JP2006317374A - 質量流量計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被測定物が流れる管路11のループ部11aを、Y軸周りに角速度Ωで回転、又は、振動させる。被測定物が流れることによるコリオリ力によって生じるトルクTを打ち消すようなコリオリ力を発生させるように、固体ジャイロ12を回転させる。そして、この固体ジャイロ12の回転数を計測することにより、被測定物の質量流量を求める。
【選択図】図1
Description
コリオリ質量流量計では、流体が流れる管路を回転させたり(特許文献1)、振動させたり(特許文献2)することによって、管路にコリオリ力が掛かり、管路が変形する。この変形量は、質量流量に比例するので、管路の変形量を測定することによって、質量流量を求めることができる。
また、コリオリ質量流量計の装置筐体も含めての全体の弾性係数の経時変化の影響を排除することが不可能であった。
一般に、弾性変形量が力に比例することが厳密に成立することは実際にはまれであるために、従来のコリオリ質量流量計におけるコリオリ力による管路の変形量は、質量流量に厳密に比例することが保障できない。さらに、従来の振動式コリオリ質量流量計では、振動の加速度が、当該流量計を据え付ける機械基礎の剛性によって著しく影響されるので、同流量計の設置施工方法の違いが、コリオリ力による管路の変形量に、影響を与える欠陥を持っていた。
また、被測定物の密度が一定している場合や、粘性の小さい場合などには、容易に測定が可能であるが、混相流、非ニュートン流体等を被測定物とする場合には、従来のコリオリ質量流量計では、正確な測定が不可能であるという問題があった。このような混相流、非ニュートン流体等を被測定物とする分野としては、例えば、食品製造等の分野があり、そのような分野における製造工程では、正確な質量流量の測定が行われていなかった。
請求項1の発明は、略円形に形成されたループ部(11a)を有し、被測定物が内部を流れる管路(11)と、前記ループ部の円の中心と同軸で回転可能に前記管路に直接又は間接的に支持される固体ジャイロ部(12)と、前記固体ジャイロ部に回転駆動力を与える固体ジャイロ駆動部(15)と、前記固体ジャイロ部を含む前記管路を回転、又は、振動させる管路駆動部(18)と、前記管路の変位量を検出する変位量検出部(C1 ,C2 )と、前記変位量検出部の検出結果に基づいて前記固体ジャイロ駆動部を駆動する制御部(16)と、を備える質量流量計である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の質量流量計において、前記固体ジャイロ部(12)の回転量を検出する回転計(20)を備えること、を特徴とする質量流量計である。
請求項4の発明は、請求項1に記載の質量流量計において、前記回転計(20)の出力に基づいて被測定物の質量流量を演算する質量流量演算部(21)を備えること、を特徴とする質量流量計である。
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載の質量流量計において、前記固体ジャイロ駆動部(15)を駆動する電力信号、又は、前記固体ジャイロ駆動部からの帰還信号を検出する信号検出部を備えること、を特徴とする質量流量計である。
請求項6の発明は、請求項5に記載の質量流量計において、前記信号検出部の出力に基づいて被測定物の質量流量を演算する質量流量演算部を備えること、を特徴とする質量流量計である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の質量流量計において、前記固体ジャイロ駆動部(15)は、サーボモータであって、前記制御部(16)は、サーボアンプを有していること、を特徴とする質量流量計である。
請求項8の発明は、請求項1又は請求項2に記載の質量流量計において、前記固体ジャイロ駆動部は、パルスモータであって、前記制御部は、前記パルスモータ駆動用のパルス信号を給電するパルス信号出力装置を備えること、を特徴とする質量流量計。
請求項9の発明は、請求項8に記載の質量流量計において、前記パルス信号を計数するパルス計数装置を有し、前記パルス計数装置が計数したパルス信号の計数値に基づいて被測定物の質量流量を演算すること、を特徴とする質量流量計。
請求項10の発明は、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の質量流量計において、前記管路駆動部(18)が前記管路(11)を回転させる回転中心軸方向、又は、振動させる振動支点軸方向は、前記固体ジャイロ部(12)の回転中心軸方向と直交していること、を特徴とする質量流量計である。
(1)被測定物が内部を流れる管路と、ループ部の円の中心と同軸で回転可能な固体ジャイロ部と、固体ジャイロ駆動部と、管路を回転、又は、振動させる管路駆動部と、変位量検出部と、変位量検出部の検出結果に基づいて固体ジャイロ駆動部を駆動する制御部とを備えるので、混相流、非ニュートン流体等、被測定物の状態によらずに、正確な質量流量測定を行うことができる。
また、測定環境の変化や、被測定物の物性値、状態量、流動特性値などの変化や、コリオリ質量流量計を構成する弾性部材と可撓部材の弾性値の変化など、いずれの影響を受けることなく、常に正確な測定を行うことができる。
管路11は、中空の管であり、図中のZ軸を中心として円環状に巻いた形状のループ部11aを有している。この管路11内を被測定物が流れることとなる。
固体ジャイロ12は、軸受け部14及び支持部13を介して管路11に回転可能に支持された部材であり、その回転中心が管路11のループ部11aと同軸となっている。固体ジャイロ12の軸受け部14は、支持部13に固定されており、したがって軸受け部14は、管路11に剛体支持され、管路11と軸受け部14が一体となっている。
管路11の非ループ部11bは、例えば、外部のプラント設備等に対して弾性接続されている。
また、管路11,固体ジャイロ12,支持部13を含むユニット全体(以下、ジャイロユニット1とする)は、不図示の固定台に対して弾性支持されている。
管路11のループ部11aの半径をRとし、管路内を質量流量mの被測定物が流れるとき、ジャイロユニット1をY軸まわりに角速度Ωで回転させると、流体のジャイロ効果によってX軸まわりに、以下の式(1)で与えられるトルクTを生じる。
T=mR2 Ω ・・・(1)
ここで、固体ジャイロ12に対して、不図示の固体ジャイロ駆動部により角速度−ω(被測定物の流れる向きに対して反対向き)で回転駆動力を与えると、固体ジャイロ12も、管路11と一体となり角速度ΩでY軸まわりに回転されているので、X軸まわりにトルクTとは逆向のトルクMを生じる。固体ジャイロ12の慣性能率をIとすると、この逆向きのトルクMは、以下の式(2)により与えられる。
M=IΩω ・・・(2)
ジャイロユニット1は、不図示の固定台に対して弾性支持されているので、トルクTとMとの非平衡量に比例したX軸まわりの傾きβを生じる。
本実施例における質量流量計は、上述したジャイロユニット1の他に、静電容量センサC1 ,C2 ,サーボモータ15,制御部16,低周波発生部17,ボイスコイル18,回転計20,質量流量演算部21等を備えている。
サーボモータ15は、固体ジャイロ12に対して、回転駆動力を与えるアクチュエータであり、制御部16により制御されている。
ボイスコイル18は、低周波発生部17が発生する駆動信号に従い往復振動動作を行い、管路11のループ部11aをY軸周りで振動させる管路駆動部である。本実施例では、ボイスコイル18は、低周波発生部17が発生する低周波の駆動信号により正弦波様に運動する。
回転計20は、固体ジャイロ12の回転量を検出する非接触式のセンサである。回転計20の検出結果は、質量流量演算部21に伝えられる。
ここで、質量流量の演算手法について説明する。
上述したような帰還回路システムを設けると、先の式(1)及び(2)のトルクTとMとは平衡し、以下の関係式が得られる。
mR2Ω=IΩω ・・・(3)
ここで、Ωは、零でないかぎり両辺から消せるというだけでなく、Ωがどのような形であってもよいという、計測原理上特記すべき特徴がある。式(3)から、Ωを消去して整理すれば、以下の形になる。
m=ωI/R2 ・・・(4)
ここで、I及びRは、上述したように、装置固有の値であり、被測定物の種類や流動状態に無関係な定数である。したがって、固体ジャイロ12の角速度ωを凡用の回転計20によって測定するだけで、直接的に質量流量を求めることができる。
図3は、本実施例における質量流量計のZ軸に沿った断面図である。図3(a)は、XZ面における断面を示し、図3(b)は,YZ面における断面を示している。また、板ばね27と回路基板29とを併せて図示するために、図3(b)中の左右においてこれらを描き分けている。
管路11は、6mmの銅管を直径200mmのループ状に4回巻いてループ部11aとしており、これにより、感度が4倍になっている。非ループ部11bの端部は、ベース部30の内部で管継手31と接続されている。なお、管路11を形成する銅管が十分な弾性を有しているので、ベロース等の特別な可とう装置は設けない。
本実施例における固体ジャイロ12は、質量流量40kg/hのとき600r.p.m.になるようサーボモータ15を含めた慣性を設定してある。
板ばね22は、X軸方向に沿って設けられており、両端においてループ部11aを支持している。板ばね22は、その中央において、ブラケット23を介して遥動部材24の上面側(Zプラス側)に支持されている。
板ばね27は、Y軸方向に沿って設けられており、板ばね22と直交する方向の両端において遥動部材支持部材26によって支持されている。板ばね27は、その中央において、ブラケット23を介して遥動部材24の下面側(Zマイナス側)を支持している。
板ばね22,27は、トルク差T−M、及びボイスコイル18の力によってねじれを生じるが、上下(Z軸方向)には変位しない。
制御部16では、水晶式高周波発振器で4MHZ60Vの出力が得られる。
ベース部30は、厚さ5mm、幅75mm、深さ40mmの部材であり、溝の一端に管継手31を入り口、出口の2つ溶接している。なお、本実施例における管継手31は、フレアー式継手である。
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
本実施例において、管路11を振動させる振動式の例を示したが、これに限らず、例えば、管路を回転させる回転式としてもよい。
また、図3に示した具体例は、本発明の一実施例に過ぎず、管路内を被測定物が流れることによるコリオリ力を打ち消す固体ジャイロに相当する部材の回転を検出することができる構成であれば、具体的な形態が異なっていてもよい。
本実施例において、固体ジャイロ12の回転数を回転計20により検出する例を示したが、これに限らず、例えば、サーボモータ15の帰還出力に基づいて質量流量を求めてもよい。又は、固体ジャイロ駆動部がパルスモータの場合は、駆動パルスの計数値に基づいて質量流量を求めてもよい。
11 管路
11a ループ部
11b 非ループ部
12 固体ジャイロ
13 支持部
13A 第1の支持部
13B 第2の支持部
13C 第3の支持部
14 軸受け部
15 サーボモータ
16 制御部
17 低周波発生部
18 ボイスコイル
19 位相シフタ
20 回転計
21 質量流量演算部
22,27 板ばね
24 遥動部材
30 ベース部
29 回路基板
C1 ,C2 静電容量センサ
Claims (10)
- 略円形に形成されたループ部を有し、被測定物が内部を流れる管路と、
前記ループ部の円の中心と同軸で回転可能に前記管路に直接又は間接的に支持される固体ジャイロ部と、
前記固体ジャイロ部に回転駆動力を与える固体ジャイロ駆動部と、
前記固体ジャイロ部を含む前記管路を回転、又は、振動させる管路駆動部と、
前記管路の変位量を検出する変位量検出部と、
前記変位量検出部の検出結果に基づいて前記固体ジャイロ駆動部を駆動する制御部と、
を備える質量流量計。 - 請求項1に記載の質量流量計において、
前記制御部は、前記管路の変位量を打ち消すように前記固体ジャイロ駆動部を駆動すること、
を特徴とする質量流量計。 - 請求項1又は請求項2に記載の質量流量計において、
前記固体ジャイロ部の回転量を検出する回転計を備えること、
を特徴とする質量流量計。 - 請求項1に記載の質量流量計において、
前記回転計の出力に基づいて被測定物の質量流量を演算する質量流量演算部を備えること、
を特徴とする質量流量計。 - 請求項1又は請求項2に記載の質量流量計において、
前記固体ジャイロ駆動部を駆動する電力信号、又は、前記固体ジャイロ駆動部からの帰還信号を検出する信号検出部を備えること、
を特徴とする質量流量計。 - 請求項5に記載の質量流量計において、
前記信号検出部の出力に基づいて被測定物の質量流量を演算する質量流量演算部を備えること、
を特徴とする質量流量計。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の質量流量計において、
前記固体ジャイロ駆動部は、サーボモータであって、
前記制御部は、サーボアンプを有していること、
を特徴とする質量流量計。 - 請求項1又は請求項2に記載の質量流量計において、
前記固体ジャイロ駆動部は、パルスモータであって、
前記制御部は、前記パルスモータ駆動用のパルス信号を給電するパルス信号出力装置を備えること、
を特徴とする質量流量計。 - 請求項8に記載の質量流量計において、
前記パルス信号を計数するパルス計数装置を有し、
前記パルス計数装置が計数したパルス信号の計数値に基づいて被測定物の質量流量を演算すること、
を特徴とする質量流量計。 - 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の質量流量計において、
前記管路駆動部が前記管路を回転させる回転中心軸方向、又は、振動させる振動支点軸方向は、前記固体ジャイロ部の回転中心軸方向と直交していること、
を特徴とする質量流量計。
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