JP2006317748A - 静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】 低エネルギーで水系媒体中に高分子量の重縮合した樹脂粒子が安定かつ均一に分散された静電荷現像トナー用樹脂粒子分散液、及びこれを利用して、トナー特性を十分満足した静電荷現像トナーを提供することである。
【解決手段】 重縮合性単量体を含む単量体を水系媒体中で混合して乳化または分散した後、該単量体を重縮合して得られる樹脂粒子が分散してなる静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液であって、前記樹脂粒子が、高分子酸を含む静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法または静電記録法等により形成される静電荷像を現像剤により現像する際に用いられる静電荷現像用トナー及びその原材料として用いられる静電荷現像用トナー用樹脂粒子分散液に関する。
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法に置いては帯電、露光工程により感光体上に静電荷像を形成し、静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」という場合がある)を含む現像剤で静電潜像を現像し、転写、定着工程を経て可視化される。ここで用いられる現像剤には、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とがあるが、そのトナーの製法は通常、熱可塑性樹脂を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤とともに溶融混練し、冷却後、微粉砕し、さらに分級する混練粉砕製法が使用されている。これらトナーには、必要であれば流動性やクリーニング性を改善するための無機、有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することもある。
近年、カラー電子写真法による複写機、プリンタ、またそれらやファクシミリなどの複合機などの普及が著しいが、カラー画像再現における適度な光沢及び優れたOHP画像を得るための透明性を実現する場合、ワックスなどの離型剤を用いることが一般的に難しい。このため、剥離補助のために定着ロールに多量のオイルを付与することとなるためOHPを含む複写画像のべたつき感やペンなどよる画像への追記が困難となり、また不均一な光沢感を生じることも多い。通常の白黒コピーでは、一般的に使用されるポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンなどのワックスは、OHP透明性を損なうために使用することがより困難である。
また、たとえ透明性を犠牲にしたとしても、従来の混練粉砕法によるトナー製造方法では、表面へのトナー露出を抑制することが困難であるために、現像剤として使用する際、著しい流動性の悪化や、現像機、感光体へのフィルミングなどの問題を招く。
これらの問題の根本的な改善方法として、樹脂の原料となる単量体と着色剤とからなる油相を水相中に分散し、直接重合してトナーとする方法により、これらワックスをトナー内部に内包して表面への露出を制御する重合法による製造方法が提案されている。
また、意図的なトナー形状及び表面構造の制御を可能とする手段として、乳化重合凝集法によるトナーの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらは、一般に乳化重合などにより樹脂分散液を作成し、一方溶媒に着色剤を分散した着色剤分散液を作成し、混合し、トナー粒径に相当する凝集体を形成し、加熱することによって融合合一しトナーとする製造方法である。
これらの製法はワックスの内包を実現するばかりでなく、トナーの小径化を容易とし、より高解像かつ鮮明な画像再現を可能とするものであるが、上記のように電子写真プロセスにおいて高品位な画像を提供し、かつ様々な機械的ストレス下でトナーが安定した性能を維持するには、顔料、離型剤選択、量の最適化、表面への離型剤の露出を抑制するとともに、樹脂特性の最適化により光沢と定着オイルがない状態での離型性改善、ホットオフセット抑制がきわめて重要である。
一方、エネルギー消費量を少なくするため、より低温で定着しうる技術が望まれ、特に近年では、省エネルギー化を徹底するために、使用時以外は定着器への通電を停止するといったことが望まれている。従って、定着器の定着部材の温度は、通電するとともに瞬時に使用温度にまで高められる必要がある。そのためには、定着部材の熱容量をできるだけ小さくするのが望ましいが、その場合、定着部材の温度の振れ幅が従来以上に大きくなる傾向にある。即ち、通電開始後の温度のオーバーシュートが大きくなり、他方、通紙による温度低下も大きくなる。また、定着部材の幅より幅の小さい紙を連続して通紙した場合には、その通紙部と非通紙部との温度差も大きくなる。特に、高速の複写機やプリンタに用いた場合、電源容量が不足しがちなこともあり、上記のような現象を生ずる傾向が強い。従って、低温で定着し、より高温領域までオフセットが発生しない、いわゆる定着ラチチュードの広い電子写真用トナーが強く要求されている。
トナーの定着温度を低くする手段としては、トナーを構成する結着樹脂として、温度に対してシャープな溶融挙動を示す重縮合により得られる結晶性樹脂(以下、重縮合により得られる樹脂を「重縮合型樹脂」という場合がある)を用いることが知られているが、結晶性樹脂は、溶融混練粉砕法では粉砕が困難で一般に使用することができないことが多い。また、重縮合型樹脂の重合には、200℃を越す高温下で大動力による攪拌下、かつ高減圧下で10時間以上の時間に及ぶ反応が必要であり、大量のエネルギー消費を招く。またそのために反応設備の耐久性を得るために膨大な設備投資を必要とする場合が多い。
一方、上記のように乳化重合凝集法によるトナー作製を実施する場合は、重縮合型の結晶性樹脂を重合した後に、水中に乳化し、ラテックスとした状態で顔料やワックスなどと凝集した後、融合合一することができる。しかしながら、重縮合樹脂の乳化の際には150℃を超えるような高熱下での高せん断によって乳化するか、溶剤に溶解して低粘度化した溶液を水中に分散した後に溶剤を除くなどの極めて非効率かつエネルギー消費の大きな工程を必要とする。
ところで、スカンジウムなどの希土類元素からなる重合触媒により、100℃以下の温度において重合が可能である事ことが見出されている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、新規な重合触媒により重合されたポリエステルは、その触媒ケミストリー、メカニズム、副反応、残留触媒影響など現在活発に検討されているものの、いかなる特徴を制御すれば実用に供するか技術検討は十分でない。当然ながらこの樹脂を用いたトナー用樹脂への応用においてもまだまだ検討が充分なされていない。
さらにまた、水系媒体でポリエステルの重縮合が可能であるといった報告がなされている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、その技術においては重合メカニズムに不明な点が多く、また高分子量ポリマーを得ることが困難であるなど工業的実用化には未だ至ってない。当然ながら、このポリエステルの重合技術のトナーへの応用に関しても充分な検討はまったくなされておらず、単に上記方法を適用したとしても充分なトナーとしての帯電特性、環境安定性、画質特性を得ることは到底できない。
このように、重縮合型樹脂を本質的に低環境負荷で作製する技術、水中で作製した重縮合型樹脂をトナー用樹脂に適応させた技術は存在しない。また、特に重縮合型樹脂は水中への乳化の際に加水分解などの問題を回避することが困難であり、高分子量化が困難であるだけでなく、材料設計において不確定な要因の発生が不可避であった。
さらにまた、近年のユーザーにおけるプリント、コピーなどのアウトプットにおける高画質要求に対応するべく、トナーの小粒子径化の課題に対して製造エネルギー、コストの点から低エネルギーで重縮合性樹脂を用いたトナーを作製する課題に関してもなんら解を与えるものはない。
特開昭63−282752号 特開平6−250439号 Macromolecules, 2003,36,1772−1774 USP4355154
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、本発明は、低エネルギーで水系媒体中に高分子量の重縮合した樹脂粒子が安定かつ均一に分散された静電荷現像トナー用樹脂粒子分散液を提供することを目的とする。また、これを利用して、トナー特性を十分満足した静電荷現像トナーを提供することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 重縮合性単量体を含む単量体を水系媒体中で混合して乳化または分散した後、該単量体を重縮合して得られる樹脂粒子が分散してなる静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液であって、
前記樹脂粒子が、高分子酸を含む静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液である。
<2> 前記高分子酸の酸価が、20〜300mgKOH/gの範囲である<1>に記載の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液である。
<3> 前記高分子酸の数平均分子量が、5000〜100000の範囲である<1>または<2>に記載の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液である。
<4> 前記高分子酸の主鎖を構成する重合体の溶解性パラメータが、9〜15(MJ/m31/2の範囲である<1>〜<3>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液である。
<5> 前記樹脂粒子の体積平均粒径が、0.05〜2μmの範囲である<1>〜<4>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液である。
<6> 前記重縮合性単量体が、多価カルボン酸及び多価アルコールを含む<1>〜<5>のいずれかに記載の静電荷現像用トナー用樹脂粒子分散液である。
<7> 前記樹脂粒子が結晶性樹脂を含み、融点が50℃以上120℃未満である<1>〜<6>のいずれかに記載の静電荷現像用トナー用樹脂粒子分散液である。
<8> 前記重縮合に用いられる触媒として、界面活性効果を有する酸を含む<1>〜<7>のいずれかに記載の静電荷現像用トナー用樹脂粒子分散液である。
<9> 前記重縮合に用いられる触媒として、希土類元素を含む金属触媒を含む<1>〜<8>のいずれかに記載の静電荷現像用トナー用樹脂粒子分散液である。
<10> 前記重縮合に用いられる触媒として、加水分解酵素を含む<1>〜<9>のいずれかに記載の静電荷現像用トナー用樹脂粒子分散液である。
<11> 樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液及び着色剤粒子を分散させてなる着色剤分散液を混合して凝集粒子を形成し、該凝集粒子を加熱して融合させてなる静電荷像現像用トナーであって、
前記樹脂粒子分散液として、<1>〜<10>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液を用いた静電荷像現像用トナーである。
本発明によれば、上記の構成を採用することにより、重縮合型樹脂を原料とするトナーを効率的に製造可能とするばかりでなく、トナーの定着性能等を飛躍的に高めることができる。
以下、本発明を詳細に説明する.
<静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液>
本発明の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液は、重縮合性単量体を含む単量体を水系媒体中で混合して乳化または分散した後、該単量体を重縮合して得られる樹脂粒子が分散してなる静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液(以下、単に「樹脂粒子分散液」という場合がある)であって、前記樹脂粒子が、高分子酸を含むことを特徴とする。
通常重縮合型樹脂の合成においては、重合時に脱水を伴うために原理的に水中では重合は進行しない。しかしながら、水中にミセルを形成せしめるような界面活性剤とともに重縮合性単量体を水中に乳化または分散せしめた場合、重縮合性単量体がミセル中のミクロな疎水場に置かれることによって、脱水作用が生じ、生成した水はミセル外の水中に排出せしめ重合を進行させることができる。
また、低温で触媒活性を有する希土類含有触媒や加水分解酵素を用いることによって、100℃以下の常圧水中で乳化状態で重縮合を生じさせることができる。さらに、ドデシルベンゼンスルホン酸を例とするような界面活性効果を有する強酸を使用することによって、上記のような低温活性触媒を使用せずとも乳化機能と触媒機能をあわせもつ系で常圧水中における重縮合を達成することもできる。
しかしながら、重縮合時に作用する前記各種触媒は一般的に低分子であり、しかも界面活性効果を有するものであるため、触媒は水系媒体と重縮合性単量体を含む油層(油滴)との界面に集中し、重合は該界面においてのみ行なわれることとなる。このため、重合の効率が悪いだけでなく、前記のように水系媒体との界面付近では重縮合型樹脂の加水分解も起こりやすいため、後述するようなトナー用樹脂として必要とされる高分子量の樹脂が得られにくい。
本発明者等は、上記問題に対し、重合触媒として高分子酸を用いることが有効であることを見出した。すなわち、ある程度疎水性を有する高分子鎖に酸性基が結合した高分子酸を重合触媒として用いた場合、重合反応系において触媒としての高分子酸が重合性単量体の油層と水系媒体との界面のみでなく、油層中にも存在することとなる。また、上記高分子酸では、親水性と疎水性とのバランスが取れるため、油層中に均一に介在することとなる。
このため、乳化または分散粒子の内部からも均一に重合反応を進行させることができ、従来に比べ高分子量の重縮合型樹脂を効率よく得ることができることがわかった。また、このようにして得られた樹脂粒子を用いて作製された静電荷像現像用トナーは、結着樹脂内部での分子間の凝集度を高めることができる結果、トナーの機械的強度が増し、定着時における耐オフセット性や定着強度を高めることができる。
なお、本発明の樹脂粒子分散液においては、樹脂粒子が高分子酸を含んでいればよく、水系媒体中にも高分子酸が含まれていてもよい。
(高分子酸)
本発明における高分子酸とは、側鎖として有機酸もしくは無機酸を担持し、主鎖の分子量が1万以上であるものをいう。また、高分子とは有機及び無機を含めたものを意味し、骨格となる主鎖が炭化水素を主成分として形成される高分子化合物であることが好ましい。また、高分子酸の「高分子」とは、重合体や分子量分布を有する有機化合物を指し、特定の分子量規定したものではない。
側鎖に含まれる酸としては、硫酸、ホスホン酸(亜リン酸)、ホウ酸、シアン化物、炭酸、炭酸水素、チオシアン酸、チオ硫酸、亜硫酸、亜硫酸水素、硝酸、シアン酸、リン酸、リン酸水素、メタレート(例えば、モリブデン酸、タングステン酸、メタバナジン酸、ピロバナジン酸、水素ピロバナジン酸、ニオブ酸、タンタル酸、過レニウム酸等)、テトラフルオロアルミン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラクロロアルミン酸、スルホン酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)アミド、(CF3SO23C−等が挙げられる。
上記の酸の中では、ポリエステルとの相溶性、入手性の点から、ポリスチレンスルホン酸が好ましく用いられる。
本発明における高分子酸においては、これらを単独あるいは複数含んでもよい。高分子中にこれらを一種または二種以上存在してもよい。
これらの酸を担持する高分子としては、特に制限はないが、ラジカル重合性単量体等の付加重合モノマーの重合体が挙げられる。
前記ラジカル重合性単量体としては、ビニル系単量体、オレフィン系単量体などを好ましく用いることができる。
前記ビニル系単量体としては具体的には、例えば、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン等のビニル芳香族類;(メタ)アクリル酸(なお、ここで「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味するものとし、以下も同様とする。)、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;(メタ)アクリルアルデヒド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の不飽和カルボン酸誘導体類;N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物類;N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールマレインアミド酸、N−メチロールマレインアミド酸エステル、N−メチロールマレイミド、N−エチロールマレイミド等のN−置換不飽和アミド類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルシクロヘキサン等の多官能ビニル化合物類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート類;等が挙げられる。
なお、これらの中で、N−置換不飽和アミド類、共役ジエン類、多官能ビニル化合物類、及び多官能アクリレート類等は、生成された重合体に架橋反応を生起させることもできる。
前記オレフィン系単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。また、ジオレフィン系単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどが挙げられる。
これらの中で好適に使用されるものとしては、芳香族付加モノマー、たとえば、スチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
上記単量体を重合した重合体は、高分子酸の主鎖
を構成するが、本発明においては、該主鎖部分の溶解性パラメータ(SP値)が9〜15(MJ/m31/2の範囲であることが好ましく、9.5〜11(MJ/m31/2の範囲であることがより好ましい。
SP値が9〜15(MJ/m31/2の範囲にないと、酸基による親水性と、主鎖による疎水性とのバランスが悪くなり、単量体の油層中に高分子酸が均一に分散されなくなる場合がある。
ここで、前記SP値(溶解性パラメーター/Solubility Parameter)について説明する。
SP値とは、溶解性パラメーターと言われるもので、どれだけ互いが溶けやすいかということを数値化したものである。このSP値は、互いの分子間の引き合う力、すなわち凝集エネルギー密度CED(Cohesive Energy Density)の平方根で表される。なお、CEDとは、1mlのものを蒸発させるのに要するエネルギー量である。
具体的には、本発明におけるSP値の計算は、下記式(1)を用いて行うことができる。
SP値(溶解パラメーター)=(CED値)1/2=(E/V)1/2 ・・・ 式(1)
上記式(1)において、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)、Vは分子容(cm3/mol)であり、蒸発エネルギーをei、モル体積をviとしたとき、各々下式(2)、(3)で表される。
E=Σei ・・・ 式(2)
V=Σvi ・・・ 式(3)
SP値の計算方法は諸説あるが、本発明においては一般的に用いられているFedorsの方法を用いた。本計算方法、各原子団の蒸発エネルギーei及びモル体積viの諸データは、「接着の基礎理論」(井本稔著、高分子刊行会発行、第5章)を参考文献としてが用いた。また、−CF3基等示されていないものに関しては、R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.14,147(1974)を参照した。
なお、ここで単位に(cal)を用いたのは、一般の書籍等に記されている文献値の殆どが(cal)単位での表示であるため敢えて用いた。実際SI単位としてのJ(ジュール)への換算は、1cal=4.18605Jの換算式を用いた。
本発明における高分子酸としては、上記単量体の重合体の主鎖に、側鎖として前記酸を酸基とした結合させたものが用いられるが、その態様としては、重合後の高分子に酸を反応により結合させてもよいし、予め単量体の段階で酸基を有する構造としたものを重合させてもよい。
また、高分子酸としては、酸基を有する単量体と酸基を有しない単量体とのランダム、ブロックなどの共重合体などとして用いてもよい。
具体的には、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル安息香酸、ポリ無水マレイン酸、ポリビニルフェノール等、あるいはこれらに類する共重合体等が挙げられる。
このようにして得られた本発明における高分子酸の数平均分子量は、5000〜100000の範囲であることが好ましく、8000〜100000の範囲であることがより好ましい。数平均分子量が5000に満たないと、高分子鎖としての疎水性が充分でなく、高分子酸が油層である乳化粒子内部に入り込まなくなる場合がある。一方、100000を超えると、モノマーへの相溶性に障害となる場合がある。
なお、上記分子量の測定法については後述する。
また、本発明における高分子酸の酸価は20〜300mgKOH/gの範囲であることが好ましく、100〜250mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。
酸価が20mgKOH/gに満たないと、重縮合性単量体の重合が効率的に行われない場合がある。一方、300mgKOH/gを超えると、重縮合反応が進まない場合がある。
酸価の測定は、常法にしたがって行なうことができるが、例えば、次のように行なうことができる。まず、サンプルである高分子酸1gを100mLの三角フラスコに秤量し、アセトン:トルエン=1:1の混合溶媒約50mLを加え、高分子酸を溶解する。溶解性が悪いようであれば粉砕した高分子酸を用いてもよい。次に、1%のフェノールフタレーンの混合指示薬を用い、あらかじめ標定された0.1mol/Lの水酸化カリウム−アルコール溶液で滴定し、水酸化カリウム−アルコール溶液の消費量から下式(4)に基づいて酸価を求める。
酸価=KOH(mL)×N×56.11/試料重量(g)・・・式(4)
但し、式(4)中、Nは、N/10KOHのファクターを意味する。
まず、本発明の樹脂粒子分散液を得るためのプロセスについて概略を説明する。
本発明の樹脂粒子分散液の製造では、水中で単量体を重縮合する工程が含まれる。この場合、予め単量体を機械的な強せん断力、超音波などを用いて、必要により少量の界面活性剤、共界面活性剤、重合開始剤などを溶解した水系媒体中に分散した後、加熱し、重合を行う。また、必要に応じ、事前に単量体を他の媒体に溶解せしめ、更に必要であれば、界面活性剤、共界面活性剤等を溶解した油相を形成し、上記と同様の手法で、水系媒体中に分散し、重合を行う。
この場合の重合方法としては、水系媒体中での粒子の重合方法として一般的な、懸濁重合法、ミニエマルジョン法、マイクロエマルジョン法、ミクロエマルジョン法、多段膨潤法やシード重合を含む乳化重合法、ウレタン等の樹脂を用いた伸長反応法など通常の水系媒体中での不均一系重合形態を利用することが可能である。これらの重合方法の中で、均一な粒子径を得、粒子径分布が揃いやすいという点から、マイクロエマルジョン法、ミニエマルジョン重合法、ミクロエマルジョン法が好ましく用いられ、最も好適にはミニエマルジョン重合法が選択される。
(重縮合性単量体)
本発明に用いることができる重縮合性単量体は、特に限定されず、上述した各種重合法に用いられるものであれば、限定されない。
本発明に用いることができる重縮合性単量体としては、特に限定はなく、脂肪族、脂環族、芳香族の多価カルボン酸、それらのアルキルエステルと多価アルコール、それらのエステル化合物、多価アミンなどを用いたものが挙げられ、それらを用いて直接エステル化反応、エステル交換反応などにより重合を行うことができる。
前記多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマール酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸等を挙げることができる。
また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
本発明において、重縮合によりポリエステルを製造する場合には、上記の多価カルボン酸のうち、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、 1,12−ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等を用いることが好ましい。これらの多価カルボン酸は水に難溶あるいは不溶であるため、多価カルボン酸が水に分散した油滴中で重縮合反応が進行する。
本発明に用いる重縮合性単量体としての多価アルコールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のポリオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等を挙げることができる。
また、2価のポリオール以外のポリオールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等を挙げることができる。
本発明において、重縮合によりポリエステルを製造する場合には、上記のポリオールのうち、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の2価のポリオールを用いることが好ましい。
これらのポリオールは水に難溶あるいは不溶であるため、ポリオールが水に分散した懸濁液中で重縮合反応が進行する。
また、一分子中にカルボン酸と水酸基を含羞する物質を使用し、重縮合を実施することもできる。例えば、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシノナン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシドデカン酸、ヒドロキシテトラデカン酸、ヒドロキシトリデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸、ヒドロキシペンタデカン酸、ヒドロキシステアリン酸等を挙げることができるが、これらに限定されない。
これらの重縮合性単量体の組み合わせにより、非結晶樹脂や結晶性樹脂(重縮合樹脂)を容易に得ることができる。これらとしては、結晶性ポリエステルまたは結晶性ポリアミドが好ましく、結晶性ポリエステルがさらに好ましい。
結晶性ポリエステルを得るために使用されるジオールとしては、好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4,ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA等も挙げることができる。
また、結晶性ポリアミドを得るために使用されるジアミンとしては、好ましくはエチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,4−ブテンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメタチルアミン等を挙げることができる。
結晶性ポリエステルや結晶性ポリアミドを得るために使用されるジカルボン酸としては、好ましくはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコ酸、イタコン酸、グルタコ酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物あるいは酸塩化物を挙げることができる。
特に好ましい結晶性樹脂としては、1、9−ノナンジオールと1,10−デカメチレンカルボン酸、またはシクロヘキサンジオールとアジピン酸とを反応して得られるポリエステル、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、1,4−ブタンジオールとコハク酸とを反応して得られるポリエステルを挙げることができる。
これらの中でも特に1、9−ノナンジオールと1,10−デカメチレンカルボン酸及び1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応させて得られるポリエステルがさらに好ましい。
前記のように、本発明においては重合触媒として高分子酸を使用する。高分子酸の添加量としては、重合性単量体に対して500〜20000ppmの割合で1種類または複数添加することができる。
また、さらに重縮合を短時間で効果的に進行させるために、高分子酸に加えて、下記の低温重合触媒と併用することで、さらに重合の速度をあげることができる。これらの触媒は、脱水重縮合の進行を早めるだけでなく、到達する分子量を増加させる効果もみられることが多く、より汎用性の高い樹脂分散液を得ることができる。
前記低温重合触媒としては、界面活性剤型触媒と金属触媒、加水分解酵素型触媒等を挙げることができる。
界面活性剤型触媒としては、界面活性効果を有する酸を例示でき、例えばドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、ケリルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸、などのアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルジスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルテトラリンスルホン酸、アルキルアリルスルホン酸、石油スルホン酸、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸、高級アルコールエーテルスルホン酸、アルキルジフェニルスルホン酸、モノブチルフェニルフェノール硫酸、ジブチルフェニルフェノール硫酸、ドデシル硫酸などの高級脂肪酸硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、高級アルコールエーテル硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキロール硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキル化硫酸エステル、ナフテニルアルコール硫酸、硫酸化脂肪、スルホ琥珀酸エステル、各種脂肪酸、スルホン化高級脂肪酸、高級アルキルリン酸エステル、ナフテン酸、ニオブ酸、およびこれらすべての塩化合物、例えば、次に記す希土類金属との塩化合物などが使用できるが、これに限定されない。これらは、必要に応じて複数を組み合わせても良い。
これらのうち、好ましく使用される界面活性効果を有する酸としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸等を挙げることができる。
前記金属触媒としては以下のものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。例えば、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物、希土類金属を含む触媒を好ましく挙げることができる。
希土類含有金属触媒としては、ランタノイド元素として、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などを含むものが有効である。これらは、特にアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、トリフラート構造を有するものが有効である。
前記金属トリフラートとしては、構造式では、X(OSO2CF33Xで示される化合物が好ましい。なお前記式中、Xは希土類元素であり、これらの中でも、前記金属トリフラートとしては、Xがスカンジウム(Sc),イットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),サマリウム(Sm)などであることがさらに好ましい。
また、希土類含有金属触媒としては、ランタノイドトリフラートなども好ましい。ランタノイドトリフラートについては、有機合成化学協会誌、第53巻第5号、p44−54)に詳しい。
前記加水分解酵素型触媒(加水分解酵素)としては、エステル合成反応を触媒するものであれば特に制限はない。
加水分解酵素としては、例えば、カルボキシエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、ペクチンエステラーゼ、コレステロールエステラーゼ、タンナーゼ、モノアシルグリセロールリパーゼ、ラクトナーゼ、リポプロテインリパーゼ等のEC(酵素番号)3.1群(丸尾・田宮監修「酵素ハンドブック」朝倉書店 (1982) 等参照)に分類されるエステラーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、キシロシダーゼ等のグリコシル化合物に作用するEC3.2群に分類される加水分解酵素、エポキシドヒドラーゼ等のEC3.3群に分類される加水分解酵素、アミノペプチダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、プラスミン、ズブチリシン等のペプチド結合に作用するEC3.4群に分類される加水分解酵素、フロレチンヒドラーゼ等のEC3.7群に分類される加水分解酵素等を挙げることができる。
上記のエステラーゼのうち、グリセロールエステルを加水分解し脂肪酸を遊離する酵素を特にリパーゼと呼ぶが、リパーゼは有機溶媒中での安定性が高く、収率良くエステル合成反応を触媒し、さらに安価に入手できることなどの利点がある。したがって、本発明における重縮合型樹脂の製造においても、収率やコストの面からリパーゼを用いることが望ましい。
上記リパーゼには種々の起源のものを使用できるが、好ましいものとして、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、カンジダ(Candida)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、リゾプス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor)属等の微生物から得られるリパーゼ、植物種子から得られるリパーゼ、動物組織から得られるリパーゼ、さらに、パンクレアチン、ステアプシン等を挙げることができる。このうち、シュードモナス属、カンジダ属、アスペルギルス属の微生物由来のリパーゼを用いることが望ましい。
これら触媒作用を有する化合物は、単独でも、複数組み合わせて用いることができる。
このときの、前記各触媒の添加量としては、重縮合性単量体に対して1〜10000ppmの割合で1種類または複数添加することができる。
次に、本発明の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液を製造する方法について説明する。
本発明の樹脂粒子分散液の製造は、樹脂粒子原料として、重縮合性単量体を含む単量体を水系媒体中で混合し乳化または分散させる乳化または分散工程と、これらの単量体の重合反応を行い樹脂粒子を形成する重合工程と、を経て行われる。
前記乳化または分散工程においては、水系媒体中での重合に際し、重合前の単量体成分に加え、後述する着色剤、離型剤等を予め混合しておくことも可能である。こうすることにより、着色剤や離型剤(ワックス)を取り込んだ形で樹脂粒子を作製することが可能となる。
また、乳化または分散工程においては、重縮合性単量体を含有する油相の平均粒子径を特定の範囲に保つために、共界面活性剤を併用することができる。この共界面活性剤は、所謂ミニエマルジョン重合において、オストワルト熟成を減少させるために添加される。
本発明においては、前記混合した単量体に対し共界面活性剤の含有量を0.1〜40質量%の範囲とすることが好ましく、0.1〜30質量%の範囲とすることがより好ましく、0.1〜20質量%の範囲とすることがさらに好ましい。共界面活性剤の含有量が0.1質量%を下回ると、分散液への共界面活性剤配合効果が低減し、分散液中の安定性が保持できず、分散滴径が時間の経過に伴い変化する結果、ラテックス粒子径が大きくなり、その粒子径分布が広くなるばかりか、重合が十分に進まず、得られる樹脂分子量が低くなったり、樹脂分子量分布が広くなってしまう場合がある。また、含有量が40質量%を超えると、分散液中の粘度の制御が困難になったり、単量体の重合機構に影響を与え、目的とする単量体の重縮合やその他の重合が十分に進行しない場合がある。更には、該粒子分散液を使用して製造したトナーにおいて、その定着性や帯電性に悪影響を与えることがある。
共界面活性剤としては、一般にミニエマルジョン法の共界面活性剤として公知のものを使用できる。例えば、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の炭素数8〜30のアルカン類;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数8〜30のアルキルアルコール類;ラウリルメルカプタン、セチルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等の炭素数8〜30のアルキルチオール類;及び、その他、アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類とこれらのポリマー、ポリスチレン、ポリエステル等のポリマー又はポリアダクト類、カルボン酸類、ケトン類、アミン類等が挙げられるが、これらに限定されない。
前記アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル類としては、アクリル酸、又はメタクリル酸とエステル結合を有するアルキル基の炭素数が5以上であることが好ましい。例えば、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル等を例示することができるが、これに限定されない。また、これらのポリマーの単独重合体、または、これらを含む共重合体も挙げることができるが、これに限定はされない。またこれらのポリマーの重量平均分子量は100000未満であることが好ましい。
共界面活性剤がポリエステルである場合は、一般的に使用されるポリエステルを使用することができるが、好ましくは、炭素数がそれぞれ3個以上のアルコールと多価カルボン酸の縮合物が使用できる。またこの場合の分子量は、重量平均分子量2000〜100000の範囲であることが好ましい。
また、共界面活性剤がポリスチレンの場合は、重量平均分子量が100000以下であることが好ましい。
以上に例示した共界面活性剤のうち、好ましく使用されるものとしては、ヘキサデカン、セチルアルコール、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル 、ポリエステル、ポリスチレンである。特に、揮発性有機物質の発生を回避する目的では、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル 、ポリエステル、ポリスチレンがさらに好ましい。
また、上記共界面活性剤として使用できる、重合体、重合体を含む組成物には、例えば他の単量体との共重合体、ブロック共重合体、混合物等を含むことができる。また、複数の共界面活性剤を併用することもできる。
本発明においては、樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の体積平均粒径は0.05〜2.0μmの範囲であることが好ましく、0.1〜1.5μmの範囲がより好ましく、0.1〜1.0μmの範囲がさらに好ましい。そして上記粒径の樹脂粒子を得るためには、前記混合した単量体を上記粒径範囲となるように分散することが好ましい。
粒子径が小さすぎると粒子化の際の凝集性が悪化し、遊離の樹脂粒子の発生が生じやすく、また系の粘度も上昇しやすくなって粒径の制御が困難になる。大きすぎると、粒子化の際、粗粉の発生が生じやすくなり粒度分布が悪化するとともにワックスなどの離型剤が遊離しやすくなるために、定着時の剥離性やオフセットの発生温度が低下したりする。
また、樹脂粒子分散液中においては、超微粉や超粗粉の発生がないことも重要であり、体積平均粒径が0.01〜5.0μmの範囲の粒子の比率は10個数%以下であることが望ましく、5個数%以下であることがさらに望ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)を用いて測定することができる。
また、乳化・分散工程においては、微粒子エマルジョンを形成することとなるが、微粒子エマルジョンをなすには、例えば、共界面活性剤を加えた単量体溶液と、界面活性剤の水溶液とを、ピストンホモジナイザー、マイクロ流動化装置(例えば、マイクロフルー、ディックス社製「マイクロフルーダイザー」)、超音波分散機等の剪断混合装置によって均一に混合し、乳化させることができる。その際、水に対する単量体の仕込み量は、水との合計量に対して0.1〜50質量%程度とし、界面活性剤の使用量は、形成されるエマルジョンの存在下において臨界ミセル濃度(CMC)未満とすることが好ましく、また共界面活性剤の使用量は、単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部の範囲、更に好ましくは0.1〜10質量部の範囲とする。
なお、臨界ミセル濃度(CMC)未満の界面活性剤量及び共界面活性剤の併用による単量体エマルジョンの重合開始剤の存在下での該単量体の重合は、例えば、P.L.Tang,E.D.Sudol,C.A.Silebi,M.S.El−Aasser;J.Appl.Polym.Sci.,第43巻,1059頁(1991)等に記載されている、所謂“ミニエマルジョン重合”として知られており、臨界ミセル濃度(CMC)以上の界面活性剤量の存在下での、数μ程度の粒径の単量体粒子の水性エマルジョンを水溶性重合開始剤を用いて重合させる従来の乳化重合が、界面活性剤ミセル内で重合を開始し、単量体粒子からの単量体の拡散による供給を受けて重合体粒子が成長し形成されるのに対して、“ミニエマルジョン重合”では、単量体微粒子内で単量体が重合することから均一な重合体微粒子が形成され、また更に、本発明のようなポリエステル/ビニル複合重合体の“ミニエマルジョン重合”では、重合過程において単量体の拡散が不要なことから、ポリエステルはそのまま重合体微粒子内に存在し得る利点を有する。
また、例えば、J.S.Guo,M.S.El−Aasser,J.W.Vanderhoff;J.Polym.Sci.:Polym.Chem.Ed.,第27巻,691頁(1989)等に記載されている、粒子径5〜50nmの微粒子の所謂“マイクロエマルジョン重合”は、本発明における“ミニエマルジョン重合”と同様の分散構造及び重合機構を有するものであるが、“マイクロエマルジョン重合”では、臨界ミセル濃度(CMC)以上の界面活性剤を多量に使用するものであり、得られる重合体微粒子中に多量の界面活性剤が混入するとか、或いは、その除去のために水洗浄、酸洗浄、或いはアルカリ洗浄等の工程に多大な時間を要する等の問題が存在する。
本発明における重合工程は、上記のようにして乳化または分散させた単量体粒子の分散液に対し、加熱を行うことにより実施する。
なお、前記のように本発明における重縮合は従来より低温で行うことが可能であり、重合温度は60〜95℃の範囲で行うことが好ましい。
重縮合性単量体を重合して得られる樹脂粒子の重量平均分子量は、1500〜60000の範囲であることが好ましく、3000〜40000の範囲であることがより好ましい。重量平均分子量が1500を下回ると、トナーとした場合結着樹脂の凝集力が低下しやすくなり耐オフセット性が低下する場合がある。60000を超えると、耐オフセット性は良いものの最低定着温度が上昇する場合がある。
なお、樹脂粒子中では単量体のカルボン酸価数、アルコール価数などの選択により、一部枝分かれや架橋などを有していても良い。
また、樹脂粒子が結晶性樹脂を含む場合は、樹脂粒子の融点は50℃以上120℃未満であること、特に55〜90℃の範囲であることが好ましい。用いる結晶性樹脂の融点が50℃未満の場合には得られるトナーの耐ブロッキング性が不良となり、また120℃を超える場合にはトナーの低温における溶融流動性が低下して定着性が悪くなるおそれがある。
樹脂粒子が非晶性の場合には、樹脂粒子のガラス転移点Tgは50〜80℃、好ましくは50〜65℃の範囲が適当である。Tgが50℃を下回ると、高温度域での結着樹脂自体の凝集力が低下するため、定着の際にホットオフセットが生じやすくなり、80℃を超えると十分な溶融が得られず、最低定着温度が上昇する。
この樹脂粒子の融点、Tgの測定には、示差走査熱量測定法(DSC)に従い、例えば「DSC50」(島津製作所製)によって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度をTgとし、吸熱ピークの頂点の温度を融点とした。
ここで、樹脂における結晶性の有無については、上記方法により測定された熱吸収曲線が JIS K7121:87の融解温度の定義に従い、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と融解ピーク(吸熱ピーク)の低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点(融解開始温度)と高温側のベースラインを低温側に延長した直線と融解ピーク(吸熱ピーク)の高温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点(融解終了温度)の温度差が50℃以内であって、その曲線の形態が同じくJIS K7121:87で示される階段状形状を示さない場合を結晶性を有すると判断した。
<静電荷像現像用トナー>
本発明の静電荷像現像用トナーは、上記本発明の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液中の樹脂粒子を、少なくとも着色剤粒子(着色剤が前記重合工程において樹脂中に予め添加されている場合は、それ自体が着色粒子)と共に凝集(会合)させ、この凝集粒子を融合させることにより作製することができる。
好適には、乳化重合凝集法におけるトナー粒子の調製が用いられる。詳細には、本発明により調製した樹脂粒子分散液を、着色剤粒子分散液及び離型剤粒子分散液と混合し、さらに凝集剤を添加しヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成し、その後、樹脂粒子のガラス転移点以上または融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合・合一し、洗浄、乾燥することにより得られる。この製法では、加熱温度条件を選択することでトナー形状を不定形から球形まで制御できる。
前記凝集工程においては、本発明以外の方法で作製された樹脂粒子分散液(例えば、通常の乳化重合法)と本発明により作製された樹脂粒子分散液とを混合し、凝集以降の工程を実施することも可能である。その際、本発明における樹脂粒子を予め凝集し第一の凝集粒子形成後、さらに本発明の樹脂粒子分散液または別の樹脂粒子分散液等を添加し第一の粒子表面に第2のシェル層を形成する等、粒子を多層化することも可能である。また、当然前記例と逆の順序で多層粒子を作製することも可能である。
なお、前記別の樹脂粒子分散液等としては、前記高分子酸で説明した各種ラジカル重合性の単量体を重合して得られる樹脂粒子や各種ワックスも併せて用いることができる。
凝集剤としては、界面活性剤のほか、無機塩、2価以上の金属塩を好適に用いることができる。特に、金属塩を用いる場合、凝集性制御およびトナー帯電性などの特性において好ましい。凝集に用いる金属塩化合物としては、一般の無機金属化合物又はその重合体を樹脂粒子分散液中に溶解して得られるが、無機金属塩を構成する金属元素は周期律表(長周期律表)における2A、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B族に属する2価以上の電荷を有するものであり、樹脂粒子の凝集系においてイオンの形で溶解するものであればよい。
好ましい無機金属塩を具体的に挙げると、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシム等の無機金属塩重合体などである。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。一般的に、よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価以上で、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方がより適している。
本発明のトナーに用いる着色剤としては、例えば黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等を挙げることができる。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG 、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等を挙げることができる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン3B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等を挙げることができる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどを挙げることができる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB 、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を挙げることができる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等をあげることができる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。
また、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等があげられる。
また、これらの着色剤は単独もしくは混合して使用される。これらの着色剤は、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等を用いて着色剤粒子の分散液を調製することができる。また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散することもできる。
前記着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。
そして、着色剤は、トナー構成固体分総質量に対して、4〜15質量%の範囲で添加することができる。なお、前記の着色剤の配合量は、定着時の発色性を確保するための必要量である。
また、トナー中の着色剤粒子の中心径(体積平均粒子径)は100〜330nmの範囲にすることにより、OHP透明性及び発色性を確保することができる。
また、磁性トナーとして用いる場合は、磁性粉を含有させても良い。具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、もしくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。
水相中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12〜240質量%の範囲で添加することができる。
本発明においては、必要に応じて、本発明の結果に影響を与えない範囲で公知の添加剤を、1種または複数を組み合わせて配合することができる。例えば、難燃剤、難燃助剤、光沢剤、防水剤、撥水剤、無機充填剤(表面改質剤)、離型剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤、分散剤、滑剤、充填剤、体質顔料、結着剤、帯電制御剤、抗菌剤等である。これらの添加物は、塗布剤を製造するいずれにおいても配合することができる。
内添剤としては、帯電制御剤として4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することもできるが、製造時の安定性と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
離型剤の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類やエステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス及びそれらの変性物が使用できる。
これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化し、1ミクロン以下の粒子の分散液を作製することができる。
これらの離型剤は、トナー構成固体分総量に対して5〜25質量%の範囲で添加することが好ましい。
難燃剤、難燃助剤としては、すでに汎用されている臭素系難燃剤や、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ポリリン酸アンモニウムを例示できるがこれに限定されるものではない。
また通常のトナーと同様に乾燥後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂粒子を乾燥状態でせん断をかけて表面へ添加して流動性助剤やクリーニング助剤として用いることもできる。
なお、例えば顔料の分散、樹脂粒子の分散、離型剤の分散、凝集、凝集粒子の安定化などに界面活性剤を用いることができる。具体的には硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的であり、分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものを使用できる。
凝集粒子の融合・合一工程を終了した後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
前記方法により得られる本発明の静電荷現像用トナーの体積平均粒径D50vは3.0〜9.0μmの範囲、好ましくは3.0〜5.0μmの範囲が適当である。D50vが3.0μmを下回ると、付着力が高くなり、現像性が低下することがある。また、9.0μmを超えると画像の解像性が低下することがある。
また、得られるトナーの体積平均粒度分布指標GSDvは1.30以下であることが好ましい。GSDvが1.3を超えると解像性が低下し、トナー飛散やカブリ等の画像欠陥の原因となることがある。
ここで、体積平均粒径D50や平均粒度分布指標は、コールターカウンターTAII(ベックマン−コールター社製)で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、累積50%となる粒径を体積D50v、累積84%となる粒径を体積D84vと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16V1/2として算出される。
得られたトナーの形状係数SF1は、画像形成性の点より100〜140の範囲、好ましくは110〜135の範囲が適当である。形状係数SF1は次のようにして求められる。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーについて絶対最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、(ML2/A)×(100π/4)を求めこれを平均したものをトナーの形状係数SF1とした。
また、本発明のトナーには、流動性付与やクリーニング性向上の目的で通常のトナーと同様に乾燥した後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂粒子を乾燥状態でせん断をかけながらトナー粒子表面に添加して使用することができる。
また、水系媒体中にてトナー表面に付着せしめる場合、無機粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど通常トナー表面の外添剤として使うすべてのものをイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散することにより使用することができる。
以上説明した本発明の静電荷現像用トナーは、静電荷現像剤として使用される。この現像剤は、この静電荷像現像用トナーを含有することの外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷像現像用トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
キャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアを使用することができる。
なお、静電荷像現像剤における、トナーと、キャリアとの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記静電荷現像剤(静電荷現像用トナー)は、通常の静電荷現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用することができる。上記画像形成方法は、具体的には、例えば、静電潜像形成工程、トナー画像形成工程、転写工程、定着工程及びクリーニング工程を含む。前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、下記の実施例及び比較例によって本発明が限定されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
<各種特性の測定方法>
まず、実施例、比較例で用いたトナー等の物性測定方法について説明する。
(トナー粒度及び粒度分布測定方法)
本発明におけるトナー粒度及び粒度分布測定は、測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加える。これを前記電解液100〜150ml中に添加した。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2〜60μmの粒子の粒度分布を測定して、前述のようにして体積平均粒径、GSDvを求めた。測定する粒子数は50000であった。
(高分子酸・樹脂の分子量、分子量分布測定方法)
本発明における重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnの値は、下記の測定法によって求めたものである。すなわち、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって、以下に記す条件で重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを測定した。
温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料質量として3mg注入し測定を行った。試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作製された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択する。
なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、重量平均分子量Mw=28.8×104、数平均分子量Mn=13.7×104となることにより確認することができる。また、用いるGPCのカラムとしては、前記条件を満足するものであるならばいかなるカラムを採用してもよい。具体的には、例えばTSK−GEL、GMH(東ソー社製)等を用いることができる。また、溶媒および測定温度は記載した条件に限定されるものではなく適当な条件に変更してもよい。
(樹脂粒子、着色剤粒子等の体積平均粒径)
樹脂粒子、着色剤粒子等の体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)で測定した。
(樹脂の融点、ガラス転移温度の測定方法)
非晶性樹脂のガラス転移点(Tg)及び結晶性樹脂の融点(Tm)は、示差走査熱量計(島津製作所製:DSC50)を用い、室温から150℃まで昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移点は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とし、融点は吸熱ピークの頂点の温度とした。
点(Tg)を示した。
<樹脂粒子分散液の作製>
下記のようにして、樹脂粒子分散液(1)〜(9)を作製した。なお、樹脂粒子分散液(1)〜(6)が本発明の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液である。
(樹脂粒子分散液(1))
・ドデシルベンゼンスルホン酸 36部
・イオン交換水 1000部
上記を混合して均一液を調製した。
・1,9−ノナンジオール 80部
・1,10−デカメチレンジカルボン酸 115部
・ポリスチレンスルホン酸(数平均分子量:75000、酸価:180mgKOH/g、主鎖部のSP値:10.55(MJ/m31/2) 3部
上記を混合し、140℃に加熱し融解し5分保持後、上記のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で5分間乳化した後、さらに超音波バス中で5分乳化後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で80℃に維持し、10時間保持した。
これにより、粒子の体積平均粒径が600nm、融点が69℃、重量平均分子量が8000、固形分量が18%の結晶性ポリエステル粒子が分散した樹脂粒子分散液(1)を得た。
(樹脂粒子分散液(2))
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 36部
・イオン交換水 1000部
上記を混合して均一液を調製した。
・1,6−ヘキサンジオール 59部
・セバシン酸 101部
・ポリスチレンスルホン酸(数平均分子量:75000、酸価:180mgKOH/g、主鎖部のSP値:10.55(MJ/m31/2) 3部
上記を混合し、140℃に加熱し融解し5分保持後、上記のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で5分間乳化した後、さらに超音波バス中で5分乳化後乳化物を攪拌しながらフラスコ中で90℃に維持し、10時間保持した。
これにより、粒子の体積平均粒径が400nm、融点が71℃、重量平均分子量が5950、固形分量が16%の結晶性ポリエステル粒子が分散した樹脂粒子分散液(2)を得た。
(樹脂粒子分散液(3))
・ドデシルベンゼンスルホン酸スカンジウム 36部
・イオン交換水 1000部
上記を混合して均一液を調製した。
・1,9−ノナンジオール 80部
・1,10−デカメチレンジカルボン酸 115部
・ポリスチレンスルホン酸(数平均分子量:75000、酸価:180mgKOH/g、主鎖部のSP値:10.55(MJ/m31/2) 3部
上記を混合し、140℃に加熱し融解し5分保持した後、上記のドデシルベンゼンスルホン酸スカンジウム水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で5分間乳化した後、さらに超音波バス中で5分乳化後乳化物を攪拌しながらフラスコ中で80℃に維持し、10時間保持した。
これにより、粒子の体積平均粒径が480nm、融点が66℃、重量平均分子量が8000、固形分量が18%の結晶ポリエステル粒子が分散した樹脂粒子分散液(3)を得た。
(樹脂粒子分散液(4))
・ドデシルベンゼンスルホン酸 12部
・イオン交換水 1000部
上記を混合して均一液を調製した。
・リパーゼ(シュードモナス属由来) 50部
・1,9−ノナンジオール 80部
・1,10−デカメチレンジカルボン酸 115部
・ポリスチレンスルホン酸(数平均分子量:75000、酸価:180mgKOH/g、主鎖部のSP値:10.55MJ/m31/2) 3部
上記を混合し、120℃に加熱し融解した後、上記のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で5分間乳化した後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で80℃に維持し、15時間保持した。
これにより、粒子の体積平均粒径が800nm、融点が67℃、重量平均分子量が5500、固形分量が20%の結晶ポリエステル粒子が分散した樹脂粒子分散液(4)を得た。
(樹脂粒子分散液(5))
・ドデシルベンゼンスルホン酸 18部
・イオン交換水 1000部
上記を混合して均一液を調製した。
・1,9−ノナンジオール 80部
・1,10−デカメチレンジカルボン酸 115部
・ポリスチレンスルホン酸(数平均分子量:70000、酸価:210mgKOH/g、主鎖部のSP値:10.60(MJ/m31/2) 3部
上記を混合し、120℃に加熱し融解した後5分保持し、上記のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で50秒間乳化した後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で60℃に維持し、10時間保持した。
これにより、粒子の体積平均粒径が2100nm、融点が70℃、重量平均分子量が6700、固形分量が18%の結晶ポリエステル粒子が分散した樹脂粒子分散液(5)を得た。
(樹脂粒子分散液(6))
・ドデシルベンゼンスルホン酸 36部
・イオン交換水 1000部
上記を混合して均一液を調製した。
・1,4−ブタンジオール 45部
・アゼライン酸 94部
・ポリスチレンスルホン酸(数平均分子量:70000、酸価:210mgKOH/g、主鎖部のSP値:10.60(MJ/m31/2) 3部
上記を混合し、140℃に加熱し融解した後5分保持し、上記のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で5分間乳化した後、さらに超音波バス中で5分乳化後乳化物を攪拌しながらフラスコ中で70℃に維持し、10時間保持した。
これにより、粒子の体積平均粒径が180nm、融点が47℃、重量平均分子量が7500、固形分量が15%の結晶ポリエステル粒子が分散した樹脂粒子分散液(6)を得た。
(樹脂粒子分散液(7))
・スチレン 460部
・nブチルアクリレート 140部
・アクリル酸 12部
・ドデカンチオール 9部
前記成分を混合溶解して溶液を調製した。
他方、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)12部をイオン交換水250部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した(単量体乳化液A)。さらに、同じくアニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)1部を555部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。次いで、重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと攪拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウオーターバスで加熱し、保持した。
過硫酸アンモニウム9部をイオン交換水43部に溶解し、これを前記重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aをやはり定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、ゆっくりと攪拌を続けながら重合用フラスコを75℃に加熱し、3時間保持して重合を終了した。
これにより、粒子の体積平均粒径が230nm、ガラス転移点が53.5℃、重量平均分子量が36000、固形分量が42%のアニオン性の樹脂粒子分散液(7)を得た。
(樹脂粒子分散液(8))
・ドデシルベンゼンスルホン酸 36部
・イオン交換水 1000部
上記を混合して均一液を調製した。
・1,9−ノナンジオール 80部
・1,10−デカメチレンジカルボン酸 115部
・98%硫酸 1部
上記を混合し、140℃に加熱し融解し5分保持後、上記のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で5分間乳化した後、さらに超音波バス中で5分乳化後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で80℃に維持し、10時間保持した。
これにより、粒子の体積平均粒径が2.10nm、融点が45℃、重量平均分子量が 3000、固形分量が20%の結晶性ポリエステル粒子が分散した樹脂粒子分散液(8)を得た。
(樹脂粒子分散液(9))
・ドデシルベンゼンスルホン酸 36部
・イオン交換水 1000部
上記を混合して均一液を調製した。
・1,9−ノナンジオール 80部
・1,10−デカメチレンジカルボン酸 115部
・p−トルエンスルホン酸 1部
上記を混合し、140℃に加熱し融解し5分保持後、上記のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で5分間乳化した後、さらに超音波バス中で5分乳化後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で80℃に維持し、10時間保持した。
これにより、粒子の体積平均粒径が0.18nm、融点が50℃、重量平均分子量が2500、固形分量が18%の結晶性ポリエステル粒子が分散した樹脂粒子分散液(9)を得た。
<着色剤分散液の調製>
(着色剤分散液(1))
・黄色顔料(大日精化社製、C.I.ピグメントイエロー74 ) 50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンR) 5部
・イオン交換水 200部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)により5分間、超音波バスにより10分間分散し、体積平均粒径が240nm、固形分量が21.5%のイエロー着色剤分散液(1)を得た。
(着色剤粒子分散液(2))
着色剤分散液(1)の調製において、黄色顔料の代わりにシアン顔料(大日精化社製、銅フタロシアニン;C.I.ピグメントブルー15:3)を用いた以外は同様に調製して、体積平均粒径が190nm、固形分量が21.5%のシアン着色剤分散液(2)を得た。
(着色剤分散液(3))
着色剤分散液(1)の調製において、黄色顔料の代わりにマゼンタ顔料(大日インキ化学社製、C.I.ピグメントレッド122)を用いた以外は同様に調製して、体積平均粒径が165nm、固形分量が21.5%のマゼンタ着色剤粒子分散液(3)を得た。
(着色剤分散液(4))
着色剤分散液(1)の調製において、黄色顔料の代わりに黒顔料(キャボット製、カーボンブラック)を用いた以外は同様に調製して、体積平均粒径が170nm、固形分量が21.5%のブラック着色剤粒子分散液(4)を得た。
<離型剤分散液の調製>
・パラフィンワックス(日本精蝋社製、HNP9、融点:70℃) 50部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、ダウファクス) 5部
・イオン交換水 200部
前記成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で分散処理し、体積平均粒径が180nm、固形分量が21.5%の離型剤粒子分散液を得た。
<実施例1>
(トナー粒子の作製)
・樹脂粒子分散液(1) 233部(樹脂分として42部)
・樹脂粒子分散液(7) 50部(樹脂分として21部)
・着色剤分散液(1) 40部(顔料分として8.5部)
・離型剤分散液 40部(離型剤分として8.6部)
・ポリ塩化アルミニウム 0.15部
・イオン交換水 300部
前記成分を丸型ステンレス製フラスコ中に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(1)を50部(樹脂分として9部)追加して緩やかに攪拌した。その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、攪拌を継続しながら95℃まで加熱した。
95℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならないように保持した。反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、300rpmで15分間攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子を得た。
このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径D50vが4.7μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.23であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は130でありポテト形状であった。
(トナー、現像剤の調製)
上記のトナー粒子50部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.2部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナーを得た。
そして、ポリメチルメタアクリレート(綜研化学社製)を1%被覆した体積平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間攪拌・混合して現像剤を調製した。
(トナーの評価)
−最低定着温度−
上記現像剤を使用し、富士ゼロックス社製のDocuCenterColor500の定着器の温度を変更できるようにした改造機において、転写用紙として富士ゼロックス社製Jコート紙を使用し、プロセススピードを180mm/secに調整してトナーの定着性を調べた。具体的には、定着設定温度を85〜200℃の範囲内で5℃ずつ段階的に高くして画像形成を繰り返し、形成された定着画像に対して布摺擦を施し、十分な耐摺擦性を示す定着画像となる最低の設定温度をもって最低定着温度とした。
なお、定着ロールは表層がPFAチューブであり、定着器はオイルレス仕様のものである。
−オフセット発生温度−
オフセット発生温度の測定は、最低定着温度の測定に準ずるが、上記画像形成装置にて、画像の進行方向の先端部分にのみ画像部分を有するチャートで各設定温度ごとの画像形成を繰り返し、画像の白紙部分に先端部分の画像のオフセットによる汚れが生ずるか否かを目視観察して、トナーによる汚れの生じた最低の設定温度をもってオフセット発生温度とした。なお、200℃においてもホットオフセットが発生しないものは200以上とした。
−画質−
画質特性は細線を定着した画質の細線再現性と非定着部分のかぶり(目視)をルーペで測定し、以下のように判定した。
・細線にむらがなく、かぶりもまったくない・・・◎
・画質を注意深く観察した場合に、わずかなむらやかぶりが見られる・・・○
・画質にわずかにむらがある・・・△
・画質にむらがある・・・×
結果をまとめて表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(2)を(配合部数は表1のように変更)、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(2)を用い、 95℃加熱時のpHを5.0に維持した以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の体積平均粒径D50vは4.8μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.20であった。また形状係数SF1は125とやや球状となった。
このトナー粒子を用いて、実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1において、樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(3)を(配合部数は表1のように変更)、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の体積平均粒径D50vは5.30μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.20、形状係数SF1は119で球状であった。
このトナー粒子を用いて、実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例1において、樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(4)を(配合部数は表1のように変更)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の体積平均粒径D50vは4.10μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.21、形状係数SF1は125でやや球状であった。
このトナー粒子を用いて、実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
実施例1において、樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(5)を(配合部数は表1のように変更)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の体積平均粒径D50vは6.10μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.20、形状係数SF1は120でポテト状であった。
このトナー粒子を用いて、実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
実施例1において、樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(6)を(配合部数は表1のように変更)、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の体積平均粒径D50vは5.7μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.29、形状係数SF1は130で球状であった。
このトナー粒子を用いて、実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1において、樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(8)を(配合部数は表1のように変更)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の体積平均粒径D50vは6.0μm、体積平均粒度分布指標GSDvが2.5、形状係数SF1は117でたまご状であった。
このトナー粒子を用いて、実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例1において、樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(9)を(配合部数は表1のように変更)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の体積平均粒径D50vは6.5μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.8、形状係数SF1は140で不定形状であった。
このトナー粒子を用いて、実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006317748
以上の結果より、実施例に示した本発明の樹脂粒子分散液では、乳化粒子状態から粒子中に重合触媒として高分子酸が含まれるため、従来より高分子量の重縮合型樹脂の樹脂粒子が得られている。そして、その樹脂粒子分散液を用いて作製されるトナーでは、低温定着性と耐オフセット性の両立が図られ、高画質な画像を提供できることがわかった。一方、比較例の樹脂粒子分散液では、十分な分子量の樹脂粒子が得られず、トナーの定着特性や画質に劣るものであった。

Claims (11)

  1. 重縮合性単量体を含む単量体を水系媒体中で混合して乳化または分散した後、該単量体を重縮合して得られる樹脂粒子が分散してなる静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液であって、
    前記樹脂粒子が、高分子酸を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液。
  2. 前記高分子酸の酸価が、20〜300mgKOH/gの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液。
  3. 前記高分子酸の数平均分子量が、5000〜100000の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液。
  4. 前記高分子酸の主鎖を構成する重合体の溶解性パラメータが、9〜15(MJ/m31/2の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液。
  5. 前記樹脂粒子の体積平均粒径が、0.05〜2μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液。
  6. 前記重縮合性単量体が、多価カルボン酸及び多価アルコールを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナー用樹脂粒子分散液。
  7. 前記樹脂粒子が結晶性樹脂を含み、融点が50℃以上120℃未満であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナー用樹脂粒子分散液。
  8. 前記重縮合に用いられる触媒として、界面活性効果を有する酸を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナー用樹脂粒子分散液。
  9. 前記重縮合に用いられる触媒として、希土類元素を含む金属触媒を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナー用樹脂粒子分散液。
  10. 前記重縮合に用いられる触媒として、加水分解酵素を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナー用樹脂粒子分散液。
  11. 樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液及び着色剤粒子を分散させてなる着色剤分散液を混合して凝集粒子を形成し、該凝集粒子を加熱して融合させてなる静電荷像現像用トナーであって、
    前記樹脂粒子分散液として、請求項1〜10のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー用樹脂粒子分散液を用いたことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
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JP2010061036A (ja) * 2008-09-05 2010-03-18 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、画像形成方法および画像形成装置

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