JP2006316086A - 金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物 - Google Patents

金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物 Download PDF

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Yoshiki Sato
美喜 佐藤
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進 渡辺
Kenji Asami
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Nobuhiko Uchida
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Abstract

【課題】セパレータ金属原板を被覆し金属製セパレータとするために好適に用いられるものであって、被覆する際のピンホール不良等が抑制され、得られた被膜が各種イオンの攻撃に強く、導電性、耐熱性、耐熱水性および熱伝導性に優れた金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】炭素質材料粉末と液状の熱硬化性樹脂成分とから主としてなり、有機溶剤を含まない無溶剤型の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物であって、前記炭素質材料粉末100重量部に対して、前記液状の熱硬化性樹脂成分が3.6重量部以上、570重量部以下であるもの。
【選択図】なし

Description

本発明は、セパレータ金属原板を被覆して金属製セパレータとするために用いられる金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物に関し、特に家庭用燃料電池、モバイル用燃料電池、自動車用燃料電池等の金属製セパレータの被覆に用いられる高信頼性の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物に関する。
これまで各種燃料電池に使用される導電性セパレータとして、金(Au)等の耐食性金属被膜もしくは導電性の耐食性無機被膜でセパレータ金属原板の表面を不動態化した耐食被膜被覆型の金属製セパレータ、熱硬化性樹脂もしくはエンジニアリングプラスチックと呼ばれる耐熱性の熱可塑性樹脂と導電性粒子とからなる複合混合物を加熱プレスもしくは移送成形、射出成形により成形した樹脂製セパレータ、ブロック状に成形した導電性樹脂複合体から切削加工した樹脂製セパレータ等が検討されている。
樹脂製セパレータの具体的な製造方法としては、例えばフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂と黒鉛等の炭素質材料粉末とを均一に混合、混練して導電性の複合混合物(複合成形材料)を調製後、金属金型を用いて適度な温度および圧力で熱圧成形時に十分な熱硬化を行う方法、あるいは、複合混合物を熱圧成形して成形体を得た後、これを適度な温度にて十分な熱硬化を行う方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このような炭素質材料粉末を分散させた樹脂製セパレータについては貫通抵抗率に到達限界がある。一方で、上述したようなセパレータ金属原板の表面を不動態化した金属製セパレータが検討されているが、このような金属製セパレータについては、例えば表面を不動態化する耐食性金属被膜として高価な金を用いることから耐食性金属被膜が薄く形成され、表面に微細な損傷等が発生しやすく突発性の腐食不良を抑制することが難しく、実用化が困難となっている。
特開2000−040517号公報
このため、セパレータ金属原板の表面を金で被覆する代わりに、熱硬化性樹脂を主体とする導電性塗料あるいは導電性ペーストで被覆して金属製セパレータとすることが検討されている。しかし、このような導電性塗料等で被覆した金属製セパレータについても、ピンホール不良等により信頼性が低下するという課題がある。
このようなピンホール不良等が発生する原因としては、金属製セパレータの貫通抵抗率を低くするため塗料等に炭素質材料粉末を高充填化する必要があり、このような炭素質材料粉末の高充填化のために溶剤を多量に含有させた溶剤含有型としなければならないことが挙げられる。
そして、溶剤含有型の塗料等における問題は、セパレータ金属原板の表面に塗布し、硬化させる際の溶媒の除去工程で発生する。すなわち、溶剤含有型の塗料等を用いての金属製セパレータの作製は、一般に、炭素質材料粉末、熱硬化性樹脂および有機溶剤を混合して得た溶剤含有型の塗料等をセパレータ金属原板に塗布した後、加熱することにより溶剤を除去しながら熱硬化性樹脂を三次元架橋させて硬質被膜化することにより行われている。
この加熱工程では有機溶剤がガス化して抜けていくが、このガスは炭素質材料粉末に吸着されてしまうため完全に除去することができない。このためセパレータ金属原板を覆う被膜にピンホール不良等が発生し、各種燃料電池に組み込んだ場合に、このピンホール不良等の周辺で電界のゆがみが発生し、また、各種ガス成分が透過しやすくなるため、セパレータ金属原板が腐食する。
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであって、セパレータ金属原板を被覆し金属製セパレータとするために好適に用いられるものであって、被覆する際のピンホール不良等が抑制され、被覆物が各種イオンの攻撃に強く、導電性、耐熱性、耐熱水性および熱伝導性に優れ、また、それ自体の製造性にも優れた金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下のような構成とすることで上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の金属製セパレータ被覆用導電性樹脂組成物は、炭素質材料粉末と液状の熱硬化性樹脂成分とから主としてなり、有機溶剤を含まない無溶剤型の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物であって、前記炭素質材料粉末100重量部に対して、前記液状の熱硬化性樹脂成分が3.6重量部以上、570重量部以下であることを特徴とするものである。
また、本発明の他の金属製セパレータ被覆用導電性樹脂組成物は、炭素質材料粉末、熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分から主としてなり、有機溶剤を含まない無溶剤型の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物であって、前記炭素質材料粉末100重量部に対して、前記熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分の合計量が3.6重量部以上、570重量部以下であることを特徴とするものである。
この金属製セパレータ被覆用導電性樹脂組成物における熱硬化性樹脂成分は液状であることが好ましく、また熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分の合計量100重量%中、反応性希釈剤成分が40重量%以下であることが好ましい。
本発明の金属製セパレータ被覆用導電性樹脂組成物における炭素質材料粉末は黒鉛粉末とカーボン粉末とからなる混合粉末であることが好ましく、この混合粉末100重量%中、カーボン粉末が4重量%以上、80重量%以下であることが好ましい。また、黒鉛粉末は平均粒子径が25μm以下であり、カーボン粉末は平均粒子径が5μm以下であることが好ましい。
本発明の金属製セパレータ被覆用導電性樹脂組成物における熱硬化性樹脂成分はエポキシ樹脂およびフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種から主としてなることが好ましい。また、本発明の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物には、金属との接着性を高める接着助剤としての窒素化合物、硫黄化合物および金属化合物から選ばれる少なくとも1種が含まれていることが好ましい。
本発明の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物は、炭素質材料粉末および液状の熱硬化性樹脂成分を、または、炭素質材料粉末、熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分を、せん断力を加えることが可能な混合装置にて共摺りしてなるものであることが好ましい。
本発明の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物によれば、有機溶剤を含有させない無溶剤型とすることによりピンホール不良等の発生を抑制すると共に、このような無溶剤型とした場合であっても炭素質材料粉末を高充填化させることができ、金属製セパレータの被覆に用いることでその特性を維持しつつ、長期信頼性を高めることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物は、炭素質材料粉末と液状の熱硬化性樹脂成分とから主としてなり、有機溶剤を含まない無溶剤型の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物であって、前記炭素質材料粉末100重量部に対して、前記液状の熱硬化性樹脂成分が3.6重量部以上、570重量部以下であることを特徴とするものである。
また、本発明の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物は、炭素質材料粉末、熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分から主としてなり、有機溶剤を含まない無溶剤型の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物であって、前記炭素質材料粉末100重量部に対して、前記熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分の合計量が3.6重量部以上、570重量部以下であることを特徴とするものである。
本発明の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物(以下、単に被覆用樹脂組成物と呼ぶ。)に用いられる炭素質材料粉末としては、例えば黒鉛、カーボン、活性炭、カーボンファイバー、コークス、有機前駆体を不活性雰囲気中で熱処理して合成した炭素、ナノカーボン球状体、ナノカーボンチューブ、ナノカーボンファイバー等の粉末が挙げられ、これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
黒鉛としては、人造や天然の黒鉛、さらには、膨張性黒鉛が挙げられる。黒鉛はsp混成軌道を持つ炭素が規則正しく平面に配列し積層した結晶である。天然黒鉛は自然界で過去に炭素化合物が3000℃以上の高熱と圧力とで黒鉛化したものであり、燐片状黒鉛と土壌黒鉛とがある。
一方、人造黒鉛は、これと同じく、熱分解炭素を3000℃以上に熱処理することにより得られるものである。得られた黒鉛は単結晶のものと多結晶のものとに分けることができる。また、この人造黒鉛には、石油系コークスと石炭系コークス由来の2種類がある。
黒鉛は、その規則的炭素構造により電気伝導性に優れている。そのため、本発明では特に低い体積抵抗率が要求される場合については、炭素質材料粉末の主成分としてこれらの黒鉛粉末を用いることが好ましい。また、黒鉛粉末は平均粒径が25μm以下であるものが好ましい。黒鉛粉末の平均粒径が25μmを超えると、セパレータ金属原板を被覆した際に被膜表面が粗くなるため好ましくない。
カーボンとしては、例えば、油脂等を原料とする天然物由来のカーボン、あるいは、石油系、石炭系由来のカーボンが挙げられる。具体的には、ケッチェンブラック、カーボンブラック等が挙げられる。本発明では必ずしも低い体積抵抗率が要求されない場合には、炭素質材料粉末の主成分として展開性に優れるこれらのカーボン粉末を用いることが好ましい。また、これらのカーボン粉末は通常粒子径が小さいが、平均粒径が5μm以下であればより好ましい。
本発明では炭素質材料粉末を、黒鉛粉末とカーボン粉末とからなる混合粉末とすれば更に好ましい。このような混合粉末とすることで、黒鉛粉末の隙間を埋めるように粒子径の小さいカーボン粉末が充填され、被覆用樹脂組成物の導電性を向上させることができる。この場合、黒鉛粉末の平均粒径を25μm以下とし、カーボン粉末の平均粒径を5μmとすれば、黒鉛粉末の隙間をカーボン粉末で充填しやすくなるため好ましい。
また、黒鉛粉末とカーボン粉末との混合粉末100重量%中、カーボン粉末が4重量%以上、80重量%以下であることが好ましい。カーボン粉末が4重量%未満であると、黒鉛粉末の隙間をカーボン粉末で十分に充填することができず、カーボン粉末を添加した効果が十分に発揮されず、また80重量%を超えると微細なカーボン粉末が多くなり接触抵抗が増加し、また導電性に優れる黒鉛粉末の含有量が少なくなるため被覆用樹脂組成物の導電性が低くなるおそれがある。なお、本発明の被覆用樹脂組成物に用いる炭素質材料粉末としては黒鉛粉末単独、もしくは、カーボン粉末単独としてもよい。
本発明の被覆用樹脂組成物に用いる熱硬化性樹脂成分は、反応性希釈剤成分を併用しない場合には、液状とする。本発明では被覆用樹脂組成物を有機溶剤を含有しない無溶剤型とするため、反応性希釈剤成分を併用しない場合、熱硬化性樹脂成分が固体状であると被覆用樹脂組成物が液状とならないためである。ここで、熱硬化性樹脂成分は複数の熱硬化性樹脂からなる混合物としてもよく、この場合には混合物が液状であればよく、必ずしも混合物を構成する全ての熱硬化性樹脂が液状である必要はない。
また、熱硬化性樹脂成分と共に反応性希釈剤成分を併用する場合には、熱硬化性樹脂成分は反応性希釈材に溶解するものであればよく、必ずしもそれ自体は液状でなくてもよい。なお、被覆用樹脂組成物に炭素質材料粉末を高充填化する観点からは、反応性希釈剤を併用する場合であっても、熱硬化性樹脂を液状のものとすることが好ましい。
熱硬化性樹脂成分を構成する熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、シアナミド樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、エポキシ樹脂、アリル系不飽和ポリエステル樹脂、マレイン酸系アリル系不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、グアナミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は1種のみを用いてもよいし、複数種を併用してもよい。これらの熱硬化性樹脂の中でも特にエポキシ樹脂およびフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種を熱硬化性樹脂成分を構成する主成分とすれば好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂等が好適なものとして挙げられ、この他にも例えばビスフェノールFタイプのエポキシ樹脂、ポリアルコールタイプのエポキシ樹脂、ポリグリコールタイプのエポキシ樹脂、ポリオレフインタイプのエポキシ樹脂、エポキシ大豆油タイプのエポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、複数種を併用してもよい。なお、これらのエポキシ樹脂の詳細については、最も良く知られた日刊工業新聞社刊の橋本邦之編の「エポキシ樹脂」を参照されたい。また、フェノール樹脂としては、例えばノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂が挙げられる。
上述したような熱硬化性樹脂成分を構成する各熱硬化性樹脂には液状であるものとそうでないものとがあるため、上述したような反応性希釈剤の併用の有無等に応じて、適宜液状であるものとそうでないものとを選択して用いることが好ましい。なお、上述したように被覆用樹脂組成物に炭素質材料粉末を高充填化する観点からは、反応性希釈剤を併用する場合であっても、液状の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
例えばフェノール樹脂にはノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂があるが、一般にレゾール型フェノール樹脂が液状であるため、液状のフェノール樹脂を用いる場合には、このようなレゾール型フェノール樹脂を用いることが好ましい。レゾール型フェノール樹脂としては、例えばジメチレンエーテル型のレゾールフェノール樹脂、メチロール型のレゾールフェノール樹脂が挙げられる。また、特開平6−340763号公報に記載されるレゾルシノール変性のレゾール型フェノール樹脂のように、多くの変性タイプのレゾール型フェノール樹脂が挙げられる。
また、一般に固形状であるノボラック型フェノール樹脂、また、レゾール型フェノール樹脂のうち固形状であるものについても、その一部に上述した液状のレゾール型フェノール樹脂の骨格たるオルソメチロールフェノール、2,4−ジメチロールフェノール、2,4,6−トリメチロールフェノール、または、その類似物であるグリセリン等を溶融させることで融点降下現象により液状化できる。このため、液状のフェノール樹脂を用いる場合には、このような融点降下現象により液状化したものを用いてもよい。
本発明に用いる反応性希釈剤成分は、熱硬化性樹脂成分を溶解させ、あるいは、熱硬化性樹脂成分を希釈し粘度を低下させることにより、被覆用樹脂組成物を有機溶剤を含有しない無溶剤型とした場合であっても炭素質材料粉末を高充填化できるように用いられるものである。なお、上述したように熱硬化性樹脂成分が液状である場合には、必ずしもこの反応性希釈剤成分を加える必要はないが、被覆用樹脂組成物に炭素質材料粉末を高充填化させる観点からは加えることが好ましい。
反応性希釈材は、官能基を持たず不活性な溶剤とは異なり、反応性の官能基を通常1個、特別には2個から6個を有する低粘度かつ液状の化合物である。官能基としては、OH基、CHO基、COOH基、CHOH基、CHCHO基、SH基、NH基、CHOCH基等の活性基が挙げられる。
このような官能基を有する反応性希釈剤としては、自然由来の材料では各種油脂を使用することができる。例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、オレイン酸、エルシン酸、セトレイック酸、リノール酸、リノレン酸、アマニ油、桐油、芥子油、大豆油、綿実油、胡麻油、糠油、菜種油、落花生油、ヒマシ油、オリーブ油、パーム油、椰子油、バター油、牛脚油、鯨油、鰯油、ニシン油、鮫油等が挙げられる。これらのなかでもCOOH基を持つ油脂が反応性が高く好ましい。
また、合成タイプの反応希釈剤としては、油脂由来のグリセリン、石油由来のエポキシ基を持つ各種低分子化合物が挙げられる。例えば、エポキシ基を有する反応性希釈剤として、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等がある。また、他の活性基を持つ反応性希釈剤としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
反応性希釈剤成分を添加する場合には、熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分の合計量100重量%中、反応性希釈剤成分を5重量%以上とすることが好ましい。反応性希釈剤成分が5重量%未満であると、反応性希釈剤成分を添加した効果が十分に発揮されないおそれがある。また、反応性希釈剤成分は40重量%以下とすることが好ましい。反応性希釈剤成分が40重量%を超えると、被覆用樹脂組成物の硬化物の強度等が低下するおそれがあるため好ましくない。
本発明の被覆用樹脂組成物では、反応性希釈剤成分を用いず、液状の熱硬化性樹脂成分のみを用いる場合、炭素質材料粉末100重量部に対して、液状の熱硬化性樹脂成分を3.6重量部以上、570重量部以下とする。液状の熱硬化性樹脂成分が3.6重量部未満であると、被覆用樹脂組成物が液状とならず、セパレータ金属原板に塗布した際に均一な被膜を形成することができないおそれがある。また、570重量部を超えると被覆用樹脂組成物の導電性が十分なものとならないおそれがある。
また、熱硬化性樹脂成分と共に反応性希釈剤成分を用いる場合、炭素質材料粉末100重量部に対して、熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分を合計量で3.6重量部以上、570重量部以下とする。上述した液状の熱硬化性樹脂成分のみを用いる場合と同様、熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分の合計量が3.6重量部未満であると、被覆用樹脂組成物が液状とならず、セパレータ金属原板に塗布した際に均一な被膜を形成することができないおそれがある。また、570重量部を超えると被覆用樹脂組成物の導電性が十分なものとならないおそれがある。
本発明の被覆用樹脂組成物は、上述したように炭素質材料粉末および熱硬化性樹脂成分を必須成分とし、熱硬化性樹脂成分の性状に応じてあるいは必要に応じて反応性希釈剤成分を含有させるが、これらの成分以外にも本発明の趣旨に反しない限度においてかつ必要に応じて有機溶剤を除く他の成分を含有させることができる。
他の成分としては、例えばアルミキレートやシラノール化合物等の硬化促進剤等が挙げられる。また、本発明の被覆用樹脂組成物には、セパレータ金属原板の表面に塗布、被覆した際にセパレータ金属原板との接着性を高めるために、接着助剤としての窒素化合物、硫黄化合物および金属化合物を含有させてもよい。
このような本発明の被覆用樹脂組成物は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、炭素質材料粉末を分散させるための分散用液状樹脂組成物の調製として、万能混合機中に熱硬化性樹脂成分を構成する各熱硬化性樹脂を投入すると共に、必要に応じて反応性希釈剤成分となる各反応性希釈剤を投入し、十分に混合して分散用液状樹脂組成物を調製する。
次に、この万能混合機中に炭素質材料粉末を投入し、炭素質材料粉末と分散用液状樹脂組成物とを十分に混合する。得られた混合物はそのままの状態で被覆用樹脂組成物としてもよいが、好ましくは、さらに3本ロール等のせん断力を加えることのできる混合装置を用いて混合を行う。このようにせん断力を加えて混合を行うことにより、炭素質材料粉末を分散用液状樹脂組成物中により均一に分散させることができ、被覆用樹脂組成物の硬化物の電気的特性等をより向上させることができる。
せん断力を加えることのできる混合方法としては、上述した3本ロールを用いる方法の他に、例えばボールミルによる方法、ライカイ機による方法、プレートコーンによる方法、臼杵方式による方法等が採用でき、これらは混合物の状態等に合わせて適宜選択して用いることが好ましい。
本発明の被覆用樹脂組成物には必要に応じて硬化促進剤等を加えることができるが、混合中の被覆用樹脂組成物の硬化を抑制する観点から、このような硬化促進剤等は炭素質材料粉末と分散用液状樹脂組成物との混合の最初に加えることは好ましくなく、混合終了の直前、あるいは、せん断力を加えて混合を行う場合にはその時に加えることが好ましい。また、このようにして得られる本発明の被覆用樹脂組成物の性状は液状であればよく、塗料状あるいはペースト状とすることができ、セパレータ金属原板の表面に塗布する際に必要とされる特性に合わせて適宜その性状を調整することが好ましい。
次に、このような本発明の被覆用樹脂組成物を用いた金属製セパレータの製造について説明する。例えば、まずセパレータ金属原板であるガス流路を形成したステンレス板の表面を研磨剤で粗面化する。このセパレータ金属原板の表面には、エポキシシラン系のカップリング剤やアミン系カップリング剤を塗布乾燥する前処理を行うことが好ましい。次に、このセパレータ金属原板の表面に本発明の被覆用樹脂組成物を塗布し、一旦、加熱硬化させた後、後熱処理を行う。この際、加熱硬化を十分に行うことにより後熱処理を省略してもよい。このようにすることで、本発明の被覆用樹脂組成物からなる被膜でセパレータ金属原板が被覆された金属製セパレータを得ることができる。
このような金属製セパレータの製造においては、被覆用樹脂組成物の体積抵抗率をρv(Ω・cm)とし、被膜厚さをt(cm)とした場合、これらが下記式(1)の関係を満たすようにすることが好ましい。なお、体積抵抗率ρvおよび被膜厚さtは、いずれも被覆用樹脂組成物を塗布、加熱硬化させた後のものである。
k×(1−0.8)/ρv ≦ t ≦ k×(1+0.8)/ρv ……(1)
(但し、上記式中、k=0.001Ω・cmである。)
このように、体積抵抗率ρvと被膜厚さtとを上記式(1)を満たすようにすることで、金属製セパレータに要求される導電性を良好なものとすることができる。また、このような関係とすることで、金属製セパレータを耐食性あるいは強度に優れたものとすることができる。
例えば、被覆用樹脂組成物の体積抵抗率ρvが低い場合、式(1)で計算されるように被膜厚さtは厚くすることが好ましい。このようにすることで、金属製セパレータの耐食性を主として向上させることができる。すなわち、体積抵抗率ρvが低いため、被膜厚さtを厚くしても金属製セパレータの導電性を確保することができ、また被膜厚さtを厚くすることで耐食性を向上させることができる。このように体積抵抗率ρvが低くなる被覆用樹脂組成物としては、例えば炭素質材料粉末を導電性に優れた黒鉛粉末を主体としたものが挙げられる。
また、上述したようなものに対して、被覆用樹脂組成物の体積抵抗率ρvが高い場合、式(1)で計算されるように被膜厚さtは薄くすることが好ましい。すなわち、体積抵抗率ρvが高い場合、被膜厚さtを厚くすると金属製セパレータの導電性を確保することができなくなる。言い換えれば、被膜厚さtを薄くする場合、体積抵抗率ρvは若干高めとなってもよい。この場合、被膜厚さtが薄いため耐食性がより一層求められることから、炭素質材料粉末を耐食性に優れるケッチェンブラック、カーボンブラック等のカーボン粉末を主体としたものとすることが好ましい。このように被膜厚さtを薄くする場合、その分、セパレータ金属原板の厚さを厚くすることができ、金属製セパレータの強度を主として向上させることができる。
以上、被覆用樹脂組成物の体積抵抗率ρvを基準にして被膜厚さtの好ましい厚さを決定する方法について説明したが、反対に、上記式(1)を変形し、被膜厚さtを基準にして被覆用樹脂組成物の体積抵抗率ρvを決定するようにしてもよい。
例えば金属製セパレータの耐食性を向上させるために必要な被膜厚さtを最初に決定した場合、上記式(1)をρvについて変形したものに被覆厚さtを代入することで体積抵抗率ρvの上限値を求めることができる。
そして、被覆用樹脂組成物の体積抵抗率ρvが求めた上限値以下となるように被覆用樹脂組成物の組成を調整する。例えば、最初に決定した被膜厚さtが厚い場合、体積抵抗率ρvの上限値は低くなるため、炭素質材料粉末を導電性に優れる黒鉛粉末を主体としたものとすることで体積抵抗率ρvを低く調整することができる。その後、塗布、加熱硬化した後の被覆厚さtが最初に決定した厚さとなるように、この被覆用樹脂組成物をセパレータ金属原板に塗布し、加熱硬化させる。このようにすることで、耐食性に優れ、導電性も十分な金属製セパレータとすることができる。
以下、実施例、比較例を参照して、本発明の被覆用樹脂組成物について詳細に説明する。まず、本発明の被覆用樹脂組成物としての塗料A〜CおよびペーストD〜F、比較のための被覆用樹脂組成物としての比較用塗料Xおよび比較用ペーストYの製造について説明する。なお、本発明の被覆用樹脂組成物としての塗料A〜CおよびペーストD〜Fはいずれも有機溶媒を含まないものであり、比較のための被覆用樹脂組成物としての比較用塗料Xおよび比較用ペーストYはいずれも有機溶媒を含むものである。
(塗料A)
加熱装置、撹拌装置、減圧装置付の3Lの万能混合機に、液状のビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂630gを加え、油循環式の加熱装置で60℃まで昇温した。この温度で撹拌しながら黒鉛粉末(平均拉径5μm)35gを加え、さらにケッチェンブラック粉末315gを徐々に加えた。この混合物を減圧装置により脱気し、その後、外気を導入し真空を破った。この脱気、外気の導入を数回繰り返し、黒鉛粉末ならびにケッチェンブラック粉末の周囲にある境膜を破壊した。
次に、この混合物を常温に冷却し、芳香族アミン20gを接着助剤ならびに硬化触媒として加えて塗料前駆体とした。さらに、この塗料前駆体を万能混合機から取り出し、常温の3本ロールに投入し、ロール間隙をすぼめて30分間混練して塗料Aとした。この塗料Aの硬化物の体積抵抗率は0.96Ωcmであった。
(塗料B)
塗料Aの作製に用いたものと同様の万能混合機に、液状のビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂435gを加え、油循環式の加熱装置で60℃まで昇温した。この温度で撹拌しながら黒鉛粉末(平均粒径5μm)135gを加え、さらにケッチェンブラック粉末315gを徐々に加えた。この混合物を減圧装置により脱気し、その後、外気を導入し真空を破った。この脱気、外気の導入を数回繰り返し、黒鉛粉末ならびにケッチェンブラック粉末の周囲にある境膜を破壊した。
次に、この混合物を常温に冷却し、芳香族アミン15gを接着助剤ならびに硬化触媒として加えて塗料前駆体とした。さらに、この塗料前駆体を万能混合機から取り出し、常温の3本ロールに投入し、ロール間隙をすぼめて30分間混練して塗料Bとした。この塗料Bの硬化物の体積抵抗率は0.52Ωcmであった。
(塗料C)
塗料Aの作製に用いたものと同様の万能混合機に、液状のビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂305gを加え、さらに反応性希釈剤としてのp−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル35gを加え、60℃まで昇温した。この温度で撹拌しながら黒鉛粉末(平均粒径5μm)325gを徐々に加え、さらにケッチェンブラック粉末325gを徐々に加えた。この混合物を減圧装置により脱気し、その後、外気を導入し真空を破った。この脱気、外気の導入を数回繰り返し、黒鉛粉末ならびにケッチェンブラック粉末の周囲にある境膜を破壊した。
次に、この混合物を常温に冷却し、芳香族アミン10gを接着助剤ならびに硬化触媒として加えて塗料前駆体とした。さらに、この塗料前駆体を万能混合機から取り出し、常温の3本ロールに投入し、ロール間隙をすぼめて30分間混練して塗料Cとした。この塗料Cの硬化物の体積抵抗率は0.213Ωcmであった。
(ペーストD)
塗料Aの作製に用いたものと同様の万能混合機に、液状のレゾール型フェノール樹脂250gを加え、油循環式の加熱装置で60℃まで昇温した。この温度で撹拌しながら黒鉛粉末(平均粒径25μm)450gを徐々に加え、さらに黒鉛粉末(平均粒径5μm)262gを徐々に加え、さらにケッチェンブラック粉末38gを徐々に加えた。この混合物を減圧装置により脱気し、その後、外気を導入し真空を破った。この脱気、外気の導入を数回繰り返し、黒鉛粉末ならびにケッチェンブラック粉末の周囲にある境膜を破壊した。
この混合物(ペースト前駆体)をおおむね60℃の3本ロールに投入し、ロール間隙をすぼめて10分間混練してペーストDとした。このペーストDの硬化物の体積抵抗率は0.054Ωcmであった。
(ペーストE)
塗料Aの作製に用いたものと同様の万能混合機に、液状の脂環式エポキシ樹脂130g、反応性希釈剤としてのp−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル15gを加え、油循環式の加熱装置で60℃まで昇温した。この温度で撹拌しながら黒鉛粉末(平均粒径25μm)680gを加え、さらに黒鉛粉末(平均粒径5μm)170gを徐々に加えた。この混合物を減圧装置により脱気し、その後、外気を導入し真空を破った。この脱気、外気の導入を数回繰り返し、黒鉛粉末の周囲にある境膜を破壊した。
次に、この混合物を常温に冷却し、芳香族アミン5gを接着助剤ならびに硬化触媒として加えてペースト前駆体とした。このペースト前駆体をおおむね60℃の3本ロールに投入し、ロール間隙をすぼめて10分間混練してペーストEとした。このペーストEの硬化物の体積抵抗率は0.0226Ωcmであった。
(ペーストF)
塗料Aの作製に用いたものと同様の万能混合機に、液状の脂環式エポキシ樹脂300g、フェノールノボラック樹脂50gを加え、油循環式の加熱装置で60℃まで昇温した。この温度で撹拌しながら黒鉛粉末(平均粒径5μm)585gを徐々に加え、さらにケッチェンブラック粉末65gを徐々に加えた。この混合物を減圧装置により脱気し、その後、外気を導入し真空を破った。この脱気、外気の導入を数回繰り返し、黒鉛粉末ならびにケッチェンブラック粉末の周囲にある境膜を破壊した。
この混合物(ペースト前駆体)をおおむね60℃の3本ロールに投入し、ロール間隙をすぼめて10分間混練してペーストFとした。このペーストFの硬化物の体積抵抗率は0.106Ωcmであった。
(比較用塗料X)
塗料Aの作製に用いたものと同様の万能混合機に、まず溶媒としてTHF1000gを加え、次に液状のビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂435gを加え、油循環式の加熱装置で60℃まで昇温した。この温度で撹拌しながら黒鉛粉末(平均粒径5μm)135gを加え、さらにケッチェンブラック粉末315gを徐々に加えた。この混合物を減圧装置により脱気し、その後、外気を導入し真空を破った。この脱気、外気の導入を数回繰り返し、黒鉛粉末ならびにケッチェンブラック粉末の周囲にある境膜を破壊した。
次に、この混合物を常温に冷却し、芳香族アミン15gを接着助剤ならびに硬化触媒として加えて比較用塗料Xとした。この比較用塗料Xの硬化物の体積抵抗率は0.68Ωcmであった。
(比較用ペーストY)
塗料Aの作製に用いたものと同様の万能混合機に、まず溶媒としてTHF1000gを加え、液状のレゾール型フェノール樹脂250gを加え、油循環式の加熱装置で60℃まで昇温した。この温度で撹拌しながら黒鉛粉末(平均粒径25μm)450gを徐々に加え、さらに黒鉛粉末(平均粒径5μm)262gを徐々に加え、さらにケッチェンブラック粉末38gを徐々に加えた。
この混合物を減圧装置により脱気し、その後、外気を導入し真空を破った。この脱気、外気の導入を数回繰り返し、黒鉛粉末ならびにケッチェンブラック粉末の周囲にある境膜を破壊して比較用ペーストYとした。この比較用ペーストYの硬化物の体積抵抗率は0.062Ωcmであった。
表1に、本発明の塗料A〜CおよびペーストD〜Fならびに比較用塗料XおよびペーストYの組成、硬化物の体積抵抗率をまとめて示す。なお、各成分の添加量の単位は(g)である。
Figure 2006316086
次に、燃料電池用金属セパレータとしての腐食テスト用鋼基板の製造について説明する。
(実施例1)
厚さ1.2mmの鋼板SS400を4cm×8cmに切りだし、酸洗浄、アルカリ洗浄、純水洗浄の後、アセトン溶剤で洗浄した。この洗浄された鋼板にエポキシカップリング剤をスプレーし、乾燥窒素雰囲気で乾燥させた後、塗料Aを塗布して、180℃で2時間硬化させて腐食テスト用鋼基板を作製した。なお、塗料Aの塗布、硬化後の被膜厚さが5μmとなるようにした。
(実施例2)
塗料Bを用い、塗料Bの塗布、硬化後の被膜厚さが10μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして腐食テスト用鋼基板を作製した。
(実施例3)
塗料Cを用い、塗料Cの塗布、硬化後の被膜厚さが25μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして腐食テスト用鋼基板を作製した。
(実施例4)
厚さ0.8mmの鋼板SS400を4cm×8cmに切りだし、酸洗浄、アルカリ洗浄、純水洗浄の後、アセトン溶剤で洗浄した。この洗浄された鋼板にエポキシカップリング剤をスプレーし、乾燥窒素雰囲気で乾燥させた後、塗料Aを塗布して、180℃で2時間硬化させて腐食テスト用鋼基板を作製した。なお、塗料Aの塗布、硬化後の被膜厚さが45μmとなるようにした。
(実施例5)
ペーストDを用い、ペーストDの塗布、硬化後の被膜厚さが93μmとなるようにした以外は、実施例4と同様にして腐食テスト用鋼基板を作製した。
(実施例6)
ペーストEを用い、ペーストEの塗布、硬化後の被膜厚さが221μmとなるようにした以外は、実施例4と同様にして腐食テスト用鋼基板を作製した。
(実施例7)
ペーストFを用い、ペーストFの塗布、硬化後の被膜厚さが50μmとなるようにした以外は、実施例4と同様にして腐食テスト用鋼基板を作製した。
(実施例8)
厚さ1.2mmの鋼板SS400を4cm×8cmに切りだし、2mm幅1mm深さの櫛型溝と4ケ所に4mm孔を形成し、酸洗浄、アルカリ洗浄、純水洗浄の後、アセトン溶剤で洗浄した。この洗浄された鋼板にエポキシカップリング剤をスプレーし、乾燥窒素雰囲気で乾燥させた後、塗料Bを塗布して、180℃で2時間硬化させて腐食テスト用鋼基板を作製した。なお、塗料Bの塗布、硬化後の被膜厚さが11μmとなるようにした。
(実施例9)
厚さ0.8mmの鋼板SS400を5cm×8cmに切りだし、2mm幅1mm深さの櫛型溝と4ケ所に4mm孔を形成し、酸洗浄、アルカリ洗浄、純水洗浄の後、アセトン溶剤で洗浄した。この洗浄された鋼板にエポキシカップリング剤をスプレーし、乾燥窒素雰囲気で乾燥させた後、ペーストDを塗布して、180℃で2時間硬化させて腐食テスト用鋼基板を作製した。なお、ペーストDの塗布、硬化後の被膜厚さが100μmとなるようにした。
(実施例10)
厚さ1.2mmの鋼板SS400を5cm×8cmに切りだし、2mm幅1mm深さの櫛型溝と4ケ所に4mm孔を形成し、サンドによる表面の粗面化を行い、酸洗浄、アルカリ洗浄、純水洗浄の後、アセトン溶剤で洗浄した。この洗浄された鋼板にエポキシカップリング剤をスプレーし、乾燥窒素雰囲気で乾燥させた後、塗料Bを塗布して、180℃で2時間硬化させて腐食テスト用鋼基板を作製した。なお、塗料Bの塗布、硬化後の被膜厚さが120μmとなるようにした。
(比較例1)
厚さ1.2mmの鋼板SS400を4cm×8cmに切りだし、酸洗浄、アルカリ洗浄、純粋洗浄し、アセトン溶剤で洗浄した。この洗浄された鋼板にエポキシカップリング剤をスプレーし、乾燥窒素雰囲気で乾燥させた後、200℃で2時間硬化させて腐食テスト用シラン処理鋼基板を作製した。
(比較例2)
比較用塗料Xを用い、比較用塗料Xの塗布、硬化後の被膜厚さが9μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして腐食テスト用鋼基板を作製した。
(比較例3)
比較用塗料Yを用い、比較用塗料Yの塗布、硬化後の被膜厚さが91μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして腐食テスト用鋼基板を作製した。
(比較例4)
比較用塗料Xを用い、比較用塗料Xの塗布、硬化後の被膜厚さが9μmとなるようにした以外は、実施例7と同様にして腐食テスト用鋼基板を作製した。
(比較例5)
比較用塗料Yを用い、比較用塗料Yの塗布、硬化後の被膜厚さが92μmとなるようにした以外は、実施例7と同様にして腐食テスト用鋼基板を作製した。
表2に、実施例1〜10および比較例1〜5の腐食テスト用鋼基板について、被膜の形成に用いた塗料あるいはペーストの種類とそれにより形成された被膜厚さ、また、使用した鋼板の厚さと鋼板への加工あるいは処理をまとめて示す。
Figure 2006316086
次に、実施例および比較例の腐食テスト用鋼基板を用いて腐食試験を行った。腐食試験として、プレッシャークッカー試験(PCT、条件121℃/1atm/1000Hrs、2000Hrs)を行い、被膜の表面におけるふくれ等の異常の有無(外観検査)、被膜と鋼板との剥離等の異常の有無(内部検査)、および、鋼板の表面部における異常の有無(金属検査)を顕微鏡を用いて観察した。
表3に、実施例および比較例の腐食テスト用鋼基板についての腐食試験の結果をまとめて示す。なお、比較例1の腐食テスト用鋼基板については、被覆用樹脂組成物による被膜を形成しなかったため外観検査、内部検査は行っておらず、表中「―」で示した。また、比較例1の腐食テスト用鋼基板については、1000Hrsの金属検査で全ての腐食テスト用鋼基板について異常が見られたため、その後の2000Hrsの金属検査は行わず、表中「―」で示した。
Figure 2006316086
表3から明らかなように、有機溶剤を含まない塗料A〜CまたはペーストD〜Fを用いた実施例1〜10の腐食テスト用鋼基板については、いずれもピンホール不良等が抑制されるため、各検査における異常が少なくなることが認められた。これに対し、被覆用樹脂組成物による被膜を形成しなかった比較例1の腐食テスト用鋼基板はもちろんのこと、被膜を形成したものの有機溶剤を含む比較用塗料Xまたは比較用ペーストYで被膜を形成したものは、ピンホール不良等を十分に抑制することができず、長時間の腐食試験による腐食の発生を抑制することが困難であることが認められた。

Claims (9)

  1. 炭素質材料粉末と液状の熱硬化性樹脂成分とから主としてなり、有機溶剤を含まない無溶剤型の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物であって、
    前記炭素質材料粉末100重量部に対して、前記液状の熱硬化性樹脂成分が3.6重量部以上、570重量部以下であることを特徴とする金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物。
  2. 炭素質材料粉末、熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分から主としてなり、有機溶剤を含まない無溶剤型の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物であって、
    前記炭素質材料粉末100重量部に対して、前記熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分の合計量が3.6重量部以上、570重量部以下であることを特徴とする金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物。
  3. 前記熱硬化性樹脂成分が液状であることを特徴とする請求項2記載の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物。
  4. 前記熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分の合計量100重量%中、前記反応性希釈剤成分が40重量%以下であることを特徴とする請求項2または3記載の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物。
  5. 前記炭素質材料粉末が黒鉛粉末とカーボン粉末とからなる混合粉末であって、前記混合粉末100重量%中、前記カーボン粉末が4重量%以上、80重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物。
  6. 前記黒鉛粉末は平均粒子径が25μm以下であり、前記カーボン粉末は平均粒子径が5μm以下であることを特徴とする請求項5記載の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物。
  7. 前記熱硬化性樹脂成分はエポキシ樹脂およびフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種から主としてなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物。
  8. 前記金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物は、金属との接着性を高める接着助剤としての窒素化合物、硫黄化合物および金属化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物。
  9. 前記金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物は、前記炭素質材料粉末および液状の熱硬化性樹脂成分を、または、前記炭素質材料粉末、熱硬化性樹脂成分および反応性希釈剤成分を、せん断力を加えることが可能な混合装置にて共摺りしてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の金属製セパレータ被覆用液状導電性樹脂組成物。
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