影空間の光量配分を以下のようにすることが好ましい。
(a)正面壁の照明用光源:全光量の25%以上50%以下、好ましくは33%以上50%以下;
(b)左側壁の照明用光源、右側壁の照明用光源の各々:正面壁を除く全光量の33%以上42%以下;
(c)天井の照明用光源:残りの光量.
このように、写真スタジオ装置1の光量配分を表1の水準7のようにすることにより、開口部を有する開放的なスタジオで、被写体(例えば、乳幼児)が自由に動き回っても、安定した露出と良好な照明効果を得ることができる。
写真撮影用の蛍光灯を用いる場合、撮影空間の各壁面には、例えば、以下のような構成で蛍光灯が配置される。
正面壁:40W型蛍光灯、左右各7本、計14本;
右側壁、左側壁:40W型蛍光灯、各々7本;
天井:40W型蛍光灯、5本.
このような構成で、照明用光源として直管蛍光灯を配置した例を図2〜図4に示す。
図2に、正面壁2に配置された照明用光源の一例を示す。正面壁2の左右には、上部の光源ブロックに蛍光灯7a〜7c、下部の光源ブロックに蛍光灯7d〜7gが配置され、各光源ブロックの蛍光灯を覆うように、蛍光灯からの光を拡散・透過させる光源拡散部8a,8bが配置されている。蛍光灯7a〜7gは、その長手方向が鉛直方向になるように配置されている。光源拡散部8aは、蝶番等の開閉部9a,9bにより正面壁2の上部の壁面に開閉可能に結合され、光源拡散部8bは、開閉部9c,9dにより正面壁2の下部の壁面に開閉可能に結合されている。また、正面壁2の照明用光源の非発光時における発光面の壁面反射率が、マンセル表色系による表記でN7.0程度の中性色グレーに見えるように設計される。なお、壁面反射率の調整は、光源拡散部8a,8bの光拡散性の強さや、蛍光灯の背面(光源拡散部8a,8b側を正面として)の設計(鏡面、白色塗装面、グレー塗装面、背面に部材を置かない背面開放型等)を調整することで実施できる。
図3に、右側壁3及び左側壁4(以下、これらを総称して「左右壁」という。)に配置された照明用光源の一例を示す。左右壁の入り口側上部の光源ブロックには、蛍光灯7hが配置され、入り口側下部の光源ブロックには、蛍光灯7i及び7jが配置され、各光源ブロックの蛍光灯を覆うように、蛍光灯からの光を拡散・透過させる光源拡散部8c,8dが配置されている。左右壁の後部壁側上部の光源ブロックには、蛍光灯7k及び7lが配置され、後部壁側下部の光源ブロックには、蛍光灯7m及び7nが配置され、各光源ブロックの蛍光灯を覆うように、蛍光灯からの光を拡散・透過させる光源拡散部8e,8fが配置されている。蛍光灯7h〜7nは、その長手方向が鉛直方向になるように配置されている。
光源拡散部8cは、開閉部9e,9fにより、左右壁の入り口側上部の壁面に開閉可能に結合され、光源拡散部8dは、開閉部9g,9hにより、左右壁の入り口側下部の壁面に開閉可能に結合されている。光源拡散部8eは、開閉部9i,9jにより、左右壁の後部壁側上部の平面に開閉可能に結合され、光源拡散部8fは、開閉部9k,9lにより、左右壁の後部壁側下部の壁面に開閉可能に結合されている。また、左右壁の照明用光源の非発光時における発光面の壁面反射率が、マンセル表色系による表記でN7.0程度の中性色グレーに見えるように設計される。写真スタジオ装置1が、図1に示すような寸法の場合、後部壁5から0.3mの領域を白色反射壁とすると、正面からの撮影で右側壁3や左側壁4の光源が背景に写りこむ機会が減少し、好ましい。同様に、床面から0.3mの領域を白色反射壁としてもよく、俯瞰撮影時に、右側壁3や左側壁4の光源が写真背景に写りこむ機会が減少し、好ましい場合が多い。
図2及び図3に示すように、正面壁2及び左右壁では、照明用光源が、その長手方向が鉛直方向になるように配置されることにより、被写体の背景として照明用光源が見えてしまう場合でも、背景として見苦しくなく、且つ、背丈の変化が大きい乳幼児や児童を対象とした場合でも安定した照明効果を実現できる。
被写体が右側壁3又は左側壁4の壁面に極端に近づいた場合、対応する側の正面壁2の照明用光源の発光が、撮影空間全体の照明効果に大きく寄与する。正面壁2の照明用光源の強さが比較的大きい(例えば、光量比で35%以上)の場合、すっきりとした写真が得られやすいが、正面壁2に近く、右側壁3又は左側壁4の壁面にも近い位置の露出がオーバーになりやすくなる。そこで、このような場合、図3に示すように、右側壁3、左側壁4に配置する照明用光源を、後部壁5に近づくにしたがって高い密度で配置すると好ましく、写真スタジオ装置1内の正面側、角位置まで含むより広い範囲で、高い安定性を有する露出条件と、すっきりとした照明を両立することができる。このような場合においても、照明用光源を、その長手方向が鉛直方向となるように配置することが好ましく、配置位置を微妙に調整することで、少ない数の照明用光源でも、高い精度で配光の微調整を行うことができる。
図4に、天井6に配置された照明用光源の一例を示す。天井6には、蛍光灯71〜75が平行に配置されており、各蛍光灯の長手方向は左右壁の壁面に垂直になっている。各蛍光灯の配置位置は、後部壁5に近くなるほど隣接する蛍光灯の間隔が狭くなり、入り口側に近いほど隣接する蛍光灯の間隔が広くなっている。天井6は、吹き抜け構造でよく、非発光時における発光面の壁面反射率が、マンセル表色系による表記でN7.0程度の中性色グレーに見えるように設計されることが好ましい。なお、壁面反射率の調整は、蛍光灯の背面(即ち天井部)の設計(白色塗装面、グレー塗装面等)を調整することで実施できる。
なお、写真スタジオ装置1に使用される照明用光源は蛍光灯に限定されず、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)、EL(Electronic Luminescent)素子等を用いてもよい。近年、照明用途として注目されている白色LEDは、高出力化が進み、光源として望ましい反面、色調を好ましく再現するために必要となる多様な周波数の光を十分含まない。そこで、図5に示すように、白色LEDとともに、光質改善用のLEDとして、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色のLEDを適宜配置することが望ましい。例えば、図2〜図4に示すような直管型の照明用光源にする場合、複数のLED(赤色、緑色、青色、白色)を図5のように配置すればよい。
写真スタジオ装置1の外観は、一般的にかなり大きなものとなるため、写真スタジオ装置1周辺にメンテナンススペースを設けることは困難である。また、小さく解体してメンテナンスを行うことには多大な労力を伴う。そこで、照明用光源に対するメンテナンスは、写真スタジオ装置1内部の撮影空間側から行うことが好ましい。この際、メンテナンス対象の照明用光源に対応する光源拡散部を取り外す必要があるが、光源拡散部が余りに大きいとメンテナンス作業上、支障がある。そこで、取り外し可能な程度に小さく区分された光源拡散部に、充分な強度の補強枠或いは同等の構造が必要となる。また、写真スタジオ装置1を構成する筐体にも、強度保持のため、充分な強度の梁を必要とし、この梁は、拡散面の開口効率の関係上、光源拡散部の補強枠と同一位置に、重なるように配置される。補強枠部分は、照明用光源からの光を透過しないか、透過率が低い部分であるため、この部分に、例えば蛍光灯の発光効率の高い部分が重なると、光線の利用効率が悪くなる。直管蛍光灯の場合、両端部近傍は発光量が低い。同様に、図5に示すような複数のLEDを直線状に配置した照明用光源の場合も、筐体への照明用光源の取り付けの容易さを考えると、やはり両端部近傍は明るさが低下しやすい。そこで、このような直線状の形状を有する照明用光源の両端部に、上記補強枠や梁が重なるようにすれば、効率的に光を利用することができる。
照明用光源の発光効率の高い部分を、拡散面全体に配置すると発光効率は高くなるが、光源拡散部により構成されるメンテナンスドアは、図2及び図3に示すように、鉛直方向の一辺の長さが、直線状の照明用光源の長手方向の長さよりも通常短くなる。また、直管蛍光灯のように、直線状の照明用光源を取り外す場合、長手方向の障害物はできるだけ少ない方がよく、蝶番等の開閉部は、開閉軸が長手方向と平行に配置されることが好ましい。
このような光源拡散部を有する壁面構造の一例として、図6に、図3の左右壁の左上部分に配置された光源ブロックの光源拡散部8cの壁面構造を示す。蛍光灯7h及び光源拡散部8cを有する光源ブロックは、骨格部10により保持され、骨格部10は、例えば、鋼板を板金加工して形成される。光源拡散部8cは、開閉部9e,9f、フレーム81、レンチキュラーシート82及び拡散シート83により構成される。
フレーム81には、蛍光灯7h側にレンチキュラーシート82、撮影空間側に、指向性のない拡散シート83が嵌め込まれ、フレーム81の一辺が、蝶番等の開閉部9e,9fにより骨格部10に結合されることにより、フレーム81が骨格部10に開閉可能に保持され、光源拡散部8cが光源ブロックの扉(メンテナンスドア)として構成される。開閉部9e,9fにより骨格部10に結合されたフレーム81の一辺は、蛍光灯7hの長手方向に平行である。レンチキュラーシート82は、蒲鉾状の細いシリンドリカルレンズが多数、平行に配列されたシートで、これらシリンドリカルレンズの稜谷線が、直管蛍光灯7hの長手方向と平行になるように配置される。レンチキュラーシート82は、稜谷線と直交する方向に強い光拡散効果を有するため、直管蛍光灯7hの光を有効に拡散させることができる。
図2及び図3に示す光源拡散部8a〜8fとして、通常の乳白板を用いてもよいが、光量損失が大きく、余計な光量を必要とする。本実施形態のように、直線状の形状を有する照明用光源を、当該照明用光源の長手方向と平行な方向に稜谷線を有するレンチキュラーシートで覆う構成にすると、効率的に光線を分散し、総光量を保つことができる。なお、レンチキュラーシートの代わりに、特性を調整したプリズムシート、リニアフレネルレンズを用いても、同様の効果が得られる。また、レンチキュラーシートの撮影空間側に、拡散シートを重ねることにより、照明効率を低下させることなく、よりやわらかい発光を実現することができる。
光源ブロックのうち、最も光量が低いのは、蝶番等の開閉部を有する筐体の梁部分近傍である。通常は梁部分の巾は小さく問題となることはないが、蝶番等の開閉部からある程度の距離をおいて、レンチキュラーシート及び拡散シートを配置することにより、光量の均質性を高めることができ、筐体の梁部分を背景として含む撮影であっても、背景の映り込みを弱めることができる。
なお、光源拡散部8a〜8fは取っ手を有することが好ましい。この取っ手は、例えば、留めネジであり、緩めると取っ手となる構造としてもよい。常設の取っ手を取り付ける場合、白色部材又は無色の透過性部材とし、被写体となる子供の手が届かない位置に取り付けるのが好ましい。
図7に、本実施形態における光源拡散部の構成を一般の写真スタジオ装置に応用した例を示す。従来の蛍光灯照明器具は、撮影用の複数の蛍光灯70(少なくとも5本の蛍光灯)が、その長手方向が鉛直方向となるように、互いに平行に配置され、一つの面が開放された筐体11に収められた構成となっている。筐体11は、図7に示すように、これを写真スタジオ装置内の好ましい位置に保持するための保持部12により吊り下げられ、或いは別途保持される。
筐体11の開口部には、光の照射面サイズをより大きく、やわらかい光を得るために、反射板13が適宜配置されている。図7に示す形態の照明の場合、光量を加減する場合は、複数の蛍光灯のうちの一部の蛍光灯を消灯し、光量を落とすことが多い。一部の蛍光灯を消灯すると、その部分の輝度が低くなるため、例えば、ポートレート撮影時のキャッチライトの形態が複雑となり、好ましくない。
本応用例では、図7に示すように、筐体11の開口部に、レンチキュラーシート84が配置され、更に、レンチキュラーシート84の撮影空間側に、指向性のない拡散シート85が配置される。レンチキュラーシート84は、その稜谷線が、蛍光灯70の長手方向と平行になるように配置される。このように、撮影用の複数の蛍光灯70を収めた筐体11の開口部に、レンチキュラーシート84及び拡散シート85を重ねて配置することにより、効果的な拡散光を生成することができる。また、一部の蛍光灯を消灯して光量を加減した場合でも、レンチキュラーシート84の光線拡散効果が有効に機能するため、キャッチライトの形態も好ましい形となる。
図8に、写真スタジオ装置1の制御系の構成を示す。写真スタジオ装置1の制御系は、図8に示すように、指示入力部20、表示部21、記憶部22、光源監視部23、撮影制御部24、給電制御部25、画像処理部26、撮影装置27、電流/光量測定部28により構成される。
指示入力部20は、文字入力キー、テンキー、カーソルキー及び各種機能キーを備えたキー入力装置や、マウス等のポインティングデバイス等を備え、キー入力装置やポインティングデバイスの操作による操作信号を撮影制御部24に出力する。また、指示入力部20がタッチパネルを備える構成としてもよい。この場合、指示入力部20のタッチパネルは、表示部21の表示ディスプレイを覆うように設けられ、電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を位置信号として撮影制御部24に出力する。
表示部21は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等の表示ディスプレイを備え、撮影制御部24から入力される表示制御信号に従って所要の表示処理を行う。
記憶部22は、撮影制御部24により実行される各種制御プログラム、これらの制御プログラムの実行時に使用されるデータを記憶する。例えば、記憶部22は、被写体とともに撮影される撮影アクセサリ毎に、撮影空間内の照度に与える影響度を示す照度影響ポイントと、色温度及び/又はカラーバランスに与える影響度を示す光質影響ポイントを記憶する。また、記憶部22は、撮影装置27により得られた撮影画像を記憶する。
光源監視部23は、電流/光量測定部28から入力された照明用光源の最小単位毎(例えば、蛍光灯1本毎)の電流量又は発光量の測定値を監視し、監視結果を撮影制御部24に出力する。例えば、光源監視部23は、照明用光源の電流量又は発光量の測定値が測定開始時の値から所定値以上変化した場合、或いは、測定値を一定時間毎に比較し、測定回毎の測定値の変動が一定量を超えた場合を、発光状態の異常とみなし、撮影制御部24に通知する。このように、光源監視部23が照明用光源の発光状態を監視することにより、異常が発生した照明用光源を自動的に特定することができる。従って、発光状態を目視で確認する必要がなくなり、撮影時の撮影者の労力を軽減させることができる。
撮影制御部24は、写真スタジオ装置1の各部の動作を制御する。例えば、撮影制御部24は、撮影アクセサリ毎に、特定の撮影空間に対して実際に撮影アクセサリが撮影に及ぼす影響を測定した結果である照度影響ポイントと光質影響ポイントを設定し、記憶部22に記憶する。撮影アクセサリとしては、大型のソファ、じゅうたん、乳幼児の撮影で用いる小型のいす、ボール等がある。撮影アクセサリが光質に影響を及ぼすということは、撮影アクセサリの色によって、撮影空間内の色調が変化することを意味する。例えば、撮影アクセサリが真っ赤なソファである場合、撮影空間内の光が赤味を帯びることで、撮影空間内の色調が変化することを意味する。
実際に被写体を撮影する際、撮影制御部24は、撮影空間に持ち込まれた撮影アクセサリに取り付けられたID情報発信部30から得られた撮影アクセサリ情報に基づいて、当該撮影アクセサリの照度影響ポイントの合算、光質影響ポイントの合算を行い、この合算値に基づいて撮影装置27に対して撮影条件を設定し、更に、画像処理部26に対し、撮影装置27から得られた撮影画像に対する画像処理条件を設定する。
例えば、撮影アクセサリの照度影響ポイントの合算値が大きくなるほど、露出量を増やす方向に撮影装置27の設定を変えたり、同等の効果を有する画像処理条件を設定すればよい。また、撮影アクセサリの光質影響ポイントの合算値が所定値より大きくなった場合、撮影装置27のホワイトバランス(又はグレーバランス)調整を行うようにすればよい。
ID情報発信部30は、例えば、ICタグ等により構成され、図9に示すように、撮影アクセサリ(図9では、ソファ)に取り付けられている。ID情報発信部30は、撮影アクセサリの識別情報を撮影制御部24に送信する。
また、撮影制御部24は、光源監視部23から入力される各照明用光源の発光状態の監視結果から、写真スタジオ装置1の各照明用光源のうち発光状態が不安定な照明用光源を特定し、発光状態が不安定な照明用光源への給電の遮断と、当該照明用光源と配光バランス上対応する照明用光源への給電の遮断を指示する制御信号を給電制御部25に出力する。
例えば、正面壁2の1又は複数の照明用光源(例えば、蛍光灯)が異常と判定された場合、当該照明用光源と左右対称な位置にある正面壁2の照明用光源が消灯される。また、右側壁3の1又は複数の照明用光源が異常と判定された場合、左側壁4の正対する照明用光源(真向かいの照明用光源)が消灯される。天井6の蛍光灯が異常と判定された場合、対応する照明用光源がないため、異常と判定された照明用光源のみが消灯される。この対応関係は、撮影空間の大きさや、撮影空間に配置される照明用光源の総数によっても変化するため、写真スタジオ装置1の設計を変更した場合、この対応関係を新たに作成し直す必要がある。なお、異常光源(異常と判定された照明用光源)、又は異常光源とこれに対応する光源を消灯する手法は、例えば、直線状の形状を有しない光源を用い、光源拡散部に通常の乳白板を用いた場合にも同様に適用できる。直線状の形状を有しない光源としては、電球型蛍光灯、円管型蛍光灯、多数のLEDを均等に配置した光源等を用いることができる。
電流/光量測定部28は、電流計及び/又は測光センサを有する。電流計は、正面壁2、右側壁3、左側壁4及び天井6に配置された各照明用光源の最小単位毎(例えば、蛍光灯1本毎)に電流量を測定し、測定結果を光源監視部23に出力する。測光センサは、正面壁2、右側壁3、左側壁4及び天井6に配置された各照明用光源の最小単位毎(例えば、蛍光灯1本毎)に発光量を測定し、測定結果を光源監視部23に出力する。
図10に、電流/光量測定部28として測光センサを用いた場合の光源監視システムの構成を示す。
測光センサ28aは、照明用光源毎(光源ユニット毎)に設置されており、照明用光源7の発光量の測定結果を光源監視部23に出力する。光源監視部23は、照明用光源7の発光量の測定値が測定開始時から所定値以上変化した場合、或いは、測定回毎の測定値の変動が一定量を超えた場合、照明用光源7の発光状態の異常を撮影制御部24に通知する。給電制御部25は、撮影制御部24から入力された制御信号に従って、給電の遮断を指示する給電制御信号を、発光状態が異常と判断された照明用光源7の遮断回路40に出力する。給電制御信号を受けた遮断回路40は、照明用光源7の点灯回路41に対し、照明用光源7の消灯を指示する。
図11に、電流/光量測定部28として電流計を用いた場合の光源監視システムの構成を示す。
電流計28bは、照明用光源毎(光源ユニット毎)に設置されており、照明用光源7に供給される電流量の測定結果を光源監視部23に出力する。光源監視部23は、照明用光源7に供給される電流量の測定値が測定開始時から所定値以上変化した場合、或いは、測定回毎の測定値の変動が一定量を超えた場合、照明用光源7の発光状態の異常を撮影制御部24に通知する。給電制御部25は、撮影制御部24から入力された制御信号に従って、給電の遮断を指示する給電制御信号を、発光状態が異常と判断された照明用光源7の遮断回路40に出力する。給電制御信号を受けた遮断回路40は、照明用光源7の点灯回路41に対し、照明用光源7の消灯を指示する。
また、撮影制御部24は、写真スタジオ装置1が撮影状態であるか否かに応じて各照明用光源の発光量の調整を給電制御部25に指示する。具体的には、撮影時の調光状態である撮影モードと、非撮影時の調光状態であるプレゼンテーションモードがあり、撮影モードでは発光量をフルパワーとし、プレゼンテーションモードでは、発光量をゼロにはせずに、ある程度の光量を維持できるようにする。ある程度の光量とは、例えば、フルパワーでの発光に移行する際(プレゼンテーションモードから撮影モードへの移行)に、作業上問題とならない時間内で光量が安定するようなパワーである。
図12〜図14に、照明用光源の発光量の調整を行う調光部の構成を示す。
図12は、照明用光源が蛍光灯である場合の調光部を示す。蛍光灯の場合、調光駆動回路31によって、高周波の蛍光灯に供給する電力が発生し、この電流量は、給電制御部25aにより設定された所定値に制御される。
図13は、照明用光源がLEDである場合の調光部を示す。LEDの場合、LEDに流す電流量を制御するための定電流制御回路32を備え、この電流量は、給電制御部25bにより設定された所定値に制御される。
図14は、照明用光源がEL素子である場合の調光部を示す。例えば、直流で発光する有機ELでは、EL素子に印加する電圧を制御する定電圧制御回路33を備え、この電圧は、給電制御部25cにより設定された所定値に制御される。EL素子の場合、高電圧の交流を印加する素子もあり、この場合は、交流の周波数、電圧によって発光量が制御される。
以上のような調光方式を利用することにより、発光量の調整のほか、一時的減光や非発光状態を作り出すことも可能である。
図15に、照明用光源が蛍光灯である場合の、プレゼンテーションモード及び撮影モードにおける発光強度パターンを示す。また、図16に、照明用光源がLEDである場合の、プレゼンテーションモード及び撮影モードにおける発光強度パターンを示す。
照明用光源がLEDの場合、プレゼンテーションモード時に、RGBのLEDを、色づけを目的として効果的に利用することができる。例えば、プレゼンテーションモードにおいて、RGB各々の光源の発光周期を変化させて、白色LEDの発光量を大きく抑制すれば、多彩な光色を得ることができる。
また、LEDは非常に短い時間で発光量を変化させることができるという特性を利用して、図16に示すように、撮影モード時においても、撮影時(シャッターレリーズ時)以外の発光強度を抑制し、撮影時のみLEDを最大強度で発光することで、所要電力量を抑えることができる。撮影者が被写体に対する照明状況を観察する上で最も好ましい照明状態は、撮影に適した明るさよりも暗い場合が多く、撮影モードにおいて、図16に示すような調光制御は大いに有効である。
LEDの発光強度は、発光中の発熱量に制限があるために限界がある。短時間の発光であれば発熱量が瞬間的に増加しても故障の可能性は低く、LEDの発光強度を、連続的に点灯させた場合の限界よりも高くすることができるため、より少ない個数のLEDで、照明用光源を構成することができる。
このように、非撮影時のプレゼンテーションモードにおいて、発光量をゼロにはせずに、ある程度の発光量を維持することにより、写真スタジオ装置1における時間平均消費電力が小さくなるため、撮影空間内の温度上昇が抑えられる。また、蛍光灯の場合、蛍光灯本体の温度は、連続発光状態に近い温度で維持されるため、撮影モードに短時間で移行することができる。更に、照明用光源を常にONとすることにより、顧客受け入れ姿勢を店外にアピールする広告機能を果たすことができる。特に、図15及び図16に示すように、プレゼンテーションモードにおいて発光量を時系列的に変化させることにより、光のプレゼンテーション能力を高めることができる。
図8に戻り、給電制御部25は、撮影制御部24から入力された制御信号に従って、正面壁2、右側壁3、左側壁4及び天井6に配置された各照明用光源の電源ユニットに供給する電力を制御する。
画像処理部26は、撮影制御部24により設定された画像処理条件(図18のトーンカーブ)に基づいて、撮影画像に対して画像調整処理を施し、出力する。
撮影装置27は、デジタルカメラ等であり、撮影制御部24により設定された撮影条件に基づいて被写体を撮影し、撮影により得られた画像(撮影画像)を撮影制御部24に出力する。
次に、本実施形態における動作について説明する。
図17を参照して、本実施形態における動作として、写真スタジオ装置1における制御動作の流れについて説明する。
写真スタジオ装置1の電源が投入されると、まず、プレゼンテーションモードでの給電制御が開始され(ステップS1)、撮影指示の待機状態となる(ステップS2)。撮影装置27又は指示入力部20により撮影開始が指示されると(ステップS2;YES)、撮影モードでの給電制御が開始される(ステップS3)。
次いで、光源監視部23から、光源情報として、正面壁2、右側壁3、左側壁4及び天井6に配置された各照明用光源の電流量又は発光量の測定結果が入力され(ステップS4)、各照明用光源の発光状態に異常があるか否かが判定される(ステップS5)。ステップS5において、各照明用光源の発光状態が正常であると判定された場合(ステップS5;NO)、後述するステップS9に移行する。
ステップS5において、各照明用光源の発光状態に異常があると判定された場合(ステップS5;YES)、異常と判定された照明用光源への給電が遮断されるとともに(ステップS6)、当該照明用光源と配光バランス上対応する照明用光源への給電が遮断される(ステップS7)。
次いで、ステップS6及びS7で給電が遮断されることによって撮影空間の全体の光量が低下した分の露出量を補正するための第1の露出補正情報が生成される(ステップS8)。ステップS5において、各照明用光源の発光状態が正常であると判定された場合(ステップS5;NO)又はステップS8で第1の露出補正情報が生成されると、撮影空間に持ち込まれた撮影アクセサリに取り付けられたID情報発信部30から、撮影アクセサリ情報が取得される(ステップS9)。
次いで、ステップS9で取得された撮影アクセサリ情報の撮影への影響度として、照度影響ポイント及び光質影響ポイントが記憶部22から取得され、取得された照度影響ポイントの合算、光質影響ポイントの合算が行われる(ステップS10)。次いで、撮影空間に持ち込まれた撮影アクセサリの影響が大きいか否か、即ち、ステップS10で算出された照度影響ポイントの合算値、光質影響ポイントの合算値が予め設定された値より大きいか否かが判定される(ステップS11)。
ステップS11において、撮影アクセサリの影響が大きいと判定された場合(ステップS11;YES)、撮影空間に持ち込まれた撮影アクセサリの撮影への影響を補正する情報である第2の露出補正情報が生成される(ステップS12)。第2の露出補正情報は、具体的には、撮影アクセサリの影響によって撮影空間の光量の変化を補正するための露出補正量と、光の色調の変化を補正するための色調補正量を含む。
第1の露出補正情報及び第2の露出補正情報のうち、撮影空間全体の光量を補正するための露出補正量は、一般に写真で用いられる露光量測定単位であるEv値の変化量として表せばよく、この場合、補正量の加算(後のステップS13参照)は、単純な加算処理でよい。
色調補正量については、その色調補正量が、写真撮影時に用いる色調調整フィルタのうち、どの種類の色調調整フィルタの調整量に相当するかを予め求めておき、求められた色調調整フィルタの強度指標を第2の露出補正情報として用いればよい。色調調整フィルタには種々のものがあるが、撮影時の光質指標として用いる場合、光の相対色温度(即ち、青味、赤味の調整を行う)を補正するLB(ライト・バランシング)フィルタと、相対色温度方向と直交する(即ち、マゼンタ味、グリーン味の調整を行う)CC(カラー・コンペンセイティング)フィルタとがあり、それぞれ、補正無しが0、補正が強くなるにしたがって大きな数値が付加されるので、付加される数値を補正量として用いればよい。例えば、若干のグリーン味を補正するときには、グリーンの反対色であるマゼンタ方向に色調を調整するCC5Mフィルタを用い、より強いグリーン味を補正するときには、より強い色調調整力を有するCC10Mフィルタを用いることが考えられ、この場合の数値5や数値10が補正量となる。これらの補正量には、例えば以下のように符号が定義されており、補正量の加算処理は、それぞれの軸で独立に行われる。
LB(青味方向への調整):+の値;
LB(赤味方向への調整):−の値;
CC(マゼンタ方向への補正):+の値;
CC(グリーン方向への補正):−の値.
LBやCCの補正量の値は、撮影画像情報を元に推定してもよいが、両値を測定する測定器であるカラーメータが一般に市販されており、これらで予め測定すればよい。
ステップS11において撮影アクセサリの影響が大きくないと判定された場合(ステップS11;NO)又はステップS12で第2の露出補正情報が生成されたら、第1の露出補正情報及び/又は第2の補正露出情報に基づいて、撮影空間の露出調整及び色調調整に必要な補正情報が決定される(ステップS13)。第1の露出補正情報及び第2の露出補正情報が生成された場合、ステップS13では、第1の露出補正情報と第2の露出補正情報を加算し、加算結果が補正情報として決定される。第1の露出補正情報と第2の露出補正情報の何れか一方が生成された場合、ステップS13では、生成された露出補正情報が選択され、選択結果が補正情報として決定される。
次いで、ステップS13で決定された補正情報が、撮影装置27に対する機器調整分と、撮影画像(撮影により得られた画像)に対する画像処理調整分に分割される(ステップS14)。一般に、撮影装置のシャッタースピードや絞りは、ある程度の最小単位(例えば、スチルカメラで一般的に用いられるEv値で、1、1/2或いは1/3単位)での調整(大まかな調整)が可能である。一方、非常に微妙な調整が要求される撮影では、例えば、1/10Ev単位での露光量調整が必要となる場合がある。ステップS14では、撮影装置27のシャッタースピードや絞りによる機械的調整(大まかな調整)を表す補正情報が、機器調整分の補正情報として決定され、微小な調整を表す補正情報は、撮影画像に対する画像処理調整分の補正情報として決定される。
画像処理調整分の補正情報は、撮影画像に対する画像処理条件を選択することによって決定される。図18に、撮影画像を入力信号値としたトーンカーブを示す。カラー画像の場合、RGBの各々についてトーンカーブが定義されている。実際には、撮影画像を明るく調整するトーンカーブと、暗く調整するトーンカーブは、各々複数用意されており、それら複数のトーンカーブの中から、必要な露出補正に最も近いトーンカーブが画像処理条件として選択される。例えば、撮影画像を明るくする場合、露出補正量で1/10Ev、2/10Ev、3/10Evの各々の補正量に相当するトーンカーブ(凸のカーブ)が用意されており、これらのトーンカーブのうち、必要な露出補正に最も近いトーンカーブが、画像処理条件として選択される。また、撮影画像を暗くする場合は、明るくする場合と同様に、凹のトーンカーブが複数用意される。なお、画像処理条件としてのトーンカーブを撮影者又は画像調整処理を行うオペレータが選択するようにしてもよい。
ステップS14において、補正情報が機器調整分と画像処理調整分に分割されると、機器調整指示が表示部21に表示され、図示しないスピーカから当該機器調整指示を示す音声案内メッセージが出力される(ステップS15)。また、このとき。機器調整分の補正情報が撮影条件として撮影装置27に設定される(ステップS16)。
次いで、撮影装置27により被写体(例えば、乳幼児)の撮影が行われ、撮影画像が取得され(ステップS17)、取得された撮影画像が記憶部22に保存される(ステップS18)。ここで、撮影装置27又は指示入力部20により撮影終了が指示されると(ステップS19;YES)次ステップに移行し、終了指示が無ければ(ステップS19;NO)、ステップS17に戻り、撮影、撮影画像取得、撮影画像保存が繰り返される。
撮影終了が指示されると(ステップS19;YES)、ステップS14で得られた画像処理調整分の補正情報に基づいて、撮影画像に対して画像調整処理が施され(ステップS20)、画像調整処理結果が出力される(ステップS21)。画像調整処理結果が出力されると、プレゼンテーションモードでの給電制御に戻り(ステップS22)、次の撮影指示まで待機状態となる。
このように、撮影空間の露光補正量及び色調補正量に基づいて、撮影装置27に対する機械的調整によって大まかな調整を行い、撮影画像に対する画像処理調整によって微調整を行うことにより、容易に画質調整ができるとともに、高画質の画像を得ることができる。
なお、図17のフローチャートでは、撮影空間に持ち込まれた撮影アクセサリの撮影への影響を補正する補正情報(撮影装置27に対する撮影条件と、撮影画像に対する画像処理条件)を決定する場合を示したが、取得された照度影響ポイント及び光質影響ポイントに応じて、撮影空間に持ち込む撮影アクセサリを加減すると、露出や色調の調整が不要となる。
例えば、撮影空間に現在置かれている撮影アクセサリによって、色温度が低い方向にシフトした場合、撮影空間に、色温度が高くなるような撮影アクセサリを新たに持ち込むことによって、色温度の影響を相殺することができる。即ち、光質影響ポイントの総和が0になるように、撮影空間に持ち込む撮影アクセサリを加減すれば、光質の調整は不要となる。
また、図17のフローチャートでは、撮影アクセサリに取り付けられたID情報発信部30から撮影アクセサリ情報を自動的に取得するようにしたが、撮影者が目視で撮影アクセサリを確認して、対応する照度影響ポイント及び光質影響ポイントを取得するようにしてもよい。
また、図17のフローチャートでは、ID情報発信部30から取得された撮影アクセサリ情報に基づいて撮影空間の露出調整を行う場合を示したが、写真スタジオ装置1に、照度センサや光質センサを設け、撮影空間の照度、光質を自動的に検知し、検知結果に基づいて露出調整を行うようにしてもよい。この場合においても、撮影空間内の照度の変動に応じて、撮影装置27のシャッタースピードや絞りを調整し、露出調整を促すメッセージを表示部21に表示したり、図示しないスピーカから該当する音声案内メッセージを出力すればよい。また、撮影空間内の光質の変動に応じて、撮影装置27のホワイトバランス(又はグレーバランス)の調整を促すメッセージを表示部21に表示したり、図示しないスピーカから該当する音声案内メッセージを出力すればよい。
以上のように、本実施形態の写真スタジオ装置1によれば、複数の照明用光源のうち、発光状態が不安定な照明用光源への給電を遮断するため、写真スタジオ装置全体の照度に大きな影響を与えず、安定した光量を持続させることができる。また、一つの照明用光源の発光状態が不安定になっても、撮影作業を中断する必要がなく、撮影作業の円滑化を図ることができる。
また、発光状態が不安定になった照明用光源とともに、配光バランス上、当該照明用光源に対応する他の照明用光源への給電を遮断することにより、写真スタジオ装置1における照明効果の大幅な変化を防止することができる。
更に、光源拡散部に、レンチキュラーシートを用いることによって、直線状の形状を有する照明用光源からの光を効果的に拡散させることができる。また、給電を遮断した箇所が見えにくく、より良好な撮影結果が得られる。更に、レンチキュラーシートが有する稜谷線構造が、指向性のない拡散シートによって隠されるため、光源拡散部を背景とした撮影状態でも、より自然な背景を有する撮影画像を得ることができる。
本発明の実施形態に係る写真スタジオ装置の概略構成図。 出入り口用の開口部を有する正面壁における照明用光源の配置例を示す図。 左側壁及び右側壁における照明用光源の配置例を示す図。 天井における照明用光源の配置例を示す図。 照明用光源としてLEDを用いたときの配置例を示す図。 開閉部を有する壁面構造を示す図。 本実施形態における光源拡散部の構成を一般の写真スタジオ装置に応用した例を示す図。 本実施形態の写真スタジオ装置の制御系のブロック図。 撮影アクセサリの一例とID情報発信部を示す図。 測光センサを用いた光源監視システムの構成を示すブロック図。 電流計を用いた光源監視システムの構成を示すブロック図。 蛍光灯を照明用光源とした場合の調光部のブロック図。 LEDを照明用光源とした場合の調光部のブロック図。 EL素子を照明用光源とした場合の調光部のブロック図。 蛍光灯を照明用光源とした場合の発光強度パターンを示す図。 LEDを照明用光源とした場合の発光強度パターンを示す図。 写真スタジオ装置における制御動作の流れを示すフローチャート。 画像調整処理時に適用されるトーンカーブを示す図。
符号の説明
1 写真スタジオ装置
2 正面壁
3 右側壁
4 左側壁
5 後部壁
6 天井
7、70 照明用光源
7a〜7n、71〜75 直管蛍光灯
8a〜8f 光源拡散部
9a〜9l 開閉部
10 骨格部
11 筐体
12 保持部
13 反射板
20 指示入力部
21 表示部
22 記憶部
23 光源監視部
24 撮影制御部
25、25a〜25c 給電制御部
26 画像処理部
27 撮影装置
28 電流/光量測定部
28a 測光センサ
28b 電流計
30 ID情報発信部
31 調光駆動回路
32 定電流制御回路
33 定電圧制御回路
40 遮断回路
41 点灯回路

Claims (6)

  1. 被写体を、少なくとも右側壁、左側壁、後部壁、出入り口用の開口部を有する正面壁で囲む撮影空間により構成される写真スタジオ装置であって、
    前記右側壁、前記左側壁及び前記正面壁には、各々の壁面につき、少なくとも5つの照明用光源が配置され、
    前記右側壁、前記左側壁及び前記正面壁の各々の照明用光源を覆うように、照明用光源からの光を拡散させる光源拡散部が配置され、
    前記各々の壁面に配置された照明用光源の発光状態を監視する監視手段と、
    前記監視手段により、前記照明用光源のうち何れか一つの発光状態が不安定と判断された場合、当該発光状態が不安定な照明用光源への給電を遮断する遮断手段と、
    を備えることを特徴とする写真スタジオ装置。
  2. 前記遮断手段は、前記発光状態が不安定な照明用光源とともに、配光バランス上、当該照明用光源に対応する他の照明用光源への給電を遮断することを特徴とする請求項1に記載の写真スタジオ装置。
  3. 前記照明用光源は直線状の形状を有し、
    前記光源拡散部は、前記照明用光源の長手方向と平行な方向に稜谷線を有するレンチキュラーシートを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の写真スタジオ装置。
  4. 前記レンチキュラーシートの撮影空間側に、指向性のない拡散シートが重ねられていることを特徴とする請求項3に記載の写真スタジオ装置。
  5. 直線状の形状を有する少なくとも5つの照明用光源が、一つの面が開口部となる筐体内に平行に配置され、
    前記筐体の開口部に、前記照明用光源からの光を拡散させる光源拡散部として、当該照明用光源の長手方向と平行な方向に稜谷線を有するレンチキュラーシートが配置されることを特徴とする写真スタジオ光源装置。
  6. 前記照明用光源の発光状態を監視する監視手段と、
    前記監視手段により、前記照明用光源のうち何れか一つの発光状態が不安定と判断された場合、当該発光状態が不安定な照明用光源への給電を遮断する遮断手段と、
    を備えることを特徴とする請求項5に記載の写真スタジオ光源装置。
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