JP2006316026A - バラ科植物抽出物等およびそれらを利用した免疫細胞活性化剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 天然の産物を原料とした、食品あるいは補助食品等として摂取することができる免疫細胞活性化剤を提供すること。
【解決手段】 バラ科植物の果実及び/又は種子またはそれらの抽出物を有効成分とする免疫細胞活性化剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 バラ科植物の果実及び/又は種子またはそれらの抽出物を有効成分とする免疫細胞活性化剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、バラ科植物の抽出物またはその画分を有効成分とする免疫細胞活性化剤、抗炎症剤等に関する。また、本発明は、バラ科植物の抽出物の画分にも関する。
正常動物の免疫系は外来から侵入する多様な異物に応答し、生体から除去する一方、自己抗原に対しては反応を起こさない。免疫系は自己・非自己を識別するシステムであり、その特徴は、T、B細胞抗原受容体の多様性である。この多様性こそが多様な異物に対してきわめて特異的な認識を可能にしている。
しかしながら、免疫系は常に自己構成成分に対する免疫応答、自己免疫というリスクを負っている。異常免疫応答・過剰免疫応答の結果は自己免疫疾患、アレルギー等につながることになる。したがって、免疫応答の負の制御もまた、生体の恒常性維持には重要である。免疫系は、こうした自己免疫疾患やアレルギー等、異常あるいは過剰な免疫応答を抑制するために、免疫応答における負の制御機構を備えている。
近年の研究では、制御性T細胞が、この免疫応答における負の制御機構に深く関与し、自己反応性T細胞の活動を抑制することにより、免疫自己寛容を維持し、自己免疫疾患の発症を阻止していることが解明されており、さらに慢性感染症において病原微生物に対する免疫応答を抑制している可能性が示唆されている。(非特許文献1等参照)
したがって、免疫細胞を活性化することにより、異物を認識・排除する免疫応答を惹起しつつ、制御性T細胞をも活性化して自己免疫疾患につながる自己反応性T細胞の活動を抑制することができれば、異常免疫疾患の改善及び健康維持に役立つことが期待される。
一方、これら免疫細胞の活性化のためには、通常数週間から数ヶ月等の、ある程度の長期間を要することから、免疫細胞の活性化のために服用あるいは投与等するものは、副作用がないことが好ましく、天然の産物を食事として、あるいは補助食品として摂取することが望ましい。
従来、バラ科植物の抽出物における成分については、カロチノイドにカロテン(登録商標)、リコペン、クリプトキサンチン(登録商標)、ルビキサンチン、ゼアキサンチン及びルテインが含まれていることが知られているが(非特許文献2等参照)、免疫細胞に対する作用については詳細には調べられていない。
坂口志文著「免疫応答の負の制御」細胞工学Vol.21 No.11、2002年、p.1278−1279
Hodisan, T., Socaciu, C, Ropan, I, Neamtu, G. Carotenoid composition of Rosa canina fruits determined by thin layer chromatography and high performance liquid chromatography. J. Pharmaceutical & Biomedical Analysis 16(3); 521-528; 1997.
本発明の発明者は、鋭意検討した結果、バラ科植物の果実及び/又は種子またはそれらの抽出物に免疫細胞を活性化する能力があることを発見し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、バラ科植物の果実及び/又は種子またはそれらの抽出物を有効成分とする免疫細胞活性化剤、抗炎症剤及びリウマチ治療剤に関する。
また、本発明は、バラ科植物の果実及び/又は種子またはそれらの抽出物を有効成分とする抗アレルギー剤に関する。
本発明において、好ましいバラ科植物は、バラ亜科に属する植物、すなわちバラ属、シモツケソウ属、キイチゴ属、シロヤマブキ属、ヤマブキ属、ポテンティラ、オランダイチゴ属(イチゴ)、ダイコンソウ属、チョウノスケソウ属、コキンバイ属、キンミズヒキ属、ワレモコウ属、アカエナ属、アルケミラであり、さらに好ましくは、バラ属に属する植物であり、ナニワイバラ(Rosa laevigata)、モッコウバラ(Rosa.banksiae)、ノイバラ(Rosa multiflora)、ハマナス(Rosa rugosa)、ヤマイバラ(Rosa sambucina)、ロサ ポミフェラ(Rosa pomifera)、ロサ モスカータ(Rosa moschata)、イヌバラ(Rosa canina)等を挙げることができる。そして、これらの中で更に好ましくは、ハマナス及びイヌバラであり、最も好ましくはハマナスである。
本発明において、バラ科植物の果実及び/または種子は、好ましくは、乾燥させた果実及び/または種子であり、特に好ましくは、乾燥させた、粉末状態の果実または種子である。粉末とした場合は液体との接触面積が増加して成分が溶出しやすくなるからである。
本発明のバラ科植物の抽出物において、抽出に使用する溶媒としては、好ましくは水もしくは水蒸気または有機溶媒であり、これらを単独であるいは適当割合で混合して用いることができる。これらの水または有機溶媒は、常温または加熱した状態で、もしくは冷却した状態で用いることができる。有機溶媒としては、好ましくはエタノール、メタノール、プロパノール、1,3−ブチレングリコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、アセトン等のケトン類、ベンゼン等のフェノール類、ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素類、を挙げることができる。有機溶媒として更に好ましいのは、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ヘキサンまたはフェノールであり、この中で更に好ましくはエタノールまたはメタノールであり、最も好ましくはメタノールである。なお、これらの抽出物は、溶媒である水もしくは水蒸気または有機溶媒を除去してその残留物のみを用いてもよい。
また、本発明のバラ科植物の抽出物において、抽出に使用する溶媒は、油であってもよく、本発明のバラ科植物の抽出物は、この油抽出物と上記水もしくは水蒸気または有機溶媒の抽出物を単独であるいは適当割合で混合して用いることができる。油抽出物における油は、経口摂取あるいは外用剤等の用途に応じて人体に安全な油を適宜用いることができ、天然及び合成の植物系若しくは動物系の油、例えば、ピーナッツ油、ヒマワリ種油、オリーブ油、トウモロコシ油、綿実油、紅花油、米ぬか油、アボカド油、アルモンド油、ゴマ油、サフラー油、大豆油、ナタネ油、パーシック油、パーム油、ヒマシ油、ヤシ油、馬油、ミンク油、卵黄脂肪油及び豚脂等を用いることができるが、好ましくはピーナッツ油、ヒマワリ種油、オリーブ油、トウモロコシ油、綿実油、紅花油、米ぬか油等の天然植物油を用いることができる。その他の植物油としては、レモングラス精油、ヒバ精油、ユーカリ精油、ラベンダー精油、ローズマリー精油、ヒノキ精油、サンダルウッド精油、カモミール精油、クラリセージ精油、グレープフルーツ精油、クローブ精油、サイプレス精油、シダーウッド精油、シトロネラ精油、ジュニパー精油、ゼラニウム精油、タイム精油、ティートリー精油、パイン精油、パチュリ精油、フェンネル精油、ペパーミント精油、マジョラム精油、メリッサ精油、ローズウッド精油、バジル精油、バテ精油、パルマローザ精油及びヒソップ精油があり、主に外用剤等の用途には、場合によりロウ類や被膜形成剤と共に、これらの1種またはそれ以上を使用することができる。
さらに、本発明のバラ科植物の抽出物は、HPLCによって作成された画分であってもよい。この明細書において、画分はバラ科植物の果実及び/または種子の乾燥粉末をメタノールで抽出し、以下に述べる方法によって得られたものをいうが、含まれる成分が同等のものである限り、この方法によって得られる画分には限定されない。
画分の取得方法
バラ科植物の果実及び/または種子の乾燥粉末1gにメタノール10mlを添加し15分間音波処理してアリコートを抽出する。この混合物を3500rpmで10分間遠心分離して上清を除去し、窒素ガス流下で乾燥状態まで減量する。残渣をメタノール5mlで音波処理して再度抽出し、最初の抽出物と第二の抽出物を合わせる。
バラ科植物の果実及び/または種子の乾燥粉末1gにメタノール10mlを添加し15分間音波処理してアリコートを抽出する。この混合物を3500rpmで10分間遠心分離して上清を除去し、窒素ガス流下で乾燥状態まで減量する。残渣をメタノール5mlで音波処理して再度抽出し、最初の抽出物と第二の抽出物を合わせる。
分画
残渣をHPLC移動相(アセトニトリル:水=50:50)に再溶解し、試料を遠心分離する。沈殿した不溶残渣を計量し分離画分とする。透明の上清については画分コレクターを用いて収穫する。無脂抽出物を分取カラムを用い、10%−95%のアセトニトリル勾配を用いて20分間、毎分25mlで流す。画分を1分間隔で採取し、HPLC検出器のUV/VISプロファイルを基準に9画分(沈殿を含めて10画分)にプールする。以下に、ハマナス(表1)及びイヌバラ(表2)の場合についてそれぞれの画分及び含まれる化合物量及び含まれる成分の具体例を示す。
残渣をHPLC移動相(アセトニトリル:水=50:50)に再溶解し、試料を遠心分離する。沈殿した不溶残渣を計量し分離画分とする。透明の上清については画分コレクターを用いて収穫する。無脂抽出物を分取カラムを用い、10%−95%のアセトニトリル勾配を用いて20分間、毎分25mlで流す。画分を1分間隔で採取し、HPLC検出器のUV/VISプロファイルを基準に9画分(沈殿を含めて10画分)にプールする。以下に、ハマナス(表1)及びイヌバラ(表2)の場合についてそれぞれの画分及び含まれる化合物量及び含まれる成分の具体例を示す。
本発明において、バラ科植物の抽出物における好ましい画分は、F1〜F5及びF10であり、さらに好ましくはF1〜F5であり、最も好ましくはF2、F4及びF5である。また、ハマナスにおける好ましい画分は、画分F1〜F8及びF10であり、さらに好ましくは画分F2、F4〜F8及びF10であり、さらに好ましくはF4〜F6であり、最も好ましくはF5である。また、イヌバラにおいて好ましい画分は画分F1〜F5及びF10であり、さらに好ましくは画分F2、F4及びF5であり、最も好ましくはF2である。
また、油を溶媒とする抽出物について、HPLCは、移動相をA=水及びB=エタノール/アセトニトリル=30/70溶液とし、B%=95→100(10分で直線勾配)としてカラム温度40℃で1.0ml/分の流量(注入量20μl)にてHPLC分析を行う。本発明のバラ科植物の抽出物における、油抽出物として特に好ましい画分は、HPLCにおいてビタミンE(α−トコフェロール)溶出位置近傍に現れる、ビタミンE類似体を含む画分である(図9参照)。
本発明において、免疫細胞は、好ましくはT細胞、B細胞及びNK細胞を含むリンパ球であり、さらに好ましくは、ヘルパーT細胞、キラーT細胞及び制御性T細胞を含むT細胞であり、最も好ましくは制御性T細胞である。
本発明の免疫細胞活性化剤、抗炎症剤またはリウマチ治療剤等の各種の剤は、散剤、顆粒剤、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤等の形態であってよく、これらを経口的に用いることができる。また、他の形態としては、水またはそれ以外の薬学的に許容し得る液体との溶液、または懸濁液剤等の注射用剤の形で経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に、あるいは単離した細胞に対して直接に、投与することができる。さらに他の形態としては、オイルパック剤等として経皮的に用いることも可能である。
以上述べたように、本発明のバラ科植物の果実及び/又は種子およびその抽出物またはその画分は免疫細胞を活性化する効果を有する。
さらに各種疾患(慢性関節リウマチ、多発性硬化症、反復性髄膜炎など)における異常リンパ球の、本発明のバラ科植物の果実及び/又は種子またはそれらの抽出物との培養による変化を観察したところ、培養72時間後には低下していた制御性T細胞の数が正常値まで回復し、異常に亢進したCD26、また異常に低下したCD25及びIL10が正常状態に戻ったことが確認された(CD26:異常に冗進したCD26発現T細胞の割合(培養24時間後で全T細胞の約45%〜約55%)が、培養72時間後には正常状態である約15%〜約25%に回復した(n=33)。;CD25:CD25陽性の制御性T細胞の割合が、培養12時間後で全T細胞の約2%〜約9%であったものが、72時間後には約5%〜約33%にまで増加した(n=33)、IL10:IL10発現T細胞の数が、培養24時間後で全T細胞の約3%〜約10%であったものが、72時間後には約20%〜約45%にまで増加した(n=33))。さらに、過剰な活性酸素を低減し、細胞機能を活性化させる能力があることがわかった。
加えて、慢性関節リウマチ、多発性硬化症及び反復性髄膜炎等の免疫異常疾患に対し、インビトロ及びインビボの両面で抗炎症及び免疫細胞の正常化の効果が認められている(リウマチ(61歳患者)、移動性リウマチ、変形性リウマチ等で改善例少なくとも5例)。さらに、本発明の免疫活性化剤等を併用することにより、ステロイド剤や消炎鎮痛剤など副作用の強い薬剤の用量を減らすことができることが確認されている。
ここで、抗炎症活性やリウマチ治療効果と免疫細胞の活性化の関係について説明すると、免疫細胞が分裂促進物質により活性化される場合において、さらに免疫細胞の増殖率が刺激されることが観察される。この免疫系の活性化に対する刺激は、傷害や異物等の攻撃に対する通常の炎症性応答の一部として頻繁に観察されるものである。抗炎症活性の増強と免疫応答の増強は、多くの場合結びついて起こる。すなわち、免疫細胞の活性化は、抗炎症活性やリウマチ治療等の効果に直接結びつくものであるといえる。
さらに、本発明のバラ科植物の果実及び/又は種子またはそれらの抽出物は、上記の他、各種のアレルギー症状、すなわち、花粉症、喘息、アトピー、じんま疹等の症状を著しく軽減する効果があることがわかり、すなわち抗アレルギー剤としての効果も確認されている(アトピー:14歳患者(腕部及び脚部)、34歳患者(両手部)が改善した例の他、少なくとも4例;喘息:2歳、3歳、42歳患者にて改善例少なくとも3件;花粉症:24歳、27歳及び42歳患者にて改善例少なくとも3件)。また、加齢による動脈硬化はコレステロールのみならず血管の慢性炎症も原因として指摘されているが、本発明のバラ科植物の果実及び/又は種子またはそれらの抽出物の服用後に、血管の炎症指標の一つである高感度CRPを比較してみると、大幅に改善し、炎症が治まっていくことが確認された。
以下に、実施例を挙げてより具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
バラ科植物の材料
以下の実施例における材料としては、バラ科植物であるハマナス及びイヌバラの種子及び果実を乾燥・粉砕して得られた粉末を用いた。具体的には、ハマナス粉末としては、ワイルドローズフォルテTM(アメリカンバイオロジックスジャパン株式会社)を、イヌバラ粉末としてはHybena(Hybena Natural Products社(デンマーク))を用いた(以下それぞれ「ハマナス粉末」、及び「イヌバラ粉末」という。)ワイルドローズフォルテTMは、デンマークユトランド半島最北端にあるウッレ薔薇園で採取されたハマナスの実から作られている。
以下の実施例における材料としては、バラ科植物であるハマナス及びイヌバラの種子及び果実を乾燥・粉砕して得られた粉末を用いた。具体的には、ハマナス粉末としては、ワイルドローズフォルテTM(アメリカンバイオロジックスジャパン株式会社)を、イヌバラ粉末としてはHybena(Hybena Natural Products社(デンマーク))を用いた(以下それぞれ「ハマナス粉末」、及び「イヌバラ粉末」という。)ワイルドローズフォルテTMは、デンマークユトランド半島最北端にあるウッレ薔薇園で採取されたハマナスの実から作られている。
実施例1 バラ科植物の種子及び果実の抗炎症・リウマチ治療作用の検証
材料及び方法
バラ科植物の種子及び果実の抗炎症作用を調べるため、アジュバント誘発性関節炎モデルを用いた。メスのラット(Dark Agouti)の尾付け根部分にMycobacterium tuberculosisを含むフロイント完全アジュバントを皮内注射することにより、疾病を誘発した(Zhang, Lee et al, J. Immunol., vol.145 (1990) , pp2489-2493)。
材料及び方法
バラ科植物の種子及び果実の抗炎症作用を調べるため、アジュバント誘発性関節炎モデルを用いた。メスのラット(Dark Agouti)の尾付け根部分にMycobacterium tuberculosisを含むフロイント完全アジュバントを皮内注射することにより、疾病を誘発した(Zhang, Lee et al, J. Immunol., vol.145 (1990) , pp2489-2493)。
ハマナス粉末及びイヌバラ粉末の効果を調べるため2群のラットを準備した。各群は6匹のメスのラット(Dark Agouti、実験開始時に生後7〜8週)からなる。
ラットの餌にハマナス粉末及びイヌバラ粉末をそれぞれ餌に対して2.4mg/gの割合で添加した。食餌補給開始2週間後に足容積測定装置にて後ろ足及び足首の容積変化を測定した。続いて、Zhang et al. の方法(Thompson & Staines Clinical and Experimental Immunology, vol.64(1986), pp.581-586; Zhang, Lee et al. (1990))に基づいてフロイント完全アジュバント(CFA)をそれぞれのラットに注射した。CFA中のMycobacterium tuberculosis成分は7.5mg/mlの濃度で懸濁させ、それぞれの動物の尾付け根部分に皮内投与(2×100μl)した。
無処理対照群及び陽性対照群も設定した。陽性対照群には、Meloxicamを水に溶解し、毎日0.12mg/kg体重の用量で経口にて強制投与した。この投与はアジュバントを注射し始めたのと同じ日に開始した。
消費された餌及び水の量を毎日測定した。それぞれの個体について受け入れられた用量を計算した。それぞれのラットを実験開始からCFA注射後12日まで毎週計量した。CFA投与後13日目からそれぞれの後ろ足及び足首の容積を測定し、腫れを計算した。これを18日目まで毎日繰り返した。各群の腫れの平均を計算し、無処理対照群と比較した。統計的有意性は、スチューデントのt−検定(有意水準5%)で決定した。
結果
食餌消費
ラットの異なる集団による1日の平均食餌消費量を表3に示した。
食餌消費
ラットの異なる集団による1日の平均食餌消費量を表3に示した。
種々の集団において、食餌への添加は食餌消費量には悪影響を及ぼさなかったことが明らかになった。1日食餌消費量は無処理対照群に対して約5.5%(ハマナス)及び5%(イヌバラ)の減少量であった。
体重変化
炎症状態が形成されるにつれ、対照、ハマナス粉末、イヌバラ粉末、Meloxicamの全ての処理群の動物が体重を減らしたが、各群での相違はほとんどなかった。具体的には、イヌバラ粉末添加の集団と対照集団の差異はなく、両者とも17.4%の体重減少がみられ、Meloxicam投与群では18%、ハマナス粉末添加を受けた集団については19.0%の体重減少が見られた。
炎症状態が形成されるにつれ、対照、ハマナス粉末、イヌバラ粉末、Meloxicamの全ての処理群の動物が体重を減らしたが、各群での相違はほとんどなかった。具体的には、イヌバラ粉末添加の集団と対照集団の差異はなく、両者とも17.4%の体重減少がみられ、Meloxicam投与群では18%、ハマナス粉末添加を受けた集団については19.0%の体重減少が見られた。
フットスコア
炎症は米国リウマチ協会スコアリングシステム(The American Rheumatism Association scoring system (Cremer et al., J Molec. Med, 76(1998): 275-288)に従って時間点数(time points)でスコアリングした(表5)。
炎症は米国リウマチ協会スコアリングシステム(The American Rheumatism Association scoring system (Cremer et al., J Molec. Med, 76(1998): 275-288)に従って時間点数(time points)でスコアリングした(表5)。
この表からわかるように、Meloxicamで処理した動物は最も低い値を示し、抗炎症効果が最も高い。ハマナス粉末においては炎症を17%低減している。イヌバラについては、2.5%の低減が見られた。
食餌の消費量は、全ての集団が同じような値であった。したがって、集団の比較においては添加した粉末の消費量も同様である。したがって、ハマナス及びイヌバラの用量はほぼ同じことになる。
実施例2 T細胞活性化効果の検証
抽出
ハマナス粉末及びイヌバラ粉末にそれぞれメタノール10mlを添加し15分間音波処理して成分を抽出した。この抽出物を3500rpmで10分間遠心分離して上清を除去し、窒素ガス流下で乾燥状態まで減量した。残渣をメタノール5mlで音波処理して再度抽出し、最初の抽出物と第二の抽出物を合わせた。
抽出
ハマナス粉末及びイヌバラ粉末にそれぞれメタノール10mlを添加し15分間音波処理して成分を抽出した。この抽出物を3500rpmで10分間遠心分離して上清を除去し、窒素ガス流下で乾燥状態まで減量した。残渣をメタノール5mlで音波処理して再度抽出し、最初の抽出物と第二の抽出物を合わせた。
分画
抽出された残渣をHPLC移動相(アセトニトリル:水=50:50)に再溶解し、試料を遠心分離した。沈殿した不溶残渣を計量し分離画分として含んだ。透明の上清はGilson322バイナリポンプシステム及びGilson156UV/vis マルチ波長検出器を用い、画分はUnipoint v3.1ソフトウエアで制御されたGilson204画分コレクターを用いて収穫した。無脂抽出物を、Phenomex Luna 5μ C18 150mm×21.2mmの分取カラムを用い、10%−95%のアセトニトリル勾配を用いて20分間、毎分25mlで流した。画分を1分間隔で採取し、HPLC検出器のUV/VISプロファイルを基準に9画分にプールした。画分を乾燥し重量を記録した。
抽出された残渣をHPLC移動相(アセトニトリル:水=50:50)に再溶解し、試料を遠心分離した。沈殿した不溶残渣を計量し分離画分として含んだ。透明の上清はGilson322バイナリポンプシステム及びGilson156UV/vis マルチ波長検出器を用い、画分はUnipoint v3.1ソフトウエアで制御されたGilson204画分コレクターを用いて収穫した。無脂抽出物を、Phenomex Luna 5μ C18 150mm×21.2mmの分取カラムを用い、10%−95%のアセトニトリル勾配を用いて20分間、毎分25mlで流した。画分を1分間隔で採取し、HPLC検出器のUV/VISプロファイルを基準に9画分にプールした。画分を乾燥し重量を記録した。
LC‐MS解析
LC−MSデータをAgilent1100SL LC−MSDを用いて得た。LCはAquaC18 125A, 5μ,150×4.6mmのid column(Phenomenex)で、カラム温度40℃に合わせた。移動相は、A:MilliQ水中の0.005%TFA(トリフルオロ酢酸);B:アセトニトリル中の0.005%TFAからなり、以下の勾配及び流量を用いた(表6)。
LC−MSデータをAgilent1100SL LC−MSDを用いて得た。LCはAquaC18 125A, 5μ,150×4.6mmのid column(Phenomenex)で、カラム温度40℃に合わせた。移動相は、A:MilliQ水中の0.005%TFA(トリフルオロ酢酸);B:アセトニトリル中の0.005%TFAからなり、以下の勾配及び流量を用いた(表6)。
フォトダイオードアレイ検出器(PDA)を、210nm及び280nmを検出し、スペクトルデータ(190‐600nm)を0ピーク幅>0.1分でスキャンするようにセットした。
SL1100シリーズマススペクトロメーター検出器(MSD)をスキャンモード(100−1350amu)で、以下の化学的イオン化を行った:イオン化電圧:150v(+veモード);キャピラリー電圧:2000v;コロナ電流:8uA;乾燥ガス流量:5.0L/分;乾燥ガス温度:350℃;気化器温度:400℃;噴霧器圧:60psig. システムデータはAgilent Chemstationソフトウエアで制御した。
HPLCによって作成した画分のLC−MS解析は、上記条件を用いて以下のより急勾配の条件で解析した(表7)。
脂質可溶性沈殿のLC−MS解析は上記の系で行った。
しかしながら、溶媒系、カラム及び流量等は以下のように改変した。
しかしながら、溶媒系、カラム及び流量等は以下のように改変した。
カラムA:Luna C18(2)50×4.6mm3μカラム(Phenomenex);
溶媒A:メタノール
溶媒B:イソプロパノール
溶媒A:メタノール
溶媒B:イソプロパノール
脾臓T細胞アッセイ
脾臓をラットから単離しT細胞が豊富な画分(赤血球細胞なし)を密度勾配遠心分離によって調製した。
脾臓をラットから単離しT細胞が豊富な画分(赤血球細胞なし)を密度勾配遠心分離によって調製した。
細胞調製物をRPMI培地で細胞約1.2×106個/mlに希釈し、細胞約2.4×105個を96穴培養プレートの各ウェルに添加した(ハマナス及びイヌバラについてそれぞれ3ウエルずつ)。
試験される試料について培養の最初から試料を添加した。プレートは5%CO2/95% 空気において37℃で72時間培養した。培養はMTT溶液(5mg/ml)15μlを各ウェルに添加することによって終了し、2時間後に100μlの10%ドデシル硫酸ナトリウム/45%ジメチルホルムアミドpH4.7で溶解した。
570nmでの吸収を読む前にホルマザン結晶を37℃オーバーナイトでインキュベートして溶解した。それぞれ3つずつのウエルの吸光度の平均値を決定しこの値を対照ウェルから得られた値と比較した。
結果
分離及び分画
ハマナス粉末及びイヌバラ粉末から得られた画分ごとの収率を表9に示す。
分離及び分画
ハマナス粉末及びイヌバラ粉末から得られた画分ごとの収率を表9に示す。
ハマナス粉末及びイヌバラ粉末のメタノール抽出物についてのLC−MSプロファイルを図1及び図2に示す。また、ハマナス粉末及びイヌバラ粉末抽出物の脂肪親和性残渣のLC−MSプロファイルを図3及び図4に示す。
ハマナス粉末及びイヌバラ粉末の無脂抽出物のHPLC分画に基づいてそれぞれについて9つの画分を得た。それらを以下の表10、表11及び図5〜図8にまとめて示す(F10は脂肪親和性残渣の画分である。)。
T細胞活性
ハマナス粉末およびイヌバラ粉末それぞれの抽出物のほぼすべての画分(無脂質)について、ラットT細胞増殖に対する効果を調べた。(ハマナス粉末抽出物の画分1及び画分3については、それらの特徴が画分2のものと同一であるので省略する。イヌバラの画分1は画分2と、画分3は画分4とそれぞれ特徴が同一であるので、同様に省略する)
表12及び13に結果を示す。(対照を100%とする)
ハマナス粉末およびイヌバラ粉末それぞれの抽出物のほぼすべての画分(無脂質)について、ラットT細胞増殖に対する効果を調べた。(ハマナス粉末抽出物の画分1及び画分3については、それらの特徴が画分2のものと同一であるので省略する。イヌバラの画分1は画分2と、画分3は画分4とそれぞれ特徴が同一であるので、同様に省略する)
表12及び13に結果を示す。(対照を100%とする)
結果から明らかなように、ハマナス粉末抽出物は画分9を除くすべての画分が、もともとの増殖速度を明らかに刺激している。イヌバラ粉末抽出物については画分1〜5まで及び10について増殖割合が改善されている。
Claims (11)
- バラ科植物の果実及び/又は種子またはそれらの抽出物を有効成分とする免疫細胞活性化剤。
- バラ科植物がバラ科バラ属の植物である、請求項1記載の免疫細胞活性化剤。
- バラ科植物がハマナス(Rosa Rugosa)である、請求項1又は2記載の免疫細胞活性化剤。
- バラ科植物がイヌバラ(Rosa canina)である、請求項1又は2記載の免疫細胞活性化剤。
- バラ科植物の抽出物が、画分F1〜F5及び画分F10の一つ又はこれらの組合わせである、請求項1〜4のいずれか1項記載の免疫細胞活性化剤。
- バラ科植物の抽出物が、画分F1〜F8及び画分F10の一つ又はこれらの組合わせである、請求項1〜3のいずれか1項記載の免疫細胞活性化剤。
- 免疫細胞がT細胞である、請求項1〜6のいずれか1項記載の免疫細胞活性化剤。
- 免疫細胞が制御性T細胞である、請求項7記載の免疫細胞活性化剤。
- ハマナスの抽出物の画分F1〜F8及びF10の一つ又はこれらの組合わせ。
- バラ科植物の果実及び/又は種子またはそれらの抽出物を有効成分とする抗炎症剤。
- バラ科植物の果実及び/又は種子またはそれらの抽出物を有効成分とするリウマチ治療剤。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011042628A (ja) * | 2009-08-21 | 2011-03-03 | Unitika Ltd | アクアポリン産生促進剤 |
JP2018529637A (ja) * | 2015-07-17 | 2018-10-11 | コリア リサーチ インスティチュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジーKorea Research Institute Of Bioscience And Biotechnology | ハマナスの花抽出物を有効成分として含むil−6媒介性疾患の予防又は治療用薬学的組成物 |
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- 2005-05-16 JP JP2005142842A patent/JP2006316026A/ja active Pending
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